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特許7605632スペースデブリ係合および軌道離脱システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】スペースデブリ係合および軌道離脱システム
(51)【国際特許分類】
   B64G 1/22 20060101AFI20241217BHJP
   B64G 1/24 20060101ALI20241217BHJP
   B64G 1/64 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B64G1/22 100B
B64G1/24 A
B64G1/64 600
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020543571
(86)(22)【出願日】2019-02-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019018346
(87)【国際公開番号】W WO2019161298
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-01-21
(31)【優先権主張番号】62/631,297
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518307237
【氏名又は名称】ルギャルド,インク.
【氏名又は名称原語表記】L’GARDE, INC.
【住所又は居所原語表記】15181 Woodlawn Avenue Tustin, CA 92780 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ,ナサニエル・シー
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08770522(US,B1)
【文献】米国特許第06655637(US,B1)
【文献】特開2014-189145(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106976571(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のテープスプリングと、
第2のテープスプリングと、
第1のテープスプリングおよび第2のテープスプリングを、当該第1のテープスプリングおよび第2のテープスプリングが少なくとも部分的に巻かれた格納構成から、当該第1のテープスプリングが少なくとも部分的に第1の方向に伸張し且つ当該第2のテープスプリングが少なくとも部分的に第2の方向に伸張している展開構成に伸張させるためのアクチュエータと、
を備える係合装置であって、
係合装置は、収縮構成を備え、第1のテープスプリングおよび第2のテープスプリングは、展開構成において自由な終端を有し、第1のテープスプリングおよび第2のテープスプリングが展開構成では高エネルギーの直線状態にあり、第1のテープスプリングおよび第2のテープスプリングの断面領域を摂動してねじれを誘発することによって収縮構成の低エネルギー状態に移行し、第1テープスプリングと第2テープスプリングで部分的にまたは完全に標的物体の外周に外接または包囲することによって当該テープスプリングが標的物体に接触して係合するように構成されている
係合装置。
【請求項2】
第2の方向は、第1の方向と平行で反対向きとなる、請求項1に記載の係合装置。
【請求項3】
第1のテープスプリングは、収縮位置において格納構成と展開構成との間の向きで曲げられる、請求項1に記載の係合装置。
【請求項4】
1の方向および第2の方向は、平行構成ではなく、互いに対して角度を成している、請求項1に記載の係合装置。
【請求項5】
アクチュエータが、第1のテープスプリングを変形して曲げることによって、第1のテープスプリングを展開構成から収縮構成に収縮させるように構成されている、請求項1に記載の係合装置。
【請求項6】
延伸された位置にあるときの第1のテープスプリングに力を印加するように構成されているトリガをさらに備える、請求項5に記載の係合装置。
【請求項7】
第1のテープスプリングを展開構成から収縮構成に移行させるように第1のテープスプリングを変形させるように構成されているトリガをさらに備える、請求項5に記載の係合装置。
【請求項8】
複数のテープスプリングをさらに備える、請求項1に記載の係合装置。
【請求項9】
複数のテープスプリングの間で画定された表面をさらに備える、請求項8に記載の係合装置。
【請求項10】
請求項9に記載の係合装置を備え、軌道離脱エンジンをさらに備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、2018年2月15日に出願された米国仮特許出願第62/631,297号明細書の恩典を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
数十年にわたって地球軌道に衛星を打ち上げてきたロケット本体は、質量ではスペースデブリで最大の構成要素である。これらは、特定の軌道で宇宙システムを運用するために、現在および将来の重大な脅威をもたらす可能性がある。2017年1月1日時点の未分類の米国のカタログによれば、図1に示されるように、2100km未満の近地点および近赤道から逆行する範囲の傾斜を有する低地球軌道(LEO)内に、968個の遺棄されたロケット本体がある。
【0003】
LEO内の全てのデブリ質量の大部分は、18個のSL-16ロケット本体内に組み込まれている。各SL-16ロケット本体は、8300kgの質量を有し、直径4m、長さ10mである。SL-16物体の現在のクラスタは、70から100度で大きく異なる傾斜で750から850kmの複数の高度にわたって分散されている。SL-16のいずれか2つの衝撃により、LEOカタログ内の物体の数が倍増する。図2は、LEO内に位置するこれらのロケットの1つの例示的な描写である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
