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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】百日咳ブースターワクチン
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/10 20060101AFI20241217BHJP
   A61K 39/116 20060101ALI20241217BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20241217BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241217BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61K39/10
A61K39/116
A61K39/39
A61P31/04
A61P37/04
A61K47/18
A61K47/02
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2021531950
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-31
(86)【国際出願番号】 US2019063840
(87)【国際公開番号】W WO2020117618
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-10-31
(31)【優先権主張番号】18306621.6
(32)【優先日】2018-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】517055195
【氏名又は名称】サノフィ パスツール インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100216105
【弁理士】
【氏名又は名称】守安 智
(72)【発明者】
【氏名】ニコラ・ビュルダン
(72)【発明者】
【氏名】マルティナ・オクス
(72)【発明者】
【氏名】マリー・ギャリノ
(72)【発明者】
【氏名】マルティーヌ・シャボー-リウー
(72)【発明者】
【氏名】ナタリー・レヴェノー
(72)【発明者】
【氏名】ユアンチン・リウ
(72)【発明者】
【氏名】ノエル・ミストレッタ
【審査官】川合 理恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-509522(JP,A)
【文献】特表2015-509963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A61P
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以前に百日咳菌抗原に曝露されているヒト対象、ここで、百日咳菌抗原への該曝露は該ヒト対象においてTh2優位の免疫応答を誘導していた、においてTh2優位の免疫応答をTh1優位のまたはTh1/Th17優位の免疫応答に向けて新たに方向付けするのに使用するための無細胞百日咳(aP)ブースターワクチンであって、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、解毒された百日咳毒素、線維状赤血球凝集素、パータクチン、線毛タイプ2および3、少なくとも1種のトール様受容体(TLR)アゴニスト、およびアルミニウム塩を含み、該少なくとも1種のTLRアゴニストは、該アルミニウム塩と共に製剤化される、
前記aPブースターワクチン。
【請求項2】
TLRアゴニストは、TLR4アゴニストおよび/またはTLR9アゴニストである、請求項1に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項3】
TLR4アゴニストは、E6020を含む、請求項2に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項4】
TLR9アゴニストは、CpG1018を含む、請求項2に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項5】
破傷風トキソイドは、8~12Lf/mLの量で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項6】
ジフテリアトキソイドは、3~8Lf/mLの量で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項7】
解毒された百日咳毒素は、遺伝子的に解毒された百日咳毒素であり、16~24μg/mLの量で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項8】
線維状赤血球凝集素は、5~15μg/mLの量で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項9】
パータクチンは、5~15μg/mLの量で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項10】
線毛タイプ2および3は、10~20μg/mLの量で存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項11】
TLR4アゴニストは、10μg/mL以下の量で存在する、請求項2~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項12】
TLR9アゴニストは、250~750μg/mLの量で存在する、請求項2~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項13】
さらに、トリス緩衝食塩水を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項14】
0.5~0.75mg/mLのアルミニウム濃度を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項15】
破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、および解毒された百日咳毒素のうちの少なくとも1つは、アルミニウム塩に吸着され、解毒された百日咳毒素は、遺伝子的に解毒された百日咳毒素である、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項16】
アルミニウム塩は、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムである、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項17】
破傷風トキソイドは、9~11Lf/mLの量で存在し、ジフテリアトキソイドは、3~8Lf/mLの量で存在し、解毒された百日咳毒素は、遺伝子的に解毒された百日咳毒素であり、16~24μg/mLの量で存在し、線維状赤血球凝集素は、5~15μg/mLの量で存在し、パータクチンは、5~15μg/mLの量で存在し、線毛タイプ2および3は、10~20μg/mLの量で存在し、アルミニウム塩は、水酸化アルミニウムであり、0.25~0.75mg/mLの濃度で存在し、TLRアゴニストは、TLR4アゴニストおよび/またはTLR9アゴニストである、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項18】
TLR4アゴニストは、E6020を含み、2μg/mL以下の量で存在するか、またはTLR9アゴニストは、CpG1018を含み、400~600μg/mLの量で存在する、請求項17に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項19】
破傷風トキソイドは、10Lf/mLの量で存在し、ジフテリアトキソイドは、4~5Lf/mLの量で存在し、解毒された百日咳毒素は、遺伝子的に解毒された百日咳毒素であり、20μg/mLの量で存在し、線維状赤血球凝集素は、10μg/mLの量で存在し、パータクチンは、10μg/mLの量で存在し、線毛タイプ2および3は、15μg/mLの量で存在し、アルミニウム塩は、水酸化アルミニウムであり、0.66mg/mLの濃度で存在し、TLRアゴニストは、TLR4アゴニストおよび/またはTLR9アゴニストである、請求項18に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項20】
TLR4アゴニストは、E6020を含み、0.5~5μg/mLの量で存在するか、またはTLR9アゴニストは、CpG1018を含み、500μg/mLの量で存在する、請求項19に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項21】
ヒト対象への投与のための0.5mLの単位剤形にあり、破傷風トキソイドは、5Lfの量で存在し、ジフテリアトキソイドは、2~2.5Lfの量で存在し、遺伝子的に解毒された百日咳毒素は、10μgの量で存在し、線維状赤血球凝集素は、5μgの量で存在し、パータクチンは、5μgの量で存在し、線毛タイプ2および3は、7.5μg/mLの量で存在し、水酸化アルミニウムは、0.33mgの濃度で存在し、E6020は0.25~2.5μgの量で存在するか、またはCpG1018は250μgの量で存在する、請求項20に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項22】
解毒された百日咳毒素は、遺伝子的に解毒された百日咳毒素であり、R9K変異およびE129G変異を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項23】
さらに、ヘモフィルスインフルエンザタイプb糖コンジュゲート、B型肝炎ウイルス表面抗原、および/または不活性化ポリオウイルスを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のためのaPブースターワクチン。
【請求項24】
以前に百日咳菌抗原に曝露されているヒト対象は、無細胞百日咳(aP)プライミングワクチンを受け、請求項1~4のいずれか1項に記載のaPブースターワクチン。
【請求項25】
ヒト対象は、4歳以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のaPブースターワクチン。
【請求項26】
ヒト対象は、10歳以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載のaPブースターワクチン。
【請求項27】
Th1優位の免疫応答は、TLRアゴニストを含有しないaPプライミングワクチンまたはaPブースターワクチンによって誘導されるTh2優位の免疫応答と比較したときの、IL-5保護の減少またはより低いIgG1/IgG2a比のうちの1つまたはそれ以上によって特徴付けられ、Th1/Th17優位の応答は、TLRアゴニストを含有しないaPプライミングワクチンまたはaPブースターワクチンによって誘導されるTh2優位の免疫応答と比較したときの、IL-17保護の増加ならびにIL-5保護の減少またはより低いIgG1/IgG2a比のうちの1つまたはそれ以上によって特徴付けられる、請求項1~4のいずれか1項に記載のaPブースターワクチン。
【請求項28】
aPプライミングワクチンは、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、百日咳毒素、線維状赤血球凝集素、パータクチン、および線毛タイプ2および3を含むが、ただし、TLRアゴニストを含有しない、請求項24に記載のaPブースターワクチン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、その内容全体が参照により本明細書に組み入れられる、2018年12月5日に出願された欧州特許出願第18306621.6号の利益を主張し、その出願日に依拠するものである。
【0002】
配列表
本願は、ASCIIフォーマットにおいて電子的に提出されており、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる配列表を含む。2019年11月27日に作成された前記ASCIIコピーは、0171_0016-PCT_SLと命名され、1キロバイトのサイズである。
【0003】
分野
本開示は、無細胞百日咳ワクチンおよびそれを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
百日咳(Pertussisまたはwhooping cough)は、主に百日咳菌(Bordetella pertussis)によって引き起こされる、急性の感染力が強い呼吸器疾患である。免疫処置が広く実践される前は、百日咳は、極めて風土病性であった。証拠は、ほとんど全ての子供が、大人になる前に百日咳に感染し、そのほとんどがある程度の臨床疾患を患い、ならびに病原菌における盛んな循環が、感染獲得免疫の自然なブースティングを提供することを示唆しており、それは、7~10年から20年継続すると推定される(非特許文献1)。
【0005】
ワクチン接種は、百日咳の症例数を減らすための最も効果的な戦略であった(非特許文献2)。初期の百日咳ワクチンは、化学的に解毒されてジフテリア抗原および破傷風抗原と共に製剤化された、殺された百日咳の全細胞(wP)を含んでいた。1990年代以来、wPワクチンは、多くの国において、無細胞百日咳ワクチンに置き換えられてきた。無細胞百日咳(aP)ワクチンは、発熱、注射部位の反応原性、および(程度は低いが)痙攣の高いリスクに関連しているwPワクチンと比較して、比較的副作用を引き起こさない。現在の無細胞ワクチンは、典型的には、以下の病原性因子:百日咳毒素(PT)、線維状赤血球凝集素(FHA)、パータクチン(PRN)、線毛性凝集原2および線毛性凝集原3(FIM2/3またはFIM)に基づいている。いくつかの無細胞ワクチンは、PTおよびFHAのみまたはPT単独を含むが、一般的に、PT、FHA、PRN、およびFIM2/3成分を含む無細胞百日咳ワクチンは、現在利用可能な最も効果的なaPワクチンであると考えられている。
【0006】
何十年ものワクチン接種にもかかわらず、百日咳は、世界中において風土病のままであり、2~5年ごとに(典型的には3または4年ごとに)、一貫した季節パターンなしに、局地的に特定の流行のピークまたは大発生が生じる(非特許文献3;非特許文献4)。報告された諸国間での発生率の大きな違いにもかかわらず、今も、百日咳症例の最も高い年齢特異的発症率、入院、合併症は、各国において、1歳未満、主に3か月前の幼児において報告される。幼すぎて一次ワクチンのシリーズを完了していない幼児が、百日咳関連合併症、入院、および死亡の大部分を占める(非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9)。近年の疫学的知見において、若者および成人は、ワクチンスケジュールが十分に確立された国、例えば、米国および英国などにおいて、二番目に高い疾患の発症率と、最も高い発症率増加を示す傾向にある。
【0007】
蓄積された証拠は、観察された再流行および大発生がおそらく、複数の要因、例えば、認識(非特許文献10)、検査で確認する方法の感度増強(非特許文献11)、不完全なスケジュールまたは最善には及ばないワクチン適用範囲(非特許文献12;非特許文献13;非特許文献14;非特許文献15)、生物における遺伝子型および表現型の変化を伴う、ワクチン誘導免疫の性質における弱化および変化(非特許文献16;非特許文献17;非特許文献18)、などの複数の要因の複合効果から生じることを示唆している。
【0008】
子供の百日咳の発生率を減少させるため、およそ4~6歳に対するaPブースターワクチン接種が、多くの国において実践された(非特許文献19;非特許文献20)。無細胞百日咳含有ワクチン(Tdap)のブースター投与の有効性が、いくつかの設定において評価された。1997年から1999年に合衆国において行われたある無作為臨床試験によって、15歳から65歳までの若者および成人におけるTdapワクチンの有効性が評価された。この研究は、Tdapワクチン接種が、検査で確認された百日咳に対して92%のワクチン有効性推定に対して、1年にわたる観察期間における臨床疾患(すなわち、21日間を超える咳)の発症率の減少および抗百日咳抗体レベルの増加に関連していることを見出した(非特許文献21)。百日咳抑制におけるTdapワクチン接種の有効性が、米国およびオーストラリアにおける非大発生設定においてのいくつかの観察的研究に示されており、これは、疾患発症率に対する青年期のTdapワクチン接種の有意な影響を実証しており、ある研究は、検査で確認された百日咳に対して85.4%の有効性を推定した(非特許文献22;非特許文献23;非特許文献24)。しかしながら、いくつかの最近のケース(無細胞ワクチンによって主にプライミングされた群における米国での大発生設定において行われた抑制研究)は、一貫して、Tdapワクチン接種の有効性を、検査で確認された百日咳に対して約65%以下の中程度と推定した(非特許文献25;非特許文献26;非特許文献27;非特許文献28;非特許文献29)。これらの観察研究のほとんどに存在する固有の方法論的限界にもかかわらず、ウィスコンシン州の研究で観察されたTdapブースター投与後の全てのブランドの有効性の急速な弱化の証拠は、ワシントン州の大発生設定において行われた研究の観察と一致しており、その研究は、Tdapワクチン接種の有効性が、ブースター投与後の最初の年の75%から2年目以降に42%へと急速に弱化すると推定した(非特許文献30;非特許文献31)。近年の米国およびカナダにおける百日咳症例の疫学的傾向および分布は、aPワクチンでプライミングされた個人は百日咳ブースターワクチンにあまりロバストには応答せず、そのような人たちの保護が、wPワクチンでプライミングされた前の群よりも急速に弱まる、との考え方を裏付けるとして解釈されている(非特許文献32;非特許文献33)。さらに、2010年および2012年の米国の大発生ならびに2008~2012年のオーストラリアの大発生において得られたデータを分析するいくつかの研究は、ブースターワクチンによって誘導された保護が、wPワクチンでプライミングされた個人よりもaPワクチンでプライミングされた個人においてより早く弱まることを示唆している(非特許文献34;非特許文献35;非特許文献36;非特許文献37;非特許文献38;非特許文献39;非特許文献40;非特許文献41)。これらの研究の結果は、方法論的基礎において何人かの専門家によって挑まれたが、彼らの結論は、米国においてCDCによって報告された経済観察によって支持され、それは、保護の弱化が、wPでプライミングされた群における前の観察と比較して、aPでプライミングされた群においてより早く生じることを示していた。(非特許文献42)。実際に、aPまたはwPワクチンでプライミングされた若者に関する臨床研究において得られた免疫原性結果の比較は、Tdapワクチン投与後の1か月間でのより低い体液または細胞(BおよびTh1)免疫応答の一貫した証拠を提供している(非特許文献43;非特許文献44;非特許文献45;非特許文献46)。
【0009】
スウェーデンの百日咳監視データに基づくモデリング研究は、aPワクチン状況における百日咳疫学の群れ効果を示唆しており、その一方で、米国、イタリア、および他の国の監視データを使用するいくつかの他の研究は、観察された疫学的傾向に最もよく合うモデルが、aPワクチンがwPワクチンと比べてより低いブースター応答、より早い保護の弱化、およびより高い無症候性感染を誘発するとの仮説を立てる傾向にあることを見出している(非特許文献47;非特許文献48;非特許文献49)。
【0010】
