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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】駐車場データ作成方法及びその装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20241217BHJP
   G08G 1/0969 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G08G1/00 A
G08G1/0969
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021157160
(22)【出願日】2021-09-27
(65)【公開番号】P2023047953
(43)【公開日】2023-04-06
【審査請求日】2024-03-25
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 富雅
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 知公
(72)【発明者】
【氏名】樋口 禎史
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-159684(JP,A)
【文献】特開2004-325181(JP,A)
【文献】特開2012-073077(JP,A)
【文献】特開2009-217601(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0012660(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
G09B 23/00 - 29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プローブカーの車両走行データを保存する車両走行データ保存部と、ここに、前記車両走行データにはプローブカーの座標データ、時刻データ及びワイパーオン・オフを示すワイパーデータが含まれる、
前記車両走行データ保存部に保存されている前記車両走行データから、駐車場に駐車したプローブカーの車両走行データを抽出する車両走行データ抽出部と、
抽出された前記車両走行データに基づき、前記駐車場へ入場してから駐車状態に至るまでの入庫走行履歴及び/又は駐車終了から退場に至るまでの出庫走行履歴を生成する駐車場内走行履歴生成部と、
前記入庫走行履歴における入場時刻、駐車開始時刻及びワイパーオン・オフのタイミングに基づき、及び/又は前記出庫走行履歴における駐車終了時刻、退場時刻及びワイパーオン・オフのタイミングに基づき、前記駐車場の屋根の有無に関する屋根データを生成する屋根データ生成部と、
を備えてなる駐車場データ作成装置。
【請求項2】
気象データを収集する気象データ収集部が更に備えられ、
前記屋根データ生成部は、前記気象データ収集部が収集した前記駐車場の気象データを参照して、前記屋根データを生成する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記入庫走行履歴において、入場時刻より前の時間において前記ワイパーデータがオンであり、かつオン状態が駐車開始時刻まで継続するとき、前記屋根データ生成部は屋根データAを生成し、この屋根データAは入口から前記入庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスまで駐車場には屋根がない旨を示す、
前記入庫走行履歴において、入場時刻より前の時間において前記ワイパーデータがオンであり、かつ入場時刻において前記ワイパーデータがオフとなり、該オフの状態が駐車開始時刻まで継続するとき、前記屋根データ生成部は屋根データBを生成し、この屋根データBは駐車場の入口から前記入庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスまで続く屋根がある旨を示す、
前記入庫走行履歴において、入場時刻より前の時間において前記ワイパーデータがオンであり、かつ入場時刻から駐車開始時刻の間に前記ワイパーデータが切り換わり、最終的な前記ワイパーデータのデータ状態が駐車開始時刻まで継続するとき、前記屋根データ生成部は屋根データCを生成し、この屋根データCは駐車場の入口から前記入庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスまでの間の一部に屋根がある旨を示す、
前記出庫走行履歴において、駐車終了時刻において前記ワイパーデータがオンであり、かつオン状態が退場時刻まで継続するとき、前記屋根データ生成部は屋根データaを生成し、この屋根データaは前記出庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスから駐車場出口まで駐車場には屋根がない旨を示す、
前記出庫走行履歴において、駐車終了時刻より前の時間において前記ワイパーデータがオフであり、かつこのオフの状態が退場時刻まで継続し、かつ退場後に前記ワイパーデータがオンに切り替わるとき、前記屋根データ生成部は屋根データbを生成し、この屋根データbは前記出庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスから駐車場の出口まで続く屋根がある旨を示す、
前記出庫走行履歴において、駐車終了時刻より前の時間において前記ワイパーデータがオフであり、かつ駐車終了時刻から退場時刻の間に前記ワイパーデータが切り換わり、退場時刻において前記ワイパーデータがオンのとき、前記屋根データ生成部は屋根データcを生成し、この屋根データcは前記出庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスから駐車場の出口までの間の一部に屋根がある旨を示す、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
