(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】コンソール装置
(51)【国際特許分類】
B25J 13/02 20060101AFI20241217BHJP
A61B 34/37 20160101ALI20241217BHJP
G05G 1/00 20080401ALI20241217BHJP
G05G 1/04 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B25J13/02
A61B34/37
G05G1/00 D
G05G1/04 Z
(21)【出願番号】P 2024556212
(86)(22)【出願日】2023-07-13
(86)【国際出願番号】 JP2023025844
【審査請求日】2024-09-20
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515075692
【氏名又は名称】リバーフィールド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 靖志
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-501257(JP,A)
【文献】特表2013-510671(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0129249(US,A1)
【文献】国際公開第2018/230385(WO,A1)
【文献】国際公開第2022/102073(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/047517(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/047518(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/026654(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
A61B 34/00 - 34/37
G05G 1/00 - 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対を向いた第1側面及び第2側面を有し、前記第1側面から前記第2側面まで設けられた端面を有するタブと、
前記タブの前記端面に向かい合って配置され、前記タブの前記端面に対して接離するよう前記タブに取り付けられるハンドルと、
前記タブの前記第1側面に向かい合って配置され、前記タブの前記第1側面に対して接離するよう前記タブに連結される操作部と、
前記タブの前記第2側面に設けられ、オペレーターの手の指を検出する指センサーと、
を有するハンドコントローラーと、
前記オペレーターの足によって踏まれることによってトリガを出力するフットスイッチと、
旋回可能な近位端を有し、前記ハンドコントローラーが接続される遠位端を有し、前記ハンドコントローラーを並進可能に支持する関節リンク機構と、
ロボットを制御可能な操作モードと前記ロボットを制御不能なスタンバイモードとの間で切り替わる制御部と、を備え、
前記指センサーが前記手の指を検出し且つ前記制御部が前記フットスイッチからトリガを入力したら、前記制御部が前記ロボットを前記操作モードと前記スタンバイモードとの間で切り替わる
コンソール装置。
【請求項2】
前記制御部が前記スタンバイモードにある場合に、前記指センサーが前記手の指を検出する時に前記制御部が前記フットスイッチからトリガを入力したら、前記制御部が前記スタンバイモードから前記操作モードに切り替わる
請求項
1に記載のコンソール装置。
【請求項3】
前記制御部が前記スタンバイモードにある場合に、前記指センサーが前記手の指を検出しない時に前記制御部が前記フットスイッチからトリガを入力したら、前記制御部が前記スタンバイモードを維持する
請求項
1に記載のコンソール装置。
【請求項4】
前記制御部が前記操作モードにある場合に、前記指センサーが前記手の指を検出する時に前記制御部が前記フットスイッチからトリガを入力したら、前記制御部が前記操作モードから前記スタンバイモードに切り替わる
請求項
1に記載のコンソール装置。
【請求項5】
前記制御部が前記操作モードにある場合に、前記指センサーが前記手の指を検出しなくなったら、前記制御部が前記操作モードから、前記ロボットを制御不能な安全モードに切り替わる
請求項
1に記載のコンソール装置。
【請求項6】
前記指センサーが前記手の指を検出しなくなった時から所定時間だけ経過するまでの間に前記指センサーが前記手の指を検出したら、前記制御部が前記安全モードから前記操作モードに切り替わる
請求項
5に記載のコンソール装置。
【請求項7】
前記指センサーが前記手の指を検出しないことが、前記指センサーが前記手の指を検出しなくなった時か
ら所定時間だけ継続したら、前記制御部が前記安全モードから前記スタンバイモードに切り替わる
請求項
5に記載のコンソール装置。
【請求項8】
前記関節リンク機構の各関節にトルクを付与する駆動部を備え、
前記制御部が前記安全モードにある場合に、前記制御部が前記駆動部を制御することによって、前記駆動部が抵抗トルクを前記関節リンク機構の各関節に付与する
請求項
5、
6又は
7に記載のコンソール装置。
【請求項9】
前記抵抗トルクが前記オペレーターの操作により前記関節リンク機構の各関節に生じるトルクに釣り合うように前記制御部が前記駆動部を制御する
請求項
8に記載のコンソール装置。
【請求項10】
前記関節リンク機構の各関節にトルクを付与する駆動部を備え、
前記制御部が前記スタンバイモードにある場合に、前記制御部が前記駆動部を制御することによって、前記駆動部が抵抗トルクを前記関節リンク機構の各関節に付与する
請求項
1から
7の何れかに記載のコンソール装置。
【請求項11】
前記抵抗トルクが前記オペレーターの操作により前記関節リンク機構の各関節に生じるトルクに釣り合うように前記制御部が前記駆動部を制御する
請求項
