(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】X線診断装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20241217BHJP
A61B 6/40 20240101ALI20241217BHJP
A61B 6/42 20240101ALI20241217BHJP
【FI】
A61B6/00 520Z
A61B6/40 500D
A61B6/42 500X
(21)【出願番号】P 2019087616
(22)【出願日】2019-05-07
【審査請求日】2022-03-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡部 勇一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹元 久人
【合議体】
【審判長】南 宏輔
【審判官】萩田 裕介
【審判官】▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-204877(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のX線発生部及び第1のX線検出部を保持する第1のアームと、
第2のX線発生部及び第2のX線検出部を保持する第2のアームと、
第1の撮影角度に応じて前記第1のアームを配置すると共に第2の撮影角度に応じて前記第2のアームを配置することが可能か否かを判定する第1の判定と、前記第1の撮影角度に応じて前記第2のアームを配置すると共に前記第2の撮影角度に応じて前記第1のアームを配置することが可能か否かを判定する第2の判定とを実行する判定部と
、
前記第1の判定及び前記第2の判定の結果を表示する表示制御部とを備え
、
前記表示制御部は、前記第1の判定及び前記第2の判定の双方において可能と判定された場合と、前記第1の判定及び前記第2の判定のいずれか一方において可能と判定された場合と、前記第1の判定及び前記第2の判定の双方において可能でないと判定された場合とを識別可能に表示する、X線診断装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、更に、前記第1の判定において可能と判定され且つ前記第2の判定において可能でないと判定された場合と、前記第1の判定において可能でないと判定され且つ前記第2の判定において可能と判定された場合とを識別可能に表示する、請求項
1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記第1の撮影角度及び前記第2の撮影角度の入力操作を受け付ける受付部を更に備え、
前記判定部は、前記受付部が受け付けた前記第1の撮影角度及び前記第2の撮影角度に基づいて、前記第1の判定及び前記第2の判定を実行する、請求項
1又は2に記載のX線診断装置。
【請求項4】
被検体の3次元医用画像を回転可能に表示する表示制御部を更に備え、
前記受付部は、前記3次元医用画像の表示角度を選択する操作を、前記第1の撮影角度及び前記第2の撮影角度の入力操作として受け付ける、請求項
3に記載のX線診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線診断装置及び医用情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パイプレーンのX線診断装置が知られている。パイプレーンのX線診断装置を用いた検査においては、2つの撮影角度に応じてX線診断装置が備える2つのアームをそれぞれ配置することにより、2つの撮影角度での撮影を同時に実行することができる。
【0003】
例えば、X線診断装置はCアームとΩアームとを備える。この場合、X線診断装置は、まず、Cアーム用の撮影角度とΩアーム用の撮影角度とをそれぞれ設定する。次に、X線診断装置は、Cアーム用の撮影角度に応じてCアームを配置し、Ωアーム用の撮影角度に応じてΩアームを配置する。そして、X線診断装置は、2つの撮影角度での撮影を同時に実行する。しかしながら、Cアーム及びΩアームにはそれぞれ可動範囲があり、操作者が所望する2つの撮影角度を実現できない場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、バイプレーンのX線診断装置において、撮影角度の設定の自由度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る医用情報処理装置は、第1のアームと、第2のアームと、判定部とを備える。第1のアームは、第1のX線発生部及び第1のX線検出部を保持する。第2のアームは、第2のX線発生部及び第2のX線検出部を保持する。判定部は、第1の撮影角度に応じて前記第1のアームを配置すると共に第2の撮影角度に応じて前記第2のアームを配置することが可能か否かを判定する第1の判定と、前記第1の撮影角度に応じて前記第2のアームを配置すると共に前記第2の撮影角度に応じて前記第1のアームを配置することが可能か否かを判定する第2の判定とを実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る撮影角度の設定について説明するための図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係るX線診断装置の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図4】
図4は、第2の実施形態に係る撮影角度の設定について説明するための図である。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る判定結果の表示例を示す図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係るX線診断装置の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。
【
図7】
図7は、第3の実施形態に係る医用情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して、X線診断装置及び医用情報処理装置の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態について説明する。第1の実施形態では、
図1に示すX線診断装置10を例として説明する。
図1は、第1の実施形態に係るX線診断装置10の構成の一例を示すブロック図である。X線診断装置10は、第1のアーム105aと第2のアーム105bとを備えたバイプレーンのX線診断装置である。
【0010】
具体的には、X線診断装置10は、
図1に示すように、X線高電圧装置101と、第1のX線管102aと、第2のX線管102bと、第1のX線絞り器103aと、第2のX線絞り器103bと、天板104と、第1のアーム105aと、第2のアーム105bと、第1のX線検出器106aと、第2のX線検出器106bと、メモリ107と、ディスプレイ108と、入力インターフェース109と、処理回路110とを備える。
【0011】
X線高電圧装置101は、処理回路110による制御の下、第1のX線管102a及び第2のX線管102bに高電圧を供給する。例えば、X線高電圧装置101は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、第1のX線管102a及び第2のX線管102bに印加する高電圧を発生する高電圧発生装置と、第1のX線管102a及び第2のX線管102bが照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。
【0012】
第1のX線管102a及び第2のX線管102bは、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。第1のX線管102a及び第2のX線管102bは、X線高電圧装置101から供給される高電圧を用いて、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することにより、X線を発生する。なお、第1のX線管102aは、第1のX線発生部の一例である。また、第2のX線管102bは、第2のX線発生部の一例である。
【0013】
第1のX線絞り器103a及び第2のX線絞り器103bは、それぞれ、X線の照射範囲を絞り込むコリメータと、X線を調節するフィルタとを有する。
【0014】
第1のX線絞り器103aにおけるコリメータは、例えば、スライド可能な4枚の絞り羽根を有し、これら絞り羽根をスライドさせることで、第1のX線管102aが発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。ここで、絞り羽根は、鉛などで構成された板状部材であり、X線の照射範囲を調整するために第1のX線管102aのX線照射口付近に設けられる。同様に、第2のX線絞り器103bにおけるコリメータは、絞り羽根をスライドさせることで、第2のX線管102bが発生したX線を絞り込んで被検体Pに照射させる。
【0015】
第1のX線絞り器103a及び第2のX線絞り器103bにおけるフィルタは、被検体Pに対する被曝線量の低減とX線画像データの画質向上を目的として、その材質や厚みによって透過するX線の線質を変化させ、被検体Pに吸収されやすい軟線成分を低減したり、X線画像データのコントラスト低下を招く高エネルギー成分を低減したりする。また、フィルタは、その材質や厚み、位置などによってX線の線量及び照射範囲を変化させ、被検体Pへ照射されるX線が予め定められた分布になるようにX線を減衰させる。
【0016】
例えば、第1のX線絞り器103a及び第2のX線絞り器103bは、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることによりX線の照射を制御する。例えば、第1のX線絞り器103a及び第2のX線絞り器103bは、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、コリメータの絞り羽根の開度を調整して、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、例えば、第1のX線絞り器103a及び第2のX線絞り器103bは、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、フィルタの位置を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の線量の分布を制御する。
