(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置及びこれに適用される中間コネクタ
(51)【国際特許分類】
B41J 2/175 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
B41J2/175 161
B41J2/175 119
B41J2/175 121
(21)【出願番号】P 2021038783
(22)【出願日】2021-03-10
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100098187
【氏名又は名称】平井 正司
(72)【発明者】
【氏名】井▲高▼ 護
(72)【発明者】
【氏名】宮内 洋
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-134431(JP,A)
【文献】特開2013-241017(JP,A)
【文献】特開2012-051313(JP,A)
【文献】特開2015-027805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンティニュアス式のインクジェット記録装置の装置本体にインク又は溶剤を補充するための交換可能なカートリッジと、
該カートリッジに設けられた記録媒体部であって、該カートリッジ毎に対応付けられた記録媒体と、該記録媒体にデータアクセス可能に接続された記録媒体側インターフェースと、を有する記録媒体部と、
前記装置本体に設けられ、前記記録媒体側インターフェースを含む通信経路を介して前記記録媒体にデータアクセスする記録媒体管理部と、
前記装置本体に設けられ、前記カートリッジの装着を受け入れるリザーバと、
前記リザーバに設けられた中空針であって、該リザーバに前記カートリッジを装着したときに、該カートリッジのボトルの内部に侵入することにより前記カートリッジの内容液体を取り出す中空針と、
前記リザーバに設けられたリザーバ端子と、
前記リザーバにおいて前記リザーバ端子の上方に設けられた庇と、
前記庇の下方の空間に配置され、前記記録媒体部の記録媒体側インターフェースに対応するコネクタ側インターフェースと前記リザーバ端子に対応するコネクタ側端子とを備え、該コネクタ側インターフェースと該コネクタ側端子との間で前記通信経路の一部を構成し、前記記録媒体管理部と前記記録媒体部との間のデータアクセスを中継する中間コネクタとを有するインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記中間コネクタが前記庇よりも前記ボトルの軸線側に突出した状態で前記庇の下方の前記空間に配置される、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記庇の下面が傾斜面で構成され、該庇の下面が前記リザーバ端子側に向けて斜め下方に傾斜しており、
前記中間コネクタを前記庇の下方の空間に挿入するときに、該中間コネクタが前記庇の下面によって案内される、請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記中間コネクタの上面が傾斜面で構成され、該中間コネクタの上面が前記リザーバ端子側に向けて斜め下方に傾斜している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記リザーバにおいて前記リザーバ端子の下方に設けられた下方壁を更に有し、
前記庇の下方の前記空間の上下が、前記庇と前記下方壁で規定されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記下方壁の上面が傾斜面で構成され、該下方壁の上面が前記リザーバ端子側に向けて斜め下方に傾斜しており、
前記中間コネクタを前記庇の下方の前記空間に挿入するときに、該中間コネクタが前記下方壁の上面によって案内される、請求項
5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記中間コネクタの下面が傾斜面で構成され、該中間コネクタの下面が前記リザーバ端子側に向けて斜め下方に傾斜している、請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
前記リザーバにおいて前記リザーバ端子の左右の側方に設けられた左右の側方壁を更に有し、
前記庇の下方の空間の上下及び左右が、前記庇と前記下方壁と前記左右の側方壁で規定されている、請求項
5又は6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記中間コネクタが、前記リザーバをベース部材とする支持部を更に有し、該支持部によって前記中間コネクタが、前記庇の下方の前記空間に位置決めされる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記リザーバ端子がバネ性を有し、
前記コネクタ側端子がプレート状の端子で構成されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
コンティニュアス式のインクジェット記録装置の装置本体にインク又は溶剤を補充するための交換可能なカートリッジと、
該カートリッジに設けられた記録媒体部であって、該カートリッジ毎に対応付けられた記録媒体と、該記録媒体にデータアクセス可能に接続された記録媒体側インターフェースと、を有する記録媒体部と、
前記装置本体に設けられ、前記記録媒体側インターフェースを含む通信経路を介して前記記録媒体にデータアクセスする記録媒体管理部と、
前記装置本体に設けられ、前記カートリッジの装着を受け入れるリザーバと、
前記リザーバに設けられた中空針であって、該リザーバに前記カートリッジを装着したときに、該カートリッジのボトルの内部に侵入することにより前記カートリッジの内容液体を取り出す中空針と、
前記リザーバに設けられ、前記通信経路の一部を構成するリザーバ端子と、
前記リザーバにおいて前記リザーバ端子の上方に設けられた庇とを有するインクジェット記録装置に配置される中間コネクタであって、
前記リザーバ端子に対向して配置され、該リザーバ端子に対応するコネクタ側端子と、
前記記録媒体部の記録媒体側インターフェースに対応するコネクタ側インターフェースと、
前記リザーバ端子と前記記録媒体部の記録媒体側インターフェースとの間に介在したときに、前記コネクタ側インターフェースと前記コネクタ側端子とを介したデータアクセスにおいて、該コネクタ側インターフェースと該コネクタ側端子との間で前記通信経路の一部を構成する中継部とを備える、中間コネクタ。
【請求項12】
前記中間コネクタの上面が傾斜面で構成され、該中間コネクタの上面が前記リザーバ端子側に向けて斜め下方に傾斜している、請求項11に記載のインクジェット記録装置用の中間コネクタ。
