(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】インプラント可能な装置
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2021184706
(22)【出願日】2021-11-12
(62)【分割の表示】P 2020119693の分割
【原出願日】2016-02-12
【審査請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2015-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ラシンスキ, ランドール
(72)【発明者】
【氏名】ラスト, マシュー
(72)【発明者】
【氏名】マコーレー, パトリック
(72)【発明者】
【氏名】グレン, リチャード
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0260394(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0002401(US,A1)
【文献】国際公開第2013/128436(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/189974(WO,A1)
【文献】特表2007-536003(JP,A)
【文献】特表2014-510563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラント可能な装置において、
近位端部および遠位端部を有するフレームであって、該フレームは同フレームの前記遠位端部に位置する遠位頂点で交わる少なくとも第1のペアの隣接ストラットを備え、前記フレームは弁輪内の前記フレームの移動に抵抗するように構成された反後退形体を備える、前記フレームと、
前記反後退形体に設けられ、天然弁を包囲する組織に少なくとも部分的に埋め込まれ、前記フレームから離間するように遠位に延出可能、且つ前記フレームに対して引き込み可能な少なくとも一つのアンカーと、
前記フレームに連結され、同フレームを所望の構成に拘束するように構成された可動拘束部とを備えるインプラント可能な装置。
【請求項2】
近位端部および遠位端部を有し、複数の隣接ストラットから構成されたフレームであって、前記隣接ストラットは前記フレームの前記遠位端部に位置する遠位頂点で交わり、弁輪内の前記フレームの移動に抵抗するように構成された反後退形体を有する前記フレームと、
前記反後退形体に
設けられるとともに連結され、前記フレームに対して延長可能および引き込み可能であり且つ組織に係合するように構成された遠位端を有する複数のアンカーとを備えるインプラント可能な装置。
【請求項3】
前記反後退形体は前記フレームの遠位端部、近位端部または両方に配置される請求項1
または2に記載のインプラント可能な装置。
【請求項4】
前記反後退形体は前記フレームの近位端部または遠位端部の一方から形成されたスカートである請求項
3に記載のインプラント可能な装置。
【請求項5】
前記フレームは中心軸の周りに配置され、前記スカートは前記フレームの中心軸に対して傾斜して配置される請求項
4に記載のインプラント可能な装置。
【請求項6】
前記スカートは前記フレームの遠位端部から形成され、前記フレームの近位端部に向かって上方へ傾斜している請求項
4に記載のインプラント可能な装置。
【請求項7】
前記スカートは前記フレームの近位端部から形成され、前記フレームの遠位端部に向かって傾斜している請求項
5に記載のインプラント可能な装置。
【請求項8】
前記スカートは遠位向きの前記アンカーを支持し、前記フレームの中心軸に対して遠位向きの前記アンカーを傾斜して配置する請求項
5に記載のインプラント可能な装置。
【請求項9】
前記アンカーは前記フレームの遠位端に配置されて遠位および外方に延び、前記フレームの中心軸に対して傾斜して配置される請求項
8に記載のインプラント可能な装置。
【請求項10】
前記フレームは複数の頂点を形成するためにペアをなして接合される複数のストラットによって構成され、前記スカートは複数の頂点から形成される請求項
4に記載のインプラント可能な装置。
【請求項11】
前記少なくとも一つのアンカーは前記フレームによって回転可能に支持される請求項1に記載のインプラント可能な装置。
【請求項12】
前記反後退形体を含んだ前記フレームは前記フレームによって規定される中心軸に対して拡張可能である請求項1または2に記載のインプラント可能な装置。
【請求項13】
前記フレームは複数の頂点を形成するためにペアをなして接合された複数のストラットによって構成され、前記可動拘束部は少なくとも一つの頂点に連結され、一対の接合されたストラットの位置を調節して前記フレームの構成を調節する請求項1に記載のインプラント可能な装置。
【請求項14】
前記スカートは前記フレームの近位端部の外周の周りに傾斜して配置され、そのスカートに遠位向きの前記アンカーが配置されている請求項
8に記載のインプラント可能な装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[優先出願の言及による組み込み]
本願は、2015年2月13日出願の米国仮出願第62/116,248号に基づく優先権を主張し、該出願の全体が言及によって本願明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]本発明は概して心臓弁に関し、特に心臓弁置換用の装置、システム、及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[関連技術の記述]
僧帽弁疾患は、侵襲的外科処置を介して、又は、2つの小さな開口部を創製するとともに複雑に弁尖をつまむこと、若しくは天然弁を取り除く僧帽弁置換によって、通常は修復される。外科的手法は、患者の胸や心室を開き、直視し修復するために僧帽弁を露出することを含む、リスクを伴うバイパス手術に関与するものである。Edwards Life Scienceが製造するカーペンターエドワーズフィジオのような手術用リングの埋め込みを伴う患者の弁尖の切除や部分的除去は、外科医によって用いられる従来のものだが複雑な技術であり、患者の僧帽弁輪直径を小さくし、弁尖が適切に接合され、僧帽弁逆流を低減することができる。特許文献1に記載されており、米国において近年承認されたE弁カテーテル装置は、Ottavio Alfieri医師によって開発された外科的技術を再現する試みであり、これは、僧帽弁にわたり連結がおこなわれて、血液が流れるためにより小さな断面領域を合わせた2つの開口部を作製するものである。この技術は、逆流をわずかに低減する場合が多いが、手術用リング埋め込みほど耐久性のある解決方法ではない。このように、これらの難点のない、僧帽弁疾患に対する解決方法が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
当該装置は心臓弁置換として用いられ得る。装置は、1つ以上の弁尖を含む弁に連結されたインプラント可能なフレームを含む。装置は、天然の僧帽弁を置換し得る。また、装置は、例えば鼠径部の静脈経路や、左心房にアクセスする心臓の経中隔穿刺を介して、カテーテル処置によって送達され得る。装置は、折りたたまれた構成で送達され、拡張するために左心房で露出される。
【0006】
装置は、通常軸方向に第1側と第1側と反対の第2側を有し、フレームの端部に連結されたフレアー状端部などのスカートを有する、軸を規定する閉じた形状のフレームを含むとよい。スカートは、フレームのフレアー状端部又は端部分であり得る。フレームは拡張し得る。インプラント可能なフレームは、例えば1つ以上の弁尖に取り付けられるなど、1つ以上の弁尖と連結され得る。弁尖は、組織、ポリマー、又は他の適切な材料であり得る。一部の実施形態において、弁尖は、縫合技術を利用してフレームと連結され得る。
【0007】
装置は、フレームと連結された1つ以上のアンカーを含むとよい。アンカーは、1つ以上のアンカーの端部に貫通部を有する長いロッドであり得る。アンカーは、例えばフレームの遠位端部又は近位端部から、フレーム周辺の周囲に配置されるとよい。天然弁輪などの天然組織を係合するアンカーで、フレームが僧帽弁内で良好に固定され得る。アンカーは、組織を係合、又は組織に係合するときに、直線経路、曲線経路、又はそれらの組合せの経路をとるとよい。アンカーは、組織を係合、又は組織に係合するときに、フレアー状端部などのスカートの経路をとるとよい。
【0008】
装置は、1つ以上のシールを含むとよい。バリア、リング、カフ、又はトロイドなどのシールは、例えば、弁の周りの漏出を防ぐために、及び/又はインプラントされたフレームの固定を補助するために、包含され得る。
【0009】
一態様において、インプラント可能な心臓弁装置が開示される。装置は、近位端部、遠位端部、及び管状フレームを貫通する中心内腔を有する管状フレームを含み、該フレームは、近位向き頂点で接合された少なくとも第1のペアの隣接ストラット、及び遠位向き頂点で接合された少なくとも第2のペアの隣接ストラット、を含む。装置は、フレームに連結され且つ天然僧帽弁を包囲する組織に埋め込まれるように構成された複数の遠位向きアンカー、中心内腔を通過する血流を調節するようにフレームに連結された弁、フレームと連結され且つ所望の幅でフレームを拘束するように構成された可動拘束部、及び、弁周囲の漏出を防ぐための、フレームによって保持された輪状シールをさらに含む。
【0010】
一部の実施形態において、輪状シールはバリアを含む。バリアは、フレームの内部に配置されるとよい。バリアは、フレームの外部に配置されてもよい。
【0011】
一部の実施形態において、輪状シールはカフを含む。カフは可膨張性であるとよい。
【0012】
一部の実施形態において、輪状シールは軸方向に延びるバリア、並びに外方及び径方向に延びるリングを含む。
【0013】
一部の実施形態において、弁尖は心臓周囲組織を含む。
【0014】
一部の実施形態において、装置は、弁を管状体に接続するための複数のコネクタをさらに含む。
【0015】
一部の実施形態において、拘束部は、第1のペアの隣接ストラットを受ける開口部を含む。拘束部は、カラーを含むとよい。カラーはねじ山面を含むとよい。第1のペアの隣接ストラットは、ねじ山面を含むとよい。
【0016】
一部の実施形態において、拘束部は、管状体によって保持され、且つ中心内腔を包囲するループを含む。拘束部は、所定の範囲内で径方向にインプラント体を可逆的に調節するように構成されるとよい。
【0017】
一部の実施形態において、カラーを軸方向に前進させることで、第1のペアのストラット間の角度を小さくして、インプラント体を再成形する。
【0018】
一部の実施形態において、アンカーはそれぞれ、インプラント体によって回転可能に保持される。
【0019】
一部の実施形態において、アンカーは引き込み可能であるように構成される。
【0020】
一部の実施形態において、インプラント体は、近位端部での直径が遠位端部での直径と異なるように再成形されるように構成される。
【0021】
一部の実施形態において、拘束部は、第1のペアのストラットに沿って軸方向に摺動可能である。
【0022】
一部の実施形態において、複数のアンカーの少なくとも1つは、らせん形状を有し、アンカーを回転させることで、アンカーが組織内へと延長する。