【0017】
天板104は、被検体Pを載せるベッドであり、図示しない寝台駆動装置の上に配置される。なお、被検体Pは、X線診断装置10に含まれない。例えば、寝台駆動装置は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることにより、天板104の移動・傾斜を制御する。例えば、寝台駆動装置は、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、天板104を移動させたり、傾斜させたりする。
【0018】
第1のX線検出器106a及び第2のX線検出器106bは、例えば、マトリクス状に配列された検出素子を有するX線平面検出器(Flat Panel Detector:FPD)である。第1のX線検出器106aは、第1のX線管102aから照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路110へと出力する。
同様に、第2のX線検出器106bは、第2のX線管102bから照射されて被検体Pを透過したX線を検出して、検出したX線量に対応した検出信号を処理回路110へと出力する。なお、第1のX線検出器106a及び第2のX線検出器106bは、グリッド、シンチレータアレイ及び光センサアレイを有する間接変換型の検出器であってもよいし、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0019】
第1のアーム105aは、第1のX線管102a及び第1のX線検出器106aを保持する。具体的には、第1のアーム105aは、第1のX線管102aと第1のX線検出器106aとを被検体Pを挟んで対向するように保持する。第1のアーム105aは、Cアーム又はC型アームとも呼ばれる。なお、第1のアーム105aは、第1のアームの一例である。
【0020】
例えば、第1のアーム105aは、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることにより、回転したり移動したりする。例えば、第1のアーム105aは、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、第1のX線管102a及び第1のX線検出器106aを被検体Pに対して回転・移動させ、撮影位置及び撮影角度を制御する。
【0021】
なお、以下では、X線診断装置1の構成のうち、第1のアーム105a、及び、第1のアーム105aにより保持される構成を、第1の撮影系と記載する。第1の撮影系には、例えば、第1のアーム105a、第1のX線管102a、第1のX線絞り器103a、及び、第1のX線検出器106aが含まれる。第1の撮影系における撮影位置及び撮影角度は、第1のアーム105aの配置により制御される。
【0022】
第2のアーム105bは、第2のX線管102b及び第2のX線検出器106bを保持する。具体的には、第2のアーム105bは、第2のX線管102bと第2のX線検出器106bとを被検体Pを挟んで対向するように保持する。第2のアーム105bは、Ωアーム又はΩ型アームとも呼ばれる。なお、第2のアーム105bは、第2のアームの一例である。
【0023】
例えば、第2のアーム105bは、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構を有し、後述する処理回路110による制御の下、駆動機構を動作させることにより、回転したり移動したりする。例えば、第2のアーム105bは、処理回路110から受け付けた制御信号に応じて駆動電圧を駆動機構に付加することにより、第2のX線管102b及び第2のX線検出器106bを被検体Pに対して回転・移動させ、撮影位置及び撮影角度を制御する。
【0024】
なお、以下では、X線診断装置1の構成のうち、第2のアーム105b、及び、第2のアーム105bにより保持される構成を、第2の撮影系と記載する。第2の撮影系には、例えば、第2のアーム105b、第2のX線管102b、第2のX線絞り器103b、及び、第2のX線検出器106bが含まれる。第2の撮影系における撮影位置及び撮影角度は、第2のアーム105bの配置により制御される。
【0025】
メモリ107は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ107は、処理回路110によって収集された各種のX線画像データを受け付けて記憶する。また、メモリ107は、処理回路110によって読み出されて実行される各種機能に対応するプログラムを記憶する。なお、メモリ107は、X線診断装置10とネットワークを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
【0026】
ディスプレイ108は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ108は、処理回路110による制御の下、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、各種のX線画像を表示する。例えば、ディスプレイ108は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。なお、ディスプレイ108はデスクトップ型でもよいし、処理回路110と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0027】
入力インターフェース109は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路110に出力する。例えば、入力インターフェース109は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース109は、処理回路110と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース109は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、X線診断装置10とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路110へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース109の例に含まれる。
【0028】
処理回路110は、制御機能110a、受付機能110b、判定機能110c及び表示制御機能110dを実行することで、X線診断装置10全体の動作を制御する。なお、受付機能110bは、受付部の一例である。また、判定機能110cは、判定部の一例である。また、表示制御機能110dは、表示制御部の一例である。
【0029】
例えば、処理回路110は、制御機能110aに対応するプログラムをメモリ107から読み出して実行することにより、寝台駆動装置の動作を制御することで、天板104を移動させたり、傾斜させたりする。また、制御機能110aは、X線高電圧装置101、第1の撮影系及び第2の撮影系を制御して、天板104に載置された被検体PからX線画像データを収集する。ここで、制御機能110aは、第1の撮影系及び第2の撮影系をそれぞれ制御し、撮影系ごとにX線画像データを収集する。
【0030】
例えば、制御機能110aは、X線高電圧装置101を制御し、第1のX線管102aに供給する電圧を調整することで、第1のX線管102aから被検体Pに対して照射されるX線量やオン/オフを制御する。また、制御機能110aは、第1のX線絞り器103aの動作を制御し、コリメータが有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、制御機能110aは、第1のX線絞り器103aの動作を制御し、フィルタの位置を調整することで、X線の線量の分布を制御する。また、制御機能110aは、第1のアーム105aの動作を制御することで、第1のアーム105aの配置を制御する。即ち、制御機能110aは、第1のアーム105aの動作を制御することで、第1の撮影系における撮影位置及び撮影角度を制御する。また、制御機能110aは、第1のX線検出器106aから受信した検出信号に基づいてX線画像データを生成し、生成したX線画像データをメモリ107に格納する。
【0031】
また、制御機能110aは、X線高電圧装置101を制御し、第2のX線管102bに供給する電圧を調整することで、第2のX線管102bから被検体Pに対して照射されるX線量やオン/オフを制御する。また、制御機能110aは、第2のX線絞り器103bの動作を制御し、コリメータが有する絞り羽根の開度を調整することで、被検体Pに対して照射されるX線の照射範囲を制御する。また、制御機能110aは、第2のX線絞り器103bの動作を制御し、フィルタの位置を調整することで、X線の線量の分布を制御する。また、制御機能110aは、第2のアーム105bの動作を制御することで、第2のアーム105bの配置を制御する。即ち、制御機能110aは、第2のアーム105bの動作を制御することで、第2の撮影系における撮影位置及び撮影角度を制御する。また、制御機能110aは、第2のX線検出器106bから受信した検出信号に基づいてX線画像データを生成し、生成したX線画像データをメモリ107に格納する。
【0032】
なお、制御機能110aは、メモリ107が記憶するX線画像データに対して各種画像処理を行なってもよい。例えば、制御機能110aは、第1の撮影系を用いて収集されたX線画像データ、及び、第2の撮影系を用いて収集されたX線画像データのそれぞれに対して、画像処理フィルタによるノイズ低減処理や散乱線補正を実行する。
【0033】
また、処理回路110は、メモリ107から受付機能110bに相当するプログラムを読み出して実行することにより、入力インターフェース109を介して、操作者から各種の入力操作を受け付ける。例えば、受付機能110bは、操作者から、X線条件(管電流値、管電圧値等)、撮影位置、第1の撮影角度、第2の撮影角度等の各種の撮影条件の入力操作を受け付ける。なお、第1の撮影角度及び第2の撮影角度については後述する。
【0034】
また、処理回路110は、メモリ107から判定機能110cに相当するプログラムを読み出して実行することにより、第1の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置することが可能か否かを判定する第1の判定と、第1の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置することが可能か否かを判定する第2の判定とを実行する。また、処理回路110は、メモリ107から表示制御機能110dに相当するプログラムを読み出して実行することにより、ディスプレイ108にGUIやX線画像を表示させる。また、表示制御機能110dは、判定機能110cによる第1の判定及び第2の判定の結果を表示する。なお、第1の判定及び第2の判定については後述する。
