IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーションの特許一覧

特許7605572高速1T1MセルのためのMOL内へのMRAMの組込み
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】高速1T1MセルのためのMOL内へのMRAMの組込み
(51)【国際特許分類】
   H10B 61/00 20230101AFI20241217BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20241217BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20241217BHJP
【FI】
H10B61/00
H01L29/82 Z
H10N50/10 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2022528966
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-03
(86)【国際出願番号】 IB2020059976
(87)【国際公開番号】W WO2021099861
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2023-03-24
(31)【優先権主張番号】16/690,675
(32)【優先日】2019-11-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390009531
【氏名又は名称】インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MACHINES CORPORATION
【住所又は居所原語表記】New Orchard Road, Armonk, New York 10504, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100112690
【弁理士】
【氏名又は名称】太佐 種一
(74)【代理人】
【識別番号】100120710
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】レズニチェク、アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】リッツォーロ、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】キシー、ルイロング
【審査官】柴山 将隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0248111(US,A1)
【文献】特開2016-063023(JP,A)
【文献】特開2016-018964(JP,A)
【文献】特開2012-204431(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0205002(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 61/00
H01L 29/82
H10N 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体フィンをまたぐゲート構造を含み、前記ゲート構造の両側にソース/ドレイン構造が配置され、各ソース/ドレイン構造上にソース/ドレイン・コンタクト構造が配置された、フロントエンドオブライン(FEOL)レベルと、
前記FEOLの上方に位置し、磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイス及び下部コンタクト構造を含み、前記MRAMデバイスのボトム電極が、前記ゲート構造の一方の側に位置する前記ソース/ドレイン・コンタクト構造の一方に接触し、前記下部コンタクト構造が、前記ゲート構造の他方の側に位置する前記ソース/ドレイン・コンタクト構造の他方に接触する、ミドルオブライン(MOL)レベルと、
前記MOLレベルの上方に位置し、前記下部コンタクト構造の表面に接触する第1の上部コンタクト構造と、前記MRAMデバイスのトップ電極の表面に接触する第2の上部コンタクト構造とを含む、バックエンドオブライン(BEOL)レベルと、
を含み、
前記MOLレベルは、メサ部分及び凹部分を有する誘電体材料層を含み、前記下部コンタクト構造の下部分は、前記誘電体材料層の前記凹部分に埋め込まれており、前記ボトム電極は、前記メサ部分を含む前記誘電体材料層の領域内に埋め込まれている、
メモリセル。
【請求項2】
前記MRAMデバイスは、前記ボトム電極に接触した磁気トンネル接合(MTJ)ピラーをさらに含み、前記MTJピラーは、前記誘電体材料層の前記メサ部分上に位置する、請求項1に記載のメモリセル。
【請求項3】
前記MTJピラー及び前記トップ電極を封入しかつ包囲する誘電体材料スペーサをさらに含み、前記誘電体材料スペーサの一部が前記誘電体材料層の前記メサ部分の側壁に接触している、請求項2に記載のメモリセル。
【請求項4】
前記MTJピラーがボトムピンMTJ構造である、請求項2に記載のメモリセル。
【請求項5】
前記MTJピラーがトップピンMTJ構造である、請求項2に記載のメモリセル。
【請求項6】
前記下部コンタクト構造と前記ゲート構造の前記他方の側に位置する前記ソース/ドレイン構造の前記他方との間に配置された導電性金属含有ライナをさらに含み、前記導電性金属含有ライナは、前記下部コンタクト構造の最上部表面と共面である最上部表面を有する、請求項1に記載のメモリセル。
【請求項7】
前記導電性金属含有ライナの前記最上部表面は、前記MRAMデバイスの前記トップ電極の最上部表面の下に位置する、請求項6に記載のメモリセル。
【請求項8】
前記下部コンタクト構造の下部分が、テーパ付き側壁を有する、請求項1に記載のメモリセル。
【請求項9】
前記第1の上部コンタクト構造及び前記第2の上部コンタクト構造は、前記MOLレベルの上方に位置するBEOL誘電体材料層内に部分的に位置する、請求項1に記載のメモリセル。
【請求項10】
前記MTJピラー及び前記トップ電極の両方が第1の臨界寸法を有し、前記ボトム電極が前記第1の臨界寸法よりも小さい第2の臨界寸法を有する、請求項2に記載のメモリセル
【請求項11】
前記MTJピラー及び前記トップ電極の両方が円筒形である、請求項2に記載のメモリセル。
【請求項12】
メモリセルを形成する方法であって、
半導体フィンをまたぐゲート構造を含み、前記ゲート構造の両側にソース/ドレイン構造が配置され、各ソース/ドレイン構造上にソース/ドレイン・コンタクト構造が配置された、フロントエンドオブライン(FEOL)レベルを形成することと、
前記FEOLレベルの上に、ミドルオブライン(MOL)レベルの誘電体材料層を形成することと、
前記誘電体材料層内に、前記ゲート構造の一方の側に位置する前記ソース/ドレイン・コンタクト構造の一方に接触する磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスのボトム電極を形成することと、
前記ボトム電極の上方に前記MRAMデバイスの磁気トンネル接合(MTJ)ピラー及びトップ電極を形成することと、
前記ゲート構造の他方の側に位置する前記ソース/ドレイン・コンタクト構造の他方に接触する下部コンタクト構造であって、前記下部コンタクト構造の下部分が前記誘電体材料層内に埋め込まれた、下部コンタクト構造を形成することと、
前記MOLレベルの上方に、前記下部コンタクト構造の表面に接触する第1の上部コンタクト構造と、前記MRAMデバイスのトップ電極の表面に接触する第2の上部コンタクト構造と含む、バックエンドオブライン(BEOL)レベルを形成することと、
を含み、
前記MTJピラー及び前記トップ電極を形成することは、
MTJ材料スタック及びトップ電極層を形成することと、