Warfelらによる非ヒト霊長類における研究に基づいて、wPワクチンとaPワクチンでは保護メカニズムがおそらく異なっていることが示唆されている(非特許文献50)。この研究は、ヒトにおいてではなく、非統計的有意な試料においてではあるが、aPワクチンが、臨床疾患を予防するが、明確なコロニー形成についてはwPワクチンほどには予防せず、感染しやすい動物への伝染を許容することを見出した(Id.)。百日咳のマウスモデルを使用した研究からも、同様の結論に達した(非特許文献51)。非ヒト霊長類において行われた研究は、aPプライミングと比較してwPワクチン接種後の相違のある免疫プロファイルを特に指摘している。詳細には、Th1または混合Th1/Th17の応答プロファイルは、wPワクチンプライミングに関連していたが、その一方で、Th2プロファイルは、aPワクチンプライミングに関連していた。その結果、wPワクチン接種後に観察された免疫応答のTh1/Th17優位(Th1/Th17 bias)は、aPワクチン接種後に観察されるTh2優位よりも、より長い保護期間およびより迅速な感染除去に関連し得る(すなわち、より強い初期保護)との仮説が立てられた。さらに、それぞれwPおよびaPによる初回ワクチン接種によって誘導される初期Th1/Th17対Th2応答は、初期の初回ワクチン接種の数年後でさえ、aPブースターワクチン接種後に維持されることが観察され、このことは、プライミングワクチン接種が、aPブースターワクチン接種後のTh1/Th17優位対Th2優位に影響を及ぼすことを示唆している(非特許文献52)。百日咳菌に対する免疫におけるTh1/Th17エフェクタ細胞の重要な役割は、感染のマウスモデルにおいて確認され、この仮説をさらに強化した(非特許文献53)。この仮説を支持するヒトにおける証拠はまだ開発されていないが、いくつかの研究は、wPワクチンまたはaPワクチンを接種したヒトにおけるTヘルパー細胞の反応の違いを示唆している(非特許文献54)。さらに、aPワクチンに対するTh2支配的応答は、異なるIgGアイソタイプ分布に対応するようにも見える。aPワクチン接種に対する反応は、主にIgG1を生じるが、IgG2およびIgG4も生じ、ブースターワクチン接種後のIgG4の保護が増加する。対照的に、wPワクチンのTh1支配的応答は、主に、IgG1およびIgG2抗体反応を伴う(非特許文献55;非特許文献56;非特許文献57)。
【0011】
百日咳菌の感染に対してより長く継続する保護を有する改良されたブースターaPワクチンを提供することは有益であろう。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
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【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明者らは、トール様受容体(TLR)アゴニストを含む新規の改変された無細胞百日咳(aP)ブースターワクチンを開発した。より詳細には、本発明者らは、驚くべきことに、TLR4および/またはTLR9アゴニストを伴うaPブースターワクチンが、以前に投与されたaPワクチンによって誘導されるTh2優位の(Th2-biased)免疫応答を、Th1優位の(Th1-biased)免疫応答へと新たに方向付けることができることを見出した。いかなる理論にも束縛されることを意図するわけではないが、Tヘルパー細胞の再偏向および改変されたaPブースターワクチンによって誘導されるTh1/Th2バランスのシフトは、加速された百日咳菌の除去に関連しているように見える。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示の第1の態様は、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、解毒された百日咳毒素(典型的には、遺伝子改変された百日咳毒素)、線維状赤血球凝集素、パータクチン、線毛タイプ2および3、TLRアゴニスト、ならびにアルミニウム塩を含むaPブースターワクチンであって、少なくともTLRアゴニストが、アルミニウム塩と共に製剤化される、aPブースターワクチンを対象とする(態様1)。
【0015】
別の態様は、以前に百日咳菌抗原に曝露されているヒト対象において免疫応答を誘導する方法であって、対象にaPブースターワクチンを投与する工程を含み、aPブースターワクチンが、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、解毒された百日咳毒素、線維状赤血球凝集素、パータクチン、線毛タイプ2および3、少なくとも1種のTLRアゴニスト、ならびにアルミニウム塩を含み、少なくとも1種のTLRアゴニストが、アルミニウム塩と共に製剤化され、aPブースターワクチンを投与する工程が、ヒト対象において、百日咳菌抗原への以前の曝露によって誘導されたTh2優位の免疫応答をTh1優位の免疫応答またはTh1/Th17優位の免疫応答へと新たに方向付ける、方法を対象とする(態様2)。典型的にはaPプライミングワクチンによって、以前に百日咳菌抗原に曝露されているヒト対象において、Th2優位の免疫応答をTh1優位のまたはTh1/Th17優位の免疫応答へと新たに方向付けるためのaPブースターワクチンの使用も、態様2によって網羅される。
【0016】
典型的には、態様2との関連において、ヒト対象は、aPブースターワクチンを投与する前に、無細胞百日咳ワクチン(本明細書においてaPプライミングワクチンとも呼ばれる)を以前に受けており、この場合、aPプライミングワクチンは、Th2優位の免疫応答を誘導する。あるいは、ヒト対象は、以前に、wPワクチンを接種することによって、または百日咳菌による自然感染によって、百日咳菌抗原に曝露されている場合もある。典型的には、aPプライミングワクチンを接種しているヒト対象が、TLRアゴニスト(例えば、ADACEL(登録商標))を含有しないaPブースターワクチンを接種する場合、非TLRアゴニストを含むaPブースターワクチンは、aPプライミングワクチンによって誘導されたTh2優位の免疫応答をブーストする。対照的に、本明細書に記載される、TLRアゴニストを含む改変されたaPブースターワクチンは、予想外なことに、aPプライミングワクチンによって誘導されたTh2優位の免疫応答を、Th1優位の免疫応答またはTh1/Th17優位の免疫応答へと新たに方向付ける。
【0017】
態様2のある特定の実施形態では、Th1優位の免疫応答は、TLRアゴニスト(例えば、ADACEL(登録商標))を含有しないaPプライミングワクチンまたはaPブースターワクチンによって誘導される免疫応答と比較したときの、IL-5保護の減少、IFN-γ保護の増加、またはより低いIgG1/IgG2a比のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる。態様2のある特定の実施形態では、Th1優位の免疫応答は、TLRアゴニスト(例えば、ADACEL(登録商標))を含有しないaPプライミングワクチンまたはaPブースターワクチンによって誘導される免疫応答と比較したときの、IL-5保護の減少および/またはより低いIgG1/IgG2a比によって特徴付けられる。態様2のある特定の実施形態では、Th1/Th17優位の応答は、IL-17保護の増加ならびに、IL-5保護の減少またはより低いIgG1/IgG2a比のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる。態様2のある特定の実施形態では、Th1/Th17優位の応答は、TLRアゴニスト(例えば、ADACEL(登録商標))を含有しないaPプライミングワクチンまたはaPブースターワクチンによって誘導される免疫応答と比較したときの、IL-17保護の増加ならびに、IL-5保護の減少またはより低いIgG1/IgG2a比のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる。
【0018】
態様1および2のある特定の実施形態では、TLRアゴニストは、TLR4アゴニストである。好ましくは、TLR4アゴニストは、ヒトTLR4のアゴニストである。ある特定の実施形態では、TLR4アゴニストは、E6020である。
【0019】
態様1および2の他の実施形態では、TLRアゴニストは、TLR9アゴニストである。好ましくは、TLR9アゴニストは、ヒトTLR9のアゴニストである。ある特定の実施形態では、TLR9アゴニストは、CpGオリゴヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、CpGオリゴヌクレオチドは、クラスA、クラスB、クラスC、またはクラスPのCpGオリゴヌクレオチドである。
ある特定の実施形態では、CpGオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド配列を有するCpG1018であり、その場合、配列番号1の全てのヌクレオチドは、ホスホロチオ酸結合で連結されている。
【0020】
態様1および2のある特定の実施形態では、破傷風トキソイドは、8~12Lf/mL、場合により9~11Lf/mL、または場合により10Lf/mLの量で存在する。
【0021】
態様1および2のある特定の実施形態では、ジフテリアトキソイドは、3~8Lf/mL、場合により3~6Lf/mL、または場合により4~5Lf/mLの量で存在する。
【0022】
態様1および2のある特定の実施形態では、解毒された百日咳毒素は、遺伝子的に解毒された百日咳毒素(gdPT)である。ある特定の実施形態では、gdPTは、R9における変異を含む。
ある特定の実施形態では、gdPTは、R9K変異およびE129G変異を含む。ある特定の実施形態では、gdPTは、4~30μg/mL、場合により16~24μg/mL、場合により18~22μg/mL、または場合により20μg/mLの量で存在する。
【0023】
態様1および2のある特定の実施形態では、線維状赤血球凝集素は、5~15μg/mL、場合により8~12μg/mL、または場合により10μg/mLの量で存在する。
【0024】
態様1および2のある特定の実施形態では、パータクチンは、5~15μg/mL、場合により8~12μg/mL、または場合により10μg/mLの量で存在する。
【0025】
態様1および2のある特定の実施形態では、線毛タイプ2および3は、10~20μg/mL、場合により14~16μg/mL、または場合により15μg/mLの量で存在する。
【0026】
態様1および2のある特定の実施形態では、TLR4アゴニスト、例えば、E6020などは、10μg/mL以下、場合により0.5~5μg/mL、または場合により2μg/mL以下の量で存在する。
【0027】
態様1および2のある特定の実施形態では、TLR9アゴニスト、例えば、CpG1018などは、250~750μg/mL、場合により400~600μg/mL、または場合により500μg/mLの量で存在する。
【0028】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、約8~12Lf/mL、場合により9~11Lf/mLの量の破傷風トキソイド;約3~8Lf/mL、場合により3~6Lf/mLの量のジフテリアトキソイド;約16~24μg/mL、場合により18~22μg/mLの量の遺伝子的に解毒された百日咳毒素;約5~15μg/mL、場合により8~12μg/mLの量の線維状赤血球凝集素;約5~15μg/mL、場合により8~12μg/mLの量のパータクチン;約10~20μg/mL、場合により14~16μg/mLの量の線毛タイプ2および3;約0.25~0.75mg/mL、場合により0.6~0.7mg/mLの量の水酸化アルミニウム(AlOOH);ならびに10μg/mL以下および場合により0.5~5μg/mLまたは場合により1~2μg/mLの量のTLR4アゴニスト、例えば、E6020などを含む。あるいは、aPブースターワクチンは、TLR4アゴニストの代わりに、TLR9アゴニスト、例えば、CpG1018などを、250~750μg/mL、場合により400~600μg/mLの量で含み得る。
【0029】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、10Lf/mLの量の破傷風トキソイド;4~5Lf/mLの量のジフテリアトキソイド;20μg/mLの量の遺伝子的に解毒された百日咳毒素;10μg/mLの量の線維状赤血球凝集素;10μg/mLの量のパータクチン;15μg/mLの量の線毛タイプ2および3;0.66mg/mLの量の水酸化アルミニウム(AlOOH);ならびに2μg/mL以下の量のTLR4アゴニスト、例えば、E6020などを含む。あるいは、aPブースターワクチンは、TLR4アゴニストの代わりに、TLR9アゴニスト、例えば、CpG1018などを、500μg/mLの量で含み得る。
【0030】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、0.5mLの用量あたり4~6Lf、場合により4.5~5.5Lf、または場合により5Lfの量で破傷風トキソイドを含む。
【0031】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、1~4Lf、場合により1.5~3Lf、または場合により2~2.5Lfの量でジフテリアトキソイドを含む。
【0032】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、典型的には0.5mL用量あたりである、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、2~12μg、場合により8~12μg、または場合により10μgの量で遺伝子的に解毒された百日咳毒素を含む。
【0033】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、2.5~7.5μg、場合により4~6μg、または場合により5μgの量で線維状赤血球凝集素を含む。
【0034】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、2.5~7.5μg、場合により4~6μg、または場合により5μgの量で存在するパータクチンを含む。
【0035】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、5~10μg、場合により7~8μg、または場合により7.5μgの量で線毛タイプ2および3を含む。
【0036】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、5μg以下、場合により0.25~2.5μg、または場合により1μg以下の量でTLR4アゴニスト、例えば、E6020などを含む。
【0037】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、125~375μg、場合により200~300μg、または場合により250μgの量でTLR9アゴニスト、例えば、CpG1018などを含む。
【0038】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、0.5mL用量あたり以下の成分:約4~6Lf、場合により4.5~5.5Lfの量の破傷風トキソイド;約1~4Lf、場合により1.5~3Lfの量のジフテリアトキソイド;約2~12μg、場合により8~12μgの量の遺伝子的に解毒された百日咳毒素;約2.5~7.5μg、場合により4~6μgの量の線維状赤血球凝集素;約2.5~7.5μg、場合により4~6μgの量のパータクチン;約5~10μg、場合により7~8μgの量の線毛タイプ2および3;約0.125~0.375mg、場合により0.3~0.35mgの量の水酸化アルミニウム(AlOOH);ならびに5μg以下、場合により0.25~2.5μgの量のTLR4アゴニスト、例えば、E6020などを含む。あるいは、aPブースターワクチンは、TLR4アゴニストの代わりに、TLR9アゴニスト、例えば、CpG1018などを、125~375μg、場合により200~300μgの量で含み得る。
【0039】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、0.5mL用量あたり以下の成分:5Lfの量の破傷風トキソイド;2~3Lfの量のジフテリアトキソイド;10μgの量の遺伝子的に解毒された百日咳毒素;5μgの量の線維状赤血球凝集素;5μg/mLの量のパータクチン;約7.5μgの量の線毛タイプ2および3;0.33mgの量の水酸化アルミニウム(AlOOH);ならびに1μg/mL以下の量のTLR4アゴニスト、例えば、E6020などを含む。あるいは、aPブースターワクチンは、TLR4アゴニストの代わりに、TLR9アゴニスト、例えば、CpG1018などを、250μgの量で含み得る。
【0040】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンはさらに、以下の抗原:ヘモフィルスインフルエンザタイプbオリゴ糖または多糖コンジュゲート(Hib)、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)、および/または不活性化ポリオウイルスタイプ1、2、および3(IPV)、のうちの1つまたは複数を含む。
【0041】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンはさらに、トリス緩衝食塩水を含む。
【0042】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、0.25~0.75mg/mL、場合により0.6~0.7mg/mL、または場合により0.66mg/mLのアルミニウム濃度を有する。態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、0.125~0.375mg、場合により0.3~0.35mg、または場合により0.33mgの量でアルミニウムを含有する。
【0043】
態様1および2のある特定の実施形態では、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、および解毒された百日咳毒素のうちの少なくとも1つは、アルミニウム塩に吸着される。ある特定の実施形態では、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、解毒された百日咳毒素、線維状赤血球凝集素、パータクチン、ならびに線毛タイプ2および3は、アルミニウム塩に吸着される。ある特定の実施形態では、TLR4アゴニストまたはTLR9アゴニストは、アルミニウム塩と共に製剤化される。ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンにおける細菌性抗原の全てならびにTLR4またはTLR9アゴニストは、アルミニウム塩と共に製剤化される。
【0044】
態様1および2のある特定の実施形態では、アルミニウム塩は、水酸化アルミニウムである。態様1および2のある特定の実施形態では、アルミニウム塩は、リン酸アルミニウムである。
【0045】
態様1および2のある特定の実施形態では、aPブースターワクチンはさらに、ヘモフィルスインフルエンザタイプb糖(Hib)コンジュゲート、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)、および/または不活性化ポリオウイルス(IPV)
を含む。
【0046】
態様2のある特定の実施形態では、ヒト対象は、aPブースターワクチンが投与されるときに4歳以上である。
【0047】
態様2のある特定の実施形態では、ヒト対象は、aPブースターワクチンが投与されるときに10歳以上である。
【0048】