伝統的に、アクティブな軌道離脱問題は、軌道権限を与えるために軌道力学および物理学を巧妙に利用して解決されてきた。システム質量が最小限に抑えられること、およびこの「低優先度」ミッションが現在の宇宙アーキテクチャに負担をかけないことを保証するために、フリーデルタVを導き出すことに焦点が当てられてきた。設計の取り組みは、抗力装置および推進システムの能力に焦点を当てており、このため係合システムはしばしば見落とされつづけ、または後で解決すべき問題として残されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に説明される例示的な実施形態は、革新的な係合装置を含む。例示的な係合装置は、1つ以上のテープスプリングシステムを含み得る。テープスプリングシステムは、連続的またはセグメント化された双安定のテープスプリングを含み得る。テープスプリングは、ロールアップ構成で収納され、展開構成に広げられてから、低エネルギーの収縮構成に戻るようにトリガされることが可能である。テープスプリングは、線形、曲線形、またはロール構成の代わりのその他の構成など、他の形状のトリガ戻り条件を含むこともできる。
【0006】
係合装置の例示的な実施形態は、従来の軌道離脱エンジンまたは本明細書に説明されるような軌道離脱エンジンに結合されてもよい。本明細書に説明される例示的なエンジンは、無推進剤エンジンを含み得る。本明細書に説明される例示的なエンジンは、係合したデブリを軌道離脱させるために使用されてもよく、および/または係合装置の係合前に係合装置をデブリ物体までナビゲートするために使用されてもよい。
【0007】
係合装置の例示的な実施形態は、標的のSL-16ロケット本体(または目的の対象物体)を捕捉するために使用され得る。したがって、例示的な実施形態は、係合装置を対象の物体までナビゲートすることと、係合装置を展開することと、対象の物体と結合するために係合装置を使用することと、対象の物体を軌道離脱させるために軌道離脱エンジンを展開することと、を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】低地球軌道のスペースデブリとしてのロケット本体のグラフ表示を示す図である。
図2】低地球軌道における例示的なロケット本体を示す図である。
図3】対象の物体に結合され、例示的な代替軌道離脱エンジンとともに使用される、例示的な係合装置を示す図である。
図4】例示的な軌道離脱エンジンが展開された状態で対象の物体に結合された例示的な係合装置を示す図である。
図5図5A図5Hは、本明細書に説明される実施形態による、例示的な構成および中間構成を示す図である。
図6】エンジンを展開するように構成された例示的なシステムを示す。
図7A】本明細書に説明される実施形態によるシステムの例示的な構成を示す。
図7B】本明細書に説明される実施形態によるシステムの例示的な構成を示す。
図8】本明細書に説明される実施形態による例示的なテープスプリングを示す。図8Aは、図8のテープスプリングの例示的な断面を示す。
図9】本明細書に説明される実施形態による例示的なテープスプリングを示す。
図10】本明細書に説明される実施形態による例示的なシステムを示す。
図11A】本明細書に説明される実施形態によるシステム構成要素の例示的な展開構成を示す。
図11B】本明細書に説明される実施形態によるシステム構成要素の例示的な展開構成を示す。
図11C】本明細書に説明される実施形態によるシステム構成要素の例示的な展開構成を示す。
図11D】本明細書に説明される実施形態によるシステム構成要素の例示的な展開構成を示す。
図12】本明細書に説明される実施形態によるアクチュエータを有する例示的なテープスプリングを示す。
図13A】本明細書に説明される実施形態によるシステムの例示的な展開構成を示す。
図13B】本明細書に説明される実施形態によるシステムの例示的な展開構成を示す。
図13C】本明細書に説明される実施形態によるシステムの例示的な展開構成を示す。
図13D】本明細書に説明される実施形態によるシステムの例示的な展開構成を示す。
図14】本明細書に説明される実施形態による例示的なシステムを示す。
図15】本明細書に説明される実施形態による例示的なエンジンを示す。
図16】本明細書に説明される実施形態による正常な状態の例示的なエンジンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の好適な実施形態の説明では、本発明の一部を形成し且つ本発明が実践され得る特定の実施形態が例示によって示される、添付図面が参照される。なお、他の実施形態が使用されることも可能であり、本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく構造的変更がなされ得ることは、理解されるべきである。
【0010】
本明細書に説明される例示的な実施形態は、対象のデブリを捕捉するためにテープスプリングを使用し得る。テープスプリング係合軌道離脱システムを作製するために軌道離脱装置(推進モジュール、抗力装置、テザー)と結合したこの革新的な捕捉機構は、スペースデブリ制御において高まる需要に対処するユニークな解決策である。例示的な実施形態は、従来の抗力装置と比較して、所望の10倍の軌道離脱時間削減を提供するために、伝統的な軌道離脱エンジンとうまく結合することができる新規な係合システムを含む。
【0011】
本発明の実施形態は、デブリ軌道離脱機構に関して本明細書に説明および例示されるが、本発明の実施形態はこれに限定されず、他の用途に付加的に適用可能であることは、理解されるべきである。たとえば、テープスプリング係合システムなどの構成部品は、宇宙用途を含む、他の用途向けの取付方法として使用され得る。また、本明細書に説明される実施形態は、ロケット本体の軌道離脱に焦点を当てているが、この概念は、多くの宇宙ゴミ形状またはその他の物体に適用可能である。様々なサイズのデブリが係合され得るように、テープスプリングに低エネルギー状態を適合させることが可能である。また、例示的な実施形態は2つのテープのみを使用して説明されるが、様々な配向の複数のテープが係合に有利であり得ることも、留意すべきである。例示的な実施形態は、単一のテープスプリング、または任意の組み合わせの複数のテープスプリングを含み得る。
【0012】
図3は、対象の物体に結合され、例示的な代替軌道離脱エンジンとともに使用される、例示的な係合装置を示す。係合装置30は、ハウジング34および1つ以上のテープスプリング34を含み得る。テープスプリングは、ハウジングに結合され、ハウジングから伸張し得る。図3に示されるように、係合装置30は、部分的にまたは完全に物体の外周に外接または包囲することによって、対象の物体38に結合し得る。一旦結合されると、対象の物体は、従来の軌道離脱エンジン36A~36Cを展開することによって、軌道離脱され得る。軌道離脱エンジンは、ハウジング32に結合され、係合装置が対象の物体に取り付けられると展開し得る。例示的な軌道離脱エンジンは、帆36A、翼36B、バルーン36C、または対象の物体の速度を低下させるためのその他の物体を含み得る。