【0035】
図1に示すX線診断装置10においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ107へ記憶されている。処理回路110は、メモリ107からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路110は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、
図1においては、制御機能110a、受付機能110b、判定機能110c及び表示制御機能110dの各処理機能が単一の処理回路110によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路110は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路110が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0036】
以上、X線診断装置10について説明した。かかる構成のもと、X線診断装置10は、処理回路110による処理によって、撮影角度の設定の自由度を向上させる。以下、処理回路110が行なう処理について詳細に説明する。
【0037】
X線診断装置10を用いた検査においては、まず、撮影角度を含む各種撮影条件が設定される。例えば、受付機能110bは、入力インターフェース109を介して、操作者から、X線条件及び撮影位置の入力操作を受け付ける。次に、制御機能110aは、受付機能110bが受け付けたX線条件及び撮影位置を撮影条件として設定する。
【0038】
なお、撮影位置としては、第1の撮影系と第2の撮影系とで共通の1つの位置が設定される。以下では一例として、被検体Pの血管に生じた動脈瘤の位置が撮影位置として設定される場合について説明する。また、X線条件としては、第1の撮影系と第2の撮影系とで共通の1つの条件が設定されてもよいし、第1の撮影系及び第2の撮影系のそれぞれについて条件が設定されてもよい。以下では、第1の撮影系のX線条件と第2の撮影系のX線条件とは同じものとして説明する。
【0039】
次に、受付機能110bは、撮影条件として、撮影角度の入力操作を受け付ける。例えば、受付機能110bは、被検体Pにおける撮影位置の3次元医用画像データを参照した操作者から、撮影角度の入力操作を受け付ける。
【0040】
例えば、制御機能110aは、第1の撮影系又は第2の撮影系を用いた回転撮影により、3次元医用画像データとして、3次元X線画像データを収集する。一例を挙げると、制御機能110aは、まず、第2のアーム105bを移動させることにより、第1の撮影系を用いて回転撮影を実行する際に第1の撮影系と第2の撮影系との接触(干渉)が生じない位置まで、第2の撮影系を退避させる。次に、制御機能110aは、第1のアーム105aを回転させることにより、第1のX線管102a及び第1のX線検出器106aを被検体Pの周囲で回転移動させながら、所定のフレームレートで第1のX線管102aからX線を照射させる。ここで、第1のX線検出器106aは、検出したX線量に対応した検出信号を出力し、制御機能110aは、第1のX線検出器106aから受信した検出信号に基づいて複数の投影データを生成する。即ち、制御機能110aは、回転撮影を実行することによって、所定のフレームレートで複数の投影データを収集する。そして、制御機能110aは、収集した複数の投影データから3次元X線画像データを再構成する。
【0041】
ここで、制御機能110aは、3次元医用画像データとして、被検体Pの血管形状を示す3次元X線画像データを収集してもよい。一例を挙げると、制御機能110aは、まず、血管内に造影剤が注入されていない状態の被検体Pに対する回転撮影を実行して、所定のフレームレートで複数の投影データ(以下、マスク画像とも記載する)を収集する。次に、制御機能110aは、血管内に造影剤が注入された状態の被検体Pに対する回転撮影を実行して、所定のフレームレートで複数の投影データ(以下、コントラスト画像とも記載する)を収集する。そして、制御機能110aは、マスク画像とコントラスト画像とを差分した差分画像データから、被検体Pの血管形状を示す3次元X線画像データを再構成する。別の例を挙げると、制御機能110aは、マスク画像から3次元X線画像データを再構成し、コントラスト画像から3次元X線画像データを再構成する。そして、制御機能110aは、再構成した2つの3次元X線画像データを差分することで、被検体Pの血管形状を示す3次元X線画像データを生成する。
【0042】
次に、表示制御機能110dは、制御機能110aにより収集された3次元X線画像データを、ディスプレイ108において回転可能に表示する。例えば、表示制御機能110dは、
図2に示す領域R11及び領域R12において、被検体Pの血管形状を示す3次元X線画像データI1を回転可能に表示する。なお、
図2は、第1の実施形態に係る撮影角度の設定について説明するための図である。
【0043】
即ち、表示制御機能110dは、3次元X線画像データI1を領域R11及び領域R12の2箇所に表示する。ここで、領域R11に表示された3次元X線画像データI1と、領域R12に表示された3次元X線画像データI1とは、独立に回転可能に表示される。例えば、操作者が領域R11に対して入力操作(ドラッグ操作やスワイプ操作等)を行なった場合、表示制御機能110dは、操作者から受け付けた入力操作に応じて、領域R11における3次元X線画像データI1の表示角度を変化させる。同様に、操作者が領域R12に対して入力操作を行なった場合、表示制御機能110dは、領域R12における3次元X線画像データI1の表示角度を変化させる。
【0044】
また、領域R13は、領域R11における3次元X線画像データI1の表示角度を示す。
図2に示す場合、領域R11における3次元X線画像データI1の表示角度は「RAO(右前斜位:right anterior oblique):10°、CAU(尾部方向:caudal):3°」である。例えば、操作者は、領域R11に表示されている3次元X線画像データI1を参照し、表示角度「RAO:10°、CAU:3°」が適切であるか否かを判断する。
【0045】
ここで、領域R11に表示されている3次元X線画像データI1において動脈瘤に他の血管が重なっている場合等、表示角度「RAO:10°、CAU:3°」が適切でないと判断した場合、操作者は、領域R11に表示された3次元X線画像データI1を回転させるための入力操作を行なう。
【0046】
一方で、表示角度「RAO:10°、CAU:3°」が適切であると判断した場合、操作者は、表示角度「RAO:10°、CAU:3°」を選択する。例えば、操作者は、入力インターフェース109を介して、領域R13内でクリック操作、タップ操作等を行なうことで、表示角度「RAO:10°、CAU:3°」を選択する。そして、受付機能110bは、選択された表示角度「RAO:10°、CAU:3°」を、撮影角度として受け付ける。なお、撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」は、第1の撮影角度の一例である。即ち、受付機能110bは、領域R11における3次元X線画像データI1の表示角度を選択する操作を、第1の撮影角度の入力操作として受け付ける。
【0047】
また、領域R14は、領域R12における3次元X線画像データI1の表示角度を示す。
図2に示す場合、領域R12における3次元X線画像データI1の表示角度は「LAO(左前斜位:left anterior oblique):3°、CRA(頭部方向:cranial):10°」である。例えば、操作者は、領域R12に表示されている3次元X線画像データI1を参照し、表示角度「LAO:3°、CRA:10°」が適切であるか否かを判断する。
【0048】
ここで、領域R12に表示されている3次元X線画像データI1において動脈瘤に他の血管が重なっている場合等、表示角度「LAO:3°、CRA:10°」が適切でないと判断した場合、操作者は、領域R12に表示された3次元X線画像データI1を回転させるための入力操作を行なう。
【0049】
一方で、表示角度「LAO:3°、CRA:10°」が適切であると判断した場合、操作者は、表示角度「LAO:3°、CRA:10°」を選択する。そして、受付機能110bは、選択された表示角度「LAO:3°、CRA:10°」を、撮影角度として受け付ける。なお、撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」は、第2の撮影角度の一例である。即ち、受付機能110bは、領域R12における3次元X線画像データI1の表示角度を選択する操作を、第2の撮影角度の入力操作として受け付ける。
【0050】
次に、判定機能110cは、第1の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置することが可能か否かを判定する第1の判定と、第1の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置することが可能か否かを判定する第2の判定とを実行する。
【0051】
例えば、判定機能110cは、受付機能110bが受け付けた第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が、第1のアーム105aの可動範囲に含まれるか否かを判定する。一例を挙げると、判定機能110cは、第1のX線管102aにおけるX線焦点と第1のX線検出器106aにおける検出面の中心位置とを結ぶ直線が第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」と一致するように、第1のアーム105aを回転させることが可能であるか否かを判定する。
【0052】
また、判定機能110cは、受付機能110bが受け付けた第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が、第2のアーム105bの可動範囲に含まれるか否かを判定する。ここで、第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が第1のアーム105aの可動範囲に含まれており、且つ、第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が第2のアーム105bの可動範囲に含まれている場合、判定機能110cは、第1の判定において「可能」と判定する。
