(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】窓リフォーム方法および樹脂サッシ
(51)【国際特許分類】
E06B 1/56 20060101AFI20241217BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20241217BHJP
E06B 3/22 20060101ALI20241217BHJP
E06B 3/24 20060101ALI20241217BHJP
E06B 3/34 20060101ALI20241217BHJP
E06B 3/62 20060101ALI20241217BHJP
E06B 3/58 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
E06B1/56 A
E06B3/46
E06B3/22
E06B3/24
E06B3/34
E06B3/62
E06B3/58 B
(21)【出願番号】P 2020182296
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 城太郎
(72)【発明者】
【氏名】伊東 雅紀
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-310086(JP,A)
【文献】特開2015-196975(JP,A)
【文献】特開2008-115624(JP,A)
【文献】特開2016-128638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/56
E06B 1/70
E06B 1/26
E06B 3/00- 3/46
E06B 3/50- 3/52
E06B 3/58
E06B 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂サッシにおける障子を交換する窓リフォーム方法において、
開口部に設けられ四方を枠組みした既設枠体から既設障子を取り外し、
前記既設障子よりも高い断熱性能を有する新設障子を前記既設枠体に取り付け
、
前記樹脂サッシは、引違い窓であり、
前記既設障子よりも框見付け寸法が小さい前記新設障子が前記既設枠体に取り付けられる窓リフォーム方法。
【請求項2】
ペアガラスを備えた前記既設障子からトリプルガラスを備えた前記新設障子に交換し、
前記新設障子のガラスを保持する押し縁とガラスパッキンは、前記既設障子のガラスを保持する押し縁とガラスパッキンより厚さ寸法が小さいものが取り付けられている、請求項1に記載の窓リフォーム方法。
【請求項3】
前記既設枠体の下枠のうち外障子を支持する外レールは、内障子を支持する内レールよりも低くなるように階段形状に形成され、
前記外レールに支持される外レール支持部を挟んだ屋内外に位置する外障子の下框の下端が同じ高さに形成された前記新設障子を、前記既設枠体に取り付け、
前記外障子の前記下框における屋外側下端には、該屋外側下端から下方に延びた状態で配置される垂下部が取り付けられる、請求項1又は2に記載の窓リフォーム方法。
【請求項4】
請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の窓リフォーム方法によって、前記既設枠体に前記新設障子が取り付けられた樹脂サッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、窓リフォーム方法および樹脂サッシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、引違いサッシ等の建具の下枠は、屋外側の端部が屋内側の端部よりも低い位置に配置されるように階段状に形成されているものがあった。外障子の下框は、この形状の下枠に対応して、ガラスよりも屋外側に配置される屋外部材の下端が、ガラスよりも屋内側に配置される屋内部材の下端よりも低い位置まで延びる形状をしていた。
【0003】
