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特許7605507表面実装電子部品を回路基板に接続するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】表面実装電子部品を回路基板に接続するための方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/34 20060101AFI20241217BHJP
   B23K 1/005 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H05K3/34 507C
B23K1/005 C
B23K1/005 B
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022576433
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-10
(86)【国際出願番号】 US2020037551
(87)【国際公開番号】W WO2021251985
(87)【国際公開日】2021-12-16
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】511009710
【氏名又は名称】エヌシーシー ナノ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ゴーシュ, ルドレシュ
(72)【発明者】
【氏名】パシアック, ジョン マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アッタール, ヴァヒド アカヴァン
(72)【発明者】
【氏名】シュローダー, カート エー.
【審査官】沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-528565(JP,A)
【文献】特開平11-221683(JP,A)
【文献】特開平09-108827(JP,A)
【文献】特開平03-291182(JP,A)
【文献】特開2005-219070(JP,A)
【文献】特開2000-151086(JP,A)
【文献】特開2004-207645(JP,A)
【文献】実開平05-006796(JP,U)
【文献】特開平05-327078(JP,A)
【文献】特表2018-518045(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/32- 3/34
B23K 1/00- 3/08
B23K 31/02
B23K 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を基板に接続するための方法であって、前記方法は、
はんだを電子部品と基板との間に位置させた状態で前記基板をフラッシュランプ下に設置することと、
前記はんだがリフローするまで、前記電子部品、前記はんだ、および前記基板に前記フラッシュランプからの複数の光パルスを適用することと、
前記複数の光パルスの前記適用中に、
前記フラッシュランプからの前記複数の光パルスのうちの1つの光パルスのパワーを測定し、前記測定されたパワーを放射暴露値に変換することと、
前記基板上にはんだ付けされている前記電子部品の温度を測定することと、
前記電子部品の前記測定された温度に応答して、前記1つの光パルスの前記放射暴露値に従って、次の光パルスのデューティサイクルを適合的に調節することと
を行うことと
を含む、方法。
【請求項2】
前記パワーの測定は、フォトダイオードを使用することによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
較正係数を生成するために前記フォトダイオードを較正することをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記変換することは、前記較正係数を使用して、前記測定されたパワーを前記放射暴露値に変換することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記温度の測定は、赤外線(IR)カメラを使用することによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記デューティサイクルを調節することは、前記次の光パルスの周波数を変更することによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記デューティサイクルを調節することは、前記次の光パルスのパルス長を変更することによって実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記基板は、回路基板である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記基板は、200℃未満の最大作業温度を有する熱可塑性物質である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