(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】撮像装置および電子機器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20241217BHJP
H04N 25/10 20230101ALI20241217BHJP
H04N 25/771 20230101ALI20241217BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L27/146 A
H04N25/10
H04N25/771
(21)【出願番号】P 2021508999
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(86)【国際出願番号】 JP2020010510
(87)【国際公開番号】W WO2020195825
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-06
(31)【優先権主張番号】P 2019056165
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】城戸 英男
(72)【発明者】
【氏名】町田 貴志
【審査官】田邊 顕人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/136486(WO,A1)
【文献】特開2015-015295(JP,A)
【文献】特表2016-534557(JP,A)
【文献】国際公開第2017/169479(WO,A1)
【文献】特開2011-176715(JP,A)
【文献】特開2019-012905(JP,A)
【文献】特開2018-148039(JP,A)
【文献】特開2012-238951(JP,A)
【文献】特開2013-172210(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/10
H04N 25/771
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面と、前記表面と反対側の裏面とを含む半導体層と、
前記半導体層に設けられ、受光量に応じた電荷を光電変換により生成可能な光電変換部と、
前記半導体層のうち前記表面と前記光電変換部との間に設けられ、前記電荷を保持可能な電荷保持部と、
前記光電変換部と前記電荷保持部との間に位置し、前記電荷が通過可能な開口を含む第1の遮光膜と、
前記光電変換部から見て前記第1の遮光膜と反対側に位置する第2の遮光膜
と、
1つのレンズと
をそれぞれ有する複数の像面位相差検出画素を備え、
前記複数の像面位相差検出画素における各々の前記第2の遮光膜は、いずれも前記光電変換部が占める画素領域のうちの前記開口と重なり合う重複領域を含む第1
のサブ画素領域に設けられ、または、いずれも前記画素領域のうちの前記第1
のサブ画素領域以外の第2
のサブ画素領域に設けられて
おり、
第1の方向において分割されて隣り合う前記第1のサブ画素領域および前記第2のサブ画素領域の双方に対して、前記1つのレンズが共通に設けられている
撮像装置。
【請求項2】
前記複数の像面位相差検出画素は、
前記第1のサブ画素領域に設けられた前記第2の遮光膜を有する第1の像面位相差検出 画素と、
前記第2のサブ画素領域に設けられた前記第2の遮光膜を有する第2の像面位相差検出 画素と
を含む
請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記表面側から前記開口を貫通して前記電荷保持部に向かうように延在する縦型トレンチゲートを含む電荷転送部、をさらに備えた
請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記開口は、前記画素領域のうちの中心以外の位置に設けられている
請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の方向および第2の方向にそれぞれ配列された複数の撮像画素をさらに備え、
前記複数の像面位相差検出画素は、前記第1の方向および前記第2の方向のそれぞれにおいて前記複数の撮像画素の間に配置されている
請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記複数の撮像画素は、前記第1の方向および前記第2の方向のそれぞれにおいて周期配列された、第1から第3のカラーフィルタをそれぞれ含む複数の第1から第3の撮像画素をさらに備え、
各々の前記像面位相差検出画素は、前記複数の第1の撮像画素がそれぞれ配置されるべき複数の第1の位置のいずれかに、前記複数の第1の撮像画素のいずれか1つと置換されて配置されている
請求項5記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像装置を備えた電子機器であって、
前記撮像装置は、
表面と、前記表面と反対側の裏面とを含む半導体層と、
前記半導体層に設けられ、受光量に応じた電荷を光電変換により生成可能な光電変換部と、
前記半導体層のうち前記表面と前記光電変換部との間に設けられ、前記電荷を保持可能な電荷保持部と、
前記光電変換部と前記電荷保持部との間に位置し、前記電荷が通過可能な開口を含む第1の遮光膜と、
前記光電変換部から見て前記第1の遮光膜と反対側に位置する第2の遮光膜
と、
1つのレンズと
をそれぞれ有する複数の像面位相差検出画素を備え、
前記複数の像面位相差検出画素における各々の前記第2の遮光膜は、いずれも前記光電変換部が占める画素領域のうちの前記開口と重なり合う重複領域を含む第1
のサブ画素領域に設けられ、または、いずれも前記画素領域のうちの前記第1
のサブ画素領域以外の第2
のサブ画素領域に設けられて
おり、
第1の方向において分割されて隣り合う前記第1のサブ画素領域および前記第2のサブ画素領域の双方に対して、前記1つのレンズが共通に設けられている
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、像面位相差検出画素を有する撮像装置および、その撮像装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
これまでに、画像信号を得るための通常画素に加えて、オートフォーカス用の位相差信号を得るための像面位相差検出画素を備えるようにした撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
ところで、このような撮像装置では、位相差画素における検出感度のばらつきが少ないことが望ましい。
【0005】
したがって、位相差検出特性に優れた撮像装置、およびそのような撮像装置を備えた電子機器を提供することが望まれる。
【0006】
本開示の一実施形態としての撮像装置は、半導体層と、光電変換部と、電荷保持部と、第1の遮光膜と、第2の遮光膜とをそれぞれ有する複数の像面位相差検出画素を備える。半導体層は、表面と、その表面と反対側の裏面とを含んでいる。光電変換部は、半導体層に設けられ、受光量に応じた電荷を光電変換により生成可能である。電荷保持部は、半導体層のうち表面と光電変換部との間に設けられ、電荷を保持可能である。第1の遮光膜は、光電変換部と電荷保持部との間に位置し、電荷が通過可能な開口を含んでいる。第2の遮光膜は、光電変換部から見て第1の遮光膜と反対側に位置する。ここで、複数の像面位相差検出画素における各々の第2の遮光膜は、いずれも光電変換部が占める画素領域のうちの開口と重なり合う重複領域を含む第1領域に設けられ、または、いずれも画素領域のうちの第1領域以外の第2領域に設けられている。
また、本開示の一実施形態としての電子機器は、上記撮像装置を備えたものである。
【0007】
