(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】地盤高さ提供サーバ、地盤高さ提供システム、地盤高さ提供プログラム、地盤高さ提供方法および地盤高さ閲覧装置
(51)【国際特許分類】
G01C 5/00 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
G01C5/00 Z
(21)【出願番号】P 2024113262
(22)【出願日】2024-07-16
【審査請求日】2024-07-16
(31)【優先権主張番号】P 2023168714
(32)【優先日】2023-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510339625
【氏名又は名称】相互開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004392
【氏名又は名称】弁理士法人佐川国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】本多 宏考
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-050332(JP,A)
【文献】特開2023-130558(JP,A)
【文献】特開2022-145442(JP,A)
【文献】特開2020-165921(JP,A)
【文献】特開2015-168991(JP,A)
【文献】特開2003-239328(JP,A)
【文献】特開2021-155171(JP,A)
【文献】特開昭63-135815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 1/00- 1/14
G01C 5/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤高さ閲覧装置からの要求に応じて所定の区画内における地盤高さを提供する地盤高さ提供サーバであって、
前記区画内を走行する重機に設けられた測位機器によって測定された時系列の三次元座標を含む測位データと、前記区画のマップデータとを取得する区画データ取得部と、
前記区画を格子状に細分化した単位領域のそれぞれについて、前記単位領域に含まれる前記三次元座標の標高値に基づいて、前記単位領域の地盤高さを算出する単位領域高さ算出部と、
前記単位領域よりも大きな格子状に設定されたグリッドのそれぞれについて、前記グリッドに含まれる全ての前記単位領域の地盤高さを平均化し
た平均値を前記グリッドの地盤高さとして算出するグリッド高さ算出部と、
前記グリッドの地盤高さに応じて色分けされたヒートマップを前記マップデータに重畳させた表示データを作成する表示データ作成部と、
前記表示データを前記地盤高さ閲覧装置に送信する表示データ送信部と、
を有する、地盤高さ提供サーバ。
【請求項2】
前記単位領域高さ算出部は、前記単位領域に含まれる全ての前記三次元座標の標高値のうち、最新の標高値を前記単位領域の地盤高さとして算出する、請求項1に記載の地盤高さ提供サーバ。
【請求項3】
前記単位領域高さ算出部は、前記単位領域に含まれる全ての前記三次元座標の標高値を平均化し
た平均値を前記単位領域の地盤高さとして算出する、請求項1に記載の地盤高さ提供サーバ。
【請求項4】
前記グリッドの表示角度は任意の向きに変更可能に構成されており、
前記グリッドの表示角度が変更されたとき、前記単位領域高さ算出部は、変更後のグリッドのそれぞれに含まれる全ての前記単位領域の地盤高さを再計算するとともに、前記グリッド高さ算出部は、変更後のグリッドのそれぞれについて地盤高さを再計算する、請求項2に記載の地盤高さ提供サーバ。
【請求項5】
前記表示データは、前記区画の現況地形を表示するのに適した現況モードと、前記区画の出来形を表示するのに適した出来形モードとを選択可能に構成されており、前記ヒートマップで地盤高さを色分けするための数値範囲は、前記現況モードよりも前記出来形モードの方が小さく設定されている、請求項4に記載の地盤高さ提供サーバ。
【請求項6】
前記単位領域高さ算出部は、前記標高値から前記測位機器の設置高さを差し引いた標高値、または前記標高値から任意の地盤高さを差し引いた標高値を用いて前記単位領域の地盤高さを算出する、請求項5に記載の地盤高さ提供サーバ。
【請求項7】
前記単位領域の格子サイズは、前記グリッドの格子サイズの1/5以下に設定されている、請求項6に記載の地盤高さ提供サーバ。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の地盤高さ提供サーバと、前記地盤高さ提供サーバに前記測位データを送信する測位データ送信装置とからなる地盤高さ提供システム。
【請求項9】
地盤高さ閲覧装置からの要求に応じて所定の区画内における地盤高さを提供する地盤高さ提供プログラムであって、
前記区画内を走行する重機に設けられた測位機器によって測定された時系列の三次元座標を含む測位データと、前記区画のマップデータとを取得する区画データ取得部と、
前記区画を格子状に細分化した単位領域のそれぞれについて、前記単位領域に含まれる前記三次元座標の標高値に基づいて、前記単位領域の地盤高さを算出する単位領域高さ算出部と、
前記単位領域よりも大きな格子状に設定されたグリッドのそれぞれについて、前記グリッドに含まれる全ての前記単位領域の地盤高さを平均化し
た平均値を前記グリッドの地盤高さとして算出するグリッド高さ算出部と、
前記グリッドの地盤高さに応じて色分けされたヒートマップを前記マップデータに重畳させた表示データを作成する表示データ作成部と、
前記表示データを前記地盤高さ閲覧装置に送信する表示データ送信部と
してコンピュータを機能させる、地盤高さ提供プログラム。
【請求項10】
地盤高さ閲覧装置からの要求に応じて所定の区画内における地盤高さを提供する地盤高さ提供方法であって、
前記区画内を走行する重機に設けられた測位機器によって測定された時系列の三次元座標を含む測位データと、前記区画のマップデータとを取得する区画データ取得ステップと、
