(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】二重容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20241217BHJP
B65D 77/04 20060101ALI20241217BHJP
B65D 81/20 20060101ALI20241217BHJP
B65D 81/26 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B65D1/02 111
B65D77/04 F
B65D81/20 E
B65D81/26 S
(21)【出願番号】P 2018174579
(22)【出願日】2018-09-19
【審査請求日】2021-08-13
【審判番号】
【審判請求日】2022-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003768
【氏名又は名称】東洋製罐グループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿久沢 典男
(72)【発明者】
【氏名】市川 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】飯野 裕喜
【合議体】
【審判長】神山 茂樹
【審判官】稲葉 大紀
【審判官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-160651(JP,A)
【文献】特開2005-55263(JP,A)
【文献】特開2018-30614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
B65D77/04
B65D81/20
B65D81/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物の減少に伴い収縮可能な内容器と、前記内容器を内包する外容器との間に外気を導入する外気導入孔が設けられ、前記内容器と前記外容器とが剥離可能に積層された二重構造を有し、前記内容物が前記内容器に充填された二重容器の製造方法であって、
前記外容器及び前記内容器をブロー成形する成形工程と、
前記成形工程により成形された前記内容器と前記外容器との間に、前記外気導入孔から低酸素ガスである窒素ガスを吹き込む吹込工程と、
前記吹込工程により収縮した前記内容器を膨張させ、前記外容器に沿った形状に復元させる復元工程と、
前記復元工程により復元された前記内容器に前記内容物を充填して密封する充填工程と、
を備え、
前記成形工程により成形された前記内容器を収縮させ、前記外容器から剥離させる剥離工程を更に備え、
前記吹込工程は、前記剥離工程の一環として行われる
、
二重容器の製造方法。
【請求項2】
内容物の減少に伴い収縮可能な内容器と、前記内容器を内包する外容器との間に外気を導入する外気導入孔が設けられ、前記内容器と前記外容器とが剥離可能に積層された二重構造を有し、前記内容物が前記内容器に充填された二重容器の製造方法であって、
前記外容器及び前記内容器をブロー成形する成形工程と、
前記成形工程により成形された前記内容器と前記外容器との間に、前記外気導入孔から低酸素ガスである窒素ガスを吹き込む吹込工程と、
前記吹込工程により収縮した前記内容器を膨張させ、前記外容器に沿った形状に復元させる復元工程と、
前記復元工程により復元された前記内容器に前記内容物を充填して密封する充填工程と、
を備え、
前記外気導入孔から前記窒素ガスを吹き込んで、前記内容器の内部に流れる前記窒素ガスの流量を測定することによって、前記成形工程により成形された前記内容器のリーク検査を行う検査工程を更に備え、
前記吹込工程は、前記検査工程の一環として行われる
、
二重容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物が充填された二重容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体調味料又は液体化粧品等の内容物を収容し、その鮮度を保持する容器として、デラミボトル、エアレスボトル又は積層剥離容器等と称される、二重容器が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1には、内容器内に形成された気体スペースに収容される気体を、窒素ガスなど、内容物を酸化させる等の反応性が低いものとする吐出容器が記載されている。しかしながら、特許文献1に記載の吐出容器は、使用のために開封された後だけなく、開封される前であっても、内容器と外容器との間が大気で満たされる。