【0053】
一方で、第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が第1のアーム105aの可動範囲に含まれておらず、且つ、第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が第2のアーム105bの可動範囲に含まれていない場合、判定機能110cは、第1の判定において「可能でない」と判定する。また、第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が第1のアーム105aの可動範囲に含まれておらず、且つ、第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が第2のアーム105bの可動範囲に含まれている場合、判定機能110cは、第1の判定において「可能でない」と判定する。また、第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が第1のアーム105aの可動範囲に含まれており、且つ、第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が第2のアーム105bの可動範囲に含まれていない場合、判定機能110cは、第1の判定において「可能でない」と判定する。即ち、第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が第1のアーム105aの可動範囲に含まれていない場合、又は、第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が第2のアーム105bの可動範囲に含まれていない場合、判定機能110cは、第1の判定において「可能でない」と判定する。
【0054】
同様に、判定機能110cは、第2の判定を行なう。具体的には、判定機能110cは、受付機能110bが受け付けた第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が、第2のアーム105bの可動範囲に含まれるか否かを判定する。また、判定機能110cは、受付機能110bが受け付けた第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が、第1のアーム105aの可動範囲に含まれるか否かを判定する。ここで、第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が第2のアーム105bの可動範囲に含まれており、且つ、第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が第1のアーム105aの可動範囲に含まれている場合、判定機能110cは、第2の判定において「可能」と判定する。一方で、第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が第2のアーム105bの可動範囲に含まれていない場合、又は、第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が第1のアーム105aの可動範囲に含まれていない場合、判定機能110cは、第2の判定において「可能でない」と判定する。なお、第1の判定及び第2の判定を行なう順序は任意であり、並行して行なってもよい。
【0055】
次に、表示制御機能110dは、第1の判定及び第2の判定の結果を表示する。例えば、表示制御機能110dは、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能」と判定された場合と、第1の判定及び第2の判定のいずれか一方において「可能」と判定された場合と、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能でない」と判定された場合とを識別可能に表示する。
【0056】
例えば、表示制御機能110dは、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能」と判定された場合と、第1の判定及び第2の判定のいずれか一方において「可能」と判定された場合と、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能でない」と判定された場合とで、
図2の領域R13及び領域R14の文字色を変化させる。一例を挙げると、表示制御機能110dは、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能」と判定された場合には文字色を「白色」とする。また、表示制御機能110dは、第1の判定及び第2の判定のいずれか一方において「可能」と判定された場合には文字色を「緑色」とする。また、表示制御機能110dは、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能でない」と判定された場合には文字色を「赤色」とする。
【0057】
更に、表示制御機能110dは、第1の判定及び第2の判定のいずれか一方において「可能」と判定された場合のうち、第1の判定において「可能」と判定され且つ第2の判定において「可能でない」と判定された場合と、第1の判定において「可能でない」と判定され且つ第2の判定において「可能」と判定された場合とを識別可能に表示してもよい。
一例を挙げると、表示制御機能110dは、第1の判定において「可能」と判定され且つ第2の判定において「可能でない」と判定された場合と、第1の判定において「可能でない」と判定され且つ第2の判定において「可能」と判定された場合とで
図2の領域R13及び領域R14の文字色を変化させる。
【0058】
次に、制御機能110aは、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対する第1のアーム105a及び第2のアーム105bの割り当てを決定する。具体的には、制御機能110aは、第1の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置するか、又は、第1の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置するかを決定する。換言すると、制御機能110aは、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対して第1のアーム105a及び第2のアーム105bをそれぞれ割り当てるか、又は、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対して第2のアーム105b及び第1のアーム105aをそれぞれ割り当てるかを決定する。
【0059】
例えば、判定機能110cにより第1の判定において「可能」と判定され且つ第2の判定において「可能でない」と判定された場合、制御機能110aは、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対して第1のアーム105a及び第2のアーム105bをそれぞれ割り当てる。また、判定機能110cにより第1の判定において「可能でない」と判定され且つ第2の判定において「可能」と判定された場合、制御機能110aは、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対して第2のアーム105b及び第1のアーム105aをそれぞれ割り当てる。
【0060】
また、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能」と判定された場合、制御機能110aは、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対して所定のアームをそれぞれ割り当てる。例えば、制御機能110aは、「第1の判定及び第2の判定の双方において「可能」と判定された場合には第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対して第1のアーム105a及び第2のアーム105bをそれぞれ割り当てる」といったルールを事前に設定し、メモリ107に記憶させておく。そして、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能」と判定された場合、制御機能110aは、メモリ107が記憶するルールに従って、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対して第1のアーム105a及び第2のアーム105bをそれぞれ割り当てる。
【0061】
或いは、制御機能110aは、操作者からの入力操作を受け付けることにより、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対する第1のアーム105a及び第2のアーム105bの割り当てを決定してもよい。例えば、操作者は、領域R13及び領域R14の文字色を参照しつつ、入力インターフェース109を介して、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対する第1のアーム105a及び第2のアーム105bの割り当ての入力操作を行なう。また、受付機能110bは、操作者による割り当ての入力操作を受け付ける。そして、制御機能110aは、受付機能110bが受け付けた割り当てに基づいて、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対する第1のアーム105a及び第2のアーム105bの割り当てを決定する。
【0062】
また、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能でない」と判定された場合、受付機能110bは、第1の撮影角度及び第2の撮影角度の入力操作を再度受け付ける。なお、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能」と判定された場合、及び、第1の判定及び第2の判定のいずれか一方において「可能」と判定された場合においても、受付機能110bは、第1の撮影角度及び第2の撮影角度の入力操作を再度受け付けることができる。例えば、操作者から撮影角度の再設定を行なう旨の入力操作を受け付けた場合、受付機能110bは、第1の撮影角度及び第2の撮影角度の入力操作を再度受け付ける。
