IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士機械製造株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ダイ供給装置 図1
  • 特許-ダイ供給装置 図2
  • 特許-ダイ供給装置 図3
  • 特許-ダイ供給装置 図4
  • 特許-ダイ供給装置 図5
  • 特許-ダイ供給装置 図6
  • 特許-ダイ供給装置 図7
  • 特許-ダイ供給装置 図8
  • 特許-ダイ供給装置 図9
  • 特許-ダイ供給装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ダイ供給装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20241217BHJP
   H01L 21/67 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
H01L21/78 Y
H01L21/68 E
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021098986
(22)【出願日】2021-06-14
(65)【公開番号】P2022190593
(43)【公開日】2022-12-26
【審査請求日】2024-02-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(74)【代理人】
【識別番号】100162237
【弁理士】
【氏名又は名称】深津 泰隆
(74)【代理人】
【識別番号】100191433
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 友希
(72)【発明者】
【氏名】今西 聡
【審査官】内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-045296(JP,A)
【文献】特開2003-347390(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0042232(KR,A)
【文献】特開2011-233743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 21/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハにダイシングシートを貼着したものをダイシングすることで形成されるダイ集合体を保持する保持ステージと、
蛍光体を有し、前記保持ステージに保持されたダイ集合体の任意のダイを下方から突き上げる突上装置と、
前記蛍光体に向って光を照射する照射装置と、
前記照射装置により前記蛍光体に光が照射されている状態で、前記保持ステージに保持されたダイ集合体を上方から撮像する撮像装置と、
を備えるダイ供給装置。
【請求項2】
前記突上装置は、
当該突上装置の内部に配設された前記蛍光体と、
透明な素材により形成され、当該突上装置の上端を覆うカバーと、
を有する請求項1に記載のダイ供給装置。
【請求項3】
ダイの電極面にダイシングシートが貼着されたダイ集合体を保持する前記保持ステージを備える請求項1または請求項2に記載のダイ供給装置。
【請求項4】
前記撮像装置によるダイ集合体の撮像データに基づいて、隣り合うダイの隙間を認識し、ダイの位置を演算する演算装置を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のダイ供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハにダイシングシートを貼着したものをダイシングすることで形成されるダイ集合体からダイを供給するダイ供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、ダイ集合体からダイを供給するダイ供給装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-322425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書は、ダイ集合体から適切にダイを供給するべく、撮像データに基づいて、ダイ集合体でのダイの位置を適切に認識することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本明細書は、ウェハにダイシングシートを貼着したものをダイシングすることで形成されるダイ集合体を保持する保持ステージと、蛍光体を有し、前記保持ステージに保持されたダイ集合体の任意のダイを下方から突き上げる突上装置と、前記蛍光体に向って光を照射する照射装置と、前記照射装置により前記蛍光体に光が照射されている状態で、前記保持ステージに保持されたダイ集合体を上方から撮像する撮像装置と、を備えるダイ供給装置を開示する。
