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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】カラーフィルター用赤色顔料分散組成物
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20241217BHJP
   C09B 67/46 20060101ALI20241217BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G02B5/20
C09B67/46 B
C09B67/46 A
G02F1/1335 505
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021026025
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2021162850
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2024-01-12
(31)【優先権主張番号】P 2020064639
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】林 明
(72)【発明者】
【氏名】杉江 俊輔
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-095491(JP,A)
【文献】特開2016-206378(JP,A)
【文献】特開2018-169523(JP,A)
【文献】特開2017-119735(JP,A)
【文献】特開2010-128306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
C09B 67/46
G02F 1/1335
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子としてCIE1931表色系におけるC光源を用いて測定されたXYZ表色系における色度(x、y)値が、x=0.6700~0.6900、かつ、y=0.3100~0.3300の色度範囲で塗膜を形成したときに、膜厚が3μm以下であり、前記塗膜は、波長anmにおける透過率をT(a)としたときに、(T(630)-T(600))/(T(600)-T(590)) が1.9以上であり、
C.I.ピグメントレッド179と、C.I.ピグメントイエロー139とを、質量比(C.I.ピグメントレッド179の質量/C.I.ピグメントイエロー139の質量)が95/5~40/60で含有し、
前記C.I.ピグメントレッド179と、前記C.I.ピグメントイエロー139との合計の質量に対して、C.I.ピグメントバイオレット29を5~50質量%で含有する
カラーフィルター用赤色顔料分散組成物。
【請求項2】
顔料分散剤、顔料分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、及び、有機溶剤を含有する請求項に記載のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物。
【請求項3】
前記顔料分散剤は、塩基性基含有高分子顔料分散剤である請求項に記載のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物。
【請求項4】
前記塩基性基含有高分子顔料分散剤は、窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体である請求項に記載のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物。
【請求項5】
前記顔料分散助剤は、スルホン酸基含有顔料分散助剤である請求項2~4のいずれかに記載のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物。
【請求項6】
量子ドットを含む光源を備えた画像表示装置のカラーフィルターに用いられる請求項1~のいずれかに記載のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルター用赤色顔料分散組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置の高画質化を実現するために不可欠の技術として、高精細カラーフィルターを形成する技術がある。カラーフィルターとしては、ガラスなどの透明な基板の表面に、2種以上の異なる色相の微細な帯(ストライプ)を平行に配置したものや、微細な画素を縦横に一定の配列で配置したもの等がある。
【0003】
画素サイズは、数10~数100μmという微細な大きさであるが、色相毎に所定の順序で整然と配列される必要がある。さらに、各色相の画素についても、基本性能として、色純度と可視光の透過率が高く、さらにハイコントラストであることが要求される。
【0004】
従来では、例えば、(A)着色剤、(B)バインダー樹脂及び(C)重合性化合物を含有する着色組成物において、(A)着色剤としてC.I.ピグメントレッド264、及びイソインドリン系顔料を含有することを特徴とする、着色組成物を用いてカラーフィルターを形成することが開示されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
近年では、画像表示装置の分野においては、正確な色表現により、映像をより美しく自然に豊かな色彩で表示することへの要望が高まっている。
例えば、赤色としては、XYZ表色系における色度座標x=0.6700~0.6900、かつ、y=0.3100~0.3300を実現できるカラーフィルターが求められている。
【0006】
一方で、優れた色再現性が実現する観点から、量子ドットの技術を用いたバックライト光源の開発も進められている。
