(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】大静脈ベンチュリ
(51)【国際特許分類】
A61F 2/06 20130101AFI20241217BHJP
A61B 17/11 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
A61F2/06
A61B17/11
(21)【出願番号】P 2021561765
(86)(22)【出願日】2020-04-01
(86)【国際出願番号】 US2020026094
(87)【国際公開番号】W WO2020214416
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2023-04-03
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500218127
【氏名又は名称】エドワーズ ライフサイエンシーズ コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Edwards Lifesciences Corporation
【住所又は居所原語表記】One Edwards Way, Irvine, CALIFORNIA 92614, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ボアズ・マナッシュ
(72)【発明者】
【氏名】エラン・ゴールドバーグ
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0024527(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0287704(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0261531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/06
A61B 17/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の流体脈管同士の間に流体流を確立するためのデバイスであって、
第1の流体脈管内に植え込まれるように構成された導管構造体であって、前記導管構造体は、導管入口と導管出口との間に延在する導管ルーメンを画定する外方壁部を備え、前記導管構造体は、前記導管入口と前記導管出口との間に位置決めされた狭窄部分を備え、前記狭窄部分は、前記導管入口または前記導管出口の少なくとも一方の直径未満である狭窄ルーメン直径を備える、導管構造体と、
前記第1の流体脈管に隣接する第2の流体脈管内において少なくとも部分的に植え込まれるように構成され、前記導管構造体の前記狭窄部分に対して装着されるように構成された、シャント構造体であって、前記導管ルーメンと流体連通状態になるように構成されたシャントルーメンを備える、シャント構造体と
を備え
、
前記シャント構造体は、前記シャントルーメンを画定するルーメン部分を含み、
前記ルーメン部分は、前記第1の流体脈管及び前記第2の流体脈管の外部に配置され、
前記ルーメン部分の一端は、前記第1の流体脈管内に位置し、前記導管構造体の前記狭窄部分に対して装着されるように構成され、前記ルーメン部分の他端は、前記第2の流体脈管内に位置する、デバイス。
【請求項2】
前記シャントルーメンは、前記狭窄ルーメン直径以下であるシャントルーメン直径を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記シャントルーメン直径は、前記狭窄ルーメン直径の0.8倍以下である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記シャント構造体は、前記第2の流体脈管の少なくとも一部分に対して固定されるように構成されたシャントアンカーを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記シャントアンカーは、前記第2の流体脈管内において径方向に展開され、前記第2の流体脈管の壁部と接触状態に配置されるように適合されたステントを備える、請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の流体脈管は腹大動脈であり、前記第2の流体脈管は下大静脈である、請求項1から5のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記導管構造体は、径方向に拡張することにより前記第1の流体脈管の壁部に係合するように構成された自己拡張性ステントフレームを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項8】
前記自己拡張性ステントフレームは、送達構成および拡張構成を有し、前記自己拡張性ステントフレームは、前記拡張構成へと付勢される、請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記導管構造体および前記シャント構造体のそれぞれが、自己拡張性構造体を備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項10】
前記導管構造体および前記シャント構造体のそれぞれが、形状記憶材料を含み、拡張構成へと付勢される、請求項1から9のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項11】
前記導管構造体は、前記狭窄部分と前記導管出口との間に分岐部を備え、前記導管構造体は、前記分岐部の下流に出口をさらに備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項12】
前記導管出口の直径は、前記狭窄ルーメン直径と同一である、請求項1から11のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記導管出口の直径は、前記狭窄ルーメン直径よりも大きい、請求項1から12のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記狭窄ルーメン直径は、前記導管入口の直径の0.8倍未満である、請求項1から13のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項15】
患者の流体脈管同士の間に流体流を確立するためのシステムであって、
第1の流体脈管内に植え込まれるように構成された導管構造体であって、前記導管構造体は、前記導管構造体の第1の端部と前記導管構造体の第2の端部との間に延在する導管ルーメンを備え、前記導管構造体は、前記第1の端部と前記第2の端部との間に配設された幅狭部分を備え、前記幅狭部分の直径が、前記第1の端部の直径または前記第2の端部の直径の少なくとも一方未満である、導管構造体と、
前記導管構造体の前記幅狭部分に対して装着され、前記第1の流体脈管に隣接する第2の流体脈管内に少なくとも部分的に配設されるように構成されたシャント構造体と
を備え、
前記導管構造体は、前記第2の流体脈管から前記第1の流体脈管内へと前記シャント構造体を介して流体を引き込むように構成され
、
前記シャント構造体は、前記導管ルーメンと流体連通状態になるように構成されたシャントルーメンを画定するルーメン部分を含み、
前記ルーメン部分は、前記第1の流体脈管及び前記第2の流体脈管の外部に配置され、
前記ルーメン部分の一端は、前記第1の流体脈管内に位置し、前記導管構造体の前記幅狭部分に対して装着されるように構成され、前記ルーメン部分の他端は、前記第2の流体脈管内に位置する、システム。
【請求項16】
前記導管構造体および前記シャント構造体を取り外し可能に受けるための送達カテーテルをさらに備え、前記送達カテーテルは、前記導管構造体または前記シャント構造体の少なくとも一方を圧縮送達構成に保持するように構成される、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記導管構造体は、自己拡張性を有し、前記送達カテーテルは、前記導管構造体を摺動的に受けるように構成されたシースを備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記送達カテーテルは、前記第1の流体脈管内において前記導管構造体を展開するように構成された径方向拡張可能バルーンを備える、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記送達カテーテルは、前記第1の流体脈管と前記第2の流体脈管との間において前記シャント構造体を展開するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記シャント構造体は、前記第2の流体脈管の壁部に対接するように前記シャント構造体の少なくとも一部分を固定するように構成されたシャントアンカーを備える、請求項15から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記シャントアンカーは、前記第2の流体脈管内において径方向に展開されるように構成されたステントを備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記シャントアンカーは、ディスク形状形態を備える、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1の流体脈管は大動脈であり、前記第2の流体脈管は下大静脈である、請求項15から22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記導管構造体の前記幅狭部分の前記直径は調節可能である、請求項15から23のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年4月18日に出願された「Transcaval Venturi」と題する米国仮特許出願第62/835,610号に基づく優先権を主張する。この仮特許出願の全内容が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、医用デバイスおよび医療手技の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
うっ血性心不全(CHF)は罹患者の多い疾患である。うっ血性心不全のいくつかの例では、例えば右心不全などの結果として体循環系うっ血が生じ得る。これは、息切れ、倦怠感をもたらし、最終的には入院治療に至り得る。
【0004】
