(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ディスクブレーキディスクの製造方法
(51)【国際特許分類】
F16D 65/12 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
F16D65/12 R
F16D65/12 B
(21)【出願番号】P 2021573539
(86)(22)【出願日】2020-06-09
(86)【国際出願番号】 IB2020055403
(87)【国際公開番号】W WO2020250125
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】102019000008922
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】521259127
【氏名又は名称】ブレンボ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】BREMBO S.p.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】ミラネージ,アンドレア
【審査官】大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-013288(JP,U)
【文献】実開昭56-066541(JP,U)
【文献】特開昭57-140930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 65/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定義された厚みを有する少なくとも一つのシートを提供するステップ、
前記少なくとも一つのシートに第1の
円盤状部分(2)を打ち抜
いて、換気ブレーキバンド(4)の第1のプレート(3)を作るステップ、
前記少なくとも一つのシートに第2の円盤状部分(5)を打ち抜
いて、前記換気ブレーキバンド(4)の第2のプレート(6)を作るステップ、
前記少なくとも一つのシートに第3の部分を打ち抜
いて、前記換気ブレーキバンド(4)のための少なくとも一つの換気スペーサ(8)を作るステップ、
前記第3の部分(7)を加工して前記第3の部分(7)に沿った円形経路に沿って
複数の第1の突部(9)及び第2の突部(10)を形成することにより、前記換気ブレーキバンド(4)の換気チャンネル(13)を作るための複数の第1のくぼみ(11)及び第2のくぼみ(12)を形成するステップであって、前記第1の突部(9)及び前記第2の突部(10)は、少なくとも複数の平坦な端部分(20)を含む、ステップ、
を含むブレーキディスク(1)の製造方法であって、
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)に点状部分
のボス(19)を
加工するステップが、
前記打ち抜くステップ又は前記打ち抜くステップの後に行われて、局部的な溶接及び/又はスポット溶接に適した凹部及び/又は凸部を形成するステップ、
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)の前記ボス(19)を前記少なくとも複数の平坦な端部分(20)の上に配置するために、前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)を前記少なくとも複数の平坦な端部分(20)の上に配置するステップ、
前記第1のプレート(3)を作る前記第1の円盤状部分(2)を、前記ボス(19)における不連続溶接スポット(14)によって
、前記第1の突部(9)に接続するステップ、及び
前記第2のプレート(6)を作る前記第2の円盤状部分(5)を、前記ボス(19)における不連続溶接スポット(14)によって
、前記第2の突部(10)に接続するステップ、を含む、ブレーキディスク(1)の製造方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つのシートは、ブレーキディスクの用途に適した鋼で作られて
いる、、及び/又は
前記少なくとも1つのシートは、ブレーキディスクの用途に適したステンレス鋼で作られて
いる、及び/又は
前記
換気ブレーキバンド(4)に関連付けられた
ベル(16)が提供され、前記ベルは、前記
換気ブレーキバンドが作られる材料とは異なる材料で作られて
いる、及び/又は
前記ベルはアルミニウムで作られている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記打ち抜くステップの少なくとも1つは、円形クラウンブランキングであ
る、及び/又は
前記打ち抜くステップの少なくとも一つは、ベルに接続するための内側放射状延長部(15)を備えた円形クラウンブランキングであり、前記ベル(16)は車両のスタブ車軸及び/又は車軸ハブ(17)に対する中央供給及び接続部に接続するものである、及び/又は
前記打ち抜くステップの少なくとも1つは、フルディスクのブランキングであり、
車両のスタブ車軸に接続するための中央ベル型部分(18)を加工するステップは、前記打ち抜くステップと同時又は前記打ち抜くステップの後に行われ
る、及び/又は
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)に
前記ボス(19)
を打ち抜く及び/又は加工するステップは、前記打ち抜くステップと同時又は前記打ち抜くステップの後に行われ、前記ボスを形成するステップは
前記不連続溶接スポット(14)が行われる場所で行われる、請求項
2に記載の方法。
【請求項4】
電極
を溶接する及び/又は
スタッドを溶接するための
第1の開口部(21)及び/又は第2の開口部(22)を作るステップが、前記少なくとも1つのシートに
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)を打ち抜くステップと同時に又は該打ち抜くステップとは別に行われる、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1のプレート(3)及び/又は前記第2のプレート(6)を作るように構成された
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)を、
前記不連続溶接スポット(14)によって
前記第1の突部(9)及び/又は前記第2の突部(10)に接続するステップは、容量スポット溶接