記はんだは、50ミクロンを上回る厚さを有する厚膜材料である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の光パルスの前記適用中に前記電子部品を運搬することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記電子部品の前記運搬のスピードを前記複数の光パルスの周波数と同期させることをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の光パルスの前記適用の前に、前記電子部品を環境制御されているチャンバ内に設置することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
電子部品を基板に接続するためのシステムであって、前記システムは、
コンデンサバンクと、
前記コンデンサバンクを充電するためのコンデンサバンク充電用電力供給源と、
IGBTベースの切替デバイスと、
周波数コントローラと、
光パルスを放出するためのフラッシュランプであって、前記フラッシュランプが前記IGBTベースの切替デバイスを介して前記コンデンサバンクから電荷を受け取りながら、前記IGBTベースの切替デバイスは、前記コンデンサバンクから前記フラッシュランプへの前記電荷のフローを変調するために、前記周波数コントローラによってオンおよびオフに繰り返し切り替えられており、これは、ひいては、前記フラッシュランプをオンおよびオフに切り替える、フラッシュランプと、
前記フラッシュランプからの光パルスのパワーを測定するためのフォトダイオードと、
基板上にはんだ付けされている電子部品の温度を測定するための赤外線カメラと、
プロセッサであって、前記電子部品の前記測定された温度に応答して、前記フラッシュランプからの前記光パルスの前記測定されたパワーからもたらされた放射暴露に従って、前記周波数コントローラを介して次の光パルスのデューティサイクルを適合的に調節する、プロセッサと
を備える、システム。
【請求項15】
前記フォトダイオードを較正するためのボロメータをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コンデンサバンクは、複数の電解コンデンサを含む請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記周波数コントローラを介して前記次の光パルスの周波数を変更することによって前記次の光パルスの前記デューティサイクルを調節する、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記プロセッサは、前記周波数コントローラを介して前記次の光パルスのパルス長を変更することによって前記次の光パルスの前記デューティサイクルを調節する、請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
処理されている電子部品および基板を運搬するためのコンベヤをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記光パルスの用中に前記電子部品を含むための環境制御されているチャンバをさらに備える、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本願は、概して、製造方法に関し、特に、表面実装電子部品を回路基板に接続するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
一般に、電子部品は、はんだ付けを介して回路基板に接続されることができる。表面実装技術およびウェーブはんだ付けの出現に伴って、電子部品を回路基板上に手動ではんだ付けする必要性は、大抵の場合、生産の観点から排除されている。
【0003】
表面実装技術は、有機フラックス内に分散したはんだ粒子を有するはんだペーストの使用を必要とする。はんだペーストは、回路基板上に選択的に堆積させられ、はんだ付けされるべき電子部品の設置が、その後に続き、次いで、回路基板は、コンベヤを装備しているリフローオーブン内に設置される。リフローオーブンは、はんだペーストを加熱し、はんだペーストの中のフラックスを活性化させ、表面を清浄し、はんだを融解させることによって、それをリフローする。融解させられたはんだは、表面を湿潤させ、凝固し、それによって、電子部品と回路基板との間の良好な電気的/機械的接続を成す。
【0004】
しかしながら、リフロープロセスに対して、いくつかの制約が、存在する。アセンブリ全体がリフローオーブンを通り抜けなければならないため、回路基板および電子部品全体が、はんだペーストをリフローするために要求される高温に耐えることが可能でなければならない。標準SAC-305はんだペーストに関して、その温度は、約217℃である。リフロープロセスの別の制約は、はんだがリフローすることを可能にするためにはんだペーストを処理するために必要とされる長い時間である。典型的には、リフローオーブンの熱的プロファイルは慎重に制御され、逓増、浸漬、および逓減温度ゾーンの複数の所定のステップを含み得るため、約10分かかる。
