(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】包装材料及びそのような包装材料のためのシーリングシステム
(51)【国際特許分類】
B65D 65/40 20060101AFI20241217BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B65D65/40 D
B32B9/00 A
(21)【出願番号】P 2022500714
(86)(22)【出願日】2020-07-08
(86)【国際出願番号】 EP2020069276
(87)【国際公開番号】W WO2021005120
(87)【国際公開日】2021-01-14
【審査請求日】2023-06-13
(32)【優先日】2019-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】391053799
【氏名又は名称】テトラ ラバル ホールディングス アンド ファイナンス エス エイ
【住所又は居所原語表記】70 Avenue General Guisan,CH-1009 Pully,Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100151105
【氏名又は名称】井戸川 義信
(72)【発明者】
【氏名】ジョヴァンニ・ベッティ ベネヴェンティ
(72)【発明者】
【氏名】ペール・ビアレイン
(72)【発明者】
【氏名】グロリア・グイデッティ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ワムスラー
(72)【発明者】
【氏名】ラディスラフ・フルダレク
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01535729(EP,A1)
【文献】特開昭55-005898(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0284449(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/40
B32B 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材料であって、コア層(104)と、それに積層されたヒートシール可能な材料の1つ又は複数の層(106、108、110)と、関連するシーリングシステム(30)の工作物(60)を形成するように構成された少なくとも1つの炭素系部分又は
炭素系層(112)とを含み、
前記炭素系部分又は
前記炭素系層(112)がグラフェン系材料である、包装材料。
【請求項2】
前記少なくとも1つの炭素系部分又は
前記炭素系層(112)が、関連する誘導加熱シーリングシステム(30)の工作物(60)を形成するように構成される、請求項1に記載の包装材料。
【請求項3】
前記コア層(104)がセルロース系材
料である、請求項2に記載の包装材料。
【請求項4】
前記炭素系部分又は
前記炭素系層(112)が、横断方向シーリングシステム(30)の工作物(60b)及び/又は長手方向シーリングシステムの工作物(60a)を形成するように構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項5】
前記炭素系部分又は
前記炭素系層(112)が前記包装材料(100)内へ積層される、請求項1~4のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項6】
前記炭素系部分又は
前記炭素系層(112)が、前記関連するシーリングシステム(30)の前記工作物(60)の位置に対応する1つ又は複数の領域(124)でのみ局所的に施される、請求項1~5のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項7】
前記包装材料(100)は、アルミニウム箔を含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項8】
前記グラフェン系材料が、グラフェンの剥離されたフレーク、還元型酸化グラフェン、グラフェン単層材料及び最大で20
個のグラフェンの積層単層フレークを有する多層グラフェン小板からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含む、請求項1に記載の包装材料。
【請求項9】
前記グラフェン系材料が、乾燥重量に基づき、少なくとも50重量%から
、最大で100重量%の、グラフェンの剥離されたフレーク、還元型酸化グラフェン、グラフェン単層材料及び最大で20
個のグラフェンの積層単層フレークを有する多層グラフェン小板からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含む、請求項1に記載の包装材料。
【請求項10】
前記グラフェン系材
料が、乾燥重量に基づき50重量%未
満の導電性及び/又は磁性粒子を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項11】
前記グラフェン系材料が、グラフェンの剥離されたフレーク、還元型酸化グラフェン、グラフェン単層材料及び最大で20
