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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】車外監視装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/02 20060101AFI20241217BHJP
   B60S 1/54 20060101ALI20241217BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B60S1/02 400A
B60S1/54 D
B60R11/02 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021010318
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022114149
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】100147913
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 義敬
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(74)【代理人】
【識別番号】100091605
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100197284
【弁理士】
【氏名又は名称】下茂 力
(72)【発明者】
【氏名】金森 聖斗
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-137288(JP,A)
【文献】特開2017-149307(JP,A)
【文献】特開2019-137289(JP,A)
【文献】特開2017-092736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/02
B60S 1/54
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向の一方に空気を送風する送風ファンと、
前記幅方向において前記送風ファンの前記一方側に配置され、前方を撮影する撮像モジュールと、
下面において前記送風ファンを支持し、上面において前記撮像モジュールを支持する基材と、
前記基材の前記下面を下方に向かって壁状に突起させた部位であって、前記送風ファンの吹出口近傍から前記一方側に向かって連続して伸び、前記撮像モジュールと前記基材を介して熱的に接続される空気誘導部と、を具備し、
前記空気誘導部は、前記撮像モジュールの前記下方において、前記送風ファンにより送風された前記空気が前記前方に向かって流動する速度成分を有するように、前記送風ファンにより送風された前記空気を誘導することを特徴とする車外監視装置。
【請求項2】
前記空気誘導部は、前記下方から見た場合に、後方に向かって凸となる曲線に沿って湾曲する湾曲部を備えることを特徴とする請求項1に記載の車外監視装置。
【請求項3】
前記空気誘導部は、当該空気誘導部の前記幅方向の両端よりも、前記湾曲部の中央部分が後方に位置する形状を有することを特徴とする請求項2に記載の車外監視装置。
【請求項4】
前記撮像モジュールの前記前方且つ前記下方に配置され、且つ、スリットが形成されたフードを更に具備し、
前記送風ファンにより送風された前記空気は、前記フードの前記スリットを経由して、前記フードの下面側から前記フードの上面側に向かって流動することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の車外監視装置。
【請求項5】
前記空気誘導部に沿って、前記基材の前記下面を前記下方に向かって壁状に突起させた複数の壁部が設けられ、
前記送風ファンにより送風された前記空気は、前記壁部と前記空気誘導部の間を流動することを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の車外監視装置。
【請求項6】
幅方向の一方側及び他方側に吹出口を有し、前記幅方向の前記一方側及び前記他方側に向かって空気を送風する送風ファンと、
前記幅方向において前記送風ファンの前記一方側に配置され、前方を撮影する第1撮像モジュールと、
前記幅方向において前記送風ファンの前記他方側に配置され、前記前方を撮影する第2撮像モジュールと、
下面において前記送風ファンを支持し、上面において前記第1撮像モジュール及び前記第2撮像モジュールを支持する基材と、
前記基材の前記下面を下方に向かって壁状に突起させた部位であって、前記送風ファンの前記一方側の吹出口近傍から前記一方側に向かって連続して伸び、前記第1撮像モジュールと前記基材を介して熱的に接続される第1空気誘導部と、