このようなバックライト光源としては、例えば、約615nmから約630nmの範囲にピーク中心波長を有しており、半値全幅(FWHM)で約25nmから約60nmの間の範囲に狭い発光プロフィールを示すものが開示されている(例えば、特許文献2)。
そのため、量子ドットを含む光源を備えた画像表示装置に用いられるカラーフィルターは、特定の波長(例えば、615nmから630nm)の光を効率よく透過する性質が要求される。
【0007】
また、近年では、画像表示装置の薄型化のために、薄膜のカラーフィルターを形成することが求められている。
【0008】
しかしながら、従来の着色組成物では、バックライト光源として量子ドットを用いた場合に、XYZ表色系における色度座標x=0.6700~0.6900、かつ、y=0.3100~0.3300を実現でき、薄膜化をも実現できる塗膜を形成でき、さらに、量子ドットを含む光源の光を効率よく透過することができる性質を有する赤色顔料分散組成物を得ることはできておらず、改善の余地があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2014-178676号公報
【文献】特表2013-539598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みて、バックライト光源として量子ドットを用いた場合に、薄膜であっても、優れた色再現性を実現できる塗膜を形成することができるカラーフィルター用赤色顔料分散組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、発光素子としてCIE1931表色系におけるC光源を用いて測定されたXYZ表色系における色度(x、y)値が、x=0.6700~0.6900、かつ、y=0.3100~0.3300の色度範囲で塗膜を形成したときに、膜厚が3μm以下であり、前記塗膜は、波長anmにおける透過率をT(a)としたときに、(T(630)-T(600))/(T(600)-T(590)) が1.9以上である。
【0012】
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、C.I.ピグメントレッド179と、C.I.ピグメントイエロー139とを、質量比(C.I.ピグメントレッド179の質量/C.I.ピグメントイエロー139の質量)が95/5~40/60で含有することが好ましい。
また、上記C.I.ピグメントレッド179と、上記C.I.ピグメントイエロー139との合計の質量に対して、C.I.ピグメントバイオレット29を5~50質量%で含有することが好ましい。
また、顔料分散剤、顔料分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、及び、有機溶剤を含有することが好ましい。
また、上記顔料分散剤は、塩基性基含有高分子顔料分散剤であることが好ましい。
また、上記塩基性基含有高分子顔料分散剤は、窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体であることが好ましい。
また、上記顔料分散助剤は、スルホン酸基含有顔料分散助剤であることが好ましい。
また、本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、量子ドットを含む光源を備えた画像表示装置のカラーフィルターに用いられることが好ましい。
以下、本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物について詳細に説明する。
【0013】
<カラーフィルター用赤色顔料分散組成物>
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、発光素子としてCIE1931表色系におけるC光源を用いて測定されたXYZ表色系における色度(x、y)値が、x=0.6700~0.6900、かつ、y=0.3100~0.3300の色度範囲で塗膜を形成したときに、膜厚が3μm以下であり、前記塗膜は、波長anmにおける透過率をT(a)としたときに、(T(630)-T(600))/(T(600)-T(590)) が1.9以上である。
【0014】
ここで、上記色XYZ表色系における色度(x、y)値は、CIE1931XYZ表色系におけるC光源を用いて測定された色度値を意味する。
【0015】
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、発光素子としてCIE1931表色系におけるC光源を用いて測定されたXYZ表色系における色度(x、y)値が、x=0.6700~0.6900、かつ、y=0.3100~0.3300の色度範囲で塗膜を形成したときに、膜厚が3μm以下である。
このような膜厚を有することにより、優れた色表現性を有するカラーフィルターを得ることができる。
【0016】
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、発光素子としてCIE1931表色系におけるC光源を用いて測定されたXYZ表色系における色度(x、y)値が、x=0.6700~0.6900、かつ、y=0.3100~0.3300の範囲にあり、その色度範囲で塗膜を形成したときに、波長anmにおける透過率をT(a)としたときに、(T(630)-T(600))/(T(600)-T(590)) が1.9以上である。
このような透過率を有することにより、優れた色表現性を有するカラーフィルターを得ることができる。
上記(T(630)-T(600))/(T(600)-T(590))は、2.0以上であることが好ましい。
なお、透過率の測定方法としては、分光光度計(島津製作所社製、UV-2500PC、C光源2°視野)により測定することができる。
【0017】
(顔料)