態様2のある特定の実施形態では、Th1優位の免疫応答は、TLRアゴニスト(例えば、ADACEL(登録商標))を含有しない無細胞百日咳ワクチンまたはaPブースターワクチンと比較したときの、IL-5保護の減少、IFN-γ保護の増加、IL-17保護の増加、またはより低いIgG1/IgG2a比のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる。ある特定の実施形態では、Th1優位の免疫応答は、TLRアゴニスト(例えば、ADACEL(登録商標))を含有しない無細胞百日咳ワクチンまたはaPブースターワクチンと比較したときの、IL-5保護の減少またはより低いIgG1/IgG2a比のうちの1つまたは複数によって特徴付けられる。
【0049】
態様2のある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、解毒された百日咳毒素、線維状赤血球凝集素、およびパータクチンを含むが、ただし、aPプライミングワクチンはTLRアゴニストを含有しない。ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、これらに限定されるわけではないが、DAPTACEL(登録商標)、INFANRIX(登録商標)、INFANRIX-HEXA(登録商標)、PENTACEL(登録商標)、QUADRACEL(登録商標)、KINRIX(登録商標)、PEDIARIX(登録商標)、またはVAXELIS(登録商標)の1つまたは複数の用量を含む。ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、DAPTACEL(登録商標)を含む。ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、INFANRIX(登録商標)またはINFANRIX-HEXA(登録商標)を含む。ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、PENTACEL(登録商標)を含む。ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、KINRIX(登録商標)またはPEDIARIX(登録商標)を含む。ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、VAXELIS(登録商標)を含む。
【0050】
本開示のさらなる適用範囲は、以下において提供される詳細な説明から明らかとなるであろう。詳細な説明および特定の実施例は、本開示のいくつかの望ましい態様を示すが、例示の目的を意図するものであって、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1図1A~Bは、PT特異的抗体応答を惹起する点での遺伝子的に解毒されたPT(gdPT)免疫原性と化学的に解毒されたPT(PTxd)の比較を示す図である。図1Aは、2回の免疫処置後にELISAにより測定した抗PT、IgG1およびIgG2a抗体力価を示す。図1Bは、2回の免疫処置後にCHOアッセイにより測定したときの抗PT中和力価を示す。マウスを2回、0日目および21日目に免疫処置した。2回目の免疫処置の17日後(38日目)にマウスから採血した。
図2図2A~Bは、PTxdでプライミングされた応答のPTxdまたはgdPTでのブースト可能性の比較を示す図である。図2Aは、PTxdまたはgdPTでのプライミング、その後のPTxdまたはgdPTでのブースティングの後の、ELISA PT特異的IgG1およびIgGa2応答を示す。図2Bは、CHOアッセイにより測定したときのPTxdまたはgdPTでのプライミング、その後のPTxdまたはgdPTでのブースティングの後の、PT中和力価を示す。マウスを3回、0、21および42日目に免疫処置した。2回目の免疫処置の17日後および3回目の免疫処置の8日後にマウスから採血した。
図3図3は、2回の免疫処置後にFIM抗原に対して誘導されたIgG1およびIgG2a応答へのgdPTによる免疫学的干渉の非存在の評価を示す図である。
図4図4A~Bは、3回の免疫処置後のgdPT誘導抗PT IgG1およびIgG2a応答ならびに中和抗体応答に対する他のTdap抗原による免疫学的干渉の評価を示す。図4Aは、3回の免疫処置後にELISAにより測定したときの抗PT、IgG1およびIgG2a抗体力価を示す。図4Bは、3回の免疫処置後にCHOアッセイにより測定したときの抗PT中和力価を示す。
図5図5は、長期プライム-ブーストスケジュールを使用して、サイトカイン(IL-5、IFN-γおよびIL-17)レベルを測定することにより、DTaP誘導Th2免疫記憶応答を下方調節する改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)および改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)製剤の能力を示す図である。サイトカインレベルは、フルオロスポットアッセイにより測定した。
図6-1】図6A~Lは、異なるプライム/ブーストスケジュール後にマウスにおいて誘導された異なる抗原特異的IgG1およびIgG2aのレベルを示す図である。ナイーブ成体CD1マウスをDTwPまたはDTaPの筋肉内注射で免疫処置(プライミング)した。42日後(D42)に、DTwPでプライミングしたマウスを、DTwPワクチンでブーストし、DTaPでプライミングしたマウスを、改変TdaPワクチン(mTdaP-AlOOH、mTdaP-CpG-AlOOHまたはmTdaP-E6020-AlOOH)でブーストした。長期プライム-ブーストスケジュールを使用して、ブーストの42日後(D84)に採取した血清において、およびD84の2回目のブースト後の42日後(D126)に再度採取した血清において、改良型ELISA(MSD)によりFHA特異的およびFIM2,3特異的、PRN特異的、PT特異的、DT特異的およびTT特異的IgG1およびIgG2a抗体応答を評定した。図6A~L中のIgG1およびIgG2aバーの上の数字は、IgG1/IgG2a比を表し、数字が小さいほど低い比を表し、または逆に比が低いほど小さい数字を表す。より低いIgG1/IgG2a比が、TLRアゴニスト(CpGまたはE6020)を含有する改変Tdapワクチンでブーストしたマウスにおいて観察された。図6Aおよび図6Bは、IgG1およびIgG2a結果、ならびにFHAについてのD84およびD126における比をそれぞれ示す。図6Cおよび図6Dは、IgG1およびIgG2a結果、ならびにFIMについてのD84およびD126における比をそれぞれ示す。図6Eおよび図6Fは、IgG1およびIgG2a結果、ならびにPRNについてのD84およびD126における比をそれぞれ示す。図6Gおよび図6Hは、IgG1およびIgG2a結果、ならびにgdPTについてのD84およびD126における比をそれぞれ示す。図6Iおよび図6Jは、IgG1およびIgG2a結果、ならびにDTについてのD84およびD126における比をそれぞれ示す。図6Kおよび図6Lは、IgG1およびIgG2a結果、ならびにTTについてのD84およびD126における比をそれぞれ示す。
図6-2】図6-1の続き。
図6-3】図6-2の続き。
図6-4】図6-3の続き。
図6-5】図6-4の続き。
図6-6】図6-5の続き。
図7図7は、新規Tdapブーストワクチン製剤を評価するために使用したマウス養子移入モデルを描写する図である。
図8A図8A~Bは、プール血清(n=4、1プール当たりマウス6~7匹)の平均Log10 IgG力価±SEMにより測定したときのマウス養子移入モデルにおけるPT特異的、PRN特異的、FHA特異的およびFIM2,3特異的IgG抗体の動態を示す図である。図8Aは、ブースト後のいくつかの時点でのDTaP/Tdap(プライム/ブースト)、DTwP/Tdap(プライム/ブースト)、またはDTwP/DTwP(プライム/ブースト)に対するIgG応答を示す。図8Bは、DTaPプライミングワクチン後の、養子移入マウスにおける改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)ブーストおよび改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)ブーストの、Tdapブーストに対する応答と比較して加速された、より高い抗PT、PRN、FHAおよびFIM2,3 IgG力価を示す。図8AでのP値<0.05は、次のことを示す:* DTaP/Tdap(プライム/ブースト)対DTwP/Tdap(プライム/ブースト);# DTaP/Tdap(プライム/ブースト)対DTwP/DTwP(プライム/ブースト);‡ DTwP/Tdap(プライム/ブースト)対DTwP/DTwP(プライム/ブースト)。
図8B図8A~Bは、プール血清(n=4、1プール当たりマウス6~7匹)の平均Log10 IgG力価±SEMにより測定したときのマウス養子移入モデルにおけるPT特異的、PRN特異的、FHA特異的およびFIM2,3特異的IgG抗体の動態を示す図である。図8Aは、ブースト後のいくつかの時点でのDTaP/Tdap(プライム/ブースト)、DTwP/Tdap(プライム/ブースト)、またはDTwP/DTwP(プライム/ブースト)に対するIgG応答を示す。図8Bは、DTaPプライミングワクチン後の、養子移入マウスにおける改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)ブーストおよび改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)ブーストの、Tdapブーストに対する応答と比較して加速された、より高い抗PT、PRN、FHAおよびFIM2,3 IgG力価を示す。図8AでのP値<0.05は、次のことを示す:* DTaP/Tdap(プライム/ブースト)対DTwP/Tdap(プライム/ブースト);# DTaP/Tdap(プライム/ブースト)対DTwP/DTwP(プライム/ブースト);‡ DTwP/Tdap(プライム/ブースト)対DTwP/DTwP(プライム/ブースト)。
図9A図9A~Bは、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)および改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)製剤でのブースティングが、百日咳菌の鼻腔内チャレンジ後に早期のおよび/または加速された細菌クリアランスをもたらすことを示す図である。図9Aは、DTaPまたはDTwPでのプライミング、その後のTdapまたはDTwPブーストの後の、クリアランスの結果を示す。図9Bは、DTapでのプライミング、その後のTdap、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)または改変Tdap(gdPT+CpG1018)ブーストの後の、クリアランスの結果を示す。図9AおよびBは、1群あたりマウスn=3~4についての示されている時点での肺1つ当たりのCFUの数のLog10値±SEMを示す。図9Bでの<0.05は、次のことを示す:* DTaP/Tdap(プライム/ブースト)対DTaP/mTdap-CPG-AlOOH(プライム/ブースト);§ DTaP/Tdap(プライム/ブースト)対DTaP/mTdap-CPG-AlOOH(プライム/ブースト);+ DTaP/Tdap(プライム/ブースト)対mTdap-E6020-AlOOH(プライムのみ);$ DTaP/Tdap(プライム/ブースト)対mTdap-CPG-AlOOH(プライムのみ);# DTaP/mTdap-CPG-AlOOH(プライム/ブースト)対DTaP/mTdap-E6020-AlOOH(プライム/ブースト)。試験した個々のマウス(1時点当たり1群当たり4匹)。統計検定:二元配置ANOVA。記号は、有意性が見られる時点を示す。
図9B図9A~Bは、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)および改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)製剤でのブースティングが、百日咳菌の鼻腔内チャレンジ後に早期のおよび/または加速された細菌クリアランスをもたらすことを示す図である。図9Aは、DTaPまたはDTwPでのプライミング、その後のTdapまたはDTwPブーストの後の、クリアランスの結果を示す。図9Bは、DTapでのプライミング、その後のTdap、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)または改変Tdap(gdPT+CpG1018)ブーストの後の、クリアランスの結果を示す。図9AおよびBは、1群あたりマウスn=3~4についての示されている時点での肺1つ当たりのCFUの数のLog10値±SEMを示す。図9Bでの<0.05は、次のことを示す:* DTaP/Tdap(プライム/ブースト)対DTaP/mTdap-CPG-AlOOH(プライム/ブースト);§ DTaP/Tdap(プライム/ブースト)対DTaP/mTdap-CPG-AlOOH(プライム/ブースト);+ DTaP/Tdap(プライム/ブースト)対mTdap-E6020-AlOOH(プライムのみ);$ DTaP/Tdap(プライム/ブースト)対mTdap-CPG-AlOOH(プライムのみ);# DTaP/mTdap-CPG-AlOOH(プライム/ブースト)対DTaP/mTdap-E6020-AlOOH(プライム/ブースト)。試験した個々のマウス(1時点当たり1群当たり4匹)。統計検定:二元配置ANOVA。記号は、有意性が見られる時点を示す。
図10A図10A~Bは、短期免疫処置スケジュール(図10A)および長期スケジュール(図10B)を使用するマウス鼻腔内チャレンジアッセイ(INCA)を描写する図である。
図10B図10A~Bは、短期免疫処置スケジュール(図10A)および長期スケジュール(図10B)を使用するマウス鼻腔内チャレンジアッセイ(INCA)を描写する図である。
図10C図10Cは、DTaP/Tdap(プライム/ブースト)およびDTwP/DTwP(プライム/ブースト)が、INCA短期モデルにおいて鼻腔内チャレンジ後にマウスの百日咳菌の肺コロニー形成を防ぐことを示す。
図11図11は、短期プライム-ブーストスケジュールを使用して、マウス鼻腔内チャレンジアッセイ(INCA)において、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)ブースターが、Tdapブースターと比較して百日咳菌クリアランスを有意に加速させることを示す。
図12A図12A~Bは、長期プライム-ブーストスケジュールを使用して、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)および改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)ブースターワクチンが、DTaPでプライミングしたマウスの下気道の疾患およびコロニー形成を防ぐことができることを示す図である。図12Aは、チャレンジの3日後の全てのワクチン接種群における低減を示し、全ての処置群が7日目にベースライン細菌負荷量に達したことを示す。図12Bは、全ての無細胞百日咳投与スケジュールがDTwP/DTwP(プライム/ブースト)投与スケジュールと同様の動態を有したことを示す。
図12B図12A~Bは、長期プライム-ブーストスケジュールを使用して、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)および改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)ブースターワクチンが、DTaPでプライミングしたマウスの下気道の疾患およびコロニー形成を防ぐことができることを示す図である。図12Aは、チャレンジの3日後の全てのワクチン接種群における低減を示し、全ての処置群が7日目にベースライン細菌負荷量に達したことを示す。図12Bは、全ての無細胞百日咳投与スケジュールがDTwP/DTwP(プライム/ブースト)投与スケジュールと同様の動態を有したことを示す。
図13A図13A~Bは、フルオロスポットアッセイにより測定して、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)製剤でのDTaPプライミング免疫処置に対するブースティングが、IL-17産生をE6020用量依存的に誘導することを示す図である。DTaPで免疫処置し、mTdap-E6020-AlOOHで2回(D0およびD21)ブーストしたCD1マウスからの脾細胞を単離し、in vitroでPTx(図13A)またはPTx、PRNおよびFIMからなる百日咳抗原のプール(図13B)で再刺激した。
図13B図13A~Bは、フルオロスポットアッセイにより測定して、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)製剤でのDTaPプライミング免疫処置に対するブースティングが、IL-17産生をE6020用量依存的に誘導することを示す図である。DTaPで免疫処置し、mTdap-E6020-AlOOHで2回(D0およびD21)ブーストしたCD1マウスからの脾細胞を単離し、in vitroでPTx(図13A)またはPTx、PRNおよびFIMからなる百日咳抗原のプール(図13B)で再刺激した。
図14図14は、自家蛍光発光比(350nm/330nm)の一次導関数を示す、改変Tdap製剤:mTdap(gdPT+AlOOH)、mTdap(gdPT+E6020-AlOOH)、およびmTdap(gdPT+CpG-AlOOH)の温度プロファイルを示す図である。mTdap(gdPT+AlOOH)の温度遷移(Tm)は、74.6度であり;mTdap(gdPT+E6020-AlOOH)は、74.2℃であり;mTdap(gdPT+CpG-AlOOH)は、77.0℃である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
様々な望ましい態様についての以下の説明は、本質的に単なる例示であり、いかなる点においても本開示、その用途、または使用を制限することを意図するものではない。
【0053】
全体を通して使用される場合、範囲は、その範囲内のありとあらゆる値を説明するための省略表現として使用される。範囲内の任意の値は、範囲の終点として選択することができる。さらに、本明細書において引用される全ての参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。本開示の説明と引用された参考文献の説明が矛盾する場合、本開示が優先される。
【0054】
本明細書において使用される場合、「aP」は、無細胞百日咳菌ワクチンを意味する。現在の無細胞百日咳菌ワクチンは、典型的には、以下の病原性因子:解毒された百日咳毒素(PT)、線維状赤血球凝集素(FHA)、パータクチン(PRN)、線毛性凝集原2および線毛性凝集原3(FIM2/3またはFIM)に基づいている。いくつかの無細胞百日咳ワクチンは、PTおよびFHAのみあるいはPT、FHA、およびPRNを含むが、一般的に、PT、FHA、PRN、およびFIM2/3成分を含む無細胞百日咳ワクチンは、現在利用可能な最も効果的なaPワクチンであると考えられている。典型的には、無細胞百日咳ワクチンは、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドと共に製剤化される。
【0055】
本明細書において使用される場合、「wP」は、全細胞百日咳菌ワクチンを意味する。典型的には、全細胞百日咳ワクチンは、化学的に解毒され、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドと共に製剤化された、百日咳菌の全細胞を含む。
【0056】