このため、特許文献1に記載の吐出容器は、開封前であっても、内容器と外容器との間に存在する酸素が内容器の内部へ透過し、内容物を酸化させてしまう。よって、特許文献1に記載の吐出容器は、内容物の賞味期限を長期化する点において、改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、上述のような問題点を解決することを課題の一例とする。すなわち、本発明の課題の一例は、開封前の内容物の賞味期限を長期化することが可能な二重容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る二重容器の製造方法は、内容物の減少に伴い収縮可能な内容器と、前記内容器を内包する外容器との間に外気を導入する外気導入孔が設けられ、前記内容器と前記外容器とが剥離可能に積層された二重構造を有し、前記内容物が前記内容器に充填された二重容器の製造方法であって、前記外容器及び前記内容器をブロー成形する成形工程と、前記成形工程により成形された前記内容器と前記外容器との間に、前記外気導入孔から低酸素ガスである窒素ガスを吹き込む吹込工程と、前記吹込工程により収縮した前記内容器を膨張させ、前記外容器に沿った形状に復元させる復元工程と、前記復元工程により復元された前記内容器に前記内容物を充填して密封する充填工程と、を備え、前記成形工程により成形された前記内容器を収縮させ、前記外容器から剥離させる剥離工程を更に備え、前記吹込工程は、前記剥離工程の一環として行われる。
【0012】
本発明に係る二重容器の製造方法は、内容物の減少に伴い収縮可能な内容器と、前記内容器を内包する外容器との間に外気を導入する外気導入孔が設けられ、前記内容器と前記外容器とが剥離可能に積層された二重構造を有し、前記内容物が前記内容器に充填された二重容器の製造方法であって、前記外容器及び前記内容器をブロー成形する成形工程と、前記成形工程により成形された前記内容器と前記外容器との間に、前記外気導入孔から低酸素ガスである窒素ガスを吹き込む吹込工程と、前記吹込工程により収縮した前記内容器を膨張させ、前記外容器に沿った形状に復元させる復元工程と、前記復元工程により復元された前記内容器に前記内容物を充填して密封する充填工程と、を備え、前記外気導入孔から前記窒素ガスを吹き込んで、前記内容器の内部に流れる前記窒素ガスの流量を測定することによって、前記成形工程により成形された前記内容器のリーク検査を行う検査工程を更に備え、前記吹込工程は、前記検査工程の一環として行われる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る二重容器の製造方法は、開封前の内容物の賞味期限を長期化することが可能な二重容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態1に係る二重容器の容器本体の縦断面を模式的に示す図である。
【
図2】
図1に示された二重容器の製造方法を説明するための図である。
【
図3】
図2に示された各工程における容器本体の様子を示す図である。
【
図4】実施形態2に係る二重容器の製造方法における復元工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態では、ボトル形状を有し内容物が充填された二重容器1の中心軸Zに沿った方向を「軸方向」とも称し、二重容器1の中心軸Zを回転軸として周回する方向を「周方向」とも称し、二重容器1の中心軸Zに直交する方向を「径方向」とも称する。また、本実施形態では、二重容器1の口部3から底部6へ向かう軸方向を「下方」とも称し、二重容器1の底部6から口部3へ向かう軸方向を「上方」とも称する。また、本実施形態では、二重容器1の中心軸Zに沿った平面で内容物入り二重容器1を切断した断面を「縦断面」とも称し、二重容器1の中心軸Zに直交する平面で二重容器1を切断した断面を「横断面」とも称する。
【0017】
[実施形態1:二重容器の容器本体の構成]
図1は、実施形態1に係る二重容器1の容器本体2の縦断面を模式的に示す図である。
【0018】
二重容器1は、ボトル形状を有する容器本体2に内容物が充填され、キャップが装着されて密封された、内容物入りの容器である。容器本体2は、
図1に示されるように、容器本体2の一端部であり内容物が注出される口部3と、容器本体2の他端部であり接地する底部6と、径方向外方に広がりながら口部3から下方へ延びる肩部4と、肩部4から下方に延びて底部6に連なる胴部5とを備える。
【0019】
容器本体2は、容器本体2の外郭を構成し内容器20を内包する外容器10と、内容物が充填され内容物の減少に伴って収縮可能な内容器20とを備える。容器本体2は、外容器10の内面と内容器20の外面とが剥離可能に積層された二重構造を有する容器である。
