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特許7605746カルボキシメチルセルロース粒子の製造方法、前記方法によって製造されたカルボキシメチルセルロース粒子及びそれを含む吸収性物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】カルボキシメチルセルロース粒子の製造方法、前記方法によって製造されたカルボキシメチルセルロース粒子及びそれを含む吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   C08B 11/12 20060101AFI20241217BHJP
   C08B 1/08 20060101ALI20241217BHJP
   C08B 15/10 20060101ALI20241217BHJP
   A61F 13/53 20060101ALI20241217BHJP
   A61L 15/28 20060101ALI20241217BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20241217BHJP
   C08J 3/24 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
C08B11/12
C08B1/08
C08B15/10
A61F13/53 300
A61L15/28 200
C08J3/12 A CEP
C08J3/24 Z
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021552666
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 KR2020003085
(87)【国際公開番号】W WO2020180117
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0024793
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0024794
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508130188
【氏名又は名称】ロッテ精密化學株式会社
【氏名又は名称原語表記】LOTTE Fine Chemical Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】19,Yeocheon-ro 217beon-gil,Nam-gu,Ulsan,44714,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ス ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒ ス
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン ヨプ
【審査官】岩田 行剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-178099(JP,A)
【文献】特表2008-503600(JP,A)
【文献】特開2005-263858(JP,A)
【文献】特開2016-052973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08B 1/-15/
A61F 13/
A61L 15/
C08J 3/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)セルロース原料をアルカリ化剤と反応させてアルカリ化セルロースを得る段階;
(2)前記アルカリ化セルロースをカルボキシメチル化剤と反応させてカルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose)を得る段階;
(3)前記カルボキシメチルセルロースをコア架橋剤と反応させてスラリー状態のカルボキシメチルセルロース架橋体を得る1次架橋段階;
(4)前記スラリー状態のカルボキシメチルセルロース架橋体を濾過した後、洗浄及び脱水する段階;
(5)前記(4)段階を経たカルボキシメチルセルロース架橋体を表面架橋剤と反応させてコア-シェル構造を有するカルボキシメチルセルロースを得る2次架橋段階;及び
(6)前記コア-シェル構造を有するカルボキシメチルセルロースを乾燥及び粉砕してコア-シェル構造を有するカルボキシメチルセルロース粒子を得る段階;を含み、
前記(5)段階は、前記(4)段階を経たカルボキシメチルセルロース架橋体に、前記表面架橋剤を有機溶媒に溶解させた表面架橋剤溶液及び水を投入して前記カルボキシメチルセルロース架橋体を表面架橋すると同時にゲル化させてコア-シェル構造を有するゲル相のカルボキシメチルセルロースを得る2次架橋段階であることを特徴とする、カルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項2】
前記セルロース原料は、原綿(raw cotton)、リンター(linter)及び木材(wood)からなる群より選択された1種以上のパルプ類を0.15mm以上0.5mm以下の長さで切断して準備したものであることを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項3】
前記(2)段階は、(2-1)40℃以上55℃以下で90分以上150分以下の間行われる1次カルボキシメチル化反応段階;及び(2-2)65℃以上75℃以下で30分以上90分以下の間行われる2次カルボキシメチル化反応段階;を含むことを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項4】
前記(2)段階によって製造されたカルボキシメチルセルロースのカルボキシメチル基の置換度(DS)は、0.7以上2.0以下であり、前記カルボキシメチルセルロースの重合度(DP)は、800以上4,000以下であることを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項5】
前記(3)段階を経る前に、(2.5)前記(2)段階によって得られたカルボキシメチルセルロースを中和させる段階をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項6】
前記コア架橋剤は、エポキシ化合物及び多価アルコールからなる群より選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項7】
前記コア架橋剤の含量は、前記セルロース原料100重量部を基準として0.1重量部以上40重量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項8】
前記(3)段階は、65℃以上75℃以下で30分以上90分以下の間100rpm以上300rpm以下の速度で撹拌しながら行われることを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項9】
前記(4)段階で、洗浄には、水及び親水性揮発性有機溶媒からなる群より選択された1種以上が用いられることを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項10】
前記表面架橋剤は、多価エポキシ化合物及び多価アルコールからなる群より選択された1
種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製
造方法。
【請求項11】
