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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ティーポット
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/14 20060101AFI20241217BHJP
   A47J 31/06 20060101ALI20241217BHJP
   A47J 31/14 20060101ALI20241217BHJP
   A47J 31/44 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A47G19/14 D
A47J31/06 105
A47J31/14
A47J31/44 120
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024048092
(22)【出願日】2024-03-25
【審査請求日】2024-06-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505414492
【氏名又は名称】株式会社ロンドンティールーム
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金川 宏
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-127351(JP,U)
【文献】実公昭49-000636(JP,Y1)
【文献】実開昭57-171783(JP,U)
【文献】実開平05-015875(JP,U)
【文献】特開2009-050343(JP,A)
【文献】特開平11-239533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/14
A47J 31/06
A47J 31/14
A47J 31/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前部に注ぎ口が設けられ後部にハンドルが設けられた胴部、及び前記胴部の上部に設けられ上端面が開口面である筒状部を有する、陶磁器製のポット本体と、
前記開口面を開閉可能に閉じる金属製の蓋と、
前記ポット本体と前記蓋とを連結する連結部材と、
を備え、
前記連結部材は、
前記筒状部に巻き付く金属製の長尺部材と、前記長尺部材に設けられ前記筒状部に対する締付力を調整できる締結部材とを有する巻付け体と、
前記巻付け体の前記長尺部材に固定された固定片、及び前記固定片に回転可能に連結されると共に前記蓋に固定された可動片を含む金属製のヒンジと、
を有し、
前記筒状部の外周面の後部であって、前記ハンドルよりも上側に、前記固定片が配置される凹所が形成され、
前記蓋における前記開口面に対向する面は、前記蓋が開き位置にあると、前記開口面とのなす角が90°以上になるように設定され、
前記連結部材は、前記蓋を、前記開き位置に保持するように構成されている、ティーポット。
【請求項2】
前記筒状部は、前記巻付け体の前記長尺部材が巻き回される括れ部を有する、
請求項1に記載のティーポット。
【請求項3】
前記蓋は、
前記ヒンジが接続される蓋本体部と、
前記蓋本体部に設けられたつまみ部と、
を有する、
請求項1又は請求項2に記載のティーポット。
【請求項4】
前記可動片は、前記可動片の回転軸よりも前記蓋とは反対側に位置する開閉操作部を有する、
請求項1又は請求項2に記載のティーポット。
【請求項5】
前記開閉操作部は、平面視において、前記ハンドルに重なる位置に配置されている、
請求項に記載のティーポット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ティーポットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、従来のティーポットが記載されている。特許文献1に記載のティーポットは、ステンレス等の金属材料から構成されたポット本体と、ポット本体の開口部を開閉可能に閉じる蓋体と、ポット本体と蓋体とを連結するヒンジ部とを備えている。
【0003】