【0013】
図4は、例示的な軌道離脱エンジンが展開された状態で対象の物体に結合された例示的な係合装置を示す。図4は、対象の物体48に結合された2つのテープスプリング44を有する例示的な係合装置40を示している。係合装置40は、翼帆軌道離脱エンジン46に結合される。翼帆軌道離脱エンジンは、デブリを軌道離脱させるために、空気抵抗および太陽輻射圧の両方を使用するように構成され得る。これにより、軌道離脱(または軌道上昇)され得るデブリの範囲は700kmを遙かに超えて拡張されることが可能となる。
【0014】
図5A図5Hは、対象の物体まで操作し、対象の物体に結合するために展開する係合装置の実施形態の例示的な進行を示す。係合装置は、格納構成、展開構成、および収縮構成、ならびにこれらの組み合わせおよびこれらの間の中間構成を含み得る。
【0015】
図5A図5Hは、本明細書に説明される実施形態による、例示的な構成および中間構成を示す。図5Aは、格納構成を有する例示的な係合装置50を示す。格納構成は、係合装置を所望の高度まで到達させるためにロケットまたはその他の推進システム上に格納または配置するようにペイロードサイズが縮小および/または設計されている、減容または減断面構成である。図5Bは、対象の標的までナビゲートされた例示的な係合装置を示す。係合装置は、任意の組み合わせのナビゲーションシステム(運動量、推進力、非推進力、太陽エネルギー、太陽放射など)を通じて、本明細書に説明されるようにナビゲートし得る。対象の物体58に到達すると、係合装置50は、図5C図5Dに見られるように、テープスプリングを伸張させる。図5Eは、テープスプリングの最大延伸長さとなる完全展開構成まで完全に伸張したテープスプリングを示す。延伸は、線形であってもよく、または線形、湾曲、曲線形、およびこれらの組み合わせなど、所定の形状を有してもよい。図5Fは、収縮構成への係合装置の開始を示す。この場合、テープスプリングは、湾曲/ロール構成に戻る移行を開始するように作動される。係合装置は、図5F図5Gの間から係合装置が対象の物体に結合した図5Hの最終収縮構成に移行する。係合装置の収縮構成は、一般に、完全展開構成と格納構成への復帰との間の中間位置である。標的物体によって課された妨害のため、テープスプリングは標的物体に接触して係合し、これにより、テープスプリングが完全に格納構成に戻るのを防ぐ。テープスプリングは、テープスプリングが格納構成に向かって付勢される際に、標的物体に力を課すことができる。
【0016】
図6に見られるように、システムは、エンジンを展開するように構成され得る。エンジンは、いずれかの推進装置または減速装置を備え得る。図6に示されるように、展開された軌道離脱エンジンは脈管を備える。係合装置がデブリに完全に係合すると、軌道離脱エンジンは展開されることが可能である。システムの最終設計に応じて、選択された軌道離脱エンジンの詳細に対応するために、この展開は異なってもよい。
【0017】
再び図3を参照すると、物体を回収または結合するためのシステムの例示的な実施形態は、本明細書に説明される実施形態による係合装置を含み得る。システムは、係合装置および軌道離脱エンジンを含み得る。システムは、ハウジング32を含み得る。
【0018】
システムの例示的な実施形態は、ハウジングを含み得る。ハウジングは、係合装置および軌道離脱エンジンなどの残りのシステム構成要素のための容積を規定し得る。ハウジングは、格納構成のシステム構成要素を収容し得る。例示的な実施形態では、システムは、格納構成でハウジング内に完全に収容され得る。システムはまた、ハウジングが、係合装置および軌道離脱エンジンなどの異なる構成部品のための1つ以上の部分的ハウジングを含み得るように、部分的に収容されてもよい。システムは、1つ以上のスプリングテープを備える係合装置を格納構成のためのロール位置に配置するように構成されてもよい。
【0019】
システムの例示的な実施形態は、係合装置を含み得る。係合装置は、1つ以上のテープスプリングを含み得る。係合装置は、テープスプリングをある構成から別の構成に変更するための1つ以上のアクチュエータを含み得る。1つ以上のアクチュエータは、テープスプリングを格納構成から展開構成に伸張するために使用され得る。格納構成は、テープスプリングが実質的にまたは完全に巻かれたときであり得る。伸張構成は、テープスプリングが実質的にまたは完全に延伸したときであり得る。例示的な実施形態では、テープスプリングは、最大長さまでの延伸した略直線的な伸張を画定するために直線的に伸張したときに、完全に展開されている。テープスプリングはそれ自体が湾曲した断面を画定し得るが、テープスプリングは、伸張されるとテープスプリングの長さに沿って直線的であってもよい。1つ以上のアクチュエータは、テープスプリングをロール構成に向けて復帰するためにテープスプリングを収縮させるために使用され得るが、収縮によってテープスプリングを完全なロール形状に戻すことはできない。収縮構成は、全長または実質的な長さにわたって湾曲している、またはテープスプリングの2つの隣接する略直線的な伸長の間の屈曲を画定するように局所的に湾曲しているなど、スプリングの長さに沿った、スプリングの任意の非線形配向であり得る。
【0020】
例示的な実施形態は、テープスプリングの異なる組み合わせを含む。
【0021】
たとえば、図7Aに示されるように、単一のテープスプリングを含む例示的な係合装置の展開が示される。図7Bは、物体の両側から収縮することによって標的物体に外接するように反対方向に延在する2つのテープスプリングを含む、例示的な係合装置を示す。図7Bに示されるように、アームは、長手方向にずらされてもよく、または図5Eに示されるように、同じ軸に沿って伸張してもよい。したがって、ハウスの両側で伸張する対向するテープスプリングは、ハウジングから直線的に伸張し、互いの延長線を形成してもよく、または互いに平行に、またはその他の角度または回転配向でずらされてもよい。例示的な実施形態では、ハウジングの1つ以上の面は、そこから伸張する複数のテープスプリングを含んでもよい。例示的な実施形態では、テープスプリングは、展開および収縮されると、装置が、装置の運動量に対して最小限の影響しか及ぼさないように構成され得る。たとえば、アームは、展開および/または収縮によって、取り付け中に標的物体との位置ずれを生じる装置に対する回転運動量の印加を低減するように、対称的にまたは直線的にずらされてもよい。
【0022】