本開示の一実施形態としての撮像装置および電子機器では、複数の像面位相差検出画素における各々の第2の遮光膜が、第1領域のみに設けられ、または第2領域のみに設けられる。このため、第2の遮光膜が第1領域に存在する像面位相差検出画素と、第2の遮光膜が第2領域に存在する像面位相差検出画素とが混在する場合と比べ、複数の像面位相差検出画素における検出感度のばらつきが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】本開示の第1の実施の形態に係る撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図1B】第1の実施の形態の第1の変形例としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図1C】第1の実施の形態の第2の変形例としての撮像装置の構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図1Aに示した撮像装置における一のセンサ画素の回路構成を表す回路図である。
【
図3】
図1Aに示した画素アレイ部におけるセンサ画素の配列の一例を模式的に表す平面図である。
【
図4】
図3に示したセンサ画素の構成を模式的に表す断面図である。
【
図5】
図3に示した第1の像面位相差検出画素における位相差信号検出感度を説明する説明図である。
【
図6】
図3に示した第2の像面位相差検出画素における位相差信号検出感度を説明する説明図である。
【
図7】参考例としての第2の像面位相差検出画素における位相差信号検出感度を説明する説明図である。
【
図8】第1の実施の形態の第3の変形例としての画素アレイ部におけるセンサ画素の配列を表す概略平面図である。
【
図9】第1の実施の形態の第4の変形例としての画素アレイ部におけるセンサ画素の配列を表す概略平面図である。
【
図10】本開示の第2の実施の形態に係る画素アレイ部におけるセンサ画素の配列の一例を模式的に表す平面図である。
【
図11】本開示の第3の実施の形態に係る画素アレイ部におけるセンサ画素の構成を模式的に表す断面図である。
【
図12】電子機器の全体構成例を表す概略図である。
【
図13】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図14】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【
図15】本開示のその他の変形例としての画素アレイ部におけるセンサ画素の配列の一例を模式的に表す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態
第1の遮光膜の開口との重複領域を含む第1領域に設けられた第2の遮光膜を有する像面位相差検出画素を備えた撮像装置の例。
2.第1の実施の形態の変形例
3.第2の実施の形態
第1の遮光膜の開口との重複領域を含まない第2領域に設けられた第2の遮光膜を有する像面位相差検出画素を備えた撮像装置の例。
4.第3の実施の形態
第3の遮光膜をさらに備えた撮像装置の例。
5.電子機器への適用例
6.移動体への適用例
7.その他の変形例
【0010】
<1.第1の実施の形態>
[固体撮像装置101の構成]
図1Aは、本技術の第1の実施の形態に係る固体撮像装置101の構成例を示すブロック図である。
【0011】
固体撮像装置101は、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの、いわゆるグローバルシャッタ方式の裏面照射型イメージセンサである。固体撮像装置101は、被写体からの光を受光して光電変換し、画像信号を生成することで画像を撮像するものである。
【0012】
グローバルシャッタ方式とは、基本的には全画素同時に露光を開始し、全画素同時に露光を終了するグローバル露光を行う方式である。ここで、全画素とは、画像に現れる部分の画素の全てということであり、ダミー画素等は除外される。また、時間差や画像の歪みが問題にならない程度に十分小さければ、全画素同時ではなく、複数行(例えば、数十行)単位でグローバル露光を行いながら、グローバル露光を行う領域を移動する方式もグローバルシャッタ方式に含まれる。また、画像に表れる部分の画素の全てでなく、所定領域の画素に対してグローバル露光を行う方式もグローバルシャッタ方式に含まれる。
【0013】
裏面照射型イメージセンサとは、被写体からの光を受光して電気信号に変換するフォトダイオード等の光電変換部が、被写体からの光が入射する受光面と、各画素を駆動させるトランジスタ等の配線が設けられた配線層との間に設けられている構成のイメージセンサをいう。
【0014】
固体撮像装置101は、例えば、画素アレイ部111、垂直駆動部112、カラム信号処理部113、データ格納部119、水平駆動部114、システム制御部115、および信号処理部118を備えている。
【0015】
固体撮像装置101では、半導体基板11(後出)上に画素アレイ部111が形成される。垂直駆動部112、カラム信号処理部113、データ格納部119、水平駆動部114、システム制御部115、および信号処理部118などの周辺回路は、例えば、画素アレイ部111と同じ半導体基板11上に形成される。
【0016】
画素アレイ部111は、被写体から入射した光の量に応じた電荷を生成して蓄積する光電変換部51(後出)を含むセンサ画素110を複数有する。センサ画素110は、
図1に示したように、横方向(行方向)および縦方向(列方向)のそれぞれに配列される。画素アレイ部111では、行方向に一列に配列されたセンサ画素110からなる画素行ごとに、画素駆動線116が行方向に沿って配線され、列方向に一列に配列されたセンサ画素110からなる画素列ごとに、垂直信号線(VSL)117が列方向に沿って配線されている。
【0017】
垂直駆動部112は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどからなる。垂直駆動部112は、複数の画素駆動線116を介して複数のセンサ画素110に対し信号等をそれぞれ供給することにより、画素アレイ部111における複数のセンサ画素110の全てを同時に駆動させ、または画素行単位で駆動させる。
【0018】
垂直駆動部112は、例えば読み出し走査系と掃き出し走査系との2つの走査系を有する。読み出し走査系は、単位画素から信号を読み出すために、画素アレイ部111の単位画素を行単位で順に選択走査する。掃き出し走査系は、読み出し走査系によって読み出し走査が行われる読み出し行に対し、その読み出し走査よりもシャッタスピードの時間分だけ先行して掃き出し走査を行う。
【0019】
この掃き出し走査系による掃き出し走査により、読み出し行の単位画素の光電変換部51から不要な電荷が掃き出される。これをリセットという。そして、この掃き出し走査系による不要電荷の掃き出し、すなわちリセットにより、いわゆる電子シャッタ動作が行われる。ここで、電子シャッタ動作とは、光電変換部51の光電荷を捨てて、新たに露光を開始する、すなわち光電荷の蓄積を新たに開始する動作のことをいう。
【0020】
読み出し走査系による読み出し動作によって読み出される信号は、その直前の読み出し動作または電子シャッタ動作以降に入射した光量に対応する。直前の読み出し動作による読み出しタイミングまたは電子シャッタ動作による掃き出しタイミングから、今回の読出し動作による読出しタイミングまでの期間が、単位画素における光電荷の蓄積時間、すなわち露光時間となる。
【0021】
垂直駆動部112によって選択走査された画素行の各単位画素から出力される信号は、垂直信号線117の各々を通してカラム信号処理部113に供給されるようになっている。カラム信号処理部113は、画素アレイ部111の画素列ごとに、選択行の各単位画素から垂直信号線117を通して出力される信号に対して所定の信号処理を行うとともに、信号処理後の画素信号を一時的に保持するようになっている。
【0022】
具体的には、カラム信号処理部113は、例えばシフトレジスタやアドレスデコーダなどからなり、ノイズ除去処理、相関二重サンプリング処理、アナログ画素信号のA/D(Analog/Digital)変換A/D変換処理等を行い、ディジタル画素信号を生成する。カラム信号処理部113は、生成した画素信号を信号処理部118に供給する。
【0023】
水平駆動部114は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、カラム信号処理部113の画素列に対応する単位回路を順番に選択するようになっている。この水平駆動部114による選択走査により、カラム信号処理部113において単位回路ごとに信号処理された画素信号が順番に信号処理部118に出力されるようになっている。
【0024】