【0020】
外容器10及び内容器20は、合成樹脂製の容器であり、ブロー成形によって製造される。好適には、外容器10及び内容器20は、試験管形状のプリフォームを用いた二軸延伸ブロー成形によって製造される。具体的には、外容器10及び内容器20は、外容器10のプリフォームの中に内容器20のプリフォームを挿入して重ねた状態で、外容器10のプリフォームと内容器20のプリフォームとを、同時に延伸ブロー成形することによって製造される。或いは、外容器10及び内容器20は、外容器10のプリフォームを延伸ブロー成形した後に、外容器10の内側において内容器20のプリフォームを延伸ブロー成形することによって製造されてよい。
【0021】
外容器10及び内容器20は、ポリオレフィン系樹脂、エチレン-ビニル系共重合体、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフエニレンオキサイド樹脂、又は、生分解性樹脂を用いて製造される。好適には、外容器10及び内容器20は、ポリオレフィン系樹脂、又は、ポリエステル系樹脂を用いて製造される。より好適には、外容器10及び内容器20は、ポリエステル系樹脂を用いて製造される。このポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、及び、これらの共重合ポリエステル等の樹脂が挙げられる。特に好適には、外容器10及び内容器20は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて製造される。また、内容器20は、内容物に対する内容器20の酸素バリア性を確保するため、酸素吸収剤を含有した樹脂を用いて製造される。酸素吸収剤の含有率は、0.1%以上5%以下であってよい。
【0022】
外容器10は、底部6が接地して自立するように形成される。外容器10は、自立した状態で、口部3、肩部4、胴部5及び底部6の形態が保持されるように形成される。外容器10の肩部4及び胴部5は、スクイズ操作により押圧されると内方に撓んで変形し、押圧が解除されると押圧前の原形に復元するように形成される。
【0023】
内容器20は、内容物が充填される充填空間Sを有し、外容器10に沿った形状を有するように形成される。内容器20の肩部4及び胴部5は、内容物の減少に伴って収縮するよう、外容器10よりも薄い肉厚を有するように形成される。内容器20の口部3は、内容物の減少に伴って収縮せず、肩部4及び胴部5よりも高い剛性を有するように形成される。
【0024】
外容器10の口部3には、外気導入孔11が設けられる。外気導入孔11は、スクイズ操作による内容物の注出に伴って、外容器10と内容器20との間の空間Aに外気を導入するための孔である。空間Aは、第1空間A1と第2空間A2とを含む。第1空間A1は、外容器10の口部3と内容器20の口部3との間に位置する空間である。第2空間A2は、外容器10と内容器20とが剥離することによって、外容器10の肩部4から底部6と、内容器20の肩部4から底部6との間に形成される空間Aである。外気導入孔11、第1空間A1及び第2空間A2は、互いに連通する。なお、外気導入孔11は、外容器10の口部3と内容器20の口部3とが固定される部分にスリットとして設けられてもよい。
【0025】
内容器20の口部3は、外容器10の口部3の上端部から上方に露出するように配置されて、外容器10の口部3に固定される。内容器20の口部3の上端部には、内容物を注出するための開口部21から設けられる。外容器10及び内容器20の口部3の外面には、逆止弁付きのキャップが装着される。キャップは、開口部21を上方から覆うと共に、外気導入孔11を径方向外方から覆うように装着される。
【0026】
二重容器1は、ユーザが使用するために二重容器1を開封する前の時期である未開封時期において、外容器10と内容器20との間の空間Aに低酸素ガスGが封入されている。低酸素ガスGは、低酸素ガスG中の酸素濃度が1%以下のガスである。低酸素ガスGは、例えば、窒素ガス等の不活性ガスであってよい。
【0027】
通常の二重容器では、未開封時期において、外容器と内容器との間の空間が大気で満たされている。内容器は、外容器との間の空間に満たされた大気に曝される。内容器が酸素吸収剤を含有する場合、この酸素吸収剤は、外容器と内容器との間の空間に存在する酸素を吸収する。すなわち、通常の二重容器では、未開封時期であっても、内容器に含有された酸素吸収剤が消費される。このため、通常の二重容器において、二重容器に充填された内容物の賞味期限は、二重容器が未開封時期であっても、比較的短くなる。
【0028】