【0023】
一部の実施形態において、装置は、少なくとも4つのペアの隣接ストラットと少なくとも4つの頂点とを含む。装置は、少なくとも4つの拘束部を含むとよい。装置は、少なくとも4つのアンカーを含むとよい。
【0024】
一部の実施形態において、アンカーの回転は、インプラント体に対してアンカーを軸方向に変位させる。
【0025】
一部の実施形態において、隣接するペアのストラットにおける各ストラットは、ねじ山面を含む。
【0026】
一部の実施形態において、弁は、少なくとも第1の弁尖と第2の弁尖とを含む。第1及び第2の弁尖は、弁を出ていく血流方向を選択的に方向づけるように、異なるサイズであるとよい。弁は、第3の弁尖をさらに含むとよく、第1の弁尖は第2及び第3の両弁尖よりも大きい。第1の弁尖は、弁の前方側に配置されるとよい。
【0027】
一部の実施形態において、インプラント体の遠位端部は、内腔から外側にフレアー状になっているスカートを含む。スカートは外側及び遠位にフレアー状になっているとよい。
【0028】
一部の実施形態において、インプラント体の遠位端部は、外側及び近位にフレアー状になっているスカートを含む。
【0029】
図の構成要素は、その明確性を高め、本明細書に記載のこれらの種々の構成要素及び実施形態の理解を向上させるために、必ずしも正確な縮尺で描かれていない。さらに、当業者には一般的であり深く理解されていることが既知である構成要素は、本明細書に記載の種々の実施形態の明確な図を示すために記載されておらず、故に図面は、明確性及び簡潔性のために簡易化された形態である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1A】
図1Aは、ヒトの心臓における天然僧帽弁の解剖学的形態及び周囲形体の部分断面図である。
【
図2】
図2は、フレーム及び遠位に延びるアンカーの実施形態を含む、心臓弁装置の実施形態の部分側面図である。
【
図3A】
図3Aは、遠位端部において傾斜したスカートと、フレームの遠位端部に配置された遠位及び外側に延びるアンカーと、を備えたフレームの実施形態を有する心臓弁装置の実施形態の斜視図である。
【
図3B】
図3Bは、近位端部において傾斜したスカートと、フレームの近位端部に配置された遠位及び外側に延びるアンカーと、を備えたフレームの実施形態を有する心臓弁装置の実施形態の斜視図である。
【
図4A】
図4Aは、本明細書に記載の種々の心臓弁装置とともに用いられ得るアンカーの異なる実施形態の斜視図である。
【
図4B】
図4Bは、本明細書に記載の種々の心臓弁装置とともに用いられ得るアンカーの異なる実施形態の斜視図である。
【
図5】
図5は、スカート、傾斜したアンカー、僧帽弁、及び、バリアとして示された内部輪状シールを備えたフレームを有する心臓弁装置の実施形態の斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、バルーンを用いて本明細書に記載の種々の心臓弁装置を送達し配置するための送達システムの実施形態の部分斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、心臓弁装置の実施形態の部分斜視図であり、フレームとアンカーとのインターフェイスの実施形態を示す。
【
図7B】
図7Bは、心臓弁装置の実施形態の部分斜視図であり、フレームとアンカーとのインターフェイスの実施形態を示す。
【
図7C】
図7Cは、心臓弁装置の部分断面図であり、フレームとアンカーとの湾曲したインターフェイスの実施形態を示す。
【
図8A】
図8Aは、装置から出る血流の再方向付けのために構成された異なるサイズ及び形状の弁尖を有する弁を備えた心臓弁装置の実施形態の種々の図を示す。
【
図8B】
図8Bは、装置から出る血流の再方向付けのために構成された異なるサイズ及び形状の弁尖を有する弁を備えた心臓弁装置の実施形態の種々の図を示す。
【
図8C】
図8Cは、
図8Aの装置の側面図であり、装置から出る、再方向付けされた流れの実施形態を示す。
【
図8D】
図8Dは、
図8Bの装置の側面図であり、装置から出る、再方向付けされた流れの実施形態を示す。
【
図8E】
図8Eは、左心室に入る血流の再方向付けのためにインプラントされた心臓弁装置の実施形態を備えた心臓僧帽弁の部分断面図である。
【
図8F】
図8Fは、左心室に入る血流の再方向付けのためにインプラントされた心臓弁装置の実施形態を備えた心臓僧帽弁の部分断面図である。
【
図9】
図9は、心臓弁装置の実施形態の部分側面図であり、中心スパイクを包囲するコイルを含む、フレームとアンカーとのインターフェイスを示す。
【
図10】
図10は、装置が僧帽弁輪内にインプラントされるときに、左心室に延びて、天然僧帽弁を排除するための、延長フレームを備えた心臓弁装置の実施形態の側面図である。
【
図11】
図11は、織物バリアとして示されたシールを備えた心臓弁装置の実施形態の斜視図である。
【
図12】
図12は、傾斜部分を有する拡張可能フレーム及びバリアとして示されたシールを備えた心臓弁装置の実施形態の斜視図である。
【
図13A】
図13Aは、ヒトの心臓の部分断面図であり、トロイドなどのリング又はカフとして示されたシールを備えた心臓弁装置を送達するための送達システムの実施形態を示す。
【
図13B】
図13Bは、ヒトの心臓の部分断面図であり、トロイドなどのリング又はカフとして示されたシールを備えた心臓弁装置を送達するための送達システムの実施形態を示す。
【
図13C】
図13Cは、ヒトの心臓の部分断面図であり、トロイドなどのリング又はカフとして示されたシールを備えた心臓弁装置を送達するための送達システムの実施形態を示す。
【
図14A】
図14Aは、心臓弁装置の実施形態の部分側面図であり、ねじ山部とカラーとして示された対応する可動拘束部とを含む封止システムを備えたフレームを示す。
【
図14B】
図14Bは、心臓弁装置の実施形態の部分側面図であり、ねじ山部とカラーとして示された対応する可動拘束部とを含む封止システムを備えたフレームを示す。
【
図15】
図15は、心臓弁装置の実施形態の斜視図であり、ねじ山部とカラーとして示された対応する可動拘束部の選択配置とを含む封止システムを備えたフレームを示す。
【
図16】
図16は、本明細書に記載される種々の心臓弁装置の外科的配置又はカテーテル送達のために、該装置を保持する器具の斜視図である。
【
図18】
図18は、バリアとして示される内部輪状シールと、左心室内から装置を送達及び固定するための傾斜アンカーとを備えた心臓弁装置の実施形態の斜視図であり、アンカーの1つと連結された送達システムドライバを示す。
【
図19A】
図19Aは、円形リングとして示されたフレームを備えた心臓弁装置の実施形態の上面図である。
【
図19B】
図19Bは、円形リングとして示されたフレームを備えた心臓弁装置の実施形態の斜視図である。
【
図20A】
図20Aは、「D」形リングとして示されたフレームを備えた心臓弁装置の実施形態の上面図である。
【
図20B】
図20Bは、「D」形リングとして示されたフレームを備えた心臓弁装置の実施形態の斜視図である。
【
図21A】
図21Aは、楕円形リングとして示されたフレームを備えた心臓弁装置の実施形態の上面図である。
【
図21B】
図21Bは、楕円形リングとして示されたフレームを備えた心臓弁装置の実施形態の斜視図である。
【
図22A】
図22Aは、本明細書に記載の種々の心臓弁装置を送達、及び例えば長円形にするなどの成形のための、送達及び成形システムの実施形態の部分上面図である。
【
図22B】
図22Bは、本明細書に記載の種々の心臓弁装置の送達、及び例えば長円形にするなどの成形のための、送達及び成形システムの実施形態の部分斜視図である。
【
図23】
図23は、本明細書に記載の種々の心臓弁装置の送達、及び例えば長円形にするなどの成形のための、ピストンベースの送達及び成形システムの実施形態の部分斜視図である。
【
図24A】
図24Aは、本明細書に記載の種々の心臓弁装置の送達、及び例えば長円形にするなどの成形のための、バルーンベースの送達及び成形システムの実施形態の部分斜視図である。
【
図24B】
図24Bは、本明細書に記載の種々の心臓弁装置の送達、及び例えば長円形にするなどの成形のための、バルーンベースの送達及び成形システムの実施形態の部分斜視図である。
【
図25A】
図25Aは、本明細書に記載の種々の心臓弁装置の送達、及び例えば長円形にするなどの成形のための、回転シャフトベースの送達及び成形システムの実施形態の部分斜視図である。
【
図25B】
図25Bは、本明細書に記載の種々の心臓弁装置の送達、及び例えば長円形にするなどの成形のための、回転シャフトベースの送達及び成形システムの実施形態の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
多くの実施形態及びアプリケーションを示す以下の記載において、本明細書の一部をなし、また本明細書に記載されている実施形態が実施され得る特定の実施形態を一例として示す添付の図面を参照する。他の実施形態が用いられ得、本開示の範囲から外れることなく改変がなされ得ることが理解される。
【0032】
種々の進歩的な特性が以下に記載され、それぞれが互いに独立的に又は他の特性と組み合わせて用いられることができる。しかしながら、任意の1つの進歩的特性は、上述の課題のすべてに対処するわけではなく、上述の課題の1つに対処するのみである。さらに、上述の1つ以上の課題が、以下に記載の各実施形態の特性によって完全に対処されるわけではない。
【0033】
心臓弁装置の種々の実施形態が記載される。関連する送達及び/又は配置システムも記載される。装置は、天然心臓組織に装置を固定するアンカーを備えた拡張可能フレームを含むとよい。アンカーは、フレームによって規定される軸にアライメントされる、及び/又はそのような軸に対して傾斜されるとよい。フレームは、天然僧帽弁輪などの天然心臓弁輪内に固定的に配置するために、拡張及び/又は成形されるとよい。例えば、フレームは、拡張時に、心臓における装置の確実な配置を可能にするフレアー状端部又はスカートを有するとよい。装置には、血流を方向づけるためのバリアも含むとよい。装置は、装置周囲で血液漏出を防止するために、シールを含むとよい。これらは、本明細書に記載される装置及びシステムの特性の一部である。
【0034】
図1Aは、ヒトの心臓の天然僧帽弁MV及び左心室LVの部分断面図である。
図1Bは、
図1Aの天然僧帽弁MVの詳細図である。僧帽弁MVは、左心室LVと左心房(僧帽弁MVの上部)とをつなぐ。僧帽弁輪MVAは、僧帽弁MVを包囲する。腱索CTは、左心室LV壁の乳頭筋から、僧帽弁MVの弁尖に延びる。大動脈弁AVは僧帽弁MVの下流にある。左心室LVの拡張期に、僧帽弁MVが開いて、左心房(僧帽弁MV上部)から僧帽弁MVを介して左心室への血流を可能にする。大動脈弁AVは、心室拡張期に血流が左心室から出るのを防ぐために閉じる。心室収縮期には、僧帽弁MVが閉じ、大動脈弁AVが開いて、左心室から大動脈弁AVを介して大動脈(大動脈弁AV上部)への血流を可能にする。
【0035】
図1Bに示されるように、僧帽弁MVは、開口部を包囲する前尖と後尖とを含む。開口部は、繊維輪である僧帽弁輪MVAに包囲される。2つの弁尖は、開口部の一端部の前交連及び開口部の反対の端部の後交連で接合される。
