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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】レンズホルダ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/04 20210101AFI20241217BHJP
   G03B 30/00 20210101ALI20241217BHJP
   G02B 7/08 20210101ALI20241217BHJP
【FI】
G02B7/04 E
G02B7/04 D
G03B30/00
G02B7/08 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021147092
(22)【出願日】2021-09-09
(65)【公開番号】P2023039796
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 克俊
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-222876(JP,A)
【文献】特開2006-98580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02 - 7/16
G03B 30/00
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 -23/76
H04N 23/90 -23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定側部材と、
レンズ体を保持可能なレンズホルダと、
前記固定側部材に設けられ、前記レンズホルダを案内できるように光軸方向に沿って延びる軸部材と、
光軸方向と交差する方向に延在する圧電素子を有し、前記圧電素子の動きによって光軸方向に沿って前記レンズホルダを移動させる圧電駆動部と、を備えたレンズホルダ駆動装置において、
前記圧電駆動部は、前記固定側部材に設けられ、
前記レンズホルダには、前記圧電駆動部と接触するように前記圧電駆動部に対向するとともに前記圧電素子の延在方向と交差する方向に延び、前記圧電素子の動きを受ける受け部材が設けられ、
前記圧電駆動部は、前記圧電素子の前記レンズホルダ側の面に接触部材を有し、前記受け部材と前記接触部材とが接触するように、前記固定側部材に設けられた付勢部材によって前記受け部材側に付勢されている、
ことを特徴とするレンズホルダ駆動装置。
【請求項2】
前記レンズホルダは、前記レンズ体を保持する保持部と、前記軸部材を受ける軸受け部と、を有し、
前記受け部材は、前記レンズホルダとは別の部材で構成され、前記軸受け部に固定され、且つ、光軸方向において前記保持部よりも長く、
前記軸受け部は、光軸方向において前記保持部よりも長い、
請求項1に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項3】
前記軸部材は、第1軸部材と第2軸部材とを含み、
前記受け部材は、前記第1軸部材の軸線と前記第2軸部材の軸線とを含む仮想平面から離れた位置に設けられている、
請求項1又は請求項2に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項4】
前記固定側部材は、底面部を備え、
前記レンズホルダは、上方が開放されて前記レンズ体を挿入可能となっており、
前記受け部材は、前記仮想平面よりも上側に位置している、
請求項3に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項5】
前記受け部材及び前記接触部材は何れも金属で形成されており、
前記受け部材は前記接触部材よりも硬い、
請求項1乃至請求項4の何れかに記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項6】
前記付勢部材は、光軸方向に延在する板ばね部材によって構成され、前記固定側部材に固定される一対の固定部と、前記圧電駆動部を支持する支持部と、一対の前記固定部のそれぞれと前記支持部との間に設けられた一対の弾性変形可能な弾性変形部とを有する、
請求項1乃至請求項5の何れかに記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項7】
前記レンズホルダは、光軸方向に貫通する複数の貫通孔を有し、
複数の前記貫通孔のそれぞれは、上方に開く第1溝部と下方に開く第2溝部との組み合わせで構成されている、
請求項1乃至請求項6の何れかに記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項8】
前記レンズホルダには、光軸方向に延在する磁界発生部材が設けられており、
前記磁界発生部材は、光軸方向と直交する第1方向における一端部がN極となり他端部がS極となるように着磁された磁石と、前記一端部に固定された一端側磁性部材と、前記他端部に固定された他端側磁性部材とを有し、
前記一端側磁性部材は、前記他端部側へ突出するような複数の第1突出部を有し、
前記他端側磁性部材は、前記一端部側へ突出するような複数の第2突出部を有し、
前記第1突出部と前記第2突出部とは、互いに逆向きに突出するとともに前記磁界発生部材の延在方向において交互に配置され、
前記固定側部材には、前記第1突出部及び前記第2突出部のそれぞれが発生させる磁界を検出する磁気センサが設けられている、
請求項1乃至請求項7の何れかに記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項9】
前記レンズ体は、共通の光軸を有する第1レンズ体と第2レンズ体とを含み、
前記レンズホルダは、前記第1レンズ体を保持する第1レンズホルダと前記第2レンズ体を保持する第2レンズホルダとを含み、
前記軸部材は、第1軸部材と第2軸部材とを含み、
前記圧電駆動部は、光軸方向と交差する方向に延在する第1圧電素子を有し、前記第1圧電素子の動きによって光軸方向に沿って前記第1レンズホルダを移動させる第1圧電駆動部と、光軸方向と交差する方向に延在する第2圧電素子を有し、前記第2圧電素子の動きによって光軸方向に沿って前記第2レンズホルダを移動させる第2圧電駆動部と、を含み、
前記第1レンズホルダと前記第2レンズホルダとは、光軸方向において互いに対向するように配置され、
前記第1圧電駆動部及び前記第2圧電駆動部は何れも前記固定側部材に設けられており、
前記第1レンズホルダには、前記第1圧電駆動部と接触するように前記第1圧電駆動部に対向するとともに前記第1圧電素子の延在方向と交差する方向に延び、前記第1圧電素子の動きを受ける第1受け部材が設けられ、
前記第1レンズホルダは、前記第1軸部材に近い部分と前記第2軸部材に近い部分とを有し、
前記第1受け部材は、前記レンズホルダにおける前記第1軸部材に近い部分において前記第1レンズホルダに設けられ、
前記第2レンズホルダには、前記第2圧電駆動部と接触するように前記第2圧電駆動部に対向するとともに前記第2圧電素子の延在方向と交差する方向に延び、前記第2圧電素子の動きを受ける第2受け部材が設けられ、
前記第2レンズホルダは、前記第1軸部材に近い部分と前記第2軸部材に近い部分とを有し、
前記第2受け部材は、前記第2レンズホルダにおける前記第2軸部材に近い部分において前記第2レンズホルダに設けられ、
前記第1圧電駆動部は、前記第1圧電素子の前記第1レンズホルダ側の面に第1接触部材を有し、前記第1受け部材と前記第1接触部材とが接触するように、前記固定側部材に設けられた第1付勢部材によって前記第1受け部材側に付勢されており、
前記第2圧電駆動部は、前記第2圧電素子の前記第2レンズホルダ側の面に第2接触部材を有し、前記第2受け部材と前記第2接触部材とが接触するように、前記固定側部材に設けられた第2付勢部材によって前記第2受け部材側に付勢されている、
請求項1に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項10】
前記第1レンズホルダは、前記第1レンズ体を保持する第1保持部を有し、
前記第1受け部材は、光軸方向において前記第1保持部よりも長くなるように形成され、
前記第2レンズホルダは、前記第2レンズ体を保持する第2保持部を有し、
前記第2受け部材は、光軸方向において前記第2保持部よりも長くなるように形成され、
前記第1保持部と前記第2保持部とが互いに近づいた状態にあるとき、前記第1受け部材の少なくとも一部と前記第2受け部材の少なくとも一部とは、光軸方向においてオーバーラップするように構成されている、
請求項9に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項11】
前記第1受け部材及び前記第2受け部材は何れも、前記第1軸部材の軸線と前記第2軸部材の軸線とを含む仮想平面から離れた位置に設けられている、
請求項9又は請求項10に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項12】
前記固定側部材は、底面部を備え、
前記第1レンズホルダは、上方が開放されて前記第1レンズ体を挿入可能となっており、
前記第1受け部材は、前記仮想平面よりも上側に位置しており、
前記第2レンズホルダは、上方が開放されて前記第2レンズ体を挿入可能となっており、
前記第2受け部材は、前記仮想平面よりも上側に位置している、
請求項11に記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項13】
前記第1付勢部材は、光軸方向に延在する板ばね部材によって構成され、前記固定側部材に固定される一対の第1固定部と、前記第1圧電駆動部を支持する第1支持部と、一対の前記第1固定部のそれぞれと前記第1支持部との間に設けられた弾性変形可能な一対の第1弾性変形部とを有し、
前記第2付勢部材は、光軸方向に延在する板ばね部材によって構成され、前記固定側部材に固定される一対の第2固定部と、前記第2圧電駆動部を支持する第2支持部と、一対の前記第2固定部のそれぞれと前記第2支持部との間に設けられた一対の弾性変形可能な第2弾性変形部とを有する、
請求項9乃至請求項12の何れかに記載のレンズホルダ駆動装置。
【請求項14】
前記第1レンズホルダには、前記第1軸部材側において光軸方向に延在する第1磁界発生部材が設けられており、
前記第2レンズホルダには、前記第2軸部材側において光軸方向に延在する第2磁界発生部材が設けられており、
前記固定側部材には、前記第1磁界発生部材が発生させる磁界を検出する第1磁気センサと前記第2磁界発生部材が発生させる磁界を検出する第2磁気センサとが設けられている、
