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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】DC-DCコンバータおよび車両
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021098936
(22)【出願日】2021-06-14
(65)【公開番号】P2022190562
(43)【公開日】2022-12-26
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細井 浩行
(72)【発明者】
【氏名】中田 秀樹
【審査官】今井 貞雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-048699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流の入力電圧を正負に反転させるスイッチングすることにより、前記入力電圧を一次側交流電圧に変換するDC-AC変換回路と、
前記一次側交流電圧が印加される一次側コイルと、前記一次側コイルに磁気的に結合される二次側コイルとを含み、前記二次側コイルに二次側交流電圧を発生するトランスと、
前記二次側交流電圧を全波整流した整流電圧を出力する整流回路と、
前記整流電圧を平滑化した直流の出力電圧を出力する平滑回路と、
前記DC-AC変換回路および前記整流回路の動作を制御する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、
前記入力電圧の電力を前記DC-AC変換回路から前記トランスへと伝達していない還流期間において、前記平滑回路に接続された一方の中間端子である第1中間端子から、前記平滑回路に接続された前記第1中間端子とは逆の第2中間端子へと前記整流回路を経由して電流が流れず、且つ、前記第2中間端子から前記第1中間端子へと前記整流回路を経由して電流が流れるように、前記整流回路に対してダイオードにより整流をさせ
前記入力電圧の電力を前記DC-AC変換回路から前記トランスへと伝達している伝達期間において、前記第1中間端子に前記二次側交流電圧の正側が印加され、且つ、前記第2中間端子に前記二次側交流電圧の負側が印加されるように、前記整流回路における前記二次側コイルと前記第1中間端子との間および前記二次側コイルと前記第2中間端子との間の接続を、前記DC-AC変換回路のスイッチングに同期して切り替え、
前記整流回路は、
前記二次側コイルの一方の端子に接続された第1トランス出力端子と、前記第1中間端子との間に接続された第1スイッチ素子と、
前記第2中間端子と前記第1トランス出力端子との間に接続された第2スイッチ素子と、
前記二次側コイルの前記第1トランス出力端子が接続された端子とは逆側に接続された第2トランス出力端子と、前記第1中間端子との間に接続された第3スイッチ素子と、
前記第2中間端子と前記第2トランス出力端子との間に接続された第4スイッチ素子と、
を有し、
前記第1スイッチ素子、前記第2スイッチ素子、前記第3スイッチ素子および前記第4スイッチ素子のそれぞれは、オンした場合に導通し、オフした場合にダイオードとして機能し、
前記第1スイッチ素子は、前記ダイオードのアノードが前記第1トランス出力端子に接続され、前記ダイオードのカソードが前記第1中間端子に接続され、
前記第2スイッチ素子は、前記ダイオードのアノードが前記第2中間端子に接続され、前記ダイオードのカソードが前記第1トランス出力端子に接続され、
前記第3スイッチ素子は、前記ダイオードのアノードが前記第2トランス出力端子に接続され、前記ダイオードのカソードが前記第1中間端子に接続され、
前記第4スイッチ素子は、前記ダイオードのアノードが前記第2中間端子に接続され、前記ダイオードのカソードが前記第2トランス出力端子に接続され、
第1モードに設定されている場合、前記制御回路は、前記還流期間において、前記第1スイッチ素子、前記第2スイッチ素子、前記第3スイッチ素子および前記第4スイッチ素子をオンとし、
第2モードに設定されている場合、前記還流期間において、前記制御回路は、
前記第1スイッチ素子および前記第3スイッチ素子をオフとし、且つ、前記第2スイッチ素子および前記第4スイッチ素子のうちの少なくとも1つをオンとする、または、
前記第2スイッチ素子および前記第4スイッチ素子をオフとし、且つ、前記第1スイッチ素子および前記第3スイッチ素子のうちの少なくとも1つをオンとし、
前記制御回路は、前記平滑回路から出力される出力電流が予め設定された設定値よりも大きい場合、前記第1モードに設定し、前記出力電流が前記設定値より大きくない場合、前記第2モードに設定する
DC-DCコンバータ。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記伝達期間における、前記第1トランス出力端子から前記第2トランス出力端子より高い電圧を発生させている第1伝達期間において、前記第1スイッチ素子および前記第4スイッチ素子をオンとし、且つ、前記第2スイッチ素子および前記第3スイッチ素子をオフとし、
前記伝達期間における、前記第2トランス出力端子から前記第1トランス出力端子より高い電圧を発生させている第2伝達期間において、前記第2スイッチ素子および前記第3スイッチ素子をオンとし、且つ、前記第1スイッチ素子および前記第4スイッチ素子をオフとする
請求項に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項3】
前記還流期間において、
前記第1スイッチ素子および前記第3スイッチ素子をオフとし、且つ、前記第2スイッチ素子および前記第4スイッチ素子のうちの少なくとも1つをオンとする、または、
前記第2スイッチ素子および前記第4スイッチ素子をオフとし、且つ、前記第1スイッチ素子および前記第3スイッチ素子のうちの少なくとも1つをオンとする
請求項1または2に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項4】
前記第1スイッチ素子、前記第2スイッチ素子、前記第3スイッチ素子および前記第4スイッチ素子のそれぞれは、MOSFET(metal-oxide-semiconductor field-effect)である
請求項1から3の何れか1項に記載のDC-DCコンバータ。
【請求項5】
請求項1からの何れか1項に記載のDC-DCコンバータを含む
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、DC-DCコンバータおよび車両に関する。
【背景技術】
【0002】
トランスを用いた絶縁型のDC-DCコンバータが知られている。このようなDC-DCコンバータは、例えば、車載用のリチウムイオン電池の電力を鉛蓄電池へと充電するための車載充電器に用いられる。車載充電器に用いられるDC-DCコンバータは、例えば、リチウムイオン電池の360V程度の直流電圧を14V程度の直流電圧に変換する。特許文献1には、トランスを用いたDC-DCコンバータが記載されている。
【0003】
DC-DCコンバータは、目標電圧または目標電流に対する出力電圧または出力電流の偏差に応じて、入力側の電力を出力側へと伝達する伝達期間と、入力側の電力を出力側に伝達しない還流期間との割合が調整される。すなわち、DC-DCコンバータは、偏差がマイナスの場合には伝達期間の割合を大きくし、偏差がプラスの場合には還流期間の割合を大きくする。
【0004】
また、例えば車載充電器に用いられるDC-DCコンバータは、トランスの2次側にスイッチ素子を用いて、同期整流が行われる場合が多い。同期整流方式のDC-DCコンバータは、電流が流れる期間においてスイッチ素子をオンとさせるので、2次側にダイオードのみを用いたダイオード整流方式と比較して、導電損失を抑制することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-161992号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
