IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オルガノ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-水処理方法及び水処理装置 図1
  • 特許-水処理方法及び水処理装置 図2
  • 特許-水処理方法及び水処理装置 図3
  • 特許-水処理方法及び水処理装置 図4
  • 特許-水処理方法及び水処理装置 図5
  • 特許-水処理方法及び水処理装置 図6
  • 特許-水処理方法及び水処理装置 図7
  • 特許-水処理方法及び水処理装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】水処理方法及び水処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/469 20230101AFI20241217BHJP
   C02F 1/50 20230101ALI20241217BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20241217BHJP
   B01D 61/04 20060101ALI20241217BHJP
   B01D 61/48 20060101ALI20241217BHJP
   B01D 61/52 20060101ALI20241217BHJP
   B01D 61/58 20060101ALI20241217BHJP
   C02F 1/70 20230101ALI20241217BHJP
   C02F 1/76 20230101ALI20241217BHJP
【FI】
C02F1/469
C02F1/50 510A
C02F1/50 520B
C02F1/50 531P
C02F1/50 531L
C02F1/50 531M
C02F1/50 540B
C02F1/50 550C
C02F1/50 550H
C02F1/50 560B
C02F1/50 560E
C02F1/50 560F
C02F1/28 D
B01D61/04
B01D61/48
B01D61/52 500
B01D61/58
C02F1/50 550L
C02F1/70 Z
C02F1/76 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021089150
(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公開番号】P2022181919
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2024-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】森田 樹生
(72)【発明者】
【氏名】吉川 浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雄大
【審査官】相田 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-069124(JP,A)
【文献】特開2020-018970(JP,A)
【文献】特開2014-147872(JP,A)
【文献】特開2014-176799(JP,A)
【文献】特開2005-095741(JP,A)
【文献】特開2010-201313(JP,A)
【文献】特開2017-140550(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/46- 1/48
C02F 1/28
C02F 1/44
C02F 1/50
C02F 1/58- 1/64
C02F 1/70- 1/78
B01D 53/22
B01D 61/00-71/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニアを含有する被処理水を対象として、2段直列に設けられた逆浸透膜に前記被処理水を順次透過させたのち後段の前記逆浸透膜の透過水を電気式脱イオン水製造装置に供給し前記電気脱イオン水製造装置から処理水を得る水処理方法であって、
前記被処理水に次亜塩素酸及び/またはその塩を添加し、その後、前記被処理水にスライムコントロール剤を添加することにより、アンモニア濃度が低減された前記被処理水が前段の前記逆浸透膜に供給されるようにし、
前記後段の前記逆浸透膜の濃縮水の少なくとも一部を前記前段の前記逆浸透膜の入口側に戻し、
前記スライムコントロール剤は結合塩素系酸化剤または安定化臭素系酸化剤である、水処理方法。
【請求項2】
前記スライムコントロール剤を前記被処理水に添加するときに間欠的に添加する、請求項1に記載の水処理方法。
【請求項3】
前記スライムコントロール剤を前記被処理水に添加する前に、前記被処理水に添加された前記次亜塩素酸及び/またはその塩を除去する、請求項1または2に記載の水処理方法。
