(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】隔離セグメントを備える歯科矯正アライナー
(51)【国際特許分類】
A61C 7/08 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A61C7/08
(21)【出願番号】P 2021173023
(22)【出願日】2021-10-22
(62)【分割の表示】P 2020054126の分割
【原出願日】2015-11-11
【審査請求日】2021-11-18
(32)【優先日】2014-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501214845
【氏名又は名称】アライン テクノロジー, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Align Technology,Inc.
【住所又は居所原語表記】2820 Orchard Parkway San Jose CA 95134 USA
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】ウェバー,ペーター
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジェニファー シー.
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤン
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0198912(US,A1)
【文献】特表2014-521481(JP,A)
【文献】特表2004-515261(JP,A)
【文献】特表2006-511243(JP,A)
【文献】特表2011-514185(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0032030(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0051038(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 7/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り外し可能な歯列矯正用アライナーの組であって、
患者の上側歯科アーチ又は下側歯科アーチである前記患者の第1の歯科アーチに装着するための第1の歯列矯正用アライナーであって、
前記患者の前記第1の歯科アーチの第1の後ろ側部分上に適合する第1の形状を有する第1のプラスチックセグメント
であって、前記第1の歯科アーチの前記第1の後ろ側部分における第1の歯のセットに第1の力を印加するように構成された前記第1のプラスチックセグメントと、
前記患者の前記第1の歯科アーチの第2の後ろ側部分上に適合する第2の形状を有する第2のプラスチックセグメントと、
前記第1のプラスチックセグメントと前記第2のプラスチックセグメントとの間に配置され、
前記患者の1つ以上の追加的な歯に臨床的に重要な力を及ぼすことなく、前記第1の歯科アーチの前側部分に沿っている前
記1つ以上の
追加的な歯の舌側に沿う形状を有するコネクタであって、前記コネクタが、前記第1のプラスチックセグメントと前記第2のプラスチックセグメントとの間のギャップにおけ
る前記1つ以上の
追加的な歯をまたが
り、前記ギャップは前記臨床的に重要な力を受けない前記1つ以上の追加的な歯に対応している前記コネクタと、を備える前記第1の歯列矯正用アライナーであり、
前記第1のプラスチックセグメントは第1の保持形状を備え、前記第2のプラスチックセグメントは第2の保持形状を備える、前記第1の歯列矯正用アライナーと、
前記第1の歯科アーチとは反対側の歯科アーチである前記患者の第2の歯科アーチに装着するための第2の歯列矯正用アライナーであって、第1の保持形状及び第2の保持形状を備える前記第2の歯列矯正用アライナーと、
を備え、
第1の弾性バンドは前記第1の歯列矯正用アライナー及び前記第2の歯列矯正用アライナーを結合するように構成されており、前記第1の弾性バンドの第1の端部は、前記第1の歯列矯正用アライナーにおける前記第1のプラスチックセグメントの前記第1の保持形状に結合されており、前記第1の弾性バンドの第2の端部は、前記第2の歯列矯正用アライナーにおける前記第1の保持形状に結合されており、
第2の弾性バンドは前記第1の歯列矯正用アライナー及び前記第2の歯列矯正用アライナーを結合するように構成されており、前記第2の弾性バンドの第1の端部は、前記第1の歯列矯正用アライナーにおける前記第2のプラスチックセグメントの前記第2の保持形状に結合されており、前記第2の弾性バンドの第2の端部は、前記第2の歯列矯正用アライナーにおける前記第2の保持形状に結合されている、
取り外し可能な歯列矯正用アライナーの組。
【請求項2】
前記第1のプラスチックセグメント、前記第2のプラスチックセグメント、及び前記コネクタは、単一連続プラスチックボディの部分である、請求項1に記載の取り外し可能な歯列矯正用アライナーの組。
【請求項3】
前記コネクタは、エラストマー、半硬質熱硬化性樹脂、又は半硬質熱可塑性樹脂のうちの少なくとも1つを含
み、前記コネクタは、加えられる力に応答して屈曲、移動、形状変化の少なくとも1つを行う可塑性材料含む、請求項1に記載の取り外し可能な歯列矯正用アライナーの組。
【請求項4】
前記第2のプラスチックセグメントは、前記第1の歯科アーチの前記第2の後ろ側部分における第2の歯のセットに第2の力を印加するように構成され、前記コネクタは、前記第1の歯のセットに印加された前記第1の力を前記第2の歯のセットに印加された前記第2の力から隔離するように構成されている、請求項1に記載の取り外し可能な歯列矯正用アライナーの組。
【請求項5】
患者の第1の歯科アーチの第1の後ろ側部分上に適合する第1の形状を有する第1のプラスチックセグメント
であって、前記第1の歯科アーチの前記第1の後ろ側部分における第1の歯のセットに第1の力を印加するように構成された前記第1のプラスチックセグメントと、前記患者の前記第1の歯科アーチの第2の後ろ側部分上に適合する第2の形状を有する第2のプラスチックセグメントとを備える、第1の歯列矯正用アライナーであって、前記患者の前記第1の歯科アーチに装着するための前記第1の歯列矯正用アライナーを形成するステップと、
前記第1のプラスチックセグメントと前記第2のプラスチックセグメントとの間に配置され、
前記患者の1つ以上の追加的な歯に臨床的に重要な力を及ぼすことなく、前記第1の歯科アーチの前側部分に沿ってい
る前記1つ以上の
追加的な歯の舌側に沿う形状を有するコネクタを形成するために、前記第1の歯列矯正用アライナーにおける、前記第1の歯科アーチの前記前側部分の頬側領域を覆う部分を切断するステップであって、前記コネクタは、前記第1のプラスチックセグメントと前記第2のプラスチックセグメントとの間のギャップにおける前記1つ以上の
追加的な歯をまたが
り、前記ギャップは前記臨床的に重要な力を受けない前記1つ以上の追加的な歯に対応しているステップと、
前記第1の歯科アーチに対向する前記患者の第2の歯科アーチに装着するための第2の歯列矯正用アライナー
を形成するステップと、を含み、前記第2の歯列矯正用アライナーは(1)第1の保持形状及び第2の保持形状、又は、(2)第1の不連続部及び第2の不連続部を備え、
(a)第1の弾性バンドは前記第1の歯列矯正用アライナー及び前記第2の歯列矯正用アライナーを結合するように構成されており、前記第1の弾性バンドの第1の端部は、前記第1の歯列矯正用アライナーにおける前記第1のプラスチックセグメントの前記第1の保持形状に結合されており、前記第1の弾性バンドの第2の端部は、前記第2の歯列矯正用アライナーにおける前記第1の保持形状に結合されており、第2の弾性バンドは前記第1の歯列矯正用アライナー及び前記第2の歯列矯正用アライナーを結合するように構成されており、前記第2の弾性バンドの第1の端部は、前記第1の歯列矯正用アライナーにおける前記第2のプラスチックセグメントの前記第2の保持形状に結合されており、前記第2の弾性バンドの第2の端部は、前記第2の歯列矯正用アライナーにおける前記第2の保持形状に結合されている、又は、
(b)前記第1の弾性バンドは前記第1の歯列矯正用アライナー及び前記第2の歯科アーチを結合するように構成されており、前記第1の弾性バンドの前記第1の端部は、前記第1の歯列矯正用アライナーにおける前記第1のプラスチックセグメントの前記第1の保持形状に結合され、前記第1の弾性バンドの前記第2の端部は、前記患者の第1の歯に結合され前記第2の歯列矯正用アライナーが前記患者によって装着されるときに前記第2の歯列矯正用アライナーの前記第1の不連続部によって露出される第1の保持形状に結合され、前記第2の弾性バンドは前記第1の歯列矯正用アライナー及び前記第2の歯科アーチを結合するように構成されており、前記第2の弾性バンドの前記第1の端部は、前記第1の歯列矯正用アライナーにおける前記第2のプラスチックセグメントの前記第2の保持形状に結合され、前記第2の弾性バンドの前記第2の端部は、前記患者の第2の歯に結合され前記第2の歯列矯正用アライナーが前記患者によって装着されるときに前記第2の歯列矯正用アライナーの前記第2の不連続部によって露出される第2の保持形状に結合される、