また、フルブリッジ型の同期整流方式のDC-DCコンバータは、還流期間において、二次側のフルブリッジ型のスイッチ素子を構成する各MOSFET(Metal Oxice Semiconductor Field Effect Transistor)を全てオンとし、出力段の平滑回路と二次側のフルブリッジ型のスイッチ素子との間で内部閉路を形成する。これにより、フルブリッジ型の同期整流方式のDC-DCコンバータは、還流期間において、内部閉路に還流電流を流して、平滑回路から負荷へと供給する出力電流が一定となるように保持する。
【0007】
ところで、フルブリッジ型の同期整流方式のDC-DCコンバータは、軽負荷の場合、すなわち、平滑回路から外部へと出力される出力電流が小さい場合、還流期間において、二次側のフルブリッジ型のスイッチ素子に対して、平滑回路から、逆方向の還流電流が流れる。フルブリッジ型のDC-DCコンバータにおいて、フルブリッジを構成する各MOSFETは、ドレインが平滑回路の高電位側に接続され、ソースが平滑回路の低電位側に接続される。従って、軽負荷の場合、フルブリッジを構成する各MOSFETには、ドレインからソースに向かう方向に電流が流れる。
【0008】
しかし、フルブリッジを構成する各MOSFETは、ドレインからソースに向かう方向に電流が流れた状態でスイッチングが行われた場合、ハードスイッチングとなり大きなスイッチング損失を発生する。また、このようなスイッチングが行われた場合、MOSFETは、大きなダメージが加わる。
【0009】
このようなハードスイッチングによるスイッチング損失を無くすため、従来のフルブリッジ型のDC-DCコンバータは、軽負荷の場合に、予め全てのMOSFETをオフして、同期整流に代えて、ボディーダイオードによるダイオード整流をする。これにより、従来のフルブリッジ型のDC-DCコンバータは、ボディーダイオードの逆方向の還流電流を阻止するので、MOSFETのハードスイッチングを無くすことができる。
【0010】
しかし、従来のフルブリッジ型のDC-DCコンバータは、このように全てのMOSFETをオフとしてダイオード整流をした場合、直列に接続される2つのボディーダイオードを経由して電流が流れるので、損失が非常に大きい。従って、従来のDC-DCコンバータは、軽負荷時において、効率良く電療変換をすることができなかった。
【0011】
本開示の目的は、効率良く電力変換をすることができるDC-DCコンバータおよび車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示に係るDC-DCコンバータは、DC-AC変換回路と、トランスと、整流回路と、平滑回路と、制御回路と、を備える。前記DC-AC変換回路は、直流の入力電圧を正負に反転させるスイッチングすることにより、一次側交流電圧に変換する。前記トランスは、前記一次側交流電圧が印加される一次側コイルと、前記一次側コイルに磁気的に結合される二次側コイルとを含み、前記二次側コイルに二次側交流電圧を発生する。前記整流回路は、前記二次側交流電圧を全波整流した整流電圧を出力する。前記平滑回路は、前記整流電圧を平滑化した直流の出力電圧を出力する。前記制御回路は、前記DC-AC変換回路および前記整流回路の動作を制御する。前記制御回路は、前記入力電圧の電力を前記DC-AC変換回路から前記トランスへと伝達していない還流期間において、前記平滑回路に接続された一方の中間端子である第1中間端子から、前記平滑回路に接続された前記第1中間端子とは逆の第2中間端子へと前記整流回路を経由して電流が流れず、且つ、前記第2中間端子から前記第1中間端子へと前記整流回路を経由して電流が流れるように、前記整流回路に対してダイオードにより整流をさせる。前記制御回路は、前記入力電圧の電力を前記DC-AC変換回路から前記トランスへと伝達している伝達期間において、前記第1中間端子に前記二次側交流電圧の正側が印加され、且つ、前記第2中間端子に前記二次側交流電圧の負側が印加されるように、前記整流回路における前記二次側コイルと前記第1中間端子との間および前記二次側コイルと前記第2中間端子との間の接続を、前記DC-AC変換回路のスイッチングに同期して切り替える。前記整流回路は、前記二次側コイルの一方の端子に接続された第1トランス出力端子と、前記第1中間端子との間に接続された第1スイッチ素子と、前記第2中間端子と前記第1トランス出力端子との間に接続された第2スイッチ素子と、前記二次側コイルの前記第1トランス出力端子が接続された端子とは逆側に接続された第2トランス出力端子と、前記第1中間端子との間に接続された第3スイッチ素子と、前記第2中間端子と前記第2トランス出力端子との間に接続された第4スイッチ素子と、を有する。前記第1スイッチ素子、前記第2スイッチ素子、前記第3スイッチ素子および前記第4スイッチ素子のそれぞれは、オンした場合に導通し、オフした場合にダイオードとして機能する。前記第1スイッチ素子は、前記ダイオードのアノードが前記第1トランス出力端子に接続され、前記ダイオードのカソードが前記第1中間端子に接続される。前記第2スイッチ素子は、前記ダイオードのアノードが前記第2中間端子に接続され、前記ダイオードのカソードが前記第1トランス出力端子に接続される。前記第3スイッチ素子は、前記ダイオードのアノードが前記第2トランス出力端子に接続され、前記ダイオードのカソードが前記第1中間端子に接続される。前記第4スイッチ素子は、前記ダイオードのアノードが前記第2中間端子に接続され、前記ダイオードのカソードが前記第2トランス出力端子に接続される。第1モードに設定されている場合、前記制御回路は、前記還流期間において、前記第1スイッチ素子、前記第2スイッチ素子、前記第3スイッチ素子および前記第4スイッチ素子をオンとする。第2モードに設定されている場合、前記還流期間において、前記制御回路は、前記第1スイッチ素子および前記第3スイッチ素子をオフとし、且つ、前記第2スイッチ素子および前記第4スイッチ素子のうちの少なくとも1つをオンとする、または、前記第2スイッチ素子および前記第4スイッチ素子をオフとし、且つ、前記第1スイッチ素子および前記第3スイッチ素子のうちの少なくとも1つをオンとする。前記制御回路は、前記平滑回路から出力される出力電流が予め設定された設定値よりも大きい場合、前記第1モードに設定し、前記出力電流が前記設定値より大きくない場合、前記第2モードに設定する。
【0013】
また、本開示に係る車両は、前記DC-DCコンバータを含む。
【発明の効果】
【0014】
本開示に係るDC-DCコンバータおよび車両によれば、効率良く電力変換をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係るDC-DCコンバータの構成を示す図である。
図2図2は、DC-AC変換回路の構成、および、制御回路からDC-AC変換回路へ供給される制御信号を示す図である。
図3図3は、DC-AC変換回路へ供給される制御信号のタイミングチャートである。
図4図4は、整流回路の構成、および、制御回路からDC-AC変換回路へ供給される制御信号を示す図である。
図5図5は、第1伝達期間における整流回路のスイッチング状態を示す図である。
図6図6は、第2伝達期間における整流回路のスイッチング状態を示す図である。
図7図7は、還流期間における整流回路のスイッチング状態の第1例を示す図である。
図8図8は、還流期間における整流回路のスイッチング状態の第2例を示す図である。
図9図9は、還流期間における整流回路のスイッチング状態の第3例を示す図である。
図10図10は、還流期間における整流回路のスイッチング状態の第4例を示す図である。
図11図11は、還流期間における整流回路のスイッチング状態の第5例を示す図である。
図12図12は、還流期間における整流回路のスイッチング状態の第6例を示す図である。
図13図13は、重負荷が接続された状態において、伝達期間に同期スイッチングをし、還流期間にスイッチ素子を全てオンにした場合の、電圧および電流の概略の波形図である。
図14図14は、軽負荷が接続された状態において、伝達期間に同期スイッチングをし、還流期間にスイッチ素子を全てオンにした場合の、電圧および電流の概略の波形図である。
図15図15は、軽負荷が接続された状態における、本実施形態に係るDC-DCコンバータの電圧および電流の概略の波形図である。
図16図16は、モードの設定処理を示すフローチャートである。
図17図17は、第1モードにおける制御信号のタイミングチャートである。
