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特許7605753スマートグリップを備えた薬物送達デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】スマートグリップを備えた薬物送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/20 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A61M5/20
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021559097
(86)(22)【出願日】2020-04-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-25
(86)【国際出願番号】 US2020026807
(87)【国際公開番号】W WO2020210142
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】62/831,473
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500049716
【氏名又は名称】アムジエン・インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ワード,ジミー・エル
【審査官】川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-509904(JP,A)
【文献】特表2012-519025(JP,A)
【文献】国際公開第2018/222574(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物送達デバイスであって、
近位端と、遠位端と、ハウジング本体の前記近位端と前記遠位端との間に延びる縦軸とを有する前記ハウジング本体を画定するインジェクタハウジングと、
前記ハウジング本体の前記近位端において前記インジェクタハウジング内に少なくとも部分的に配置された針アセンブリであって、前記針アセンブリは、薬剤を収容するシリンジバレルと、針又はカニューレとを含む、針アセンブリと、
前記インジェクタハウジング内に少なくとも部分的に配置され且つ前記針又はカニューレを通して前記薬剤を付勢するために前記針アセンブリに動作可能に連結された駆動アセンブリと
を含むインジェクタと、
近位端と、遠位端と、グリップシェルの前記近位端と前記遠位端との間に延びる本体とを有する前記グリップシェルを画定する付属グリップであって、前記グリップシェルの前記近位端は、前記インジェクタハウジングの第1の部分を受け入れるような寸法に作られた第1の開口部を含み、前記グリップシェルの前記遠位端は、前記インジェクタハウジングの第2の部分を受け入れるような寸法に作られた第2の開口部を含む、付属グリップと
を含み、付属グリップは、前記インジェクタハウジングを前記付属グリップに固定するために前記インジェクタハウジング掛止部材に固定するように適合されたグリップ掛止部材をさらに含み、前記グリップ掛止部材は、グリップシェルに配置されており、前記グリップ掛止部材は、少なくとも1つの軸方向に延びる弾性フィンガおよび開口部を有する基部を画定する円盤を有する、薬物送達デバイス。
【請求項2】
前記ハウジング本体に配置されたインジェクタハウジング掛止部材を更に含む、請求項1に記載の薬物送達デバイス。
【請求項3】
前記インジェクタハウジング掛止部材は、前記シェルに形成された少なくとも1つの窪みを含み、且つ前記少なくとも1つの軸方向に延びる弾性フィンガは、前記少なくとも1つの窪みに挿入されるように構成されている、請求項2に記載の薬物送達デバイス。
【請求項4】
前記少なくとも1つの窪みは、前記インジェクタハウジングに投与量窓を形成する、請求項3に記載の薬物送達デバイス。
【請求項5】
前記付属グリップは、前記投与量窓と整合される少なくとも1つの視認窓を更に含む、請求項4に記載の薬物送達デバイス。
【請求項6】
前記グリップシェルは更に、前記グリップシェルの前記第1の開口部と前記第2の開口部との間に延びる貫通ボアを画定し、前記貫通ボアは、前記インジェクタハウジングの前記近位端が前記グリップシェルの前記第1の開口部を通して露出され、且つ前記インジェクタハウジングの前記遠位端が前記グリップシェルの前記第2の開口部を通して露出されるように、前記インジェクタを受け入れるような寸法に作られる、請求項1~5のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項7】
前記付属グリップは、前記グリップシェル内に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの電子デバイスを更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの電子デバイスは、
ディスプレイ、
照明システム、
皮膚センサ、
通信モジュール、
運動センサ、又は
電気機械的フィードバック機構
のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載の薬物送達デバイス。
【請求項9】
前記少なくとも1つの電子デバイスは、前記インジェクタと通信するように適合される、請求項8に記載の薬物送達デバイス。
【請求項10】
前記付属グリップは、前記インジェクタハウジングの前記縦軸に沿った方向に延びる管状クラムシェルを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
前記付属グリップは、湾曲状上部把持面を有する細長ドーム状クラムシェルを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項12】
前記グリップシェルの前記近位端は、平面状接触面を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
薬物送達デバイス用の付属グリップであって、
近位端と、遠位端と、前記近位端と前記遠位端との間に延びる本体とを有するグリップシェルと、
前記グリップシェルの前記近位端に形成された第1の開口部であって、前記第1の開口部は、薬物送達デバイスの第1の部分を受け入れるような寸法に作られる、第1の開口部と、
前記グリップシェルの前記遠位端に形成された第2の開口部であって、前記第2の開口部は、前記薬物送達デバイスの第2の部分を受け入れるような寸法に作られ、前記第1の開口部及び前記第2の開口部は、前記第1の開口部と前記第2の開口部との間に延びる貫通ボアを通じて互いに連通している、第2の開口部と、
前記グリップシェルに配置されたグリップ掛止部材であって、前記グリップ掛止部材は、少なくとも1つの軸方向に延びる弾性フィンガおよび開口部を有する基部を画定する円盤を含み、前記グリップ掛止部材は、前記付属グリップを前記薬物送達デバイスに固定するために前記薬物送達デバイスに連結するように適合される、グリップ掛止部材と
を含む、付属グリップ。
【請求項14】
前記グリップシェルの前記本体に配置された少なくとも1つの視認窓を更に含む、請求項13に記載の付属グリップ。
【請求項15】
前記グリップシェル内に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの電子デバイスを更に含む、請求項13又は14に記載の付属グリップ。
【請求項16】
前記少なくとも1つの電子デバイスは、
ディスプレイ、
照明システム、
皮膚センサ、
通信モジュール、
運動センサ、又は
電気機械的フィードバック機構
のうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の付属グリップ。
【請求項17】
前記グリップシェルは、縦軸に沿った方向に延びる管状クラムシェルを含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の付属グリップ。
【請求項18】
前記グリップシェルは、湾曲状上部把持面を有する細長ドーム状クラムシェルを含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の付属グリップ。
【請求項19】
前記グリップシェルの前記近位端は、平面状接触面を更に含む、請求項13~18のいずれか一項に記載の付属グリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
2019年4月9日に出願され、その全内容が参照により本明細書に明示的に組み込まれる米国仮特許出願第62/831,473号明細書に対する優先権が主張される。
【0002】
本開示は、概して、薬物送達デバイス及び方法に関する。より詳細には、本開示は、高度な適合特性を有する改良された薬物送達デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
薬物は、様々な状態及び疾患を治療するために投与される。オートインジェクタ及びオンボディ型インジェクタ(例えば、ペン型オートインジェクタ)は、薬剤及び/又は治療の送達においていくつかの利益をもたらす。利益の1つとしては、例えば、従来のシリンジを使用する従前の送達方法と比較したときの使用の簡単さを挙げることができる。オートインジェクタは、変化する粘度及び/又は所望の量を有する多くの異なる薬物を送達するために使用される場合がある。