【請求項13】
前記庇の下面が傾斜面で構成され、該庇の下面が前記リザーバ端子側に向けて斜め下方に傾斜しており、
前記中間コネクタの上面は、前記庇の下面と相補的な形状からなる
請求項12に記載の中間コネクタ。
【請求項14】
前記インクジェット記録装置は前記リザーバにおいて前記リザーバ端子の下方に設けられた下方壁を更に有し、
前記中間コネクタは、前記庇と前記下方壁で規定される空間に配置される、請求項11乃至13のいずれか一項に記載の中間コネクタ。
【請求項15】
前記中間コネクタの下面が傾斜面で構成され、該中間コネクタの下面が前記リザーバ端子側に向けて斜め下方に傾斜している、請求項11乃至14のいずれか一項に記載の中間コネクタ。
【請求項16】
前記リザーバ端子がバネ性を有し、
前記コネクタ側端子がプレート状の端子で構成されている、請求項11乃至15のいずれか一項に記載の中間コネクタ。
【請求項17】
前記中間コネクタを前記庇の下方の前記空間に配置したときに、前記庇よりも前記ボトルの軸線側に突出する、請求項
14に記載の中間コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置及びこれに適用される中間コネクタに関し、より詳しくは、脱着式のインクカートリッジ、溶剤カートリッジがインク源、溶剤源であるコンティニュアス方式の記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、コンティニュアス方式のインクジェット記録装置が開示されている。このインクジェット記録装置のインク源、溶剤源は脱着式のインクカートリッジ、溶剤カートリッジである。すなわち、インク、溶剤の補充はカートリッジを交換することにより行われる。
図27~
図31は、特許文献1から抽出した図である。
図27を参照して、インクジェット記録装置100は自動印字システム102の一部を構成しており、ワーク搬送ライン104上のワーク(印字対象物)Wに文字や図形を印字するのに用いられる。インクジェット記録装置100はコンティニュアス方式の装置であり、インクを連続的に噴射することができる。図中、参照符号106はワーク検出センサであり、参照符号108は搬送速度センサであり、参照符号110はディスプレイである。ワーク検出センサ106は、ワークWが印字位置に存在することを検出したら印字を開始するトリガを出力し、このトリガ信号を受けてインクジェット記録装置100は印字を開始する。
【0003】
インクジェット記録装置100は、ワーク搬送ライン104の近傍に設置される装置本体112と、ワーク搬送ライン104に臨んで配置されるヘッド114とを有し、装置本体112とヘッド114とは可撓性ホース116によって連結されている。装置本体112とヘッド114との間には可撓性ホース116を通じて速乾性のインク液が循環され、そして、ヘッド114は、印字位置に次々と搬送されてくるワークWに対してドット印字を実行する。
【0004】
図28を参照して、装置本体112は2つのリザーバ120を有し、各リザーバ120に各カートリッジ122が脱着可能に取り付けられる。2つのカートリッジ122の一方には速乾性の液体インクが充填されており、他方には溶剤が充填されている。カートリッジ122をリザーバ120に設置した直後又はリザーバ120から取り外す直前の状態を示すのが
図29である。カートリッジ122を装着した後に、
図29に図示の傾斜した状態のカートリッジ122を装置本体112の中に押し込むことで、カートリッジ122は装置本体112の中で倒立した姿勢に位置決めされ、これによりインクジェット記録装置100は運用可能な状態になる。
【0005】
図30は、カートリッジ122の主体を構成するボトル124及びROMホルダ126を示す。ROMホルダ126は、その内部に、記録媒体つまり不揮発メモリであるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)を含み、ROMには、カートリッジ固有のロット番号、メーカ識別番号、カートリッジバージョン、製造者識別番号、インクまたは溶剤の種別、シリアル番号、カートリッジの製造年月日などの情報の他に、カートリッジ122の中に入っているインク量、溶剤量が記録されている。
【0006】
ボトル124は合成樹脂製であり、ROMホルダ126が設置される首部124aと、首部124aから延びる口部124bを有している。カートリッジ122を装置本体112に取り付けるときには、ボトル124を倒立させて口部124bを下にした状態でリザーバ120に設置される。
【0007】
図31はROMホルダ126を示す。ROMホルダ126は一対のアーム126aを有し、この一対のアーム126aを使ってボトル首部124aに脱着可能に取り付けられる。ROMホルダ126の外端面には複数のプレート状の端子128が横並びに設けられている。ROMホルダ126のROMは装置本体112とリザーバ120を介してデータアクセス可能に接続され、装置本体112においてカートリッジ122のインク又は溶剤の残量などが管理される。
【0008】
図32は、カートリッジ122を装置本体112に脱着する際のROMホルダ126とリザーバ120との電気的な連係つまり通信経路を説明するための図である。リザーバ120には、その内壁面120aに好ましくはバネ性の複数の端子130を有している。このリザーバ120のバネ性端子130と、上記ROMホルダ126のプレート状の端子128とを区別するために、ROMホルダ126の端子128を「ROM端子」と呼び、リザーバ120の端子130を「リザーバ端子」と呼ぶ。リザーバ端子130はROM情報管理部132に接続され、ROM情報管理部132は装置本体112に設けられている。
【0009】
リザーバ120は、その底部に凹所120bを有し、この凹所120bにボトル口部124bが受け入れられる。凹所120bには中空針134が起立して配置されている。カートリッジ122を中空針134の軸線Ax上で押し下げることで、中空針134がボトル口部124bのゴム栓136に突き刺さり、カートリッジ122の装着が完了した時点で中空針134はゴム栓136を貫通した状態となって、中空針134を通じてボトル124の中のインク又は溶剤は装置本体112に取り込まれる。
【0010】
軸線Axに沿ったカートリッジ122の脱着操作と一緒に上下移動するROMホルダ126は、リザーバ120の内壁面120aに沿って変位し、カートリッジ122の装着が完了した時点でROM端子128とリザーバ端子130とが電気的に接続される。これにより、ROMとROM情報管理部132との間でデータアクセスが可能な通信経路が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したインクジェット記録装置100は、作業者が単にカートリッジ122を軸線Ax上で押し下げ又は持ち上げることでカートリッジ122の脱着が可能であり、カートリッジ122を脱着するための作業性が良いという利点がある。しかし、リザーバ端子130がリザーバ内壁面120aから露出しているため汚れ易いという欠点がある。リザーバ端子130が汚れると、ROMとROM情報管理部132との間のデータアクセスが不良になる虞がある。