前記区画を格子状に細分化した単位領域のそれぞれについて、前記単位領域に含まれる前記三次元座標の標高値に基づいて、前記単位領域の地盤高さを算出する単位領域高さ算出ステップと、
前記単位領域よりも大きな格子状に設定されたグリッドのそれぞれについて、前記グリッドに含まれる全ての前記単位領域の地盤高さを平均化し
た平均値を前記グリッドの地盤高さとして算出するグリッド高さ算出ステップと、
前記グリッドの地盤高さに応じて色分けされたヒートマップを前記マップデータに重畳させた表示データを作成する表示データ作成ステップと、
前記表示データを前記地盤高さ閲覧装置に送信する表示データ送信ステップと、
を有する、地盤高さ提供方法。
【請求項11】
所定の区画内における地盤高さを閲覧する地盤高さ閲覧装置であって、
前記区画内を走行する重機に設けられた測位機器によって測定された時系列の三次元座標を含む測位データと、前記区画のマップデータとを取得する区画データ取得部と、
前記区画を格子状に細分化した単位領域のそれぞれについて、前記単位領域に含まれる前記三次元座標の標高値に基づいて、前記単位領域の地盤高さを算出する単位領域高さ算出部と、
前記単位領域よりも大きな格子状に設定されたグリッドのそれぞれについて、前記グリッドに含まれる全ての前記単位領域の地盤高さを平均化し
た平均値を前記グリッドの地盤高さとして算出するグリッド高さ算出部と、
前記グリッドの地盤高さに応じて色分けされたヒートマップを前記マップデータに重畳させた表示データを作成する表示データ作成部と、
を有する、地盤高さ閲覧装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場等における地盤高さを簡単かつ迅速に提供するのに好適な地盤高さ提供サーバ、地盤高さ提供システム、地盤高さ提供プログラム、地盤高さ提供方法および地盤高さ閲覧装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、重機を用いて地盤高さを測定する技術が提案されている。例えば、特開2003-239328号公報には、重機に設けられたGPSアンテナとロール傾斜センサからの信号に基づき重機の傾斜成分を検出するとともに、この傾斜成分を相殺した重機の絶対高を演算し、実際の整地面高と計画整地面高との高低差を算出して表示する測定装置が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された発明を含め、従来の測定技術においては、地盤高さを正確かつ精密に測定することを目的としている。このため、大まかな地盤高さを把握できれば十分なユーザであっても、正確な地盤高さを算出するためのオーバースペックな装置やアプリケーションを揃えなければならず、手軽かつ安価に地盤高さを把握することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであって、誰でも手軽かつ安価に地盤高さを把握することができる地盤高さ提供サーバ、地盤高さ提供システム、地盤高さ提供プログラム、地盤高さ提供方法および地盤高さ閲覧装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る地盤高さ提供サーバは、誰でも手軽かつ安価に地盤高さを把握するという課題を解決するために、地盤高さ閲覧装置からの要求に応じて所定の区画内における地盤高さを提供する地盤高さ提供サーバであって、前記区画内を走行する重機に設けられた測位機器によって測定された時系列の三次元座標を含む測位データと、前記区画のマップデータとを取得する区画データ取得部と、前記区画を格子状に細分化した単位領域のそれぞれについて、前記単位領域に含まれる前記三次元座標の標高値に基づいて、前記単位領域の地盤高さを算出する単位領域高さ算出部と、前記単位領域よりも大きな格子状に設定されたグリッドのそれぞれについて、前記グリッドに含まれる全ての前記単位領域の地盤高さを平均化し、その平均値を前記グリッドの地盤高さとして算出するグリッド高さ算出部と、前記グリッドの地盤高さに応じて色分けされたヒートマップを前記マップデータに重畳させた表示データを作成する表示データ作成部と、前記表示データを前記地盤高さ閲覧装置に送信する表示データ送信部と、を有する。
【0007】
また、本発明の一態様として、切り土や盛り土が多い区画内における地盤高さの誤差を低減するという課題を解決するために、前記単位領域高さ算出部は、前記単位領域に含まれる全ての前記三次元座標の標高値のうち、最新の標高値を前記単位領域の地盤高さとして算出してもよい。
【0008】
さらに、本発明の一態様として、切り土や盛り土が少ない区画内における地盤高さを大まかに算出するという課題を解決するために、前記単位領域高さ算出部は、前記単位領域に含まれる全ての前記三次元座標の標高値を平均化し、その平均値を前記単位領域の地盤高さとして算出してもよい。
【0009】
また、本発明の一態様として、グリッドの表示角度を変更してユーザの視認性を向上するとともに、変更後のグリッドの地盤高さをリアルタイムで表示するという課題を解決するために、前記グリッドの表示角度は任意の向きに変更可能に構成されており、前記グリッドの表示角度が変更されたとき、前記単位領域高さ算出部は、変更後のグリッドのそれぞれに含まれる全ての前記単位領域の地盤高さを再計算するとともに、前記グリッド高さ算出部は、変更後のグリッドのそれぞれについて地盤高さを再計算してもよい。
【0010】
さらに、本発明の一態様として、現況地形および出来形のいずれを表示する場合も、地盤高さの分布を視認しやすい状態で表示するという課題を解決するために、前記表示データは、前記区画の現況地形を表示するのに適した現況モードと、前記区画の出来形を表示するのに適した出来形モードとを選択可能に構成されており、前記ヒートマップで地盤高さを色分けするための数値範囲は、前記現況モードよりも前記出来形モードの方が小さく設定されていてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様として、地盤高さの大まかな絶対値と、地盤高さの相対的な高低差を選択的に表示するという課題を解決するために、前記単位領域高さ算出部は、前記標高値から前記測位機器の設置高さを差し引いた標高値、または前記標高値から任意の地盤高さを差し引いた標高値を用いて前記単位領域の地盤高さを算出してもよい。
