(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】所持物検査装置
(51)【国際特許分類】
G01V 3/12 20060101AFI20241217BHJP
G01N 21/3563 20140101ALI20241217BHJP
【FI】
G01V3/12 A
G01N21/3563
(21)【出願番号】P 2021079538
(22)【出願日】2021-05-10
【審査請求日】2024-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129425
【氏名又は名称】小川 護晃
(74)【代理人】
【氏名又は名称】西山 春之
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【氏名又は名称】奥山 尚一
(72)【発明者】
【氏名】木村 章紘
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-241352(JP,A)
【文献】特開2018-146257(JP,A)
【文献】特開2012-021954(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0110672(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第111781650(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 3/12
G01N 21/3563
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体から放射される黒体輻射を受信して画像化し、所持物を検査するパッシブ方式の所持物検査装置であって、
前記黒体輻射をハーフミラーで分割し、分割した黒体輻射をサイズの異なる集光ミラーで集光して対応する検出器にそれぞれ入力し、検出した画素サイズの異なる画像を合成処理して所持物を検査する、ことを特徴とする所持物検査装置。
【請求項2】
前記黒体輻射をポリゴンミラーにより走査して前記ハーフミラーに導く、ことを特徴とする請求項1に記載の所持物検査装置。
【請求項3】
前記ハーフミラーを透過した黒体輻射が入力される第1集光ミラーと、前記ハーフミラーで反射した黒体輻射が入力される第2集光ミラーとを更に備え、前記第1集光ミラーと前記第2集光ミラーのサイズが異なる、ことを特徴とする請求項2に記載の所持物検査装置。
【請求項4】
前記ハーフミラーで反射した黒体輻射を前記第2集光ミラーに導く第3ミラーを更に備える、ことを特徴とする請求項3に記載の所持物検査装置。
【請求項5】
前記ポリゴンミラーの回転速度は、前記第3ミラーの画素密度に応じて設定する、ことを特徴とする請求項4に記載の所持物検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体から放射される黒体輻射(熱雑音)を受信して画像化し、所持物を検査するパッシブ方式の所持物検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
物体から放射される黒体輻射を受信して画像化する技術は、天文観測等で使われている。また、黒体輻射画像をセキュリティ向けのボディスキャナに応用する製品も知られている。例えば特許文献1には、被写体となる人体から放射されるミリ波帯の熱雑音を受信することで、被写体の画像を撮像するパッシブ方式のミリ波撮像装置及び撮像画像表示装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載されているようなパッシブ方式の装置は、受信強度と画素サイズ(解像度)とのトレードオフ問題がある。すなわち、受信する黒体輻射の強度は、ポリゴンミラーと集光ミラーの大きさに比例するが、ミラーの大きさに画素サイズも比例してしまうため、受信強度と解像度がトレードオフの関係になる。しかも、ポリゴンミラーでスキャンする場合は、垂直方向の角度によっても画素サイズが変化するため、受信強度と解像度が異なり撮像画像が不均一になる。
【0005】
このため、所持物検査においては小さい所持物の見落としが発生したり、所持物の検知率が低下したりする、という課題がある。
【0006】