【0063】
次に、制御機能110aは、決定した割り当てに応じて、第1のアーム105a及び第2のアーム105bを配置する。例えば、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対して第1のアーム105a及び第2のアーム105bをそれぞれ割り当てた場合、制御機能110aは、第1の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置する。一例を挙げると、制御機能110aは、第1のX線管102aにおけるX線焦点と第1のX線検出器106aにおける検出面の中心位置とを結ぶ直線が第1の撮影角度と一致するように、第1のアーム105aを回転させる。同様に、制御機能110aは、第2の撮影角度に応じて、第2のアーム105bを配置する。
【0064】
次に、制御機能110aは、第1のX線管102a及び第2のX線管102bからX線を発生させて、第1の撮影角度及び第2の撮影角度での撮影を実行する。例えば、制御機能110aは、第1の撮影系を制御することで、第1の撮影角度での撮影を実行する。具体的には、制御機能110aは、第1のX線管102aからX線を発生させることにより、被検体P及び第1のX線検出器106aに対してX線を照射させる。そして、制御機能110aは、第1のX線検出器106aから受信した検出信号に基づいて、第1の撮影角度のX線画像データ(以下、第1のX線画像データとも記載する)を生成する。
【0065】
また、制御機能110aは、第2の撮影系を制御することで、第2の撮影角度での撮影を実行する。具体的には、制御機能110aは、第2のX線管102bからX線を発生させることにより、被検体P及び第2のX線検出器106bに対してX線を照射させる。そして、制御機能110aは、第2のX線検出器106bから受信した検出信号に基づいて、第2の撮影角度のX線画像データ(以下、第2のX線画像データとも記載する)を生成する。
【0066】
次に、表示制御機能110dは、第1のX線画像データ及び第2のX線画像データをディスプレイ108に表示させる。例えば、制御機能110aは、第1のX線画像データ及び第2のX線画像データをそれぞれ複数収集し、表示制御機能110dは、収集された第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを順次表示させる。なお、収集と並行して順次表示されるX線画像データについては、透視像とも記載する。即ち、表示制御機能110dは、第1の撮影角度の透視像と第2の撮影角度の透視像とをディスプレイ108に表示させる。なお、表示制御機能110dは、第1の撮影角度の透視像と第2の撮影角度の透視像とを、1つのディスプレイ108に表示させてもよいし、複数のディスプレイ108にそれぞれ表示させてもよい。
【0067】
そして、操作者は、第1の撮影角度の透視像と第2の撮影角度の透視像とを参照しつつ、各種の手技を実施することができる。例えば、操作者は、第1の撮影角度の透視像と第2の撮影角度の透視像とに基づいて被検体Pの血管の立体構造を把握しつつ、動脈瘤に対して、コイリング治療やステント留置術といった各種の手技を実施することができる。
【0068】
次に、X線診断装置10による処理の手順の一例を、
図3を用いて説明する。
図3は、第1の実施形態に係るX線診断装置10の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS101、ステップS107、ステップS108及びステップS109は、制御機能110aに対応するステップである。ステップS103及びステップS106は、受付機能110bに対応するステップである。ステップS104は、判定機能110cに対応するステップである。ステップS102、ステップS105及びステップS110は、表示制御機能110dに対応するステップである。
【0069】
まず、処理回路110は、被検体Pに対する回転撮影を実行して、3次元X線画像データI1を収集する(ステップS101)。次に、処理回路110は、ディスプレイ108において、3次元X線画像データI1を回転可能に表示する(ステップS102)。次に、処理回路110は、第1の撮影角度及び第2の撮影角度の入力操作を受け付ける(ステップS103)。例えば、処理回路110は、3次元X線画像データI1の表示角度を選択する操作を、第1の撮影角度及び第2の撮影角度の入力操作として受け付ける。
【0070】
次に、処理回路110は、第1の判定及び第2の判定を実行する(ステップS104)。即ち、処理回路110は、第1の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置することが可能か否かを判定し、第1の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置することが可能か否かを判定する。次に、処理回路110は、ディスプレイ108において、第1の判定及び第2の判定の結果を表示する(ステップS105)。
【0071】
ここで、処理回路110は、撮影角度を変更するか否かを判定する(ステップS106)。例えば、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能でない」と判定された場合や、操作者から撮影角度の再設定を行なう旨の入力操作を受け付けた場合、処理回路110は、撮影角度を変更すると判定し(ステップS106肯定)、再度ステップS102に移行する。一方で、撮影角度を変更しないと判定した場合(ステップS106否定)、処理回路110は、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対する第1のアーム105a及び第2のアーム105bの割り当てを決定する(ステップS107)。
【0072】
次に、処理回路110は、決定した割り当てに応じて第1のアーム105a及び第2のアーム105bを配置する(ステップS108)。次に、処理回路110は、第1の撮影角度及び第2の撮影角度での撮影を実行して、第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを収集する(ステップS109)。そして、処理回路110は、収集した第1のX線画像データ及び第2のX線画像データをディスプレイ108に表示させて(ステップS110)、処理を終了する。なお、ステップS109とステップS110とは並行して行なってもよい。即ち、処理回路110は、ステップS109及びステップS110において、第1の撮影角度の透視像と第2の撮影角度の透視像とをディスプレイ108に表示させてもよい。
【0073】
上述したように、第1の実施形態によれば、第1のアーム105aは、第1のX線管102a及び第1のX線検出器106aを保持する。また、第2のアーム105bは、第2のX線管102b及び第2のX線検出器106bを保持する。また、判定機能110cは、第1の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置することが可能か否かを判定する第1の判定と、第1の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置することが可能か否かを判定する第2の判定とを実行する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置10は、バイプレーンのX線診断装置10において、撮影角度の設定の自由度を向上させることができる。
【0074】
具体的には、従来、Cアーム用の撮影角度に応じてCアームを配置することができない場合、又は、Ωアーム用の撮影角度に応じてΩアームを配置することができない場合には、その撮影角度は使用不可として扱われている。これに対して、X線診断装置10は、Cアーム用の撮影角度に応じてΩアームを配置することができるか否か、Ωアーム用の撮影角度に応じてCアームを配置することができるか否かをも考慮して、操作者が所望する撮影角度の可否を柔軟に判定し、撮影角度の設定の自由度を向上させることができる。
【0075】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、第1の判定の結果に関わらず、第2の判定を実行するものとして説明した。これに対して、第2の実施形態では、第1の判定において「可能でない」と判定された場合に第2の判定を実行する場合について説明する。
【0076】
第2の実施形態に係るX線診断装置10は、
図1に示したX線診断装置10と同様の構成を有し、判定機能110c及び表示制御機能110dによる処理の一部が相違する。第1の実施形態において説明した構成と同様の構成を有する点については、
図1と同一の符号を付し、説明を省略する。
【0077】
例えば、受付機能110bは、操作者からX線条件及び撮影位置の入力操作を受け付け、制御機能110aは、受付機能110bが受け付けたX線条件及び撮影位置を撮影条件として設定する。次に、受付機能110bは、第1のアーム105a用の撮影角度、及び、第2のアーム105b用の撮影角度の入力操作を受け付ける。
【0078】
例えば、まず、制御機能110aは、第1の撮影系又は第2の撮影系を用いた回転撮影により、被検体Pの血管形状を示す3次元X線画像データI1を収集する。次に、表示制御機能110dは、制御機能110aにより収集された3次元X線画像データI1を、ディスプレイ108において回転可能に表示する。例えば、表示制御機能110dは、
図4に示す領域R21及び領域R22において、3次元X線画像データI1を回転可能に表示する。なお、
図4は、第2の実施形態に係る撮影角度の設定について説明するための図である。
【0079】
例えば、操作者が領域R21に対して入力操作(ドラッグ操作やスワイプ操作等)を行なった場合、表示制御機能110dは、操作者から受け付けた入力操作に応じて、領域R21における3次元X線画像データI1の表示角度を変化させる。同様に、操作者が領域R22に対して入力操作を行なった場合、表示制御機能110dは、領域R22における3次元X線画像データI1の表示角度を変化させる。
【0080】
また、表示制御機能110dは、領域R23において、領域R21における3次元X線画像データI1の表示角度を撮影角度として第1のアーム105aを配置した場合における、X線診断装置1の各構成の位置関係を図示する。例えば、表示制御機能110dは、領域R23において、X線診断装置1の各構成の形状を示す簡易モデルを用いて、各構成の位置関係を図示する。なお、