【0013】
この問題に対して、(1)リザーバ端子130と中空針134の軸線Axとの間の水平距離D(
図32)を大きくして、リザーバ端子130を中空針134の周辺から遠ざけるのが効果的であり、また、(2)リザーバ端子130の周囲に壁を設けるのが効果的である。
図32において、リザーバ端子130の上方に突起140を配置した例を仮想線で示してある。この突起140を「庇」と呼ぶと、リザーバ端子130の上方に庇140を設けた場合、この庇140がカートリッジ122の装着を阻害する要因となる。すなわち、カートリッジ122を中空針134の軸線Ax上で押し下げる過程でROMホルダ126が庇140と干渉してカートリッジ122を装着することができなくなってしまう。
【0014】
本発明の目的は、リザーバ端子の上方に庇を設けたとしても、従来のカートリッジ脱着の容易性を確保することを可能にするインクジェット記録装置及びこれに適用される中間コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の技術的課題は、本発明の一つの観点によれば、
コンティニュアス式のインクジェット記録装置の装置本体にインク又は溶剤を補充するための交換可能なカートリッジと、
該カートリッジに設けられた記録媒体部であって、該カートリッジ毎に対応付けられた記録媒体と、該記録媒体にデータアクセス可能に接続された記録媒体側インターフェースと、を有する記録媒体部と、
前記装置本体に設けられ、前記記録媒体側インターフェースを含む通信経路を介して前記記録媒体にデータアクセスする記録媒体管理部と、
前記装置本体に設けられ、前記カートリッジの装着を受け入れるリザーバと、
前記リザーバに設けられた中空針であって、該リザーバに前記カートリッジを装着したときに、該カートリッジのボトルの内部に侵入することにより前記カートリッジの内容液体を取り出す中空針と、
前記リザーバに設けられたリザーバ端子と、
前記リザーバにおいて前記リザーバ端子の上方に設けられた庇と、
前記庇の下方の空間に配置され、前記記録媒体部の記録媒体側インターフェースに対応するコネクタ側インターフェースと前記リザーバ端子に対応するコネクタ側端子とを備え、該コネクタ側インターフェースと該コネクタ側端子との間で前記通信経路の一部を構成し、前記記録媒体管理部と前記記録媒体部との間のデータアクセスを中継する中間コネクタとを有するインクジェット記録装置を提供することにより達成される。
【0016】
上記の技術的課題は、本発明の他の観点によれば、
コンティニュアス式のインクジェット記録装置の装置本体にインク又は溶剤を補充するための交換可能なカートリッジと、
該カートリッジに設けられた記録媒体部であって、該カートリッジ毎に対応付けられた記録媒体と、該記録媒体にデータアクセス可能に接続された記録媒体側インターフェースと、を有する記録媒体部と、
前記装置本体に設けられ、前記記録媒体側インターフェースを含む通信経路を介して前記記録媒体にデータアクセスする記録媒体管理部と、
前記装置本体に設けられ、前記カートリッジの装着を受け入れるリザーバと、
前記リザーバに設けられた中空針であって、該リザーバに前記カートリッジを装着したときに、該カートリッジのボトルの内部に侵入することにより前記カートリッジの内容液体を取り出す中空針と、
前記リザーバに設けられ、前記通信経路の一部を構成するリザーバ端子と、
前記リザーバにおいて前記リザーバ端子の上方に設けられた庇とを有するインクジェット記録装置に配置される中間コネクタであって、
前記リザーバ端子に対向して配置され、該リザーバ端子に対応するコネクタ側端子と、
前記記録媒体部の記録媒体側インターフェースに対応するコネクタ側インターフェースと、
前記リザーバ端子と前記記録媒体部の記録媒体側インターフェースとの間に介在したときに、前記コネクタ側インターフェースと前記コネクタ側端子とを介したデータアクセスにおいて、該コネクタ側インターフェースと該コネクタ側端子との間で前記通信経路の一部を構成する中継部とを備える、中間コネクタを提供することにより達成される。
【0017】
本発明の作用効果及び他の目的は、以下の本発明の詳しい説明により明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】本発明の原理を説明する図であり、
図1に関連した図である。
【
図3】本発明に含まれる中間コネクタ及びこれに関連した部材の機能ブロック図である。
【
図4】本発明に含まれる一例の具体的構成を説明するための図である。
【
図5】
図4に図示の具体例の変形例を示す図である。
【
図6】本発明に含まれる他の例の具体的構成を説明するための図である。
【
図7】
図6に図示の例において、中間コネクタを正規位置に位置決めした状態を示す図である。
【
図8】本発明に含まれる別の例の具体的構成を説明するための図である。
【
図9】
図8に図示の例において、中間コネクタを正規位置に位置決めした状態を示す図である。
【
図10】本発明に含まれる更に別の例の具体的構成を説明するための図である。
【
図11】
図10に図示の例において、中間コネクタを準備位置に位置した状態を示す図である。
【
図12】
図11に関連して、カートリッジを装着する過程で中間コネクタがリザーバ端子に押し付けられることを説明するための図である。
【
図13】リザーバ端子が位置する側壁をベース部材とする支持部材で中間コネクタを汚染防止庇の下方の空間に位置決めすることを説明するための図である。
【
図14】
図13に関連して、支持部材で支えられた中間コネクタをリザーバ底壁の突起に着座させる例を説明するための図である。
【
図15】
図13に関連して、支持部材で支えられた中間コネクタの脚をリザーバ底壁に着座させる例を説明するための図である。
【
図16】本発明のベストモードに含まれるリザーバを斜め上から見た斜視図である。
【
図17】
図16とは別の角度でリザーバを斜め上から見た斜視図である。
【
図20】
図16に図示のリザーバにカートリッジを装着する過程を示す斜視図である。
【
図21】
図16に図示のリザーバにカートリッジを装着し終わった状態を示す斜視図である。
【
図22】本発明のベストモードに含まれる中間コネクタをリザーバ端子側から見た斜視図である。
【
図23】
図22に図示の中間コネクタを斜め下方から見た斜視図である。
【
図24】
図22に図示の中間コネクタを記録媒体部側から見た斜視図である。