屋根データにおいて屋根の位置を補正する屋根位置補正部が更に備えられ、
該屋根位置補正部は、気象データが小雨を示すとき、入庫走行履歴に基づき、若しくは該入庫走行履歴に重みをつけて、屋根の位置を補正し、
気象データが大雨を示すとき、出庫走行履歴に基づき、若しくは該出庫走行履歴に重みをつけて、屋根の位置を補正する、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
屋根データにおいて屋根の位置を補正する屋根位置補正部が更に備えられ、
該屋根位置補正部は、ワイパーの動作状態がINT若しくはLOのとき、入庫走行履歴に基づき、若しくは該入庫走行履歴に重みをつけて、屋根の位置を補正し、
ワイパーの動作状態がHIのとき、出庫走行履歴に基づき、若しくは該出庫走行履歴に重みをつけて、屋根の位置データを補正する、請求項1~3のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
請求項1~請求項3の何れかに記載の屋根データ又は請求項3若しくは請求項5に記載の駐車場の屋根の位置データを備えた駐車場データを保存する駐車場データ保存部を有する地図データと該地図データを利用して案内経路を生成する案内経路生成部を備えるナビゲーション装置であって、
駐車場データ保存部の駐車場データを参照して、目的地設定部により設定された目的地の周囲の駐車場の中から、屋根のある駐車場を選択する、駐車場選択部を備えるナビゲーション装置。
【請求項7】
気象状況特定部が更に備えられ、
該気象状況特定部により目的地の気象状況が雨のとき、前記駐車場選択部は前記屋根のある駐車場を選択する、請求項6記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
車両走行データ保存部、車両走行データ抽出部、駐車場内走行履歴生成部及び屋根データ生成部を備えてなる駐車場データ生成装置を用いる駐車場データ生成方法であって、
前記車両走行データ保存部には、プローブカーの車両走行データが保存され、ここに、前記車両走行データにはプローブカーの座標データ、時刻データ及びワイパーオン・オフを示すワイパーデータが含まれる、
前記車両走行データ抽出部に、前記車両走行データ保存部に保存されている前記車両走行データから、駐車場に駐車したプローブカーの車両走行データを抽出させるステップと、
前記駐車場内走行履歴生成部に、抽出された前記車両走行データに基づき、前記駐車場へ入場してから駐車状態に至るまでの入庫走行履歴及び/又は駐車終了から退場に至るまでの出庫走行履歴を生成させるステップ、及び
前記屋根データ生成部に、前記入庫走行履歴における入場時刻、駐車開始時刻及びワイパーオン・オフのタイミングに基づき、及び/又は前記出庫走行履歴における駐車終了時刻、退場時刻及びワイパーオン・オフのタイミングに基づき、前記駐車場の屋根の有無に関する屋根データを生成させるステップを、
を含む駐車場データ作成方法。
【請求項9】
車両走行データ保存部、車両走行データ抽出部、駐車場内走行履歴生成部及び屋根データ生成部を備えてなる駐車場データ生成装置を制御するコンピュータ用のプログラムであって、
前記車両走行データ保存部には、プローブカーの車両走行データが保存され、ここに、前記車両走行データにはプローブカーの座標データ、時刻データ及びワイパーオン・オフを示すワイパーデータが含まれる、
前記車両走行データ抽出部に、前記車両走行データ保存部に保存されている前記車両走行データから、駐車場に駐車したプローブカーの車両走行データを抽出させ、
前記駐車場内走行履歴生成部に、抽出された前記車両走行データに基づき、前記駐車場へ入場してから駐車状態に至るまでの入庫走行履歴及び/又は駐車終了から退場に至るまでの出庫走行履歴を生成させ、及び
前記屋根データ生成部に、前記入庫走行履歴における入場時刻、駐車開始時刻及びワイパーオン・オフのタイミングに基づき、及び/又は前記出庫走行履歴における駐車終了時刻、退場時刻及びワイパーオン・オフのタイミングに基づき、前記駐車場の屋根の有無に関する屋根データを生成させる、コンピュータ用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は駐車場データ作成方法及びその装置の改良に関する。この駐車場データは駐車場の屋根の有無に関係する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション用の地図データにおいて、詳細な駐車場データのニーズは高い。
昨今のゲリラ豪雨等に象徴される激しい気象の変動により、駐車場を利用する際、駐車場に屋根が付設されているか否かが、その利用勝手を大きく左右する場合がある。
駐車場に屋根が付設されているか否かに関する屋根データをナビゲーション用の地図データに備えさせている例が特許文献1~3に開示されている。
特許文献1及2にはプローブカーを用いる屋根データの生成方法が開示されており、そこでは外気温や日照状態に基づき、駐車場の特定領域における屋根の有無を特定し、もって屋根データとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-151346号公報
【文献】特開2018-069429号公報
【文献】特開2019-133047号公報