【0004】
手持ち式のオートインジェクタを使用する患者にとって許容できる注入時間の長さは、多くの場合、患者の注入部位でのデバイスの安定した配置及び向きを維持しながらデバイスを持続的且つ快適に把持し制御する患者の能力によって制限される。一部の患者は、注入が実際に完了したかどうかを判断するために注入完了前にデバイスを取り外す傾向がある場合がある。更に、一部の患者は、手先の器用さ及び/又は認知能力が低下している場合があり、これにより、薬物の自己注入が肉体的に過酷になることがあり、治療不遵守につながる可能性がある。追加的に、家族が、多くの場合、介護者として働くことがあり、オートインジェクタ製品に精通していないことがあり、また、家族自身が、薬物投与を補助しようとするときに、感覚の喪失、器用さ及び/又は手若しくは身体の他の何らかの屈曲若しくは把持の問題に悩まされることがある。
【0005】
既存のオートインジェクタ設計は、不安定であり、薬物を効果的且つ適切に投与するために、使用者が注入プロセス全体を通してデバイスをしっかりと且つ慎重に保持する必要がある場合がある。多くの場合、送達部位からデバイスを尚早に取り外すことによって、皮膚表面への薬物の吹き付けに起因して不十分な投与量が送達される可能性がある。更に、既存の使い捨てのペン型オートインジェクタは、機械的フィードバック機構を提供できるが、そのスペースに限りがあるため、電子機器及び/又はデータ管理機能が欠けている。これらの機能を含むオートインジェクタは、使い捨て用途で使用されるので、設計、製造、梱包、保管、出荷、及び廃棄するのに非常に複雑でコストがかかることがある。
【0006】
後で詳述するように、本開示は、既存のシステム及び方法に対して有利な代替案を具体化した送達デバイス用のスマートグリップシステムを説明するものであり、本明細書で述べる課題又はニーズの1つ又は複数に対処するとともに他の利益及び利点を提供することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様によれば、薬物送達デバイスは、インジェクタと付属グリップとを含む。インジェクタは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる縦軸とを有するハウジング本体を画定するインジェクタハウジングと、近位端においてインジェクタハウジング内に少なくとも部分的に配置された針アセンブリと、ハウジング内に少なくとも部分的に配置された駆動アセンブリとを含む。針アセンブリは、薬剤を収容するシリンジバレルと、針又はカニューレとを含む。駆動アセンブリは、針又はカニューレを通して薬剤を付勢する。付属グリップは、近位端と、遠位端と、近位端と遠位端との間に延びる本体とを有するグリップシェルを画定する。近位端は、インジェクタハウジングの第1の部分を受け入れるような寸法に作られた第1の開口部を含み、グリップシェルの遠位端は、インジェクタハウジングの第2の部分を受け入れるような寸法に作られた第2の開口部を含む。
【0008】
いくつかの例では、デバイスは、ハウジング本体上に配置されたインジェクタハウジング掛止部材と、グリップシェル上に配置されたグリップ掛止部材とを更に含む。グリップ掛止部材は、インジェクタハウジングを付属グリップに固定するために、インジェクタハウジング掛止部材に固定される。いくつかの手法では、インジェクタハウジング掛止部材は、シェル上に形成された少なくとも1つの窪みの形態である。更に、グリップ掛止部材は、少なくとも1つの窪みに挿入されるように構成された少なくとも1つのフィンガ部材の形態であってもよい。少なくとも1つの窪みは、インジェクタハウジング上に投与量窓を形成してもよい。これらの例では、付属グリップは、投与量窓と整合される少なくとも1つの視認窓を追加的に含んでもよい。
【0009】
いくつかの手法では、グリップシェルは、第1の開口部と第2の開口部との間に延びる貫通ボアを更に画定してもよい。貫通ボアは、インジェクタハウジングの近位端がグリップシェルの第1の開口部を通して露出され、且つインジェクタハウジングの遠位端がグリップシェルの第2の開口部を通して露出される方式で、インジェクタを受け入れるような寸法に作られる。
【0010】
いくつかの例では、付属グリップは、グリップシェル内に少なくとも部分的に配置された少なくとも1つの電子デバイスを更に含んでもよい。例えば、付属デバイスは、ディスプレイ、照明システム、皮膚センサ、通信モジュール、運動センサ、又は電気機械的フィードバック機構の形態であってもよい。電子デバイスは、インジェクタと通信してもよい。
【0011】
いくつかの形態では、付属グリップは、インジェクタハウジングの縦軸に沿った方向に延びる管状クラムシェルの形態である。他の例では、付属グリップは、湾曲状上部把持面を有する細長ドーム状クラムシェルの形態であってもよい。いくつかの例では、グリップ部分の近位端は、平面状接触面を更に含んでもよい。
【0012】
第2の態様によれば、薬物送達デバイス用の付属グリップは、近位端と、遠位端と、グリップシェルの近位端と遠位端との間に延びる本体とを有するグリップシェルと、グリップシェルの近位端に形成された第1の開口部と、グリップシェルの遠位端に形成された第2の開口部と、グリップシェル上に配置されたグリップ掛止部材とを含む。第1の開口部は、薬物送達デバイスの第1の部分を受け入れるような寸法に作られ、第2の開口部は、薬物送達デバイスの第2の部分を受け入れるような寸法に作られる。第1の開口部及び第2の開口部は、第1の開口部と第2の開口部との間に延びる貫通ボアを通じて互いに連通している。グリップ掛止部材は、付属グリップを薬物送達デバイスに固定するために薬物送達デバイスに連結するように適合される。
【0013】
上記ニーズは、特に図面と併せて研究される、以下の詳細な説明に記載されるスマートグリップを有する薬物送達デバイスの提供によって少なくとも部分的に満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】様々な実施形態による例示的なインジェクタの斜視図を示す。
図2a】様々な実施形態によるスマートグリップが連結された例示的なインジェクタの正面図及び斜視図を示す。
図2b】様々な実施形態によるスマートグリップが連結された例示的なインジェクタの正面図及び斜視図を示す。
図3】様々な実施形態による図2a及び図2bのスマートグリップが連結された例示的なインジェクタの上面図を示す。
図4】様々な実施形態による図2a~図3のスマートグリップが連結された例示的なインジェクタの断面図を示す。
図5】様々な実施形態による図2a~図4のスマートグリップが連結された例示的なインジェクタの概略図を示す。
図6】様々な実施形態による、第1の例示的な部位での投与中の、図2a~図5のスマートグリップが連結された例示的なインジェクタを示す。
図7】様々な実施形態による、第2の例示的な部位での投与中の、図2a~図5のスマートグリップが連結された例示的なインジェクタを示す。
図8】様々な実施形態による第2の例示的なスマートグリップの斜視図を示す。
図9】様々な実施形態による第3の例示的なスマートグリップの斜視図を示す。
図10】様々な実施形態による例示的な案内領域を示す図9の例示的なスマートグリップの内部の斜視断面図を示す。
図11a】様々な実施形態による例示的な係止機構を示す図9及び図10の例示的なスマートグリップの正面図を示す。
図11b】様々な実施形態による例示的な係止機構を示す図9及び図10の例示的なスマートグリップの正面図を示す。
図11c】様々な実施形態による例示的な係止機構を示す図9及び図10の例示的なスマートグリップの正面図を示す。
図12】様々な実施形態による注入後構成にある図9図11cの例示的なスマートグリップの正面図を示す。
図13a】様々な実施形態による第4の例示的なスマートグリップの斜視図を示す。
図13b】様々な実施形態による第4の例示的なスマートグリップの斜視図を示す。
図14】様々な実施形態による図13a及び図13bの例示的なスマートグリップの部分正面断面図を示す。
図15】様々な実施形態による図13a~図14の例示的なスマートグリップの後面斜視図を示す。
図16】様々な実施形態による例示的な案内領域を示す図13a~図15の例示的なスマートグリップの内部の斜視断面図を示す。
図17】様々な実施形態による図13a~図16の例示的なスマートグリップとともに使用される例示的な係止機構の斜視図を示す。
図18a】様々な実施形態による例示的な薬物送達デバイスに連結する図13a~図17の例示的なスマートグリップの斜視図を示す。
図18b】様々な実施形態による例示的な薬物送達デバイスに連結する図13a~図17の例示的なスマートグリップの斜視図を示す。
図18c】様々な実施形態による例示的な薬物送達デバイスに連結する図13a~図17の例示的なスマートグリップの斜視図を示す。
図19】様々な実施形態による図13a~図18の例示的なスマートグリップの例示的な解除アセンブリの正面図を示す。
図20】様々な実施形態による図19の例示的な解除アセンブリの例示的な解除機構の斜視図を示す。
図21】様々な実施形態による図13a~図20の例示的なスマートグリップの部分側断面図を示す。
図22a】様々な実施形態による図13a~図21の例示的なスマートグリップの解除アセンブリの解除手順の斜視図を示す。
図22b】様々な実施形態による図13a~図21の例示的なスマートグリップの解除アセンブリの解除手順の斜視図を示す。