【0012】
さらに、本発明の一態様として、重機の走行状態によらず、グリッドの地盤高さの算出精度を担保するという課題を解決するために、前記単位領域の格子サイズは、前記グリッドの格子サイズの1/5以下に設定されていてもよい。
【0013】
また、本発明に係る地盤高さ提供システムは、誰でも手軽かつ安価に地盤高さを把握するという課題を解決するために、上述したいずれかの態様に係る地盤高さ提供サーバと、前記地盤高さ提供サーバに前記測位データを送信する測位データ送信装置とからなる。
【0014】
さらに、本発明に係る地盤高さ提供プログラムは、誰でも手軽かつ安価に地盤高さを把握するという課題を解決するために、地盤高さ閲覧装置からの要求に応じて所定の区画内における地盤高さを提供する地盤高さ提供プログラムであって、前記区画内を走行する重機に設けられた測位機器によって測定された時系列の三次元座標を含む測位データと、前記区画のマップデータとを取得する区画データ取得部と、前記区画を格子状に細分化した単位領域のそれぞれについて、前記単位領域に含まれる前記三次元座標の標高値に基づいて、前記単位領域の地盤高さを算出する単位領域高さ算出部と、前記単位領域よりも大きな格子状に設定されたグリッドのそれぞれについて、前記グリッドに含まれる全ての前記単位領域の地盤高さを平均化し、その平均値を前記グリッドの地盤高さとして算出するグリッド高さ算出部と、前記グリッドの地盤高さに応じて色分けされたヒートマップを前記マップデータに重畳させた表示データを作成する表示データ作成部と、前記表示データを前記地盤高さ閲覧装置に送信する表示データ送信部としてコンピュータを機能させる。
【0015】
また、本発明に係る地盤高さ提供方法は、誰でも手軽かつ安価に地盤高さを把握するという課題を解決するために、地盤高さ閲覧装置からの要求に応じて所定の区画内における地盤高さを提供する地盤高さ提供方法であって、前記区画内を走行する重機に設けられた測位機器によって測定された時系列の三次元座標を含む測位データと、前記区画のマップデータとを取得する区画データ取得ステップと、前記区画を格子状に細分化した単位領域のそれぞれについて、前記単位領域に含まれる前記三次元座標の標高値に基づいて、前記単位領域の地盤高さを算出する単位領域高さ算出ステップと、前記単位領域よりも大きな格子状に設定されたグリッドのそれぞれについて、前記グリッドに含まれる全ての前記単位領域の地盤高さを平均化し、その平均値を前記グリッドの地盤高さとして算出するグリッド高さ算出ステップと、前記グリッドの地盤高さに応じて色分けされたヒートマップを前記マップデータに重畳させた表示データを作成する表示データ作成ステップと、前記表示データを前記地盤高さ閲覧装置に送信する表示データ送信ステップと、を有する。
【0016】
さらに、本発明に係る地盤高さ閲覧装置は、誰でも手軽かつ安価に地盤高さを把握するという課題を解決するために、所定の区画内における地盤高さを閲覧する地盤高さ閲覧装置であって、前記区画内を走行する重機に設けられた測位機器によって測定された時系列の三次元座標を含む測位データと、前記区画のマップデータとを取得する区画データ取得部と、前記区画を格子状に細分化した単位領域のそれぞれについて、前記単位領域に含まれる前記三次元座標の標高値に基づいて、前記単位領域の地盤高さを算出する単位領域高さ算出部と、前記単位領域よりも大きな格子状に設定されたグリッドのそれぞれについて、前記グリッドに含まれる全ての前記単位領域の地盤高さを平均化し、その平均値を前記グリッドの地盤高さとして算出するグリッド高さ算出部と、前記グリッドの地盤高さに応じて色分けされたヒートマップを前記マップデータに重畳させた表示データを作成する表示データ作成部と、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、誰でも手軽かつ安価に地盤高さを把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明に係る地盤高さ提供システムの構成を示す図である。
【
図2】本発明に係る地盤高さ提供システムの一実施形態を示すブロック図である。
【
図3】本第1実施形態の測位データ送信装置において、(a)測位開始前の入力画面および(b)測位中の表示画面の一例を示す図である。
【
図4】本第1実施形態の測位データ記憶部に記憶される測位データの一例を示す図である。
【
図5】本第1実施形態の地盤高さ閲覧サイトにおける、(a)区画選択画面、および(b)地盤高さ閲覧画面を示す図である。
【
図6】本第1実施形態における(a)グリッドの一例を示す図、および(b)単位領域の一例を示す図である。
【
図7】本第1実施形態の(a)現況モードおよび(b)出来形モードにおける、地盤高さを色分けするための数値範囲の一例を示す図である。
【
図8】本第1実施形態において、地盤高さを計測する際の処理を示すフローチャートである。
【
図9】本第1実施形態において、地盤高さを閲覧する際の処理を示すフローチャートである。
【
図10】本発明に係る地盤高さ提供システムの第3実施形態を示すブロック図である
【
図11】地盤高さ閲覧画面において、(a)グリッドが方位角に一致されている状態、および(b)グリッドの表示角度を区画の地形に一致させた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る地盤高さ提供サーバ、地盤高さ提供システム、地盤高さ提供プログラム、地盤高さ提供方法および地盤高さ閲覧装置の実施形態について図面を用いて説明する。
【0020】
本第1実施形態の地盤高さ提供システム100は、
図1および