図18図18は、第2モードにおける制御信号のタイミングチャートである。
図19図19は、二次側の制御信号を生成するための基準信号の波形を示す図である。
図20図20は、二次側の制御信号を生成するためのロジック回路の構成を示す図である。
図21図21は、車両の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本開示に係るDC-DCコンバータ10の実施形態について説明する。
【0017】
図1は、第1実施形態に係るDC-DCコンバータ10の構成を示す図である。DC-DCコンバータ10は、前段の装置から直流の入力電圧Vを受け取り、受け取った直流の入力電圧Vを直流の出力電圧Vに電力変換して、後段の装置に出力電圧Vを供給する電力変換装置である。本実施形態において、DC-DCコンバータ10は、直流の入力電圧Vを降圧した直流の出力電圧Vを出力する。なお、DC-DCコンバータ10は、直流の入力電圧Vを昇圧した直流の出力電圧Vを出力してもよい。
【0018】
DC-DCコンバータ10は、第1入力端子22と、第2入力端子24と、第1出力端子26と、第2出力端子28と、DC-AC変換回路32と、トランス34と、整流回路36と、平滑回路38と、制御回路40とを備える。
【0019】
DC-DCコンバータ10は、第1入力端子22と第2入力端子24との間に、前段の装置から直流の入力電圧Vを受け取る。第1入力端子22は、第2入力端子24より高い電圧が印加される。なお、第1入力端子22および第2入力端子24のそれぞれは、前段の装置と接続するケーブルまたは配線等であってもよい。
【0020】
DC-DCコンバータ10は、第1出力端子26と第2出力端子28との間から、後段の装置へと直流の出力電圧Vを出力する。第1出力端子26は、第2出力端子28より高い電圧が発生する。なお、第1出力端子26および第2出力端子28のそれぞれは、後段の装置と接続するケーブルまたは配線等であってもよい。
【0021】
DC-AC変換回路32は、第1入力端子22と第2入力端子24との間に印加された直流の入力電圧Vを正負に反転させるスイッチングすることにより、入力電圧を一次側交流電圧に変換する。そして、DC-AC変換回路32は、第1交流端子42と第2交流端子44との間に一次側交流電圧を出力する。一次側交流電圧の波形は、パスル状の波形であってもよい。
【0022】
DC-AC変換回路32は、フルブリッジ方式のコンバータである。フルブリッジ方式のコンバータである場合、DC-AC変換回路32は、変換キャパシタ46と、第1変換スイッチ52と、第2変換スイッチ54と、第3変換スイッチ56と、第4変換スイッチ58とを含む。第1変換スイッチ52、第2変換スイッチ54、第3変換スイッチ56および第4変換スイッチ58は、制御回路40からの制御に応じて電力線を導通または不通に切り替えるMOSFET等の半導体素子である。
【0023】
変換キャパシタ46は、第1入力端子22と第2入力端子24との間に接続される。なお、変換キャパシタ46は、DC-AC変換回路32の入力側の外部に設けられていてもよい。
【0024】
第1変換スイッチ52は、第1入力端子22と第1交流端子42との間に接続される。第2変換スイッチ54は、第2入力端子24と第1交流端子42との間に接続される。第3変換スイッチ56は、第1入力端子22と第2交流端子44との間に接続される。第4変換スイッチ58は、第2入力端子24と第2交流端子44との間に接続される。第1変換スイッチ52、第2変換スイッチ54、第3変換スイッチ56および第4変換スイッチ58は、制御回路40により、第1交流端子42と第2交流端子44との間に、一次側交流電圧が発生するように、スイッチング制御される。これにより、DC-AC変換回路32は、直流の入力電圧Vを一次側交流電圧に変換することができる。
【0025】
トランス34は、一次側コイル60と、二次側コイル62とを含む。
【0026】
一次側コイル60は、第1交流端子42と第2交流端子44との間に接続される。二次側コイル62は、一次側コイル60に磁気的に結合される。二次側コイル62は、一次側交流電圧に基づく二次側交流電圧を出力する。従って、トランス34は、一次側コイル60に一次側交流電圧が印加されることによって、二次側コイル62に二次側交流電圧を発生する。
【0027】
また、トランス34は、第1トランス出力端子64と、第2トランス出力端子66とを含む。第1トランス出力端子64は、二次側コイル62の一方の端子に接続される。第2トランス出力端子66は、二次側コイル62の第1トランス出力端子64が接続された端子とは逆側の端子に接続される。従って、トランス34は、第1トランス出力端子64と第2トランス出力端子66との間に二次側交流電圧を発生する。
【0028】
整流回路36は、二次側コイル62から出力される二次側交流電圧を全波整流する。そして、整流回路36は、二次側コイル62から出力される二次側交流電圧を全波整流した整流電圧を出力する。整流回路36は、第1中間端子68と、第2中間端子70との間に整流電圧を出力する。
【0029】
整流回路36は、フルブリッジ方式の同期全波整流を行う。より具体的には、整流回路36は、第1スイッチ素子72と、第2スイッチ素子74と、第3スイッチ素子76と、第4スイッチ素子78とを含む。第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78は、例えば、 制御回路40からの制御に応じてオンまたはオフに切り替えられる半導体素子である。
【0030】
第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78のそれぞれは、オンした場合に電力線を導通する。また、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78のそれぞれは、オフした場合にダイオードとして機能する。
【0031】
本実施形態において、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78は、MOSFETである。MOSFETは、ソースからドレインに向かう方向を順方向とするボディーダイオードを含む。すなわち、MOSFETは、ソースとドレインとの間の導通または非導通とするスイッチとして機能するとともに、オフした場合にはソースにアノードが接続され且つドレインにカソードが接続されたダイオードとして機能する。従って、MOSFETは、オフ時において、ソース電位がドレイン電位よりも高い場合に、導通して電流を流し、ソース電位がドレイン電位より低い場合には、非導通となり電流を流さない。
【0032】
第1スイッチ素子72は、第1トランス出力端子64と第1中間端子68との間に接続される。MOSFETである場合、第1スイッチ素子72は、ソースが第1トランス出力端子64に接続され、ドレインが第1中間端子68に接続される。従って、MOSFETである第1スイッチ素子72は、ボディーダイオードのアノードが第1トランス出力端子64に接続され、ボディーダイオードのカソードが第1中間端子68に接続される。
【0033】
第2スイッチ素子74は、第2中間端子70と第1トランス出力端子64との間に接続される。MOSFETである場合、第2スイッチ素子74は、ソースが第2中間端子70に接続され、ドレインが第1トランス出力端子64に接続される。従って、MOSFETである第2スイッチ素子74は、ボディーダイオードのアノードが第2中間端子70に接続され、ボディーダイオードのカソードが第1トランス出力端子64に接続される。
【0034】
第3スイッチ素子76は、第2トランス出力端子66と第1中間端子68との間に接続される。MOSFETである場合、第3スイッチ素子76は、ソースが第2トランス出力端子66に接続され、ドレインが第1中間端子68に接続される。従って、MOSFETである第3スイッチ素子76は、ボディーダイオードのアノードが第2トランス出力端子66に接続され、ボディーダイオードのカソードが第1中間端子68に接続される。
【0035】
第4スイッチ素子78は、第2中間端子70と第2トランス出力端子66との間に接続される。MOSFETである場合、第4スイッチ素子78は、ソースが第2中間端子70に接続され、ドレインが第2トランス出力端子66に接続される。従って、MOSFETである第4スイッチ素子78は、ボディーダイオードのアノードが第2中間端子70に接続され、ボディーダイオードのカソードが第2トランス出力端子66に接続される。
