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特許7605561ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させるように修正された地板
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させるように修正された地板
(51)【国際特許分類】
   H01Q 19/08 20060101AFI20241217BHJP
   H01Q 13/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01Q19/08
H01Q13/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023533611
(86)(22)【出願日】2021-11-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-12-13
(86)【国際出願番号】 US2021060047
(87)【国際公開番号】W WO2022119726
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】17/110,020
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー,アレン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】カルヴァー,ジェイムズ ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】コスタス,カルロス アール.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,ダニエル ピー.
(72)【発明者】
【氏名】レヴァンドフスキー,ライアン シー.
【審査官】齊藤 晶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0304508(US,A1)
【文献】特開昭51-012386(JP,A)
【文献】F. DEMMERLE et al.,“A biconical multibeam antenna for space-division multiple access”,IEEE Transactions on Antennas and Propagation,1998年06月,Vol. 46, No. 6,p.782-787,DOI:10.1109/8.686762
【文献】Ahmad EMADEDDIN et al.,“A Compact Ultra-Wideband Multibeam Antenna System”,IEEE Transactions on Antennas and Propagation,2018年01月,Vol. 66, No. 1,p.125-131,DOI:10.1109/TAP.2017.2776342
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 19/08
H01Q 13/02
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジオデシック・アンテナであって:
外側コーン;
前記外側コーン内に部分的に配置され、前記外側コーンとともに電磁導波管を定める内側コーン;
前記外側コーンと前記内側コーンの間のスペースで電磁波を生成するように構成された複数の駆動素子;及び
その生成された電磁波のうちの第1の電磁波を、前記外側コーンと前記内側コーンの間のスペース内に反射して戻すように構成された地板であって、前記地板は、前記生成された電磁波のうちの第2の電磁波が、前記地板から反射されて干渉パターンを生じることを防止する幾何学的設計を有する、地板;
を含むジオデシック・アンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のジオデシック・アンテナにおいて、前記地板は:
環状リング;及び
前記環状リングに沿って配置され且つ前記環状リングを貫通する複数の開口;
を含む、ジオデシック・アンテナ。
【請求項3】
請求項2に記載のジオデシック・アンテナにおいて、前記複数の開口は前記環状リングに沿って配置され、その結果、各々の開口は、前記駆動素子2つによって生じる2つの電磁波の各々を直接的に受けるように位置づけられている、ジオデシック・アンテナ。
【請求項4】
請求項2に記載のジオデシック・アンテナにおいて、前記地板は、前記環状リングから延びる複数の隆起した壁を更に含む、ジオデシック・アンテナ。
【請求項5】
請求項4に記載のジオデシック・アンテナにおいて、前記複数の隆起した壁は、各々の開口の対向する側に配置された2つの隆起した壁を含む、ジオデシック・アンテナ。
【請求項6】
請求項4に記載のジオデシック・アンテナにおいて、前記複数の隆起した壁は、各々の開口を囲む隆起した壁を含む、ジオデシック・アンテナ。
【請求項7】
請求項2に記載のジオデシック・アンテナにおいて:
前記地板を前記外側コーン及び前記内側コーンに固定するように構成されたベースを更に含み、前記ベースは、前記地板の開口を通る前記第2の電磁波を受けて終端するようにも構成されている、ジオデシック・アンテナ。
【請求項8】
請求項1に記載のジオデシック・アンテナにおいて、前記地板は:
前記第1の電磁波を、前記外側コーン及び前記内側コーンの間のスペース内に反射して戻すように構成された平面部分;及び
前記第2の電磁波を、前記外側コーン及び前記内側コーンの間のスペース内に反射して戻すように構成された複数の傾斜面;
を含む、ジオデシック・アンテナ。
【請求項9】
請求項8に記載のジオデシック・アンテナにおいて、前記地板は、前記傾斜面を形成する複数のプリズムを含む、ジオデシック・アンテナ。
【請求項10】
請求項9に記載のジオデシック・アンテナにおいて:
前記地板は環状リングを含み;及び
前記プリズムは前記環状リングに沿って配置されている、ジオデシック・アンテナ。
【請求項11】
請求項10に記載のジオデシック・アンテナにおいて、前記複数のプリズムは前記環状リングに沿って配置され、その結果、各々のプリズムは、前記駆動素子2つによって生じる2つの電磁波の各々を直接的に受けるように位置付けられている、ジオデシック・アンテナ。
【請求項12】
請求項8に記載のジオデシック・アンテナにおいて、前記複数の傾斜面は、前記第2の電磁波を、前記第1の電磁波と同じ方向において反射するように構成されている、ジオデシック・アンテナ。
【請求項13】
請求項8に記載のジオデシック・アンテナにおいて、前記複数の傾斜面は、前記第2の電磁波を、前記ジオデシック・アンテナのスキャン角度より急勾配の角度で反射するように構成されている、ジオデシック・アンテナ。