血管同士の間のシャントが、血管間に血流を確立するために使用され、様々な症状の治療のために使用される。かかるシャントの1つの態様は、シャントを介して血液を流すことである。しかし、血流が過剰に低いと所望の治療成果を得ることができない場合があり、血流が過剰に高いと他の合併症を引き起こす場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、例えばうっ血性心不全および他の症状の治療が望まれ得るような血管同士の間に流体連通を確立するためのシステム、デバイス、および方法を説明する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実装形態において、本開示は、患者の流体脈管同士の間に流体流を確立するためのデバイスに関する。このデバイスは、第1の流体脈管内に植え込まれるように構成された導管構造体を備え、この導管構造体は、導管入口と導管出口との間に延在する導管ルーメンを画定する外方壁部を備え、導管構造体は、導管入口と導管出口との間に位置決めされた狭窄部分を備える。この狭窄部分は、導管入口または導管出口の少なくとも一方の直径未満である狭窄ルーメン直径を備える。また、デバイスは、第1の流体脈管に隣接する第2の流体脈管内において少なくとも部分的に植え込まれるように構成され、導管構造体の狭窄部分に対して装着されるように構成された、シャント構造体を備える。シャント構造体は、導管ルーメンと流体連通状態になるように構成されたシャントルーメンを備える。
【0007】
シャントルーメンは、狭窄ルーメン直径以下であるシャントルーメン直径を備えることが可能である。例えば、シャントルーメン直径は、狭窄ルーメン直径の0.8倍以下であることが可能である。いくつかの実施形態では、シャント構造体は、第2の流体脈管の少なくとも一部分に対して固定されるように構成されたシャントアンカーを備えることが可能である。シャントアンカーは、第2の流体脈管内において径方向に展開され、第2の流体脈管の壁部と接触状態に配置されるように適合されたステントを備えることが可能である。第1の流体脈管は腹大動脈であり、第2の流体脈管は下大静脈であることが可能である。
【0008】
導管構造体は、径方向に拡張することにより第1の流体脈管の壁部に係合するように構成された自己拡張性ステントフレームを備えることが可能である。例えば、自己拡張性ステントフレームは、送達構成および拡張構成を有することが可能であり、自己拡張性ステントフレームは、拡張構成へと付勢される。いくつかの実施形態では、導管構造体およびシャント構造体のそれぞれが、自己拡張性構造体を備えることが可能である。導管構造体およびシャント構造体のそれぞれが、形状記憶材料を含むことが可能であり、拡張構成へと付勢される。いくつかの実施形態では、導管構造体は、狭窄部分と導管出口との間に分岐部を備え、導管構造体は、分岐部の下流に出口を備えることが可能である。
【0009】
いくつかの実施形態では、導管出口の直径は、狭窄ルーメン直径と同一であることが可能である。さらに、いくつかの実施形態では、導管出口の直径は、狭窄ルーメン直径よりも大きいことが可能である。狭窄ルーメン直径は、導管入口の直径の0.8倍未満であることが可能である。
【0010】
いくつかの実装形態において、本開示は、患者の流体脈管同士の間に流体流を確立するためのシステムに関する。このシステムは、第1の流体脈管内に植え込まれるように構成された導管構造体を備え、この導管構造体は、導管構造体の第1の端部と導管構造体の第2の端部との間に延在する導管ルーメンを備え、導管構造体は、第1の端部と第2の端部との間に配設された幅狭部分を備える。幅狭部分の直径が、第1の端部の直径または第2の端部の直径の少なくとも一方未満である。また、このシステムは、導管構造体の幅狭部分に対して装着され、第1の流体脈管に隣接する第2の流体脈管内に少なくとも部分的に配設されるように構成されたシャント構造体を備える。導管構造体は、第2の流体脈管から第1の流体脈管内へとシャント構造体を介して流体を引き込むように構成される。
【0011】
このシステムは、導管構造体およびシャント構造体を取り外し可能に受けるための送達カテーテルをさらに備えることが可能であり、この送達カテーテルは、導管構造体またはシャント構造体の少なくとも一方を圧縮送達構成に保持するように構成される。導管構造体は、自己拡張性を有し、送達カテーテルは、導管構造体を摺動的に受けるように構成されたシースを備えることが可能である。送達カテーテルは、第1の流体脈管内において導管構造体を展開するように構成された径方向拡張可能バルーンを備えることが可能である。送達カテーテルは、第1の流体脈管と第2の流体脈管との間においてシャント構造体を展開するように構成されることが可能である。
【0012】
シャント構造体は、第2の流体脈管の壁部に対接するようにシャント構造体の少なくとも一部分を固定するように構成されたシャントアンカーを備えることが可能である。例えば、シャントアンカーは、第2の流体脈管内において径方向に展開されるように構成されたステントを備えることが可能である。シャントアンカーは、ディスク形状形態を備えることが可能である。いくつかの実施形態では、第1の流体脈管は大動脈であり、第2の流体脈管は下大静脈であることが可能である。さらに、いくつかの実施形態では、導管構造体の幅狭部分の直径は調節可能であることが可能である。
【0013】
いくつかの実装形態において、本開示は、流体脈管同士の間に流体連通を確立する方法に関する。この方法は、標的位置へと送達カテーテルを前進させるステップであって、送達カテーテルが導管構造体と導管構造体上に装着されたシャント構造体とを備える、ステップと、第1の流体脈管と第1の流体脈管に隣接する第2の流体脈管との間の解剖学的構造体内へと送達カテーテルを前進させるステップと、第2の流体脈管内において導管構造体を展開するステップであって、導管構造体が第1のセクションと、第2のセクションと、第1のセクションおよび第2のセクションを貫通して延在するルーメンとを備え、第2のセクションの直径が第1のセクションの直径よりも小さい、ステップと、シャント構造体が第1の流体脈管内へと延在し、導管構造体の第2のセクションに対して連結された状態において、第1の流体脈管と第2の流体脈管との間の解剖学的構造体内においてシャント構造体を展開するステップとを含む。
【0014】
標的位置へと送達カテーテルを前進させるステップは、第1の流体脈管内で送達カテーテルを前進させるステップを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、この方法は、第1の流体脈管と第2の流体脈管との間の解剖学的構造体内に通路を形成するステップをさらに含むことが可能である。解剖学的構造体内に送達カテーテルを前進させるステップは、通路内に送達カテーテルを前進させるステップを含むことが可能である。第1の流体脈管と第2の流体脈管との間の解剖学的構造体内においてシャント構造体を展開するステップは、シャント構造体を通過する流体流を除き、流体流が通路を通過することが防止されるように、通路を封止するステップを含むことが可能である。
【0015】
第1の流体脈管と第2の流体脈管との間の解剖学的構造体内においてシャント構造体を展開するステップは、第2の流体脈管内において導管構造体を展開するステップの後に実施されることが可能である。いくつかの実施形態では、シャント構造体は、アンカーを備え、この方法は、第1の流体脈管内においてアンカーを展開するステップをさらに含む。第1の流体脈管内においてアンカーを展開するステップは、第1の流体脈管と第2の流体脈管との間の解剖学的構造体内においてシャント構造体を展開するステップの後に実施されることが可能である。第1の流体脈管は下大静脈であり、第2の流体脈管は大動脈であることが可能である。
【0016】
標的位置へと送達カテーテルを前進させるステップは、大腿静脈および下大静脈を通り送達カテーテルを前進させるステップを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、この方法は、標的位置へと送達カテーテルを前進させるステップの前に、送達カテーテルに対してシャント構造体を固定するステップをさらに含むことが可能である。さらに、いくつかの実施形態では、この方法は、第2の流体脈管内において導管構造体を展開するステップのときに、導管構造体の第2のセクションの直径を調節するステップをさらに含むことが可能である。導管構造体の第2のセクションの直径を調節するステップは、導管構造体の第2のセクションの直径を縮小するために、導管構造体を貫通して延在するテンショニングラインを使用するステップを含むことが可能である。
【0017】
第2の流体脈管内において導管構造体を展開するステップは、導管構造体を径方向に拡張するステップを含み、第1の流体脈管と第2の流体脈管との間の解剖学的構造体内においてシャント構造体を展開するステップは、シャント構造体を径方向に拡張するステップを含むことが可能である。いくつかの実施形態では、導管構造体およびシャント構造体のそれぞれが、自己拡張性を有する。さらに、いくつかの実施形態では、送達カテーテルは、シースを備え、第2の流体脈管内において導管構造体を展開するステップは、導管構造体に対してシースを摺動的に後退させるステップを含み、第1の流体脈管と第2の流体脈管との間の解剖学的構造体内においてシャント構造体を展開するステップは、シャント構造体に対してシースを摺動的に後退させるステップを含む。
【0018】
本明細書において開示される各要素は、要素の具体的な組合せが本明細書内の図面に明示されない場合があっても、本明細書において開示されるあらゆる要素と共に使用することが可能である点を理解されたい。換言すれば、特定のデバイスの説明に基づくことにより、当業者が特定の2つのかかるデバイスの特徴を組み合わせることに苦労することはほぼないはずである。したがって、これらの要素の中の多くは互換的なものであり、本開示はそれらのあらゆる置換を範囲に含む点を理解されたい。
【0019】
本開示の他の目的、特徴、および利点は、以下の詳細な説明を考察することにより明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】1つまたは複数の実施形態による患者内において展開された一例のデバイスの側面図である。
【
図2A】1つまたは複数の実施形態による一例のデバイスの側面図である。
【
図2B】1つまたは複数の実施形態による一例のデバイスの第1の端面図である。
【
図2C】1つまたは複数の実施形態による一例のデバイスの底面図である。
【
図2D】1つまたは複数の実施形態による一例のデバイスの第2の端面図である。
【
図3】1つまたは複数の実施形態による一例のステント部分の概略図である。
【
図4-1】1つまたは複数の実施形態による単一漏斗形状部分を有する一例のデバイスの正面図である。
【
図4-2】1つまたは複数の実施形態による患者内において展開された
図4-1のデバイスを示す図である。
【
図5】1つまたは複数の実施形態による治療を伴う腎臓の正面部分断面図である。
【
図6】1つまたは複数の実施形態による一例のデバイスの側面図である。
【
図7A】1つまたは複数の実施形態によるステント状フレーム部分の側方断面図である。