図2に示すように、重機12に設けられた測位機器13によって測定された測位データを地盤高さ提供サーバ1へ送信する測位データ送信装置10と、所定の区画内における地盤高さを提供する地盤高さ提供サーバ1と、地盤高さ提供サーバ1から提供される地盤高さを閲覧するための地盤高さ閲覧装置11とからなり、インターネットによって接続可能に構成されている。以下、各構成について説明する。
【0021】
[1]測位データ送信装置
測位データ送信装置10は、
図1に示すように、重機12のオペレータが所有するスマートフォンやタブレット等の携帯端末によって構成されている。本第1実施形態において、測位データ送信装置10は、測位データ送信プログラムがインストールされており、重機12に設けられた測位機器13から所定の時間間隔(1秒間隔等)で測位データを取得するとともに、取得した測位データを時系列で随時、地盤高さ提供サーバ1へ送信するようになっている。
【0022】
また、本第1実施形態において、測位データ送信装置10は、測位データの送信を開始するにあたり、
図3(a)に示すような入力画面を表示し、測位する区画を識別するための区画番号と、標高値を補正するための高さ値(アンテナ高/現在の標高)と、測位済みのエリアをグリッドで表示する際のグリッドサイズとからなる設定データをオペレータに入力させる。そして、区画番号と高さ値については、測位データとともに地盤高さ提供サーバ1へ送信する。
【0023】
なお、高さ値に関して、アンテナ高と現在の標高とは択一的に入力可能となっている。アンテナ高は、地盤高さの大まかな絶対値を把握したい場合に使用するものであり、測位機器13の設置高さをメジャー等で測定した値を入力する。一方、現在の標高は、地盤高さの相対的な高低差さえ把握できればよい場合等に使用するものであり、汎用の測量器等で測定した実際の標高値を入力してもよく、任意の数値を入力してもよい。
【0024】
また、測位データ送信装置10は、自らの位置情報(緯度、経度)に基づいて、地図配信サーバ等から現在地のマップデータを取得すると、
図3(b)に示すように、当該マップデータ上にオペレータが設定したグリッドサイズのグリッドを表示する。そして、測位データ送信装置10は、所定の時間間隔で取得した自らの位置情報に基づいて重機12の走行軌跡を表示するとともに、重機12が通過したグリッドについては測位済みグリッドとして塗り潰し表示するようになっている。
【0025】
なお、本第1実施形態において、測位機器13は、衛星測位システム(Global Navigation Satelite System:GNSS)の人工衛星からGNSS信号を受信するGNSSアンテナと、GNSS信号に基づいて受信時刻や三次元座標(緯度、経度、標高値)等を含む測位データを出力するGNNS受信機とによって構成されている。
【0026】
[2]地盤高さ閲覧装置
地盤高さ閲覧装置11は、
図1に示すように、閲覧者が所有するスマートフォンやタブレット等の携帯端末、ノート型パソコン、またはディスプレイやインタラクティブボード等に接続されたパーソナルコンピュータ等によって構成されている。本第1実施形態において、地盤高さ閲覧装置11には、地盤高さ提供サーバ1が提供する地盤高さ閲覧サイト等の表示データを閲覧可能なブラウザーがインストールされている。
【0027】
また、地盤高さ閲覧装置11は、
図2に示すように、閲覧者の選択・指示に応じて、地盤高さの閲覧要求や、表示データの更新要求を地盤高さ提供サーバ1へ送信する機能を有している。なお、本第1実施形態では、地盤高さ閲覧装置11が、表示データの自動更新機能を有しており、地盤高さ提供サーバ1に対する更新要求を所定の時間間隔で自動的に送信する。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、手動で更新要求を送信してもよい。
【0028】
また、地盤高さ閲覧装置11の台数は、
図1や
図2に図示された台数に限定されるものではなく、異なる所有者、異なる場所等に存在する任意数の地盤高さ閲覧装置11から地盤高さ提供サーバ1へアクセスし、表示データを共有して閲覧することが可能である。
【0029】
[3]地盤高さ提供サーバ
地盤高さ提供サーバ1は、クラウドサーバや物理サーバ等のコンピュータによって構成されており、地盤高さ閲覧装置11からの要求に応じて所定の区画内における地盤高さを提供するものである。本第1実施形態において、地盤高さ提供サーバ1は、
図2に示すように、主として、通信手段2と、記憶手段3と、演算処理手段4とを有している。以下、各構成手段について説明する。
【0030】
通信手段2は、地盤高さ提供サーバ1に通信機能を実装するものである。本第1実施形態において、通信手段2は、第5世代移動通信ネットワーク(5G)等のキャリアネットワーク規格や、Wi-Fi(登録商標)等の無線LAN規格に対応した無線モジュールによって構成されている。そして、通信手段2は、インターネット等のネットワークを介して、測位データ送信装置10から各種のデータを受信したり、地盤高さ閲覧装置11との間で各種のデータを送受信するようになっている。
【0031】
記憶手段3は、各種のデータを記憶するとともに、演算処理手段4が演算処理を行う際のワーキングエリアとして機能するものである。本第1実施形態において、記憶手段3は、ソリッドステートドライブ(SSD)、ハードディスクドライブ(HDD)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等によって構成されており、
図2に示すように、プログラム記憶部31と、測位データ記憶部32とを有している。
【0032】
プログラム記憶部31には、本第1実施形態の地盤高さ提供プログラム1aがインストールされている。そして、演算処理手段4が地盤高さ提供プログラム1aを実行することにより、地盤高さ提供サーバ1としてのコンピュータを後述する各構成部として機能させるようになっている。
【0033】