【発明の効果】
【0006】
本開示では、突上装置がダイ集合体の下方に配設されており、突上装置が有する蛍光体に光が照射された状態で、ダイ集合体が上方から撮像装置により撮像される。これにより、ダイ集合体の撮像時に、ダイ集合体の下面が蛍光体の発光により照らされることで、撮像データに基づいて、ダイ集合体でのダイの位置を適切に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】電子部品装着機を示す斜視図である。
図2】電子部品装着機を示す平面図である。
図3】ダイ供給装置を示す斜視図である。
図4】突上装置を示す断面図である。
図5】制御装置を示すブロック図である。
図6】ダイの電極面と反対側の面がダイシングシートに貼着されたダイ集合体を示す図である。
図7】ダイの電極面がダイシングシートに貼着されたダイ集合体を示す図である。
図8】従来の手法により撮像されたダイ集合体の撮像データに基づく画像を示す図である。
図9】突上装置の蛍光体に光が照射された状態でカメラにより撮像されるダイ集合体を示す図である。
図10】本明細書の手法により撮像されたダイ集合体の撮像データに基づく画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態として、本発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。
【0009】
図1および図2に、本発明の実施例の電子部品装着機10を示す。図1は、電子部品装着機10の斜視図であり、図2は、カバー12等を取り外した電子部品装着機10を上方からの視点において示した図である。電子部品装着機10は、回路基板に電子部品を装着するための作業機である。電子部品装着機10は、搬送装置20と、装着ヘッド移動装置(以下、「移動装置」と略す場合がある)22と、装着ヘッド24と、ダイ供給装置30とを備えている。なお、以下の説明において、電子部品装着機10の幅方向をX軸方向と称し、その方向に直角な水平の方向をY軸方向と称する。
【0010】
搬送装置20は、2つのコンベア装置40,42を備えている。それら2つのコンベア装置40,42は、互いに平行、かつ、X軸方向に延びるようにベース46上に配設されている。2つのコンベア装置40,42の各々は、電磁モータ(図5参照)47の駆動により回路基板をX軸方向に搬送する。また、回路基板は、所定の位置において、基板保持装置(図5参照)48によって固定的に保持される。
【0011】
移動装置22は、Y軸方向に延びる1対のY軸方向ガイドレール50と、X軸方向に延びるX軸方向ガイドレール52とを有している。そのX軸方向ガイドレール52は、1対のY軸方向ガイドレール50に上架されている。そして、X軸方向ガイドレール52は、電磁モータ(図5参照)53の駆動により、Y軸方向の任意の位置に移動する。また、X軸方向ガイドレール52は、自身の軸線に沿って移動可能にスライダ54を保持している。このスライダ54は、電磁モータ(図5参照)55の駆動により、X軸方向の任意の位置に移動する。そのスライダ54には、装着ヘッド24が取り付けられている。このような構造により、装着ヘッド24は、ベース46上の任意の位置に移動する。
【0012】
装着ヘッド24は、回路基板に対して電子部品を装着するものである。装着ヘッド24は、下端面に設けられた吸着ノズル60を有している。吸着ノズル60は、負圧エア,正圧エア通路を介して、正負圧供給装置(図5参照)62に通じている。吸着ノズル60は、負圧によって電子部品を吸着保持し、保持した電子部品を正圧によって離脱する。また、装着ヘッド24は、吸着ノズル60を昇降させるノズル昇降装置(図5参照)64を有している。そのノズル昇降装置64によって、装着ヘッド24は、保持する電子部品の上下方向の位置を変更する。なお、吸着ノズル60は、装着ヘッド24に着脱可能である。