請求項9乃至請求項13の何れかに記載のレンズホルダ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レンズホルダ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子を用いてレンズホルダを動かす装置が知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-098580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の装置では、圧電素子は、可動側部材としてのレンズホルダに取り付けられている。そのため、圧電素子の給電にはフレキシブル配線が必要となってしまい、組立性を悪化させてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、組み立てやすいレンズホルダ駆動装置を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るレンズホルダ駆動装置は、固定側部材と、レンズ体を保持可能なレンズホルダと、前記固定側部材に設けられ、前記レンズホルダを案内できるように光軸方向に沿って延びる軸部材と、光軸方向と交差する方向に延在する圧電素子を有し、前記圧電素子の動きによって光軸方向に沿って前記レンズホルダを移動させる圧電駆動部と、を備えたレンズホルダ駆動装置において、前記圧電駆動部は、前記固定側部材に設けられ、前記レンズホルダには、前記圧電駆動部と接触するように前記圧電駆動部に対向するとともに前記圧電素子の延在方向と交差する方向に延び、前記圧電素子の動きを受ける受け部材が設けられ、前記圧電駆動部は、前記圧電素子の前記レンズホルダ側の面に接触部材を有し、前記受け部材と前記接触部材とが接触するように、前記固定側部材に設けられた付勢部材によって前記受け部材側に付勢されている。
【発明の効果】
【0007】
上述の手段により、組み立てやすいレンズホルダ駆動装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】レンズホルダ駆動装置の斜視図である。
図1B】レンズホルダ駆動装置の分解斜視図である。
図2】カメラモジュールの概略図である。
図3】下側部材の分解斜視図である。
図4A】軸部材によって支持されたレンズホルダの上面図である。
図4B】レンズホルダの分解斜視図である。
図5A】付勢部材によって受け部材に押し付けられる圧電駆動部の斜視図である。
図5B】付勢部材によって受け部材に押し付けられる圧電駆動部の分解斜視図である。
図6】ベース部材に取り付けられた付勢部材の斜視図である。
図7】筐体内に収容される構造の背面図である。
図8A】磁性部材が磁石に取り付けられる前の磁界発生部材の上面斜視図である。
図8B】磁性部材が磁石に取り付けられた後の磁界発生部材の下面斜視図である。
図8C】磁気センサ及び磁界発生部材の右側面図である。
図8D】磁気センサ及び磁界発生部材の下面図である。
図9】レンズホルダ、軸部材、受け部材、レンズ体、及び磁界発生部材の斜視図である。
図10】レンズホルダの下面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係るレンズホルダ駆動装置101について図面を参照して説明する。図1Aは、レンズホルダ駆動装置101の斜視図である。図1Bは、レンズホルダ駆動装置101の分解斜視図である。図2は、レンズホルダ駆動装置101が搭載されたカメラ付き携帯機器におけるカメラモジュールCMの概略図である。
【0010】
図示例では、X1は、三次元直交座標系を構成するX軸の一方向を表し、X2は、X軸の他方向を表す。また、Y1は、三次元直交座標系を構成するY軸の一方向を表し、Y2は、Y軸の他方向を表す。同様に、Z1は、三次元直交座標系を構成するZ軸の一方向を表し、Z2は、Z軸の他方向を表す。そして、レンズホルダ駆動装置101のX1側は、レンズホルダ駆動装置101の前側(被写体側)に相当し、レンズホルダ駆動装置101のX2側は、レンズホルダ駆動装置101の後側(撮像素子側)に相当する。また、レンズホルダ駆動装置101のY1側は、レンズホルダ駆動装置101の左側に相当し、レンズホルダ駆動装置101のY2側は、レンズホルダ駆動装置101の右側に相当する。また、レンズホルダ駆動装置101のZ1側は、レンズホルダ駆動装置101の上側に相当し、レンズホルダ駆動装置101のZ2側は、レンズホルダ駆動装置101の下側に相当する。他の図においても同様である。
【0011】
レンズホルダ駆動装置101は、レンズ体LSをレンズ体LSの光軸OAに沿って移動させることができるように構成されている。
【0012】
レンズ体LSは、光学部材の一例であり、1又は複数のレンズで構成されている。典型的には、レンズ体LSは、少なくとも1枚のレンズを備えた筒状のレンズバレルであり、その中心軸線が光軸OAに沿うように構成されている。図示例では、レンズ体LSは、ズームレンズを構成する第1レンズ体LS1とフォーカスレンズを構成する第2レンズ体LS2とを含む。
【0013】
レンズホルダ駆動装置101は、筐体HS内に収容された圧電駆動部PD(図3参照。)により、レンズ体LSを光軸方向に沿って移動させることができるように構成されている。光軸方向は、レンズ体LSの光軸OAの方向、及び、光軸OAに平行な方向を含む。具体的には、レンズホルダ駆動装置101は、図1B及び図2のそれぞれにおける両矢印AR1で示すように、第1レンズ体LS1を光軸方向に沿って移動させることができ、両矢印AR2で示すように、第2レンズ体LS2を光軸方向に沿って移動させることができる。すなわち、レンズホルダ駆動装置101は、第1レンズ体LS1及び第2レンズ体LS2のそれぞれを光軸方向に沿って別々に移動させることができる。
【0014】
筐体HSは、固定側部材FBの一部であり、カバー部材1及びベース部材2で構成されている。
【0015】
レンズホルダ駆動装置101は、図2に示すように、ペリスコープ式カメラモジュール等のカメラモジュールCMで使用される。図2に示す例では、カメラモジュールCMは、主に、ミラーMR、レンズ体LS、レンズホルダ駆動装置101、及び撮像素子IS等を含む。ミラーMRは、プリズムであってもよい。図2に示す例では、ミラーMRは、平坦な反射面をもたらすように構成されている。
【0016】
典型的には、レンズホルダ駆動装置101は、図2に示すように、ミラーMRよりも被写体から遠い位置に配置され、ミラーMRで反射した被写体からの光LTを、レンズ体LSを通じて撮像素子ISに到達させるように構成されている。
【0017】
次に、図1B及び図3を参照し、レンズホルダ駆動装置101の概略を説明する。図1Bは、レンズホルダ駆動装置101の分解斜視図であり、カバー部材1が下側部材LMから分離された状態を示す。図3は、下側部材LMの分解斜視図であり、可動側部材MBが固定側部材FBから分離された状態を示す。可動側部材MBは、圧電駆動部PDによって光軸方向に移動させられるように構成されている。
【0018】
レンズホルダ駆動装置101は、図1Bに示すように、固定側部材FB(筐体HS)の一部であるカバー部材1と下側部材LMとを含む。カバー部材1は、下側部材LMを覆うように構成されている。本実施形態では、カバー部材1は、合成樹脂材で形成されている。
【0019】
ベース部材2は、筐体HSの一部を構成する部材である。本実施形態では、ベース部材2は、カバー部材1と同様に、合成樹脂材で形成されている。
【0020】
具体的には、ベース部材2は、図3に示すように、収納部2Sを定める有底箱状の外形を有する。そして、ベース部材2は、略矩形筒状の外壁部2Aと、外壁部2Aの下端(Z2側の端)と連続するように設けられた略矩形且つ平板状の底面部2Bとを有する。外壁部2Aは、第1側板部2A1~第4側板部2A4を含む。第1側板部2A1と第3側板部2A3とは互いに対向し、第2側板部2A2と第4側板部2A4とは互いに対向している。また、第2側板部2A2及び第4側板部2A4は、第1側板部2A1及び第3側板部2A3に対して垂直に延びる。すなわち、第1側板部2A1及び第3側板部2A3は、第2側板部2A2及び第4側板部2A4に対して垂直に延びる。第1側板部2A1は、ミラーMRで反射した被写体からの光LTを受け入れるための貫通丸孔OP1を有する。同様に、第3側板部2A3は、光LTを撮像素子ISに到達させるための貫通丸孔OP2を有する。また、カバー部材1は、接着剤等によってベース部材2に接合されてベース部材2と共に筐体HSを構成する。
【0021】
また、ベース部材2の第4側板部2A4には、図3に示すように、基板4の端子部4Tを通すための切り欠き2Tが形成されている。そして、ベース部材2は、図1A及び図1Bに示すように、切り欠き2Tを塞ぐための栓部材2Pを有する。図示例では、栓部材2Pは、切り欠き2Tに嵌め込まれて接着剤で固定される。なお、図3では、明瞭化のため、栓部材2Pの図示が省略されている。
【0022】
下側部材LMは、図3に示すように、可動側部材MBとしてのレンズホルダ3と、固定側部材FBとしてのベース部材2、基板4、及び軸部材5と、圧電駆動部PDとを含む。
【0023】
レンズホルダ3は、レンズ体LSを保持できるように構成されている。図示例では、レンズホルダ3は、液晶ポリマー(LCP)等の合成樹脂を射出成形することで形成されている。また、レンズホルダ3は、第1レンズ体LS1を保持できるように構成された第1レンズホルダ3A、及び、第2レンズ体LS2を保持できるように構成された第2レンズホルダ3Bを含む。なお、第1レンズホルダ3Aと第2レンズホルダ3Bとは同じ形状及び同じ大きさを有する。そのため、部材を共通としてコストを抑えることができる。
【0024】
ここで、図4A及び図4Bを参照し、レンズホルダ3の詳細について説明する。図4Aは、軸部材5によって支持されたレンズホルダ3の上面図である。図4Bは、第2レンズホルダ3Bの分解斜視図である。図4Bを参照する説明は、第2レンズホルダ3Bに関するが、第1レンズホルダ3Aにも同様に適用される。なお、図4Aでは、明瞭化のため、第1レンズホルダ3Aには粗いドットパターンが付され、第2レンズホルダ3Bには細かいドットパターンが付されている。また、図4Bでは、明瞭化のため、第2レンズホルダ3Bには細かいドットパターンが付されている。
【0025】
軸部材5は、光軸OAに平行な軸線(軸5AX)を有する第1軸部材5Aと、光軸OAに平行な軸線(軸5BX)を有する第2軸部材5Bとを含む。したがって、第1軸部材5Aと第2軸部材5Bとは互いに平行な状態で光軸方向に延びている。図示例では、軸部材5は、一端がベース部材2の第1側板部2A1に形成された溝部に嵌め込まれ、且つ、他端がベース部材2の第3側板部2A3に形成された溝部に嵌め込まれるように構成されている。但し、軸部材5は、一端がベース部材2の第1側板部2A1に形成された貫通丸孔(図示せず)に挿通され、且つ、他端がベース部材2の第3側板部2A3に形成された貫通丸孔(図示せず)に挿通されるように構成されていてもよい。軸部材5はベース部材2に接着剤で固定されていてもよい。
【0026】