【0036】
また、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78のそれぞれは、MOSFETである場合、ゲートに、制御回路40からの制御信号が印加される。従って、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78は、制御回路40からの制御信号によってオンまたはオフが切り替えられる。
【0037】
平滑回路38は、整流回路36から出力される整流電圧を平滑化する。例えば、平滑回路38は、平滑インダクタ80と、平滑キャパシタ82とを含む、LC型ローパスフィルタであってもよい。この場合、平滑インダクタ80および平滑キャパシタ82は、第1中間端子68と第2中間端子70との間に直列に接続される。そして、この場合、平滑回路38は、平滑キャパシタ82の両端電圧を、整流電圧を平滑化した電圧として出力する。
【0038】
第1出力端子26は、平滑回路38に含まれる平滑キャパシタ82における、平滑インダクタ80に接続されている側の端子と接続される。また、例えば、第2出力端子28は、平滑回路38に含まれる平滑キャパシタ82における、平滑インダクタ80に接続されていない側の端子と接続される。そして、第1出力端子26および第2出力端子28は、後段の装置へ、直流の出力電圧Vを出力する。
【0039】
制御回路40は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含む。制御回路40は、予めせて設定されたプログラムに基づいて、処理を実行する。例えば、制御回路40は、例えばCPU等のプロセッサとROM等に記憶されたプログラム(ソフトウェア)との協働により制御信号を生成する。なお、制御回路40の機能は、ソフトウェアによって実現されるものに限らず、ロジック回路等を含む回路であってもよいし、専用回路等のハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0040】
制御回路40は、第1出力端子26と第2出力端子28との間に出力される出力電圧Vの測定値、または、出力電圧Vが印加される負荷に供給される出力電流Iの測定値を取得する。制御回路40は、出力電圧Vの測定値と目標電圧との偏差または出力電流Iの測定値と目標電流との偏差を算出する。そして、制御回路40は、算出した偏差を小さくするように、伝達期間と還流期間との比率を制御する。
【0041】
例えば、制御回路40は、算出した偏差に応じて、伝達期間と還流期間との比率を変更するように、DC-AC変換回路32をスイッチング制御する。例えば、制御回路40は、第1変換スイッチ52、第2変換スイッチ54、第3変換スイッチ56および第4変換スイッチ58におけるオンとオフとを、出力電圧Vの測定値と目標電圧との偏差または出力電流Iの測定値と目標電流との偏差に応じて制御する。
【0042】
図2は、DC-AC変換回路32の構成、および、制御回路40からDC-AC変換回路32へ供給される制御信号を示す図である。本実施形態においては、制御回路40は、第1変換スイッチ52をオン/オフするための制御信号(A)、第2変換スイッチ54をオン/オフするための制御信号(B)、第3変換スイッチ56をオン/オフするための制御信号(C)、および、第4変換スイッチ58をオン/オフするための制御信号(D)をDC-AC変換回路32に供給する。
【0043】
図3は、DC-AC変換回路32へ供給される制御信号のタイミングチャートである。より詳しくは、図3は、第1変換スイッチ52と第2変換スイッチ54を遅れレグ、第3変換スイッチ56と第4変換スイッチ58を進みレグとしたフェーズシフトフルブリッジコンバータの制御方式のタイミングチャートである。また、図3では、第1変換スイッチ52、第2変換スイッチ54、第3変換スイッチ56および第4変換スイッチ58のオンDutyは0.5であるが、伝達期間と還流期間を切り替えるスイッチング時に、第1変換スイッチ52と第2変換スイッチ54が同時にオン状態となり電源短絡しないよう、両方がオフとなる短い期間(デッドタイム)を設けてもよい。その場合、例えばオンDutyを0.47とする。なお、第3変換スイッチ56と第4変換スイッチ58についても同様にデッドタイムを設けてもよい。
【0044】
制御回路40は、第1変換スイッチ52、第2変換スイッチ54、第3変換スイッチ56および第4変換スイッチ58を制御して、第1伝達期間、第1還流期間、第2伝達期間、および、第2還流期間を順次に切り替える。
【0045】
第1伝達期間および第2伝達期間のそれぞれは、直流の入力電圧Vの電力をDC-AC変換回路32からトランス34へと伝達している伝達期間である。
【0046】
第1伝達期間は、トランス34の一次側コイル60に対して正または負のうちの一方である第1極性の電圧を印加して、トランス34の二次側コイル62から正の二次側交流電圧を発生させる期間である。すなわち、第1伝達期間は、第1トランス出力端子64から第2トランス出力端子66より高い電圧を発生させている期間である。
【0047】
第2伝達期間は、トランス34の一次側コイル60に対して正または負のうちの第1極性とは反対の第2極性の電圧を印加して、トランス34の二次側コイル62から負の二次側交流電圧を発生させる期間である。すなわち、第2伝達期間は、第2トランス出力端子66から第1トランス出力端子64より高い電圧を発生させている期間である。
【0048】
第1伝達期間において、制御回路40は、制御信号(A)および制御信号(D)をH論理とすることにより第1変換スイッチ52および第4変換スイッチ58をオンとし、制御信号(B)および制御信号(C)をL論理とすることにより第2変換スイッチ54および第3変換スイッチ56をオフとする。これにより、制御回路40は、第1伝達期間において、第1入力端子22をトランス34の第1交流端子42に接続し、第2入力端子24をトランス34の第2交流端子44に接続することができる。
【0049】
第2伝達期間において、制御回路40は、制御信号(B)および制御信号(C)をH論理とすることにより第2変換スイッチ54および第3変換スイッチ56をオンとし、制御信号(A)および制御信号(D)をL論理とすることにより第1変換スイッチ52および第4変換スイッチ58をオフとする。これにより、制御回路40は、第2伝達期間において、第1入力端子22をトランス34の第2交流端子44に接続し、第2入力端子24をトランス34の第1交流端子42に接続することができる。
【0050】
第1還流期間および第2還流期間のそれぞれは、直流の入力電圧Vの電力をDC-AC変換回路32からトランス34へと伝達していない還流期間である。
【0051】
制御回路40は、還流期間において、DC-AC変換回路32からトランス34へと電力が供給されず、一次側コイル60を含む閉回路が形成されるように、DC-AC変換回路32を切り替える。これにより、制御回路40は、還流期間において、一次側コイル60に蓄積されたエネルギーを閉回路内に保持させることができる。
【0052】
第1還流期間において、制御回路40は、例えば、制御信号(A)および制御信号(C)をH論理とすることにより第1変換スイッチ52および第3変換スイッチ56をオンとし、制御信号(B)および制御信号(D)をL論理とすることにより第2変換スイッチ54および第4変換スイッチ58をオフとする。これにより、制御回路40は、第1変換スイッチ52、第3変換スイッチ56および一次側コイル60を含む閉回路を形成させることができる。
【0053】
第2還流期間において、制御回路40は、例えば、制御信号(B)および制御信号(D)をH論理とすることにより第2変換スイッチ54および第4変換スイッチ58をオンとし、制御信号(A)および制御信号(C)をL論理とすることにより第1変換スイッチ52および第3変換スイッチ56をオフとする。これにより、制御回路40は、第2変換スイッチ54、第4変換スイッチ58および一次側コイル60を含む閉回路を形成させることができる。
【0054】