【文献】特開2018-092233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プローブカーにより測定される外気温や日照状態に基づき屋根データを作成するには、プローブカーによる駐車場の利用が、昼間であってかつ十分な日照状態(日照量と日照時間)が確保されていることが前提になる。従って、屋根データの作成に適用できるプローブカーからのデータが制限される。更には、プローブカーごとに日照状態が十分であったか否かを判定する必要があるので、その判定が複雑になり、またその精度を確保することも困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記の課題を解決し、プローブカーからの車両走行データをもとに、確実かつ精度よく、駐車場に屋根が付設されているか否に関する屋根データを生成することを目的とする。その第1局面は次のように規定される。即ち、
プローブカーの車両走行データを保存する車両走行データ保存部と、ここに、前記車両走行データにはプローブカーの座標データ、時刻データ及びワイパーオン・オフを示すワイパーデータが含まれる、
前記車両走行データ保存部に保存されている前記車両走行データから、駐車場に駐車したプローブカーの車両走行データを抽出する車両走行データ抽出部と、
抽出された前記車両走行データに基づき、前記駐車場へ入場してから駐車状態に至るまでの入庫走行履歴及び/又は駐車終了から退場に至るまでの出庫走行履歴を生成する駐車場内走行履歴生成部と、
前記入庫走行履歴における入場時刻、駐車開始時刻及びワイパーオン・オフのタイミングに基づき、及び/又は前記出庫走行履歴における駐車終了時刻、退場時刻及びワイパーオン・オフのタイミングに基づき、前記駐車場の屋根の有無に関する屋根データを生成する屋根データ生成部と、
を備えてなる駐車場データ作成装置。
【0006】
このように規定される第1局面の駐車場データ作成装置によれば、ワイパーオン・オフのタイミングに基づき、駐車場に屋根が付設されているか否かを判定するので、日照状態に何ら影響されない。よって、プローブカーからのデータの制限が緩和される。換言すれば、より多くのプローブカーからのデータに基づき屋根データが作成され、もって、迅速な屋根データの作成が可能となる。ワイパーがオンであることは確実に降雨状態であることを意味するので、作成された屋根データの信頼性も向上する。
【0007】
この発明の第2局目の駐車場データ作成装置は次のように規定される。
第1局面に規定の駐車場データ作成装置において、気象データを収集する気象データ収集部が更に備えられ、
前記屋根データ生成部は、前記気象データ収集部が収集した前記駐車場の気象データを参照して、前記屋根データを生成する。
このように規定される第2局面に規定の装置によれば、気象データを参照するので、駐車場が客観的に降雨状態であるときの車両走行データに基づき屋根データを生成することができる。よって、当該屋根データの信頼性が向上する。
【0008】
入庫走行履歴に基づき屋根データを生成する一つの態様として、次のものがある(第3局面)。
第1又は第2局面に規定の駐車場データ作成装置において、
前記入庫走行履歴において、入場時刻より前の時間において前記ワイパーデータがオンであり、かつオン状態が駐車開始時刻まで継続するとき、前記屋根データ生成部は屋根データAを生成し、この屋根データAは入口から前記入庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスまで駐車場には屋根がない旨を示す、
前記入庫走行履歴において、入場時刻より前の時間において前記ワイパーデータがオンであり、かつ入場時刻において前記ワイパーデータがオフとなり、該オフの状態が駐車開始時刻まで継続するとき、前記屋根データ生成部は屋根データBを生成し、この屋根データBは駐車場の入口から前記入庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスまで続く屋根がある旨を示す、
前記入庫走行履歴において、入場時刻より前の時間において前記ワイパーデータがオンであり、かつ入場時刻から駐車開始時刻の間に前記ワイパーデータが切り換わり、最終的な前記ワイパーデータのデータ状態が駐車開始時刻まで継続するとき、前記屋根データ生成部は屋根データCを生成し、この屋根データCは駐車場の入口から前記入庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスまでの間の一部に屋根がある旨を示す、
前記出庫走行履歴において、駐車終了時刻において前記ワイパーデータがオンであり、かつオン状態が退場時刻まで継続するとき、前記屋根データ生成部は屋根データaを生成し、この屋根データaは前記出庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスから駐車場出口まで駐車場には屋根がない旨を示す、
前記出庫走行履歴において、駐車終了時刻より前の時間において前記ワイパーデータがオフであり、かつこのオフの状態が退場時刻まで継続し、かつ退場後に前記ワイパーデータがオンに切り替わるとき、前記屋根データ生成部は屋根データbを生成し、この屋根データbは前記出庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスから駐車場の出口まで続く屋根がある旨を示す、
前記出庫走行履歴において、駐車終了時刻より前の時間において前記ワイパーデータがオフであり、かつ駐車終了時刻から退場時刻の間に前記ワイパーデータが切り換わり、退場時刻において前記ワイパーデータがオンのとき、前記屋根データ生成部は屋根データcを生成し、この屋根データcは前記出庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスから駐車場の出口までの間の一部に屋根がある旨を示す。
【0009】
上で説明したように、入庫走行履歴に基づく第1屋根データの生成の態様と、出庫走行履歴に基づく第2屋根データの生成の態様との間に相違がある。