個のグラフェンの積層単層フレークを有する多層グラフェン小板からなる群から選択される1つ又は複数の材料の分散を含む組成物から取得可能である、請求項1~10のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項12】
前記炭素系部分又は
前記炭素系層(112)が、インク及び/又は分散コーティングの形で前記包装材料に施される、請求項1~11のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項13】
前記炭素系部分又は
前記炭素系層(112)が、グラフェンの層状の剥離されたフレーク、還元型酸化グラフェン又はグラフェン単層材料又は最大で20
個のグラフェンの積層単層フレークを有する多層グラフェン小板の予め製造され、圧縮されたシートの形で前記包装材料に施される、請求項1~11のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項14】
前記炭素系部分又は
前記炭素系層(112)の厚さが0.001~500μmの範囲にある、請求項1~13のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項15】
前記炭素系部分又は
前記炭素系層(112)
の厚さが一定である、請求項1~14のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項16】
前記ヒートシール可能な材料が熱可塑性ポリマーを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の包装材料。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の包装材料を製造する方法であって、ヒートシール可能な材料の1つ又は複数の層(106、108、110)をコア層(104)に積層するステップと、前記少なくとも1つの炭素系部分又は
炭素系層(112)を前記包装材料に施すステップとを含み、前記炭素系部分又は
前記炭素系層(112)がグラフェン系材料であり、前記少なくとも1つの炭素系部分又は
前記炭素系層(112)が関連するシーリングシステム(30)の工作物(60)を形成する、方法。
【請求項18】
前記炭素系部分又は
前記炭素系層(112)を施す前記ステップが包装材料積層プロセス中にインラインで実施される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記炭素系部分又は
前記炭素系層(112)を施す前記ステップが、包装材料積層プロセスの後又は終わりのオペレーションステップとして実施される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
請求項1~16のいずれか一項に記載の包装材料(100)により形成された本体(22)を含み、シーリング領域(124)に配置された少なくとも1つのヒートシール(TS)を有する包装容器(20)であって、前記包装材料(100)が前記シーリング領域(124)に配置された炭素系部分又は
前記炭素系層(112)を含む、包装容器(20)。
【請求項21】
請求項20に記載の前記包装容器(20)を製造するための方法であって、熱が包装材料(100)の工作物(60)において生成されるように電磁デバイス(30)を作動させることにより前記包装材料(100)をヒートシールすることを含み、前記工作物(60)が前記炭素系部分又は
前記炭素系層(112)により形成される、方法。
【請求項22】
前記電磁デバイスが、100kHz~27MHz
超の周波数で作動する、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装材料に、特に、独立した液状食品包装容器を形成するための包装材料に関する。本発明はまた、前記包装材料にシーリングを提供するように構成されたシーリングシステムに、並びに包装容器及びそのような包装容器を製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、食品包装容器の製造者の大部分は、様々な政府及び他の機関、例えば欧州連合により促進されるリサイクル可能性及び持続可能性規格を満たすことに、集中的に取り組んでいる。これらの努力の目的は、廃棄物及び汚染を減少させるために、より大きい程度で再生可能な包装材料で作られ、より高い度合いで再利用可能である、次世代のカートンベースの包装容器を供給することである。
【0003】
しかしながら、包装容器を形成するための包装材料のほとんどの製造業者は依然として、食品保護のためにアルミニウムの薄い箔を包装材料に一体化させる。アルミニウムの遮蔽特性を除くと、金属箔はまた、閉鎖され及びシールされた包装容器を形成するために包装材料の様々なヒートシールを提供する工作物として使用される。ヒートシールは、最終的な包装容器の望ましい形状及び外観に依存して、包装の寸法に対して長手方向であっても横断方向であってもよい。
【0004】
包装材料のシーリングは、アルミニウム箔における誘導加熱、誘導渦電流の原理に基づく。箔が加熱されるとき、熱エネルギーは伝導により包装材料のプラスチック積層体層へ伝えられ、包装材料のプラスチック積層体層は次いで、融解して互いに接合する。誘導加熱の作動停止時、プラスチック層は再び固まって、正確で耐久性があるシーリングを提供する。包装容器の良好なシーリングは、製品の耐用期間全体にわたって、内容物を確実に無菌にする。