なお、地盤高さ提供プログラム1aの利用形態は、上記構成に限られるものではない。例えば、SDカード、CFカード、USBメモリ、外付けHDD(Hard Disk Drive)、外付けSSD(Solid State Drive)、CD-ROM、DVD-ROM等のように、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に地盤高さ提供プログラム1aを記憶させておき、当該記録媒体から直接読み出して実行してもよい。
【0034】
測位データ記憶部32は、測位データ送信装置10から送信されてくる時系列の測位データを記憶するものである。本第1実施形態において、測位データとしては、
図4に示すように、機器IDと、測位日時と、緯度・経度・標高値と、リンクIDと、ステータスとが時系列に記憶される。なお、機器IDは送信元の測位機器13を識別するものであり、リンクIDは別途、記憶されているメタデータによって区画番号と紐付けられるものである。また、ステータスは測位データの精度や状態を示すものである。
【0035】
演算処理手段4は、CPU(Central Processing Unit)等によって構成されており、プログラム記憶部31にインストールされた地盤高さ提供プログラム1aを実行することにより、
図2に示すように、閲覧サイト送信部41と、区画データ取得部42と、単位領域高さ算出部43と、グリッド高さ算出部44と、表示データ作成部45と、表示データ送信部46として機能する。以下、各構成部についてより詳細に説明する。
【0036】
閲覧サイト送信部41は、地盤高さを閲覧するための地盤高さ閲覧サイトを送信するものである。本第1実施形態において、閲覧サイト送信部41は、地盤高さ閲覧装置11からの要求に応じて地盤高さ閲覧サイトを地盤高さ閲覧装置11へ送信する。なお、地盤高さ閲覧サイトにおいては、
図5(a)に示すように、測位済みの区画が選択可能に表示され、閲覧者が任意の区画を選択しうるようになっている。
【0037】
区画データ取得部42は、地盤高さ閲覧装置11によって選択された区画に関するデータを取得するものである。本第1実施形態において、区画データ取得部42は、選択された区画の区画番号に対応する測位データを測位データ記憶部32から取得するとともに、選択された区画のマップデータを地図配信サーバ等から取得する。なお、本第1実施形態において、区画データ取得部42は、測位データのステータスがよいものだけを取得することで測位精度の低下を抑制する。
【0038】
単位領域高さ算出部43は、区画を格子状に細分化した単位領域の地盤高さを算出するものである。また、グリッド高さ算出部44は、単位領域よりも大きな格子状に設定されたグリッドの地盤高さを算出するものである。以下、本第1実施形態における単位区画およびグリッドについて説明する。
【0039】
本第1実施形態の地盤高さ閲覧サイトにおいては、
図5(b)に示すように、閲覧対象となる区画上に格子状のグリッドを設定し、各グリッドの地盤高さを数値で表示するようになっている。ここで、各グリッドの地盤高さとしては、測位データの緯度・経度に基づいて各グリッド内に含まれる全ての測位点を特定し、全測位点の標高値を単純に平均化した値を使用することが考えられる。
【0040】
しかしながら、測位機器13は測位データを一定の時間間隔で出力する一方で、測位作業に用いられる重機12は、旋回時等には低速度となったり、オペレータの休憩時等には停止する場合もある。このため、低速度エリアや停止位置では、それ以外のエリアと比較して相対的に多くの測位データが取得される。したがって、各グリッドに含まれる全ての測位データの標高値を単純に平均化すると、低速度エリアや停止位置における標高値の比重が高くなり、誤差が大きくなってしまう。
【0041】
例えば、
図6(a)に示すグリッド内において、A(標高値:3)、B(標高値:4)、C(標高値:5)の3地点で測位データを一回ずつ取得した場合、当該グリッドにおける標高値の平均値は、(3+4+5)/3=4となる。一方、地点A,Bで測位データを一回ずつ取得した後、地点Cで重機12が停止し測位データが10回取得された場合、当該グリッドにおける標高値の平均値は、(3+4+5×10)/12=4.75となり、地点Cの標高値によって重み付けされ、大きな誤差が生じてしまう。
【0042】
そこで、本第1実施形態では、
図6(b)に示すように、グリッドよりも小さい格子サイズの単位領域を設定した。そして、まずは単位領域高さ算出部43が、単位領域のそれぞれについて、単位領域に含まれる全ての標高値を平均化し、その平均値を単位領域の地盤高さとして算出する。その上で、グリッド高さ算出部44が、グリッドのそれぞれについて、グリッドに含まれる全ての単位領域の地盤高さを平均化し、その平均値をグリッドの地盤高さとして算出するようにした。
【0043】
以上の構成によれば、単位領域ごとに地盤高さが平均化されるため、上述した重み付けによる誤差が防止される。例えば、上述した
図6(a)の例では、地点Aを含む単位領域の地盤高さは3となり、地点Bを含む単位領域の地盤高さは4となる。また、測位データが10回取得された地点Cを含む単位領域においても地盤高さが平均化され、(5×10)/10=5となる。したがって、地点A,B,Cを含むグリッドの地盤高さは、(3+4+5)/3=4となり、測位データが一回ずつ取得された場合と同様、偏りがない値となる。
【0044】
なお、本第1実施形態において、グリッドの格子サイズは、一辺の長さが5m、10m、15mおよび20mの4種類から選択でき、単位格子の格子サイズは、一辺の長さが1mに設定されている。つまり、単位領域の格子サイズは、グリッドの格子サイズの1/5以下となるように設定されており、重み付けの解消機能が効果的に作用することが担保されている。
【0045】
また、本第1実施形態において、地盤高さ提供サーバ1は、測位データ送信装置10から測位データとともに、標高値を補正するための高さ値(アンテナ高/現在の標高)を受信する。このため、単位領域高さ算出部43は、標高値から測位機器13の設置高さ(アンテナ高)を差し引いた標高値、または標高値から任意の地盤高さ(現在の標高)を差し引いた標高値を用いて単位領域の地盤高さを算出するようになっている。