【
図25】記録媒体部で中間コネクタをリザーバ端子側に向けて付勢する具体例の一例を説明するための図である。
【
図26】記録媒体部で中間コネクタをリザーバ端子側に向けて付勢する具体例の他の例を説明するための図である。
【
図27】特許文献1から抽出した、インクジェット記録システムの全体概要図である。
【
図28】特許文献1から抽出した、インクジェット記録装置の斜視図である。
【
図29】
図28に図示のインクジェット記録装置において、カートリッジを交換するためにカートリッジを装置から露出させた状態を説明するための斜視図である。
【
図30】特許文献1から抽出した、カートリッジの主要部を構成するボトルとROMホルダを説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0019】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
図1は本発明の原理を説明するための図である。以下の説明において、
図27~
図32を参照した従来例と同じ要素には、従来例の説明に用いた参照符号を付すことにより適宜、その説明を省略する。
【0020】
図1を参照して、参照符号2は、実施例に含まれるリザーバを示す。このリザーバ2は前述した装置本体112(
図28)に設置される。リザーバ2は従来と同様に合成樹脂製である。リザーバ2は好ましくはバネ性のリザーバ端子130の上方に庇140を有している。ボトル124の首部124aには、上述したROMホルダ126(
図30、
図31)と実質的に同じ機能を有する記録媒体部4が設けられている。記録媒体部4は、従来のROMホルダ126と同様にボトル首部124aに対して脱着可能であってもよいし、ボトル首部124aに接着する又はボトル首部124aと一体成形する等によりボトル首部124aと実質的に一体構造であってもよい。記録媒体部4は、ボトル首部124aから横方向に突出している。記録媒体部4は、カートリッジ122を装着するときに庇140と干渉しないように、その突出量Lが設定されている。なお、本実施形態では、請求項に記載の「庇」の一例として、リザーバ端子130の汚れを防止するための庇140を挙げているが、本発明はこれに限られない。例えば、リザーバ端子130への接触を防止するための接触防止庇であってもよいし、後述する中間コネクタ10を所定位置まで案内する案内庇であってもよいし、その目的の如何は問わない。
【0021】
この突出量Lが規定された記録媒体部4は、庇140と干渉することなく、カートリッジ122を中空針134の軸線Ax上で押し下げる又は引き上げることで、カートリッジ122を脱着させることができる。しかし、カートリッジ122に装着したときに、記録媒体部4とリザーバ端子130との間に空間Sが発生してしまう。この空間Sを埋めない限り、記録媒体部4はリザーバ端子130を介してROM情報管理部132とデータアクセスできない。この空間Sの問題を解消するために記録媒体部4を横方向に進退可能にする構成を採用することが考えられる。しかし、記録媒体部4の横方向の進退動作をカートリッジ122の脱着操作に連動させるための特殊な連係機構が必要となる。
【0022】
図2を参照して、本発明において、記録媒体部4とは別体の中間コネクタ10が空間S(
図1)に配置される。中間コネクタ10は、記録媒体部4と情報管理部132とのデータアクセスを中継する。この中間コネクタ10を記録媒体部4とリザーバ端子130との間に介在させることにより、記録媒体部4と情報管理部132とのデータアクセス可能な通信経路Cpが形成される。中間コネクタ10は内部配線12を有し、この内部配線12で記録媒体部4とリザーバ端子130が接続される。ここで、上述した「中継」は、受信したデータを他に送信(転送)する処理は勿論のこと、例えばプロトコル変換など、受信したデータに対して何らかの処理がなされた上で転送する処理も含む。また、積極的に送信(転送)する処理だけでなく、上述した内部配線12のように、端子間を銅線等で繋いで電気的に配線する(導通状態にする)ことによりデータアクセスする際の通信経路Cpの一部をなすことも「中継」の概念に含まれるものとする。
【0023】
図2に記載の参照符号ΔPは、正規位置に位置している中間コネクタ10の突出量を示す。中間コネクタ10を正規位置に位置させたときに、中間コネクタ10の記録媒体部4側の垂直面つまりインターフェース10aが位置する面の少なくとも一部が、庇140よりも軸線Ax側に突出するように中間コネクタ10の大きさが設定されている。上記「少なくとも一部」とは、部分的に記録媒体部4と当接する形状を中間コネクタ10の場合、この突出した形状部分だけ記録媒体部4側にΔPだけ突出した形状であってもよい、という意味を含む。
【0024】
なお、記録媒体部4は、カートリッジ122と一体に形成されていても良いし、従来例で説明したようにボトル124に脱着可能であってもよい。記録媒体部4は、EEPROMを記録媒体部4として含み、このEEPROMには、各カートリッジ122に対応付けされたカートリッジ固有のロット番号、メーカ識別番号、カートリッジバージョン、製造者識別番号、インクまたは溶剤の種別、シリアル番号、カートリッジの製造年月日などの情報の他に、カートリッジ122の中に入っているインク量または溶剤量が記録されている。
【0025】
記録媒体部4は、垂直面で構成された前面(リザーバ端子130側の面)に、中間コネクタ10に対する第1インターフェース部つまり記録媒体側インターフェース4bを有し、これに対応する第2インターフェース部つまりコネクタ側インターフェース10aが中間コネクタ10の記録媒体部4に対抗する垂直面に設けられている。記録媒体部4と中間コネクタ10との間のデータアクセスを担保する第1、第2のインターフェース部4b、10aの典型例は物理的に接触する端子である。
図2では、第1インターフェース部4bを構成するプレート状の端子が図示されているが、これに限定されない。第1、第2のインターフェース部4b、10aは光などを使った無線のインターフェースであってもよい。なお、コネクタ側インターフェース10aとコネクタ側端子10bは、ROM情報管理部132が記録媒体4aにデータアクセスする際の通信経路Cpの一部として構成される。また、上述した内部配線12は、コネクタ側インターフェース10aとコネクタ側端子10bとを介したデータアクセスにおいて、コネクタ側インターフェース10aとコネクタ側端子10bとの間で通信経路Cpの一部を構成する中継部の一例である。
【0026】
中間コネクタ10とリザーバ端子130との間のインターフェースに関し、中間コネクタ10は、垂直面で構成された前面に、従来例で説明したROMホルダ126の好ましくはプレート状の端子128(