レンズホルダ3は、図4A及び図4Bに示すように、レンズ体LSを保持する保持部31と、軸部材5を受ける軸受け部32と、を有する。軸受け部32は、第1軸部材5Aを受ける左軸受け部32Lと、第2軸部材5Bを受ける右軸受け部32Rと、を有する。軸受け部32は、軸部材5の回りにおけるレンズホルダ3の回転を止める回転止めとして機能する。
【0027】
具体的には、第1レンズホルダ3Aは、第1レンズ体LS1を保持する第1保持部31Aと、軸部材5を受ける第1軸受け部32Aとを有する。そして、第1軸受け部32Aは、第1軸部材5Aを受ける左軸受け部32L(第1左軸受け部32AL)と、第2軸部材5Bを受ける右軸受け部32R(第1右軸受け部32AR)とを有する。
【0028】
同様に、第2レンズホルダ3Bは、第2レンズ体LS2を保持する第2保持部31Bと、軸部材5を受ける第2軸受け部32Bとを有する。そして、第2軸受け部32Bは、第1軸部材5Aを受ける左軸受け部32L(第2左軸受け部32BL)と、第2軸部材5Bを受ける右軸受け部32R(第2右軸受け部32BR)とを有する。
【0029】
より具体的には、第2右軸受け部32BRは、図4Bに示すように、第2軸部材5Bを受け入れ可能な貫通丸孔THを有する。第1左軸受け部32ALについても同様である。
【0030】
一方で、第2左軸受け部32BLは、図10に示すように、第1軸部材5Aを受け入れ可能な左方(Y1方向)に開く切り欠きCTを有する。第1右軸受け部32ARについても同様である。
【0031】
第1レンズホルダ3A及び第2レンズホルダ3Bのそれぞれにおける二つの軸受け部32の一方には受け部材7が固定される。受け部材7は、圧電駆動部PDの接触部材9(図3参照)と接触するように配置される部材であり、光軸OAに平行な軸7AXを有する第1受け部材7Aと光軸OAに平行な軸7BXを有する第2受け部材7Bとを含む。
【0032】
図示例では、受け部材7は、棒状(略円柱形状)となるようにレンズホルダ3とは別の部材で構成される。具体的には、レンズホルダ3は液晶ポリマー(LCP)で形成され、受け部材7は金属で形成されている。但し、受け部材7は、レンズホルダ3の一部であってもよい。この場合、受け部材7は、レンズホルダ3の材料と同じ材料によって形成されてレンズホルダ3に一体化されていてもよい。また、受け部材7は、楕円柱形状又は角柱形状等の他の形状を有していてもよい。或いは、受け部材7は板状であってもよい。
【0033】
図4に示す例では、第1レンズホルダ3Aの第1左軸受け部32ALに第1受け部材7Aが固定され、第2レンズホルダ3Bの第2右軸受け部32BRに第2受け部材7Bが固定されている。すなわち、図4Aに示す例では、第1レンズホルダ3Aと第2レンズホルダ3Bとは、レンズホルダ駆動装置101の中心線CL(Z軸に平行な線)に関して二回回転対称となるように配置されている。
【0034】
また、受け部材7が固定される軸受け部32は、光軸方向における長さが保持部31よりも長くなるように形成されている。図4Aに示す例では、第1受け部材7Aが固定される第1左軸受け部32ALは、その光軸方向における寸法である幅W1が第1保持部31Aの幅W2よりも大きく、且つ、第1受け部材7Aの幅W3よりも大きくなるように形成されている。
【0035】
一方で、第1右軸受け部32ARは、その幅W4が第1保持部31Aの幅W2よりも小さくなるように形成されている。また、第1右軸受け部32ARは、第1レンズホルダ3Aと第2レンズホルダ3Bとが互いに接近したときに、第1右軸受け部32ARと第2右軸受け部32BRとが接触しないように、第1保持部31Aの前端部(X1側の端部)に形成されている。
【0036】
同様に、第2受け部材7Bが固定される第2右軸受け部32BRは、その幅W5が第2保持部31Bの幅W6よりも大きく、且つ、第2受け部材7Bの幅W7よりも大きくなるように形成されている。
【0037】
一方で、第2左軸受け部32BLは、その幅W8が第2保持部31Bの幅W6よりも小さくなるように形成されている。また、第2左軸受け部32BLは、第1レンズホルダ3Aと第2レンズホルダ3Bとが互いに接近したときに、第1左軸受け部32ALと第2左軸受け部32BLとが接触しないように、第2保持部31Bの後端部(X2側の端部)に形成されている。
【0038】
上述の構成により、第1レンズホルダ3Aと第2レンズホルダ3Bとは、第1保持部31Aと第2保持部31Bとが互いに近づいた状態にあるときに、光軸方向において少なくとも第1左軸受け部32ALの一部と第2右軸受け部32BRの一部とが互いにオーバーラップするように配置され得る。図4Aに示す状態では、第1レンズホルダ3Aと第2レンズホルダ3Bとは、光軸方向において、第1左軸受け部32ALと第2右軸受け部32BRとが部分的に同じ位置にあり、それにより、光軸方向において第1受け部材7Aと第2受け部材7Bとが幅W9にわたってオーバーラップしている。
【0039】
そのため、この構成は、第1左軸受け部32ALの幅W1が第1保持部31Aの幅W2よりも大きく、且つ、第2右軸受け部32BRの幅W5が第2保持部31Bの幅W6よりも大きくなるようにしながらも、第1レンズ体LS1と第2レンズ体LS2とが略接触する程度にまで第1レンズ体LS1と第2レンズ体LS2とを互いに近付けることができるという効果をもたらす。
【0040】
なお、図示例では、第1レンズホルダ3Aと第2レンズホルダ3Bとは同じ大きさ及び同じ形状を有するように構成されている。そのため、幅W1と幅W5とは等しく、幅W2と幅W6とは等しく、幅W3と幅W7とは等しく、幅W4と幅W8とは等しい。但し、幅W1と幅W5とは異なる大きさを有していてもよく、幅W2と幅W6とは異なる大きさを有していてもよく、幅W3と幅W7とは異なる大きさを有していてもよく、幅W4と幅W8とは異なる大きさを有していてもよい。
【0041】
次に、図5A図5B、及び図6を参照し、圧電駆動部PDについて説明する。図5Aは、付勢部材13によって受け部材7に押し付けられる圧電駆動部PDの斜視図であり、図5Bは、付勢部材13によって受け部材7に押し付けられる圧電駆動部PDの分解斜視図である。図6は、ベース部材2に取り付けられた付勢部材13の斜視図である。図6では、明瞭化のため、付勢部材13にドットパターンが付されている。
【0042】
圧電駆動部PDは、レンズホルダ3を光軸方向に沿って移動させることができるように構成されている。本実施形態では、圧電駆動部PDは、米国特許第7,786,648号に開示された駆動システムを利用する摩擦駆動部の一例であり、圧電素子8、接触部材9、及び回路基板10を含む。
【0043】
圧電駆動部PDは、ベース部材2に固定される付勢部材13によって内方(光軸OAに近づく方向)に付勢されて受け部材7に押し付けられるように構成されている。図示例では、付勢部材13は、金属板で形成され、圧電素子8の曲げ振動(後述する円運動)の際に形成される二つの節ND(図5B参照)のそれぞれに対応する部分(内縁部BE)で圧電素子8の外側(光軸OAから遠い側)の表面と回路基板10を介して接触するように構成されている。付勢部材13と圧電駆動部PDとの接合は、例えば、接着剤によって実現される。
【0044】
図示例では、圧電駆動部PDは、図3に示すように、第1レンズホルダ3Aを光軸方向に沿って移動させる第1圧電駆動部PD1と、第2レンズホルダ3Bを光軸方向に沿って移動させる第2圧電駆動部PD2とを含む。そして、第1圧電駆動部PD1は、第1圧電素子8A、第1接触部材9A、及び第1回路基板10Aを含み、第2圧電駆動部PD2は、第2圧電素子8B、第2接触部材9B、及び第2回路基板10Bを含む。
【0045】
付勢部材13は、第1圧電駆動部PD1を第1受け部材7Aに押し付けるように配置される第1付勢部材13Aと、第2圧電駆動部PD2を第2受け部材7Bに押し付けるように配置される第2付勢部材13Bとを含む。
【0046】
図5A及び図5Bは、第1付勢部材13Aによって第1受け部材7Aに押し付けられる第1圧電駆動部PD1を示している。但し、図5A及び図5Bを参照する以下の説明は、第2付勢部材13Bによって第2受け部材7Bに押し付けられる第2圧電駆動部PD2についても同様に適用される。第1圧電駆動部PD1と第2圧電駆動部PD2とは同じ構成を有するためである。
【0047】
図示例では、第1圧電素子8Aは、光軸方向(X軸方向)と直交する(光軸OAに垂直な方向である)Z軸方向に延在しており、二つの節NDを有する曲げ振動(円運動)を実現できるように構成されている。具体的には、第1圧電素子8Aは、XZ平面上で第1曲げ振動を実現する第1層とYZ平面上で第2曲げ振動を実現する第2層とで構成される二層構造を有する。第1圧電駆動部PD1は、第1層を構成する圧電素子に対する電圧の印加と、第2層を構成する圧電素子に対する電圧の印加とを適切なタイミングで個別に行うことで、第1圧電素子8Aの中点が描く軌跡が回転軸8AXを中心とする円軌道となるようにすることができる。すなわち、第1圧電素子8Aは、その中点が円を描くような動き(円運動)を実現することができる。図5Bに示す例では、回転軸8AXは、Z軸に平行である。第1圧電駆動部PD1は、電圧の印加が適切なタイミングで行われることにより、円軌道を辿る中点の移動方向(回転方向)をZ1側から見て時計回り方向と反時計回り方向との間で切り換えることができる。なお、第1圧電素子8Aの中点が描く円(円軌道)は、完全な円(真円)ではなく、概略円形状であればよい。
【0048】
図5Bにおいて第1圧電素子8Aの周囲に描かれた点線矢印は、第1圧電素子8Aが曲げ振動(円運動)すること(第1圧電素子8Aが撓みながら回転軸8AXの回りにおいて時計回り方向に回転すること)を表している。この場合、第1圧電素子8Aを含む第1圧電駆動部PD1の第1接触部材9Aと接触している第1受け部材7A(第1レンズホルダ3A)は前方(X1方向)に移動する。なお、図示はされていないが、第1圧電素子8Aは、撓みながら回転軸8AXの回りにおいて反時計回り方向にも回転できる。この場合、第1接触部材9Aと接触している第1受け部材7A(第1レンズホルダ3A)は後方(X2方向)に移動する。
【0049】
すなわち、第1レンズホルダ3A(第1受け部材7A)は、第1圧電素子8Aの中点の回転方向が時計回りのときに前方(X1方向)に移動させられ、第1圧電素子8Aの中点の回転方向が反時計回りのときに後方(X2方向)に移動させられる。第1圧電素子8Aの中点は、第1曲げ振動の振幅が最大となる点(第1曲げ振動の腹に対応する点)であり、且つ、第2曲げ振動の振幅が最大となる点(第2曲げ振動の腹に対応する点)である。
【0050】