図23a】様々な実施形態による図20図22bの例示的な解除アセンブリの斜視図を示す。
図23b】様々な実施形態による図20図22bの例示的な解除アセンブリの斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
当業者であれば、図中の要素は簡略化及び明確化のために描かれているものであり、必ずしも一定の縮尺で描かれていないことを理解するであろう。例えば、図中の要素のうちいくつかの寸法及び/又は相対位置は、本発明の様々な実施形態の理解を向上させるために他の要素に対して誇張される場合がある。また、商業的に実現可能な実施形態において有用又は必要な、一般的ではあるが十分に理解されている要素は、これら様々な実施形態の図をあまり妨げないようにするために示されないことが多い。更に、特定の行為及び/又は工程は、特定の発生順序で記載される又は示される場合があることは認識されるであろうが、当業者であれば、順序に関するこのような特定性は実際には必要ないことを理解するであろう。本明細書で使用される用語及び表現は、異なる特定の意味が本明細書で説明される場合を除き、上述のように、こうした用語及び表現に当業者が与えるような通常の技術的な意味を有することも理解されるであろう。
【0016】
概して言えば、これらの様々な実施形態に従って、薬物送達デバイス(例えば、オートインジェクタ又は他のインジェクタ)は、把持可能な表面積を増大させるためにインジェクタを少なくとも部分的に取り囲むシェルに連結される。このシェルには、薬物投与経験を更に向上させるために、電子機器及び接続性を含む任意の数の追加のスマートな特徴を盛り込むことができる。図1に示すように、例示的なインジェクタ10は、概して、近位端12aと、遠位端12bと、近位端12aと遠位端12bとの間に延びる縦軸「L」とを含む本体12を画定するインジェクタハウジング11を含む。本体12は、本体12の近位端12aに位置決めされた略平面状接触面13を更に含む。更に、本体12は、図示の例では、インジェクタの投与量窓34に隣接する凹面を含むインジェクタハウジング掛止部材14を含む。しかしながら、他の形態では、掛止部材14は、本体12上に形成された又は本体12によって支持された、少なくとも1つの窪み、棚部、凹み、返し又は他の好適な構造の形態をとることができる。他の形態では、インジェクタハウジング掛止部材は、シェル12上に配置された任意の数の突起の形態であってもよい。
【0017】
針アセンブリ20は、本体12の近位端12a又はその近傍において本体12内に少なくとも部分的に配置され、薬剤24を収容するシリンジバレル22と、薬剤24を患者に注入するために使用される針又はカニューレ26とを含む。本体12は、針又はカニューレ26を収容するような寸法に作られる開口部12cを近位端12aに画定する。いくつかの例では、針又はカニューレ26は、作動前にまず本体12内に位置決めされてもよく、且つ薬物送達中に開口部12cを貫通して突出してもよい。
【0018】
駆動アセンブリ30もまた、本体12内に少なくとも部分的に配置され、針アセンブリ20に動作可能に連結される。駆動アセンブリ30は、駆動アセンブリ30の作動を開始する、本体12の遠位端12b又はその近傍に位置決めされたアクチュエータボタン32を含んでもよい。概して言えば、使用時に、使用者は、本体12の接触面13を使用者の皮膚(例えば、使用者の脚又は使用者の胃)に当てて、アクチュエータボタン32を作動させる。この作動によって、駆動アセンブリ30の(ばね、モータ、油圧又は加圧機構などの形態の)駆動機構が針アセンブリ20に駆動力を及ぼし、この駆動力によって、針又はカニューレ26が本体12の開口部12cに挿通されて患者に挿入され、更に、シリンジバレル22から針又はカニューレ26の外に患者に向けて薬剤24が付勢される。いくつかの変形例では、患者は針又はカニューレ26を手動で挿入することができ、駆動機構30の作動は、シリンジバレル22から針又はカニューレ26の外に患者に向けて薬剤24が付勢されるようにすることのみを含む。
【0019】
インジェクタ10は、例えば、投与中に薬物残量の視覚的表示を提供するためにシリンジバレル22又はその近傍に位置決めされた任意の数の投与量窓34などの、デバイスの機能を補助及び/又は強化し得る任意の数の追加の特徴及び構成要素を含んでもよい。上述のように、いくつかの例では、インジェクタハウジング掛止部材14は、投与量窓34の一部分又は凹凸面を画定してもよい。インジェクタ10は、1つ又は複数の電子モジュールであって、本体12、針アセンブリ20、駆動アセンブリ30、及び/又はインジェクタ10の他の任意の構成要素に連結される1つ又は複数の電子モジュールを追加的に含んでもよい。更に、インジェクタ10はまた、針シールド、引き込み機構、減衰機構などの任意の数の安全機構を含んでもよい。所望の機構、サブアセンブリ、及び/又は構成要素の他の例も可能である。
【0020】
図2a~図5に移ると、薬物送達システム100は、インジェクタ(例えば、前述のインジェクタ10)と、インジェクタ10に動作可能に連結された付属グリップ110とを含む。付属グリップ110は、近位端112aと、遠位端112bと、近位端112aと遠位端112bとの間に延びる本体112cとを有するグリップシェル112を画定する。図4に見られるように、本体112cの外径寸法は、アクチュエータ本体12の外径寸法よりも大きく、これにより、使用者がシステム100を確実に保持するための把持面のサイズを増大させる。すなわち、器用さがより低く且つ/又は筋力の低下した患者がより容易に把握し得る、より厚みのあるデバイスが、本体112cの増大した半径寸法によって提供される。グリップシェル112の近位端112aは第1の開口部116を含み、グリップシェル112の遠位端112bは第2の開口部118を含む。第1の開口部116及び第2の開口部118は、インジェクタ10を同軸に受け入れるためにグリップシェル112を貫通して延びる貫通ボア119を通じて互いに連通している。すなわち、貫通ボア119の縦軸は、インジェクタ10がグリップシェル112内に設置されたときに、インジェクタ10の縦軸Lと同軸に整合される。開示の変形例の付属グリップ110は、貫通ボア119を画定する内壁を有するが、いくつかの例では、付属グリップ110は、この内壁を含まなくてもよい。これらの例では、貫通ボア119は依然として第1の開口部116と第2の開口部118とを接続する。
【0021】
更に、付属グリップ110は、付属グリップ110の近位端112aに配置されたグリップ接触面113と、(例えば、グリップシェル112の近位端112aの近傍において)グリップシェル112上に配置され且つ/又はグリップシェル112に連結されたグリップ掛止部材114とを含む。グリップ接触面113は、近位端112aにおけるグリップシェル112の略平面状端面であり、シェル112の半径寸法によって定められた半径寸法を含む。したがって、グリップ接触面113は、インジェクタ10の接触面13を越えて径方向に延びる表面積を含む。そのように、グリップ接触面113及び接触面13は、患者の皮膚に対する使用中の傾斜及び位置ずれを防止するのに役立つ、皮膚との接触及び係合を容易にするために、インジェクタの単なる接触面13よりも広い表面積を全体として画定する。
【0022】
図3に示すように、グリップシェル112は、第1の部分112dと第2の部分112eとを含むクラムシェルの形態であってもよい。クラムシェルの第1の部分112d及び第2の部分112eは、巻き付いて、例えば、摩擦嵌め接続、解除可能なヒンジ接続、掛止接続、磁気接続、接着剤、面ファスナなどの1つ又は複数の任意の好適な連結機構を介してインジェクタ10の両側で互いに連結してもよい。他の例も可能である。グリップシェル112は、様々な手の大きさを有する使用者を含む全ての使用者にとって快適なグリップを提供するために、起伏があり、変化する及び/又は先細り状の人間工学的外形を有してもよい。グリップシェル112は、使用を補助するためのゴム引き及び/又はエラストマー製のグリップ面を追加的に含んでもよい。
【0023】
グリップシェル112の第1の開口部116は、インジェクタ10の第1の部分(例えば、近位端12a)を収容するような寸法に作られる。例えば、グリップシェル112の第1の開口部116は、薬物送達中にインジェクタの針又はカニューレ26を収容するために、約0.1mm~約5mmの寸法(例えば、直径及び/又は幅)を有してもよい。他の例では、グリップシェルの第1の開口部116は、本体12の幅及び/又は直径の全て又は一部を収容するために、約5mm~約50mmのより大きな寸法を有してもよい。他の例も可能である。図示の例では、図4に示すように、本体12の接触面13は、上記で説明したように全体として増大した皮膚接触面積をもたらすようにグリップ接触面113と同一平面上にある。しかしながら、他の例では、本体12の接触面13は、グリップ接触面113に対して内方に窪んでいても又は外方に突出していてもよい。
【0024】
グリップシェル112の第2の開口部118は、インジェクタ10の第2の部分(例えば、遠位端12b)を収容するような寸法に作られる。例えば、グリップシェル112の第2の開口部118は、本体12の遠位端12bの全て又は一部を収容するために約5mm~約50mmの寸法(例えば、直径及び/又は幅)を有してもよい。他の例も可能である。図示の例では、グリップシェル112は、少なくともアクチュエータボタン32が第2の開口部118を貫通して外方に突出し、それにより、使用者が駆動アセンブリ30を作動させて第1の開口部116を通して薬剤24を送達することを可能にするように、インジェクタ10の縦寸法よりも小さい縦寸法を含む。