【請求項4】
前記後段の前記逆浸透膜の透過水に対して全塩素濃度の測定を行い、
前記全塩素濃度の測定値が0.02mg/L as Cl以上であるときに、前記スライムコントロール剤の添加量を制御する、請求項1乃至のいずれか1項に記載の水処理方法。
【請求項5】
アンモニアを含有する被処理水を対象とする水処理装置であって、
第1の逆浸透膜を備える第1の逆浸透膜装置と、
第2の浸透膜を備えて前記第1の逆浸透膜装置の透過水が供給される第2の逆浸透膜装置と、
前記第2の逆浸透膜装置の透過水が脱塩室に供給されて前記脱塩室から処理水を排出する電気脱イオン水製造装置と、
前記被処理水に対して次亜塩素酸及び/またはその塩を添加する第1の添加手段と、
前記第1の添加手段により前記次亜塩素酸及び/またはその塩が添加された前記被処理水にスライムコントロール剤を添加する第2の添加手段とを有し、
前記第2の添加手段により前記スライムコントロール剤が添加された前記被処理水が前記第1の逆浸透膜装置に供給され、
前記第2の逆浸透膜装置の濃縮水の少なくとも一部が前記第1の逆浸透膜装置の前段に戻され、
前記スライムコントロール剤は結合塩素系酸化剤または安定化臭素系酸化剤である、水処理装置。
【請求項6】
前記第1の逆浸透膜装置に供給される前記被処理水を貯える供給タンクと、
前記供給タンクと前記第1の逆浸透膜装置とを接続するラインにおいて前記供給タンクと前記第2の添加手段との間に設けられて前記次亜塩素酸及び/またはその塩を除去する除去手段と、
をさらに備え、
前記第1の添加手段は前記供給タンクまたは前記供給タンクの前段の位置に設けられている、請求項に記載の水処理装置。
【請求項7】
前記第1の逆浸透膜装置に供給される前記被処理水を貯える供給タンクをさらに備え、
前記供給タンクと前記第1の逆浸透膜装置とを接続するラインに前記第2の添加手段が設けらている、請求項に記載の水処理装置。
【請求項8】
前記電気式脱イオン水製造装置の前記脱塩室の少なくとも一部に混床形態でイオン交換樹脂が充填されている、請求項乃至のいずれか1項に記載の水処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンモニアを含む被処理水を逆浸透膜(RO膜)及び電気式脱イオン水製造装置(EDI装置)により順次処理する水処理方法及び水処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水処理分野では、被処理水を逆浸透膜で処理することがしばしば行われている。逆浸透膜では生菌に由来するバイオファウリングが発生することがあるので、逆浸透膜への供給水には殺菌のために逆浸透膜用のスライムコントロール剤(スライム抑制剤)が添加される。スライムコントロール剤としては、例えばハロゲン(塩素または臭素)を含む酸化剤すなわちハロゲン系酸化剤が広く使用されている。特許文献1は、逆浸透膜を備える逆浸透膜装置に対する供給水にアンモニアが含まれている場合に、供給水に添加されたハロゲン系酸化剤が逆浸透膜を透過しやすくなることを開示している。
【0003】
逆浸透膜装置の透過水出口に対して電気式脱イオン水製造装置(EDI(Electrodeionization)装置)を設けて逆浸透膜の透過水に対して脱塩処理を行うこともしばしば行われている。EDI装置は、電気泳動と電気透析とを組み合わせた装置であって、陽極と陰極との間にイオン交換膜によって区画された脱塩室を備えている。EDI装置では、少なくともその脱塩室にはイオン交換樹脂が充填されており、陽極と陰極との間に直流電流を印加し、脱塩室に被処理水を通水することにより、イオン成分が除去された処理水が脱塩室から流出する。EDI装置は、薬剤によってイオン交換樹脂を再生する処理を不要とするという利点を有する。しかしながら、特許文献2に記載されるように、EDI装置に酸化剤が流入すると、EDI装置にイオン交換樹脂やイオン交換膜が劣化し、処理水における急激な水質の低下や通水差圧の上昇が起こることが知られており、このような現象が生じたときは、EDI装置の交換が必要となることがある。したがって、逆浸透膜装置の後段にEDI装置を設ける場合には、EDI装置に対して逆浸透膜用のスライムコントロール剤が流入しないようにする制御を行なう必要がある。逆浸透膜装置に供給される供給水にアンモニアが含まれる場合には、上述したようにスライムコントロール剤である酸化剤が逆浸透膜を透過しやすくなるので、EDI装置の劣化を引き起こす可能性がある。
【0004】
ところで特許文献3は、逆浸透膜装置への供給水に対してスライムコントロール剤を間欠的に添加することを開示している。しかしながら、逆浸透膜装置への供給水を一時的に貯えるタンクが設けられているときにそのタンクにスライムコントロール剤を間欠添加した場合、タンク内で希釈されるため、目標とする濃度に達しなかったり、所定にタイムスケジュールで添加できなかったりすることがあるなど、正確な制御を行なえなくなって十分な殺菌効果が得られなくなる恐れがある。