【0036】
図1Cは、先行技術の三弁尖弁の斜視図である。三弁尖弁は、折りたためるフレームに挿入され得るものと類似する。
【0037】
図2は、遠位に延びるアンカー300を有する心臓弁置換装置10の実施形態の部分側面図である。該装置10は、拡張可能フレーム100を含むとよい。一部の実施形態において、装置10は弁200を含み得る(例えば
図5参照)。弁200は、フレーム100に連結された組織弁尖からなるとよい。装置10は、フレーム100及び/又は弁200を天然輪内に固定するために、フレーム100の遠端部102に連結された1つ以上の遠位に延びるアンカー300を備えるとよい。装置10は、フレアー状のフレーム100端部から形成されたスカート150などの、装置を固定するための反後退形体を含むとよい。代替又は追加的に、装置10は、本明細書に記載されるような、反カウンター回転アンカー300、曲線経路アンカー、又は外側に延びるアンカー・傾斜アンカー300などの種々の他の固定形体を備えるとよい。
【0038】
フレーム100は、近位端部101と、近位端部101とは反対の遠位端部102を含むとよい。装置10は、インプラントされるときに、近位端部101が左心房により近く、遠位端102が左心室により近くなるように向けられるとよい。
【0039】
一部の実施形態において、フレーム100は、近位端部101と遠位端部102との間で管状であるとよい。管は、任意の概して円形の閉じた形状を含む。例として、フレーム100は、本明細書に記載されるように、環状又は非環状であるとよい。フレーム100は、本明細書に記載されるように、例えば「D」形状、楕円形、長円形などの種々の形状を有するとよい。形状は、患者の解剖学的形態に合致するように選択されるとよい。
【0040】
フレーム100はボディ110を含むとよい。ボディ110は管状構造物であるとよい。ボディ110は、近位端部101と遠位端部102との間でボディを貫通する中心内腔を規定するとよい。一部の実施形態において、ボディ110は、1つ以上のワイヤ又はセグメントから主に形成されるとよい。ワイヤ又はセグメントは、種々の断面構造、例えば円形、平面、多角形、分割化、滑らか、鋭利、増大領域、縮小領域、他の適切な構造、又はそれらの組合せを有するとよい。ワイヤ又はセグメントは、フレーム100の一式のストラットを形成するとよい。
【0041】
ボディ110は、
図2に示されるように、ストラット110A、110B、110Cを含むとよい。明確にするために、
図2の他のストラットには符号が付されていない。フレーム100は、ペアの隣接ストラットによって形成される1つ以上の頂点を含むとよい。ペアの隣接ストラットの各ストラットは、本明細書に記載されるように、ねじ山面を含むとよい。図示されるように、フレーム100の近位端部101に配置され、例えばストラット110A、110B、110Cの近位頂上によって形成された1つ以上の近位頂点103が存在するとよい。フレーム100の遠位端部102に配置され、例えばストラット110A及び110B、110B及び110Cなどによって形成された1つ以上の遠位頂点104が存在するとよい。明確にするために、すべての頂点103、104に符号が付されているわけではない。少なくとも4つのペアの隣接ストラット及び少なくとも4つの頂点が存在するとよい。
【0042】
ボディ110は、ともに連結された個別の部分であってよい。例として、フレーム100は、共に連結された、1つ以上のストラット110A、110B、110Cなどの複数のボディ100部分から構成されるとよい。
図2に示されるように、隣接するストラットは、アンカー300の1つによってともに連結されるとよい。例として、ストラット110Aは、アンカー300を介してストラット110Bに連結されるとよい。同様に、ストラット110Bは、他のアンカー300を介してストラット110Cに連結されるとよい。フレーム100の残りのストラットは、同様に共に連結されるとよい。
【0043】
一部の実施形態において、フレーム100は、フレームの一部を共に連結するための開口部を含むとよい。図に示されるように、ストラット110A及びストラット110Bは、共通のアンカー300が回転経路の開口部を通って延びるための開口部を含む。他のストラットは同様に連結されるとよい。ボディ110は、フレーム100を構成するために溶接、ヒュージング、ピン、又はねじを介して個別の部分をともに連結することで形成されてもよい。
【0044】
一部の実施形態において、ボディ110は一体的であってもよい。例えば、ボディ110は、同じモノリシックな材料片から形成されるとよい。一部の実施形態において、ボディ110は部分的に一体的である。例として、ボディ110は、各ストラット群が複数の一体的ストラットを含む、連結された複数のストラット群から形成されるとよい。アンカー300は、ともに連結された個別の部分からなるフレーム100について上述されたような一体的又は部分的に一体的なボディ110に連結されるとよい。
【0045】
アンカー300は、ボディ320及び頭部310を含むとよい。ボディ320は、アンカー300の長さに沿って延びるとよい。ボディ320は、組織を貫通して係合するために、鋭利な先端などの貫通端部を含むとよい。ボディ320は、図に示されるようにコイル状構成であってよい。へッド310は、貫通先端部としてのアンカー300の反対の端部に配置されるとよい。へッド310は、さらに本明細書に記載されるように、例えば、装置10を所定の位置に固定するためのアンカー300の組織への移動のために、アンカー300に器具を係合させる機構を含んでいてもよい。アンカー300は、
図2に示されるように、フレーム100の遠位端部102に連結され、遠位端部102から遠位に延びるとよい。
【0046】
図2に示されるように、フレーム100は、通常、拡張及び/又は収縮構成の円筒形であってよい。近位及び遠位端部101、102は、ストラットに通常アライメントする、及び/又はフレーム100によって規定される軸に通常沿うとよい。このように、アンカー300は、軸方向に及び/又はフレーム100と同様の平面に通常延びるとよい。こうしてアンカー300は、図示されるように、フレーム100を貫通し、通常軸に沿って延びるとよい。フレーム100及びアンカー300はこのように、円筒形、又は延長管状3次元ボリュームを通常規定するとよい。
【0047】
一部の実施形態において、例えば2011年1月7日に出願のRoweによる米国特許出願第12/986,780号に記載されるように、経皮大動脈弁フレーム形体が含まれてもよく、そのすべての内容が言及によって本明細書に組み込まれる。一部の実施形態において、例えば2014年12月5日に出願のLashinskiによる米国特許出願第14/562,554号に記載されるように、調節可能な腔内僧帽弁200輪用形体が含まれてもよく、そのすべての内容が言及によって本明細書に組み込まれる。
【0048】
フレーム100は、ステンレス鋼、コバルトクロム、ニチノール、ニチノール合金、他の適切なインプラント可能若しくはインプラントグレードの材料、又はそれらの組合せを含むがこれらに限定されない、種々の材料から形成されるとよい。フレーム100は、可鍛性材料から構成されてもよい。装置は放射線透過性であるとよく、X線又は蛍光透視法を介して装置拡張をモニターすることができる。フレーム100にわたるより良好な視覚化のために、さらなるマーカーが追加されてもよい。
【0049】
フレーム100は、均一の厚みを有するとよい。一部の実施形態において、ストラット110A、110B、110Cは、例えばストレス領域において静止性及び柔軟性を増加させるために、異なる厚み及び/又は幅を有するとよい。管状フレーム100のおよその壁厚は、約0.20~約1.00ミリメートルの厚みであるとよい。ストラット110A、110B、110C幅は、約0.20ミリメートル~約1.00ミリメートルであるとよい。一部の実施形態において、ストラット110A、110B、110C幅は、約0.50ミリメートルの厚みであるとよい。一部の実施形態において、ストラット110A、110B、110C幅は、約0.75ミリメートルの幅であるとよい。一部の実施形態おいて、例えばフレーム100にわたって異なる硬さを得るために、径方向及び/又は長さ方向に可変の厚みが採用されるとよい。フレーム100の厚みは、ボディ110又はストラット110A、110B、110Cなどのフレーム100材料の選択領域を、研削加工など機械加工して得られるとよい。
【0050】
フレーム100は、表面輪郭、表面仕上げ、表面コーティングなどを含むがこれらに限定されない、可変表面トポグラフィを有するとよい。所望のトポグラフィは、フレーム100において選択した領域を表面研削することで得られ得る。フレーム100は、合金要素に対する有害な組織作用又は反応を低減する滑らかでパッシべーションされた表面を得るために、例えばフレーム100の組み立て後に、電解研磨を行うとよい。上述のように所望の厚みを採用するために、これらの方法及び他の方法が用いられてもよい。
【0051】
一部の実施形態において、フレーム100の組み立ては、予測可能な拡張幾何学性を規定するために、小さな管の模様にレーザー切断することを含むとよい。フレーム100の管状要素は、Nd:YAG又はCO2レーザーなどの切断レーザーによって除かれるとよい。例えばインプラント及び送達のために拡張及び収縮を可能にするように、例として、ダイアモンド又は正弦パターンが適用されるとよい。本明細書にさらに記載されるように、例えば縫合糸を通して組織及び/又はアンカー300を取り付けるためになど、取り付け形体を取り付けるために、フレーム100には孔が開けられるとよい。
【0052】
フレーム100は、拡張するように構成されるとよい。一部の実施形態において、フレーム100は、形状記憶によって拡張するように構成されるとよい。例えば、フレーム100は、ニチノール合金から構成されて、所望の直径又は形状にヒートセットされ、配置部位内における拡張のための機械的手段の必要性を低減又は排除するとよい。
【0053】
一部の実施形態において、フレーム100は機械的に拡張するように構成されるとよい。例として、フレーム100の拡張は作動に関与し得る。一部の実施形態において、フレーム100は流動的に拡張されるように構成されるとよい。例として、フレーム100の拡張は、液圧手段に関与し得る。一部の実施形態において、フレーム100は、機械、流体、及び/又は他の手段の組合せをによって拡張するとよい。例として、フレーム100の拡張は、バルーンやリンケージを介して行われ、フレーム100をしぼんだ状態から拡張した状態に動かす内部の半径方向の力を提供することができる。フレーム拡張特性のさらなる詳細は、例えば
図22A~
図25Bに関して本明細書に示される。
【0054】
フレーム100は、非均一の拡張性を有するとよい。フレーム100の非均一の拡張性は、切断パターンに設計されるものであってよい。一部の実施形態において、非均一のフレーム100の幾何学性は、例えばそれぞれの患者に対する良好な適合をもたらすものであってよい。例えば、楕円形パターンが、特定の患者の輪形状などの僧帽弁の解剖学的形態に良好に適合し得る。楕円形最終形状は、例えば、前・後の寸法が中隔・側方の寸法よりも狭いGeoForm輪状形成リングにより類似する好ましい最終形状を可能にし得る。一部の実施形態において、例えば、前尖を脱落及び拡張した病的位置から持ち上げることで弁尖を通常接合状態に動かす補助をするために、例えば弁200弁尖などの、装置における垂直の幾何学的起伏が含まれるとよい。