10に記載のコンソール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンソール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、入力制御コンソールを使用して医療装置を操作するためのシステムを開示する。入力制御コンソールに対するオペレーターの接触の有無がセンサーによって検出される。センサーが入力制御コンソールに対するオペレーターの接触を検出すると、コンピュータープロセッサーがオペレーターによる入力制御コンソールの操作に従った指令を医療装置に出す。センサーが入力制御コンソールに対するオペレーターの接触を検出しないと、コンピュータープロセッサーが医療装置に対する指令を遮断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、オペレーターが手でコンソール装置のコントローラーを把持することを検出するために、センサーがコントローラーに設けられることもある。コントローラーのサイズが手のサイズに合っていないと、手がセンサーに接触せず、センサーが手を検出できない。オペレーターがコントローラーをいくら操作しようが、医療機器等のロボットに対する指令が遮断され、ロボットが動作しない。
そこで、本開示の1以上の実施形態の目的は、オペレーターの手が大きかろうが小さかろうが、手の指がセンサーによって検出されることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本開示の一側面によれば、ハンドコントローラーがタブ、ハンドル、操作部及び指センサーを備える。前記タブは、互いに反対を向いた第1側面及び第2側面を有し、前記第1側面から前記第2側面まで設けられた端面を有する。前記ハンドルは、前記タブの前記端面に向かい合って配置され、前記タブの前記端面に対して接離するよう前記タブに取り付けられる。前記操作部は、前記タブの前記第1側面に向かい合って配置され、前記タブの前記第1側面に対して接離するよう前記タブに連結される。前記指センサーは、前記タブの前記第2側面に設けられ、オペレーターの手の指を検出する。
【0006】
本開示の一側面によれば、コンソール装置が、前記ハンドコントローラー、フットスイッチ、関節リンク機構及び制御部を備える。前記フットスイッチが、前記オペレーターの足によって踏まれることによってトリガを出力する。前記関節リンク機構が、旋回可能な近位端を有し、前記ハンドコントローラーが接続される遠位端を有し、前記ハンドコントローラーを並進可能に支持する。前記制御部が、ロボットを制御可能な操作モードと前記ロボットを制御不能なスタンバイモードとの間で切り替わる。前記指センサーが前記手の指を検出し且つ前記制御部が前記フットスイッチからトリガを入力したら、前記制御部が前記ロボットを前記操作モードと前記スタンバイモードとの間で切り替わる。
【発明の効果】
【0007】
本開示の1以上の実施形態のハンドコントローラー及びコンソール装置は、オペレーターの手のサイズに関わらず、オペレーターがハンドルを手の平で握って指を指センサーに添えられることに貢献する。オペレーターの手が大きかろうが小さかろうが、手の指が指センサーによって検出される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は遠隔制御ロボットシステムのブロック図である。
【
図3】
図3はコンソール装置の左右のコンソールを示す。
【
図4】
図4はコンソール装置の左右のコンソールを示す。
【
図5】
図5は右のコンソールの遠位端に設けられるジンバル及びハンドコントローラーを示す。
【
図6】
図6は右のハンドコントローラーの斜視図である。
【
図7】
図7は右のハンドコントローラーの斜視図である。
【
図8】
図8は右のハンドコントローラーの側面図である。
【
図9】
図9は右のハンドコントローラーの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示の1つ以上の実施形態について説明する。実施形態の特徴及び技術的な効果は、以下の詳細な説明及び図面から理解される。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0010】
<1. 遠隔制御ロボットシステムの概要>
図1は、遠隔制御ロボットシステムのブロック図である。
【0011】
遠隔制御ロボットシステムは、ロボット1及びコンソール装置2を有する。コンソール装置2がマスターであり、ロボット1がスレーブである。医師などのようなオペレーターがコンソール装置2を操作すると、ロボット1がコンソール装置2の動作に追随して動作する。
【0012】
<2. ロボット>
ロボット1は、手術室などのような作業場に設置されている。ロボット1は、手術等のような作業を行うロボットである。ロボット1は、2体のマニピュレーター15、2体のエンドエフェクター16、カメラ18及びスレーブ制御部19及びベースを備える。
【0013】
2体のマニピュレーター15は、左右に並んで配置されているとともに、ベースに取り付けられている。マニピュレーター15は5自由度、6自由度又は7自由度の垂直多関節ロボットである。マニピュレーター15は、複数のリンク、複数の関節及び複数の駆動部を有する。これらリンクのうち近位のリンクがこれら関節のうち旋回の関節を介してベースに連結され、これらリンクがマニピュレーター15の近位端から遠位端にかけて順に関節によって連結されている。これら関節には、旋回の関節のほか、曲げ関節及びねじり関節がある。駆動部が関節に接続されている。駆動部が関節にトルクを付与することで、マニピュレーター15が動作する。ここで、遠位とは、ベースから遠い方をいい、近位とは、ベースに近い方をいう。
【0014】
エンドエフェクター16は、マニピュレーター15の遠位端に連結されている。エンドエフェクター16、例えば鉗子、摂子、剪刀、鑷子又はメスなどのような医療器具であってもよい。本実施形態では、エンドエフェクター16が鉗子である。
【0015】