のステップを提供する、及び/又は
前記第1のプレート(3)及び/又は前記第2のプレート(6)を作るように構成された
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)を、
前記不連続溶接スポット(14)によって
前記第1の突部(9)及び/又は前記第2の突部(10)に接続するステップは、
前記不連続溶接スポット(14)を同時に行う複数の溶接電極(25)を
提供する、及び/又は
溶接電極(25)のために
前記第1の開口部(21)及び/又は第2の開口部(22)を作るステップは、前記少なくとも一つのシートに
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)を打ち抜くステップと同時又はその後に行われ、
前記溶接電極(25)を前記第1の開口部(21)及び/又は前記第2の開口部(22)に入れるステップが行われ
る、
又は、
前記第1のプレート(3)及び/又は前記第2のプレート(6)を作るように構成された
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)を、
前記不連続溶接スポット(14
)によって
前記第1の突部(9)及び/又は前記第2の突部(10)に接続するステップは、
前記第1のプレート(3)及び/又は前記第2のプレート(6)に載るように構成され
、かつ、前記ボス(19)において
前記第1のプレート(3)及び/又は前記第2のプレート(6)と前記換気スペーサ(8)との間の接触部にスポット溶接を行うための電位差を生じるように構成
された、一対の
環状電極又は溶接板若しくは
環状溶接板(32)を
溶接するステップを行う、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記換気スペーサ(8)
の一方の側において、前記第3の部分(7)に前記
第1の円盤状部分(2)を接近させるとともに、
前記換気スペーサ(8)の反対側に
おいて、前記第3の部分(7)に前記第2の円盤状部分(5)を接近させ
る、及び/又は
少なくとも1つの第1の溶接電極(25)を
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)に配置
する、及び/又は
溶接スタッドのための
前記第1の開口部(21)又は前記第2の開口部(22)を形成するステップを、前記少なくとも一つのシートに
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)を打ち抜くステップと同時又はその後に行
う、及び/又は
前記第2の円盤状部分(5)又は前記第1の円盤状部分(2)に設けられた
前記第1の開口部(21)及び前記第2の開口部(22)に少なくとも1つの第2の溶接電極(25)を入れ、前記換気スペーサ(8)の上に前記第2の溶接電極(25)を配置
する、及び/又は
前記不連続溶接スポット(14)によって
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)に前記換気スペーサ(8)に接続
する、及び/又は前記接続が溶接又は容量溶接であ
る、及び/又は
前記溶接スタッドのための
前記第1の開口部(21)及び/又は前記第2の開口部(21,22)を設けるステップが、前記少なくとも1つのシートに
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)を打ち抜くステップと同時又はその後に行
う、及び/又は
前記第1の円盤状部分(2)に設けられた
前記第1の開口部(21)に少なくとも1つの
前記第2の溶接電極(25)を入れ、前記換気スペーサ(8)の上に前記第2の溶接電極(25)を配置
する、及び/又は
前記第2の円盤状部分(5)に設けられた
前記第2の開口部(22)に少なくとも1つの
前記第2の溶接電極(25)を入れ、前記換気スペーサ(8)の上に前記第2の溶接電極(25)を配置
する、及び/又は
前記不連続溶接スポット(14)によって
前記第1の円盤状部分(2)及び/又は前記第2の円盤状部分(5)に前記換気スペーサ(8)に接続する、及び/又は前記接続が溶接又は容量溶接である、請求項
4又は5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記不連続溶接スポット(14)によって接続するステップの後、前記換気ブレーキバンド(4)の外面の少なくとも一部の耐久性を考慮して
、前記第1の円盤状部分(2)及び前記第2の円盤状部分(5)を加工し、
前記第1のプレート(3)および前記第2のプレート(6)のブレーキ面(26、27)を形成
する、及び/又は
前記ベル(16)に対して、車両の前記ブレーキディスクの支持用スタブ車軸と協働するように構成された前記ベルの少なくとも表面に穴あけ処理のステップを行う、請求項
2又は3のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記打ち抜くステップの少なくとも一つは円形クラウンブランキングで、該円形クラウンブランキングによって前記第2の円盤状部分(5)が作られ
る、及び/又は
前記打ち抜くステップの少なくとも一つは、内側放射状延長部(15)を形成する円形クラウンブランキングで、該円形クラウンブランキングによって前記第2の円盤状部分(5)が作られ
る、及び/又は
前記換気スペーサ(8)
の一方の側において、前記第3の部分(7)に前記第1の円盤状部分(2)を接近させ
るとともに、
前記換気スペーサ(8)の反対側に
おいて、前記第3の部分(7)に前記第2の円盤状部分(5)を接近させる、及び/又は
前記不連続溶接スポット(14)によって前記換気スペーサ(8)を
前記第1の円盤状部分(2)又は前記第2の円盤状部分(5)に接続して、前記
換気ブレーキバンド(4)を作
る、及び/又は
前記内側放射状延長部(15)をダイ(31,32)のキャビティに挿入
する、及び/又は
ベル(16)をその周辺部分と一緒に鋳造し、
前記ベル(16)は、硬化すると、前記内側放射状延長部(15)の少なくとも一部を囲い、前記ベル(16)を前記換気ブレーキバンド(4)に接続し、これにより、前記換気ブレーキバンド(4)は、前記ベル(16)に対して放射方向に熱膨張移動できる、請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
所定の厚さを有する少なくとも一枚のシートを供給する少なくとも一つの装置と、
前記少なくとも一つのシートに第1の円盤状部分(2)を打ち抜いて、換気ブレーキバンド(4)の第1のプレート(3)を作るステーションと、