前記表面架橋剤の含量は、前記(4)段階を経たカルボキシメチルセルロース架橋体100重量部を基準として0.1重量部以上40重量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項12】
前記有機溶媒は、水より沸点が低い親水性揮発性有機溶媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項13】
前記有機溶媒は、水より沸点が低いアルコール類を含むことを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項14】
前記(5)段階で投入される前記有機溶媒の含量は、水100重量部を基準として200重量部以上2,000重量部以下であることを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項15】
前記(5)段階は、「有機溶媒の沸点」又は「水と有機溶媒の共沸点」以上100℃以下の温度に昇温しながら、120分以上360分以下の間100rpm以上300rpm以下の速度で撹拌する過程を含むことを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項16】
前記(6)段階によって得られたカルボキシメチルセルロース粒子の容積密度が0.5g/ml以上0.9g/ml以下であることを特徴とする、請求項1に記載のカルボキシメチルセルロース粒子の製造方法。
【請求項17】
請求項1~請求項16のうちいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたことを特徴とする、カルボキシメチルセルロース粒子。
【請求項18】
前記カルボキシメチルセルロース粒子の下記計算式によって得られる血液吸収能は、130mg以上155mg以下であることを特徴とする、請求項17に記載のカルボキシメチルセルロース粒子:
計算式1
血液吸収能(mg)=W-W
前記計算式1で、Wは、ペトリ皿の重さであり、Wは、1.0gのカルボキシメチルセルロース粒子を前記ペトリ皿に均一に入れた後、血液0.1mlを前記カルボキシメチルセルロース粒子の入っている皿の中央に一滴ずつ連続的に落として2時間の間室温で前記血液を凝固させた後、前記血液に触れなかったきれいな状態のカルボキシメチルセルロース粒子を全て振り落として測定したペトリ皿の重さである。
【請求項19】
請求項1~請求項16のうちいずれか一項に記載の製造方法によって製造されたカルボキシメチルセルロース粒子を含むことを特徴とする、吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシメチルセルロース(Carboxymethyl Cellulose、以下「CMC」という)粒子の製造方法、前記方法によって製造されたCMC粒子及びそれを含む吸収性物品に関し、より詳しくは、コア架橋反応段階を経たCMC架橋体を表面架橋剤と反応させてコア-シェル構造を有するCMCを得る段階を含むCMC粒子の製造方法、前記方法によって製造されたCMC粒子及びそれを含む吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
高吸収性樹脂(Superabsorbent Polymer、以下「SAP」という)は、自分の重量に比べて数十倍乃至数千倍の水を吸収できる機能性素材であって、子供用オムツ、女性生理用ナプキンや大人用尿失禁製品などの衛生用品、排便パッドなどの愛犬用品、医療用吸収剤、土木建築用止水材、育苗用シート及び食品流通分野での新鮮度維持剤などのような吸収性物品の材料として広く用いられている。
【0003】
前記SAPは、主に使い捨てで用いられるので、製造が容易で、且つ単価が低価である必要があり、水性液体を含む基質から水分を吸い込む吸入力、通液性、膨潤したゲルの強度などの物性が重視される。
【0004】
従来には、このようなSAPとしてアクリル系吸収性樹脂が高い吸収性及び低価の工程コストにより一般的に用いられてきた。しかし、アクリル系吸収性樹脂は、石油産業から得られる物質であって、残留モノマーにより毒性を帯び得るため、オムツや衛生用品などに適用する際に、長期間接触した身体部位に紅斑や掻痒症を誘発し得るという短所がある。そこで、天然植物性物質であるセルロースから誘導されたCMCを高吸収性粒子に製造して吸収性製品に適用する方案に対する研究が進行されてきた。
【0005】
このような従来の方法として、特許文献1(大韓民国公開特許公報第2001-0105311号)は、(a)CMCなどのような酸性基を含有する一つ以上のポリサッカライドを架橋剤で架橋結合させてゲルを生成させる段階、(b)必要な場合、ポリサッカライドのpHを3.5~5.5の数値に調整する段階、(c)酸性化されたポリサッカライドゲルを粉砕する段階、及び(d)粉砕されたポリサッカライドを高温で乾燥させる段階を含む高吸収性ポリサッカライド誘導体の製造方法に対して記載している。
【0006】
前記特許文献1は、前記高吸収性ポリサッカライド誘導体が多様な塩及び非イオン性物質を含有する体液からなる液体を吸収するのに用いられ得、オムツ、衛生ナプキンなどのような吸収性衛生物品の製造に特に適合すると記載している。実質的に、前記高吸収性ポリサッカライド誘導体は、小便吸収用オムツに用いられる吸収性素材として主に用いられている。しかし、血液に対する吸収性が相対的に落ちるため血液吸収用女性用品に適用するには困難がある。これは、小便と経血の物性が非常に異なるためである。具体的に、経血には、水、塩、タンパク質、細胞などが含まれているので、小便に比べて高粘度であり、拡散速度が非常に遅い。また、血液に含まれた大きい細胞塊などは、前記高吸収性ポリサッカライド誘導体のような既存のSAPに吸収されず表面に膜を形成して血液が吸収されることを妨害する。
【0007】
このような問題を解決するための方法として、特許文献2(日本公開特許公報第2005-263858)は、(i)多価金属イオン及び界面活性剤を含む水溶液を提供する工程、(ii)前記水溶液にセルロース誘導体及び/又はアルギン酸あるいはその塩を添加した後、架橋させると同時に膨潤、水和させてゲル化する工程、(iii)前記(ii)工程によって得られた架橋体のゲルを親水性揮発性溶媒と接触させて脱水する工程及び(iv)乾燥する工程を含む吸収材の製造方法に対して記載している。このとき、前記吸収材の製造方法は、前記(iii)工程又は(iv)工程によって得られた固形物を表面架橋剤で処理する工程をさらに含む。
【0008】
前記特許文献2の実施例を参考にすると、前記セルロース誘導体及び/又はアルギン酸あるいはその塩としてCMC粉末を用い、前記(i)工程によって提供された水溶液にCMC粉末を投入して膨潤、架橋させて架橋ゲルを得る。しかし、前記方法によると、架橋ゲルを得る(ii)工程の初期にCMC粉末が急激に水を吸収して膨潤しながら高い粘度を有することになり、これによって、不均一な架橋反応が起きることがある。そして、女性生理用ナプキンや大人用尿失禁製品などに適用時の着用感を考慮したとき、相変らず吸収材の血液吸収能及び保水能の改善が必要な実情である。これ以外に、加圧下で生理食塩水が吸収される程度を測定する加圧吸収能の場合も着用感に影響を及ぼし得る要因であるので、これに対する改善も要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】KR1020010105311 A