【請求項14】
請求項1に記載のジオデシック・アンテナにおいて:
前記地板を前記外側コーン及び前記内側コーンに固定するように構成されたベースを更に含み、前記ベースは、前記外側コーン及び前記内側コーンに対して着脱されるようにも構成され、前記地板を、異なる幾何学的設計を有する別の地板と置換することを可能にしている、ジオデシック・アンテナ。
【請求項15】
請求項14に記載のジオデシック・アンテナにおいて、前記地板は、前記ベースの一部が前記地板を通ることを許容するように構成された中央開口を含む、ジオデシック・アンテナ。
【請求項16】
ジオデシック・アンテナの外側コーンと内側コーンの間のスペースで電磁波を生成するステップ;及び
その生成された電磁波のうちの第1の電磁波を、前記外側コーンと前記内側コーンの間のスペース内に反射して戻すように、前記ジオデシック・アンテナの地板を使用するステップであって、前記地板は、前記生成された電磁波のうちの第2の電磁波が、前記地板から反射されて干渉パターンを生じることを防止する幾何学的設計を有する、ステップ;
を含む方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において:
前記地板は、前記第2の電磁波が前記地板を通ることを可能にする複数の開口を含み;及び
前記ジオデシック・アンテナのベースは、前記地板を通る前記第2の電磁波を終端する、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法において:
前記地板は、前記開口を少なくとも部分的に包囲する複数の壁を更に含み;及び
前記壁は:
前記第2の電磁波を前記開口内へ反射すること;及び
前記第2の電磁波を、前記ジオデシック・アンテナのスキャン角度より急勾配の角度で反射すること;
のうちの少なくとも一方のために構成されている、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法において:
前記地板は、前記第2の電磁波を、前記外側コーンと前記内側コーンの間のスペース内に反射して戻す複数の傾斜面を含んでいる、方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、前記地板は、前記傾斜面を形成する複数のプリズムを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は一般にジオデシック・アンテナ(geodesic antennas)に関する。より具体的に、本開示は、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させるように修正された地板(ground planes)に関連する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ジオデシック・アンテナは、アンテナ素子が方位角の全ての角度でビーム・パターンに寄与するアンテナである。一部のジオデシック・アンテナは、電磁エネルギーを方向付けるのに役立つコーン(cone)を含み、コーンはジオデシック・アンテナのレンズ開口を定める。ジオデシック・レンズ開口は、設計の単純さを含む多くの利点を有する。構造と設計のそれらの容易性に起因して、ジオデシック・レンズ開口は、方位角で360°のカバレッジを必要とする用途に良く適している。しかしながら、電磁エネルギーは、典型的には、コーンの一方端で提供され、ジオデシック電磁波(geodesic rays)の形態における電磁エネルギーの一部は、コーンの反対側で結合し、干渉パターン(interferometer pattern)を生じる可能性がある。この干渉パターンは、ビーム・ステアリング演算のような機能を複雑化する位相擾乱(phase disturbance)を引き起こし、より高いサイド・ローブを伴うビームを形成する結果となる可能性がある。
【発明の概要】
【0003】
[0003] 本開示は、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させるように修正された地板を提供する。
【0004】
[0004] 第1の実施形態において、ジオデシック・アンテナは外側コーンを含む。ジオデシック・アンテナは、外側コーン内に部分的に配置され、外側コーンとともに電磁導波管を定める内側コーンも含む。ジオデシック・アンテナは、外側及び内側コーンの間のスペースで電磁波を生成するように構成された複数の駆動素子を更に含む。更に、ジオデシック・アンテナは、生成された電磁波のうちの第1の電磁波を、外側及び内側コーンの間のスペース内に反射して戻すように構成された地板を含む。地板は、生成された電磁波のうちの少なくとも幾らかの第2の電磁波が、地板から反射されて干渉パターンを生じることを防止する幾何学的設計を有する。
【0005】
[0005] 第2の実施形態において、方法は、ジオデシック・アンテナの外側及び内側コーンの間のスペースで電磁波を生成するステップを含む。また、方法は、生成された電磁波のうちの第1の電磁波を、外側及び内側コーンの間のスペース内に反射して戻すように、ジオデシック・アンテナの地板を使用するステップを含む。地板は、生成された電磁波のうちの少なくとも幾らかの第2の電磁波が、地板から反射されて干渉パターンを生じることを防止する幾何学的設計を有する。
【0006】
[0006] その他の技術的特徴は、以下の図面、説明及びクレームから当業者には容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
[0007] 本開示及びその特徴のより完全な理解のために、添付図面とともに以下の説明を参照する。
図1】[0008] 図1は、本開示による例示的なジオデシック・アンテナを示す。
図2】[0008] 図2は、本開示による例示的なジオデシック・アンテナを示す。
図3】[0008] 図3は、本開示による例示的なジオデシック・アンテナを示す。
図4A】[0009] 図4Aは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる例示的な修正された地板を示す。
図4B】[0009] 図4Bは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる例示的な修正された地板を示す。
図5A】[0009] 図5Aは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる例示的な修正された地板を示す。
図5B】[0009] 図5Bは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる例示的な修正された地板を示す。
