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  • 特許-解砕装置 図1
  • 特許-解砕装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】解砕装置
(51)【国際特許分類】
   B02C 19/20 20060101AFI20241217BHJP
   B07B 1/28 20060101ALI20241217BHJP
   B02C 23/16 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B02C19/20 Z
B07B1/28 B
B02C23/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020045939
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021146235
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】505328085
【氏名又は名称】古河産機システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】磯崎 傑
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋平
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-176583(JP,U)
【文献】特開2020-037070(JP,A)
【文献】特公昭36-000136(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B02C 19/20
B07B 1/28
B02C 23/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動スクリーンと、
前記振動スクリーン上に配置された弾性体と、
を備え、
前記振動スクリーンと前記弾性体との間に入り込んだ対象物を前記振動スクリーンの振動によって解砕して篩い分け、
前記弾性体の一方の端部である基端は、前記弾性体のうち前記振動スクリーンから離間して位置しており、
前記弾性体は、前記基端から、前記弾性体のうち前記基端より前記振動スクリーンの下流側に位置する他方の端部と間の部分にかけて、垂れ下がっており、
前記弾性体のうち前記他方の端部と前記部分の間の領域によって、前記対象物を前記振動スクリーンへ押さえつけ、
前記基端は、前記振動スクリーンの振動伝わらない部材に固定されている解砕装置。
【請求項2】
振動スクリーンと、
前記振動スクリーン上に配置された弾性体と、
を備え、
前記振動スクリーンと前記弾性体との間に入り込んだ対象物を前記振動スクリーンの振動によって解砕して篩い分け、
前記弾性体の一方の端部である基端は、前記弾性体のうち前記振動スクリーンから離間して位置しており、
前記弾性体は、前記基端から、前記弾性体のうち前記基端より前記振動スクリーンの下流側に位置する他方の端部と間の部分にかけて、垂れ下がっており、
前記弾性体のうち前記他方の端部と前記部分の間の領域によって、前記対象物を前記振動スクリーンへ押さえつけ、
前記弾性体の所定部分の上方に配置されており、前記弾性体の前記所定部分の上方への移動を規制する規制部をさらに備える解砕装置。
【請求項3】
請求項2に記載の解砕装置において、
前記規制部は、前記振動スクリーンの上面から、前記振動スクリーンの振動の最大振幅の上下方向の成分の1.25倍以上8.00倍以下の高さだけ離れた位置で前記弾性体の前記所定部分に接触可能になっている、解砕装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の解砕装置において、
前記弾性体は、前記振動スクリーンによって篩い分けられる対象物の供給口の中心から前記振動スクリーンの全長の1/3以上1/2以下離れた位置から前記弾性体の先端にかけて、前記振動スクリーンの上面に沿って配置されている、解砕装置。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一項に記載の解砕装置において、
前記弾性体は、コンベヤベルトである、解砕装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、解砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
解砕装置では、振動スクリーンによって種々の対象物が解砕される。例えば特許文献1に記載の解砕装置は、振動スクリーン上を移動する対象物を解砕する解砕する解砕手段を備えている。この解砕手段は、振動スクリーン上を移動する対象物を一時的に収容する収容部と、収容部内に収容された対象物を解砕する金属体と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-5578号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解砕装置においては振動スクリーンの篩効率が高いことが望ましい。このような要求に対応するため、例えば特許文献1に記載されているように、解砕手段を用いる場合がある。しかしながら、この解砕手段においては、収容部を設けるために既存の振動スクリーンを改造する必要がある。
【0005】
本発明の目的の一例は、振動スクリーンの篩効率を簡易に高くすることにある。本発明のさらなる目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、
振動スクリーンと、
前記振動スクリーン上に配置された弾性体と、
を備え、