【0046】
さらに、本第1実施形態において、グリッド高さ算出部44は、地盤高さ閲覧装置11から表示データを要求された際、デフォルトで設定されているグリッドサイズ(例:5m)についてのみ、グリッドの地盤高さを算出し、その後はグリッドサイズが変更された場合に、当該変更後のグリッドサイズについて地盤高さを算出するようになっている。
【0047】
表示データ作成部45は、地盤高さ閲覧装置11に表示させる表示データを作成するものである。本第1実施形態において、表示データ作成部45は、
図5(b)に示すように、グリッドの地盤高さに応じて色分けされたヒートマップを、区画データ取得部42によって取得されたマップデータに重畳させた表示データを作成する。
【0048】
また、本第1実施形態において、表示データは、区画の現況地形を表示するのに適した現況モードと、区画の出来形を表示するのに適した出来形モードとを選択可能に構成されている。具体的には、
図5(b)に示す地盤高さ閲覧画面において、「出」と記載されているアイコンが表示されている間は出来形モードとなり、「出」アイコンをタップすると「現」と記載されているアイコンに切り替わって現況モードとなる。
【0049】
ただし、出来形モードにおいて、現況モードと同じ数値範囲で地盤高さを色分けすると、ほぼ同じ色となり、わかり難くなる。そこで、本第1実施形態では、ヒートマップで地盤高さを色分けするための数値範囲は、
図7に示すように、現況モードよりも出来形モードの方が小さく設定されている。これにより、高低差が大きい現況地形であっても、高低差が小さい出来形であっても、地盤高さの分布が視認しやすい状態で表示される。
【0050】
また、本第1実施形態では、
図5(b)に示す地盤高さ閲覧画面において、「CSV」というアイコンをタップすると、表示中の区画内に関する測位データが、地盤高さ提供サーバからダウンロード可能に構成されている。これにより、当該測位データを帳票として使用したり、他の解析ソフトウェア等に読み込ませることができる。
【0051】
表示データ送信部46は、表示データを地盤高さ閲覧装置11に送信するものである。本第1実施形態において、表示データ送信部46は、閲覧要求をしてきた地盤高さ閲覧装置11に対して、表示データ作成部45によって作成された表示データを通信手段2を介して送信するようになっている。
【0052】
つぎに、本第1実施形態の地盤高さ提供サーバ1、地盤高さ提供システム100、地盤高さ提供プログラム1a、地盤高さ提供方法および地盤高さ閲覧装置11による作用について説明する。
【0053】
まず、本第1実施形態の測位データ送信装置10を用いて地盤高さを計測する場合のフローチャートを
図8に示す。測位データ送信装置10は、重機12のオペレータによって測位データ送信プログラムが起動されると、
図3(a)に示す入力画面を表示する(ステップS1)。オペレータが各種の設定データを入力後、スタートアイコンをタッチすると(ステップS2:YES)、測位データ送信装置10は、入力された設定データを取得するとともに(ステップS3)、現在地のマップを表示する(ステップS4)。
【0054】
つぎに、重機12が所定の区画内において走行を開始すると、測位データ送信装置10は、重機12に設けられた測位機器13から測位データを取得し(ステップS5)、当該測位データを設定データとともに地盤高さ提供サーバ1へ送信する(ステップS6)。また、測位データ送信装置10は、マップ上に走行軌跡を表示するとともに、ステップS3で取得したグリッドサイズでグリッドを表示する(ステップS8)。これにより、オペレータは、所定の区画内における測位済みのエリアと、未測定のエリアとを容易に視認するため、測位漏れが防止されるとともに作業効率が向上する。
【0055】
その後、所定時間が経過するたびに(ステップS9:YES)、測位データ送信装置10は、ステップS5へと戻り、ステップS5、S6、S8の処理を繰り返す。なお、ステップS6において、一度送信された設定データ(区画番号、高さ値)については、変更がない限り再送信されない。また、所定時間が経過する前に(ステップS9:NO)、停止が指示されると(ステップS10:YES)、本処理を終了する。
【0056】
一方、地盤高さ提供サーバ1では、測位データ送信装置10から送信されてくる各データを順次取得して保存する(ステップS7)。これにより、所定の区画内における測位データは、区画番号と紐付けられたリンクIDが付与され、地盤高さ提供サーバ1に時系列で蓄積されることとなる。
【0057】
つぎに、本第1実施形態の地盤高さ閲覧装置11を用いて地盤高さを閲覧する場合のフローチャートを
図9に示す。まず、地盤高さ閲覧装置11が地盤高さ提供サーバ1に対して地盤高さ閲覧サイトの閲覧を要求すると(ステップS11)、閲覧サイト送信部41が地盤高さ閲覧サイトを地盤高さ閲覧装置11へ送信する(ステップS12)。これにより、地盤高さ閲覧装置11は、
図5(a)に示すような区画選択画面を表示し(ステップS13)、閲覧者から所望の区画が選択されると、当該選択された区画の表示データを地盤高さ提供サーバ1へ要求する(ステップS14)。
【0058】
地盤高さ提供サーバ1では、区画データ取得部42が、地盤高さ閲覧装置11によって選択された区画の測位データおよびマップデータを取得すると(ステップS15:区画データ取得ステップ)、単位領域高さ算出部43が各単位領域の地盤高さを算出するとともに(ステップS16:単位領域高さ算出ステップ)、当該単位領域の地盤高さに基づいて、グリッド高さ算出部44が各グリッドの地盤高さを算出する(ステップS17:グリッド高さ算出ステップ)。
【0059】
これにより、グリッドよりも小さい格子サイズの単位領域ごとに地盤高さが算出されるため、重機12の速度低下や停止によって測位データが多く取得されたエリアや箇所があっても、当該部分の地盤高さによって平均値が偏って重み付けされることが防止され、誤差の発生が抑制される。