近年では、特許文献1に示されるように、下枠が屋外側から屋内側にわたって同じ高さで形成され、トリプルガラスを採用した高い断熱性能を有する障子の下框の屋外部材及び屋内部材が同じ高さで形成されたものが知られている。特許文献1には、新設障子の下框に対応する新設枠体をアタッチメントとして階段状に形成された既設枠体の下枠に取り付け、その新設枠体の上に新設障子を取り付けることにより、既設障子から新設障子に交換する方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されるような下框の屋外部材及び屋内部材が同じ高さで形成される障子を階段状に形成された既設枠体の下枠に取り付けて新設障子に交換する場合には、下枠に新設枠体を新たに設け、内レールと外障子を支持する外レールとを同じ高さとなる下枠構造に変更する作業が発生する。このように、従来の窓リフォーム方法では、手間のかかる作業を行う必要があることから、施工性や作業性の点で課題があり、その点で改善の余地があった。
【0006】
本開示は、既設枠体を構造変更することなく使用でき、既設枠体に対して障子のみを交換して高断熱性能を有する新設障子に取り替えることができる窓リフォーム方法および樹脂サッシを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の窓リフォーム方法は、樹脂サッシにおける障子を交換する窓リフォーム方法において、開口部に設けられ四方を枠組みした既設枠体から既設障子を取り外し、前記既設障子よりも高い断熱性能を有する新設障子を前記既設枠体に取り付け、前記樹脂サッシは、引違い窓であり、前記既設障子よりも框見付け寸法が小さい前記新設障子が前記既設枠体に取り付けられる。
【0008】
本開示の他の態様の樹脂サッシは、上述した窓リフォーム方法によって、前記既設枠体に前記新設障子が取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の第1実施形態による障子の取替前の引違い窓を示した縦断面図。
【
図4】アタッチメントの固定部の取付孔を示した図。
【
図5】第2実施形態による障子の取替前の縦すべり出し窓を示した縦断面図。
【
図6】障子の取替後の縦すべり出し窓を示した縦断面図。
【
図7】第2実施形態による障子の取替後の縦すべり出し窓を示した横断面図。
【
図9】第3実施形態による障子の取替前の開き窓を示した縦断面図。
【
図12】第4実施形態による障子の取替前の勝手口窓を示した縦断面図。
【
図13】障子の取替後の勝手口窓を示した縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、一実施形態による窓リフォーム方法および樹脂サッシの一例として引違い窓について、図面に基づいて説明する。本実施形態の窓リフォーム方法では、
図1に示す既設の引違い窓100(樹脂サッシ)の既設枠体1を現状のまま利用し交換することなく、
図2に示すように、新たな障子(外障子2及び内障子3)のみを交換する方法である。本実施形態では、
図2に示すように、既設枠体1に設けられた新たな外障子5の下端部にアタッチメント7を設ける。
【0011】
既設の引違い窓100は、建築物の外壁の外壁開口部Waに設けられている。既設の引違い窓100は、既設枠体1と、外障子2と、内障子3と、網戸4と、を備えている。
【0012】
以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向を屋内外方向と称する。屋内外方向と直交する見付け方向のうち、水平方向に沿う方向を幅方向と称し、鉛直方向を上下方向と称する。
【0013】
既設枠体1は、四方枠状に形成されている。既設枠体1は、上枠11と、下枠12と、一対の縦枠13と、を有している。本実施形態では、既設枠体1は樹脂製であるが、アルミ合金等の金属形材から構成されたものやアルミ樹脂複合(アルミニウム製部材と樹脂製部材とが組み付けられた構成)であってもよい。
【0014】
上枠11及び下枠12は、幅方向に延びている。縦枠13は、上下方向に延びている。各縦枠13は、上枠11の端部と下枠12の端部とを連結している。
【0015】
下枠12は、上段部121と、一対の内レール支持部122と、内レール123と、中段部124と、一対の外レール支持部125と、外レール126と、下段部127と、網戸レール128と、を有している。
【0016】
上段部121は、下枠12の屋内側に配置されている。上段部121は、板状に形成されている。上段部121の板面は、上下方向を向いている。一対の内レール支持部122は、上段部121の屋外側の端部に設けられている。内レール支持部122は、上段部121から上方に突出している。内レール123は、一対の内レール支持部122の間に嵌合されている。内レール123は、内障子3を支持している。
【0017】