【0025】
グリップ掛止部材114は、インジェクタ10を付属グリップ110に且つ/又は付属グリップ110内に固定するために、インジェクタハウジング掛止部材14に動作可能に連結する。より具体的には、図4に示すように、グリップ掛止部材114は、開口部121aを有するとともに基部121から(図示の向きでは)上方に突出する軸方向に延びる任意の数の弾性フィンガ122を更に有する基部121を画定する円盤120の形態である。1つ又は複数のフィンガ122は、円盤120に隣接して位置決めされた近位端122aと、タブ123を画定する、円盤120から離れた遠位端122bとを含む。いくつかの例では、1つ又は複数のフィンガ122は、円盤120から延びる単一の同心リングの形態であってもよい。円盤120は、グリップシェル112内に配置され且つ/又はグリップシェル112と一体に形成されてもよい。更に、いくつかの例では、1つ又は複数のフィンガ122は、タブ123が開口部116に対して径方向内方に配置される静止位置又は構成を有してもよい。言い換えれば、タブ123は、開口部116によって画定された領域内に延びてもよい。そして、これらの例では、後で更に詳述するように、クラムシェル112d、112e内へのインジェクタ10の配置時に、1つ又は複数のフィンガ122を外方に撓ませるか又は付勢してもよい。
【0026】
引き続き図4を参照すると、クラムシェル112d、112eの各部分は、第1の棚部124a及び第2の棚部124bを形成する環状又は部分環状円盤空洞124を画定する。円盤空洞124の第1の棚部124aは、円盤120を受け入れるような寸法に作られ、第1の棚部124aと円盤120との間に摩擦嵌め連結を形成してもよい。円盤空洞124の第2の棚部124bは、いくつかの例では、弾性材料から作製され得る、案内又は位置決めリング126を受け入れるような寸法に作られる。いくつかの例では、案内リング126は、クラムシェル112d、112eの第1の部分及び第2の部分が互いに連結されたときに、1つ又は複数のフィンガ122に径方向内向きの力を及ぼしてもよい。
【0027】
概して、インジェクタ10は、基部121の開口部121aに挿通されてもよい。いくつかの例では、円盤120及び案内リング126は各々、任意の数の手法及び/又は機構によって互いに連結する別個の部分を含んでもよい。これらの例では、円盤120及び案内リング126の別個の部分はまず、クラムシェル部分112d、112eの各々に形成された円盤空洞124に挿入されてもよく、次に、インジェクタ10は、グリップシェル112内に位置決めされてもよい。グリップシェル112の第1の部分112d及び第2の部分112eを閉鎖した時点で、案内リング126及び/又は1つ若しくは複数のフィンガ122は、インジェクタ10に向けて内方に固定力を及ぼしてもよい。より具体的には、1つ又は複数の弾性フィンガ122は、内向きの締付力を及ぼしてもよく、弾性フィンガ122の遠位端122bに位置決めされたタブ123をインジェクタハウジング掛止部材14(例えば、投与量窓34を少なくとも部分的に画定する窪み)に係合させ、グリップ110をインジェクタ10に固定し、これにより、グリップ110とインジェクタ10との相対移動を制限及び/又は抑制する。これらの構成では、インジェクタハウジング掛止部材14の軸方向上方に位置決めされる、タブ123は、インジェクタ10が付属グリップ110に対して軸方向上方に移動するのを防止する。更に、いくつかの例では、1つ又は複数の弾性フィンガ122自体は、1つ又は複数のフィンガ122が本体12に摩擦係合するようにインジェクタ10の本体12に内向きの締付力を及ぼしてもよい。いくつかの例では、インジェクタハウジング掛止部材14は、インジェクタ10とグリップシェル112との相対的な軸方向、縦方向及び/又は回転移動を制限及び/又は抑制するために1つ又は複数のフィンガ122のタブ123を受け入れる径方向溝14a又は戻り止めを更に含んでもよい。これらの例では、タブ123は、径方向溝14a又は戻り止め内に入れ子式に収まってもよく、且つ1つ又は複数の弾性フィンガ122の内向きの付勢によって、径方向溝14a又は戻り止め内に位置したままであってもよい。1つ又は複数のフィンガ122は、グリップシェル112を開放する解除機構を追加的に含んでもよい。いくつかの例では、タブ123とハウジング掛止部材14との係合は、摩擦係合であってもよいが、他の例では、能動係止機構(図示せず)は、インジェクタとグリップシェル112との相対移動を防止するために使用されてもよい。
【0028】
いくつかの手法では、インジェクタ10はまず、基部121の開口部121aに挿通されてもよく、案内リング126は、基部121上に位置決めされてもよい。本体12の近位端12aの外径は、1つ又は複数のフィンガ122を外方に付勢するか又は「広げる」ような寸法に作られてもよく、それにより、円盤120とインジェクタ10との摩擦嵌め接続を形成する。次に、クラムシェルの第1の部分112d及び第2の部分112eは、インジェクタ10と円盤120と案内リング126の周囲で閉鎖されてもよく、その一方で、円盤120及び案内リング126は、1つ又は複数のフィンガ122を介してグリップ110をインジェクタ10に固定するように円盤空洞124の第1の棚部124a及び第2の棚部124bと整合される。
【0029】
そのように構成されるので、インジェクタ10がグリップ110内に少なくとも部分的に配置されたときに、グリップ接触面113は、本体12の接触面13に対して増大される。この増大した接触面は、薬物投与中の安定性の向上をもたらし、結果として針又はカニューレ26が患者から取り外され得る、インジェクタ10が不用意に滑り落ちる又は移動する可能性を低減する。更に、グリップシェル112の円周の増大によって、片手で使用されている間にシステム100を安定した位置に快適且つ確実に保持する能力を器用さに乏しい使用者に与えることができる。システム100は、異なるクラスの患者による使用に対応するように様々なグリップ接触面113の直径を備えてもよい。
【0030】
図2a、図2b、図4図6、及び図7に示すように、付属グリップ110は、使用者が投与中にインジェクタ10内の薬剤24の残量を視認することを可能にするために1つ又は複数の投与量窓34と整合される任意の数の視認窓128を含んでもよい。図6及び図7に示すように、システム100は、片手で把持され、視認窓128が視野内にある間にグリップ接触面113が使用者の脚、胃、又は他の身体部分に対して位置決めされるような向きに配置されてもよい。
【0031】
システム100、具体的には付属グリップ110は、薬剤24の投与を向上させるための任意の数の追加の特徴を含んでもよい。インジェクタ10と比較して付属グリップ110の増加した体積のため、追加の「スマート」構成要素及び機構が使用されてもよい。インジェクタ10は、追加の情報が使用者に伝達され得るようにインジェクタ10とグリップ110との通信を可能にする接続モジュール(図示せず)を含んでもよい。この接続モジュールは、グリップシェル112上又は内に配置された受信機130にデータを送信する有線又は無線データ転送システム(例えば、Bluetooth、近距離無線通信(「NFC」)、LoRaなど)の形態であってもよい。次に、この受信機130は、追加の構成要素の動作を制御する電子コントローラ(図示せず)と通信してもよい。
【0032】
例えば、図5に示すように、グリップシェル112は、インジェクタ10の状態の視覚的表示を提供できる照明システム(例えば、LED)132などの任意の数の電子デバイスを含んでもよい。例えば、照明システム132は、システム100が使用可能な状態になったとき、システム100が適切な向きに配置されたとき、無菌バリアが取り外されたとき、身体接触が開始されたとき、カニューレ又は針26が挿入されたとき、針アセンブリ20の位置、システム100が薬剤24の投与を完了したとき、システム100がエラー又は誤動作に遭遇したときなどに、点灯してもよい。グリップシェル112は、同様の情報を明瞭で容易に読み取り可能に伝達できる情報ディスプレイ134を更に含んでもよい。
【0033】
グリップシェル112は、例えば、システム100の動きを感知する運動センサ136(例えば、MEMS運動センサ)などの任意の数の追加のセンサを収容してもよい。次に、このセンサ136は、感知されたデータを照明システム132及び/又は情報ディスプレイ134に送信して、システム100が適切な投与のために十分に静止保持されているかどうかを示してもよい。グリップシェル112はまた、注入部位への適切な接触を感知する皮膚センサ138を収容してもよい。このようなセンサ138は、グリップ接触面113又はその近傍に位置決めされてもよい。更に、グリップシェル112は、投薬が開始した、完了した、エラーに遭遇したことなどの可聴表示を提供する任意の数の音声フィードバック機構140(例えば、電動スピーカ)を含んでもよい。更にまた、グリップシェル112は、シリンジバレル22内の薬剤24の残量を確認するために視認窓128又はその近傍に位置決めされた光学的用量チェック142を収容してもよい。これらの追加システムのいずれか又は全ては、コントローラ、照明システム132、及び/又は情報ディスプレイ134と通信してもよい。グリップシェル112は、任意の数のこれらの構成要素に電力を提供する電源(例えば、バッテリ)を含んでもよい。