本明細書において使用される場合、「DTwP」は、初回のワクチン接種として乳幼児において、ならびにブースターとして小児において、ジフテリア、破傷風、および百日咳の予防に適応されるwPを意味する。DTwPの一例は、D.T.COQ/D.T.P.に対してであり、これらは、Sanofi Pasteurによって市販されており、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドと、チオメルサールの存在下において熱によって不活性化された百日咳菌と、リン酸アルミニウムとを含む。
【0057】
本明細書において使用される場合、「DTaP」は、乳幼児および小児において、ジフテリア、破傷風、および百日咳に対する能動免疫処置に適応されるaPを意味する。典型的には、DTaPは、6週間から6歳までの乳幼児および小児において5回の一連の投薬として、または6週から2~4歳の乳幼児および小児において4回の一連の投薬として投与される。DTaPの例としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、Sanofi Pasteurによって市販され、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドと、下記の無細胞百日咳抗原:PT(化学的に解毒されたもの)、FHA、PRN、およびFIM2/3と、リン酸アルミニウムとを含む、DAPTACEL(登録商標)、PENTACEL(登録商標)、ならびにINFANRIX(登録商標)またはINFANRIX-HEXA(登録商標)、DAPTACEL(登録商標)が挙げられる。典型的には、DTaPは、Tdapと比較して、増量されたジフテリアトキソイドおよびPTを含む。
【0058】
本明細書において使用される場合、「Tdap」は、破傷風、ジフテリア、および百日咳に対する能動ブースター免疫処置に適応されるaPを意味する。典型的には、Tdapは、10歳以上の個人において1回用量として投与される。TdapPの例としては、これらに限定されるわけではないが、例えば、Sanofi Pasteurによって市販され、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドと、下記の無細胞百日咳抗原:PT(化学的に解毒されたもの)、FHA、PRN、およびFIM2/3と、リン酸アルミニウムとを含む、ADACEL(登録商標)およびBOOSTRIX(登録商標)、ADACEL(登録商標)が挙げられる。典型的には、Tdapは、DTaPと比較して、減量されたジフテリアトキソイドおよびPTを含む。
【0059】
本明細書において使用される場合、「改変されたTdap」または「mTdap」は、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドならびに下記の無細胞百日咳抗原:遺伝子改変されたPT、FHA、PRN、およびFIM2/3を含む、改変されたバージョンのTdapワクチンを意味する。改変されたTdapは、少なくとも改変されたTdapがTLRアゴニスト(例えば、TLR4アゴニスト(例えば、E6020)またはTLR9アゴニスト(例えば、CpG1018))を含むことから、Tdapとは異なっている。改変されたTdapは、場合により、化学的に解毒されたPT(PTdx)の代わりに遺伝子的に解毒されたPT(gdPT)、またはリン酸アルミニウムの代わりに水酸化アルミニウムも含む。ある特定の実施形態では、mTdapは、TLRアゴニスト(例えば、TLR4アゴニスト(例えば、E6020)またはTLR9アゴニスト(例えば、CpG1018))、遺伝子的に解毒されたPT(gdPT)、および水酸化アルミニウムを含む。
【0060】
本明細書において使用される場合、「ブースター」または「ブースターワクチン」は、プライミングワクチンの後に投与されるワクチンを意味する。ブースターワクチンは、プライミングワクチンに含まれていた抗原を含み、それにより、免疫系は、ブースターワクチンの投与の前に、既にそのような抗原に曝露されている。
【0061】
本明細書において使用される場合、「プライミングワクチン」は、ブースターワクチンの前に投与され、一次免疫応答および免疫学的記憶を誘導する、ワクチン接種スケジュールにおけるワクチンの1回または複数回の投薬を意味する。
【0062】
Th1/Th2免疫応答
抗原に応答するCD4 Tヘルパー細胞は、それらが産生するサイトカインに基づいて分類することができる。タイプ1ヘルパーT細胞(Th1)は、優先的に、IFN-γ、IL-2、TNF-α、およびTNF-βなどの炎症性サイトカインを産生する。Th1細胞は、マクロファージを活性化し、典型的には、細胞媒介免疫応答および貪食細胞依存性防御応答(例えば、抗体のオプソニン化)に関連している。その一方で、タイプ2ヘルパー細胞(Th2)は、優先的に、IL-4、IL-5、IL-10、およびIL-13などのサイトカインを産生する。Th2細胞は、B細胞を活性化し、典型的には、抗原媒介免疫応答に関連している。
【0063】
小児における研究は、wPプライミングワクチンはTh1優位の応答を優先的に誘導するが、その一方で、aPプライミングワクチンはTh2優位の応答を優先的に誘導することを示した。Ryanら、 Immunology、 1998、 93:1~10; Ausielloら、 Infect Immun、 1997、 65:2168~74。異なるサイトカインプロファイルを誘導することに加えて、aPプライミングワクチンは、マウスにおいて、支配的にIgG1抗原を誘導するが、IgG2およびIgG4も誘導し、ブースターワクチン接種後に増加するIgG4の割合は、Th2優位の応答を反映し(Stengerら、 Vaccine、 2010、 28:6637~46およびBrummelmanら、 Vaccine、 2015、 33:1483~19)、その一方で、wPプライミングワクチンは、マウスにおいて、支配的にIgG2抗体を誘導し、IgG1およびIgG3も誘導し、(Raevenら、 J Proteome Res、 2015、 14:2929~42)、それは、Th1優位の応答に一致する。
【0064】
本明細書において開示されるように、本願に記載される改変されたaPブースターワクチンは、以前に投与されたaPワクチンによって誘導されるTh2優位の免疫応答を、Th1または混合Th1/Th17優位の免疫応答へと新たに方向付けることができる。前節において引用した文献などの関連文献に反映されるように、当業者は、従来技術を使用してサイトカインプロファイルおよび抗体アイソタイプを測定することによって、aPワクチンがTh1優位の応答とTh2優位の応答のどちらを誘導するかを容易に特定することができる。典型的には、マウスにおいてaPワクチンによって誘導されたTh2優位の免疫応答は、IL-5レベルの増加および/またはIgG1/IgG2a比の増加に関連付けられており、その一方で、Th1優位の免疫応答は、典型的には、IL-5レベルの減少、IFN-γレベルの増加、またはIgG1/IgG2a比の減少のうちの1つまたはそれ以上に関連付けられている。例えば、以前に投与されたaPワクチンによって誘導されるTh2優位の免疫応答を、Th1優位の免疫応答へと新たに方向付ける、本明細書に記載されるaPブースターワクチンの能力は、以前に投与された、TLRアゴニストを含有しないaPワクチンまたはaPブースターワクチンによって誘導される免疫応答と比較して、IL-5レベルの減少および/またはIgG1/IgG2a比の減少を示す。Th17応答は、IL-17の産生によって測定される。
【0065】
破傷風トキソイド
破傷風トキソイドは、グラム陽性の桿状芽胞形成性桿菌である破傷風菌(Clostridium tetani)から産生される。破傷風トキソイドは、約150kDaのタンパク質であり、スルフィド結合によって連結された2つのサブユニット(約100kDaおよび約50kDa)からなる。破傷風トキソイドは、典型的には、ホルムアルデヒドによって解毒され、既知の方法、例えば、WO1996/025425などにおいて開示されるような、例えば、硫酸アンモニウム沈殿法および/またはクロマトグラフィ技術などを使用して培養ろ液から精製することができる。破傷風菌は、任意の好適な増殖培地、例えば、ビーフハートインフュージョン(beef heart infusion)を用いないMueller-Millerカザミノ酸培地(Muellerら、 J Bacteriol、 1954、 67(3):271~277)またはウシカゼイン由来のLatham培地などにおいて増殖させることができる。破傷風トキソイドは、遺伝子組換えによる遺伝的手段によっても不活性される。
【0066】
破傷風トキソイドの量は、「Lf」単位として表現することができ(すなわち、凝集の限界または凝集単位)、それは、1国際単位の抗毒素と混合したときに最適に凝集する混合物を生成するトキソイドの量として定義される。WHOのThe immunological basis for immunization seriesのモジュール1(Galazka)を参照されたい。組成物中の破傷風トキソイドの量は、組成物を、凝集アッセイにおいて、参照試薬で較正された参照材料と比較することによって容易に特定することができる。
【0067】
ジフテリアトキソイド
ジフテリアトキソイドは、グラム陽性の非芽胞形成性好気性菌であるジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae)によって産生されるADPリボシル化外毒素である。破傷風トキソイドと同様に、ジフテリアトキソイドは、非毒性だが依然として抗原性であるトキソイドを得るために、典型的にはホルムアルデヒドを使用して解毒される。ジフテリア菌は、任意の好適な増殖培地、例えば、変性Mueller増殖培地(Stainer、 DW、 In: Manclark CR、 編集者、 Proceedings of an informal consultation of the WHO requirements for diphtheria、 tetanus、 pertussis and combined vaccines、 U.S. Public Health Service、 Bethesda、 MD. DHHS 91~1174、 1991、 7~11)またはFenton培地またはLinggoudおよびFenton培地などにおいて増殖させることができ、それらは、ウシ抽出物を補ってもよい。ジフテリア毒素は、硫酸アンモニウム分画法などの従来技術を使用して精製することができ、ならびに、精製の前もしくは後のどちらかに、ホルムアルデヒド処理などの標準的技術を使用して解毒することができる。
【0068】
破傷風トキソイドと同様に、ジフテリアトキソイドの量は、「Lf」単位によって表すことができる。組成物中のジフテリアトキソイドの量は、組成物を、凝集アッセイにおいて、参照試薬で較正された参照材料と比較することによって容易に決定することができる。
【0069】
百日咳毒素
百日咳毒素(PT)は、分泌タンパク質外毒素であり、百日咳菌によって排他的に産生される重要な病原性因子である。百日咳毒素は、およそ3200の塩基対のオペロンに編成された5つの遺伝子によってコードされる、S1、S2、S3、S4(x2)、およびS5と呼ばれる5つのサブユニットで構成される。5つの遺伝子の発現は、S1をコードする遺伝子の上流に位置されたプロモーターによって調節される。毒素プロモーターの活性化は、ボルデテラ属の病原性遺伝子(bvg)系の制御下にあり、それは、百日咳毒素の発現だけでなく、他の既知の病原性因子、例えば、FHAおよびPRNなども調節する。
【0070】
百日咳毒素は、A/B立体配置を有する約105kDaのタンパク質である。Aドメインは、S1サブユニットで構成され、タンパク質のADPリボシル化活性を担う。それは、宿主細胞膜上のGタンパク質結合受容体(GPCR)へのGタンパク質(グアニンヌクレオチド結合タンパク質)の結合を妨げ、したがって、シグナル変換を妨害し、その結果として、PT活性に関連する多くの生物学的効果、例えば、ヒスタミン感作、白血球増加症、およびインシュリン分泌の変化などを生じる。Bオリゴマーは、1:1:2:1の比で会合したサブユニットS2、S3、S4、およびS5で構成される五量体環であり、真核細胞上の受容体への結合を担う。それは、標的細胞の表面上の様々な(しかし、ほとんど未確認の)複合糖質分子に結合する。
【0071】
現在の無細胞ワクチンにおいて使用される百日咳毒素は、典型的には、化学的に解毒されている。本明細書に記載されるaPブースターワクチンにおいて、解毒された百日咳毒素は、酵素活性および/または毒性を減少させるために、典型的には遺伝子改変される。百日咳毒素の遺伝子改変を含む多くのコンストラクトは、その免疫原生および防御特性を保持しつつタンパク質の酵素活性および/または毒性を減じるように操作されており、その例としては、例えば、百日咳毒素のS1サブユニットのアミノ酸129における変異を有する変異体百日咳毒素、例えば、E129G変異体またはR9K/E129G二重変異体などが挙げられる。例えば、米国特許第5,433,945号、同第7,144,576号、同第7,666,436号、および同第7,427,404号を参照されたい。したがって、ある特定の実施形態では、遺伝子的に解毒された百日咳毒素は、百日咳毒素のS1サブユニットのアミノ酸129における変異を含む。ある特定の実施形態では、変異は、E129G変異である。ある特定の実施形態では、遺伝子的に解毒された百日咳毒素は、R9K変異およびE129Gを含む。遺伝子的に解毒された百日咳毒素は好ましいが、遺伝子的に解毒された百日咳毒素の代わりに化学的に解毒された百日咳毒素を使用することも可能である。化学解毒は、例えば、様々な従来の化学的解毒法、例えば、ホルムアルデヒド、過酸化水素、テトラニトロメタン、またはグルタルアルデヒドによる処理などのうちのいずれかによって実行することができる。例えば、米国特許第5,877,298号を参照されたい。
【0072】
パータクチン
パータクチンは、元々はボルデテラ・ブロンキセプチカ(B. bronchiseptica)から特定された69kDaの外膜タンパク質である(Montaraz, J.A.ら Infect. Immun. 1985;161:581~582)。それは、ボルデテラ・ブロンキセプチカに対する防御抗原であることがわかっており、その後、百日咳菌およびボルデテラ・パラパータシス(B. parapertussis)の両方において同定された。69kDaタンパク質は、真核細胞に直接結合し(Leininger, E.ら、 Proc Natl Acad Sci USA 1991;88:345~349)、百日咳菌による自然感染は、抗パータクチンヒト応答を誘導する(Thomas, M.G.ら J. Infect. Dis. 1989;159:211~18)。パータクチンは、細胞媒介免疫応答も誘導する(Petersen, J.W.ら、 Infect. Immun. 1992;60:4563~70; De Magistris, T.ら、 J. Exp. Med. 1988;168:1351~1362; Seddon, P.C.ら、 Serodiagnosis Immunother. Inf. Dis. 1990;3:337~43)。全細胞または無細胞ワクチンを用いたワクチン接種は、抗パータクチン抗体を誘導し(Edwards, K.M.ら、 Pediatr. Res. 1992;31:91A; Podda, A.ら、Vaccine 1991;9:741~45)、無細胞ワクチンは、パータクチン細胞媒介免疫を誘導する(Podda, A.ら、 Vaccine 1991;9:741~45)。パータクチンは、百日咳菌によるエアゾールチャレンジに対してマウスを防御し(Roberts, M.ら、 Vaccine 1992;10:43~48)、FHAとの組み合わせにおいて、 脳内チャレンジ試験において百日咳菌に対して防御する(Novotny, P.ら、 J. Infect. Dis. 1991;164:114~22)。ポリクローナルまたはモノクローナル抗パータクチン抗体の受動移入も、エアゾールチャレンジに対してマウスを防御する(Shahin, R. D.ら、 J. Exp. Med. 1990;171:63~73)。
【0073】
線維状赤血球凝集素
線維状赤血球凝集素(FHA)は、細菌コロニー形成の際に上部気道の繊毛細胞への百日咳菌の付着を媒介する大きな(220kDa)非毒性ポリペプチドである(Tuomanen, E. and Weiss, A.、 J. Infect. Dis.、 1985;152:118~25)。全細胞または無細胞百日咳ワクチンを用いたワクチン接種は、抗FHA抗体を生じ、ならびにFHAを含む無細胞ワクチンは、FHAへの細胞媒介免疫応答も誘導する(Gearing, A.ら、 FEMS Microbial. Immunol. 1989;47:205~12; Thomas, M.G.ら、 J. Infect. Dis. 1989;160:838~45; Di Tommaso, A.ら、 Infect. Immun. 1991;59:3313~15; Tomoda, T.ら、 J. Infect. Dis. 1992;166:908~10)。
【0074】
線毛タイプ2および3
百日咳菌の血清型は、それらの凝集性線毛によって決まる。WHOは、全細胞ワクチンがタイプ1、2、および3の凝集原(Agg)を含むことを推奨しており、それは、それらが交差防御ではないためである(Robinson, A.ら、 Vaccine 1985;3:11~22)。Agg1は、非海馬采であり、全ての百日咳菌株において見出され、その一方で、血清型2および3のAggは、海馬采である。自然感染または全細胞または無細胞ワクチンを用いた免疫処置は、抗Agg抗体を誘導する(Thomas, M.G.ら、 J. Infect. Dis. 1989;160:838~45; Edwards, K.M.ら、 Pediatr. Res. 1992;31:91A)。エアゾール感染後、Agg2およびAgg3によってマウスにおいて特異的細胞媒介免疫応答を生じさせることができる(Petersen, J.W.ら、 Immun. 1992;60:4563~70)。Agg2および3は、呼吸性チャレンジ感染に対し、マウスにおいて防御的であり、抗凝集原を含むヒト初乳も、このアッセイにおいて防御するであろう(Oda, M.ら、 Infect. Immun. 1985;47:441~45; Robinson, A.ら、 Develop. Biol. Stand. 1985;61:165~72、 Robinson, A.ら、 Vaccine 1989;7:321~24)。
【0075】
TLRアゴニスト
本明細書に記載されるaPブースターワクチンは、トール様受容体(TLR)アゴニストを含む。TLRアゴニストは、TLRを刺激または活性化することができる化合物である。TLRは、宿主の病原菌検出機構における重要な成分である(Janewayら、 Annu. Rev. Immunol. 2002;20:197~216); Akiraら、 Nat Rev Immunol. 2004;4:499~511)。典型的には、TLRは、それらの位置に基づいて2つのファミリに分類され:TLR1、2、および4~6は、細胞表面上に発現され、細菌細胞壁成分を感知し、その一方で、TLR3および7~9は、エンドソームにおいて発現され、ウイルスまたは細菌の核酸を感知する(Kawasakiら、 Front Immunol. 2014:5:461)。TLRによって認識される分子構造は、進化的に保存され、様々な感染性微生物によって発現される(Janewayら、 Annu. Rev. Immunol. 2002;20:197~216); Akiraら、 Nat Rev Immunol. 2004;4:499~511)。TLR活性化によって誘発される先天性免疫応答は、炎症誘発性のサイトカイン、ケモカイン、タイプIインターフェロン、および抗微生物ペプチドの産生によって特徴付けられる。この先天性応答は、順応性免疫系を促進し調節する。一般的な結果は、高親和性抗体を産生する抗原特異的B細胞の増殖と、エフェクタフェーズを標的にする細胞傷害機能の増強によってその後の感染症に対して防御する長期持続性メモリー細胞を含む細胞傷害性T細胞の増殖である(Wille-Reeceら、 J Exp Med. 2006;203:1249~58); Xiaoら、 J Immunol. 2013;190:5866~73)。TLRシグナル伝達は、先天性免疫応答の様々な面において重要な役割を果たしているように見える。