【文献】JP2005263858 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するためのもので、コア架橋反応段階を経たCMC架橋体を表面架橋剤と反応させてコア-シェル構造を有するCMCを得る段階を含むことによって、血液吸収能、遠心分離保水能(Centrifuge Retention Capacity、CRC)及び加圧吸収能(Absorbency Under Load、AUL)に優れたCMC粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の他の目的は、前記方法によって製造されたCMC粒子及びそれを含む吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施状態は、(1)セルロース原料をアルカリ化剤と反応させてアルカリ化セルロースを得る段階;(2)前記アルカリ化セルロースをカルボキシメチル化剤と反応させてCMCを得る段階;(3)前記CMCをコア架橋剤と反応させてスラリー状態のCMC架橋体を得る1次架橋段階;(4)前記スラリー状態のCMC架橋体を濾過した後、洗浄及び脱水する段階;(5)前記(4)段階を経たCMC架橋体を表面架橋剤と反応させてコア-シェル構造を有するCMCを得る2次架橋段階;及び(6)前記コア-シェル構造を有するCMCを乾燥及び粉砕してコア-シェル構造を有するCMC粒子を得る段階;を含むCMC粒子の製造方法を提供する。
【0013】
本発明の他の実施状態は、前記製造方法によって製造されたCMC粒子を提供する。
【0014】
本発明の他の実施状態は、前記製造方法によって製造されたCMC粒子を含む吸収性物品を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、コア架橋反応段階を経たCMC架橋体を表面架橋剤と反応させてコア-シェル構造を有するCMCを得る段階を含むことによって、高吸収性を有する改質されたCMC粒子が製造され得る。
【0016】
このように製造されたCMC粒子は、表面架橋により優れたゲル強度及びAULを有することができ、2次架橋段階を通じて得られる容積密度の向上によって優れた血液吸収能を示すことができる。さらに、本発明によると、苛酷な条件下で測定される保水能、例えば、遠心分離後に測定される生理食塩水の保水量を示すCRCに優れたCMC粒子を提供することができる。したがって、本発明によるCMC粒子は、血液吸収用女性用品に好ましく用いられ得る。
【0017】
また、本発明によると、コア架橋過程中にCMCのゲル化が進行されないので、この過程で引き起こされる高い粘度による不均一な架橋問題が解消され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施例1によって製造されたCMC粒子に血液を適用した写真である。
図2図2は、前記図1のペトリ皿から血液に触れなかったCMC粒子を振り落とした後の写真である。
図3図3は、実施例8によって製造されたCMC粒子に血液を適用した写真である。
図4図4は、前記図3のペトリ皿から血液に触れなかったCMC粒子を振り落とした後の写真である。
図5図5は、CMC粒子のAUL測定のための装置である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に対して詳しく説明する。
【0020】
本明細書で、ある部分がある構成要素を「含む」という際、これは特に反対する記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0021】
本明細書で用語「コア架橋」は、CMCと架橋剤の反応によって前記CMC主鎖に形成される架橋を意味し、このときに用いられる架橋剤を「コア架橋剤」といい、前記CMCとコア架橋剤との反応を「コア架橋反応」という。
【0022】
本明細書で用語「表面架橋(又はシェル架橋)」は、コア架橋を有するCMC架橋体と架橋剤の反応によって前記CMC架橋体の表面に形成される架橋を意味し、このときに用いられる架橋剤を「表面架橋剤(又はシェル架橋剤)」といい、前記CMC架橋体と表面架橋剤との反応を「表面架橋反応」という。
【0023】
本発明の一実施状態は、(1)セルロース原料をアルカリ化剤と反応させてアルカリ化セルロースを得る段階;(2)前記アルカリ化セルロースをカルボキシメチル化剤と反応させてCMCを得る段階;(3)前記CMCをコア架橋剤と反応させてスラリー状態のCMC架橋体を得る1次架橋段階;(4)前記スラリー状態のCMC架橋体を濾過した後、洗浄及び脱水する段階;(5)前記(4)段階を経たCMC架橋体を表面架橋剤と反応させてコア-シェル構造を有するCMCを得る2次架橋段階;及び(6)前記コア-シェル構造を有するCMCを乾燥及び粉砕してコア-シェル構造を有するCMC粒子を得る段階;を含むCMC粒子の製造方法を提供する。
【0024】
以下、本発明によるCMC粒子の製造方法に対して段階別に詳しく説明する。
【0025】
(1)アルカリ化セルロースを得る段階(アルカリ化反応段階)
【0026】
この段階は、セルロース原料をアルカリ化剤と反応させてアルカリ化セルロースを得る段階である。
【0027】
前記セルロース原料としては、この分野で一般的に用いられる通常的なパルプ類が長さに制限なしに使用が可能であるが、具体的に、1μm以上8mm未満のパルプ類が用いられ得、より具体的に、0.15mm以上0.5mm以下のパルプ類が用いられ得る。さらに具体的に、前記セルロース原料は、原綿(raw cotton)、リンター(linter)及び木材(wood)からなる群より選択された1種以上のパルプ類を0.15mm以上0.5mm以下の長さで切断して準備したものであってもよい。このように切断されたセルロース原料を用いる場合、セルロース原料と撹拌機のもつれが減り、微細パルプによる塊(Lump)発生が抑制されて均一な反応が可能となり、作業時間が減少し得、作業性及び流動性の確保によって生産性が向上し得る。これによって、切断過程を経なかったセルロース原料を用いた場合に比べて30%以上の製造原価の節減が可能である。
【0028】
前記アルカリ化セルロースを得る段階は、この分野で一般的に用いられる通常的な方法が用いられ得る。例えば、反応器にセルロース原料及び反応溶媒を投入した後、ここに、アルカリ化剤を投入し、20℃以上30℃以下の温度で90分以上150分以下の時間の間100rpm以上200rpm以下の速度で撹拌しながら反応させてセルロースをアルカリ化セルロースに転換させる方法が用いられ得る。
【0029】
前記反応溶媒は、水、アセトン(acetone)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、tert-ブチルアルコール(tert-butyl alcohol)及びジメチルエーテル(dimethyl ether)からなる群より選択された1種以上を含むことができる。このとき、前記反応溶媒の使用量は、前記セルロース原料100重量部に対して50重量部以上2,000重量部以下であってもよい。
【0030】
前記アルカリ化剤は、アルカリ金属水酸化物(alkali metal hydroxide)を含むことができる。例えば、前記アルカリ化剤は、水酸化ナトリウム(sodium hydroxide)、水酸化カリウム(potassium hydroxide)及び水酸化リチウム(lithium hydroxide)からなる群より選択された1種以上を含むことができ、水溶液状態で用いられ得る。前記アルカリ化剤の投入量は、前記セルロース原料100重量部に対して5重量部以上600重量部以下であってもよい。前記アルカリ化剤の投入量が前記範囲以内であると、後述する(2)段階でカルボキシメチル基が前記セルロース全体に均一に置換され得、カルボキシメチル化剤の反応性が増加して所望する置換度のCMCを得ることができる。
【0031】
前記アルカリ化剤を投入する目的は、セルロースの結晶構造を弱化させることで後述するカルボキシメチル化剤と前記セルロースが容易に反応できるようにするためである。すなわち、前記アルカリ化剤は、前記セルロースと前記カルボキシメチル化剤の反応を促進する役目を行う。このようにアルカリ化されたセルロースは、常温(20℃~30℃)状態で一定時間撹拌されるとその結晶構造が均一に弱化され得る。