例えば、1つの内容器の重量を8gとする。1つの内容器における酸素吸収剤の含有率を4%とする。酸素吸収剤の酸素吸収性能を40ml/gとする。すると、1つの内容器が吸収可能な酸素量は、約12.8mlである。一方、未開封時期において外容器と内容器との間の空間に満たされた大気量を10mlとする。大気中の酸素濃度を20%とする。すると、未開封時期において外容器と内容器との間の空間に存在する酸素量は、約2mlである。結果的に、通常の二重容器では、未開封時期であっても、内容器に含有された酸素吸収剤の約15%が消費されてしまう。よって、外容器と内容器との間の空間に満たされた大気は、二重容器に充填された内容物の賞味期限に大きな影響を及ぼす。
【0029】
実施形態1に係る二重容器1では、外容器10と内容器20との間の空間Aに低酸素ガスGが封入されている。このため、実施形態1に係る二重容器1では、未開封時期において内容器20に含有された酸素吸収剤が消費されることを抑制することができ、空間Aから内容器20の内部へ透過する酸素の量を抑制することができる。
【0030】
[実施形態1:二重容器の製造方法]
図2は、
図1に示された二重容器1の製造方法を説明するための図である。
図3は、
図2に示された各工程における容器本体2の様子を示す図である。
図3(a)は、
図2に示された成形工程における容器本体2の様子を示す。
図3(b)は、
図2に示された剥離工程における容器本体2の様子を示す。
図3(c)は、
図2に示された検査工程における容器本体2の様子を示す。
図3(d)は、
図2に示された復元工程における容器本体2の様子を示す。
【0031】
二重容器1の製造方法として、まず、容器本体2の成形工程が行われる(ステップ201)。成形工程では、初めに、外容器10及び内容器20のそれぞれのプリフォームを射出成形等によって成形する。次に、外容器10のプリフォーム及び内容器20のプリフォームを、二軸延伸ブロー成形により外容器10及び内容器20にそれぞれ成形することによって、容器本体2が成形される(
図3(a)参照)。
【0032】
その後、二重容器1の製造方法としては、成形工程により成形された内容器20を収縮させ、外容器10から剥離させる剥離工程が行われる(ステップ202)。通常の剥離工程では、成形された内容器の口部から空気を吸引すること、又は、外気導入孔から空気を外容器と内容器との間に吹き込むことによって、内容器を外容器から剥離させる。これに対し、実施形態1に係る剥離工程は、
図3(b)に示されるように、外気導入孔11から低酸素ガスGを外容器10と内容器20との間に吹き込むことによって、内容器20を外容器10から剥離させる。すなわち、実施形態1に係る二重容器1の製造方法では、成形工程により成形された外容器10の外気導入孔11から低酸素ガスGを吹き込む吹込工程202aが、剥離工程の一環として行われる。
【0033】
その後、二重容器1の製造方法としては、成形工程により成形された内容器20のリーク検査を行う検査工程が行われる(ステップ203)。検査工程では、まず、
図3(c)に示されるように、内容器20の口部3の開口部21に流量計Fを設置する。次に、検査工程では、
図3(c)に示されるように、外気導入孔11から低酸素ガスGを吹き込んで、内容器20の内部に流れる低酸素ガスGの流量を流量計Fで測定する。例えば、流量計Fの測定値が低酸素ガスGの漏洩を示す有意な値であれば、内容器20の外部から内部へ低酸素ガスGが漏洩しており、内容器20にピンホール等が存在していると判断することができる。一方、流量計Fの測定値が有意な値でなければ、内容器20にピンホール等が存在していないと判断することができる。
【0034】
その後、二重容器1の製造方法としては、内容器20を膨張させ、外容器10に沿った形状に復元させる復元工程が行われる(ステップ204)。復元工程では、
図3(d)に示されるように、内容器20の口部3から気体を内容器20の内部へ吹き込むことによって、内容器20を復元させる。復元工程において内容器20の内部へ吹き込まれる気体は、低酸素ガスG又は空気であってよい。
【0035】
その後、二重容器1の製造方法としては、復元工程により復元された内容器20に内容物を充填して密封する充填工程が行われる(ステップ205)。充填工程では、まず、内容器20に内容物を充填する。次に、充填工程では、開口部21を上方から覆うと共に外気導入孔11を径方向外方から覆うようにキャップを容器本体2に装着することによって、内容器20の内部を密封すると共に内容器20と外容器10との間の空間Aを密封する。その後、二重容器1の製造方法としては、ラベル又はフィルム等の包装体を、容器本体2及びキャップの外面に包装する。
【0036】