システム制御部115は、各種のタイミング信号を生成するタイミングジェネレータ等からなる。システム制御部115は、タイミングジェネレータで生成されたタイミング信号に基づいて、垂直駆動部112、カラム信号処理部113、および水平駆動部114の駆動制御を行なうものである。
【0025】
信号処理部118は、必要に応じてデータ格納部119にデータを一時的に格納しながら、カラム信号処理部113から供給された画素信号に対して演算処理等の信号処理を行ない、各画素信号からなる画像信号を出力するものである。
【0026】
データ格納部119は、信号処理部118での信号処理にあたり、その信号処理に必要なデータを一時的に格納するようになっている。
【0027】
なお、本技術の固体撮像装置は
図1Aに示した固体撮像装置101に限定されるものではなく、例えば
図1Bに示した固体撮像装置101Aや
図1Cに示した固体撮像装置101Bのような構成を有していてもよい。
図1Bは、本技術の第1の実施の形態に係る第1の変形例としての固体撮像装置101Aの機能の構成例を示すブロック図である。
図1Cは、本技術の第1の実施の形態に係る第2の変形例としての固体撮像装置101Bの機能の構成例を示すブロック図である
【0028】
図1Bの固体撮像装置101Aでは、カラム信号処理部113と水平駆動部114との間にデータ格納部119が配設され、カラム信号処理部113から出力される画素信号が、データ格納部119を経由して信号処理部118に供給されるようになっている。
【0029】
また、
図1Cの固体撮像装置101Bは、カラム信号処理部113と水平駆動部114との間にデータ格納部119と信号処理部118とを並列に配設するようにしたものである。固体撮像装置101Cでは、カラム信号処理部113が画素アレイ部111の列ごと、あるいは画素アレイ部111の複数列ごとにアナログ画素信号をディジタル画素信号に変換するA/D変換を行うようになっている。
【0030】
[センサ画素110の構成]
(回路構成例)
次に、
図2を参照して、
図1Aの画素アレイ部111に設けられたセンサ画素110の回路構成例について説明する。
図2は、画素アレイ部111を構成する複数のセンサ画素110のうちの1つのセンサ画素110の回路構成例を示している。
【0031】
図2に示した例では、画素アレイ部111におけるセンサ画素110は、メモリ保持型のグローバルシャッタを実現している。
【0032】
センサ画素110は、電源VDD1,VDD2、光電変換部(PD)51、第1~第3の転送トランジスタ(TR)52A~52C、電荷電圧変換部(FD)53、リセットトランジスタ(RST)54、増幅トランジスタ(AMP)55、選択トランジスタ(SEL)56、排出トランジスタ(OFG)58、電荷保持部(MEM)59、排出部OFDおよびバッファBUFを有している。TR52Aは転送ゲートTRZを含み、TR52Bは転送ゲートTRYおよび転送ゲートTRXを含み、TR52Cは転送ゲートTRGを含んでいる。
【0033】
この例では、TR52A~52C、RST54、AMP55、SEL56およびOFG58は、いずれもN型のMOSトランジスタである。これらTG52A~52C、RST54、AMP55、SEL56およびOFG58における各ゲート電極には、それぞれ、駆動信号がシステム制御部115の駆動制御に基づき垂直駆動部112および水平駆動部114により供給される。駆動信号は、高レベルの状態がアクティブ状態(オンの状態)となり、低レベルの状態が非アクティブ状態(オフの状態)となるパルス信号である。なお、以下、駆動信号をアクティブ状態にすることを、駆動信号をオンするとも称し、駆動信号を非アクティブ状態にすることを、駆動信号をオフするとも称する。
【0034】
PD51は、例えばPN接合のフォトダイオードからなる光電変換素子であり、被写体からの光を受光して、その受光量に応じた電荷を光電変換により生成し、蓄積するように構成されている。
【0035】
MEM59は、PD51とFD53との間に設けられており、グローバルシャッタ機能を実現するため、PD51において生成されて蓄積された電荷をFD53へ転送するまでの間、一時的にその電荷を保持する領域である。
【0036】
TG52A~52Cは、PD51とFD53との間に配置されている。TR52Aは、転送ゲートTRZに印加される駆動信号に応じて、PD51に蓄積されている電荷をMEM59へ転送するように構成されている。TR52Aは、本開示の「電荷転送部」に対応する一具体例である。
【0037】
TR52BおよびTR52Cは、それぞれ、転送ゲートTRY,TRXおよび転送ゲートTRGに印加される駆動信号に応じて、MEM59に一時的に保持された電荷をFD53へ転送するように構成されている。
【0038】
センサ画素110では、例えば、TR52Aがオフし、TR52BおよびTR52Cがオンすると、MEM59に保持されている電荷がFD53へ転送されるようになっている。
【0039】
バッファBUFは、TR52AとTR52Bとの間に形成される電荷蓄積領域である。
【0040】
RST54は、電源VDD1に接続されたドレインと、FD53に接続されたソースとを有している。RST54は、そのゲート電極に印加される駆動信号に応じて、FD53を初期化、すなわちリセットする。例えば、駆動信号によりRST54がオンすると、FD53の電位が電源VDD1の電圧レベルにリセットされる。すなわち、FD53の初期化が行われる。
【0041】
FD53は、TR52A~TR52CおよびMEM59を介してPD51から転送されてきた電荷を電気信号(例えば、電圧信号)に変換して出力する浮遊拡散領域である。FD53には、RST54が接続されるとともに、増幅トランジスタAMP55およびSEL56を介してVSL117が接続されている。
【0042】
AMP55は、FD53の電位に応じた電気信号を出力する。AMP55は、例えばカラム信号処理部113に設けられた定電流源とソースフォロワ回路を構成している。SEL56は、当該センサ画素110が選択されたときにオンされ、FD53からAMP55を経由した電気信号を、VSL117を通してカラム信号処理部113へ出力するようになっている。
【0043】
センサ画素110は、PD51の電荷の転送先として、FD53のほかに排出部OFDをそれぞれさらに備えている。OFG58はTR52AとTR52Bとの間に配置されている。
【0044】
OFG58は、排出部OFDに接続されたドレイン、および、TR52AとTR52Bとを結ぶ配線に接続されたソースを有している。OFG58は、ゲート電極に印加される駆動信号に応じて、PD51を初期化、すなわちリセットする。PD51をリセットする、とは、PD51を空乏化するという意味である。
【0045】
また、OFG58は、オーバーフローパスをそれぞれ形成し、PD51から溢れた電荷をそれぞれ排出部OFDへ排出するようになっている。このように、本実施の形態のセンサ画素110では、OFG58がPD51を直接リセットすることができる。
【0046】
(平面構成例および断面構成例)
次に、
図3および
図4を参照して、
図1Aの画素アレイ部111に設けられたセンサ画素110の平面構成例および断面構成例について説明する。
図3は、画素アレイ部111を構成する複数のセンサ画素110のうちの一部(
図3の例では16)のセンサ画素110の平面構成例を示している。また、
図4は、画素アレイ部111を構成する複数のセンサ画素110のうちの、
図3に示したIV-IV線に沿った矢視方向の断面構成例を示している。
【0047】
図3では、実線で区切られた16個の正方領域の各々が、1つのセンサ画素110における画素領域120を表している。各画素領域120には、破線で記載された矩形の開口14K(後出)が設けられている。さらに、
図3に示したように、センサ画素110は、通常の画像検出用の画像検出画素110R,110G,110Bに加え、オートフォーカス用の位相差信号を得るための第1および第2の像面位相差検出画素ZAF1,ZAF2をいくつか備えている。
【0048】
また、
図3に示した符号CF-R,CF-GおよびCF-Bは、それぞれ、赤色のカラーフィルタCF(後出)、緑色のカラーフィルタCF、および青色のカラーフィルタCFを表している。画像検出画素110RはカラーフィルタCF-Rを有し、入射光から赤色光を検出する。画像検出画素110GはカラーフィルタCF-Gを有し、入射光から緑色光を検出する。画像検出画素110BはカラーフィルタCF-Bを有し、入射光から青色光を検出する。