そして、制御回路40は、出力電圧Vの測定値と目標電圧との偏差または出力電流Iの測定値と目標電流との偏差に応じて、伝達期間と還流期間との比率を制御する。例えば、制御回路40は、偏差がマイナスの場合には、伝達期間の比率を大きくし、偏差がプラスの場合には、伝達期間の比率を小さくするように制御する。例えば、制御回路40は、A信号(およびB信号)と、C信号(およびD信号)との位相関係を変化させることにより、伝達期間と還流期間との比率を制御する。これに代えて、制御回路40は、位相関係を固定して、A信号(およびB信号)のデューティー比、または、C信号(およびD信号)のデューティー比を変化させることにより、伝達期間と還流期間との比率を制御してもよい。これにより、制御回路40は、出力電圧Vまたは出力電流Iを目標値とすることができる。
【0055】
図4は、整流回路36の構成、および、制御回路40から整流回路36へ供給される制御信号を示す図である。
【0056】
制御回路40は、DC-AC変換回路32のスイッチの切り換えに同期して、整流回路36に含まれる第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78を切り替える。すなわち、制御回路40は、第1伝達期間、第1還流期間、第2伝達期間および第2還流期間の切り換えに同期して、それぞれの期間に対して予め定められたオン/オフのパターンに従って、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78を切り替える。
【0057】
本実施形態においては、制御回路40は、第1スイッチ素子72をオン/オフするための制御信号(E)、第2スイッチ素子74をオン/オフするための制御信号(F)、第3スイッチ素子76をオン/オフするための制御信号(G)、および、第4スイッチ素子78をオン/オフするための制御信号(H)を整流回路36に供給する。なお、各制御信号(E~F)は、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78をオンとさせる電圧がH論理となり、オフとさせる電圧がL論理となる。
【0058】
ここで、伝達期間において、制御回路40は、第1中間端子68に二次側交流電圧の正側が印加され、且つ、第2中間端子70に二次側交流電圧の負側が印加されるように、整流回路36における二次側コイル62と第1中間端子68との間および二次側コイル62と第2中間端子70との間の接続を、DC-AC変換回路32のスイッチングに同期して切り替える。なお、伝達期間における整流回路36の具体的なスイッチングパターンについては、図5および図6を参照して後述する。
【0059】
また、還流期間において、制御回路40は、第1中間端子68から第2中間端子70へと整流回路36を経由して電流が流れず、且つ、第2中間端子70から第1中間端子68へと整流回路36を経由して電流が流れるように、整流回路36に対してダイオードにより整流をさせる。
【0060】
本実施形態において、ダイオードは、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78のそれぞれに含まれるボディーダイオードである。本実施形態においては、制御回路40は、還流期間において、第2中間端子70から第1中間端子68へと向かう方向に整流回路36内の1個のみのボディーダイオードを通過して電流が流れ、且つ、第1中間端子68から第2中間端子70へと向かう方向には整流回路36内のボディーダイオードの整流機能により電流が阻止されるように、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78を切り替える。
【0061】
例えば、還流期間において、制御回路40は、第1スイッチ素子72および第3スイッチ素子76をオフとし、且つ、第2スイッチ素子74および第4スイッチ素子78のうちの少なくとも1つをオンとする。または、還流期間において、制御回路40は、第2スイッチ素子74および第4スイッチ素子78をオフとし、且つ、第1スイッチ素子72および第3スイッチ素子76のうちの少なくとも1つをオンとする。なお、還流期間における、整流回路36の具体的なスイッチングパターンについては、図7から図12を参照して後述する。
【0062】
制御回路40は、整流回路36をこのように制御することにより、伝達期間における、ダイオードを順方向に電流が通過することによる電力損失を無くすことができる。さらに、制御回路40は、還流期間における逆方向の還流電流、すなわち、第1中間端子68から第2中間端子70へと向かう方向に整流回路36を経由して流れる電流を、0としてハードスイッチングによる電力損失を抑制することができる。さらに、制御回路40は、還流期間における順方向の還流電流、すなわち、第2中間端子70から第1中間端子68へと向かう方向に整流回路36を経由して流れる電流が通過するボディーダイオードを1個とすることができ、還流期間における電力損失を小さくすることができる。
【0063】
図5は、第1伝達期間における整流回路36のスイッチング状態を示す図である。第1伝達期間において、制御回路40は、制御信号(E)および制御信号(H)をH論理とすることにより第1スイッチ素子72および第4スイッチ素子78をオンとする。且つ、第1伝達期間において、制御回路40は、制御信号(F)および制御信号(G)をL論理とすることにより第2スイッチ素子74および第3スイッチ素子76をオフとする。
【0064】
第1伝達期間において、トランス34は、第1トランス出力端子64から第2トランス出力端子66より高い電圧を発生している。従って、制御回路40は、第1伝達期間においてこのような切り替えをすることにより、第1トランス出力端子64を第1中間端子68に接続し、且つ、第2トランス出力端子66を第2中間端子70に接続して、二次側交流電圧を整流した整流電圧を第1中間端子68と第2中間端子70との間に印加することができる。これにより、制御回路40は、第2中間端子70から二次側コイル62を経由して第1中間端子68へとダイオードを通過させることなく電流を流すことができるので、電力損失を無くすことができる。
【0065】
図6は、第2伝達期間における整流回路36のスイッチング状態を示す図である。第2伝達期間において、制御回路40は、制御信号(F)および制御信号(G)をH論理とすることにより第2スイッチ素子74および第3スイッチ素子76をオンとする。且つ、且つ、第2伝達期間において、制御回路40は、制御信号(E)および制御信号(H)をL論理とすることにより第1スイッチ素子72および第4スイッチ素子78をオフとする。
【0066】
第2伝達期間において、トランス34は、第2トランス出力端子66から第1トランス出力端子64より高い電圧を発生している。従って、制御回路40は、第2伝達期間においてこのような切り替えをすることにより、第2トランス出力端子66を第1中間端子68に接続し、且つ、第1トランス出力端子64を第2中間端子70に接続して、二次側交流電圧を整流した整流電圧を第1中間端子68と第2中間端子70との間に印加することができる。これにより、制御回路40は、第1中間端子68から二次側コイル62を経由して第2中間端子70へとダイオードを通過させることなく電流を流すことができるので、電力損失を無くすことができる。
【0067】
図7は、還流期間における整流回路36のスイッチング状態の第1例を示す図である。還流期間(例えば第1還流期間または第2還流期間)において、一例として、図7に示すように、制御回路40は、制御信号(E)、制御信号(G)および制御信号(H)をL論理とすることにより、第1スイッチ素子72、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78をオフとする。且つ、還流期間において、制御回路40は、制御信号(F)をH論理とすることにより第2スイッチ素子74をオンとする。
【0068】
これにより、制御回路40は、還流期間において、第2中間端子70から第1中間端子68へと向かう方向の順方向の還流電流を、第1スイッチ素子72のボディーダイオードおよびオン状態の第2スイッチ素子74を経由して流すことができる。そして、制御回路40は、第1中間端子68から第2中間端子70へと向かう逆方向の還流電流を、第1スイッチ素子72および第3スイッチ素子76のボディーダイオードの整流機能により阻止することができる。このような切り替えをすることにより、制御回路40は、還流期間における逆方向の還流電流を0として、ハードスイッチングを無くすことができる。さらに、制御回路40は、還流期間における順方向の還流電流が通過するボディーダイオードを1個とすることができるので、電力損失を少なくすることができる。