カメラ18はベースに連結されている。カメラ18は補助マニピュレーター又はリンク機構を介してベースに連結されてもよい。カメラ18はスコープに設けられたものでもよい。カメラ18の撮影対象はマニピュレーター15、エンドエフェクター16又は作業対象であってよい。作業対象とは、エンドエフェクター16によって処置される対象のことをいう。例えば、作業対象は手術される患部であってよい。
【0016】
スレーブ制御部19は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、バス、バスコントローラー、インターフェース回路、駆動回路及び通信機器等を有する1又は複数のコンピューターである。スレーブ制御部19は、コンソール装置2のマスター制御部3から操作信号を入力する。スレーブ制御部19は、操作信号に従ってマニピュレーター15及びエンドエフェクター16を制御することによって、マニピュレーター15及びエンドエフェクター16をコンソール装置2のコンソール60に追随させる。
【0017】
<3. コンソール装置>
図2は、コンソール装置2の斜視図である。
【0018】
コンソール装置2は手術室などのような作業場から離れて設置されている。コンソール装置2は作業場に設置されてもよい。
【0019】
コンソール装置2は台車50、基台51、腰掛け52、第1表示部53、第2表示部54、フットスイッチ55、2体のコンソール60及びマスター制御部3を備える。
【0020】
マスター制御部3はCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、バス、バスコントローラー、インターフェース回路、駆動回路及び通信機器等を有する1又は複数のコンピューターである。マスター制御部3はコンソール装置2の制御を司る。マスター制御部3がネットワーク等を介してスレーブ制御部19と通信可能である。
【0021】
台車50は、ストッパー付きのキャスターを下部に有して、キャスターにより移動可能である。
基台51は、台車50の後部に固定されているとともに、台車50の後部から立ち上がった状態に設けられている。
腰掛け52は、台車50の前部に固定されているとともに、台車50の前部から立ち上がった状態に設けられている。オペレーターは、腰掛け52に腰掛けて、コンソール60及びフットスイッチ55を操作する。
【0022】
第1表示部53及び第2表示部54は、液晶ディスプレイデバイス及び有機ELディスプレイデバイス等のようなフルカラーのディスプレイデバイスである。第1表示部53及び第2表示部54は、上下に並べられているとともに、基台51の上に搭載されている。第1表示部53及び第2表示部54の表示面が前方に向けられている。第1表示部53は、カメラ18によって撮影された映像を表示する。第2表示部54は、ロボット1の状態、より具体的にはマニピュレーター15、エンドエフェクター16及びカメラ18の状態を表示する。
【0023】
フットスイッチ55は、基台51の下部に取り付けられている。フットスイッチ55がオペレーターによって踏まれることによって、フットスイッチ55がオンする。フットスイッチ55に対する踏みが解除されると、フットスイッチ55がオフする。フットスイッチ55がオンすると、フットスイッチ55がハイレベルのオン信号をマスター制御部3に出力する。オン信号はトリガである。フットスイッチ55がオフすると、フットスイッチ55がローレベルのオフ信号をマスター制御部3に出力する。フットスイッチ55は、コンソール60に対するマニピュレーター15及びエンドエフェクター16の追随をオン・オフするためのものである。
【0024】
2体のコンソール60は、基台51の上部に連結されているとともに、これらの間に間隔を置いて左右に並んでいる。これらコンソール60が基台51から前方に延びて、オペレーターが左右の手で左右のコンソール60をそれぞれ掴む。オペレーターが左手で左のコンソール60を動かすと、左のマニピュレーター15及びエンドエフェクター16が左のコンソール60の動作に追随して動作し、オペレーターが右手で右のコンソール60を動かすと、右のマニピュレーター15及びエンドエフェクター16が右のコンソール60の動作に追随して動作する。
【0025】
<3-1. コンソール>
図3は、左右のコンソール60の斜視図である。
図4は、左右のコンソール60の平面図である。
【0026】
図3及び
図4に示すように、コンソール60は、関節リンク機構79、ジンバル80及びハンドコントローラー90を備える。
図1に示すように、コンソール60は、関節リンク機構79の制御のために利用される駆動部67~69及びセンサー70~72を有する。
【0027】
関節リンク機構79の近位端が基台51に連結され、関節リンク機構79の遠位端がジンバル80に連結され、ハンドコントローラー90がジンバル80に連結されている。ここで、遠位とは、基台51から遠い方をいい、近位とは、基台51に近い方をいう。
【0028】
関節リンク機構79は、3軸の自由度でジンバル80及びハンドコントローラー90を並進移動可能に支持する。ジンバル80は、3軸の自由度でハンドコントローラー90を回転可能に支持する。オペレーターがハンドコントローラー90を握ってハンドコントローラー90を移動させると、ハンドコントローラー90の姿勢及び向きがジンバル80によって変更され、ハンドコントローラー90及びジンバル80が関節リンク機構79によって並進される。
【0029】
関節リンク機構79は、旋回部61、近位リンク62、遠位リンク63、第1関節64、第2関節65及び第3関節66を有する。
【0030】
旋回部61は、第1関節64によって基台51の上部に回転可能に連結されている。旋回部61は、第1関節64により、鉛直な旋回軸の回りに基台51に対して相対的に旋回するように設けられている。旋回部61及び第1関節64は、関節リンク機構79の近位端に相当する。
【0031】
ロータリーエンコーダーなどのような旋回角センサー70が基台51に設けられ、モーター等のような第1駆動部67が基台51に設けられている。旋回角センサー70及び第1駆動部67は第1関節64に連結されている。旋回角センサー70は、旋回軸回りの旋回部61の旋回角を検出して、その検出値をマスター制御部3に出力する。マスター制御部3は、旋回角センサー70の検出値をスレーブ制御部19に転送する。スレーブ制御部19は、旋回角センサー70の検出値に従ってマニピュレーター15を制御する。