【0013】
ダイ供給装置30は、ベース46のY軸方向における一端部に設けられている。詳しくは、ベース46の縁部には、凹んだ形状の収納部86が形成されており、その収納部86にダイ供給装置30の一部が収納されている。ダイ供給装置30は、図3に示すように、ダイ集合体90からダイ92を供給するものである。ダイ集合体90は、ウェハにダイシングシートを貼着したものをダイシングすることで形成される。なお、ダイ集合体90は、単に「ウェハ」と呼ばれることもあり、ダイ92は、「チップ」と呼ばれることもある。
【0014】
ダイ供給装置30は、メインフレーム100とダイ集合体収容装置102とダイ集合体保持装置104とピックアップヘッド106とピックアップヘッド移動装置(以下、「移動装置」と略す場合がある)108とダイ突上ユニット(図4参照)110を有している。
【0015】
メインフレーム100の上面は、概して矩形とされており、その上面に、ダイ集合体保持装置104とピックアップヘッド106と移動装置108とが配設されている。そして、メインフレーム100が収納部86に収納されることで、ダイ供給装置30がベース46に取り付けられる。
【0016】
ダイ集合体収容装置102は、メインフレーム100のY軸方向における端部に連結されており、ラック111と昇降テーブル112とを有している。ラック111は、昇降テーブル112の上に配設されており、ラック111の内部には、複数のダイ集合体90が積み重ねられた状態で収容されている。それら複数のダイ集合体90は、昇降テーブル112がテーブル昇降機構(図5参照)115によって昇降されることで、上下方向に移動する。そして、所定の高さに位置するダイ集合体90が、ダイ集合体保持装置104の上に引き出される。なお、ダイ集合体90には、6インチサイズ,8インチサイズ等、種々のサイズのダイ集合体90があり、それら種々のサイズのダイ集合体90をラック111に収容することが可能である。
【0017】
ダイ集合体保持装置104は、図2及び図3に示すように、1対のガイドレール116と保持フレーム117とを有している。1対のガイドレール116は、メインフレーム100上にY軸方向に延びるように配設されており、保持フレーム117をY軸方向に移動可能に支持している。そして、保持フレーム117は、フレーム移動機構(図5参照)118によって、ガイドレール116に沿って、Y軸方向に移動する。その保持フレーム117の上には、ダイ集合体収容装置102から引き出されたダイ集合体90が載置される。また、保持フレーム117には、固定機構119が配設されている。固定機構119は、ダイ集合体90の対向する2辺において、ダイ集合体90を固定し、保持フレーム117の上面で位置決めする。
【0018】
ピックアップヘッド106は、ダイ集合体90からダイ92をピックアップするものであり、下面に複数の吸着ノズル120が装着されている。各吸着ノズル120は、正負圧供給装置(図5参照)121に通じている。吸着ノズル120は、負圧によってダイ92を吸着保持し、保持したダイ92を正圧によって離脱する。また、ピックアップヘッド106は、上下方向に反転し、吸着ノズル120のノズル口を上方に向けることが可能である。これにより、吸着ノズル120によって吸着保持されたダイ92が、ピックアップヘッド106の上部において供給される。また、ピックアップヘッド106は、昇降装置(図5参照)122を有しており、昇降装置122の作動により、各吸着ノズル120が昇降する。
【0019】
移動装置108は、Y軸方向に延びる1対のY軸方向ガイドレール123と、X軸方向に延びるX軸方向ガイドレール124とを有している。そのX軸方向ガイドレール124は、1対のY軸方向ガイドレール123に上架されている。そして、X軸方向ガイドレール124は、電磁モータ(図5参照)125の駆動により、Y軸方向の任意の位置に移動する。また、X軸方向ガイドレール124は、自身の軸線に沿って移動可能にスライダ126を保持している。このスライダ126は、電磁モータ(図5参照)127の駆動により、X軸方向の任意の位置に移動する。そのスライダ126には、ピックアップヘッド106が取り付けられている。このような構造により、ピックアップヘッド106は、メインフレーム100上の任意の位置に移動する。また、スライダ126の下端面には、カメラ(図5参照)128が下方を向いた状態で取り付けられている。これにより、カメラ128は、メインフレーム100上の任意の位置を撮像する。