製造方法。
【請求項6】
前記第1のプラスチックセグメント、前記第2のプラスチックセグメント、及び前記コネクタは、単一連続プラスチックボディの部分である、請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記コネクタは、エラストマー、半硬質熱硬化性樹脂、又は半硬質熱可塑性樹脂のうちの少なくとも1つを含む、請求項5に記載の製造方法。
【請求項8】
前記コネクタは、前記
第1の歯科アーチの前記第1の後ろ側部分における
前記第1の歯のセットに印加される
前記第1の力を、前記
第1の歯科アーチの前記第2の後ろ側部分における第2の歯のセットに印加される第2の力から隔離するように構成されている、請求項5に記載の製造方法。
【請求項9】
処理装置によって実行されると、前記処理装置に請求項5から
8のいずれか一項に記載の製造方法を実行させる命令を含む、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項10】
メモリ;及び
前記メモリに結合された処理装置であって、請求項5から
8のいずれか一項に記載の製造方法を実行する前記処理装置、
を備えるシステム。
【請求項11】
前記第1の保持形状及び第2の保持形状は、切り欠きを備える、
請求項1に記載の取り外し可能な歯列矯正用アライナーの組。
【請求項12】
前記第1の保持形状及び第2の保持形状は、突起を備える、
請求項1に記載の取り外し可能な歯列矯正用アライナーの組。
【請求項13】
取り外し可能な歯列矯正用アライナーの組であって、
患者の上側歯科アーチ又は下側歯科アーチである前記患者の第1の歯科アーチに装着するための第1の歯列矯正用アライナーであって、
前記患者の前記第1の歯科アーチの第1の後ろ側部分上に適合する第1の形状を有する第1のプラスチックセグメント
であって、前記第1の歯科アーチの前記第1の後ろ側部分における第1の歯のセットに力を印加するように構成された前記第1のプラスチックセグメントと、
前記患者の前記第1の歯科アーチの第2の後ろ側部分上に適合する第2の形状を有する第2のプラスチックセグメントと、
前記第1のプラスチックセグメントと前記第2のプラスチックセグメントとの間に配置され、
前記患者の1つ以上の追加的な歯に臨床的に重要な力を及ぼすことなく、前記第1の歯科アーチの前側部分に沿っている前
記1つ以上の
追加的な歯の舌側に沿う形状を有する
コネクタであって、前記コネクタが、前記第1のプラスチックセグメントと前記第2のプラスチックセグメントとの間のギャップにおける前記1つ以上の
追加的な歯をまたが
り、前記ギャップは前記臨床的に重要な力を受けない前記1つ以上の追加的な歯に対応している前記コネクタと、を備える前記第1の歯列矯正用アライナーであり、
前記第1のプラスチックセグメントは第1の保持形状を備え、前記第2のプラスチックセグメントは第2の保持形状を備える、前記第1の歯列矯正用アライナーと、
前記第1の歯科アーチとは反対側の歯科アーチである前記患者の第2の歯科アーチに装着するための第2の歯列矯正用アライナーであって、第1の不連続部及び第2の不連続部を備える前記第2の歯列矯正用アライナーと、
を備え、
第1の弾性バンドは前記第1の歯列矯正用アライナー及び前記第2の歯科アーチを結合するように構成されており、前記第1の弾性バンドの第1の端部は、前記第1の歯列矯正用アライナーにおける前記第1のプラスチックセグメントの前記第1の保持形状に結合され、前記第1の弾性バンドの第2の端部は、前記第2の歯列矯正用アライナーが前記患者によって装着されるときに前記第2の歯列矯正用アライナーの前記第1の不連続部によって露出される第1の保持形状に結合され、前記第1の保持形状は前記患者の第1の歯に結合され、
第2の弾性バンドは前記第1の歯列矯正用アライナー及び前記第2の歯科アーチを結合するように構成されており、前記第2の弾性バンドの第1の端部は、前記第1の歯列矯正用アライナーにおける前記第2のプラスチックセグメントの前記第2の保持形状に結合され、前記第2の弾性バンドの第2の端部は、前記第2の歯列矯正用アライナーが前記患者によって装着されるときに前記第2の歯列矯正用アライナーの前記第2の不連続部によって露出される第2の保持形状に結合され、前記第2の保持形状は前記患者の第2の歯に結合される、
取り外し可能な歯列矯正用アライナーの組。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本願発明の実施形態は、歯科矯正の分野に関し、特に、プラスチック歯科矯正アライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
歯科矯正手法は、概ね、不正咬合の修正及び/又は美的な改善のために、患者の歯を所望の並びに再位置決めすることを含む。これらの目的を達成するために、ブレース、リテーナー、プラスチックアライナー(又は、シェルアライナーと称する)等のような歯科矯正装置が、歯科医師によって患者に適用され得る。装置は、所望の歯の移動に作用するために、1つ以上の歯に力を及ぼすように構成される。力の印加は、所望の並びに歯を徐々に再位置決めするために、(例えば、装置を変えて異なる種類の装置を用いることによって)医師によって定期的に調整され得る。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】1つの実施形態に係る、セグメント化プラスチック歯科矯正アライナーを示す図である。
【
図2】他の実施形態に係る、セグメント化プラスチック歯科矯正アライナーを示す図である。
【
図3】他の実施形態に係る、セグメント化プラスチック歯科矯正アライナーを示す図である。
【
図4】他の実施形態に係る、セグメント化プラスチック歯科矯正アライナーを示す図である。
【
図5】他の実施形態に係る、プラスチック歯科矯正アライナーを示す図である。
【
図6】他の実施形態に係る、上側前側歯に力を印加すること無しで、上側後ろ側歯に力を印加するように設計されたプラスチック歯科矯正アライナーの組を示す図である。
【
図7】一連のアライナーを用いている歯科矯正治療の方法のための、1つの実施形態のフロー図である。
【
図8】セグメントの間の力の伝達を隔離するコネクタを備えているセグメント化アライナーを製造する方法のための1つの実施形態のフロー図である。
【
図9】セグメントの間の力の伝達を隔離するコネクタを備えているセグメント化アライナーを製造する方法のための他の実施形態のフロー図である。
【
図10】セグメントの間の力の伝達を隔離するコネクタを備えているセグメント化アライナーを製造する方法のための他の実施形態のフロー図を図示する。
【
図11】本願発明の実施形態に係る、例示のコンピューティング装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本願発明は、添付図面の図において、例として図示されており、限定としては図示されていない。
【0005】
いくつかの場合において、歯の異なるグループに印加される力を隔離することが好適であり得る。現在のプラスチックアライナーは、(例えば、前側歯及び後ろ側歯の間の)歯の異なる組の間の力を効果的に隔離することができないかもしれない。本明細書に記載されたのは、(例えば、セグメントの間に力が印加されないように又は最小の力のみが印加されるようにセグメントを隔離する)セグメントの間の力を隔離するコネクタによって結合されるセグメントを備えている歯科矯正アライナー、及びこのような歯科矯正アライナーの製造及び使用の方法の実施形態である。セグメントの間の力の伝達は、非セグメント化された歯科矯正アライナーの異なる部分の間の力の伝達に比べて、減少され得る。セグメント及びコネクタは、下記のように、分離した要素として個別的に製造及び提供されることができ、より大きなアライナーから分離されることができる。本明細書に記載の歯科矯正アライナーは、関連するシステム及び方法に加えて、1つ以上の歯を再位置決めし、1つ以上の歯の位置を維持し、あるいは、これらの好適な組み合わせのために、歯科治療手法の一部として採用され得る。歯科矯正アライナーは、多数の分離シェルセグメントを備えることができ、各々は、単一装置シェルを成形するために、弾性、リジッド、又はセミリジッドコネクタによって結合される、患者の歯の少なくとも一部を受けるように形状化されるキャビティを備えている。シェルセグメント及び/又はコネクタの幾何学的形状、構成、及び材料特性は、セグメントの間の力の伝達を最小化又は除去するために選択され得る。例えば、コネクタは、歯を覆っていないセグメントによって、臨床的に重要な力が1つ以上の歯に印加されることを防止するように設計され得る。臨床的に重要な力は、歯の位置又は並びを変化させるために十分な力である。これは、他のセグメントからの相互作用又は対抗力無しで、セグメントの各々によって覆われた歯に分離力及び別個力が印加されることを可能にする。追加的に、本明細書に記載のセグメント化アライナーは、いくつかの場合において、従来の非セグメント化アライナーよりも大きく歯の移動を調整することができ、従って、歯科治療のコースを終了するために用いられる異なるアライナーの数を減少させることができる。いくつかの場合において、力の伝達は、他の方向において影響すること無しでいくつかの方向において、最小化又は除去され得る。例えば、遠位又は近心力は、セグメントの間の他の力を減少させること無しで最小化され得る。
【0006】