前記少なくとも一つのシートに第2の円盤状部分(5)を打ち抜いて、前記換気ブレーキバンド(4)の第2のプレート(6)を作るステーションと、
前記少なくとも一つのシートに第3の部分(7)を打ち抜いて、前記換気ブレーキバンド(4)の換気スペーサ(8)を作るステーションと、
前記第3の部分(7)を加工して前記第3の部分(7)に沿った円形経路に沿って第1の突部(9)および第2の突部(10)を形作ることによって、前記第3の部分(7)の反対側にそれぞれ第1のくぼみ(11)と第2のくぼみ(12)を形成して、前記換気ブレーキバンド(4)のための換気チャンネル(13)を作るステーションと、
不連続溶接スポット(14)によって、前記第1のプレート(3)を構成する前記第1の円盤状部分(2)を前記第1の突部(9)に接続するステーションと、
不連続溶接スポット(14)によって、前記第2のプレート(6)を構成する前記第2の円盤状部分(5)を前記第2の突部(10)に接続するステーションを含む、ディスクブレーキ用ディスク(1)を製造するシステム。
【請求項10】
回転支持テーブルであって、前記回転支持テーブルの角度位置を制御して、前記第1の円盤状部分(2)と前記第2の円盤状部分(5)と前記換気スペーサ(8)を支持し、溶接される場所を少なくとも一つの溶接電極(25)に関して所定位置に配置する回転支持テーブルが含まれる、及び/又は
一つの電極を備えた溶接ステーションがさらに含まれ、前記第1の円盤状部分(2)と前記第2の円盤状部分(5)と前記第1の円盤状部分(2)と前記第2の円盤状部分(5)の間に配置された前記換気スペーサ(8)を含むアセンブリを動かすことによって、複数の溶接スポットが作られる、及び/又は
所定形状の電極を備えた溶接ステーションがさらに含まれ、専用の電極に複数の溶接電極(25)が設けられ、すべての部品が一つの動作で溶接される、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキバンドおよび換気ディスクブレーキ用のディスク、ならびにブレーキバンドを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ディスクブレーキでは、ブレーキキャリパは一般にブレーキディスクの外周マージンにまたがって配置され、軸方向(X-X)を定義する回転軸(A-A)を中心に回転するように構成されている。ディスクブレーキにおいて、軸方向(X-X)に実質的に直交する半径方向(R-R)と、軸方向(X-X)および半径方向(R-R)の両方に直交する接線方向(C-C)又は周方向(C-C)が定義される。
【0003】
知られているように、ディスクブレーキ用のディスクは、ディスクを車両のハブと関連付けるように構成されたベルまたは支持部分を含み、そこからブレーキバンドと呼ばれる環状部分が伸び、これはキャリパのパッドと協働することを目的としている。換気タイプのディスクの場合、ブレーキバンドは、例えば柱やフィンの形をした接続要素によって互いに向き合って接続されている2つのプレートによって作られている。二つのプレートの外面は反対側のブレーキ面を定義し、内面はピラーまたはフィンとともに、ディスク自体の回転運動中に遠心力の方向に従って気流が交差する、ディスクを冷却するための換気チャネルを区画する。
【0004】
前記ブレーキバンドは、パッドによって、ブレーキ面と呼ばれる2つのプレートの反対側の面に摩擦を加えることによって、車両にブレーキ作用を加えるように構成されたディスクブレーキキャリパと協調することを意図している。
【0005】
ブレーキの作動中、ブレーキキャリパのパッドとブレーキバンドのブレーキ面との間の摩擦により大量の廃棄すべき熱が発生することが知られている。
【0006】
実際に発生する熱は、例えば、ブレーキバンドの変形、ブレーキ表面の亀裂の形成、またはブレーキバンドを形成する材料の状態の局所的な変化など、いくつかの望ましくない現象を引き起こし、それがブレーキバンド自体の劣化をもたらす。
【0007】
特に、制動効率を高めた高性能自動車では、廃棄するエネルギーが多く、前述の制動時に発生する熱を処理する必要性がさらに感じられる。
【0008】
上記のタイプの換気ディスクは、特にいわゆる換気チャネル(互いに軸方向に面する2つのプレートによって形成されるギャップを定義する。)の数および形状に関して、時間とともに継続的に進化している。
【0009】
ディスクのブレーキ面に対してパッドによって提供されるブレーキ作用が熱を発生させ、その結果、特に要求の厳しい性能の場合、ディスク自体を白熱させる程度までディスクの温度が上昇することも知られている。ディスクが変形し、ブレーキ中にディスクが到達する温度が上昇するため、パッドとブレーキ面の接触が悪化する。さらに、パッドの摩擦材料は、ディスク材料によって一種のガラス化および汚染を受ける。
【0010】
上記の欠点を取り除くために、一方では、ブレーキングによって生成された熱の分散の効率を高めて、ブレーキング中およびブレーキング後にディスクが到達する温度を封じ込める必要性が特に感じられる。一方、ブレーキバンドのこれらの中央部分の機械的抵抗を増やす必要がある。
【0011】
しかしながら、上述のタイプの換気ディスクは、それ自体、ディスクブレーキ、特に、換気ディスクを備えたディスクブレーキに影響を与える別の問題に対する解決策を提供するものではない。この別の問題は、上述の問題を同時に発生し、それと同時に解決すべきである。この問題を以下に簡単に説明する。
【0012】
特に、大量生産される自動車またはオートバイにも、換気式ディスクブレーキのディスクを提供する必要性が感じられ、そこでは、ブレーキバンドは、例えば、鋼板を打ち抜く(例えば、二つのプレートをブランキングする)ことによって得られる。それら二つのプレートは、その後、接着またはろう付けによって結合される。
【0013】
この種の解決策は、DE3432926A1およびUS2017097058から知られている。
【0014】
フィンまたはスペーサリングが挿入され、ろう付けによって接合された打ち抜かれたシートの2枚のプレートを使用することも知られている。
【0015】
この種の解決策はGB2437745から知られている。
【0016】
これらの既知の解決策は大量生産に適応するが、機械的特性が低く腐食しやすい製品が得られるだけである。その理由は、ろう付けプロセスは、ブレーキパッドとの相互作用を目的としたブレーキバンドプレートの全領域を大幅に劣化させ、腐食しやすい低融点合金と共に使用される、からである。
【0017】