なお、上述の検査工程では、外気導入孔11から低酸素ガスGが吹き込まれる。このため、実施形態1に係る二重容器1の製造方法では、成形工程により成形された外容器10の外気導入孔11から低酸素ガスGを吹き込む吹込工程202aが、検査工程の一環として行われてもよい。また、実施形態1に係る二重容器1の製造方法では、剥離工程と検査工程とは一つの工程として一体的に行われてよい。すなわち、実施形態1に係る二重容器1の製造方法では、外気導入孔11から低酸素ガスGを吹き込んで、内容器20を外容器10から剥離させると共に、内容器20の内部に流れる低酸素ガスGの流量を測定してよい。
【0037】
[実施形態1:作用効果]
以上のように、実施形態1に係る二重容器1では、外容器10と内容器20との間に低酸素ガスGが封入されている。すなわち、実施形態1に係る二重容器1では、未開封時期において、内容器20が大気中の酸素に直接曝され難くなる。このため、実施形態1に係る二重容器1では、未開封時期において、外容器10と内容器20との間から内容器20の内部へ透過する酸素の量を抑制することができる。それにより、実施形態1に係る二重容器1では、未開封時期における内容物の賞味期限を長くすることができる。加えて、実施形態1に係る二重容器1では、外容器10と内容器20との間から内容器20の内部へ酸素の透過が実質的に開始する時期を、二重容器1の開封後に遅らせることができる。このため、実施形態1に係る二重容器1では、開封後の二重容器1の使用期間の際中においても、内容物の鮮度低下が開始する時期を遅らせることができ、使用時期における内容物の賞味期限を長くすることができる。よって、実施形態1に係る二重容器1では、開封前及び開封後の両方で内容物の賞味期限を長期化することができる。
【0038】
更に、実施形態1に係る二重容器1では、外容器10と内容器20との間に封入される低酸素ガスGが窒素ガスである。このため、実施形態1に係る二重容器1では、安価で入手が容易な窒素ガスを封入するだけで、未開封時期及び使用期間における内容器20の酸素透過量を抑制することができる。よって、実施形態1に係る二重容器1では、開封前及び開封後の両方で内容物の賞味期限を簡単に長期化することができる。
【0039】
更に、実施形態1に係る二重容器1では、外容器10と内容器20との間に封入される低酸素ガスGに含まれる酸素の濃度が1%以下である。このため、実施形態1に係る二重容器1では、未開封時期及び使用期間における内容器20の酸素透過量を更に抑制することができる。よって、実施形態1に係る二重容器1では、開封前及び開封後の両方で内容物の賞味期限を更に長期化することができる。
【0040】
更に、実施形態1に係る二重容器1では、外容器10及び内容器20は、ポリエチレンテレフタレート樹脂を用いて製造され、内容器20は酸素吸収剤を含有する。このため、実施形態1に係る二重容器1では、外容器10及び内容器20が、酸素バリア性が高く安価で入手が容易な樹脂で製造されると共に、内容器20の酸素透過量を大幅に抑制することができる。よって、実施形態1に係る二重容器1では、開封前及び開封後の両方で内容物の賞味期限を更に長期化することができる。
【0041】
特に、酸素吸収剤を含有する内容器20と外容器10との間に低酸素ガスGが封入されている場合、実施形態1に係る二重容器1では、未開封時期において、内容器20に含有された酸素吸収剤が消費されることを抑制することができる。加えて、この場合、酸素吸収剤の消費が実質的に開始される時期を、二重容器1の開封後に遅らせることができるため、開封後の二重容器1が使用される期間において、酸素吸収剤が多くの酸素を吸収することができる。よって、この場合、実施形態1に係る二重容器1は、未開封時期及び使用期間における内容器20の酸素透過量を大幅に抑制することができ、開封前及び開封後の両方で内容物の賞味期限を大幅に長期化することができる。
【0042】
また、実施形態1に係る二重容器1の製造方法は、外容器10及び内容器20をブロー成形する成形工程と、成形工程により成形された外容器10と内容器20との間に、外気導入孔11から低酸素ガスGを吹き込む吹込工程とを備える。加えて、実施形態1に係る二重容器1の製造方法は、吹込工程により収縮した内容器20を膨張させ、外容器10に沿った形状に復元させる復元工程と、復元工程により復元された内容器20に内容物を充填して密封する充填工程とを備える。すなわち、実施形態1に係る二重容器1の製造方法では、ブロー成形という既存の成形工程の後に、低酸素ガスGを吹き込む吹込工程を追加するだけで、外容器10と内容器20との間に低酸素ガスGが封入された二重容器1を製造することができる。このため、実施形態1に係る二重容器1の製造方法では、開封前及び開封後の両方で内容物の賞味期限を長期化可能な二重容器1を、簡単に製造することができる。
【0043】