いくつかの場合において、分離シェルセグメントの剛性は、コネクタの剛性よりも大きい。これは、隔離力システムが生成されることを可能にし、及び、他の歯への応答力無しで1つ以上の特定の歯の治療を可能にする。コネクタを隔離している力によって結合されたセグメント化アライナーは、一定の不正咬合の治療を改善することができ、歯のグループを分離するための分離力治療が行われる。
【0007】
シェルセグメントは、設計において変化し得る。いくつかの場合において、アライナーを成形している1つ以上の分離シェルセグメントは、単一歯のみを受けるように構成され得る。いくつかの実施形態において、1つ以上の分離シェルセグメントは、多数の歯にわたり又は受けるように構成され得る。アライナーは、セグメントがわたって又は受けている多数の歯に関して、同じ又は異なる種類のセグメントを備え得る。例えば、装置は、単一歯にわたって又は受けるいくつかの分離シェルセグメント、及び多数の歯にわたって又は受けるいくつかの分離シェルセグメントを備え得る。様々な形状、材料構成、及び設計を備えているコネクタが使用され得る。同じ種類又は異なる種類のコネクタは、隣接セグメントの各組の間で用いられ得る。
【0008】
本明細書に記載のアライナーは、歯を位置決めするための歯科矯正システムを提供するように、一連のアライナーに含まれてよい。このような歯科矯正システムは、少なくとも歯の一部を受けるために形状化された1つ以上のキャビティを有しているシェルを各々備えている連続歯科矯正アライナーを備え得る。アライナーは、1つ以上の歯を第1の並びから第2の並びに移動させるために、患者によって連続的に装着され得る。1つ以上のアライナーは、本明細書に記載のように、セグメント化されることができ、セグメントに結合しているコネクタを備え得る。
【0009】
ここで図面に移って、
図1は、顎における個別歯102の徐々な再位置決めを達成するために、患者によって装着され得る例示の歯再位置決め装置又は歯科矯正アライナー100を図示する。歯科矯正アライナー100は、歯102を受けて弾力的に再位置決めする歯受けキャビティを有しているシェル(例えば、連続半透明高分子シェル、または、セグメント化シェル)を備え得る。歯科矯正アライナー100又はこれの一部は、歯102の物理的モデル又モールドを用いて間接的に製造され得る。例えば、アライナーは、歯102の物理的モデル及び高分子材料の適切な層のシートを用いて成形され得る。いくつかの場合において、アライナー100は、例えば、高速プロトタイプ製造技術を用いて、アライナーのデジタルモデルから直接的に製造される。アライナー100は、上側又は下側顎に存在する全ての歯102に合致することができ、あるいは、歯102の全てよりも少ないものに合致することができる。アライナー100は、患者の歯を収容するために具体的に設計されることができ(例えば、歯受けキャビティの表面形状は、患者の歯の表面形状に合う)、印象、スキャンイング等によって生成された患者の歯のポジティブ又はネガティブモデルに基づいて製造され得る。代替的に、アライナー100は、歯を受けるように構成された一般的アライナーであることができるが、必ずしも患者の歯の表面形状に合致するために形状化されるわけではない。
【0010】
いくつかの場合において、歯又は再位置決めのために目標にされた歯に対して力を印加するときに、他の歯が決まった位置で装置を保持するためのベース又はアンカー領域を提供することができる間に、アライナーによって受けられたある歯のみが、アライナーによって再位置決めされる。いくつかの場合において、歯の多数又はより多数、及び全てと同等のものは、治療の間のいくつかのポイントにて、再位置決めされる。移動される歯は、また、患者によって装着されるときに、アライナーを保持するためのベース又はアンカーとして機能し得る。典型的には、ワイヤー無し又は他の手法は、歯の決まった位置にアライナーを保持するために提供される。いくつかの場合において、しかしながら、アライナーが歯に選択力を印加し得るように、歯科矯正アライナー100において対応している受け又は開口(不図示)で、歯102に個別取付具又は他のアンカリングエレメント(不図示)を提供することが好適であり得る。
【0011】
示されているように、歯科矯正アライナー100は、コネクタ115によって分離された第1のセグメント105及び第2のセグメント110を備える。図示された例において、第1のセグメント105、第2のセグメント110、及びコネクタ115は、単一連続プラスチックボディ又はシェルの全ての部分である。第1のセグメント105及び第2のセグメント110の間にギャップ又はスペースが存在することができ、ギャップは、コネクタ115によって保全され得る。しかしながら、コネクタ115を備えるアライナー100の一部は、第1のセグメント105及び第2のセグメント110よりも、小さな硬直性及び/又は大きな柔軟性を有し得る。代替的に又は追加的に、コネクタ115の幾何学的形状は、1つ以上の歯の特定の部分との非接触又は接触無しになるように、構成され得る。例えば、コネクタ115は、(コネクタ115がわたっている)前側歯の唇側に接触し得ない。より低い硬直性、より高い柔軟性、及び/又は幾何学的構成は、患者の前側歯の頬側領域を覆ったアライナー100の一部を再移動するように切断されたアライナーの結果である。コネクタ115でのアライナー100の減少した硬直性、より高い柔軟性、及び/又は幾何学的構成は、第1のセグメント105及び第2のセグメント110の間の力の伝達を隔離、減少、あるいは除去するために機能する。例えば、アライナーが前側歯の頬側領域を覆わないように切断されたので、舌側力はこれらの前側歯に印加され得ない。第1のセグメント105及び第2のセグメント110によって覆われた後ろ側歯が遠心移動のための力に曝される場合でさえも、前側歯に遠位力が印加されないことを確実にし得る。
【0012】
非限定の例として、図示されたセグメント105、110の各々は、多数の歯を受ける。しかしながら、いくつかの場合において、セグメントは、単一歯のみを受けるように構成され得る。追加の実施形態において、歯科矯正アライナーは、単一歯にわたっているセグメント、多数の歯にわたっているセグメントと共に、これらの様々な組み合わせを備え得る。アライナー構造において、単一歯にわたっているセグメントと共に、多数の歯にわたっているセグメントは、アーチの内部のいくつかの特定の位置に限定されずに、装置設計にて選択された位置を備え得る。
【0013】
コネクタ115は、シェルセグメント105、110が、非破壊的に相互から取り外され得ないように、シェルセグメント105、110に恒久的に固定され得る。代替的に、コネクタ115は、シェルセグメント105、110から取り外し可能であり得る。1つの実施形態において、コネクタ115は、分離されるときにセグメントによって引き起こされ得る窒息危険性防止の機能を提供する。
【0014】
図2は、他の実施形態に係る、セグメント化プラスチック歯科矯正アライナー200を図示する。アライナー100と同様に、アライナー200は、コネクタ215によって結合された第1のセグメント及び第2のセグメント210を備える。アライナー100に関するように、アライナー200におけるコネクタ215は、アライナー200のボディの一部を取り除くことによって成形される。しかしながら、アライナー200において、患者の前側歯の舌側又は唇側領域に接触するアライナーの一部は、切断される。従って、前側歯への頬側力の伝達が避けられ得る。このような力は、力が後ろ側歯に印加される例においてでさえも、前側歯のために避けられ得る。
【0015】
図3は、他の実施形態に係る、セグメント化プラスチック歯科矯正アライナー300を図示する。アライナー300は、第1のセグメント305、第2のセグメント310、及び第3のセグメント315を備える。第1のセグメント305及び第3のセグメント315は、第1のコネクタ320によって結合される。同様に、第2のセグメント310及び第3のセグメント315は、第2のコネクタ325によって結合される。第1のコネクタ320及び第2のコネクタ325は、エラストマー(例えば、エラストマー接着剤)、熱硬化性及び熱可塑性材料を含むセミリジッド材料、セミリジッド金属コネクタ等であり得る。1つの実施形態において、第1のコネクタ320及び第2のコネクタ325は、A20からA80のショア硬さ、及び、約100平方インチ(psi)から約100,000 psiの弾性モジュールを有するエラストマーである。1つの実施形態において、第1のコネクタ320及び第2のコネクタ325は、D30からD80のショア硬さのセミリジッド熱硬化性及び熱硬化性材料であり、及び、約100,000psiから約350,000 psiの弾性モジュールである。1つの実施形態において、第1のコネクタ320及び第2のコネクタ325は、金属(例えば、金属ワイヤ、金属リボン等)によって生成される。1つの実施形態において、コネクタ320、325は、弾性拘束でセグメントを効果的に拘束する弾性接着剤(例えば、エラストマー接着剤)にて成形される。他の実施形態において、コネクタ320、325は、ポリウレタンエラストマー(PTE)から成形される。他の実施形態において、コネクタ320、325は、プラスチック、金属(例えば、アーチワイヤー)、及び/又は他の材料から成形される。コネクタ320、325は、弾性、完全リジッドであることができ、ピボットで結合されることができ、及び/又は、他の力の伝達無しでの指向力を伝達する幾何学的形状で結合されることができる。