【
図7B】1つまたは複数の実施形態によるステント状フレーム部分の側方断面図である。
【
図7C】1つまたは複数の実施形態によるステント状フレーム部分の側方断面図である。
【
図8A】1つまたは複数の実施形態による一例のステント状フレーム部分の端面図である。
【
図8B】1つまたは複数の実施形態による一例のステント状フレーム部分の斜視図である。
【
図8C】1つまたは複数の実施形態による一例のステント状フレーム部分の側面図である。
【
図9】1つまたは複数の実施形態による一例のデバイスの側面図である。
【
図10】1つまたは複数の実施形態による一例のデバイスの側面図である。
【
図11A】1つまたは複数の実施形態による送達カテーテルを伴った一例のデバイスの概略側方部分断面図である。
【
図11B】1つまたは複数の実施形態による送達カテーテルを伴った一例のデバイスの概略側方部分断面図である。
【
図11C】1つまたは複数の実施形態による送達カテーテルを伴った一例のデバイスの概略側方部分断面図である。
【
図11D】1つまたは複数の実施形態による送達カテーテルを伴った一例のデバイスの概略側方部分断面図である。
【
図12A】1つまたは複数の実施形態による一例のデバイスの送達および展開の最中における患者の解剖学的構造体の正面図である。
【
図12B】1つまたは複数の実施形態による一例のデバイスの送達および展開の最中における患者の解剖学的構造体の正面図である。
【
図12C】1つまたは複数の実施形態による一例のデバイスの送達および展開の最中における患者の解剖学的構造体の正面図である。
【
図12D】1つまたは複数の実施形態による一例のデバイスの送達および展開の最中における患者の解剖学的構造体の正面図である。
【
図13】1つまたは複数の実施形態による患者の1つまたは複数の血管内にデバイスを植え込むための一例のプロセスを示す図である。
【
図14】1つまたは複数の実施形態によるステントとして実装されたアンカーを伴った一例のデバイスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、特定の実施形態および実施例を開示するが、本対象は、具体的に開示される実施形態にとどまらず他の代替的な実施形態および使用にまで、ならびにその修正形態および均等物にまで範囲が及ぶ。したがって、本明細書に基づき得る特許請求の範囲は、本明細書において説明される特定の実施形態のいずれによっても限定されない。例えば、本明細書において開示されるいずれの方法またはプロセスにおいても、その方法またはプロセスの行為または操作は、任意の適切な順序において実施され得るものであり、いかなる特定の開示された順序に対しても必ずしも限定されない。様々な操作が、特定の実施形態の理解を促すことの補助となり得るように、複数の別個の操作として順に説明される場合があるが、説明の順序は、それらの操作が順序依存的なものであることを示唆するとは解釈されるべきではない。さらに、本明細書において説明される構造体、システム、およびデバイスは、一体的な構成要素としてまたは別個の構成要素として具現化され得る。様々な実施形態の比較を目的として、これらの実施形態の特定の態様および利点が説明される。かかる態様または利点のすべてが、任意の特定の実施形態により必ずしも実現されるわけではない。したがって、例えば、様々な実施形態は、本明細書において教示されるような1つの利点または利点群を実現または最適化するように実施され得るが、本明細書において教示または示唆され得るような他の態様または利点を必ずしも実現しない。
【0022】
本明細書において、「に関連付けられた」という用語は、その広範かつ通常の意味にしたがって使用される。例えば、第1の特徴、第1の要素、第1の構成要素、第1のデバイス、または第1の部材が、第2の特徴、第2の要素、第2の構成要素、第2のデバイス、または第2の部材「に関連付けられた」ものとして説明される場合に、かかる説明は、第1の特徴、第1の要素、第1の構成要素、第1のデバイス、または第1の部材が、直接的であるか間接的であるかに関わらず、第2の特徴、第2の要素、第2の構成要素、第2のデバイス、または第2の部材に対して物理的に結合される、装着される、もしくは連結される、一体化される、中に少なくとも部分的に埋設される、または他の様式で物理的に関連付けられることを示唆するものとして理解されるべきである。
【0023】
本開示のシステム、デバイス、および方法は、様々な外科手技および低侵襲手技、経皮手技、ならびに他の手技において使用することが可能である。いくつかの実施形態では、これらの方法、システム、およびデバイスは、カテーテルを介して患者の動脈系内へと(例えば大腿動脈または上腕動脈を通り)送達および展開され得る。
【0024】
図1は、1つまたは複数の実施形態による、静脈12(例えば下大静脈)および動脈14(例えば腹大動脈)などの隣接し合う流体脈管内において送達または植込みをされるように構成されたデバイス10を示す。図示の容易化のために、
図1は、静脈12および動脈14を断面において、ならびにデバイス10を非断面において図示する。デバイス10は、シャント構造体16、24(「シャント部分16、24」とも呼ぶ)を備えてもよく、このシャント構造体16、24は、静脈12と動脈14との間の解剖学的構造体内に、または静脈12もしくは動脈の中に少なくとも部分的に、植込みまたは展開されるように構成される。植込みまたは展開されると、シャント構造体16、24は、静脈12と動脈14との間に延在するか、または静脈12もしくは動脈14の中に少なくとも部分的に延在することができる。またいくつかの例では、デバイス10は、導管構造体18(「ステント部分18」とも呼ぶ)を備えてもよく、この導管構造体18は、動脈14または静脈12などの流体脈管内に植込みまたは展開されるように構成される。導管構造体18は、シャント構造体16、24に対して連結され得る。
【0025】
シャント部分16、24は、ルーメン部分16またはアンカー部分24(「アンカー24」または「シャントアンカー24」とも呼ぶ)を備え得る。ルーメン部分16は、中にルーメンを有する細長形状部を有し得る。いくつかの実施形態では、ルーメン部分16は、円筒形状部、矩形形状部、または他の形状部を有する。ルーメン部分16は、静脈12内に位置決めまたは植込みされるように構成されたシャント入口端部20と、動脈14内に位置決めまたは植込みされるように構成されたシャント出口端部22とを有してもよく、したがってこれらの血管同士の間に流体通路を形成する。シャント入口端部20は、アンカー部分24に対して固定されてもよく、このアンカー部分24は、静脈12内に固定されるように適合されたステントまたは同様の構造体であることが可能である。アンカー部分24は、例えばシャント入口端部20が静脈12内へまたは静脈12外へ摺動するのを防止するためになど、所望の位置にシャント入口端部20を保持するのを補助し得る。いくつかの実施形態では、アンカー部分24は、ディスク状形状部またはテーパ形状部を有してもよく、「ディスク状構造体またはテーパ状構造体24」とも呼ばれ得る。いくつかの実施形態では、アンカー部分24は、動脈14内で展開されているものとして図示されるステント部分18と同様の様式にて、静脈12内で展開されるように適合されたステントとして実装されてもよい。シャント出口端部22は、ステント部分18に対して固定されてもよく、このステント部分18は、動脈14内で展開される。
【0026】
図2A~
図2Dでは、デバイス10がより詳細に示される。ステント部分18は、入口端部28と出口端部30との間に延在するステント壁部26を有し、ステントルーメン32が、入口端部28と出口端部30との間においてステント壁部26内を貫通する。ステント入口部分34およびステント出口部分36は、テーパ状中間部分38(「幅狭部分38」または「狭窄部分38」とも呼ぶ)により分割されてもよく、このテーパ状中間部分38において、ステントルーメン32は幅狭である。テーパ状中間部分38は、入口直径40aよりも細い内径40bを有するオリフィス39を画定する。また、この内径40bは、外径40cよりも細くてもよい。入口直径40aは、特定の用途に応じて決定され得るものであり、例えばステント部分が中に展開される血管の特徴などにより決定され得る。例えば、腎動脈下腹部大動脈内において展開されるように適合されたステント部分の場合には、入口直径40aは1.5~4cmであってもよい。オリフィス内径40bは、入口直径40aの0.90以下であってもよく、入口直径40aの0.80以下であってもよく、入口直径40aの0.70以下であってもよく、入口直径40aの0.60以下であってもよく、入口直径40aの0.50以下であってもよく、入口直径40aの0.40以下であってもよく、またはそれよりも小さくてもよい。他の直径もまた、本開示の範囲内に含まれる。
【0027】
ステント部分18は、腹大動脈などの所望の流体脈管内において展開されるように寸法設定され得る。ステント部分18は、ステント長さ42およびステント外径44を有する。ステント外径44は、展開構成にある場合に、ステント壁部26が血管壁に係合するように所望の血管の内径に合致するように適合され得る。ステント長さ42およびステント外径44は、ステント部分が中で展開されることとなる脈管を含む特定の用途により決定され得る。例えば、腹大動脈用途では、ステント長さ42は、40~80mmであってもよく、直径44は、1.5~4cmであってもよい。他の寸法もまた本開示の範囲内に含まれる。
【0028】
ルーメン部分16は、シャント入口端部20とシャント出口端部22との間に延在するシャントルーメン46を有し得る。シャントルーメン直径48は、シャント長さ50に沿って一定であってもよく、テーパリング等により長さ50に沿って変化してもよい。いくつかの実施形態では、アンカー部分24は、静脈12内にアンカー部分24を固定的に着座させるように、しかし静脈12を通る血流を実質的に阻止することがないように寸法設定され得る。例えば、アンカー部分24は、静脈12内の所望の位置にアンカー部分24を固定的に着座させるのに十分な直径52を有してもよく(例えば直径52がある特定の範囲内、ある閾値超、またはある閾値未満であってもよいなど)、またはアンカー部分24が静脈12内に過度に延在せず(例えばある特定の距離を超えて延在せず)したがってそれによりアンカー部分24による静脈12内における血流の実質的な阻止が防止されるように、十分に小さい(例えばある特定の範囲内、ある閾値未満、またはある閾値超など)厚さ54を有してもよい。シャント長さ50は、デバイス10が中で展開される隣接し合う血管の間の距離を横断するのに十分なものであってもよく、シャントルーメン直径48は、ある特定の用途にとって望ましいように十分な血流の通過を許容するように選択される。
【0029】