【0034】
使用者又は医療専門家に伝達又は提供され得る追加の情報は、遵守監視、強化されたフィードバック、時間及び/又は位置スタンプ、家族、医療専門家などのためのクラウドベースシステムへのデータ接続、衝撃、振動、又は露光などを含むことができる。更に、使用者の処方又は治療レジメンが表示されてもよく、薬剤24の特徴(例えば、色、粘度、及び/又は濁度)、地理的位置決め、安全性及び/又は偽造防止情報、温度、時間、及び/又は空間定位情報、投与量、送達深さ、使用者が行う投与ステップなど。
【0035】
図8に移ると、図2a~図7で説明した付属グリップ110と同様の特徴を含む代替的な付属グリップ210設計を有するデバイス200が提供され、したがって、あまり詳細には説明しない。しかしながら、この図示の例では、付属グリップ210は、トラック状の設置面積を有する略細長ドーム状部材の形態である。グリップシェル212の遠位端212bは、使用者の手のひらの自然な曲面に対応する湾曲状上部把持面212fを形成する。実質的に、湾曲状上部把持面212fは、インジェクタ10の縦軸Lに略直交するが、他の相対角度(例えば、約45°の相対角度)も可能である。このように構成されるので、使用者は、インジェクタ10が所望の指の間に位置決めされることを可能にしながら、デバイス200を手で把持してもよい。このような形状は、グリップ接触面212の全面積を増大させる一方で、デバイス200の重心を低くさせることもあり、それにより、より安定したデバイスを提供することがある。
【0036】
図8図12に移ると、図2a~図8で説明した付属グリップ110、210と同様の特徴を含む代替的な付属グリップ310設計を有するデバイス300が提供され、したがって、あまり詳細には説明しない。付属グリップ110と同じように、付属グリップ310は、近位端312aと、遠位端312bと、近位端312aと遠位端312bとの間に延びる本体312cとを有するグリップシェル312を画定する。付属グリップ310は、グリップシェル312の本体312cに沿って位置決めされた視認窓328と、グリップシェル312の近位端312aに位置決めされた照明システム332とを更に含む。有利には、付属グリップ310は、使用者がインジェクタ10の投与量窓34の約75%を視認できることが視認窓328によって可能となるように設計される。
【0037】
この例では、照明システム332は、色及び/又は光パターンを変化させてデバイスの状態を伝達する多色進行光ガイドの形態である。追加的に、付属グリップ310は、使用者が窓328を通して残りの薬物量をより良好に確認することを可能にするのを補助し得る窓照明342を含む。いくつかの例では、窓照明342は、薬物投与プロセス中に点灯及び/又は照明パターンを選択的に変化させるセンサ光ガイドの形態であってもよい。窓照明342はまた、光学センサアセンブリと協働して薬物投与の進行状況を視認するのを補助してもよい。
【0038】
図10図11cを参照すると、デバイス300は、インジェクタ10の近位端12aをグリップシェル312の遠位端312bから付属グリップ310に下向きに挿入することによって組み立てられる。図10に示すように、グリップシェル312の貫通ボア319は、貫通ボア319の表面に形成された漏斗状溝の形態の案内部分350を含む。案内部分350は、端部領域354aを有するチャネル354に向かって先細りになる幅広の上部領域352を含む。図11a~図11cに示すように、係止部材356が端部領域354a又はその近傍に位置決めされる。インジェクタハウジング11のシェル12は、設置時に案内部分350に係合する、シェル12から外方に延びる任意の数の隆起又は突起15を含む。具体的には、グリップシェル312の貫通ボア319は、1つ又は複数の突起15が案内部分350内に位置決めされたときにのみ1つ又は複数の突起15が貫通ボア319に挿入され得るような寸法に作られる。貫通ボア319へのインジェクタ10の継続的な挿入によって、突起15が案内部分350の側壁350aに係合し、次に、突起15がチャネル354に挿入され、結果としてインジェクタ10の適切な向き及び整合が得られるまで、突起15が先細り状上部領域352の形状に追従するので、比較的幅広の上部領域352を設けることによって、インジェクタ10を不整合構成で付属グリップ310に挿入することができる。
【0039】
図11a~図11cは、インジェクタ10と付属グリップ310との間の係止係合を示す。既に述べたように、係止部材356は、チャネル354の端部領域354a又はその近傍に位置決めされる。係止部材356は、付属グリップ310によって保持され且つ/又は任意の数の好適な手法によって付属グリップ310に固定されてもよい。係止部材356は、内面358によって形成された開口部内に内方に延びる突起360を有する内面358を含む可撓性及び/又は弾性リングの形態である。図11aに示すように、インジェクタ10を下方に付属グリップ310内に移動させると、インジェクタ10の突起15が係止部材356の突起360に接触する。図11bに示すように、インジェクタ10の継続的な下方への挿入によって、図11cに示すように、インジェクタ10の突起15が係止部材356の突起360の下に位置決めされるまで、インジェクタ10の突起15が係止部材356の突起360を外方に付勢する。インジェクタの突起15が係止部材356の突起360を通過した時点で、係止部材356の弾力性によって、係止部材356を再び外方に付勢するのに必要とされる十分な引張力を及ぼすことなく、インジェクタ10が付属グリップ310から取り外されるのを抑制する初期位置まで係止部材356が移動又は素早く移動する。図12に示すように、患者に薬物を投与した時点で、インジェクタ10は、シェル12の近位端12aを硬い表面に押し付けることによって容易に取り外すことができ、これにより、インジェクタ10の突起15が上方に移動して係止部材356を通過する。
【0040】
図13a~図23bに移ると、図2a~図12で説明した付属グリップ110、210、310と同様の特徴を含む代替的な付属グリップ410設計を有するデバイス400が提供され、したがって、あまり詳細には説明しない。付属グリップ110及び310と同じように、付属グリップ410は、近位端412aと、遠位端412bと、近位端412aと遠位端412bとの間に延びる本体412cとを有するグリップシェル412を画定する。付属グリップ410は、グリップシェル412の本体412cに沿って位置決めされた視認窓428と、グリップシェルの近位端412aに位置決めされた照明システム432とを更に含む。付属グリップ410は、受信機(図示せず)と、情報ディスプレイ434と、間接的開始及びフィードバックボタン436と、1つ又は複数の皮膚センサ438と、音声フィードバック機構440とを更に含む。有利には、図14に示すように、付属グリップ410は、使用者がインジェクタ10の投与量窓34の約70%を視認できることが視認窓428によって可能となるように設計される。
【0041】
図15図18cを参照すると、デバイス400は、インジェクタ10の遠位端12bをグリップシェル412の近位端412aから付属グリップ410に上向きに挿入することによって組み立てられる。図15に示すように、グリップシェル412の貫通ボア419は、貫通ボア419の表面に形成された湾曲溝の形態の任意の数の案内部分450を含む。案内部分450は、端部領域454aを有するチャネル454に向かって先細りになる幅広の下部領域452を含む。底部からのインジェクタ10の挿入のため、チャネル454は、視認窓428の略上方に位置決めされた端部領域454aまで視認窓428を通過するように位置決めされる。
【0042】
図17a~図18cに示すように、任意の数(例えば、2つ)の係止部材456が端部領域454a又はその近傍に位置決めされる。既に述べたように、インジェクタハウジング11のシェル12は、設置時に案内部分450に係合する、シェル12から外方に延びる任意の数の隆起又は突起を含む。グリップシェル412の貫通ボア419は、1つ又は複数の突起15が案内部分450内に位置決めされたときにのみ1つ又は複数の突起15が貫通ボア419に挿入され得るような寸法に作られる。貫通ボア419へのインジェクタ10の継続的な挿入によって、突起15が案内部分450の側壁450aに係合し、次に、突起15がチャネル454に挿入され、結果としてインジェクタ10の適切な向き及び整合が得られるまで、突起15が先細り状下部領域452の形状に追従するので、比較的幅広の下部領域452を設けることによって、インジェクタ10を不整合構成で付属グリップ410に挿入することができる。
【0043】
既に述べたように、1つの係止部材(又は複数の係止部材)456は、チャネル454の端部領域454a又はその近傍に位置決めされる。係止部材456は、付属グリップ410によって保持され且つ/又は任意の数の好適な手法によって付属グリップ410に固定されてもよい。係止部材456は、内面458によって形成された開口部内に内方に延びる突起460を有する内面458を含む可撓性及び/又は弾性リングの形態である。図18aに示すように、インジェクタ10の上方への挿入中に、インジェクタ10の突起15は、係止部材456の突起460に接触する。図18bに示すように、インジェクタ10の継続的な上方への挿入によって、図18cに示すように、インジェクタ10の突起15が係止部材456の突起460上に位置決めされるまで、インジェクタ10の突起15が係止部材456の突起460を外方に付勢する。インジェクタの突起15が係止部材456の突起460を通過した時点で、係止部材456の弾力性によって、インジェクタ10が付属グリップから取り外されるのを抑制する初期位置まで係止部材456が移動又は素早く移動する。図示の例では、係止部材456は、係止部材456が初期位置に配置されたときに互いに係合する隆起462及び対応する空洞464の形態の連結機構を更に含む。そのような係合は更に、軸方向の力に対抗し、付属グリップ410からのインジェクタ10の連結解除の発生を低減する。