【0005】
次亜塩素酸は、ハロゲン系酸化剤の範疇に含まれるが、逆浸透膜を劣化させることが知られている。そのため、逆浸透膜装置への次亜塩素酸の流入を抑制する必要がある。逆浸透膜の劣化を抑制するという観点から、逆浸透膜用のスライムコントロール剤として、結合塩素系酸化剤または安定化臭素系酸化剤が好ましく用いられている。結合塩素系酸化剤は、次亜塩素酸などの塩素系酸化剤とスルファミン酸化合物などとの化合物であり、代表的なものとしてクロロスルファミン酸が挙げられる。安定化臭素系酸化剤は、特許文献4などに記載されるように、例えば臭素系酸化剤とスルファミン酸化合物との化合物であって、安定化次亜臭素酸組成物とも呼ばれる。ここでいう臭素系酸化剤には、例えば、臭素、塩化臭素、及び次亜臭素酸が含まれ、さらには、臭化ナトリウムと次亜塩素酸との反応生成物が含まれる。特許文献5は、安定化次亜臭素酸組成物の製造方法の一例を開示している。
【0006】
一方で次亜塩素酸は、バイオファウリングの抑制に大きな効果を有し、配管やタンクにおける殺菌のために頻繁に使用されている。そこで、配管やタンクに対する殺菌剤として次亜塩素酸を使用するときは、添加制御を行なったり、逆浸透膜装置の入口側において逆浸透膜の供給水に対して還元剤を添加して次亜塩素酸を分解除去したりするなどの対策をとる必要がある。還元剤を添加するときは、逆浸透膜装置への次亜塩素酸の流入を完全に抑えるためには還元剤を過剰に加える必要があるが、逆浸透膜用のスライムコントロール剤が余剰分の還元剤によって消費されてしまう。特に、還元剤を連続添加するときは、逆浸透膜用のスライムコントロール剤を常時過剰に添加する必要がある。特許文献6-8は、逆浸透膜装置への供給水を一時的に貯えるタンクを備えてそのタンクまたはその前段において供給水に次亜塩素酸ナトリウムが添加される場合に、タンクから逆浸透膜装置に至る配管において、還元剤である例えば亜硫酸水素ナトリウムを供給水に変化し、続いて逆浸透膜用のスライムコントロール剤を添加することを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-30061号公報
【文献】特開平11-165176号公報
【文献】特開2020-142211号公報
【文献】特開2018-15679号公報
【文献】特開2014-101251号公報
【文献】国際公開第2016/158633号
【文献】特開2010-201313号公報
【文献】特開2016-221500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
逆浸透膜とその後段に配置されたEDI装置によって被処理水の水処理を行うときに被処理水にアンモニアあるいはその解離型であるアンモニウムイオンが含まれていると、酸化剤であるスライムコントロール剤が逆浸透膜を透過してEDI装置に到達しやすくなり、EDI装置が劣化するおそれがある。また、逆浸透膜自体も次亜塩素酸により劣化するため、次亜塩素酸を除去するために逆浸透膜の前段で被処理水に還元剤を添加することがあるが、その場合、逆浸透膜用のスライムコントロール剤も還元剤によって消費されてしまうという問題が生じる。
【0009】
本発明の目的は、アンモニアを含む被処理水を逆浸透膜とその後段に配置されたEDI装置とによって処理するときに、逆浸透膜やEDI装置の劣化を防ぎつつ、逆浸透膜用のスライムコントロール剤を有効に活用できる水処理方法及び水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の水処理方法は、アンモニアを含有する被処理水を対象として、2段直列に設けられた逆浸透膜に被処理水を順次透過させたのち後段の逆浸透膜の透過水を電気式脱イオン水製造装置に供給し電気脱イオン水製造装置から処理水を得る水処理方法であって、被処理水に次亜塩素酸及び/またはその塩を添加し、その後、被処理水にスライムコントロール剤を添加することにより、アンモニア濃度が低減された被処理水が前段の逆浸透膜に供給されるようにし、後段の逆浸透膜の濃縮水の少なくとも一部を前段の逆浸透膜の入口側に戻す。スライムコントロール剤は結合塩素系酸化剤または安定化臭素系酸化剤である。
【0011】