いくつかの実施形態では、導管構造体18、ルーメン部分16、またはアンカー部分24などのデバイス10の要素のいずれもが、ステントまたはステント状構造体などの、可撓性材料もしくは可撓性メッシュまたはワイヤフレーム構造体から形成され得る。例えば、可撓性材料もしくは可撓性メッシュまたはワイヤフレーム構造体が、十分な力が印加されない限りある特定の形状を維持してもよい。いくつかの実施形態では、可撓性材料もしくは可撓性メッシュまたはワイヤフレーム構造体が、金属、プラスチック、シリコーン、または他の材料から形成されてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、可撓性材料もしくは可撓性メッシュまたはワイヤフレーム構造体が、カバーリング(「ライニング」とも呼ぶ)を備えてもよく、このカバーリングは、フレーム構造体の外部部分または内部部分の上に配設されてもよい。導管構造体18は、多くの図においてステントとして実装されているものとして図示されるが、他の形状を有してもよい。例えば、導管構造体18は、金属、プラスチック、または他の物質から形成された、実質的に円筒状の構造体もしくは実質的に矩形の構造体またはチューブとして実装されてもよい。
【0030】
図1および他の図は、実質的に均一な直径を有するものとしてステント部分18に沿った動脈14の壁部を図示するが、これらの壁部は、いくつかの例ではステント部分18の幅狭領域に合わせて形成される場合がある。例えば、いくつかの実施形態では、ステント部分18の幅狭領域付近における動脈14の壁部(例えばルーメン部分16がステント部分18に対して連結される位置)は、デバイス10の展開後にまたは時間の経過とともにステント部分18に向かって変形または収縮することにより、ステント部分18の幅狭領域の外壁部に対して形状合致してもよい。他の実施形態では、幅狭領域付近における動脈14の壁部は、
図1に図示するように比較的均一の直径を有したままであってもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、本開示は、流体がルーメンの狭窄領域を通過して流れるときに流体圧力の降下が発生するベンチュリ効果に基づくシステム、デバイス、および方法を説明する。圧縮不能な非粘性流(水流および他の液体流など)の場合においてベルヌーイの定理を使用することにより、かかる狭窄部における理論上の圧力降下が以下により算出できる。
【0032】
【0033】
ここで、v=箇所1および箇所2における流体速度であり、A=箇所1および箇所2における断面積であり、ρ=密度である。
【0034】
本開示のいくつかの実施形態では、この対応するベルヌーイの定理は、以下により展開することができる。
【0035】
【0036】
したがって、いくつかの実施形態では、シャントに血液を引き通すためのオリフィスにおける圧力は、以下のように算出され得る。
【0037】
【0038】
ここで、血液については以下のとおりとなる。
【0039】
【0040】
腹大動脈圧力、腹大動脈流速、および腹大動脈直径の既知の数値(平均値)を利用することにより、オリフィス内の血圧P2における変化が、様々なパラメータに関して算出できる。
【0041】
【0042】
本開示の1つまたは複数のデバイスの動作原理の例が
図3に示される。入口部分34から出口部分36へ送られる血流は、幅狭テーパ状部分38を通過する。この幅狭テーパ状部分38を通過する血流の速度が上昇することにより、入口部分血圧56および出口部分血圧が、幅狭部分血圧58よりも高くなる。血圧降下59は、静脈からシャントを通り動脈内のステント部分内へと血液を引くのを補助し、これにより静脈圧が降下する一方で動脈圧が上昇し得る。
【0043】
いくつかの実施形態では、本開示によるステントは、
図1および
図2A~
図2Dにおけるものなどの砂時計形状を有してもよく、または他の形状を有してもよい。例えば、
図4-1に示すように、デバイス60が、比較的幅広の入口端部64およびより幅狭の出口端部66を有する単一漏斗形状部分68を有するステント部分62を有してもよい。出口端部66は、テーパ状部分または漏斗部分68の遠位端部に位置してもよく、シャント部分70(「ルーメン部分70」とも呼ぶ)は、テーパ状部分または漏斗部分68の下流端部に位置する幅狭オリフィス部分72内にて終端する。
【0044】
図4-2に示すように、デバイス60(および本明細書において論じる他のデバイス)は、患者の下大静脈80および腹大動脈82の中にまたはそれらの間に位置決めされ得る。いくつかの実施形態では、デバイス60は、腎動脈84および腎静脈86の遠位方向に位置決めされてもよく、または大動脈分岐部88の近位に位置決めされてもよい。しかし、デバイス60および本明細書において論じる任意の他のデバイスは、大動脈、大静脈、または他の解剖学的構造体の中の他の位置など、他の位置に位置決めされてもよい。いくつかの実施形態では、デバイスが、相互に隣接して位置し得るまたはある距離をおいて離間され得る他の血管などの他の流体脈管の中にまたはそれらの間に位置決めされる。
【0045】
例えば
図1および
図4に示されるように、下大静脈から腹大動脈内へ血液を引き込むために展開された場合に、本開示のデバイスは、
図5に示すように腎臓90の機能を改善することができる。例えば、このデバイスは、腹大動脈内の血圧を上昇させることが可能であり、これにより腎動脈92内の血圧が上昇し得る。また、かかるデバイスの展開により、下大静脈内の血圧が降下し得ることによって、腎静脈94内の血圧が降下し得る。腎静脈圧の降下と腎動脈圧の上昇との組合せにより、腎臓90を通過する血流が上昇し、これにより腎機能が改善され得る。
【0046】
ステント部分は、様々な形態であってもよい。例えば、グラフト状ステント部分100が、
図6に示すようにグラフト状構成のライナ104に対して固定された複数のステント状部分102a、102bから形成されてもよい。ステント部分100の幅狭部分106内のステント状部分102aは、ステント部分100のより幅広な部分108内のステント状部分102bの直径よりも小さな直径を有するように寸法設定されてもよい。各ステント状部分102a、102bは、カテーテルシースの拘束から個別に解放されることによってまたはカテーテルバルーン拡張により個別に拡張されることによってなど、相互に無関係に拡張可能であってもよい。グラフト状ステント部分100は、漏斗形状(
図4-1、
図4-2、および
図6に示すものと同様の)、砂時計形状(
図1に示すものと同様の)、または他の形状であってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、ステント部分が、細長円環体状形状を備えることが可能である。例えば、直径が急激に狭められた領域を、
図1および
図2A~
図2Dに示すようなオリフィスの各側に比較的大きなテーパセクションを有さないデバイスに設けることが可能である。示すために、例えば、
図7A~
図7Cの側方断面図に示すものなど、幅狭直径ルーメンのある領域が、デバイスの全長にわたりまたは実質的にデバイスの全長にわたり延在することが可能である。いくつかの実施形態では、ステント部分を形成するために、チューブルーメン112と両端部116a、116bを有するチューブ壁部114とを有する金属メッシュチューブ110(
図7A)が提供され得る。両端部116a、116bは、チューブルーメン112の中へと折り返されることが可能であり(
図7B)、最終的にこれらの両端部116a、116bが相互に接触する(
図7C)。両端部116a、116bは、縫合糸、ワイヤ連結、またはその他などにより相互に対して固定され得る。結果的に得られたステント部分120(
図8A~
図8C)は、ステント外径124を画定する外方壁部部分122と、ステント内方ルーメン128を画定する内方壁部部分126とを有し得る。対向側に位置する入口端部130aおよび出口端部130bは、ステント内方ルーメン128の各端部に位置する。ステント内方ルーメン128は、外方壁部部分122よりも狭い直径132を有してもよく、したがってデバイスが中に植え込まれる血管の管腔よりも狭い(例えば実質的に狭い)ステント内方ルーメン128が画定され得る。いくつかの実施形態では、ステント部分120は、オープンメッシュを有するが、血流の大部分がオリフィスまたは内方ルーメン128の中へと送られるのに十分な密度のメッシュ網目(例えば)を有してもよく、その結果としてオリフィスまたは内方ルーメン128内において血流速度が上昇し血圧が降下する。さらに、いくつかの実施形態では、ステント部分120は、内方壁部部分126を覆うライニングと組み合わされることによりオリフィスまたは内方ルーメン128に血流(例えば実質的にすべて、ある一定量、等)を通過させもよく、オリフィスまたは内方ルーメン128内においてその結果として血流速度が上昇し血圧が降下する。かかるステント部分120は、本願の他の箇所で図示されるものなどのシャント部分および他の要素と組み合わせることが可能であり、そのシャントの入口端部は、内方壁部部分126に対して固定されて、このシャントを経由したオリフィスまたは内方ルーメン128内への流体連通を確立することによってデバイスを形成する。
【0048】
いくつかの実施形態では、ステント部分140が、
図9に示すように調節可能なオリフィス直径144を有するオリフィス142を有してもよい。このオリフィス直径144は、ラッソ縫合糸146、またはオリフィス142を締め付けるおよび緩めることによりオリフィス直径144を変更させ得る他の機構を介して調節可能であってもよい。かかる調節具は、ニチノール等の自己拡張性材料から形成されたフレームを有するステント部分140に対して特に適用可能となり得る。オリフィス直径の調節は、ラッソ縫合糸146または他の機構を使用してオリフィス直径144に対して実施されるべき所望の修正を評価するために、デバイスの展開前、展開中、または展開後の患者の血行動態反応を考察し得る(例えばエコー流量評価等を利用してなど)外科医または他のユーザによって実施され得る。かかるラッソ縫合糸または機構は、本明細書において開示される展開方法のいずれかなどの様々な展開手順と組み合わせることが可能である。かかる手順および方法において、オリフィス直径144の調節は、患者内においてデバイスを前進させる前に、初期展開中に、初期展開直後に、または例えば送達カテーテルが患者から完全に除去された後などしばらくの後に実施されてもよい。いくつかの実施形態では、ラッソは、ラッソの近位端部が例えば患者の体外付近などに位置決めされ、それによりユーザによるアクセスが可能となるように、以降においてオリフィス直径144を調節するためにデバイスに対して固定された状態にとどめられてもよい。
【0049】