【0032】
(2)CMCを得る段階(カルボキシメチル化反応段階)
【0033】
この段階は、前記(1)段階によって得られたアルカリ化セルロースをカルボキシメチル化剤と反応させてCMCを得る段階である。
【0034】
前記CMCを得る段階は、この分野で一般的に用いられる通常的な方法が用いられ得、 例えば、前記(1)段階によって得られたアルカリ化セルロースが入っている反応器にカルボキシメチル化剤を投入した後に昇温して反応させる方法が用いられ得る。
【0035】
本発明の一実施状態によると、前記(2)段階は、(2-1)40℃以上55℃以下で90分以上150分以下の間行われる1次カルボキシメチル化反応段階;及び(2-2)65℃以上75℃以下で30分以上90分以下の間行われる2次カルボキシメチル化反応段階;を含むことができる。
【0036】
具体的に、前記カルボキシメチル化剤は、クロロ酢酸(chloroacetic acid)、クロロ酢酸ナトリウム(chloroacetic acid sodium salt)及びこれらの混合物から選択されたいずれか一つを含むことができ、反応溶媒に溶解された混合溶液の形態で用いられ得る。このとき、前記反応溶媒は、水、アセトン(acetone)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、tert-ブチルアルコール(tert-butyl alcohol)及びジメチルエーテル(dimethyl ether)からなる群より選択された1種以上を含むことができる。
【0037】
本発明の一実施状態によると、前記(2)段階によって製造されたCMCのカルボキシメチル基の置換度(DS)は、0.7以上2.0以下であってもよく、前記CMCの重合度(DP)は、800以上4,000以下であってもよい。本明細書で、カルボキシメチル基の置換度(DS)は、セルロース分子中の無水グルコース単位当たりカルボキシメチル基に置換された水酸基の平均個数を意味するものであって、前記カルボキシメチル基の置換度(DS)が前記範囲に含まれる場合、均一な反応ができるので好ましい。また、前記CMCの重合度は、CMCの粘度に影響を与える因子であって、重合度が前記範囲に含まれる場合、優れた容積密度を有するCMC粒子を製造することができるので好ましい。
【0038】
本発明の一実施状態によると、後述する(3)段階を経る前に、(2.5)前記(2)段階によって得られたCMCを中和させる段階をさらに含むことができる。前記中和段階は、この分野で一般的に用いられる通常的な方法によって進行され得、例えば、CMCに中和剤を投入して中和させる。ここで、中和剤としては、全ての酸化剤が使用可能であり、例えば、硝酸、酢酸、塩酸などが主に用いられ、これらは、40重量%以上99重量%以下の濃度に希釈された水溶液状態で用いられ得る。
【0039】
(3)1次架橋段階(コア架橋反応段階)
【0040】
この段階は、前記(2)段階によって得られたCMCをコア架橋剤と反応させてスラリー状態のCMC架橋体を得る段階である。ここで、スラリー状態とは、高濃度の懸濁物質(CMC架橋体)を含有した流動性が少ない液体状態を意味するもので、この段階でゲル化は進行されない。
【0041】
前記(1)~(3)段階は、連続的又は非連続的に行われ得る。例えば、前記(1)~(3)段階が同一の反応器で連続的に行われる場合、前記(2)段階を経た反応器内にはカルボキシメチル化反応が完了したか又は進行中のCMCが存在し得、ここに、コア架橋剤が投入されて連続的にコア架橋反応が行われ得る。すなわち、本発明によると、前記(2)段階(カルボキシメチル化反応段階)以後に別途の乾燥又は粉砕過程なしに湿式(wet type)CMCが入っている前記反応器の内部にコア架橋剤が投入され、湿式状態そのままのCMCがコア架橋反応に参与してCMC架橋体を形成することができる。前記湿式CMCとコア架橋剤の反応を通じて前記CMCの主鎖(backbone)にコア架橋が形成され、これによって、スラリー状態のCMC架橋体を得ることができる。
【0042】
一方、前記(1)~(3)段階が非連続的に行われる場合、前記(2)段階以後に乾燥及び粉砕過程を経ることができ、このような過程を経た乾式状態(dry type)のCMC及びコア架橋剤、そして反応溶媒が反応器に投入され得る。その後、反応器内でCMCとコア架橋剤の反応を通じて前記CMCの主鎖(backbone)にコア架橋が形成され、これによって、スラリー状態のCMC架橋体を得ることができる。
【0043】
このとき、前記(1)~(3)段階が同一の反応器で連続的に行われる場合のほうが非連続的に行われる場合に比べて工程が単純で且つ経済的なので好ましい。このようにコア架橋が適用されたCMCは、0.9%塩水に対する分散性及び吸収性を確保することができる。
【0044】
本発明の一実施状態によると、前記コア架橋剤は、エポキシ化合物及び多価アルコールからなる群より選択された1種以上を含むことができる。具体的に、前記エポキシ化合物の例としては、エピクロロヒドリン(epichlorohydrin)、グリセロールジグリシジルエーテル(glycerol diglycidyl ether)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(polyethylene glycol diglycidyl ether)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(diethylene glycol diglycidyl ether)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethylene glycol diglycidyl ether)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(polypropylene glycol diglycidyl ether)、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(tripropylene glycol diglycidyl ether)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(propylene glycol diglycidyl ether)、グリシドール(glycidol)などが挙げられ、前記多価アルコールの例としては、グリセリン(glycerin)、グリセロール(glycerol)、エチレングリコール(ethylene glycol)、ジエチレングリコール(diethylene glycol)、トリエチレングリコール(triethylene glycol)、テトラエチレングリコール(tetraethylene glycol)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、ジプロピレングリコール(dipropylene glycol)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol)などが挙げられる。
【0045】
本発明の一実施状態によると、コア架橋剤の含量は、前記セルロース原料100重量部を基準として0.1重量部以上40重量部以下であってもよい。前記コア架橋剤の含量が前記範囲に含まれる場合、コア架橋反応効率に優れて適当なコア架橋密度を示すので、最終的に提供されるCMC粒子の遠心分離保水能(Centrifuge Retention Capacity、CRC)が向上され得る。
【0046】