第1駆動部67は、旋回軸回りのトルクを第1関節64及び旋回部61に付与する。
【0032】
近位リンク62の近位端は、第2関節65によって旋回部61に回転可能に連結されている。近位リンク62は、第2関節65により、左右に延びる水平な第1スイング軸の回りに旋回部61に対して相対的に振り上げ下げされるように設けられている。近位リンク62が平行リンク機構などのようなリンク機構によって構成されてもよい。
【0033】
ロータリーエンコーダーなどのような第1スイング角センサー71が旋回部61に設けられ、モーター等のような第2駆動部68が旋回部61に設けられている。第2駆動部68及び第1スイング角センサー71は第2関節65に連結されている。第1スイング角センサー71は、第1スイング軸の回りの近位リンク62の第1スイング角を検出して、その検出値をマスター制御部3に出力する。マスター制御部3は、第1スイング角センサー71の検出値をスレーブ制御部19に転送する。スレーブ制御部19は、第1スイング角センサー71の検出値に基づいてマニピュレーター15を制御する。
第2駆動部68は、第1スイング軸の回りのトルクを第2関節65及び近位リンク62に付与する。
【0034】
遠位リンク63の近位端は、第3関節66によって近位リンク62の遠位端に回転可能に連結されている。遠位リンク63は、第3関節66により、第1スイング軸に対して平行な第2スイング軸の回りに近位リンク62に対して相対的に振り上げ下げするように設けられている。遠位リンク63が平行リンク機構などのようなリンク機構によって構成されてもよい。
【0035】
ロータリーエンコーダーなどのような第2スイング角センサー72が旋回部61に設けられ、モーター等のような第3駆動部69が旋回部61に設けられている。第2スイング角センサー72及び第3駆動部69はリンク機構等を介して第3関節66に連結されている。第2スイング角センサー72は、第2スイング軸の回りの遠位リンク63の第2スイング角を検出して、その検出値をマスター制御部3に出力する。マスター制御部3は、第2スイング角センサー72の検出値をスレーブ制御部19に転送する。スレーブ制御部19は、第2スイング角センサー72の検出値に基づいてマニピュレーター15を制御する。
第3駆動部69は、第2スイング軸の回りのトルクを第3関節66及び遠位リンク63に付与する。
【0036】
遠位リンク63の遠位端が関節リンク機構79の遠位端に相当し、ジンバル80が遠位リンク63の遠位端に取り付けられている。
【0037】
ジンバル80は、連結アーム81、第1回転アーム82、第2回転アーム83、関節84~86、駆動部91~93及び角センサー94~96を有する。
【0038】
連結アーム81の近位端は、遠位リンク63の遠位端に取り付けられている。連結アーム81は、遠位リンク63が振り上げ下げする面内において、連結アーム81の近位端から遠位端にかけてL字状に曲がった形状を成している。
【0039】
第1回転アーム82の近位端は、関節84によって連結アーム81の遠位端に回転可能に連結されている。第1回転アーム82は、関節84におけるヨー軸111の回りに連結アーム81に対して相対的に回転可能に設けられている。ヨー軸111は、遠位リンク63が振り上げ下げする面に沿っている。
【0040】
ロータリーエンコーダーなどのようなヨー角センサー94が関節84に連結され、モーター等のようなヨー駆動部91が関節84に連結されている。ヨー角センサー94は、ヨー軸111の回りの第1回転アーム82のヨー角を検出して、その検出値をマスター制御部3に出力する。マスター制御部3は、ヨー角センサー94の検出値をスレーブ制御部19に転送する。スレーブ制御部19は、ヨー角センサー94の検出値に基づいてマニピュレーター15を制御する。
ヨー駆動部91はヨー軸111の回りのトルクを関節84及び第1回転アーム82に付与する。
【0041】
第2回転アーム83の近位端は、関節85によって第1回転アーム82の遠位端に回転可能に連結されている。第2回転アーム83は、関節85におけるピッチ軸112の回りに第1回転アーム82に対して相対的に回転可能に設けられている。ピッチ軸112は、ヨー軸111に対して直交する。
【0042】
ロータリーエンコーダーなどのようなピッチ角センサー95が関節85に連結され、モーター等のようなピッチ駆動部92が関節85に連結されている。ピッチ角センサー95は、ピッチ軸112の回りの第1回転アーム82のピッチ角を検出して、その検出値をマスター制御部3に出力する。マスター制御部3は、ピッチ角センサー95の検出値をスレーブ制御部19に転送する。スレーブ制御部19は、ピッチ角センサー95の検出値に基づいてマニピュレーター15を制御する。
ピッチ駆動部92はピッチ軸112の回りのトルクを関節85及び第2回転アーム83に付与する。
【0043】
ハンドコントローラー90は、関節86によって第2回転アーム83の遠位端に回転可能に連結されている。ハンドコントローラー90は、関節86におけるロール軸113の回りに第2回転アーム83に対して相対的に回転可能に設けられている。ロール軸113とピッチ軸112とヨー軸111は、共通交点において互いに交差する。タブ87は、関節86から前記共通交点に向けて延設されている。
【0044】
ロータリーエンコーダーなどのようなロール角センサー96が関節86に連結され、モーター等のようなロール駆動部93が関節86に連結されている。ロール角センサー96は、ロール軸113の回りのタブ87のロール角を検出して、その検出値をマスター制御部3に出力する。マスター制御部3は、ロール角センサー96の検出値をスレーブ制御部19に転送する。スレーブ制御部19は、ロール角センサー96の検出値に基づいてマニピュレーター15を制御する。
ロール駆動部93はロール軸113の回りのトルクを関節86及びタブ87に付与する。
【0045】
<3-2. ハンドコントローラー>
図6及び
図7はハンドコントローラー90の斜視図である。
図8及び
図9はハンドコントローラー90の側面図である。