図10は、オリフィス154の周囲のステントフレームセクション152が拡張可能である一例のステント部分150を示す。例えば、ステントフレームセクション152は、ステンレス鋼、コバルトクロム、塑性変形可能材料、または他の物質から形成され得る。オリフィス直径156は、外科医または他のユーザがオリフィス154内にバルーンカテーテルを導入しこのバルーンを拡張させてオリフィス直径156を拡大させることによって調節され得る。かかるオリフィス直径の調節は、バルーンまたは他の拡張機構を使用したオリフィス直径156に対して実施されるべき所望の修正を評価するために、デバイスの展開前、展開中、または展開後に生じ得る患者の血行動態反応の考察中または考察後に(例えばエコー流量評価等を利用してなど)、外科医または他のユーザによって実施され得る。オリフィス直径156のかかる拡張は、デバイスが最初に患者内で展開される時点に実施されてもよく、またはデバイス展開後に実施されてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、初期展開後にステント部分のオリフィスを拡張することが望ましい場合がある。例えば、オリフィス周囲のステントフレームまたは他の構造体が変形可能材料から形成される場合には、外科医または他のユーザが、バルーンカテーテルまたは他の拡張機構を使用することにより、例えばオリフィスが治療前の血管と同じ幅になるまでなど、オリフィスが完全開位置へと拡張される場合などのはるかにより幅広い直径を含むより幅広い直径へとオリフィスを拡張することができる。オリフィス周囲のステントフレームまたは他の構造体が自己拡張性材料から形成される場合には、外科医または他のユーザは、縫合糸または他の拡張制御機構を緩めるまたは切断することにより、オリフィスを所望のより幅広い直径へと迅速に拡張することができる。かようなオリフィスの幅拡張は、患者からデバイスを除去する代わりにまたはその前に実施されてもよい。いくつかの実施形態では、患者からのデバイスの除去は、デバイスに係合しカテーテル内へ引き戻し得る縫合糸または他の機構を使用することなどによる、除去カテーテル内へデバイスを引き込むこと、または送達カテーテル内へデバイスを引き戻すことを含み得る。
【0051】
図11A~
図11Dは、1つまたは複数の実施形態によるデバイス162および送達カテーテル164を備える一例のシステム160を示す。この送達カテーテル164は、遠位端部166および近位端部168を有し、デバイス162は、遠位端部166の付近でカテーテル164に対して固定される。カテーテル164は、細長本体170を有し、デバイス162またはその複数部分を囲み保護する後退可能シース172を備え得る。この後退可能シース172は、デバイス162またはその複数部分の望ましくない拡張をさらに防ぎ得る(デバイス162またはその複数部分が自己拡張する場合など)。カテーテル164は、バルーン174、またはデバイス162の複数部分を機械的に拡張し得る他の拡張機構を備えてもよい。
【0052】
いくつかの実施形態では、ハンドル176が、カテーテル164の近位端部168に設けられてもよい。ハンドル176は、シースを後退させるための、またはバルーンもしくは他の拡張機構を拡張もしくは収縮させるための制御部を備えてもよい。
【0053】
デバイス162は、第1の血管内で展開するための第1の部分180、第2の血管内で展開するための第2の部分182、または第1の部分180および第2の部分182を連結し第1の血管と第2の血管との間に延在するように適合されたルーメン部分184を備え得る。いくつかの実施形態では、第2の部分182またはルーメン部分184が、シャント構造体またはシャント部分を形成してもよい。デバイス162は、本明細書において論じるデバイスのいずれかからなり得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、システム160は、第1の血管190および第2の血管192の中でデバイス162を展開するために患者内へと前進され得る。
図11Bに示すように、カテーテル164は、第2の血管192を経由して第1の血管190内へと前進されてもよく、これは第1の血管190と第2の血管192との間において外科医、介入者、または他のユーザにより形成された通路194を通過するカテーテル164により実現され得る。カテーテル164は、第1の部分180が第1の血管190(腹大動脈など)内に位置する、第2の部分182が第2の血管192(下大静脈など)内に位置する、またはルーメン部分184が通路194内に位置決めされる状態において、デバイス162が位置決めされるように前進され得る。
【0055】
図11Cに示すように、第1の部分180は、第1の血管190内の定位置で拡張され得る(例えばシース172を後退させる、ラッソを緩める、またはバルーン174などの拡張機構を作動させるなどにより)。次いで、
図11Dに示すように、第2の部分182は、第2の血管192内(例えばその壁部付近)で拡張するように解放され得るまたは他の方法で展開され得る(例えばシース172を後退させる、ラッソを緩める、またはバルーン174などの拡張機構を作動させるなどにより)。いくつかの実施形態では、シャント184が、第1の部分180の展開もしくは拡張の後に、または第2の部分182の展開もしくは拡張の前に行われ得る径方向拡張など(例えばシース172を後退させる、ラッソを緩める、またはバルーン174などの拡張機構を作動させるなどによる)によって、展開構成へと移行されてもよい。デバイス162が適切に展開された状態において、カテーテル164は患者から除去することが可能である。
図11Cおよび
図11Dでは、第1の部分180が実質的に均一な直径を有して図示されるが、本開示の他の部分でも同様に論じられるように、第1の部分180は、幅狭領域(例えばルーメン部分184が第1の部分180に対して連結される位置)を有してもよい。
【0056】
デバイス162が所望の位置にて展開された後に、例えば
図9および
図10に関連して論じ図示した調節が、オリフィス直径に対して実施されてもよい。いくつかの実施形態では、かかる調節は、カテーテル164を使用して(例えばカテーテルバルーン174を使用して)実施されてもよい。いくつかの例では、カテーテル164は、所望の調節がオリフィス直径に対して行われるまで患者から除去されなくてもよい。いくつかの例では、調節は、外科医または他のユーザによる患者の血行動態反応の考察(例えばエコー流量評価等を利用した)と組み合わせて実施されてもよい。
【0057】
下大静脈から腹大動脈内へ血液を供給するコンテクストに関連して例を論じるが、本明細書において論じるデバイスおよび方法のいずれもが、腹大動脈から下大静脈内へまたは他の流体脈管同士の間で血液または他の流体を供給するために使用され得る。例えば、
図11A~
図11Cのコンテクストのいくつかの実施形態では、デバイス162の第1の部分180は、下大静脈内において展開または位置決めされ、デバイス162の第2の部分182は、腹大動脈内において展開または位置決めされてもよい。この場合に、腹大動脈からの血液は、デバイス162を通り下大静脈内へと送られ得る。
【0058】
図12A~
図12Dは、1つまたは複数の実施形態による、下大静脈204などの第2の血管から腹大動脈202などの第1の血管内への血流を実現するためにデバイス200を展開する一例の方法を示す。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤが、下大静脈204と腹大動脈202との間で前進され得る(例えばいくつかの場合ではスネアリング技術を利用してなど)。例えば、
図12Aに示すように、スネア206が、大腿動脈208を経由して(例えば大腿動脈208に至る患者の切開部を経由して)腹大動脈202内へと前進され、大腿動脈分岐部210と腎動脈212との間のある位置まで進み得る。また、ガイドワイヤ214が、大腿静脈216を経由して(例えば大腿静脈216に至る患者の切開部を経由して)下大静脈204内へと別個に前進され、大腿静脈分岐部218と腎静脈220との間のある位置まで進み得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ214の前進は、下大静脈204と腹大動脈202との間に通路222を形成する(例えば穿刺により)ように適合されたカテーテルまたは他の要素の前進を含むか、またはその前進により進められ得る。ガイドワイヤ214は、通路222を通りまたは通路222を形成して腹大動脈202内へと前進され、スネア206に係合し得る。いくつかの実施形態では、スネア206は、(例えば下大静脈204から腹大動脈202内へ跨るための標的位置を識別するための撮像と共に使用される)腹大動脈202内にガイドワイヤ214を案内するのを支援するための標識または標的として使用され得る。追加的にはまたは代替的には、スネア206は、腹大動脈202内へとガイドワイヤ214を引き込むために使用され得る。いくつかの実施形態では、ガイドワイヤ214は、腹大動脈202内に引き込まれると、
図12Bに示すように腹大動脈202をさらに上方へと(すなわち患者の心臓に向かって)前進され得る。一方で他の実施形態では、ガイドワイヤ214は、腹大動脈202内への初期進入点の近傍内にとどまり得る。
【0059】
図12Cに示すように、送達カテーテル226が、大腿静脈216を経由して(大腿静脈216に至る患者の穿孔を経由することを含む)下大静脈204内へ進み、通路222を通過し腹大動脈202内へと前進され得る。送達カテーテル226の前進は、ガイドワイヤ214に沿ってまたはその上で送達カテーテルを前進させることを含み得る。送達カテーテル226は、
図11A~
図11Dに示す送達カテーテルと同様のものであってもよい。
【0060】
次いでデバイス200は、所望の位置にて送達カテーテル226を介して展開され得る(
図11A~
図11Dに関連して図示および説明されるデバイスおよび方法を使用することによってなど、カテーテルシースの引抜き、バルーンの拡張等の利用により)。デバイス200が適切に展開された後に、送達カテーテル226またはガイドワイヤ214は患者から引き抜かれ得る。
図12Dでは、カテーテルの引抜き後のデバイス200が図示される。
【0061】
図13は、本開示の1つまたは複数の実施形態による、患者の1つまたは複数の脈管内にデバイスを植え込むための一例のプロセス300を示す。いくつかの実施形態では、プロセス300は、下大静脈などの第1の流体脈管内または大動脈などの第2の流体脈管内にデバイスを植え込むために実施され得る。説明を容易化するために、以下に論じる多数の実施形態は、大動脈および下大静脈と、大動脈および下大静脈内への特定構造体の植込みに関し得る。プロセス300は、他の流体脈管内への構造体の植込みのために利用されてもよく、これらの構造体は、以下に説明するものとは異なる様式で大動脈および下大静脈内に植え込まれてもよい点を理解されたい。
【0062】
ブロック302にて、シャント構造体または導管構造体が、送達カテーテルに対して固定され得る。例えば、シャント構造体または導管構造体は、ヒトの解剖学的構造体内に構造体を送達するために収縮状態または他の状態で送達カテーテルに対して装着され得る。シャント構造体または導管構造体は、ヒトの解剖学的構造体内に送達カテーテルを前進させる前に送達カテーテルに対して装着され得る。