図31)で構成されたコネクタ側端子10bを有している。中間コネクタ10は、コネクタ側端子10bによって、好ましくはバネ性のリザーバ端子130と接続可能である。
図3は、中間コネクタ10を含む全体構成を示すブロック図である。
【0027】
中間コネクタ10は、庇140の下の空間S(
図1)の所定位置に位置決めされ、好ましくは位置固定されるのがよい。位置固定に関して、リザーバ2に対して破壊や損傷を与えることなく中間コネクタ10を取り外すことができる固定手段を選択するのがよい。具体的には、例えば両面粘着テープによる剥離可能な接着、機械的な係合や嵌合、ネジによる螺着、バネ性のクリップ止めなどの固定手段を採用することができる。
【0028】
図4を参照して、リザーバ2は、リザーバ端子130の上方に位置する庇140と、リザーバ端子130の下方に位置する下方汚染防止壁20とを有している。庇140に加えて下方汚染防止壁20を設けることによりリザーバ端子130の汚染を更に防止することができる。庇140は、その下面140aが傾斜面で構成され、下面140aは、リザーバ端子130側に向けて下方に傾斜している。この傾斜した下面140aによって中間コネクタ10の空間Sへの出し入れを案内することができる。下方汚染防止壁20は、その上面20aが傾斜面で構成され、上面20aは、リザーバ端子130側に向けて下方に傾斜している。この傾斜した上面20aによって中間コネクタ10の空間Sへの出し入れを案内(ガイド)することができる。
【0029】
中間コネクタ10は、庇140に対応して、上面の一部つまりリザーバ端子130側の部分10uが好ましくは傾斜面で構成されている。また、中間コネクタ10は、下方汚染防止壁20に対応して、その下面10dが好ましくは傾斜面で構成されている。中間コネクタ10の上面の一部10uと下面10dが庇140と下方汚染防止壁20に対して好ましくは相補的な傾斜面で構成されている。これら傾斜した面の相互作用によるアシストにより案内されて、中間コネクタ10は、庇140と下方汚染防止壁20とで上下が規定された空間Sに嵌挿することができる。
【0030】
リザーバ2には、中間コネクタ10を組み付ける前に下方汚染防止壁20にガイド部材22が組み付けられる。ガイド部材22は、下方汚染防止壁20に嵌合可能な形状を有し、下方汚染防止壁20の上面20aに沿って延びるガイド部22aを有している。ガイド面22aは、中間コネクタ10の傾斜下面10dを受け入れる傾斜スライド面22bと、傾斜スライド面22bの両側縁に沿って突出した落下防止壁部22cを有している。
【0031】
下方汚染防止壁20にガイド部材22を装着することにより、中間コネクタ10を上記空間Sに挿入することで、中間コネクタ10は、傾斜スライド面22bに案内されて斜め下方にスライドしながらリザーバ端子130と接触する正規位置に位置される。また、中間コネクタ10は、左右の落下防止壁部22cによって位置固定される。
【0032】
中間コネクタ10の上面の一部10uと下面10dが庇140と下方汚染防止壁20に対して上述した相補的な傾斜面であることは必須ではない。中間コネクタ10の上面の一部10uと下面10dの双方又はいずれか一方が庇140と下方汚染防止壁20の双方又はいずれか一方によって案内される形状であれば、中間コネクタ10の部分的な上面10u、下面10dは凹凸面であってもよい。また、中間コネクタ10の部分的な上面10uと下面10dとの少なくとも一方が傾斜面で構成されてもよい。また、庇140と下方汚染防止壁20の少なくとも一方で中間コネクタ10が正規位置に案内されるのであれば、中間コネクタ10の部分的な上面10u、下面10dの形状は、必ずしも傾斜面で構成されていなくてもよく、任意である。本明細書でいう「相補的」は、必ずしも傾斜面の全てが相補的になっていなくてもよい。例えば、傾斜面の一部が相補的な形状になっていてもよい。
【0033】
下方汚染防止壁20に対するガイド部材22の位置固定は、下方汚染防止壁20に対するガイド部材22の嵌合、フックによる係合、あるいはガイド部材22の一部をバネ材で構成してバネ付勢による手段を採用しても良いが、下方汚染防止壁20とガイド部材22との間に例えば両面粘着テープ(図示せず)を設けることによりガイド部材22を下方汚染防止壁20に固定してもよい。この位置固定に関する変形例として、ガイド部材22を下方汚染防止壁20にネジ固定してもよい。下方汚染防止壁20に対するガイド部材22の位置固定は、上述した手段に限定されない。少なくとも下方汚染防止壁20を破壊や損傷を与えることなくガイド部材22を取り外すことができる手段であれば任意に採用可能である。
【0034】
図5は、上記
図4を参照して説明した例の変形例である。
図4の例では、下方汚染防止壁20にガイド部材22を設けたが、
図5から分かるように、ガイド部材22を庇140に設けてもよい。
図5に図示の例では、リザーバ2の側壁24の上端部にガイド部材22を嵌合する構成が採用されているが、これに限定されない。ガイド部材22の一部をバネ材で構成して、バネ付勢力でガイド部材22を庇140に固定してもよい。また、ガイド部材22をリザーバ2の側壁24に両面粘着テープで固定してもよいし、ネジ止めしてもよい。
【0035】
図6、
図7は、中間コネクタ10の位置固定に関する具体例を説明するための図である。リザーバ端子130が端子ユニット30に含まれ、この端子ユニット30がリザーバ2に組み込まれている場合、端子ユニット30の周囲の隙間32を利用して中間コネクタ10を位置決めし且つ固定してもよい。その一例を
図6、
図7を参照して説明する。中間コネクタ10はリザーバ端子130に向けて突出し且つ上記隙間32に挿入可能な突起34を備えている。
図6から分かるように、リザーバ2が隙間32に関連した段部32aを有している場合、
図7に図示のように、突起34はフックで構成し、このフックを段部32aに係止させてもよい(
図7)。なお、
図6、
図7に開示の中間コネクタ10の位置固定に関し、庇140の傾斜した下面140a及び下方汚染防止壁20の傾斜した上面20aは必ずしも必須ではない。
【0036】
突起34は、中間コネクタ10が合成樹脂製であれば中間コネクタ本体と一体成形してもよいし、別部材で構成してもよい。別部材で突起34を構成する場合、バネ性の金属片で突起34を構成し、これを中間コネクタ10の前方垂直面に嵌挿してもよいし、中間コネクタ10と一体化する例えば嵌合構造で中間コネクタ10と突起34とを一体化させてもよい。
【0037】
図6、
図7を参照して、リザーバ端子130が位置する側壁24を利用して中間コネクタ10を位置決めし且つ固定する例を上述したが、中間コネクタ10を位置決めし且つ固定する部位は、リザーバ端子130が位置する側壁24に限らず、リザーバ2の他の側壁を利用して行ってもよい。リザーバ2が周囲壁を有している場合、例えばリザーバ端子130が位置する側壁24と対抗する側壁40を利用して中間コネクタ10を位置決めし且つ固定してもよい。