【0076】
驚くべきことに、TLRアゴニストを含ませることにより、aPブースターワクチンは、以前に投与されたaPワクチンによって確立されたTh2優位の免疫応答を、Th1優位の免疫応答へとシフトさせることができる。好ましくは、TLRアゴニストは、ヒトTLRのアゴニストである。
【0077】
ある特定の実施形態では、TLRアゴニストは、TLR4アゴニストであり、好ましくはヒトTLR4のアゴニストである。一実施形態では、TLR4アゴニストは、グラム陰性細菌に由来する天然の脂質Aの理化学的および生物学的性質を模倣する合成リン脂質二量体のE6020である(Ishizakaら、 Expert Rev Vaccines. 2007;(5):773~84)。E6020は、ドデカン酸の二ナトリウム塩である(1R、6R、22R、27R)-1,27-ジヘキシル-9,19-ジヒドロキシ-9,19-ジオキシド-14-オキソ-6,22-ビス[(1,3-ジオキソテトラデシル)アミノ]-4,8,10、18、20、24-ヘキサオキサ-13,15-ジアザ-9,19-ジホスファヘプタコサン-1,27-ジイルエステル(C8315819Na)である。E6020の化学的合成は、高純度の化合物をもたらす、再現可能でよく制御された製造プロセスである。E6020は、以下の化学構造を有する。
【0078】
【化1】
【0079】
E6020は、TLR4と相互作用し、前臨床研究における補助剤として評価されており、エマルション、リポソーム、またはアルミニウム塩と組み合わされる。E6020は、マウスにおいてTh1活性化に関連しているIgG2aを増強することが報告されている。E6020は、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)およびマウス脾臓において粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、IL-1、IL-6およびTNF-αを増強することも知られている(Ishizakaら、 Expert Rev Vaccines. 2007;(5):773~84)。
【0080】
他の実施形態では、TLRアゴニストは、TLR9アゴニストであり、好ましくは、ヒトTLR9のアゴニストである。例えば、TLR9アゴニストは、CpGオリゴデオキシヌクレオチド(「ODN」)であり得る。本明細書において使用される場合、「CpGオリゴヌクレオチド」または「CpG ODN」は、特定の隣接領域内に組み入れられた少なくとも1つの中央非メチル化CGジヌクレオチドを含む一本鎖DNA分子である。CpG ODNは、細菌DNA中に高い頻度において存在し、免疫活性化作用を有する。
【0081】
ヒトにおいて、CpG ODNは、構造およびそれらが誘導する免疫応答の性質の違いに基づいて、4つの異なるクラスに分類されている。各クラスは、少なくとも1つの中央非メチル化CGジヌクレオチドおよび隣接領域を含み、それらは、構造および免疫学的活性において異なっている。クラスBのODN(「K」タイプとも呼ばれる)は、典型的にはホスホロチオ酸骨格に1つから5つの CpGモチーフを含む。ホスホロチオ酸は、天然由来のDNAに見出されるホスホジエステル結合に取って代わる非天然由来のヌクレオチド間結合基であり、ヌクレアーゼ消化に対する抵抗性を増強し、インビボにおいて半減期を実質的に延ばす。クラスBのODNは、形質細胞様樹状細胞に作用して分化させTNFαを産生させ、ならびにB細胞を刺激して増殖させIgMを分泌させる。
【0082】
クラスAのODN(「D」タイプとも呼ばれる)は、ホスホロチオ酸末端ヌクレオチドが隣接するホスホジエステルコアを有する。それらは、ステムループ構造を形成することができるパリンドローム配列が隣接する単一のCpGモチーフを含む。クラスAのODNは、コンカテマー形成を促進する3’および5’末端にポリGモチーフも有する。クラスAのODNは、形質細胞様樹状細胞に作用して成熟させIFNαを分泌させるが、B細胞に対する効果を有しない。クラスCのODNは、ホスホロチオ酸ヌクレオチドで完全に構成されるクラスBに似ているが、ステムループ構造または二量体を形成することができるパリンドロームCpGモチーフを含む点においてクラスAに似ている。クラスCのODNは、B細胞を刺激してIL-6を分泌させ、ならびに形質細胞様樹状細胞を刺激してIFNαを産生させる。クラスPのCpG ODNは、二重パリンドロームを含む高度に秩序立った構造であり、それらは、そのGCリッチな3’末端においてヘアピンを形成することができ、ならびに5’パリンドロームの存在によりコンカテマー化(concatamerize)することができる。
【0083】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンにおいて使用されるCpG ODNは、クラスBのCpG ODNである。ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンにおいて使用されるCpG ODNは、クラスAのCpG ODNである。ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンにおいて使用されるCpG ODNは、クラスCのCpG ODNである。ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンにおいて使用されるCpG ODNは、クラスPのCpG ODNである。
【0084】
ある特定の実施形態では、CpG ODNは、少なくとも1つのホスホロチオ酸結合を含む。ある特定の実施形態では、CpG ODNにおける全てのヌクレオチドは、ホスホロチオ酸結合で連結されている。ある特定の実施形態では、CpG ODNは、1~5つのCGジヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、CpG ODNは、1つのCGジヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、CpG ODNは、2つのCGジヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、CpG ODNは、3つのCGジヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、CpG ODNは、4つのCGジヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、CpG ODNは、5つのCGジヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、CpG ODNは、18~28ヌクレオチドの長さである。
【0085】
一実施形態では、CpG ODNは、次のヌクレオチド配列:5’-TGACTGTGAACGTTCGAGATGA-3’(配列番号1)を有する22-merオリゴヌクレオチドであるISS1018(Higginsら、 Exp Rev Vaccines、 2007;6(5):747~59)である。ISS1018におけるヌクレオチド塩基の全ては、ホスホロチオ酸結合で連結されている。本明細書において使用される場合、「CpG1018」は、ISS1018と相互互換的に使用される。
【0086】
アルミニウム塩
様々な抗原に対して免疫応答を増強するために、アルミニウム塩などの補助剤が使用されてきた。補助剤として使用することができるアルミニウム塩としては、これらに限定されるわけではないが、水酸化アルミニウム/オキシ水酸化アルミニウム(AlOOH)、リン酸アルミニウム(AlPO)、ヒドロキシリン酸硫酸アルミニウム(aluminum hydroxyphosphate sulfate)(AAHS)、および/または硫酸アルミニウムカリウムが挙げられる。これらのアルミニウム塩は、長年にわたりワクチンにおいて使用されている。
【0087】
本願の他の場所で論じられるように、aPブースターワクチンの破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、および無細胞百日咳菌抗原のうちの1つまたはそれ以上は、アルミニウム塩に吸着させることができる。ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンにおけるワクチン抗原の全ては、アルミニウム塩に吸着される。例えば、一実施形態では、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、PT、FHA、PT、およびFIM2,3は、AlOOHに吸着される。別の実施形態では、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、PT、FHA、PT、およびFIM2,3は、AlPOに吸着される。さらなる別の実施形態では、aPブースターワクチンにおけるワクチン抗原の1つまたはそれ以上は、AlOOHに吸着され、aPブースターワクチンにおけるワクチン抗原の1つまたはそれ以上は、AlPOに吸着される。
【0088】
ある特定の実施形態では、TLRアゴニストは、アルミニウム塩と共に製剤化される。典型的には、TLR4アゴニスト、例えば、E6020などは、AlOOHと共に製剤化される。他の実施形態では、TLR4アゴニスト、例えば、E6020などは、AlPOと共に製剤化される。典型的には、TLR9アゴニスト、例えば、CpG ODN(例えば、CpG1018)などは、AlOOHと共に製剤化される。他の実施形態では、TLR9アゴニスト、例えば、CpG ODN(例えば、CpG1018)などは、AlPOと共に製剤化される。
【0089】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、gdPT、FHA、PT、FIM2,3、およびTLR4アゴニスト(例えば、E6020)を含み、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、gdPT、FHA、PT、FIM2,3のそれぞれは、AlOOHに吸着され、TLR4アゴニスト(例えば、E6020)は、AlOOHと共に製剤化される。ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、gdPT、FHA、PT、FIM2,3,およびTL9アゴニスト(例えば、CpG ODN、例えば、CpG1018など)を含み、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、gdPT、FHA、PT、FIM2,3のそれぞれは、AlOOHに吸着され、TLR9アゴニスト(例えば、CpG ODN、例えば、CpG1018など)は、AlOOHと共に製剤化される。
【0090】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、AlOOHおよびAlPOの両方を含み、ワクチンにおける抗原は、これらのアルミニウム塩の一方または両方に吸着される。
【0091】
ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、および百日咳抗原をアルミニウム塩、例えば、AlOOHおよびAlPOなどに吸着させる方法は、当技術分野において既知である。
【0092】
他の抗原
破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、および無細胞百日咳菌抗原に加えて、aPブースターワクチンは、1種または複数種の追加の抗原、例えば、これらに限定されるわけではないが、ヘモフィルスインフルエンザタイプb糖(Hib)コンジュゲート、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)、および/または不活性化ポリオウイルス(IPV)などを含むことができる。
【0093】
ヘモフィルスインフルエンザタイプbは、細菌性髄膜炎を引き起こす。Hibワクチンは、典型的には、とりわけ子供において、その免疫原性を高めるためにキャリアタンパク質にコンジュゲートさせたHibを使用して製剤化される。典型的には、キャリアタンパク質は、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、ヘモフィルスインフルエンザタンパク質D、または血清型B髄膜炎菌に由来する外膜タンパク質複合体である。しかし、任意の適切なキャリアタンパク質を使用することができる。Hibコンジュゲートを作製する方法は、当技術分野において既知である。例えば、PENTACEL(登録商標)は、破傷風トキソイドに共有結合したヘモフィルスインフルエンザタイプbきょう膜多糖(ポリリボシル-リビトール-278ホスフェート[PRP])を含む。Hibコンジュゲートは、典型的には、アルミニウム塩(例えば、AlOOHまたはAlPO)に吸着される。
【0094】
B型肝炎ウイルス(HBV)は、潜在的に生命に危険を及ぼす肝臓感染症であるウイルス性肝炎を引き起こす。感染性HBVビリオンは、球状の二重コア構造を有し、ウイルスによってコードされたポリメラーゼおよびウイルスDNAゲノムと複合化されたB型肝炎コア抗原(HBcAg)で構成された内側ヌクレオカプシドを囲むHBsAgを含む脂質エンベロープからなる。HBsAgは、典型的には226のアミノ酸の長さと約24kDaの分子量を有するポリペプチドである。HBVワクチンは、典型的には、HBsAgを含む。したがって、HBsAgおよびHBsAgを含むワクチンを作製する方法は、当技術分野において既知である。HBsAgは、典型的には、アルミニウム塩(例えば、AlOOHまたはAlPO)に吸着される。
【0095】
急性灰白髄炎は、3つのタイプのポリオウイルス;ポリオウイルスタイプ1(例えば、マホニー株)ポリオウイルスタイプ2(例えば、MEF-1株)、およびポリオウイルスタイプ3(例えば、Saukett株)、のうちのいずれかによって引き起こされる疾患である。ポリオウイルスは、既知の技術を使用して細胞培養物において増殖させることができ、その後、限外ろ過、ダイアフィルトレーション、およびクロマトグラフィなどの技術を使用してビリオンの精製が行われる。次に、ビリオンは、例えば、ホルムアルデヒドなどを使用して不活性化される。典型的には、ポリオウイルスの各タイプは、個別に増殖され、細胞培養物から精製され、それらを組み合わせて三価のポリオウイルス組成物を作製する前に不活性化される。典型的には、不活性化されたポリオウイルスは、ワクチンを製剤化する前にアルミニウム塩上に吸着されない。しかしながら、不活性化されたポリオウイルスは、ワクチン中において、別のワクチン抗原に吸着されていない任意のアルミニウム塩上に吸着されるようになり得る。
【0096】
無細胞百日咳ブースターワクチン
aPブースターワクチンは、百日咳菌および他の病原体(例えば、ジフテリア菌、破傷風菌など)からの抗原に由来するまたはそれと相同である1つまたはそれ以上の抗原-しかし全ての抗原ではない-を含む免疫原性組成物である。そのようなワクチンは、無傷病原性粒子またはそのような粒子の溶解物を実質的に含まない。したがって、aPブースターワクチンを、目的の病原体からの少なくとも部分的に精製されたもしくは実質的に精製された免疫原性ポリペプチドまたはそれらの類似体から調製することができる。ワクチンにおける抗原(単数または複数)を得る方法は、標準的な精製技術、組換え産生、または化学合成を含む。
【0097】
様々な実施形態では、1つまたはそれ以上の抗原がaPブースターワクチンの単一用量に製剤化される。「単一用量」は、本明細書で使用される場合、単回投与で対象に投与されるワクチンの量を指す。典型的には、この量は、0.1~2ミリリットル、例えば、0.2~1ミリリットル、典型的には0.5ミリリットルの体積で存在する。したがって、示された量が、例えば、バルクワクチン0.5ミリリットル当たりのミリグラムの濃度で存在し得る。したがって、ある特定の実施形態では、(単一)単位用量は、0.5ミリリットルに等しい。
【0098】
本明細書に記載されるaPブースターワクチンは、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、ならびに次の無細胞百日咳菌抗原を含む:解毒された百日咳毒素、繊維状赤血球凝集素、パータクチン、ならびに線毛タイプ2および3。aPブースターワクチンは、TLR4(例えば、E6020)またはTLR9アゴニスト(例えば、CpG1018)などのTLRアゴニスト、およびAlOOHまたはAlPOなどのアルミニウム塩も含有する。
【0099】
無細胞百日咳抗原は、典型的には、液体培養培地で増殖させた百日咳菌培養物からの単離により調製される。ボルデテラ属細胞を培養するための当技術分野において公知の任意の液体培養培地を使用することができる。様々な実施形態では、複合培地が使用される。本明細書で使用される場合、「複合培地」は、ペプトン消化物または植物もしくは動物由来の抽出物を含有する培地を指す。本方法での使用に好適な複合培地の例としては、例えば、Hornibrook培地、Cohen-Wheeler培地、B2培地、または他の同様の液体培養培地が挙げられる。ジメチルベータ-シクロデキストリンおよびカザミノ酸も含む変性Stainer & Scholte培地は、使用に好適なもう1つの例である。Stainerら、J Gen Microbiol、1970、63:211~20頁。百日咳毒素、繊維状赤血球凝集素、およびパータクチンは、典型的には、培養培地の上清から別々に単離される。線毛タイプ2および3は、典型的には、細菌細胞から抽出され、共精製される。百日咳抗原は、例えば、連続濾過、塩析沈殿、限外濾過およびクロマトグラフィを含む、任意の従来の方法を使用して、上清および/または細菌細胞から精製することができる。
【0100】
破傷風トキソイド(TT)は、約8~12限界フロキュレーション(Lf)/mLの量でaPブースターワクチン中に存在する。ある特定の実施形態では、TTは、9~11Lf/mLの量で存在する。ある特定の実施形態では、TTは、10Lf/mLの量で存在する。単位用量が0.5mLである単位剤形当たりで測定して、TTは、典型的には、約4~6Lfの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、TTは、4.5~5.5Lfの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、TTは、5Lfの量で存在する。aPブースターワクチンでは、TTは、典型的には、アルミニウム塩に吸着されている。典型的には、TTは、AlOOH上に吸着されている。他の実施形態では、TTは、AlPO上に吸着されていることもある。
【0101】
ジフテリアトキソイド(DT)は、約3~8Lf/mLの量でaPブースターワクチン中に存在する。ある特定の実施形態では、DTは、3~6Lf/mLの量で存在する。ある特定の実施形態では、DTは、4~5Lf/mLの量で存在する。ある特定の実施形態では、DTは、4Lf/mLの量で存在する。単位用量が0.5mLである単位剤形当たりで測定して、DTは、典型的には、約1.5~4Lfの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、DTは、1.5~3Lfの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、DTは、2~2.5Lfの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、DTは、2Lfの量で存在する。aPブースターワクチンでは、DTは、典型的には、アルミニウム塩に吸着されている。典型的には、DTは、AlOOH上に吸着されている。他の実施形態では、DTは、AlPO上に吸着されていることもある。