【0063】
ブロック304にて、送達カテーテルは、標的位置まで前進され得る。例えば、送達カテーテルは、大腿静脈を通過し、下大静脈内の所望の位置まで前進され、この所望の位置にて、送達カテーテルは腹大動脈内へと跨ることとなる(例えば以下において論じるように通路を経由してなど)。いくつかの実施形態では、送達カテーテルは、ヒトの解剖学的構造体内に位置するガイドワイヤの上をまたはそれに沿って前進される。
【0064】
ブロック306にて、通路が、第1の流体脈管と第2の流体脈管との間に形成され得る。いくつかの実施形態では、送達カテーテルが標的位置まで前進される前などに、ガイドワイヤが、第1の流体脈管と第2の流体脈管との間に通路を形成するために使用される。そのため、いくつかの場合では、ブロック306はブロック304の前に実施されてもよい。代替的にはまたは追加的には、いくつかの実施形態では、送達カテーテルが通路を形成するために使用される。第1の流体脈管は第2の流体脈管に隣接して位置してもよく、例えば直に隣接する、特定の距離の範囲内に位置する等であってもよい。
【0065】
ブロック308にて、送達カテーテルは、第1の流体脈管と第2の流体脈管との間の解剖学的構造体内に前進され得る。例えば、送達カテーテルは、下大静脈から通路を通過し腹大動脈内へと前進され得る。
【0066】
ブロック310にて、導管構造体は、第2の流体脈管内において展開され得る。例えば、導管構造体は、腹大動脈内に植え込まれ得る。いくつかの実施形態では、送達カテーテルはシースを備える。導管構造体は、導管構造体に対してシースを摺動的に後退させることにより、または導管構造体を径方向に拡張することにより展開され得る。いくつかの実施形態では、導管構造体は、第1のセクションと、第2のセクションと、第1のセクションおよび第2のセクションを貫通して延在するルーメンとを備える。いくつかの例では、第2のセクションの直径は、第1のセクションの直径よりも小さくてもよい。さらに、いくつかの例では、導管構造体は自己拡張性を有してもよい。
【0067】
ブロック312にて、シャント構造体は、第1の流体脈管と第2の流体脈管との間の解剖学的構造体内において展開され得る。例えば、シャント構造体は、導管構造体に対して連結された状態において、通路内に、または少なくとも部分的に下大静脈内に植え込まれ得る。いくつかの実施形態では、送達カテーテルはシースを備える。シャント構造体は、シャント構造体に対してシースを摺動的に後退させることにより、またはシャント構造体を径方向に拡張することにより展開され得る。いくつかの実施形態では、シャント構造体は自己拡張性を有する。さらに、いくつかの実施形態では、シャント構造体は、導管構造体が展開された後に展開される。
【0068】
ブロック314にて、アンカーが、第1の流体脈管内において展開され得る。例えば、シャント構造体は、下大静脈内において展開され得るアンカーを備えてもよい。いくつかの実施形態では、アンカーは、シャント構造体が展開された後に展開される。さらに、いくつかの実施形態では、シャント構造体を展開するかまたはアンカーを展開することにより、流体流がシャント構造体の通過を除いてこの通路を通過するのを防ぐように、この通路を封止し得る(または封止することを含み得る)。
【0069】
ブロック316にて、導管構造体の直径が調節され得る。例えば、導管構造体の第2のセクション(例えば幅狭部分)または導管構造体の他のセクションの直径が、縮小または拡大され得る。いくつかの実施形態では、テンショニングラインが、導管構造体の第2のセクションの直径を縮小するために使用されてもよい。テンショニングラインは、導管構造体を貫通して延在し得る。代替的にはまたは追加的には、いくつかの実施形態では、送達カテーテル上のバルーンが、導管構造体の第2のセクションの直径を拡大または縮小するために使用されてもよい。導管構造体の直径は、第2の流体脈管内において導管構造体を展開するときに調節されてもよい。
【0070】
図14は、1つまたは複数の実施形態による、アンカーがステントとして実装された一例のデバイス400を示す。デバイス400は、大動脈404などの第1の流体脈管内に植え込まれるように構成された導管構造体402、または静脈408などの第2の流体脈管内にもしくは第1の流体脈管と第2の流体脈管との間の解剖学的構造体内に植え込まれるように構成されたシャント構造体406、410を備え得る。いくつかの例では、デバイス400は、血液などの流体を静脈408から大動脈404内へとシャント構造体406、410を介して引き込むように構成される。
【0071】
導管構造体402は、入口端部418(例えば第1の端部)および出口端部416(例えば第2の端部)を有してもよく、ステントルーメンがこの導管構造体402内に貫通する。導管構造体402は、
図14では導管構造体402の中間部に示される幅狭部分または幅狭セクションを有し得る。この幅狭部分または幅狭セクションは、導管構造体402に沿った他の位置に位置してもよい点を理解されたい。幅狭部分または幅狭セクションは、入口端部418または出口端部416よりも小さい直径を有し得る。
【0072】
シャント構造体406、410は、ルーメン部分410またはアンカー部分406を備え得る。ルーメン部分410は、中にルーメンを有する細長形状部を有し得る。ルーメン部分410は、静脈408内に位置決めされるもしくは植え込まれるように構成されたシャント入口端部412(例えば第1の端部)と、大動脈404内に位置決めされるもしくは植え込まれるようにまたは導管構造体402の幅狭セクションに対して連結されるように構成されたシャント出口端部414(例えば第2の端部)とを有し得る。アンカー部分406は、
図14に示す位置なの適切な位置にルーメン部分410を保持するように構成され得る。この例では、アンカー部分406は、
図14に示すように静脈408の1つまたは複数の壁部に接触するように植込みの最中に径方向に拡張するように構成されたステントとして実装される。いくつかの例では、ステントは、幅狭セクションを有さない点を除いて、導管構造体402(導管構造体402がステントとして実装される場合)と同様の材料および構造を備えてもよい。例えば、アンカー部分406は、可撓性材料もしくは可撓性メッシュまたはワイヤフレーム構造体を備えてもよい。アンカー部分406は、流体がアンカー部分406を通過してまたはルーメン部分410内へと流れるのを可能にするためのルーメンを備えてもよい。いくつかの実施形態では、アンカー部分406は、
図14に示すように導管構造体402よりも長さが短くてもよい。一方で他の実施形態では、アンカー部分406は、導管構造体402に対して長さが同一であるまたはより長い場合がある。
【0073】
流体脈管は、動脈、静脈、毛細血管等の、流体を運び得る任意の解剖学的構造体を含み得る。本明細書では、血管(例えば大動脈系または静脈系の血管など)に関連して特定の実施形態が開示されるが、本開示のデバイスはいずれも、心臓または心循環系に関連する任意の空洞または脈管を含む、患者の解剖学的構造体の任意の脈管、器官、または空洞内に少なくとも部分的に植え込まれ得る点を理解されたい。本明細書において、「流体」という用語は、気体、液体、またはそれら2つの組合せを指し得る。
【0074】
本明細書において論じるデバイスの中の1つまたは複数において使用するためのステントフレームは、所望の特定の用途および構造体に応じて様々な材料から形成することが可能である。例えば、ポリマーまたは他の材料が使用可能であるのと同様に、ニチノール、CoCr、ステンレス鋼、および他の金属が使用されてもよい。いくつかの実施形態では、ステントフレームは、チューブもしくは平坦形状物から切断されるか(例えばレーザ切断)、拡張可能形状物(例えばジグザグ形状物)へと形成される円形物から作製されるか、またはメッシュ状構造物等を含むワイヤ編組物もしくは他のワイヤ形状物から形成されることが可能である。ライニングは、織成材料、薄メッシュ状材料等の様々な材料から作製され得る。ライナ材料の例としては、繊維、ポリマー、ePTFA、縫合糸、電界紡糸材料、および組織(例えば心膜)が含まれる。これらのフレームまたはライナ材料のいずれか、およびそれらの任意の組合せが、本明細書において図示および説明されるデバイスのいずれにおいても使用可能である。
【0075】
シースを介して定位置内にカテーテルを前進させることを含む、治療のための様々なアプローチが、本開示の範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、経カテーテルアプローチが大腿動脈を介して実施される。例えば、植込み手技は、経大静脈アクセスを利用した経カテーテル大動脈弁置換(TAVR)手技または経カテーテル大動脈弁植込み(TAVI)手技と同様のものが可能である。
【0076】
デバイスを展開する手順のいくつかの例では、大腿動脈アクセスが、TAVR手技での使用向けに寸法設定されたアクセスシースを介して実現される。大腿動脈などの体内血管へ続く切開部が患者に形成され得る。アクセスシースの遠位端部が、この切開部および大腿動脈を経由して大動脈内の所望の位置へと前進され、ハブが、切開部またはアクセス部位の付近の患者の体外付近に位置決めされ得る。ガイドワイヤが、大腿アクセス部位から(および例えば人工大動脈弁を展開する場合には大動脈弓を経由し患者の左心室内に)前進され得る。撮像用カテーテルまたは送達カテーテルの操縦可能シャフトが、標準的なオーバーザワイヤ技術などによりガイドワイヤ上で前進されて、デバイスの遠位端部を標的位置まで前進させ得る。例えば、このデバイスは、ガイドワイヤルーメンを有し得る。エコー技術、蛍光透視技術、または他の視覚化技術が、電気生理学的3Dマッピング技術に加えて使用されてもよい。治療または植込み展開は、標的位置にてデバイスを展開することなどによって実施され得る。適切な展開が確認されると、カテーテルは患者から除去することが可能となり、ガイドワイヤは患者から除去することが可能となり、シースは患者から除去することが可能となり、切開部は縫合糸などにより閉じられ得る。
【0077】
上記のように、本開示は、うっ血性心不全または他の症状を治療することが望まれ得るような血管同士の間に流体連通を確立するためのデバイス、システム、および方法を対象とする。
【0078】
いくつかの実施形態では、デバイスが、第1の血管部分と、第2の血管部分と、第1の血管部分と第2の血管部分とを連結するシャント部分とを有する。第1の血管部分は、動脈などの第1の血管内において展開されるように適合され、第1の血管内に局所的低圧を発生させることにより第2の血管(例えば静脈)からシャントを経由して第1の血管内へと流体を引き込むように形状設定される。その結果、第2の血管系(例えば静脈系)に対する負荷が低下する。このデバイスが腹大動脈と下大静脈との間に植え込まれると、腹大動脈および腎動脈内の圧力が上昇し、下大静脈および腎静脈内の圧力が降下することにより、腎機能が改善され得る。