本発明の一実施状態によると、前記(3)段階は、65℃以上75℃以下で30分以上90分以下の間100rpm以上300rpm以下の速度で撹拌しながら行われ得る。前記反応温度、反応時間及び撹拌速度が前記範囲に含まれる場合、ゲル化は進行されないと共にコア架橋が進行され得、さらに、投入されるエネルギーに比べて架橋反応効率が高いため経済的である。これ以外にも、前記(3)段階は、6以上8以下のpH条件下で行われ得、この場合、架橋反応の制御が容易であり、架橋反応効率が向上され得る。
【0047】
(4)濾過、洗浄及び脱水段階
【0048】
この段階は、前記(3)段階によって得られたスラリー状態のCMC架橋体を濾過した後、洗浄及び脱水する段階である。
【0049】
具体的に、前記(3)段階によって得られたスラリー状態のCMC架橋体は、反応器から吐出された後、通常の公知された濾過方法によって濾過され得る。例えば、前記濾過には、篩濾過、吸引濾過、限外濾過、フィルタープレスなどが用いられ得、具体的に、吸引濾過が用いられ得るが、これに限定されない。
【0050】
本発明の一実施状態によると、前記(4)段階で洗浄には、水及び親水性揮発性有機溶媒からなる群より選択された1種以上が用いられ得、具体的に、親水性揮発性有機溶媒が含まれた水溶液が用いられ得る。前記親水性揮発性有機溶媒は特に制限されないが、具体的な例として、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、ノルマルプロピルアルコール(n-propyl alcohol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、ノルマルブチルアルコール(n-butyl alcohol)、イソブチルアルコール(isobutyl alcohol)、tert-ブチルアルコール(tert-butyl alcohol)などの低級アルコール類;アセトン(acetone)、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)などのケトン類;1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)などのアミド類;ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)などのスルホキシ化物;などが挙げられ、より具体的に、メタノール、エタノール又はイソプロピルアルコールが用いられ得る。前記洗浄過程を経ると、不純物が除去されて純度99%以上のCMC架橋体を得ることができる。
【0051】
(5)2次架橋段階(表面架橋反応段階)
【0052】
この段階は、前記(4)段階を経たCMC架橋体を表面架橋剤と反応させてコア-シェル構造を有するCMCを得る段階である。
【0053】
本発明の一実施状態によると、前記表面架橋剤は、多価エポキシ化合物及び多価アルコールからなる群より選択された1種以上を含むことができる。具体的に、前記エポキシ化合物の例としては、エピクロロヒドリン(epichlorohydrin)、グリセロールジグリシジルエーテル(glycerol diglycidyl ether)、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(polyethylene glycol diglycidyl ether)、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル(diethylene glycol diglycidyl ether)、エチレングリコールジグリシジルエーテル(ethylene glycol diglycidyl ether)、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(polypropylene glycol diglycidyl ether)、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(tripropylene glycol diglycidyl ether)、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(propylene glycol diglycidyl ether)、グリシドール(glycidol)などが挙げられ、前記多価アルコールの例としては、グリセリン(glycerin)、グリセロール(glycerol)、エチレングリコール(ethylene glycol)、ジエチレングリコール(diethylene glycol)、トリエチレングリコール(triethylene glycol)、テトラエチレングリコール(tetraethylene glycol)、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol)、プロピレングリコール(propylene glycol)、ジプロピレングリコール(dipropylene glycol)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol)などが挙げられる。
【0054】
本発明の一実施状態によると、前記表面架橋剤の含量は、前記(4)段階を経たCMC架橋体100重量部を基準として0.1重量部以上40重量部以下であってもよい。前記表面架橋剤の含量が前記範囲に含まれる場合、表面架橋反応効率に優れて良好な加圧吸収能を有するCMC粒子を提供することができる。
【0055】
一方、本発明によるCMC粒子の製造方法で、前記(5)段階では、下記の二つの方法のうち選択された一つの方法が用いられ得る。
【0056】
一番目の方法として、前記(5)段階は、前記(4)段階を経たCMC架橋体を前記表面架橋剤及び発泡剤と反応させてコア-シェル構造を有する多孔性CMCを得る2次架橋段階であってもよい。このとき、前記発泡剤及び表面架橋剤は、溶液状態で前記CMC架橋体と反応し得る。具体的に、前記(5)段階で、前記CMC架橋体に発泡剤溶液及び表面架橋剤溶液が投入されるか、又は発泡剤溶液と表面架橋剤溶液を混合した混合溶液が投入され得る。
【0057】
本発明の一実施状態によると、前記発泡剤は、カーボネート化合物を含むことができ、具体的に、炭酸マグネシウム(magnesium carbonate)、炭酸カルシウム(calcium carbonate)、炭酸水素ナトリウム(sodium bicarbonate)及び炭酸水素カリウム(potassium bicarbonate)からなる群より選択された1種以上のカーボネート化合物を含むことができる。前記発泡剤は、水溶性化合物として水溶液状態で投入され得る。
【0058】
本発明の一実施状態によると、前記発泡剤の含量は、前記(4)段階を経たCMC架橋体100重量部を基準として0.03重量部以上20重量部以下であってもよく、具体的に、0.3重量部以上15重量部以下であってもよい。前記発泡剤の含量が前記範囲に含まれる場合、容積密度の向上を通じて優れた血液吸収能を有するCMC粒子を提供することができる。
【0059】
また、前記一番目の方法で、前記表面架橋剤溶液は、溶媒として親水性揮発性有機溶媒を含むことができる。前記親水性揮発性有機溶媒の例としては、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、ノルマルプロピルアルコール(n-propyl alcohol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、ノルマルブチルアルコール(n-butyl alcohol)、イソブチルアルコール(isobutyl alcohol)、tert-ブチルアルコール(tert-butyl alcohol)などの低級アルコール類;アセトン(acetone)、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)などのケトン類;1,4-ジオキサン(1,4-dioxane)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド(N,N-dimethylformamide)などのアミド類;ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide)などのスルホキシ化物;などが挙げられ、具体的に、アルコール類であってもよく、より具体的に、メタノール、エタノール又はイソプロピルアルコールであってもよい。