第1接触部材9Aは、第1圧電素子8Aに取り付けられ、第1受け部材7Aと接触するように構成されている。図示例では、第1接触部材9Aは、第1圧電素子8Aの内側(光軸OAに対向する側であるY2側)の表面の全体を覆うように、接着剤によって第1圧電素子8Aの内側の表面に接合されている。第1接触部材9Aは、ステンレス鋼等の金属で形成され、第1圧電素子8Aの曲げ振動(円運動)に応じて曲げ振動(円運動)を行うことができるように適切な厚みで構成されている。図示例では、第1接触部材9Aは、ステンレス鋼で形成された摩擦板である。第1接触部材9Aは、第1圧電素子8Aの延在方向と同じ方向であるZ軸方向に延在している。そして、第1接触部材9Aは、延在方向の中央部が第1レンズホルダ3Aに取り付けられた第1受け部材7Aと接触するように構成されている。具体的には、第1接触部材9Aは、曲げ振動(円運動)の振幅が最大となる部分(曲げ振動の腹に対応する部分)で第1受け部材7Aと接触するように構成されている。また、第1接触部材9Aは、第1受け部材7Aと接触する側の面(Y2側の面)が曲面形状(円筒形状)となっている。第1受け部材7Aは、ステンレス鋼等の金属で形成されている。図示例では、第1受け部材7Aは、ステンレス鋼で形成された、光軸方向に延在する円柱状の棒部材である。金属製の第1接触部材9Aと金属製の第1受け部材7Aとを接触させるのは、合成樹脂製の第1レンズホルダ3Aと金属製の第1接触部材9Aとの接触による第1レンズホルダ3Aの摩耗を防止するためである。なお、第1接触部材9Aと第1受け部材7Aとの接触が得られるのであれば、Z軸方向における第1接触部材9Aの長さ寸法は第1圧電素子8Aの長さ寸法と異なっていてもよい。
【0051】
第1回路基板10Aは、導電パターンを含む基板であり、外部電源と第1圧電素子8Aとを電気的に接続できるように構成されている。図示例では、第1回路基板10Aは、可撓性を有するフレキシブルプリント基板であり、一端が基板4に接続され、第1圧電素子8Aに電圧を印加できるように構成されている。第1圧電素子8Aは、異方性導電性接着剤によって第1回路基板10Aの内側(光軸OAに対向する側であるY2側)の表面に接合されている。第1圧電素子8Aは、異方性導電性接着膜によって第1回路基板10Aの内側に接合されていてもよい。
【0052】
図示例では、付勢部材13は、板ばね部材によって構成されている。具体的には、第1付勢部材13Aは、図5Bに示すように、ベース部材2に固定される固定部13Fと、第1圧電駆動部PD1を支持する支持部13Sと、固定部13Fと支持部13Sとの間に設けられた弾性変形可能な弾性変形部13Eとを有する。また、付勢部材13は、支持部13S及び弾性変形部13Eがベース部材2と接触しないように、固定部13Fを介してベース部材2に固定されている。図5Bを参照する以下の説明は、第1付勢部材13Aに関するが、第2付勢部材13Bにも同様に適用される。第2付勢部材13Bは、第1付勢部材13Aと同じ形状及び同じ大きさを有するためである。
【0053】
具体的には、固定部13Fは、前側固定部13FF及び後側固定部13FBを含み、支持部13Sは、上側支持部13SU及び下側支持部13SDを含む。そして、弾性変形部13Eは、前側固定部13FFと上側支持部13SU及び下側支持部13SDのそれぞれとの間に設けられた前側弾性変形部13EFと、後側固定部13FBと上側支持部13SU及び下側支持部13SDのそれぞれとの間に設けられた後側弾性変形部13EBと、を含む。そして、前側固定部13FFと後側固定部13FBとは同じ形状及び同じ大きさを有し、上側支持部13SUと下側支持部13SDとは同じ形状及び同じ大きさを有し、前側弾性変形部13EFと後側弾性変形部13EBとは同じ形状及び同じ大きさを有する。すなわち、第1付勢部材13Aは、YZ平面に平行な対称面(第1付勢部材13Aを前後に二分する面)に関して面対称となるように構成されている。また、第1付勢部材13Aは、XY平面に平行な別の対称面(第1付勢部材13Aを上下に二分する面)に関しても面対称となるように構成されている。第2付勢部材13Bについても同様である。
【0054】
なお、図示例では、前側弾性変形部13EFは、上下一対の弾性腕部を介して前側固定部13FFに接続されているが、一つの弾性腕部を介して前側固定部13FFに接続されていてもよく、三つ以上の弾性腕部を介して前側固定部13FFに接続されていてもい。また、弾性腕部は、光軸方向に沿って直線状に延びるように構成されているが、曲線部分を含む形状等の任意の形状を有していてもよい。後側弾性変形部13EBについても同様である。また、図示例では、前側固定部13FFは、前側弾性変形部13EFにおける上下一対の弾性腕部のそれぞれの端部を繋ぐように構成されているが、必ずしも上下一対の弾性腕部のそれぞれの端部を繋ぐように構成されている必要は無い。すなわち、前側固定部13FFは、別個独立した二以上の部分で構成されていてもよい。後側固定部13FBについても同様である。
【0055】
支持部13Sは、弾性変形部13Eに繋がる基部13Kと、基部13KからL字状に折り曲げられてレンズホルダ3が位置する側(Y2側)に突出する折り曲げ部13Nとを有する。そして、折り曲げ部13Nの先端には凹部RSが形成されている。凹部RSは、レンズホルダ3の位置する側(Y2側)が開放された凹部である。具体的には、基部13Kは、上側支持部13SUの一部である上側基部13KUと、下側支持部13SDの一部である下側基部13KDと、を含む。また、折り曲げ部13Nは、上側支持部13SUの一部である上側折り曲げ部13NUと、下側支持部13SDの一部である下側折り曲げ部13NDと、を含む。凹部RSは、上側折り曲げ部13NU及び下側折り曲げ部13NDのそれぞれの先端に同じ形状で且つ同じ大きさで形成されている。そして、第1圧電駆動部PD1は、図5Aに示すように、一部が凹部RS内に配置されるとともに、凹部RSの内縁部BEに接触した状態で接着剤によって折り曲げ部13Nに固定されている。
【0056】
より具体的には、凹部RSは、図5Bに示すように、内縁部BEを挟んで互いに対向する前側縁部と後側縁部とを有する。そして、第1圧電駆動部PD1は、図5Aに示すように、前側縁部と後側縁部との間に配置されている。
【0057】
凹部RSの内縁部BEと第1圧電駆動部PD1とが接触する位置は、曲げ振動を実現する第1圧電素子8Aの節NDの位置に対応している。節NDの位置は、第1節ND1の位置及び第2節ND2の位置を含む。図5Bでは、明瞭化のため、節NDの位置には、クロスパターンが付されている。
【0058】
凹部RSの内縁部BEと第1圧電駆動部PD1とが接触する位置(節NDの位置)は、第1圧電駆動部PD1の端部から所定の距離にある位置に対応している。所定の距離は、例えば、圧電駆動部PDの全長の略四分の一の距離である。
【0059】
第1圧電駆動部PD1と折り曲げ部13Nとは接着剤によって固定されている。具体的には、第1圧電駆動部PD1(第1回路基板10A)と折り曲げ部13Nとは、凹部RSの内縁部BEのところで接着剤によって互いに固定されている。また、第1圧電駆動部PD1の第1回路基板10Aと第1付勢部材13Aとは、前側弾性変形部13EFの接触部AFと後側弾性変形部13EBの接触部ABとにおいて接着剤で固定されている。図示例では、接着剤は、紫外線硬化型の接着剤である。但し、接着剤は、湿気硬化型又は熱硬化型等の他のタイプの接着剤であってもよい。
【0060】
二つの弾性変形部13Eは、図5Bに示すように、対応する基部13Kから互いに離れる方向に延びる。具体的には、前側弾性変形部13EFは、上側基部13KU及び下側基部13KDから前方(X1方向)に延び、後側弾性変形部13EBは、上側基部13KU及び下側基部13KDから後方(X2方向)に延びる。また、弾性変形部13Eの延在方向は光軸方向に沿っている。
【0061】
弾性変形部13Eの延長線上には固定部13Fが設けられている。そして、固定部13Fは、図6に示すように、ベース部材2に設けられた挟持部2Cによって挟持されている。具体的には、挟持部2Cには固定部13Fが嵌め込まれる溝部2Gが設けられている。図示例では、付勢部材13の固定部13Fは、挟持部2Cの溝部2Gに上方から嵌め込まれることで、挟持部2Cによって挟持される。なお、挟持部2Cによる固定部13Fの挟持は、接着剤によって実現されてもよく、接着剤によって補強されてもよい。
【0062】
次に、図7を参照し、位置検出機構DTについて説明する。図7は、カバー部材1とベース部材2とによって構成される筐体HS内に収容される構造の背面図である。筐体HS内に収容される構造は、位置検出機構DT、レンズ体LS、圧電駆動部PD、レンズホルダ3、基板4、及び付勢部材13を含む。図7では、明瞭化のため、基板4の図示が省略され、且つ、第1レンズホルダ3Aには粗いドットパターンが付され、第2レンズホルダ3Bには細かいドットパターンが付されている。
【0063】
位置検出機構DTは、レンズホルダ3の位置を検出する機構であり、磁気センサ6及び磁界発生部材MGを含む。磁界発生部材MGは、磁石11及び磁性部材12を含む。
【0064】
磁気センサ6は、磁界発生部材MGが発生させる磁界を検出できるように構成されている。図示例では、磁気センサ6は、巨大磁気抵抗効果(Giant Magneto Resistive effect: GMR)素子で構成され、磁気センサ6が受ける磁界発生部材MGによる磁界の大きさに応じて変化する電圧値を測定し、磁界発生部材MGが取り付けられたレンズホルダ3の位置を検出できるように構成されている。そして、磁気センサ6は、N極部分が接近するほど大きい電圧値を出力し、S極部分が接近するほど小さい電圧値を出力するように構成されている。但し、磁気センサ6は、N極部分が接近するほど小さい電圧値を出力し、S極部分が接近するほど大きい電圧値を出力するように構成されていてもよい。また、磁気センサ6は、半導体磁気抵抗(Semiconductor Magneto Resistive: SMR)素子、異方性磁気抵抗(Anisotropic Magneto Resistive: AMR)素子、又はトンネル磁気抵抗(Tunnel Magneto Resistive: TMR)素子等の他の磁気抵抗素子を利用してレンズホルダ3の位置を検出できるように構成されていてもよく、ホール素子等を利用してレンズホルダ3の位置を検出できるように構成されていてもよい。
【0065】
図示例では、位置検出機構DTは、第1レンズホルダ3Aの位置を検出する第1位置検出機構DT1と、第2レンズホルダ3Bの位置を検出する第2位置検出機構DT2とを含む。そして、第1位置検出機構DT1は、第1磁気センサ6A及び第1磁界発生部材MG1を含み、第2位置検出機構DT2は、第2磁気センサ6B及び第2磁界発生部材MG2を含む。また、第1磁界発生部材MG1は、第1磁石11A及び第1磁性部材12Aを含み、第2磁界発生部材MG2は、第2磁石11B及び第2磁性部材12Bを含む。また、第1磁性部材12Aは、第1左磁性部材12AL及び第1右磁性部材12ARを含み、第2磁性部材12Bは、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRを含む。
【0066】