本発明は上記のような事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、小さい所持物の見落としを低減し、所持物の検知率を向上できる所持物検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る所持物検査装置は、物体から放射される黒体輻射を受信して画像化し、所持物を検査するパッシブ方式の所持物検査装置であって、前記黒体輻射をハーフミラーで分割し、分割した黒体輻射をサイズの異なる集光ミラーで集光して対応する検出器にそれぞれ入力し、検出した画素サイズの異なる画像を合成処理して所持物を検査する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の所持物検査装置によれば、ハーフミラーを介して同時に画素サイズの違う画像を受信し、これら画素サイズの異なる画像を組み合せた合成画像化処理を行うことによって、小さい所持物の見落としを低減し、所持物の検知率を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る所持物検査装置の概略構成図である。
【
図2】
図1における所持物検査装置をウォークスルー型にする場合の構成例について説明するための斜視図である。
【
図4】
図1乃至
図3に示した所持物検査装置で人体の進入を検知したときの画像を示す図である。
【
図5】
図1乃至
図3に示した所持物検査装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図6】
図5に続く動作を説明するためのフローチャートである。
【
図7】第1集光ミラーの画素配列について説明するための図である。
【
図8】第2集光ミラーの画素配列について説明するための図である。
【
図9】第1集光ミラーと第2集光ミラーを組み合わせた画素配列について説明するための図である。
【
図10】
図1乃至
図3に示した所持物検査装置における検知画像と合成画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る所持物検査装置の概略構成を示している。この所持物検査装置は、被写体となる人体1から放射される黒体輻射2を、高速回転するポリゴンミラー3によりスキャン(走査)して検出するものである。ポリゴンミラー3で反射された黒体輻射2は、ハーフミラー4により反射及び透過される。透過した黒体輻射2は、第1集光ミラー5により第1アンテナ(ホーンアンテナ)6に導かれて受信される。一方、反射した黒体輻射2はミラー(第3ミラー)7と第2集光ミラー8を介して第2アンテナ(ホーンアンテナ)9に導かれて受信される。
【0011】
上記第1集光ミラー5と第2集光ミラー8のサイズは異なっており、画素サイズが2倍程度の差となるように、例えば第1集光ミラー5と第2集光ミラー8の寸法比は2倍(面積比は4倍)である。集光ミラーのサイズで解像度が決まるので、第1アンテナ6で受信された黒体輻射2の受信強度は、第2アンテナ9で受信された黒体輻射2より強いが解像度は低い。これに対し、第2アンテナ9で受信された黒体輻射2の受信強度は、第1アンテナ6で受信された黒体輻射2より弱いが解像度は高い。
【0012】
また、ポリゴンミラー3の回転速度は、ミラー7の画素密度に応じて決定する。更に、ハーフミラー4の分配比率は、5:5とは限らず、第1、第2集光ミラー5,8の面積比を考慮して決定し、例えば第1、第2集光ミラー5,8の面積比と同じに設定する。
【0013】
第1アンテナ6で受信された黒体輻射2は、アンプ10で増幅された後、検出器11に入力されて検出される。同様に、第2アンテナ9で受信された黒体輻射2は、アンプ12で増幅された後、検出器13に入力されて検出される。これら検出器11,13による検出結果が処理部14に入力され、画素サイズの異なる画像が合成処理される。この合成処理結果に基づいて、処理部14が刃物や銃器、爆発物などの危険物を検知したときに、上位装置に処理結果を通知する。
【0014】
あるいは、合成処理した画像を表示装置15に表示し、検査員が処理結果や表示画像から刃物や銃器、爆発物などの危険物を検知したときに、警報装置16などを作動させて周囲に報知する。
【0015】