前記弾性体は、前記弾性体のうち前記振動スクリーンから離間して位置する第1部分から、前記弾性体のうち前記第1部分より前記振動スクリーンの下流側に位置する第2部分にかけて、垂れ下がっている、解砕装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、振動スクリーンの篩効率を簡易に高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る解砕装置の側面図である。
図2図1に示した解砕装置の前面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0010】
図1は、実施形態に係る解砕装置10の側面図である。図2は、図1に示した解砕装置10の前面図である。
【0011】
解砕装置10は、振動スクリーン100、弾性体200及び規制部300を備えている。
【0012】
解砕装置10は、振動スクリーン100及び弾性体200によって、所定の対象物を解砕する。本実施形態において、解砕装置10によって解砕される対象物は、HPGR(High Pressure Grinding Roll)によって粉砕された各種鉱石の粉砕物である。鉱石としては、例えば、骨材に利用される砂岩や安山岩や石灰岩が挙げられる。解砕装置10によって解砕されなかった粉砕物は、HPGRに再び戻される。したがって、粉砕物の生産性向上の観点から、振動スクリーン100の篩効率は高いことが望ましい。なお、解砕装置10によって解砕される対象物は、本実施形態で挙げる例に限定されない。
【0013】
振動スクリーン100は、上記対象物を篩い分ける。具体的には、供給口110から振動スクリーン100の上面上に供給された対象物は、振動スクリーン100に形成された開口を経由して振動スクリーン100の下方に落とされる。振動スクリーン100は、供給された対象物を搬送するために鉛直方向に対して斜め前方向に振動している。具体的には、振動スクリーン100は、図1において、右斜め上方向と左斜め下方向との間で振動している。これによって、振動スクリーン100の上面上に載せられた対象物は、振動スクリーン100の上面上で振動する。さらに、振動スクリーン100の上面上に載せられた対象物は、振動スクリーン100の上流から下流に向けて、具体的には、図1の左側から右側に向けて、かつ図2の奥側から手前側に向けて、移動する。なお、振動スクリーン100の振動は上述した態様に限定されるものではない。振動スクリーン100の振動としては、例えば、円振動や楕円振動もある。
【0014】
本実施形態において、振動スクリーン100は、振動スクリーン100の上面が水平方向に平行となるように配置されている。しかしながら、振動スクリーン100は、振動スクリーン100の上面が振動スクリーン100の上流から下流にかけて水平方向から斜め下に向けて傾くように配置されていてもよい。
【0015】
弾性体200は、振動スクリーン100上に配置されている。弾性体200は、基端202及び先端204を有している。弾性体200の基端202は、振動スクリーン100から離間して位置している。弾性体200の先端204は、弾性体200の基端202より振動スクリーン100の下流側に位置している。弾性体200は、基端202から先端204にかけて垂れ下がっている。つまり、本実施形態において、弾性体200は、振動スクリーン100から離間して位置する第1部分から、弾性体200のうち第1部分より振動スクリーン100の下流側に位置する第2部分にかけて、垂れ下がっている。弾性体200の第1部分は、基端202であってもよいし、又は基端202と異なる部分であってもよい。弾性体200の第2部分は、先端204であってもよいし、又は先端204と異なる部分であってもよい。
【0016】
本実施形態によれば、解砕装置10によって解砕される対象物が、振動スクリーン100の上流から振動スクリーン100と弾性体200との間に入り込む。振動スクリーン100と弾性体200との間に入り込んだ対象物は、弾性体200の自重によって振動スクリーン100に向けて押さえつけられながら、振動スクリーン100の振動によって篩い分けられる。これによって、弾性体200が設けられていない場合と比較して、対象物の解砕を促進することができる。さらに、本実施形態は、弾性体200を導入するのみで、実現可能になっている。すなわち、本実施形態は、既存の振動スクリーンを改造することなく、実現可能になっている。したがって、弾性体200が設けられていない場合と比較して、振動スクリーン100の篩効率を簡易に高くすることができる。
【0017】
さらに、本実施形態によれば、鉱石等の粉砕物に含まれる水分量が、粉砕物が例えばHPGRにおいてフレーク状に固まりやすい程度の量であっても、弾性体200が設けられていない場合と比較して、振動スクリーン100の篩効率を高くすることができる。例えば、水分量が適切な量程度に少ない場合、粉砕物はフレーク状に固まりにくい。また、水分量が当該適切な量を超えて多い場合、粉砕物はフレーク状に固まりやすい。また、水分量がさらに多い場合、粉砕物が流動性を有するようになり、粉砕物はフレーク状に固まりにくい。仮に、弾性体200が設けられていない場合、フレーク状に固まった粉砕物の篩効率は、フレーク状に固まっていない粉砕物の篩効率よりも低くなりやすい。これに対して、本実施形態によれば、上述したように、弾性体200が設けられていない場合と比較して、粉砕物の解砕を促進することができる。したがって、鉱石等の粉砕物に含まれる水分量が、粉砕物がフレーク状に固まりやすい程度の量であっても、弾性体200が設けられていない場合と比較して、振動スクリーン100の篩効率を高くすることができる。
【0018】