【0020】
また、移動装置108のX軸方向ガイドレール124の背面には、クランプ129が取り付けられている。クランプ129は、ダイ集合体収容装置102のラック111に収容されたダイ集合体90を把持する。そして、X軸方向ガイドレール124をY軸方向に移動させることで、クランプ129によって把持されたダイ集合体90は、Y軸方向に移動する。これにより、ラック111に収容されたダイ集合体90が、保持フレーム117の上に引き出される。
【0021】
ダイ突上ユニット110は、ダイ集合体保持装置104の保持フレーム117の下方に配設されており、突上装置(図4参照)130と昇降装置(図5参照)132と移動装置(図5参照)134とを有している。突上装置130は、図4に示すように、ハウジング136と蓋体138とロッドホルダ140と昇降ロッド142と突上ピン144とピンホルダ146とを含む。ハウジング136は、概して円筒形状をなし、立設した状態で保持フレーム117の下方に配設されている。蓋体138は、概して有蓋円筒状をなし、ハウジング136の上端部の開口を覆っている。なお、蓋体138の蓋部の中央には、貫通穴148が形成されている。
【0022】
また、ロッドホルダ140は、円筒形状をなし、ハウジング136の内部において立設した状態で固定されている。そして、昇降ロッド142が、ロッドホルダ140の内部において、上下方向に移動可能に保持されており、電磁モータ(図5参照)149の駆動により、昇降する。その昇降ロッド142の上端は、蓋体138の内部に位置しており、その昇降ロッド142の上端に、昇降ロッド142と同軸的に突上ピン144が固定されている。このため、昇降ロッド142の昇降に伴って、突上ピン144も昇降する。また、ピンホルダ146は、概して短円柱形状をなし、ロッドホルダ140の上端に、ロッドホルダ140と同軸的に固定されている。そして、ロッドホルダ140の内部において、上下方向に移動可能に突上ピン144が保持されている。そのロッドホルダ140に保持されている突上ピン144の上端は、ロッドホルダ140の上端面から上方に向って延び出しており、突上ピン144の上端は蓋体138の貫通穴148に挿入されている。なお、昇降ロッド142が最も下降している状態で、突上ピン144の上端面は蓋体138の上端面と、上下方向において一致している。つまり、突上ピン144の上端面と蓋体138の上端面とが面一になっている。そして、昇降ロッド142の上昇に伴って、突上ピン144の上端が、蓋体138の上端面から突出する。
【0023】
また、昇降装置132は、その突上装置130を上下方向に昇降させる。移動装置134は、ダイ集合体保持装置104の下方において、X軸方向及びY軸方向の任意の位置に、突上装置130を移動させる。このような構造により、ダイ突上ユニット110は、後に詳しく説明するが、ダイ集合体保持装置104により保持されたダイ集合体90の任意のダイを、突上ピン144により突き上げる。
【0024】
また、電子部品装着機10は、図5に示すように、制御装置150を備えている。制御装置150は、コントローラ152と、複数の駆動回路154と、画像処理装置156とを備えている。複数の駆動回路154は、上記電磁モータ47,53,55,125,127,149、基板保持装置48、正負圧供給装置62,121、ノズル昇降装置64、テーブル昇降機構115、フレーム移動機構118、昇降装置122,132、移動装置134に接続されている。コントローラ152は、CPU,ROM,RAM等を備え、コンピュータを主体とするものであり、複数の駆動回路154に接続されている。これにより、搬送装置20、移動装置22等の作動が、コントローラ152によって制御される。さらに、コントローラ152は、画像処理装置156にも接続されている。画像処理装置156は、カメラ128により撮像された撮像データを処理するための装置である。これにより、コントローラ152は、撮像データから各種情報を取得する。
【0025】
上述した構成により、電子部品装着機10では、回路基板にダイ92を装着する装着作業が行われる。具体的には、制御装置150のコントローラ152の指令により、回路基板が作業位置まで搬送され、その位置において回路基板が固定的に保持される。また、ダイ供給装置30は、ピックアップヘッド106を用いてダイ92を供給する。