【0016】
コネクタ320、325は、単一材料から、あるいは、多数の材料から成形され得る。材料は、1つ以上の層にて並べられ得る。例えば、異なる材料の層又は同じ材料の層は、コネクタ320、325を成形するために用いられ得る。復元性、弾性、硬さ/柔らかさ、色等のようなコネクタ320、325を成形するために用いられる材料の特性は、少なくとも部分的に、選択された材料、材料形状、材料寸法、材料の層、及び/又は材料の厚さに基づいて、決定されることがきる。1つの実施形態において、コネクタ320、325は、エラストマー材料のような弾性材料から成形される。
【0017】
いくつの場合において、コネクタ320、325は、1つ以上の特性がコネクタの長さ又は一部に沿って均一になるように構成され得る。追加的に、コネクタの1つ以上の特性は、コネクタの長さ又は一部に沿って変化し得る。例えば、コネクタ320、325は、長さ又は一部に沿って実質的に均一な厚さを備えることができ、あるいは、長さ又は一部に沿って変化し得る。理解されるように、コネクタの特徴は、アライナーの異なるセグメントの間及び/又は歯のグループの間にて力の伝達を減少又は除去するように、選択され得る。
【0018】
図示された例示のアライナー300において、コネクタ320、325は、患者の左右の後ろ側歯と前側歯の間における力の伝達を減少又は除去するために動作する。これは、分離移動が前側歯にて(例えば、患者の門歯に)行われ得る間に、後ろ側歯がユニットとして遠心移動されることを可能にする。代替的に、近心力は、前側歯に近心力を及ぼすこと無しで、後ろ側歯に印加され得る。後ろ側歯の治療は、後ろ側歯の治療に影響せずに又は支障をきたさないであろう。同様に、後ろ側歯の治療は、前側歯の治療に影響せずに又は支障をきたさないであろう。
【0019】
図4は、他の実施形態に係る、セグメント化プラスチック歯科矯正アライナー400を図示する。アライナー400は、ブリッジ類似コネクタ415によって、第2のセグメント410に結合された第1のセグメント405を備える。コネクタ415は、第1及び第2のセグメント405、410の間における伝達力よりも適応性のあるセミリジッド材料である。コネクタ415は、予め成形されたコネクタであってよく、セグメントに接着されてよく又は機械的に取り付けられてよい。
【0020】
1つの実施形態において、セグメント405、410は各々、コネクタ415の端部を保持するようにサイズ化及び形状化される保持形状を備える。例えば、コネクタ415は、当該形状において決まった位置にスナップされ得る。これらの形状は、アライナー400に設計され得る。例えば、これらの形状は、アライナーが当該形状を備えるように、アライナーを成形するために用いられるモールドに含まれ得る。代替的に、これらの形状は、セグメントにて成形される(例えば、切り込まれる)ことができ、及び/又は、セグメントが成形された後にセグメントに取り付けられ得る。保持形状のいくつかの例は、溝、リッジ、突起、ぎざぎざ、機械的スナップ又はロックの雄又は雌部等を備える。保持形状は、所望の位置からのコネクタ415の偶然の外れ又は解放を防止するために用いられることができ、これによって、アライナー400が分離せずに又は窒息危険性にならないことを確実にする。
【0021】
図5は、他の実施形態に係る、プラスチック歯科矯正アライナー500を図示する。アライナー500は、第1のコネクタ520によって第3のセグメント515の第1の側に結合された第1のセグメント505を備える。アライナー500は、追加的に、第2のコネクタ525によって第3のセグメント515の第2の側に結合された第2のセグメント510を備える。第1及び第2のコネクタ520、525は、アコーディオン類似形状を有する波型コネクタである。波型形状は、セグメント間に臨床的に重要な力を印加する前に、曲がるであろう。従って、セグメントの間の波型は、治療の間にセグメントの間に伝達される力を減少させる。1つの実施形態において、波型コネクタ520、525は、セグメント505-515(例えば、エラストマー)と同様な材料にて成形される。1つの実施形態において、図示されているように、コネクタ520、525、及びセグメント505-515は、単一連続シェルボディを成形する。代替的に、コネクタ520、525は、セグメント505-515に取り付けられる分離要素であり得る。このような場合において、コネクタ520-525は、セグメントと同様な材料、あるいは、異なる材料であり得る。例えば、コネクタ520-525は、エラストマーにて成形され得る。
【0022】
図6は、他の実施形態に係る、上側前側歯に力を印加すること無しで、上側後ろ側歯に力を印加するように設計されたプラスチック歯科矯正アライナーの組を図示する。アライナーの組は、上側アライナー608及び下側アライナー605を備える。下側アライナー605は、保持形状630を備える従来の非セグメント化アライナーである。示されているように、保持形状630は、臼歯又は他の後ろ側歯に設けられ得る。保持形状は、スリット、切り欠き、溝、突起、あるいは、(例えば、輪ゴムのような)弾性バンド635の1つの端部を固定し得る他の形状であり得る。代替的に、下側アライナー605は、保持形状というよりもむしろ、切り欠き、フラップ、孔のような不連続部(例えば、開口、窓、ギャップ、ノッチ等)を備え得る。保持形状は、従って、不連続部の位置にて患者の歯に直接的に拘束され得る。不連続部は、下側アライナー605が患者に装着されるときに、保持形状を露出させ得る。
【0023】
上側アライナー605は、第1のセグメント610及びコネクタ620によって結合された第2のセグメント615を備えているセグメント化アライナーである。第1のセグメント610は、弾性バンド635の第2の端部を固定するための保持形状625を備える。示されているように、保持形状625は、犬歯又は他の前側歯に設けられ得る。代替的に、第1のセグメント610は、保持形状というよりもむしろ、切り欠き、フラップ、孔のような不連続部(例えば、開口、窓、ギャップ、ノッチ等)を備え得る。保持形状は、従って、不連続部の位置にて患者の歯に直接的に拘束され得る。不連続部は、上側アライナー608が患者に装着されるときに、保持形状を露出させ得る。
【0024】
弾性バンド635は、第1のセグメントに、そして従って、第1のセグメント610によって覆われる歯のグループに、遠位力を印加し得る。同様な弾性バンドは、第2のセグメント615及び下側アライナー605の追加的な保持形状の間で延在することができ、第2のセグメントに、そして従って、第2のセグメント615によって覆われる歯のグループに、遠位力を印加し得る。コネクタ620は、患者のいくつかの上側前側歯に力が印加されないように、力を隔離し得る。代替的な実施形態において、保持形状625は、上側後ろ側歯に設けられることができ、保持形状630は、下側前側歯に設けられ得る。このような構成において、近心力は、第1のセグメント610に印加されること無しで、第2のセグメント615に印加され得る。
【0025】
代替的な例において、上側及び/又は下側アライナーは、本明細書に記載された、セグメント化アライナーのいくつかであり得る。例えば、上側アライナーは、
図3のアライナー300と同様であることができ、及び、単一コネクタによって結合される2つのセグメントというよりもむしろ、2つのコネクタによって結合された3つのセグメントを備え得る。
【0026】
本明細書に記載された装置は、1つ以上の受け歯に設けられた1つ以上の取付具との組み合わせにて用いられることができる。従って、シェルセグメントの表面形状は、(取付具を受けるための適切な受けにて)取付具を収容するように修正され得る。取付具は、本明細書で前述したように、下側にある歯に再位置決め力を伝達するために、シェルセグメント及び/又は弾性体と係合し得る。代替的に又は追加的に、取付具は、患者の歯に装置を保持するために、及び、当該装置が不注意に取り外されることを防止するために用いられ得る。例えば、自然の添窩を備える歯(例えば、臼歯)は取付具を要さなくてよいが、添窩無しの歯(例えば、中央歯、横側歯)は、歯の取付具の正確な係合を確実にするために取付具を要し得る。取付具は、歯の頬側又は舌側面のような、歯のいくつかの適切な部分に設けられ得る。
【0027】
図7は、一連のアライナーを用いている歯科矯正治療の方法700のための、1つの実施形態のフロー図を図示する。方法700は、本明細書に記載されたアライナー又はアライナーの組を用いて実行されることができる。ブロック710において、第1の歯科矯正アライナーは、第1の歯の並びから第2の歯の並びに歯を再位置決めするために、患者の歯に設けられる。患者の歯は、異なる力が異なるセグメントによって歯に印加されるように、並べられる。これらの力は、従来のアライナーを用いてでは矛盾していたが、これは、いくつかのセグメントからの反力が、他のセグメントによって歯に印加されるために、弱体化力(undermine forces)に作用し得たからである。
【0028】