特許文献1に記載のティーポットは、ポット本体と蓋体とが金属製であるため、ポット本体に湯を貯めても、総重量が軽い。このため、使用者は扱いやすいというメリットがある。そのうえ、蓋体が、ヒンジ部を介してポット本体に連結されているため、蓋体を紛失することがないというメリットもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-264135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、ポット本体が金属製であると、熱容量が小さく保温性が低いうえに、紅茶を抽出する際に、繊細な香りや味わいを引き出すには不十分であるし、日本茶や中国茶には使用しにくく汎用性に欠ける、という問題がある。
【0006】
一方で、ティーポット全体を陶磁器製又はガラス製にすると、総重量が大きくなり過ぎて使用者が扱いにくいし、ポット本体と蓋とが別体であるため、両手で扱う必要があり、この点でも扱いにくいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、陶磁器製又はガラス製のポット本体を用いても、使用者が扱いやすいティーポットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一態様のティーポットは、上端面が開口面である筒状部及び前記開口面に通じる注ぎ口を有する陶磁器製又はガラス製のポット本体と、前記開口面を開閉可能に閉じる金属製の蓋と、前記ポット本体と前記蓋とを連結する連結部材と、を備える。前記連結部材は、前記筒状部に巻き付く巻付け体と、前記巻付け体に固定された固定片、及び前記固定片に回転可能に連結されると共に前記蓋に固定された可動片を含むヒンジと、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る上記態様のティーポットは、ポット本体を陶磁器製又はガラス製にしながらも、蓋が金属製であるため総重量をできる限り軽くでき、かつポット本体と蓋とが連結部材で接続されているため、蓋を紛失しにくい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係るティーポットの模式側面図である。
図2図2は、実施形態に係るティーポットの上部の模式断面図であり、(A)は蓋が閉じ位置にあるときの図であり、(B)は蓋が開き位置にあるときの図である。
図3図3は、実施形態に係るティーポットの締結部材の模式平面図である。
図4図4は、実施形態に係るポット本体の後面から見た凹所の模式拡大図である。
図5図5は、実施形態に係る茶こしの模式側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態〕
本発明の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施形態に係るティーポット10は、図1に示すように、ポット本体1と、蓋5と、ポット本体1と蓋5とを連結する連結部材6と、茶こし9と、を備える。
【0012】
以下では、説明の便宜上、ティーポット10を水平面に置いた状態を基準に説明する。また、図1に示すように、ティーポット10のハンドル3から注ぎ口4に向かい、かつ水平面に平行な方向を「前方向」とし、前方向とは反対の方向を「後方向」とし、前方向及び後方向に平行な方向を「前後方向」と定義する。また、前後方向に直交しかつ水平面に平行な方向を「左右方向」とし、前後方向及び左右方向に直交する方向を「高さ方向」として定義する。ただし、これら方向の定義は、ティーポット10の使用態様を特定する意図はない。
【0013】
また、本明細書において「平行」とは、2つの直線、面等(以下、直線等)が延長しても交わらない場合だけでなく、2つの直線等がなす角度が10°以内の範囲で交わる場合も含む。また、「直交」とは、2つの直線等が90°±10°の範囲で交わる場合を意味する。ただし、2つの直線等が直接交わっていなくても、延長した場合に交わる場合には「直交」に含まれる。
【0014】
(ポット本体1)
ポット本体1は、湯水(抽出液を含む)を貯留でき、かつ注ぎ口4を有し、ティーポット10の主体を構成する。ポット本体1は、貯留部2と、貯留部2の後端に形成されたハンドル3と、貯留部2の前端に形成された注ぎ口4と、を備える。ポット本体1は、貯留部2、ハンドル3及び注ぎ口4が一体に形成されている。
【0015】
ポット本体1は、陶磁器製であることが好ましく、より好ましくは、磁器製である。ポット本体1が陶磁器製であることにより、ステンレス等の金属製のポット本体1に比べて、保温性が高いうえに、手入れ性がよく、また、繊細な紅茶の香りや味わいをまろやかに引き出せるという利点がある。さらに、ポット本体1が陶磁器製であることで、紅茶だけでなく、日本茶や中国茶にも使用することができ、茶の種別を問わずに扱える汎用性の高いティーポット10とすることができる。