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、C.I.ピグメントレッド179と、C.I.ピグメントイエロー139とを、質量比(C.I.ピグメントレッド179の質量/C.I.ピグメントイエロー139の質量)が95/5~40/60で含有することが好ましい。
C.I.ピグメントレッド179と、C.I.ピグメントイエロー139とを、特定の質量比で含有することにより、上記特定の色度座標における膜厚を3μm以下に好適に制御することができる。
【0018】
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、上記C.I.ピグメントレッド179と、上記C.I.ピグメントイエロー139との合計の質量に対して、C.I.ピグメントバイオレット29を5~50質量%で含有することが好ましい。
C.I.ピグメントバイオレット29を特定量含有することにより、上記特定の色度座標における膜厚を3μm以下により好適に制御することができる。
【0019】
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、本発明の作用効果を損なわない範囲において、従来の赤色顔料分散組成物に用いられていた赤色顔料、橙色顔料、及び、黄色顔料を含んでもよい。
このような顔料としては、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド291等が挙げられる。
【0020】
(顔料分散剤)
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、顔料分散剤、顔料分散助剤、アルカリ可溶性樹脂、及び、有機溶剤を含有することが好ましい。
まずは、顔料分散剤について説明する。
【0021】
上記顔料分散剤としては、従来からカラーフィルター分野で使用されている塩基性基を有する高分子顔料分散剤を使用することができる。
【0022】
上記塩基性基を有する高分子顔料分散剤としては、例えば、以下のものが挙げられる。
(1)ポリアミン化合物(例えば、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ポリエチレンポリイミン等の、ポリ(低級)アルキレンアミン等)のアミノ基及び/又はイミノ基と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステル、ポリアミド及びポリエステルアミドからなる群より選択される少なくとも1種との反応生成物。
(2)分子内にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖、及びポリアクリル側鎖からなる群より選択される少なくとも1種の側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(3)ポリ(低級)アルキレンイミン、メチルイミノビスプロピルアミン等の低分子アミノ化合物と、遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応生成物。
(4)ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に、メトキシポリエチレングリコール等のアルコール類やカプロラクトンポリエステル等の水酸基を1個有するポリエステル類、2~3個のイソシアネート基反応性官能基を有する化合物、イソシアネート基反応性官能基と第3級アミノ基とを有する脂肪族又は複素環式炭化水素化合物を順次反応させてなる反応生成物。
(5)アルコール性水酸基を有するアクリレートの重合物にポリイソシアネート化合物とアミノ基を有する炭化水素化合物とを反応させた反応生成物。
(6)低分子アミノ化合物にポリエーテル鎖を付加させてなる反応生成物。
(7)イソシアネート基を有する化合物にアミノ基を有する化合物を反応させてなる反応生成物。
(8)ポリエポキシ化合物に遊離のカルボキシル基を有する線状ポリマー及び2級アミノ基を1個有する有機アミン化合物を反応させた反応生成物。
(9)片末端にアミノ基と反応し得る官能基を有するポリカーボネート化合物とポリアミン化合物との反応生成物。
(10)メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベンジルアクリレート等のメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルから選択される少なくとも1種と、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-メチロールアミド、ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、アミノ基とポリカプロラクトン骨格を有するモノマー等の塩基性基含有重合性モノマーの少なくとも1種と、スチレン、スチレン誘導体、その他の重合性モノマーの少なくとも1種との共重合体。
(11)3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等の塩基性基を有するブロックと塩基性官能基を有していないブロックとからなる窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体等。
(12)ポリアリルアミンにポリカーボネート化合物をマイケル付加反応させて得られる顔料分散剤。
(13)ポリブタジエン鎖と塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(14)分子内にアミド基を有する側鎖と、塩基性窒素含有基とをそれぞれ少なくとも1つ有するカルボジイミド系化合物。
(15)エチレンオキサイド鎖とプロピレンオキサイド鎖を有する構成単位を有し、かつ四級化剤により四級化されたアミノ基を有するポリウレタン系化合物。