図5C】[0009] 図5Cは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる例示的な修正された地板を示す。
図6A】[0009] 図6Aは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる例示的な修正された地板を示す。
図6B】[0009] 図6Bは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる例示的な修正された地板を示す。
図6C】[0009] 図6Cは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる例示的な修正された地板を示す。
図7A】[0009] 図7Aは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる例示的な修正された地板を示す。
図7B】[0009] 図7Bは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる例示的な修正された地板を示す。
図7C】[0009] 図7Cは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる例示的な修正された地板を示す。
図8A】[0010] 図8Aは、本開示による修正された地板を有するジオデシック・アンテナの動作例を示す。
図8B】[0010] 図8Bは、本開示による修正された地板を有するジオデシック・アンテナの動作例を示す。
図9A】[0011] 図9Aは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる修正された地板を用いて得られる恩恵の例を示す。
図9B】[0011] 図9Bは、本開示による、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる修正された地板を用いて得られる恩恵の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0012] 以下に説明される図1ないし9B、及び本件明細書で本発明の原理を説明するために使用される様々な実施形態は、例示を目的としているだけであり、本発明の範囲を限定する如何なる方法によっても解釈されるべきではない。当業者は、本発明の原理は、適切に配置された任意の種類のデバイス又はシステムに実装される可能性がある、ということを理解するであろう。
【0009】
[0013] 上述したように、一部のジオデシック・アンテナは、電磁エネルギーを方向付けるのに役立つコーンを含み、コーンはジオデシック・アンテナのレンズ開口部を規定する。しかしながら、電磁エネルギーは、典型的には、コーンの一方端で提供され、ジオデシック電磁波の形態における電磁エネルギーの一部は、コーンの反対側で結合し、干渉パターンを生じる可能性がある。この干渉パターンは、ビーム・ステアリング演算のような機能を複雑化する位相擾乱を引き起こし、より高いサイド・ローブを伴うビームを形成する結果となる可能性がある。
【0010】
[0014] 本件の開示は、ジオデシック・アンテナで使用されることが可能な様々な修正された地板を提供する。以下において更に詳細に説明されるように、修正された各々の地板は、ジオデシック・アンテナで生成される電磁エネルギーを反射する。地板の幾何学的操作を使用して、電磁エネルギーは、ジオデシック・アンテナのスキャン角度に対して、より急勾配な角度で反射されたり又はトラップされたりすることが可能である(反射のより急勾配な角度は、電磁エネルギーをトラップすることにも役立つ)。その結果、この電磁エネルギーは、減少した又は最小化された影響しか有しておらず、ジオデシック・アンテナによって生成される出力ビーム全体に、大きな寄与をもたらさない。このようにして、ジオデシック・アンテナの干渉パターンを減少させることができ、このことは、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させることに役立つ。これは、ジオデシック・アンテナの位相リップル(phase ripple)を制限することにも役立つ可能性があり、ジオデシック・アンテナの位相計算をシンプルにする。これは、出力ビームを形成する場合に、サイド・ローブを下げることにも役立つ。更に、干渉の二次的効果を考慮する必要がないので、ビーム・ステアリング演算のような処理をシンプルにすることが可能である。
【0011】
[0015] 図1ないし3は、本開示による例示的なジオデシック・アンテナ100を示している。より具体的には、図1はジオデシック・アンテナ100の斜視図を示し、図2はジオデシック・アンテナ100の分解図を示し、図3はジオデシック・アンテナ100の断面図を示している。図1ないし3のジオデシック・アンテナ100の実施形態は例示だけのためのものであり、ジオデシック・アンテナ100は適切な任意の他の要素パターンを有する可能性がある。
【0012】
[0016] 図1ないし3に示されるように、ジオデシック・アンテナ100は、「コーン(cones)」と呼ばれる入れ子状にされたジオデシック・レンズ・アンテナ(geodesic lens antennas,GLA)を使用して形成される。図1ないし3の例示的な実施形態では、ジオデシック・アンテナ100は、外側コーン105と内側コーン110を含む。外側コーン105と内側コーン110は、平行板導波管として機能するように同心状になっている。2つより多いコーンがジオデシック・アンテナ100で使用されることが可能であるが、簡単のために、外側コーン105と内側コーン110の関係が説明されており、外側コーン105と内側コーン110の関係は2つより多いコーンに拡張することが可能である。例えば、追加の外側コーンが、平行板導波管として機能するように、内側コーン110及び外側コーン105と同心状になっていてもよい。
【0013】
[0017] 外側コーン105は、外側コーン105の内部空間内に内側コーン110の一部を受け入れるように構成されている。外側コーン105は、1つ以上の金属のような適切な任意の導電性材料から形成されることが可能である。外側コーン105は、鋳造、射出成形、金属スピニング、金属旋削のような適切な任意の方法で形成されることも可能である。更に、外側コーン105は、適切な任意のサイズ、形状、寸法を有することが可能である。この例では、外側コーン105は、一方端で少なくとも部分的に囲まれる中空の概して円筒状の構造115として形成される。外側コーン105の反対側の端部の周囲は、外側コーン105の中心軸から半径方向に突出するフレア状部分120を有する。フレア状部分120の表面は、外側コーン105の内側表面125からの優角 (180°より大きい角度)にある。
【0014】