そのため、同じ駐車場に対しそれぞれの態様から生成された屋根データにも相違が生じることがある。例えば、入庫走行履歴に基づく第1屋根データでは、駐車マス1~10に屋根が付設されていると特定されているのに対し、出庫走行履歴に基づく第2屋根データでは、駐車マス2~12に屋根が付設されていると判定されることがある。その場合、例えば、両者のアンドをとって、駐車マス2~10に屋根が付設されていると特定することができる。
【0010】
昨今の車両では、雨滴感知式ワイパーを備えるものがある。かかるワイパーでは、雨がやんでも(即ち、屋根の下に来ても)、フロントガラスに雨滴がある限りオン状態が維持される。
従って、気象状態が大雨の場合、駐車場に入庫後、暫くの期間は入庫走行履歴のワイパーデータのオン・オフが屋根の有無を正確に反映していない場合がある。よって、気象状態が大雨の場合は、入庫走行履歴に基づき生成された第1屋根データの信頼性が低い。他方、大雨の場合、露天に駐車した車両であれば、ドライバは駐車終了後ただちにワイパーをオンにするで、出庫走行履歴に基づき生成された第2屋根データの信頼性が低い
【0011】
気象状態が小雨の場合、露天に駐車している車両であっても、走行に支障がない限り、また、駐車場出口まで屋根のある個所が視認できたとき、駐車終了後(駐車マスから出発後)、暫くはワイパーをオンとしない場合がある。よって、気象状態が小雨の場合は、出庫走行履歴に基づき生成された第2屋根データの信頼性が低い。他方、雨滴感知式ワイパーであっても、小雨の場合はフロントガラスの雨滴が素早く消失するので、入庫後に屋根があればワイパーデータは素早くオフとなる。よって、気象状態が小雨の場合は、入庫走行履歴に基づき生成された第1屋根データの信頼性が高い。
【0012】
以上の知見より、この発明の第4局面は次のように規定される。
第2局面の駐車場データ作成装置において、屋根データにおいて屋根の位置を補正する屋根位置補正部が更に備えられ、
該屋根位置補正部は、気象データが小雨を示すとき、入庫走行履歴に基づき、若しくは該入庫走行履歴に重みをつけて、屋根の位置を補正し、
気象データが大雨を示すとき、出庫走行履歴に基づき、若しくは該出庫走行履歴に重みをつけて、屋根の位置を補正する。
【0013】
第4局面において大雨か小雨かの区別は任意であるが、例えば1時間雨量が3mm未満の強さの雨を小雨とし、3mm以上の場合を大雨とすることができる。
かかる気象データは外部(例えば気象庁からのデータ)から取得するものであるので、対象となる駐車場のピンポイントにおける正確な雨量を反映していない場合もある。他方、ワイパーの動作状態に基づき、大雨か小雨かを判断することができる。例えば、ワイパーの動作状態がINT(間欠動作)若しくはLO(弱)のときを小雨と判断し、ワイパーの動作状態がHI(強)のときを大雨と判断することができる。
【0014】
よって、第4局面は次のように規定することもできる(第5局面)
第1~3の何れかの局面に記載の駐車場データ作成装置であって、屋根データにおいて屋根の位置を補正する屋根位置補正部が更に備えられ、
該屋根位置補正部は、ワイパーの動作状態がINT若しくはLOのとき、入庫走行履歴に基づき、若しくは該入庫走行履歴に重みをつけて、屋根の位置を補正し、
ワイパーの動作状態がHIのとき、出庫走行履歴に基づき、若しくは該出庫走行履歴に重みをつけて、屋根の位置データを補正する。
【0015】
第1~第5局面の駐車場データ作成装置により作成される屋根データは、ナビゲーション装置用の地図データに組み込まれることが好ましい。かかる屋根データを組み込んだ地図データを利用するナビゲーション装置をこの発明の第6局面として規定する。
第1~第3の何れかに記載の屋根データ又は第4若しくは第5で規定する駐車場の屋根の位置データを備えた駐車場データを保存する駐車場データ保存部を有する地図データと該地図データを利用して案内経路を生成する案内経路生成部を備えるナビゲーション装置であって、
駐車場データ保存部の駐車場データを参照して、目的地設定部により設定された目的地の周囲の駐車場の中から、屋根のある駐車場を選択する、駐車場選択部を備えるナビゲーション装置。
【0016】
かかるナビゲーション装置には気象状態特定部が更に備えられることが好ましく、この気象状態特定部により目的地の気象状態が雨と特定されたとき、駐車場選択部が屋根のある駐車場を選択するようにする(第7局面)。
この気象状態特定部は、目的地の到着予想時間における気象データ(予想値)を利用することが好ましい。
【0017】
第8局面では、この発明の第1局面に規定の駐車場データ生成装置の使用を規定する。即ち、
車両走行データ保存部、車両走行データ抽出部、駐車場内走行履歴生成部及び屋根データ生成部を備えてなる駐車場データ生成装置を用いる駐車場データ生成方法であって、
前記車両走行データ保存部には、プローブカーの車両走行データが保存され、ここに、前記車両走行データにはプローブカーの座標データ、時刻データ及びワイパーオン・オフを示すワイパーデータが含まれる、
前記車両走行データ抽出部に、前記車両走行データ保存部に保存されている前記車両走行データから、駐車場に駐車したプローブカーの車両走行データを抽出させるステップと、
前記駐車場内走行履歴生成部に、抽出された前記車両走行データに基づき、前記駐車場へ入場してから駐車状態に至るまでの入庫走行履歴及び/又は駐車終了から退場に至るまでの出庫走行履歴を生成させるステップ、及び
前記屋根データ生成部に、前記入庫走行履歴における入場時刻、駐車開始時刻及びワイパーオン・オフのタイミングに基づき、及び/又は前記出庫走行履歴における駐車終了時刻、退場時刻及びワイパーオン・オフのタイミングに基づき、前記駐車場の屋根の有無に関する屋根データを生成させるステップを、
を含む駐車場データ作成方法。
【0018】
この発明の第9局面では、第1局面に規定の駐車場データ生成装置を制御するコンピュータ用のプログラムを規定する。即ち、