【0026】
具体的には、コントローラ152の指令により、昇降テーブル112が昇降され、ラック111に収容されている複数のダイ集合体90のうちの任意のダイ集合体90が、クランプ129と対向する位置に移動される。そして、ダイ集合体90がクランプ129により把持され、X軸方向ガイドレール124が、Y軸方向に移動される。これにより、クランプ129によって把持されたダイ集合体90が、保持フレーム117の上に引き出される。なお、ラック111から引き出されたダイ集合体90は、図2の実線で示される保持フレーム117の上に位置する。また、保持フレーム117の上に引き出されたダイ集合体90は、固定機構119により固定される。次に、カメラ128がダイ集合体90の上方に移動し、カメラ128によりダイ集合体90が撮像される。そして、コントローラ152において、撮像データに基づいて、ダイ集合体90での複数のダイ92の各々の位置が演算される。続いて、ピックアップヘッド106が、ピックアップ対象のダイ92の上方に移動し、吸着ノズル120によってダイ92が吸着保持される。
【0027】
この際、ピックアップヘッド106の吸着ノズル120によって吸着保持されるダイ92の下方に突上装置130が移動し、その位置において、昇降ロッド142が上昇する。これにより、ダイ92が持ち上げられ、ダイシングシートから剥がされることで、吸着ノズル120によるダイ92のピックアップがサポートされる。詳しくは、ピックアップ対象のダイ92の下方に、突上装置130が、移動装置134の作動により移動する。そして、突上装置130の蓋体138が、保持フレーム117に保持されたダイ集合体90の下面に接触するまで、突上装置130が、昇降装置132の作動により上昇する。続いて、吸着ノズル120によりダイ92が吸着保持された状態で、昇降ロッド142が上昇する。これにより、吸着ノズル120により吸着保持された状態のダイ92が、突上ピン144によって持ち上げられ、そのダイ92がダイシングシートから剥がされる。そして、吸着ノズル120が上昇することで、吸着ノズル120によってダイ92がピックアップされる。
【0028】
これにより、ダイシングシートに貼着されたダイ92を適切に、吸着ノズル120によってピックアップすることが可能となる。なお、昇降ロッド142が上昇する際、つまり、突上ピン144がダイ92を持ち上げる際に、吸着ノズル120は、昇降ロッド142の上昇量に応じた量、上昇する。これにより、突上ピン144と吸着ノズル120とに挟まれた状態のダイ92への荷重負荷が抑制される。なお、昇降ロッド142の上昇量、つまり、突上ピン144によるダイ92の持ち上げ量は、ダイシングシートの粘着力等に応じて設定されるが、0.1~0.5mm程度である。
【0029】
次に、吸着ノズル120によってダイ92がピックアップされると、ピックアップヘッド106が上下方向に反転される。これにより、吸着ノズル120によって吸着保持されたダイ92が、ピックアップヘッド106の上部において供給される。ダイ92がピックアップヘッド106の上部において供給されると、装着ヘッド24が、ピックアップヘッド106の上方に移動し、吸着ノズル60がダイ92を吸着保持する。つまり、ピックアップヘッド106の吸着ノズル120から、装着ヘッド24の吸着ノズル60にダイ92が受け渡される。そして、装着ヘッド24が、回路基板上に移動し、回路基板にダイ92が装着される。
【0030】
また、ダイ供給装置30では、ピックアップヘッド106を用いずに、ダイ供給装置30から直接ダイ92を供給することが可能である。詳しくは、ダイ集合体90がラック111から保持フレーム117上に引き出された後に、保持フレーム117をY軸方向に移動させる。これにより、ダイ集合体90は、図2の点線で示される保持フレーム117の上に位置する。そして、装着ヘッド24が、ダイ集合体90の上方に移動し、吸着ノズル60によってダイ92が吸着保持されることで、ダイ92がピックアップされる。なお、吸着ノズル60によってダイ92がピックアップされる際も、吸着ノズル120によるダイ92のピックアップ時と同様に、ダイ突上ユニット110によるダイ92の突上げが行われる。そして、吸着ノズル60によりピックアップされたダイ92が、回路基板に装着される。
【0031】