前記基材の前記下面を前記下方に向かって壁状に突起させた部位であって、前記送風ファンの前記他方側の吹出口近傍から前記他方側に向かって連続して伸び、前記第2撮像モジュールと前記基材を介して熱的に接続される第2空気誘導部と、を具備し、
前記第1空気誘導部は、前記第1撮像モジュールの前記下方において、前記送風ファンにより前記一方側に向かって送風された前記空気が前記前方に向かって流動する速度成分を有するように、前記送風ファンにより前記一方側に向かって送風された前記空気を誘導し、
前記第2空気誘導部は、前記第2撮像モジュールの前記下方において、前記送風ファンにより前記他方側に向かって送風された前記空気が前記前方に向かって流動する速度成分を有するように、前記送風ファンにより前記他方側に向かって送風された前記空気を誘導する、ことを特徴とする車外監視装置。
【請求項7】
前記第1空気誘導部は、前記下方から見た場合に、後方に向かって凸となる第1曲線に沿って湾曲する第1湾曲部を備え、
前記第2空気誘導部は、前記下方から見た場合に、前記後方に向かって凸となる第2曲線に沿って湾曲する第2湾曲部を備えることを特徴とする請求項6に記載の車外監視装置。
【請求項8】
前記第1空気誘導部は、当該第1空気誘導部の前記幅方向の両端よりも、前記第1湾曲部の中央部分が後方に位置する形状を有し、
前記第2空気誘導部は、当該第2空気誘導部の前記幅方向の両端よりも、前記第2湾曲部の中央部分が後方に位置する形状を有することを特徴とする請求項7に記載の車外監視装置。
【請求項9】
前記第1撮像モジュールの前方且つ下方に配置され、且つ、スリットが形成された第1フードと、
前記第2撮像モジュールの前方且つ下方に配置され、且つ、スリットが形成された第2フードと、を更に具備し、
前記送風ファンにより前記一方側に向かって送風された前記空気は、前記第1フードの前記スリットを経由して、前記第1フードの下面側から前記第1フードの上面側に向かって流動し、
前記送風ファンにより前記他方側に向かって送風された前記空気は、前記第2フードの前記スリットを経由して、前記第2フードの下面側から前記第2フードの上面側に向かって流動することを特徴とする請求項6から請求項8の何れかに記載の車外監視装置。
【請求項10】
前記第1空気誘導部に沿って配置され、前記基材の前記下面を前記下方に向かって壁状に突起させた複数の第1壁部と、
前記第2空気誘導部に沿って配置され、前記基材の前記下面を前記下方に向かって壁状に突起させた複数の第2壁部と、をさらに備えることを特徴とする請求項6から請求項9の何れかに記載の車外監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車外監視装置に関し、特に、車外の状況を撮像素子で監視する車外監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CMOS等の固体撮像素子を内蔵した一対のステレオカメラを用いたステレオ式の車外監視装置が用いられている。この種の車外監視装置における車外認識では、ステレオカメラで車両の前方を撮影し、撮影された画像データに基づいて所定の演算処理を行い、具体的には三角測量の原理を用いて距離データを算出し、この距離データに周知のグルーピング処理等を施すことにより、撮像画像中の対象物を認識している。
【0003】
上記したステレオカメラは、フロントガラスの直近に配置される。よって、フロントガラスに曇りが発生している場合、ステレオカメラで車外の状況を鮮明に撮影することができず、車外の対象物を正確に認識することが出来ない恐れがある。
【0004】
特許文献1に、係る課題に対処するための発明が記載されている。この発明では、フロントガラス越しに外部を撮影する撮像素子と、撮像素子で取得した画像データを処理する電子部品を搭載する回路基板とが、ハウジングに内蔵されている。また、この電子部品から発生した熱を放出するための排気口が、ハウジングに形成されている。このようにすることで、電子部品から発生した熱が、撮像領域に含まれるフロントガラスに対して放出され、フロントガラスの曇りを抑止することができる。
【0005】
更に、特許文献2および特許文献3に記載された発明では、車両の空気調温装置から発生した暖気を、車両監視装置とフロントガラスとの間に送風することで、車両監視装置の前方に於いてガラスに曇りが発生することを抑制していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-92736号公報
【文献】特開2019-137288号公報
【文献】特開2019-137289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献1ないし特許文献3に記載された発明では、フロントガラスが曇ることをより効率的に抑止する観点から、改善の余地があった。
【0008】