図8は、本明細書に説明される実施形態による例示的なテープスプリングを示す。例示的な実施形態では、テープスプリングは、対象のロケット本体の捕捉に適した低エネルギー曲率半径(1.5mから2.0m)を有するように設計された複合炭素を備えてもよい。格納中、テープスプリングは、システムおよび/またはハウジング内に収容されたスプールにきつく巻き付けられてもよい。スプリングを展開するように、システムは、スプリングを高エネルギーの直線状態に伸ばすマンドレルを通じて、スプリングを押すことまたは引くことができる。テープスプリングが完全に伸張すると、テープスプリングはアーム位置にあり、断面領域を摂動してねじれを誘発することによって、その低エネルギー状態に戻るようにトリガすることができる。図8に示されるように、テープスプリング80は、ロール構成82および伸張構成84を含み得る。伸張構成は、延伸セクションを画定し得る。テープスプリングは、破線にわたって見られるように、および図8Aに示されるように、湾曲した断面を画定し得る。延伸セクションの断面は、曲線を画定し得る。ロール構成は、コンパクトな構成を画定し得る。ロール内のテープスプリングの断面は、テープスプリングが平坦化して、延伸セクションで得られた断面曲率を減少させるように、線形であってもよい。
【0023】
図10は、本明細書に説明される実施形態による例示的な係合装置を示す。例示的な係合装置100は、複数のテープスプリング104を含み得る。図示されるように、テープスプリング104は、ハウジング102または中心箇所から径方向外向きに伸張する。図示されるように、係合装置は、展開構成において平面内で径方向外向きに伸張する6つのテープスプリングを含む。しかしながら、他の構成もまた、本開示の範囲に含まれる。たとえば、テープスプリングは、円錐または角錐型の構造またはフレームを形成するように、外向きまたは前方に伸張してもよい。3、4、5、6、7、8、またはそれ以上など、これより多いかまたは少ないテープスプリングが使用されてもよい。
【0024】
例示的な実施形態では、システム100は、1つ以上のテープスプリング104の間に画定された表面108を含み得る。図10に示されるように、1つ以上のテープスプリングの間に材料が結合されてもよい。材料は、ネットとして機能するように隣接するテープスプリングの間に配置された、ネット、メッシュ、膜、布など、いずれの構造であってもよい。システムは、デブリを捕捉するためのネット、バッグ、または傘のような表面を作成するように構成されてもよい。したがって、表面および/またはテープスプリングは、係合装置を標的物体に結合するように、標的物体と接触および/または完全にまたは部分的に囲い込むようにまたは包囲するように構成されてもよい。一実施形態では、柔軟な材料の薄い膜がアームに取り付けられて、いくつかの支柱の周りのテント布のような捕獲袋を形成し、バッグまたは傘に似たものを作成してもよい。アームが標的物体を包囲して確保するように展開すると、膜が物体を覆う。
【0025】
例示的な実施形態では、表面は、標的物体を宇宙環境から完全に遮蔽し得る。膜は、囲い込まれた物体を遮蔽するために使用され得る。たとえば、膜は、物体の使用を妨害する構成要素、材料、または表面を含み得る。表面は、たとえば、光、無線、電気、磁気、またはその他の信号などの信号が物体に送受信されるのを防止し得る。表面108は、信号または囲い込まれた物体の動作を妨害するコーティング、材料、またはこれらの組み合わせを含み得る。たとえば、材料は、物体への電力を遮断または低減するために光起電アレイへの光のアクセスを低減または防止するように、不透明であるか、または実質的に光子を防いでもよい。たとえば、材料は、そこを通過する電磁的影響を排除するためのファラデーケージを作製するように、金属または導電性コーティングおよび/または金属製またはその他の導電性格子を含んでもよい。例示的な実施形態では、格子は、織られた金属製または導電性の糸または材料を含んでもよい。
【0026】
例示的な実施形態では、システムは、テープスプリングの1つ以上を展開するためのアクチュエータを含み得る。これは、まっすぐにするマンドレルを通じて格納されたテープを駆動するかまたは引っ張るモータによって行われることが可能である。図11A図11Dは、例示的な展開アクチュエータを示す。図示されるように、テープスプリング114は、元々図11Aの巻き付けられた位置にある。巻き付けられたテープスプリング114は、マンドレル112上に配置されるか、または単純にそれ自体の上に巻かれてもよい。システムは、1つ以上の収縮アクチュエータ116を含み得る。格納構成では、収縮アクチュエータは、巻かれたテープスプリングに接触しておよび/またはマンドレル112に隣接して配置され得る。コイルの巻きをほどかれたときにまっすぐになるコイルから伸張しながら、マンドレルまたは巻かれたテープスプリングを回転させるなどして、テープスプリングが展開されると、テープスプリングは収縮アクチュエータを通って摺動できるようになる。テープスプリングは、さらに、または代わりに、ロール構成から展開構成に引っ張られるかまたは押されてもよい。周期的な間隔で、収縮アクチュエータは、テープスプリングに対して結合および配置され、テープスプリングが伸張するときに一緒に移動する。したがって、図11Bに見られるように、第1の収縮アクチュエータは、テープスプリングが展開されると、テープスプリングの端部に隣接して配置される。図11Cでは、第1の収縮アクチュエータは、テープスプリングがさらに展開されたときにテープスプリングの端部に隣接したままであり、マンドレル112またはテープスプリングの巻き付け本体部分に隣接してあらかじめ配置された第2の収縮アクチュエータは、第1の収縮アクチュエータから間隔を空けてテープスプリングの伸張部分とともに移動する。図11Dに見られるように、第1および第2の収縮アクチュエータは、テープスプリングが展開し続けるのと同じ相対位置で、テープスプリングに沿って展開し続ける。展開中にテープスプリングの長さに沿って収縮アクチュエータを選択的に配置するために、異なる組み合わせの特徴が使用され得る。アクチュエータは、アクチュエータ間の、および/またはテープスプリング上の箇所への、テザーを含み得る。収縮アクチュエータおよびテープスプリングの部分は、テープスプリングがアクチュエータを通してまたはアクチュエータを超えて通過するときに係合する嵌合機構を含み得る。嵌合機構は、電気的、磁気的、形成された表面、周縁のサイズまたは配向、断面のサイズまたは配向、穴/爪/突起/フック/ループ/などであり得る。嵌合機構は、本明細書に説明されるいずれの組み合わせであってもよい。収縮アクチュエータはまた、テープスプリング自体に直接取り付けられるか、テープスプリング自体の被覆であるか、またはテープスプリング自体と一体化されてもよい。したがって、収縮アクチュエータは、テープスプリングとともに巻かれ、テープスプリングが展開されたときに伸張されてもよい。