本発明の水処理装置は、アンモニアを含有する被処理水を対象とする水処理装置であって、第1の逆浸透膜を備える第1の逆浸透膜装置と、第2の浸透膜を備えて第1の逆浸透膜装置の透過水が供給される第2の逆浸透膜装置と、第2の逆浸透膜装置の透過水が脱塩室に供給されて脱塩室から処理水を排出する電気脱イオン水製造装置と、被処理水に対して次亜塩素酸及び/またはその塩を添加する第1の添加手段と、第1の添加手段により次亜塩素酸及び/またはその塩が添加された被処理水にスライムコントロール剤を添加する第2の添加手段とを有し、第2の添加手段によりスライムコントロール剤が添加された被処理水が第1の逆浸透膜装置に供給され、第2の逆浸透膜装置の濃縮水の少なくとも一部が第1の逆浸透膜装置の前段に戻される。スライムコントロール剤は結合塩素系酸化剤または安定化臭素系酸化剤である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、アンモニアを含む被処理水を逆浸透膜とその後段に配置されたEDI装置とによって処理するときに、逆浸透膜やEDI装置の劣化を防ぎつつ、逆浸透膜用のスライムコントロール剤を有効利用できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の一形態の水処理装置を示す図である。
図2】EDI装置の構成の一例を示す図である。
図3】水処理装置の別の構成例を示す図である。
図4】水処理装置の別の構成例を示す図である。
図5】水処理装置の別の構成例を示す図である。
図6】EDI装置の構成の別の例を示す図である。
図7】実施例1の結果を説明する図である。
図8】実施例2の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の一形態の水処理装置の構成を示す図である。図1に示す水処理装置は、アンモニア(NH)を含む被処理水を処理するものである。よく知られているように水中においてアンモニアはアンモニウムイオン(NH )との間で、
NH+HO ⇔ NH +OH
で表される酸塩基平衡状態にあり、被処理水が極端に酸性あるいは極端に塩基性でなければ、被処理水にはアンモニアとアンモニウムイオンとが共存する。以下の説明では、アンモニア及び/またはアンモニウムイオンを含有する被処理水のことをアンモニア含有被処理水とも呼ぶ。アンモニア含有被処理水と言った場合においても、その被処理水には、通常、アンモニアのほかにアンモニウムイオンが含まれている。
【0015】
水処理装置は、電気式脱イオン水製造装置(EDI装置)10を備えるとともに、被処理水を貯える供給タンク40と、逆浸透膜51が設けられた逆浸透膜装置50とを備えている。被処理水に対しては、供給タンク40の前段で次亜塩素酸が例えば次亜塩素酸ナトリウム水溶液の形態で添加される。次亜塩素酸は、供給タンク40における殺菌などのために添加されるものである。供給タンク40の前段で被処理水に次亜塩素酸を添加する代わりに、図1において破線で示すように、被処理水とは独立して供給タンク40に次亜塩素酸を投入してもよい。
【0016】
供給タンク40の出口には配管42が接続し、この配管42の先端に逆浸透膜装置50が接続する。配管42には、供給タンク40中の被処理水を逆浸透膜装置50に向けて圧送するためにポンプ44が設けられている。供給タンク40の出口とポンプ44の一次側との間の位置において、配管42を流れる被処理水に対してスライムコントロール剤が添加されるようになっている。スライムコントロール剤は、被処理水に対して連続的に添加してもよいが、間欠的に添加することが好ましい。スライムコントロール剤を間欠的に添加する場合、配管42において被処理水が定常的に逆浸透膜装置50に向かって流動しており、被処理水にスライムコントロール剤を添加する期間を添加期間、添加しない期間を無添加期間として、例えば、いずれの24時間以内においても添加期間が12時間以内であるように、添加期間を0.25~12時間の範囲とし、無添加期間を3~320時間の範囲として被処理水にスライムコントロール剤を添加することができる。本実施形態において、配管42を流れる被処理水に添加されるスライムコントロール剤は、逆浸透膜用のスライムコントロール剤であり、例えば、結合塩素系酸化剤を含むスライムコトントール剤、あるいは安定化臭素系酸化剤を含むスライムコントロール剤であり、特に、安定化臭素系酸化剤を含むスライムコントロール剤であることが好ましい。
【0017】
さらに、供給タンク40の出口とスライムコントロール剤の添加位置との間で、配管42を流れる被処理水に対して、次亜塩素酸の除去手段として還元剤が添加されるようにしてもよい。還元剤を添加するときは、連続的に添加してもよいし、間欠的に添加してもよいが、還元剤は逆浸透膜の劣化を抑制するためのものであるので、その観点からは還元剤を連続的に添加する方が好ましい。また、逆浸透膜の劣化を防ぐために還元剤を過剰に添加することが多いが、その場合、余剰分の還元剤によってスライムコントロール剤が消費される恐れがある。スライムコントロール剤を添加するときに連続的に添加するよりも間欠的に添加する方が、還元剤によるスライムコントロール剤の消費を抑えることができる。次亜塩素酸を除去するために被処理水に添加される還元剤は、例えば亜硫酸水素ナトリウムである。逆浸透膜装置50において逆浸透膜51を透過しなかった被処理水すなわち濃縮水は、逆浸透膜装置50の濃縮水出口から排出される。一方、逆浸透膜51を透過した被処理水すなわち透過水は、EDI装置10の脱塩室23(図2参照)に供給される。
【0018】