【0046】
ハンドコントローラー90は、タブ87、ハンドル88、操作レバー89、ピンチ駆動部97、揺動角センサー98、指センサー99及びリニアガイド100を有する。
【0047】
タブ87は、関節86によって第2回転アーム83の遠位端に回転可能に連結されている。タブ87は、関節86におけるロール軸113の回りに第2回転アーム83に対して相対的に回転可能に設けられている。ロール軸113はピッチ軸112に対して直交する。ロール軸113とピッチ軸112とヨー軸111は、共通交点において互いに交差する。タブ87は、関節86から前記共通交点に向けてロール軸113に沿って延設されている。
【0048】
タブ87は直方体に形作られている。タブ87の形状は、ロール軸113に沿った中心軸を有した円柱状又は楕円柱状であってもよい。
【0049】
タブ87は第1側面87a、第2側面87b、端面87c、上面87d及び下面87eを有する。第1側面87a及び第2側面87bは、互いに反対を向いている。第1側面87a及び第2側面87bは、関節86からロール軸113に沿って端面87cの方へ広がって設けられている。関節86からロール軸113に沿って端面87cの方へ広がって設けられている。上面87dは、第1側面87aの上縁と第2側面87bの上縁とに設けられている。端面87cは、関節86からロール軸113の方向に離れた位置において、第1側面87aの後縁と第2側面87bの後縁の間に設けられている。端面87cは、上面87dの後縁と下面87eの後縁の間に設けられている。
【0050】
操作レバー89は操作部である。操作レバー89は、タブ87の第1側面87aに向かい合って配置されている。操作レバー89の近位端が、関節86寄りにおいて、ロール軸113に対して直交する軸の回りに回転可能にタブ87に連結されている。操作レバー89は、その近位端から遠位端にかけてロール軸113に沿って延びている。操作レバー89は、タブ87の第1側面87aに対して接離するよう、その近位端の軸の回りに揺動可能である。オペレーターが、主に人差し指によって操作レバー89を揺動させることによって、操作レバー89をタブ87の第1側面87aに対して接離させる。
【0051】
ピンチ駆動部97は、例えばモーターを有する。ピンチ駆動部97は、操作レバー89にトルクを付与する。
【0052】
揺動角センサー98は、例えば、ロータリーエンコーダーを有する。揺動角センサー98は、操作レバー89の揺動角を検出して、その検出値をマスター制御部3に出力する。マスター制御部3は、揺動角センサー98の検出値をスレーブ制御部19に転送する。スレーブ制御部19は、揺動角センサー98の検出値に基づいてエンドエフェクター16を制御する。
【0053】
指センサー99は、タブ87の第2側面87bに設けられている。指センサー99は、例えば、反射型光センサー、静電容量式タッチセンサー、感圧スイッチ、メンブレンスイッチ、タクタイルスイッチ、モーメンタリースイッチ、ドームスイッチ又はメンブレンスイッチである。オペレーターの指、例えば親指が第2側面87bに配置されて指センサー99に添えられると、指センサー99がオンしてその指を検出する。そのため、指センサー99がハイレベルのオン信号をマスター制御部3に出力する。オペレーターの指が指センサー99及び第2側面87bから離れると、指センサー99がオフしてその指を検出しない。そのため、指センサー99がローレベルのオフ信号をマスター制御部3に出力する。
【0054】
指センサー99は、コンソール60に対するマニピュレーター15及びエンドエフェクター16の追随をオン・オフするためのものである。具体的には、コンソール60に対するマニピュレーター15及びエンドエフェクター16の追随中にオペレーターが不意にハンドコントローラー90を放してしまった場合に、指センサー99はその追随をオフするためのものである。
【0055】
リニアガイド100は、タブ87の内部に取り付けられている。リニアガイド100の一部が、タブ87の内部からタブ87の端面87cを貫通して、タブ87の外に突き出ている。リニアガイド100は、ハンドル88をロール軸113に沿って案内する。
【0056】
ハンドル88は、タブ87の端面87cに向かい合って配置されている。ハンドル88は、リニアガイド100に連結されている。ハンドル88は、リニアガイド100から、ロール軸113に対して交差する方向に延びている。ハンドル88は、ロール軸113に対して交差する中心軸を有した柱状、より具体的には円柱状に形作られている。ハンドル88は、その中心軸の回りに、リニアガイド100に対して相対的に回転可能であってもよい。ハンドル88は、リニアガイド100に対して固定されてもよい。
【0057】
ハンドル88は、リニアガイド100により、ロール軸113に沿ってタブ87の端面87cに対して接離するよう移動可能に設けられている。リニアガイド100は、ハンドル88がタブ87の端面87cに最も近い位置からハンドル88がタブ87の端面87cから最も離れた位置までの移動範囲を設定するストッパーを有する。
【0058】
オペレーターは、手の平をハンドル88に当ててハンドル88を手の平で握って、指でタブ87及び操作レバー89を摘まむ。オペレーターがこのようにハンドコントローラー90を把持すれば、ハンドコントローラー90の操作の際のオペレーターの手の負担が軽減される上、オペレーターがハンドコントローラー90を精度良く繊細に操作することができる。
【0059】
ハンドル88がタブ87の端面87cに対して接離可能であるため、オペレーターが手のサイズに合わせてハンドル88の位置を調整することができるとともに、指を指センサー99に添えることができる。
【0060】
オペレーターはハンドル88を握った状態で手首、腕、肩及び上体などを動かすことによって、旋回部61、近位リンク62、遠位リンク63及びジンバル80を操作する。オペレーターが旋回部61、近位リンク62、遠位リンク63及びジンバル80を操作する際に、マスター制御部3が旋回角センサー70、第1スイング角センサー71、第2スイング角センサー72、ヨー角センサー94、ピッチ角センサー95及びロール角センサー96の検出値をスレーブ制御部19に転送する。スレーブ制御部19が旋回角センサー70、第1スイング角センサー71、第2スイング角センサー72、ヨー角センサー94、ピッチ角センサー95及びロール角センサー96の検出値に基づいてマニピュレーター15を制御する。これにより、左のマニピュレーター15が左のコンソール60の動作に追随し、右のマニピュレーター15が右のコンソール60の動作に追随する。