さらに、これらの既知の解決策は、相互に異なる質量と熱的および機械的抵抗の領域を持つ大きな表面に分散された溶接の効果によって強く予圧またはバイアスされるブレーキバンド構造を生み出す。
【0018】
これらの影響により、ろう付けされた部品に長くて高価な熱処理プロセスが必要になり、その結果、深い切りくずを除去する機械加工が必要になり、製造プロセス全体が非常に面倒になり、場合によっては高価になる。
【0019】
同様の解決策がUS3730304およびUS2013284549から知られている。
【0020】
個々のスペーサをプレートの間に配置し、バンド全体をろう付けして接続する解決策(FR2927389のように)、または成形スペーサをプレートに溶接する解決策(US3623579やUS3486218のように)が知られている。特に、これらの解決策では、成形スペーサが線に沿って溶接され、2つの問題が発生する。一つ目の問題は、ブレーキバンドの高さ全体に溶接ラインを延長すると、円周方向に変化する、または周期的な構造の不連続性が生じ、パッド摩擦材の摩耗の不均一性が大幅に増加し、車両のブレーキ動作中に異常な摩耗、特に不快なノイズが発生する、ことである。二つ目の問題は、溶接によって与えられる機械的特徴の不均一性にある。溶接ラインでは、材料はより硬く、さらに壊れやすく、パッドの摩耗の不均一性がさらに増加し、ディスク自体の異常で不均一な摩耗も増加する。そのため、実際の寿命が切れるずっと前にディスクを交換する必要が生じる。
【0021】
したがって、ブレーキング中に特に効率的な冷却性能を提供すると同時に、製造を容易にすることができる新しい換気ディスク構造が必要である。
【0022】
特に、効率的で費用効果の高い工業プロセスを使用して、金属シートを打ち抜くことによって得られるディスクブレーキディスクの使用を、機械的およびとりわけ熱的観点からの重い用途に拡張する必要性が強く感じられている。
【0023】
換気ディスクおよびそれぞれのブレーキバンドの前述の既知の例は、上述したたすべての強く望まれる要件を適切に満たすことができない。
【0024】
したがって、本発明の根底にある問題は、前述の要件を満たすような構造的および機能的特性を有し、同時に先行技術に関して説明した欠点を解決するブレーキバンドおよびブレーキディスク用のディスクを提供することである。
【発明の概要】
【0025】
本発明の目的は、これらの波および結果として生じるキーキー音を生成する傾向が低減されるブレーキ装置を提供することである。
【0026】
この目的および他の目的および利点は、請求項1に記載のブレーキディスクを製造する方法、請求項9に記載のディスクブレーキディスク、ならびに請求項10に記載の前述の方法を実施するためのシステムによって達成される。
【0027】
いくつかの有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0028】
この解決策の分析は、提案された解決策が、シートから打ち抜かれた材料のディスクを使用しているにもかかわらず、従来技術の解決策に関してはるかに優れたブレーキング快適性を達成できることを示した。
【0029】
さらに、提案された解決策は、ディスクの非常に高い冷却効率を維持する。
【0030】
特に、提案された解決策により、一つの金属シートを打ち抜くことによって得られるディスクブレーキ用ディスクの用途を、効率的で且つ費用効果の高い産業プロセスを採用することによって、機械的及びとりわけ熱的観点から種々の適用に拡張する必要性が強く感じられる。
【0031】
新たに提案された解決策は、既知の技術の解決策よりもはるかに均一な摩耗で、高い機械的強度およびより長い寿命を備えた軽量で耐食性のディスクを製造することを可能にする。
デバイス、ブレーキディスク、および車両のさらなる特徴および利点は、添付の図を参照して、非限定的な例として、その好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、ディスクブレーキディスクの斜視図である。この図において、打ち抜かれたシートの中央部分を引き上げることによってベルが得られている。この実施形態において、プレートは、互いに離れて離散的な箇所で、プレートの開口部を介して反対側のプレートにアクセスする少なくとも1つの電極(例えば、容量式スポット溶接)によって、換気スペーサに溶接されている。
【
図2】
図2は、ディスクブレーキディスクの斜視図である。この図において、打ち抜かれたシートの中央部分を引き上げることによってベルが得られている。この実施形態において、プレートは、互いに離れて離散的な箇所で、複数のプレートの複数の開口部を介して反対側のプレート(第1又は第2のプレート)にアクセスする複数の溶接先端部(例えば、容量式スポット溶接)によって、換気スペーサに溶接されている。
【
図3】
図3は、ディスクブレーキディスクの斜視図である。ここで、ベルは、打ち抜かれたシートで作られた部品のブレーキバンドの内側径方向伸長部にベルを溶接することによって得られている。この実施形態において、プレートは、互いに離れて離散的な箇所で、プレートの開口部を介して反対側のプレートにアクセスする少なくとも1つの電極(例えば、容量式スポット溶接)によって、換気スペーサに溶接されている。
【
図4】
図4は、組み立てて溶接したとき状態で、
図1のディスクを形成するブレーキバンドの3つのコンポーネントの斜視図である。
【
図5】
図5は、組み立てて溶接したとき状態で、
図1のディスクを形成するブレーキバンドの3つのコンポーネントの斜視図である。
【
図6】
図6は、組み立てて溶接したとき状態で、
図1のディスクを形成するブレーキバンドの3つのコンポーネントの斜視図である。
【
図7】
図7は、
図4から
図6までの3つの構成要素の側面図である。これら3つの構成要素は、相互に重ね合わせられ、並べて配置する準備がなされており、溶接電極を受け入れるように構成された開口部が、換気スペーサに存在する窪みに位置合わせされている。
【
図8】
図8は、
図4から
図6の3つの構成要素の詳細を示す側面図である。そこでは、3つの構成要素は、重ね合わされ、互いに接触している。また、溶接電極がプレートの開口部に入り、換気スペーサの窪みを区切る表面に到達し、ある場所で溶接する準備をして、換気スペーサの対応する突起の上にある反対側のプレートに溶接スポットを形成している。
【
図9】
図9は、結合され溶接されたときに
図2のディスクを形成するブレーキバンドの3つの構成要素の斜視図である。
【
図10】
図10は、結合され溶接されたときに
図2のディスクを形成するブレーキバンドの3つの構成要素の斜視図である。