図2は、EDI装置10の構成の一例を示している。EDI装置10は、陽極11を備えた陽極室21と陰極12を備えた陰極室25との間に脱塩室23を備えたものであり、脱塩室23の陽極室21の側には濃縮室22が配置し、脱塩室23の陰極室25の側には濃縮室24が配置している。陽極室21と濃縮室22の間はカチオン交換膜31で仕切られ、濃縮室22と脱塩室23の間はアニオン交換膜32で仕切られている。脱塩室23と濃縮室24の間はカチオン交換膜33で仕切られ、濃縮室24と陰極室25の間はアニオン交換膜34で仕切られている。結局、脱塩室23は、陽極11の側に位置するアニオン交換膜32と、陰極12の側に位置するカチオン交換膜33とによって区画されていることになる。脱塩室23内には、イオン交換樹脂が充填されている。図示されたものでは、アニオン交換樹脂(AER)とカチオン交換樹脂(CER)とが混床形態(MB)で充填されている。また陽極室21にはカチオン交換樹脂が充填され、濃縮室22,24にはアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とが混床形態で充填され、陰極室25にはアニオン交換樹脂が充填されている。
【0019】
EDI装置10では、その陽極室21、濃縮室22,24及び陰極室25にそれぞれ供給水を通水し、陽極11と陰極12との間に直流電流を印加した状態で、被処理水を脱塩室23に通水させる。その結果、脱塩室23において被処理水の脱塩処理が行なわれ、脱塩室23からは、イオン成分が除去された処理水すなわち脱イオン水が排出される。本実施形態では脱塩室13に供給される被処理水は、逆浸透膜51の透過水である。濃縮室22,24からは、被処理水から移行したイオン成分を含む濃縮水が排出され、陽極室21及び陰極室25からは電極水がそれぞれ排出される。なお、直流電流の印加は被処理水の通水時に連続的に行ってもよいし、断続的に行ってもよい。
【0020】
図2に示すEDI装置10では、[濃縮室(C)22|アニオン交換膜(AEM)32|脱塩室(D)23|カチオン交換膜(CEM)33|濃縮室(C)24]からなる基本構成が陽極11と陰極12の間に配置されている。この基本構成をセルセットと呼ぶ。実際には、電極間にこのようなセルセットを複数個(図2では「Nセット」)並置し、電気的には複数個のセルセットが一端を陽極11とし、他端を陰極12として直列接続されるようにして、処理能力の増大を図ることができる。この場合、隣接するセルセット間で隣り合う濃縮室を共有することができるので、EDI装置10の構成としては、[AEM|D|CEM|C]からなる繰り返し単位をXで表すこととすると、[陽極室|CEM|C|X|X|・・・|X|AEM|陰極室]の構成とすることができる。このような直列構造において、陽極室21に最も近い脱塩室23に関し、陽極室21との間に独立の濃縮室22を介在させることなく陽極室21自体を濃縮室22として機能させることができる。同様に、陰極室25に最も近い脱塩室23に関し、陰極室25との間に独立の濃縮室24を介在させることなく陰極室25自体を濃縮室24として機能させることができる。
【0021】
次に、図1に示す水処理装置の動作を説明する。アンモニア含有被処理水である被処理水は、タンク内の殺菌などのために次亜塩素酸が添加されて、供給タンク40に一時的に貯えられる。次亜塩素酸イオン(ClO)はアンモニウムイオンと反応してモノクロラミン(NHCl)を生じる(このことは、次亜塩素酸ナトリウムとアンモニアとが反応してモノクロラミンを生じることと等価である)から、被処理水中のアンモニウムイオン濃度が低減する。また、モノクロラミンの生成に伴って、被処理水中の次亜塩素酸濃度も低下する。その後、この被処理水は、供給タンク40から配管42を介して逆浸透膜装置50に供給され、その際にスライムコントロール剤が添加されるが、被処理水中のアンモニア濃度が低減しているので、酸化剤であるスライムコントロール剤は逆浸透膜51を透過しにくくなっている。その結果、逆浸透膜装置50からEDI装置10の脱塩室23には、次亜塩素酸がほとんど含まれず、かつ、酸化剤であるスライムコントロール剤のリークも抑えられた被処理水が供給されることとなり、EDI装置10に含まれるイオン交換樹脂やイオン交換膜が酸化剤により劣化することが抑制され、EDI装置10の劣化を防止することができる。
【0022】
本実施形態の水処理装置では、次亜塩素酸を添加しアンモニウムイオンと反応させることにより、被処理水におけるアンモニウムイオン濃度を低減させている。このとき被処理水に含まれるアンモニウムイオンの当量よりも多い次亜塩素酸を添加すると、反応で消費されなかった次亜塩素酸が逆浸透膜51を劣化させることになる。その一方で、被処理水中のアンモニウムイオンの当量よりも少ない量の次亜塩素酸しか添加しなかった場合にはアンモニウムイオンが残存し、その結果、スライムコントロール剤が逆浸透膜51を透過してEDI装置10を劣化させる恐れがある。後述の実施例からも明らかになるように、アンモニウムイオンが残存する場合においてスライムコントロール剤を間欠的に添加することにより、EDI装置10の劣化の程度を抑えることが可能である。また本実施形態では、供給タンク40ではなく、その後段の位置であって被処理水が定常的に一方向に流れる位置において被処理水にスライムコントロール剤を添加することにより、タンクにおけるスライムコントロール剤の希釈の影響を受けずに、より正確で効果的な殺菌をもたらすようにスラインコントロール剤の間欠添加を行うことが可能になる。