イオンビームエッチングを利用して、前記MTJ材料スタック及び前記トップ電極層をパターニングすることと、
を含み、
前記イオンビームエッチングの間に、前記ボトム電極に横方向に隣接して配置された前記誘電体材料層の一部に凹みが形成され、前記下部コンタクト構造の前記下部分が前記誘電体材料層の凹部分に埋め込まれる、
方法。
【請求項13】
前記MTJピラー及び前記トップ電極を封入しかつ包囲する誘電体材料スペーサを形成することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記下部コンタクト構造を形成することが、
前記誘電体材料層内に、前記ゲート構造の前記他方の側に位置する前記ソース/ドレイン・コンタクト構造の前記他方の表面を物理的に露出させるコンタクト開口部を形成することと、
前記コンタクト開口部内及び側壁沿いを含む前記誘電体材料層上に、及び前記トップ電極の最上部の上方に、導電性金属含有層を形成することと、
前記導電性金属含有層上にコンタクト金属含有層を形成することと、
前記コンタクト金属含有層及び前記導電性金属含有層を、前記トップ電極の高さを下回る高さまで凹ませることと、
ませた前記コンタクト金属含有層の上方にハードマスクキャップを形成することと、
前記ゲート構造の前記他方の側に位置する前記ハードマスクキャップ、凹ませた記コンタクト金属含有層及び凹ませた記導電性金属含有層をパターニングすることと、
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記コンタクト開口部がテーパ付き側壁を有し、前記誘電体材料層内に埋め込まれた前記下部コンタクト構造の前記下部分がテーパ付き側壁を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記MTJピラーがボトムピンMTJ構造である、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記MTJピラーがトップピンMTJ構造である、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリセルに関し、より詳細には、1つのトランジスタ(1T)と1つの磁気抵抗ランダムアクセスメモリ(MRAM)デバイスとを含むメモリセル、並びに、そのようなセルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MRAMは、磁気記憶素子によってデータを記憶する不揮発性ランダムアクセスメモリ技術である。これらの素子は、典型的には、薄い誘電体層(すなわち、トンネル障壁)で隔てられた、それぞれが磁化を保持できる2つの強磁性プレートで形成される。2つのプレートのうち一方は特定の極性に固定された永久磁性(すなわち、磁気基準層)であり、他方のプレートの磁化は、外部磁場に合わせて変化して、メモリを記憶することができる(すなわち、磁性フリー層)。このような構成は、磁気トンネル接合(MTJ)ピラーと呼ばれる。
【0003】
最先端の又はニューロモルフィックなコンピューティングシステムでは、MRAMデバイスは、1つ又は複数のトランジスタを含むフロントエンドオブライン(FEOL)の上に位置するバックエンドオブライン(BEOL)に埋め込まれる。BEOLに埋め込まれたMRAMデバイスからFEOLに存在するトランジスタまでの配線抵抗は高い。配線抵抗が高いことは、メモリ速度には不利である。
【0004】
そのため、MRAMデバイスがトランジスタに接続された、配線抵抗が低いメモリセルを提供することが必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
MRAMデバイスのボトム電極がトランジスタのソース/ドレイン・コンタクト構造の一方に接続され、下部コンタクト構造がトランジスタのソース/ドレイン・コンタクト構造の他方に接続されたメモリセルが提供される。本発明の実施形態では、MRAMデバイス及び下部コンタクト構造は、典型的な従来技術の構造のようにBEOL内ではなく、ミドルオブライン(MOL)内に存在する。さらに、MRAMデバイスのボトム電極と、下部コンタクト構造の下部分とが、同じ誘電体材料(すなわち、MOL誘電体材料)内に存在する。
【0006】
本発明の一態様では、配線抵抗が低いメモリセルが提供される。本発明の一態様において、メモリセルは、半導体フィンをまたぐゲート構造を含むFEOLレベルを含み、ゲート構造の両側にソース/ドレイン構造が配置され、各ソース/ドレイン構造上にソース/ドレイン・コンタクト構造が配置されている。MOLレベルは、FEOLレベルの上に位置し、MRAMデバイス及び下部コンタクト構造を含み、MRAMデバイスのボトム電極は、ゲート構造の一方の側に位置するソース/ドレイン・コンタクト構造の一方に接触し、下部コンタクト構造は、ゲート構造の他方の側に位置するソース/ドレイン・コンタクト構造の他方に接触している。BEOLレベルは、MOLレベルの上に位置し、下部コンタクト構造の表面に接触する第1の上部コンタクト構造と、MRAMデバイスのトップ電極の表面に接触する第2の上部コンタクト構造とを含む。
【0007】
本発明の別の態様では、配線抵抗が低いメモリセルを形成する方法が提供される。一実施形態において、本方法は、半導体フィンをまたぐゲート構造を含むFEOLレベルを形成することを含み、ゲート構造の両側にソース/ドレイン構造が配置され、各ソース/ドレイン構造上にソース/ドレイン・コンタクト構造が配置されている。次に、FEOLレベルの上に、MOLレベルの誘電体材料層が形成される。次いで、MRAMデバイスのボトム電極が誘電体材料層内に形成され、ゲート構造の一方の側に位置するソース/ドレイン・コンタクト構造の一方に接触する。次に、ボトム電極の上方に、MRAMデバイスの磁気トンネル接合(MTJ)ピラー及びトップ電極が形成される。次いで、ゲート構造の他方の側に位置するソース/ドレイン・コンタクト構造の他方に接触する下部コンタクト構造が形成され、下部コンタクト構造の下部分は、誘電体材料層に埋め込まれる。次に、MOLレベルの上方にバックエンドオブライン(BEOL)レベルが形成され、これは下部コンタクト構造の表面に接触する第1の上部コンタクト構造と、MRAMデバイスのトップ電極の表面に接触する第2の上部コンタクト構造とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】本明細書で説明する様々な断面を示す図であり、X-Xは半導体フィンの長手方向に沿った断面であり、Y-Yは半導体フィンの隣接する対に垂直であるとともにそれらの間にあり、かつソース/ドレイン領域のうちの1つの中にある断面である。
図1B】本発明の一実施形態で使用することができる例示的な構造のX-X断面図であり、この例示的な構造は、基板の表面から上方に延びる複数の半導体フィンと、各半導体フィンに対して垂直に配向し、その一部をまたぐ複数のゲート構造と、各ゲート構造に隣接して位置するソース/ドレイン構造と、各ソース/ドレイン構造上に存在するソース/ドレイン・コンタクト構造とを含む。
図1C図1Bに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図2A】複数のゲート構造のうちの第1のゲート構造のソース/ドレイン・コンタクト構造の一方に接触するボトム電極を形成した後の、図1Bの例示的な構造のX-X断面図であり、ボトム電極は誘電体材料層中に埋め込まれている。
図2B図2Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図3A】誘電体材料層及び埋込みボトム電極上に多層磁気トンネル接合(MTJ)材料スタックを形成し、MTJ材料スタック上にトップ電極層を形成した後の、図2Aの例示的な構造のX-X断面図である。
図3B図3Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図4A】トップ電極層及びMTJ材料スタックをパターニングして、少なくとも埋込みボトム電極上にトップ電極及びMTJピラーをそれぞれ設けた後の、図3Aの例示的な構造のX-X断面図である。