【0005】
リフロープロセスの高温要件に対する一解決策は、より低いリフロー温度を有するはんだペーストを使用することである。現在のところ、そのようなはんだペーストは、標準SAC対応はんだペーストと比較して低い熱的および機械的性能を有する傾向がある。リフロープロセスの高温要件に対する別の解決策は、はんだペーストの代わりに導電性接着剤を使用することである。これは、室温に近い温度(25℃)での処理を可能にする。低温はんだペーストと同様に、継合部の機械的および電気的ロバスト性が、犠牲にされる。
【0006】
リフロープロセスを用いて、エネルギーが対流を介して電子部品、回路基板、およびはんだペーストに移送されるが、これは、別の問題を提示する。リフローオーブン内の空気からの剪断は、電子部品が回路基板から吹き飛ぶことを引き起こし得、または、それらが回路基板にはんだ付けされる前にずれて整合させられ得る。これは、電子部品が非常に小さいとき、重量に対するそれらの空気力学的断面の比がより大きいため、より大きな問題となる。
【0007】
リフロープロセスに対する一代替アプローチは、レーザを使用することである。このアプローチを用いると、固体レーザが、はんだ付け継合部または電子部品上に方向付けられ、回路基板全体を加熱することなくそれらを加熱し、はんだをリフローすることができる。レーザプロセスは、精密な量のパワーおよびエネルギーをはんだ付け継合部に送達し、約1秒以内にはんだペーストをリフローすることが可能である。しかしながら、レーザプロセスは、本質的に事実上シリアルであり、したがって、多くのはんだ付け継合部を有する回路基板に対して必要とされる総時間量は、はんだ付け継合部の数が増加するにつれて、増加する。加えて、レーザプロセスは、はんだ付け継合部に対する位置合わせを要求する。言い換えると、これは、マシンビジョンシステム、ならびに/または、はんだ付けされるべき各継合部の場所の慎重な整合およびプログラミングのいずれかを要求する。さらに、レーザプロセスは、電子部品を不均一に加熱させ得る、ビームの非一様性に苛まれ得る。これは、弱いはんだ付け継合部、回路基板の他の部分への損傷、または電子部品の「ツームストーニング」を結果としてもたらす。
【0008】
リフロープロセスに対する別の代替アプローチは、タングステンフィラメントまたはタングステンハロゲンベースのランプ等の連続光源を使用することである。このアプローチに伴う1つの問題は、光源をオンにする、またはオフにするために、有限の量の時間、約1秒かかることである。レーザプロセスとは異なり、連続光源は、通常約100ミリ秒未満であるはんだペーストの堆積の熱的平衡時間のタイムスケールにおいて、変調されることができない。この制約は、処理されている材料に堆積させられるパワーおよびエネルギープロファイルを精密に制御する能力を阻害する。これは、特に、処理されている標的材料が暴露中に静止している暴露に当てはまる。標的材料が搬送されている場合には、理想的な暴露は搬送速度に概してリンクされるという点で、類似の問題が、存在する。処理されている材料の一様な熱的処理を保証するために搬送速度または暴露水準のいずれかを調節することは、機械の出力を制御することに対して十分に迅速に行われることができない。
【0009】
結果として、表面実装電子部品を回路基板に電気的および機械的に接続するための向上した方法を提供することが、望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の概要)
一実施形態によると、基板および電子部品は、はんだをそれらの間に位置させた状態でフラッシュランプ下に設置される。フラッシュランプからの複数の光パルスが、はんだがリフローするまで、電子部品、基板、およびはんだに適用される。光パルスの適用中に、フラッシュランプからの光パルスのうちの1つのパワーと、電子部品の温度とが、測定され、測定されたパワーは、放射暴露に変換され、電子部品の測定された温度に応答して、次の光パルスのデューティサイクルが、1つの光パルスの放射暴露に従って適合的に調節される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
電子部品を基板に接続するための方法であって、前記方法は、
はんだを電子部品と基板との間に位置させた状態で前記基板をフラッシュランプ下に設置することと、
前記はんだがリフローするまで、前記電子部品、前記はんだ、および前記基板に前記フラッシュランプからの複数の光パルスを適用することと、
光パルスの前記適用中に、
前記フラッシュランプからの前記光パルスのうちの1つのパワーを測定し、前記測定されたパワーを放射暴露値に変換することと、
前記基板上にはんだ付けされている前記電子部品の温度を測定することと、
前記電子部品の前記測定された温度に応答して、前記1つの光パルスの前記放射暴露値に従って、次の光パルスのデューティサイクルを適合的に調節することと
を行うことと
を含む、方法。
(項目2)
前記パワーの測定は、フォトダイオードを使用することによって実施される、項目1に記載の方法。
(項目3)