【
図11】
図11は、結合され溶接されたときに
図2のディスクを形成するブレーキバンドの3つの構成要素の斜視図である。
【
図12】
図12は、
図9から
図11の3つの構成要素の側面図である。これら3つの構成要素は、相互に重ね合わせて並べて配置する準備がなされており、複数の溶接電極(または複数の溶接を備えた唯一の電極)を受け入れるように構成された開口部が換気スペーサに存在する窪みに整列している。
【
図13】
図13は、
図9から
図11までの3つの構成要素の詳細の側面断面図である。そこでは、3つの構成要素が重ね合わされて接触している。また、2つの対向する溶接電極(図面には、上側の一つの第1溶接電極の2つの溶接先端部と下側の一つの反対側の溶接電極の一つの溶接先端部が現れている。)が、プレート開口を通り、換気スペーサのくぼみを区切る表面に到達し、複数の溶接スポットを形成することによって複数の別々の溶接スポットで、換気スペーサの対応する突起に載っている反対側のプレートで換気スペーサに溶接する準備ができている。
【
図14】
図14は、
図13に係る、複数の溶接スポットで同時に溶接を準備する2つのステップの図式および斜視図軸測投影図である。そこでは、溶接先端部が表されており、第1の溶接先端部28がプレート開口に入り、反対側のプレートの換気スペーサの突出部に達しており、短い第2の溶接先端部29は、例えば19個の孔が形成されたプレートに接触するようになっている。
【
図15】
図15は、
図13に係る、複数の溶接スポットで同時に溶接を準備する2つのステップの図式および斜視図軸測投影図である。そこでは、溶接先端部が表されており、第1の溶接先端部28がプレート開口に入り、反対側のプレートの換気スペーサの突出部に達しており、短い第2の溶接先端部29は、例えば19個の孔が形成されたプレートに接触するようになっている。- figure 16 is a side section view of a detail in figure 15 requiring two weld spots;
【
図17】
図17は、組み立てられ、一緒に溶接されたときにブレーキバンドを形成するブレーキバンドの3つの構成要素のアセンブリの詳細の側面図である。そこでは、プレートおよび換気スペーサに開口を作った後、それらは互いに位置合わせされてそれぞれに溶接スタッドが挿入され、溶接されて溶接スタッドが局所的に溶融され、プレートおよび換気スペーサと一体にされることにより、溶接スタッドと接触して配置された対向電極と3つの構成要素が一体にされる。
【
図18】
図18は、組み立てられ、一緒に溶接されたときにブレーキバンドを形成するブレーキバンドの3つの構成要素のアセンブリの詳細の側面図である。そこでは、プレートおよび換気スペーサに開口を作った後、それらは互いに位置合わせされてそれぞれに溶接スタッドが挿入され、溶接されて溶接スタッドが局所的に溶融され、プレートおよび換気スペーサと一体にされることにより、溶接スタッドと接触して配置された対向電極と3つの構成要素が一体にされる。
【
図19】
図19は、組み立てられ、一緒に溶接されたときにブレーキバンドを形成するブレーキバンドの3つの構成要素のアセンブリの詳細の側面図である。そこでは、プレートおよび換気スペーサに開口を作った後、それらは互いに位置合わせされてそれぞれに溶接スタッドが挿入され、溶接されて溶接スタッドが局所的に溶融され、プレートおよび換気スペーサと一体にされることにより、溶接スタッドと接触して配置された対向電極と3つの構成要素が一体にされる。
【
図20】
図20は、組み立てられ、一緒に溶接されたときにブレーキバンドを形成するブレーキバンドの3つの構成要素のアセンブリの詳細の側面図である。そこでは、プレートおよび換気スペーサに開口を作った後、それらは互いに位置合わせされてそれぞれに溶接スタッドが挿入され、溶接されて溶接スタッドが局所的に溶融され、プレートおよび換気スペーサと一体にされることにより、溶接スタッドと接触して配置された対向電極と3つの構成要素が一体にされる。
【
図21】
図21は、ベルに接続するための内側の放射状の延長部を備えた打ち抜かれたプレートの斜視図である。
【
図23】
図23は、
図22のブレーキバンドの内側半径方向延長部についてベルが共融合されたディスクブレーキディスクの斜視図である。
【
図24】
図24は、
図22のブレーキバンドの内側半径方向延長部の周りのベルの同時スタンピングプロセスの2つのステップの斜視図であり、ブレーキバンドはダイに挿入され(
図24)、次にバンドの内側の放射状の延長部分の周りにベルを押し付けた後、ダイが再び開かれる。
【
図25】
図25は、
図22のブレーキバンドの内側半径方向延長部の周りのベルの同時スタンピングプロセスの2つのステップの斜視図であり、ブレーキバンドはダイに挿入され(
図24)、次にバンドの内側の放射状の延長部分の周りにベルを押し付けた後、ダイが再び開かれる。
【
図26】
図26は、
図22のものと同様のブレーキバンドの斜視図であり、内側の放射状延長部15は、典型的にはオートバイ用途のために、接続および供給装置30を支持輪17に受け入れるように機械加工されている。
【
図27】
図27は、実施形態の変形例に係る、複数の溶接スポットの同時の溶接の準備の2つのステップの概略図および斜視図であり、環状溶接プレートは、プレートの両ブレーキ面全体に載り、ボス19が形成されるように構成されている。
【
図28】
図28は、実施形態の変形例に係る、複数の溶接スポットの同時の溶接の準備の2つのステップの概略図および斜視図であり、環状溶接プレートは、プレートの両ブレーキ面全体に載り、ボス19が形成されるように構成されている。
【
図30】
図30は、参照符号33で示される2つの対向する溶接プレートまたは環状電極を強調する
図28の詳細の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
一般的な実施形態によれば、換気型のディスクブレーキ1用のディスクのブレーキバンド4が提供されている。
【0034】
ブレーキバンド4は、ブレーキバンド1の回転軸X-Xの近くの内径D1と、回転軸X-Xから遠く離れた外径D2との間に延びる。回転軸は、軸方向X-Xを定義する。
【0035】
ブレーキバンド1は、軸方向X-Xに実質的に直交する半径方向R-Rと、軸方向X-Xおよび半径方向R-Rの両方に直交する周方向C-Cを定義する。
【0036】
ブレーキバンド1は、互いに向き合う2つのプレート3、6を備える。
【0037】