ブロック720において、第2の歯科矯正アライナーは、第2の歯の並びから第3の歯の並びに歯を再位置決めするために、患者の歯に設けられる。第2の歯の並びから第3の歯の並びに歯を再位置決めすることは、従来のアライナー(例えば、非セグメント化アライナー)を用いて行われ得る。従って、従来の非セグメント化アライナーは、第2の歯の並びから第3の歯の並びに歯を再位置決めするために用いられ得る。代替的に、第2の歯科矯正アライナーは、異なるセグメントの間の力を隔離する他のセグメント化アライナーであり得る。第2の歯科矯正アライナーは、第1の歯科矯正アライナーと同様な手法にて、あるいは、第1の歯科矯正アライナーとは異なる手法にて、セグメント化され得る。例えば、第1の歯科矯正アライナーは、単一コネクタによって分離された2つのセグメントを備えることができ、第2の歯科矯正アライナーは、異なるコネクタによって各々結合された第3のセグメントを備え得る。異なるアライナーは、例えば、歯の異なるグループに力を印加するためにセグメント化され得る。
【0029】
方法700は、初期の並びから目標の並びに患者の歯を徐々に再位置決めするために、いくつかの好適な数の及び一連のアライナーの組み合わせを用いて繰り返され得る。アライナーは、同じステージにて又は組にて又は一群にて(例えば、治療のステージの開始にて)、全て生成されることができ、患者は、歯における各アライナーの圧力がもはや感じられることができなくなるまで、あるいは、与えられたステージのための押し出された歯の移動の最大が達成されるまで、各アライナーを装着し得る。多数の異なるアライナー(例えば、組)は、患者がいくつかのアライナーを装着する前に、設計され及び製造さえされることができる。適切な期間の間にアライナーを装着した後に、患者は、アライナーがなくなるまで、現アライナーから一連において次のアライナーに置き換え得る。アライナーは、患者に概ね固定されておらず、患者は、工程の間のいくつかの時にアライナーを設けて置き換え得る(例えば、患者取り外し可能アライナー)。
【0030】
一連における最終のアライナー又はいくつかのアライナーは、歯の並びを過度矯正するために選択された1つの幾何学的形状又は複数の幾何学的形状を備え得る。例えば、1つ以上のアライナーは、(完全に達成された場合に)「最終」として選択された歯の並びを超えて個別歯を移動させる幾何学的形状を備え得る。このような過度修正は、再位置決め方法が終了した後に、潜在的な逆戻りをオフセットする(例えば、事前矯正位置に向かって戻る個別歯の移動を許容する)ために好適であり得る。過度矯正は、また、矯正の速さを増すために好適であり得る(例えば、所望の中間及び最終の位置を超えて位置決めされる幾何学的形状を備えるアライナーは、より速い速さにて、当該位置に向かって個別歯を移動させ得る)。このような場合、アライナーの使用は、歯がアライナーによって画定された位置に到達する前に、終了され得る。また、過度矯正は、アライナーのいくつかの不正確さ又は制限について補償するために計画的に行われ得る。
【0031】
図8は、セグメントの間の力の伝達を隔離、減少又は除去するコネクタを備えているセグメント化アライナーを製造する方法800のための1つの実施形態のフロー図を図示する。いくつかの実施形態において、方法800の1つ以上のオペレーションは、コンピューティング装置の処理ロジックによって実行される。処理ロジックは、ハードウエア(例えば、回路、専用ロジック、プログラム可能ロジック、マイクロコード等)、ソフトウエア(例えば、処理装置によって実行される命令)、ファームウエア、あるいは、これらの組み合わせを備え得る。例えば、方法800の1つ以上のオペレーションは、
図11のコンピューティング装置1101のようなコンピューティング装置によって実行され得る。追加的に、いくつかのオペレーションは、処理ロジックから受けた命令に基づいて、製造装置によって実行され得る。いくつかのオペレーションは、代替的に、ユーザによって実行され得る。
【0032】
方法800のブロック805において、形状は、患者のための歯科アーチのモールドによって決定される。形状は、患者の歯の中間の又は最終の目標の並びをデジタル的に計画することによって、及び、中間の又は最終の目標の並びを反映する歯科アーチのモールドを製造することによって、決定され得る。代替的に、形状は、患者のアーチの印象をとることによって、及び当該印象からモールドを生成することによって、決定され得る。従って、モールド又はモデルは、歯科印象又は(例えば、患者の口腔内キャビティの、患者の口腔内キャビティのポジティブ又はネガティブモデルの、あるいは、患者の口腔内キャビティから成形された歯科印象の)スキャンイングから生成され得る。
【0033】
アライナー製造又は設計は、患者の歯の1つ以上の物理的又はデジタル表現を利用し得る。患者の歯の表現は、現在の並びにおける患者の歯の表現を備えることができ、1つ以上のステージにおいて位置決めされた患者の歯の表現をさらに備え得る。治療ステージは、歯の所望の最終の並びのような、患者の歯の所望の又は目標の並びを含み得る。治療ステージは、また、歯が第1の並び(例えば、初期の並び)から第2の又は所望の並び(所望の最終の並び)に向かって進むときに、患者の歯の並びを表現している歯の1つ以上の中間の並び(例えば、計画された中間の並び)を備えることができる。
【0034】
1つの実施形態において、ブロック808において、患者の歯のデジタル表現が受け取られる。デジタル表現は、患者の(歯、歯肉組織等を含んでいる)口腔内キャビティのための表面形状データを含み得る。表面形状データは、口腔内キャビティの直接のスキャンイングによって、口腔内キャビティの物理的モデル(ポジティブ又はネガティブ)によって、あるいは、口腔内キャビティの印象によって、適切なスキャニング装置(例えば、ハンドヘルドスキャナ、デスクトップスキャナ等)を用いることによって、生成され得る。
【0035】
1つの実施形態において、ブロック809において、1つ以上の治療ステージは、歯のデジタル表現に基づいて生成される。治療ステージは、初期の並びから目標の並びに患者の1つ以上の歯を移動させるように設計された、歯科矯正手法の徐々な再位置決めステージであり得る。例えば、治療ステージは、デジタル表現によって示された初期の歯の並びを決定することによって、目標の歯の並びを決定することによって、及び目標の歯の並びを達成するために必要な初期の並びにおける1つ以上の歯の移動路を決定することによって生成され得る。移動路は、合計移動距離を最小化することに基づいて、歯の間の衝突を防止することに基づいて、達成することがより困難な歯の移動を避けることに基づいて、あるいは、他の適切な基準に基づいて最適化され得る。
【0036】
ブロック810において、モールドは、決定された形状に基づいて製造される。これは、歯科アーチの3次元仮想モデルを使用すること、及び、モールドを製造するために、高速プロトタイプ製造装置(例えば、3次元プリンター)に命令を送ることを含み得る。1つの実施形態において、割れやすいモールドが、高速プロトタイプ製造技術を用いて製造される。高速製造技術の1つの例は、3次元プリントである。3次元プリントは、いくつかの層ベースの付加的な製造工程を含む。3次元プリンターは、(例えば、コンピューター支援製図(CAD)ファイル、あるいは、ステレオリソグラフィ(STL)ファイルのような3次元プリント可能なファイルとしての)モールドの3次元仮想モデルの入力を受けることができ、モールドを生成するために3次元仮想モデルを用い得る。3次元プリントは、付加的な工程にて行われることができ、材料の連続する層は処方された形状にて成形される。3次元プリントは、押し出し堆積、粒状体ビンディング、積層、光重合、あるいは、他の技術を用いて行われ得る。
【0037】
1つの実施形態において、ステレオリソグラフィ(SLA)は、また、光学製造個体撮像として知られており、SLAモールドを製造するために用いられる。SLAにおいて、モールドは、互いの頂上にて光硬化材料(例えば、高分子樹脂)の薄層を連続的にプリントすることによって製造される。プラットフォームは、液状フォトポリマーの槽において、あるいは、槽の表面の丁度下の樹脂において、留まる。光源(例えば、紫外レーザー)は、モールドの第1の層を成形するために、プラットフォームにてパターンをトレースし、光源が向けられたフォトポリマーを硬化させる。プラットフォームは、徐々に下げられ、光源は各段階におけるモールドの他の層を成形するためにプラットフォームにて新たなパターンをトレースする。このプロセスは、モールドが完全に製造されるまで繰り返される。各層は、25ミクロン及び200ミクロンの間の薄さを有し得る。モールドの層の全てが製造されると、モールドは洗浄及び硬化され得る。
【0038】
ブロック815において、プラスチック歯科矯正アライナーはモールドにて成形される。これは、アライナーのボディを成形するために、材料のシートにモールドにて圧力成形又は熱成形を行うために、圧力成形又は熱成形装置に命令を送ることを含み得る。シートは、例えば、プラスチックのシート(例えば、熱可塑性プラスチック)であり得る。モールドにてシェル又はアライナーを熱成形するために、材料のシートは、シートがしなやかになる温度に加熱され得る。圧力は、割れやすいモールドの周囲の現在のしなやかなシートを成形するために、シートに同時に印加され得る。シートが冷却されると、モールドに合致する形状を有する。1つの実施形態において、剥離剤(例えば、非粘着性材料)は、アライナーを成形する前にモールドに塗布される。これは、アライナーからのモールドの後の撤去を促進し得る。プラスチック歯科矯正アライナーは、相互に成形される(例えば、同時に成形される)第1のセグメント及び第2のセグメントを備え得る。いくつかの実施形態において、コネクタは、また、第1及び第2のセグメントの編成にて相互に成形され得る。
【0039】