較正係数を生成するために前記フォトダイオードを較正することをさらに含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記変換することは、前記較正係数を使用して、前記測定されたパワーを前記放射暴露値に変換することをさらに含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記温度の測定は、赤外線(IR)カメラを使用することによって実施される、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記デューティサイクルを調節することは、前記光パルスの周波数を変更することによって実施される、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記デューティサイクルを調節することは、前記光パルスのパルス長を変更することによって実施される、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記基板は、回路基板である、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記基板は、200℃未満の最大作業温度を有する熱可塑性物質である、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記はんだは、50ミクロンを上回る厚さを有する厚膜材料である、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記光パルスの前記適用中に前記電子部品を運搬することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
前記電子部品の前記運搬のスピードを前記光パルスの周波数と同期させることをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記光パルスの前記適用の前に、前記電子部品を環境制御されているチャンバ内に設置することをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目14)
電子部品を基板に接続するためのシステムであって、前記システムは、
コンデンサバンクと、
前記コンデンサバンクを充電するためのコンデンサバンク充電用電力供給源と、
IGBTベースの切替デバイスと、
周波数コントローラと、
光パルスを放出するためのフラッシュランプであって、前記フラッシュランプが前記IGBTベースの切替デバイスを介して前記コンデンサバンクから電荷を受け取りながら、前記IGBTベースの切替デバイスは、前記コンデンサバンクから前記フラッシュランプへの前記電荷のフローを変調するために、前記周波数コントローラによってオンおよびオフに繰り返し切り替えられており、これは、ひいては、前記フラッシュランプをオンおよびオフに切り替える、フラッシュランプと、
前記フラッシュランプからの光パルスのパワーを測定するためのフォトダイオードと、
基板上にはんだ付けされている電子部品の温度を測定するための赤外線カメラと、
プロセッサであって、前記電子部品の前記測定された温度に応答して、前記フラッシュランプからの前記光パルスの前記測定されたパワーからもたらされた放射暴露に従って、前記周波数コントローラを介して次の光パルスのデューティサイクルを適合的に調節する、プロセッサと
を備える、システム。
(項目15)
前記フォトダイオードを較正するためのボロメータをさらに備える、項目14に記載のシステム。
(項目16)
前記コンデンサバンクは、複数の電解コンデンサを含む。項目14に記載のシステム。
(項目17)
前記プロセッサは、前記周波数コントローラを介して前記光パルスの周波数を変更することによって前記光パルスの前記デューティサイクルを調節する、項目14に記載のシステム。
(項目18)
前記プロセッサは、前記周波数コントローラを介して前記光パルスのパルス長を変更することによって前記光パルスの前記デューティサイクルを調節する、項目14に記載のシステム。
(項目19)
処理されている電子部品および基板を運搬するためのコンベヤをさらに備える、項目14に記載のシステム。
(項目20)
前記光パルスの前記適用中に前記電子部品を含むための環境制御されているチャンバをさらに備える、項目14に記載のシステム。
【0011】
本発明の全ての特徴および利点が、以下の詳細に書かれた説明において明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本発明自体、ならびに、その好ましい使用モード、さらなる目標、および利点は、付属の図面と併せて読まれたとき、以下の例証的実施形態の詳細な説明の参照によって最良に理解されるであろう。
【0013】
図1図1は、一実施形態による、表面実装電子部品を回路基板に接続するためにはんだペーストを熱処理するためのシステムの等角図である。
図2図2は、一実施形態による、図1からのシステムの詳細ブロック図である。
図3図3は、表面実装電子部品を回路基板に接続するための方法のフロー図である。