【0027】
例示的な実施形態では、システムは、展開構成から収縮構成に移行するように1つ以上のテープスプリングを収縮させるためのアクチュエータを含み得る。係合システムの準備が整うと、トリガ(またはスプリングの長さに沿った一連のトリガ)は、低エネルギー湾曲状態に巻き上がり始められるように、テープスプリングを変形することができる。例示的な実施形態では、トリガは、テープスプリングをその直線構成から湾曲構成に復帰するように、テープスプリングに力を加えるように構成され得る。トリガは、スプリングと接触している機械的装置であってもよい。トリガは、電気信号の印加または除去時に変形してテープスプリングに力を加える圧電材料などの、電気機械的装置であってもよい。機械的、光学的、電気的、装置、およびこれらの組み合わせなど、その他のトリガが使用されてもよい。例示的な実施形態では、収縮アクチュエータは、別の状態に移行するようにテープスプリングをトリガするように、テープスプリングの断面を変形させるように構成されている。図12は、展開されているテープスプリング上の例示的な収縮アクチュエータを示す。収縮アクチュエータ126は、テープスプリング124上に配置されている。収縮アクチュエータは、テープスプリングの両側に結合され、テープスプリングの横方向の寸法を横切って延在する。アクチュエータは、コイル状構成への移行をトリガするためにテープスプリングの表面に力を印加するように構成された接触要素を含む。
【0028】
例示的な実施形態は、1つ以上のトリガのための制御システムを含み得る。例示的な実施形態では、制御システムは、デブリに対するシステムの結果的な運動量変化(回転など)に影響を及ぼすかまたは制御するために、所定の配向、タイミング、および組み合わせで収縮アクチュエータを作動させるように構成され得る。
【0029】
たとえば、制御システムは、システム内の回転の誘発およびデブリに対する係合装置の位置ずれを回避または低減するように1つ以上の収縮アクチュエータを対称的に作動させるために、使用され得る。収縮アクチュエータはまた、収縮エンベロープの形状を画定するように制御され得る。たとえば、図13A図13Dは、エンベロープの収縮が標的物体(図示せず)を捕捉するように制御される、本明細書に説明される実施形態による例示的なシステムを示す。図13Aに見られるように、テープスプリングは、完全に展開され、隣接するテープスプリングの間に表面が配置された状態で、その最大長手方向長さまで伸張する。図示されるように、展開されたシステムは、略平坦な表面を画定する。図13Bは、システム内の形状を変化させるようにトリガされた第1セットの収縮アクチュエータを有するシステムを示す。第1セットの収縮アクチュエータは、ハウジング(図示せず)に近接するシステムの中心に近接するかまたはこれに最も近い。収縮アクチュエータの展開により、テープスプリングの終端を同じ方向に、展開構成から平面外に移動させるように、第1セットのアクチュエータでテープスプリングを曲げる。システムは、円錐形になり始める。図13Cは、システムの形状を再びつなぐようにトリガされた第2セットの収縮アクチュエータを有するシステムを示す。第2セットのアクチュエータは、第1セットのアクチュエータに隣接しているが、第1セットのアクチュエータよりもさらにシステムの周縁寄りである。図13Dは、システムを収縮構成に移行させるようにトリガされている第3セットの収縮アクチュエータを有するシステムを示す。収縮アクチュエータおよびテープスプリングは、異なる標的物体を収容するための異なるエンベロープまたは空洞を画定するために、異なる収縮構成および中間構成を画定するように構成および配置され得る。加えて、または代わりに、テープスプリングを規定の箇所でねじるように、テープスプリングに対して戦略的な変形が加えられてもよい。組立て、変形、構造、形状、およびこれらの組み合わせは、収縮構成の形状を画定および/またはこれに影響を及ぼすために使用され得る。図13Dに見られるように、テープスプリングは、収縮構成が湾曲、ロール、線形、配向、およびこれらの組み合わせを含み得るように変形され得る。
【0030】
例示的な実施形態では、システムは、テープスプリングを標的物体と接触しながら自動的に作動させながら、受動的に収縮するように構成され得る。標的物体は、テープスプリングと接触し、それ自体で作動をトリガし得る。システムは、テープスプリングの収縮をトリガするために標的物体がテープスプリングまたは標的物体のいずれかに接触するように、構成され得る。たとえば、テープスプリングは、平面構成を画定する図10の構成を有してもよい。システムはまた、完全展開構成で略円錐形または角錐形を画定するように第1の方向で径方向外向きおよび前方に伸張するテープスプリングを有してもよい。テープスプリングによって支持される表面は、テープスプリングの終端に、またはテープスプリングに隣接して結合され、テープスプリングのフレームによって画定される内部空間内に収容されてもよい。図14は、完全展開構成において複数のテープスプリングによって画定された内部空間の間および内部空間の中に画定された表面を有する例示的な実施形態を示す。したがって、表面は、略平坦な表面を画定してもよく、またはテープスプリングの長さに沿った表面の接触または表面の位置によって形成されてもよい。例示的な実施形態では、表面との接触により、テープスプリングに対して径方向内向き方向に力を課し、収縮構成への移行をトリガすることができる。
【0031】
システムの例示的な実施形態は、システムを対象の物体までナビゲートするための推進システムを含み得る。推進システムは、たとえば、太陽帆、脈管、バルーン、ロケット、圧縮ガスまたは液体、およびこれらの組み合わせなど、いずれの推進剤および/または無推進剤システムであってもよい。推進システムは、軌道離脱エンジンと同じであっても異なってもよい。
【0032】
システムの例示的な実施形態は、軌道離脱エンジンを含み得る。例示的な実施形態では、軌道離脱エンジンは、係合装置がデブリと完全に係合した後に、システムから展開され得る。このシナリオでは、システムおよびデブリは、デブリと同じ動力学で転動している可能性がある。係合装置が完全に係合および展開されると、システムはゆっくりとデブリを軌道離脱させ始めることができる。軌道離脱は依然として遅いかもしれないが、例示的な実施形態は、デブリの自然な速度よりも10倍速い軌道離脱を提供するために使用され得る。パッシブ軌道離脱エンジン(バルーン、バリュート、およびエアロブレーキ)は、追加の制御なしで使用され得る。パッシブ軌道離脱エンジンは、デブリの制御されない再突入で終わる経時的な低軌道まで単純にシステムを引くために使用され得る。アクティブ軌道離脱エンジン(翼帆、テザー、および伝統的な推進システム)は、エンジンによって生成された推力を最大限に活用するために、追加および/または一定の制御とともに使用されることが可能である。例示的な実施形態では、アクティブエンジンシステムは、依然としてデブリの制御されない再突入に至る可能性がある。