【0055】
フレーム100は、フレーム100に施されるコーティングなど、種々の薬剤溶出特性を含むとよい。薬剤は、組織の回復反応を阻止又は抑制するとよい。そうした特性は、ヘパリン、薄膜ポリマー、薬剤溶出、親水タイプ若しくは他の適切なコーティング、又はその組合せを含むとよい。コーティングには、適切な回復のために、多くの薬剤及び抗炎症剤が添加されるとよい。身体の周囲領域への溶出のために薬剤又はコーティングを装填する空間を形成するように、ポケット、孔、又はウェルが、例えばフレーム100への切込みに含まれるとよい。
【0056】
装置10は、1つ以上のアンカー300を含むとよい。少なくとも4つのアンカー300が存在するとよい。4つよりも少ない又は多いアンカー300が存在してもよい。アンカー300は回転するとよい。アンカー300はそれぞれ、フレーム100に回転可能に保持されるとよい。アンカー300の回転は、フレームボディ110に対してアンカー300を軸方向に変位するとよい。アンカー300は、組織を貫通し、曲げ及び/又は軸方向移動に抵抗し、他の必要な機能を果たすように構成されるとよい。アンカー300は、引き込み可能であるように構成されるとよい。装置10は、僧帽弁200輪内に配置され、複数のアンカー300を介して天然組織に取り付けられるとよい。アンカー300は、本明細書に記載されるようにフレーム100の周囲に配置されるとよい。アンカー300は、装置10が隣接する組織に対して移動することを防ぎ、及び/又は装置10の周囲の漏出を防止するとよい。本明細書に記載されるように例えば複数の有刺スパイクを含む、種々のアンカー300が装置を固定するために用いられるとよい。
【0057】
一部の実施形態において、アンカー300は、時計回り又は反時計回りの回転ねじを含むとよい。アンカー300は、円形、楕円形、矩形、他の適切なワイヤ、又はそれらの組合せなどのワイヤボディ320から構成されるとよい。アンカー300は、滑らかに研磨され得、例えば1つの方向若しくは両方向に回転を制限するように表面不規則性を有し得、他の適切な特性、又はそれらの組合せであり得る。回転アンカー300は、ステンレス鋼、コバルトクロム、ポリマー、他の適切なインプラント可能又はインプラントグレードの材料、又はそれらの組合せから構成されるとよい。
【0058】
アンカー300は、コイル形状、らせん状などであるとよい。らせん状アンカー300は、約0.2ミリメートル~約1.0ミリメートルの断面直径を有するワイヤボディ320から構成されるとよい。コイル状構成において、アンカーは、約1.0ミリメートル~約3.0ミリメートルの「コイル直径」を有し得る。コイル直径は、コイルによって規定される軸に垂直に測定されるようなコイル状ワイヤによって形成された最終コイル形状の直径と、おおよそ等しい長さを示すものである。コイルのピッチは、約10スレッド毎インチ~約36スレッド毎インチであるとよい。ピッチはアンカーの長さに沿って一定であるとよい。一部の実施形態において、ピッチはアンカーの長さに沿って一定ではない。軸に沿って測定されるような、アンカーの軸方向の長さは、種々の長さであってよい。一部の実施形態において、軸方向の長さは、約2ミリメートル~約10ミリメートルであるとよい。代替的構成は、らせん状パターンを、上述されるような類似の構成を有するコイル状アンカー300に切削することであり得る。
【0059】
アンカー300は、例えば
図7A~
図7Bに関して本明細書にさらに詳細に記載されるように、アンカーを通過させるために、孔などの開口部130を介してフレーム100に通すことができる。一部の実施形態において、フレーム100は、アンカー300が自在に回転して、孔内で横方向に移動することを可能にする、単一の貫通孔接続部を有するとよい。例えば
図3B及び5に示されるように、アンカー300と貫通孔を備えたフレーム100とを有する実施形態において、装置10は、組織に係合して回転されるときに組織の近くにフレーム100を引き寄せるとよい。
【0060】
アンカー300の接続及び打ち込みは、スロット要素、六角レンチ、又は同様の手段を介して行われるとよい。接続及び取外し手段は、患者の身体外部に配置された回転シャフトなどの打ち込み手段に対してアンカー300を保持するための、ピュアスロット及びレシーバ、折りたたみ可能継手、又は磁気接続で有り得る。接続部は、より大きい要素を送達カテーテルに沿って長さ方向に互い違いにすることで断面直径を小さくして、その状態で、送達のために事前に取り付けられ搭載されるか、又は身体に取り付けられることができる。例として
図4A~
図4Bが参照される。
【0061】
一部の実施形態において、アンカー300は、周辺部に持ち上がった又は切り込んだねじ山を有するねじ状ロッドであるとよい。アンカー300は、接続軸における曲げモーメントに抵抗する、組織におけるより安定的な要素として機能する。中心軸内に硬さや材料を加えることで、アンカー300を組織に打ち込むためのさらなる回転力が必要とされるが、より強力な点固定となり得る。コイル状アンカー300と同様の材料から構成されるとき、この形状及び形態はテーパー状にされ、挿入時の貫通力を低減し得る。
【0062】
アンカー300における表面改変は、反対の回転方向に抵抗することで、保持力を増加させ得る。アンカー300の小さな刺又は表面の切込みは、インプラント後の反回転及びアンカー300の緩みに抵抗し得る。これらの表面改変は、アンカー300を切り込む又はスウェージ加工する化学的処理又は機械的力を介して行われ得る。
【0063】
フレーム100を周囲組織に取り付けるアンカー300は、フレーム100の中心軸に平行であり得、又はアンカー300をさらに実体的組織に方向づけるように外側に傾斜され得る。中心軸から約5度~90度の傾斜が、更なる強度と固定性とのために、アンカー300を繊維状の心筋組織に方向づけ得る。アンカー300を包囲する輪組織に応じて、角度が周方向に変わり得る。特に、大動脈弁AV近傍の三角形領域の間で、組織は繊維状であるが薄く、ゆえにより鋭角であることが適切であり、望ましくない漏出を招く大動脈弁AV洞を貫通しない。一方で、三角形領域の反対では、この領域においてより厚く、より血管が付いている組織があるため、より鈍角であることが有利で有り得る。また、深いアンカー300により、軟組織へのさらなる貫通が可能である。これらの角度の変化は、フレーム100における近位配置アンカー300又は遠位配置アンカー300に組み込まれることができる。
【0064】
アンカー300の位置は、装置10の角度を方向づけるために、及び/又は天然僧帽弁の3次元形状のサドル形状に対応し収容するために、フレーム100の高さに沿って変化し得る。
【0065】
装置10の送達は、左心房へ、そして僧帽弁輪MVAへの経中隔侵入のために、鼠径部の大腿静脈を介してなされるとよい。アンカー300は、左心房(僧帽弁上部)から輪状MVAに挿入されるとよい。一部の実施形態において、送達は経尖端侵入から行われ、例えばアンカー300は左心室LVに配置されなくともよい。
【0066】
図3Aは、傾斜遠位端部102を有するフレーム100の実施形態を備えた心臓弁置換装置10の実施形態の斜視図である。
図3Aの装置10は、
図2に関して記載された装置10と同じ又は同様の形体及び/又は機能を有するとよく、逆もまた同様である。
図3Aに示されるように、装置10は、フレームの遠位端部に配置された、遠位及び外側に延びるアンカー300を含むとよい。すなわち、アンカー300は、フレーム100によって規定される軸に対して、及び/又は、フレーム100の概して管状である部分によって規定された平面に対して、傾斜して配置される。
【0067】
フレーム100は、スカート150などの反後退形体を有するとよい。そうした形体は、左心室LVからフレーム100を弁200輪内に捉えるために、フレーム100の傾斜又はフレアー状遠位端部102を含むとよい。この形体は、フレーム100における下部レーザー切断パターンの曲げ部で有り得、例えば
図12に示されるように、配置において又は配置段階時に作動され得る。フレーム100のこの下部分は、左心房に向かって上側方向に傾斜され得、弁200が閉じるときの移動に抵抗する。血圧は、例えば収縮期に、閉じた弁200に作用し、左心房の方向に力を与える。フレアー状の下部フレーム100部及び/又はアンカー300は、その意図した配置からフレーム100を移動させるこの力に抵抗し得る。
【0068】
図3Bは、近位端部101において傾斜したスカート、フレームの近位端部101に配置された遠位及び外側に延びるアンカー300、を備えたフレーム100の実施形態を有する心臓弁装置10の実施形態の斜視図である。
図3Bの装置10は、
図2及び
図3Aに関して記載された装置10など、本明細書に記載された他の装置10と同じ又は同様の形体及び/又は機能を有するとよく、逆もまた同様である。しかしながら、言及されるように、
図3Bにおいて近位端部101はフレアー状であってスカート150を形成する。さらに、アンカー300はそれぞれ、近位端部101においてフレーム100の頂点の開口部を貫通する。そうした配置は、例えば
図18に関して本明細書にさらに記載されるように、左心室LV内からの装置10のインプラントを可能にし得る。
【0069】
図4A及び
図4Bは、本明細書に記載の様々な心臓弁装置10とともに用いられ得るアンカー300の種々の実施形態の斜視図である。アンカー300は回転され、装置10を引き寄せて周囲組織に密着して接触させて、その移動を防ぐとよい。
図4Aに示されるように、アンカー300はヘッド310を含み、該へッド310はそこ規定される凹部310Aを有するとよい。四角頭又は六角頭ツールなどの相補形状ツールは、ツールからアンカー300に回転力を伝達するために、凹部310Aに受け入れられるとよい。
図4Bにおいて示されるように、ヘッド310は、アンカー300の同様の回転のために、対応するツールによって把持又は固定され得るアンカー体320の概して平坦な部分であるか、又はそうでなければ非コイル状部分であるとよい。
【0070】
図5は、フレアー状スカート150、傾斜したアンカー300、インプラント僧帽弁200、及び、バリアとして示された内部輪状シール400を備えたフレームを有する心臓弁装置10の実施形態の斜視図である。装置10は、装置10の近位端部101における一体的アンカー300、及び装置10の周りで漏出を防ぐための輪状シール400と共に、フレーム100に取り付けられた弁200を有する。弁200は、弁尖210A、210B、及び210Cを含む。弁尖210A、210B、及び210Cは、輪状シール400とともに取り付けられ、装置10の周りで漏出を阻止する。シール400はシール体410を含むとよい。シール体410は、シール400の側壁を概して形成する薄い壁構造物であるとよい。シール400は、フレーム100の内部側に取り付けられて示される。シール400は明確性のために破線で示される。一部の実施形態において、シール400は、フレーム100の外部側に取り付けられてもよい。一部の実施形態において、内部シール400及び外部シール400が存在してもよい。外部シール400は、
図11の織物バリアシール400、又は
図12及び
図13A~
図13Cの膨張弁周囲シール500について示され記載されるように、他の構成及び実施形態を有してもよい。