[0018] 内側コーン110の一部分は外側コーン105内に挿入され、内側コーン110の別の部分は外側コーン105の上方に延びている。内側コーン110は、1つ以上の金属のような適切な任意の導電性材料から形成されることが可能である。内側コーン110の導電性材料は、外側コーン105の導電性材料と同一であっても相違していてもよい。また、内側コーン110は、鋳造、射出成形、金属スピニング、又は金属旋削のような適切な任意の方法で形成されることが可能である。更に、内側コーン110は、適切な任意のサイズ、形状、及び寸法を有することが可能である。この例では、内側コーン110は中空の概して円筒状の構造体130として形成され、その少なくとも一部分は外側コーン105内に収まっている。内側コーン110を外側コーン105内に挿入することで、外側コーン105の内側表面125と内側コーン110の外側表面140との間に環状部135が形成される。内側コーン110の反対側の端部の円周部は、内側コーン110の中心軸から半径方向に突出するフレア部145を有する。フレア部145の表面は、内側コーン110の外側表面140に対して斜角(90°より小さいか又は大きい)の位置にある。
【0015】
[0019] 外側コーン105と内側コーン110は、一対の円錐状断面のような等角構造体(conformal structures)としてジオデシック平行板導波管を形成する。内側コーン110は、外側コーン105内で結合されて平行導波管を形成し、平行導波管は 外側コーン105の内側表面125と内側コーン110の外側表面140との間に形成される。外側コーン105の内側表面125と内側コーン110の外側表面140は、導波管の対向するプレートを表す。内側コーン110と外側コーン105は、どちらも同じ形状(フレア状端部を有する概して中空の円筒)を有するように説明されているが、外側コーン105と内側コーン110の形状は相違している可能性があることに留意されたい。
【0016】
[0020] 前述したように、外側コーン105のフレア状部分120は、外側コーン105の内側表面125の頂部から優角で延びている可能性があり、内側コーン110のフレア状部分145は、内側コーン110の外側表面140の頂部から斜角で延びている可能性がある。外側コーン105のフレア状部分120と内側コーン110のフレア状部分145は、結果として生じる導波管放射素子パターンの焦点を合わせることを可能にする。フレア状部分120と145の構造は、オムニ指向性導波管の放射素子パターンを可能にする。
【0017】
[0021] 複数の駆動素子150の各々は、外側のコーン105に結合され、外側のコーン105の内側表面125と内側コーン110の外側表面140との間の環状部135内に延びる。各々の駆動素子150は、伝送線を使用すること等により、送信機又は受信機に接続される。駆動素子150が送信用ジオデシック・アンテナ100に実装される場合、駆動素子150は送信機からの無線周波数(RF)信号によって駆動され、これは、駆動素子150が、環状部135の中でRF波の形態で、電磁エネルギーを生成することを引き起こす。各々の駆動素子150に提供されるRF信号の位相は、ジオデシック・アンテナ100によって送信される出力ビームの所望の方向に応じて変えることが可能である。駆動素子150が受信用ジオデシック・アンテナ100に実装される場合、駆動素子150は、環状部135内に集められたRF波の形態の電磁エネルギーを電流に変換し、電流は受信機に提供される。各々の駆動素子150は、四分の一波長の給電プローブ又はその他の給電プローブを表している可能性がある。
【0018】
[0022] 少なくとも1つの駆動素子150は、少なくとも1つの一次ジオデシック電磁波(primary geodesic ray)を生成するように構成されることが可能である。駆動要素150からのプライマリ・ジオデシック電磁波は、概して、外側コーン105の外方に焦点を合わせることが可能である。しかしながら、二次ジオデシック電磁波(secondary geodesic rays)が、内側コーン110の外側表面140及び外側コーン105の内側表面125と相互作用する一次ジオデシック電磁波の副作用として生成される可能性がある。二次ジオデシック電磁波も、ビームの一般的な分散(dispersion)に基づいて生成される可能性がある。少なくとも1つの駆動要素150は、モノポール(monopole)として機能し、地板155の方に向かう反対方向に電磁波を生成する可能性がある。地板155は、外側コーン105の内部のベースとして実装されるか、又は、外側コーン105とは別個に形成されて外側コーン105に結合されることも可能である。
【0019】
[0023] 地板155は、1つ以上の駆動要素150からの電磁波を反射し、反射された電磁波は一次ジオデシック電磁波のゲインを増加させる。地板155は、駆動要素150と電磁的に結合された寄生要素を表す。1つ以上の駆動要素150からの一次ジオデシック電磁波は、ジオデシック・アンテナ100のスキャン角度内のポインティング角度に貢献することが可能である。例えば、一次ジオデシック電磁波は、ジオデシック・アンテナ100の特定の用途に適した素子パターンを形成することが可能である。外側コーン105と内側コーン110は、ジオデシック・アンテナ100のゲインとサイズに影響を与える所望のスキャン角度で設計されることが可能である。より小さなスキャン角度はより大きなゲインをもたらすが、より高所のジオデシック・アンテナ100を必要とする可能性もある。より大きなスキャン角度はより小さなゲインをもたらすが、より小さくコンパクトなジオデシック・アンテナ100を可能にする。
【0020】
[0024] しかしながら、何らかの種類の修正も伴わない場合、二次ジオデシック電磁波は、内側コーン110と外側コーン105の間の環状部135内でまとわりつき、駆動要素150によって生成された一次ジオデシック電磁波及び他の二次ジオデシック電磁波の両方と干渉する可能性がある。これは、位相の乱れを引き起こす可能性のある干渉パターンを形成し、位相の乱れはビーム・ステアリング演算のような機能を複雑化する可能性があり、より高いサイド・ローブを伴うビーム形成となる可能性がある。ジオデシック・アンテナ100の動作を改善するために、干渉パターンを減少又は最小化することが必要であり望まれている。
【0021】