中段部124は、上段部121よりも屋外側に配置されている。中段部124は、上段部121よりも低い高さに配置されている、中段部124は、板状に形成されている。中段部124の板面は、上下方向を向いている。一対の外レール支持部125は、中段部124の屋外側の端部に設けられている。外レール支持部125は、中段部124から上方に突出している。外レール126は、一対の外レール支持部125の間に嵌合されている。外レール126は、外障子2を支持している。
【0018】
下段部127は、中段部124よりも屋外側に配置されている。下段部127は、中段部124よりも低い高さに配置されている。網戸レール128は、下段部127の屋外側の端部から上方に突出している。
【0019】
下枠12では、中段部124が上段部121よりも低い高さに配置され、下段部127が中段部124よりも低い高さに配置されている。外障子2を支持する外レール126が、内障子3を支持する内レール123よりも低い高さに配置されている。このように下枠12は階段状に形成されている。
【0020】
外障子2は、内障子3よりも屋外側に配置されている。外障子2及び内障子3は、既設枠体1に幅方向にスライド可能に設けられている。外障子2及び内障子3が閉じた状態で、外障子2及び内障子3は既設枠体1内を閉塞する。
【0021】
外障子2は、框体20と、ガラス29と、を有している。框体20は、四方枠状に形成されている。框体20は、上框21と、下框22と、一対の縦框23と、を有している。本実施形態では、框体20は樹脂製であるが、アルミ合金等の金属形材から構成されたものやアルミ樹脂複合であってもよい。上框21及び下框22は、幅方向に延びている。縦框23は、上下方向に延びている。各縦框23は、上框21の端部と下框22の端部とを連結している。
【0022】
下框22は、外板部221と、内板部222と、連結板部223と、を有している。外板部221は、ガラス29よりも屋外側に配置されている。内板部222は、ガラス29よりも屋内側に配置されている。外板部221及び内板部222は、板状に形成されている。外板部221の板面及び内板部222の板面は、屋内外方向を向いている。外板部221及び内板部222は、外障子2の幅方向の略全長にわたって配置されている。
【0023】
外板部221の上下方向の長さは、内板部222の上下方向の長さよりも長い。外板部221の上端部と内板部222の上端部とは、略同一の高さに位置している。外板部221の下端部221dは、内板部222の下端部222dよりも下方に位置している。
【0024】
下枠12の外レール支持部125よりも屋外側では、外障子2の下框22の外板部221の下端部221dを通るように水平方向に沿う気密ラインA1が形成されている。
【0025】
連結板部223は、外板部221の上下方向の中間と内板部222の上下方向の中間とを連結している。連結板部223には、上下方向に貫通する戸車孔(不図示)が形成されている。戸車孔には、戸車224が設けられている。戸車224は、下枠12の外レール126上を走行可能とされている。
【0026】
ガラス29は、框体20内に納められている。本実施形態では、ガラス29は、ペアガラスであるが、単板ガラス等であってもよい。
【0027】
内障子3は、框体30と、ガラス39と、を有している。框体30は、四方枠状に形成されている。框体30は、上框31と、下框32と、一対の縦框33と、を有している。本実施形態では、框体30は樹脂製であるが、アルミ合金等の金属形材から構成されたものやアルミ樹脂複合であってもよい。上框31及び下框32は、幅方向に延びている。縦框33は、上下方向に延びている。各縦框33は、上框31の端部と下框32の端部とを連結している。下框32には、戸車324が設けられている。戸車324は、下枠12の内レール123上を走行可能とされている。
【0028】
ガラス39は、框体30内に納められている。本実施形態では、ガラス39は、ペアガラスであるが、単板ガラス等であってもよい。
【0029】
網戸4は、外障子2よりも屋外側に配置されている。網戸4は、下枠12の網戸レール128上を走行可能とされている。
【0030】
図2に示すように、新設の引違い窓200(新設障子)は、既設の引違い窓100の既設枠体1をそのまま利用して、既設の外障子2及び内障子3を、新設の外障子5及び内障子6に取り替えたものである。取替後の新設の外障子5を新設外障子5とし、取替後の新設の内障子6を新設内障子6とする。新設の引違い窓200の構成要素において、既設の引違い窓100の構成要素と同一のものは同一の符号を付して、その構成要素の説明を省略する。