図4図4は、2つの異なるコンデンサバンク放電開始(firing)電圧におけるフラッシュランプの放出強度対波長をグラフで示している。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
ここで図面を参照し、特に図1を参照すると、一実施形態による、電子部品を回路基板に接続するためにはんだペーストを熱処理するためのシステムの等角図が、描写されている。示されているように、システム100は、機器ラック160上にあるエンクロージャ110を含む。エンクロージャ110は、ハンドル140を介して持ち上げて開放されることができるハッチドア120を含む。ユーザがエンクロージャ110内で生じる任意の処理を観察することを可能にするための半透明窓130が、ハッチドア120において提供されている。熱処理を可能にするための少なくとも1つのフラッシュランプ(図示せず)が、エンクロージャ110内に位置付けられている。ユーザは、タッチスクリーン150を介してシステム100に情報を入力し、システム100から情報を受け取ることができる。
【0015】
エンクロージャ110は、環境制御されているチャンバ(図示せず)を含んでもよく、これは、不活性ガス(例えば、窒素)もしくは反応性ガス(例えば、ギ酸)で充填され得るか、または真空であり得、熱処理が、この中で電子部品に対して実施され得る。加えて、エンクロージャ110は、熱処理中に電子部品を運搬するためのコンベヤ(図示せず)を含んでもよい。
【0016】
システム100を動作させるように構成されている種々の機械的機器および電気的構成要素が、機器ラック160内に含まれることができる。
【0017】
ここで図2を参照すると、一実施形態によるシステム100のブロック図が、描写されている。示されているように、システム100は、コンデンサバンク充電用電力供給源210と、コンデンサバンク220と、絶縁ゲート障壁トランジスタ(IGBT)ベースの切替デバイス230と、周波数コントローラ240と、フラッシュランプ250と、フォトダイオード260と、積分器265と、ボロメータ270と、赤外線(IR)カメラ280と、コンピュータ290とを含む。コンピュータ290は、当業者に周知であるプロセッサおよび種々の記憶デバイスを含む。コンデンサバンク220内のコンデンサは、例えば、電解コンデンサである。上記に述べられた構成要素のうちのいくつかは、(図1からの)機器ラック160内に設置されることができる。
【0018】
コンデンサバンク220は、コンデンサバンク充電用電力供給源210によって充電されることができる。次いで、コンデンサバンク220からの電荷がIGBTベースの切替デバイス230を介してフラッシュランプ250の中へと放電されながら、IGBTベースの切替デバイス230は、放電中、周波数コントローラ240によって、オンおよびオフに繰り返し切り替えられている。周波数コントローラ240は、IGBTベースの切替デバイス230のゲーティングを制御し、ひいては、放電の切替周波数を制御する。IGBTベースの切替デバイス230の繰り返されるオンおよびオフ切替は、コンデンサバンク220からフラッシュランプ250への電流のフローを変調し、ひいては、フラッシュランプ250をオンおよびオフに切り替えることを意図されている。言い換えると、フラッシュランプ250によって放出される光パルスの周波数またはパルス長は、周波数コントローラ240によって決定付けられる。
【0019】
フォトダイオード260は、システム100が熱処理を実施するために展開され得る前に較正される必要がある。フォトダイオード260は、好ましくは、米国標準技術局(NIST)トレーサブルであるボロメータ270を使用することによって較正されることができる。較正中、フォトダイオード260およびボロメータ270の両方が、フラッシュランプ250から放出される単一の光パルスに暴露される。ボロメータ270は、単一の光パルスの単位面積あたりの放射暴露またはエネルギー(単位:J/cm)を測定し、フォトダイオード260は、同一の光パルスの瞬時パワー(単位:W)を測定する。次いで、フォトダイオード260からの瞬時パワー信号が、同一の単一の光パルスの放射暴露値をもたらすために積分器265によって積分され、ボロメータ270からの放射暴露測定値は、較正係数を生成するために以下のように積分器265からのこの放射暴露値によって除算される。
【数1】
【0020】
較正後、フォトダイオード260/積分器265の組み合わせは、フラッシュランプ250から放出される各光パルスの放射暴露情報を提供するために利用されることができる。基本的に、フラッシュランプ250から放出される光パルスの放射暴露情報は、積分器265の出力値(フォトダイオード260によって測定されるフラッシュランプ250から放出される光パルスの瞬時パワー信号を積分することによって形成される、フラッシュランプ250から放出される光パルスの放射暴露値)と、較正中に取得される較正係数とを乗算することによって計算されることができる。
【0021】