図4B図4Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図5A】MTJピラー及びトップ電極に横方向に隣接する誘電体材料スペーサを形成した後の、図4Aの例示的な構造のX-X断面図である。
図5B図5Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図6A】第1のゲート構造のソース/ドレイン・コンタクト構造の他方の表面を物理的に露出させるコンタクト開口部が形成された有機平坦化層(OPL)を形成した後の、図5Aの例示的な構造のX-X断面図である。
図6B図6Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図7A】OPLを除去した後の、図6Aの例示的な構造のX-X断面図である。
図7B図7Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図8A】導電性金属含有層及びコンタクト金属含有層を形成した後の、図7Aの例示的な構造のX-X断面図である。
図8B図8Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図9A】コンタクト金属含有層及び導電性金属含有層の両方を凹ませた後の、図8Aの例示的な構造のX-X断面図である。
図9B図9Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図10A】凹部コンタクト金属含有層及び凹部導電性金属含有層上にハードマスクキャップを形成した後の、図9Aの例示的な構造のX-X断面図である。
図10B図10Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図11A】別のOPLを形成し、次いでソース/ドレイン領域に存在する別のOPL、ハードマスク、凹部コンタクト金属含有層及び凹部導電性金属含有層をパターニングした後の、図10Aの例示的な構造の断面図である。
図11B図11Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図12A】別のOPLを除去した後の、図11Aの例示的な構造のX-X断面図である。
図12B図12Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図13A】低k誘電率充填材料を形成し、低k誘電率充填材料を平坦化した後の、図12Aの例示的な構造のX-X断面図である。
図13B図13Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
図14A】上部コンタクト構造が形成されたBEOL誘電体材料層を形成した後の、図13Aの例示的な構造のX-X断面図である。
図14B図14Aに示す例示的な構造のY-Y断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、以下の考察及び図面を参照しながら、より詳細に説明する。図面は、説明のためにのみ提供され、そのため、図面は縮尺通りに描かれていないことに留意されたい。また、同様の要素及び対応する要素は、同様の参照数字によって参照されることに留意されたい。
【0010】
以下の説明では、本発明の様々な実施形態の理解を提供するために、特定の構造、コンポーネント、材料、寸法、処理ステップ及び技術など、多数の特定の詳細が示されている。しかしながら、当業者であれば、本発明の様々な実施形態は、これらの具体的な詳細なしに実施され得ることが理解されよう。他の例では、本発明を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造又は処理ステップを詳細に説明していない。
【0011】
層、領域、又は基板としての要素が他の要素の「上」又は「上方」にあると言及されるとき、それは他の要素の上に直接あってもよく、又は介在する要素も存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が他の要素の「上に直接」又は「上方に直接」あると言及されるとき、介在する要素は存在しない。また、ある要素が他の要素の「下」又は「下方」にあると言及されるとき、それは他の要素の下に直接あってもよく、又は介在する要素が存在してもよいことが理解されるであろう。対照的に、ある要素が他の要素の「下に直接」又は「下方に直接」にあると言及されるとき、介在する要素は存在しない。
【0012】
背景技術の項で述べた問題の解決策の1つは、MRAMデバイスをFEOLとBEOLとの間に配置されたMOLに移動させることである。こうした解決策は、実現が容易ではなく、上述した問題とは異なる問題を生じさせる。例えば、MRAMデバイスのMTJピラーを形成するために用いられるイオンビームエッチングは、ゲート構造もしくはソース/ドレイン・コンタクト構造又はその両方を損傷する可能性がある。また、厚いFEOL誘電体材料が通常は必要とされ、そのことが、ソース/ドレイン・コンタクト構造の高さを著しく増大させ、ひいては、望ましくない高いソース/ドレイン・コンタクト抵抗をもたらすことになる。本発明の実施形態は、MRAMデバイスのボトム電極がトランジスタのソース/ドレイン・コンタクト構造の一方に接続され、下部コンタクト構造がトランジスタのソース/ドレイン・コンタクト構造の他方に接続されたメモリセルを提供する。本発明のメモリセルでは、MRAMデバイス及び下部コンタクト構造は、両方ともMOL内に存在する。また、本発明のメモリセルでは、MRAMデバイスのボトム電極と、下部コンタクト構造の下部分とが、同じ誘電体材料(すなわち、MOL誘電体材料)内に存在する。
【0013】
本発明を詳細に説明する前に、まず、これから説明する様々な断面を示す図である図1Aを参照する。図1Aにおいて、要素16はゲート構造を指し、要素12は半導体フィンを指し、要素26はソース/ドレイン・コンタクト構造を指す。図示されているように、ゲート構造16は、半導体フィン12に対して垂直に配向されている。また、中央のゲート構造16に対して、ソース/ドレイン・コンタクト構造26がそのゲート構造16の両側に配置されている。図1Aにおいて、X-Xは、半導体フィン12のうちの1つの長手方向に沿った断面であり、Y-Yは、半導体フィンの隣接する対に垂直であるとともにそれらの間にあり、かつソース/ドレイン領域のうちの1つの中にある断面である。当業者に知られているように、第1のソース/ドレイン領域はゲート構造の一方の側(すなわち、第1の側)に位置し、第2のソース/ドレイン領域はゲート構造の他方の側(すなわち、第2の側)に位置し、第1の側は第2の側の反対側にある。
【0014】
ここで図1B~1Cを参照すると、本発明の一実施形態において使用することができる例示的な構造が示されている。図1B~1Cに示された例示的な構造は、FEOLに存在するものであり、基板10の表面から上方に延びる複数の半導体フィン12と、各半導体フィン12に対して垂直に配向し、その一部をまたぐ複数のゲート構造16と、各ゲート構造16に隣接して位置するソース/ドレイン構造24と、各ソース/ドレイン構造24上に存在するソース/ドレイン・コンタクト構造26とを含む。
【0015】
図1Bに示されるように、各ゲート構造16上にゲートキャップ20が存在してもよく、各ゲート構造16及び存在する場合には各ゲートキャップ20の側壁上にゲートスペーサ18が存在してもよい。図1Cに示されるように、本発明のいくつかの実施形態において、各ゲート構造16の間に位置するソース/ドレイン構造24は、合体させてもよい。また、図1Cに示すように、トレンチ絶縁構造14が、各半導体フィン12に横方向に隣接して存在してもよく、FEOL誘電体材料22が、図示された実施形態では合体したソース/ドレイン構造24及びソース/ドレイン・コンタクト構造26に横方向に隣接していてもよい。
【0016】