ここで、図8A図8Dを参照し、磁界発生部材MGの詳細について説明する。図8Aは、磁性部材12が磁石11に取り付けられる前の磁界発生部材MGの上面斜視図である。図8Bは、磁性部材12が磁石11に取り付けられた後の磁界発生部材MGの下面斜視図である。図8C及び図8Dは、光軸方向におけるレンズホルダ3の移動に応じて変化する磁気センサ6と磁界発生部材MGとの間の位置関係を示す。具体的には、図8Cは、磁気センサ6及び磁界発生部材MGの右側面図であり、図8Dは、磁気センサ6及び磁界発生部材MGの下面図である。なお、図8A図8Dは、第2レンズホルダ3Bの第2右軸受け部32BRの下面に取り付けられる第2磁界発生部材MG2に関する。図示例では、第2磁界発生部材MG2は、接着剤によって第2レンズホルダ3Bの第2右軸受け部32BRの下面に固定されている。但し、図8A図8Dを参照する以下の説明は、第1レンズホルダ3Aの第1左軸受け部32ALの下面に取り付けられる第1磁界発生部材MG1にも同様に適用される。
【0067】
図8Aに示すように、第2磁界発生部材MG2は、第2磁石11B、第2左磁性部材12BL、及び第2右磁性部材12BRを含む。
【0068】
第2磁石11Bは、光軸方向と直交する方向であるY軸方向に二極着磁された永久磁石である。図示例では、第2磁石11Bは、光軸方向と直交する方向(Y軸方向)における一端部(左側端部)がN極となり他端部(右側端部)がS極となるように着磁されている。図8Aでは、明瞭化のため、第2磁石11BのN極部分には細かいクロスパターンが付され、第2磁石11BのS極部分には粗いクロスパターンが付されている。
【0069】
図8Bでは、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRは何れも第2磁石11Bに接続されている。図示例では、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRは、接着剤によって第2磁石11Bに固定されている。
【0070】
具体的には、第2左磁性部材12BLは第2磁石11Bの一端部(左側端部)であるN極部分に接続されてN極に磁化され、第2右磁性部材12BRは第2磁石11Bの他端部(右側端部)であるS極部分に接続されてS極に磁化されている。そのため、図8Bでは、第2左磁性部材12BLには第2磁石11BのN極部分と同様に細かいクロスパターンが付され、第2右磁性部材12BRには第2磁石11BのS極部分と同様に粗いクロスパターンが付されている。図8C及び図8Dにおいても同様である。但し、図8Aに示す状態では、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRは何れも第2磁石11Bに接続されておらず磁化されていないため、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRにはクロスパターンが付されていない。
【0071】
図示例では、第2磁性部材12Bは、図8Aに示すように、棒状部BPと、棒状部BPから下方(Z2方向)に突出した後で内方に突出するL字状の突出部PRとを有するように構成されている。具体的には、第2左磁性部材12BLは、左棒状部BPLと、左棒状部BPLから下方に突出した後で第2磁石11B側(Y2方向)に突出する三つの突出部PR(第1左突出部PR1L~第3左突出部PR3L)とを有する。また、第2右磁性部材12BRは、右棒状部BPRと、右棒状部BPRから下方に突出した後で第2磁石11B側(Y1方向)に突出する三つの突出部PR(第1右突出部PR1R~第3右突出部PR3R)とを有する。
【0072】
なお、図示例では、第2左磁性部材12BLは、左棒状部BPLのZ軸方向における寸法である高さが第2磁石11Bの高さと同じになるように構成されているが、左棒状部BPLの高さが第2磁石11Bの高さよりも大きくなるように構成されていてもよい。この場合、第2左磁性部材12BLは、左棒状部BPLの上端面と第2磁石11Bの上端面とが一致するように第2磁石11Bに接続されてもよい。そして、三つの突出部PRは、左棒状部BPLのうちの、第2磁石11Bの下端面よりも下方(Z2方向)に突出した部分から第2磁石11B側(Y2方向)に突出するように構成されていてもよい。第2右磁性部材12BRについても同様である。或いは、このような形状を有する第2左磁性部材12BLは、左棒状部BPLの上端面が第2磁石11Bの下端面と接するように第2磁石11Bに接続されていてもよい。この場合、第2磁石11Bは、Y軸方向における寸法である幅がより大きくなるように構成されていてもよい。第2右磁性部材12BRについても同様である。
【0073】
また、図示例では、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRは、第1左突出部PR1L~第3左突出部PR3Lと第1右突出部PR1R~第3右突出部PR3Rとが第2磁界発生部材MG2の延在方向(X軸方向)において交互に配置されるように構成されている。
【0074】
具体的には、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRは、図8Bに示すように、第2磁界発生部材MG2の延在方向(X軸方向)の最も前側(X1側)に第1右突出部PR1Rが配置され、その後側(X2側)に第1左突出部PR1Lが配置され、更にその後側(X2側)に第2右突出部PR2Rが配置され、更にその後側(X2側)に第2左突出部PR2Lが配置され、更にその後側(X2側)に第3右突出部PR3Rが配置され、更にその後側(X2側)に第3左突出部PR3Lが配置されるように構成されている。
【0075】
また、図8Aに示すように、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRは、第2磁界発生部材MG2の延在方向(X軸方向)における第1左突出部PR1Lの幅M1、第2左突出部PR2Lの幅M2、第3左突出部PR3Lの幅M3、第1右突出部PR1Rの幅M4、第2右突出部PR2Rの幅M5、及び、第3右突出部PR3Rの幅M6が何れも同じになるように構成されている。
【0076】
また、図8Aに示すように、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRは、第2磁界発生部材MG2の延在方向(X軸方向)における第1左突出部PR1Lと第2左突出部PR2Lとの間の間隔L1、第2左突出部PR2Lと第3左突出部PR3Lとの間の間隔L2、第1右突出部PR1Rと第2右突出部PR2Rとの間の間隔L3、及び、第2右突出部PR2Rと第3右突出部PR3Rとの間の間隔L4が何れも同じになるように構成されている。
【0077】
また、図8Bに示すように、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRは、第2磁界発生部材MG2の延在方向(X軸方向)における第1右突出部PR1Rと第1左突出部PR1Lとの間の間隔N1、第1左突出部PR1Lと第2右突出部PR2Rとの間の間隔N2、第2右突出部PR2Rと第2左突出部PR2Lとの間の間隔N3、第2左突出部PR2Lと第3右突出部PR3Rとの間の間隔N4、及び、第3右突出部PR3Rと第3左突出部PR3Lとの間の間隔N5が何れも同じになるように構成されている。
【0078】
また、図8Cに示すように、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRは、第1左突出部PR1L~第3左突出部PR3L及び第1右突出部PR1R~第3右突出部PR3Rのそれぞれの第2磁石11B側に突出した部分の厚みTKが何れも同じになるように構成されている。
【0079】
更に、図8Cに示すように、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRは、第1左突出部PR1L~第3左突出部PR3L及び第1右突出部PR1R~第3右突出部PR3Rのそれぞれの下側(Z2側)の端面と基板4(図示せず)に固定された磁気センサ6(第2磁気センサ6B)との間の間隔GPが何れも同じになるように構成されている。
【0080】
但し、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRは、幅M1~幅M6が互いに異なるように構成されていてもよい。間隔L1~間隔L4についても同様であり、間隔N1~間隔N5についても同様である。また、第2左磁性部材12BL及び第2右磁性部材12BRは、第1左突出部PR1L~第3左突出部PR3L及び第1右突出部PR1R~第3右突出部PR3Rのそれぞれの第2磁石11B側に突出した部分の厚みTKが互いに異なるように構成されていてもよい。間隔GPについても同様である。
【0081】
図8Cの中央図及び図8Dの中央図は、第2レンズホルダ3Bが図1Bに示す基準位置に位置するときの第2磁界発生部材MG2と第2磁気センサ6Bとの間の位置関係を示す。そして、図8Cの上図及び図8Dの左図は、第2レンズホルダ3Bが基準位置から後方(X2方向)に移動したときの第2磁界発生部材MG2と第2磁気センサ6Bとの間の位置関係を示す。また、図8Cの下図及び図8Dの右図は、第2レンズホルダ3Bが基準位置から前方(X1方向)に移動したときの第2磁界発生部材MG2と第2磁気センサ6Bとの間の位置関係を示す。
【0082】
第2磁気センサ6Bは、第1左突出部PR1L~第3左突出部PR3L及び第1右突出部PR1R~第3右突出部PR3Rのそれぞれが発生させる磁界を検出できるように、ベース部材2に固定された基板4上に設けられている。
【0083】
第2レンズホルダ3Bが基準位置に位置しているときには、第2磁気センサ6Bは、図8Cの中央図及び図8Dの中央図に示すように、S極部分である第2右磁性部材12BRの第2右突出部PR2Rと部分的に対向している。
【0084】
そして、第2レンズホルダ3Bが基準位置から後方(X2方向)に移動すると、第2磁気センサ6Bは、図8Cの上図及び図8Dの左図に示すように、S極部分である第2右磁性部材12BRの第2右突出部PR2Rから離れ、N極部分である第2左磁性部材12BLの第1左突出部PR1Lと部分的に対向するようになる。
【0085】
また、第2レンズホルダ3Bが基準位置から前方(X1方向)に移動すると、第2磁気センサ6Bは、図8Cの下図及び図8Dの右図に示すように、S極部分である第2右磁性部材12BRの第2右突出部PR2Rから離れ、N極部分である第2左磁性部材12BLの第2左突出部PR2Lと部分的に対向するようになる。
【0086】
上述の位置検出機構DTを利用することにより、基板4に形成された導電パターンを介して第2磁気センサ6Bに接続されている制御装置(図示せず)は、第2磁気センサ6Bが出力する電圧値に基づいて第2レンズホルダ3Bの位置を検出できる。なお、図示例では、制御装置は、筐体HSの外側に設けられているが、筐体HSの内側に設けられていてもよい。
【0087】
図示例では、磁界発生部材MGは、一つの二極永久磁石によって構成されているが、複数の二極永久磁石の組み合わせによって構成されてもよく、一つの多極永久磁石によって構成されてもよく、複数の多極永久磁石の組み合わせによって構成されてもよい。