【0071】
装置10は、フレーム100に連結された、例えばフレーム100に直接的に取り付けられた、弁尖210A、210B、及び210Cなどの組織弁尖を備えた、拡張可能、インプラント可能なフレーム100を含むとよい。2つの弁尖のみが存在するとよい。装置10は、弁200をフレームボディ100に接続するために、複数のコネクタを含むとよい。僧帽弁200は、例えば装置10を配置するための予測可能な空間を提供するように、中隔の側方寸法を器具で拡張することによって、成形及び規定されるとよい。この成形は、フレーム100で規定され、アンカー300を周囲組織に配置するために密着して接触することを可能にし得る。コーガン頸管鉗子などの器具は開胸配置において組織を広げるために用いられるが、広げるデバイスは、装置10送達とともにある必要があり、ゆえに同様の手段を用いてカテーテルを介して送達されるとよい。
【0072】
一部の実施形態において、弁200は組織であるとよい。組織弁200の構成は、材料を固定させるために、架橋された心臓周囲のウシ又はブタ組織を含むとよい。架橋コラーゲン性生体組織に用いられ得る化学固定剤の例は、例えば、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン、パラホルムアルデヒド、グリセロアルデヒド、グリオキサールアセトアルデヒド、アクロレイン)、ジイソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート)、カルボジイミド、光酸化、及び所定のポリエポキシ化合物(例えば、デナコール-810、-512、又は関連化合物)を含むとよい。化学固定剤では、グルタルアルデヒドが用いられるとよい。グルタルアルデヒドは、ブタバイオプロステーシス心臓弁(つまり、Carpentier-Edwards(登録商標)ステント付きブタバイオプロステーシス;BaxterHealthcare Corporation; Edwards CVS Division, Irvine, Calif. 92714-5686)、ウシ心膜心臓弁プロステーシス(例えば、Carpentier-Edwards(登録商標)心膜バイオプロステーシス;BaxterHealthcare Corporation; Edwards CVS Division, Irvine, Calif. 92714-5686)、及びステントなしブタ大動脈プロステーシス(例えば、エドワーズプリマステントレス大動脈バイオプロステーシス;Baxter Edwards AG, Spierstrasse 5, GH6048, Horn, Switzerland)などの市販で入手可能なバイオプロステーシス製品用固定剤として用いられるとよい。
【0073】
組織弁200をステント又は他のタイプのフレーム100に取り入れるために、例えばクランプ、結束(tying)、接着(gluing)、又は縫合(stitching)などの数多くの異なる技術及び方法が用いられている。しかしながら、この目的で用いられる技術の多くは通常、弁尖がステントフレーム100に取り付けられた点において集中的ストレスのあるステント付き弁200を作り出すものである。つまり、組織弁200の弁尖が作製される可撓性材料と比較してステントは比較的硬いことから、弁尖の反復的な曲げ動作によって、組織弁200をステントに取り付けた点においてストレスの集中が生み出され得る。これらのストレス集中は最終的に、組織の裂け、弁200の漏出、及び/又は心臓弁200の不全をもたらし得る。また、取り付け点も、組織の裂けをもたらし得る組織アブレーションの部位になり得る。このように、取り付け部及び縫合領域からストレスを分散させ、且つバイオプロステーシス心臓弁弁尖のための非アブレーション接触面を提供するために、本明細書に記載の特性は、組織弁200とフレーム100との耐久性をもった取り付けのための方法及び装置を提供する。
【0074】
ポリマー弁尖は、弁200弁尖210A、210B、210Cをポリエステル、テフロン(登録商標)、ウレタンなどのポリマーで構成するために用いられ得、また耐疲労性を強化及び向上させるために、より強い材料要素で補強され得る。脱細胞組織抗カルシウム処理が追加されてもよい。
【0075】
図6Aは、バルーン640を用いて本明細書に記載の種々の心臓弁装置10を送達し配置するための送達システム600の実施形態の部分斜視図である。
図6Bは、バルーン640が拡張した
図6Aのシステムの部分斜視図である。装置10を適切なサイズ及び位置に径方向に大きく拡張するために、装置10は、作動可能な送達システム600及び中央バルーン640に取り付けられるとよい。システム600は、カテーテルを含み得る送達器具610を含むとよい。例として、システム600は、輪において又は輪の周りに送達及び固定するときに装置10を保持するように、フレーム100拡張及びフレーム100接続のために中心に設置されたバルーン640を備えた送達カテーテルを含むとよい。バルーン640は、器具610の近傍に配置される第1部分642及び装置10の反対側に配置された第2部分644を含むように拡張されるとよい。システム600は、1つ以上の送達ワイヤ630のガイダンスのための1つ以上のガイド620を含むとよい。ワイヤ630は、例えばストラット110A、110B、110Cなどのフレーム100のストラットの頂点で、フレーム100に取り付けられてもよい。ワイヤ630は、フレーム100の近位端部101に取り付けられるとよい。近位端部101は、フレーム100のフレアー端部などのスカート150を形成するとよい。ガイド620は、アンカー300を回転させる又は動かすために、ドライバを含む及び/又は誘導する。ドライバは、アンカー300のヘッドに連結して、アンカーを組織へと打ち込む。
【0076】
図7A及び
図7Bは、心臓弁装置10の実施形態の部分斜視図であり、フレーム100とアンカー300とのインターフェイスの実施形態を示す。フレーム100のボディ110は、コイル状アンカー体310がアンカー300を縫い通すように通過する開口部130を含むとよい。フレーム100は、記載されるようにストラットなどの個別の部分から形成されるとよい。こうして、コイル状アンカー300は、2つのフレーム100部分をともに接合するように、隣接するフレーム100部分の開口部130を貫通するとよい。一部の実施形態において、フレーム100は、言及されるように一体的であるとよい。
【0077】
1つ以上のアンカー300が1つ以上のストッパー330を含むとよい。各アンカー300はフレーム100に組み入れられ、遠位端部のストッパー330は、アンカー300がフレーム100から離れることに抵抗するために設置されるとよい。近位部分は、ドライブヘッドによって移動を制限し得る。ストッパー330は、アンカー300の近位及び/又は遠位端部に配置されるとよい。ストッパー330は、盛り上がった部分又はらせん断面形状の変更によって回転移動を制限するとよい。
【0078】
図7Cは、心臓弁装置10の部分断面図であり、フレーム100とアンカー300との湾曲したインターフェイスの実施形態を示す。このインターフェイスは、例えば
図3Aに関して記載される装置10のスカート150など、本明細書に記載の種々の装置10とともに用いられ得る。
図7Cに示されるように、開口部130を備えたフレーム100部分は明確にするために断面で示される。図示されるように、アンカー300の湾曲又は傾斜コイル体320は、湾曲経路をたどる。このため、例えば回転打ち込み軸を挿入軸とは異なる方向又は平面に方向づけることが可能であり得る。回転又は送達打ち込み軸とは、アンカー300を打ち込むために用いられる器具の方向を示す。挿入軸とは、アンカー300が組織に挿入される方向を示す。これは、例えば、送達器具と同じ軸に駆動するが、アンカーを異なる、第2の軸又は方向に強制的に沿わせるために、利用されるとよい。このように、アンカー300の送達をし易くするために、コイル状アンカー300を保持するスカート150などのフレーム100の部分が湾曲又は傾斜して、打ち込み方向を組織挿入方向に関して変更するとよい。こうして、アンカー300は、フレーム100における一連の開口部130を介して方向づけられる可撓部であり得る。代替的に、管状部が、アンカー300を様々な方向に再方向づけ又は傾斜させることも可能である。回転・送達軸及び挿入軸は、天然僧帽弁の輪及び/又は装置10の軸から約5~約90度変わり得る。一部の実施形態において、回転・送達軸及び挿入軸は、天然僧帽弁の輪及び/又は装置10の軸から約40度変化し得る。
【0079】
図8A~
図8Fは、装置10から出る血流の再方向付けのために構成された、例えばサイズ及び/又は形状を定めた、例えば弁尖などの弁200を備えた心臓弁装置10の実施形態の種々の図を示す。天然僧帽弁は、血流を左心室LVの後壁に向かって方向づけて、血液の推進力を保ち、心臓の効率性を支援する。僧帽弁輪に用いられる従来の手術用弁はこの効率性を有さず、これは血流が左心室LVの真ん中に方向づけられるためである。ゆえに、一部の実施形態において、本発明に記載の装置10は、天然僧帽弁の血流経路を再現するように、インプラント装置200を介して血流を方向づける。
【0080】
図8Aは、装置10の実施形態の上面図である。
図8Bにおいて、右側の図は装置10の実施形態の上面図であり、左側の図は装置10側面図である。
図8C及び
図8Dは、
図8A及び
図8Bの装置10の側面図であり、装置10から出る、再方向付けした流れの実施形態を示す。
図8E~
図8Fは、左心室に入る血流の再方向付けのためにインプラントされた装置10の実施形態を備えた心臓僧帽弁の部分断面図である。
【0081】
図8A~
図8Bに示されるように、弁200は、3つの弁尖210A,210B、210Cを含むとよい。一部の実施形態において、2つの弁尖のみが存在するとよい。装置10は、心臓の後部に血流を方向づけるように構成された、例えばサイズ及び/又は位置を定めた弁尖を備えた弁200を含むとよい。血流を再方向づけするために、弁尖210A、201B、及び/又は210Cは異なるサイズであるとよい。図示されるように、弁尖210Bは、弁尖210A及び210Bよりも大きいとよい。弁尖210Bは、インプラントされるときに、僧帽弁MVの前側に配置されるとよい。より大きい弁尖は、他の2つのより小さい弁尖ほど開かず、後ろに配置されるより小さい弁尖に向かって流れを方向づける。2つのより大きい弁尖と唯一つの小さい弁尖とでも、2つのより大きい弁尖の交連部を天然僧帽弁の前部に方向づけることで、同じことが行われ得る。代替的又は追加的に、共通の交連部で弁尖210A、210B、210Cの部分を接着することで、血流は再方向付けされるとよい。交連部の接着は、弁尖が完全に開くことを防ぎ、出ていく流れを方向づけ得る。弁尖210A、210B、及び/又は210Cなどの弁尖のこれら又は他の構成は、装置10を出ていく血流を再方向付けし得るものである。
【0082】
弁200の弁尖は、本明細書に記載される様々な構成及び機能を得るために種々の方法で取り付けられるとよい。弁200の隣接する弁尖の取り付けは、直視下手術などにおいて縫合術を用いて従来の縫合(stitching)によって、又は経皮又は経尖端術において縫合糸輪又はクリップ若しくは他の組織アンカーの適用によって、行われるとよい。取り付け域は、好ましくは交連部に隣接し、弁200の弁尖の接合端部の長さの約25%以下、通常は約15%又は10%以下に延びる。対向する弁尖は、中心接合域内で互いに未連結のままであり、対向する弁尖が単一の弁200として機能し続けることができる。取り付け域は、弁尖の単一の端部又は両方の対向する端部にあるとよい。