図1B~1Cに示される例示的な構造は、当業者に周知のプロセスを利用して形成することができる。例えば、ゲート・ファースト・プロセス又はゲート・ラスト・プロセスを使用して、図1B~1Cに示された例示的な構造を形成することができる。本発明の方法を不明瞭にしないために、図1B~1Cに示された例示的な構造を形成するために使用されるプロセスに関する詳細は提示しない。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態では、基板10は、半導体特性を有する半導体材料で構成することができる。基板10として使用できる例示的な半導体材料としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム合金(SiGe)、炭化シリコン(SiC)、炭化シリコンゲルマニウム(SiGeC)、III-V族化合物半導体又はII-VI族化合物半導体が挙げられるが、それだけに限定されるものではない。III-V族化合物半導体は、元素の周期律表のIII族からの少なくとも1つの元素と、元素の周期律表のV族からの少なくとも1つの元素とを含む材料であり、II-VI族化合物半導体は、元素の周期律表のIII族からの少なくとも1つの元素と、元素の周期律表のVI族からの少なくとも1つの元素とを含む材料である。
【0018】
本発明の他の実施形態では、基板10は、例えば、二酸化シリコンや窒化ホウ素などの絶縁体で構成することができる。そうした実施形態では、基板10を提供する絶縁体の下に、ハンドル基板(図示せず)を配置することができる。
【0019】
半導体フィン12は、基板10について上記で定義したのと同様の半導体材料で構成されている。いくつかの実施形態では、半導体フィン12は、基板10と組成が同じ半導体材料で構成される。他の実施形態では、半導体フィン12は、基板10とは組成が異なる半導体材料で構成される。
【0020】
本明細書において、「半導体フィン」とは、互いに平行な一対の垂直な側壁を含む半導体材料を指す。本明細書で使用する場合、ある表面が「垂直」であるとは、垂直面が存在し、その垂直面からその表面が、その表面の二乗平均粗さの平方根の3倍を超えて偏向しない場合をいう。一実施形態では、各半導体フィン12は、20nm~200nmの高さ、5nm~30nmの幅、及び20nm~50μmの長さを有する。本明細書で述べた範囲を下回る、又は上回る、他の高さもしくは幅もしくは長さ又はそれらの組合せも、本発明で使用することができる。各半導体フィン12は、その最も近い隣接する半導体フィン12から20nm~100nmのピッチだけ離間しており、ピッチは、1つの半導体フィンの1点から、隣接する半導体フィン上のちょうど同じ点まで測定される。また、各半導体フィン12は、互いに平行に配向している。隣接する一対の半導体フィン12の各々の間に、開口部又は間隙が存在する。
【0021】
半導体フィン12は、ベース半導体基板の上部半導体材料部分をパターニングすることによって形成することができる。このようなパターニングは、例えば、リソグラフィ及びエッチング、又は側壁イメージ転写(SIT:Sidewall Image Transfer)プロセスを含むことができる。ベース半導体基板は、バルク半導体基板(すなわち、全体が少なくとも1つの半導体材料で構成された基板)であってもよく、又は上部半導体材料層、絶縁体材料、及びハンドル基板から構成されたセミコンダクタ・オン・インシュレータ(SOI:Semiconductor On Insulator)基板であってもよい。ベース半導体基板としてSOI基板を用いる場合、上部半導体材料層をパターニングして、SOI基板の絶縁体材料から上方に延びる半導体フィン12を設ける。
【0022】
トレンチ絶縁構造14は、例えば二酸化シリコンなどのトレンチ誘電体材料で構成することができる。トレンチ絶縁構造14は、各半導体フィン12間に存在する間隙内にトレンチ誘電体材料を堆積させ、次いで堆積したトレンチ誘電体材料にエッチバック処理を施すことによって形成することができる。いくつかの実施形態では、トレンチ絶縁構造14の形成は省略することができる。
【0023】
各ゲート構造16は、図示しないゲート誘電体材料層と、同じく図示しないゲート導体層とを含む。各ゲート構造16が、トランジスタのコンポーネントを形成する。いくつかの実施形態では、ゲート誘電体材料層は、全体がゲート導体層の下に配置される。他の実施形態では、ゲート誘電体材料層は、ゲート導体層の側壁及び底壁上に存在する。
【0024】
ゲート誘電体材料層は、例えば、酸化物、窒化物、もしくは酸窒化物又はその組合せなどのゲート誘電体材料で構成することができる。一例では、ゲート誘電体材料層を提供するゲート誘電体材料は、4.0より大きい誘電率を有する高k材料とすることができる。すべての誘電率は、それに反する記載がない限り、真空中で測定される。例示的な高k誘電体として、HfO、ZrO、La、Al、TiO、SrTiO、LaAlO、Y、HfO、ZrO、La、Al、TiO、SrTiO、LaAlO、Y、SiON、SiN、それらのシリケート、及びそれらの合金が挙げられるが、それらに限定されない。xの各値は独立して0.5~3であり、yの各値は独立して0~2である。いくつかの実施形態では、異なるゲート誘電体材料、例えば二酸化シリコン及び高kゲート誘電体を含む多層ゲート誘電体構造を形成して、ゲート誘電体材料層として使用することができる。ゲート誘電体材料層は、例えば、化学気相成長(CVD)、プラズマ励起化学気相成長(PECVD)、物理気相成長(PVD)、スパッタリング、又は原子層堆積(ALD)を含む任意の堆積プロセスによって形成することができる。本発明の一実施形態において、ゲート誘電体材料層を提供するゲート誘電体材料は、1nm~10nmの範囲の厚さを有することができる。ゲート誘電体材料層には、前述の厚さ範囲を下回る、又は上回る、他の厚さを使用することもできる。
【0025】
ゲート導体層は、ゲート導体材料で構成することができる。ゲート導体層を設ける際に用いられるゲート導体材料としては、例えば、ドープポリシリコン、元素金属(例えば、タングステン、チタン、タンタル、アルミニウム、ニッケル、ルテニウム、パラジウム及び白金)、少なくとも2つの元素金属の合金、元素金属窒化物(例えば、窒化タングステン、窒化アルミニウム、及び窒化チタン)、金属シリサイド(例えば、タングステンシリサイド、ニッケルシリサイド、及びチタンシリサイド)、又はこれらの多層構造の組合せを挙げることができる。ゲート導体層は、例えば、CVD、PECVD、PVD、スパッタリング、又はALDを含む任意の堆積プロセスによって形成することができる。ゲート導体層は、25nm~150nmの厚さを有することができるが、他の厚さが可能であり、ゲート導体層の厚さとして使用することができる。
【0026】
存在する場合、ゲートキャップ20は、例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン、又は酸窒化シリコンなどのキャップゲート材料で構成される。ゲートキャップ20は、例えば、CVD、PECVD、PVD、スパッタリング、又はALDなどの堆積プロセスを利用して形成することができる。ゲートキャップ20は、10nm~50nmの厚さを有することができるが、他の厚さが可能であり、ゲートキャップ20の厚さとして使用することができる。
【0027】
ゲートスペーサ18は、例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン、酸窒化シリコンなどのゲートスペーサ誘電体材料で構成することができる。ゲートスペーサ18は、ゲートキャップ20を提供するゲートキャップ材料と組成が同じ、又は組成が異なるゲートスペーサ材料で構成することができる。ゲートスペーサ18は、堆積プロセスとそれに続くスペーサ・エッチングによって形成することができる。
【0028】