【0049】
図4に示したように、画像検出画素110Bは、PD51などを含む第1の階層LY1と、MEM59などを含む第2の階層LY2とがZ軸方向において積層された積層構造を有する。
【0050】
画像検出画素110Bは、第1の階層LY1において、Si(シリコン)などの半導体材料により形成された半導体基板11と、その半導体基板11に埋設されたPD51とを有している。PD51は、XY面内において画像検出画素110Bにおける画素領域の大部分を占めるように形成されている。半導体基板11は、
図4に示したように、表面11S1と、Z軸方向において表面11S1と反対側の裏面11S2とを含んでいる。裏面11S2は外部からの光が入射する面であり、カラーフィルタCFを含むカラーフィルタ形成層LY0が設けられている。カラーフィルタCFの裏面11S2と反対側には、オンチップレンズLNSがさらに設けられている。
【0051】
半導体基板11のうちの第1の階層LY1には、PD51を取り囲むように素子分離部12がさらに設けられている。素子分離部12は、互いに隣り合うセンサ画素110同士の境界位置においてZ軸方向に延在すると共に各PD51を取り囲む壁状の部材である。素子分離部12により、互いに隣り合うセンサ画素110同士は電気的に分離されている。また、素子分離部12は、隣接するセンサ画素110からの漏れ光がPD51へ入射することにより混色等のノイズを発生させるのを防止する。素子分離部12は、例えば酸化珪素などの絶縁材料によって構成されている。
【0052】
第2の階層LY2には、MEM59のほかTR52A~52Cなどの画素トランジスタやFD53が形成されている。第2の階層LY2には、RST54、AMP55、SEL56およびOFG58などが形成されていてもよい。なお、MEM59は、例えばTR52B~52Cにおける転送ゲートTRY,TRX,TRGの下方に位置している。第2の階層LY2には、さらに、表面11S1に設けられた転送ゲートTRZの下部から深さ方向(+Z方向)に延在する縦型トレンチゲート52Gが設けられている。縦型トレンチゲート52Gの先端部はPD51に達している。縦型トレンチゲート52Gは「電荷転送部」の一部を構成し、PD51と転送ゲートTRZとをそれぞれ繋いでおり、PD51から、バッファBUFを介して転送先であるMEM59へ電荷を転送する経路となる。なお、縦型トレンチゲートは、1つのセンサ画素110において2以上隣り合うように配置されていてもよい。
【0053】
第2の階層LY2は、Z軸方向に延在する遮光壁13をさらに有するとよい。MEM59は、2つの遮光壁13の間に挟まれるように配置される。遮光壁13は、MEM59への光の入射を妨げる部材である。
【0054】
PD51とMEM59との間には、XY面に沿って広がるMEM遮光膜14が設けられている(
図4)。MEM遮光膜14は、遮光壁13と同様、MEM59への光の入射を妨げる部材であり、PD51を透過した光がMEM59へ入射してノイズが発生するのを抑制する。なお、裏面11S2から入射してPD51により吸収されずにPD51を透過した光は、MEM遮光膜14において反射し、再度、PD51へ入射することとなる。すなわち、MEM遮光膜14はリフレクタでもあり、PD51を透過した光を再度PD51へ入射させることにより、光電変換効率を高めている。但し、MEM遮光膜14には、PD51により生成された電荷が通過可能な開口14Kが設けられている。縦型トレンチゲート52Gは、開口14Kを貫通するように設けられている。MEM遮光膜14は、開口14Kを除き、画素アレイ部111におけるXY面の全体に亘って設けられているとよい。また、MEM遮光膜14は、遮光壁13と連結されていてもよい。
【0055】
さらに、開口14Kは、画素領域120のうちの中心以外の位置に設けられている。MEM遮光膜14は、上述したようにPD51からの透過光を反射して再度PD51へ入射させるリフレクタでもある。このため、オンチップレンズLNSによる集光光の強度が最も高くなる画素領域120の中心近傍を避けて開口14Kを設けることにより、MEM遮光膜14における反射光量の低下を抑えることができる。
ここで、MEM遮光膜14は本開示の「第1の遮光膜」に対応する一具体例であり、開口14Kは本開示の「開口」に対応する一具体例である。
【0056】
MEM遮光膜14および遮光壁13は、例えば内層部分と、その周囲を取り囲む外層部分との2層構造をそれぞれ有している。内層部分は、例えば遮光性を有する単体金属、金属合金、金属窒化物、および金属シリサイドのうちの少なくとも1種を含む材料からなる。より、具体的には、内層部分の構成材料としては、Al(アルミニウム),Cu(銅),Co(コバルト),W(タングステン),Ti(チタン),Ta(タンタル),Ni(ニッケル),Mo(モリブデン),Cr(クロム),Ir(イリジウム),白金イリジウム,TiN(窒化チタン)またはタングステンシリコン化合物などが挙げられる。なかでもAl(アルミニウム)が最も光学的に好ましい構成材料である。なお、内層部分は、グラファイトや有機材料により構成されていてもよい。外層部分は、例えばSiOx(シリコン酸化物)などの絶縁材料により構成されている。外層部分により、内層部分と半導体基板11との電気的絶縁性が確保される。
【0057】
また、本実施の形態では、半導体基板11は例えばP型(第1導電型)であり、PD51およびMEM59はN型(第2導電型)である。
【0058】
画像検出画素110Rおよび画像検出画素110Gは、カラーフィルタCFの色が異なることを除き、他は画像検出画素110Bと実質的に同じ構成を有する。
【0059】
図3に示したセンサ画素110の平面構成例では、XY面内において画像検出画素110R,110G,110Bがいわゆるベイヤ配列(Bayer arrangement)を構成している。具体的には、行方向であるY軸方向において画像検出画素110Rと画像検出画素110Gとが交互配置された第1の行と、同じくY軸方向において画像検出画素110Gと画像検出画素110Bとが交互配置された第2の行とが、X軸方向において交互配置されている。すなわち、列方向であるX軸方向において画像検出画素110Rと画像検出画素110Gとが交互配置された第1の列と、同じくX軸方向において画像検出画素110Gと画像検出画素110Bとが交互配置された第2の列とが、Y軸方向において交互配置されている。
【0060】
但し、画素アレイ部111では、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ並ぶ画像検出画素110R,110G,110Bの間に、第1および第2の像面位相差検出画素ZAF1,ZAF2が配置されている。具体的には、
図3に示したセンサ画素110の平面構成例では、画像検出画素110Gが配置されるべきいくつかの位置に第1および第2の像面位相差検出画素ZAF1,ZAF2がそれぞれ配置されている。
【0061】
第1の像面位相差検出画素ZAF1における画素領域120および第2の像面位相差検出画素ZAF2における画素領域120は、それぞれ、Y軸方向において分割されて隣り合う第1のサブ画素領域121および第2のサブ画素領域122を含んでいる。さらに、第1の像面位相差検出画素ZAF1は、第1のサブ画素領域121に設けられたZAF遮光膜16-1を有し、第2の像面位相差検出画素ZAF2は、第2のサブ画素領域122に設けられたZAF遮光膜16-2を有する。ここで、ZAF遮光膜16(16-1,16-2)は、本開示の「第2の遮光膜」に対応する一具体例である。
【0062】
第1の像面位相差検出画素ZAF1においてZAF遮光膜16-1が設けられた第1のサブ画素領域121は、画素領域120のうちの開口14Kと重なり合う重複領域を含んでいる。また、第2の像面位相差検出画素ZAF2においてZAF遮光膜16-2が設けられた第2のサブ画素領域122は、画素領域120のうちの開口14Kと重なり合う重複領域を含んでいる。すなわち、本実施の形態では、ZAF遮光膜16-1およびZAF遮光膜16-2は、いずれも開口14KとZ軸方向において重なり合っている。
【0063】