車両走行データ保存部、車両走行データ抽出部、駐車場内走行履歴生成部及び屋根データ生成部を備えてなる駐車場データ生成装置を制御するコンピュータ用のプログラムであって、
前記車両走行データ保存部には、プローブカーの車両走行データが保存され、ここに、前記車両走行データにはプローブカーの座標データ、時刻データ及びワイパーオン・オフを示すワイパーデータが含まれる、
前記車両走行データ抽出部に、前記車両走行データ保存部に保存されている前記車両走行データから、駐車場に駐車したプローブカーの車両走行データを抽出させ、
前記駐車場内走行履歴生成部に、抽出された前記車両走行データに基づき、前記駐車場へ入場してから駐車状態に至るまでの入庫走行履歴及び/又は駐車終了から退場に至るまでの出庫走行履歴を生成させ、及び
前記屋根データ生成部に、前記入庫走行履歴における入場時刻、駐車開始時刻及びワイパーオン・オフのタイミングに基づき、及び/又は前記出庫走行履歴における駐車終了時刻、退場時刻及びワイパーオン・オフのタイミングに基づき、前記駐車場の屋根の有無に関する屋根データを生成させる、コンピュータ用のプログラム。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1はこの発明の実施形態の駐車場データ生成装置の構成を示すブロック図である。
図2図2はこの発明の他の実施形態の駐車場データ生成装置の構成を示すブロック図である。
図3図3はこの発明の他の実施形態の駐車場データ生成装置の構成を示すブロック図である。
図4図4図3の駐車場データ生成装置の動作を示すフローチャートである。
図5図5図4のフローチャートのステップ7(第1屋根データの作成)の詳細を示す。
図6図6図5のフローチャートのステップ9(第2屋根データの作成)の詳細を示す。
図7図7は駐車場の屋根の付設態様を示す模式図である。
図8図8は駐車場データ生成装置に適用するコンピュータ装置の構成を示すブロック図である。
図9図9は駐車場データを備えたナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照しながら、説明する。
図1は、この発明の一の実施形態の駐車場データ生成装置1の構成を示す。
この駐車場データ生成装置1は車両走行データ保存部3,車両走行データ抽出部5、駐車場内走行履歴生成部6,屋根データ生成部7及び屋根データ調整部8を備える。
【0021】
車両走行データ保存部3には、プローブカーの車両走行データが保存される。
ここに、車両走行データとは、プローブカーから汎用的に得られるプローブデータ(位置データ(x、y)、時間データ(t))の他、プローブカーの車両インナーデータも該当する。ここに、車両インナーデータとは、車両が備えるセンサ、コントロールユニットその他から出力される当該車両の各種状態に関するデータであって、当該車両に搭載されたネットワーク上でCAN(Controller Area Network)をはじめとした各種通信プロトコルにより伝送可能なデータをいう。この車両インナーデータとして、この発明では、ワイパーのオン・オフを規定するデータ(ワイパーデータ)を用いる。
【0022】
車両走行データ保存部3には、プローブデータ保存領域31とワイパーデータ保存領域33が備えられる。プローブデータ保存領域31にはプローブカーの走行履歴である位置データ(x、y)と時間データ(t)とが少なくとも保存される。
ワイパーデータ保存領域33にはプローブカーによるワイパー使用(オン、オフ)の履歴がその時刻(t)ととともに保存される。ワイパー動作の強さ(INT,LO,HI)に関するデータも保存することができる。
【0023】
車両走行データ抽出部5は、車両走行データ保存部3に保存されている車両走行データの中から、プローブデータ保存領域31に保存されている座標データ(x、y)を参照して、駐車場に駐車したプローブカーを特定し、そのプローブカーにつき、駐車場への入場前から退場後までの車両走行データを抽出する。
【0024】
このように抽出された車両走行データを受けて駐車場内走行履歴生成部6は駐車場内での当該プローブカーの走行履歴を生成する。
具体的には、駐車場内走行履歴生成部6の入庫走行履歴生成部61が、道路より駐車場へ入場してから駐車に至るまでの車両走行データに基づき、その走行履歴(入庫走行履歴)を生成する。この入庫走行履歴には、駐車場に入庫してから駐車マスでの駐車を完了するまでの、プローブカーのプローブデータ(位置データ(x、y)と時間データ(t)及びワイパーデータ(オン、オフ、及びその時刻t)が含まれる。このプローブデータより駐車場への入場時刻と駐車マスでの駐車開始時刻が特定される。また、ワイパーデータより、ワイパーのオン・オフのタイミングが特定される。
【0025】
出庫走行履歴生成部63は、駐車終了後(駐車マスを出発後)、駐車場から退場するまでの車両走行データに基づき、その走行履歴(出庫走行履歴)を生成する。この出庫走行履歴には、駐車終了後から退場までの、プローブカーのプローブデータ(位置データ(x、y)と時間データ(t)及びワイパーデータ(オン、オフ、及びその時刻t)が含まれる。このプローブデータより駐車終了時刻と退場時刻が特定される。また、ワイパーデータより、ワイパーのオン・オフのタイミングが特定される。
【0026】
入庫走行履歴は第1屋根データ生成部71に送られる。第1屋根データ生成部71は次のようにして駐車場の屋根の有無に関する第1屋根データを生成する。
入庫走行履歴において、入場時刻より前の時間においてワイパーデータがオンであり、かつオン状態が駐車開始時刻まで継続するとき、屋根データ生成部は屋根データAを生成し、この屋根データAは入口から入庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスまで駐車場には屋根がない旨を示す。
【0027】