【0038】
図8、
図9は、リザーバ2をベース部材として利用した支持部材42を用いて、中間コネクタ10を位置決めする例を示す。
図8、
図9を参照して、中間コネクタ10は、これを横断する方向に延びる支軸44を有し、支軸44の両端に、夫々、支持部材42が回転可能に取り付けられている。各支持部材42は長尺の棒状部材で構成され、各支持部材42の自由端にはフック部42aが形成されている。各支持部材42は、
図8、
図9では図示を省略したカートリッジ122の側方を通ってリザーバ2を横断し、支持部材42のフック部42aは、対抗壁40の上端縁に係止可能である。すなわち、フック部42aは支持部材42の「係止部」を構成し、この係止部によって、支持部材42は、リザーバ2の周囲壁をベース部材として中間コネクタ10を位置決めし且つ固定することができる。支持部材42の係止部を構成するフック部42aを対抗壁40に係止した状態を
図9に示す。
【0039】
支持部材42のフック部42aは屈曲した形状を有し、この屈曲形状によってフック部42aにバネ性が付与されている。フック部42aは、リザーバ2の周囲壁に係止可能であれば、その形状は任意である。支持部材42は、中間コネクタ10が正規位置に位置するときに(
図9)、好ましくは撓み変形することにより中間コネクタ10をリザーバ端子130の方向に付勢する長さ寸法を有しているのがよい。
【0040】
支持部材42の変形例を
図10に示す。
図10を参照して、支持部材42は、リザーバ端子130が位置する側壁24をベース部材として利用する形状を有している。すなわち、
図10に開示の支持部材42は、側壁24の上端部に沿って延びるフック形状を有している。支持部材42の自由端部42bつまり庇140の近傍に位置する端部は、軸線Axに向けて屈曲して斜め上方に延びる形状を有し、中間コネクタ10にはこれを受け入れる孔10hが形成されている。斜め上方に延びる自由端部42bの傾斜角度は、庇140の傾斜した下面140a又は下方汚染防止壁20の傾斜した上面20aの傾斜角度と同じであるのがよい。孔10hは、そのリザーバ端子130側が、上方に開放したスリットで構成され、中間コネクタ10は、支持部材42に対して
図10に矢印Bで示す方向にスライド移動可能である。
【0041】
図11は、カートリッジ122を装着する前に、リザーバ端子130が位置する側壁24に支持部材42を係止することで中間コネクタ10が準備位置に位置している状態を示す。中間コネクタ10が準備位置に位置しているときには、中間コネクタ10の傾斜した下面10dの一部が、下方汚染防止壁20の傾斜した上面20aに着座している。リザーバ端子130が位置する側壁24をベース部材とする支持部材42は中間コネクタ10を支持し続ける。そして、
図11に図示のようにリザーバ端子130の近傍に中間コネクタ10を設置する準備が終わったら、作業者はカートリッジ122を装着する操作を開始することができる。中空針134の軸線Axに沿ってカートリッジ122を押し下げると、この操作と連動して下方に移動する記録媒体部4の垂直前面が中間コネクタ10と擦接して中間コネクタ10をリザーバ端子130側に押し込む。記録媒体部4と中間コネクタ10との係合を円滑にするのに、記録媒体部4は、中間コネクタ10の上端縁を案内するカム面4cを備えているのがよい。カートリッジ122を正規位置に装着した状態では(リザーバ2にカートリッジ122が装着された状態では)、中間コネクタ10は、記録媒体4によってリザーバ端子130側に押圧した状態で位置決めされる(
図12)。
【0042】
図13は、支持部材42は、庇140を含む側壁24の上部に係止可能なフック状の形状を有し、好ましくは合成樹脂で作られている。好ましくは、支持部材42は中間コネクタ10と一体成形される。支持部材42は、側壁24の背面に沿って延びる部分42cがピン46を中心に揺動可能であり、好ましくは、揺動部分42cが側壁24の外面と圧接する方向にバネ付勢される。変形例として、両面接着テープで揺動部分42cを側壁24に固定するようにしてもよい。
【0043】
変形例として、支持部材42を中間コネクタ10とは別部材として用意してもよい。この場合、支持部材42をコ状の形状に成形してもよい。例えば中間コネクタ10を
図13に図示の正規位置に位置決めした後、支持部材42を側壁24に係止し、そして、支持部材42を中間コネクタ10に例えば両面粘着テープで固定してもよい。
【0044】
図14、
図15は、中間コネクタ10をリザーバ2に着座させて中間コネクタ10を位置決めする例を示す。
図14は、リザーバ2が隆起部50を有する場合、この隆起部50に中間コネクタ10を着座させることにより中間コネクタ10を位置決めする例を示す。
図15は、中間コネクタ10から延びる例えば脚52をリザーバ2の面に着座させることにより中間コネクタ10を位置決めする例を示す。
【0045】
【0046】
図16乃至
図19を参照して、リザーバ2は、平面視矩形の周囲壁60を有し、また、従来と同様のバネ性の複数のリザーバ端子130を有し、複数のリザーバ端子130は横方向に並置されている。リザーバ端子130の上方には庇140が設けられている。庇140は、傾斜した下面140aを有し(
図19)、この傾斜した下面140a(
図19)はリザーバ端子130に向けて斜め下方に延びている。
【0047】
リザーバ端子130の下方には、下方汚染防止壁20が設けられている。下方汚染防止壁20は、
図19から最も良く分かるように、上面20aがリザーバ端子130に向けて斜め下方に延びている。この上面20aを「第1上面」と呼ぶと、下方汚染防止壁20は、その両側が段付き形状を有し、下方汚染防止壁20の両側の段部20cの上面20dは傾斜面で構成されている。この上面20dを「第2上面」と呼ぶと、第2上面20dはリザーバ端子130側に向けて斜め下方に延びている。第2上面20dは、前述した第1上面20aよりも低位に位置している。
【0048】
下方汚染防止壁20の両側の側方には側方汚染防止壁62が設けられている。リザーバ端子130はその上方、下方、側方が、左右の側方汚染防止壁62と、庇140と、下方汚染防止壁20とで囲まれ、これらの壁62、140、20で庇140の下方の空間Sが規定されている。また、下方汚染防止壁20と各側方汚染防止壁62との間の隙間Gpはリザーバ2の平らな底壁64の一部で構成されている。2つの側方汚染防止壁62の一方には上下に伸びる一対の縦リブ66(