【0044】
インジェクタ10が付属グリップ410に完全に挿入されたときに、アクチュエータボタン32は、間接的開始及びフィードバックボタン436に当接する。間接的開始及びフィードバックボタン436は、デバイスが使用され得るときに点灯してユーザに警告する照明又は他のフィードバックシステムなどの電子機器を含む。一例では、間接的開始及びフィードバックボタン436は、デバイス400がユーザの皮膚に対して適切に位置決めされているという視覚的表示を提供するために、皮膚センサ438と通信してもよい。間接的開始及びフィードバックボタン436を押圧した時点で、間接的開始及びフィードバックボタン436によって、薬物送達を開始するようにアクチュエータボタン32を係合させる。
【0045】
図19図23bに移ると、薬物を患者に投与した時点で、グリップシェル412の遠位端412bをグリップシェル412の近位端412aに対して約30°回転させることによって、インジェクタ10を容易に取り外すことができる。図19に示すように、グリップシェル412の本体412cは、付属グリップ410からインジェクタ10を取り外すことができるかどうかを使用者が見分けるのを補助するために、近位端412aと遠位端412bとの相対的位置決めについての視覚的表示を提供する。図20図22bに示すように、付属グリップ410は、グリップシェル412の近位端412a及び遠位端412bを互いに対して回転させた時点で、係止機構456がインジェクタ10の突起15に係合しなくなるまで係止機構456を分離させる、リングの形態の解除機構470を更に含む。
【0046】
より具体的には、解除リング470は、第1の部分472aと、外向きに突出したカム474を収容する第2の部分472bとを有する接触面472を含み、支持棚部476を更に含む。図21図22bに示すように、係止機構456は、棚部476上に配置され、係止機構456の内面458は、解除リング470の接触面472に隣接して位置決めされる。図22aに示すように、初期構成では及び薬物投与中に、係止機構456の内面458は、接触面472の第1の部分472aに対して位置決めされる。グリップシェル412の近位端412aをグリップシェル412の遠位端412bに対して回転させた時点で、解除リング470は、係止機構456の内面458が、接触面472の第2の部分472bまで移動し、第2の部分472b上に位置決めされた外向きに突出したカム474に係合するまで、係止機構456に対して回転する。図22bに示すように、係止機構456と解除リング470とのこの係合によって、インジェクタハウジング11のシェル12上に配置された突起15と突起460が係合しなくなるまで係止機構456を外方に移動させる。
【0047】
図23a及び図23bに移ると、付勢機構480は、インジェクタ10をグリップシェル412の近位端412aの外に軽く付勢するように、グリップシェル412の遠位端412bに位置決めされる。付勢機構480は、ケージ482と、移動プラットフォーム484と、付勢部材486とを含む。インジェクタ10を付属グリップ410に挿入した時点で、シェル12の遠位端12b及び/又はアクチュエータボタン32は、移動プラットフォーム484を上方に負荷位置まで移動させ、それにより、インジェクタ10は、ケージ482内に部分的に配置される。インジェクタ10の作動時に、付勢部材486は、移動プラットフォーム484に下向きの力を及ぼしてインジェクタを下方に押す。いくつかの手法では、付勢部材486は、移動プラットフォーム484と螺合される電動駆動アセンブリの形態である。これらの例では、付勢力によって付勢部材が回転し、それにより、移動プラットフォーム484が軸方向に移動する。
【0048】
他の例では、付勢部材486は、移動プラットフォーム484に選択的に連結される圧縮ばねの形態である。インジェクタ10がグリップシェル412に挿入されたときに、移動プラットフォーム484は、図23bによって示す上部構成内に移動プラットフォーム484を保持する留め具に係合してもよい。デバイス400の作動時に、留め具は、移動プラットフォーム484から外れてもよく、これにより、付勢部材486が移動プラットフォーム484に下向きの力を及ぼすことを可能にし、この下向きの力により、移動プラットフォーム484がインジェクタ10を押す。付勢部材の他の例も可能である。
【0049】
付勢部材486は、既に説明した方式でグリップシェル412の近位端412a及び遠位端412bを互いに対して回転させる前又は回転させた後に付勢力を及ぼしてもよい。例えば、移動プラットフォーム484は、インジェクタ10をグリップシェル412から押し出すために使用される力を及ぼし始め得るが、この力は、係止機構がインジェクタ10に及ぼす力に打ち勝つには十分でないことがある。そのように、グリップシェル412の近位端412a及び遠位端412bを回転させた時点で、次に、移動プラットフォーム484がインジェクタ10をグリップシェル412から追い出す。他の例では、付勢部材486を作動させることは、使用者がグリップシェル412の近位端412a及び遠位端412bを回転させた後に行われる別のステップを必要としてもよい。
【0050】
そのように構成されるので、本明細書で説明するグリップシェルは、患者によって再使用可能であってもよく、したがって、説明する複雑なフィードバックシステムは、使い捨てインジェクタ10を使用する一方で、患者のレジメンに組み込まれてもよい。グリップシェル112は、連続使用を可能にするために充電式であってもよい。異なるユーザ人口統計に対応するために、様々なサイズのグリップシェル112、212、312、412が医療提供者に提供されてもよい。追加的に、様々な所望のスマート機能を有するグリップシェル112が、異なる技術的専門知識を有する患者に提供されてもよい。デバイス100、200、300、400は、快適な取り扱いと注入状態の明確なフィードバックとを通して時期尚早の持ち上げのリスクを低下させることによって使いやすさを促進し、ひいては治療ガイドラインへのより高い遵守を容易にするために、異なる特徴(例えば、年齢、スキルセット、経験レベルなど)を有する使用者のために構成されてもよい。そして、これにより、治療結果が改善されることがある。本明細書で説明する接続特性は、デバイスの使用遵守及び使いやすさを更に改善することがある。
【0051】
上記の記載では、薬物送達デバイスに関連する様々なデバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び使用方法について説明している。デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、方法、又は薬物送達デバイスは、以下に特定される薬物、並びにそれらのジェネリック及びバイオシミラー同等品を含むがそれらに限定されない薬物を更に含むことができ、又はこれらとともに使用することができる。本明細書で使用される場合、薬物という用語は、他の類似の用語と交換可能に使用でき、伝統的及び非伝統的な医薬品、栄養補助食品、サプリメント、生物学的製剤、生物学的活性剤及び組成物、大分子、バイオシミラー、生物学的同等物、治療用抗体、ポリペプチド、タンパク質、小分子、及びジェネリック医薬品を含む、任意の種類の薬剤又は治療用材料を指すために使用することができる。非治療的な注入可能材料も包含される。薬物は、液体形態、凍結乾燥形態、又は凍結乾燥形態から再構成されたものであってもよい。以下の例示的な薬物のリストは、網羅的又は限定的であると考えるべきではない。
【0052】
薬物はリザーバに収容される。場合によっては、リザーバは、治療のために薬剤が充填又は事前充填される一次容器である。一次容器は、バイアル、カートリッジ、又は事前充填シリンジとすることができる。
【0053】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバに顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子が充填されてもよく、又は、薬物送達デバイスを顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)などのコロニー刺激因子とともに使用することができる。そのようなG-CSF剤として、Neulasta(登録商標)(ペグフィルグラスチム、PEG化フィルガストリム、PEG化G-CSF、PEG化hu-Met-G-CSF)及びNeupogen(登録商標)(フィルグラスチム、G-CSF、hu-MetG-CSF)を含むが、それらに限定されない。
【0054】