【0060】
本発明の一実施状態によると、前記一番目の方法で、前記(5)段階は、50℃以上90℃以下で120分以上270分以下の間100rpm以上300rpm以下の速度で撹拌しながら行われ得る。前記(5)段階が前記反応条件で行われる場合、前記CMC架橋体、発泡剤及び表面架橋剤が均一に分布されて表面架橋効率が向上され得る。
【0061】
二番目の方法として、前記(5)段階は、前記(4)段階を経たカルボキシメチルセルロース架橋体に、前記表面架橋剤を有機溶媒に溶解させた表面架橋剤溶液及び水を投入して前記カルボキシメチルセルロース架橋体を表面架橋すると同時にゲル化させて、コア-シェル構造を有するゲル相のカルボキシメチルセルロースを得る2次架橋段階であってもよい。
【0062】
本発明の一実施状態によると、前記二番目の方法で、前記有機溶媒は、水より沸点が低い親水性揮発性有機溶媒を含むことができ、具体的に、水より沸点が低いアルコール類を含むことができる。前記水より沸点が低い親水性揮発性有機溶媒の例としては、メタノール(methanol)、エタノール(ethanol)、ノルマルプロピルアルコール(n-propyl alcohol)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、tert-ブチルアルコール(tert-butyl alcohol)などの低級アルコール類;アセトン(acetone)などのケトン類;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル類;などが挙げられ、前記水より沸点が低いアルコール類の例としては、メタノール、エタノール又はイソプロピルアルコールなどが挙げられる。
【0063】
本発明の一実施状態によると、前記二番目の方法で、前記(5)段階で投入される有機溶媒の含量は、水100重量部を基準として200重量部以上2,000重量部以下であってもよい。前記(5)段階(表面架橋反応段階)では、水と有機溶媒の相対量が非常に重要である。具体的に、表面架橋反応段階の初期に水量に比べて有機溶媒量が相対的に多い場合、CMC膨潤による急激な粘度上昇が抑制され得、これによって、均一な表面架橋が行われ得る。その後、昇温しながら表面架橋反応が進行されるにしたがって揮発により有機溶媒量が水量より相対的に少なくなり得、それによって、前記コア架橋を有するCMC架橋体の表面架橋反応が進行されると同時にCMC架橋体が水で膨潤及び水和されゲル化され得る。
【0064】
本発明の一実施状態によると、前記二番目の方法で、前記(5)段階は、「有機溶媒の沸点」又は「水と有機溶媒の共沸点」以上100℃以下の温度に昇温しながら、120分以上360分以下の間100rpm以上300rpm以下の速度で撹拌する過程を含むことができる。前記(5)段階が前記反応条件で行われる場合、反応後期に進行するにしたがって水より沸点が低い有機溶媒が先に揮発され得る。このような昇温過程で行われる有機溶媒と水の溶液バランス変化に従って均一な表面架橋反応が進行されると同時にゲル化が行われ得る。一例で、有機溶媒としてエタノールを用いる場合、水とエタノールの共沸点(78.1℃)未満では溶液バランスが「有機溶媒量>水量」となり、徐徐に前記共沸点より高い温度に昇温すると「水量>有機溶媒量」に変化し得る。すなわち、前記昇温過程の初期(有機溶媒量>水量)には、均一な表面架橋反応が主に行われ、昇温によって溶液バランスが変化すると(水量>有機溶媒量)、次第に表面架橋反応とともにゲル化が進行され得、これによって、均一な表面架橋反応を進行しながらもゲル化が円滑に進行されて、優れたコア-シェル構造を有するCMCが得られる。一方、有機溶媒なしに水の単独存在下でCMCを架橋すると同時にゲル化すると、反応初期CMCの急激な膨潤によって粘度が上昇することになり、これによって、不均一な架橋反応が行われ得る。
【0065】
(6)CMC粒子を得る段階
【0066】
この段階は、(5)段階によって得られたコア-シェル構造を有するCMCを乾燥及び粉砕してコア-シェル構造を有するCMC粒子を得る段階である。このとき、前記コア-シェル構造を有するCMCは、脱水工程を経た後に乾燥及び粉砕され得る。
【0067】
前記乾燥には、通常の公知された乾燥方式が制限なしに用いられ得、例えば、自然乾燥、熱風乾燥又は高温乾燥方式などが用いられ得る。
【0068】
また、前記粉砕は、通常の公知された粉砕機を用いて行われ得、例えば、カッティングミル(cutting mill)、ハンマーミル(hammer mill)、ピンミル(pin mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)又はディスクミル(disc mill)などが用いられ得る。
【0069】
本発明の一実施状態によると、前記(6)段階によって得られたコア-シェル構造を有するCMC粒子の容積密度が0.5g/ml以上0.9g/ml以下であってもよく、この場合、血液吸収能及び分散性に優れた粒子が提供され得る。特に、前記容積密度が前記範囲に含まれる場合、前記CMC粒子を含む吸収性物品に液体が吸収されるとき、前記粒子が吸収性物品の上層部に浮び上がることによって発生するゲルブロッキング現象や前記粒子が吸収性物品の下層部に密集することによって発生する初期吸収性の低下問題が解消され得る。
【0070】
本発明によるCMC粒子の製造方法は、前記(6)段階によって得られたコア-シェル構造を有する多孔性CMC粒子をふるい分け(sieving)して150μm以上850μm以下の粒子を収得する分級段階をさらに含むことができる。前記CMC粒子のサイズが前記範囲に含まれる場合、粒子のサイズが小さいため発生する分散性の低下によるゲルブロッキング現象及び粒子のサイズが大きいため発生する過度な通液性による吸収性の低下問題が解消され得る。分散性と吸収性を同時に考慮したとき、前記CMC粒子のサイズは、250μm以上500μm以下であってもよい。
【0071】
本発明の他の実施状態は、前記製造方法によって製造されたCMC粒子及びそれを含む吸収性物品を提供する。
【0072】
本発明の一実施状態によると、前記CMC粒子の下記計算式によって得られる血液吸収能は、130mg以上155mg以下であってもよい。
【0073】
計算式1
血液吸収能(mg)=W-W
【0074】
前記計算式1で、Wは、ペトリ皿の重さであり、Wは、1.0gのCMC粒子を前記ペトリ皿に均一に入れた後、血液0.1mlを前記CMC粒子が入っている皿の中央に一滴ずつ連続的に落として2時間の間室温で前記血液を凝固させた後、前記血液に触れなかったきれいな状態のCMC粒子を全て振り落として測定したペトリ皿の重さである。
【0075】
このように、本発明によって製造されたCMC粒子は、優れたAUL、CRC及び血液吸収能を有するので、血液吸収用女性用品である女性生理用ナプキンに好ましく用いられ得る。また、これ以外にも使い捨てオムツ、大人用尿失禁製品などの衛生用品及び排便パッドなどの愛犬用品からなる群より選択される吸収性物品を製造することができ、医療用吸収剤、土木建築用止水材、育苗用シート及び食品流通分野での新鮮度維持剤などの材料としても多様に用いられ得る。
【実施例
【0076】
以下、実施例を通じて本発明に対してより詳しく説明するが、本発明がこのような実施例によって限定されるものではない。