【0031】
新設の引違い窓200は、既設枠体1と、新設外障子5と、新設内障子6と、網戸4と、を備えている。
【0032】
新設外障子5は、框体50と、ガラス59と、を有している。框体50は、四方枠状に形成されている。框体50は、上框51と、下框52と、一対の縦框53と、を有している。本実施形態では、框体50は樹脂製であるが、アルミ合金等の金属形材から構成されたものやアルミ樹脂複合であってもよい。上框51及び下框52は、幅方向に延びている。縦框53は、上下方向に延びている。各縦框53は、上框51の端部と下框52の端部とを連結している。
【0033】
ガラス59は、框体50内に納められている。本実施形態では、ガラス59は、既設の引違い窓100のガラス29よりも断熱性が良いトリプルガラスであるが、既設障子よりも断熱性能が良ければ単板ガラスや合わせガラス、ペアガラス等であってもよい。
【0034】
新設内障子6は、新設外障子5とガラス59の大きさが異なる以外は同様の構成であり、同一の符号を付して説明を省略する。新設内障子6の下框52と新設外障子5の下框52とは、同じ寸法及び同じ断面形状である。
【0035】
新設外障子5において、上框51の上下方向の長さは、既設の引違い窓100の外障子2の上框21の上下方向の長さよりも短い。下框52の上下方向の長さは、下框22の上下方向の長さよりも短い。縦框53の幅方向の長さは、縦框23の幅方向の長さよりも短い。これによって、新設外障子5のガラス59の上下方向の及び幅方向の長さが、既設の外障子2のガラス29の上下方向の及び幅方向の長さよりも長くすることができ、採光性や断熱性を既設よりも高めることができる。
【0036】
図3に示すように、新設外障子5の下框52の下端部には、アタッチメント7が設けられている。下框52は、第一外板部(屋外側壁部)521と、第二外板部522と、第一内板部523と、第二内板部524と、連結板部525と、を有している。
【0037】
第一外板部521は、ガラス59よりも屋外側に配置されている。第二外板部522は、第一外板部521よりも屋内側に配置されている。屋外側壁部521と第二外板部522は、屋内外方向に対向配置されている。第一外板部521と第二外板部522との間には、中空部が形成されている。屋外側壁部521の下端部と第二外板部522の下端部とは、同じ高さに位置している。第一外板部521及び第二外板部522は、板状に形成されている。第一外板部521の板面及び第二外板部522の板面は、屋内外方向を向いている。第一外板部521及び第二外板部522は、新設外障子5の幅方向の略全長にわたって配置されている。
【0038】
第一内板部523は、ガラス59よりも屋内側に配置されている。第二内板部524は、第一内板部523よりも屋外側に配置されている。第一内板部523及び第二内板部524は、板状に形成されている。第一内板部523の板面及び第二内板部524の板面は、屋内外方向を向いている。第一内板部523及び第二内板部524は、新設外障子5の幅方向の略全長にわたって配置されている。
【0039】
連結板部525は、第二外板部522の上下方向の中間と第二内板部524の上下方向の中間とを連結している。連結板部525には、上下方向に貫通する戸車孔(不図示)が形成されている。戸車孔には、戸車526が設けられている。
【0040】
第一外板部521の下部と第二外板部522の下部とは、外連結壁部531で連結されている。外連結壁部531には、上下方向に貫通するねじ孔532が形成されている。ねじ孔532には、後述する螺子78が螺合されている。
【0041】
第一外板部521の下端部には、屋内側に延びる第一外係止壁部533が設けられている。第二外板部522の下端部には、屋外側に延びる第二外係止壁部534が設けられている。第一外係止壁部533と第二外係止壁部534とは、同じ高さに位置している。第一外係止壁部533と第二外係止壁部534との間には、隙間が形成されている。この隙間に、螺子78が挿通されている。
【0042】
第一内板部523の下端部には、屋外側に延びる第一内係止壁部535が設けられている。第二内板部524の下端部には、屋内側に延びる第二内係止壁部536が設けられている。第一内係止壁部535と第二内係止壁部536との間には、内側気密材541が嵌合されている。内側気密材541は、第一内係止壁部535及び第二内係止壁部536に沿って、下框52の略全長にわたって配置されている。内側気密材541の屋外側の端部は、外レール支持部125に当接している。