【0079】
いくつかの実施形態では、患者の血管同士の間で血流を確立するためのデバイスが、ステント入口とステント出口との間に延在するステントルーメンを画定するステント外方壁部を有するステント部分を備え得る。このステント部分は、入口と出口との間に位置決めされたステント狭窄部分を有し得る。ステント入口はステント入口ルーメン直径を有し、ステント出口はステント出口ルーメン直径を有し、ステント狭窄部分は狭窄ルーメン直径を有し得る。狭窄ルーメン直径は、ステント入口直径またはステント出口直径の0.80未満であり得る。ステント部分は、ステント壁部が第1の血管の血管壁に対して径方向に係合する状態で第1の血管内に位置決めされるように適合され得る。シャントデバイスが、シャント部分を備えてもよく、このシャント部分は、シャント部分の両端部にシャント入口およびシャント出口を有し、シャントルーメンが、シャント入口からシャント出口まで延在し得る。シャント出口は、ステント狭窄部分に対して固定されてもよく、シャントルーメンは、ステントルーメンと流体連通状態にあり、シャント部分は、シャント入口がステント部分から離れて位置決めされるように、ステント部分から非平行方向に延在し得る。シャントルーメン直径は、狭窄ルーメン直径以下であってもよく、または狭窄ルーメン直径未満であってもよい。シャントルーメン直径は、狭窄ルーメン直径の0.80以下であってもよい。
【0080】
本開示によるシャントデバイスは、シャント入口に対して固定されたシャントアンカーを備えてもよく、シャントアンカーは、下大静脈などの第2の血管の壁部に対接して位置決めされるように適合される。シャントアンカーは、第2のステントであってもよく、この第2のステントは、第2の血管内におよび第2の血管の壁部と接触状態において径方向に展開されるように適合されてもよい。
【0081】
ステント部分は、自己拡張性を有してもよく、または例えばニチノールから形成された形状記憶金属フレームなどの自己拡張性ステントフレームを有してもよい。自己拡張性ステントフレームは、送達構成および拡張構成を有してもよく、自己拡張性ステントフレームは、拡張構成へと付勢されてもよい。ステント部分およびシャント部分は、共に自己拡張性を有してもよく、共に形状記憶材料から形成されてもよく、または拡張構成へと付勢されてもよい。
【0082】
シャントデバイスは、血管の分岐セクション内で展開されるように適合されてもよい。ステント部分は、狭窄部分とステント出口との間に分岐部を備えてもよく、ステント部分は、この分岐部の下流に二次ステント出口を有し得る。
【0083】
ステント出口ルーメン直径は、狭窄ルーメン直径と同一であってもよく、または狭窄ルーメン直径よりも実質的に大きくてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、患者の血管同士の間で血流を確立するためのシステムが、本明細書で送達カテーテルとの組合せにおいて論じられるシャントデバイスのいずれかを備えてもよい。送達カテーテルは、遠位部分、細長中央部分、および近位部分を備え得る。遠位部分は、圧縮送達構成にデバイスを保持するように適合され、遠位部分および細長中央部分は、経皮的に患者内に前進されるように適合され得る。送達カテーテル遠位部分は、シャントデバイスまたはその複数部分が自己拡張性を有する場合などに、ステント部分、シャント部分、またはシャントデバイスのシャントアンカーを摺動的に受けるように適合されたシースを有してもよい。送達カテーテル遠位部分は、シャントデバイスの1つまたは複数の部分を径方向に拡張させるように適合された径方向拡張可能バルーンを備えてもよい。
【0085】
カテーテル遠位部分は、大腿静脈および下大静脈を介してならびに下大静脈と大動脈との間に形成された通路を通り大動脈まで経皮的に前進されるように適合されてもよい。
【0086】
いくつかの実施形態では、方法が、血管同士の間に流体連通を確立することを含み得る。これらの方法は、本明細書において開示されるものなどの送達カテーテルと、本明細書において開示されるものなどのシャントデバイスとを有するシステムを用意することを含み得る。これらの方法は、第1の血管と第2の血管との間に連結通路を形成することと、シャントデバイスが固定されたカテーテル遠位部分を所望の治療部位まで前進させることであって、シャントデバイスが固定されたカテーテル遠位部分を第1の血管および連結通路に通して第2の血管内へと前進させることを含む、前進させることと、第2の血管内においてステント部分を展開することと、シャント出口が第2の血管と流体連通状態にある状態でシャント部分を連結通路内において展開することとを含み得る。連結通路内においてシャント部分を展開することは、第1の血管内においてステント部分を展開した後に実施されてもよい。シャントデバイスがシャント出口に対して固定されたアンカーデバイスを有する場合には、方法が、第2の血管内においてアンカーデバイスを展開することを含んでもよい。連結通路内においてシャント部分を展開することは、第1の血管内においてステント部分を展開した後に実施されてもよく、第2の血管内においてアンカーデバイスを展開することは、連結通路内においてシャント部分を展開した後に実施されてもよい。
【0087】
通路内においてシャント部分を展開した後に、または第1の血管内においてステント部分を展開した後に、これらの血管同士の間に延在する通路は、シャントルーメンを通過する流体流を除き、流体流がこの通路を通過することを防ぐためにシャントデバイスにより封止されてもよい。
【0088】
第1の血管は大動脈であってもよく、第2の血管は下大静脈であってもよい。シャントデバイスが固定されたカテーテル遠位部分を所望の治療部位まで前進させることは、大腿静脈を通り下大静脈内へと送達カテーテル遠位部分を前進させることを含んでもよい。
【0089】
いくつかの実施形態では、方法が、カテーテル遠位部分に対してシャントデバイスを固定することを含んでもよく、これは、システム製造の最中に実施されてもよく、または患者内へのシャントデバイスの展開においてシステムを使用する直前に、外科医、介入者、もしくは他のユーザにより実施されてもよい。
【0090】
このシステムは、テンショニングラインを有してもよく、このテンショニングラインは、ステント部分を貫通して延在し、狭窄ルーメン直径を調節するように適合され得る。かかるシステムにおいては、展開方法は、第1の血管内においてステント部分を展開した後に、テンショニングラインに対して張力を印加することにより狭窄ルーメン直径を縮小することを含んでもよい。
【0091】
ステント部分またはシャント部分が拡張可能である(例えば自己拡張性を有する)場合には、血管内においてステント部分を展開することは、ステント部分を径方向拡張することを含んでもよく、連結通路内においてシャント部分を展開することは、シャント部分を径方向拡張することを含んでもよい。
【0092】
自己拡張性シャントデバイスの場合には、カテーテル遠位部分はシースを有してもよい。血管内においてステント部分を展開することは、ステント部分に対してシース部分を摺動的に後退させることを含んでもよく、連結通路内においてシャント部分を展開することは、シャント部分に対してシース部分を後退させることを含んでもよい。
【0093】
いくつかの実施形態では、本明細書において開示される任意の実施形態の任意の要素およびその個々の要素が、本明細書において開示される任意の他の実施形態およびその個々の要素と共に使用されることが可能である。
【0094】
列挙されたすべての寸法は、例示的なものであり、本開示によるデバイスは、それらの具体的な数値外および範囲外の寸法を有してもよい。デバイスおよびその要素の寸法および形状は、特定の用途に依拠し得る。
【0095】
別様のことが指摘されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野における当業者が通常理解するような意味と同一の意味を有する。以下、本開示の様々な実施形態の確認を容易化するために、用語の説明を付する。
【0096】
単数形「1つの(a、an)」および「その(the)」は、文脈により別様のことが明示されない限り、複数の言及対象を含む。「または」という用語は、文脈により別様のことが明示されない限り、挙げられた二者択一要素または2つ以上の要素の組合せの中の単一の要素を指す。
【0097】
「含む」という用語は「備える」を意味する。例えば、AおよびBを含むまたは備えるデバイスは、AおよびBを包含するが、任意にはCまたはAおよびBを除く他の構成要素を包含する場合がある。さらに、AまたはBを含むまたは備えるデバイスは、AもしくはBを包含するか、またはAおよびBを包含する場合があり、任意にはCなどの1つまたは複数の他の構成要素を包含する場合がある。
【0098】
「被験者(subject)」という用語は、ヒト被験者および他の動物の被験体の両方を指す。特定の実施形態では、被験者は、ヒト、または霊長類、ネコ、イヌ、ウシ、ウマ、齧歯類、ヒツジ、ヤギ、もしくはブタなどの他の哺乳動物である。一例では、被験者はヒト患者である。
【0099】
本明細書において説明されるものと同様または均等な方法および材料を、本開示の実施または試験において使用することが可能であるが、適切な方法および材料を以下に記載する。矛盾がある場合には、用語を含む本明細書が優先される。さらに、これらの材料、方法、および例は例示的なものにすぎず、限定的なものとしては意図されない。
【0100】
本開示の実施形態の上記の説明は、排他的なものとしては意図されず、または上記に開示した厳密な形態に対して本開示を限定するものとして意図されない。例示を目的として具体的な実施形態および例を上述したが、当業者には理解されるように、様々な均等な修正形態が本開示の範囲内において可能である。例えば、プロセスまたはブロックが所与の順序で示されるが、代替的な実施形態が複数ステップを有するルーチンを異なる順序で実施してもよく、または複数ブロックを有するシステムを異なる順序で使用してもよく、いくつかのプロセスまたはブロックが削除、移動、追加、分割、結合、または修正されてもよい。これらのプロセスまたはブロックのそれぞれが、様々な異なる方法で実施されてもよい。また、時としてプロセスまたはブロックが逐次的に実施されるものとして示される場合があるが、これらのプロセスまたはブロックは、並行して実施されてもよく、または異なる時点にて実施されてもよい。
【0101】
本明細書では、特定の位置用語が様々な開示の実施形態に関連して使用される。本明細書では、「外方の」、「内方の」、「上方の」、「下方の」、「より下の」、「より上の」、「垂直方向の」、「水平方向の」、「頂部の」、「底部の」、および同様の用語などのいくつかの空間相対用語が、あるデバイスもしくは要素または解剖学的構造体に対する他のデバイスもしくは要素または解剖学的構造体の空間関係を説明するために使用されるが、これらの用語は、図面に示すような要素同士または構造体同士の間の位置関係を説明するために説明の容易化を目的として使用されることが理解される。空間相対用語は、図面に示す配向に加えて、使用時または動作時における要素または構造体の異なる配向を包含するように意図される。例えば、他の要素または構造体の「上方に」位置するものとして記載されるある要素または構造体は、被験者である患者または要素もしくは構造体の二者択一的な配向に対してかかる他方の要素または構造体の下方にまたは側方に位置する位置を表し得る、およびその逆の位置関係の位置を表し得る。