【0033】
システムをほぼデブリの軌道まで到達させるホスト輸送手段または打ち上げ輸送手段から押されるなど、システムが分離されると、デブリとさらに接近してランデブーし、係合装置の展開が行われる間の位置を保持することが、必要または望ましい場合がある。デブリの画像認識を使用することによって位置を維持するために、単純な小型の衛星推進システムが使用され得る。あるいは、係合システムはホスト輸送手段から解放される前に完全に展開されてもよく、係合は、係合装置がデブリからあらかじめ設定された距離にあるときに、近接センサでトリガされてもよい。したがって、例示的な実施形態は、デブリに対するシステムの展開および/またはナビゲーションを制御するように、近接センサ、コンピュータプロセッサおよびメモリ、制御システム、ならびにこれらの組み合わせなど、追加の構成要素を含み得る。
【0034】
例示的な実施形態では、慣れた道を行くように、1つの対応するホスト輸送手段によって複数のデブリ標的まで複数の係合装置が搬送されることが可能である。複数のユニットは、ESPAサイズの宇宙船に格納され、二次的なペイロードとして打ち上げられるように設計され得る。ESPAベイごとにいくつかのシステムが搬送され、セカンダリリングごとに複数のESPAスロットがある。この増加により、大型デブリ物体の費用効果の高い軌道クリーンアップが可能になる。
【0035】
本明細書に説明されるシステムの例示的な実施形態は、2つの主要な要素、すなわち1)係合装置、および2)軌道離脱エンジンを含む。例示的なパッケージ化システムは、1mx1mx0.25mの容積に格納されることを目的としている。図6は、SL-16ロケット本体に係合した例示的な展開されたシステムを示す。例示的なシステムは、450mの太陽帆面積を有する。例示的な実施形態は、係合装置および軌道離脱エンジンの両方に関して説明される。しかしながら、本発明は、全ての要素の存在を必要としない。たとえば、スプリングテープ取付装置および方法は、部品および物体を一緒に保持または結合する方法として、軌道離脱エンジンの代わりに別の装置とともに使用されてもよい。
【0036】
例示的な実施形態は、テープスプリングを使用する係合システムを含む。テープスプリングは、大きな内部プレストレスを蓄積するように、成形プロセスにおいて冷間加工され得る。ただし、これらはロール状態でも展開状態でもストレスフリーではない場合がある。しかしながら、これらは巻き上がる際にひずみエネルギーを解放し得る。
【0037】
本明細書に説明される例示的な実施形態は、テープスプリングを含み得る。テープスプリングの例示的な実施形態は、スリットチューブを含み得る。テープスプリングの例示的な実施形態は、係合装置として、金属および/または複合材料の両方から作製され得る。円筒形断面は、打ち上げ中に保持され得る大量のひずみエネルギーを保存するように、丸められるかまたは折り畳まれることが可能である。軌道上で、このひずみエネルギーは、構造の展開に動力供給するように解放および使用され得る。このアプローチにより、構造は、展開構成で低応力状態を有する円筒形状で製造され得る。本明細書に説明される実施形態によれば、トリガは、テープスプリングを収縮構成に移行させるために展開構成(または延伸状態)のテープスプリングの断面を変形させるために、使用され得る。これらの装置は、ひずみエネルギーの放出を制御するためのブレーキとして本質的に機能するモータおよび機構とともに展開され得る。したがって、例示的なトリガは、収縮構成へのスプリングの移行を目的として、展開されたテープスプリングの長さに沿って配置され得る。
【0038】
例示的な実施形態は、係合装置として自己展開するのではなく、自己収縮する逆テープスプリングを含む。例示的な実施形態は、略テープ状の(幅寸法と比較して実質的に小さい厚さを有する)構造を含み得る。テープ状の構造は、テープスプリングの長手方向軸に垂直な方向に曲率半径を有し得る。テープスプリングの断面は、弧または曲線を画定し得る。弧は、テープスプリングの断面が円の一部を形成し得るように、単一の半径を画定し得る。弧は、楕円形、卵形、円形、およびこれらの組み合わせなど、曲線の他の部分を画定してもよい。スプリングは、展開構成では略直線的に伸張でき、格納構成では巻かれることができる。スプリングは、スプリングの凹面の方向にそれ自体で巻き上がることができる。たとえば、スプリングは、スプリングの部分がスプリングの凹んだ側に向かってそれ自体で巻き上がるように巻き上がってもよい。スプリングはまた、スプリングの部分がスプリングの凸面の側に向かってそれ自体で巻き上がるように、他の方向に巻き上がってもよい。金属テープは、大きな内部プレストレスを蓄積するように、成形プロセスにおいて冷間加工され得る。これらは、ロール状態でも展開状態でもストレスフリーではない場合があるため、コイル状に巻き上がる際にひずみエネルギーを解放し得る。
【0039】
図8は、収縮およびロールアップしようとする複合テープを示す。図示されるテープは、テープの凹んだ側の方向に巻き上がるように構成されている。このテープは、ストレスフリーロールアップ構成で製造されて、巻き戻される際にひずみエネルギーを保存することができる。積層を注意深く選択することで、テープは、巻き戻された状態で周縁が安定するように作製されることが可能である。非常にコンパクトなロール形状からまっすぐに巻き戻された形状にテープを展開するために、電動機構が使用されることが可能である。これらのテープは周縁が安定しており、テープを収縮させるようにトリガするために別の本体との衝撃が使用され得る。テープ断面および複合材の組み合わせを適応させることによって、トリガ感度が設計されることが可能である。
【0040】