【0061】
オペレーターが指によって操作レバー89を揺動させる際に、マスター制御部3が揺動角センサー98の検出値をスレーブ制御部19に転送する。スレーブ制御部19が揺動角センサー98の検出値に基づいてエンドエフェクター16を制御する。これにより、左のエンドエフェクター16が左のハンドコントローラー90の操作レバー89の揺動に追随し、右のエンドエフェクター16が右のハンドコントローラー90の操作レバー89の動作に追随する。
【0062】
<4. モード>
マスター制御部3及びスレーブ制御部19は操作モードとスタンバイモードと安全モードとの間で切り替わる。
【0063】
<4-1. 操作モード>
マスター制御部3及びスレーブ制御部19が操作モードにある場合、マスター制御部3がスレーブ制御部19を通じてマニピュレーター15及びエンドエフェクター16を制御可能である。具体的には、マスター制御部3が旋回角センサー70、第1スイング角センサー71、第2スイング角センサー72、ヨー角センサー94、ピッチ角センサー95及びロール角センサー96の検出値をスレーブ制御部19に転送する。スレーブ制御部19がマスター制御部3からの信号を無視することなく、旋回角センサー70、第1スイング角センサー71、第2スイング角センサー72、ヨー角センサー94、ピッチ角センサー95及びロール角センサー96の検出値に基づいてマニピュレーター15を制御する。これにより、左のマニピュレーター15が左のコンソール60の動作に追随し、右のマニピュレーター15が右のコンソール60の動作に追随する。
【0064】
また、マスター制御部3が揺動角センサー98の検出値をスレーブ制御部19に転送する。スレーブ制御部19がマスター制御部3からの信号を無視することなく、揺動角センサー98の検出値に基づいてエンドエフェクター16を制御する。これにより、左のエンドエフェクター16が左のハンドコントローラー90の操作レバー89の揺動に追随し、右のエンドエフェクター16が右のハンドコントローラー90の操作レバー89の動作に追随する。
【0065】
<4-2. スタンバイモード>
マスター制御部3及びスレーブ制御部19がスタンバイモードにある場合、マスター制御部3がスレーブ制御部19を通じてマニピュレーター15及びエンドエフェクター16を制御不能である。具体的には、マスター制御部3が旋回角センサー70、第1スイング角センサー71、第2スイング角センサー72、ヨー角センサー94、ピッチ角センサー95及びロール角センサー96の検出値をスレーブ制御部19に転送しても、スレーブ制御部19がマスター制御部3からの信号を無視する。そのため、オペレーターが左右のコンソール60を操作しても、左右のマニピュレーター15が動作しない。
【0066】
マスター制御部3が揺動角センサー98の検出値をスレーブ制御部19に転送しても、スレーブ制御部19がマスター制御部3からの信号を無視する。そのため、オペレーターが左右のハンドコントローラー90の操作レバー89を揺動させても、左右のエンドエフェクター16が動作しない。
【0067】
マスター制御部3が旋回角センサー70の検出値に基づいて第1駆動部67を制御することによって、第1駆動部67はオペレーターが旋回部61に与えるトルクに釣り合う抵抗トルクを第1関節64及び旋回部61に発生させる。例えば、マスター制御部3は、第1関節64における旋回部61の旋回角の変化をゼロにするよう、旋回角センサー70の検出値の検出値に基づいて第1駆動部67をフィードバック制御する。従って、オペレーターが左右のコンソール60を旋回させようとしても、左右のコンソール60が固定されて旋回しない。
【0068】
同様に、マスター制御部3が第2駆動部68を制御することによって、第2駆動部68はオペレーターが近位リンク62に与えるトルクに釣り合う抵抗トルクを第2関節65及び近位リンク62に発生させる。マスター制御部3が第3駆動部69を制御することによって、第3駆動部69はオペレーターが遠位リンク63に与えるトルクに釣り合う抵抗トルクを第3関節66及び遠位リンク63に発生させる。マスター制御部3がヨー角センサー94に基づいてヨー駆動部91を制御することによって、ヨー駆動部91はオペレーターが第1回転アーム82に与えるトルクに釣り合う抵抗トルクを関節84及び第1回転アーム82に発生させる。マスター制御部3がピッチ角センサー95に基づいてピッチ駆動部93を制御することによって、ヨー駆動部91はオペレーターが第2回転アーム83に与えるトルクに釣り合う抵抗トルクを関節85及び第2回転アーム83に発生させる。マスター制御部3がロール角センサー96に基づいてロール駆動部93を制御することによって、ロール駆動部93はオペレーターがハンドコントローラー90のタブ87に与えるトルクに釣り合う抵抗トルクを関節86及びタブ87に発生させる。従って、オペレーターが左右のコンソール60及び左右のジンバル80を動かそうとしても、左右のコンソール60及び左右のジンバル80が固定されて動かない。
【0069】
マスター制御部3が揺動角センサー98の検出値に基づいてピンチ駆動部97を制御することによって、ピンチ駆動部97はオペレーターが操作レバー89に与えるトルクに釣り合う抵抗トルクを操作レバー89に発生させる。例えば、マスター制御部3は、操作レバー89の揺動角の変化をゼロにするよう、揺動角センサー98の検出値に基づいてピンチ駆動部97をフィードバック制御する。従って、オペレーターが左右のハンドコントローラー90の操作レバー89を旋回させようとしても、これら操作レバー89が固定されて旋回しない。
【0070】
<4-3. 安全モード>