【0102】
中でも特に「可能である」、「可能かもしれない」、「し得るかもしれない」、「し得る」、および「例えば」等の本明細書において使用される条件語は、別様のことが明示されない限りまたは用いられるような文脈内で別様に理解されない限り、通常の意味において意図され、特定の実施形態が特定の特徴、要素、またはステップを含むが他の実施形態は含まないことを伝えるように一般的に意図される。したがって、かかる条件語は、特徴、要素、もしくはステップが1つまたは複数の実施形態に対して必ず必要であることを、または1つまたは複数の実施形態が、筆者による情報提供もしくは積極的な示唆がある場合もしくはない場合に関わらず、これらの特徴、要素、およびステップが任意の特定の実施形態に含まれるか否かもしくは任意の特定の実施形態で実施されることとなるか否かを判断するための論理を必ず含むことを示唆するようには一般的には意図されない。
【0103】
特定の序数用語(例えば「第1の」または「第2の」)が参照の容易化のために用いられる場合があるが、物理的な特徴または順序を必ずしも示唆するものではない点を理解されたい。したがって、構造物、構成要素、動作等の要素を修飾するために使用される序数用語(例えば「第1の」、「第2の」、「第3の」等)は、その要素の任意の他の要素に対する優位または順位を必ずしも示唆せず、むしろ一般的には同様または同等の名称を有する(その序数の使用がない場合に)他の要素からその要素を識別し得る。さらに、本明細書において、不定冠詞「1つの(a, an)」は、「1つ(one)」ではなく「1つまたは複数」を示唆する場合がある。さらに、ある条件または事象「に基づき」実施される動作は、明記されない1つまたは複数の他の条件または事象に基づき実施される場合もある。いくつかの文脈において、ある述べられた事象または条件「に基づき」または「に少なくとも部分的に基づき」発生または実施される動作または事象という記述は、その述べられた事象または条件に応答して誘発されるまたは実施されるものとして解釈することができる。
【0104】
本明細書において開示される様々な方法およびプロセスを参照として、特定の順序の動作またはステップが図示および説明されるが、図示および説明される様々なステップおよび動作は、任意の適切なまたは望ましい時間的順序で実施されてもよい点を理解されたい。さらに、図示または説明される動作またはステップはいずれも、任意の所与の方法またはプロセスから省かれてもよく、図示または説明される方法およびプロセスは、図面または説明に明示されない追加の動作またはステップを含んでもよい。
【0105】
上記の実施形態の説明においては、本開示を簡素化し様々な本発明の態様の中の1つまたは複数の理解を支援するために、時として様々な特徴が単一の実施形態、図、または説明において共にグループ化される点を理解されたい。しかし、この開示方法は、任意の請求項がその請求項内に明示されているものよりも多数の特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。さらに、本明細書において特定の一実施形態で図示または説明されるあらゆる構成要素、特徴、またはステップは、任意の他の実施形態に対しても適用可能であり、または任意の他の実施形態と共に使用することが可能である。さらに、いかなる構成要素、特徴、ステップ、または構成要素、特徴、もしくはステップの群も、各実施形態に対して必須でもまたは不可欠でもない。したがって、本明細書および添付の特許請求の範囲で請求される本開示の範囲は、上述の特定の実施形態により限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲を公正に解釈することのみによって決定されるべきであることが意図される。
【0106】
文脈により別様のことが明確に要求されない限り、本説明および特許請求の範囲の全体を通じて、「備える」、「備えている」、「有する」、「有している」、「含む」、および「含んでいる」等の用語は、クローズド、排他的、または包括的な意味とは対照的にオープンかつ非排他的な意味において解釈されるべきであり、すなわち「を含むがそれに限定されない」の意味で解釈されるべきである。
【0107】
本明細書において、「結合される」という語は、直接的であるか間接的であるかに関わらず、物理的、機械的、または電気的に連結/接続され得るまたは他の様式で関連付けられ得る(例えば1つまたは複数の中間要素、中間構成要素、または中間デバイスを介してなど)2つ以上の要素に関する言及である。さらに、「本明細書において」、「上記の」、「以下の」、および同様の意味の語は、本願において使用される場合に、参照により組み込まれる任意の開示を含む全体としての本願を指し、本開示の任意の特定の部分を指すものではない。文脈が許容する場合、本開示において単数数字または複数数字を使用する語は、それぞれ複数数字または単数数字を含んでもよい。
【0108】
本明細書において、「実質的に」および「約」という用語は、業界的に許容される範囲をその対応する用語またはアイテム同士の間の相対性に対して与える。いくつかの業界では、業界的に許容される範囲は1パーセント未満であるが、他の業界では、業界的に許容される範囲は10パーセント以上である場合がある。業界的に許容される範囲の他の例は、1パーセント未満~50パーセントまでに及ぶ。業界的に許容される範囲は、成分値、集積回路プロセス変動、温度変動、立ち上がり時間および立下り時間、熱雑音、寸法、シグナリングエラー、パケット落ち、温度、圧力、材料組成、または性能測定基準値に対応するが、これらに限定されない。ある業界内において、許容される範囲の許容変動度は、パーセンテージレベルよりも高いまたは低い場合がある(例えば約±1%未満の寸法公差など)。アイテム間のある関係性は、パーセンテージレベル未満の誤差から数パーセントまでの範囲に及ぶ場合がある。アイテム間の他の相対性は、数パーセントの誤差から有意な誤差にまで及ぶ場合がある。
【0109】
特定の機能性能およびそれらの関係を示す方法ステップを利用して、1つまたは複数の実施形態を上述した。これらの機能的構築ブロックまたは方法ステップの境界および順序は、説明の便宜上の理由により本明細書では任意に規定された。これらの特定の機能および関係が適切に実施される限りにおいて、他の境界および順序を規定することが可能である。したがって、任意のかかる他の境界または順序は、特許請求の範囲およびその趣旨に含まれる。さらに、これらの機能的構築ブロックの境界は、説明の便宜上の理由により任意に規定されている場合がある。特定の重要な機能が適切に実施される限りにおいて、他の境界を規定することが可能である。同様に、本明細書では、特定の重要な機能性を示すために、流れ図ブロックが任意に規定されている場合がある。
【0110】
利用される範囲に応じて、流れ図のブロック境界および順序は、別様に規定され、特定の重要な機能性を依然として果たすことが可能である。したがって、機能構築ブロックならびに流れ図ブロックおよび流れ図の順序のすべてに関するかような別様の規定もまた、本開示の範囲および趣旨の範囲内となる。また、本明細書における機能構築ブロック、ならびに他の例示のブロック、モジュール、およびコンポーネントは、いくつかの例では例示のとおりに、または別個のコンポーネント、特定用途向け集積回路、適切なソフトウェア等を実行するプロセッサ、またはそれらの任意の組合せにより実装され得る点が、平均的な当業者には理解されよう。
【0111】
本開示の原理を適用し得る多数の可能な実施形態にかんがみて、例示の実施形態は、対象の例にすぎず、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない点を理解されたい。
【符号の説明】
【0112】
10 デバイス
12 静脈
14 動脈
16 シャント構造体、シャント部分、ルーメン部分
18 導管構造体、ステント部分
20 シャント入口端部
22 シャント出口端部
24 シャント構造体、シャント部分、アンカー、アンカー部分、シャントアンカー、ディスク状構造体、テーパ状構造体
26 ステント壁部
28 入口端部
30 出口端部
32 ステントルーメン
34 ステント入口部分
36 ステント出口部分
38 テーパ状中間部分、幅狭部分、狭窄部分、幅狭テーパ状部分
39 オリフィス
40a 入口直径
40b 内径
40c 外径
42 ステント長さ
44 ステント外径
46 シャントルーメン
48 シャントルーメン直径
50 シャント長さ
52 直径
54 厚さ
56 入口部分血圧
58 幅狭部分血圧
59 血圧降下
60 デバイス
62 ステント部分
64 入口端部
66 出口端部
68 単一漏斗形状部分、テーパ状部分、漏斗部分
70 シャント部分、ルーメン部分
72 幅狭オリフィス部分
80 下大静脈
82 腹大動脈
84 腎動脈
86 腎静脈
88 大動脈分岐部
90 腎臓
92 腎動脈
94 腎静脈
100 グラフト状ステント部分
102a ステント状部分
102b ステント状部分
104 ライナ
106 幅狭部分
108 より幅広な部分
110 金属メッシュチューブ
112 チューブルーメン
114 チューブ壁部
116a 端部
116b 端部
120 ステント部分
122 外方壁部部分
124 ステント外径
126 内方壁部部分
128 ステント内方ルーメン
130a 入口端部
130b 出口端部
132 狭い直径
140 ステント部分
142 オリフィス
144 オリフィス直径
146 ラッソ縫合糸
150 ステント部分
152 ステントフレームセクション
154 オリフィス
156 オリフィス直径
160 システム
162 デバイス
164 送達カテーテル
166 遠位端部
168 近位端部
170 細長本体
172 後退可能シース
174 バルーン
176 ハンドル
180 第1の部分
182 第2の部分
184 ルーメン部分、シャント
190 第1の血管
192 第2の血管
194 通路
200 デバイス
202 腹大動脈
204 下大静脈
206 スネア
208 大腿動脈
210 大腿動脈分岐部
212 腎動脈
214 ガイドワイヤ
216 大腿静脈
218 大腿静脈分岐部
220 腎静脈
222 通路
226 送達カテーテル
400 デバイス
402 導管構造体
404 大動脈
406 シャント構造体、アンカー部分
408 静脈
410 シャント構造体、ルーメン部分
412 シャント入口端部
414 シャント出口端部
416 出口端部
418 入口端部