【0005】
しかしながら、アルミニウムは再生可能資源ではなく、したがって広範囲に及ぶ使用は、再生可能でリサイクル可能な包装という、上述のゴールと相いれない。この理由のため、アルミニウム無しの包装材料を開発することは、ますます重要となっている。他方、アルミニウム箔を含まない効率的な包装材料のシーリングを実施するための潜在的な問題が生じ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
先行技術の解決策の上記欠点を考慮して、堅牢なシーリングを可能にしつつアルミニウム箔を必要としない包装材料が依然として必要とされている。なおさらに、目的は、誘導加熱シーリングを可能にする包装材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様によると、包装材料が提供される。包装材料はコア層と、それに積層されたヒートシール可能な材料の1つ又は複数の層と、関連するシーリングシステムの工作物を形成するように構成された少なくとも1つの炭素系層とを含む。
【0008】
「工作物」という用語は、電磁デバイス、例えばインダクタにより作られた磁場により熱損失を生じるように構成された部分又は層を意味する。炭素系部分又は層は、それにより、ヒートシール可能な材料の隣接する層を加熱するとともにそれらを部分的に溶かすために、誘導加熱の影響を受けやすくなり得る。融解した又は部分的に融解した層は、溶け得るとともに、再び固まる間に互いに又は隣接する表面にジョイントシールされ得る。少なくとも1つの炭素系部分又は層は次いで、関連する誘導熱シーリングシステムの工作物を形成するように構成され得る、すなわち、関連する誘導熱シーリングシステムにおけるインダクタなどのデバイスにより生成された電磁場との相互作用により、熱を発生させることが可能である。
【0009】
コア層はセルロース系材料、例えば紙又は板紙であってもよい。
【0010】
ヒートシール可能な材料は、熱可塑性ポリマー、例えばポリオレフィン又はポリエステルを含み得る。ポリオレフィンの例は、ポリエチレン及びポリプロピレン、及びコポリマー及びその混合物である。ポリエステルの例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンフラノエート(PEF)、並びに生物分解性ポリエステル、例えばポリ乳酸(PLA)及びポリヒドロキシアルカノエート(PHA)である。
【0011】
炭素系層は、横断方向シーリングシステムの工作物及び/又は長手方向シーリングシステムの工作物を形成するように構成されてもよい。
【0012】
炭素系層は、包装材料内へ積層されてもよく、すなわち、隣接する積層体層間に位置してもよく、及び/又は包装材料の外面に配置されてもよい。炭素系層の正確な位置付けは、様々なプロセスパラメータ、及び包装容器特性に依存し得る。
【0013】
炭素系層は、それが連続的な層を形成するように、包装材料全体にわたって分布してもよい。したがって、炭素系層は、包装材料でできている包装容器の内容物を外側の環境から保護することを効果的に支援し得る。
【0014】
別の実施形態において、炭素系層は、関連するシーリングシステムの工作物の位置に対応する1つ又は複数の領域、すなわち、包装材料の、シーリングゾーンの一部を形成することを意図された領域でのみ、局所的に施される。
【0015】
炭素系層はグラフェン系材料であってもよく、グラフェン系材料は、グラフェン又は還元型酸化グラフェンを1つ又は複数の層において含んでもよい。最も好ましくは、グラフェン系材料は、主要量のグラフェン又は還元グラフェン、すなわち、以降で「還元型酸化グラフェン」と表記されるグラフェン酸化物を還元することにより得られるグラフェンを含む。したがって、グラフェン系材料は、乾燥重量に基づき、少なくとも50重量%から、例えば60重量%から、例えば70重量%から、例えば80重量%から、例えば90重量%から、例えば95重量%から、最大で100重量%のグラフェン又は還元型酸化グラフェン材料を含む。
【0016】
「グラフェン系」という用語における「グラフェン」の定義は、還元型酸化グラフェン、グラフェンの単層、グラフェンの剥離されたフレーク、及び多層グラフェンフレーク、又はいわゆるグラフェン小板、すなわち、グラフェン又は還元型酸化グラフェンのいくつかの層の部分的に剥離したフレーク状スタック最大で20個、好ましくは10個以下のそのような単層フレークを含む。
【0017】
一実施形態によれば、グラフェン系材料は、グラフェンの剥離されたフレーク、還元型酸化グラフェン、グラフェン単層材料及び最大で20個、例えば10個以下のグラフェンの積層単層フレークを有する多層グラフェン小板からなる群から選択される1つ又は複数の材料を含む。
【0018】
一実施形態において、グラフェン系材料は、そのようなグラフェンの剥離されたフレーク、還元型酸化グラフェン又は最大で20個、好ましくは10個以下の積層単層フレークを有する多層グラフェン小板の分散から得られた層を含む。
【0019】
剥離したフレーク状グラフェンは、例えばマイクロ流体剥離又は電気化学的膨張又は超音波剥離によるグラファイト粒子の剥離により取得可能である。剥離プロセスの性質及び性能に依存して、純粋な単層グラフェンフレークの、そのような多層グラフェンフレークに対する割合は変わってもよい。
【0020】