FEOL誘電体材料22は、例えば、二酸化シリコン、アンドープ・シリケートガラス(USG)、フルオロシリケートガラス(FSG)、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)、スピンオン低k誘電体層、化学気相成長(CVD)低k誘電体層又はこれらの任意の組合せなどの、任意の誘電体材料で構成される。本明細書で使用される「低k」という用語は、4.0未満の誘電率を有する誘電体材料を表す。別の実施形態では、FEOL誘電体材料22として、スピンオンガラス(SOG)、又はSiLK(商標)などのスピンオン低k誘電体材料などの自己平坦化材料を使用することができる。FEOL誘電体材料22は、例えば、CVD、PECVD、蒸着、又はスピンオンコーティングを含む堆積プロセスを利用して形成することができる。
【0029】
半導体フィン12の露出面からエピタキシャル成長されるソース/ドレイン構造24は、上記で定義した半導体材料とドーパントとで構成される。ソース/ドレイン構造24を提供する半導体材料は、半導体フィン12を提供する半導体材料と組成が同じであってもよく、組成が異なっていてもよい。ソース/ドレイン構造24は、少なくとも1つのファセット面を有することができる。
【0030】
ソース/ドレイン構造24内に存在するドーパントは、p型ドーパント又はn型ドーパントのいずれであってもよい。用語「p型」は、価電子の欠乏を生じさせる真性半導体への不純物の添加を意味する。シリコン含有半導体材料において、p型ドーパント、すなわち不純物の例としては、ホウ素、アルミニウム、ガリウム及びインジウムが挙げられるが、これらに限定されない。「n型」とは、自由電子に寄与する真性半導体への不純物の添加を意味する。シリコン含有半導体材料において、n型ドーパント、すなわち不純物の例としては、アンチモン、ヒ素、及びリンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の一実施形態では、ソース/ドレイン構造24内のn型又はp型ドーパントの濃度は、1×1018原子/cmから1×1021原子/cmまで範囲とすることができるが、1×1021原子/cmを上回る、又は1×1018原子/cmを下回るドーパント濃度も想定される。
【0031】
ソース/ドレイン・コンタクト構造26は、典型的には、例えば、タングステンシリサイド、ニッケルシリサイド又は白金シリサイドなどの金属シリサイドで構成される。金属シリサイドは、従来の金属半導体合金形成プロセスを利用して形成することができる。ソース/ドレイン・コンタクト構造26は、FEOL誘電体材料22の最上部表面と共面である最上部表面を有することができる。金属シリサイドに加えて、ソース/ドレイン・コンタクト構造26は、コンタクト金属又はコンタクト金属合金で構成することができる。コンタクト金属としては、銅、アルミニウム、タングステン、又はコバルトが挙げられる。ソース/ドレイン・コンタクト構造26を提供するコンタクト金属又はコンタクト金属合金は、例えば、CVD、PECVD、PVD、スパッタリング、又はメッキなどの堆積プロセスで形成することができる。
【0032】
ここで図2A図2Bを参照すると、複数のゲート構造16のうちの第1のゲート構造(すなわち、図2Aに示す中央のゲート構造)のソース/ドレイン・コンタクト構造26の一方に接触するボトム電極30を形成した後の、図1B図1Cの例示的な構造が示されており、ボトム電極30は誘電体材料層28に埋め込まれている。本明細書では、単一のボトム電極30の形成について説明及び図示するが、複数のボトム電極30を形成することができ、その各々が、特定のゲート構造16のソース/ドレイン・コンタクト構造の一方に接触する。
【0033】
誘電体材料層28は、例えば、上記で定義したような、二酸化シリコン、アンドープ・シリケートガラス(USG)、フルオロシリケートガラス(FSG)、ボロホスホシリケートガラス(BPSG)、スピンオン低k誘電体層、化学気相成長(CVD)低k誘電体層又はそれらの任意の組合せなどのMOL誘電体材料で構成される。別の実施形態では、スピンオンガラス(SOG)、又はSiLK(商標)などのスピンオン低k誘電体材料などの自己平坦化材料を、MOL誘電体材料として使用することができる。自己平坦化誘電体材料を誘電体材料層28として使用することで、後続の平坦化ステップを実行する必要性を無くすことができる。一実施形態では、誘電体材料層28は、例えば、CVD、PECVD、蒸着、又はスピンオンコーティングを含む堆積プロセスを利用して形成することができる。いくつかの実施形態では、誘電体材料層28の堆積の後に、平坦化プロセス(例えば、化学機械研磨(CMP)又は研削)もしくはエッチバックプロセス又はその両方が行われる。誘電体材料層28は、FEOL誘電体材料22と組成が同じであってもよく、又は組成が異なっていてもよい。誘電体材料層28は、その後のMTJピラーの形成の際にゲート構造16もしくはソース/ドレイン・コンタクト構造26又はその両方への損傷が生じないように十分な厚さを有する。一例では、誘電体材料層28は、20nmから100nmの厚さを有する。
【0034】
誘電体材料層28を形成した後、複数のゲート構造16のうちの第1のゲート構造(すなわち、図2Aに示す中央のゲート構造)のソース/ドレイン・コンタクト構造26の一方の表面を物理的に露出するために、誘電体材料層28に開口部を形成する。開口部は、リソグラフィ及びエッチングによって形成することができる。開口部は、下にあるソース/ドレイン・コンタクト構造26の臨界寸法(CD)よりも小さいCDを有する。さらに、誘電体材料層28内に形成される開口部は、複数のゲート構造16のうちの1つのゲート構造(すなわち、図2Aに示す中央のゲート構造)に関連付けられたソース/ドレイン・コンタクト構造26の一方の表面を物理的に露出する。開口部は、円筒形状を有するものとすることができる。
【0035】
次に、誘電体材料層28に存在する開口部内に、ボトム電極30を形成する。ボトム電極30は、例えば、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、RuN、RuTa、RuTaN、Co、CoWP、CoN、W、WN又はこれらの任意の組合せなどの導電性材料で構成することができる。ボトム電極30は、例えば、スパッタリング、CVD、又はPECVDなどの堆積プロセスによって形成することができる。ボトム電極30を提供する導電性材料の堆積の後に、例えばCMP又は研削などの平坦化プロセスを行うことができる。
【0036】
ここで図3A図3Bを参照すると、誘電体材料層28及び埋込みボトム電極30上に多層磁気トンネル接合(MTJ)材料スタック32を形成し、MTJ材料スタック32上にトップ電極層42を形成した後の図2A図2Bの例示的な構造が示されている。いくつかの実施形態において、図3A図3Bに示されるように、トップ電極層42上にハードマスク層44を形成してもよい。
【0037】
MTJ材料スタック32は、少なくとも、磁性ピン層(magnetic pinned layer)、トンネル障壁層、及び磁性フリー層を含む。いくつかの実施形態において、図3A図3Bに示されるように、MTJ材料スタック32は、下から上に向かって、磁性ピン層36とトンネル障壁層38、及び磁性フリー層40を含む、ボトムピンMTJ材料スタックである。また、ボトムピンMTJ材料スタック内に随意の金属シード層34が存在してもよい。ボトムピンMTJ材料スタックは、磁性フリー層40上に位置する非磁性スペーサ層(図示せず)、非磁性スペーサ層上に位置する第2の磁性フリー層(図示せず)、もしくは、磁性フリー層40上もしくは第2の磁性フリー層上に位置するMTJキャップ層(図示せず)、又はそれらの組合せを含んでいてもよい。
【0038】
他の実施形態(図示せず)では、MTJスタックは、下から上へ、磁性フリー層、トンネル障壁層、及び磁性ピン層を含む、トップピンMTJ材料スタックであり、この実施形態では、要素36及び40の順序は、図3A~3Bに示すものと逆である。そうした実施形態では、トップピンMTJ材料スタックは、磁性フリー層の下に位置する随意の金属シード層、磁性フリー層上に位置する非磁性スペーサ層、非磁性スペーサ層上に位置する第2の磁性フリー層、もしくは、磁性ピン層上に位置するMTJキャップ層、又はそれらの組合せを含んでいてもよい。