図19)を有し、この一対の縦リブ66は、溶剤とインクとの二種類のカートリッジ122を区別して、インクのカートリッジ122が挿入されるのを阻止する機能を有している。すなわち、図示のリザーバ2は溶剤のカートリッジ122を受け入れるために作られており、図示しない他方のリザーバ2はインクのカートリッジ122を受け入れるために作られている。換言すれば、リザーバ2は、縦リブ66の部分だけ異なる二種類が用意され、一方のリザーバ2は、溶剤のカートリッジ122を受け入れるもののインクのカートリッジ122を拒否する機能を有している。他方のリザーバ2はインクのカートリッジ122を受け入れるものの好ましくは溶剤のカートリッジ122を拒否する機能を有しているのがよいが、インク側及び溶剤側の双方を受け入れるようにしてもよい。
【0049】
図16などから分かるように、リザーバ2の底壁64には、ボトル口部124bを受け入れる凹所120bには複数の縦ガイド突起68が形成され、また、凹所120bに連なる廃液溝70が形成されている。
【0050】
図18を参照して、リザーバ2は、周囲壁60の外面に複数の第1のボス72を有し、図示の複数の第1のボス72に螺着されるネジ(図示せず)を用いて、リザーバ2は装置本体112に固定される。周囲壁60の他の外面は複数の第2のボス74、複数の第3のボス76を有している。第2のボス74に螺着されるネジ(図示せず)を用いて、追加の保護プレート(図示せず)が固定される。第3のボス76に螺着されるネジ(図示せず)を用いて基板(図示せず)が固定される。
【0051】
図17、
図18から最もよく分かるように、周囲壁60の平らな頂面には、一対の抜け止めフック80が起立して配置されている。
図20、
図21を参照してカートリッジ122は、ボトル124の一側面に脱着可能に組み付けられたアタッチメント150を有している。
図20は、カートリッジ122をリザーバ2に挿入する過程を示している。
図21は、カートリッジ122をリザーバ2に装着し終わった状態を示している。カートリッジ122がリザーバ2に正規に装着されると、上述した一対の抜け止めフック80がアタッチメント150に係止した状態となって、カートリッジ122が不用意に抜け出すのを防止する。アタッチメント150は、その背面に上下に開放したU字形状部150aを有している。このU字形状部150aはカートリッジ122の装着方向を規定する機能を有する。このU字形状部150aの機能は公知であることから、その詳細な説明は省略する。
【0052】
図16乃至
図21から、アタッチメント150を含むカートリッジ122及びリザーバ2は複数の凹凸を有していることが分かったことであろうし、また、複数のネジを利用して必要な基板が固定され、また、複数のネジを利用してリザーバ2が装置本体112に固定されることが理解できたことであろう。これらアタッチメント150やリザーバ2の凹凸形状やネジ止めを利用して、必要であれば支持部材42を例えば第1乃至第3のボス72、74、76に螺着するネジで共締めして、空間S(
図1)に位置する中間コネクタ10を位置決めし、あるいは位置固定することができる。
【0053】
図22、
図23を参照して、中間コネクタ10は、その上面の一部つまりリザーバ端子130側の上面部分10uが、庇140の傾斜した下面140a(
図19)に関連した傾斜面で構成され、下面140aはリザーバ端子130側に向けて斜め下方に延びている。
図24を参照して、中間コネクタ10の下部は、その中央部10iが傾斜面で構成され、この下部中央部10iは、下方汚染防止壁20の傾斜した第1上面20aに関連した傾斜面で構成され、下部中央部10iは第1上面20aと相補的に傾斜している。下部中央部10iの両側には隆起した側部10jが形成され、2つの側部10jの傾斜面10kは、下方汚染防止壁20の2つの段部20cの第2上面20d(
図17)に夫々関連した傾斜面で構成され、各側部10jの傾斜面10kは、第2上面20dと相補的に傾斜している。これらの傾斜面の相互作用によって、中間コネクタ10を取り付ける際に、中間コネクタ10を正規位置までの移動を案内することができる。また、中間コネクタ10の各側部10jは第2上面20dの上方に段部10mを有し、この段部10mは、下方汚染防止壁20の第2上面20dの上方に位置する頂面20e(
図19)に係止可能である。このように、中間コネクタ10の上面部分10uは、中間コネクタ10がリザーバ2に取り付けられたときに、その上方にある庇140と対向する部分と言い換えることができる。また、中間コネクタ10の下面10kは、中間コネクタ10がリザーバ2に取り付けられたときに、その下方にある下方汚染防止壁20と対向する部分と言い換えることができる。
【0054】
図22、
図23に図示の中間コネクタ10は、
図5を参照して説明したのと実質的に同じであり、庇140の傾斜した下面140a(
図19)及び下方汚染防止壁20の傾斜した第1上面20aに案内されて、庇140と下方汚染防止壁20で規定される空間に進入することができる。また、中間コネクタ10の左右方向の位置決めは、下部中央部10iの両側に位置する2つの側部10jが下方汚染防止壁20の第1上面20aの両側縁から下方に延びる両側面と擦動することによって行われる。そして、中間コネクタ10の上記側部10jの段部10mがストッパとして機能し、下方汚染防止壁20の第2上面20dの上方に位置する頂面20eに係止されることで、中間コネクタ10が正規の位置に位置決めされ且つ位置固定される。そして、これにより中間コネクタ10はリザーバ端子130と電気的に接続された状態となる。
【0055】
なお、
図20、
図21には作図上の理由で記録媒体部4が現れないが、カートリッジ122がリザーバ2に装着されたときには、記録媒体部4は中間コネクタ10を介してリザーバ端子130と電気的に接続された状態となる。また、本明細書における中間コネクタ10の形状は、あくまで一例であって、種々の形状に変形可能である。中間コネクタ10は、例えば、
図31に示すようなROMホルダ126の形状を有していてもよい。この場合も、中間コネクタ10は、
図6~
図15を用いて例示した固定方法によってリザーバ2に固定される。
【0056】
上述した実施例から分かるように、本発明の提案は次の通りである。
<第1の提案>
記録媒体部4とは別体の中間コネクタ10を用意し、この中間コネクタ10をリザーバ2の庇140の下方に位置する空間S(
図1)に配置させる(
図2)。
【0057】
<第2の提案>
空間S(
図1)に中間コネクタ10を設置する際に中間コネクタ10を空間Sに案内する。この第2の提案の具体例を例示的に挙げれば、庇140の傾斜した下面140a、下方汚染防止壁20の傾斜した上面20a、
図4、
図5を参照して説明したガイド部材22の傾斜スライド面22bである。
【0058】
<第3の提案>
空間Sに位置する中間コネクタ10を支持して位置決めする。この第3の提案の具体例を例示的に挙げれば、
図4、
図5を参照して説明したガイド部材22の落下防止壁22c、
図6を参照して説明した突起34、
図8乃至
図15を参照して説明した支持部材42、
図14を参照して説明したリザーバ隆起部50や、
図15を参照して説明した中間コネクタ10の例えば脚52である。