更に、実施形態1に係る二重容器1の製造方法は、成形工程により成形された内容器20を収縮させ、外容器10から剥離させる剥離工程を更に備え、吹込工程が剥離工程の一環として行われる。このため、実施形態1に係る二重容器1の製造方法は、特別な工程を設けなくても、既存の剥離工程の一環として低酸素ガスGを外容器10と内容器20との間に吹き込むことができる。よって、実施形態1に係る二重容器1の製造方法は、開封前及び開封後の両方で内容物の賞味期限を長期化可能な二重容器1を、更に簡単に製造することができる。
【0044】
更に、実施形態1に係る二重容器1の製造方法は、外気導入孔11から低酸素ガスGを吹き込んで内容器20の内部に流れる低酸素ガスGの流量を測定することによって内容器20のリーク検査を行う検査工程を更に備え、吹込工程が検査工程の一環として行われる。このため、実施形態1に係る二重容器1の製造方法は、特別な工程を設けなくても、既存の検査工程の一環として低酸素ガスGを外容器10と内容器20との間に吹き込むことができる。よって、実施形態1に係る二重容器1の製造方法は、開封前及び開封後の両方で内容物の賞味期限を長期化可能な二重容器1を、更に簡単に製造することができる。
【0045】
[他の実施形態]
実施形態2に係る二重容器1の製造方法について説明する。実施形態2に係る二重容器1の製造方法の説明において、実施形態1と同様の構成及び動作に係る説明については、重複する説明となるため省略する。
【0046】
図4は、実施形態2に係る二重容器1の製造方法における復元工程を説明するための図である。
【0047】
実施形態1に係る二重容器1の製造方法では、復元工程は、内容器20の口部3から気体を内容器20の内部へ吹き込むことによって行われる。
【0048】
これに対し、実施形態2に係る二重容器1の製造方法では、復元工程は、
図4に示されるように、外気導入孔11から気体を吸引することによって行われてよい。この場合、外容器10と内容器20との間の空間Aが著しい負圧となるように吸引されなければ、空間Aの体積は実施形態1と同程度となり、実施形態1と同程度の低酸素ガスGが確保され得る。
【0049】
このようなことから、実施形態2に係る二重容器1の製造方法は、実施形態1と同様に、外容器10と内容器20との間に低酸素ガスGを封入することができる。よって、実施形態2に係る二重容器1の製造方法は、実施形態1と同様に、開封前及び開封後の両方で内容物の賞味期限を長期化可能な二重容器1を簡単に製造することができる。
【0050】
[その他]
上述の実施形態において、二重容器1は、特許請求の範囲に記載された「二重容器」の一例に該当する。外容器10は、特許請求の範囲に記載された「外容器」の一例に該当する。内容器20は、特許請求の範囲に記載された「内容器」の一例に該当する。外気導入孔11は、特許請求の範囲に記載された「外気導入孔」の一例に該当する。ステップ201の成形工程は、特許請求の範囲に記載された「成形工程」の一例に該当する。ステップ202の剥離工程は、特許請求の範囲に記載された「剥離工程」の一例に該当する。ステップ202aの吹込工程は、特許請求の範囲に記載された「吹込工程」の一例に該当する。ステップ203の検査工程は、特許請求の範囲に記載された「検査工程」の一例に該当する。ステップ204の復元工程は、特許請求の範囲に記載された「復元工程」の一例に該当する。ステップ205の充填工程は、特許請求の範囲に記載された「充填工程」の一例に該当する。
【0051】
上述の実施形態は、変形例を含めて各実施形態同士で互いの技術を適用することができる。上述の実施形態は、本発明の内容を限定するものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない程度に変更を加えることができる。
【0052】
上述の実施形態及び特許請求の範囲で使用される用語は、限定的でない用語として解釈されるべきである。例えば、「含む」という用語は、「含むものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「含有する」という用語は、「含有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「備える」という用語は、「備えるものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。「有する」という用語は、「有するものとして記載されたものに限定されない」と解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0053】
1 二重容器
2 容器本体
3 口部
4 肩部
5 胴部
6 底部
10 外容器
11 外気導入孔
20 内容器
21 開口部
A 空間
A1 第1空間
A2 第2空間
F 流量計
G 低酸素ガス
S 充填空間
Z 中心軸