【0088】
次に、図9を参照し、レンズホルダ3の動きについて説明する。図9は、レンズホルダ3、軸部材5、受け部材7、レンズ体LS、及び磁界発生部材MGの斜視図である。具体的には、図9の上段は、第1レンズホルダ3Aが最も前側(X1側)に移動し、且つ、第2レンズホルダ3Bが最も後側(X2側)に移動したときの各部材(レンズホルダ3、軸部材5、受け部材7、レンズ体LS、及び磁界発生部材MG)の位置関係を示す。図9の中段は、第1レンズホルダ3Aが最も前側(X1側)に移動し、且つ、第2レンズホルダ3Bが最も前側(X1側)に移動したときの各部材の位置関係を示す。図9の下段は、第2レンズホルダ3Bが最も後側(X2側)に移動し、且つ、第1レンズホルダ3Aが最も後側(X2側)に移動したときの各部材の位置関係を示す。
【0089】
図9に示すように、レンズホルダ駆動装置101は、第1レンズホルダ3A及び第2レンズホルダ3Bのそれぞれを光軸方向に沿って別々に移動させることができる。
【0090】
次に、図10を参照し、レンズホルダ3の詳細について説明する。図10は、レンズホルダ3の下面斜視図である。図10を参照する説明は、第2レンズホルダ3Bに関するが、第1レンズホルダ3Aにも同様に適用される。
【0091】
上述のように、第2レンズホルダ3Bは、第2保持部31B、第2左軸受け部32BL、及び第2右軸受け部32BRを含む。
【0092】
第2保持部31Bは、光軸OAが通る貫通丸孔RHを有する。そして、貫通丸孔RHは、前側貫通丸孔RHF及び後側貫通丸孔RHBを含む。図示例では、前側貫通丸孔RHFは、上方(Z1方向)に開くU字溝部DCFと下方(Z2方向)に開くU字溝部UCFとの組み合わせで構成されている。具体的には、U字溝部DCFとU字溝部UCFとは、前後方向(X軸方向)において隣接するように、且つ、上下方向において互いに反対向きになるように配置されている。同様に、後側貫通丸孔RHBは、上方(Z1方向)に開くU字溝部DCBと下方(Z2方向)に開くU字溝部UCBとの組み合わせで構成されている。具体的には、U字溝部DCBとU字溝部UCBとは、前後方向(X軸方向)において隣接するように、且つ、上下方向において互いに反対向きになるように配置されている。
【0093】
また、第2右軸受け部32BRは、第2軸部材5Bが通る貫通丸孔THを有する。そして、貫通丸孔THは、前側貫通丸孔THF及び後側貫通丸孔THBを含む。図示例では、前側貫通丸孔THFは、上方(Z1方向)に開くU字溝部DRFと下方(Z2方向)に開くU字溝部URFとの組み合わせで構成されている。具体的には、U字溝部DRFとU字溝部URFとは、前後方向(X軸方向)において隣接するように、且つ、上下方向において互いに反対向きになるように配置されている。同様に、後側貫通丸孔THBは、上方(Z1方向)に開くU字溝部DRBと下方(Z2方向)に開くU字溝部URBとの組み合わせで構成されている。具体的には、U字溝部DRBとU字溝部URBとは、前後方向(X軸方向)において隣接するように、且つ、上下方向において互いに反対向きになるように配置されている。
【0094】
また、第2左軸受け部32BLは、第1軸部材5Aが通る切り欠きCTを有する。図示例では、切り欠きCTは、下方(Z2方向)及び左方(Y1方向)に開く上側L字溝部ULと上方(Z1方向)及び左方(Y1方向)に開く下側L字溝部DLとの組み合わせで構成されている。具体的には、上側L字溝部ULと下側L字溝部DLとは、前後方向(X軸方向)において隣接するように、且つ、上下方向において互いに反対向きになるように配置されている。
【0095】
このように、貫通丸孔THが一対のU字溝部で構成され且つ切り欠きCTが一対のL字溝部で構成されることにより、第2レンズホルダ3Bは、上下方向に分離される、スライドコアを含まない一対の金型を用いた射出成形によって製造され得る。そのため、この構成は、製造コストを低減させることができるという効果をもたらす。
【0096】
上述のように、本発明の実施形態に係るレンズホルダ駆動装置101は、図3に示すように、固定側部材FB(ベース部材2)と、レンズ体LSを保持可能なレンズホルダ3と、固定側部材FB(ベース部材2)に取り付けられ、レンズホルダ3を案内できるように光軸方向に沿って延びる軸部材5と、光軸方向と交差する方向に延在する圧電素子8を有し、圧電素子8の動き(円運動)によって光軸方向に沿ってレンズホルダ3を移動させる圧電駆動部PDと、を備えている。圧電駆動部PDは、固定側部材FB(ベース部材2)に設けられている。レンズホルダ3には、圧電駆動部PDと接触するように圧電駆動部PDに対向するとともに圧電素子8の延在方向と交差する方向に延び、圧電素子8の動きを受ける受け部材7が設けられている。そして、圧電駆動部PDは、圧電素子8のレンズホルダ3側の面に接触部材9を有し、受け部材7と接触部材9とが接触するように、固定側部材FB(ベース部材2)に設けられた付勢部材13によって受け部材7側に付勢されている。なお、上述の実施形態では、レンズホルダ駆動装置101は、光軸方向において二つのレンズホルダ3(第1レンズホルダ3A及び第2レンズホルダ3B)を別々に移動させることができるように構成されている。しかしながら、レンズホルダ駆動装置101は、レンズホルダ3を一つだけ有し、その一つのレンズホルダ3を光軸方向に移動させることができるように構成されていてもよく、光軸方向において三つ以上のレンズホルダ3を別々に移動させることができるように構成されていてもよい。
【0097】
この構成は、レンズホルダ駆動装置101の組立性を向上させることができる。すなわち、この構成は、組み立てやすいレンズホルダ駆動装置101を提供できるという効果をもたらす。圧電駆動部PDが固定側部材FB(ベース部材2)に設けられているため、すなわち、レンズホルダ3の移動に応じて変形するフレキシブル基板等の部材が用いられなくとも圧電駆動部PDに電力を供給できるためである。また、この構成は、レンズホルダ3の動きに応じて変形するフレキシブル基板等の部材によってレンズホルダ3の動きが制限されてしまうことがないという効果をもたらす。
【0098】
また、上述の実施形態では、レンズホルダ3は、図4A及び図4Bに示すように、レンズ体LSを保持する保持部31と、軸部材5を受ける軸受け部32と、を有していてもよい。この場合、受け部材7は、レンズホルダ3とは別の部材で構成されていてもよい。図4A及び図4Bに示す例では、受け部材7は金属で構成され、レンズホルダ3は合成樹脂で構成されている。また、受け部材7は、軸受け部32に固定されている。また、受け部材7は光軸方向において保持部31より長く、受け部材7が固定される軸受け部32も光軸方向において保持部31より長い。また、光軸方向における受け部材7の幅は、光軸方向におけるレンズホルダ3の可動範囲の幅より大きい。図4Aに示す例では、第1レンズホルダ3Aは、第1レンズ体LS1を保持する第1保持部31Aと、第1軸部材5Aを受ける第1左軸受け部32ALと、第2軸部材5Bを受ける第1右軸受け部32ARとを有する。また、第2レンズホルダ3Bは、第2レンズ体LS2を保持する第2保持部31Bと、第1軸部材5Aを受ける第2左軸受け部32BLと、第2軸部材5Bを受ける第2右軸受け部32BRとを有する。そして、第1受け部材7Aは光軸方向において第1保持部31Aより長く、第1受け部材7Aが固定される第1左軸受け部32ALも光軸方向において第1保持部31Aより長い。同様に、第2受け部材7Bは光軸方向において第2保持部31Bより長く、第2受け部材7Bが固定される第2右軸受け部32BRも光軸方向において第2保持部31Bより長い。また、光軸方向における第1受け部材7Aの幅W3は、光軸方向における第1レンズホルダ3Aの可動範囲の幅より大きく、光軸方向における第2受け部材7Bの幅W7は、光軸方向における第2レンズホルダ3Bの可動範囲の幅より大きい。
【0099】
この構成は、光軸方向における第1レンズホルダ3Aの可動範囲の幅を、少なくとも光軸方向における第1保持部31Aの幅よりも大きくできるという効果をもたらす。
【0100】
また、上述の実施形態では、軸部材5は、第1軸部材5Aと第2軸部材5Bとを含む。そして、受け部材7は、図7に示すように、仮想平面VPから離れた位置に設けられている。具体的には、第1受け部材7Aはその軸7AXが仮想平面VP上でない位置に設けられ、第2受け部材7Bはその軸7BXが仮想平面VP上でない位置に設けられている。本実施形態では、軸7AX及び軸7BXは、仮想平面VPとそれぞれ平行となるように構成されている。仮想平面VPは、互いに平行な第1軸部材5Aの軸線(軸5AX)と第2軸部材5Bの軸線(軸5BX)とを含む仮想平面である。図7に示す例では、第1レンズホルダ3A、第1受け部材7A、及び第1磁界発生部材MG1を含む第1可動体は、その重心が仮想平面VP上に位置するように構成されている。第1可動体が軸部材5に沿って移動する際の重心回りのトルクの発生を抑制するためである。第2レンズホルダ3B、第2受け部材7B、及び第2磁界発生部材MG2を含む第2可動体についても同様である。具体的には、固定側部材FBとしてのベース部材2は、図3に示すように、底面部2Bを備えている。そして、レンズホルダ3は、図4Bに示すように、上方が開放されてレンズ体LSを収容する(受け入れる)ことが可能となっている。そして、受け部材7は、図7に示すように、仮想平面VPよりも上側(Z1側)にオフセットされた位置に設けられている。なお、受け部材7は、仮想平面VPよりも下側(Z2側)にオフセットされた位置に設けられていてもよい。
【0101】
この構成は、レンズホルダ3のガタつきを抑制できるという効果をもたらす。図7に示す例では、第2付勢部材13Bが第2レンズホルダ3Bに取り付けられた第2受け部材7BをY1側に付勢する力(点線矢印で表される付勢力F1)は、第2レンズホルダ3Bを第2軸部材5Bの軸線(軸5BX)の回りに回転させようとするトルク(一点鎖線矢印で表される付勢トルクTQ)をもたらす。付勢トルクTQは、第2レンズホルダ3Bの第2左軸受け部32BLを上側から第1軸部材5Aに押し付けるように作用する。また、第2レンズホルダ3Bには、付勢トルクTQ以外にも、第2レンズホルダ3Bの自重が第2レンズホルダ3Bを第2軸部材5Bの軸線(軸5BX)の回りに回転させようとするトルク(自重トルク)が作用する。そして、第2付勢部材13Bは、付勢力F1によってもたらされる付勢トルクTQの大きさが自重トルクの大きさよりも大きくなるように構成されている。そのため、レンズホルダ駆動装置101がどのような姿勢をとっていても(上下が逆さまになったとしても)、付勢トルクTQと自重トルクとを合成することによって得られる合成トルクは、常に第2レンズホルダ3Bの第2左軸受け部32BLを第1軸部材5Aに押し付けるように作用する。すなわち、付勢トルクTQと自重トルクとが同じ向きである場合ばかりでなく、付勢トルクTQと自重トルクとが互いに反対向きであったとしても、合成トルクは常に第2レンズホルダ3Bの第2左軸受け部32BLを第1軸部材5Aに押し付けるように作用する。その結果、レンズホルダ駆動装置101がどのような姿勢をとっていても(上下が逆さまになったとしても)、第2レンズホルダ3Bの第2左軸受け部32BLと第1軸部材5Aとは常に接触した状態となり、第2左軸受け部32BLと第1軸部材5Aとの間におけるガタつきの発生は抑制される。第2レンズホルダ3Bの第2右軸受け部32BRと第2軸部材5Bとの間におけるガタつき、第1レンズホルダ3Aの第1右軸受け部32ARと第2軸部材5Bとの間におけるガタつき、及び、第1レンズホルダ3Aの第1左軸受け部32ALと第1軸部材5Aとの間におけるガタつきについても同様である。