アライナー又は分離セグメント及び/又はアライナーのコネクタを製造するための他の例示の方法は、高速プロトタイプ、ステレオグラフィ、又はコンピューター数値制御(CNC)ミリングを含む。アライナー又はシェルセグメントの材料は、半透明ポリマーのように半透明であることができる。
【0040】
ブロック820において、プラスチック歯科矯正アライナーは、コネクタによって分離された少なくとも2つのセグメントにアライナーを分離するように切断される。これは、特定の座標にてアライナーを切削工作機に切断させるために切削工作機に命令を送ることを含み得る。切削工作機は、例えば、レーザーカッター、プラズマカッター又はミルであり得る。少なくとも2つのセグメント及びコネクタは、単一連続プラスチックボディの一部である。単一シェルセグメント各々は、歯の少なくとも一部を受けるように形状化された1つ以上のキャビティ備える。シェルセグメントは、歯の連続的な全長をまとめて受けることができる。シェルセグメントの数及び形状は、所望される歯の移動を調整するために選択されることができ、コネクタは、歯の異なる組への異なる歯の移動を許容するために力を隔離し得る。このアライナーは、また、歯肉カットラインに沿ってマークされ及び/又は整えられ得る。
【0041】
アライナーの組は、製造されることができ、初期の並びから目標の並びに歯を徐々に再位置決めするために、アライナーが患者によって順次装着され得るように、治療ステージの1つによって特定された歯の並びを調整するために各々形状化され得る。アライナーの組は、本明細書に記載された1つ以上のセグメント化アライナーを備え得る。このようなセグメント化アライナーのシェルセグメント及びコネクタの特性(例えば、数、幾何学的形状、構成、材料特性)は、対応している治療ステージによって特定される歯の移動を引き出すために選択され得る。これらの特性の少なくともいくつかは、適切なコンピュータソフトウエア、あるいは、デジタルベースの取り組み方にて決定され得る。アライナーの製造は、コンピューター制御製造システムへの入力として用いられるために、アライナーのデジタルモデルを生成することを含み得る。
【0042】
図9は、セグメントの間の力の伝達を隔離するコネクタを備えているセグメント化アライナーを製造する方法900のための他の実施形態のフロー図を図示する。いくつかの実施形態において、方法900の1つ以上のオペレーションは、コンピューティング装置の処理ロジックによって行われる。処理ロジックは、ハードウエア(例えば、回路、専用ロジック、プログラム可能ロジック、マイクロコード等)、ソフトウエア(例えば、処理装置によって実行される命令)、ファームウエア、あるいは、これらの組み合わせを備え得る。例えば、方法900の1つ以上のオペレーションは、
図11のコンピューティング装置1101のようなコンピューティング装置によって実行され得る。追加的に、いくつかのオペレーションは、処理ロジックから受けた命令に基づいて、製造装置によって実行され得る。いくつかのオペレーションは、代替的に、ユーザによって(例えば、モールドモデリングモジュール又は草案プログラムに関するユーザ相互作用に基づいて)実行され得る。
【0043】
方法900のブロック905において、形状は、患者のための歯科アーチのモールドのために決定される。形状は、患者の歯の中間の又は最終の目標の並びをデジタル的に計画することによって、及び、中間の又は最終の目標の並びを反映する歯科アーチのモールドをデジタル的に製造することによって決定される。代替的に、形状は、患者のアーチの印象をとること及び印象からモールドを生成することによって決定され得る。ブロック910において、モールドは、決定された形状に基づいて(高速プロトタイプ製造装置に命令を送ることに基づいて)製造される。これは、モールドを製造するために、歯科アーチの3次元仮想モデル及び高速プロトタイプ製造装置(例えば、3次元プリンタ)を用いることを含み得る。
【0044】
ブロック915において、プラスチック歯科矯正アライナーは、モールドにて(圧力成形又は熱成形装置に命令を送ることに基づいて)成形される。1つの実施形態において、プラスチック歯科矯正アライナーは、モールドにて圧力成形又は熱成形される。アライナー又は分離セグメント及び/又はアライナーのコネクタを製造するための他の例示の方法は、高速プロトタイピング、ステレオリソグラフィ、又はコンピューター数値制御(CNC)ミリングを含む。アライナー又はシェルセグメントの材料は、半透明ポリマーのように半透明であることができる。代替的に、材料は、他の所望の色又は色らを有し得る。
【0045】
ブロック920において、プラスチック歯科矯正アライナーは、(例えば、切削工作機に命令を送ることに基づいて)コネクタによって分離された少なくとも2つのセグメントにアライナーを分離するように切断される。アライナーは、レーザーカッター、プラズマカッター、ミル、又は機械的カッターを用いて切断され得る。アライナーは、結合されてない多数の分離セグメントにアライナーを分離するように切断される。
【0046】
ブロック925において、分離シェルセグメントは、コネクタ(又は、多数のコネクタ)を用いて結合され、従って、単一アライナーシェルを成形する。1つの実施形態において、命令は、セグメントをコネクタに結合することを装置に行わせるために、装置に送られる。代替的に、プロンプトは、コネクタにセグメントを手動にて接続するために、ユーザに指示するためにディスプレイに出力され得る。コネクタは、弾性材料であり得る。代替的に、コネクタは、セミリジッドプラスチックのようなプラスチックであり得る。他の弾性又はセミリジッド材料は、また、用いられ得る。多数の実施形態において、コネクタは半透明である。コネクタは、ストリップ、バンド、シート、メッシュ、コーティング、層、チューブ、弾性接着剤、又はこれらの適切な組み合わせであることができ、及びいくつかの適切な材料から製造され得る。弾性材の例示の製造方法は、押し出し、高速プロトタイピング、吹き付け、熱成形、あるいは、これらの適切な組み合わせを含む。コネクタの特性(例えば、長さ、幅、厚さ、領域、形状、断面、剛性)は、弾性材料のバルクを介して同種であることができ、又は、変化することができる。例えば、コネクタの異なる部分は、異なる厚さを備えることができ、これによって、アライナーの局所追従が変化する。また、いくつかの場合において、コネクタは、異方性の特性を備え得る。例として、コネクタは、第1の方向に沿って比較的対応することができ、第2の方向に沿って少なく対応する(あるいは、対応しない)ことができる。コネクタの柔軟性の方向性は、アライナーへ構造及び安全性を提供している間に、歯の間の力の伝達を軽減するために用いられ得る。
【0047】
コネクタは、適切な接着又は拘束剤を用いてセグメントに結合され得る。いくつかの場合において、コネクタは、接着特性を備えることができ、従って、追加の外用剤の使用無しで、コネクタがシェルセグメントに直接的に結合されることが可能になる。シェルセグメントにコネクタを設ける例示の方法は、押し出し、吹き付け、コーティング、浸漬、あるいは、これらの適切な組み合わせを含む。コネクタは、また、スナップ、クラップ、ロック等を用いてセグメントに物理的に接続され得る。例えば、コネクタは、スナップの雄端部を備えることができ、及びセグメントにおける保持形状は、スナップの雌端部を備え得る。1つの実施形態において、追加の情報は、セグメントにおいて保持形状を装置に成形させるために1つ以上の装置に送られ得る。保持形状は、保持形状に、及び他のアライナー、アライナーのセグメント又は歯における他の保持形状に、後に設けられ得る弾性バンドを保持するためのものであり得る。1つの実施形態において、保持形状を成形することは、アライナーのセグメントにおいてスリット又は溝を切断することを含む。
【0048】
図10は、セグメントの間の力の伝達を隔離、減少又は除去するコネクタを備えているセグメント化アライナーを製造する方法のための他の実施形態のフロー図を図示する。いくつかの実施形態において、方法1000の1つ以上のオペレーションは、コンピューティング装置の処理ロジックによって実行される。処理ロジックは、ハードウエア(例えば、回路、専用ロジック、プログラム可能ロジック、マイクロコード等)、ソフトウエア(例えば、処理装置によって実行される命令)、ファームウエア、あるいは、これらの組み合わせを備え得る。例えば、方法1000の1つ以上のオペレーションは、
図11のコンピューティング装置1101のようなコンピューティング装置によって実行され得る。追加的に、いくつかのオペレーションは、処理ロジックから受けた命令に基づいて、製造装置によって実行され得る。いくつかのオペレーションは、代替的に、ユーザによって(例えば、モールドモデリングモジュール又は草案プログラムにて)実行され得る。
【0049】
方法1000のブロック1005において、形状は、第1の歯科アーチの第1のモールドに関して、及び、歯科アーチの第2の部分の第2のモールドに関して決定される。第1のモールドは、患者の歯の第1の組を表現することができ、第2のモールドは、患者の歯の第2の組を表現し得る。形状は、患者の歯の中間の又は最終の目標の並びをデジタル的に計画することによって決定され得る。代替的に、形状は、患者のアーチの印象をとることによって決定され得る。ブロック1010において、モールドは、決定された形状に基づいて製造される。これは、モールドを製造するために、歯科アーチの3次元仮想モデル及び高速プロトタイプ製造装置(例えば、3次元プリンタ)を用いることを含み得る。