【0102】
解毒された百日咳毒素(PT)は、典型的には、約4~30μg/mLの量でaPブースターワクチン中に存在する。ある特定の実施形態では、PTは、化学的に解毒されたPTであり、4~10μg/mLの量で存在する。ある特定の実施形態では、PTは、遺伝子的に解毒されたPT(gdPT)であり、約16~24μg/mLの量で存在する。ある特定の実施形態では、gdPTは、18~22μg/mLの量で存在する。ある特定の実施形態では、gdPTは、20μg/mLの量で存在する。単位用量が0.5mLである単位剤形当たりで測定して、PTは、典型的には、約2~15μgの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、PTは、2~5μgの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、PTは、gdPTであり、8~12μgの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、gdPTは、9~11μgの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、gdPTは~10μgの量で存在する。他の実施形態では、PTは、単位用量当たり2~50μg、5~40μg、10~30μg、または20~25μgで存在する。aPブースターワクチンでは、PTは、典型的には、アルミニウム塩に吸着されている。ある特定の実施形態では、PTは、AlOOH上に吸着されている。ある特定の実施形態では、PTは、AlPO上に吸着されている。
【0103】
繊維状赤血球凝集素(FHA)は、典型的には、約5~15μg/mLの量でaPブースターワクチン中に存在する。ある特定の実施形態では、FHAは、8~12μg/mLの量で存在する。ある特定の実施形態では、FHAは、10μg/mLの量で存在する。単位用量が0.5mLである単位剤形当たりで測定して、FHAは、典型的には、約2.5~7.5μgの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、FHAは、4~6μgの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、FHAは、5μgの量で存在する。他の実施形態では、FHAは、単位用量当たり2~50μg、5~40μg、10~30μg、または20~25μgで存在する。aPブースターワクチンでは、FHAは、典型的には、アルミニウム塩に吸着されている。ある特定の実施形態では、FHAは、AlOOH上に吸着されている。ある特定の実施形態では、FHAは、AlPO上に吸着されている。
【0104】
パータクチン(PRN)は、典型的には、約5~15μg/mLの量でaPブースターワクチン中に存在する。ある特定の実施形態では、PRNは、8~12μg/mLの量で存在する。ある特定の実施形態では、PRNは、10μg/mLの量で存在する。単位用量が0.5mLである単位剤形当たりで測定して、PRNは、典型的には、約2.5~7.5μgの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、PRNは、4~6μgの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、PRNは、5μgの量で存在する。他の実施形態では、PRNは、単位用量当たり0.1~100μg、1~50μg、2~20μg、3~30μg、または5~20μgで存在する。aPブースターワクチンでは、PRNは、典型的には、アルミニウム塩に吸着されている。ある特定の実施形態では、PRNは、AlOOH上に吸着されている。ある特定の実施形態では、PRNは、AlPO上に吸着されている。
【0105】
線毛タイプ2および3(FIM2,3)は、典型的には、約10~20μg/mLの量でaPブースターワクチン中に存在する。ある特定の実施形態では、FIM2,3は、14~16μg/mLの量で存在する。ある特定の実施形態では、FIM2,3は、15μg/mLの量で存在する。ある特定の実施形態では、FIM 2のFIM 3に対する重量比は、約1:3~約3:1、例えば、約1:1~約3:1、例えば、約1.5:1~約2:1である。単位用量が0.5mLである単位剤形当たりで測定して、FIM2,3は、典型的には、約5~10μgの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、FIM2,3は、7~8μgの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、FIM2,3は、7.5μgの量で存在する。他の実施形態では、FIM2/3は、単位用量当たり1~100μg、例えば、単位用量当たり3~50μg、または3~30μgの範囲の量で存在する。aPブースターワクチンでは、FIM2,3は、典型的には、アルミニウム塩に吸着されている。ある特定の実施形態では、FIM2,3は、AlOOH上に吸着されている。ある特定の実施形態では、FIM2,3は、AlPO上に吸着されている。
【0106】
典型的には、aPブースターワクチンは、ワクチン抗原のうちの1つまたはそれ以上を吸着するためにおよび/またはTLRアゴニストを製剤化するために使用される、AlOOHまたはAlPOなどの、アルミニウム塩を含む。ある特定の実施形態では、アルミニウム塩は、約0.25~0.75mg/mL、0.25~0.35mg/mL、または0.6~0.7mg/mLの量で存在する。ある特定の実施形態では、アルミニウム塩は、0.66mg/mLの量で存在する。単位用量が0.5mLである単位剤形当たりで測定して、アルミニウム塩は、典型的には、0.125~0.375mg、0.125~0.175mg、または0.3~0.35mgの量で存在する。ある特定の実施形態では、0.5mL単位剤形は、アルミニウム塩 0.33mgを含有する。ある特定の実施形態では、アルミニウム塩は、AlOOHである。他の実施形態では、アルミニウム塩は、AlPOである。
【0107】
TLR4アゴニストがE6020である場合、TLR4アゴニストは、10μg/ml以下の量で存在し得る。ある特定の実施形態では、E6020は、0.5~5μg/mlの量で存在する。ある特定の実施形態では、E6020は、2μg/ml以下の量で存在する。単位用量が0.5mLである単位剤形当たりで測定して、E6020は、典型的には、5μg以下の量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、E6020は、約0.25~2.5μgの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、E6020は、1μg以下の量で存在する。
【0108】
ある特定の実施形態では、E6020は、アルミニウム塩を用いて製剤化される。典型的には、アルミニウム塩は、AlOOHである。他の実施形態では、アルミニウム塩は、AlPOであり得る。
【0109】
TLR9アゴニストがCpG1018である場合、TLR9アゴニストは、約250~750μg/mlの量で存在し得る。ある特定の実施形態では、CpG1018は、400~600μg/mlの量で存在する。ある特定の実施形態では、CpG1018は、500μg/mlの量で存在する。単位用量が0.5mLである単位剤形当たりで測定して、CpG1018は、典型的には、約125~375μgの量で存在する。単位用量が0.5mLである単位剤形当たりで測定して、CpG1018は、200~300μgの量で存在する。0.5mL剤形についてのある特定の実施形態では、CpG1018は、250μgの量で存在する。
【0110】
ある特定の実施形態では、CpG1018は、アルミニウム塩を用いて製剤化される。典型的には、アルミニウム塩は、AlOOHである。他の実施形態では、アルミニウム塩は、AlPOであり得る。
【0111】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、8~12Lf/mLの量のTT、3~8Lf/mLの量のDT、16~24μg/mLの量のgdPT、5~15μg/mLの量のFHA、5~15μg/mLの量のPRN、約10~20μg/mLの量のFIM2,3、0.25~0.75mg/mLの量のAlOOH、および10μg/ml以下の量のTLR4アゴニスト、例えばE6020を含む。
【0112】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、8~12Lf/mLの量のTT、3~8Lf/mLの量のDT、16~24μg/mLの量のgdPT、5~15μg/mLの量のFHA、5~15μg/mLの量のPRN、約10~20μg/mLの量のFIM2,3、0.25~0.75mg/mLの量のAlOOH、および250~750μg/ml量のTLR9アゴニスト、例えばCpG1018を含む。
【0113】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、9~11Lf/mLの量のTT、4~6Lf/mLの量のDT、18~22μg/mLの量のgdPT、8~12μg/mLの量のFHA、8~12μg/mLの量のPRN、14~16μg/mLの量のFIM2,3、0.6~0.7mg/mLの量のAlOOH、および0.5~5μg/mlの量のTLR4アゴニスト、例えばE6020を含む。
【0114】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、9~11Lf/mLの量のTT、4~6Lf/mLの量のDT、18~22μg/mLの量のgdPT、8~12μg/mLの量のFHA、8~12μg/mLの量のPRN、14~16μg/mLの量のFIM2,3、0.6~0.7mg/mLの量のAlOOH、および400~600μg/ml量のTLR9アゴニスト、例えばCpG1018を含む。
【0115】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、表1に記載の通り、以下の成分を示されている量で含む:
【0116】
【表1】
【0117】
表1に記載のaPブースターワクチンについてのある特定の実施形態では、ジフテリアトキソイドは、4Lf/mLの量で存在する。表1に記載のaPブースターワクチンについてのある特定の実施形態では、ジフテリアトキソイドは、5Lf/mLの量で存在する。
【0118】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、0.5mL用量当たり次の成分を含む:4~6Lfの量のTT、1.5~4Lfの量のDT、8~12μgの量のgdPT、2.5~7.5μgの量のFHA、2.5~7.5μgの量のPRN、約5~10μgの量のFIM2,3、0.125~0.375mgの量のAlOOH、および5μg以下の量のTLR4アゴニスト、例えばE6020を含む。
【0119】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、0.5mL用量当たり次の成分を含む:4~6Lfの量のTT、1.5~4Lfの量のDT、8~12μgの量のgdPT、2.5~7.5μgの量のFHA、2.5~7.5μgの量のPRN、約5~10μgの量のFIM2,3、0.125~0.375mgの量のAlOOH、および125~375μgの量のTLR9アゴニスト、例えばCpG1018を含む。
【0120】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、0.5mL用量当たり次の成分を含む:4.5~5.5Lfの量のTT、1.5~3Lfの量のDT、9~11μgの量のgdPT、4~6μgの量のFHA、4~6μgの量のPRN、約7~8μgの量のFIM2,3、0.3~0.35mgの量のAlOOH、および0.25~2.5μgの量のTLR4アゴニスト、例えばE6020を含む。
【0121】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、0.5mL用量当たり次の成分を含む:4.5~5.5Lfの量のTT、1.5~3Lfの量のDT、9~11μgの量のgdPT、4~6μgの量のFHA、4~6μgの量のPRN、約7~8μgの量のFIM2,3、0.3~0.35mgの量のAlOOH、および200~300μgの量のTLR9アゴニスト、例えばCpG1018を含む。
【0122】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、ヒト対象への投与のための単位剤形にあり、表2に記載の通り、0.5mL用量当たり以下の成分を含む:
【0123】
【表2】
【0124】
表1に記載のaPブースターワクチンについてのある特定の実施形態では、ジフテリアトキソイドは、2Lfの量で存在する。表1に記載のaPブースターワクチンについてのある特定の実施形態では、ジフテリアトキソイドは、2.5Lfの量で存在する。
【0125】
ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイドまたはボルデテラ属抗原以外の抗原を含有するように製剤化される。例えば、ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、次ののうちの1つまたはそれ以上を含む:ヘモフィルスインフルエンザタイプbオリゴ糖または多糖(Hib)コンジュゲート、B型肝炎ウイルス表面抗原(HBsAg)、および/または不活性化ポリオウイルス(IPV)。
【0126】
本明細書に記載されるaPブースターワクチンは、注射可能な溶液または乳濁液として製剤化することができる。例えば、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、およびボルデテラ属抗原を、これらの抗原と適合性である薬学的に許容される賦形剤と混合することができる。そのような賦形剤としては、水、食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、およびこれらの組合せを挙げることができる。aPブースターワクチンは、補助物質、例えば、湿潤もしくは乳化剤、pH緩衝剤、またはその有効性を増強するためのアジュバントをさらに含むことができる。
【0127】
典型的には、aPブースターワクチンは、水性形態で製剤化されることになる。典型的には、aPブースターワクチンの成分は、所望の最終濃度を得るためにトリス緩衝食塩水で希釈されることになる。あるいは、製剤用の希釈剤は、注射用蒸留水であることもある。
【0128】
aPブースターワクチンを投与する方法
本明細書に記載されるaPブースターワクチンは、ヒト対象への投与に好適である。したがって、一態様は、ヒト対象における免疫応答を誘導する方法であって、本明細書に記載されるaPブースターワクチンをヒト対象に投与することを含む方法に関する。ヒト対象における免疫応答の誘導に使用するためのおよび/またはヒト対象におけるTh2優位の免疫応答をTh-1優位の免疫応答もしくはTh1/Th17優位の免疫応答へと新たに方向付けるための、aPブースターワクチンも記載される。
【0129】
典型的には、ヒト対象に、百日咳ワクチンなしでwPワクチンを投与した、またはTh2優位の免疫応答を誘導するaPプライミングワクチンをaPブースターワクチンの投与の前に投与した。典型的には、aPプライミングワクチンを投与したヒト対象に、TLRアゴニストを含有しないaPブースターワクチン(例えば、ADACEL(登録商標))を投与した場合、非TLRアゴニスト含有aPブースターワクチンは、aPプライミングワクチンにより誘導されたTh2優位の免疫応答をブーストして、aPプライミングワクチンにより誘導されたTh2優位性を持続させる。対照的に、本明細書に記載されるTLRアゴニスト含有aPブースターワクチンは、aPプライミングワクチンにより誘導されたTh2優位の免疫応答をTh1優位の免疫応答またはTh1/Th17優位の免疫応答へと予想外に新たに方向付けまたはシフトさせる。
【0130】
ある特定の実施形態では、Th1優位の免疫応答は、TLRアゴニストを含有しないaPプライミングワクチンまたはaPブースターワクチン(例えば、ADACEL(登録商標))により誘導される免疫応答と比較して、IL-5産生の減少、IFN-γ産生の増加、またはより低いIgG1/IgG2a比のうちの1つまたはそれ以上を特徴とする。ある特定の実施形態では、Th1優位の免疫応答は、TLRアゴニストを含有しないaPプライミングワクチンまたはaPブースターワクチン(例えば、ADACEL(登録商標))により誘導される免疫応答と比較して、IL-5産生の減少および/またはより低いIgG1/IgG2a比を特徴とする。
【0131】
ある特定の実施形態では、Th1/TH17優位の免疫応答は、TLRアゴニストを含有しないaPプライミングワクチンまたはaPブースターワクチン(例えば、ADACEL(登録商標))により誘導される免疫応答と比較して、IL-17産生の増加と、IL-5産生の減少および/またはより低いIgG1/IgG2a比のうちの1つまたはそれ以上とを特徴とする。
【0132】
aPプライミングワクチンは、aPブースターワクチンを投与する前に単一用量または一連の複数用量(例えば、2、3、4もしくは5用量)として投与することができる。典型的には、aPプライミングワクチンは、特に小児については、一連の用量として投与される。例えば、ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、6週齢~6歳の間の乳児および小児の場合、一連の5用量として投与される。6週齢~4歳の間の乳児および小児の場合、aPプライミングワクチンを一連の4用量として投与することもできる。典型的には、小児のための一次免疫処置スケジュールは、2月齢、4月齢、6月齢、15~20月齢、および4~6歳時のaPプライミングワクチンの投与を含む。
【0133】
aPブースターワクチンは、典型的には、一次免疫処置スケジュールが完了した後に投与される。ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、10歳以上であるヒト対象に投与される。ある特定の実施形態では、aPブースターワクチンは、4歳以上であるヒト対象に投与される。
【0134】
典型的には、aPワクチンブースターは、筋肉内注射により投与される。
【0135】
ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、解毒された百日咳毒素、繊維状赤血球凝集素、パータクチン、および場合によりFIM2,3を含むが、ただし、aPプライミングワクチンはTLRアゴニストを含有しない。
【0136】
ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、DAPTACEL(登録商標)、PENTACEL(登録商標)、QUADRACEL(登録商標)、INFANRIX(登録商標)、INFANRIX-HEXA(登録商標)、KINRIX(登録商標)、PEDIARIX(登録商標)、またはVAXELIS(登録商標)の1用量またはそれ以上を含む。ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、DAPTACEL(登録商標)を含む。ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、PENTACEL(登録商標)またはQUADRACEL(登録商標)を含む。ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、INFANRIX(登録商標)またはINFANRIX-HEXA(登録商標)を含む。ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、KINRIX(登録商標)またはPEDIARIX(登録商標)を含む。ある特定の実施形態では、aPプライミングワクチンは、VAXELIS(登録商標)を含む。