[0025] 以下でより詳細に説明されるように、地板155は、ジオデシック・アンテナ100に関連する干渉パターンを大幅に減少させるのに役立つように設計されている。これは、二次ジオデシック電磁波を形成する可能性のある電磁エネルギーを、より効果的にトラップするように地板155を設計することによって達成される。一部の実施形態では、地板155は、電磁波が地板155を通過し、地板155の下にトラップされることを可能にする孔(又はホール)を含む。他の実施形態では、地板155は、プリズム又はその他の角度の付いた表面であって、シンプルで平坦な地板と比較して急勾配の角度で電磁波を反射するものを含む。どちらのアプローチも、二次ジオデシック電磁波を、ジオデシック・アンテナ100内に、より効果的にトラップするのに役立ち、このことは、ジオデシック・アンテナ100の干渉パターンを減少させるのに役立つ。地板155の例示的な実施形態は以下で説明されている。地板155は、1つ以上の金属のような任意の適切な導電性材料から形成されることが可能である。地板155は、機械加工のような適切な任意の方法で形成されることも可能である。更に、地板155は、適切な任意のサイズ、形状、及び寸法を有する可能性がある。
【0022】
[0026] この例では、ベース160は、ジオデシック・アンテナ100の下部を表し、ジオデシック・アンテナ100の様々な構成要素をともに結合することに役立つ。例えば、ベース160は、外側コーン105と内側コーン110に結合する一方、地板155をジオデシック・アンテナ100内に固定する。この特定の例では、様々なボルト又はその他のコネクタ165は、ベース160を通過して外側コーン105に入ることが可能であり、これにより外側コーン105をベース160に固定する。同様に、様々なボルト又はその他のコネクタ170は、ベース160を通過して内側コーン110に入ることが可能であり、これにより内側コーン110をベース160に固定する。また、後述するように、少なくとも一部のコネクタ165又は170は、地板155の開口部を通過し、ベース160と外側及び内側コーン105,110との間の適所で地板155に固定することが可能である。幾つかの実施形態では、ベース160は、地板155を介してベース160内に入る電磁波を捕捉して終端するRFトラップを実装することが可能である。ベース160は、適切な任意の材料から及び適切な任意の方法で形成されることが可能である。ベース160もまた適切な任意のサイズ、形状、及び寸法を有することが可能である。
【0023】
[0027] 一部の実施形態では、ベース160をジオデシック・アンテナ100から取り外し、地板155を交換することは、比較的シンプルな作業である可能性があることに留意されたい。例えば、作業者はコネクタ165及び170を取り外し、ベース160と現在の地板155を、外側及び内側コーン105,110から持ち上げ、現在の地板155を別の地板155に交換し、コネクタ165及び170を使用して、ベース160と他の地板155を、外側及び内側のコーン105,110に再び取り付けることを必要とするだけである可能性がある。特に、作業者は、ジオデシック・アンテナ100で使用される地板を、必要とされる又は望まれるように変更すること、例えば、アンテナのパフォーマンスを変更したり、或いはアンテナのパフォーマンスを所望の用途に適合させたりすること等を可能にすることができる。しかしながら、ジオデシック・アンテナ100の地板155を変更する機能はオプションであり、ジオデシック・アンテナ100の何らかの特定の実装においてサポートされてもされなくてもよい。
【0024】
[0028] ジオデシック・アンテナ100とその個々の構成要素は、適切な任意のサイズ、形状、及び寸法を有する可能性がある。例えば、一部の実施形態では、ジオデシック・アンテナ100は、約9インチ(約22.86センチメートル)のトータルの直径及び約7インチ(約17.78センチメートル)のトータルの高さを有する。しかしながら、ジオデシック・アンテナ100の設計は、任意の特定の用途の特定の要件を満たすように、容易にスケーリングすることが可能である。ジオデシック・アンテナ100は、方位角で360°のカバレッジを提供し、所望のビーム・ステアリング又は他のビーム関連機能をサポートすることも可能である。本件におけるジオデシック・アンテナ100は、防衛関連又は秘密の用途であって方位角で360°が必要とされる又は望まれるもの等のような適切な任意の使用されることが可能である。
【0025】
[0029] 図1ないし3はジオデシック・アンテナ100の一例を示しているが、図1ないし3に様々な変更が施される可能性がある。例えば、ジオデシック・アンテナ100は複数の外側コーン105を有し、その各々が駆動要素150を有している可能性がある。また、ジオデシック・アンテナ100は、の任意の適切な数及び種類の外部構成要素及びシステムと組み合わせて使用されてもよい。
【0026】
[0030] 図4Aないし7Cは、本開示に従ってジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる例示的な修正された地板155a-155dを示している。説明を容易にするために、図4Aないし7Cに示される地板155a-155dは、図1ないし3のジオデシック・アンテナ100で使用されるものとして説明されている。しかしながら、図4Aないし7Cに示される地板155a-155dは、適切な他のジオデシック・アンテナで使用されてもよい。
【0027】
[0031] 図4A及び4Bに示されるように、地板155aの第1の例示的な実施形態は、実質的に平面状の環状構造を表している。ここで、地板155aは、リング405内の空きスペース410を囲む環状リング405として形成されている。空きスペース410は、例えば、ベース160の一部分が地板155aを通過し、内側コーン110に結合して支持することを可能にする。リング405は様々な開口部415を含み、ここで、各々の開口部415は地板155aを完全に貫通する。開口部415は、地板155aの方に向けられた電磁波の一部分が、地板155aを通過し、ベース160を使用してトラップされることを可能にする。
【0028】
[0032] 一部の実施形態では、地板155aがベース160によって外側及び内側コーン105,110に固定されると、各々の開口部415は、それが2つの駆動要素150の間で実質的に等距離又は中央になるように、配置されることが可能である。これは、例えば、電磁波のより効果的な捕捉を可能にする可能性があり、そうでなければその電磁波は環状部135にまとわりついて二次ジオデシック電磁波を形成する可能性がある。これらの実施形態では、開口部415の数や開口部415の位置は、駆動素子150の数や位置に基づいて変わる可能性がある。しかしながら、適切な他の任意の数及び位置の開口部415が本件で使用される可能性がある。この特定の例では、各々の開口部415は、丸みを帯びた角と僅かに湾曲した短辺とを有する概ね三角形の構造として形成されている。しかしながら、各々の開口部415は、適切な他の任意の形状を有する可能性がある。
【0029】
[0033] 様々な突出部420がリング405の外周から延びており、各々の突出部420は開口部425を含む。各々の開口部425は、コネクタ165のうちの1つが、関連する突出部420を通過することを可能にし、これは、ベース160が外側コーン105に取り付けられることを可能にし、且つ地板155aを適所に固定することに役立つ。しかしながら、地板155aを適所に固定するために、適切な他の任意の機構が使用されてもよい、ということに留意されたい。