【0043】
アタッチメント7は、下框52の下端部に取り付けられている。アタッチメント7は、第一外係止壁部533及び第二外係止壁部534に沿って配置されている。アタッチメント7は、下框52の略全長にわたって配置されている。アタッチメント7は、固定部71と、垂下部72と、を有している。本実施形態では、アタッチメント7はアルミニウム等の金属製であるが、樹脂製等他の材料で構成されていてもよい。
【0044】
固定部71は、第一外係止壁部533の下面及び第二外係止壁部534の下面に沿って配置されている。固定部71は、板状に形成されている。固定部71の板面は上下方向を向いている。
図4に示すように、固定部71の屋内側の端部711には、屋外側に凹むように取付孔712が形成されている。取付孔712は、固定部71の長手方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0045】
取付孔712は、螺子挿通孔部713及び螺子固定孔部714によって形成されている。螺子挿通孔部713は、端部711から略矩形状に凹む形状をしている。螺子固定孔部714は、螺子挿通孔部713に連続して形成され、略円形状をしている。螺子挿通孔部713の幅(新外障子5の幅方向における長さ)W1は、後述する螺子78の螺子部781の径よりも長い。これによって、螺子部781が螺子挿通孔部713を挿通可能とされている。螺子固定孔部714の直径W2は、螺子挿通孔部713の幅W1よりも長く、螺子78の頭部782の径よりも短い。これによって、頭部782が螺子固定孔部714に係止される。
【0046】
図3に示すように、螺子78のボルトナット形状(六角形)をした頭部782から上方に延びる螺子部781が、固定部71の取付孔712に挿通され、下框52の第一外係止壁部533と第二外係止壁部534との間の隙間に挿通され、外連結壁部531のねじ孔532に螺合されている。
【0047】
垂下部72は、固定部71の屋外側の端部から下方に延びている。垂下部72は、板状に形成されている。垂下部72の板面は、屋内外方向を向いている。垂下部72の屋外側を向く面72aは、下框52の第一外板部521の屋外側を向く面521aと、鉛直面に沿う同一平面上に配置されている。
【0048】
垂下部72の上下方向の中間には、屋内側に延びる延出壁部73が設けられている。延出壁部73の屋内側の端部には、下方に延びる下向き壁部74が設けられている。
【0049】
垂下部72の下端部には、屋内側に延びる第一支持壁部(気密材支持部)721が設けられている。下向き壁部74の下端部には、屋外側に延びる第二支持壁部(気密材支持部)741が設けられている。
【0050】
第一支持壁部721と第二支持壁部741との間には、外側気密材(気密材)542が嵌合されている。外側気密材542は、第一支持壁部721の下面及び第二支持壁部741の下面に沿って、下框52の略全長にわたって配置されている。外側気密材542の屋内側の端部は、外レール支持部125に当接している。外側気密材542は、内側気密材541と同一形状であり、屋内外方向に対称に配置されている。
【0051】
第一支持壁部721及び第二支持壁部741は、既設の引違い窓100の下框22の外板部221の下端部221d(
図1参照)と同一の高さに位置している。これによって、新設の引違い窓200の気密ラインA2は、既設の引違い窓100の気密ラインA1と同一の高さとされている。
【0052】
下枠12の一対の外レール支持部125の間には、新設の外レール8が嵌合されている。外レール8は、レール基部81と、一対のレール係止壁部82と、レール本体83と、を有している。レール基部81は、一対の外レール支持部125の上側に配置されている。一対のレール係止壁部82は、レール基部81から下方に延びている。一対のレール係止壁部82は、屋内外方向に離間して配置されている。レール係止壁部82は、外レール支持部125に係止されている。レール本体83は、レール基部81から上方に突出している。レール本体83の下端部では、屋外側の面から屋内側に湾曲して凹む凹部831が形成され、屋内側の面から屋外側に湾曲して凹む凹部831が形成されている。レール本体83の上端部は、屋内外方向に沿う鉛直断面で上に湾曲して膨らむ形状をしている。レール本体83に沿って、下框52に設けられた戸車526が走行可能とされている。