このように、ダイ供給装置30では、2つの手法によりダイ92を供給することが可能であり、供給されたダイ92が装着ヘッド24の吸着ノズル60により保持されて、回路基板に装着される。つまり、1つ目の供給手法として、ピックアップヘッド106の吸着ノズル120によってダイ92がダイ集合体90からピックアップされて、そのピックアップヘッド106が上下方向に反転することで、吸着ノズル120に保持された状態でダイ92が、装着ヘッド24の吸着ノズル60に供給される。また、2つ目の供給手法として、ダイ集合体90から直接的にダイ92が、装着ヘッド24の吸着ノズル60に供給される。
【0032】
このため、ピックアップヘッド106に保持された状態でダイ92が供給される場合には、ダイ集合体90でのダイ92の姿勢を上下方向に反転した状態で、ダイ92が装着ヘッド24の吸着ノズル60に供給される。そして、装着ヘッド24の吸着ノズル60に保持されたダイ92は回路基板に装着されるため、装着ヘッド24の吸着ノズル60は、電極面を下方に向けた姿勢でダイ92を保持する必要がある。そこで、ピックアップヘッド106に保持された状態で供給されるダイ92は、ダイ集合体90において、図6に示すように、電極160が配設されている電極面と反対側の面がダイシングシート162に貼着されており、電極面が上方を向いている。このため、ピックアップヘッド106の吸着ノズル120がダイ集合体90からダイ92を保持した際に、ダイ92の電極面は上方を向いている。そして、ピックアップヘッド106が上下方向に反転することで、吸着ノズル120に保持されているダイ92の電極面は下方を向く。これにより、ピックアップヘッド106に保持された状態のダイを保持する際に装着ヘッド24の吸着ノズル60は、電極面を下方に向けた姿勢でダイ92を保持することができる。
【0033】
一方、ダイ集合体90から装着ヘッド24に直接的にダイ92が供給される場合には、ダイ集合体90でのダイ92の姿勢のままで装着ヘッド24の吸着ノズル60によりダイ92は保持される。そこで、ダイ集合体90から装着ヘッド24に直接的に供給されるダイ92は、ダイ集合体90において、図7に示すように、電極160が配設されている電極面がダイシングシート162に貼着されており、電極面と反対側の面が上方を向いている。このため、ダイ集合体90から直接的にダイを保持する際に装着ヘッド24の吸着ノズル60は、電極面を下方に向けた姿勢でダイ92を保持することができる。
【0034】
このように、ダイ供給装置30では、ピックアップヘッド106に保持された状態で供給されるダイは、ダイ集合体90において電極面と反対側の面がダイシングシート162に貼着されており、電極面が上方を向いている。このため、ダイ集合体90でのダイの位置を演算するべく、ダイ集合体90がカメラ128に撮像される際に、ダイ集合体90でのダイの電極面が撮像される。そして、電極面の撮像データに基づいて、ダイ集合体90でのダイの位置が演算される。この際、撮像データに基づいて、電極の位置が認識されて、その電極の位置に基づいて、ダイの位置が演算される。これにより、ダイ集合体90でのダイの位置を適切に演算することができる。
【0035】
一方で、ダイ集合体90から直接的に供給されるダイは、ダイ集合体90において電極面がダイシングシート162に貼着されており、電極面と反対側の面が上方を向いている。このため、ダイ集合体90でのダイの位置を演算するべく、ダイ集合体90がカメラ128に撮像される際に、ダイ集合体90でのダイの電極面と反対側の面が撮像される。そして、電極面と反対側の面の撮像データに基づいて、ダイ集合体90でのダイの位置が演算されるが、電極面と反対側の面は、一般的に、樹脂のみにより構成されており、平坦面であるため、ダイの位置を認識し難い。また、ダイ集合体90では隣り合うダイの隙間は然程大きくないため、ダイ集合体90において複数のダイの各々を個別に認識し難い。具体的には、例えば、電極面と反対側の面の撮像データに基づく画像では、図8に示すように、隣り合うダイ92の隙間を認識できる箇所もあるが、隣り合うダイ92の隙間を認識できない箇所もある。このように、隣り合うダイ92の隙間を認識できない箇所を含む画像の撮像データでは、ダイ集合体90でのダイ92の位置を適切に演算することができない。
【0036】