プレート3、6は、互いに直接または間接的に向かい合ってギャップを形成する内面を含み、ブレーキバンド4のための換気導管13を形成する。
【0038】
プレート3、6は外面を有する。
【0039】
外面は、ブレーキ面26、27を形成する、対向スル平坦な周方向部分を形成する。言い換えれば、外側の面の部分は、ブレーキキャリパに収容されたブレーキパッドと協働して、ブレーキバンド4に挟まれたときにブレーキ作用を加える。ブラッシングされた、又はパッドに挟まれた外面部分は、ブレーキ面26,27を形成する。
【0040】
プレート3、6は、軸方向X-Xまたはプレート厚さ方向の伸長部を有するプレート本体を備える。換言すれば、軸方向から見たとき、各プレートは、プレート3、6のプレート本体の軸方向の厚さによって与えられるプレート厚を示す。
【0041】
プレート3、6は、少なくとも1つの換気スペーサ8によって作られた放熱要素または接続要素によって互いに結合されている。
【0042】
換気スペーサ8は、プレート3、6の接続ブリッジの形状で、一方のプレートから反対側のプレートに向かって突出する柱および/またはリブまたはフィンとして形作られている。
【0043】
例えば、換気スペーサ8は、窪み11,12を形成する突部9、10を有する単一の形状のディスクで作られている。各突部9、10は、その先端に、プレート3、6に当接する平坦な部分20を有する。
【0044】
本発明はさらに製造方法に関する。
【0045】
この方法の一般的な実施形態は、ディスクブレーキディスク1を製造するための方法である。この方法は、以下のステップを含む。
【0046】
所定の厚さを有する少なくとも1つのシート提供する。
【0047】
換気式ブレーキバンド4の第1のプレート3を作るように構成された少なくとも1枚のシートの第1の円盤状部分2を打ち抜く。
【0048】
換気式ブレーキバンド4の第2のプレート6を作るように構成された少なくとも1枚のシートの第2の円盤状部分5を打ち抜く。
【0049】
換気式ブレーキバンド4のために少なくとも1つの換気スペーサ8を作るように構成された少なくとも1つのシートの第3の部分7を打ち抜く。
【0050】
第3の部分7を加工して、第3の部分7に沿った円形経路に沿って、第1および第2の突部9、10を形作り、換気式ブレーキバンド4のための換気チャネル13を作るように構成された対向する第1および第2の窪み11、12を形成する。
【0051】
不連続な溶接スポット14によって、第1のプレート3を作成するように構成された第1の円盤状部分2を第1の突部9に接続する。
【0052】
不連続な溶接スポット14によって、第2のプレート6を作成するように構成された第2の円盤状部分5を第2の突部10に接続する。
【0053】
一実施形態によれば、少なくとも1枚のシートは、ブレーキディスクの用途に適した鋼で作られている。
【0054】
一実施形態によれば、少なくとも1枚のシートは、ブレーキディスクの用途に適したステンレス鋼で作られている。
【0055】
一実施形態によれば、ブレーキバンド4に関連するベル16が提供されており、ベルはブレーキバンドが作成される材料とは異なる材料で作られている。
【0056】
一実施形態によれば、ベル16はアルミニウムで作られている。
【0057】
いくつかの実施形態によれば、ベル16は、以下の代替案のうちの1つで作ることができる。
【0058】
ブレーキバンド4の内側放射状延長部15に溶接されたアルミニウム。
【0059】
または、アルミニウム製で、ブレーキ小さな部品(すなわち、接続装置30)でブレーキバンド4に取り付けられる。
【0060】
または、小さな部品(すなわち接続装置30)でブレーキバンド4に取り付けられる鋼。
【0061】
または、変形(例えば、出願人によるBlechtopf(登録商標))によって取り付けられた鋼。
【0062】
または、複合材料。
【0063】
一実施形態によれば、打ち抜きステップの少なくとも1つは、円形クラウンブランキングである。
【0064】
一実施形態によれば、打ち抜きステップの少なくとも1つは、円形クラウンブランキングである。この円形クラウンブランキングは、車両のスタブ車軸および/またはホイールハブ17への中央供給および接続部分に接続するためのベル16に接続するための内側放射状延長部15を備えている。
【0065】
一実施形態によれば、打ち抜きステップの少なくとも1つは、フルディスクからの打ち抜きである。車両のスタブ車軸に接続するための中央のベル形部分18を加工するステップは、打ち抜きと同時に、またはその後に行われる。
【0066】
一実施形態によれば、第1および/または第2の円盤状部分2、5および/または換気スペーサ8における点状部分またはボス19のスタンピングおよび/または加工ステップは、打ち抜きと同時にまたはその後に行われ、局部的および/またはスポット溶接に適したくぼみおよび/または隆起部分を形成する。
【0067】
「ボス」という用語は、プレート3または6または換気スペーサ8の形状および/または厚さの局所的な変形をいい(すなわち点状部として定義され)、プレート3または6と換気スペーサ8との間に小さな空のチャンバを形成する。これらの部材は、溶接スポットを形成する例えば局部的な容量溶接又は例えば電気アークを形成するように構成されている。溶接スポットがプレート3、6のブレーキ面(つまり、ブレーキパッドと協働することを目的とした面)に直接影響を与えないので、プレート3,6の幾何学的及び/又は構造的不連続性を減らす又は完全に無くすことができる。
【0068】
一実施形態によれば、第1および/または第2の円盤状部分2、5および/または換気スペーサ8におけるボス19のスタンピングおよび/または加工のさらなるステップは、打ち抜きと同時またはその後に行われる。また、ボスを形成するステップは、不連続スポット溶接14が行われる際に行われる。この種の溶接は、プロジェクション溶接と呼ばれる。
【0069】
一実施形態によれば、ボスハウジング34は、第1および/または第2の円盤状部分2、5および/または換気スペーサ8におけるボス19のスタンピングおよび/または加工のステップの前または後または同時に形成される。
【0070】
一実施形態によれば、第1および第2の突部9、10は、少なくともいくつかの平坦端部分20を含む。第1および/または第2の円盤状部分2、5を少なくともいくつかの平坦端部分の上に配置するステップが行われる。
【0071】
一実施形態によれば、第1および第2の突部9、10は、少なくともいくつかの平坦な端部20を含み、第1および/または第2の円盤状部分2、5のボス19を少なくともいくつかの平坦な端部分20の上に配置するステップが行われる。