【0060】
また、本第1実施形態では、単位領域の格子サイズが、グリッドの格子サイズの1/5以下に設定されている。このため、重機12の走行状態によらず、上記重み付けの解消機能が効果的に作用し、グリッドの地盤高さの算出精度を担保する。
【0061】
さらに、本第1実施形態では、単位領域高さ算出部43が、単位領域の地盤高さを算出する際、アンテナ高または現在の標高を用いて標高値を補正する。これにより、アンテナ高を用いて標高値を補正した場合は、地盤高さの大まかな絶対値が把握される。一方、現在の標高値を用いて標高値を補正した場合は、地盤高さの相対的な高低差が把握される。
【0062】
各グリッドの地盤高さが算出されると(ステップS17)、表示データ作成部45が、表示データを作成し(ステップS18:表示データ作成ステップ)、当該表示データを表示データ送信部46が地盤高さ閲覧装置11に送信する(ステップS19:表示データ送信ステップ)。これにより、地盤高さ閲覧装置11には、
図5(b)に示すような地盤高さ閲覧画面が表示される(ステップS20)。このため、閲覧者は、汎用的なスマートフォン等を用意するだけで、所定の区画内における地盤高さを手軽かつ安価に把握する。
【0063】
その後、地盤高さ閲覧画面において、閲覧者が所定の操作を行うと(ステップS21:YES)、地盤高さ閲覧装置11は、当該操作に応じた表示データの更新を地盤高さ提供サーバ1に要求する(ステップS23)。これにより、表示データ作成部45が表示データを更新するとともに(ステップS24)、表示データ送信部46が更新後の表示データを送信し(ステップS25)、当該更新後の表示データが地盤高さ閲覧装置11に表示される(ステップS26)。このとき、グリッドサイズの変更指示であれば、グリッド高さ算出部44が変更後のグリッドサイズの各グリッドについて地盤高さを算出する。
【0064】
また、本第1実施形態では、操作されることなく所定の更新時間が経過した場合(ステップS21:NO→ステップS22:YES)、地盤高さ閲覧装置11が、自動的に表示データの更新を要求し(ステップS23)、更新後の表示データを表示する(ステップS26)。これにより、測位機器13によって測位された測位データが、ほぼリアルタイムで地盤高さ閲覧画面に反映されるため、現場の作業者はもとより遠隔地からでも作業の進捗状況および地盤高さがリアルタイムで確認される。
【0065】
その後、地盤高さ閲覧装置11において、閲覧者がブラウザーの終了操作等によって終了を指示すると(ステップS27:YES)、本処理を終了する。
【0066】
以上のような本第1実施形態の地盤高さ提供システム100、地盤高さ提供プログラム1a、地盤高さ提供方法および地盤高さ閲覧装置11によれば、以下のような効果を奏する。
1.誰でも、いつでも、どこからでも手軽かつ安価に地盤高さを把握することができる。
2.地盤高さを複数の地盤高さ閲覧装置11によって共有して閲覧することができる。
3.重機12の走行状態によらず、各グリッドの地盤高さの算出精度を担保することができる。
4.現況地形および出来形のいずれを表示する場合も、地盤高さの分布を視認しやすい状態で表示することができる。
5.地盤高さの大まかな絶対値と、地盤高さの相対的な高低差を選択的に表示することができる。
【0067】
つぎに、本発明に係る地盤高さ提供システム、地盤高さ提供プログラム、地盤高さ提供方法および地盤高さ閲覧装置の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態の構成のうち、上述した第1実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
【0068】
上述した第1実施形態では、単位領域高さ算出部43が、単位領域に含まれる全ての三次元座標の標高値を平均化し、その平均値を単位領域の地盤高さとして算出している。この算出方法によれば、切り土や盛り土が少ない区画内における地盤高さを大まかに算出することは可能である。しかしながら、切り土や盛り土が多い区画においては、重機12による整地作業が完了する前の標高値に引っ張られて、実際の地盤高さとの誤差が生じる場合がある。
【0069】
そこで、本第2実施形態においては、単位領域高さ算出部43が、単位領域に含まれる全ての三次元座標の標高値のうち、最新の標高値を単位領域の地盤高さとして算出するようにした。これにより、切り土や盛り土が多い区画においても、重機12による整地作業が完了した後の標高値に相当する最新の標高値が、単位領域の地盤高さとして算出される。したがって、この単位領域の地盤高さを用いて算出された各グリッドの地盤高さについては、実際の地盤高さとの誤差が低減する。
【0070】
以上のような本第2実施形態の地盤高さ提供システム100、地盤高さ提供プログラム1a、地盤高さ提供方法および地盤高さ閲覧装置11によれば、上述した第1実施形態の作用効果に加えて、切り土や盛り土が多い区画内においても、実際の地盤高さに対するグリッドの地盤高さの誤差を低減することができる。
【0071】
なお、単位領域高さ算出部43による単位領域の地盤高さの算出方法は、上述した平均値や最新値に限定されるものではなく、単位領域に含まれる三次元座標の標高値に基づいて、単位領域の地盤高さが適切に算出されていればよい。
【0072】
つぎに、本発明に係る地盤高さ提供システム、地盤高さ提供プログラム、地盤高さ提供方法および地盤高さ閲覧装置の第3実施形態について説明する。なお、本第3実施形態の構成のうち、上述した各実施形態と同一もしくは相当する構成については同一の符号を付し、再度の説明を省略する。
【0073】
上述した各実施形態では、地盤高さ提供サーバ1において、区画データを取得し、単位領域の地盤高さおよびグリッドの地盤高さを算出し、表示データを作成している。これに対し、本第3実施形態の特徴は、地盤高さ提供サーバ1側で実行されていたこれらの処理を全て地盤高さ閲覧装置11側で実行する点にある。
【0074】
具体的には、