このため、撮像データに基づいて隣り合うダイ92の隙間を適切に認識することができるように、ダイ集合体90が撮像される際の照射パターンを調整することが考えられる。具体的には、例えば、ダイ集合体90の側方からダイ集合体90に向って光を照射する側射照明と、ダイ集合体90の上方からダイ集合体90に向って光を照射する落射照明との少なくとも1つの照明による照射パターンのなかから、好適な1の照明パターンを用いて、ダイ集合体90を撮像することが考えられる。しかしながら、側射照明のみによる照射パターンを用いてダイ集合体90を撮像した場合には、隣り合うダイの隙間に光が入り難いため、隣り合うダイの隙間を認識できず、ダイ集合体90でのダイ92の位置を適切に演算することができない場合がある。また、落射照明のみによる照射パターンを用いてダイ集合体90を撮像した場合には、ダイ集合体90の全面において光が反射して、ダイ集合体90の全体が白っぽくなるため、隣り合うダイの隙間を認識できず、ダイ集合体90でのダイ92の位置を適切に演算することができない場合がある。また、側射照明及び落射照明による照射パターンを用いてダイ集合体90を撮像した場合には、隣り合うダイの隙間とダイとの輝度差が小さくなり、隣り合うダイの隙間を認識できず、ダイ集合体90でのダイ92の位置を適切に演算することができない場合がある。さらに言えば、それら複数の照射パターンのなかから好適な1の照射パターンを特定するために、それら複数の照射パターンの全てにおいてダイ集合体90を撮像し、撮像データを解析しなければならないため、非常に手間がかかり、作業者の負担となる。
【0037】
また、撮像データに基づいて隣り合うダイ92の隙間を適切に認識することができるように、ダイ集合体90が撮像される際のシャッタースピード等の撮像条件を調整することが考えられる。つまり、例えば、シャッタースピードを変更してダイ集合体90を撮像し、隣り合うダイの隙間を認識可能なシャッタースピードを特定することが考えられる。しかしながら、好適な1のシャッタースピードを特定するために、異なるシャッタースピードでダイ集合体90を撮像し、撮像データを解析しなければならないため、非常に手間がかかり、作業者の負担となる。
【0038】
このようなことに鑑みて、ダイ供給装置30では、図9に示すように、ダイ集合体90の下方に配設されている突上装置130の側方に側射照明180が配設されている。そして、その突上装置130の内部に配設されているピンホルダ146の表面に蛍光シールが貼着されている。これにより、側射照明180からピンホルダ146に向って光が照射されて、ピンホルダ146の表面に貼着された蛍光シールが発光することで、ダイ集合体90が蛍光シールにより下方から照らされて、ダイ集合体90において隣り合うダイの隙間が認識し易くなる。
【0039】
詳しくは、突上装置130の側方に側射照明180が配設されており、その側射照明180は、突上装置130の内部に配設されているピンホルダ146に向って光を照射する。なお、ピンホルダ146は、突上装置130の蓋体138の内部に配設されており、その蓋体138は、樹脂などの半透明(乳白色)の素材により形成されている。このため、側射照明180から照射された光は、蓋体138の側面を透過してピンホルダ146に照射される。そして、ピンホルダ146に光が照射されることで、ピンホルダ146が発光する。また、ピンホルダ146が発光することで、その光が、ピンホルダ146を覆う半透明の蓋体138の上面を透過して、ダイ集合体90の下面を照らす。この際、ダイ集合体90の下面を照らす光が、ダイ集合体90のダイシングシート162を透過して、ダイ集合体90の隣り合うダイの隙間からダイ集合体90の上面に漏れ出す。
【0040】
このため、側射照明180によりピンホルダ146に光が照射されている状態で、ダイ集合体90の上方に配設されているカメラ128によりダイ集合体90を撮像することで、ダイ集合体90の隣り合うダイの隙間から漏れ出す光が撮像される。これにより、ダイ集合体90の撮像データに基づいて、ダイ集合体90の隣り合うダイの隙間を適切に認識することができる。具体的には、側射照明180によりピンホルダ146に光が照射されている状態で撮像されたダイ集合体90の撮像データに基づく画像では、図10に示すように、隣り合うダイ92の隙間を全て、明確に認識することができる。これにより、隣り合うダイ92の隙間の全てを明確に認識可能な画像の撮像データを用いることで、ダイ集合体90でのダイ92の位置を適切に演算することが可能となる。
【0041】