【0053】
上記のアタッチメント7を下框52に取り付けるには、螺子78の螺子部781を、下框52の第一外係止壁部533と第二外係止壁部534との間に隙間に挿通して、外連結壁部531のねじ孔532に緩く螺合しておく。このとき、螺子78の螺子部781と第一外係止壁部533及び第二外係止壁部534との間には、アタッチメント7の固定部71の厚み(上下方向の長さ)分以上の隙間を確保しておく。螺子部781における第一外係止壁部533と第二外係止壁部534よりも下方に延びている部分に、アタッチメント7の固定部71の取付孔712を挿通させるように、アタッチメント7を屋外側から屋内側に移動させる。取付孔712の螺子固定孔部714が螺子部781に到達したところで位置決めがされる。この位置で螺子78を増し締めして、螺子部781を外連結壁部531のねじ孔532に完全に螺合する。
【0054】
次に、本実施形態による窓リフォーム方法と、窓リフォーム方法および樹脂サッシの作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
図1及び
図3に示すように、上記の既設枠体1に対して既設障子(外障子2および内障子3)から新設障子(新設外障子5および新設内障子6)に取り替える際には、先ず既設枠体1から既設障子である外障子2および内障子3を取り外す。次に、既設障子よりも高い断熱性能を有する新設障子である新設外障子5および新設内障子6を既設枠体1に取り付ける。このとき、既設枠体1は、変更や補強が行われることがない。
【0055】
上記取り替えの際には、ペアガラスを備えた既設障子2、3からトリプルガラスを備えた新設障子5、6に交換する。既設障子2、3と框体20の屋内外方向の厚さを略同一にした新設障子5、6とするために、新設障子5、6を保持する押し縁91Bとガラスパッキン92Bには、既設障子2、3を保持する押し縁91Aとガラスパッキン92Aよりも厚さ寸法が小さいものが採用されている。
【0056】
上記のように交換された新設の引違い窓200は、既設障子2、3よりも框見付け寸法が小さい新設障子5、6が既設枠体1に取り付けられる。結果として、新設障子5、6のガラス開口面積が既設障子2、3のガラス開口面積よりも大きい障子を採用することができる。本実施形態の見付け寸法は、上下方向の寸法である。
【0057】
新設の引違い窓200では、新設外障子5の下框52の第一外板部521よりも下方に延びるアタッチメント7が取り付けられている。具体的には、アタッチメント7の固定部71が第一外板部521の下端部に固定される。垂下部72の上下方向の長さ分、気密ラインA2を下框52の下端部よりも低い位置にすることができる。よって、新設外障子5の下框52の下端部(第一外係止壁部533及び第二外係止壁部534)が既設の外障子2の下框22の下端部221dよりも高い位置にあっても、アタッチメント7の下端部(第一支持壁部721及び第二支持壁部741)を気密ラインA2とすることができるため、従来と同様の気密性を確保することができる。
【0058】
このように本実施形態では、既設枠体1に対して障子のみを交換して高断熱性能を有する新設障子5、6に簡単な作業により容易に取り替えることができる。すなわち、従来のように、既設枠体1の下枠12に新設枠体をアタッチメントとして設けたり、既設枠体1の構成を変更したり、既設枠体1を補強するといった手間のかかる作業が不要となるので、施工性を向上させることができる。例えば、従来のように下枠に補強を行う場合には、高断熱性能を有するトリプルガラスを有する新設障子に交換すると、この新設障子の重量が大きくなることから、この増大した重量に対応可能な十分な強度をもつ補強を枠体に行う必要があるため、補強の規模が増え、取り替えにかかる作業量も増えることになる。これに対して本実施形態では、上記の既設枠体1に対する補強が不要であるので、効率よく施工を行うことができる。
【0059】
(第2実施形態)
図5~
図8に示すように、第2実施形態による窓リフォーム方法および樹脂サッシは、縦すべり出し窓を一例とし、既設の縦すべり出し窓100Aの既設枠体1Aを現状のまま利用し交換することなく、
図5に示すように、既設障子2Aのみを新設障子5Aに交換する方法である。第2実施形態の縦すべり出し窓100Aの構成においては、上述した引違い窓100と同様の構成となる点に関しては詳しい説明を省略する。