【実施例
【0137】
材料および方法-一般
百日咳菌チャレンジ
百日咳菌18323を、1%グリセロール、20%ヒツジ脱線維素血(Sanofi Pasteur、Alba La Romaine)を補充した、ボルデー・ジャング寒天(Difco)で増殖させた。36℃で24時間後、コロニーを1%カザミノ酸(Difco)緩衝液に移入し、細菌懸濁液の光学密度を測定した。Imalgen(ケタミン 60mg/kg;Merial SAS)およびRompun(キシラジン 4mg/kg;Bayer)の筋肉内注射により麻酔したマウスに、30μlの体積の5×10コロニー形成単位(CFU)を鼻腔内注入した。次いで、肺内の生百日咳菌CFUの初期数の定量のために感染の2時間後に、ならびに細菌コロニー形成の判定のために3、7、14および21日目または1、2、3、7および14日目のどちらかに、Dolethal(ペントバルビタール 180mg/kg;Vetoquinol SA)の腹腔内注射によりマウスを安楽死させた。手短に述べると、肺ホモジネートをボルデー・ジャング寒天プレートに播種し、36℃での4日間のインキュベーション後にCFUの数を計数した。発症予防効果の測度を、ナイーブ対照と免疫処置マウスとのクリアランス曲線下面積(AUC)の比として表した。
【0138】
アジュバント製剤(全ての実施例)
改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)ブースターおよび改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)ブースター(マウス用)は、10Lf/ml TT、4Lf/ml DT、20μg/ml gdPT、10μg/ml PRN、15μg/ml FIM2/3、10μg/ml FHAおよび0.66mg/ml アルミニウム(AlOOH)と、500μg/ml CpG1018(TLR9アゴニスト)または10μg/ml E6020(TLR4アゴニスト)のどちらかを含有した。
【0139】
抗原、アジュバントおよび免疫処置(全ての実施例)
破傷風およびジフテリアトキソイドに加えて、10μg化学的解毒PT、5μg FHA、3μg PRNおよび5μg FIM2,3を含有する、小児用ジフテリア-破傷風-無細胞百日咳(aP)DAPTACEL(登録商標)ワクチン(Sanofi Pasteur)(本実施例および図では略してDTaPと呼ぶ)の、またはチオメルサールの存在下で熱により不活性化された百日咳菌 ≧4I.U.を含有するジフテリア-破傷風-全細菌-細胞百日咳(wP)D.T.COQ/D.T.Pワクチン(Sanofi Pasteur)(本実施例および図では略してDTwPと呼ぶ)の、ヒト用量の1/5(両方の後ろ脚に50μl)の筋肉内注射で、マウスをプライミングした。レシピエントマウスを、ヒト用量の1/5(両方の後ろ脚に50μl)の次の製剤でブーストした:破傷風およびジフテリアトキソイドに加えて2.5μg 化学的解毒PT、5μg FHA、3μg PRNおよび5μg FIM2,3を含有する、小児用ジフテリア-破傷風-aP ADACEL(登録商標)ワクチン(Sanofi Pasteur)(本実施例および図では略してTdapと呼ぶ);D.T.COQ/D.T.Pワクチン(すなわち、DTwP);または上記の改変Tdapブースター製剤(本実施例および図では略して改変TdapまたはmTdapと呼ぶ)。
【0140】
フルオロスポット(全て):
フルオロスポットアッセイ(フルオロフォア標識検出試薬を利用するELISPOT)を使用して、脾臓IFN-γ、IL-5またはIL-17サイトカイン分泌細胞を検出した。手短に述べると、96ウェルIPFL底マイクロプレート(Millipore)を30秒間、35%エタノール 50μLで予備湿潤させた。次いで、エタノールを除去し、各ウェルを滅菌PBSで3回洗浄した。次いで、10μg/mLでのラット抗マウスIFN-γ、ラット抗マウスIL-5またはラット抗マウスIL-17抗体溶液(PharMigen) 100μL/ウェルを添加することによりマイクロプレートをコーティングし、一晩、+4℃でインキュベートした。翌日、プレートを滅菌PBSで3回洗浄し、次いで、2時間、+37℃で、RPMI GSPβ10%FBS 200μLとインキュベートした。プレートを洗浄した後、新鮮に単離した脾細胞10個/ウェルを、マウスIL-2(10U/mL)の存在下で、百日咳抗原(PT 2.5μg/ml;PRN 5μg/ml;FIM 5μg/ml;FHA 5μg/ml)または陽性対照としてのコンカナバリンA(ConA、2.5μg/ml)とインキュベートした。IFNγおよびIL-17については24時間、IL-5については48時間のインキュベーション後、プレートを、0.05%BSAを補充したPBS(200μL/ウェル)で6回洗浄した。洗浄後、ビオチン化抗マウスIFN-γ(2μg/mL)または抗マウスIL-5(1μg/mL)もしくは抗マウスIL-17(1μg/mL)抗体 100μL/ウェルを、2時間、室温で、暗所で添加した。次いで、プレートをPBS-BSA 0.05%(200μL/ウェル)で3回洗浄した。次いで、PBS-BSA 0.05%中の1μg/mLのストレプトアビジン-PE 100μL/ウェルを1時間、室温で、暗所でインキュベートした。プレートをPBS-BSA 0.05%(200μL/ウェル)でさらに6回洗浄した。読み取りまで、+5℃±3℃で、暗所でプレートを保管した。IFN-γ、IL-5またはIL-17分泌細胞に対応する各スポットを自動ELISPOT蛍光プレートリーダー(Microvision)で数えた。結果を、脾細胞10個当たりのIFN-γ、IL-5またはIL-17分泌細胞の数として表した。幾何平均および標準偏差を群ごとに計算した。
【0141】
抗体定量
百日咳抗原(FIM、PT、FHA、PRN)、ジフテリアトキソイドおよび破傷風トキソイドに特異的な血清IgG1およびIgG2a抗体を、マルチプレックスU-PLEXアッセイ(Meso-Scale Diagnostics、Rockville、MD)で力価測定した。
【0142】
U-PLEXアッセイは、96ウェルU-PLEXプレートの5つの個々のスポットに特異的に結合する5つの特有のU-PLEXリンカーからなる。ビオチンに基づく捕捉連結機構は、次の2工程プロセスを含む:(1)リンカーがビオチン化抗原に結合される、および(2)リンカー連結抗原がプレートに結合される。血清試料、対照および参照血清の段階希釈物を添加し、洗浄工程を行い、コーティングされた抗原に結合したIgG1またはIgG2a抗体を、SULFO-TAG(商標)標識抗IgG1またはSULFO-TAG(商標)標識抗IgG2aを使用して検出した。
【実施例1】
【0143】
遺伝子的に解毒された(gdPT)免疫原性と化学的に解毒されたPT(PTxd)の比較
遺伝子的に解毒された百日咳毒素(gdPT)の免疫原性と化学的に解毒されたPT(PTxd)の免疫原性を比較するための研究を行った。1マウス用量当たり2.5、0.5、0.1または0.02μgのgdPTまたはPTxdで2回、各々3週間の間隔を空けて(0日目および21日目に)、ナイーブCD1マウスの群に免疫処置を投与した。加えて、PTxdによりプライミングされた応答をブーストするgdPTの能力を評価するために、単一0.5μg用量のPTxd、続いて1用量当たり0.5μgでの2回のgdPT免疫処置を各々3週間の間隔を空けて(0、21および42日目に)用いて、1つのマウス群を免疫処置した。全ての製剤は、100μL注射体積中に0.066mg AlPOを含有した。百日咳毒素特異的ELISAおよびPT中和抗体力価によるIgG1およびIgG2a力価の分析のために、2回目の免疫処置の17日後(38日目)におよび3回目の免疫処置の8日後(50日目)に血液試料を採取した。
【0144】
gdPTを含有する製剤は、PTxdの製剤と比べて、強いかつ用量依存的な抗PT特異的IgG1およびIgG2a応答を、特に、低い用量で誘導し、ならびに高いPT中和抗体力価を誘導する(図1A~B)。gdPTおよびPTxdの両方は、PTxdによりプライミングされたPT特異的IgG1およびIgG2a応答を同様にブーストすることができる(図2A)。しかし、PTxdでプライミングし、gdPTでブーストしたマウスは、PTxdでのブースティングよりも高いPT中和抗体力価を生じさせる結果となった(図2B)。
【0145】
次に、Tdapワクチン中のPTxdのgdPTでの置換が他のワクチン成分の免疫原性に対して影響を与えるかどうかを評定するための研究を行った。この可能性に取り組むために、PTxdを含有する対照Tdapワクチン製剤の免疫原性を、gdPTを含有するワクチン製剤の免疫原性と比較した。2.0、0.1または0.02μg/用量のgdPTを含有するワクチンを他のTdapワクチン抗原(100μLで1マウス用量当たり1Lf 破傷風トキソイド、0.4Lf ジフテリアトキソイド、1μg FHA、1μg PRN、1.5μg FIM2,3および66μg アルミニウム(AlOOH)、または1/5ヒト用量)と組み合わせて製剤化した。化学的に解毒されたPT 2μgを含有する対照Tdapワクチンを、同じTdap抗原濃度で比較対照として製剤化した。この研究は、AlOOH中1用量当たり0.1または0.02μgでの単独のgdPTを投与したマウスの群も含んだ。CD1マウスにワクチン製剤の3回の免疫処置を3週間の間隔を空けて投与し、最後の免疫処置の7日後にこれらのマウスを屠殺した。2回目の免疫処置の10日後(図3)ならびにPT特異的IgG1およびIgG2a力価ならびにPT中和抗体応答の分析のために屠殺時(図4A~B)に血液試料を採取した。
【0146】
gdPT(1用量当たり2μg、およびマウス1匹当たり3回の免疫処置)を含有する改変Tdapワクチンは、1用量当たり2μgのPTxdを含有する、他の点では同一の対照Tdapワクチンよりも、高いPT中和抗体力価を惹起した(図4B)が、gdPT含有およびPTxd含有Tdapワクチンは、同等のPT特異的IgG1およびIgG2a力価を有した(図4A)。さらに、FIMに対するIgG1およびIgG2a抗体力価は、gdPT含有Tdap製剤とPTxd含有Tdap製剤間で同等であった(図3)。同様のIgG1およびIgG2aプロファイルが、他のワクチン抗原(すなわち、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、FHAおよびPRN)について観察された。したがって、gdPTは、他のワクチン抗原により誘導される抗体応答に影響を与えなかった(図3)。しかし、他のTdapワクチン抗原の存在は、低用量のgdPTによる誘導されるPT中和抗体力価を低減させるように見えた(図4A、B)。具体的には、3回目の免疫処置の7日後に0.1μg gdPTにより誘導された平均対数PT中和力価は、他のTdap抗原の非存在下でTdap抗原での力価よりも有意に高かった(0.7倍)(図4B)が、PT特異的IgG1およびIgG2a力価では差は観察されなかった(図4A)。
【0147】
結論として、gdPTは、Tdap製剤においてPTdxよりも免疫原性が高いことが確認された。また、gdPTは、ワクチン製剤中の他のTdap抗原の免疫原性に干渉しなかった。
【実施例2】
【0148】
TLRアジュバントは、長期プライム-ブーストスケジュールを使用してDTaP誘導Th2免疫記憶応答をTh1へと新たに方向付ける
以前に確立されたTh2優位の記憶応答をブーストし、再偏向させる、改変Tdap製剤の能力を試験するために、長期免疫スケジュールを適用した。この研究では、CD1マウス8匹の群をDTaPワクチンの筋肉内注射によりプライミングして、Th2優位の記憶応答を確立した。第1の研究では、マウスを6週間後(42日目)に改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)製剤または改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)製剤でブーストした。第2の研究では、マウスに2用量の改変Tdapブースターワクチンを投与し、第1の用量を6週間の時点で(42日目に)および第2の用量は12週間を時点で(84日目に)投与した。免疫記憶応答をTh1へと新たに方向付ける改変Tdapブースティング製剤の可能性を、in vitro抗原再刺激後の上清における脾臓サイトカイン産生細胞またはサイトカイン産生をex vivoで測定することによって評価した。破傷風トキソイド(TT)、ジフテリアトキソイド(DT)、PT、FHA、PRNおよびFIMに対する抗体力価(IgG1およびIgG2a)も、最後の免疫処置の1、3および6日後に採取した血清において決定した。対照として、1つのマウス群を、DTwPワクチン(プライム)、その後のDTwPワクチン(ブースト)によって免疫処置し、別の群を、DTaPワクチン(プライム)、その後の、gdPT-AlOOH(20μg/ml gdPT)を有するがTLRアゴニストを含有しない対照改変Tdapワクチン製剤、すなわち、対照改変Tdap(gdPT-AlOOH)でのブーストによって免疫処置した。
【0149】
DTwP/DTwP(プライム/ブースト)スケジュールは、DTaP/改変対照Tdap(gdPT-AlOOH)(プライム/ブースト)スケジュールと比較して、より弱いIL-5分泌(図5)およびより低いIgG1/IgG2a比(図6A~L)によって証明される通り、Th2優位性の低い免疫プロファイルを誘導した。改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)または改変Tdap(gdPT+CpG101-AlOOH)ブースト製剤は、対照改変Tdap(gdPT-AlOOH)ブーストワクチンと比較して有意に減少したIL-5産生を誘導した(図5)。しかし、TLRアゴニストアジュバントを含有するこれらの新規改変Tdap製剤のいずれも、対照改変Tdap(gdPT-AlOOH)で観察されたIFN-γレベルを変更しなかった(図5)。Th2優位性の低い応答の方への全体的なサイトカインバランスと一致して、より低いIgG1/IgG2a比が、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)または改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)ワクチンによりブーストしたマウスで観察された(図6A~L)。mTdap-CpG-AlOOHでの免疫処置後、抗FHAについて1回のブースト後および抗FIMについて2回のブースト後に、TLRアゴニストを含有しないmTdap-AlOOHで免疫処置したマウスと比較してIgG1/IgG2a比の統計的に有意な減少が観察された(図6Aおよび6D)。mTdap-E6020-AlOOHでの免疫処置後、抗FHAについて1回のブースト後に、TLRアゴニストを含有しないmTdap-AlOOHで免疫処置したマウスと比較してIgG1/IgG2a比の統計的に有意な減少が観察された(図6A)。DTaPでプライミングしたマウスでは、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)または改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)製剤によるブースト後に、TLRアゴニストを含有しない対照改変Tdap(gdPT-AlOOH)ブーストワクチンと比較してIL-17分泌について統計的に有意な差は観察されなかった(図5)。
【0150】
結論として、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)および改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)ワクチンは、DTaPでプライミングしたマウスにおいてヘルパーT細胞応答をTh2優位性の低い応答に変更することができ、ひいてはヘルパーT細胞応答の再偏向およびTh1/Th2バランスのシフトを達成することができた。
【実施例3】
【0151】
百日咳免疫の養子移入モデル
改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)製剤および改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)製剤を、DTaPワクチン接種により誘導された循環抗体の非存在下で百日咳菌防御のためにDTaP誘導免疫記憶応答を再活性化するそれらの能力について試験した。
【0152】
ヒトとマウスとの1つの相違は、DTaPプライミングにより誘導される血清抗体の寿命である。これらの抗体は、ヒトでは急速に減少するが、マウスでの長期抗体存続は、ブースター応答の読み出しに干渉し、したがって、改変Tdapブースター製剤の評価に干渉する。この相違に対処するために、図7に要約するように、マウス二重移入モデルを使用して、DTaPワクチン接種により誘導される循環抗体を排除した(Gavilletら 2015 Vaccine)。この設定で、成体BALB/cマウスをDTwPまたはDTaPで1回プライミングし、6週間後にそれらの脾細胞を採取し、レシピエント、ナイーブBALB/cマウスに移入した(50×10脾細胞)。レシピエントマウスをDTwP(DTwPでプライミングするバックグラウンドでのみ)、Tdap、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)製剤または改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)製剤によりブーストした。6週間後、ブーストしたマウスの脾細胞を採取し、新たなレシピエント、ナイーブBALB/cマウスに移入した(50×10脾細胞)。移入の1週間後、この二重養子移入レシピエントマウスに10生百日咳菌でチャレンジし、チャレンジ後0、7、10、14または21日目に屠殺した。屠殺したマウスの肺内の細菌数を、ワクチン接種により誘導される循環抗原特異的抗体の非存在下での有効な免疫想起応答の指標として測定した(図9A~B)。ワクチンにより誘導される応答も、ブーストの7、14、21、28および42日後に採取した血清におけるPT特異的、PRN特異的、FHA特異的およびFIM2,3特異的IgG抗体応答の検出によりモニターした(図8A~B)。加速された、より高いワクチン抗原IgG力価は、養子移入マウスにおける想起抗体応答の特徴である。
【0153】
百日咳菌チャレンジ時に循環抗体の非存在下で、DTwP/DTwP(プライム/ブースト)マウスにおける記憶細胞は、早期百日咳菌制御をもたらし、肺からの細菌クリアランスを助長した(図9A)。これは、少なくとも一部分は、PTおよびPRNなどの百日咳ワクチン抗原に特異的な抗体の迅速な生成に起因した(図8A)。対照的に、DTaPプライミング/Tdapブーストは、ナイーブ対照動物と比較して肺における細菌クリアランスを加速しなかった(図9A~B)。この養子移入モデルでは、DTapでプライミングし、改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)および改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)ブーストでブーストしたマウスは、Tdapブーストを投与したマウスと比較して加速された、より高い抗PT、FHA、FIM IgG力価を示した(図8B)。
【0154】