具体的には、特許文献1に記載された発明では、電子部品から発生した熱を利用してフロントガラスの曇りを防止していたが、電子部品と空気との熱交換が充分に行われる保証がなく、フロントガラスの加熱が不充分となり曇りが発生してしまう恐れがある。
【0009】
また、特許文献2および特許文献3に記載された発明では、車両の空気調温装置を熱源としてフロントガラスの曇りを晴らしているが、空気調温装置からの温風の温度が充分に高温で無い場合、フロントガラスの曇りを晴らすことが簡単ではない課題がある。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置前方の透明部材の曇りを効率的に除去することができる車外監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の車外監視装置は、幅方向の一方に空気を送風する送風ファンと、前記幅方向において前記送風ファンの前記一方側に配置され、前方を撮影する撮像モジュールと、下面において前記送風ファンを支持し、上面において前記撮像モジュールを支持する基材と、前記基材の前記下面を下方に向かって壁状に突起させた部位であって、前記送風ファンの吹出口近傍から前記一方側に向かって連続して伸び、前記撮像モジュールと前記基材を介して熱的に接続される空気誘導部と、を具備し、前記空気誘導部は、前記撮像モジュールの前記下方において、前記送風ファンにより送風された前記空気が前記前方に向かって流動する速度成分を有するように、前記送風ファンにより送風された前記空気を誘導することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、装置前方の透明部材の曇りを効率的に除去することができる車外監視装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施形態に係る車外監視装置が組み込まれた車両を示す斜視図であり、(A)は車両の前部を示す斜視図であり、(B)は車外監視装置が取り付けられる部分を拡大して示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車外監視装置の接続構成を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る車外監視装置を示す図であり、車外監視装置を下方から見た下面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る車外監視装置を示す分解斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る車外監視装置を示す図であり、車外監視装置の内部構成を示す下面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る車外監視装置を示す図であり、車外監視装置の内部構成を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係る車外監視装置を示す図であり、(A)は車外監視装置の内部における空気誘導部等の構成を示す下面図であり、(B)は車外監視装置の内部における空気の流れを示す下面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る車外監視装置を示す図であり、(A)は車外監視装置の内部における空気の流速コンターを示す図であり、(B)は車外監視装置の内部における温度コンターを示す図である。
図9】本発明の他の実施形態に係る車外監視装置を示す図であり、(A)は車外監視装置の内部における空気誘導部等の構成を示す下面図であり、(B)は吹出口と端部との関連構成を示す図であり、(C)は吹出口と端部との他の関連構成を示す図である。
図10】本発明の他の実施形態に係る車外監視装置を示す図であり、(A)は車外監視装置の内部における空気の流速コンターを示す図であり、(B)は車外監視装置の内部における温度コンターを示す図である。
図11】本発明の他の実施形態に係る車外監視装置を示す図であり、第1空気誘導部の他の形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係る車外監視装置10を、図面に基づき詳細に説明する。以下の説明では、同一の部材には原則として同一の符番を用い、繰り返しの説明は省略する。また、以下の説明では上下前後左右の各方向を用いて説明するが、左右とは車両11の前方を向いた場合の方向を示している。
【0023】
図1(A)は車両11の前部を示す斜視図であり、図1(B)は車外監視装置10が取り付けられる部分を拡大して示す斜視図である。
【0024】
図1(A)を参照して、車外監視装置10は、例えば乗用車である車両11の車室内に備えられている。車外監視装置10は、透明部材であるフロントガラス19の上端部付近、且つ、車両11の左右方向に於いて略中央部に配設されている。
【0025】