【0023】
図1に示した水処理装置では、上述したように、配管42においてスライムコントロール剤を添加する前段の位置において還元剤を被処理水に添加し、過剰の次亜塩素酸を除去することもできる。ここで次亜塩素酸を除去するための除去手段として、還元剤を添加すること以外の手段を用いることもできる。図3は、本発明に基づく水処理装置の別の構成例を示している。図3に示す水処理装置は、図1に示す水処理装置において、還元剤を添加する代わりに、配管42における還元剤の添加位置に活性炭塔43を配置したものである。活性炭塔43の内部には次亜塩素酸を吸着除去する活性炭が充填されており、被処理水が活性炭塔43内を通水する。本発明に基づく水処理装置では、被処理水から次亜塩素酸を除去する除去手段としては、還元剤や活性炭によるもの以外の手段を用いることも可能である。
【0024】
本実施形態の水処理装置では、アンモニア含有被処理水に対して次亜塩素酸とスライムコントロール剤とを上述のように添加することにより、スライムコントロール剤などの酸化剤が逆浸透膜51を透過してEDI装置10に流入することを防いでいる。しかしながら、酸化剤が万が一逆浸透膜51を透過してしまった場合に備えるために、逆浸透膜装置50の透過水出口とEDI装置10の入口との間に活性炭フィルターを設置し、活性炭フィルターにおいて酸化剤を捕捉して酸化剤がEDI装置10に流れ込まないようにすることができる。その場合、捕捉すべき酸化剤の量はわずかであると考えられるので、活性炭フィルターとしては、例えば特開2020-18970号公報に開示されるような繊維状活性炭フィルターを用いることが好ましい。
【0025】
図4は、本発明に基づく水処理装置の別の構成例を示している。図4に示す水処理装置は、図1に示す水処理装置における逆浸透膜装置50とEDI装置10との間にもう1つ逆浸透膜装置55を配置したものである。逆浸透膜装置55には逆浸透膜56が設けられている。前段の逆浸透膜装置50からの透過水が後段の逆浸透膜装置55に供給され、この逆浸透膜装置55の透過水がEDI装置10の脱塩室23に供給される。前段の逆浸透膜装置50からの濃縮水は、図1に示す水処理装置の場合と同様に、外部に排出される。これに対し、後段の逆浸透膜装置55からの濃縮水は、その少なくとも一部が供給タンク40に循環する。この水処理装置では、後段の逆浸透膜装置55から循環する濃縮水によって供給タンク40の被処理水が希釈されるので、供給タンク40中の被処理水におけるアンモニウムイオン濃度が低下し、スライムコントロール剤とアンモニウムイオンとの接触濃度及び接触時間が減少し、これにより、逆浸透膜51,56でのスライムコントロール剤の透過がより抑制されて、EDI装置10の劣化をより抑制することができる。
【0026】
本発明に基づく水処理装置は、アンモニア含有被処理水に次亜塩素酸及び/またはその塩を添加し、その後、その被処理水にスライムコントロール剤を添加してからその被処理水を逆浸透膜装置50とEDI装置10とによって順次処理する構成であればよい。したがって、本発明に基づく水処理装置は、図1図3及び図4に示した構成のものに限定されない。図5は、本発明に基づく水処理装置のさらに別の構成例を示している。図5に示す水処理装置は、図1に示す水処理装置において、被処理水を一時的に貯える供給タンク40の前段に活性炭塔43を設け、次亜塩素酸が添加されたアンモニア含有被処理水が活性炭塔43を通水してから供給タンク40に供給されるようにしたものである。スライムコントロール剤は供給タンク40において被処理水に添加されるが、供給タンク40の後段、例えば配管42においてスライムコントロール剤を被処理水に添加するようにしてもよい。活性炭塔43が次亜塩素酸の除去手段として設けられているので、この水処理装置では、被処理水に対する還元剤の添加は行われない。図5に示す水処理装置では、次亜塩素酸が供給タンク40には流入しない構成となっているが、次亜塩素酸は、アンモニアあるいはアンモニウムイオンの除去だけでなく殺菌を行う能力を有しており、水が滞留しやすく生菌が繁殖しやすいという供給タンク40の特徴を考えれば、次亜塩素酸が供給タンク40に流入できて供給タンク40の殺菌を行えるような構成の方が好ましい。
【0027】