【0083】
一部の実施形態において、血液が弁尖210A、210B、210Cなどの弁尖によって特定の方向に方向付けされるように、インプラントされるときに装置10を方向づけることで、血流の再方向づけが装置10で行われるとよい。一部の実施形態において、弁200は、記載されるように弁尖210A、210B、及び/又は210Cなどの弁尖の所定の配置を有し、インプラントされたときに所定の方向を有するとよい。例として、弁200は、
図8A~
図8Bに示されるように弁尖210A、210B、210Cの配置を有するとよい。装置10は、インプラントされたときに、天然僧帽弁によって規定される軸に概して沿う方向を有するとよい。一部の実施形態において、装置10は、インプラントされたときに、この軸から概してはずれた方向を有してもよい。こうして、流れを後壁に方向づける方法は、例えば円筒形装置10で、装置10の取り付け平面を傾斜させることである。流れは、インプラント装置10の取り付け平面を改変する、フレーム100などの装置10を支持する構造に特性を追加することで適切に方向づけされることができる。
【0084】
図8D及び
図8Fに示されるように、拡張フレーム100は、その周りにフレーム100が同心円状に配置される中心長さ方向軸を規定してもよい。例として、フレーム100の非拘束拡張構成は、円筒形状、円錐台状、又は他の形状であり、中心長さ方向軸を定義するとよい。装置10は、言及されるように、流れを再方向付けするとよい。流れ方向は、概して
図8C及び
図8Eに示されるようなものである。さらに、流れの方向は、再方向づけあり又はなしで、
図8D及び
図8Fに示されるように流れの主軸に沿うとよい。装置10の一部の適用において、フレーム100によって規定される中心長さ方向軸に対して角度「B」で後ろに傾斜された流れの主軸を構成することが望ましい。流れの主軸は、流れが、装置10を出ていった及び/又は装置10を介して進行した後に、左心室LVへと進行する通常の方向である。中心長さ方向軸と流れの主軸との角度「B」は、少なくとも約5度であり、一部の適用において少なくとも約10度であるが、通常は約45度未満であり、一部の適用において約20度未満であるとよい。この角度の例示の実施形態は、
図8D及び
図8Fにおいて角度「B」として示される。
【0085】
中心長さ方向軸からの流れの主軸の偏向は、前弁尖201Bなどの前弁尖のサイズを増大することで、例えば弁尖210A、210B、210Cを含む弁200など、3つの弁尖弁において達成され得る。そうした装置10の例示の実施形態は、
図8A及び
図8Bにおいて示される。前弁尖210Bなどの前弁尖を拡大することで、流れの主軸を後ろ方向に変位させる。前弁尖のサイズは、環状又はそうではない弁が360度の全円周を有するところ、前弁尖210Bが弁200の円周の角度「A」を占めるように、増大されるとよい。これは、例えば
図8A及び
図8B(
図8Bでは右側の図)に示される。一部の実施形態において、前弁尖210Bのサイズは、弁200の円周において少なくとも約125度の角度「A」を占めるように、増大されるとよい。一部の実施形態において、前弁尖210Bは、弁200の円周の、少なくとも約135度、又は145度、又は160度、又はそれ以上を占める。
【0086】
図9は、心臓弁装置10の実施形態の部分側面図であり、中心スパイク340を包囲するコイル320を含む、フレーム100とアンカー300とのインターフェイスを示す。遠位スパイク340は、アンカー300のモーメント、強度、及び耐疲労性を増大させるようにスパイク340の周りを回転するアンカー300のコイル320の軸について中心にあるとよい。スパイク340は、例えば
図2及び
図3Aに関して本明細書にさらに詳細に記載される、遠位頂点104などのフレーム100に連結されるとよい。
【0087】
図10は、延長フレーム100を備えた心臓弁装置10の実施形態の側面図である。より背の高いフレーム100は、装置10を左心室LVへと下に延長する。延長フレーム100を有する装置10は左心室LVへと延び、装置10が僧帽弁輪MVA内にインプラントされるときに天然僧帽弁を排除するとよい。フレーム100の近位端部101は弁輪に取り付けられ得、遠位端部102は天然弁を排除するとよい。
【0088】
図11は、織物シール400を有する心臓弁装置10の実施形態の斜視図である。織物シール400は、周辺の漏出を防ぐために装置10を包囲する織物材料から形成された織物シール体410を含む。織物材料は、より構造的統合性を与えるためにポリマー布帛又は金属ワイヤから構成されるとよい。両方の手段とも拡張可能な特性のものであって、変化する患者の解剖学的形態を許容する。織物シール400は、フレーム100の代替であり得る。つまり、織物シール400は、フレーム100の代わりになり得、構造及びシーリング特性を装置10に提供する。アンカー300は、図示されるように織物シール400に連結されるとよい。織物シール400は、フレアー状端部又はスカート150、外部シール500などの、フレーム100と同じ又は同様の特性及び/又は機能性を有するとよい。
【0089】
図12は、拡張可能フレーム100を有する心臓弁装置10の実施形態の斜視図である。装置10は、拡張可能フレーム100及び近位端部101に配置されたアンカー300を有する。追加の特性がフレーム100の遠位端部102にあり、フレーム100を天然弁輪の内方で、且つ、近い位置に係止させる部分であってもよい。フレーム100は1つ以上のスカート150を含むとよい。図示されるように、第1のスカート150が近位端部101に配置され、アンカー300を受けるように該タブを介する開口部を備えた1つ以上のフレームタブ112を含むとよい。第2のスカート150は遠位端部102に配置され、1つ以上の傾斜フレーム部分114を含むとよい。フレーム部分114は、フレーム100の遠位端部102に配置され、外側及び近位に延びるとよい。フレーム部分114は、装置10を僧帽弁輪内に固定するために、装置10の送達に際して拡張するとよい。
【0090】
弁200の所望の機能に応じて、2つの異なるタイプのシールの1つ又は両方が、弁によって望ましくは保持されるとよい。
図12に記載されるように、装置10はシール400を有するとよい。本発明書に記載されているように、本装置10による弁置換は管状支持フレーム100を含むとよい。フレーム100のインプラント最後部分が左心房に主に延びているか、又は代わりに、天然弁尖を排除するためなど心室方向に延びるかによって、アンカー300は、フレーム100の近位端部101(例えば心房)又は遠位端部102(例えば心室)によって保持されるとよい。結果として、プロステーシス弁200の輪が、天然輪に対して流路に沿って軸方向に変位され得る。プロステーシス弁200の輪と天然輪との間の輪形空間における血流を防ぐために、フレーム100には、薄いスリーブ又は膜などの輪状シール400が好ましくは提供され、これは、プロステーシス輪と天然輪との間でフレーム壁を介した血流を防ぐものである。
【0091】
また、例えば血液が弁200及び/又は装置10の周りで漏れる、弁周囲漏出を抑制するために構造物を含むことも望ましい。天然弁の孔と装置10の外径との幾何学性の不一致の可能性のため、弁周囲漏出は装置10と天然輪との間において発生し得る。フレーム100の壁を介した漏出の可能性に関与するシール400では、遮水膜がフレーム100の内側に(
図12に示される)、フレーム100の外側に、又はその両方に保持されるとよい。弁周囲漏出の抑制に関わるシール500では、当業者には明らかであるように、バリア又は膜がフレーム100の外側面に好ましくは保持される。こうして、フレーム100の外側のシール400又は500は、弁尖のベースを含むフレーム100の長さの少なくとも部分を被覆する、軸方向に延びる部品と、フレーム100と隣接する解剖学的形態との間の空間を埋める径方向に外側に延びる又は延びることが可能な部品を有して、両方の機能を提供するように構成されるとよい。
【0092】
フレーム100及び隣接する解剖学的形態の間の空間を埋める径方向に外側に延びる部品の実施形態は、
図13A~
図13Cに示される輪状シール500である。シーリングリングなどのシール500は、上述されたようにフレーム100の周りの漏出を抑えるために、例えばフレーム100の中央部分に沿って、フレーム100の外側に配置されるとよい。追加的又は代替的に、シール500はフレーム100の内側に配置されるとよい。シール500は、膨張機構などの拡張手段がシール500の物理的サイズを増大させると能動化し得る。このように、シール500は、送達時により小さい収縮構成を有し、インプラントされるときにより大きい拡張構成を有するとよい。代替的に、シール500は受動的であるとよい。例えば、シール500は心臓内での装置10の拡張の際に自己拡張するとよい。シール500は、図示されるように、径方向に外側に延びるリング部品を含むとよいが、上述のように、バリアとして作用する軸方向に延びる部品を含んでもよい。
【0093】
図13A~
図13Cは、ヒトの心臓の部分断面図であり、心臓弁装置10を送達するための送達システム600の実施形態を示す。図示されるように、装置10はシール500を含むとよい。
図13Aは、装置10は、左心室LVにアクセスするために経中隔穿刺を介して鼠径部から静脈経路で送達される装置10を示す。
図13Bは、弁輪に挿入されたアンカー300を含む、システム600及び装置10を示す。
図13Cは、挿入されたアンカー300及び送達カテーテル610から取り外された回転アンカー300、膨張したシーリングカフを含む、システム600及び装置10を示す。
図13A及び
図13Bの装置10に取り付けられるのは、コイル状アンカー300を打ち込む回転接続部630、及び液圧を介して弁周囲漏出を抑制又は停止するために、シール500の寸法を変更する膨張管650である。
【0094】
シール500は、シーリングリング又はカフであるとよい。シール500は一般的形状のトロイドなどを有するとよい。フレーム100の周りで漏出を防ぐために、シール500は、左心房(僧帽弁の上部)にある近位部分と左心室LVとの間に追加されるとよい。シール500は、受動的特性のものであり、織物布帛又はベロアから構成され得る。代替的手段では、周囲組織に接触するために膨張又は拡張されるより能動的なシール500が用いられてもよい。能動的シール500の構成には、液圧で拡張し、生理食塩水又は所定のデュロメータに硬化するポリマー溶液で充填するために、流体溶液が用いられ得る。シール500は、ナイロン、又はペバックスなどのポリマーバルーン材料から構成され、送達カテーテル610のハンドルから充填され得る。一部の実施形態において、シール500は、フレーム100に関して記載されるスカート150に類似する、フランジなどの輪状スカートを含む。シール500のスカートは一端部で装置10に取り付けられ、近位又は遠位方向に、外側へ径方向に傾斜する。シール500のスカートは、複数のストラットなどの支持構造部によって保持される。好ましくは、シール500のスカートは、遠位方向に、外側へ径方向に傾斜して、心室圧がシール500のスカートと隣接する解剖学的形態との間でシール機能を向上させるようにする。