図1(B)を参照して、車外監視装置10は、フロントガラス19のセラミックライン29により遮蔽される部分の後方に配置されている。また、セラミックライン29を部分的に切り欠いた開口部12から、車外監視装置10の、後述する撮像素子20が前方に向かって露出している。撮像素子20の視野角を広く確保するために、後述する撮像素子20は、車室内に於いて、フロントガラス19の後方直近に配置されている。このようにすると、車外監視装置10とフロントガラス19との間隙が狭くなり、車外監視装置10の近傍のフロントガラス19に曇りが発生しやすくなる。本実施形態では、後述するように、車外監視装置10に内蔵した送風ファン14で、温風をこの間隙に向かって吹き付け、上記した曇りが発生することを抑止している。
【0026】
図2は、本発明の一実施形態に係る車外監視装置10の接続構成を示す図である。車外監視装置10は、撮像素子20と、制御演算装置28と、画像処理素子26と、送風ファン14と、を主要に有している。また、車外監視装置10は、車両駆動装置27も有している。撮像素子20は、後述する撮像モジュール15に含まれる。
【0027】
撮像素子20は、例えば、CMOSやCCD等の固体撮像素子であり、フロントガラス19を透過して、車両11の前方側の車外環境を撮影する。本実施形態の車外監視装置10は、ステレオカメラを構成する2つの撮像素子20を有している。また、撮像素子20は、後述する撮像モジュール15に内蔵されている。
【0028】
制御演算装置28は、CPU、RAM、ROM等からなり、車外監視装置10の各部位の動作を制御している。制御演算装置28は、ECU(Electronic Control Unit)とも称される。
【0029】
画像処理素子26は、制御演算装置28の指示に基づいて、撮像素子20から伝送される画像データに基づいて所定の画像処理を行う半導体素子である。画像処理素子26は、例えば、FGPA(Field Programmable Gate Array)からなる画像処理専用の半導体チップであり、画像処理を行う際には多くの排熱が生じる発熱素子である。
【0030】
送風ファン14は、制御演算装置28の指示に基づいて送風する。送風ファン14が送風することで、撮像モジュール15を冷却でき、且つ、撮像素子20の前方においてフロントガラス19の曇りを晴らすことができる。かかる事項は、図5等を参照して後述する。
【0031】
車両駆動装置27は、車外監視装置10を駆動するための装置であり、例えば、ここでは図示しない駆動装置、制動装置および操舵装置を有する。
【0032】
車外監視装置10の機能を説明する。車外監視装置10は、車両用運転支援装置を構成している。具体的には、車外監視装置10の画像処理素子26は、車両前方を撮影する撮像素子20から入力される基準画像データと比較画像データとに基づいて、距離データを算出する。更に、画像処理素子26は、この距離データに対して周知のグルーピング処理を行い、各種立体物等を抽出する。ここで、立体物等とは、白線、ガードレール、縁石、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等である。
【0033】
車両駆動装置27は、画像処理素子26および制御演算装置28の指示に基づいて、駆動装置、制動装置および操舵装置を制御し、車両用運転支援を実現する。例えば、車両駆動装置27は、制動装置および駆動装置を制御することで、車両11を減速または停止することができる。また、車両駆動装置27は、操舵装置を制御することで、車両11の進行方向を是正することができる。更には、車両駆動装置27は、駆動装置、制動装置および操舵装置を制御することで、車間距離制御付クルーズコントロール(ACC;Adaptive Cruise Control)を行うことも出来る。
【0034】
本実施形態の車外監視装置10では、撮像素子20の前方のフロントガラス19の曇りを晴らしながら、撮像モジュール15により車両前方を常に撮影する。よって、撮像モジュール15により明瞭な映像を撮影することができ、この映像に基づいて、車両駆動装置27が車両用運転支援を行い、自動運転または半自動運転をより安全に実行することができる。
【0035】
図3は、車外監視装置10を下方から見た下面図である。
【0036】
車外監視装置10は車外の状況を監視する装置であり、送風ファン14と、撮像モジュール15と、第1空気誘導部23および第2空気誘導部24と、を主要に具備している。車外監視装置10の各構成機器は、基材18により支持されている。基材18は、アルミニウム等の金属または合成樹脂を略板状に成形したものである。
【0037】