図4に示す場合、表示制御機能110dは、領域R23において、X線診断装置1の構成のうち、第1のX線管102a、第1のX線絞り器103a、天板104、第1のアーム105a及び第1のX線検出器106aのみを図示する。ここで、表示制御機能110dは、領域R21における3次元X線画像データI1の表示角度の変化に連動させて、領域R23に示す図を変化させる。
【0081】
また、表示制御機能110dは、領域R25において、領域R21における3次元X線画像データI1の表示角度を示す。
図4に示す場合、領域R21における3次元X線画像データI1の表示角度は「RAO:10°、CAU:3°」である。例えば、操作者は、領域R21に表示されている3次元X線画像データI1、及び、領域R23に表示されている図を参照して、表示角度「RAO:10°、CAU:3°」が適切であるか否かを判断する。
【0082】
例えば、領域R21に表示されている3次元X線画像データI1において動脈瘤に他の血管が重なっている場合や、領域R23に表示されている第1のアーム105aの配置が手技の障害となり得る場合、操作者は、表示角度「RAO:10°、CAU:3°」が適切でないと判断する。この場合、操作者は、領域R21に表示された3次元X線画像データI1を回転させるための入力操作を行なう。
【0083】
一方で、表示角度「RAO:10°、CAU:3°」が適切であると判断した場合、操作者は、表示角度「RAO:10°、CAU:3°」を選択する。そして、受付機能110bは、選択された表示角度「RAO:10°、CAU:3°」を、第1のアーム105a用の撮影角度として受け付ける。換言すると、受付機能110bは、選択された表示角度「RAO:10°、CAU:3°」を、Cアーム用の撮影角度として受け付ける。なお、撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」は、第1の撮影角度の一例である。即ち、受付機能110bは、領域R21における3次元X線画像データI1の表示角度を選択する操作を、第1の撮影角度の入力操作として受け付ける。
【0084】
また、表示制御機能110dは、領域R24において、領域R22における3次元X線画像データI1の表示角度を撮影角度として第2のアーム105bを配置した場合における、X線診断装置1の各構成の位置関係を図示する。なお、
図4に示す場合、表示制御機能110dは、領域R24において、X線診断装置1の構成のうち、第2のX線管102b、第2のX線絞り器103b、天板104、第2のアーム105b及び第2のX線検出器106bのみを図示する。ここで、表示制御機能110dは、領域R22における3次元X線画像データI1の表示角度の変化に連動させて、領域R24に示す図を変化させる。
【0085】
また、表示制御機能110dは、領域R26において、領域R22における3次元X線画像データI1の表示角度を示す。
図4に示す場合、領域R22における3次元X線画像データI1の表示角度は「LAO:3°、CRA:10°」である。例えば、操作者は、領域R22に表示されている3次元X線画像データI1、及び、領域R24に表示されている図を参照して、表示角度「LAO:3°、CRA:10°」が適切であるか否かを判断する。
【0086】
例えば、領域R22に表示されている3次元X線画像データI1において動脈瘤に他の血管が重なっている場合や、領域R24に表示されている第2のアーム105bの配置が手技の障害となり得る場合、操作者は、表示角度「LAO:3°、CRA:10°」が適切でないと判断する。この場合、操作者は、領域R22に表示された3次元X線画像データI1を回転させるための入力操作を行なう。
【0087】
一方で、表示角度「LAO:3°、CRA:10°」が適切であると判断した場合、操作者は、表示角度「LAO:3°、CRA:10°」を選択する。そして、受付機能110bは、選択された表示角度「LAO:3°、CRA:10°」を、第2のアーム105b用の撮影角度として受け付ける。換言すると、受付機能110bは、選択された表示角度「LAO:3°、CRA:10°」を、Ωアーム用の撮影角度として受け付ける。なお、撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」は、第2の撮影角度の一例である。即ち、受付機能110bは、領域R22における3次元X線画像データI1の表示角度を選択する操作を、第2の撮影角度の入力操作として受け付ける。
【0088】
次に、判定機能110cは、第1の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置することが可能か否かを判定する第1の判定を実行する。即ち、判定機能110cは、第1のアーム105a用に設定された第1の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置することが可能か否か、及び、第2のアーム105b用に設定された第2の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置することが可能か否かを判定する。
【0089】
例えば、判定機能110cは、受付機能110bが受け付けた第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が、第1のアーム105aの可動範囲に含まれるか否かを判定する。また、判定機能110cは、受付機能110bが受け付けた第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が、第2のアーム105bの可動範囲に含まれるか否かを判定する。
【0090】
ここで、第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が第1のアーム105aの可動範囲に含まれており、且つ、第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が第2のアーム105bの可動範囲に含まれている場合、判定機能110cは、第1の判定において「可能」と判定する。この場合、制御機能110aは、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対して第1のアーム105a及び第2のアーム105bをそれぞれ割り当て、割り当てに応じて、第1のアーム105a及び第2のアーム105bを配置する。即ち、制御機能110aは、第1のアーム105a用の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」に応じて第1のアーム105aを配置し、第2のアーム105b用の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」に応じて第2のアーム105bを配置する。
【0091】
一方で、第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が第1のアーム105aの可動範囲に含まれていない場合、又は、第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が第2のアーム105bの可動範囲に含まれていない場合、判定機能110cは、第1の判定において「可能でない」と判定する。この場合、判定機能110cは、第1の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置することが可能か否かを判定する第2の判定を実行する。即ち、判定機能110cは、第1のアーム105a用に設定された第1の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置することが可能か否か、及び、第2のアーム105b用に設定された第2の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置することが可能か否かを判定する。
【0092】
例えば、判定機能110cは、受付機能110bが受け付けた第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」が、第2のアーム105bの可動範囲に含まれるか否かを判定する。また、判定機能110cは、受付機能110bが受け付けた第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」が、第1のアーム105aの可動範囲に含まれるか否かを判定する。
【0093】
次に、表示制御機能110dは、第1の判定及び第2の判定の結果を表示する。例えば、表示制御機能110dは、ディスプレイ108において、第1の判定において「可能でない」と判定された旨を表示する。また、表示制御機能110dは、ディスプレイ108において、第2の判定において「可能」と判定されたか「可能でない」と判定されたかを識別可能に表示する。即ち、表示制御機能110dは、第1の判定において「可能でない」と判定され且つ第2の判定において「可能」と判定された場合と、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能でない」と判定された場合とを識別可能に表示する。
【0094】
例えば、表示制御機能110dは、第2の判定において「可能」と判定された場合と「可能でない」と判定された場合とで、
図4の領域R25及び領域R26の文字色を変化させる。一例を挙げると、表示制御機能110dは、第2の判定において「可能」と判定された場合には文字色を「白色」とし、第2の判定において「可能でない」と判定された場合には文字色を「赤色」とする。
【0095】
別の例を挙げると、表示制御機能110dは、第2の判定において「可能」と判定された場合、
図5に示すように、領域R21及び領域R25の表示角度と、領域R22及び領域R26の表示角度とを入れ替えて表示する。これにより、表示制御機能110dは、第1のアーム105a用に設定された第1の撮影角度「RAO:10°、CAU:3°」に応じて第2のアーム105bを配置することが可能であり、且つ、第2のアーム105b用に設定された第2の撮影角度「LAO:3°、CRA:10°」に応じて第1のアーム105aを配置することが可能であることを操作者に提示する。一方で、第2の判定において「可能でない」と判定された場合、表示制御機能110dは、例えば、領域R25及び領域R26の文字色を「赤色」とする。なお、
図5は、第2の実施形態に係る判定結果の表示例を示す図である。
【0096】