図4に示したように、第1の像面位相差検出画素ZAF1は、ZAF遮光膜16-1をさらに有することを除き、他は画像検出画素110R,110G,110Bと実質的に同じ構成を有する。また、第1の像面位相差検出画素ZAF1と第2の像面位相差検出画素ZAF2とは、ZAF遮光膜16-1およびZAF遮光膜16-2の配置位置が異なる点を除き、他は実質的に同じ構成を有する。
【0064】
(センサ画素110の動作)
次に、
図2から
図4などを参照して、センサ画素110の動作について説明する。センサ画素110では、まず、システム制御部115の駆動制御に基づき、露光を行う前に高レベルの駆動信号がOFG58および転送ゲートTRZにそれぞれ供給されることで、OFG58および転送ゲートTRZがオンされる。これにより、PD51において蓄積されている電荷が排出部OFDへ排出され、PD51がリセットされる。
【0065】
PD51がリセットされたのち、システム制御部115の駆動制御に基づき、低レベルの駆動信号がOFG58および転送ゲートTRZにそれぞれ供給されることでOFG58および転送ゲートTRZがオフされる。これにより、画素アレイ部111における全てのセンサ画素110において露光が開始され、被写体からの光を受光した各PD51において電荷が生成および蓄積される。
【0066】
予定された露光時間が経過したのち、画素アレイ部111の全てのセンサ画素110において、システム制御部115の駆動制御に基づき、転送ゲートTRZおよび転送ゲートTRYへの駆動信号がオンにされる。これにより、各センサ画素110において、PD51に蓄積された電荷は、PD51から転送ゲートTRZおよび転送ゲートTRYを介してMEM59へ転送され、MEM59において一時的に保持される。
【0067】
続いて、システム制御部115の駆動制御に基づき、転送ゲートTRZおよび転送ゲートTRYへの駆動信号がオフにされたのち、各センサ画素110のMEM59に保持されている電荷を順次読み出す読み出し動作が行われる。電荷の読み出し動作は、例えば画素アレイ部111の行単位で行われ、具体的には、読み出される行ごとに転送ゲートTRXおよび転送ゲートTRGを駆動信号によりオンされる。これにより、各センサ画素110のMEM59に保持されている電荷が、行単位にFD53へそれぞれ転送される。
【0068】
そののち、SEL56が駆動信号によりオンされると、FD53に保持されている電荷に応じたレベルを示す電気信号が、AMP55とSEL56とを順次経由してVSL117を通してカラム信号処理部113へ出力される。
【0069】
ここで、
図5および
図6を参照して、第1の像面位相差検出画素ZAF1における入射光に対する感度と、第2の像面位相差検出画素ZAF2における入射光に対する感度との比較を行う。
【0070】
図5は、第1の像面位相差検出画素ZAF1において、入射光がオンチップレンズLNSを透過してPD51に入射する様子を表している。
図5の(A)はXY面に沿った第1の像面位相差検出画素ZAF1の概略平面図であり、
図5の(B)はYZ面に沿った第1の像面位相差検出画素ZAF1の概略断面図である。第1の像面位相差検出画素ZAF1
では、第1のサブ画素領域121にZAF遮光膜16-1が設けられているので、第1のサブ画素領域121に入射した入射光L1はZAF遮光膜16-1により遮られてPD51には入射しない。したがって、第2のサブ画素領域122に入射した入射光L2のみがPD51に入射する。また、第1の像面位相差検出画素ZAF1における第2のサブ画素領域122には開口14Kが存在しないので、PD51を透過した入射光L2はMEM遮光膜14により反射され、再度PD51へ入射することとなる。その結果、第1の像面位相差検出画素ZAF1では、
図5の(C)に曲線C1で示したように、第2のサブ画素領域122において高い感度を示すこととなる。なお、
図5の(C)の曲線C1は、入射光の角度に対する第1の像面位相差検出画素ZAF1のPD51の感度分布を表している。
【0071】
図6は、第2の像面位相差検出画素ZAF2において、入射光がオンチップレンズLNSを透過してPD51に入射する様子を表している。
図6の(A)はXY面に沿った第2の像面位相差検出画素ZAF2の概略平面図であり、
図6の(B)はYZ面に沿った第2の像面位相差検出画素ZAF2の概略断面図である。第2の像面位相差検出画素ZAF2では、第2のサブ画素領域122にZAF遮光膜16-2が設けられているので、第2のサブ画素領域122に入射した入射光L2はZAF遮光膜16-2により遮られてPD51には入射しない。したがって、第1のサブ画素領域121に入射した入射光L1のみがPD51に入射する。また、第2の像面位相差検出画素ZAF2における第1のサブ画素領域121には開口14Kが存在しないので、PD51を透過した入射光L1はMEM遮光膜14により反射され、再度PD51へ入射することとなる。その結果、第2の像面位相差検出画素ZAF2では、
図6の(C)に曲線C2で示したように、第1のサブ画素領域121において高い感度を示すこととなる。なお、
図6の(C)の曲線C2は、入射光の角度に対する第2の像面位相差検出画素ZAF2のPD51の感度分布を表している。
【0072】
図5の(C)および
図6の(C)のように、本実施の形態の第1の像面位相差検出画素ZAF1および第2の像面位相差検出画素ZAF2によれば、入射角度に対して対称性を有する位相差感度が得られる。
【0073】
これに対し、例えば
図7の(A)および(B)に示した参考例としての第2の像面位相差検出画素ZAF102のように、ZAF遮光膜16-2により遮られていない第1のサブ画素領域121に開口14Kが存在する場合、PD51を透過した入射光L1の一部はMEM遮光膜14により反射されず、MEM59側へ抜けていってしまう。このため、
図7の(C)に示したように、例えば破線の曲線C1で示した第1の像面位相差検出画素ZAF1における感度分布のピーク値に比べ、実線の曲線C102で示した第2の像面位相差検出画素ZAF102における感度分布のピーク値が例えばΔ2だけ低くなる。このように、開口14Kを覆うようにZAF遮光膜16-1が設けられた第1の像面位相差検出画素ZAF1と、開口14KがZAF遮光膜16-2によって遮られていない第2の像面位相差検出画素ZAF2とが混在する場合には、対称性の低い位相差感度が得られることとなってしまう。このため、位相差検出特性の低下が懸念される。
【0074】
[固体撮像装置101の効果]
このように、本実施の形態の固体撮像装置101では、第1の像面位相差検出画素ZAF1では、ZAF遮光膜16-1が、MEM遮光膜14の開口14Kと重複する第1のサブ画素領域121に設けられている。また、第2の像面位相差検出画素ZAF2では、ZAF遮光膜16-2が、MEM遮光膜14の開口14Kと重複する第2のサブ画素領域122に設けられている。このため、例えば、ZAF遮光膜16-1が開口14Kと重複しない第1の像面位相差検出画素ZAF1と、ZAF遮光膜16-2が開口14Kと重複する第1の像面位相差検出画素ZAF1とが混在する場合と比べ、第1の像面位相差検出画素ZAF1の検出感度と、第2の像面位相差検出画素ZAF2の検出感度とのばらつきが低減される。
【0075】
したがって、本実施の形態の固体撮像装置101によれば、第1および第2の像面位相差検出画素ZAF1,ZAF2における検出感度のばらつきが低減されるので、優れた位相差検出特性を実現できる。
【0076】
<2.第1の実施の形態の変形例>
(第3の変形例)
[画素アレイ部111Aにおけるセンサ画素110の配列]
図8は、第1の実施の形態の第3の変形例としての画素アレイ部111Aにおけるセンサ画素110の配列を表す概略平面図である。
【0077】
上記第1の実施の形態の画素アレイ部111では、第1の像面位相差検出画素ZAF1が設けられた第1の行からX軸方向において2つ離れた第2の行に第2の像面位相差検出画素ZAF2を設けるようにした。これに対し本変形例としての画素アレイ部111Aでは、第1の像面位相差検出画素ZAF1が設けられた第1の行と隣り合う第2の行に第2の像面位相差検出画素ZAF2を設けるようにした。なお、画素アレイ部111Aにおいても、第1の像面位相差検出画素ZAF1では第1のサブ画素領域121にZAF遮光膜16-1および開口14Kが設けられ、第2の像面位相差検出画素ZAF2では第2のサブ画素領域122にZAF遮光膜16-2および開口14Kが設けられている。したがって、本変形例としての画素アレイ部111Aにおいても、上記第1の実施の形態の画素アレイ部111と同様の効果が期待できる。