【0050】
ブロック1015において、プラスチック歯科矯正アライナーの第1のセグメントは、第1のモールドにおいて成形される。1つの実施形態において、プラスチック歯科矯正アライナーの第1のセグメントは、モールドにて熱成形又は圧力成形される。ブロック1020において、プラスチック歯科矯正アライナーの第2のセグメントは、第2のモールドにおいて成形される。セグメントを製造するための例示の方法は、熱成形、高速プロトタイピング、ステレオリソグラフィ、又はコンピューター数値制御(CNC)ミリングを含む。
【0051】
ブロック1025において、分離シェルセグメントは、コネクタ(又は、多数のコネクタ)を用いて結合され、これによって、単一アライナーシェルを成形する。コネクタは、弾性材料であり得る。代替的に、コネクタは、セミリジッドプラスチックのようなプラスチックであり得る。他の弾性又はセミリジッド材料が、また、用いられ得る。
【0052】
図11は、本明細書に記載の方法及び工程の実行において用いられ得るシステム1100の概略ブロック図である。システム1100は、典型的には、ネットワーク1124に接続されたコンピューティング装置1101、スキャナ1120、及び/又は製造装置1122を含む。コンピューティング装置1101は、ローカルネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットにおける他の装置に接続(例えば、ネットワーク)され得る。例えば、コンピューティング装置1101は、3次元プリンター又はSLA装置のような高速プロトタイピング装置であり得る製造装置1122にネットワークされ得る。コンピューティング装置1101は、クライアントサーバネットワーク環境におけるサーバ又はクラインと装置の能力において作動することができ、あるいは、ピアツーピア(又は分散)ネットワーク環境におけるピア装置として作動し得る。コンピューティング装置1101は、パーソナルコンピューター(PC)、タブレットコンピューター、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプリケーション、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ又はブリッジ、あるいは、(連続的に又は他の状態で)装置によって行われるためにアクションを明示する命令のセットを実行する能力があるいくつかの装置であり得る。また、単一の装置のみが図示されているが、用語コンピューティング装置は、また、本明細書に記載の1つ以上のいくつかの方法を実行するために、命令のセット(又は、多数のセット)を個別的に又は併せて実行する装置(例えば、コンピュータ)のいくつかの群を含むように解釈されるべきである。
【0053】
コンピューティング装置1101は、バスサブシステム1104を介して1つ以上の周辺装置と通信する少なく1つの処理装置1102を備える。処理装置1102は、マイクロプロセッサ、中央処理等のような、1つ以上の一般目的プロセッサを示す。特に、処理装置1102は、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、他の命令セットを実装しているプロセッサ、あるいは、命令セットの組み合わせを実装してプロセッサであり得る。処理装置1102は、また、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブル ゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサ等のような、1つ以上の特定目的処理装置であり得る。処理装置1102は、本明細書に記載のオペレーション及びステップを実行するための処理ロジック(命令)を実行するために構成される。
【0054】
処理装置1102に典型的に接続されている周辺装置は、ストレージサブシステム1106(メモリサブシステム1108及びファイルストレージサブシステム1114)、ユーザインターフェース入力及び出力装置1118のセット、及び外部ネットワークへのインターフェース1116を備える。このインターフェースは、「ネットワークインターフェース」ブロック1116として図式的に示され、通信ネットワークインターフェース1124を介して他のデータ処理システムにおいて対応するインターフェース装置に接続される。
【0055】
ユーザインターフェース入力装置1118は、いくつかの特定の装置に限定されず、典型的には、例えば、キーボード、ポインティング装置、マウス、スキャナ、インタラクティブディスプレイ、タッチパッド、ジョイスティック等を備え得る。同様に、様々なユーザインターフェース出力装置は、発明のシステムにおいて採用されることができ、例えば、1つ以上のプリンター、ディスプレイ(例えば、ビジュアル、非ビジュアル)システム/サブシステム、コントローラ、プロジェクション装置、オーディオ出力等であり得る。
【0056】
ストレージサブシステム1106は、コンピューティング装置1101の基本プログラミングを管理し、命令(例えば、動作命令等)及びデータ構造を備えているコンピューター読み取り可能媒体を備えている。本明細書に記載のプログラムモジュールは、典型的には、ストレージサブシステム1106において格納される。ストレージサブシステム1106は、典型的には、メモリサブシステム1108及びファイルストレージサブシステム1114を備える。メモリサブシステム1108は、典型的には、固定命令、プログラム実行の間の命令及びデータ、基本入力/出力システム等の格納のためのコンピューター読み取り可能メモリを含んでいる多数のメモリ(例えば、RAM1110、ROM1112等)を備える。ファイルストレージサブシステム1114は、プログラム及びデータファイルのための恒久(不揮発)ストレージを備え、1つ以上の読み取り可能又は固定装置又は媒体、ハードディスク、フロッピーディスク、CD-ROM、DVD、光学装置等を備え得る。
【0057】
ファイルストレージサブシステム1114は、本明細書に記載の手法又は機能の1つ以上のいくつかを採用している命令の1つ以上のセットが格納される装置読み取り可能ストレージ媒体(又は、より具体的には、不揮発性コンピューター読み取り可能ストレージ媒体)を備え得る。不揮発性ストレージ媒体は、搬送波以外のストレージ媒体を参照する。命令は、また、コンピューター読み取り可能ストレージ媒体も含んでいる、コンピューティング装置1101、メモリサブシステム1108及び処理装置1102によって、処理中にメモリサブシステム1108の内部及び/又は処理装置1102の内部に、完全に又は少なくとも部分的に、存在し得る。
【0058】
コンピューター読み取り可能ストレージ媒体は、また、
図8-10に関して記載された方法800-1000の1つ以上のオペレーションを行い得る、1つ以上の仮想3次元モデル及び/又はセグメント化アライナー生成モジュール1150を格納するために用いされ得る。用語「コンピューター読み取り可能ストレージ媒体」は、命令の1つ以上のセットを格納する単一媒体又は多数媒体(例えば、集約化又は分散データベース、及び/又は、関連キャッシュ及びサーバ)を備えるものと理解されたい。用語「コンピューター読み取り可能ストレージ媒体」は、また、装置に本願発明の1つ以上の手法のいくつかを実行させる、装置による実行のための命令のセットを格納又はエンコードする能力がある、搬送波以外のいくつかの媒体を備えるものと理解されたい。用語「コンピューター読み取り可能ストレージ媒体」は、従って、ソリッドステートメモリー及び光学的及び機械的媒体を含むが限定されないものと理解されたい。
【0059】
1つ以上のストレージシステム、ドライブ等は、ネットワークのサーバを介して、あるいは、インターネット/ワールドワイドウェブを介して接続されるような、遠隔位置において設けられ得る。本明細書において、用語「バスシステム」は、様々な要素及びサブシステムを意図されるように相互に通信させるためのいくつかの機構を含むように概ね使用され、ここでの使用のために好適であるように知られて又は認識される様々な適切な要素/システムを備え得る。システムの様々な要素が、同じ物理的位置であることが必須である必要はなく、様々なローカルエリア又はワイドエリアネットワーク媒体、送信システム等を介して接続され得ることについて、理解されたい。
【0060】
スキャナ1120は、(例えば、キャストのような歯の物理的モデルをスキャンニングすることによって、歯のとられた印象をスキャンニングすることによって、あるいは、患者の口腔キャビティを直接スキャンニングすることによって)患者の歯のデジタル表現(例えば、画像、表面形状データ等)を取得するためのいくつかの手法を含む。スキャナ1120は、(患者の歯科アーチの3次元仮想モデルを生成するために使用可能なデータであり得る)歯科アーチデータ1121を受けて生成することができ、及び、コンピューティング装置1101にこのような歯科アーチデータ1121を提供し得る。スキャナ1120は、システムの他の要素に関して遠隔の位置に設けられることができ、及び、例えばネットワークインターフェース1124を介して、画像データ及び/又は情報をコンピューティング装置1101に通信し得る。製造システム1122は、コンピューティング装置1101から受けたデータセット情報を備えている、治療計画に基づいて歯科矯正アライナー1123を製造する。製造装置1122は、例えば、遠隔位置に設けられることができ、及びネットワークインターフェース1124を介してコンピューティング装置1101からデータセット情報を受けることができる。