【0072】
一実施形態によれば、電極および/または溶接スタッドを溶接するための第1および/または第2の通路開口部21、22を作製するステップは、少なくとも1つのシートにおける第1及び/又は第2のディスク形状部分2の打ち抜きステップと同時にまたはそれとは別個に行われる。
【0073】
一実施形態によれば、スタッド24を溶接するための第3の通路開口23を作ることは、前記少なくとも1枚のシートに換気スペーサ8を作るように構成された第3の部分7の打ち抜きステップと同時に、またはそれとは別に行われる。
【0074】
一実施形態によれば、第1および/または第2のプレート3、6を構成する第1および/または第2のディスク形状部2,5を、不連続な溶接スポット14で第1及び/又は第2の突部9,10に接続するステップは、容量式スポット溶接の工程で行われる。
【0075】
一実施形態によれば、第1および/または第2のプレート3、6を形成するように構成された第1及び/又は第2のディスク形状部2,5を不連続溶接14によって第1及び/又は第2の突部9,10に接続するステップは、一対の環状電極又は溶接板、すなわち、環状溶接板32を用いた溶接である。環状溶接板32は、プレート3,6の上に載置され、プレート3,6と換気スペーサ8との間で、ボス19における接点でスポット溶接が行われる電位差を生じる
【0076】
一実施形態によれば、第1および/または第2のプレート3、6を形成するように構成された第1および/または第2の円盤状部分2、5を不連続溶接スポット14によって第1および/または第2の突部9、10に接続するステップは、複数の溶接電極25で同時に行われる溶接である。これら溶接電極25は、複数の不連続な溶接スポット14を同時に形成する。
【0077】
一実施形態によれば、溶接電極25のための第1および/または第2の通路開口部21、22を作製するステップは、少なくとも1つのシートにおける第1および/または第2の円盤状部分2の打ち抜きステップと同時にまたは別個に行われる。このとき、少なくとも複数の溶接電極25を、溶接電極用の第1及び/又は第2の通路開口25に入れる工程が行われる。
【0078】
一実施形態によれば、換気スペーサ8を形成する部分7に第1の円盤状部分2を接近させ、換気スペーサ8の反対側にある換気スペーサ8に第2の円盤状部分5を接近させる。
【0079】
一実施形態によれば、少なくとも1つの第1の溶接電極25を第1または第2の円盤状部分2、5に配置するさらなるステップが行われる。
【0080】
一実施形態によれば、スタッドを溶接するための第1または第2の通路開口部21、22を作製するステップは、少なくとも1つのシートに第1又は第2の円盤状部分2を打ち抜きするステップと同時に、またはそれとは別に行われる。
【0081】
一実施形態によれば、少なくとも1つの第2の溶接電極25を、第2又は第1の円盤状部分5,2に設けた電極開口部22,21に入れて、第2の溶接電極25を換気スペーサ8の上に配置する第1のステップが行われる。
【0082】
一実施形態によれば、換気スペーサ8を第1または第2の円盤状部分2、5に溶接スポット14で接続するさらなるステップが行われる。
【0083】
好ましい実施形態によれば、その接続は、溶接および静電容量溶接である。
【0084】
さらなる実施形態によれば、以下のステップが行われる。
【0085】
換気スペーサ8を形成する部分7に第1の円盤状部分2に接近させ、換気スペーサ8の反対側にある換気スペーサ8に第2の円盤状部分5に接近させるステップ。
【0086】
スタッドを溶接するために第1および第2の通路開口部21、22を形成するステップは、少なくとも1枚のシートにおける第1および第2の円盤状部分2の打ち抜くステップと同時に、またはそれとは別に行われる。
【0087】
スタッド24を溶接するための第3の通路開口23を作るステップは、少なくとも1枚のシートに換気スペーサ8を作るように構成された第3の部分7の打ち抜きステップと同時に、またはそれとは別に行われる。
【0088】
第1および第2および第3の通路開口部21、22、23を整列させるステップ。
【0089】
少なくとも1つの溶接スタッド24を、整列された開口部21、22、23のそれぞれに挿入するステップ。
【0090】
少なくとも1つの溶接電極25を、第1および第2の円盤状部分2、5、換気スペーサ8および溶接スタッド24のアセンブリに接近させるステップ。
【0091】
溶接スポット14によって、換気スペーサ8を溶接スタッド24によって第1または第2の円盤状部分2、5に接続し、および/またはその接続が溶接および容量性溶接であるステップ。
【0092】
一実施形態によれば、溶接スタッド24は、3つの部分(第3の部分7を挟む第1および第2の円盤状部分2、5)の固定具である。溶接スタッド24は、干渉物と共に又はそれなしで固定される固定具で、溶接によって所定の位置に保持され、それが接触している第1および第2の円盤状部分2、5および第3の部分の部分に溶接される溶接スタッド24を局所的に溶融する。
【0093】
さらなる実施形態によれば、以下のステップが行われる。
【0094】
換気スペーサ8を形成する部分7に第1の円盤状部分2を接近させ、換気スペーサ8の反対側にある換気スペーサ8に第2の円盤状部分5を接近させるステップ。
【0095】
スタッドを溶接するための第1および第2の通路開口部21、22を形成するステップは、少なくとも1枚のシートにおける第1および第2の円盤状部分2の打ち抜きステップと同時に、またはそれとは別に行われる。
【0096】
第1の円盤状部分2に設けられた電極開口部21に少なくとも1つの第1の溶接電極25を挿入し、換気スペーサ8の上に第2の溶接電極25に配置するステップ。
【0097】
第2の円盤状部分5に設けられた電極開口部22に少なくとも1つの第2の溶接電極25を入れて、換気スペーサ8の上に前記第2の溶接電極25に配置するステップ。
【0098】
溶接スポット14により、換気スペーサ8を第1および第2の円盤状部分2、5に接続するステップ、および/またはその接続が溶接および容量性溶接であるステップ。
【0099】
一実施形態によれば、溶接スポット14によって接続するステップの後、前記換気ブレーキバンド4の外面の少なくとも一部の耐久性を考慮して前記第1および第2のディスク形状部分2、5を加工し、前記第1および第2のプレート3、6の両ブレーキ面26、27を形成する。
【0100】
一実施形態によれば、孔開けおよび処理のさらなるステップが、車両のブレーキディスクの支持スタブ車軸と協働するように構成されたベル16の少なくともその表面に行われる。