なお、処理部14における画像のサンプリングレートは、各画素を組合せた画像合成の仕様に合わせると良い。また、画像化処理は、ミラー(第1、第2集光ミラー5,8)毎に実施することで解像度の改善が行える。加えて、各ミラーで取得した画素を組合せた合成画像も判定に用いることで、検出精度を高めることができる。
【0016】
図2は、
図1における所持物検査装置をウォークスルー型で構成する場合の構成例を示している。また、
図3は、
図2を上方から見た平面図である。
図2及び
図3に矢印で示す通路20の前方の左右と後方の左右にそれぞれ、センサユニット21-1~21-4が配置されており、通路20を矢印方向に向かって歩行する人体1からの黒体輻射2を検出し、検出した黒体輻射2に基づき所持物を検査する。これらセンサユニット21-1~21-4はそれぞれ、上ユニット21-1a~21-4aと下ユニット21-1b~21-4bで構成されている。
【0017】
人体1の左前方に配置されたセンサユニット21-1は、人体1がセンサユニット21-1~21-4間に位置した状態で、人体1の正面の左側半分を検知し、人体1の右前方に配置されたセンサユニット21-2は、人体1の正面の右側半分を検知する。一方、人体1の左後方に配置されたセンサユニット21-3は、人体1がセンサユニット21-1~21-4間に位置した状態で、人体1の背面の左側半分を検知し、人体1の右後方に配置されたセンサユニット21-4は、人体1の背面の左側半分を検知する。
そして、上述したセンサユニット21-1~21-4で検知した黒体輻射2を合成画像化処理し、所持物を検査する。
【0018】
図4は、
図1乃至
図3の所持物検査装置で人体1の進入を検知したときの画像を示すもので、上下2ユニットによる縦ラインスキャンの撮像イメージである。センサユニット21-1(上センサ21-1aと下センサ21-1b)で左前半分の画像が撮像され、センサユニット21-2(上センサ21-2aと下センサ21-2b)で右前半分の画像が撮像される。図示しないが背面側も同様に、センサユニット21-3(上センサ21-3aと下センサ21-3b)で左後半分の画像が撮像され、センサユニット21-4(上センサ21-4aと下センサ21-4b)で右後半分の画像が撮像される。
【0019】
図4(a)は、センサユニット21-1,21-2の検出範囲をそれぞれ破線で示しており、これら検出範囲の上部と下部が上ユニット21-1a,21-2aと下ユニット21-1b,21-2bで検出される。
【0020】
図4(b)は、
図4(a)の画像の解像度を、上下方向に直径の異なる円(破線で示す)22で表しており、直径の小さな円は解像度が高く、大きな円は解像度が低い。各センサユニット21-1a,21-2a,21-1b,21-2bは、人体1が正面のときにポリゴンミラー3に対して黒体輻射2が斜め45°に入射され、円22のサイズが小さくなり(解像度が高くなり)、角度がきつくなると円22のサイズが大きくなる(解像度が低くなる)。よって、各センサユニット21-1a,21-2a,21-1b,21-2bは、中央部分の解像度が高く、両端の解像度が低くなる。
【0021】
図5及び
図6は、
図1乃至
図3に示した所持物検査装置の動作を説明するためのフローチャートである。センサユニット21-3,21-4間を人が通過すると、人体1の進入が検知され(ステップS1)、ポリゴンミラー3が回転駆動される(ステップS2)。ステップS3~S8では、ポリゴンミラー3のミラー角度を上限から下限まで順次設定し、第1集光ミラー5(ミラー大)の検出レベルと、第2集光ミラー8(ミラー小)の検出レベルをそれぞれ取得する。
【0022】
すなわち、ステップS3においては、ポリゴンミラー3のミラー角度を上限に設定し、第1集光ミラー5で集光した黒体輻射2を、検出器11で検出して処理部14で取得するとともに、第2集光ミラー8で集光した黒体輻射2を、検出器13で検出して処理部14で取得する。ステップS4においては、ポリゴンミラー3のミラー角度を「上限-1」に設定し、第1集光ミラー5で集光した黒体輻射2を、検出器11で検出して処理部14で取得するとともに、第2集光ミラー8で集光した黒体輻射2を、検出器13で検出して処理部14で取得する。ステップS5においては、ポリゴンミラー3のミラー角度を「上限-2」に設定し、第1集光ミラー5で集光した黒体輻射2を、検出器11で検出して処理部14で取得するとともに、第2集光ミラー8で集光した黒体輻射2を、検出器13で検出して処理部14で取得する。