【0069】
図8は、還流期間における整流回路36のスイッチング状態の第2例を示す図である。還流期間において、一例として、制御回路40は、図8に示すように、制御信号(E)、制御信号(F)および制御信号(G)をL論理とすることにより、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74および第3スイッチ素子76をオフとする。且つ、還流期間において、制御回路40は、制御信号(H)をH論理とすることにより第4スイッチ素子78をオンとする。
【0070】
これにより、制御回路40は、還流期間において、第2中間端子70から第1中間端子68へと向かう方向の順方向の還流電流を、第3スイッチ素子76のボディーダイオードおよびオン状態の第4スイッチ素子78を経由して流すことができる。そして、制御回路40は、第1中間端子68から第2中間端子70へと向かう逆方向の還流電流を、第1スイッチ素子72および第3スイッチ素子76のボディーダイオードの整流機能により阻止することができる。このような切り替えをすることにより、制御回路40は、還流期間における逆方向の還流電流を0として、ハードスイッチングを無くすことができる。さらに、制御回路40は、還流期間における順方向の還流電流が通過するボディーダイオードを1個とすることができるので、電力損失を少なくすることができる。
【0071】
図9は、還流期間における整流回路36のスイッチング状態の第3例を示す図である。還流期間において、一例として、制御回路40は、図9に示すように、制御信号(F)、制御信号(G)および制御信号(H)をL論理とすることにより、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78をオフとする。且つ、還流期間において、制御回路40は、制御信号(E)をH論理とすることにより第1スイッチ素子72をオンとする。
【0072】
これにより、制御回路40は、還流期間において、第2中間端子70から第1中間端子68へと向かう方向の順方向の還流電流を、第2スイッチ素子74のボディーダイオードおよびオン状態の第1スイッチ素子72を経由して流すことができる。そして、制御回路40は、第1中間端子68から第2中間端子70へと向かう逆方向の還流電流を、第2スイッチ素子74および第4スイッチ素子78のボディーダイオードの整流機能により阻止することができる。このような切り替えをすることにより、制御回路40は、還流期間における逆方向の還流電流を0として、ハードスイッチングを無くすことができる。さらに、制御回路40は、還流期間における順方向の還流電流が通過するボディーダイオードを1個とすることができるので、電力損失を少なくすることができる。
【0073】
図10は、還流期間における整流回路36のスイッチング状態の第4例を示す図である。還流期間において、一例として、制御回路40は、図10に示すように、制御信号(E)、制御信号(F)および制御信号(H)をL論理とすることにより、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74および第4スイッチ素子78をオフとする。且つ、還流期間において、制御回路40は、制御信号(G)をH論理とすることにより第3スイッチ素子76をオンとする。
【0074】
これにより、制御回路40は、還流期間において、第2中間端子70から第1中間端子68へと向かう方向の順方向の還流電流を、第4スイッチ素子78のボディーダイオードおよびオン状態の第3スイッチ素子76を経由して流すことができる。そして、制御回路40は、第1中間端子68から第2中間端子70へと向かう逆方向の還流電流を、第2スイッチ素子74および第4スイッチ素子78のボディーダイオードの整流機能により阻止することができる。このような切り替えをすることにより、制御回路40は、還流期間における逆方向の還流電流を0として、ハードスイッチングを無くすことができる。さらに、制御回路40は、還流期間における順方向の還流電流が通過するボディーダイオードを1個とすることができるので、電力損失を少なくすることができる。
【0075】
図11は、還流期間における整流回路36のスイッチング状態の第5例を示す図である。還流期間において、一例として、制御回路40は、図11に示すように、制御信号(E)および制御信号(G)をL論理とすることにより、第1スイッチ素子72および第3スイッチ素子76をオフとする。且つ、還流期間において、制御回路40は、制御信号(F)および制御信号(H)をH論理とすることにより第2スイッチ素子74および第4スイッチ素子78をオンとする。
【0076】
これにより、制御回路40は、還流期間において、第2中間端子70から第1中間端子68へと向かう方向の順方向の還流電流を、第1スイッチ素子72のボディーダイオードおよびオン状態の第2スイッチ素子74、または、第3スイッチ素子76のボディーダイオードおよびオン状態の第4スイッチ素子78を経由して流すことができる。なお、順方向の還流電流は、理論的には、2つの経路に分配されて流れるが、実際には、抵抗値のバランスの違いにより何れか一方の経路を流れる。
【0077】
そして、制御回路40は、第1中間端子68から第2中間端子70へと向かう逆方向の還流電流を、第1スイッチ素子72および第3スイッチ素子76のボディーダイオードの整流機能により阻止することができる。このような切り替えをすることにより、制御回路40は、還流期間における逆方向の還流電流を0として、ハードスイッチングを無くすことができる。さらに、制御回路40は、還流期間における順方向の還流電流が通過するボディーダイオードを1個とすることができるので、電力損失を少なくすることができる。
【0078】
図12は、還流期間における整流回路36のスイッチング状態の第6例を示す図である。還流期間において、一例として、制御回路40は、図12に示すように、制御信号(F)および制御信号(H)をL論理とすることにより、第2スイッチ素子74および第4スイッチ素子78をオフとする。且つ、還流期間において、制御回路40は、制御信号(E)および制御信号(G)をH論理とすることにより第1スイッチ素子72および第3スイッチ素子76をオンとする。
【0079】
これにより、制御回路40は、還流期間において、第2中間端子70から第1中間端子68へと向かう方向の順方向の還流電流を、第2スイッチ素子74のボディーダイオードおよびオン状態の第1スイッチ素子72、または、第4スイッチ素子78のボディーダイオードおよびオン状態の第3スイッチ素子76を経由して流すことができる。なお、順方向の還流電流は、理論的には、2つの経路に分配されて流れるが、実際には、抵抗値のバランスの違いにより何れか一方の経路を流れる。
【0080】
そして、制御回路40は、第1中間端子68から第2中間端子70へと向かう逆方向の還流電流を、第2スイッチ素子74および第4スイッチ素子78のボディーダイオードの整流機能により阻止することができる。このような切り替えをすることにより、制御回路40は、還流期間における逆方向の還流電流を0として、ハードスイッチングを無くすことができる。さらに、制御回路40は、還流期間における順方向の還流電流が通過するボディーダイオードを1個とすることができるので、電力損失を少なくすることができる。
【0081】
図13は、重負荷が接続された状態において、伝達期間に同期スイッチングをし、還流期間にスイッチ素子を全てオンにした場合の、電圧および電流の概略の波形図である。
【0082】
Ioは、出力電流である。Voは、出力電圧である。Iは、平滑インダクタ80に流れる電流である。Vは、第1中間端子68と第2中間端子70との間に印加される整流電圧である。
【0083】
整流電圧(V)は、伝達期間に正の電圧となり、還流期間に0となる。平滑インダクタ電流(I)は、伝達期間に増加し、還流期間に減少する。
【0084】
出力電圧(Vo)は、整流電圧(V)を平均化した値となる。出力電流(Io)は、平滑インダクタ電流(I)を平均化した値となる。
【0085】