相対的に少ない量のみ、すなわち、グラフェン系材料の乾燥重量に基づき、20重量%未満、例えば10重量%未満、例えば5重量%未満のみが、グラファイトフレークであってもよく、このグラファイトフレークは、剥離されて20個を超える数のグラフェン単層フレークとなっているがバルク状グラファイト粒子より小さい横方向粒子サイズを有する、すなわち、いわゆる「グラファイトナノ小板」、したがってナノサイズであってもよい。
【0021】
そのような相対的に少ない量の、そのような横方向にナノサイズのグラファイトフレークは、それらがグラフェン系材料の性能を過剰に減じない限り存在してもよい。好ましくは、ナノグラファイトフレーク/小板は、乾燥重量に基づき15重量%未満の量、例えば10重量%、例えば5重量%以下のみ組成物に存在する。さらに、グラフェン系組成物は、導電性及び/又は磁性粒子の50重量%未満、例えば40重量%未満、例えば30重量%未満、例えば20重量%未満、例えば10重量%未満乾燥重量、例えば5重量%未満の量を含んでもよい。導電性及び/又は磁性金属粒子の存在は、当該部分又は層の性能を増加させ得るが、その効果は補助的なままとなり、すなわち、層の誘導ヒートシール性能の大部分はグラフェン系材料により提供される。好適な導電性粒子は、他の考えられる金属粒子の中で、銀及びアルミニウムの粒子である。炭素系層、好ましくはグラフェン系層は、インク及び/又は分散コーティングの形で包装材料に施されてもよい。
【0022】
好適な施す方法は、したがって、印刷方法、例えばフレキソ印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷及び様々な分散皮膜方法、例えばスロットコーティング、ドクターブレードコーティング、カーテンコーティング及びスプレーコーティングである。これらの印刷又はコーティング方法により、0.1~25μm、例えば0.5~20μm、例えば0.5~10μm、例えば0.5~8μm、例えば0.5~7μm、例えば0.5~6μm、例えば0.5~5μmの好適な厚さの炭素系層が施されてもよい。
【0023】
グラフェン系組成物は、分散又はインクのコーティング及び乾燥におけるフィルム形成プロセスを支持するために溶剤及びバインダ、すなわちポリマーをさらに含んでもよい。溶剤又は分散媒質は水及び/又は有機溶剤を含んでもよい。組成物は、乾物換算で少量の、当該技術分野において通常の添加剤、例えば増粘剤、消泡剤、ワックス及び他の粘度及びフィルム形成調整剤をさらに含んでもよい。
【0024】
代替的に、剥離したグラフェンフレークの同様の組成物は、層状グラフェンフレークのコンパクトで可撓性のあるシートが得られるように、湿潤シートコーティングへと形成されるとともに、高圧力下でグラフェンシートへと圧縮されてもよく、続いて乾燥させられてもよい。そのようなグラフェンフレーク「紙」又は板は、数マイクロメートル、例えば3μmから、例えば5μmから、最大で70μm、例えば最大で80μmの厚さで比較的高い伝導性を有するように設計されてもよい。
【0025】
したがって、一実施形態によれば、炭素系層は、グラフェンの層状の剥離されたフレーク、還元型酸化グラフェン又はグラフェン単層材料又は最大で20個、例えば10個以下のグラフェンの積層単層フレークを有する多層グラフェン小板の予め製造され、圧縮されたシートの形で包装材料に施される。
【0026】
伝導性対機械的特性の特にバランスの良い特性が、15μm~最大で40μmの厚さを有するそのようなグラフェンフレーク板により取得可能である。グラフェンフレークのコンパクトであるが可撓性のあるシートは、完全積層シートとして、又は、例えば意図されたシーリングゾーンのみにテープの形で、パターン積層により包装材料に施されてもよい。
【0027】
さらなる考えられる実施形態において、グラフェンコーティングは、蒸着グラフェン層の形で、例えば数ナノメートル~最大で500nm、例えば最大で300nmの厚さの化学蒸着(CVD)により施されてもよい。
【0028】
炭素系層の厚さは好ましくは、シーリングシステム特性、例えば電力信号周波数などに依存して0.001~500μm、例えば0.01~500μm、例えば0.1~300μm、例えば1~300μmの範囲で、層の延在部全体にわたって一定であってもよい。
【0029】
第2態様によると、包装材料を製造する方法が提供される。方法は、熱可塑性材料の1つ又は複数のヒートシール可能層をコア層へ積層するステップと、少なくとも1つの炭素系層を前記包装材料へ施すステップとを含み、少なくとも1つの炭素系層、好ましくはグラフェン系層が関連するシーリングシステムの工作物を形成する。
【0030】
炭素系層、好ましくはグラフェン系層を施すステップは、包装材料積層プロセス中にインラインで、又は包装材料積層プロセスの終わりに後工程として実施されてもよい。
【0031】
第3態様によると、包装材料のためのシーリングシステムが提供される。シーリングシステムは、少なくとも1つの電磁デバイスと前記包装材料上に配置された工作物とを含み、前記工作物は炭素系層、好ましくはグラフェン系層により形成される。
【0032】
第4態様によると、包装容器が提供される。包装容器は、包装材料により形成されているとともにシーリング領域に配置された少なくとも1つのシーリングを有する本体を含み、包装材料は、前記シーリング領域に配置された炭素系層、好ましくはグラフェン系層を含む。
【0033】