他の実施形態では、薬物送達デバイスは、液体又は凍結乾燥形態であり得る、赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を収容してもよく、又はこれとともに使用されてもよい。ESAは、赤血球産生を刺激する任意の分子である。いくつかの実施形態では、ESAは、赤血球産生刺激タンパク質である。本明細書で使用される場合、「赤血球産生刺激タンパク質」は、例えば、受容体に結合し、受容体の二量化を引き起こすことによって、エリスロポエチン受容体の活性化を直接的又は間接的に引き起こす任意のタンパク質を意味する。赤血球産生刺激タンパク質としては、エリスロポエチン受容体に結合し、これを活性化させるエリスロポエチン及びその変異体、類似体、若しくは誘導体、エリスロポエチン受容体に結合し、この受容体を活性化させる抗体、又はエリスロポエチン受容体に結合し、活性化させるペプチドが挙げられる。赤血球産生刺激タンパク質としては、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコールエポエチンベータ)、Hematide(登録商標)、MRK-2578、INS-22、Retacrit(登録商標)(エポエチンゼータ)、Neorecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Silapo(登録商標)(エポエチンゼータ)、Binocrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、エポエチンアルファHexal、Abseamed(登録商標)(エポエチンアルファ)、Ratioepo(登録商標)(エポエチンシータ)、Eporatio(登録商標)(エポエチンシータ)、Biopoin(登録商標)(エポエチンシータ)、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンイオタ、エポエチンオメガ、エポエチンデルタ、エポエチンゼータ、エポエチンシータ、及びエポエチンデルタ、PEG化エリスロポエチン、カルバミル化エリスロポエチン、並びにそれらの分子又は変異体又は類似体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0055】
特定の例示的なタンパク質の中には、その融合物、断片、類似体、変異体、又は誘導体を含む、以下で説明する特定のタンパク質がある。完全ヒト化及びヒトOPGL特異抗体、特に、完全ヒト化モノクローナル抗体を含む、(RANKL特異抗体、ペプチボディなどとも称される)OPGL特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ミオスタチン特異的ペプチボディを含む、ミオスタチン結合タンパク質、ペプチボディ、関連タンパク質など;特に、IL-4及び/又はIL-13の受容体への結合によって媒介される活動を抑制する、IL-4受容体特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;インターロイキン1-受容体1(「IL1-R1」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Ang2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;NGF特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;CD22特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、特に、ヒト-マウスモノクローナルhLL2κ鎖に結合したヒト-マウスモノクローナルhLL2γ鎖二硫化物の二量体、例えば、エプラツズマブ(CAS登録番号501423-23-0)のヒトCD22特異完全ヒト化抗体などの、ヒトCD22特異IgG抗体を特に含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒトモノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、ヒト化及び完全ヒト抗体などであるがそれに限定されない、ヒトCD22特異抗体;抗IGF-1R抗体を含むがそれに限定されない、IGF-1受容体特異抗体、ペプチボディ、及び関連タンパク質など;B7RP特異完全ヒトモノクローナルIgG2抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1の最初の免疫グロブリン様ドメインのエピトープと結合する完全ヒトIgG2モノクローナル抗体を含むがそれに限定されない、B7RP-1と活性化T細胞上のB7RP-1の自然受容体であるICOSとの相互作用を抑制するものを含むがそれに限定されない、B-7関連タンパク質1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など(「B7RP-1」、B7H2、ICOSL、B7h、及びCD275とも称される);例えば146B7などの、HuMax IL-15抗体及び関連タンパク質を含むがそれらに限定されない、特にヒト化モノクローナル抗体などの、IL-15特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;ヒトIFN γ特異抗体を含むがそれに限定されない、及び完全ヒト抗IFN γ抗体を含むがそれに限定されない、IFN γ特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TALL-1特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など、並びに他のTALL特異結合タンパク質;副甲状腺ホルモン(「PTH」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;トロンボポチエン受容体(「TPO-R」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;肝細胞増殖因子/分散因子(HGF/SF)を中和する完全ヒトモノクローナル抗体などのHGF/SF:cMet軸(HGF/SF:c-Met)を標的とするものを含む、肝細胞増殖因子(「HGF」)特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;TRAIL-R2特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アクチビンA特異抗体、ペプチボディ、タンパク質など;TGF-β特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;アミロイドβタンパク質特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;c-Kit及び/又は他の幹細胞因子受容体と結合するタンパク質を含むがそれらに限定されない、c-Kit特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;OX40L及び/又はOX40受容体の他のリガンドと結合するタンパク質を含むがそれに限定されない、OX40L特異抗体、ペプチボディ、関連タンパク質など;Activase(登録商標)(アルテプラーゼ、tPA)、Aranesp(登録商標)(ダルベポエチンアルファ)、Epogen(登録商標)(エポエチンアルファ、又はエリスロポエチン)、GLP-1、Avonex(登録商標)(インターフェロンβ-1a)、Bexxar(登録商標)(トシツモマブ、抗CD22モノクローナル抗体)、Betaseron(登録商標)(インターフェロン-β)、Campath(登録商標)(アレムツズマブ、抗CD52モノクローナル抗体)、Dynepo(登録商標)(エポエチンデルタ)、Velcade(登録商標)(ボルテゾミブ)、MLN0002(抗α4β7 mAb)、MLN1202(抗CCR2ケモカイン受容体mAb)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Eprex(登録商標)(エポエチンアルファ)、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ、抗EGFR/HER1/c-ErbB-1)、Genotropin(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Herceptin(登録商標)(トラスツズマブ、抗HER2/neu(erbB2)受容体mAb)、Humatrope(登録商標)(ソマトロピン、ヒト成長ホルモン)、Humira(登録商標)(アダリムマブ)、Vectibix(登録商標)(パニツムマブ)、Xgeva(登録商標)(デノスマブ)、Prolia(登録商標)(デノスマブ)、Enbrel(登録商標)(エタネルセプト、TNF-受容体/Fc融合タンパク質、TNF遮断薬)、Nplate(登録商標)(ロミプロスチム)、リロツムマブ、ガニツマブ、コナツムマブ、ブロダルマブ、溶液中のインスリン、Infergen(登録商標)(インターフェロンalfacon-1)、Natrecor(登録商標)(ネシリチド、遺伝子組換え型ヒトB型ナトリウム利尿ペプチド(hBNP)、Kineret(登録商標)(アナキンラ)、Leukine(登録商標)(サルガモスチム、rhuGM-CSF)、LymphoCide(登録商標)(エプラツズマブ、抗CD22 mAb)、Benlysta(商標)(リンフォスタットB、ベリムマブ、抗BlyS