図6は、上述した水処理装置の各々において使用できるEDI装置の別の例を示している。図6に示すEDI装置は、図2に示したEDI装置10の脱塩室23を中間イオン交換膜で仕切り、中間イオン交換膜よりも陽極11の側を第1小脱塩室27とし、中間イオン交換膜よりも陰極12の側を第2小脱塩室28としたものである。中間イオン交換膜としてはアニオン交換膜37が用いられている。したがって、第1小脱塩室27はアニオン交換膜32とアニオン交換膜37により区画され、第2小脱塩室28はアニオン交換膜37とカチオン交換膜33により区画されることになる。このEDI装置では、被処理水はまず第1小脱塩室27に供給され、第1小脱塩室27の出口水がそのまま第2小脱塩室28に供給され、第2小脱塩室28からは、このEDI装置の処理水が排出する。ここで示す例では第1小脱塩室27にはアニオン交換樹脂が充填されている。第2小脱塩室28は、複床構成となっており、被処理水の流れの方向に沿って上流側にはカチオン交換樹脂が充填され、下流側にはアニオン交換樹脂が充填されている。図6に示すEDI装置においても、アニオン交換膜32、第1小脱塩室27、アニオン交換膜37、第2小脱塩室28、カチオン交換膜33及び濃縮室23からなる並びを繰り返し単位Xとして、陽極室21に隣接する濃縮室22と、陰極室25に接するアニオン交換膜34との間に、繰り返し単位Xを直列に複数セット設けることができる。
【0028】
本発明に基づく水処理装置で用いられるEDI装置10は、隣接する2つの濃縮室22,24の間に1つの脱塩室23を有する例えば図2に示すEDI装置であっても、隣接する2つの濃縮室22,24の間に中間イオン交換膜(例えばアニオン交換膜37)で仕切られた2つの小脱塩室27,28を有する例えば図6に示すEDI装置であってもよい。各脱塩室23あるいは各小脱塩室27,28では、イオン交換樹脂は、単床形態、混床形態あるいは複床形態のいずれの形態で充填されていてもよい。
【0029】
本発明に基づく水処理装置を運転するときは、装置内の各所における被処理水あるいは処理水中の酸化剤濃度を測定して管理したいことがある。次亜塩素酸も、スライムコントロール剤として用いられる結合塩素系酸化剤及び安定化臭素系酸化剤も、一般的に用いられる全塩素濃度測定を行ったときにそれらの濃度に応じた値を示す。例えば、これらの酸化剤は、いずれも、全塩素濃度の測定法として知られているDPD(N,N-ジエチルパラフェニレンジアミン)を用いる比色法(すなわちDPD法)による測定を行ったときに、酸化剤濃度に応じた呈色を示す。DPD法以外にも、酸化剤がヨウ化カリウムを酸化することにより遊離したヨウ素を、チオ硫酸ナトリウムによる酸化還元滴定で定量することによる全塩素濃度測定法を酸化剤の濃度管理に用いることができる。したがって、酸化剤の種類を問わずに酸化剤濃度を管理するときは、全塩素濃度の測定を行い、その測定値をもって酸化剤の濃度を管理することできる。その場合、酸化剤の濃度は、全塩素濃度換算値として表される。以下の説明において酸化剤濃度の値は、全塩素濃度の測定を行ったときの測定値(すなわち全塩素濃度換算値)で表されており、そのことを明示するために「as Cl」が付記されている。
【0030】
酸化剤濃度を測定し、その測定値に基づいて水処理装置の制御を行なう例を説明する。図1に示す水処理装置において、スライムコントロール剤として安定化臭素系酸化剤を用いるものとする。逆浸透膜装置50の透過水、すなわちEDI装置10に対する供給水における安定化臭素系酸化物の濃度をDPD法による全塩素濃度測定によって求め、その測定値が例えば0.02mg/L as Cl以上であるときに、測定値が0.02mg/L as Cl以下となるように配管42において被処理水に添加されるスライムコントロール剤の量を変化させる制御を行なうことができる。図4に示す水処理装置の場合は、後段の逆浸透膜装置55の透過水における安定化臭素系酸化物の濃度の測定値が例えば0.02mg/L as Cl以上であるときに、測定値が0.02mg/L as Cl以下となるように、後段の逆浸透膜装置55の濃縮水のうち供給タンク40に戻される水の量を変化させる制御を行なうことができる。
【0031】
以上説明したように本発明に基づく水処理方法及び水処理装置では、被処理水にアンモニアが含まれている場合にEDI装置10へのスライムコントロール剤の流入を抑制するために、被処理水に次亜塩素酸を添加してアンモニウムイオン濃度を低減している。逆浸透膜用のスライムコントロール剤を被処理水に間欠添加することにより、EDI装置10における脱塩室の構成や脱塩室へのイオン交換樹脂の充填形態によらずにEDI装置10の劣化を抑制している。さらに、次亜塩素酸を除去するために被処理水に還元剤を添加する場合においては、過剰の還元剤によってスライムコントロール剤が消費されることを大きく抑制している。供給タンク40の後段において、還元剤及びスライムコントロール剤をこの順で被処理水に添加することにより、スライムコントロール剤の添加に関し、正確で効果的な殺菌をもたらす間欠添加が可能になる。