【0059】
<第4の提案>
空間Sに位置する中間コネクタ10を正規位置に固定する。この第4の提案の具体例を例示的に挙げれば、中間コネクタ10や支持部材42を両面粘着テープ、ネジなど前記述した方法でリザーバ2に固定する。中間コネクタ10を取り外すときに、リザーバ2に対して破壊や損傷を与えることのない固定手段を選択するのが望ましい。
【0060】
<第5の提案>
空間Sに位置する中間コネクタ10を好ましくは、リザーバ端子130に向けて付勢する。この第5の提案の具体例を例示的に挙げれば、典型的には、カートリッジ122を装着し終わった時点で記録媒体部4が中間コネクタ10をリザーバ端子130側に押すことができるように、記録媒体部4、中間コネクタ10の寸法を設定すればよい。他の例を挙げれば、撓み変形している支持部材42を使って、中間コネクタ10を付勢することである(
図9)。
【0061】
<第6の提案>
実施例は、コンティニュアス式のインクジェット記録装置において、新規なカートリッジ装着方法を提案している。この第6の提案は、すなわち、
コンティニュアス式のインクジェット記録装置の装置本体にインク又は溶剤を補充するための交換可能なカートリッジ122と、
該カートリッジに設けられた記録媒体部であって、該カートリッジ毎に対応付けられた記録媒体と、該記録媒体にデータアクセス可能に接続された記録媒体側インターフェースと、を有する記録媒体部4と、
前記装置本体に設けられ、前記記録媒体4にデータアクセスする記録媒体管理部132と、
前記装置本体に設けられ、前記カートリッジ122の装着を受け入れるリザーバ2と、
前記リザーバ2に設けられた中空針134であって、該リザーバ2に前記カートリッジ122を装着したときに、該カートリッジのボトルの内部に侵入することにより前記カートリッジの内容液体を取り出す中空針134と、
前記リザーバに設けられたリザーバ端子130と、
前記リザーバにおいて前記リザーバ端子130の上方に設けられた庇とを有するインクジェット記録装置に前記カートリッジ122を装着する方法であって、
前記記録媒体部4の記録媒体側インターフェース4bに対応するコネクタ側インターフェース10aと前記リザーバ端子130に対応するコネクタ側端子10bとを備え、前記リザーバ端子130を介して前記記録媒体管理部132と前記記録媒体部4との間のデータアクセスを中継する中間コネクタ10を用意する中間コネクタ準備工程と、
前記中間コネクタ10を前記庇の下方の空間Sに配置する中間コネクタ配置工程と、
前記中空針134の軸線上において前記カートリッジ122を押し下げるカートリッジ装着工程とを有し、
該カートリッジ122を装着したときに、前記中間コネクタ10を介して前記記録媒体部4と前記リザーバ端子130とが接続されることを特徴とするカートリッジ装着方法である。
【0062】
記録媒体部4と中間コネクタ10との関係に関し、
図25、
図26に基づいて変形例を説明する。
図25、
図26は、中間コネクタ10の形状は側面視に略矩形に限定されないことを示す。また、
図25、
図26は、記録媒体部4と中間コネクタ10とが互いに対向する面は垂直面に限定されないことを示す。
【0063】
中間コネクタ10は、その一部が記録媒体部4の方向に伸びる延長部を有していても良い。具体的な一例として、中間コネクタ10は、記録媒体部4を受け止める延長部10qを有し、この延長部10qに、記録媒体部4の下面を受け止める座面10tを有していても良い。これにより、カートリッジ122を押し下げてリザーバ2に装着したときに、記録媒体部4は延長部10qによって受け止められる。記録媒体部4の下面と延長部10qの座面10tとが当接することから、記録媒体部4の下面と座面10tとの間にインターフェース4b、10aを配置させてもよい。
【0064】
更に好ましくは、中間コネクタ10の延長部10qは、座面10tの両側に起立し且つ記録媒体部4の側面を側方から受け止める側壁10wを有していても良い。この左右の側壁10wによって、カートリッジ122を押し下げてリザーバ2に装着したときに中間コネクタ10の左右方向の位置を位置決めすることができる。
【0065】
記録媒体部4と中間コネクタ10とが互いに対向する面4d、10sは垂直面でなくてもよい。
図25は、中間コネクタ10の面10sを傾斜面で構成し、面10sを下方に向かうに従って軸線Axの方向に傾斜している。これにより、カートリッジ122を押し下げてリザーバ2に装着する過程で、記録媒体部4の面4dは、中間コネクタ10の傾斜した面10sと擦接しながら下降し、この下降に伴って中間コネクタ10をリザーバ端子130に向けて押す。これにより中間コネクタ10は、記録媒体部4によって付勢された状態でリザーバ端子130に強く接した状態となる。
【0066】
図26は、
図25で説明した構成の変形例である。
図26に図示の例では、記録媒体部4と中間コネクタ10とが互いに対向する面4d、10sは基本的には垂直面で構成されているが、記録媒体部4には突起4eが形成されている。この突起4eによって、カートリッジ122を押し下げてリザーバ2に装着する過程で、記録媒体部4の突起4eが中間コネクタ10の面10sと当接することで、中間コネクタ10をリザーバ端子130に向けて押す。これにより中間コネクタ10は、記録媒体部4によって付勢された状態でリザーバ端子130に強く接した状態となる。なお、
図25や
図26で示す変形例では、中間コネクタ10のコネクタ側端子10bは、中間コネクタ10の側面に設けられているが、これは、リザーバ端子130がリザーバ2の側面に設けられているからである。本発明は、これに限られない。例えば、リザーバ端子130から電気的な配線(銅線など)を引き回し、その配線の先端に設けられた接触端子をリザーバ2の底面に配置した場合、コネクタ側端子10bを中間コネクタ10の下面に設けることもできる。このように、中間コネクタ10の外表面においてコネクタ側端子10bをどの面に配置するかについては、如何なる面であってもよい。
【符号の説明】
【0067】
2 リザーバ
4 記録媒体部
4a 記録媒体(ROM)
4b 第1インターフェース部(記録媒体側インターフェース)
Cp 記録媒体部4と情報管理部132とのデータアクセス可能な通信経路
S 庇の下方の空間
10 中間コネクタ
10a 第2インターフェース部(コネクタ側インターフェース)
10b コネクタ側端子
10u 中間コネクタの部分的な上面(傾斜面)
10d 中間コネクタの下面(傾斜面)
20 下方汚染防止壁
20a 下方汚染防止壁の上面(傾斜面)
42 支持部材
62 側方汚染防止壁
100 インクジェット記録装置
112 装置本体
122 カートリッジ
124 ボトル
130 リザーバ端子
132 ROM情報管理部
134 中空針
Ax 中空針の軸線
140 庇
140a 庇の傾斜した下面