(16)分子内にイソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物のイソシアネート基と、分子内に活性水素基を有し、かつ、カルバゾール環及び/又はアゾベンゼン骨格を有する化合物の活性水素基とを反応させて得られる化合物であって、該化合物の分子内の、イソシアヌレート環を有するイソシアネート化合物に由来するイソシアネート基と、イソシアネート基と活性水素基との反応により生じたウレタン結合及び尿素結合との合計に対するカルバゾール環とアゾベンゼン骨格の数が15~85%である化合物、等。
上記顔料分散剤は、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0023】
上記顔料分散剤は、顔料分散性を好適に発揮する観点及びから、窒素原子を含有するアクリル樹脂系の高分子顔料分散剤が好ましく、アミノ基、4級アンモニウム塩基等の塩基性基を有するブロックと塩基性官能基を有していないブロックとからなるアクリル系ブロック共重合体であることがより好ましい。
上記窒素原子を含有するアクリル樹脂系の高分子顔料分散剤としては、側鎖に4級アンモニウム塩基及びアミノ基のうち少なくとも一方を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さないBブロックからなる、A-Bブロック共重合体及びB-A-Bブロック共重合体のうち少なくとも一方を含むことがさらに好ましい。
【0024】
本発明のカラーフィルター用顔料分散組成物において顔料分散剤の含有量は、上記顔料100質量部に対して1~100質量部であることが好ましく、1~60質量部であることがより好ましい。
上記顔料分散剤の含有量が、上記顔料100質量部に対して1質量部より小さいと顔料分散効果が低下する場合があり、一方、上記顔料100質量部に対して100質量部を超える場合は、現像性が低下する等のおそれがある。
【0025】
(顔料分散助剤)
上記顔料分散助剤としては、従来からカラーフィルター分野で使用されている顔料分散助剤を使用することができるが、顔料分散性を好適に発揮する観点から、スルホン酸基含有顔料分散助剤であることが好ましい。
【0026】
上記スルホン酸基含有顔料分散助剤としては、アゾ基とナフトール骨格とを有する化合物のスルホン化物であることがより好ましい。
上記スルホン酸基含有顔料分散助剤が、上記アゾ基とナフトール骨格とを有する化合物を含有することにより、本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物を用いて得られるカラーフィルターの輝度を好適に向上し、分散性を向上することができる。
【0027】
上記アゾ基とナフトール骨格とを有する化合物としては、C.I.ピグメントレッド2、112、188、C.I.ピグメントブラウン25等が挙げられる。
【0028】
上記アゾ基とナフトール骨格とを有する化合物のスルホン化物は、上記アゾ基とナフトール骨格とを有する化合物をスルホン化することにより得ることができる。
スルホン化の方法としては特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
【0029】
なかでも、本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物を用いて得られるカラーフィルターの輝度をより好適に向上する観点からは、C.I.ピグメントレッド188のスルホン化物が好ましく、上記顔料の分散安定性を好適に向上し、さらに本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物を用いて得られるカラーフィルターのコントラストを向上する観点からは、C.I.ピグメントレッド2のスルホン化物がより好ましい。
【0030】
上記顔料分散助剤は、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0031】
上記顔料分散助剤の含有量としては、カラーフィルター用赤色顔料分散組成物の全質量を基準として、0.1~5質量%であることが好ましく、0.5~3質量%であることがより好ましい。
【0032】
(アルカリ可溶性樹脂)
上記アルカリ可溶性樹脂としては、特に限定されるものではなく、従来から使用されているものが使用できるが、上記顔料に対してバインダーとして作用し、かつ、カラーフィルターを製造する際に、その現像処理工程において用いられる現像液(好ましくはアルカリ現像液)に対して可溶性を有するものであることが好ましい。
【0033】
上記アルカリ可溶性樹脂としては、ランダム共重合体でも、ブロック共重合体でもよい。
上記アルカリ可溶性樹脂のなかでも、カルボキシル基を有するものが好ましく、特に1個以上のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体からなる共重合体がより好ましい。
【0034】
上記アルカリ可溶性樹脂としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸等のカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体と共重合可能なスチレン、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールメタクリレート、N-フェニルマレイミド、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、カルボエポキシジアクリレート等のモノマー、オリゴマー類の群から選ばれる少なくとも1種のエチレン性不飽和単量体との共重合体を挙げることができる。
ただし、N-ビニルピロリドン、硫黄元素含有モノマーは使用しない方が望ましい。また、上記アルカリ可溶性樹脂は、光重合性の官能基を有していても良い。
【0035】