【0016】
貯留部2は、湯水を貯める部分である。貯留部2の形状としては、中空であれば特に制限はなく、例えば、円柱状、球状、円錐状、円錐台状等が挙げられる。ただし、貯留部2は、少なくとも上端部が円筒状(上端部の円筒状の部分を「筒状部23」という)に形成されている。本実施形態では、貯留部2は、全体が円筒状である有底円筒状に形成されている。
【0017】
貯留部2は、底部21と、胴部22と、筒状部23とが、下から上に向かってこの順で構成されている。底部21は、載置面に載る部分である。胴部22は、底部21から上方向に延びており、ハンドル3及び注ぎ口4が設けられている。筒状部23は、胴部22の上端から上方向に延出している。
【0018】
筒状部23は、図2(B)に示すように、上端面に開口面231を有する。筒状部23の開口面231は、貯留部2の内部に通じ、注ぎ口4に通じている。開口面231は、ポット本体1の上端部に形成されたフランジ232に囲まれている。フランジ232は、筒状部23の内周面から径方向の内側に向かって突き出ている。
【0019】
フランジ232は、筒状部23の上端よりも低い位置に形成されていることが好ましい。筒状部23の上端とフランジ232との間の距離は、2mm以上10mm以下が好ましく、より好ましくは、3mm以上5mm以下である。これによって、蓋5の裏面に付着した水滴が、フランジ232に付着しても、水滴が漏れ出すことを軽減できる。また、フランジ232が筒状部23の上端よりも低い位置に形成されていることで、フランジ232と蓋5との間に僅かな隙間があっても、目立ちにくく、見栄えが損なわれることを低減できる。
【0020】
筒状部23は、図2(A)(B)に示すように、高さ方向の中間部分において括れた括れ部233を有することが好ましい。括れ部233は、筒状部23の外周面において、高さ方向の他の部分よりも小径に形成された部分である。括れ部233を有することにより、後述の連結部材6の巻付け体7が、括れ部233に嵌まり込むため、巻付け体7が外れにくくなる。
【0021】
ハンドル3は、ティーポット10の持ち手となる部分である。ハンドル3は、図1に示すように、胴部22の後端面から後方方向に突き出ている。ハンドル3は、略C字状に形成されている。ハンドル3の開口41内の上下方向の長さL1は、第2指、第3指、第4指及び第5指をまとめて通すことができる長さであることが好ましい。例えば、長さL1は、5cm以上10cm以下が好ましい。ただし、ハンドル3の形状は、略C字状に限らず、例えば、略D字状、略L字状、略T字状等であってもよい。
【0022】
注ぎ口4は、貯留部2に貯められた湯水を注ぎ出すための開口41を有する部分である。注ぎ口4は、筒状部23よりも下方の部分(つまり、胴部22)における前部から、前方に突き出ている。注ぎ口4は、前斜め上に向かって延びている。注ぎ口4の開口41は、胴部22の上端よりも上方に位置することが好ましい。
【0023】
(蓋5)
蓋5は、ポット本体1の開口面231を開閉可能に閉じる。蓋5は、連結部材6によってポット本体1に連結されており、開き位置(図2(B)参照)と、閉じ位置(図2(A)参照)とに切り替えられる。
【0024】
蓋5は、金属製である。蓋5を構成する金属としては、特に制限はなく、例えば、ステンレス、鋼板、ブリキ、アルミ等が挙げられるが、防錆性及びデザイン性の観点から、ステンレスが用いられることが好ましい。蓋5は、図2(A)に示すように、蓋本体部51と、つまみ部52と、を備える。本実施形態では、蓋本体部51及びつまみ部52の両方が金属製であるが、例えば、蓋本体部51のみが金属製で、かつ、つまみ部52が樹脂製であってもよい。本明細書では、蓋本体部51が金属製であれば、「金属製の蓋5」とする。
【0025】
蓋本体部51は、図2(A)に示すように、閉じ位置において上方向に膨らむ曲面状に形成されている。蓋本体部51は、例えば、金属板に対して絞り加工又は張出し加工を行うことで形成される。つまみ部52は、蓋本体部51から上方向に突き出ている。つまみ部52は、蓋本体部51の平面視における中心に配置されることが好ましい。ユーザは、つまみ部52を摘まむことで、蓋5の開閉を行いやすくなる。
【0026】
(連結部材6)