【0061】
上述は例示することが意図されており、及び限定的でないことについて理解されたい。多数の他の実施形態は、上述の読み取り及び理解を明確にするであろう。本発明の実施形態は特定の例示の実施形態を参照して記述されたが、発明が記載された実施形態に限定されずに、添付の請求の範囲の精神及び範囲内における変更及び代替が行われ得ることについて、理解されるであろう。従って、明細書及び図面は、限定的な意味というよりは、例示の意味においてみなされる。発明の範囲は、従って、請求の範囲が権利を与える同等の全ての範囲に沿って、添付の請求項の範囲への参照にて決定されるべきである。
【0062】
〔付記1〕
患者の歯の第1の組を移動させるためのプラスチック歯科矯正アライナーの第1のセグメントを成形するステップと、
前記プラスチック歯科矯正アライナーの第2のセグメントを成形するステップと、
前記第1のセグメントと前記第2のセグメントとの間の力の伝達を最小化するように構成されたコネクタを用いて、前記プラスチック歯科矯正アライナーの前記第2のセグメントに前記プラスチック歯科矯正アライナーの前記第1のセグメントを結合するステップと、
を含む方法。
〔付記2〕
前記プラスチック歯科矯正アライナーの前記第1のセグメントを成形するステップは、
前記歯の第1の組のモデルを含む歯科アーチの第1の部分の第1のモールドを生成するステップと、
前記第1のモールドに前記第1のセグメントを熱成形又は圧力成形するステップと、を含み、
前記プラスチック歯科矯正アライナーの前記第2のセグメントを成形するステップは、
歯の第2の組のモデルを含む前記歯科アーチの第2の部分の第2のモールドを生成するステップと、
前記第2のモールドに前記第2のセグメントを熱成形又は圧力成形するステップと、を含む
付記1に記載の方法。
〔付記3〕
前記第1のセグメントを成形するステップ及び前記第2のセグメントを成形するステップは、
前記患者の歯科アーチのモールドを生成するステップと、
前記プラスチック歯科矯正アライナーを成形するために前記モールドにてプラスチックを熱成形又は圧力成形するステップと、
前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントに前記プラスチック歯科矯正アライナーを分離するために前記プラスチック歯科矯正アライナーを切断するステップと、
を含む工程において一緒に行われる、
付記1に記載の方法。
〔付記4〕
前記コネクタは、第1の端部において前記第1のセグメントに及び第2の端部において前記第2のセグメントに拘束する弾性接着剤を備える、
付記1に記載の方法。
〔付記5〕
前記コネクタは、第2の方向における力の伝達を最小化すること無しで、第1の方向における力の伝達を最小化するためのものである、
付記1に記載の方法。
〔付記6〕
患者の歯科アーチの第1の部分に合致する第1の形状を有する第1のプラスチックセグメントであって、前記第1のプラスチックセグメントは、前記歯科アーチの前記第1の部分において歯の第1の組に力を印加するように構成されている、前記第1のプラスチックセグメントと、
前記患者の前記歯科アーチの第2の部分に合致する第2の形状を有する第2のプラスチックセグメントと、
前記第2のプラスチックセグメントに前記第1のプラスチックセグメントを結合するコネクタであって、前記コネクタは、前記第1のプラスチックセグメントと前記第2のプラスチックセグメントとの間の力の伝達を最小化するためのものである、前記コネクタと、
を備える歯科矯正アライナー。
〔付記7〕
前記コネクタは、第2の方向における力の伝達を最小化すること無しで、第1の方向における力の伝達を最小化するためのものである、
付記6に記載の歯科矯正アライナー。
〔付記8〕
前記コネクタは、セミリジッド熱硬化性、セミリジッド熱可塑性、又はセミリジッド金属の少なくとも1つを備える、
付記6に記載の歯科矯正アライナー。
〔付記9〕
前記第1のセグメント、前記第2のセグメント、及び前記コネクタは、単一連続プラスチックボディの部分である、
付記6に記載の歯科矯正アライナー。
〔付記10〕
前記歯科矯正アライナーは、前記第1のセグメントを介して前記歯科アーチの前記第1の部分にて歯の第1の組に第1の隔離力を印加するように、及び、前記第2のセグメントを介して前記歯科アーチの前記第2の部分にて歯の第2の組に第2の隔離力を印加するように構成される、
付記6に記載の歯科矯正アライナー。
〔付記11〕
前記コネクタは、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントの間のギャップにわたるように構成されており、前記ギャップは、臨床的に重要な力を受けないためのものである前記歯科アーチの1つ以上の追加の歯の位置に対応している、
付記6に記載の歯科矯正アライナー。
〔付記12〕
前記コネクタは、前記第1のプラスチックセグメント及び前記第2のプラスチックセグメントの間に力を印加する前に曲がるためのものである波型形状を備える、
付記6に記載の歯科矯正アライナー。
〔付記13〕
1つ以上の追加のセグメントであって、前記1つ以上の追加のセグメントは、前記患者の前記歯科アーチの追加の部分にて合致する追加の形状を備えている、前記1つ以上の追加のセグメントと、
前記1つ以上の追加のセグメントを前記第2のセグメントへの前記第1のセグメントの少なくとも1つに結合する1つ以上の追加のコネクタと、を更に備える、
付記6に記載の歯科矯正アライナー。
〔付記14〕
弾性バンドを受けるように構成された前記第1のプラスチックセグメントにおける保持形状であって、前記弾性バンドは、前記患者の歯の第2の組に力を印加すること無しで、前記歯の第1の組に遠位力又は近心力の1つを印加するためのものである、前記保持形状、を更に備える、
付記6に記載の歯科矯正アライナー。
〔付記15〕
前記第1のプラスチックセグメントは、前記コネクタの第1の端部を保持するように構成された第1の形状を備えており、前記第2のプラスチックセグメントは、前記コネクタの第2の端部を保持するように構成された第2の形状を備える、
付記6に記載の歯科矯正アライナー。
〔付記16〕
命令を格納している非一時的コンピューター読み取り可能ストレージ媒体であって、処理装置によって実行されるときに、
前記処理装置が、患者の歯科アーチのデジタル3次元モデルを受け取るステップと、
前記処理装置が、前記デジタル3次元モデルに基づいて、高速プロトタイピング装置に前記歯科アーチの物理的モールドを生成させるために、前記高速プロトタイピング装置に第1の命令を送るステップと、
前記物理的モールドが成形された後に、前記物理的モールドへのプラスチックシートの熱成形又は圧力成形に基づいて、熱成形又は圧力成形装置に歯科矯正アライナーを生成されるために、前記熱成形又は圧力成形装置に第2の命令を送るステップと、
前記処理装置が、切削工作機に前記歯科矯正アライナーを少なくとも第1のセグメント及び第2のセグメントに切断させるために、前記切削工作機に第3の命令を送るステップであって、前記患者の前記歯科アーチの後ろ側歯の第2の組にいくらかの力を印加すること無しで、前記患者の歯科アーチの前側歯の第1の組に力を、前記第2のセグメントに印加させる、ステップと、
を含むオペレーションを前記処理装置に行わせる、
非一時的コンピューター読み取り可能ストレージ媒体。
〔付記17〕
前記オペレーションは、
前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントの間にコネクタを設ける命令を送信するステップであって、前記コネクタは、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントの間における力を隔離するためのものである、ステップを更に含む、
付記16に記載の非一時的コンピューター読み取り可能ストレージ媒体。
〔付記18〕
前記デジタル3次元モデルは、前記コネクタの第1の端部を保持するように構成された第1の保持形状を前記第1のセグメントに備えさせる第1の形状と、前記コネクタの第2の端部を保持するように構成された第2の保持形状を第2のセグメントに備えさせる第2の形状とを備える、
付記17に記載の非一時的コンピューター読み取り可能ストレージ媒体。
〔付記19〕
前記第3の命令は、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントの間の前記歯科矯正アライナーの一部を、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントの間の力を隔離する前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントの間のコネクタにする、
付記16に記載の非一時的コンピューター読み取り可能ストレージ媒体。
〔付記20〕
前記オペレーションは、
弾性バンドを受けるように構成された前記第1のプラスチックセグメントにおいて保持形状を装置に成形させるために前記装置に第4の命令を送るステップであって、前記弾性バンドは、前記患者の歯の第2の組に力を印加すること無しで、前記第1の歯の組に遠位力を印加するためのものである、ステップを更に含む、
付記16に記載の非一時的コンピューター読み取り可能ストレージ媒体。