【0060】
既設の縦すべり出し窓100Aは、既設枠体1Aと、既設障子2Aと、を備えている。既設枠体1Aは、四方枠状に形成されている。既設枠体1Aは、上枠11Aと、下枠12Aと、一対の縦枠13Aと、を有している。本実施形態では、既設枠体1Aは樹脂製であるが、アルミ合金等の金属形材から構成されたものやアルミ樹脂複合(アルミニウム製部材と樹脂製部材とが組み付けられた構成)であってもよい。既設障子2Aは、既設枠体1Aの縦枠13Aに支持された吊元の軸線を中心に既設障子2Aが回動可能に設けられている。既設障子2Aは、框体20Aと、ガラス29Aと、を有している。ガラス29Aには、ペアガラスが採用されている。
【0061】
図6及び
図7に示すように、新設の縦すべり出し窓200Aは、
図5に示す既設の縦すべり出し窓100Aの既設枠体1Aをそのまま利用して、既設障子2Aを、新設障子5Aに取り替えたものである。新設の縦すべり出し窓200Aの構成要素において、既設の縦すべり出し窓100Aの構成要素と同一のものは同一の符号を付して、その構成要素の説明を省略する。新設障子5Aは、框体50Aと、ガラス59Aと、を有している。ガラス59Aは、框体50A内に納められている。本実施形態では、ガラス59Aは、既設の縦すべり出し窓100Aのガラス29Aよりも断熱性が良いトリプルガラスが採用されている。
【0062】
新設障子5Aの框体50Aにおける框見付け寸法は、既設障子2Aの框見付け寸法に対して変更はなく同じ寸法となっている。
【0063】
トリプルガラスからなる新設障子5Aのガラス59Aを保持する押し縁93Bとガラスパッキン94Bの厚さ寸法は、既設障子2Aに設けられている押し縁93Aとガラスパッキン94Aの厚さ寸法より小さくなるように設定されている。新設障子5Aの框体50Aの見込み寸法は、既設障子2Aの框体20Aと略同一となっている。
【0064】
このように構成される第2実施形態による窓リフォーム方法および縦すべり出し窓では、障子のみを取り替えることにより、既設障子2Aから高断熱性能を有する新設障子5Aに容易に交換することができる。
【0065】
(第3実施形態)
図9~
図11に示すように、第3実施形態による窓リフォーム方法および樹脂サッシは、開き窓を一例とし、既設の開き窓100B(樹脂サッシ)の既設枠体1Bを現状のまま利用し交換することなく、既設障子2Bのみを新設障子5Bに交換する方法である。
【0066】
図10に示すように、既設の開き窓100Bは、既設枠体1Bと、既設障子2Bと、を備えている。既設枠体1Bは、四方枠状に形成されている。既設枠体1Bは、上枠11Bと、下枠12Bと、一対の縦枠13Bと、を有している。本実施形態では、既設枠体1Bは樹脂製であるが、アルミ合金等の金属形材から構成されたものやアルミ樹脂複合(アルミニウム製部材と樹脂製部材とが組み付けられた構成)であってもよい。既設障子2Bは、既設枠体1Bの縦枠13Bに支持された吊元の軸線を中心に既設障子2Bが回動可能に設けられている。既設障子2Bは、框体20Bと、ガラス29Bと、を有している。ガラス29Bには、ペアガラスが採用されている。
【0067】
図9に示すように、新設の開き窓200Bは、既設の開き窓100Bの既設枠体1Bをそのまま利用して、既設障子2Bを、新設障子5Bに取り替えたものである。新設の開き窓200Bの構成要素において、既設の開き窓100Bの構成要素と同一のものは同一の符号を付して、その構成要素の説明を省略する。新設障子5Bは、框体50Bと、ガラス59Bと、を有している。ガラス59Bは、框体50B内に納められている。本実施形態では、ガラス59Bは、既設の開き窓100Bのガラス29Bよりも断熱性が良いトリプルガラスが採用されている。
【0068】
トリプルガラスからなる新設障子5Bのガラス59Bを保持する押し縁95Bとガラスパッキン96Bの厚さ寸法は、既設障子2Bに設けられている押し縁95Aとガラスパッキン96Aの厚さ寸法より小さくなるように設定されている。新設障子5Bの框体50Bの見込み寸法は、既設障子2Bの框体20と略同一となっている。
【0069】
上記のように交換された新設の開き窓200Bは、既設障子2Bよりも框見付け寸法が小さい新設障子5Bが既設枠体1Bに取り付けられる。結果として、新設障子5Bのガラス開口面積が既設障子2Bのガラス開口面積よりも大きい障子を採用することができる。
【0070】