【0030】
[0034] 図5Aないし5Cに示されるように、地板155bの第2の例示的な実施形態は、幾つかの点で地板155aに類似している。例えば、地板155bは、リング505内の空きスペース510を囲む環状リング505を使用して形成されている。リング505は様々な開口部515を含み、ここで、各々の開口部515は地板155bを完全に貫通する。開口部515は、地板155bの方に向けられた電磁波の一部分が、地板155bを通過し、ベース160を使用してトラップされることを可能にする。一部の実施形態では、地板155bがベース160によって外側及び内側コーン105,110に固定されると、各々の開口部515は、それが2つの駆動要素150の間で実質的に等距離又は中央になるように、配置されることが可能であり、開口部515の数や開口部515の位置は、駆動素子150の数や位置に基づいて変わる可能性がある。しかしながら、適切な他の任意の数及び位置の開口部515が本件で使用される可能性がある。この特定の例では、各々の開口部515は、丸みを帯びた角と僅かに湾曲した短辺とを有する概ね三角形の構造として形成されている。しかしながら、各々の開口部515は、適切な他の任意の形状を有する可能性がある。様々な突出部520がリング505の外周から延びており、各々の突出部520は開口部525を含む。各々の開口部525は、コネクタ165のうちの1つが、関連する突出部520を通過することを可能にし、これは、ベース160が外側コーン105に取り付けられることを可能にし、且つ地板155bを適所に固定することに役立つ。しかしながら、地板155bを適所に固定するために、適切な他の任意の機構が使用されてもよい、ということに留意されたい。
【0031】
[0035] 更に、地板155bは、リング505から上方へ又は遠ざかるように延びる様々な隆起壁530を含む。この例では、各々の開口部515の対向する側に、2つの壁530が配置されている。壁530は、電磁エネルギーを開口部515内に反射したり、及び/又は、平坦な地板155aと比較してより急勾配の角度で電磁エネルギーを反射したりすることに役立つ可能性がある。どちらのメカニズムも、電磁エネルギーをジオデシック・アンテナ100内にトラップするのに役立つ可能性があり、その電磁エネルギーは、トラップされなければ、二次ジオデシック電磁波を形成する可能性がある。
【0032】
[0036] 各々の壁530は、リング505と一体的に形成されるか、リング505とは別個に形成されてリング505に取り付けられることも可能である、ということに留意されたい。例えば、リング505と壁530は、単一の材料を機械加工することによって、又は、追加的な製造プロセスを使用することによって形成されることが可能であり、その場合、壁530はリング505と一体的になるであろう。別のケースでは、リング505と壁530は別々に形成されることが可能であり、壁530は、溶接、接着、又はその他の方法でリング505に取り付けられることが可能である。また、ここでの壁530は、均一な高さを有し、且つ、リング505の環状幅を完全に横断して延びているように示されているが、他の形態の壁530が使用されてもよい、ということにも留意されたい。例えば、壁530は、リング505の外縁又は内縁に向かって下がってゆく先細りの高さ、又はその他の不均一な高さを有する可能性があり、或いは、壁530は、リング505の環状幅を部分的に(完全にではなく)横断して延びている可能性もある。
【0033】
[0037] 図6Aないし6Cに示されるように、地板155cの第3の例示的な実施形態は、幾つかの点で地板155a及び155bに類似している。例えば、地板155cは、リング605内の空きスペース610を囲む環状リング605を使用して形成されている。リング605は様々な開口部515を含み、ここで、各々の開口部615は地板155cを完全に貫通する。開口部615は、地板155cの方に向けられた電磁波の一部分が、地板155cを通過し、ベース160を使用してトラップされることを可能にする。一部の実施形態では、地板155cがベース160によって外側及び内側コーン105,110に固定されると、各々の開口部615は、それが2つの駆動要素150の間で実質的に等距離又は中央になるように、配置されることが可能であり、開口部615の数や開口部615の位置は、駆動素子150の数や位置に基づいて変わる可能性がある。しかしながら、適切な他の任意の数及び位置の開口部615が本件で使用される可能性がある。この特定の例では、各々の開口部615は、丸みを帯びた角と僅かに湾曲した短辺とを有する概ね三角形の構造として形成されている。しかしながら、各々の開口部615は、適切な他の任意の形状を有する可能性がある。様々な突出部620がリング605の外周から延びており、各々の突出部620は開口部625を含む。各々の開口部625は、コネクタ165のうちの1つが、関連する突出部620を通過することを可能にし、これは、ベース160が外側コーン105に取り付けられることを可能にし、且つ地板155cを適所に固定することに役立つ。しかしながら、地板155cを適所に固定するために、適切な他の任意の機構が使用されてもよい、ということに留意されたい。
【0034】
[0038] 更に、地板155cは、リング605から上方へ又は遠ざかるように延びる様々な隆起壁630を含む。この例では、各々の壁630は、開口部615のうち関連するものを完全に包囲するか又は取り囲んでいる。壁630は、電磁エネルギーを開口部615内に反射したり、及び/又は、平坦な地板155aと比較してより急勾配の角度で電磁エネルギーを反射したりすることに役立つ可能性がある。どちらのメカニズムも、電磁エネルギーをジオデシック・アンテナ100内にトラップするのに役立つ可能性があり、その電磁エネルギーは、トラップされなければ、二次ジオデシック電磁波を形成する可能性がある。
【0035】
[0039] 各々の壁630は、リング605と一体的に形成されるか、リング605とは別個に形成されてリング605に取り付けられることも可能である、ということに留意されたい。例えば、リング505と壁530は、単一の材料を機械加工することによって、又は、追加的な製造プロセスを使用することによって形成されることが可能であり、その場合、壁630はリング605と一体的になるであろう。別のケースでは、リング605と壁630は別々に形成されることが可能であり、壁630は、溶接、接着、又はその他の方法でリング605に取り付けられることが可能である。また、ここでの壁630は、均一な高さを有し、且つ、関連する開口部615の周囲全体に延びているように示されているが、他の形態の壁630が使用されてもよい、ということにも留意されたい。例えば、壁630は、リング605の外縁又は内縁に向かって下がってゆく先細りの高さ、又はその他の不均一な高さを有する可能性があり、或いは、壁630は、関連する開口部615の周囲に部分的に(但し、完全にではなく)延びている可能性もある。