上記アルカリ可溶性樹脂の酸価としては、現像特性の点から5~250mgKOH/gが好ましく、10~200mgKOH/gがより好ましく、60~150mgKOH/gがさらに好ましい。
なお、本発明においては、上記酸価は理論酸価であり、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体とその含有量に基づいて算術的に求めた値である。
【0036】
上記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、通常、現像特性や有機溶剤への溶解性の点から1,000~100,000が好ましく、3,000~50,000がより好ましく、7,000~20,000がさらに好ましい。
なお、本明細書において、上記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は、GPCに基づいて得られるポリスチレン換算の重量平均分子量である。また、装置としては、Water2690(ウォーターズ社製)、カラムとしては PLgel 5μm MIXED-D(Agilent Technologies社製)を用いて測定することができる。
【0037】
上記アルカリ可溶性樹脂の含有量は、上記顔料100質量部に対して1~200質量部が好ましく、10~150質量部がより好ましい。
上記アルカリ可溶性樹脂の含有量が上記顔料100質量部に対して1質量部未満では、現像特性が低下するおそれがある。一方、上記アルカリ可溶性樹脂の含有量が上記顔料100質量部に対して200質量部を超えると、相対的に着色剤濃度が低下するため、薄膜として目的とする色濃度を達成することが困難となるおそれがある。
【0038】
上記アルカリ可溶性樹脂としては、1級、2級、及び3級の何れのアミノ基も含有せず、さらに4級アンモニウム基も含有しないことが好ましい。
さらに、塩基性基を有しないことがより好ましい。
【0039】
(その他の樹脂)
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、その他の樹脂を含んでもよい。
上記その他の樹脂としては、可視光領域の400~700nmの全波長領域において透過率がより高い樹脂を使用することが好ましい。
このような樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、上記以外のアルカリ可溶性樹脂、また、下記の光重合性化合物を使用できる。
【0040】
上記その他の樹脂は、カラーフィルター用赤色顔料分散組成物の全固形分に対して質量分率で、使用するその他の樹脂の合計量が5~94質量%が好ましく、20~50質量%がより好ましい。
【0041】
上記熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン-マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、スチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム、エポキシ樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
なお、必要に応じて、後述するカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物にて記載する光重合性樹脂を配合することもできる。
【0042】
(有機溶剤)
上記有機溶剤としては、従来から液晶カラーフィルターレジストの分野で使用されている有機溶剤が好適に使用できる。
【0043】
上記有機溶剤としては、具体的には、常圧(1.013×10kPa)における沸点が100~220℃のエステル系有機溶剤、エーテル系有機溶剤、エーテルエステル系有機溶剤、ケトン系有機溶剤、芳香族炭化水素系有機溶剤、含窒素系有機溶剤等である。
上記有機溶剤として、沸点が220℃を超える有機溶剤を多量に含有していると、カラーフィルター用赤色顔料分散組成物、又は、後述するカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物を塗布してなる塗膜をプレベークする際に、有機溶剤が充分に蒸発せずに乾燥塗膜内に残存し、乾燥塗膜の耐熱性が低下するおそれがある。
また、上記有機溶剤として、沸点100℃未満の有機溶剤を多量に含有していると、ムラなく均一に塗布することが困難になり、表面平滑性に優れた塗膜が得られなくなるおそれがある。
【0044】
上記有機溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル系有機溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエーテルエステル系有機溶剤;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、δ-ブチロラクトン等のケトン系有機溶剤;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、蟻酸n-アミル等のエステル系有機溶剤;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール系溶剤;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等の含窒素系有機溶剤等を例示できる。
これらは、単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0045】
上記有機溶剤の中でも、溶解性、分散性、塗布性等の点で、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、蟻酸n-アミル等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがより好ましい。
【0046】