本実施形態において、弾性体200とは、振動スクリーン100の上方から垂れ下げられた場合において、振動スクリーン100の上面に沿って変形可能な可撓性を有し、かつ振動スクリーン100によって篩い分けられる対象物を上方から押さえつけ可能な自重を有する材料である。「可撓性」とは、弾性体200を振動スクリーン100の上方から振動スクリーン100に向けて垂れ下げるだけで、すなわち、弾性体200に外力を加えることなく、弾性体200が振動スクリーン100の上面に沿って変形可能であることを意味する。振動スクリーン100によって篩い分けられる対象物を上方から強く押さえる観点から、弾性体200の単位面積当たりの重量は、例えば、5kg/m以上にすることができる。一方、弾性体200が重すぎると対象物が振動スクリーン100の振動によって振動しにくくなる。このため、弾性体200の単位面積当たりの重量は、例えば、25kg/m以下にすることができる。
【0019】
本実施形態において、弾性体200は、コンベヤベルトである。弾性体200に用いられるコンベヤベルトとしては、公知のコンベヤベルト、例えば、帆布を含む芯材層と、芯材層の両面上に配置された上カバーゴム層及び下カバーゴム層と、を有するコンベヤベルトや、スチールコードを含む芯材層と、芯材層の両面上に配置された上カバーゴム層及び下カバーゴム層と、を有するコンベヤベルト等を用いることができる。なお、弾性体200は、コンベヤベルトに限定されない。例えば、弾性体200は、天然ゴム、ウレタンゴム等のゴム単独からなるゴム板であってもよい。また、弾性体200は、ベルト形状でなくてもよく、例えば、紐形状であってもよい。
【0020】
仮に、振動スクリーン100の一部材を弾性体200の基端202とすると、振動スクリーン100の当該一部材は弾性体200の質量を受け持ちながら振動により壊れない強度を必要とする。しかしながら、この場合、振動スクリーン100の重量が増すためエネルギー効率が悪化する。このため、弾性体200の基端202は、振動スクリーン100の振動から独立した部材、すなわち、振動スクリーン100の振動が伝わらない部材、又は当該部材の周辺設備の梁部材に固定されていることが好ましい。例えば、弾性体200の基端202は、振動スクリーン100によって篩い分けられる対象物に散水する散水部に固定させることができる
【0021】
本実施形態では、図1に示すように、振動スクリーン100の上流から下流にかけて1段のみの弾性体200が配置されている。しかしながら、振動スクリーン100の上流から下流にかけて複数段の弾性体200が配置されていてもよい。また、本実施形態では、図2に示すように、複数の弾性体200、具体的には2つの弾性体200が振動スクリーン100の幅方向に沿って並んで配置されている。しかしながら、振動スクリーン100の幅方向に沿って配置される振動スクリーン100の数は、1つのみであってもよい。
【0022】
弾性体200は、振動スクリーン100によって篩い分けられる対象物の供給口110の中心から所定距離L1だけ離れた位置から弾性体200の先端204にかけて、振動スクリーン100の上面に沿って配置されている。「沿って」とは、弾性体200が振動スクリーン100の上面とほぼ平行に配置されていることを意味する。供給口110の近傍では、振動スクリーン100の篩目よりも小さな粒子等の対象物がまだ振動スクリーン100から十分に落ちていない。このため、供給口110の近傍における対象物の堆積物の厚さは、供給口110の遠方における対象物の堆積物の厚さより厚くなっている。この場合、供給口110の近傍に弾性体200を設けても、弾性体200による篩効率の向上はあまり見込めない。このような観点から、所定距離L1は、振動スクリーン100の全長Lの例えば1/3以上にすることができる。一方、弾性体200が供給口110から遠すぎる位置に設けられていても、弾性体200による篩効率の向上はまり見込めない。このような観点から、所定距離L1は、振動スクリーン100の全長Lの例えば1/2以下にすることができる。
【0023】
規制部300は、弾性体200の所定部分、すなわち、弾性体200のうちの基端202と先端204の間の一部分の上方に配置されている。また、規制部300は、弾性体200の当該部分の上方への移動を規制している。具体的には、弾性体200の当該部分が振動スクリーン100の振動によって跳ね上げられても、弾性体200の当該部分が規制部300に接触することで、弾性体200の当該部分の上方への移動が規制されている。本実施形態において、規制部300は、振動スクリーン100の幅方向に平行な方向に沿って延伸する鋼管等の梁部材である。しかしながら、規制部300の形状は、本実施形態に係る形状に限定されない。
【0024】
規制部300は、振動スクリーン100の上面から所定高さHだけ離れた位置で弾性体200の上記所定部分に接触可能になっている。振動スクリーン100が弾性体200を介して規制部300に衝突することを抑制する観点から、所定高さHは、振動スクリーン100の振動の最大振幅の上下方向の成分の例えば1.25倍以上にすることができる。また、所定高さHが振動スクリーン100の振動の最大振幅の上下方向の成分に対して極端に高く、かつ規制部300に沿って弾性体200が湾曲している場合、規制部300が位置する箇所から振動スクリーン100の下流側にかけて、弾性体200のうち振動スクリーン100から離れて位置する部分の範囲が比較的大きくなる。したがって、振動スクリーン100と弾性体200との接触範囲を一定以上確保する観点から、所定高さHは、振動スクリーン100の振動の最大振幅の上下方向の成分の例えば8.00倍以下にすることができる。
【0025】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0026】
10 解砕装置
100 振動スクリーン
110 供給口
200 弾性体
202 基端
204 先端
300 規制部
図1
図2