【0036】
[0040] 図7Aないし7Cに示されるように、地板155dの第4の例示的な実施形態は、幾つかの点で地板155a-155cに類似している。例えば、地板155dは、リング705内の空きスペース710を囲む環状リング705を使用して形成されている。様々な突出部720がリング705の外周から延びており、各々の突出部720は開口部725を含む。各々の開口部725は、コネクタ165のうちの1つが、関連する突出部720を通過することを可能にし、これは、ベース160が外側コーン105に取り付けられることを可能にし、且つ地板155dを適所に固定することに役立つ。しかしながら、地板155dを適所に固定するために、適切な他の任意の機構が使用されてもよい、ということに留意されたい。
【0037】
[0041] 孔を使用するのではなく、ここでのリング705は様々なプリズム715を含み、各プリズム715は複数の反射面716を含む。場合によっては、反射面716は、平坦な地板155aに対してより急勾配の角度で、電磁エネルギーを反射することが可能である。これは、電磁エネルギーをジオデシック・アンテナ100内にトラップするのに役立つ可能性があり、その電磁エネルギーは、トラップされなければ、二次ジオデシック電磁波を形成する可能性がある。或いは又は代替的に、反射面716は、電磁エネルギーを反射することが可能であり、その電磁エネルギーは、所望方向で二次ジオデシック電磁波を別の方法で形成し、その二次ジオデシック電磁波は1つ以上の一次ジオデシック電磁波のゲインを増加させることに役立つ。
一部の実施形態では、地板155dがベース160によって外側及び内側コーン105,110に固定されると、各々のプリズム715は、それが2つの駆動要素150の間で実質的に等距離又は中央になるように、配置されることが可能であり、プリズム715の数やプリズム715の位置は、駆動素子150の数や位置に基づいて変わる可能性がある。しかしながら、適切な他の任意の数及び位置のプリズム715が本件で使用される可能性がある。この特定の例では、各々のプリズム715は、丸みを帯びた角と僅かに湾曲した短辺とを有する概ね三角形のプリズム構造として形成されている。しかしながら、各々のプリズム715は、適切な他の任意の形状を有する可能性がある。
【0038】
[0042] 各々のプリズム715は、リング705と一体的に形成されるか、リング705とは別個に形成されてリング705に取り付けられることも可能である、ということに留意されたい。例えば、リング705とプリズム715は、単一の材料を機械加工することによって、又は、追加的な製造プロセスを使用することによって形成されることが可能であり、その場合、プリズム715はリング705と一体的になるであろう。別のケースでは、リング705とプリズム715は別々に形成されることが可能であり、プリズム715は、溶接、接着、又はその他の方法でリング705に取り付けられることが可能である。また、ここでのプリズム715は、2つの一次反射面716を有するように示されているが、プリズム715に対する他の形態、例えば、2つより多い反射面716を有するようものが使用されてもよい、ということにも留意されたい。また、個々のプリズム715の各々は、複数の分離された傾斜した反射面を用いて置換されてもよい。
【0039】
[0043] 図4Aないし7Cは、ジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる修正された地板155a-155dの例を示しているが、図4Aないし7Cに対して様々な変更が施されてもよい。例えば、環状リング上にあるプリズムと環状リング内の開口部との両方が地板で使用される場合のように、地板155a-155dのうちの2つ以上の任意の特徴の組み合わせが、1つの地板で使用されてもよい。また、本件で示される地板155a-155dは、干渉パターンを生じさせたり、その他の方法でジオデシック・アンテナに問題を引き起こしたりする可能性のある二次ジオデシック電磁波の生成を抑制するために、(単に平坦な環状の地板と比較して)幾何学的に修正されている地板の例を表現するためのものであるに過ぎない。他の適切な幾何学的な修正を使用しているが、それでも本開示の範囲内に該当している他の適切な地板が形成される可能性がある。
【0040】
[0044] 図8A及び8Bは、本開示に従って修正された地板を有するジオデシック・アンテナの動作例を示す。より具体的には、図8Aは地板155aを有するジオデシック・アンテナ100の動作例を示し、図8Bは地板155dを有するジオデシック・アンテナ100の動作例を示している。説明を容易にするため、図8A及び図8Bに示される動作は、図1ないし3のジオデシック・アンテナ100を含むものとして説明される。しかしながら、本開示に従って設計された地板155a-155d又はその他の地板は、適切な他の任意のジオデシック・アンテナで使用されることが可能である。
【0041】
[0045] 図8Aに示すように、駆動素子150は一次ジオデシック電磁波805を生成することが可能であり、これは、駆動素子150を通る垂直軸に対して最大スキャン角度810を有することが可能である。駆動素子150は二次ジオデシック電磁波815を生成する可能性もあり、これは、二次ジオデシック電磁波820として地板155aの平面部分から反射される可能性がある。ここで、二次ジオデシック電磁波820は一次ジオデシック電磁波805と同一又は類似の方向に向けられ、これは望ましいことであり、ジオデシック・アンテナ100のゲインを増加させることに役立つ。
【0042】
[0046] 駆動要素150は追加の二次電磁波825を更に生成する可能性もあり、これは、干渉パターン又はその他の問題につながる可能性があるので、望ましくない電磁波を表す可能性がある。ここで、二次電磁波825は、地板155a内の開口部415のうちの1つを通過し、地板155aとベース160の間で定められるスペース830の中に入る。この二次電磁波825は、一回以上反射して、理想的には終端される可能性がある。その結果、これは地板155aを使用するジオデシック・アンテナ100の干渉パターンを減少させることに役立つ。
【0043】
[0047] 図8Bに示されるように、駆動素子150は一次ジオデシック電磁波855を生成することが可能であり、これは、駆動素子150を通る垂直軸に対して最大スキャン角度860を有することが可能である。駆動素子150は二次ジオデシック電磁波865を生成する可能性もあり、これは、二次ジオデシック電磁波870として地板155dの平面部分から反射される可能性がある。ここで、二次ジオデシック電磁波820は一次ジオデシック電磁波805と同一又は類似の方向に向けられ、これは望ましいことであり、ジオデシック・アンテナ100のゲインを増加させることに役立つ。