【0039】
MTJ材料スタック32の様々な材料層は、例えば、スパッタリング、プラズマ励起原子層堆積(PEALD)、PECVD又はPVDなど、1つ又は複数の堆積プロセスを利用して形成することができる。
【0040】
随意の金属シード層34は、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)又はこれらの合金もしくは多層で構成することができる。一実施例では、随意の金属シード層34は、白金(Pt)で構成される。
【0041】
磁性ピン層36は、固定された磁化を有する。磁性ピン層36は、高いスピン分極を示す1つ又は複数の金属を含む、金属又は金属合金(又はそのスタック)で構成することができる。代替的な実施形態において、磁性ピン層36の形成のための例示的な金属は、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、ホウ素、又はマンガンを含む。例示的な金属合金は、上記で例示された金属を含むことができる。別の実施形態では、磁性ピン層36は、(1)上記の金属を用いた、金属もしくは金属合金又はその両方から形成された高スピン分極領域と(2)強い垂直磁気異方性(強PMA)を示す1つ又は複数の材料で構築された領域とを有する多層配置とすることができる。使用できる強PMAの材料の例としては、コバルト、ニッケル、白金、パラジウム、イリジウム、又はルテニウムなどの金属が挙げられ、交互層として配置することができる。強PMA領域は、強PMAを示す合金を含んでもよく、例示的な合金としては、コバルト-鉄-テルビウム、コバルト-鉄-ガドリニウム、コバルト-クロム-白金、コバルト-白金、コバルト-パラジウム、鉄-白金、もしくは鉄-パラジウム、又はそれらの組合せが挙げられる。合金は、交互層として配置することができる。一実施形態では、これらの材料及び領域の組合せを磁性ピン層36として使用することもできる。
【0042】
トンネル障壁層38は、絶縁体材料で構成され、適切なトンネル抵抗が得られるような厚さで形成される。トンネル障壁層38の例示的な材料としては、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、及び酸化チタン、又は半導体もしくは低バンドギャップ絶縁体などの電気的トンネルコンダクタンスがより高い材料が挙げられる。
【0043】
磁性フリー層40は、磁性ピン層36の磁化方向に対して磁化方向を変更することができる磁性材料(又は磁性材料のスタック)で構成することができる。磁性フリー層40の例示的な磁性材料としては、コバルト、鉄、コバルト-鉄合金、ニッケル、ニッケル-鉄合金、コバルト-鉄-ホウ素合金の合金もしくは多層又はその両方が挙げられる。
【0044】
存在する場合、非磁性金属スペーサ層は、非磁性金属又は金属合金で構成され、そこを通して磁気情報を伝達することを可能にし、また、2つの磁性フリー層を磁気的に結合させて、平衡状態で第1及び第2の磁性フリー層が常に平行であるようにする。非磁性金属スペーサ層は、第1の磁性フリー層と第2の磁性フリー層との間のスピントルクの切り替えを可能にする。
【0045】
存在する場合、第2の磁性フリー層は、磁性フリー層40について上述した磁性材料のうちの1つを含むことができる。一実施形態では、第2の磁性フリー層は、磁性フリー層40と同じ磁性材料で構成される。別の実施形態では、第2の磁性フリー層は、磁性フリー層40とは組成が異なる磁性材料で構成される。
【0046】
存在する場合、MTJキャップ層は、Nb、NbN、W、WN、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、Mo、Cr、V、Pd、Pt、Rh、Sc、Al又は他の高融点金属もしくは導電性金属窒化物で構成することができる。MTJキャップ層は、2nm~25nmの厚さを有することができるが、他の厚さも可能であり、MTJキャップ層の厚さとして本発明で使用することができる。
【0047】
トップ電極層42は、例えば、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、RuN、RuTa、RuTaN、Co、CoWP、CoN、W、WN又はこれらの任意の組合せなどの導電性材料で構成することができる。トップ電極層42を提供する導電性材料は、ボトム電極30を提供する導電性材料と組成が同じであってもよく、組成が異なっていてもよい。本発明の実施形態において、トップ電極層42は、100nm~500nmの厚さを有することができるが、他の厚さも可能であり、トップ電極層42の厚さとして使用することができる。トップ電極層42は、例えば、スパッタリング、PEALD、PECVD又はPVDなどの堆積プロセスによって形成することができる。
【0048】
上述したように、トップ電極層42の上にハードマスク層44を形成することができる。ハードマスク層44は、例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン、もしくは酸窒化シリコン又はそれらの組合せを含む任意のハードマスク材料で構成される。ハードマスク層44は、例えば、PEALD、PECVD又はPVDなどの堆積プロセスを利用して形成することができる。ハードマスク層44は、10nm~50nmの厚さを有することができるが、他の厚さも可能であり、ハードマスク層44の厚さとして使用することができる。
【0049】
ここで図4A図4Bを参照すると、トップ電極層42及びMTJスタック材料32をパターニングして、少なくとも埋込みボトム電極30上にトップ電極42P及びMTJピラー32Pをそれぞれ設けた後の図3A図3Bの例示的な構造が示されている。ハードマスク層44が存在する実施形態では、この時点でハードマスク層44をパターニングして、トップ電極42P上にハードマスク44Pを設ける。
【0050】
随意のハードマスク層44、トップ電極層42及びMTJ材料スタック32のパターニングは、イオンビームエッチ(IBE)プロセスを含む。いくつかの実施形態では、図4Aに示されるように、誘電体材料層28の上部分は、このパターニングステップ中に除去され、すなわち凹みが形成される。そうした実施形態では、誘電体材料層28のメサ部分28Mが形成される。誘電体材料層28のメサ部分28Mは、誘電体材料層28の凹部分よりも上方に位置する最上面を有する。本発明の実施形態において、メサ部分28Mを含む誘電体材料層28は、誘電体材料層28の凹部分よりも厚い。誘電体材料層28の厚さゆえに、下にあるゲート構造16もしくはソース/ドレイン・コンタクト構造26又はその両方への損傷は生じない。図4Aに示されるように、MTJピラー32Pは、誘電体材料層28のメサ部分28M上に位置する。
【0051】
MTJ材料スタック32の残留部分、すなわちパターニングされていない部分は、MTJピラー32Pを提供する。一例では、図4Aに示すように、MTJピラー32Pは、ボトムピンMTJ構造であり、下から上に、金属シード層部分34P(すなわち、金属シード層34の残りのエッチングされていない部分)、磁気ピン層部分36P(すなわち、磁性ピン層36の残りのエッチングされていない部分)、トンネル障壁層部分38P(すなわち、トンネル障壁層38の残りのエッチングされていない部分)、及び磁性フリー層部分40P(すなわち、磁性フリー層40の残りのエッチングされていない部分)を含む。別の例(図示せず)では、MTJピラー32Pは、トップピンMTJ構造であり、下から上へ、磁性フリー層部分40P、トンネル障壁層部分38P、及び磁性ピン層部分36Pを含む。いずれの実施形態(ボトムピンMTJ構造又はトップピンMTJ構造)においても、MTJピラー32Pは、MTJ材料スタック32内に存在する他の任意の層の残留部分を含むことができる。
【0052】