【0077】
実施例1
まず、パルプ(Rayonier社製、Ethenier-F)を0.15mm以上0.5mm以下の長さで切断してセルロース原料を準備した。
【0078】
その後、圧力反応器(Lodige社製、Druvatherm series)に前記切断されたセルロース原料90gを投入し、反応溶媒である80重量%のイソプロピルアルコール水溶液1231gを投入した後、アルカリ化剤である50重量%の水酸化ナトリウム水溶液158gを投入し、25℃で120分間150rpmで撹拌しながら反応させてアルカリ化セルロースを得た。
【0079】
その後、前記反応器にカルボキシメチル化剤である45重量%のクロロ酢酸ナトリウム水溶液360gを投入してCMCを製造した。このとき、前記CMCは、前記反応器内のアルカリ化セルロースとカルボキシメチル化剤を50℃で120分間200rpmの速度で撹拌しながら反応させる1次カルボキシメチル化反応段階を経た後、70℃に昇温して60分間反応させる2次カルボキシメチル化反応段階を経て製造された。このように製造されたCMCのカルボキシメチル基の置換度(DS)は、1.0であり、重合度(DP)は、1,400であった。
【0080】
その後、CMCが入っている反応器にコア架橋剤であるグリセロールジグリシジルエーテル4gを投入し、70℃で60分間200rpmの速度で撹拌しながらコア架橋反応(1次架橋反応)を進行して、スラリー状態のCMC架橋体を製造した。このとき、前記CMC架橋体のゲル化は行われない。
【0081】
その後、前記反応器からスラリー状態のCMC架橋体を吐出して吸引濾過器(LKLabkorea社製、WJ-110)で濾過した後、70重量%のエタノール水溶液900gを投入して1次洗浄をし、80重量%のエタノール水溶液900gを投入して2次洗浄をした後に脱水した。
【0082】
その後、前記脱水過程を経たCMC架橋体30gを再び圧力反応器に移し、ここに、1重量%のポリエチレングリコールジグリシジルエーテル溶液(溶媒:エタノール)270g、炭酸水素ナトリウム(発泡剤)0.45gを水90gに溶解させた発泡剤水溶液90.45gを投入した後、反応器の内部温度を70℃まで昇温した後、70℃で180分間150rpmの速度で撹拌しながら表面架橋反応(2次架橋反応)を進行して、コア-シェル構造を有する多孔性CMCを製造した。
【0083】
その後、前記表面架橋反応が完了した後、コア-シェル構造を有する多孔性CMCを脱水し、70℃で360分間熱風乾燥した後、カッティングミル(Fritsch社製、pulverisette 19)で粉砕して、コア-シェル構造を有する多孔性CMC粒子(以下、「粒子1」という)を製造した。このとき、前記粒子1は、250μm以上500μm以下範囲の粒子サイズを有する。また、前記粒子1は、60mesh(250μm)の標準篩でふるい分けして250μm以上のサイズを有する粒子を収得した後、35mesh(500μm)の標準篩でふるい分けして500μmを超過するサイズの粒子は排除する方式で収得した。
【0084】
実施例2
前記炭酸水素ナトリウム(発泡剤)0.09gを水90gに溶解させた発泡剤水溶液90.09gを投入すること以外は、実施例1と同一の方法でコア-シェル構造を有するCMC粒子(以下、「粒子2」という)を製造した。
【0085】
実施例3
前記炭酸水素ナトリウム(発泡剤)0.27gを水90gに溶解させた発泡剤水溶液90.27gを投入すること以外は、実施例1と同一の方法でコア-シェル構造を有するCMC粒子(以下、「粒子3」という)を製造した。
【0086】
実施例4
前記炭酸水素ナトリウム(発泡剤)0.9gを水90gに溶解させた発泡剤水溶液90.9gを投入すること以外は、実施例1と同一の方法でコア-シェル構造を有するCMC 粒子(以下、「粒子4」という)を製造した。
【0087】
実施例5
前記炭酸水素ナトリウム(発泡剤)4.5gを水90gに溶解させた発泡剤水溶液94.5gを投入すること以外は、実施例1同一の方法でコア-シェル構造を有するCMC粒子(以下、「粒子5」という)を製造した。
【0088】
実施例6
前記表面架橋反応時間を240分に調節したこと以外は、実施例1と同一の方法でコア-シェル構造を有するCMC粒子(以下、「粒子6」という)を製造した。
【0089】
実施例7
前記2次カルボキシメチル化反応時間を80分に調節したこと以外は、実施例1と同一の方法でコア-シェル構造を有するCMC粒子(以下、「粒子7」という)を製造した。
【0090】
実施例8
前記実施例1によって反応器から吐出されたゲル化が行われなかったスラリー状態のCMC架橋体を前記実施例1と同一の方法で濾過、洗浄及び脱水した。
【0091】
その後、前記脱水過程を経たCMC架橋体30gを再び圧力反応器に移し、ここに、1重量%のポリエチレングリコールジグリシジルエーテル溶液(溶媒:エタノール)270g及び水90gを投入した後、反応器の内部温度を88℃に昇温しながら240分間150rpmの速度で撹拌して表面架橋反応(2次架橋反応)と同時にゲル化を進行して、コア-シェル構造を有するゲル相のCMCを製造した。このとき、前記表面架橋剤溶液の溶媒であるエタノールと水の共沸点は、78.1℃であり、前記共沸点未満では反応器内でエタノール量が水量より多く、前記共沸点以上に昇温すると、溶液バランスが変更されてエタノール量が水量より少なくなる。
【0092】
その後、前記表面架橋反応が完了した後、前記ゲル相のCMCを前記実施例1と同一の方法で脱水及び熱風乾燥して粉砕して、コア-シェル構造を有する250μm以上500μm以下サイズのCMC粒子(以下、「粒子8」という)を製造した。
【0093】
実施例9
表面架橋反応(2次架橋反応)において、反応器の内部温度を88℃に昇温しながら300分間150rpmの速度で撹拌して表面架橋反応(2次架橋反応)と同時にゲル化を進行して、コア-シェル構造を有するゲル相のCMCを製造したこと以外は、実施例8と同一の方法でコア-シェル構造を有するCMC粒子(以下、「粒子9」という)を製造した。
【0094】
実施例10
1次及び2次カルボキシメチル化反応段階を経てCMCを製造した後、コア架橋反応(1次架橋反応)を進行する前に、前記CMCが入っている反応器の温度を30℃に冷却し、ここに、35% HCl溶液60mlを徐徐に20分間滴下してpH8.5となるように中和させること以外は、実施例8と同一の方法でコア-シェル構造を有するCMC粒子(以下、「粒子10」という)を製造した。
【0095】
比較例1
前記発泡剤水溶液の代わりに発泡剤なしに水90gを投入したこと以外は、実施例1と同一の方法でコア-シェル構造を有するCMC粒子(以下、「粒子11」という)を製造した。
【0096】
比較例2
前記表面架橋反応時間を240分に調節したこと以外は、比較例1と同一の方法でコア-シェル構造を有するCMC粒子(以下、「粒子12」という)を製造した。
【0097】
比較例3
前記2次カルボキシメチル化反応時間を80分に調節したこと以外は、比較例1と同一の方法でコア-シェル構造を有するCMC粒子(以下、「粒子13」という)を製造した。
【0098】
比較例4
前記実施例8によって反応器から吐出されたスラリー状態のCMC架橋体を前記実施例8と同一の方法で濾過、洗浄及び脱水した後、ここに、水を投入して混ぜてCMC架橋体を練ったものを得た。このとき、前記水の投入量は、前記脱水過程を経たスラリー状態のCMC架橋体100重量部を基準として1,000重量部である。
【0099】
その後、前記CMC架橋体を練ったものを直径2cmの球形態に成形し、オーブンにて70℃で360分間乾燥した後、カッティングミル(Fritsch社製、pulverisette 19)で粉砕して顆粒状のCMC架橋体を製造した。このとき、前記顆粒状CMC架橋体は、250μm以上500μm以下範囲の粒子サイズを有し、コア架橋のみを有する。