マスター制御部3及びスレーブ制御部19が安全モードにある場合、マスター制御部3がスレーブ制御部19を通じてマニピュレーター15及びエンドエフェクター16を制御不能である。安全モードにおけるマスター制御部3の処理はスタンバイモードにおけるマスター制御部3の処理と同じである。安全モードにおけるスレーブ制御部19の処理はスタンバイモードにおけるスレーブ制御部19の処理と同じである。
【0071】
<5. モードの切り替え>
<5-1. スタンバイモードの時>
初期には、マスター制御部3及びスレーブ制御部19がスタンバイモードにある。
【0072】
マスター制御部3は、左右の指センサー99の信号とフットスイッチ55の信号の論理積を演算する。マスター制御部3は、スタンバイモードから操作モードに切り替わるか否かを論理積に基づき判定する。
【0073】
オペレーターが左右の指センサー99に指を添えて、マスター制御部3が左右の指センサー99からオン信号を入力する。その時に、オペレーターがフットスイッチ55を足で踏んで、マスター制御部3がフットスイッチ55からオン信号を入力すると、左右の指センサー99の信号とフットスイッチ55の信号の論理積が「真」になる。そのため、マスター制御部3がスタンバイモードから操作モードに切り替わる。マスター制御部3が操作モードに切り替わると、マスター制御部3が操作モードの旨をスレーブ制御部19に送信する。これにより、スレーブ制御部19がスタンバイモードから操作モードに切り替わる。
【0074】
一方、オペレーターが左、右又は両方の指センサー99から指を放すと、マスター制御部3が左、右又は両方の指センサー99からオフ信号を入力する。その時に、オペレーターがフットスイッチ55を足で踏んで、マスター制御部3がフットスイッチ55からオン信号を入力しても、左右の指センサー99の信号とフットスイッチ55の信号の論理積が「偽」である。そのため、マスター制御部3がスタンバイモードを維持する。スレーブ制御部19もスタンバイモードを維持する。
【0075】
そのため、オペレーターがハンドコントローラー90を適切に把持した場合には、オペレーターがフットスイッチ55を踏むことによってコンソール60を用いてマニピュレーター15及びエンドエフェクター16を操作できる。オペレーターがハンドコントローラー90を適切に把持していなければ、オペレーターがフットスイッチ55を踏んでも、オペレーターはコンソール60を用いたマニピュレーター15及びエンドエフェクター16の操作ができない。
【0076】
<5-2. 操作モードの時>
マスター制御部3及びスレーブ制御部19が操作モードに切り替わった時には、オペレーターが左右の指センサー99に指を添えているため、マスター制御部3が左右の指センサー99からオン信号を入力する。
【0077】
マスター制御部3は、左右の指センサー99の信号の否定論理積を演算する。マスター制御部3は、操作モードから安全モードに切り替わるか否かを否定論理積に基づき判定する。
【0078】
オペレーターが左右の指センサー99から指を添えたままでいると、マスター制御部3が左右の指センサー99からオン信号を入力する。左右の指センサー99の信号の否定論理積が「偽」であるため、マスター制御部3が操作モードを維持する。スレーブ制御部19も操作モードを維持する。
【0079】
オペレーターが左、右又は両方の指センサー99から指を放すと、マスター制御部3が左、右又は両方の指センサー99からオフ信号を入力する。左右の指センサー99の信号の否定論理積が「真」になるため、マスター制御部3が操作モードから安全モードに切り替わる。マスター制御部3が安全モードに切り替わると、マスター制御部3が安全モードの旨をスレーブ制御部19に送信する。これにより、スレーブ制御部19が操作モードから安全モードに切り替わる。そのため、オペレーターが誤ってハンドコントローラー90を放してしまっても、マニピュレーター15及びエンドエフェクター16が固定されて動作しない。
【0080】
更に、マスター制御部3は、左右の指センサー99の信号とフットスイッチ55の信号の論理積を演算する。マスター制御部3は、操作モードからスタンバイモードに切り替わるか否かを論理積に基づき判定する。
【0081】
オペレーターが左右の指センサー99から指を添えたままでいると、マスター制御部3が左右の指センサー99からオン信号を入力する。その時に、オペレーターがフットスイッチ55を足で踏んで、マスター制御部3がフットスイッチ55からオン信号を入力すると、左右の指センサー99の信号とフットスイッチ55の信号の論理積が「真」になる。そのため、マスター制御部3が操作モードからスタンバイモードに切り替わる。マスター制御部3がスタンバイモードに切り替わると、マスター制御部3がスタンバイモードの旨をスレーブ制御部19に送信する。これにより、スレーブ制御部19が操作モードからスタンバイモードに切り替わる。一方、オペレーターが左右の指センサー99から指を添えたままフットスイッチ55を足で踏まなければ、左右の指センサー99の信号とフットスイッチ55の信号の論理積が「偽」であるため、マスター制御部3が操作モードを維持する。
【0082】
<5-3. 安全モードの時>
マスター制御部3及びスレーブ制御部19が安全モードに切り替わった時には、オペレーターが左、右又は両方の指センサー99から指を放しているため、マスター制御部3が左、右又は両方の指センサー99からオフ信号を入力する。
【0083】
マスター制御部3及びスレーブ制御部19が安全モードに切り替わった時に、マスター制御部3が計時を開始する。マスター制御部3は計時中に左右の指センサー99の信号の論理積を演算する。マスター制御部3は計時中に安全モードから操作モードに切り替わるか否かを論理積に基づき判定する。
【0084】
計時中にオペレーターが左右の指センサー99から指を添えると、マスター制御部3が左右の指センサー99からオン信号を入力する。左右の指センサー99の信号の論理積が「真」になるため、マスター制御部3が安全モードから操作モードに切り替わる。マスター制御部3が操作モードに切り替わると、マスター制御部3が計時を終了して計時時間をリセットする。その上で、マスター制御部3が操作モードの旨をスレーブ制御部19に送信する。これにより、スレーブ制御部19が安全モードから操作モードに切り替わる。そのため、オペレーターがハンドコントローラー90を適切に把持し直せば、オペレーターがコンソール60を用いてマニピュレーター15及びエンドエフェクター16を操作できる。