連結部材6は、ポット本体1と蓋5とを連結する。連結部材6は、図1に示すように、巻付け体7と、ヒンジ8と、を備える。連結部材6は、ヒンジ8を備えることで、筒状部23に対して、蓋5を、開き位置と閉じ位置とに切替え可能に連結できる。
【0027】
巻付け体7は、図1に示すように、筒状部23に巻き付けられることで、筒状部23に対して固定される。巻付け体7は、長尺部材71と、筒状部23に対する締付力を調整できる締結部材72とを備える。巻付け体7は、長尺部材71を筒状部23の括れ部233に巻き回した状態で、締結部材72によって締めることで、筒状部23に対して強固に固定される。特に、ポット本体1に熱湯を入れることにより、ポット本体1と蓋5との接続強度が弱くなることが懸念されるが、巻付け体7を用いることで、蓋5がポット本体1から脱落することが軽減される。この結果、利用頻度の高い喫茶店等の利用にも十分耐えることができる。
【0028】
長尺部材71としては、例えば、帯、ワイヤー、紐、リング等が挙げられる。本実施形態では、長尺部材71は、帯状に形成されている。また、長尺部材71は、金属であることが好ましい。これによって、金属製のヒンジ8との接続を、溶接によるものとすることができるため、長尺部材71とヒンジ8との接続が外れることを軽減できる。また、長尺部材71が金属であることにより、長尺部材71が破断することを軽減できるため、ポット本体1から蓋5が脱落することを防ぐことができる。
【0029】
締結部材72は、長尺部材71の長手方向の端部に設けられており、長尺部材71の内径を変化させることで、締付力を調整できる。締結部材72は、図3に示すように、長尺部材71の長手方向の一端に固定された第1円筒体721と、長尺部材71の長手方向の他端に固定された第2円筒体722と、第1円筒体721と第2円筒体722とをつなぐねじ具723と、を備える。第1円筒体721の内周面は、いわゆる、ばか穴であり、ねじが形成されていない。一方、第2円筒体722の内周面には、ねじが形成されている。ねじ具723は、第1円筒体721内を通し、第2円筒体722のねじにねじ込まれる。ねじ具723を旋回させることにより、第1円筒体721と第2円筒体722との間の距離が変化するため、筒状部23に対する巻付け体7の締結力を調整できる。
【0030】
締結部材72は、ポット本体1の前端部に対応する位置に配置されることが好ましい。これによって、締結部材72が目立ちにくくなり、ティーポット10のデザインが損なわれにくい。
【0031】
ヒンジ8は、図2(A)に示すように、巻付け体7に固定された固定片81と、固定片81に回転可能に連結されると共に蓋5に固定された可動片82と、を備える。固定片81は、巻付け体7の後部から上方向に延びている。固定片81は、筒状部23と巻付け体7との間に配置されており、巻付け体7の内周面に溶接されている。固定片81は、例えば、帯状の金属板を折り返し、金属板の先端部同士を相互に固定することで形成されている。固定片81の上端部は、可動片82の回転軸821を回転可能に支持することができる。
【0032】
固定片81は、筒状部23の外周面に形成された凹所234内に配置されることが好ましい。凹所234は、図2(A)に示すように、筒状部23の後部に形成されている。凹所234の深さは、例えば、1mm以上3mm以下が好ましい。凹所234の幅は、図4に示すように、固定片81の幅よりも広く形成されている。固定片81は、凹所234内に位置していればよく、固定片81の厚さ方向の全てが凹所234内に収まっている必要はない。これによって、固定片81の一部がハンドル3側に突き出ることを低減できる。
【0033】
可動片82は、固定片81に対して回転可能に接続される。可動片82の回転軸821は、左右方向に延びており、固定片81の上端部に保持される。回転軸821は、蓋5が閉じ位置にあるときに、可動片82の前後方向における両端部の間の位置(中間位置)に位置することが好ましく、より好ましくは、可動片82の前後方向の中央部に位置する。これによって、可動片82において、回転軸821よりも蓋5とは反対側の領域(「開閉操作部822」という)を、回転軸821を中心に回転させるだけで、蓋5を開き位置と閉じ位置とに切り替えることができる。
【0034】
開閉操作部822は、蓋5が閉じ位置にあるときに、後側の先端に向かうに従ってハンドル3から離れるように傾斜していることが好ましい。これによって、ユーザは、開閉操作部822を操作することで、蓋5の開閉操作を行いやすい。本実施形態に係る可動片82は、断面円弧状に形成されていることで、蓋5が閉じ位置にあるときに、開閉操作部822が、水平面に対して傾斜している。