送風ファン14は、撮像モジュール15を冷却し、且つ、フロントガラス19の側に向かって空気を送風する。送風ファン14は、基材18の下面に取りつけられている。送風ファン14は、左右方向において、車外監視装置10の略中央に配置されている。送風ファン14は、例えば、下方から取り入れた空気を、左方および右方に向かって送風する遠心ファンである。送風ファン14の左方側には、左方に向かって送風される空気が通過する吹出口36が形成されている。送風ファン14の右方側には、右方に向かって送風される空気が通過する吹出口25が形成されている。
【0038】
撮像モジュール15は、ここでは、フード221およびフード222の奥側に配置されるため図面に現れていない。撮像モジュール15は、フロントガラス19の内面近傍に配置され、車外を撮影する撮像素子20が組み込まれる。撮像モジュール15は、図4を参照して後述する。
【0039】
第1空気誘導部23および第2空気誘導部24は、送風ファン14の側からフロントガラス19の側に向かって延在する。更に、第1空気誘導部23および第2空気誘導部24は、基材18を介して、ここでは図示しない撮像モジュール15と熱的に結合されている。後述するように、送風ファン14により送風された空気は、撮像素子20を冷却することで昇温し、第1空気誘導部23および第2空気誘導部24に沿って流動した後、フロントガラス19に吹き付けられる。
【0040】
第1空気誘導部23および第2空気誘導部24は、基材18の下面を下方に向かって壁状に突起された部位である。第1空気誘導部23は、送風ファン14の吹出口36の近傍から、フード221の上端近傍まで連続して伸びている。第2空気誘導部24は、送風ファン14の吹出口25の近傍から、フード222の上端近傍まで連続して伸びている。
【0041】
壁部38は、吹出口36の近傍において、第1空気誘導部23と平行となるように、基材18を下方に向かって壁状に突出させた部位である。壁部38を形成することで、吹出口36から吹き出される空気を、第1空気誘導部23に沿って流れるように、良好に案内することができる。
【0042】
壁部39は、吹出口25の近傍において、第2空気誘導部24と平行となるように、基材18を下方に向かって壁状に突出させた部位である。壁部39を形成することで、吹出口25から吹き出される空気を、第2空気誘導部24に沿って流れるように、良好に案内することができる。
【0043】
フード221は、基材18の左端前方側に配置される遮光部材であり、後述する第1撮像モジュール16を下方から覆う。フード221は、前方に向かって幅広となる略三角形状を呈している。フード221を部分的に開口することでスリット211が形成されている。スリット211は、左右方向に沿って細長く形成されている。また、スリット211は、前後方向に沿って、複数が形成されている。スリット211は、送風ファン14から送風され、第1空気誘導部23を介して昇温された空気が、フロントガラス19に向かって流通するための開口である。
【0044】
フード222は、基材18の右端前方側に配置される遮光部材であり、後述する第2撮像モジュール17を下方から覆う。フード222は、前方に向かって幅広となる略三角形状を呈している。フード222を部分的に開口することでスリット212が形成されている。スリット212は、左右方向に沿って細長く形成されている。また、スリット212は、前後方向に沿って、複数が形成されている。スリット212は、送風ファン14から送風され、第2空気誘導部24を介して昇温された空気が、フロントガラス19に向かって流通するための開口である。
【0045】
ブラケット30は、フード221、フード222、および後述する撮像モジュール15を車体側に取り付けるための中継部材であり、例えば、所定形状に成形された合成樹脂や金属から成る。
【0046】
開口部31は、ブラケット30とフード221との間に形成された開口であり、後述する第1撮像モジュール16に向けて車外から光が通過する。開口部32は、ブラケット30と、フード222との間に形成された開口であり、後述する第2撮像モジュール17に向けて車外から光が入射する。
【0047】
図4は、車外監視装置10を示す分解斜視図である。
【0048】
車外監視装置10は、上方から、ブラケット30、撮像モジュール15およびカメラカバー13を有している。
【0049】
ブラケット30は、図1(B)に示したフロントガラス19の車室内側の上端に配置され、車外監視装置10の各構成機器を、車両11の側に据え付ける機能を有する。ブラケット30の前端側に、フード221およびフード222が取りつけられている。
【0050】
撮像モジュール15は、基材18、第1撮像モジュール16および第2撮像モジュール17を主要に有している。撮像モジュール15は、ネジ等の締結手段等を介して、ブラケット30の下面に取りつけられる。
【0051】
第1撮像モジュール16は、基材18の左端側に配置され、撮像素子20が内蔵されている。第1撮像モジュール16は、基材18と熱的に結合されており、車外監視装置10の稼働時において第1撮像モジュール16から発生する熱は、基材18に伝導する。これにより、第1撮像モジュール16の過熱が防止される。