例示的なシステムは、ある構成から別の構成にテープをトリガするためのトリガシステムを含み得る。トリガシステムは、テープスプリングの長さに沿った1つ以上の戦略的な箇所でテープスプリングに力を印加するように構成された装置を含み得る。トリガシステムは、テープスプリングが別の物体による衝撃を受けるような衝撃トリガを含み得る。トリガシステムは、テープスプリングの片側または両側のトリガシステムによる圧力をテープスプリングが受けるようなペンチを含み得る。テープスプリングをねじるように構成された別のトリガシステムも、本明細書で企図される。例示的なトリガは、テープの断面を変形させる、および/またはテープに圧力または力を課す、コーティングまたは材料被覆を含み得る。例示的な実施形態は、テープスプリングの収縮をトリガするための材料コーティング、被覆、または統合されたスプリング材料を含み得る。たとえば、電気信号の印加時に収縮をトリガするようにテープスプリングを局所的に変形または操作するように、圧電またはその他の材料が使用され得る。
【0041】
例示的なシステムは、テープスプリングをロール構成から線形構成に伸張させるための展開システムを含み得る。線形構成は、テープスプリング自体が曲面を含み得ることを理解した上で、単一の方向へのテープスプリングの全体的な伸長を含む。展開システムは、スプリングテープを線形構成に強制するように、マンドレルを通してテープスプリングを押すかまたは引くように構成され得る。ランナーが上または横を通過するとき、またはテープスプリングがランナー内を通過するときにテープスプリングをまっすぐにするように構成されたランナーなど、他の展開システムが使用されてもよい。
【0042】
この基本的な複合構成要素のいくつかの変形例は、本開示の範囲に含まれる。たとえば、図9に示されるように、巻かれていない、または延伸構成で長手断面方向の曲率を有するテープを製造することが可能である。曲率は、強化された把持形状を提供し得る。巻き径は、大径の物体をより自然に包むように、より大きい直径を有するテープを製造することによって制御され得る。例示的な実施形態は、特定の構成に適応できる、コーティングまたは被覆などの積層を含み得る。たとえば、完全に巻くのではなく、セグメント化されたパターンでテープが収縮するように、テープ長に沿って縁がトリミングおよび湾曲されることが可能である。繰り返しになるが、これは、把持および保持の可能性を強化するのに有益である。
【0043】
例示的な動作シーケンスは、システムが標的物体に接近すること、システムのハウジング/キャニスタを開放すること、係合装置を展開すること、標的物体とランデブーすること、標的物体に結合するようにシステムを係合すること、軌道離脱エンジンを展開すること、結合したエンジンを使用してナビゲートすること、標的物体を軌道離脱させること、係合システムを再利用することの、いずれかの組み合わせを含む。
【0044】
本明細書に説明される実施形態による例示的なミッション運用では、システムの実施形態の動作は、係合システムをスペースデブリに送達するためのランデブーおよび近接動作(RPO)能力のレベルを有する係合および/または軌道離脱システムを搭載するホスト宇宙船を含み得る。しかしながら、例示的な実施形態は、ホスト宇宙船からの分離の前およびスペースデブリとの係合の前にシステムをスペースデブリまでナビゲートするために、係合システムに関連付けられた1つ以上のエンジンを使用し得る。
【0045】
システムがスペースデブリに対して所望の配向および/または位置に適切に配置されると、係合装置を保持するキャニスタ(ハウジング)が開放され、係合装置が展開できるようになる。キャニスタは、テープスプリングおよび/または表面/膜を閉じ込める壁で構築されている。キャニスタは、最終組立から、展開装置がデブリに係合するために呼び出されるまでの間、係合システムを囲い込み得る。例示的な実施形態は、既存のホスト宇宙船にペイロードをボルト締め、結合する、または既存のホスト宇宙船のペイロードである、自給式で自立型のシステムであってもよい。例示的な実施形態はまた、係合システムおよび/または係合システムのキャニスタがホスト宇宙船の一部であり、ホスト宇宙船サブシステムによって直接的に制御および維持される、高度に統合および結合された設計も含む。
【0046】
コマンドを受けて、係合システム展開シーケンスが開始される。テープスプリングは、その最終位置に移動させられる(デブリに応じて、完全伸張またはそれ未満)。取り付けられた膜がアームの間にまたがっている状態で、システムは、膜も展開するためにテープスプリングアームの展開を使用し得る。膜は、テープスプリングの展開によって所定位置に牽引されてもよく、構造の形状によって隣接するアーム間で伸ばされてもよい。
【0047】
展開後、係合システムは、デブリにより近くまたは相対的に配置され(テープスプリングアームの捕捉弧内)、係合のために配置され得る。動作ミッションの例示的な実施形態では、1片のスペースデブリが係合装置に対して転動または移動している可能性がある。このような場合、システムホスト輸送手段は、捕捉中に係合システムにかかる力を最小化することにより、そこでのデブリの回転/移動速度に適合するようにさせられることが可能である。あるいは、デブリは移動したままにされることが可能であり、システムの係合によって2つの要素を効果的に結合し、抵抗負荷が係合装置を通じて伝達される。
【0048】
コマンド(アクティブまたはパッシブのいずれか)を受けて、係合装置はデブリ物体を捕捉するように作動される。コマンドは、テープスプリングを低ひずみエネルギー位置/状態に戻らせるためにテープスプリングを戦略的に変形させるようにアクチュエータのプログラムされたシーケンスを開始するコントローラに送られ得る。これらのアクチュエータは、テープスプリングの断面曲率を局所的に変えるようにテープスプリングの曲線を押すソレノイドまたは空気圧ピストンと同様に単純であり得る。断面の形状が変えられると、テープスプリングは低ひずみエネルギー状態に戻る。単純なソレノイドは、固体アクチュエータ(圧電デバイスなど)に置き換えられることが可能である。加えて、または代わりに、テープスプリングを規定の箇所でねじるように、テープスプリングに対して戦略的な変形が加えられてもよい。
【0049】
係合システムがトリガされると、アクチュエータおよび/または戦略的変形により、テープスプリングは低ひずみ状態に戻る。この状態は、製造中に用途に合わせて適応されることが可能である。低ひずみ状態は、性質上湾曲しており、テープスプリングがデブリに完全に係合および/またはこれを捕捉することを可能にし得る。マルチアームシステムでは、アームが同時に発射され、これらはデブリ物体を完全に/部分的に囲い込むように膜を一緒に牽引することができる。膜は、多くの目的に役立つことができるが、その目的の中でも重要なものは、係合中に生じたあらゆる付随するデブリの封じ込めおよびデブリの転動解除である。
【0050】