【0035】
また、図2(B)に示すように、蓋5の下面(蓋5における開口面231に対向する面)は、蓋5を開き位置に切り替えた際に、開口面231とのなす角t1が90°以上に設定されることが好ましく、より好ましくは、なす角が95°以上に設定される。これによって、開口面231から茶葉や湯水を供給しやすいし、茶こし9をポット本体1から引き上げやすい。
【0036】
また、ヒンジ8は、蓋5を、開き位置に保持することが好ましい。この構成によれば、より一層、開口面231から茶葉や湯水を供給したり、茶こし9をポット本体1から引き上げたりする際の作業が行いやすい。ヒンジ8において、蓋5を開き位置に保持するには、例えば、固定片81による回転軸821の軸支を、摺動する状態で軸支して、回転位置の任意の位置で保持するような機構を採用してもよいし、ストッパにより開き位置にある蓋5を保持する機構を採用してもよい。また、開き位置にある蓋5からのモーメントにより、可動片82が固定片81に押し付けられることで、蓋5を開き位置に保持してもよい。
【0037】
ヒンジ8は、蓋5を、閉じ位置において、開口面231との間の隙間を保つように略水平に保持することが好ましい。開口面231と蓋5との間の隙間は、0mm超1mm以下であることが好ましい。これによって、茶こし9の取手92が、筒状部23の上端と蓋5との間から突き出ても、閉じ位置にある蓋5を水平な状態に保つことができて、見栄えがよいし、がたつきを軽減できる。また、ヒンジ8は、蓋5を、閉じ位置において略水平に保持するため、茶こし9を用いない場合でも、蓋5が傾くことを軽減できる。また、閉じ位置にある蓋5と、開口面231との間には、一定の隙間があるため、平面視において、茶こし9の取手92を、茶こし9の中央を中心に回転させても、蓋5のがたつきを軽減できる。このため、茶こし9の取手92を使用者の所望の位置に位置させることができる。
【0038】
開閉操作部822は、平面視において、ハンドル3に重なる位置に配置されることが好ましい。本実施形態の開閉操作部822は、平面視において、幅方向の中央線が、ハンドル3に重複する位置にある。これによって、ユーザは、ハンドル3を持ちながら、ハンドル3を持つ手で蓋5の開閉位置の切り替えを行うことができる。ただし、開閉操作部822は、必ずしも、平面視において、幅方向の中央線がハンドル3に重複する位置になくてもよく、開閉操作部822の幅方向のいずれかの部分が、平面視においてハンドル3と重なればよい。
【0039】
(茶こし9)
茶こし9は、図5に示すように、網材やパンチングメタルなどの多孔性部材により形成された有底筒状の収容体91と、収容体91から平面視において径方向外方に突き出る取手92とを備える。
【0040】
収容体91の上部開口縁にはフランジ部93が設けられており、このフランジ部93を、ポット本体1のフランジ232に載せることで、茶こし9がポット本体1内に保持される。
【0041】
収容体91は、目印板911を有することが好ましい。目印板911は、周方向に延びている。目印板911は、収容体91の内周面及び外周面に設けられている。目印板911は、ポット本体1に装着された状態で、目印板911の上縁が適量のお湯の量を示している。このため、使用者は、目印板911の上縁を目安に、適量のお湯を入れることができる。
【0042】
取手92は、細長の板状体を折り曲げた形状を有しており、フランジ部93にリベットや溶接等で固定されている。取手92は、水平片921と、傾斜片922と、摘まみ片923とがこの順でつながっている。これによって、図2に示すように、茶こし9をポット本体1内に収容しても、開口面231と蓋5との間の隙間を通して、取手92を外部に突き出すことができ、ユーザは、茶こし9を扱いやすい。
【0043】
水平片921は、収容体91のフランジ部93から水平方向に突き出る。水平片921は、筒状部23のフランジ232の上面に沿って延びる。傾斜片922は、水平片921の外側の端部から延出しており、筒状部23の開口内周面に沿って起立する。摘まみ片923は、傾斜片922の上端から延出しており、平面視において、筒状部23よりも外側に突き出ている。
【0044】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係るティーポット10は、陶磁器製のポット本体1と、金属製の蓋5と、ポット本体1と蓋5とを連結する連結部材6と、を備える。ポット本体1は、注ぎ口4が設けられた胴部22、及び胴部22の上部に設けられ上端面が開口面231である筒状部23を有する。連結部材6は、筒状部23に巻き付く巻付け体7と、ヒンジ8と、を有する。ヒンジ8は、巻付け体7に固定された固定片81と、固定片81に回転可能に連結されると共に蓋5に固定された可動片82とを含む。