図13の例においては、重負荷が接続されており、出力電流(Io)は、30A程度であり、平滑インダクタ電流(I)は、20A程度から40A程度までの間を増減する。従って、重負荷が接続されている場合、平滑インダクタ電流(I)は、還流期間中にマイナスの値とならない。すなわち、重負荷が接続されている場合、DC-DCコンバータ10は、逆方向の還流電流を流さない。
【0086】
図14は、軽負荷が接続された状態において、伝達期間に同期スイッチングをし、還流期間にスイッチ素子を全てオンにした場合の、電圧および電流の概略の波形図である。
【0087】
図14の例においては、軽負荷が接続されており、出力電流(Io)は、5A程度である。この場合、平滑インダクタ電流(I)は、-5A程度から15A程度までの間を増減する。
【0088】
図14の例の場合、平滑インダクタ電流(I)は、マイナスの値となる期間が含まれる。この期間においては、整流回路36は、逆方向の還流電流が流れる。従って、整流回路36は、このような逆方向の還流電流が流れた状態でスイッチングが行われた場合、ハードスイッチングとなり大きなスイッチング損失を発生する。
【0089】
図15は、軽負荷が接続された状態における、本実施形態に係るDC-DCコンバータ10の電圧および電流の概略の波形図である。
【0090】
本実施形態に係る制御回路40は、還流期間において、逆方向の平滑インダクタ電流(I)が流れないようにダイオードにより逆流を阻止する。且つ、本実施形態に係る制御回路40は、還流期間において、整流回路36に順方向の還流電流が流れるように、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78を切り替える。
【0091】
従って、図15に示すように、平滑インダクタ電流(I)は、軽負荷が接続された状態であっても、マイナスの値とはならない。従って、制御回路40は、ハードスイッチングを生じさせず、効率良く電力変換をすることができる。
【0092】
図16は、モードの設定処理を示すフローチャートである。制御回路40は、例えば定期的に、図16に示すモードの設定処理を実行してもよい。
【0093】
まず、S11において、制御回路40は、平滑回路38から出力される出力電流(Io)が予め設定された設定値より大きいか否かを判断する。出力電流(Io)が設定値より大きい場合(S11のYes)、処理をS12に進める。そして、S12において、制御回路40は、第1モードに設定する。出力電流(Io)が設定値より大きくない場合(S11のNo)、処理をS13に進める。そして、S13において、制御回路40は、第2モードに設定する。
【0094】
図17は、第1モードにおける制御信号のタイミングチャートである。
【0095】
第1モードに設定されている場合、伝達期間おいて、制御回路40は、第1中間端子68に対して二次側交流電圧の正側が印加され、第2中間端子70に対して二次側交流電圧の負側が印加されるように、DC-AC変換回路32に同期して、整流回路36をスイッチングする。具体的には、第1伝達期間おいて、制御回路40は、制御信号(E)および制御信号(H)をH論理とし、且つ、制御信号(F)および制御信号(G)をL論理とする。また、第2伝達期間おいて、制御回路40は、制御信号(F)および制御信号(G)をH論理とし、且つ、制御信号(E)および制御信号(H)をL論理とする。
【0096】
第1モードに設定されている場合、還流期間おいて、制御回路40は、全ての制御信号(E)、制御信号(F)、制御信号(G)および制御信号(H)をH論理とすることにより、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78をオンとする。
【0097】
重負荷が接続された場合、還流電流は、マイナスの値とはならない。すなわち、出力電流(Io)が設定値より大きい場合、整流回路36には、逆方向の還流電流が流れない。このため、重負荷が接続された場合、DC-DCコンバータ10は、ハードスイッチングによるスイッチング損失が生じない。従って、出力電流(Io)が設定値より大きい場合、DC-DCコンバータ10は、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78を全てオンとすることにより、ボディーダイオードによる電力損失を無くして、効率良く電力変換をさせることができる。
【0098】
図18は、第2モードにおける制御信号のタイミングチャートである。第2モードに設定されている場合、伝達期間おいて、制御回路40は、整流回路36に対して第1モードと同一の制御を実行する。
【0099】
第2モードに設定されている場合、還流期間おいて、制御回路40は、第2中間端子70から第1中間端子68へと向かう方向に整流回路36内の1個のみのボディーダイオードを通過して電流が流れ、且つ、第1中間端子68から第2中間端子70へと向かう方向には整流回路36内のボディーダイオードの整流機能により電流が阻止されるように整流回路36を切り替える。
【0100】
例えば、図18の例においては、第1還流期間において、制御回路40は、制御信号(H)をH論理とし、制御信号(E)、制御信号(F)および制御信号(G)をL論理として、第4スイッチ素子78をオンとし、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74および第3スイッチ素子76をオフとしている。また、図18の例においては、第2還流期間において、制御回路40は、制御信号(F)をH論理とし、制御信号(E)、制御信号(G)および制御信号(H)をL論理として、第2スイッチ素子74をオンとし、第1スイッチ素子72、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78をオフとしている。
【0101】
なお、制御回路40は、第2モードに設定されている場合、還流期間おいて、図18のスイッチングパターンに限らず他のスイッチングパターンで、第1スイッチ素子72、第2スイッチ素子74、第3スイッチ素子76および第4スイッチ素子78を切り替えてもよい。
【0102】
第2モードに設定されている場合に、制御回路40は、整流回路36をこのように制御することにより、還流期間における逆方向の還流電流が流れる可能性がある場合に限り、ダイオードにより逆方向の還流電流を阻止することができる。
【0103】
図19は、二次側の制御信号を生成するための基準信号の波形を示す図である。制御回路40は、DC-AC変換回路32を制御するための1次側の制御信号(A~D)に同期させて、整流回路36を制御するための2次側の制御信号(E~H)を生成してもよい。この場合、制御回路40は、トランス34の二次側コイル62から電圧が発生されていない期間において、二次側コイル62を平滑回路38に接続しないように整流回路36をスイッチングする。
【0104】
例えば、制御回路40は、DC-AC変換回路32が還流期間から伝達期間に切り替わるタイミングから、所定時間のマージンタイム分遅いタイミングにおいて、整流回路36を還流期間から伝達期間に切り替える。また、制御回路40は、DC-AC変換回路32が伝達期間から還流期間に切り替わるタイミングから、所定時間のマージンタイム分早いタイミングにおいて、整流回路36を伝達期間から還流期間に切り替える。
【0105】
例えば、ロジック回路により、1次側の制御信号(A~D)に基づき2次側の制御信号(E~H)を生成する場合、制御回路40は、図19に示すように、1次側の制御信号(A)を補正した補正制御信号(A´)を生成する。具体的には、制御回路40は、L論理からH論理へと切り替わるタイミングをマージンタイム分遅くし、且つ、H論理からL論理へと切り替わるタイミングをマージンタイミング分早くした補正制御信号(A´)を生成する。また、制御回路40は、他の1次側の制御信号(B,C,D)についても同様に、補正制御信号(B´,C´,D´)を生成する。そして、制御回路40は、これらの補正制御信号(A´~D´)に基づき、ロジック回路により2次側の制御信号(E~H)を生成する。
【0106】
図20は、二次側の制御信号(E~H)を生成するためのロジック回路である信号生成回路110の構成を示す図である。制御回路40は、二次側の制御信号(E~H)を生成するためのロジック回路である信号生成回路110を有してもよい。
【0107】