上記有機溶剤の含有量は、上記アルカリ可溶性樹脂の溶解性、顔料分散性、塗布性等が良好となる点より、カラーフィルター用赤色顔料分散組成物の全質量を基準として、30~80質量%であることが好ましく、35~75質量%であることがより好ましい。
【0047】
(カラーフィルター用赤色顔料分散組成物の製造方法)
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物の製造方法としては、上述した各種成分を加え、混合及び練肉することにより得ることができる。
上述した各種成分の加え方としては、例えば、顔料を1種類含む顔料分散液を複数作製した後、作製した顔料分散液同士を混合してカラーフィルター用赤色顔料分散組成物を作製してもよい。
【0048】
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、量子ドットを含む光源を備えた画像表示装置のカラーフィルターに用いられることが好ましい。
【0049】
上記量子ドットしては、例えば、特表2013-539598号公報で開示された量子ドットを用いることができる。
【0050】
<カラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物>
上記カラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物としては、上述した本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物に加えて、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、有機溶剤、及び、必要に応じて添加剤等を加えることで得ることができる。
【0051】
(カラーフィルター用赤色顔料分散組成物)
上記カラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物は、上述した本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物を含有する。
上記カラーフィルター用赤色顔料分散組成物の含有量としては、本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物の全質量を基準として、30~80質量%であることが好ましく、40~75質量%であることがより好ましい。
【0052】
(アルカリ可溶性樹脂)
上記アルカリ可溶性樹脂としては、上述した本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物で記載したアルカリ可溶性樹脂を適宜選択して用いることができる。
【0053】
上記アルカリ可溶性樹脂の含有量としては、本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物の全質量を基準として、1~35質量%であることが好ましく、3~30質量%であることがより好ましい。
【0054】
(光重合性化合物)
上記光重合性化合物としては、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する単量体、オリゴマー等を挙げることができる。光重合性不飽和結合とは、後述する光重合開始剤が、紫外線や電子線等の活性エネルギー線により分解した際に発生するラジカルやカチオンの作用により、重合することのできる不飽和結合である。
【0055】
上記光重合性不飽和結合を分子内に1個有する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等のアルキルメタクリレート又はアクリレート;ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等のアラルキルメタクリレート又はアクリレート;ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート又はアクリレート;N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノアルキルメタクリレート又はアクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールアリールエーテルのメタクリル酸エステル又はアクリル酸エステル;イソボニルメタクリレート又はアクリレート;グリセロールメタクリレート又はアクリレート;2-ヒドロキシエチルメタクリレート又はアクリレート等が例示できる。
本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
【0056】
上記光重合性不飽和結合を分子内に2個以上有する単量体としては、ビスフェノールAジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスルトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、グリセロールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスルトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート等が挙げられる。
上記光重合性化合物は、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0057】
上記光重合性化合物の含有量は、本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物の全質量を基準として、0.5~20質量%であることが好ましく、1~10質量%であることがより好ましい。
【0058】
(光重合開始剤)