mAb)、Metalyse(登録商標)(テネクテプラーゼ、t-PA類似体)、Mircera(登録商標)(メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ)、Mylotarg(登録商標)(ゲムツズマブオゾガマイシン)、Raptiva(登録商標)(エファリズマブ)、Cimzia(登録商標)(セルトリズマブペゴル、CDP 870)、Soliris(商標)(エクリズマブ)、ペキセリズマブ(抗補体C5)、Numax(登録商標)(MEDI-524)、Lucentis(登録商標)(ラニビズマブ)、Panorex(登録商標)(17-1A、エドレコロマブ)、Trabio(登録商標)(レルデリムマブ)、TheraCim hR3(ニモツズマブ)、Omnitarg(ペルツズマブ、2C4)、Osidem(登録商標)(IDM-1)、OvaRex(登録商標)(B43.13)、Nuvion(登録商標)(ビジリズマブ)、カンツズマブメルタンシン(huC242-DM1)、NeoRecormon(登録商標)(エポエチンベータ)、Neumega(登録商標)(オプレルベキン、ヒトインターロイキン-11)、Orthoclone OKT3(登録商標)(ムロモナブ-CD3、抗CD3モノクローナル抗体)、Procrit(登録商標)(エポエチンアルファ)、Remicade(登録商標)(インフリキシマブ、抗TNFαモノクローナル抗体)、Reopro(登録商標)(アブシキシマブ、抗GP lIb/Ilia受容体モノクローナル抗体)、Actemra(登録商標)(抗IL6受容体mAb)、Avastin(登録商標)(ベバシズマブ)、HuMax-CD4(ザノリムマブ)、Rituxan(登録商標)(リツキシマブ、抗CD20 mAb)、Tarceva(登録商標)(エルロチニブ)、Roferon-A(登録商標)(インターフェロンα-2a)、Simulect(登録商標)(バシリキシマブ)、Prexige(登録商標)(ルミラコキシブ)、Synagis(登録商標)(パリビズマブ)、146B7-CHO(抗IL15抗体、米国特許第7,153,507号明細書を参照)、Tysabri(登録商標)(ナタリズマブ、抗α4インテグリンmAb)、Valortim(登録商標)(MDX-1303、抗炭疽菌防御抗原mAb)、ABthrax(商標)、Xolair(登録商標)(オマリズマブ)、ETI211(抗MRSA mAb)、IL-1 trap(ヒトIgG1のFc部分及び両IL-1受容体成分(I型受容体及び受容体補助タンパク質)の細胞外ドメイン)、VEGF trap(IgG1 Fcと融合したVEGFR1のIgドメイン)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ)、Zenapax(登録商標)(ダクリズマブ、抗IL-2Rα mAb)、Zevalin(登録商標)(イブリツモマブチウキセタン)、Zetia(登録商標)(エゼチマイブ)、Orencia(登録商標)(アタシセプト、TACI-Ig)、抗CD80モノクローナル抗体(ガリキシマブ)、抗CD23 mAb(ルミリキシマブ)、BR2-Fc(huBR3/huFc融合タンパク質、可溶性BAFF拮抗薬)、CNTO 148(ゴリムマブ、抗TNFα mAb)、HGS-ETR1(マパツズマブ、ヒト抗TRAIL受容体-1 mAb)、HuMax-CD20(オクレリズマブ、抗CD20ヒトmAb)、HuMax-EGFR(ザルツムマブ)、M200(ボロシキシマブ、抗α5β1インテグリンmAb)、MDX-010(イピリムマブ、抗CTLA-4 mAb、及びVEGFR-1(IMC-18F1)、抗BR3 mAb、抗C.ディフィシル毒素A並びに毒素B C mAb MDX-066(CDA-1)及びMDX-1388)、抗CD22 dsFv-PE38抱合体(CAT-3888及びCAT-8015)、抗CD25 mAb(HuMax-TAC)、抗CD3 mAb(NI-0401)、アデカツムマブ、抗CD30 mAb(MDX-060)、MDX-1333(抗IFNAR)、抗CD38 mAb(HuMax CD38)、抗CD40L mAb、抗Cripto mAb、抗CTGF特発性肺線維症第1期フィブロゲン(FG-3019)、抗CTLA4 mAb、抗エオタキシン1 mAb(CAT-213)、抗FGF8 mAb、抗ガングリオシドGD2 mAb、抗ガングリオシドGM2 mAb、抗GDF-8ヒトmAb(MYO-029)、抗GM-CSF受容体mAb(CAM-3001)、抗HepC mAb(HuMax HepC)、抗IFNα mAb(MEDI-545、MDX-1103)、抗IGF1R mAb、抗IGF-1R mAb(HuMax-Inflam)、抗IL12 mAb(ABT-874)、抗IL12/IL23 mAb(CNTO 1275)、抗IL13 mAb(CAT-354)、抗IL2Ra mAb(HuMax-TAC)、抗IL5受容体mAb、抗インテグリン受容体mAb(MDX-018、CNTO 95)、抗IP10潰瘍性大腸炎mAb(MDX-1100)、BMS-66513、抗マンノース受容体/hCGβ mAb(MDX-1307)、抗メソテリンdsFv-PE38抱合体(CAT-5001)、抗PD1mAb(MDX-1106(ONO-4538))、抗PDGFRα抗体(IMC-3G3)、抗TGFβ mAb(GC-1008)、抗TRAIL受容体-2ヒトmAb(HGS-ETR2)、抗TWEAK mAb、抗VEGFR/Flt-1 mAb、及び抗ZP3 mAb(HuMax-ZP3)。
【0056】
いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、ロモソズマブ、ブロソズマブ、又はBPS 804(Novartis)などであるがそれらに限定されないスクレロスチン抗体、他の実施形態では、ヒトプロタンパク転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)に結合するモノクローナル抗体(IgG)を収容してもよく、又はこれらとともに使用されてもよい。このようなPCSK9特異抗体としては、Repatha(登録商標)(エボロクマブ)及びPraluent(登録商標)(アリロクマブ)が挙げられるが、それらに限定されない。他の実施形態では、薬物送達デバイスは、リロツムマブ、ビキサロマー、トレバナニブ、ガニツマブ、コナツムマブ、モテサニブ二リン酸塩、ブロダルマブ、ヴィデュピプラント、又はパニツムマブを収容してもよく、又はこれらとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスのリザーバには、OncoVEXGALV/CD;OrienX010;G207、1716;NV1020;NV12023;NV1034;及びNV1042を含むがそれらに限定されない、黒色腫又は他の癌の治療用のIMLYGIC(登録商標)(タリモジーンラハーパレプベック)又は別の腫瘍溶解性HSVが充填されてもよく、又はデバイスは、これらとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、TIMP-3などであるがそれらに限定されないメタロプロテイナーゼの内在性組織阻害剤(TIMP)を収容してもよく、又はこれとともに使用されてもよい。エレヌマブ、並びにCGRP受容体及び他の頭痛標的を標的とする二重特異性抗体分子などであるがそれらに限定されないヒトカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体の拮抗的抗体もまた、本開示の薬物送達デバイスを用いて送達されてもよい。加えて、BLINCYTO(登録商標)(ブリナツモマブ)などであるがそれに限定されない二重特異性T細胞誘導(BiTE(登録商標))抗体を、本開示の薬物送達デバイスにおいて又はこれとともに使用することができる。いくつかの実施形態では、薬物送達デバイスは、アペリン又はその類似体などであるがそれらに限定されないAPJ大分子アゴニストを収容してもよく、又はこれとともに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、治療的有効量の抗胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)又はTSLP受容体抗体が本開示の薬物送達デバイスにおいて又はこれとともに使用される。
【0057】
薬物送達デバイス、アセンブリ、構成要素、サブシステム、及び方法を、例示的な実施形態の観点から説明してきたが、それらは例示的な実施形態に限定されるものではない。本詳細説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本開示の考え得る全ての実施形態を説明しているわけではない。現行の技術又は本特許の申請日以降に開発された技術のいずれかを使用して、多くの代替的な実施形態を実施することができるが、このような実施形態はなお、本明細書に開示される本発明を定義する請求項の範囲内に含まれる。
【0058】
当業者であれば、本明細書に開示される本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく上記の実施形態に対して多種多様な修正、変更、及び組み合わせを施すことができ、そうした修正、変更、及び組み合わせは本発明の概念の範囲にあると解釈されるべきであることを理解するであろう。
図1
図2a
図2b
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図12
図13a
図13b
図14
図15
図16
図17
図18a
図18b
図18c
図19
図20
図21
図22a
図22b
図23a
図23b