【0052】
第2撮像モジュール17は、基材18の右端側に配置され、撮像素子20が内蔵されている。第2撮像モジュール17は、基材18と熱的に結合されており、車外監視装置10の稼働時において第2撮像モジュール17から発生する熱は、基材18に伝導する。これにより、第2撮像モジュール17の過熱が防止される。
【0053】
基材18には、画像処理素子26等の回路素子が実装されている。車外監視装置10の稼働時において、画像処理素子26等から発生する熱は基材18に伝導し、これにより画像処理素子26の過熱が防止されている。また、上記したように、第1空気誘導部23、第2空気誘導部24および送風ファン14は、基材18の下面に配設されている。
【0054】
カメラカバー13は、所定形状に成形された合成樹脂板から成り、撮像モジュール15、フード221およびフード222等を下方から覆うように、ブラケット30に取りつけられている。
【0055】
図5は、本発明の一実施形態に係る車外監視装置10を示す図であり、車外監視装置10の内部構成を示す下面図である。また、図6は、車外監視装置10の内部構成を示す斜視図である。ここでは、車外監視装置10の左方部分における構成および作用効果を説明するが、かかる事項は車外監視装置10の右方部分においても同様である。図5以降の図では、空気の流れを点線の矢印で示している。
【0056】
図5および図6を参照して、第1空気誘導部23は、第1空気誘導部23に沿って空気が送風される際に、コアンダ効果が発生し得る形状を呈している。コアンダ効果とは、空気が第1空気誘導部23に引き寄せられる効果のことである。具体的には、第1空気誘導部23の右端側部分は、吹出口36の前端近傍に配置されており、中央部分は後方に向かって隆起しており、左端側部分は、スリット211に向かって前方に伸びている。また、第1空気誘導部23は、全体として滑らかな湾曲形状を呈している。
【0057】
第1空気誘導部23がかかる形状を呈していることで、送風ファン14が送風した空気は、コアンダ効果により、第1空気誘導部23の後面に沿って左方に向かって流動する。ここで、第1空気誘導部23の母材である基材18は、撮像モジュール15等の放熱部材として機能しているため、車外監視装置10の稼働時には、第1撮像モジュール16等からの受熱により高温となる。よって、第1空気誘導部23に沿って空気が流れることで、基材18の一部である第1空気誘導部23を介して、第1撮像モジュール16等の放熱が促進され、車外監視装置10を正常に動作させることができる。
【0058】
その後、第1空気誘導部23に沿って流動した空気は、前方に向かって流動し、フード221のスリット211を経由し、上記したフロントガラス19の内面に当たる。これにより、フロントガラス19の内部面において曇りを晴らすことができる。
【0059】
図7(A)は他の形態にかかる車外監視装置10の内部における空気誘導部等の構成を示す下面図であり、図7(B)は車外監視装置10の内部における空気の流れを示す下面図である。ここに示す車外監視装置10の構成は、図3に示した車外監視装置10と基本的には同様であり、壁部33を有している点が異なる。
【0060】
図7(A)を参照して、基材18の下面には壁部33が形成されている。壁部33は、基材18の下面を壁状に突出させた部位である。壁部33は、第1空気誘導部23の後方側に形成され、左方側端部は第1空気誘導部23に接近し、右方に向かって第1空気誘導部23から離れるように傾斜している。また、壁部33は、その中間部分が前方右側に突出するように湾曲している。更に、壁部33は、第1空気誘導部23に沿って複数が配置されている。
【0061】
図7(B)を参照して、送風ファン14が送風した空気は、コアンダ効果が発生することで、吹出口36を経由して第1空気誘導部23の後面に沿って流動する。その際、第1空気誘導部23に沿う空気の流動に巻き込まれることで、壁部33に沿う空気の流れが発生する。これにより、第1空気誘導部23に加えて、壁部33も放熱フィンとして機能し、撮像モジュール15等の各構成機器を冷却する効果を顕著にすることができる。
【0062】
図8(A)は車外監視装置10の内部における空気の流速コンターを示す図であり、図8(B)は車外監視装置10の内部における温度コンターを示す図である。
【0063】
図8(A)において、色の薄さは、空気の流速の速さを示している。送風ファン14から吹き出された空気は、コアンダ効果より、第1空気誘導部23の後面に沿って、前方左側に向かって流動している。また、壁部33に沿う空気の流れも発生している。
【0064】
図8(B)において、色の薄さは、温度の高さを示している。この図から明らかなように、第1空気誘導部23および壁部33は、前述した第1撮像モジュール16および第2撮像モジュール17から受熱することで、高温となっている。また、第1空気誘導部23から熱伝導することで、第1空気誘導部23に沿って流れる空気も高温状態を呈している。更に、壁部33からの熱伝導より、壁部33に沿って流れる空気も、高温状態を呈している。第1空気誘導部23および壁部33から受熱することで昇温した空気が、フロントガラス19に吹き付けられることで、フロントガラス19において効果的に曇りを晴らすことができる。