次に、制御機能110aは、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対する第1のアーム105a及び第2のアーム105bの割り当てを決定する。例えば、第2の判定において「可能」と判定された場合、制御機能110aは、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対して第2のアーム105b及び第1のアーム105aをそれぞれ割り当てる。或いは、第2の判定において「可能」と判定された場合、制御機能110aは、第1の判定及び第2の判定の結果を参照した操作者からの入力操作を受け付けることにより、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対して第2のアーム105b及び第1のアーム105aをそれぞれ割り当てる。また、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能でない」と判定された場合、受付機能110bは、第1の撮影角度及び第2の撮影角度の入力操作を再度受け付ける。
【0097】
次に、制御機能110aは、決定した割り当てに応じて、第1のアーム105a及び第2のアーム105bを配置する。そして、制御機能110aは、第1のX線管102a及び第2のX線管102bからX線を発生させて第1の撮影角度及び第2の撮影角度での撮影を実行し、第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを収集する。また、表示制御機能110dは、第1の撮影角度で収集された第1のX線画像データと、第2の撮影角度で収集された第2のX線画像データとを表示させる。例えば、表示制御機能110dは、第1の撮影角度の透視像と第2の撮影角度の透視像とをディスプレイ108に表示させる。
【0098】
次に、X線診断装置10による処理の手順の一例を、
図6を用いて説明する。
図6は、第2の実施形態に係るX線診断装置10の処理の一連の流れを説明するためのフローチャートである。ステップS201、ステップS209、ステップS210及びステップS211は、制御機能110aに対応するステップである。ステップS203及びステップS208は、受付機能110bに対応するステップである。ステップS204、ステップS205及びステップS206は、判定機能110cに対応するステップである。ステップS202、ステップS207及びステップS212は、表示制御機能110dに対応するステップである。
【0099】
まず、処理回路110は、被検体Pに対する回転撮影を実行して、3次元X線画像データI1を収集する(ステップS201)。次に、処理回路110は、ディスプレイ108において、3次元X線画像データI1を回転可能に表示する(ステップS202)。次に、処理回路110は、第1の撮影角度及び第2の撮影角度の入力操作を受け付ける(ステップS203)。次に、処理回路110は、第1の判定を実行する(ステップS204)。
【0100】
ここで、処理回路110は、第1の判定において「可能」と判定されたか否かを判定する(ステップS205)。第1の判定において「可能でない」と判定された場合(ステップS205否定)、処理回路110は、第2の判定を実行し(ステップS206)、第1の判定及び第2の判定の結果を表示する(ステップS207)。
【0101】
第1の判定において「可能」と判定された場合(ステップS205肯定)、又は、ステップS207の後、処理回路110は、撮影角度を変更するか否かを判定する(ステップS208)。例えば、第1の判定及び第2の判定の双方において「可能でない」と判定された場合や、操作者から撮影角度の再設定を行なう旨の入力操作を受け付けた場合、処理回路110は、撮影角度を変更すると判定し(ステップS208肯定)、再度ステップS202に移行する。一方で、撮影角度を変更しないと判定した場合(ステップS208否定)、処理回路110は、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対する第1のアーム105a及び第2のアーム105bの割り当てを決定する(ステップS209)。
【0102】
次に、処理回路110は、決定した割り当てに応じて第1のアーム105a及び第2のアーム105bを配置する(ステップS210)。次に、処理回路110は、第1の撮影角度及び第2の撮影角度での撮影を実行して、第1のX線画像データ及び第2のX線画像データを収集する(ステップS211)。そして、処理回路110は、収集した第1のX線画像データ及び第2のX線画像データをディスプレイ108に表示させて(ステップS212)、処理を終了する。なお、ステップS211とステップS212とは並行して行なってもよい。即ち、処理回路110は、ステップS211及びステップS212において、第1の撮影角度の透視像と第2の撮影角度の透視像とをディスプレイ108に表示させてもよい。
【0103】
上述したように、第2の実施形態によれば、判定機能110cは、第1の判定において「可能でない」と判定された場合に、第2の判定を実行する。従って、第1の実施形態に係るX線診断装置10は、撮影角度の設定の自由度を向上させることができる。例えば、X線診断装置10は、「Cアーム用の撮影角度」や「Ωアーム用の撮影角度」等が入力された場合において、2つの撮影角度を入れ替えれば使用可能となる可能性を考慮して、操作者が所望する撮影角度の可否を柔軟に判定し、撮影角度の設定の自由度を向上させることができる。
【0104】
(第3の実施形態)
さて、これまで第1~第2の実施形態について説明したが、上述した第1~第2の実施形態以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
【0105】
上述した実施形態では、3次元医用画像データの例として、3次元X線画像データI1について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、第1の撮影角度及び第2の撮影角度の入力操作を受け付ける際、表示制御機能110dは、X線診断装置10と異なる他の医用画像診断装置において収集された3次元医用画像データをディスプレイ108において回転可能に表示してもよい。
【0106】
例えば、X線診断装置10は、ネットワークを介してX線CT(Computed Tomography)装置と接続される。この場合、まず、X線CT装置は、被検体Pから3次元CT画像データを収集する。具体的には、X線CT装置は、被検体Pに対するCTスキャンを実行して投影データを収集する。次に、X線CT装置は、投影データに基づいて複数の断層画像を生成する。具体的には、X線CT装置は、投影データに対してフィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行うことにより、複数の断層画像を再構成する。次に、X線CT装置は、複数の断層画像に基づいて、3次元CT画像データを生成する。例えば、X線CT装置は、複数の断層画像を3次元空間に配置するとともに、断層画像の間の補間処理を行なうことで、3次元CT画像データを生成する。そして、X線CT装置は、生成した3次元CT画像データをX線診断装置10に対して出力する。
【0107】
次に、表示制御機能110dは、X線CT装置から受け付けた3次元CT画像データを、ディスプレイ108において回転可能に表示する。次に、受付機能110bは、3次元CT画像データの表示角度を選択する操作を、第1の撮影角度及び第2の撮影角度の入力操作として受け付ける。次に、判定機能110cは、受付機能110bが受け付けた第1の撮影角度及び第2の撮影角度に基づいて、第1の判定及び第2の判定を実行する。そして、表示制御機能110dは、第1の判定及び第2の判定を、ディスプレイ108において表示する。
【0108】
また、上述した実施形態では、受付機能110bが受け付けた第1の撮影角度及び第2の撮影角度に基づいて、第1の判定及び第2の判定を実行する場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、判定機能110cは、所定の第1の撮影角度及び第2の撮影角度に基づいて、第1の判定及び第2の判定を実行してもよい。
【0109】
一例を挙げると、判定機能110cは、HIS(Hospital Information System)やRIS(Radiology Information System)等のシステムから、被検体Pの検査情報(検査対象部位や症例等)を取得する。次に、判定機能110cは、検査情報に応じて事前に設定された撮影角度を、第1の撮影角度及び第2の撮影角度として取得する。そして、判定機能110cは、検査情報に応じて取得した第1の撮影角度及び第2の撮影角度に基づいて、第1の判定及び第2の判定を実行する。
【0110】
また、上述した実施形態では、第1のアームの例として第1のアーム105a(Cアーム)について説明した。また、第2のアームの例として第2のアーム105b(Ωアーム)について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、第1のアームが第2アーム105bであり、第2のアームが第1のアーム105aであってもよい。
【0111】
また、上述した実施形態では、X線診断装置10における処理回路110が、判定機能110cを有するものとして説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、X線診断装置10と接続された医用情報処理装置の処理回路が、判定機能110cに相当する機能を有する場合であってもよい。
【0112】
例えば、X線診断装置10は、
図7に示すように、ネットワークNWを介して、画像保管装置20及び医用情報処理装置30と接続される。なお、
図7は、第3の実施形態に係る医用情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0113】
画像保管装置20は、被検体Pの3次元医用画像データを保管する。一例を挙げると、画像保管装置20は、X線診断装置10において収集された被検体Pの3次元X線画像データI1や、図示しないX線CT装置において収集された被検体Pの3次元CT画像データを受け付けて、装置内又は装置外に設けられたメモリに記憶させる。例えば、画像保管装置20は、サーバ装置等のコンピュータ機器によって実現される。
【0114】