信号生成回路110は、モード信号(S)と、4つの補正制御信号(A´~D´)を受け取る。モード信号(S)は、H論理の場合、第1モードで動作することを示す。モード信号(S)は、L論理の場合、第2モードで動作することを示す。
【0108】
信号生成回路110は、E生成回路122と、F生成回路124と、G生成回路126と、H生成回路128とを含む。
【0109】
E生成回路122は、第1OR回路132と、第1AND回路134と、反転回路136と、第2AND回路138と、第3AND回路140と、第2OR回路142とを含む。
【0110】
第1OR回路132は、A´とD´との論理和を出力する。第1AND回路134は、A´とD´との論理積を出力する。反転回路136は、Sを反転する。第2AND回路138は、第1OR回路132の出力信号と、Sとの論理積を出力する。第3AND回路140は、第1AND回路134の出力信号と、反転回路136の出力信号との論理積を出力する。第2OR回路142は、第2AND回路138の出力信号と、第3AND回路140の出力信号との論理和を出力する。
【0111】
このようなE生成回路122は、SがH論理の場合において、すなわち、第1モードの場合において、二次側の制御信号(E)として、A´とD´との論理和を出力する。また、E生成回路122は、SがL論理の場合において、すなわち、第2モードの場合において、二次側の制御信号(E)として、A´とD´との論理積を出力する。
【0112】
F生成回路124は、E生成回路122と同一の回路構成である。ただし、F生成回路124に含まれる第1OR回路132は、B´とC´との論理和を出力する。F生成回路124に含まれる第1AND回路134は、B´とB´との論理積を出力する。
【0113】
このようなF生成回路124は、SがH論理の場合において、すなわち、第1モードの場合において、二次側の制御信号(F)として、B´とC´との論理和を出力する。また、F生成回路124は、SがL論理の場合において、すなわち、第2モードの場合において、二次側の制御信号(F)として、B´を出力する。
【0114】
G生成回路126は、E生成回路122と同一の回路構成である。ただし、G生成回路126に含まれる第1OR回路132は、B´とC´との論理和を出力する。G生成回路126に含まれる第1AND回路134は、B´とC´との論理積を出力する。
【0115】
このようなG生成回路126は、第1モードの場合において、二次側の制御信号(E)として、B´とC´との論理和を出力する。また、G生成回路126は、第2モードの場合において、二次側の制御信号(G)として、B´とC´との論理積を出力する。
【0116】
H生成回路128は、E生成回路122と同一の回路構成である。ただし、H生成回路128に含まれる第1OR回路132は、A´とD´との論理和を出力する。H生成回路128に含まれる第1AND回路134は、A´とA´との論理積を出力する。
【0117】
このようなH生成回路128は、第1モードの場合において、二次側の制御信号(H)として、A´とD´との論理和を出力する。また、H生成回路128は、第2モードの場合において、二次側の制御信号(H)として、A´を出力する。
【0118】
以上のような構成の信号生成回路110は、第1モードにおいて、図17に示したような2次側の制御信号(E~H)を生成することができる。また、信号生成回路110は、第2モードにおいて、図18に示したような2次側の制御信号(E~H)を生成することができる。
【0119】
以上のように、本実施形態に係るDC-DCコンバータ10は、伝達期間において、第1中間端子68に二次側交流電圧の正側が印加され、且つ、第2中間端子70に二次側交流電圧の負側が印加されるように、整流回路36における二次側コイル62と第1中間端子68との間および二次側コイル62と第2中間端子70との間の接続を、DC-AC変換回路32のスイッチングに同期して切り替える。これにより、DC-DCコンバータ10は、伝達期間における、電力損失を無くすことができる。
【0120】
さらに、本実施形態に係るDC-DCコンバータ10は、還流期間において、第1中間端子68から第2中間端子70へと整流回路36を経由して電流が流れ、且つ、第2中間端子70から第1中間端子68へと整流回路36を経由して電流が流れるように、整流回路36に対してダイオードにより整流をさせる。これにより、DC-DCコンバータ10は、還流期間における逆方向の還流電流、すなわち、第1中間端子68から第2中間端子70へと向かう方向に整流回路36を経由して流れる電流を、0としてハードスイッチングによる電力損失を抑制することができる。
【0121】
また、さらに、本実施形態に係るDC-DCコンバータ10は、還流期間において、順方向の還流電流、すなわち、第2中間端子70から第1中間端子68へと向かう方向に整流回路36を経由して流れる電流が通過するダイオードを1個とするので、還流期間における電力損失を小さくすることができる。
【0122】
図21は、DC-DCコンバータ10が適用された車両200の構成を示す図である。車両200は、第1バッテリ212と、第2バッテリ214と、電装装置216と、充電装置218とを備える。
【0123】
第1バッテリ212は、例えばリチウムイオン電池であり、電気自動車用の充電スタンド等から電力が供給される。第1バッテリ212は、例えば360V程度の直流電圧を発生する。
【0124】
第2バッテリ214は、例えば鉛蓄電池であり、第1バッテリ212の電力が転送されて充電される。第2バッテリ214は、例えば12V程度の直流電圧を発生する。
【0125】
電装装置216は、車両200に搭載された装置である。電装装置216は、充電装置218から出力された電力、若しくは、第2バッテリ214に充電された電力により動作する。例えば、電装装置216は、車載コンピュータ、パワーステアリング、ヘッドライトおよびエアーコンディショナ等である。
【0126】
充電装置218は、第1実施形態または第2実施形態の何れかのDC-DCコンバータ10を含む。充電装置218は、第1バッテリ212の電力を取り出し、第2バッテリ214へと充電する。例えば、充電装置218に含まれるDC-DCコンバータ10は、第1バッテリ212から発生された直流電圧を降圧して、第2バッテリ214に対して充電可能な直流電圧に変換する。
【0127】
車両200は、第1バッテリ212の電力でモータを駆動して走行をすることができる。また、車両200は、第2バッテリ214の電力で電装装置216を駆動し、車両200の各種の制御および補助動作をすることができる。
【0128】
そして、車両200は、充電装置218内のDC-DCコンバータ10において、少ない電力損失で効率良く電力変換をすることができる。これにより、車両200は、第1バッテリ212の電力を効率良く第2バッテリ214に充電することができる。
【0129】
その他、上記実施の形態は、何れも本開示を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本開示の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本開示はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0130】
10 DC-DCコンバータ、22 第1入力端子、24 第2入力端子、26 第1出力端子、28 第2出力端子、32 DC-AC変換回路、34 トランス、36 整流回路、38 平滑回路、40 制御回路、42 第1交流端子、44 第2交流端子、46 変換キャパシタ、
52 第1変換スイッチ、54 第2変換スイッチ、56 第3変換スイッチ、58 第4変換スイッチ、60 一次側コイル、62 二次側コイル、64 第1トランス出力端子、66 第2トランス出力端子、68 第1中間端子、70 第2中間端子、72 第1スイッチ素子、74 第2スイッチ素子、76 第3スイッチ素子、78 第4スイッチ素子、80 平滑インダクタ、82 平滑キャパシタ、200 車両、212 第1バッテリ、214 第2バッテリ、216 電装装置、218 充電装置
図1
図2
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図6
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