図10に示すように、本第3実施形態においては、地盤高さ提供サーバ1の代わりに、測位データを蓄積するための測位データ蓄積サーバ14が設けられている。また、地盤高さ閲覧装置11は、通信手段2、記憶手段3、演算処理手段4およびタッチディスプレイ等の表示手段5を有し、記憶手段3には、地盤高さ閲覧プログラム11aがインストールされている。
【0075】
そして、演算処理手段4が地盤高さ閲覧プログラム11aを実行することにより、地盤高さ閲覧装置11としてのコンピュータを、
図10に示すように、区画データ取得部42と、単位領域高さ算出部43と、グリッド高さ算出部44と、表示データ作成部45として機能させるようになっている。
【0076】
以上の構成によれば、区画データ取得部42が、閲覧者によって選択された区画に対応する測位データを測位データ蓄積サーバ14から取得する。そして、単位領域高さ算出部43と、グリッド高さ算出部44と、表示データ作成部45とが、それぞれ上述した処理を実行することにより、表示手段5に表示データが表示される。したがって、上述した各実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0077】
また、本第3実施形態では、測位データ送信装置10から測位データ蓄積サーバ14に測位データを送信して蓄積していたが、これらの処理も地盤高さ閲覧装置11で実行するようにしてもよい。すなわち、地盤高さ閲覧装置11に測位データ送信プログラムもインストールすることにより、地盤高さ閲覧装置11が測位機器13から測位データを取得し、当該測位データを地盤高さ閲覧装置11の記憶手段3に保存してもよい。この構成によれば、地盤高さ閲覧装置11のみだけで地盤高さを手軽かつリアルタイムに閲覧することができる。
【0078】
なお、本発明に係る地盤高さ提供システム100、地盤高さ提供プログラム1a、地盤高さ提供方法および地盤高さ閲覧装置11は、前述した各実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
【0079】
例えば、上述した各実施形態では、
図11(a)に示すように、グリッドの格子線が常に方位角(北)と一致するように固定的に表示されていた。しかしながら、この構成に限定されるものではなく、グリッドの表示角度は任意の向きに変更可能に構成されていてもよい。
【0080】
例えば、
図11(b)に示すように、地盤高さ閲覧装置11のブラウザーに表示される地盤高さ閲覧サイトにおいて、左右方向に移動させることでグリッドの表示角度が変更するスライダーバーや、グリッドの表示角度を正回転させるアイコン「+」および逆回転させるアイコン「-」等のグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)を設け、当該GUIを操作することによってグリッドの表示角度を任意の向きに変更可能にしてもよい。
【0081】
これにより、
図11(b)に示すように、直線状の端辺を有する区画においては、当該端辺の向きにグリッドの辺の向きを一致させる等、区画の地形に合わせてグリッドの表示角度を変更することで、ユーザの視認性が向上する。
【0082】
また、上記構成において、グリッドの表示角度が変更されたとき、単位領域高さ算出部は、変更後のグリッドのそれぞれに含まれる全ての単位領域の地盤高さを再計算する。また、グリッド高さ算出部は、変更後のグリッドのそれぞれについて、再計算された単位領域の地盤高さに基づいて地盤高さを再計算する。これにより、グリッドの表示角度を変更すると同時に、当該変更後のグリッドの地盤高さがリアルタイムで表示される。
【0083】
また、上述した各実施形態において、測位データ送信装置10は、停止指示がない限り(
図8のステップS10:NO)、測位データを取得し続ける。このため、重機12のオペレータが、測位作業(整地作業)の完了後に停止指示を失念した場合、区画外の道路等を走行している間もずっと不要な測位データが蓄積されてしまう。
【0084】
そこで、地盤高さ閲覧画面において、不要な測位データを削除するための削除モードを選択可能に構成してもよい。この削除モードに設定した場合、削除したいグリッドを選択した後、削除ボタンを選択すると、当該グリッドに含まれる全ての測位データが、測位データ記憶部32から削除される。
【0085】
一方、測位データとしては保存しておきたいが、地盤高さ閲覧画面においては、表示させたくない測位データというものも存在する。このため、地盤高さ閲覧画面において、表示させたい範囲または表示させたくない範囲を設定可能に構成してもよい。例えば、基準標高値(m)と、当該基準標高値に対する数値範囲(cm)を設定することで、当該範囲内の測位データだけを表示させたり、非表示にすることができる。
【符号の説明】
【0086】
1 地盤高さ提供サーバ
1a 地盤高さ提供プログラム
2 通信手段
3 記憶手段
4 演算処理手段
5 表示手段
10 測位データ送信装置
11 地盤高さ閲覧装置
11a 地盤高さ閲覧プログラム
12 重機
13 測位機器
14 測位データ蓄積サーバ
31 プログラム記憶部
32 測位データ記憶部
41 閲覧サイト送信部
42 区画データ取得部
43 単位領域高さ算出部
44 グリッド高さ算出部
45 表示データ作成部
46 表示データ送信部
100 地盤高さ提供システム
【要約】
【課題】誰でも手軽かつ安価に地盤高さを把握することができる地盤高さ提供サーバ、地盤高さ提供システム、地盤高さ提供プログラム、地盤高さ提供方法および地盤高さ閲覧装置を提供する。
【解決手段】測位データとマップデータを取得する区画データ取得部42と、単位領域に含まれる三次元座標の標高値に基づいて単位領域の地盤高さを算出する単位領域高さ算出部43と、グリッドに含まれる全単位領域の地盤高さの平均値をグリッドの地盤高さとして算出するグリッド高さ算出部44と、グリッドの地盤高さに応じたヒートマップをマップデータに重畳させた表示データを作成する表示データ作成部45と、表示データを地盤高さ閲覧装置11に送信する表示データ送信部46と、を有する。
【選択図】
図2