このように構成される第3実施形態による窓リフォーム方法および開き窓では、障子のみを取り替えることにより、既設障子2Bから高断熱性能を有する新設障子5Bに容易に交換することができる。
【0071】
(第4実施形態)
図12及び
図13に示すように、第4実施形態による窓リフォーム方法および樹脂サッシは、スイング式の窓であり、勝手口窓を一例とし、既設の勝手口窓100Cの既設枠体1Cを現状のまま利用し交換することなく、既設障子2Cのみを新設障子5Cに交換する方法である。
【0072】
図12に示すように、既設の勝手口窓100Cは、既設枠体1Cと、既設障子2Cと、を備えている。既設枠体1Cは、四方枠状に形成されている。既設枠体1Cは、上枠11Cと、下枠12Cと、一対の縦枠と、を有している。本実施形態では、既設枠体1Cは樹脂製であるが、アルミ合金等の金属形材から構成されたものやアルミ樹脂複合(アルミニウム製部材と樹脂製部材とが組み付けられた構成)であってもよい。既設障子2Cは、既設枠体1Cの縦枠に支持された吊元の軸線を中心に既設障子2Cが回動可能に設けられている。既設障子2Cは、框体20Cと、ガラス29Cと、を有している。ガラス29Cには、ペアガラスが採用されている。
【0073】
図13に示すように、新設の勝手口窓200Cは、既設の勝手口窓100Cの既設枠体1Cをそのまま利用して、既設障子2Cを、新設障子5Cに取り替えたものである。新設の勝手口窓200Cの構成要素において、既設の勝手口窓100Cの構成要素と同一のものは同一の符号を付して、その構成要素の説明を省略する。新設障子5Cは、框体50Cと、ガラス59Cと、を有している。ガラス59Cは、框体50C内に納められている。本実施形態では、ガラス59Cは、既設の勝手口窓100Cのガラス29Cよりも断熱性が良いトリプルガラスが採用されている。
【0074】
新設の勝手口窓200Cは、新設障子5Cの框見付け寸法が既設障子2Cよりも小さくなるように設定されている。そのため、本実施形態では、新設障子5Cのガラス開口面積が既設障子2Cのガラス開口面積よりも大きくなることから、新設障子5Cにトリプルガラスが採用されている。
【0075】
図13に示すように、トリプルガラスからなる新設障子5Cのガラス59Bを保持する押し縁97Bとガラスパッキン98Bの厚さ寸法は、既設障子2Cに設けられている押し縁97Aとガラスパッキン98Aの厚さ寸法より小さくなるように設定されている。新設障子5Cの框体50Cの見込み寸法は、既設障子2Cの框体20Cと略同一となっている。
【0076】
このように構成される第4実施形態による窓リフォーム方法および勝手口窓では、障子のみを取り替えることにより、既設障子2Cから高断熱性能を有する新設障子5Cに容易に交換することができる。
【0077】
以上、本開示による窓リフォーム方法および樹脂サッシの実施形態について説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0078】
例えば、上記第1実施形態の引違い窓において、框ドアや滑り出し窓等にもアタッチメントを取り付けてもよい。あるいは、引違い窓の内障子にもアタッチメントを取り付けてもよい。
【0079】
また、上述した実施形態の場合には、交換した新設障子のガラスがトリプルガラスになり荷重が増えるため、例えば、外壁の上からL型アングル材等の補強材によって下支えするようにしてもよい。
【0080】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0081】
1、1A、1B、1C…既設枠体、2…既設の外障子、3…既設の内障子、4…網戸、5…新設外障子、5A、5B、5C…新設障子、6…新設内障子、7,7A…アタッチメント、8…外レール、22…既設の外障子の下框、29、29A、29B、29C…既設の外障子のガラス、52…新設の外障子の下框、59、59A、59B、59C…新設の外障子のガラス、72…垂下部、91A、91B、93A、93B、95A、95B、97A、97B…押し縁、92A、92B、94A、94B、96A、96B、98A、98B…ガラスパッキン、100…既設の引違い窓(樹脂サッシ)、200…新設の引違い窓(樹脂サッシ)、100A…既設の縦すべり出し窓(樹脂サッシ)、200A…新設の縦すべり出し窓(樹脂サッシ)、100B…既設の開き窓(樹脂サッシ)、200B…新設の開き窓(樹脂サッシ)、100C…既設の勝手口窓(樹脂サッシ)、200C…新設の勝手口窓(樹脂サッシ)