【0101】
一実施形態によれば、機械加工は、研削、微調整、フライス加工または同様の機械加工(例えば、切りくず除去および/または研削による加工)である。
【0102】
一実施形態によれば、打ち抜きステップの少なくとも1つは、第2の円盤状部分5を形成するための円形クラウンブランキングである。
【0103】
さらなる実施形態によれば、以下のステップが行われる。
【0104】
上述した複数の打ち抜きステップの少なくとも1つは、内側放射状延長部15を備えた円形クラウンブランキングで、これにより第2の円盤状部分2が形成される。
【0105】
換気スペーサ8を形成する部分7に第1の円盤状部分2に接近させ、換気スペーサ8の反対側にある換気スペーサ8に第2の円盤状部分5に接近させるステップ。
【0106】
溶接スポット14により、換気スペーサ8を第1または第2の円盤状部分2、5に接続し、それにより、換気式ブレーキバンド4を作成するステップ。
【0107】
内側放射状延長部15をダイのキャビティ(2つのハーフダイ31および32によって与えられるキャビティ)に挿入するステップ。
【0108】
ベル16をその周辺部分と一緒に鋳造するステップ。ベル16は、硬化すると、内側放射状延長部15の少なくとも一部を囲い、ベル16を換気ブレーキバンド4に接続する。これにより、換気ブレーキバンド4は、ベル16に対して放射方向に熱膨張移動できる。
【0109】
本発明はさらに、上記の実施形態のいずれか1つに係るブレーキバンド4を含むディスクブレーキ1に関する。
【0110】
本発明はさらに、上述の製造方法のいずれか1つに従って作製されたディスクブレーキ用ディスクに関する。
【0111】
本発明はさらに、上述の実施形態のいずれか1つに係るブレーキバンド4を備える車両に関する。
【0112】
当業者は、上記の実施形態に多くの変更および構成を行うことができるか、または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、偶発的なニーズを満たすために機能的に同等である他の要素に置き換えることができる。
【0113】
さらに、本発明は、ディスクブレーキディスク1を製造するためのシステムに関し、以下の構成を含む。
【0114】
所定の厚さの少なくとも1枚のシートを供給する少なくとも1つの装置。
【0115】
換気式ブレーキバンド4の第1のプレート3を作るように構成された少なくとも1枚のシートに第1の円盤状部分2を打ち抜く少なくとも1つのステーション。
【0116】
換気式ブレーキバンド4の第2のプレート6を作るように構成された少なくとも1枚のシートの第2のディスク形状部分5を打ち抜くステーションと同じまたは別個のステーション。
【0117】
換気式ブレーキバンド4のための少なくとも一つの換気スペーサ8を作るように構成された少なくとも一枚のシートに第3の部分7をブ打ち抜くステーションと同じ又は別個のステーション。
【0118】
第3の部分7に沿った円形経路に沿って第1および第2の突部9、10を形作ることによって第3部分を加工し、換気ブレーキバンド4のための換気チャンネル13を作るように構成された第1と第2の窪み11,12を形成するステーション。
【0119】
不連続溶接スポット14によって、第1のプレート3に作成するように構成された第1の円盤状部分2を第1の突部9に接続するステーション。
【0120】
不連続溶接スポット14によって、第2のプレート6に作成するように構成された第2の円盤状部分2を第2の突部10に接続するステーション。
【0121】
一実施形態によれば、回転支持テーブルは、その角度位置を制御して、少なくとも第1の円盤状部分2と第2の円盤状部分5と換気スペーサ8を支持し、溶接される場所を少なくとも一つの溶接電極25に関して所定位置に配置する。
【0122】
一実施形態によれば、一つの電極を備えた溶接ステーションがさらに含まれ、第2のディスク形状部分5の第1のディスク形状2と間に配置された換気スペーサ8を含むアセンブリを動かすことによって、複数の溶接スポットが作られる。
【0123】
一実施形態によれば、整形された電極を備えた溶接ステーション(プロジェクション溶接)がさらに含まれ、専用電極には、複数の溶接電極先端または部分25が設けられ、コンポーネント全体が一つの操作で溶接される。
【0124】
一実施形態によれば、溶接ステーションは、複数の溶接先端部を有する成形された溶接電極ツールを用いて、例えば、ブレーキバンド4の複数のセグメントに対して同じ動作を繰り返すことによって、ブレーキバンドのセグメントを溶接する。例えば、X-Xディスクの軸を中心に4つの動きで複数のセグメント(90°)を溶接することにより、より安価な機器を使用してブレーキバンドを完全に溶接することができる。
【0125】
一実施形態によれば、溶接は、プロセスの第1のステップにおいて、外板となる部分、または第2の円盤状部分5を、換気スペーサ8となる第3の部分7と溶接することによって実施することができる。続いて、内側プレート3となる第1の部分2を、外側プレート6および第3の部分7と溶接する。あるいは、第1の円盤状部分2を、第3の円盤状部分7に接近させ、第2の円盤状部分5が一緒に同時に溶接され、ブレーキバンド4を作る。
【0126】
実施形態によれば、換気スペーサ8になることを意図した第3の部分7は、積層造形技術を使用して、第1および第2の円盤状部分2、5に溶接される適切な材料で作られる。
【符号の説明】
【0127】
1:ディスクブレーキディスク
2:第1の円盤形状部分
3:第1のプレート
4:換気ブレーキバンド
5:第2のディスク形状部分
6:第2のプレート
7:第3の部分
8:換気スペーサ
9:第1の突部
10:第2の突部
11:第1の窪み
12:第2の窪み
13:換気チャンネル(溝)
14:不連続溶接スポット
15:内側放射状延長部
16:ベル
17:車輪ハブに対する中央の供給及び接続部
18:中央のベル形状部分
19:窪みにおけるボス又は点状部
20:突部の平坦な端部分
21:第1の経路開口
22:第2の経路開口
23:第3の経路開口
24:溶接スタッド
25:溶接電極
26:ブレーキ面
27:ブレーキ面
28:プレート開口に入る延長溶接先端部
29:プレートに接触する小さな延長溶接先端部
30:ベルブレーキバンド接続及び供給装置
31:ハーフダイ
32:ハーフダイ
33:環状溶接プレート又は環状電極
34:ボスハウジング
X-X:回転軸
A-A:軸方向
R-R:放射方向
C-C:接線方向
D1:内側バンド径
D2:外側バンド径