【0065】
図9(A)は車外監視装置10の他の構成を示す下面図であり、図9(B)は吹出口36と端部35との関連構成を示す図であり、図9(C)は吹出口36と端部35との他の関連構成を示す図である。
【0066】
図9(A)を参照して、ここでは、基材18の下面に、第1空気誘導部23、壁部33および壁部34が形成されている。第1空気誘導部23および壁部33の構成は、図7(A)に示した場合と同様である。
【0067】
壁部34は、基材18の下面であって、第1空気誘導部23の前方側に形成されている。壁部34は、基材18の下面を壁状にした部位である。壁部34は、右方に向かって第1空気誘導部23から離れるように傾斜している。また、壁部34は、第1空気誘導部23に沿って複数が形成されている。
【0068】
ここで、第1空気誘導部23の右端である端部35の位置は、吹出口36に対して任意とすることができる。即ち、図9(B)に示すように、吹出口36の前端に、端部35が配置されても良い。また、図9(C)に示すように、前後方向において、吹出口36の中間部に、端部35が配置されても良い。
【0069】
再び図9(A)を参照して、ここでは、第1空気誘導部23の右端である端部35は、前後方向において、吹出口36の中間部、例えば中央部に配置されている。かかる構成で、送風ファン14が吹出口36から空気を吹き出すと、その空気の一部は、コアンダ効果により第1空気誘導部23の後面に沿って流動する。かかる空気の流れに伴い、壁部33に沿って空気が流れる。一方、吹出口36から吹き出された空気の一部は、第1空気誘導部23の前面に沿って流動する。更に、かかる空気の流れに伴い、壁部34に沿って空気が流れる。このようにすることで、第1空気誘導部23に加えて、壁部33および壁部34も空気と熱交換することになり、更に効果的に昇温された空気を、前述したフロントガラス19に向けて送風することができる。
【0070】
図10(A)は車外監視装置10の内部における空気の流速コンターを示す図であり、図10(B)は車外監視装置10の内部における温度コンターを示す図である。
【0071】
図10(A)において、色の薄さは、空気の流速の速さを示している。ここでは、吹出口36から吹き出された空気は、第1空気誘導部23の前面および後面に沿って流動している。また、壁部33および壁部34に沿う空気の流れも発生している。
【0072】
図10(B)に於いて、色の薄さは、温度の高さを示している。ここでは、吹出口36から吹き出された空気は、第1空気誘導部23の前面および後面に沿って受熱しつつ流動し、これにより高温状態を呈している。また、壁部33および壁部34に沿う空気の流れも発生し、これにより壁部33および壁部34と熱交換した空気が高温状態を呈している。
【0073】
図11は、更なる他の形態にかかる第1空気誘導部23を示す側面図である。
【0074】
ここでは、第1空気誘導部23の後面、即ち、空気が送風される面に、境界層制御部位37が形成されている。ここでは、境界層制御部位37として、第1空気誘導部23の後面を部分的に後方に向かって突起させた部位を例示している。境界層制御部位37は、ここでは1つが例示されているが、空気の流れに沿って複数が形成されても良い。
【0075】
車外監視装置10の設計制限等に起因して、第1空気誘導部23の長さが充分に確保できない場合あり、そのような場合は空気の主流が第1空気誘導部23の後面から離れてしまう恐れがある。第1空気誘導部23を形成することで、第1空気誘導部23の下流側に乱流を発生させ、空気の主流が第1空気誘導部23の後面から剥離することを抑制し、第1空気誘導部23と空気とを充分に熱交換することができる。
【0076】
前述した本実施形態により、以下のような主要な効果を奏することができる。
【0077】
車外監視装置10によれば、図5を参照して、撮像素子20を冷却することで昇温した空気を、第1空気誘導部23に沿ってフロントガラス19に吹き付けることで、撮像モジュール15の前方においてフロントガラス19の曇りが発生することを抑制できる。更に、撮像素子20と熱交換することで昇温した空気をフロントガラス19に吹き付けるので、車両11の走行時において撮像素子20を好適に冷却しつつ、且つ、専用の熱源を不要にしてフロントガラス19の曇りを解消できる。
【0078】
更に、図5を参照して、空気誘導部に沿って空気が送風される際に、コアンダ効果が発生することで、空気誘導部に密着して空気が送風され、第1空気誘導部23および撮像モジュール15を効果的に冷却し、更に、これにより昇温した空気を好適にフロントガラス19に吹き付けることができる。