【0023】
以下、同様にポリゴンミラー3のミラー角度を上限から順次低下させていき、第1集光ミラー5で集光した黒体輻射2を、検出器11で検出して処理部14で取得するとともに、第2集光ミラー8で集光した黒体輻射2を、検出器13で検出して処理部14で取得する(ステップS6)。ステップS7においては、ポリゴンミラー3のミラー角度を「下限-1」に設定し、第1集光ミラー5で集光した黒体輻射2を、検出器11で検出して処理部14で取得するとともに、第2集光ミラー8で集光した黒体輻射2を、検出器13で検出して処理部14で取得する。更にステップS8においては、ポリゴンミラー3のミラー角度を「下限」に設定し、第1集光ミラー5で集光した黒体輻射2を、検出器11で検出して処理部14で取得するとともに、第2集光ミラー8で集光した黒体輻射2を、検出器13で検出して処理部14で取得する。
【0024】
次のステップS9では、第1集光ミラー5の画像配列の現在時刻列に、上限から下限の検出結果を保存する。このステップS9で保存した第1集光ミラー5の画像配列を
図7に示す。処理部14には、「現在時刻t」、所定時間前の「t-1」、更に所定時間前の「t-2」、…が保存されており、「現在時刻t」に対して所定時間後の「t+1」、更に所定時間後の「t+2」、…に、以後取得される検出結果が保存される。
【0025】
「現在時刻」には、サイズの大きな第1集光ミラー5の「上限」位置の画像から、「上限-1」、「上限-2」、「上限-3」、「上限-4」、…、「下限-4」、「下限-3」、「下限-2」、「下限-1」、「下限」の位置までの画像が保存されている。また、時刻「t-1」には、第1集光ミラー5の「上限」位置の画像から、「上限-1」、「上限-2」、「上限-3」、「上限-4」、…、「下限-4」、「下限-3」、「下限-2」、「下限-1」、「下限」の位置までの画像が保存されている。更に、時刻「t-2」には、第1集光ミラー5の「上限」位置の画像から、「上限-1」、「上限-2」、「上限-3」、「上限-4」、…、「下限-4」、「下限-3」、「下限-2」、「下限-1」、「下限」の位置までの画像が保存されている。
【0026】
ステップS10では、同様に第2集光ミラー8の画像配列の現在時刻列に、上限から下限の検出レベルを保存する。このステップS10で保存した第2集光ミラー8の画像配列を
図8に示す。処理部14には、「現在時刻t」に対して所定時間前の「t-1」、更に所定時間前の「t-2」、…が保存されており、「現在時刻t」に対して所定時間後の「t+1」、更に所定時間後の「t+2」、…に、以後取得される検出結果が保存される。
【0027】
「現在時刻」には、サイズの小さな第2集光ミラー8の「上限」位置の画像から、「上限-1」、「上限-2」、「上限-3」、「上限-4」、…、「下限-4」、「下限-3」、「下限-2」、「下限-1」、「下限」の位置までの画像が保存されている。また、時刻「t-1」には、第2集光ミラー8の「上限」位置の画像から、「上限-1」、「上限-2」、「上限-3」、「上限-4」、…、「下限-4」、「下限-3」、「下限-2」、「下限-1」、「下限」の位置までの画像が保存されている。更に、時刻「t-2」には、第2集光ミラー8の「上限」位置の画像から、「上限-1」、「上限-2」、「上限-3」、「上限-4」、…、「下限-4」、「下限-3」、「下限-2」、「下限-1」、「下限」の位置までの画像が保存されている。
【0028】
その後、画像配列の現在時刻列に、上部分と下部分は第2集光ミラー8、中央部分は第1集光ミラー5の検出レベルを保存する(ステップS11)。このステップS11で保存した第2集光ミラー8の画像配列を
図9に示す。処理部14には、「現在時刻t」、所定時間前の「t-1」、更に所定時間前の「t-2」、…が保存されており、「現在時刻t」に対して所定時間後の「t+1」、更に所定時間後の「t+2」、…に以後取得される検出結果が保存される。
【0029】
「現在時刻」には、第2集光ミラー8の「上限」位置の画像から、「上限-1」、「上限-2」、「上限-3」、…位置までの画像が保存されている。「中央+2」、「中央+1」、「中央」、「中央-1」、「中央-2」の位置には、第1集光ミラー5の画像が保存されている。「下限-3」、「下限-2」、「下限-1」、「下限」の位置には、第2集光ミラー8の画像が保存されている。