【0100】
その後、前記顆粒状のCMC架橋体30gを再び圧力反応器に移し、ここに、表面架橋剤溶液である1重量%ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル溶液(溶媒:エタノール)270g及び水90gを投入した後、浸漬方式で表面架橋反応を進行した。このとき、表面架橋反応温度は、70℃であり、反応時間は、1,440分である。ここで、浸漬方式は、撹拌過程なしに前記CMC架橋体が前記ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル溶液及び水に浸漬された状態で表面架橋が進行される方式を意味する。
【0101】
前記表面架橋反応が完了した後、実施例8と同一の方法で脱水、乾燥及び粉砕してコア-シェル構造を有するCMC粒子(以下、「粒子14」という)を製造した。
【0102】
比較例5
前記セルロース原料として切断しない状態のパルプ(長さ8mm以上)を用いたこと、1次カルボキシメチル化反応段階の反応時間を180分に調節し、2次カルボキシメチル化反応段階の反応時間を120分に調節したこと以外は、比較例4と同一の方法でコア-シェル構造を有するCMC粒子(以下、「粒子15」という)を製造した。
【0103】
比較例6
前記セルロース原料として切断しない状態のパルプ(長さ8mm以上)を用いたこと、1次カルボキシメチル化反応段階の反応時間を180分に調節し、2次カルボキシメチル化反応段階の反応時間を120分に調節したこと以外は、比較例4と同一の方法でコア架橋反応、洗浄及び脱水過程を経てコア架橋を有するCMC架橋体を製造した。
【0104】
その後、前記脱水過程を経たCMC架橋体を表面架橋反応段階なしにすぐ70℃で360分間熱風乾燥した後、カッティングミル(Fritsch社製、pulverisette 19)で粉砕して、コア架橋のみを有するCMC粒子(以下、「粒子16」という)を製造した。
【0105】
<評価方法>
1.血液吸収能
実施例1~10及び比較例1~6によってそれぞれ得られた粒子1~16の血液吸収能は下記のように評価した。
【0106】
まず、内部直径が3cmであるペトリ皿の重さ(W)を測定し、前記ペトリ皿に1.0gの粒子を入れた後、底を軽くたたいて前記粒子を皿表面に均一に分散させる。その後、血液0.1mlを1mlプラスチック注射器に入れ、21Gニードル(needle)を用いて前記ペトリ皿に入っている粒子の中央に一滴ずつ連続的にゆっくり落とす。このとき、前記血液としては、ウマの血を用いた。その後、2時間の間室温で前記血液を凝固させた後、血液に触れなかったきれいな状態の粒子を全て振り落とし、凝固した血液とそれに凝り固まっている粒子が残っているペトリ皿の重さ(W)を測定した。前記測定された重さを用いて下記の式(1)によって血液吸収能を計算し、その結果を下記の表1に記載した。
【0107】
血液吸収能(mg)=W-W・・・(1)
【0108】
前記式(1)で、Wは、空のペトリ皿の重さであり、Wは、凝固した血液とそれに凝り固まっている粒子が入っているペトリ皿の重さである。
【0109】
具体的に、図1は、実施例1によって製造されたCMC粒子に血液を適用した写真を示し、図2は、前記図1のペトリ皿から血液に触れなかったCMC粒子を振り落とした後の写真を示す。そして、図3は、実施例8によって製造されたCMC粒子に血液を適用した写真を示し、図4は、前記図3のペトリ皿から血液が触れなかったCMC粒子を振り落とした後の写真を示す。
【0110】
2.加圧吸収能(Absorbency Under Load、AUL)
実施例1~10及び比較例1~6によってそれぞれ得られた粒子1~16の加圧吸収能を図5に示したような装置を用いて測定した。
【0111】
まず、円筒状のPMMA(polymethyl methacrylate)シリンダー7(内径:60mm、高さ:50mm)の底に400meshの金属メッシュ5を装着した。常温で前記金属メッシュ5上に前記粒子6を0.9g(W)を均一に入れ、その上に0.7psiの金属重錘9を装着したプラスチックピストン8を載せてAUL測定装置を構成した。
【0112】
そして、ペトリ皿1(直径:118mm、高さ:12mm)の内側にporosity #0のガラスセラミックスフィルタプレート2(直径:80mm、厚さ:7mm)を置き、ここに、0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液で構成された生理食塩水3を前記セラミックスフィルタプレート2と同一の高さとなるように投入した後、前記セラミックスフィルタプレート2上に濾過紙4を載せた。
【0113】
その後、前記濾過紙4上に前記AUL測定装置を載せて加圧下で生理食塩水を60分間吸収させた後、前記測定装置内の粒子の重さ(W)を測定した。このように測定された重さを用いて下記の式(2)によってAULを計算し、その結果を下記の表1に記載した。
【0114】
AUL(g/g)=(W-W)/W ・・・(2)
【0115】
前記式(2)で、Wは、初期粒子の重さ(0.9g)であり、Wは、加圧(0.7psi)下で60分間生理食塩水を吸収させた後の粒子の重さである。
【0116】
3.遠心分離保水能(Centrifuge Retention Capacity、CRC)
実施例1~10及び比較例1~6によってそれぞれ得られた粒子1~16の遠心分離保水能を次のように測定した。
【0117】
前記各粒子0.2g(W)をティーバッグに均一に入れて密封した後、常温で0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液で構成された生理食塩水に30分間浸漬した。その後、遠心分離機を用いて250Gで3分間前記密封されたティーバッグから水分を除去した後、前記密封されたティーバッグの重さ(W)を測定した。そして、粒子を入れないティーバッグに対しても前記浸漬及び遠心分離操作を同一に行った後、その重さ(W)を測定した。このように測定された重さを用いて下記の式(3)によってCRCを計算し、その結果を下記の表1に記載した。
【0118】
CRC(g/g)=(W-W-W)/W ・・・(3)
【0119】
前記式(3)で、Wは、初期粒子の重さ(0.2g)であり、Wは、粒子を入れて密封したティーバッグの浸漬及び遠心分離後の重さであり、Wは、粒子を入れないティーバッグの浸漬及び遠心分離後の重さである。
【0120】
【表1】
【0121】
前記表1を参照すると、実施例1~10によって製造された粒子1~10の場合、比較例1~6によって製造された粒子11~16に比べてAUL、CRC及び血液吸収能に優れていると示されたことが確認でき、特に、血液吸収能は、顕著に優れていることが確認できる。以上、本発明に開示された実施例は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく説明するためのものであって、本発明の権利範囲は、下の特許請の範囲によって解釈されなければならず、それと同等の範囲内にある全ての技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されなければならない。
【符号の説明】
【0122】
1:ペトリ皿(Petri dish)
2:セラミックスフィルタプレート(Ceramic filter plate)
3:生理食塩水(NaCl solution)
4:濾過紙(Filter paper)
5:金属メッシュ(Metal mesh)
6:吸収性粒子(superabsorbent particles)
7:PMMAシリンダー(PMMA cylinder)
8:プラスチックピストン(Plastic piston)
9:金属重錘(Metal weight)
図1
図2
図3
図4
図5