上記光重合開始剤としては、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射されることにより、ラジカルやカチオンを発生することのできるものであれば特に限定されず、例えば、ベンゾフェノン、N,N’-テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン、4-メトキシ-4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α-ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、t-ブチルアントラキノン、1-クロロアントラキノン、2,3-ジクロロアントラキノン、3-クロル-2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、1,4-ナフトキノン、1,2-ベンゾアントラキノン、1,4-ジメチルアントラキノン、2-フェニルアントラキノン、2-メチル-1[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジル-1-ブタノン、トリアジン系光重合開始剤等が挙げられる。
上記光重合開始剤は、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
【0059】
上記光重合開始剤の含有量は、本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物の全質量を基準として、0.1~5質量%であることが好ましく、0.5~3質量%であることがより好ましい。
【0060】
(有機溶剤)
上記有機溶剤としては、上述した本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物で記載した有機溶剤を適宜選択して用いることができる。
【0061】
上記有機溶剤の含有量としては、本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物の全質量を基準として、1~40質量%であることが好ましく、5~35質量%であることがより好ましい。
【0062】
(その他添加剤)
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で添加剤を含有しても良い。
上記添加剤としては、熱重合禁止剤、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、紫外線吸収剤及び酸化防止剤等の各種添加剤が挙げられる。
【0063】
(カラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物の製造方法)
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物の製造方法としては特に限定されず、上述した材料を含有し、公知の方法により混合し、練肉することにより得ることができる。
【0064】
<カラーフィルター>
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物は、カラーフィルターを形成するために用いることができる。
上記カラーフィルターは、赤色フィルタセグメント、緑色フィルタセグメント、及び、青色フィルタセグメントを具備するものであり、その中の赤色フィルタセグメントが、本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物により形成されている。
上記緑色フィルタセグメント及び上記青色フィルタセグメントとしては、公知の材料及び方法により形成することができる。
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物により形成されるカラーフィルターは、例えば、印刷法又はフォトリソグラフィー法等、公知の方法を適宜選択して用いることができる。
【0065】
<表示装置>
上記カラーフィルターは、表示装置として用いることができる。
上記表示装置としては、上述した本発明のカラーフィルターを含んでいれば特に限定されず、公知の液晶表示装置や、タッチパネル等が挙げられる。
上記表示装置の光源としては、上述した量子ドットを含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0066】
本発明は、バックライト光源として量子ドットを用いた場合に、薄膜であっても、優れた色再現性を実現できる塗膜を形成することができるカラーフィルター用赤色顔料分散組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0067】
以下に実施例をあげて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
【0068】
実施例及び比較例で用いた材料は以下の通りである。
【0069】
<顔料>
(PR179)
C.I.ピグメントレッド179
(PV29)
C.I.ピグメントバイオレット29
(PY139)
C.I.ピグメントイエロー139
(PR177)
C.I.ピグメントレッド177
(PR254)
C.I.ピグメントレッド254
(PR291)
C.I.ピグメントレッド291
<顔料分散剤>
(窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体)
3級アミノ基を含むアクリル系ブロック共重合体(LP-N21116、BYK Chemie社製)
<顔料分散助剤>
(PR2S)
100ml三角フラスコに濃硫酸を30ml仕込み、マグネチックスターラーで撹拌しながらC.I.ピグメントレッド2を10g投入し、室温で30分撹拌した。1Lビーカーに水50gと氷50gの混合物を入れ、上記反応物をこの氷水中に注ぎ、マグネチックスターラーで30分撹拌した。これを減圧下で濾過・水洗し、得られた固体を乾燥させて、スルホン酸基含有顔料分散助剤(C.I.ピグメントレッド2のスルホン化物、PR2S)を作製した。