【0095】
一部の実施形態において、シール500は、フレーム100の表面などの、装置10の径方向に外側向きの面に保持される輪状管を含む。シール500の管は、弁を有する充填ポートを備えるとよい。充填管は、カテーテルの長さにわたって延びる膨張内腔を用いて、シール500の管を膨張媒体源に連通するように配置するために、例えば器具610である配置カテーテルから、シール500の充填ポートに延びるとよい。シール500の輪状管は、装置10の、例えばインプラントである配置の後であるが、配置カテーテルからの装置10の解放前に、少なくとも部分的に充填されるとよい。造影剤の注入及び蛍光透視法による心房の観察によって、弁周囲漏出の存在が検討される。シール500の管はさらに膨張され得、或いは観察される機能性に応じて装置10の再配置などの、他の反応的作用が取られるとよい。装置10の機能性及び弁周囲漏出のレベル(もしあれば)が適切である考えられたら、充填管はシール500の管の充填ポートから取り外され、充填ポートの弁はその中の膨張媒体を保持するために閉じられ、装置10は配置カテーテルから解放される。
【0096】
図14A~
図14Bは、心臓弁装置10の実施形態の部分側面図であり、ねじ山部142と、近位端部101におけるカラーなどの対応する可動拘束部144とを含む封止システム140を備えたフレーム100を示す。少なくとも4つの可動拘束部144が存在するとよい。可動拘束部144は、フレーム100のペアの隣接ストラットを受けるために、開口部を有するとよい。
図14Aは、フレーム100のボディ110におけるペアのストラット110A、110Bの、初期のロックされていない位置を示す。
図14Bは、ストラット110A、110Bの、最終的なロックされた位置を示す。拘束部144は、ペアのストラットに沿って軸方向に摺動可能であるとよい。軸方向にカラーなどの可動拘束部144を前進させることで、ペアのストラットの間の角度が小さくなって、フレーム100を再成形する。さらに図示されるように、ペアのストラット110A、110Bは、遠位端部102でストラット110A、110Bの頂点を接続するケーブル160を有し、ケーブル160にかかる張力が、アンカー300が包埋された対応する組織とともに、2つの頂点及びアンカー300を引き寄せ得る。ケーブル160は、ストラット110A、110Bの開口部116A、116Bに接続されるとよい。さらに、開口部を有するカラーなどの可動拘束部144、内部ねじ山付きカラー、ナットなどが、ストラット110A、110Bの位置及び/又は角度をロックし、ケーブル160の張力を緩めることができる。封止システム140は、ストラット110A、110Bの反対の動きに対抗する所望の位置に可動拘束部144を保持するために、ナット又はノッチ用ねじ山として保持されるノッチ形体であってもよい。一部の実施形態において、近位端部101における、例えば直径である幅が遠位端部102における、例えば直径である幅と異なるように、フレーム100が再成形されるように構成されるとよい。
【0097】
隣接するストラットを接続するケーブル160又は他の張力要素は、配置カテーテルを介して延び、且つ遠位フックを有するプルワイヤなどの引き込み要素によって、又はケーブル160に巻きつけた縫合糸輪によって、開放可能に掴まれるとよい。引き込み要素の近位引き込みにより、
図14Bに記載されるようにケーブル160が近位に変位される。近位引き込み要素及びケーブル160は、所望する機能に応じて、各ペアの隣接ストラット間に、又は2若しくは3つ目のペアのストラット毎に、提供されるとよい。代替的に、ケーブル160は、フレーム100全体を包囲する又は1つおきのペアの隣接ストラットに接続される、ラッソー構成を含むとよい。ラッソーループを形成するケーブル160の1つ又は両方の端部が、配置カテーテルを介して近位に延びるので、ケーブル160の少なくとも一端の近位引き込みがフレーム100の周囲を縮小させる。代替的構成において、ケーブル160は、フレーム100の少なくとも部分を包囲するが、ケーブル160はフレーム100の一体的部分であり、配置後にフレーム100に取り付けられたままであるように構成される。フレーム100の周囲の縮小は、
図14Bに関して上述されたもののように、ケーブル160に開放可能に連結される引き込み要素の近位引き込みによってなされる。
【0098】
図15は、心臓弁装置10の実施形態の斜視図であり、ねじ山部142と対応するカラー144の選択配置とを含む複数の封止システム140を備えたフレーム100を示す。アンカー300及びカラー144の一部又はすべては、患者の必要性に応じて用いられ得る。フレーム100頂上のすべてにカラー144を含むわけではない。
【0099】
図16~
図17は、装置10の外科的配置又はカテーテル送達用に、本明細書に記載される心臓弁装置10を保持するための器具700の斜視図である。器具700は、ハンドル710、本体部分720A、720B、及び対応する器具へッド730A、730Bを含むとよい。器具700は、ハンドル710及び/又は本体部分720A、720Bの位置及び/又は角度に応じて器具700を開く及び/又は閉じて、フレーム100の外科的配置のために用いられるとよい。経尖端又は経大腿のカテーテル送達のために、類似の器具を構成することができる。
図17Bに示されるように、器具へッド730A、730Bは、受け部分731A、731B、732A、732Bを含むとよい。例として、受け部分731Bは、フレームボディ110のストラット110Aを受けて保持し、受け部分732Bはストラット110Bを受けて保持するとよい。
【0100】
図18は、左心室内LVから送達及び固定するために傾斜アンカー300を備えた心臓弁装置10の実施形態の斜視図を示す。装置10は、左心室内LVから送達及び固定され、アンカー300が左心室LVにおいて装置10下から打ち込まれるとよい。例として、ドライバ620は、左心室内LVからアンカー300を回転するとよい。装置10は、本明細書にさらに詳細に記載されるような、内部輪状バリアなどの図示されるようなシール400を含むとよい。
【0101】
患者の解剖学的形体に合致させるようにフレーム100直径を規定することは、ニチノールなどの形状記憶材料を用いて、形状設定サイズを予め規定することで、又は可鍛性フレーム100材料を規定の直径に膨らませることで、達成可能である。他の手段は、直径を包囲する同期ワイヤを用い、ワイヤの長さを減じてフレーム100形状及び寸法を変えるための力をもたらして、フレーム100を折りたたむことによって、フレーム100の寸法を小さくすることであり得る。さらなる手段は、正弦フレーム100におけるストラット110A、110Bの形状を変える力を含み、フレーム100のベースをともに寄せ、且つ関連する周囲組織をまとめる、ストラット110A、110Bに対する曲げ力又はカラーの力を含み得る。さらなる手段は、ねじ山をフレームストラット110A、110Bに切り込んで、ストラット110A、110B上を前進又は回転するナットなどの可動拘束部144と係合し、ストラットを互いに寄せて周囲組織のまとまる力をもたらすことを含み得る。他の手段では、張力が2つのストラット110A、110Bを互いに寄せるストラットの下部セグメントの間に、ケーブル160、糸、又は他の接続部を含み得る。この力は任意の方向の張力であり、周囲のストラット及び関連組織をよせ集める、ケーブル160を押す又は引く近位又は遠位の力を含み得る。ストラット間の接続は、ねじ山手段、又はボディの外側及び装置10のカテーテルを介した押し引き機構によって行われ得る。
【0102】
ストラット110A、110Bが互いに引き寄せられると、ストラット110A、110Bの頂点は、本明細書に記載されるように、ストラット110A、110B上に配置されるカラー又はナットなどの可動拘束部144でロック又は固定されることが可能である。ストラット110A、110Bのロックは、可動拘束部144が近位に移動する又はストラット110A、110Bに対して緩み、ストラット110A、110Bが互いに離れてしまうことを防ぐために、封止システム140で行われるとよい。また、小さなタブは、可動拘束部144が近位に移動することを防ぐが、必要なら可動拘束部144をさらに前進させることが可能なラチェット面と係合することができる。代替的に、可動拘束部144は、互いに近くにある2つのストラット110A、110Bの近接を保持する、頂点からねじ留められるナットであり得る。
【0103】
装置10は、様々な異なる形状及びサイズを得るために、これら及び他の方法を用いて成形されるとよい。可動拘束部144はフレーム100に連結され、フレーム100を、所望の幅、直径、方向、形状などにおいて拘束するように構成されるとよい。以下に記載されるような、フレーム100を締めつけるループなど、可動拘束部の他の実施形態が適用されるとよい。これらの形状、サイズ、構成などの一部は
図19A~25Bに関して記載される。
【0104】
図19A~
図19Bは、円形リングとして示されたフレーム100を備えた心臓弁装置10の実施形態のそれぞれ上面図及び斜視図であるである。装置10は、リング形状のボディ110を有するフレーム100を含むとよい。ボディ110は、円形、例えば環状であるとよい。円形形状の装置10は、輪に又輪の周りに配置され、固定され、また天然輪直径を縮小するために締めつけられることができ、その後装置は最初の円形形状を保持する。
【0105】
図19Cは、弁200を備えた
図19A~
図19Bの装置10の斜視図である。装置10は、弁200に連結された又は弁200に連結されるように構成されたリング形状ボディ110として示されるフレーム100を含むとよい。フレーム100は、その中に作製された又は2次的に取り付けられた弁200有するとよい。装置10は、輪に配置され、固定され、天然輪直径を縮小するために締めつけられることができる。装置10は、弁200とともにその円形形状を保持する。
【0106】
図20A~
図20Bは、「D」形リングとして示されたフレームを備えた心臓弁装置10の実施形態のそれぞれ上面図及び斜視図である。装置10は、「D」形状のボディ110を有するフレーム100を含むとよい。装置10は、例えば「D」の形状を有するように形状設定されるなど、構成されることができる。「D」形状の装置10は、自然に「D」形状である輪に配置され、固定され、また天然輪幅を縮小するために締めつけられることができる。装置における「D」の直線部分は、後壁に沿う輪の自然の形状及び輪郭により良好に合致する。
【0107】
図20Cは、弁200を備えた
図20A~
図20Bの装置10の斜視図である。装置10は、弁200に連結された又は弁200に連結されるように構成されたD形状ボディ110を有するフレーム100を含むとよい。フレーム100は、その中に作製された又は2次的に取り付けられた弁200有するとよい。装置10は、輪に配置され、固定され、天然輪直径を縮小するために締めつけられることができる。装置10は、弁200とともにそのD形状を保持する。
【0108】
図21A~