【0078】
(第4の変形例)
[画素アレイ部111Bにおけるセンサ画素110の配列]
図9は、第1の実施の形態の第4の変形例としての画素アレイ部111Bにおけるセンサ画素110の配列を表す概略平面図である。
【0079】
上記第1の実施の形態の画素アレイ部111では、画像検出画素110Gが配置されるべきいくつかの位置に第1および第2の像面位相差検出画素ZAF1,ZAF2がそれぞれ配置されるようにした。これに対し本変形例としての画素アレイ部111Bでは、画像検出画素110Bが配置されるべき位置に第1および第2の像面位相差検出画素ZAF1,ZAF2をそれぞれ配置するようにした。なお、画素アレイ部111Bにおいても、第1の像面位相差検出画素ZAF1では第1のサブ画素領域121にZAF遮光膜16-1および開口14Kが設けられ、第2の像面位相差検出画素ZAF2では第2のサブ画素領域122にZAF遮光膜16-2および開口14Kが設けられている。したがって、本変形例としての画素アレイ部111Bにおいても、上記第1の実施の形態の画素アレイ部111と同様の効果が期待できる。
【0080】
<3.第2の実施の形態>
図10は、本技術の第2の実施の形態に係る画素アレイ部211の平面構成例を示している。上記第1の実施の形態の画素アレイ部111では、第1の像面位相差検出画素ZAF1において第1のサブ画素領域121にZAF遮光膜16-1および開口14Kを設け、第2の像面位相差検出画素ZAF2において第2のサブ画素領域122にZAF遮光膜16-2および開口14Kを設けるようにした。これに対し本実施の形態の画素アレイ部211では、第1の像面位相差検出画素ZAF1において、第1のサブ画素領域121にZAF遮光膜16-1を設けると共に第2のサブ画素領域122に開口14Kを設けるようにした。さらに、第2の像面位相差検出画素ZAF2において、第2のサブ画素領域122にZAF遮光膜16-2を設けると共に第1のサブ画素領域121に開口14Kを設けるようにした。これらの点を除き、本実施の形態の画素アレイ部211は、上記第1の実施の形態の画素アレイ部111と実質的に同じ構成を有する。
【0081】
本実施の形態の画素アレイ部211では、第1の像面位相差検出画素ZAF1において、ZAF遮光膜16-1が存在しない第2のサブ画素領域122に開口14Kを設けるようにした。このため、第1の像面位相差検出画素ZAF1の第2のサブ画素領域122に入射した入射光の一部がMEM遮光膜14により反射せずに開口14Kを通過してしまう。このため、画素アレイ部111と比較すると、第1の像面位相差検出画素ZAF1における位相差感度が低下する。同様に、第2の像面位相差検出画素ZAF2の第1のサブ画素領域121に入射した入射光の一部がMEM遮光膜14により反射せずに開口14Kを通過してしまう。画素アレイ部211では、第2の像面位相差検出画素ZAF2において、ZAF遮光膜16-2が存在しない第1のサブ画素領域121に開口14Kを設けるようにしたからである。このため、画素アレイ部111と比較すると、第2の像面位相差検出画素ZAF2における位相差感度も低下する。
【0082】
このように、本実施の形態の画素アレイ部211では、第1の像面位相差検出画素ZAF1および第2の像面位相差検出画素ZAF2の双方において、ZAF遮光膜16-1,16-2が存在しない領域に開口14Kを設けるようにした。このため、上記第1の実施の形態における画素アレイ部111と比較すると、第1の像面位相差検出画素ZAF1における位相差感度および第2の像面位相差検出画素ZAF2における位相差感度の双方が低下する。しかしながら、入射角度に対する第1の像面位相差検出画素ZAF1の位相差感度の分布と、入射角度に対する第2の像面位相差検出画素ZAF2の位相差感度の分布との対称性は担保される。よって、本実施の形態の画素アレイ部211においても、上記第1の実施の形態の画素アレイ部111と同様の効果が期待できる。
【0083】
<4.第3の実施の形態>
図11は、本技術の第3の実施の形態に係る画素アレイ部311の断面構成例を示している。本実施の形態の画素アレイ部311では、
図11に示したように、PD51とMEM遮光膜14との間に追加遮光膜15をさらに設けるようにしたものである。追加遮光膜15は、YX面において開口14Kと異なる位置に、すなわち、Z軸方向において開口14Kと重複しない領域に、開口15Kを有している。また、縦型トレンチゲート52Gの先端はPD51から離間している。しかしながら、開口15Kが設けられているので、PD51から縦型トレンチゲート52Gに至る電荷の搬送経路は確保されている。
【0084】
画素アレイ部311の第1の像面位相差検出画素ZAF1では、例えば第1のサブ画素領域121に開口14Kおよび追加遮光膜15が存在し、第2のサブ画素領域122に開口15KおよびZAF遮光膜16-1が存在するようになっている。画素アレイ部311の第2の像面位相差検出画素ZAF2では、第2のサブ画素領域122に開口14Kおよび追加遮光膜15が存在し、第1のサブ画素領域121に開口15KおよびZAF遮光膜16-2が存在するようになっている。このため、第1の像面位相差検出画素ZAF1の検出感度と、第2の像面位相差検出画素ZAF2の検出感度とのばらつきが低減される。
【0085】
したがって、本実施の形態の画素アレイ部311を備えた固体撮像装置においても優れた位相差検出特性を実現できる。
【0086】
<5.電子機器への適用例>
図12は、本技術を適用した電子機器としてのカメラ2000の構成例を示すブロック図である。
【0087】
カメラ2000は、レンズ群などからなる光学部2001、上述の固体撮像装置101など(以下、固体撮像装置101等という。)が適用される撮像装置(撮像デバイス)2002、およびカメラ信号処理回路であるDSP(Digital Signal Processor)回路2003を備える。また、カメラ2000は、フレームメモリ2004、表示部2005、記録部2006、操作部2007、および電源部2008も備える。DSP回路2003、フレームメモリ2004、表示部2005、記録部2006、操作部2007および電源部2008は、バスライン2009を介して相互に接続されている。
【0088】
光学部2001は、被写体からの入射光(像光)を取り込んで撮像装置2002の撮像面上に結像する。撮像装置2002は、光学部2001によって撮像面上に結像された入射光の光量を画素単位で電気信号に変換して画素信号として出力する。
【0089】
表示部2005は、例えば、液晶パネルや有機ELパネル等のパネル型表示装置からなり、撮像装置2002で撮像された動画または静止画を表示する。記録部2006は、撮像装置2002で撮像された動画または静止画を、ハードディスクや半導体メモリ等の記録媒体に記録する。
【0090】
操作部2007は、ユーザによる操作の下に、カメラ2000が持つ様々な機能について操作指令を発する。電源部2008は、DSP回路2003、フレームメモリ2004、表示部2005、記録部2006および操作部2007の動作電源となる各種の電源を、これら供給対象に対して適宜供給する。
【0091】
上述したように、撮像装置2002として、上述した固体撮像装置101等を用いることで、良好な画像の取得が期待できる。
【0092】
<6.移動体への応用例>
本開示に係る技術(本技術)は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット等のいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0093】
図13は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システムの概略的な構成例を示すブロック図である。
【0094】
車両制御システム12000は、通信ネットワーク12001を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図21に示した例では、車両制御システム12000は、駆動系制御ユニット12010、ボディ系制御ユニット12020、車外情報検出ユニット12030、車内情報検出ユニット12040、及び統合制御ユニット12050を備える。また、統合制御ユニット12050の機能構成として、マイクロコンピュータ12051、音声画像出力部12052、及び車載ネットワークI/F(Interface)120