<アルカリ可溶性樹脂>
(BMA/MAA共重合体)
メタクリル酸ブチル/メタクリル酸共重合体(フォレットZAH110、綜研化学社製、固形分35%)
<有機溶剤>
(PGMEA)
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
<光重合性化合物>
(DPHA)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(A9530、新中村化学社製)
<光重合開始剤>
(イルガキュア369)
2-(ジメチルアミノ)-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジル-1-ブタノン
【0070】
<カラーフィルター用赤色顔料分散組成物の作製>
上述した各種成分を表1に記載の配合量で加えた顔料分散液1~6を作製した。
その後、顔料分散液1~6を表2に記載の質量比率で混合及び練肉をして、実施例及び比較例のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物を作製した。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
<カラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物の作製>
上述した各種成分を表3に記載の組成になるように各種材料を加えて、高速撹拌機を用いて均一に混合した後、孔径3μmのメンブランフィルターでろ過し、実施例及び比較例のカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物を作製した。
【0074】
【表3】
【0075】
(粘度)
実施例及び比較例で作製したカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物の粘度を、E型粘度計(東機産業社製、R100型粘度計 型式RE100L)を用いて25℃における粘度を測定した。その結果を表4に示した。
【0076】
(分散安定性)
実施例及び比較例で作製したカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物について、それぞれガラス瓶に採り、密栓して、40℃、5℃及び室温(23℃)の各温度下で1ヶ月保存した後の状態を下記評価基準に従って評価した。その結果を表4に示した。
○:保管前後の粘度変化率が10%以下である
×:保管前後の粘度変化率が10%を超える
【0077】
(塗膜の膜厚)
実施例及び比較例のカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物を、スピンコーターを用いてガラス基板上にそれぞれ塗布し、100℃で3分間プレベークした。この際、各レジスト組成物について、色度x(後述するポストベイク後の値)が異なる2つの塗膜が形成されるように塗布した2枚の塗布板を作製した。すなわち、スピンコーターの回転数を変化させて厚みを変え、2枚のうちの1枚の色度xが必ず0.6800より小さい値となるように、他の1枚の色度xが必ず0.6800より大きい値となるようにした。
次いで、それぞれの塗布板を高圧水銀灯で露光し、更に230℃で30分間ポストベークした。その後、塗布板に3mmの範囲内にカッターで3本の傷をつけ、表面粗さ測定器(KLA-Tencor Corporation サーフェイスプロファイラ ALPHA-STEP IQ)を用いて走査し深度を測定した。3点の平均値を算出し、塗膜の膜厚とした。各塗膜につき前述のようにして用意した2枚の塗布板の測定値から近似直線(検量線)を求め、色度xが0.6800の時の膜厚を算出し、実施例及び比較例の膜厚として採用した。
【0078】
(塗膜の輝度)
上記方法で得たそれぞれカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の塗布板について、輝度Yを分光光度計(島津製作所社製、UV-2500PC、C光源2°視野)で測定した。上記塗布板上に形成された各塗膜につき前述のようにして用意した2枚の塗布板の輝度値Yから近似直線(検量線)を求め、色度xが0.6800の値を算出し、実施例及び比較例の輝度値Yとして採用した。
【0079】
(塗膜のy値)
上記方法で得たそれぞれのカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の塗布板について、色度y値を分光光度計(島津製作所社製、UV-2500PC、C光源2°視野)で測定した。上記塗布板上に形成された各塗膜につき前述のようにして用意した2枚の塗布板の色度yから近似直線(検量線)を求め、色度xが0.6800のときのy値を算出し、実施例及び比較例のy値として採用した。
【0080】
(塗膜の透過率)
上記方法で得たそれぞれカラーフィルター用顔料分散レジスト組成物の塗布板について、分光光度計(島津製作所社製、UV-2500PC、C光源2°視野)により、波長590nmから670nmまで、10nmごとに透過率を測定した。
上記の各波長について、前述のようにして用意した2枚の塗布板の透過率の値から近似直線(検量線)を求め、色度xが0.6800の値を算出し、実施例及び比較例の透過率として採用した。
また、波長anmにおける透過率をT(a)としたときの(T(630)-T(600))/(T(600)-T(590))を算出した。その結果を表4に示した。
【0081】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のカラーフィルター用赤色顔料分散組成物は、バックライト光源として量子ドットを用いた場合に、薄膜であっても、優れた色再現性を実現できる塗膜を形成することができるので、液晶表示装置や、タッチパネル等のカラーフィルターに用いるカラーフィルター用赤色顔料分散レジスト組成物として好適に使用することができる。