また、側射照明180によりピンホルダ146に光が照射されている状態でダイ集合体90を撮像することで、隣り合うダイ92の隙間を明確に認識できるため、照射パターン,シャッタースピード等の調整を行う必要がない。つまり、照射パターンとしては、側射照明180によりピンホルダ146に光を照射し、シャッタースピードは光を認識可能な一般的なシャッタースピードであればよい。これにより、作業者に負担をかけることなく、安定してダイ集合体90でのダイ92の位置を適切に演算することができる。
【0042】
また、上述した説明では、ダイの電極面がダイシングシート162に貼着されているダイ集合体90が、ピンホルダ46に光が照射されている状態でカメラ128により撮像されている。つまり、図7に示すように、電極面と反対側の面が上方を向いた姿勢のダイ集合体90が、ピンホルダ46に光が照射されている状態でカメラ128により撮像されている。一方で、ダイの電極面と反対側の面がダイシングシート162に貼着されているダイ集合体90が、ピンホルダ46に光が照射されている状態でカメラ128により撮像されてもよい。つまり、図6に示すように、電極面が上方を向いた姿勢のダイ集合体90が、ピンホルダ46に光が照射されている状態でカメラ128により撮像されてもよい。このように、電極面が上方を向いた姿勢のダイ集合体90が、ピンホルダ46に光が照射されている状態でカメラ128により撮像されることで、撮像データに基づいて、電極面の電極160でなく、隣り合うダイの隙間を認識し、ダイ集合体90でのダイの位置を演算することが可能となる。これにより、撮像データに基づいて電極の位置を分析するための画像処理データの作成が不要となる。なお、電極面が下方を向いた姿勢のダイ集合体90が撮像される際に、上述したように、ピンホルダ146に貼着された蛍光シールが側射照明180により照射されているが、電極面が上方を向いた姿勢のダイ集合体が撮像される際は、落射照明により照射されてもよい。ちなみに、電極面が下方を向いた姿勢のダイ集合体と、電極面が上方を向いた姿勢のダイ集合体との何れからダイ92が供給されるかは、予めジョブの部品データにより指定されている。そして、電極面が上方を向いた姿勢のダイ集合体からダイ92が供給される場合には、電極の位置を正確に認識して回路基板にダイを装着することができる。一方、電極面が下方を向いた姿勢のダイ集合体からダイ92が供給される場合には、落射照明でダイを認識困難な部材であっても、ピンホルダ146に貼着された蛍光シールの発光により、隣り合うダイの間の隙間を認識することでダイの位置を認識することができる。
【0043】
ちなみに、上記実施例において、ダイ供給装置30は、ダイ供給装置の一例である。ダイ集合体90は、ダイ集合体の一例である。ダイ92は、ダイの一例である。保持フレーム117は、保持ステージの一例である。カメラ128は、撮像装置の一例である。突上装置130は、突上装置の一例である。蓋体138は、カバーの一例である。ピンホルダ146は、蛍光体の一例である。制御装置150は、演算装置の一例である。ダイシングシート162は、ダイシングシートの一例である。側射照明180は、照射装置の一例である。
【0044】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することが可能である。具体的には、例えば、上記実施例では、ピンホルダ146の表面に蛍光シールが貼着されているが、光の照射により蛍光する素材によりピンホルダ146が形成されてもよい。また、上記実施例では、ピンホルダ146が蛍光体として機能しているが、ピンホルダ146に限定されず、突上装置130を構成する部材であれば、蓋体138等の種々の部材を蛍光体として機能させることが可能である。
【0045】
また、上記実施例では、蓋体138が半透明(乳白色)の素材により形成されているが、光を透過可能な素材であれば、種々の素材により形成されてもよい。また、光を透過しない素材により蓋体が形成される場合には、蓋体に穴を形成し、その穴を光が通過するように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0046】
30:ダイ供給装置 90:ダイ集合体 92:ダイ 117:保持フレーム(保持ステージ) 128:カメラ(撮像装置) 130:突上装置 138:蓋体(カバー) 146:ピンホルダ(蛍光体) 150:制御装置(演算装置) 162:ダイシングシート 180:側射照明(照射装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10