53が図示されている。
【0095】
駆動系制御ユニット12010は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット12010は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。
【0096】
ボディ系制御ユニット12020は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット12020は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット12020には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット12020は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0097】
車外情報検出ユニット12030は、車両制御システム12000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット12030には、撮像部12031が接続される。車外情報検出ユニット12030は、撮像部12031に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像を受信する。車外情報検出ユニット12030は、受信した画像に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。
【0098】
撮像部12031は、光を受光し、その光の受光量に応じた電気信号を出力する光センサである。撮像部12031は、電気信号を画像として出力することもできるし、測距の情報として出力することもできる。また、撮像部12031が受光する光は、可視光であっても良いし、赤外線等の非可視光であっても良い。
【0099】
車内情報検出ユニット12040は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット12040には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部12041が接続される。運転者状態検出部12041は、例えば運転者を撮像するカメラを含み、車内情報検出ユニット12040は、運転者状態検出部12041から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。
【0100】
マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット12010に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行うことができる。
【0101】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030又は車内情報検出ユニット12040で取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0102】
また、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で取得される車外の情報に基づいて、ボディ系制御ユニット12020に対して制御指令を出力することができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車外情報検出ユニット12030で検知した先行車又は対向車の位置に応じてヘッドランプを制御し、ハイビームをロービームに切り替える等の防眩を図ることを目的とした協調制御を行うことができる。
【0103】
音声画像出力部12052は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図15の例では、出力装置として、オーディオスピーカ12061、表示部12062及びインストルメントパネル12063が例示されている。表示部12062は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0104】
図14は、撮像部12031の設置位置の例を示す図である。
【0105】
図14では、撮像部12031として、撮像部12101、12102、12103、12104、12105を有する。
【0106】
撮像部12101、12102、12103、12104、12105は、例えば、車両12100のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部等の位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部12101及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として車両12100の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部12102、12103は、主として車両12100の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部12104は、主として車両12100の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部12105は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0107】
なお、
図14には、撮像部12101ないし12104の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲12111は、フロントノーズに設けられた撮像部12101の撮像範囲を示し、撮像範囲12112,12113は、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部12102,12103の撮像範囲を示し、撮像範囲12114は、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部12104の撮像範囲を示す。例えば、撮像部12101ないし12104で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両12100を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0108】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、距離情報を取得する機能を有していてもよい。例えば、撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、複数の撮像素子からなるステレオカメラであってもよいし、位相差検出用の画素を有する撮像素子であってもよい。
【0109】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を基に、撮像範囲12111ないし12114内における各立体物までの距離と、この距離の時間的変化(車両12100に対する相対速度)を求めることにより、特に車両12100の進行路上にある最も近い立体物で、車両12100と略同じ方向に所定の速度(例えば、0km/h以上)で走行する立体物を先行車として抽出することができる。さらに、マイクロコンピュータ12051は、先行車の手前に予め確保すべき車間距離を設定し、自動ブレーキ制御(追従停止制御も含む)や自動加速制御(追従発進制御も含む)等を行うことができる。このように運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行うことができる。
【0110】