医用情報処理装置30は、入力インターフェース31と、ディスプレイ32と、メモリ33と、処理回路34とを有する。入力インターフェース31は、操作者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路34に出力する。例えば、入力インターフェース31は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、入力インターフェース31は、医用情報処理装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。また、入力インターフェース31は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、医用情報処理装置30とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路34へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース31の例に含まれる。
【0115】
ディスプレイ32は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ32は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイである。ディスプレイ32は、デスクトップ型でもよいし、医用情報処理装置30本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0116】
メモリ33は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。例えば、メモリ33は、被検体Pの3次元医用データを記憶する。また、例えば、メモリ33は、医用情報処理装置30に含まれる回路がその機能を実現するためのプログラムを記憶する。なお、メモリ33は、医用情報処理装置30とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)により実現されることとしてもよい。
【0117】
処理回路34は、受付機能34a、判定機能34b、表示制御機能34c及び出力機能34dを実行することで、医用情報処理装置30全体の動作を制御する。ここで、受付機能34aは、受付部の一例である。また、判定機能34bは、判定部の一例である。また、表示制御機能34cは、表示制御部の一例である。また、出力機能34dは、出力部の一例である。
【0118】
例えば、処理回路34は、受付機能34aに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、第1の撮影角度及び第2の撮影角度の入力操作を受け付ける。また、例えば、処理回路34は、判定機能34bに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に基づいて、第1の判定及び第2の判定を実行する。また、例えば、処理回路34は、表示制御機能34cに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、第1の判定及び第2の判定の結果を表示する。また、例えば、処理回路34は、出力機能34dに対応するプログラムをメモリ33から読み出して実行することにより、第1の判定及び第2の判定の結果を示す情報を、X線診断装置10に対して出力する。
【0119】
図7に示す医用情報処理装置30においては、各処理機能がコンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ33へ記憶されている。処理回路34は、メモリ33からプログラムを読み出して実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路34は、読み出したプログラムに対応する機能を有することとなる。なお、
図7においては、受付機能34a、判定機能34b、表示制御機能34c及び出力機能34dの各処理機能が単一の処理回路34によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路34は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路34が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0120】
例えば、表示制御機能34cは、まず、被検体Pの3次元医用画像データをディスプレイ32において回転可能に表示する。一例を挙げると、表示制御機能34cは、画像保管装置20により保管されている3次元医用画像データや、X線診断装置10により収集された3次元X線画像データI1等をネットワークNWを介して取得し、ディスプレイ32において回転可能に表示する。次に、受付機能34aは、ディスプレイ32における3次元医用画像データの表示角度を選択する操作を、第1の撮影角度及び第2の撮影角度の入力操作として受け付ける。
【0121】
次に、判定機能34bは、受付機能34aが受け付けた第1の撮影角度及び第2の撮影角度に基づいて、第1の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置することが可能か否かを判定する第1の判定と、第1の撮影角度に応じて第2のアーム105bを配置すると共に第2の撮影角度に応じて第1のアーム105aを配置することが可能か否かを判定する第2の判定とを実行する。なお、判定機能34bは、受付機能34aが受け付けた第1の撮影角度及び第2の撮影角度に代えて、所定の第1の撮影角度及び第2の撮影角度を用いてもよい。
【0122】
次に、出力機能34dは、第1の判定及び第2の判定の結果を示す情報を、X線診断装置10に対して出力する。例えば、出力機能34dは、第1の判定及び第2の判定の結果に基づいて、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対する第1のアーム105a及び第2のアーム105bの割り当てを決定する。一例を挙げると、表示制御機能34cは、第1の判定及び第2の判定の結果を、ディスプレイ32において表示する。次に、出力機能34dは、第1の判定及び第2の判定の結果を参照した操作者からの入力操作を受け付けることにより、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対する第1のアーム105a及び第2のアーム105bの割り当てを決定する。そして、出力機能34dは、決定した割り当てを、第1の判定及び第2の判定の結果を示す情報として、X線診断装置10に対して出力する。
【0123】
別の例を挙げると、出力機能34dは、第1の判定及び第2の判定の結果を示す情報として、第1の判定及び第2の判定の結果をX線診断装置10に対して出力する。この場合、X線診断装置10における制御機能110aは、医用情報処理装置30から受信した第1の判定及び第2の判定の結果に基づいて、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対する第1のアーム105a及び第2のアーム105bの割り当てを決定する。一例を挙げると、表示制御機能110dは第1の判定及び第2の判定の結果を、ディスプレイ108において表示する。そして、制御機能110aは、第1の判定及び第2の判定の結果を参照した操作者からの入力操作を受け付けることにより、第1の撮影角度及び第2の撮影角度に対する第1のアーム105a及び第2のアーム105bの割り当てを決定する。
【0124】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ107又はメモリ33に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0125】
なお、
図1及び
図7においては、単一のメモリ107又はメモリ33が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明した。しかしながら、複数のメモリ107を分散して配置し、処理回路110は、個別のメモリ107から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。同様に、複数のメモリ33を分散して配置し、処理回路34は、個別のメモリ33から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。また、メモリ33及びメモリ107にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0126】
また、処理回路110及び処理回路34は、ネットワークNWを介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路110は、メモリ107から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、X線診断装置10とネットワークNWを介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、
図1に示す各機能を実現する。
【0127】
上述した実施形態に係る各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行われる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0128】
また、上述した実施形態で説明した医用情報処理方法は、予め用意された医用情報処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この医用情報処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この医用情報処理プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO、DVD等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0129】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、バイプレーンのX線診断装置において、撮影角度の設定の自由度を向上させることができる。
【0130】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0131】
1 医用情報処理システム
10 X線診断装置
102a 第1のX線管
102b 第2のX線管
105a 第1のアーム
105b 第2のアーム
106a 第1のX線検出器
106b 第2のX線検出器
110 処理回路
110a 制御機能
110b 受付機能
110c 判定機能
110d 表示制御機能
30 医用情報処理装置
34 処理回路
34a 受付機能
34b 判定機能
34c 表示制御機能
34d 出力機能