【0045】
本実施形態に係るティーポット10は、ポット本体1と蓋5とが連結部材6で接続されているため、蓋5を紛失しにくいうえに、紅茶等を淹れる際に蓋5の置き場所に困ることがない。また、蓋5が金属製であるため、総重量をできる限り軽くできる。そのうえ、ポット本体1が陶磁器製であるため、金属製のポット本体1に比べて、保温性が高いうえに、手入れ性がよく、また、繊細な紅茶の香りや味わいをまろやかに引き出せるという利点がある。さらに、ポット本体1が陶磁器製であることで、紅茶だけでなく、日本茶や中国茶にも使用することができ、茶の種別を問わずに扱える汎用性の高いティーポット10とすることができる。
【0046】
また、本実施形態に係るティーポット10では、筒状部23は、巻付け体7が巻き付く括れ部233を有するため、巻付け体7が筒状部23から外れにくい。このため、ポット本体1から蓋5が脱落することを防ぐことができ、使用者は、熱湯を扱う場合でも安心してティーポット10を使用することができる。
【0047】
また、本実施形態に係るティーポット10では、筒状部23の外周面には、固定片81が配置される凹所234が形成されているため、固定片81が筒状部23から突き出ることを軽減できる。
【0048】
また、本実施形態に係るティーポット10では、蓋5が、ヒンジ8が接続される蓋本体部51と、蓋本体部51に設けられたつまみ部52と、を有するため、ポット本体1を一方の手で持ちながら、他方の手で蓋5の操作を行いやすい。
【0049】
また、本実施形態に係るティーポット10では、可動片82は開閉操作部822を有するため、指の動作のみで蓋5の開閉操作を行いやすい。
【0050】
また、本実施形態に係るティーポット10では、開閉操作部822は、平面視において、ハンドル3に重なる位置に配置されているため、片手でティーポット10を把持しながら、蓋5の開閉操作を行うことができる。
【0051】
また、本実施形態に係るティーポット10では、蓋5における開口面231に対向する面は、蓋5が開き位置にあると、開口面231とのなす角が90°以上になるように設定されているため、開口面231から茶葉や湯水を供給しやすいし、茶こし9を使用する場合であっても、茶こし9を装着しやすい。
【0052】
また、本実施形態に係るティーポット10では、連結部材6は、蓋5を、開き位置に保持するように構成されているため、より一層、開口面231から茶葉や湯水を供給しやすい。
【0053】
〔変形例〕
上記実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0054】
上記実施形態では、ポット本体1は陶磁器製であったが、本発明のポット本体1では、ガラス製であってもよい。
【0055】
上記実施形態に係るティーポット10では、連結部材6は金属であるが、例えば、樹脂により構成されてもよい。
【0056】
上記実施形態に係るティーポット10は、茶こし9を有していたが、茶こし9はなくてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 ティーポット
1 ポット本体
22 胴部
23 筒状部
231 開口面
233 括れ部
234 凹所
3 ハンドル
4 注ぎ口
5 蓋
51 蓋本体部
52 つまみ部
6 連結部材
7 巻付け体
71 長尺部材
72 締結部材
8 ヒンジ
81 固定片
82 可動片
821 回転軸
822 開閉操作部
【要約】
【課題】陶磁器製又はガラス製のポット本体を用いても、使用者が扱いやすいティーポットを提供する。
【解決手段】ティーポット10は、注ぎ口4が設けられた胴部22、及び胴部22の上部に設けられ上端面が開口面231である筒状部23を有する、陶磁器製又はガラス製のポット本体1と、開口面231を開閉可能に閉じる金属製の蓋5と、ポット本体1と蓋5とを連結する連結部材6と、を備える。連結部材6は、筒状部23に巻き付く巻付け体7と、巻付け体7に固定された固定片81、及び固定片81に回転可能に連結されると共に蓋5に固定された可動片82を含むヒンジ8と、を有する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5