図21Bは、楕円形リングとして示されたフレーム100を備えた心臓弁装置10の実施形態のそれぞれ上面図及び斜視図である。装置10は、長円様形状のボディ110を有するフレーム100を含むとよい。ボディ110は、通常の形状の長円形、又は楕円形などの円形であるとよい、長円様形状の装置10は、輪に又輪の周りに配置され、固定され、また天然輪直径を縮小するために締めつけられることができ、その後装置は最初の円形形状を保持する。装置10は、その長円形形状を維持するように締めつけることで制御される、又はさらに環状の構成に締めつけるように制御されることができる。長円形形状を維持することで、長軸の頂点が交連にアライメントされる場合に必要とされる締めつけ量を最小化することができる。この方向に輪を伸ばすことで、前後(anterior-posterior、AP)距離が自然に短くなり、いずれの逆流も低減され得る。この実施形態及び他の実施形態によるそうした締めつけは、カラー及び/又はループであり得る可動拘束部144で行われるとよい。拘束部144は、フレーム100に連結及び/又はフレーム100に保持され、フレーム100の中心内腔を包囲する、ループを含むとよい。拘束部144は、作動範囲内で径方向にフレーム100のサイズ・形状を可逆的に調節するように構成されるとよい。
【0109】
図21Cは、弁を備えた
図21A~
図21Bの装置の斜視図である。装置10は、弁200に連結された又は弁200に連結されるように構成された長円形形状ボディ110を有するフレーム100を含むとよい。フレーム100は、その中に作製された又は2次的に取り付けられた弁200を有するとよい。装置10は、輪に配置され、固定され、天然輪直径を縮小するために締めつけられることができる。装置10は、締めつけ量に基づいて、長円形形状又は他の円形形状を維持することができる。
【0110】
図22A~
図22Bは、本明細書に記載の種々の心臓弁装置を送達、及び例えば長円形化するなど成形のための、送達及び成形システムの実施形態のそれぞれ上面図及び斜視図である。装置10は、長円形様に成形されるように構成された、長円形形体及びフレームを含むとよい。円形リング及び輪を長円形化する1つの方法は、カテーテルベースのデバイスを使用して、交連部と同じ軸に沿ってその両方を同時に伸ばすことである。デバイスは、事前設定された曲げのある、ループ状の平坦なリボンから作製されるとよい。リボンがカテーテルを出ていくとき、ループの遠位端部が近位方向に引っぱられるが、リボンの近位端部は静止状態である。これがリボンを幅広いループにさせて、交連部で装置の輪を外側に押して、所望の長円形形状を作る。長円形リングは、その中に作製されるか、又は取り付けられた弁200を有し、輪に配置され、固定され、天然輪直径を縮小するために締めつけられることができる。装置は、締めつけ量に基づいて、長円形形状、又は円形形状を維持可能である。これは、新規の機能的弁200で達成されることができる。
【0111】
図22Cは、装置と連結された弁を備えた
図22A~
図22Bのシステム及び装置の斜視図である。長円形リングは、その中に作製されるか、又は取り付けられた人工弁200を有し、輪に配置され、固定され、天然輪直径を縮小するために締めつけられることができる。装置は、締めつけ量に基づいて、長円形形状、又は円形形状を維持可能である。これは、新規の機能的弁200で達成されることができる。
【0112】
装置10は、長円形様に成形されるように構成された長円形形体及びフレーム100を含み、フレーム100が弁200に連結される又は弁200に連結されるように構成されるとよい。フレーム100は、その中に作製された又は2次的に取り付けられた弁200及び/又は長円形形体を含むとよい。装置10は、輪に配置され、固定され、天然輪直径を縮小するために締めつけられることができる。装置は、締めつけ量に基づいて、長円形形状又は他の円形形状を維持可能である。
【0113】
輪を長円形化する方法の一部が以下に記載される。それぞれは送達カテーテルと共に用いられるとよい。
【0114】
図23は、本明細書に記載の種々の心臓弁装置の送達、及び例えば長円形化するなど成形のための、ピストンベースの送達及び成形システムの実施形態の部分斜視図である。入れ子部を有するペアの対向シャフトが、輪を反対の方向に広げて長円形を作るために用いられることができる。
【0115】
図24A~
図24Bは、本明細書に記載の種々の心臓弁装置の送達、及び例えば長円形化するなど成形のための、バルーンベースの送達及び成形システムの実施形態の部分斜視図である。アンビル端部を備えた液体充填バルーン及びそれらを接続する中心シャフトが、長円形輪を形成するために使用可能である。バルーンはまた、円形端部を備えた長円筒様に成形され、長さの真ん中に入る充填ポートを有することが可能である。また、このタイプのバルーンは、輪を拡張するために十分な液圧力を生成し得る。
【0116】
図25A~
図25Bは、本明細書に記載の種々の心臓弁装置の送達、及び例えば長円形化するなど成形のための、回転シャフトベースの送達及び成形システムの実施形態の部分斜視図である。送達カテーテルを出ていくデバイスは、2つの対向シャフトにトルクをかけることができる近位外部接続部を保持するとよい。シャフトは、反対の方向に回転すると、外側に延長され、輪を押して長円形を作る。
【0117】
現在のところ例示の実施形態として考慮されるものが示され記載されているが、本発明から外れることなく、種々の他の変形が作製され得、同等物が置き換えられ得ることが当業者には理解される。さらに、数多くの変形は、本明細書に記載される中心的コンセプトから外れることなく、特定の状態を本発明の教示に適応させるために行われる得る。ゆえに、本発明は、開示される特定の実施形態に限定されることはないが、そうした本発明が添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内に該当するすべての実施形態をも含み得る、ということが意図される。
【0118】
上述において開示される実施形態の特定の形体及び態様の種々の組合せ又は副組合せが行われ、且つなお本発明の1つ以上に該当し得ることが考慮される。さらに、実施形態に関する任意の特定の形体、形態、方法、特性、特徴、性質、属性又は要素などの本明細書における開示は、本明細書に示されるすべての他の実施形態において用いられ得る。従って、開示される実施形態の種々の形体及び形態は、開示の発明の種々のモードを生成するために、組み合わせられる、又は互いに置き換えられることが可能である。このように、本明細書に開示される本発明の範囲が、上述の特定の開示実施形態によって限定されるべきではないということが意図される。さらに、本発明は種々の変形及び代替形態を許容するが、その特定の実施例は図面に示され、本明細書に詳細に記載される。しかしながら、本発明は、開示される特定の形態又は方法に限定されるべきではないが、一方で、記載される様々な実施形態の意図及び範囲、及び添付の特許請求の範囲に該当するすべての変形、同等形、及び代替形を含むものである。本明細書に開示されるいずれの方法も記載される順序で行われる必要はない。
【0119】
また、本明細書に記載される範囲は、任意の及びすべての重複、部分範囲、及びそれらの組み合せを含む。「まで」、「少なくとも」、「より大きい」、「未満」、及び「の間」などの文言は記載される数字を含むものである。本明細書に用いられるような「およそ」、「約」、「約~まで」、及び「実質的」などの用語に先行される数字は、記載される数字を含み、また、所望の機能をなお果たすか、若しくは所望の結果を得られる記載量又は特性に近似する量又は特性にも相当する。例えば、「およそ」、「約」、及び「実質的」という用語は、記載量又は特性の10%未満、5%未満、1%未満、0.1%未満、及び0.01%未満である量を言及し得る。本明細書で用いられるような「およそ」、「約」、及び「実質的」などの用語に先行される、本明細書に開示される実施形態の特性は、その特性について所望の機能をなお果たすか、若しくは所望の結果を得られるいくらかの変動性を伴う特性に相当する。
【0120】
本明細書において実質的に任意の複数及び/又は単数の用語の使用に関して、当業者は、その文脈及び/又は適用に対して適切であるように、複数から単数、及び/又は単数から複数に変換可能である。様々な単数・複数の変更は、明確性のために本明細書において明白に示される。
【0121】
通常、本明細書で使用される用語は「非制限」的用語を通常意図するということが、当業者には理解される(例えば、「含み」という用語は「含むが限定されない」として理解されるべきであり、「有する」という用語は「少なくとも有する」として理解されるべきであり、「含む」という用語は「含むが限定されない」として理解されるべきであるなどである)。実施形態の記載の導入において特定の数字が意図される場合に、そうした意図は実施形態に明白に記載され、そのような記載がない際は、そうした意図は存在しないことが当業者にさらに理解される。。例えば、理解の助けとして、本開示は、実施形態の記載を導入するために、「少なくとも1つ」及び「1つ以上の」という導入的表現の使用を含み得る。しかしながら、そうした表現の使用は、同じ実施形態が導入表現「1つ以上の」又は「少なくとも1つ」、及び「a」又は「an」などの不定冠詞を含むときでも、不定冠詞「a」又は「an」による実施形態記載物の導入が、そうした実施形態記載物の導入を含む任意の特定の実施形態を、唯一のそうした記載物を含む実施形態に限定するということを示唆すると理解されるべきではない。(例えば、「a」及び/又は「an」は通常、「少なくとも1つ」又は「1つ以上の」を意味するとして理解されるべきである。)実施形態の記載の導入に使用される定冠詞の使用についても同様である。さらに、実施形態の記載の導入において特定の数字が明白に記載されていても、そうした記載が、少なくとも記載された数を意味すると通常理解されるべきであることを当業者は理解する(例えば、他の修飾のない「2つの記載物」の単なる記載は、通常少なくとも2つの記載物又は2つ以上の記載物を通常意味する。)さらに、そうした「A、B及びC等の少なくとも1つ」と類似の規定が用いられる場合において、通常そうした構成は、当業者がその規定を理解するという意味で意図される。(例えば、「A、B及びCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、及び/又はA、B及びCともになどを有するシステムを含み得るがこれらに限定されない。)「A、B又はC等の少なくとも1つ」と類似の規定が用いられるそうした場合において、通常そうした構成は、当業者がその規定を理解するという意味におて意図される。(例えば、「A、B又はCの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBともに、A及びCともに、B及びCともに、及び/又はA、B及びCともになどを有するシステムを含み得るがこれらに限定されない。)記載、実施形態、又は図面において、2つ以上の代替的用語を示す、実質的に任意の選言的文言及び/又は表現は、用語の1つ、いずれかの用語、又は両方の用語を含む可能性を考慮すると理解されるべきであることが、当業者にはさらに理解されるものである。例えば、「A又はB」という表現は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解される。
【0122】
本発明は、所定の実施形態、及び所定の例示的方法について本明細書に記載されているが、本発明の範囲がそれらにより限定されないということが理解される。また、出願人は、当業者には明らかである本明細書に記載される方法及び材料の変形が開示の本発明の範囲に該当するということを意図する。