【0102】
また、この構成は、レンズ体LSのレンズホルダ3への取り付けが容易になるという効果をもたらす。レンズ体LSのレンズホルダ3への取り付けは、典型的には、下側部材LM(レンズ体LSを除く)が図1Bに示すような姿勢で作業台上に載置された状態で行われる。そして、このような状態では、第1レンズホルダ3Aの第1左軸受け部32ALは、第1軸部材5Aに押し付けられ、且つ、第1レンズホルダ3Aの第1右軸受け部32ARは上側から第2軸部材5Bに押し付けられているためである。また、第2レンズホルダ3Bの第2右軸受け部32BRは、第2軸部材5Bに押し付けられ、且つ、第2レンズホルダ3Bの第2左軸受け部32BLは上側から第1軸部材5Aに押し付けられているためである。すなわち、レンズ体LSのレンズホルダ3への取り付けの前後でレンズホルダ3の位置が変化しないためである。
【0103】
また、上述の実施形態では、受け部材7及び接触部材9は何れも金属で形成されている。そして、受け部材7は接触部材9よりも硬い。
【0104】
この構成は、例えば、受け部材7及び接触部材9の少なくとも一方が合成樹脂で形成される場合に比べ、受け部材7及び接触部材9が摩耗し難いという効果をもたらす。また、この構成は、接触部材9が受け部材7に比べて柔らかくなる(湾曲しやすくなる)ように構成されるため、圧電素子8の曲げ振動(円運動)が過度に妨げられてしまうのを抑制できるという効果をもたらす。
【0105】
また、上述の実施形態では、付勢部材13は、光軸方向に延在する板ばね部材によって構成されている。具体的には、付勢部材13は、図5Bに示すように、固定側部材FBとしてのベース部材2に固定される一対の固定部13Fと、圧電駆動部PDを支持する支持部13Sと、一対の固定部13Fのそれぞれと支持部13Sとの間に設けられた弾性変形可能な一対の弾性変形部13Eとを有する。
【0106】
この構成は、光軸方向に垂直な方向(Z軸方向)に延在する板ばね部材を利用する構成に比べ、付勢部材13の寸法公差を緩和できるという効果をもたらす。筐体HSは、光軸方向(X軸方向)の寸法がZ軸方向の寸法(高さ)よりも大きくなるように構成されているためである。すなわち、この構成は、光軸方向に垂直な方向(Z軸方向)に延在する板ばね部材を利用する構成に比べ、光軸方向における弾性変形部13Eの寸法(固定部13Fと支持部13Sとの間の距離)を大きくできるためである。そして、弾性変形部13Eの寸法が大きいほど、弾性変形部13Eの基準寸法に対するズレが弾性変形部13Eのばね定数に与える影響は小さくなるためである。
【0107】
また、上述の実施形態では、レンズホルダ3は、図10に示すように、複数の貫通孔を有する。複数の貫通孔は、光軸OAが通る貫通丸孔RHと、軸部材5が挿通される貫通丸孔THとを含む。貫通丸孔RHは、前側貫通丸孔RHF及び後側貫通丸孔RHBを含み、貫通丸孔THは、前側貫通丸孔THF及び後側貫通丸孔THBを含む。そして、複数の貫通孔のそれぞれは、上方に開く第1溝部と下方に開く第2溝部との組み合わせで構成されている。具体的には、前側貫通丸孔RHFは、上方(Z1方向)に開くU字溝部DCFと下方(Z2方向)に開くU字溝部UCFとの組み合わせで構成され、後側貫通丸孔RHBは、上方(Z1方向)に開くU字溝部DCBと下方(Z2方向)に開くU字溝部UCBとの組み合わせで構成されている。また、前側貫通丸孔THFは、上方(Z1方向)に開くU字溝部DRFと下方(Z2方向)に開くU字溝部URFとの組み合わせで構成され、後側貫通丸孔THBは、上方(Z1方向)に開くU字溝部DRBと下方(Z2方向)に開くU字溝部URBとの組み合わせで構成されている。すなわち、上述の実施形態では、レンズホルダ3は、上下方向(Z軸方向)に分離される、スライドコアを含まない一対の金型を用いた射出成形によって製造される。
【0108】
そのため、この構成は、スライドコアを含む金型を用いた射出成形によって製造される場合に比べ、製造コストを低減させることができるという効果をもたらす。例えば、金型に関する不具合等によって歩留まりが低下したり、製造効率が低下したりしてしまうのを抑制できるためである。
【0109】
また、上述の実施形態では、レンズホルダ3には、図3に示すように、光軸方向に延在する磁界発生部材MGが設けられている。磁界発生部材MGは、図8Aに示すように、光軸方向と直交する第1方向(Y軸方向)における一端部(Y1側の端部(左側端部))がN極となり他端部(Y2側の端部(右側端部))がS極となるように着磁された磁石11(第2磁石11B)と、一端部に固定された一端側磁性部材(第2左磁性部材12BL)と、他端部に固定された他端側磁性部材(第2右磁性部材12BR)とを有する。一端側磁性部材(第2左磁性部材12BL)は、他端部側へ突出するような複数の第1突出部(第1左突出部PR1L~第3左突出部PR3L)を有し、他端側磁性部材(第2右磁性部材12BR)は、一端部側へ突出するような複数の第2突出部(第1右突出部PR1R~第3右突出部PR3R)を有する。第1突出部(第1左突出部PR1L~第3左突出部PR3L)と第2突出部(第1右突出部PR1R~第3右突出部PR3R)とは、互いに逆向きに突出するとともに磁界発生部材MGの延在方向(X軸方向)において交互に配置される。図示例では、一端側磁性部材(第2左磁性部材12BL)は、光軸方向と直交し且つ第1方向(Y軸方向)と直交する第2方向(Z軸方向)に突出する複数の第1突出部(第1左突出部PR1L~第3左突出部PR3L)を有し、他端側磁性部材(第2右磁性部材12BR)は、第2方向(Z軸方向)に突出する複数の第2突出部(第1右突出部PR1R~第3右突出部PR3R)を有する。第1突出部(第1左突出部PR1L~第3左突出部PR3L)と第2突出部(第1右突出部PR1R~第3右突出部PR3R)とは、互いに逆向きに突出するとともに磁界発生部材MGの延在方向(X軸方向)において交互に配置される。そして、固定側部材FBとしてのベース部材2(基板4)には、第1突出部(第1左突出部PR1L~第3左突出部PR3L)及び第2突出部(第1右突出部PR1R~第3右突出部PR3R)のそれぞれが発生させる磁界を検出する磁気センサ6が設けられている。
【0110】
この構成は、レンズホルダ駆動装置101の製造コストを低減させることができるという効果をもたらす。多極着磁された永久磁石を用いることなく、二極着磁された磁石11と磁性部材12との組み合わせで構成される磁界発生部材MGを用いることにより、光軸方向におけるレンズホルダ3の移動を検出できるためである。
【0111】
また、上述の実施形態では、レンズ体LSは、図1Bに示すように、共通の光軸OAを有する第1レンズ体LS1と第2レンズ体LS2とを含む。そして、図3に示すように、レンズホルダ3は第1レンズ体LS1を保持する第1レンズホルダ3Aと第2レンズ体LS2を保持する第2レンズホルダ3Bとを含み、軸部材5は第1軸部材5Aと第2軸部材5Bとを含む。また、圧電駆動部PDは、光軸方向と交差する方向(Z軸方向)に延在する第1圧電素子8Aを有し、第1圧電素子8Aの動き(円運動)によって光軸方向に沿って第1レンズホルダ3Aを移動させる第1圧電駆動部PD1と、光軸方向と交差する方向(Z軸方向)に延在する第2圧電素子8Bを有し、第2圧電素子8Bの動き(円運動)によって光軸方向に沿って第2レンズホルダ3Bを移動させる第2圧電駆動部PD2とを含む。第1レンズホルダ3Aと第2レンズホルダ3Bとは、光軸方向において互いに対向するように配置されている。第1圧電駆動部PD1及び第2圧電駆動部PD2は何れも固定側部材FBとしてのベース部材2に設けられている。そして、第1圧電駆動部PD1と第2圧電駆動部PD2とは、第1軸部材5A及び第2軸部材5Bを挟んで互いに離間して配置されている。具体的には、第1レンズホルダ3Aには、図3に示すように、第1圧電駆動部PD1と接触するように第1圧電駆動部PD1に対向するとともに第1圧電素子8Aの延在方向(Z軸方向)と交差する方向であるX軸方向に延び、第1圧電素子8Aの動きを受ける第1受け部材7Aが設けられている。そして、第1レンズホルダ3Aは、図4Aに示すように、第1軸部材5Aに近い部分(第1左軸受け部32AL)と第2軸部材5Bに近い部分(第1右軸受け部32AR)とを有する。そして、第1受け部材7Aは、第1レンズホルダ3Aにおける第1軸部材5Aに近い部分(第1左軸受け部32AL)において第1レンズホルダ3Aに取り付けられている。同様に、第2レンズホルダ3Bには、図3に示すように、第2圧電駆動部PD2と接触するように第2圧電駆動部PD2に対向するとともに第2圧電素子8Bの延在方向(Z軸方向)と交差する方向であるX軸方向に延び、第2圧電素子8Bの動きを受ける第2受け部材7Bが設けられている。そして、第2レンズホルダ3Bは、図4Aに示すように、第1軸部材5Aに近い部分(第2左軸受け部32BL)と第2軸部材5Bに近い部分(第2右軸受け部32BR)とを有する。そして、第2受け部材7Bは、第2レンズホルダ3Bにおける第2軸部材5Bに近い部分(第2右軸受け部32BR)において第2レンズホルダ3Bに取り付けられている。第1圧電駆動部PD1は、第1圧電素子8Aの第1レンズホルダ3A側(Y2側)の面に第1接触部材9Aを有し、第1受け部材7Aと第1接触部材9Aとが接触するように、固定側部材FBとしてのベース部材2に設けられた第1付勢部材13Aによって第1受け部材7A側(Y2側)に付勢されている。同様に、第2圧電駆動部PD2は、第2圧電素子8Bの第2レンズホルダ3B側(Y1側)の面に第2接触部材9Bを有し、第2受け部材7Bと第2接触部材9Bとが接触するように、固定側部材FBとしてのベース部材2に設けられた第2付勢部材13Bによって第2受け部材7B側(Y1側)に付勢されている。
【0112】
この構成は、レンズホルダ駆動装置101の組立性を向上させることができる。すなわち、この構成は、組み立てやすいレンズホルダ駆動装置101を提供できるという効果をもたらす。第1圧電駆動部PD1が固定側部材FB(ベース部材2)に設けられており、第1レンズホルダ3Aの移動に応じて変形するフレキシブル基板等の部材が用いられなくとも第1圧電駆動部PD1に電力を供給できるためである。同様に、第2圧電駆動部PD2が固定側部材FB(ベース部材2)に設けられており、第2レンズホルダ3Bの移動に応じて変形するフレキシブル基板等の部材が用いられなくとも第2圧電駆動部PD2に電力を供給できるためである。また、この構成は、第1レンズホルダ3Aの動きに応じて変形するフレキシブル基板等の部材によって第1レンズホルダ3Aの動きが制限されてしまうことがないという効果、及び、第2レンズホルダ3Bの動きに応じて変形するフレキシブル基板等の部材によって第2レンズホルダ3Bの動きが制限されてしまうことがないという効果をもたらす。