例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104から得られた距離情報を元に、立体物に関する立体物データを、2輪車、普通車両、大型車両、歩行者、電柱等その他の立体物に分類して抽出し、障害物の自動回避に用いることができる。例えば、マイクロコンピュータ12051は、車両12100の周辺の障害物を、車両12100のドライバが視認可能な障害物と視認困難な障害物とに識別する。そして、マイクロコンピュータ12051は、各障害物との衝突の危険度を示す衝突リスクを判断し、衝突リスクが設定値以上で衝突可能性がある状況であるときには、オーディオスピーカ12061や表示部12062を介してドライバに警報を出力することや、駆動系制御ユニット12010を介して強制減速や回避操舵を行うことで、衝突回避のための運転支援を行うことができる。
【0111】
撮像部12101ないし12104の少なくとも1つは、赤外線を検出する赤外線カメラであってもよい。例えば、マイクロコンピュータ12051は、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在するか否かを判定することで歩行者を認識することができる。かかる歩行者の認識は、例えば赤外線カメラとしての撮像部12101ないし12104の撮像画像における特徴点を抽出する手順と、物体の輪郭を示す一連の特徴点にパターンマッチング処理を行って歩行者か否かを判別する手順によって行われる。マイクロコンピュータ12051が、撮像部12101ないし12104の撮像画像中に歩行者が存在すると判定し、歩行者を認識すると、音声画像出力部12052は、当該認識された歩行者に強調のための方形輪郭線を重畳表示するように、表示部12062を制御する。また、音声画像出力部12052は、歩行者を示すアイコン等を所望の位置に表示するように表示部12062を制御してもよい。
【0112】
以上、本開示に係る技術が適用され得る車両制御システムの一例について説明した。本開示に係る技術は、以上説明した構成のうち、撮像部12031に適用され得る。具体的には、
図1などに示した固体撮像装置101A等を撮像部12031に適用することができる。撮像部12031に本開示に係る技術を適用することにより、車両制御システムの優れた動作が期待できる。
【0113】
<7.その他の変形例>
以上、いくつかの実施の形態および変形例を挙げて本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態等に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば上記実施の形態等では、画素領域120が一方向(Y軸方向)において隣り合うように分割された第1のサブ画素領域121と第2のサブ画素領域122とを含むようにしたが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば
図15に示した本開示の変形例としての画素アレイ部411のように、X軸方向において隣り合うように分割された第3のサブ画素領域123と第4のサブ画素領域124とを含む画素領域120を有するセンサ画素110が混在していてもよい。画素アレイ部411では、第3の像面位相差検出画素ZAF3と第4の像面位相差検出画素ZAF4とにより、X軸方向の位相差信号を検出することができるようになっている。第3の像面位相差検出画素ZAF3では、例えば第3のサブ画素領域123に開口14KおよびZAF遮光膜16-3が設けられている。また、第4の像面位相差検出画素ZAF4では、第4のサブ画素領域124に開口14KおよびZAF遮光膜16-4が設けられている。このような構成の画素アレイ部411においても、第3の像面位相差検出画素ZAF3の検出感度と、第4の像面位相差検出画素ZAF4の検出感度とのばらつきが低減される。したがって、この画素アレイ部411を備えた固体撮像装置においても優れた位相差検出特性を実現できる。
【0114】
また、本開示の撮像装置は、可視光の光量分布を検出して画像として取得する撮像装置に限定されるものではなく、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として取得する撮像装置であってもよい。
【0115】
また、本開示の撮像装置は、撮像部と信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされたモジュールの形態をなしていてもよい。
【0116】
本開示の一実施形態としての撮像装置および電子機器によれば、複数の像面位相差検出画素における検出感度のばらつきが低減されるので、優れた位相差検出特性を実現できる。なお、本開示の効果はこれに限定されるものではなく、以下に記載のいずれの効果であってもよい。また、本技術は以下のような構成を取り得るものである。
(1)
表面と、前記表面と反対側の裏面とを含む半導体層と、
前記半導体層に設けられ、受光量に応じた電荷を光電変換により生成可能な光電変換部と、
前記半導体層のうち前記表面と前記光電変換部との間に設けられ、前記電荷を保持可能な電荷保持部と、
前記光電変換部と前記電荷保持部との間に位置し、前記電荷が通過可能な開口を含む第1の遮光膜と、
前記光電変換部から見て前記第1の遮光膜と反対側に位置する第2の遮光膜と
をそれぞれ有する複数の像面位相差検出画素を備え、
前記複数の像面位相差検出画素における各々の前記第2の遮光膜は、いずれも前記光電変換部が占める画素領域のうちの前記開口と重なり合う重複領域を含む第1領域に設けられ、または、いずれも前記画素領域のうちの前記第1領域以外の第2領域に設けられている
撮像装置。
(2)
前記画素領域は、第1の方向において分割されて隣り合う第1のサブ画素領域および第2のサブ画素領域を含み、
前記複数の像面位相差検出画素は、
前記第1のサブ画素領域に設けられた前記第2の遮光膜を有する第1の像面位相差検出画素と、
前記第2のサブ画素領域に設けられた前記第2の遮光膜を有する第2の像面位相差検出画素と
を含む
上記(1)記載の撮像装置。
(3)
前記表面側から前記開口を貫通して前記電荷保持部に向かうように延在する縦型トレンチゲートを含む電荷転送部、をさらに備えた
上記(1)または(2)に記載の撮像装置。
(4)
前記開口は、前記画素領域のうちの中心以外の位置に設けられている
上記(1)から(3)のいずれか1つに記載の撮像装置。
(5)
第1の方向および第2の方向にそれぞれ配列された複数の撮像画素をさらに備え、
前記複数の像面位相差検出画素は、前記第1の方向および前記第2の方向のそれぞれにおいて前記複数の撮像画素の間に配置されている
上記(1)から(4)のいずれか1つに記載の撮像装置。
(6)
前記複数の撮像画素は、前記第1の方向および前記第2の方向のそれぞれにおいて周期配列された、第1から第3のカラーフィルタをそれぞれ含む複数の第1から第3の撮像画素をさらに備え、
各々の前記像面位相差検出画素は、前記複数の第1の撮像画素がそれぞれ配置されるべき複数の第1の位置のいずれかに、前記複数の第1の撮像画素のいずれか1つと置換されて配置されている
上記(5)記載の撮像装置。
(7)
撮像装置を備えた電子機器であって、
前記撮像装置は、
表面と、前記表面と反対側の裏面とを含む半導体層と、
前記半導体層に設けられ、受光量に応じた電荷を光電変換により生成可能な光電変換部と、
前記半導体層のうち前記表面と前記光電変換部との間に設けられ、前記電荷を保持可能な電荷保持部と、
前記光電変換部と前記電荷保持部との間に位置し、前記電荷が通過可能な開口を含む第1の遮光膜と、
前記光電変換部から見て前記第1の遮光膜と反対側に位置する第2の遮光膜と
をそれぞれ有する複数の像面位相差検出画素を備え、
前記複数の像面位相差検出画素における各々の前記第2の遮光膜は、いずれも前記光電変換部が占める画素領域のうちの前記開口と重なり合う重複領域を含む第1領域に設けられ、または、いずれも前記画素領域のうちの前記第1領域以外の第2領域に設けられている
電子機器。
【0117】
本出願は、日本国特許庁において2019年3月25日に出願された日本特許出願番号2019-56165号を基礎として優先権を主張するものであり、この出願のすべての内容を参照によって本出願に援用する。
【0118】
当業者であれば、設計上の要件や他の要因に応じて、種々の修正、コンビネーション、サブコンビネーション、および変更を想到し得るが、それらは添付の請求の範囲やその均等物の範囲に含まれるものであることが理解される。