システムが失敗に終わり意図されたとおりにデブリに係合しない場合、システムのアームを機械的に巻き取り、もう一度係合を試すために、システムをリセットすることが可能である。捕捉されたデブリ物体との係合を解除するためにこの機能を使用することも想定できる。これにより、1片のデブリを捕捉し、これを新しい場所に移動させ、次いでこれを新しい位置で解放し、および/またはもう1片のデブリを捕捉する機会を、オペレータに与える。
【0051】
軌道離脱エンジンは、デブリに軌道エネルギーを失わせ、最終的に地球の大気に突入させるための抗力または推進力を提供する装置であり得る。例示的なエンジンは、バリュート/バルーン、翼帆、エアロブレーキ、推進システム、電気力学的テザー、または本明細書に説明されるかまたは当業者にとって既知のその他のエンジンの、いずれかの組み合わせを含み得る。
【0052】
対象のSL-16ロケット本体は、約4mx約10mの断面積を有する。軌道離脱時間の10倍の短縮を目標にするには、抗力面積が10倍に増加され得る。球状バルーン抗力エンジンの目標サイズは、直径約23mである。帆の目標サイズは1辺が20mである。例示的な実施形態は、帆の全体的なサイズを減少させるように、太陽輻射圧および抗力圧力を利用する帆を含み得る。
【0053】
アクティブ軌道離脱エンジンは、電気力学テザー、伝統的な推進力、および太陽帆を含む。これらの装置は、装置がアクティブである時間は常に、デブリの位置について何か知っている必要がある。したがって、システムは完全に自律的に動作することができるかもしれないが、軌道離脱推力に関する決定を制御するための船内ルーチン処理を含んでもよい。
【0054】
電気力学テザーは、地球の磁場の存在下で電流を生じることによって推力を生成する。テザーは、導体(数キロメートル長のテザー)に電位を生じるように、太陽光発電を使用する。この電位に電子(イオン)が供給されると、推力を発生するために磁場と相互作用(外積)する電流を生成する。
【0055】
伝統的な推進システムは、軌道離脱エンジンとして使用され得る。
【0056】
翼帆は、太陽輻射圧を生じるために4つの関節接続された太陽帆の翼を使用する新規なシステムである。翼の関節接続により、太陽帆によって生成された推力を計測し、オフにすることができる。この修正は、地球軌道での太陽帆の使用を可能にする。太陽帆は、その永続的な無推進剤動作のため、軌道離脱ミッションに特に適している。4翼構成が開示されているものの、他の翼帆構成が使用されてもよいことが企図される。図15は、4つの翼を有する関節接続された太陽帆の例示的な実施形態を示す。各翼は、他の翼の1つ以上から独立して配向され得る断面領域を画定する。翼の関節接続は、回転式であってもよい。
【0057】
翼帆は、本明細書に説明される係合装置の実施形態のために利用され得る固有の動作能力を有する、セグメント化および関節接続された太陽帆であり得る。軌道離脱のための翼帆は、STEMチューブなどの機械的構造を使用して形成するように展開され得る。これらの機械的支柱は、その最大面積まで帆を展開し、動作中に構造的完全性を提供し得る。図15に示される翼帆は、関節接続された翼を示している。図16は、軌道内の図15の帆の例示的な実施形態を示す。
【0058】
翼帆の例示的な実施形態は、地球軌道内の太陽帆の動作を可能にするために使用され得る。翼を個別にまたは連携して関節接続することにより、推力が誘導されたりオフにされたりすることが可能である。これにより、翼帆オペレータは意のままに、軌道エネルギーを戦略的に追加または除去することができる。太陽輻射圧推力は、非常に小さいが永続的であり、消耗品を必要としない。このような現象学は、デブリ除去および高LEO軌道の課題に適している。翼帆は、個々の翼の配向を制御するためのアクチュエータに電力供給するための、1つ以上のソーラーパネルを含み得る。
【0059】
例示的な実施形態は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第9499285号明細書によって記載されるものなど、多要素衛星を含み得る。多要素衛星は、単一の輸送手段を、展開可能なブームによって接続された物理的マルチノード構造に断片化することによって、現場の宇宙物体の断層調査を提供することができる。軌道上で展開されると、多要素衛星は、標的衛星を操作して標的衛星とランデブーし、次いで構造をスピンアップすることにより、その配向および転動速度を一致させることができる。低温ガスおよび固体推進剤から電気推進に至るまで、いくつの推進技術が利用され得る。
【0060】
パッシブ装置は、形成するように展開され、その後その寿命にわたって全く制御を必要とせずに抗力装置として機能し得る。これらの装置は、膨張展開されたバルーン/バリュート(球状、トーラス、円錐、スタックトーラス、角柱など)、およびエアロブレーキのような機械的に展開された抗力領域を含む。膨張可能な解決策は、デブリおよび微小流星物体による穴に対処するためのメークアップ膨張剤を搬送するために、本明細書に説明されているシステムの例示的な実施形態を必要とする場合がある。機械的に展開された解決策は、より多くの構造質量を必要とするかもしれない。
【0061】
ほとんどのバルーンおよびバリュートは、構造を提供するために、膨張剤加圧を使用する。これらの装置は、構造的完全性を維持するためのエンベロープ内の圧力を維持するために、メークアップガスの供給を必要とする場合がある。バルーン/バリュートは、メークアップガスが必要とされないように、十分に硬い材料で構築され得ることも企図される(エコーバルーンがこれらの例である)。これらのタイプのエンベロープは、これらの類似物よりも著しく重いが、重いメークアップガス供給システムを必要としない場合がある。
【0062】
機械的に展開された装置は、巧妙な展開機構の使用を通じて形成するように立ち上げられて維持される。完全な形状になると、展開された表面領域は、最初にこの表面領域を展開させたのと同じ機構によって形状が保持され得る。これらの装置は、二次元表面領域(ディスク対球形で考える)を展開し、これにより展開された材料の総量を削減することができる。しかしながら、空力荷重を支持するための構造は、かなりの質量および収納容量を必要とする場合がある。
【0063】
本発明の実施形態は添付図面を参照して説明されてきたが、様々な変更および修正が当業者にとって明らかとなることに留意すべきである。このような変更および修正は、添付請求項によって定義される本発明の実施形態の範囲に含まれると理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図11D
図12
図13A
図13B
図13C
図13D
図14
図15
図16