入庫走行履歴において、入場時刻より前の時間においてワイパーデータがオンであり、かつ入場時刻においてワイパーデータがオフとなり、該オフの状態が駐車開始時刻まで継続するとき、屋根データ生成部は屋根データBを生成し、この屋根データBは駐車場の入口から入庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスまで続く屋根がある旨を示す。
入庫走行履歴において、入場時刻より前の時間においてワイパーデータがオンであり、かつ入場時刻から駐車開始時刻の間にワイパーデータが切り換わり、最終的なワイパーデータのデータ状態が駐車開始時刻まで継続するとき、屋根データ生成部は屋根データCを生成し、この屋根データCは駐車場の入口から入庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスまでの間の一部に屋根がある旨を示す。
【0028】
出庫走行履歴は第2屋根データ生成部73に送られる。第3屋根データ生成部73は次のようにして駐車場の屋根の有無関する第1屋根データを生成する。
出庫走行履歴において、駐車終了時刻においてワイパーデータがオンであり、かつオン状態が退場時刻まで継続するとき、屋根データ生成部は屋根データaを生成し、この屋根データaは出庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスから駐車場出口まで駐車場には屋根がない旨を示す。
【0029】
出庫走行履歴において、駐車終了時刻より前の時間においてワイパーデータがオフであり、かつこのオフの状態が退場時刻まで継続し、かつ退場後にワイパーデータがオンに切り替わるとき、屋根データ生成部は屋根データbを生成し、この屋根データbは出庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスから駐車場の出口まで続く屋根がある旨を示す。
出庫走行履歴において、駐車終了時刻より前の時間においてワイパーデータがオフであり、かつ駐車終了時刻から退場時刻の間にワイパーデータが切り換わり、退場時刻においてワイパーデータがオンのとき、屋根データ生成部は屋根データcを生成し、この屋根データcは出庫走行履歴のプローブカーが駐車した駐車マスから駐車場の出口までの間の一部に屋根がある旨を示す。
【0030】
このように生成された各屋根データは、屋根データ調整部8に集約されて、そこで調整される。
1つの駐車場においてもその駐車マスの位置によって、屋根が付設されていたり付設されていなかったりする。そこで、屋根データ調整部8は、駐車マス毎に得られる屋根データを調整し、かつ総合して、駐車場に対する屋根の全体像を形成する。
【0031】
図2には、他の実施形態の駐車場データ生成装置1Aを示す。図2において、図1と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この例では、図1に示した駐車場データ生成装置に、気象データ収集部20と屋根データ補正部9が更に備えられる。
【0032】
気象データ収集部20は、気象庁などが提供する外部の気象データベース10にインターネット等を介してアクセスし、駐車場に必要な気象データを収集する。即ち、プローブカーの駐車が確認できたら、当該プローブカーが駐車した駐車場の座標と駐車場の利用時間(入場から退場まで)を確認し、当該座標での若しくは当該座標を含む領域における、当該利用時間の、降雨量に関する気象データを気象データベース10から収集する。
この気象データは屋根データ生成部7へ送られ、屋根データ生成部7では、当該気象データが降雨を示すものであるときのプローブデータのみを参照して、屋根データを生成する。
【0033】
気象データはまた屋根データ補正部9にも送られる。屋根データ補正部9はその気象状態(降雨量)に応じて、第1屋根データか第2屋根データの何れか一方を採用する。
気象状態が大雨のときは、入庫後そこの屋根があってもしばらくの間はワイパーを止めないことがあるので、入庫走行履歴に基づく第1屋根データは屋根の有無を正確に反映していないおそれがある。そこで、気象状態が大雨のときは、この第1屋根データの採用を中止し、第2屋根データのみを採用することできる。
【0034】
他方、気象状態が小雨のときは、駐車終了後(駐車マスから出発後)においてもしばらくの間はワイパーを動作させないことがあるので、出庫走行履歴に基づく第2屋根データが屋根の有無を正確に反映していないおそれがある。そこで、気象状態が小雨のときは、この第2屋根データの採用を中止し、第1屋根データから生成された屋根データのみを採用することできる。
【0035】
その他、気象状態に応じて第1屋根データや第2屋根データに重みを付け、それらを統合することもできる。重みのつけ方として、採用するデータ数に軽重を付けることが挙げられる。例えば、気象状態が大雨のときは、第1屋根データに比べて第2屋根データのデータ数を多くして、屋根の有無を判定し、気象状態が小雨のときは第2屋根データに比べて第1屋根データの数を多くして、屋根の有無を判定することができる。
【0036】
この発明の他の実施形態の駐車場データ生成装置1Bを図3に示す。図3において図1と同一の要素には同一の符号を付してその説明を省略する。
この例では、屋根データ補正部9Bが備えられる。
図2の例では、気象データ収集部20の収集した気象状態(大雨、小雨)に基づいて、屋根データを補正して、より正確なものとしている。この例では、大雨の時にワイパーはHIの状態にあり、小雨の時にワイパーはINT若しくはLOの状態にあることに着目した。
即ち、駐車場への入場時又は駐車終了時にウインカーがHIのときは大雨と認定し、同じく駐車場への入場時又は駐車終了時にウインカーがINT若しくはLOのときは小雨と認定して、図2の例と同様に制御する。
【0037】
図3の駐車場データ生成装置1Bの動作について図4~6のフローチャートに従い説明する。