【0044】
[0048] 駆動要素150は追加の二次電磁波875を更に生成する可能性もあり、これは、干渉パターン又はその他の問題につながる可能性があるので、望ましくない電磁波を表す可能性がある。ここで、二次電磁波875は、地板155d上にあるプリズム715から、二次ジオデシック電磁波880として反射する。反射の角度に応じて、二次ジオデシック電磁波880は一次ジオデシック電磁波855と同一又は類似の方向(これは望ましいことであり、ジオデシック・アンテナ100のゲインを増加させることに役立つ)、又はスキャン角度よりも急勾配の角度に向けられる。その結果、これは地板155dを使用してジオデシック・アンテナ100の干渉パターンを減少させることに役立つ。
【0045】
[0049] 図8A及び8Bは、修正された地板155a,155dを用いるジオデシック・アンテナ100の動作例を示しているが、様々な変更が図8A及び8Bに施されてもよい。例えば、ジオデシック・アンテナ100の素子パターンのゲインを増加させる方法を示すために、地板155a,155dがどのように使用される可能性があるかを説明するために、ジオデシック・アンテナ100の動作はここでは簡略化されている。特定の例として、駆動要素150は様々な方向で多数の電磁波を生成することが可能である。
【0046】
[0050] 図9A及び9Bは、本開示によるジオデシック・アンテナの素子パターンにおけるゲインを増加させる修正された地板を使用して得られる恩恵の例を示している。より具体的には、図9Aは、修正された地板を用いるジオデシック・アンテナ100のサイドローブ・パフォーマンスを示す例示的な正規化されたゲイン・プロット900を示し、図9Bは、修正された地板を用いるジオデシック・アンテナ100の例示的なゲイン・プロット950を示している。
【0047】
[0051] 図9Aに示されるように、ライン905は、従来の平坦な環状の地板を用いるジオデシック・アンテナの正規化されたゲインを表し、ライン910は、前述の修正された地板のうちの1つを用いるジオデシック・アンテナ100の正規化されたゲインを表している。プロット900の領域915に見受けられるように、修正された地板の使用は、ジオデシック・アンテナ100によって生成される出力ビームのサイド・ローブで見られるゲインを改善することに役立つ。この特定の例では、ゲインの改善は約1デシベルであるかもしれないが、他の改善が、ジオデシック・アンテナ100で使用される(とりわけ)地板の設計に基づいて得られる可能性がある。
【0048】
[0052] 図9Bに示されるように、ライン955は、従来の平坦な環状の地板を用いるジオデシック・アンテナのゲインを表し、ライン960は、前述の修正された地板のうちの1つを用いるジオデシック・アンテナ100のゲインを表す。プロット950の領域965に見受けられるように、修正された地板の使用は、ジオデシック・アンテナ100によって生成される出力ビームのゲインを改善することに役立つ。この特定の例では、ゲインの改善は約1デシベルであるかもしれないが、他の改善が、ジオデシック・アンテナ100で使用される(とりわけ)地板の設計に基づいて得られる可能性がある。
【0049】
[0053] 図9A及び9Bは、ジオデシック・アンテナの素子パターンのゲインを増加させる修正された地板を使用して得られる恩恵の例を示しているが、図9A及び9Bに対して様々な変更が加えられる可能性がある。例えば、図9A及び9Bに示されている恩恵は例示のためだけのものであり、ジオデシック・アンテナの素子パターンのゲインを増加させる修正された地板を使用して得られる可能性のある恩恵のうちの例示的なタイプを特定していることを意味するに過ぎない。何らかの特定の地板を使用する何らかの特定のジオデシック・アンテナで得られる実際の恩恵は、多くの要因に基づいて変わる可能性がある。
【0050】
[0054] 本件特許文献を通じて使用される特定の言葉及び言い回しの定義を述べておくことは有益であろう。「含む(include)」及び「備える(comprise)」という用語並びにそれらの派生語は、限定を伴わない包含を意味する。「又は(or)」という用語は、包含であり、「及び/又は」を意味する。「~に関連する」という言い回し及びその派生語は、~を含む、~内に含まれる、~と相互接続する、~を包含する、~内に包含される、~に又は~と接続する、~に又は~と結合する、~と通信可能である、~と協働する、~と交互に配置する、~と並置する、~に隣接する、~に又は~で拘束される、~を有する、~の性質を有する、~に又は~との関連性を有する、等々を意味する可能性がある。「少なくとも1つの」という言い回しは、アイテムのリストとともに使用される場合、列挙されるアイテムのうちの1つ以上の様々な組み合わせが使用される可能性があること、及びリスト内の唯1つのアイテムが必要とされる可能性があることを意味する。例えば、「A,B,及びCのうちの少なくとも1つ」は、以下の組み合わせ:A,B,C,A及びB,A及びC,B及びC,並びに,A及びB及びC のうちの任意のものを含む。
【0051】
[0055] 本件出願の説明は、何らかの特定の要素、ステップ、又は機能が、クレームの範囲に含まれなければならない不可欠な又は重要な要素であることを意味するように理解されるべきではない。特許される対象事項の範囲は、許可されるクレームによってのみ定められる。更に、「~する手段」又は「~するステップ」という厳密な言葉が特定のクレームで使用されて、機能を特定する分詞句に続いていない限り、どのクレームも、添付のクレーム又はクレーム要素の何れかに関して35.U.S.C§112(f)を発動するものではない。クレームにおける「メカニズム」、モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「構成要素」、「素子」、「メンバー」、「装置」、「マシン」、「システム」、「プロセッサ」又は「コントローラ」のような用語の使用は、当業者に既知の構造であって、クレーム自体の特徴によって更に修正又は改善されるものを指すように理解及び意図されており、35U.S.C.§112(f)を発動するようには意図されていない。
【0052】
[0056] 本開示は、特定の実施形態及び一般的に関連する方法を説明してきたが、これらの実施形態及び方法の変更及び置換は、当業者には明らかであろう。従って、例示的な実施形態の上記の説明は、本開示を限定したり又は制約したりするものではない。他の変形、置換及び代替も、以下のクレームによって定義されるように、本開示の精神及び範囲から逸脱することなく可能である。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B