【0079】
更に、図5を参照して、フード221にスリット211が形成されていることから、スリット211を経由して、昇温された空気を、効果的にフロントガラス19に向かって吹き付けることができる。
【0080】
更に、図3を参照して、送風ファン14の幅方向両側に対して空気を送風し、効果的に、第1撮像モジュール16および第2撮像モジュール17の前方のフロントガラス19に、空気を吹き付けることができる。
【0081】
更に、図7(B)を参照して、壁部33と第1空気誘導部23との間に空気を流すことで、第1空気誘導部23および壁部33と空気とをより効果的に熱交換させ、更に高温の空気をフロントガラス19に対して吹き付けることができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で変更が可能である。また、前述した各形態は相互に組み合わせることが可能である。
前述した本実施形態により把握できる発明を、その効果と共に下記する。
本発明の車外監視装置は、車外の状況を監視する車外監視装置であり、送風ファンと、撮像モジュールと、空気誘導部と、を具備し、前記送風ファンは、前記撮像モジュールを冷却し、且つ、車体に備えられた透明部材の側に向かって空気を送風し、前記撮像モジュールは、前記透明部材の内面近傍に配置され、前記車外を撮影する撮像素子が組み込まれ、前記空気誘導部は、前記送風ファンの側から前記透明部材の側に向かって延在し、且つ、前記撮像モジュールと熱的に接続され、前記送風ファンにより送風された前記空気は、前記撮像素子を冷却することで昇温し、前記空気誘導部に沿って前記透明部材に吹き付けられることを特徴とする。本発明の車外監視装置によれば、撮像素子を冷却することで昇温した空気を、空気誘導部に沿って透明部材であるフロントガラスに吹き付けることで、撮像モジュールの前方においてフロントガラスの曇りが発生することを抑制できる。よって、車外監視装置のロバスト性を向上することができる。更に、撮像素子と熱交換することで昇温した空気をフロントガラスに吹き付けるので、車両の走行時において撮像素子を好適に冷却しつつ、且つ、専用の熱源を不要にしてフロントガラスの曇りを解消できる。
また、本発明の車外監視装置では、前記空気誘導部は、前記空気誘導部に沿って前記空気が送風される際に、コアンダ効果が発生し得る形状を呈していることを特徴とする。本発明の車外監視装置によれば、空気誘導部に沿って空気が送風される際に、コアンダ効果が発生することで、空気誘導部に密着して空気が送風され、空気誘導部および撮像モジュールを効果的に冷却し、更に、これにより昇温した空気を好適に透明部材に吹き付けることができる。
また、本発明の車外監視装置では、前記撮像モジュールを覆い、且つ、スリットが形成されたフードを更に具備し、前記送風ファンにより送風された前記空気は、前記フードの前記スリットを経由して、前記透明部材に向かって吹き出されることを特徴とする。本発明の車外監視装置によれば、昇温された空気を、フードのスリットを経由して、効果的に透明部材に向かって吹き付けることができる。
また、本発明の車外監視装置では、前記撮像モジュールは、幅方向において前記送風ファンの一方側に配置された第1撮像モジュールと、幅方向において前記送風ファンの他方側に配置された第2撮像モジュールと、を有し、前記空気誘導部は、前記第1撮像モジュールと熱的に接続され、且つ、前記送風ファンから前記空気を導く第1空気誘導部と、前記第2撮像モジュールと熱的に接続され、且つ、前記送風ファンから前記空気を導く第2空気誘導部と、を有することを特徴とする。本発明の車外監視装置によれば、送風ファンの幅方向両側に対して効果的に空気を送風し、更に、効果的に前方の透明部材に空気を吹き付けることができる。
また、本発明の車外監視装置では、前記空気誘導部に沿って、複数の壁部が設けられ、前記送風ファンにより送風された前記空気は、前記壁部と前記空気誘導部の間を流動することを特徴とする。本発明の車外監視装置によれば、壁部と空気誘導部の間に空気を流すことで、空気と空気誘導部とをより効果的に熱交換させ、高温の空気を透明部材に対して吹き付けることができる。
【符号の説明】
【0083】
10 車外監視装置
11 車両
12 開口部
13 カメラカバー
14 送風ファン
15 撮像モジュール
16 第1撮像モジュール
17 第2撮像モジュール
18 基材
19 フロントガラス
20 撮像素子
211 スリット
212 スリット
221 フード
222 フード
23 第1空気誘導部
24 第2空気誘導部
25 吹出口
26 画像処理素子
27 車両駆動装置
28 制御演算装置
29 セラミックライン
30 ブラケット
31 開口部
32 開口部
33 壁部
34 壁部
35 端部
36 吹出口
37 境界層制御部位
38 壁部
39 壁部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11