フォトダイオードが放射暴露の代わりに瞬時パワーを測定するように技術的に設計されているにもかかわらず、システム100内のフラッシュランプ250からの光パルスの放射暴露情報を取得するためにフォトダイオード260等のフォトダイオードを使用する理由は、フラッシュランプ250に隣接して設置することに対して、または、光パルスを遮らない小さな光ファイバからの光をサンプリングすることに対して、フォトダイオードが十分に信頼可能かつ小さいからである。1MHzを超える比較的高いサンプルレートを有しており、フォトダイオードは、安価でもある。
【0022】
しかしながら、上記に述べられたように、フォトダイオードを採用し、フラッシュランプからの光パルスの放射暴露情報を取得するためには、フォトダイオードは、較正される必要がある。較正のための1つの理由は、2つの異なるコンデンサバンク電圧、すなわち、300Vおよび400Vに関して、波長の関数として同じパルス長の2つのフラッシュランプ放電からの放出強度を描写している図4において見出され得る。フラッシュランプによって放出される光パルスは、広帯域、約250nm~約1,700nmである。放出範囲にわたる強度の積分は、W/cmの単位において放出されるパワーに比例する。電圧が増加するにつれて、全ての帯域における放出が増加するが、より短い波長における放出は、より長い波長のものより急速に増加する。言い換えると、コンデンサバンクの放電電圧が変化するにつれて、スペクトル放出分布も変化する。残念ながら、フォトダイオードは、波長にわたって変動する感度を有する。したがって、信号の大きさはフォトダイオードの感度および放出強度の畳み込みであり、それらの両方が波長にわたって変動するため、フォトダイオードの直接出力は、フラッシュランプの放出からの量的なパワー出力を与えることができない。
【0023】
上記に述べられた較正プロセスは、フォトダイオードの不十分な点を改善するように設計される。ボロメータ270等のボロメータ、および、積分器265等の積分器を使用することによって、フォトダイオードは、フラッシュランプから放出される光の単一のパルスからのパワー信号を積分することによって較正されることができる。ボロメータは、フォトダイオードとは対照的に、フラッシュランプから放出される光パルスによって放出される放射暴露(全エネルギー)を測定することができる。これは、主として、放射感知要素が放出スペクトル全体にわたって均一な感度を有するという事実に起因する。したがって、フラッシュランプの放出スペクトルにおける偏移は、ボロメータの、その上に当たる全ての光を測定する能力に影響を及ぼさない。しかし、フラッシュランプからの光パルスの放射暴露は、ボロメータを使用することのみによって測定されることができない。これは、ボロメータの時間応答が非常に低いからである。ボロメータの典型的な時間分解能は、1MHzを超えるフォトダイオードに対して約1Hzであり得る。加えて、ボロメータは、通常かなり大きく、したがって、それは、フラッシュランプからの光の一部を見えにくくする。
【0024】
ここで図3を参照すると、一実施形態による、電子部品を回路基板に接続するための方法のフロー図が、描写されている。300において開始し、ブロック310に示されているように、図2からのフォトダイオード260等のフォトダイオードが、最初に、図2からのボロメータ270等のボロメータを使用することによって較正される。較正は、上記に述べられたように、較正係数を取得するために図2からのフラッシュランプ250等のフラッシュランプからの単一の光パルスを使用することによって実施される。較正後、フォトダイオードは、フラッシュランプによって放出される各光パルスの放射パワーを測定するために採用されることができる状態にある。
【0025】
次いで、ブロック320に描写されているように、回路基板または基板が、いくらかのはんだペーストを電子部品と回路基板との間に位置させた状態でフラッシュランプ下に設置される。はんだペーストは、SAC対応はんだペースト、または50ミクロンを上回る厚さを有する厚膜材料を含む任意のはんだペーストであり得る。基板は、FR4、熱硬化性樹脂、または200℃未満の最大作業温度を有する熱可塑性物質等の標準回路基板材料を有する回路基板であり得る。次いで、ブロック330に示されているように、フラッシュランプからの複数の光パルスが、電子部品、はんだペースト、および回路基板に適用される。
【0026】
ブロック340に描写されているように、光パルスの適用(すなわち、熱処理動作)中、フラッシュランプからの各光パルスの放射暴露値が、較正されたフォトダイオードおよび図2からの積分器265等の積分器によって取得され、回路基板上にはんだ付けされている電子部品の温度が、図2からのIRカメラ280等のIRカメラによって取得される。
【0027】
併せて、IRカメラは、光パルスの適用中、電子部品の温度、および/または、回路基板にわたる温度分布を測定するために回路基板を監視する。フラッシュランプからの放出は、250nm~約1,700nmの範囲内であり、IRカメラは、電磁波スペクトルの10ミクロン部分において主に「見る」ため、回路基板による赤外線放出に対するフラッシュランプからの干渉は、存在しない。したがって、IRカメラは、フラッシュランプ処理中、回路基板にわたる加熱を「見る」ことができる。