【0113】
また、この構成は、第1圧電駆動部PD1と第2圧電駆動部PD2とが離れた位置で固定側部材FB(ベース部材2)に配置されるため、組み立て性を向上させるという効果をもたらす。
【0114】
上述の実施形態では、第1レンズホルダ3Aは、図4Aに示すように、第1レンズ体LS1を保持する第1保持部31Aを有する。そして、第1受け部材7Aは、光軸方向において第1保持部31Aよりも長くなるように形成されている。同様に、第2レンズホルダ3Bは、図4Aに示すように、第2レンズ体LS2を保持する第2保持部31Bを有する。そして、第2受け部材7Bは、光軸方向において第2保持部31Bよりも長くなるように形成されている。そして、第1保持部31Aと第2保持部31Bとが互いに近づいた状態にあるときには、第1受け部材7Aの少なくとも一部と第2受け部材7Bの少なくとも一部とは光軸方向においてオーバーラップするように構成されている。図4Aに示す状態では、第1受け部材7Aと第2受け部材7Bとは光軸方向において幅W9にわたってオーバーラップしている。
【0115】
この構成は、光軸方向における軸部材5の限られた長さにおいて、第1レンズホルダ3A及び第2レンズホルダ3Bのそれぞれの光軸方向における移動量を大きくすることができるという効果をもたらす。第1左軸受け部32ALの幅W1が第1保持部31Aの幅W2よりも大きく、且つ、第2右軸受け部32BRの幅W5が第2保持部31Bの幅W6よりも大きくなるようにしながらも、第1レンズ体LS1と第2レンズ体LS2とが略接触する程度にまで第1レンズ体LS1と第2レンズ体LS2とを互いに近付けることができるためである。
【0116】
第1受け部材7A及び第2受け部材7Bは何れも、図7に示すように、第1軸部材5Aの軸線と第2軸部材5Bの軸線とを含む仮想平面VPから離れた位置に設けられていてもよい。
【0117】
この構成は、第1レンズホルダ3A及び第2レンズホルダ3Bのそれぞれのガタつきを抑制できるという効果をもたらす。レンズホルダ駆動装置101がどのような姿勢をとっていたとしても(上下が逆さまになったとしても)、第1レンズホルダ3Aに作用するトルクが常に第1レンズホルダ3Aを軸部材5に押し付けるように作用し、且つ、第2レンズホルダ3Bに作用するトルクが常に第2レンズホルダ3Bを軸部材5に押し付けるように作用するような構成を実現できるためである。
【0118】
上述の実施形態では、固定側部材FBとしてのベース部材2は、図3に示すように、底面部2Bを備えている。また、第1レンズホルダ3Aは、上方が開放されて第1レンズ体LS1を挿入可能となっている。そして、第1受け部材7Aは、図7に示すように、仮想平面VPよりも上側(Z1側)に位置している。同様に、第2レンズホルダ3Bは、図4Bに示すように、上方が開放されて第2レンズ体LS2を挿入可能となっている。そして、第2受け部材7Bは、図7に示すように、仮想平面VPよりも上側(Z1側)に位置している。
【0119】
この構成は、第1レンズ体LS1の第1レンズホルダ3Aへの取り付けが容易になるという効果をもたらす。この構成では、第1レンズホルダ3Aの第1左軸受け部32ALが第1軸部材5Aに押し付けられ、且つ、第1レンズホルダ3Aの第1右軸受け部32ARが上側から第2軸部材5Bに押し付けられるためである。すなわち、第1レンズ体LS1の第1レンズホルダ3Aへの取り付けの前後において、第1レンズホルダ3Aと第1軸部材5A及び第2軸部材5Bのそれぞれとの間でガタつきが発生しないように構成されているためである。第2レンズ体LS2の第2レンズホルダ3Bへの取り付けに関しても同様である。
【0120】
上述の実施形態では、第1付勢部材13Aは、板ばね部材によって構成されている。そして、第1付勢部材13Aは、図5Bに示すように、固定側部材FBとしてのベース部材2に固定される一対の固定部13F(第1固定部)と、第1圧電駆動部PD1を支持する支持部13S(第1支持部)と、一対の固定部13Fのそれぞれと支持部13Sとの間に設けられた弾性変形可能な一対の弾性変形部13E(第1弾性変形部)とを有する。同様に、第2付勢部材13Bは、板ばね部材によって構成されている。そして、第2付勢部材13Bは、固定側部材FBとしてのベース部材2に固定される一対の固定部13F(第2固定部)と、第2圧電駆動部PD2を支持する支持部13S(第2支持部)と、一対の固定部13Fのそれぞれと支持部13Sとの間に設けられた弾性変形可能な一対の弾性変形部13E(第2弾性変形部)とを有する。
【0121】
この構成は、光軸方向に垂直な方向(Z軸方向)に延在する板ばね部材を利用する構成に比べ、第1付勢部材13A及び第2付勢部材13Bのそれぞれの寸法公差を緩和できるという効果をもたらす。筐体HSは、光軸方向(X軸方向)の寸法がZ軸方向の寸法(高さ)よりも大きくなるように構成されているためである。すなわち、この構成は、光軸方向に垂直な方向(Z軸方向)に延在する板ばね部材を利用する構成に比べ、光軸方向における弾性変形部13Eの寸法(固定部13Fと支持部13Sとの間の距離)を大きくできるためである。そして、光軸方向における弾性変形部13Eの寸法が大きいほど、弾性変形部13Eの基準寸法に対するズレが弾性変形部13Eのばね定数に与える影響は小さくなるためである。
【0122】
上述の実施形態では、第1レンズホルダ3Aには、第1軸部材5A側において光軸方向に延在する第1磁界発生部材MG1が設けられている。また、第2レンズホルダ3Bには、第2軸部材5B側において光軸方向に延在する第2磁界発生部材MG2が設けられている。そして、固定側部材FBとしてのベース部材2(基板4)には、第1磁界発生部材MG1が発生させる磁界を検出する第1磁気センサ6Aと第2磁界発生部材MG2が発生させる磁界を検出する第2磁気センサ6Bとが設けられている。
【0123】
この構成は、第1磁界発生部材MG1及び第1磁気センサ6Aとで構成される第1位置検出機構DT1と、第2磁界発生部材MG2及び第2磁気センサ6Bとで構成される第2位置検出機構DT2との間の磁気的な相互干渉を抑制できるという効果をもたらす。
【0124】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態に限定されることはない。上述した実施形態は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形及び置換等が適用され得る。また、上述の実施形態を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
【0125】
例えば、上述の実施形態では、貫通丸孔THは二つのU字溝部の組み合わせで構成されているが、U字溝部の少なくとも一方はV字溝部であってもよい。貫通丸孔RHについても同様である。
【符号の説明】
【0126】
1・・・カバー部材 2・・・ベース部材 2A・・・外壁部 2A1・・・第1側板部 2A2・・・第2側板部 2A3・・・第3側板部 2A4・・・第4側板部 2B・・・底面部 2C・・・挟持部 2G・・・溝部 2P・・・栓部材 2S・・・収納部 2T・・・切り欠き 3・・・レンズホルダ 3A・・・第1レンズホルダ 3B・・・第2レンズホルダ 4・・・基板 4T・・・端子部 5・・・軸部材 5A・・・第1軸部材 5AX・・・軸 5B・・・第2軸部材 5BX・・・軸 6・・・磁気センサ 6A・・・第1磁気センサ 6B・・・第2磁気センサ 7・・・受け部材 7A・・・第1受け部材 7AX・・・軸 7B・・・第2受け部材 7BX・・・軸 8・・・圧電素子 8A・・・第1圧電素子 8AX・・・回転軸 8B・・・第2圧電素子 9・・・接触部材 9A・・・第1接触部材 9B・・・第2接触部材 10・・・回路基板 10A・・・第1回路基板 10B・・・第2回路基板 11・・・磁石 11A・・・第1磁石 11B・・・第2磁石 12・・・磁性部材 12A・・・第1磁性部材 12AL・・・第1左磁性部材 12AR・・・第1右磁性部材 12B・・・第2磁性部材 12BL・・・第2左磁性部材 12BR・・・第2右磁性部材 13・・・付勢部材 13A・・・第1付勢部材 13B・・・第2付勢部材 13E・・・弾性変形部 13EB・・・後側弾性変形部 13EF・・・前側弾性変形部 13F・・・固定部 13FB・・・後側固定部 13FF・・・前側固定部 13K・・・基部 13KD・・・下側基部 13KU・・・上側基部 13N・・・折り曲げ部 13ND・・・下側折り曲げ部 13NU・・・上側折り曲げ部 13S・・・支持部 13SD・・・下側支持部 13SU・・・上側支持部 31・・・保持部 31A・・・第1保持部 31B・・・第2保持部 32・・・軸受け部 32A・・・第1軸受け部 32AL・・・第1左軸受け部 32AR・・・第1右軸受け部 32B・・・第2軸受け部 32BL・・・第2左軸受け部 32BR・・・第2右軸受け部 32L・・・左軸受け部 32R・・・右軸受け部 101・・・レンズホルダ駆動装置 AB、AF・・・接触部 BE・・・内縁部 BP・・・棒状部 BPL・・・左棒状部 BPR・・・右棒状部 CL・・・中心線 CM・・・カメラモジュール CT・・・切り欠き DCB、DCF、DRB、DRF・・・U字溝部 DL・・・下側L字溝部 DT・・・位置検出機構 DT1・・・第1位置検出機構 DT2・・・第2位置検出機構 FB・・・固定側部材 GP・・・間隔 HS・・・筐体 IS・・・撮像素子 L1~L4・・・間隔 LM・・・下側部材 LS・・・レンズ体 LS1・・・第1レンズ体 LS2・・・第2レンズ体 M1~M6・・・幅 MB・・・可動側部材 MG・・・磁界発生部材 MG1・・・第1磁界発生部材 MG2・・・第2磁界発生部材 MR・・・ミラー N1~N5・・・間隔 ND・・・節 ND1・・・第1節 ND2・・・第2節 OA・・・光軸 OP1、OP2・・・貫通丸孔 PD・・・圧電駆動部 PD1・・・第1圧電駆動部 PD2・・・第2圧電駆動部 PR・・・突出部 PR1L・・・第1左突出部 PR1R・・・第1右突出部 PR2L・・・第2左突出部 PR2R・・・第2右突出部 PR3L・・・第3左突出部 PR3R・・・第3右突出部 RH・・・貫通丸孔 RHB・・・後側貫通丸孔 RHF・・・前側貫通丸孔 RS・・・凹部 TH・・・貫通丸孔 THB・・・後側貫通丸孔 THF・・・前側貫通丸孔 TK・・・厚み UCB、UCF、URB、URF・・・U字溝部 UL・・・上側L字溝部 VP・・・仮想平面 W1~W9・・・幅
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9
図10