ステップ1では、車両走行データ抽出部5が、指定された駐車場につき、駐車履歴のあるプローブカーの車両走行データを車両走行データ保存部3から抽出する。ここに、駐車場の指定はオペレータが行ってもよいし、地図データに駐車場として登録されているものについて、自動的にコンピュータに指定させてもよい。抽出される車両走行データには、駐車場への入場から退場までのプローブデータとその間のワイパーデータ(ワイパーのオン、オフ、時刻及びその強さ(INT,LO,HI)が含まれる。
【0038】
ステップ3では、抽出された車両走行データから入庫走行履歴生成部61が入庫走行履歴生成を生成する。この入庫走行履歴はプローブカーが道路より駐車場へ入場してから駐車状態に至るまでの車両走行データ(プローブデータ、ワイパーデータ)である。
ステップ5では、抽出された車両走行データから出庫走行履歴生成部63が出庫走行履歴生成を生成する。この出庫走行履歴はプローブカーが駐車終了後駐車場から退場するまでの車両走行データ(プローブデータ、ワイパーデータ)である。
【0039】
ステップ7では、第1屋根データ生成部71が入庫走行履歴より第1屋根データを生成する。
ステップ9では、第2屋根データ生成部73が出庫走行履歴により第2屋根データを生成する。
ステップ7及びステップ9の詳細を図5,6にそれぞれ示す。
【0040】
図5のステップ701において、入場時にワイパーがオンである入庫走行履歴のみを抽出する。
ステップ703では、ワーパーの動作状態を確認し、その動作状態が小雨を示すINT若しくはLOのとき、Lフラグを生成して入庫走行履歴に付与する(ステップ705)。この入庫走行履歴から生成された第1屋根データにはこのLフラグが付されるものとする。
【0041】
ステップ707では、入庫走行履歴をスキャニングして、駐車場に入場後、駐車までにワイパーがオフにされたか否かをチェックする。入場後、所望の駐車マスに車両を納めてそこに駐車するまでにワイパーがオフにされていないとき(ステップ707:N)、ステップ721において駐車場入口から駐車位置までには屋根がない旨の屋根データAが生成される。
ここで、図7Aに示すとおり、駐車したすべてのプローブカーが同じ挙動を示したとき、屋根データ調整部8において屋根データが調整されて(ステップ11)、完全屋根無しである旨の屋根データAが駐車場に付される。
【0042】
他方、駐車までにワイパーがオフにされたとき、オフの位置を取得する(ステップ709)。駐車までワイパーがオフの状態が維持されれば、屋根データBを生成する。ここに、駐車場の全体に屋根が付設されている場合、ステップ709の位置は入口となり(ここでワイパーはオフとなる)、その後駐車した位置まで屋根が付設されたため、ワイパーはオフの状態が維持される。
図7Bに示すとおり、駐車したすべてのプローブカーが同じ挙動を示したとき、屋根データ調整部8において屋根データ統合されて(ステップ11)、完全屋根有りである旨の屋根データBが駐車場に付される。
【0043】
ステップ711がNOの場合は図7Cのプローブカーc1、c2の挙動である。図7Cの車線領域に屋根が付設されているとすると、屋根から出たプローブカーc1,c2はワイパーを再度オンにする(ステップ711;N)。ステップS713ではその位置を取得する。図7Cの例では屋根を表す斜線領域の左端が該当する。その後駐車までにワイパーがオンであれば(ステップ715:Y)、ステップ725に進んで、屋根データCを作成する。この屋根データCにより、駐車場へ部分的に付設された屋根の端縁の位置が特定される。
【0044】
なお、駐車場の屋根が間欠的に付設された場合はステップ715からステップ716へと進み、更にステップ711にもどることとなる。
また、図7Cのプローブカーc3から得られた入庫走行履歴の処理結果はステップ723のものとなるが、図7Cで指定された駐車場の各駐車マスに駐車したプローブカーから得られた入庫走行履歴の処理結果が屋根データ調整部8において調整されて、図7Cの駐車場の屋根の位置が特定される。
【0045】
図6のステップ901において、駐車場からの退場時にワイパーがオンである出庫走行履歴のみを抽出する。
ステップ902では、駐車終了して出発する際(駐車マスから出発するとき)にワイパーがオンであったときにはステップ903へすすみ、ワイパーがオフのときにはステップ904へ進む。
ステップ904においてワイパーオフの状態が退場時まで維持されれば(ステップ904:Y)、ステップ923で屋根データbが生成される。この屋根データbは、プローブカーが駐車していた駐車マスから退場口まで屋根が付設されていることを指す。1つ駐車場において全てのプローブカーから得られた退場走行履歴の処理結果がステップ923で処理されるものとなれば、その駐車場は全て屋根で覆われているものとなる。
ステップ904においてワイパーオフの状態が退場時まで維持されないとき(ステップ904:N)、ステップ913へ進む。
【0046】
ステップ903では、ワイパーの動作状態を確認し、その動作状態が大雨を示すHIのとき、Hフラグを生成して出庫走行履歴に付与する(ステップ905)。この出庫走行履歴から生成された第2屋根データにはこのHフラグが付されるものとする。
【0047】
ステップ907では、出庫走行履歴をスキャニングして、駐車終了後、駐車場から退場するまでにワイパーがオンにされたか否かをチェックする。駐車終了して駐車マスから出発し駐車場から退場するまでにワイパーのオン状態が維持されたとき(ステップ907:Y)、ステップ921において当該駐車マスから退場口までには屋根がない旨の屋根データaが生成される。
【0048】
他方、退場するまでにワイパーがオフにされたとき(ステップ907:N)、オフされた位置を取得する(ステップ909)。その後、退場までワイパーオフの状態が維持されれば(ステップ911:Y)、ステップ924に進んで屋根データcを生成する。