【0085】
一方、計時中にオペレーターが左、右又は両方の指センサー99から指を放したままでいると、マスター制御部3が左、右又は両方の指センサー99からオフ信号を入力する。左右の指センサー99の信号の論理積が「偽」であるため、マスター制御部3が安全モードを維持した上で、計時を継続する。
【0086】
マスター制御部3は計時中に安全モードからスタンバイモードに切り替わるか否かをフットスイッチ55の信号に基づき判定する。そのため、オペレーターがフットスイッチ55を足で踏んで、マスター制御部3がフットスイッチ55からオン信号を入力すると、マスター制御部3が安全モードからスタンバイモードに切り替わる。マスター制御部3がスタンバイモードに切り替わると、マスター制御部3が計時を終了して計時時間をリセットする。その上で、マスター制御部3がスタンバイモードの旨をスレーブ制御部19に送信する。これにより、スレーブ制御部19が安全モードからスタンバイモードに切り替わる。
【0087】
オペレーターがフットスイッチ55を踏むことなく左、右又は両方の指センサー99から指を放したまま、マスター制御部3による計時の時間が例えば5秒などのような所定時間に到達する。そうすると、マスター制御部3が安全モードからスタンバイモードに切り替わる。マスター制御部3がスタンバイモードに切り替わると、マスター制御部3が計時を終了して計時時間をリセットする。その上で、マスター制御部3がスタンバイモードの旨をスレーブ制御部19に送信する。これにより、スレーブ制御部19が安全モードからスタンバイモードに切り替わる。そのため、オペレーターがハンドコントローラー90を適切に把持してオペレーターがフットスイッチ55を再度踏まなければ、オペレーターがマニピュレーター15及びエンドエフェクター16を操作することができない。
なお、所定時間は5秒に限らず、5秒未満であってもよいし、5秒以上であってもよい。
【0088】
<6. 有利な効果>
(1) オペレーターが手の平をハンドル88に当ててハンドル88を手の平で握って、指でタブ87及び操作レバー89を摘まむため、ハンドコントローラー90の操作の際のオペレーターの手の負担が軽減される。また、オペレーターがハンドコントローラー90を精度良く繊細に操作することができる。オペレーターはハンドコントローラー90を把持した上で、指で操作レバー89を動かすことができる。
【0089】
(2) ハンドル88がタブ87の端面87cに対して接離可能であるため、オペレーターの手のサイズに関わらず、オペレーターがハンドル88を手の平で握って、指を指センサー99に添えることができる。オペレーターの手が大きかろうが小さかろうが、手の指が指センサー99によって検出される。
【0090】
(3) マスター制御部3及びスレーブ制御部19がスタンバイモードにある場合、オペレーターがハンドコントローラー90を適切に把持していなければ、オペレーターの指が指センサー99によって検出されない。そうした場合、オペレーターがフットスイッチ55を踏んでも、マスター制御部3及びスレーブ制御部19が操作モードに切り替わらない。そのため、オペレーターはコンソール60を用いたマニピュレーター15及びエンドエフェクター16の操作ができない。一方、オペレーターがハンドコントローラー90を適切に把持していれば、オペレーターの指が指センサー99によって検出される。そうした場合、オペレーターがフットスイッチ55を踏むことによってコンソール60を用いてマニピュレーター15及びエンドエフェクター16を操作できる。
【0091】
(4) マスター制御部3及びスレーブ制御部19が操作モードにある場合、オペレーターが誤ってハンドコントローラー90を放してしまうと、指が指センサー99によって検出されない。マスター制御部3及びスレーブ制御部19が安全モードに切り替わって、コンソール60、マニピュレーター15及びエンドエフェクター16が固定されて動かない。このことは、コンソール60、マニピュレーター15及びエンドエフェクター16の誤操作の防止に寄与する。
【0092】
(5) マスター制御部3及びスレーブ制御部19が操作モードにある場合、オペレーターが誤ってハンドコントローラー90を放してしまった後にすぐにハンドコントローラー90を再度適切に把持すれば、指が指センサー99によって検出される。その場合、マスター制御部3及びスレーブ制御部19が安全モードから操作モードに戻るため、オペレーターがコンソール60、マニピュレーター15及びエンドエフェクター16を継続して操作することができる。
【0093】
(6) マスター制御部3及びスレーブ制御部19が操作モードにある場合、オペレーターが誤ってハンドコントローラー90を放してしまった後にハンドコントローラー90を放しっぱなしにすると、マスター制御部3及びスレーブ制御部19がスタンバイモードに切り替わる。このことは、コンソール60、マニピュレーター15及びエンドエフェクター16の誤操作の防止に寄与する。
【符号の説明】
【0094】
2 コンソール装置
3 マスター制御部
55 フットスイッチ
70 旋回角センサー
71 第1スイング角センサー
72 第2スイング角センサー
79 関節リンク機構
87 タブ
87a 第1側面
87b 第2側面
87c 端面
88 ハンドル
89 操作レバー
90 ハンドコントローラー
【要約】
本開示の1以上の実施形態の目的は、左右の関節リンク機構の相互接触を防止することである。
ハンドコントローラーは、タブ、ハンドル、操作部及び指センサーを備える。前記タブは、互いに反対を向いた第1側面及び第2側面を有し、前記第1側面から前記第2側面まで設けられた端面を有する。前記ハンドルは、前記タブの前記端面に向かい合って配置され、前記タブの前記端面に対して接離するよう前記タブに取り付けられる。前記操作部は、前記タブの前記第1側面に向かい合って配置され、前記タブの前記第1側面に対して接離するよう前記タブに連結される。前記指センサーは、前記タブの前記第2側面に設けられ、オペレーターの手の指を検出する。