【0030】
また、時刻「t-1」の「上限-1」、「上限-2」、「上限-3」、…位置には、第2集光ミラー8の画像が保存され、「中央+2」、「中央+1」、「中央」、「中央-1」、「中央-2」の位置には、第1集光ミラー5の画像が保存され、「下限-3」、「下限-2」、「下限-1」、「下限」の位置には、第2集光ミラー8の画像が保存されている。
【0031】
更に、時刻「t-2」の「上限-1」、「上限-2」、「上限-3」、…位置には、第2集光ミラー8の画像が保存され、「中央+2」、「中央+1」、「中央」、「中央-1」、「中央-2」の位置には、第1集光ミラー5の画像が保存され、「下限-3」、「下限-2」、「下限-1」、「下限」の位置には、第2集光ミラー8の画像が保存されている。
【0032】
次に、センサユニット21-1,21-2間を人が通過したか否か判定され(ステップS12)、人体1の進出が検知されると画像処理(エッジ検出)、判定処理(所持物の有無)、上位装置に対して結果通知、ポリゴンミラーの停止が実行される(ステップS13)。
上記画像処理は、例えば、画像の強度差を用いてエッジ抽出を施し、人体輪郭(エッジ)の中に存在する所持物輪郭(エッジ)の有無をルールベースで処理して検出する。または、画像をAI(ディープラーニング、機械学習)に通して所持物の有無や、所持物の特徴から種類(例:刃物など)を特定して処理する。さらに、これらの組み合わせを用いた処理でも良い。
一方、ステップS12で人体1の進出が検知されないと、ステップS3に戻ってステップS12までの動作を繰り返す。
【0033】
図10は、
図1乃至
図3に示した所持物検査装置における検知出力の画像を示している。
図10(a)は第1集光ミラー5の画素による画像であり、
図10(b)は第2集光ミラー8の画素による画像である。
図10(c)は
図10(a),(b)の合成画像を示している。第1集光ミラー5の中央部分の画像と第2集光ミラー8の上下部分の画素を組み合わせると、
図10(c)に示すように第2集光ミラー8の画素による画像23b、第1集光ミラー5の画素による画像23a、第2集光ミラー8の画素による画像23cを組み合わせた画像が得られる。この結果、比較的近い画素サイズ(解像度)が並んだ画像となる。
【0034】
上述したように、解像度が低いが黒体輻射2の受信強度が強い第1集光ミラー5に、受信強度が弱いが解像度が高い第2集光ミラー8を組み合わせることで、黒体輻射2の強度の強い低解像度の画像と、強度が弱いが高解像度の画像を同時に撮影することができる。これらの画像を組み合わせて、ある程度均一な画素サイズによる画像を合成することができる。これによって、黒体輻射2が均一な強度の画像になり、解像度の改善にもつながる。
【0035】
本発明によれば、黒体輻射をポリゴンミラーで反射させた後、ハーフミラーを通して異なるサイズの集光ミラーによる受信系を構成することで、画素サイズの異なる画像を取得できる。そして、画素サイズ(解像度)の異なる画像を組み合せた合成画像化処理を行うことによって、小さい所持物の見落としを低減できるとともに、刃物や銃器、爆発物などの危険物の検知率を向上できる。しかも、画素サイズごとにポリゴンミラーを設けるよりも、部品点数を削減でき、コストダウンも図れる。
【0036】
以上の実施形態で説明された構成や動作手順等については、本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものに過ぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0037】
例えば、被写体である人物の通過している位置や身長に応じて、合成する部分を変更しても良い。すなわち、危険物を隠し持つ可能性の高い部分の解像度を高くしたり受信強度を高くしたりすることで、危険物の検知率を高めることができる。
【符号の説明】
【0038】
1…人体、2…黒体輻射、3…ポリゴンミラー、4…ハーフミラー、5…第1集光ミラー、6…第1アンテナ、7…ミラー(第3ミラー)、8…第2集光ミラー、9…第2アンテナ、10…アンプ、11…検出器、12…アンプ、13…検出器、14…処理部、20…通路、21-1~21-4…センサユニット、21-1a~21-4a…上ユニット、21-1b~21-4b…下ユニット、22…円(解像度)、23a,23b,23c…画像