この屋根データcは、ワイパーオフの位置から退場口まで屋根が付設されていることを示す。
【0049】
一旦オフとされたワイパーが、ステップ911においてオンにされたとき、ステップS913でその位置を取得する。その後、退場するまでワイパーがオンの状態を維持すれば(ステップ915:Y)、ステップ925に進んで、屋根データc‘を作成する。この屋根データc’により、駐車場へ部分的に付設された屋根の端縁の位置が特定される。
【0050】
なお、駐車場の屋根が間欠的に付設された場合はステップ915からステップ916へと進み、更にステップ911にもどることとなる。
駐車場において各駐車マスに駐車したプローブカーからの出庫走行履歴は屋根データ調整部8において調整され、統合される。
この屋根データ調整部8は、図6の処理を経て得られた第2屋根データを整理統合するのみではなく、図5の処理を経て得られた第1屋根データも第2屋根データと共に整理統合する。
【0051】
例えば、入庫走行履歴を処理して得られた第1屋根データと出庫走行履歴を処理して得られた第2屋根データとでは、駐車場における屋根の位置に違いが生じる場合がある。
そこで、この装置1Bでは、屋根データ補正部9Bを設け、屋根データを補正する。この屋根データ補正部9Bは、第1屋根データについてはLフラグのついたデータのみを採用し、第2屋根データについてHフラグのついたデータのみを採用する。これにより、信頼性の高い屋根データが得られることとなる。
【0052】
図8に屋根データ生成装置1Bのハード構成を示す。
演算部300はCPU301、ROM303及びRAM305を備え、システム全体の制御をつかさどる。それとともに、駐車場内走行履歴生成部6、屋根データ生成部7、屋根データ調整部8及び屋根データ補正部9Bとして機能する。ROM303は、演算部300を制御する制御プログラム等が格納された不揮発性メモリである。RAM305は、キーボード等の入力装置330を介して利用者により予め設定された各種設定値を読み出し可能に格納したり、CPU301に対してワーキングエリアを提供したりする。演算部300を制御する制御プログラムはROM303に限らずRAM305や第1、第2記憶装置340及び350に格納されていてもよい。出力装置320を介して各種のデータが出力される。入力装置330を介して車両走行データを取得する条件などが入力される。
【0053】
第1記憶装置340は車両走行データ保存部3として機能する。第1記憶装置340は外部のサーバを用いることもできる。
第2記憶装置350は車両走行データ抽出部5が抽出した車両走行データや、駐車場内走行履歴生成部6が生成した駐車場内走行履歴や、屋根データ生成部7が生成した各種のデータ等のバッファメモリとして機能させることもできる。
第1、第2記憶装置はハードメモリやフラッシュメモリなど、サーバシステムのメモリ装置の一部の領域を利用することが好ましい。
【0054】
一時的に保存されるデータ用保存部としての、いわゆるバッファメモリには、演算部のRAMの一部領域を利用できる。
コンピュータを構成する各装置はシステムバス370で連結されている。
【0055】
図9はこの発明の実施形態のナビゲーション装置200を示す。このナビゲーション装置200はナビゲーション用データ保存部260とナビゲーション実行部270とを備える。
既述のようにして生成された屋根データはナビゲーション装置200においてそのナビゲーション用データ保存部260の駐車場データ保存部265の屋根データ保存領域650に保存される。
【0056】
ナビゲーション用データ保存部260の地図データ保存部261には全国の道路地図がノード及びリンクの形で保存されている。交通データ保存部263には道路の属性(制限速度、一方通行その他)が保存されている。
ナビゲーション実行部270の経路演算部271は、ナビゲーション用データ保存部260に保存されているデータを用いて目的地までの経路を演算する。当該演算において目的地は入力部277を介して指定され、その演算された経路は表示部278に表示される。GPSを備えた現在位置特定部272により走行している車両の現在位置が表示部278に、経路とともに、表示される。
【0057】
ナビゲーション実行部270の駐車場表示部273は、駐車場データ保存部265の駐車場データを参照して目的地周辺の駐車場を表示するともに、屋根データ保存領域650に保存されている屋根データを参照して、各駐車場の屋根の有無を併せて表示する。
この駐車場表示部273はまた、現在位置特定部272が特定した車両の現在位置近辺の駐車場とその屋根の有無を表示することもできる。
気象状態特定部275は、インターネット等を介して外部の気象データベースを参照して目的地若しくは現在位置の気象状態を特定し、その気象状態が降雨状態のとき、駐車場表示部273に屋根の有無を表示させる。
【0058】
駐車場選択部274は目的地近郊の駐車場を所定のルールに従って選択する。一般的には、目的地に最も近い位置にある駐車場を優先的に選択する。この例の駐車場選択部274は屋根のある駐車場を優先的に選択して、ナビゲーション装置の表示部に表示させる。
駐車場選択部274による屋根付き駐車場の優先的な選択は、気象状態特定部275が目的地周辺の気象状態が降雨であると特定したときに、実行されるようにすることが好ましい。
【0059】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1、1A、1B 駐車場データ生成装置
3 車両走行データ保存部
5 車両走行データ抽出部
6 駐車場内走行履歴生成部
7 屋根データ生成部
20 気象データ収集部
200 ナビゲーション装置
265 駐車場データ保存部
274 駐車場選択部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9