さらに、2段直列に逆浸透膜装置50,55を設けた時は、後段の逆浸透膜装置55からの濃縮水を前段に戻すことによって被処理水中のアンモニアが希釈され、それにより、スライムコントロール剤が逆浸透膜51,56を透過することを抑制できる。本発明において用いられるEDI装置は、図2に示したような、隣接する濃縮室22,24の間に単一の脱塩室23が設けられているものであってもよいし、あるいは、図6に示したような、隣接する濃縮室22,24の間に中間イオン交換膜で仕切られた2つの小脱塩室27,28を有するものであってもよい。脱塩室や小脱塩室に対するイオン交換樹脂の充填形態も、単床であっても混床であってもよい。ただしEDI装置の構成として、隣接する濃縮室の間に単一の脱塩室が設けられているものよりも、中間イオン交換膜で仕切られた2つの小脱塩室を有するものの方が好ましい。イオン交換樹脂の充填形態として、混床形態よりも、脱塩室あるいは小脱塩室に対してその少なくとも一部に単床でイオン交換樹脂が充填されているものの方が好ましい。
【実施例
【0032】
次に、本発明について、実施例及び参考例によりさらに詳しく説明する。
【0033】
[実施例1]
アンモニア含有被処理水の処理を行うときに、次亜塩素酸の添加によるアンモニウムイオンの低減処理を行う場合と行わない場合とについて、後段のEDI装置からの処理水の水質の劣化の有無を検討した。図1に示す水処理装置を組み立て、アンモニア含有被処理水が試験水として水処理装置に通水されるようにした。そして供給タンク40の前段において試験水に次亜塩素酸を添加した場合と添加しない場合とについて、EDI装置10から排出される処理水の比抵抗の変化を調べた。還元剤の添加は行わなかった。EDI装置10として、脱塩室が2つの小脱塩室に区画されていない図2に示すEDI装置(構造1とする)と、脱塩室が中間イオン交換膜により2つの小脱塩室に区画されている図6に示すEDI装置(構造2)とを使用した。試験水は、純水にアンモニウム塩を添加したものであり、水温は25℃、pHは7であった。スライムコントロール剤として安定化次亜臭素酸を使用した。結果を図7に示す。図7において「NH 処理済」は、次亜塩素酸を添加することによってアンモニウムイオンを低減させた試験水に対する結果を示し、「NH 未処理」は、次亜塩素酸を添加しなかった試験水に対する対する結果を示している。また、次亜塩素酸を添加しない試験水では逆浸透膜装置50の入口でのアンモニウムイオン濃度は1mg/Lであり、この試験水を逆浸透膜装置50を透過させて得られる透過水の全塩素濃度を測定したところ、0.14mg/L as Clであった。一方、次亜塩素酸を添加した試験水では逆浸透膜装置50の入口においてアンモニウムイオンは検出されず、この試験水を逆浸透膜装置50を透過させて得られる透過水の全塩素濃度を測定したところ、0.02mg/L as Cl未満であった。
【0034】
図7より、逆浸透膜装置50への供給水にアンモニウムイオンが含まれる場合(「NH 未処理」の場合)、EDI装置10が構造1、構造2のいずれのものであっても水質劣化が確認された。「NH 処理済」の結果から、次亜塩素酸によりアンモニウムイオンを除去することによって、EDI装置10からの処理水の水質(導電率)を18MΩ・cmに維持できることが分かった。
【0035】
[参考例1]
スライムコントロール剤を間欠添加することによる効果を調べた。EDI装置10として構造1(図2)のEDI装置を使用して図1に示す水処理装置を組み立て、アンモニア含有被処理水を試験水として水処理装置に通水し、配管42を流れる試験水に対してスライムコントロール剤を間欠的に添加し、EDI装置10から排出される処理水の比抵抗の変化を調べた。次亜塩素酸と還元剤の添加は行わなかった。試験水としては、純水に対してアンモニウムイオン濃度が1mg/Lとなるようにアンモニウム塩を添加したものを使用した。試験水の水温は25℃であり、pHは7であった。スライムコントロール剤としては安定化次亜臭素酸を使用し、添加時に逆浸透膜濃縮水における濃度が2mg/L as Clとなるように間欠添加を行った。結果を図8に示す。図8に示すように、スライムコントロール剤を間欠添加することにより、非添加時に水質が素早く回復し、かつ、添加を繰り返しても水質が一定に維持されることが分かった。言い換えれば、酸化剤であるスライムコントロール剤が逆浸透膜をリークしてしまうような条件であっても、スライムコントロール剤を間欠添加することにより、水質を維持でき、EDI装置の劣化も防ぐことができることが分かった。
【符号の説明】
【0036】
10 電気式脱イオン水製造装置(EDI装置)
11 陽極
12 陰極
21 陽極室
22,24 濃縮室
23 脱塩室
25 陰極室
27,28 小脱塩室
31,33 カチオン交換膜
32,24,37 アニオン交換膜
40 供給タンク
43 活性炭塔
50,55 逆浸透膜装置
51,56 逆浸透膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8