Tdapブーストワクチンにおける化学的に解毒されたPTのgdPTでの置換は、PT特異的IgG抗体応答の増強にもかかわらず、百日咳菌の肺クリアランスに影響を与えなかった(データを示さない)。とは言え、抗原特異的記憶応答の強い再活性化が、改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)ワクチンについて観察された。早期細菌制御および加速された細菌クリアランスが、DTwPプライミング/DTwPブースト群と同様の動態で、DTaPプライミング/改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)ブースト群で記録された(図9A~B)。同様に、PTおよびFHAワクチン抗原に特異的な抗体の迅速な生成が、改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)製剤で観察された(図8B)。改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)試験は、一部のaP抗原、例えばPTおよびFHA、に対する百日咳特異的抗体応答の早期再活性化を示唆した(図8B)。しかし、改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)ブーストと比較して改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)ブーストによる早期百日咳菌制御に対する少ない影響が観察された(図9B)。結論として、マウスにおけるこの養子移入実験は、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)および改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)ブースター製剤が、百日咳特異的想起抗体応答を向上させることができ、その結果、細菌コロニー形成に対する防御が加速されることになることを実証した。
【0155】
実施例3のための材料および方法
マウス:成体BALB/cByJマウスをCharles River(L’Arbresle、France)から購入し、特定の病原体のない条件下で飼育した。6~8週齢のマウスを使用した。全ての動物実験は、スイスおよび欧州のガイドラインに従って行い、Geneva Veterinary Officeにより承認された。
【0156】
養子移入:プライミングまたはブーストの42日後に脾臓を採取した。臓器の機械的破壊により単個細胞浮遊液を得、赤血球細胞溶解のためにさらに処理した。50×10脾細胞を100μlの体積でナイーブレシピエントマウスに静脈内移入した。
【0157】
百日咳菌チャレンジ:ストレプトマイシン耐性百日咳菌Tahoma I派生株BPSMを、1%グリセロールと10%ヒツジ脱線維素血(Chemie Brunschwig AG)と100μg/ml ストレプトマイシンとを補充したボルデー・ジャング寒天(Difco)で増殖させた。37℃で24時間後、コロニーをPBSに移入し、細菌懸濁液の光学密度を測定した。Ketasol(100mg/kg;Graeub)およびRompun(10mg/kg;Bayer)の腹腔内内注射により麻酔したマウスに、20μlの体積の1x10コロニー形成単位(CFU)を鼻腔内注入した。肺内の生百日咳菌CFUの初期数の定量のために感染の3時間後に、ならびに細菌コロニー形成の判定のために7、10、14および21日目に、マウスを屠殺した。手短に述べると、肺ホモジネートをボルデー・ジャング寒天プレートに播種し、37℃での4日のインキュベーション後にCFUの数を計数した。発症予防効果の測度をナイーブ対象と免疫処置マウスとのクリアランス曲線下面積(AUC)の比として表した。
【0158】
ELISA:PT特異的、PRN特異的、FHA特異的およびFIM2,3特異的抗体力価を、示した時点で採取した血清試料において、Ag捕捉ELISAにより決定した。手短に述べると、96ウェルプレート(Nunc MaxiSorp(商標);Thermo Fisher Scientific)を、炭酸緩衝液、pH9.6中のPT(1μg/ml)、PRN(5μg/ml)、FHA(5μg/ml)またはFIM2,3(2μg/ml)で一晩、4℃でコーティングした。PBS、0.05%Tween 20および1%BSA(Sigma)で1時間、37℃で飽和させた後、個々のまたはプールされたマウス血清の2倍段階希釈物とともにウェルを1時間、37℃でインキュベートした。二次ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)コンジュゲート抗マウスIgG、抗マウスIgG2a(両方ともInvitrogenから)、および抗IgG1(BD Pharmingen)を1時間、37℃でインキュベートし、2,2’-アジノビス[3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸]-二アンモニウム塩(ABTS)基質で1時間、顕現させた。各ウェルの光学密度を405nmで測定し、データをSoftMax Proソフトウェアで解析した。結果を図8に、IgGおよびIgG1についてはWHO/NIBSC標準試薬百日咳菌抗血清(NIBSCコード:97/642)の段階希釈物を基準にしてならびにIgG2aについては免疫処置マウスからの過免疫血清の力価測定されたプールの段階希釈物を基準にして決定したAg特異的力価のLog10として表す。
【0159】
統計解析:値を平均±SEMとして表す。統計解析は、対応のないt検定または一元配置ANOVA、続いて、2群より多くのマウスを試験する場合にはテューキー多重比較を使用して行った。全ての解析は、GraphPrismソフトウェアを使用して行った。p>0.05である差は、有意でないと見なした。
【実施例4】
【0160】
マウス鼻腔内チャレンジモデル
使用許諾を得た百日咳ワクチンの臨床的有効性レベルを反映するマウス肺クリアランスモデルが開発され、移植され、評価された(Guiso N.et al.、Vaccine.1999;17:2366~76頁)。このマウス鼻腔内チャレンジアッセイ(INCA)モデルは、新規ワクチン候補の登録のための非臨床試験のためにWHOにより推奨されており、ワクチン研究および開発に有効な研究モデルとして公知である(World Health Organization.WHO Expert Committee on Biological Standardization.Recommendations to Assure the Quality Safety and Efficacy of Acellular Pertussis Vaccines.2011;WHO/BS/2011.2158)。さらに、WHO顧問団は、INCAが、百日咳ワクチンの製剤および/または製造プロセスを変えることの潜在的影響の評定に有用であることを認めている。
【0161】
このモデルでは、亜致死用量での鼻腔内チャレンジ後、細菌が気管の線毛上皮に付着し、肺内のマクロファージへ侵入する。疾患は持続し、白血球増加および免疫抑制に伴って4~8週間続く。感染の迅速なクリアランスが、回復期マウスの再チャレンジ後に観察される。INCAモデルは、臨床試験において異なる有効性を示した無細胞百日咳ワクチンを識別することが証明された(Guiso N.ら 1999)。
【0162】
INCAマウスモデルを使用して、新規改変Tdapブースターワクチン、例えば、改変Tdap(gdPT+CpG1018-AlOOH)および改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)ワクチンが、DTaPで初期免疫したマウスにおいてTdap対照ブーストワクチンに等しいまたはそれより高い短期間防御レベルを惹起するかどうかを評価した。図10Aは、短期スケジュールを使用するマウス鼻腔内チャレンジアッセイ(INCA)の絵画表示を示し、図10Bは、長期スケジュールを使用するマウスINCAの絵画表示を示す。図10Cは、DTwP/DTwP(プライム/ブースト)スケジュールおよびDTaP/Tdap(プライム/ブースト)スケジュールが、短期スケジュールを使用してこのモデルにおいて鼻腔内チャレンジ後にマウスの百日咳菌の肺コロニー形成を防ぐことを示す。
【0163】
短期プライム-ブーストスケジュールを使用するマウス鼻腔内チャレンジアッセイ
2週間間隔短期免疫処置スケジュールを、WHOの調和化プロトコール(WHO Expert Committee on Biological Standardization、2011)に記載されているように適用した。この研究の読み出し情報は、肺内の細菌負荷量(CFU/肺)の低減、ならびに血液中の白血球(WCB)数に基づく白血球増多であった。
【0164】
マウス40匹の群に、筋肉内経路により1/5ヒト用量のDTaPを注射し、2週間後に、Tdap、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)ワクチンでのまたは化学的に解毒されたPT、AlOOHを用い、TLRアゴニストを用いずに製剤化した対照Tdapワクチン(対照Tdap(PTxd-AlOOH)での2回目の注射を投与した。DTwPの2回の注射(プライム/ブースト)を投与した群も含めた。2つの対照群に、PBS(感染対照)、または感染対照と比較してアルミニウム塩およびE6020がコロニー形成に影響を与えないことを検証するための単独でのE6020-AlOOHアジュバント、どちらかを投与した。
【0165】
2回目の免疫処置の2週間後、百日咳菌18323の懸濁液の鼻孔への注入によりマウスにチャレンジした。チャレンジ後、各群からのマウス8匹を、チャレンジの2時間後およびチャレンジの3、7、14および21日後に屠殺した。肺を無菌で取り出し、個々に均質化して細菌負荷量を測定した。ホモジネートの段階希釈物を播種した後、ボルデー・ジャング寒天プレート上で増殖したコロニーを計数することにより、肺1つ当たりの平均CFUを決定した。チャレンジ後にも血液試料を採取し、WBC計数を行った。
【0166】
図11に示すように、百日咳菌18323は、チャレンジの3日後、クリアランス期に入る前にPBS対照マウスの肺内でコロニーを形成し、拡大した。PBS対照マウスでは、完全な百日咳菌の肺クリアランスに21日より長くかかった。単独でのアジュバントは、肺コロニー形成および疾患に何の影響も与えなかった。チャレンジの3日後に全てのワクチン接種群において百日咳菌の肺コロニー形成の低減が観察され、全ての製剤がチャレンジの14日後にはベースライン細菌負荷量に達した。DTwPは、最速の百日咳菌肺クリアランスを生じさせ、チャレンジの7日後にはベースラインに達した。結果は、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)製剤が、感染対照と比較して肺内の細菌負荷量を大幅に低減させた(3日目に4logおよび7日目に5log)ことを示し、これは、百日咳菌18323での鼻腔内チャレンジ後に下気道のコロニー形成を防止するその能力を実証した。注目すべきことに、このクリアランスプロファイルは、DTwP/DTwP(プライム/ブースト)について得られたプロファイルにより近く、DTaP/Tdap(プライム/ブースト)について得られたプロファイルとはよりかけ離れていた。7日目に得られた細菌負荷量の改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)製剤ブーストとTdap(化学的に解毒されたPTを含有する)ブーストとの差は、有意であった(p値<0.0001)。全てのワクチンは、疾患に対して防御性であり(図11)、白血球増多を防止した。この研究は、短期プライム-ブーストスケジュールを使用してマウスINCAにおいて改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)製剤が、Tdap(ADACEL(登録商標))と比較して百日咳菌クリアランスを有意に加速させること実証した。
【0167】
長期プライム-ブーストスケジュールを使用するマウス鼻腔内チャレンジアッセイ
aPプライミングでの免疫学的バックグラウンドを事前に確立したマウスにおいて新規改変Tdap製剤の有効性を確認するための研究を行うために、上記で論じた通りの長期プライム-ブーストスケジュールを使用して百日咳菌による肺コロニー形成および疾患を予防する改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)ブースターの能力を評価した。図10Bを参照されたい。この研究において、無細胞百日咳ワクチン対照は、新規改変Tdap製剤におけるgdPTおよびTLRアゴニストの役割をよりよく理解するために、化学的に解毒されたPTを含有するが、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)製剤の場合と同じ用量の抗原およびアルミニウム塩(AlOOH)を含有するように改変した、Tdapワクチン(対照Tdap(PTxd-AlOOH))であった。
【0168】
マウス40匹の群に、筋肉内経路により1/5ヒト用量のDTaPを注射し、6週間後に、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)でのまたは対照Tdap(PTxd-AlOOH)での2回目の注射を投与した。DTwPでプライミングし、DTwPでブーストした群も含めた。2回目の免疫処置の6週間後、百日咳菌18323の懸濁液の鼻孔への注入によりマウスにチャレンジした。チャレンジ後、各群からのマウス8匹を、チャレンジの2時間後およびチャレンジの1、2、3、7および14日後に屠殺した。肺を無菌で取り出し、個々に均質化して細菌負荷量を測定した。ホモジネートの段階希釈物を播種した後、ボルデー・ジャング寒天プレート上で増殖したコロニーを計数することにより、肺1つ当たりの平均CFUを決定した。チャレンジ後にも血液試料を採取し、WBC計数を行った。
【0169】
図12Bに示すように、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)製剤は、感染対照と比較して早くも1日目に肺内の細菌負荷量を大幅に低減させた(6log低減)。改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)と対照Tdap(PTxd-AlOOH)の間にも、1日目に肺内のCFU数の7.7分の1への低減を伴う有意な差(p値=0.007)が観察された。全てのワクチン接種マウスの細菌負荷量は、7日目までに、肺内に検出可能な細菌がないことを示すベースラインに戻った(図12B)。
【0170】
この研究は、改変Tdap(gdPT+E6020-AlOOH)製剤が、長期プライム-ブーストスケジュールで、gdPTまたはTLRアゴニストを含有しないTdap対照よりも(少なくとも感染初期の間は)肺コロニー形成の防止に効果があったことを実証した。これは、この効果が、改変Tdap製剤に含有されるgdPTおよび/またはTLRアゴニストに起因することを示唆する。
【実施例5】
【0171】
脾細胞においてフルオロスポットにより測定したTh17分泌細胞
Th2からの免疫応答をよりTh-17応答へと再偏向させるTLRアジュバントの能力を研究するために、IL-17サイトカインを以下の実験で測定した。CD1マウスをDTaP組成物でプライミングし、2週間の間隔を空けてD0およびD21に、用量効果設計のTLR4アジュバントを含有するまたは含有しないmTdap-E6020-AlOOHで2回ブーストした。E6020およびAlOOHは、mTdap製剤中にそれぞれ10μgおよび66μgの量で存在した。mTdap抗原成分は、0.1mLの用量当たり以下の通りであった:
【0172】
【表3】
【0173】
麻酔(Imalgen/Rompun 80mg/kg ケタミンおよび16mg/kg キリラジン、100μL/10gまたはイソフルラン)下で全ての群についてD20(200μL)およびD35(瀉血)にマウスから血液試料を採取した。脾臓細胞における細胞免疫応答をex vivoフルオロスポットアッセイにより分析してIL-17分泌細胞を測定し、MSDアッセイにより分析してIL-17の分泌を測定した。フルオロスポット技術は、上で説明した。PTx 2.5μg/mL(図13A)または百日咳抗原のプール(2.5μg/mL PTx、5μg/mL PRN、5μg/mL FIM)(図13B)での3日のin vitro刺激後、フルオロスポットアッセイおよびMSD Uplexキットを使用して脾細胞の上清においてTh17サイトカイン(IL-17)の産生を測定した。
【0174】
図13A~Bに示すように、IL-17分泌細胞頻度は、TLR4を含有しないmTdapワクチン注射後、フルオロスポットアッセイにおいて陽性カットオフ未満(19スポット/10細胞の線より下)であった。mTdap-E6020製剤は、脾細胞をPTトキソイド(PTx)(図13A)または百日咳抗原のプール(図13B)で再刺激したとき、0.1μg~4μg/用量の用量に依存する形でIL-17分泌細胞量の増加を誘導した。4μg E6020/用量を含有するmTdapブーストワクチンは、PTxで再刺激したときIL-17分泌細胞頻度をフルオロスポットアッセイにおいて陽性カットオフより上に増加させ(図13A)、その一方で、0.5、1、4および10μg E6020/用量を含有するmTdapブーストワクチンは、百日咳抗原のプールで再刺激したときIL-17分泌細胞頻度をフルオロスポットアッセイにおいて陽性カットオフより上に増加させた(図13B)。
【0175】
一般に、MSDにより測定されたサイトカイン分泌プロファイルは、フルオロスポットにより測定されたサイトカイン分泌細胞頻度と一致した(データを示さない)。E6020を含有するmTdap製剤は、用量効果様式でIL-17分泌を誘導し、最高効果は0.5μg~4μg/用量で達成された。
【実施例6】
【0176】
熱安定性
Prometheus NT.48システム(Nano Temper Technologies、Munich、Germany)を使用してnanoDSFを行った。nanoDSFは、自家蛍光を使用して、局所環境の変化によるタンパク質中の芳香族残基(フルオロフォア)の変化を評価する。タンパク質が折り畳まれていないことを示す自家蛍光の変化を用いて、蛍光発光のシフトおよび強度変化をモニターする。タンパク質の半分が折り畳まれていないポイントを示す融解温度(Tm)を使用して、タンパク質の熱安定性を特徴付ける。nanoDSF法では、これは、330nmおよび350nmで記録される蛍光の比を使用することにより決定される。この比は、単一波長の使用と比較してTmを検出する感度がより高いことが示されている。試料を、さらなる準備を一切せずに毛細管に充填し、100%出力を用いて285nmで励起させた。2℃/分の走査速度で20から95℃まで温度プロファイルを記録した。
【0177】
異なるワクチン製剤の三次構造および熱安定性をnanoDSFにより評定して、異なるアジュバントを用いてワクチンを製剤化したときに立体構造の何らかの差が検出され得るかどうかを評定することができる。全てのワクチン製剤について、1つの温度遷移が検出された。図14。mTdapワクチン(gdPT)がAlOOHに吸着されていた場合(mTdap-AlOOH)、そのmTdapワクチンは、74.6℃の温度遷移を有した。同様に、mTdap-AlOOH製剤がE6020を含有する場合(mTdap E6020-AlOOH)、温度遷移は、74.2℃であった。mTdap-AlOOH製剤がCpGを含有する場合(mTdap CpG-AlOOH)、温度遷移の小規模な増加があり、この場合、77.0℃で検出された。
【0178】
1つまたはそれ以上の例示的実施形態を本明細書で説明したが、後続の特許請求の範囲により定義される発明概念の趣旨および範囲から逸脱することなく、そのような実施形態に、形態および詳細の様々な変更を加えることができることは、当業者には理解されるであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図6-3】
図6-4】
図6-5】
図6-6】
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
【配列表】
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