【0028】
フォトダイオードによって測定されたパワー情報は、較正プロセス(すなわち、ブロック310)中に取得された較正係数を使用して放射暴露値に変換される。ブロック350に示されているように、光パルスの放射暴露値と、電子部品の測定された温度情報とに基づいて、後続の光パルスの周波数および/またはデューティサイクルが、後続の光パルスの適用の前に適合的に調節されることができる。
【0029】
例えば、図2からのコンピュータ290等のコンピュータは、回路基板上の電子部品の所望の温度プロファイルを追跡するために、放射暴露値および測定された温度情報に基づいて、フラッシュランプによって放出されるべき次回の光パルスのデューティサイクルを調節するように図2からの周波数コントローラ240等の周波数コントローラに命令することができる。回路基板上の電子部品の温度プロファイルは、以下のようであり得る。
【表1】
【0030】
次いで、ブロック360に描写されているように、はんだペーストがリフローされたかどうかの決定が、行われる。はんだペーストがリフローされていない場合、プロセスは、ブロック330へと戻るが、はんだペーストがリフローされている場合、ブロック370に示されているように、光パルスの適用は、停止し得る。ブロック330、340、350、および360に示されているステップは、反復様式において実施される。はんだペーストがリフローされた後、次いで、それは、凝固させるために冷却される。その時点で、電子部品が、凝固されたはんだ付けを介して回路基板に接続される。
【0031】
図2からのコンデンサバンク220等のコンデンサバンクからの所与の放電開始(firing)電圧に関して、積分されたフォトダイオード信号は、長範囲のパルス長およびパルス周波数にわたって、各パルスの放射暴露に比例する。この技法に対して、2つの要件が、存在する。第1の要件は、放電開始周波数の範囲にわたって、積分されたフォトダイオード信号を使用して、フラッシュランプから放出されるエネルギーをパルス毎ベースで相関させるために、各光パルスが放出される前に図2からのコンデンサバンク220等のコンデンサバンクを完全に再充電することに対して図2からのコンデンサバンク充電用電力供給源210等のコンデンサバンク充電用電力供給源が十分に大規模でなければならないことである。第2の要件は、パルス長の範囲にわたって、フォトダイオードからの積分されたパワー信号をボロメータに相関させるために、コンデンサバンクの電圧が放電中に最低限のドループを有する必要があることである。そうすることによって、ピークのスペクトル出力強度は、放電中、比較的一定のままであることを保証される。したがって、大容量が、好ましく、コンデンサバンクのサイズは、パワー測定のために必要とされる正確度に左右される。好ましくは、コンデンサバンクの貯蔵されるエネルギーの5%未満が、各パルスにおいて放電される。
【0032】
本開示で説明される技法は、フラッシュランプによって放出される放射エネルギーのトレーサブルな測定を可能にする。したがって、10Hzの放電開始レートに関して、放出される平均パワー(または累積エネルギー)は、10Hzのデータレートにおいて把握され得る。50Hzの放電開始レートでは、放出される平均パワーは、50Hzのデータレートにおいて把握され得る。さらに、フラッシュランプの放電開始レートおよび/またはデューティサイクルは、状況に応じたパワープロファイルを生成するために、1秒より長い処理間隔中、周波数コントローラによって電子的に調節され得る。経時的に送達されるエネルギー量は、パルスレートおよび/またはデューティサイクルを変動させることによって変動させられる。
【0033】
電子部品のための加熱プロファイルは、事前プログラムされ得、または、処理中、回路基板(または材料)が処理されているときにそれに対して訓練された温度センサによって決定されたときに修正され得る。後者に関して、フラッシュランプからの放出エネルギーを把握することは、問題の半分にすぎない。回路基板、微量金属、電子部品、およびはんだペーストを含む回路基板全体が、光を当てられる。各アイテムがフラッシュランプ放出の異なる吸収率、異なる熱質量、および、取り囲む構成要素への異なる熱伝達を有するため、それらは、各々、一様な放出源から異なる温度まで加熱される。したがって、フラッシュランプの放出を把握することに加えて、放出に起因する回路基板上の異なる電子部品の加熱応答を把握することも、重要である。
【0034】
フラックスの活性化、フラックスの蒸発、はんだ粒子の融点までのそれらの加熱、はんだ粒子の融解、はんだのリフロー等の複数の熱的プロセスが、1~10秒である処理時間にわたって、システム100によって実施されることができる。上記に述べられた処理ステップの全てが非常に短い期間にわたって実施されているため、既知の量のパワーを回路基板に送達し、処理中にそのパワーを変動させることが可能であることが、必要である。
【0035】