MTJピラー32P、トップ電極42P、及び、存在する場合にはハードマスク44Pは、円筒形とすることができるが、他の非対称形状も可能であり、MTJピラー32P、トップ電極42P、及び、存在する場合にはハードマスク44Pの形状として本発明の実施形態において使用することができる。MTJピラー32Pの側壁へのボトム電極30の金属粒子の望ましくない再スパッタリングを回避するために、MTJピラー32P、トップ電極42P、及び存在する場合にはハードマスク44PのCDは、ボトム電極30のCDと等しいか、又はそれよりも大きくなるようにする。
【0053】
典型的には、MTJピラー32P、トップ電極42P、及び存在する場合にはハードマスク44Pは、互いに垂直方向に位置合わせされた最外部側壁を有する。誘電体材料層28のメサ部分28Mが形成される実施形態では、MTJピラー32P、トップ電極42P、及び、存在する場合にはハードマスク44Pは、誘電体材料層28のメサ部分28Mの最外部側壁に垂直方向に位置合わせされた最外部側壁を有する。
【0054】
ここで図5A図5Bを参照すると、MTJピラー32P、トップ電極42P、及び存在する場合にはハードマスク44Pに横方向に隣接する誘電体材料スペーサ46を形成した後の図4A図4Bの例示的な構造が示されている。誘電体材料スペーサ46は、MTJピラー32P、トップ電極42P、及び存在する場合にはハードマスク44Pを封入し、包囲する。いくつかの実施形態において、図5Aに示されるように、誘電体材料スペーサ46の下部分は、誘電体材料層28のメサ部分28Mの側壁に沿って存在する。そうした実施形態では、誘電体材料層28のメサ部分28Mは、誘電体材料スペーサ46の下部分によって封入され、包囲される。
【0055】
誘電体材料スペーサ46は、誘電体材料層28及びハードマスク層44とは組成が異なる誘電体材料で構成される。誘電体材料スペーサ46を提供する誘電体材料は、MTJピラー32P及びトップ電極42Pにパシベーションを提供することができる。一実施形態では、誘電体材料スペーサ46は、窒化シリコンで構成される。別の実施形態では、誘電体材料スペーサ46は、シリコン、炭素及び水素の原子を含む誘電体材料で構成することができる。いくつかの実施形態では、炭素及び水素の原子に加えて、誘電体材料スペーサ46は、窒素及び酸素のうちの少なくとも一方の原子を含むことができる。他の実施形態では、シリコン、窒素、炭素、及び水素の原子に加えて、誘電体材料スペーサ46は、ホウ素の原子を含むことができる。一例では、誘電体材料スペーサ46は、シリコン、炭素、水素、窒素、及び酸素の原子を含むnBLOK誘電体材料で構成することができる。代替的な例では、誘電体材料スペーサ46は、シリコン、ホウ素、炭素、水素、及び窒素の原子を含むSiBCN誘電体材料で構成することができる。
【0056】
誘電体材料スペーサ46は、例えばCVD又はPECVDなどの堆積と、それに続く例えば反応性イオンエッチング(RIE)などのスペーサ・エッチングによって形成することができる。誘電体材料スペーサ46は、ハードマスク44Pの最上部表面、又はハードマスク44Pが省略された場合にはトップ電極42Pの最上部表面のいずれかと共面である最上部表面を有することができる。
【0057】
ここで図6A~6Bを参照すると、第1のゲート構造(すなわち、図6Aに示される中央のゲート構造)のソース/ドレイン・コンタクト構造26の他方の表面を物理的に露出させるコンタクト開口部52が形成された有機平坦化層(OPL)50を形成した後の、図5A図5Dの例示的な構造が示されている。本発明の実施形態において、ボトム電極30は、ゲート構造16の一方の側に位置するソース/ドレイン・コンタクト構造26に接触しており、コンタクト開口部52は、同じゲート構造16の反対側に位置するソース/ドレイン・コンタクト構造26を物理的に露出させる。
【0058】
OPL50は、ポリアクリレート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、又はベンゾシクロブテン(BCB)を含むことができる、有機ポリマーで構成される。OPLは、例えば、CVD、PECVD、又はスピンオンコーティングなどの堆積プロセスを利用して形成することができる。OPL50は、ハードマスク44Pの最上部表面よりも上方に、又は、ハードマスク44Pが省略された場合にはトップ電極42Pの最上部表面よりも上方に延びる高さを有する。
【0059】
コンタクト開口部52は、リソグラフィ及びエッチングにより形成することができる。OPL50と誘電体材料層28との間のエッチング選択性の差に起因して、誘電体材料層28内に存在するコンタクト開口部52は、図6A及び図6Bに示すように、テーパ付き側壁(すなわち、上から下に測定したときに内向きにテーパ付きの側壁)を有することができる。いくつかの実施形態では、コンタクト開口部52は、ボトム電極30を埋め込んだ誘電体材料層28のメサ部分28Mに横方向に隣接する誘電体材料層28の凹部分に配置される。
【0060】
ここで図7A図7Bを参照すると、OPL50を除去した後の図6A図6Bの例示的な構造が示されている。OPL層50は、例えばアッシングなど、任意の材料除去プロセスを利用して除去することができる。
【0061】
ここで図8A図8Bを参照すると、導電性金属含有層54及びコンタクト金属含有層56を形成した後の図7A図7Bの例示的な構造が示されている。いくつかの実施形態では、導電性金属含有層54は省略することができる。
【0062】
導電性金属含有層54は、誘電体材料層28に形成されたコンタクト開口部52内を含めて、図7A図7Bに示す例示的な構造のすべての物理的に露出した表面上に形成される連続層である。導電性金属含有層54は、例えば、Ta、TaN、Ti、TiN、Ru、RuN、RuTa、RuTaN、W、又はWNなどの導電性ライナ材料で構成される。いくつかの実施形態では、導電性金属含有層54は、導電性ライナ材料の材料スタックを含んでもよい。一例では、導電性ライナ材料は、Ta/TaNのスタックで構成することができる。導電性金属含有層54は、例えば、CVD、PECVD、PVD、又はスパッタリングなどの堆積プロセスを利用して形成することができる。導電性金属含有層54は、1nm~15nmの厚さを有することができるが、導電性金属含有層54の他の厚さも可能であり、本発明の実施形態において導電性金属含有層54の厚さとして使用することができる。
【0063】
コンタクト金属含有層56は、サブトラクティブエッチングに適した任意のコンタクト金属又はコンタクト金属合金を含む。そのようなサブトラクティブエッチングに適したな材料の例としては、ルテニウム(Ru)、アルミニウム(Al)又はパラジウム(Pd)が挙げられるが、これらに限定されない。典型的には、コンタクト金属含有層56は、導電性金属含有層54とは組成が異なる。コンタクト金属含有層56は、例えば、CVD、PECVD、メッキ、又はスパッタリングなどの堆積プロセスを利用して形成することができる。コンタクト金属含有層56は、導電性金属含有層54の全体の上に存在する連続層である。導電性金属含有層54が省略された実施形態では、コンタクト金属含有層56は、誘電体材料層28に形成されたコンタクト開口部52内を含めて、図7A~7Bに示す例示的な構造のすべての物理的に露出した表面上に形成される連続層である。図示されるように、コンタクト金属含有層56の下部分は、ボトム電極30も含む誘電体材料層28内に存在する、コンタクト開口部52内に存在する。コンタクト開口部52内に存在するコンタクト金属含有層56の下部分は、上述したように、内側に向かってテーパ付きの側壁を有することができる。
【0064】
ここで図9A図9Bを参照すると、コンタクト金属含有層56及び導電性金属含有層54の両方を凹ませた後の図8A~8Bの例示的な構造が示されており、導電性金属含有層54が省略された場合は、コンタクト金属含有層56のみを凹ませる。凹ませること(recessing)は、まずコンタクト金属含有層56を平坦化し、次にリセスエッチングを行うことを含むことができる。残ったコンタクト金属含有層56を凹部コンタクト金属含有層56Rと呼ぶことができ、残った導電性金属含有層54を凹部導電性金属含有層54Rと呼ぶことができる。凹部コンタクト金属含有層56R及び凹部導電性金属含有層54Rは、互いに共面である最上部表面を有する。凹部コンタクト金属含有層56R及び凹部導電性金属含有層45Rの最上部表面は、少なくともトップ電極42Pの最上部表面よりも下方に位置する。
【0065】
ここで図10A図10Bを参照すると、凹部コンタクト金属含有層56R及び凹部導電性金属含有層54R上にハードマスクキャップ58を形成した後の図9A図9Bの例示的な構造が示されている。ハードマスクキャップ58は、任意のハードマスク材料を含み、トップ電極42P上に存在するハードマスク44P及び誘電体材料スペーサ46とは組成が異なる。ハードマスクキャップ58は、堆積プロセスと、それに続く、例えばCMPのような平坦化プロセスによって形成することができる。ハードマスクキャップ58は、典型的には誘電体材料スペーサ46の最上部表面と共面である最上部表面を有する。
【0066】
ここで図11A図11Bを参照すると、別のOPL60Pを形成し、次いでソース/ドレイン領域に存在する(すなわち、図11Bに示すように断面Y-Yに沿った)別のOPL60P、ハードマスク58、凹部コンタクト金属含有層56R及び凹部導電性金属含有層54Rをパターニングした後の図10A図10Bの例示的な構造が示されている。別のOPL60Pは、OPL50について上述した材料のうちの1つで構成することができ、OPL60Pは、OPL50の形成について上述した堆積プロセスのうちの1つを利用して形成することができる。
【0067】
パターニングは、リソグラフィ及びエッチングによって行うことができる。ハードマスク58の各残留(すなわち、エッチングされていない)部分は、パターン化ハードマスクキャップ58Pと呼ぶことができ、凹部コンタクト金属含有層56Rの各残留(すなわち、エッチングされていない)部分は、下部コンタクト構造56Sと呼ぶことができ、凹部導電性金属含有層54Rの各残留(すなわち、エッチングされていない)部分は、本明細書では導電性金属含有ライナ54Lと呼ぶことができる。図12Bにおいて、誘電体材料層28に存在するコンタクト開口部52内に存在しない下部構造56Sは、ダミー構造を表し、電気接続には利用されない。図12Bで分かるように、パターン化ハードマスクキャップ58P及び下部コンタクト構造56Sを含むパターニングされた構造は、テーパ付き側壁(この場合、テーパは上から下に向かって外向き)を有することができる。
【0068】
図11Aでは、コンタクト開口部52内に存在する下部コンタクト構造56Sの下部分及びボトム電極30の全体が誘電体材料層28に位置している。注目すべきは、ボトム電極30は、その全体が、メサ部分28Mを含む誘電体材料層28内に位置しており、一方、コンタクト開口部52内に存在する下部コンタクト構造56Sの下部分は、その全体が誘電体材料層28の凹部内に位置しており、メサ部分28Mを含む誘電体材料層28は、誘電体材料層28の凹部を上回る高さ(すなわち垂直厚さ)を有していることである。
【0069】
ここで図12A図12Bを参照すると、別のOPL60Pを除去した後の図11A図11Bの例示的な構造が示されている。別のOPL60Pは、例えばアッシングなど、任意の材料除去プロセスを利用して除去することができる。
【0070】
ここで図13A図13Bを参照すると、低k誘電体充填材料62を形成し、低k誘電体充填材料62を平坦化した後の図12A図12Bの例示的な構造が示されている。用語「低k」は、上記で定義された意味を有し、すなわち、4.0未満の誘電率を有する誘電体材料である。いくつかの実施形態では、低k誘電体充填材料62は、Siベースの誘電体材料を含む。Siベースの誘電体材料は、シリカベース(例えば、SiOCH)又はシルセスキオキサン(SSQ)ベース(例えば、水素-SSQ又はメチル-SSQ)のいずれかとすることができる。例えば非Siベースの誘電体材料(すなわち、ポリマー又はアモルファス炭素)など、他の低誘電体を低k誘電体充填材料62として使用することができる。低k誘電体充填材料62は、例えば、CVD、PECVD、又はスピンオンコーティングなどの堆積プロセスを利用して形成することができる。堆積された低k誘電体充填材料62の平坦化は、CMP又は研削によって行うことができる。平坦化後、低k誘電体充填材料62は、各パターン化ハードマスクキャップ58Pの最上部表面と共面である最上部表面を有する。誘電体充填材料62及び誘電体材料層28は、MOLに存在する。
【0071】
ここで図14A図14Bを参照すると、上部コンタクト構造(66X、66Y)が形成されたBEOL誘電体材料層64を形成した後の図13A図13Bの例示的な構造が示されている。BEOL誘電体材料層64は、誘電体材料層28について上述した誘電体材料のうちの1つを含むことができる。BEOL誘電体材料層64は、例えば、CVD、PECVD又はスピンオンコーティングなどの堆積プロセスを利用して形成することができる。
【0072】
上部コンタクト構造(66X、66Y)は、BEOL誘電体材料層64内に一対のコンタクト開口部を形成することによって形成され、コンタクト開口部の一方は、ソース/ドレイン構造26に接触する下部コンタクト構造56Sの表面まで延び、他方のコンタクト開口部は、トップ電極44Pの表面まで延びている。一対のコンタクト開口部は、リソグラフィ及びエッチングによって形成することができる。次いで、各コンタクト開口部は、コンタクト金属又はコンタクト金属合金で充填される。例示的なコンタクト金属は、銅、アルミニウム又はタングステンを含む。例示的なコンタクト金属合金は、銅アルミニウム合金である。
【0073】
図示されているように、第1の上部コンタクト構造66Xは、ソース/ドレイン・コンタクト構造26の一方の表面に接触する下部コンタクト構造56Sの表面に接触し、他方、第2の上部コンタクト構造66Yは、MTJピラー32P上に位置するトップ電極42Pの表面に接触している。
【0074】
図14A図14Bは、本発明によるメモリセル(すなわち、1T1M)を示す。メモリセルは、半導体フィン12をまたぐゲート構造(中央のゲート構造16)を含むFEOLを含み、ゲート構造16の両側にソース/ドレイン構造24が配置され、各ソース/ドレイン構造24上にソース/ドレイン・コンタクト構造26が配置されている。MOLレベルは、FEOLレベルの上方に位置し、MRAMデバイス(ボトム電極30、MTJピラー32P、及びトップ電極42Pを含む)及び下部コンタクト構造56Sを含み、MRAMデバイスのボトム電極30は、ソース/ドレイン・コンタクト構造の一方(すなわち、中間ゲート構造16の右側にあるソース/ドレイン・コンタクト構造26)に接触し、下部コンタクト構造56Sは、ゲート構造16の他方の側にある他方のソース/ドレイン・コンタクト構造(すなわち、中央のゲート構造16の左側にあるソース/ドレイン・コンタクト構造26)に接触している。BEOLレベルは、MOLレベルの上方に位置し、下部コンタクト構造56Sの表面に接触する第1の上部コンタクト構造66Xと、MRAMデバイスのトップ電極42Pの表面に接触する第2の上部コンタクト構造66Yとを含む。このようなメモリセルは、配線抵抗が低く、したがってメモリ速度が速い。
【0075】
本発明を、その好ましい実施形態に関して特に示し、説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細における前述の変更及び他の変更を行うことができることは、当業者によって理解されるであろう。したがって、本発明は、説明及び図示されたそのままの形態及び詳細に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。

図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図14A
図14B