システム100は、変動するスペクトル出力を伴って、ある期間にわたって同一の平均パワーを放出することも可能である。異なる部品または電子部品はフラッシュランプ250の放出スペクトルにわたって異なる吸収率を有するため、これは、ビームによって回路基板上で加熱されるものと、回路基板上で加熱されないものとの間のより良好な判別を可能にする。具体的には、コンデンサバンク220の放電開始電圧がより高いとき、スペクトル全体にわたるパワー全体は、より低い電圧に関するものより高いが、より短い波長光の割合は、より高い(図4を参照)。言い換えると、コンデンサバンク220の放電開始電圧がより低いとき、全ての帯域におけるスペクトル放出はより低いが、より長い波長光のパーセンテージは、より高い。フラッシュランプのデューティサイクルが調節され得るため、依然として、多くのパルスにわたって送達される同一量の放射パワーは、放電開始電圧とは独立な所定の水準であり得る。これは、パルス長または/およびパルス周波数を変動させることによって成し遂げられることができる。さらに具体的には、加熱されることを所望される回路基板の一部が放出スペクトルのより長い波長においてより吸収性を有する場合、ある人は、フラッシュランプ250のより長いパルス長または高周波数パルスを有することができ、より高い電圧、より短いパルス長、より短い周波数条件と同一の放出パワープロファイルを堆積することができる。加えて、さらにより多くの判別を可能にするために、放出の光学フィルタが、利用されてもよい。システム100に関して、制御パラメータは、コンデンサバンク電圧、パルス長、パルス周波数、および総パルス訓練継続時間を含む。
【0036】
システム100は、1つまたはそれより多くのランプ筐体を含んでもよく、それらの各々は、フラッシュランプ250等の少なくとも1つのフラッシュランプを含む。これは、上部からの照射(例えば、厚膜側からの照射)、底部からの照射(例えば、基板側からの照射)、または両方による、回路基板上のはんだ、および基板上の厚膜の熱処理を可能にする。上部および底部フラッシュランプは、その放電開始において独立に同期され得、または、それらは、同一の放電開始トリガ信号を受信し得る。
【0037】
システム100内のコンベヤは、2つの動作モード、すなわち、静止モードおよび同期モードを含む。静止モードを用いるとき、回路基板は、処理中に搬送されず、暴露プロファイルは、周波数コントローラ240によって電子的に制御される。この場合、パルス周波数、およびしたがってフラッシュランプ250によって放出されるパワーは、処理の時間にわたって変化し得る。代替として、フラッシュランプ250によって回路基板に送達されるパルス毎のエネルギーを調節するために、各パルスのパルス長が、処理中に変更されてもよい。同期モードでは、搬送される回路基板に同一の放射暴露(すなわち、J/cmの単位において送達される全エネルギー)をもたらすために、フラッシュランプ250からの光パルスのパルスレートが、コンベヤの搬送速度と同期され得る。これが行われるとき、送達される放射暴露は、搬送速度とは独立であり得る。
【0038】
フラッシュランプ250を保持し、フラッシュランプ250からの光を光回路基板に方向付けるための反射体を有するフラッシュランプ筐体は、同期モード中、上向きに傾けられ得、例えば、回路基板がフラッシュランプ筐体を通り越して搬送されると、搬送方向に向かって、または搬送方向とは反対に向かって回転させられる。フラッシュランプ筐体が、搬送される回路基板と平行である場合、暴露は、非常に一様であり、暴露面積にわたって約2%~3%の変動である。フラッシュランプ筐体が回路基板から遠いとき、光パルスは、あまり強くない。したがって、フラッシュランプ250のヘッドを傾けることは、回路基板がフラッシュランプ250のヘッドを通り越して搬送されるときに暴露が強度において逓増されること、または強度において逓減されることを可能にする。この特徴は、はんだペーストを処理することから生成されるガスのさらなる制御を可能にし、したがって、電子部品は、失敗を伴わずに正常に取り付けられ得る。
【0039】
説明されてきたように、本発明は、表面実装電子部品を回路基板に電気的および機械的に接続するための向上した方法を提供する。
【0040】
はんだペーストを処理するように設計されているが、システム100は、複数のパルスを用いて、1~10秒の期間にわたって、精密なパワープロファイルにわたって送達される精密かつ大量のエネルギー(>30J/cm)を適用する必要性等の同一の問題が生じる50ミクロンを上回る任意の厚膜を処理することに関して適切である。加えて、開示される方法は、総熱量を低減させることによって、先行技術に優る熱的に脆い電子部品を回路基板に取り付ける能力を可能にする。低減させられた熱量は、加えて、200℃未満の最大動作温度を用いて熱的に脆い基板上の厚膜を処理することの使用を可能にする。実施例は、PVC、TPU、ポリエステル、PET、PEN、紙等の熱可塑性物質を含む。
【0041】
本発明は、好ましい実施形態を参照して特に示され、説明されてきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更がその中で成され得ることが、当業者によって理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4