第5態様によると、包装容器を製造するための方法が提供される。方法は、熱が前記包装材料の工作物において生成されるように誘導加熱デバイスを作動させることにより包装材料をシーリングするステップを含み、前記工作物は炭素系層、好ましくはグラフェン系層により形成される。
【0034】
本発明の実施形態が、ここで添付の概略図を参照して、例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2】包装機械と使用するための、一実施形態によるシーリングシステムの断面図である。
【
図3】様々な実施形態による包装材料を製造するための変換装置の側面図である。
【
図7】一実施形態による包装及び包装材料を製造するための方法の概略図である。
【
図8a-b】異なる工作物材料についての抵抗率に応じた誘導電力を示す図である。
【
図9】第1炭素系層についての工作物厚さに応じた効率を示す図である。
【
図10】第2炭素系層についての工作物厚さに応じた効率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1で始めると、ロール給紙ボール紙ベース包装機械10の基本原理が示されている。包装機械10は、例えば液状食品製品の連続的包装のために形成され、商業的に成功しているTetra Brik(登録商標)包装システムなど様々な異なる包装システムのために使用される一般的な技術的概念を形成する。包装機械10は、(
図1において示されるとおり)連続的なウェブの形の包装材料100を受ける。
【0037】
包装材料100の巻き戻し後、その長手方向側縁101a~bが合わせられて長手方向シールLSを形成し、それによりまた包装材料100のチューブ12を形成する。より詳細には、長手方向側縁101a~bは、重複するやり方で連続的に互いに取り付けられる。チューブ12は、充填パイプ13から望ましい製品、好ましくは液状食品製品で充填される。
【0038】
一連の包装20が、チューブ12の端部で横断方向シーリングTSを作ること及びシールされた部分を切り落とすことによりチューブ12から形成され、それらが形成されると、各シールされた部分は独立した包装20を表す。包装20を成形するために、異なる形成工具が横断方向シーリング作業中に使用されてもよく、又は、横断方向シーリングが実施された後で別々の形成プロセスが実施されてもよい。
【0039】
代替的に、ブランク供給包装機械が使用される。ブランクであって、折り畳まれた管状スリーブが形成されるように2つの端部が一緒にヒートシールされた、包装材料の予め切断された片の形のブランクが、充填機械に供給される。ブランクは開いたスリーブ内へと立てられ、次いで、閉じられた頂部又は底部が形成されるように折り畳まれシールされる。それはその後、充填された包装容器が得られるように製品で充填され、シールされ、折り畳まれる。
【0040】
「長手方向」という用語は、チューブ12の供給方向、すなわち機械供給方向を指していることが言及されるべきである。「横断方向」という用語は長手方向に垂直な方向を指している。
【0041】
横断方向シールTSは、
図1には示されないが
図2において概略的に示されているシーリングシステム30により典型的には形成される。横断方向シーリングシステム30の2つのセットが提供され、下流構成において配置される(1つのシーリングシステム30が別のシーリングシステムの下流に配置される)。シーリングシステムの作動により、可動シーリングジョーに位置付けられた高周波数インダクタ又は別の電磁デバイス31及びカウンタ要素32は、充填された包装材料チューブ12を、TSシールゾーンを形成するように移動方向において移動させるとともに押し合わせる。電磁気学的損失、例えば渦電流が包装材料100の工作物において生じると、包装材料100は加熱されて高周波数誘導加熱により所定の間隔毎に横断方向TSシールゾーンを形成する。工作物において渦電流を生じさせるために、以下でさらに説明されるとおり、インダクタ31は高周波数電源に接続される。
【0042】
シーリングジョーの移動はまた、チューブ12の前進運動を提供し、それによりシールTSは所定の間隔で配置されることが言及されるべきである。
【0043】
次いで、各横断方向TSシールゾーンは刃物(図示せず)により中心線に沿って切断され、独立した包装容器20を形成するように分割される。包装容器20の最終形成は、様々な包装容器形状、例えばれんが形(平行六面体)、六角柱、八角柱、四面体形、ゲーベルトップ容器などを得るために、多くの異なる方法において構成されてもよい。
【0044】
ここで
図3を見ると、積層プロセス、すなわち包装材料100の製造プロセスの概略図が示されている。包装材料製造プロセスは、熱可塑性材料のいくつかの層をコア層へ積層する概念に基づく。
【0045】
包装材料100の製造は、紙又は板のコア層ウェブ104のリール102が繰り出されるとともに、ニップローラー42上にわたされ、冷却ローラー44と接触させられるように進む。押出機46を用いて、熱可塑性材料の連続的フィルム106がニップローラー42上のコア層ウェブ104と冷却ローラー44との間に押出成形され、このとき熱可塑性材料106、例えばポリエチレンの排出されたフィルムがコア層104に付着する。ニップローラー42と冷却ローラー44との間の圧縮により、コア層104及びフィルム106は一体化されて複合包装材料積層体を形成する。同じオペレーションにおいて、材料の任意選択のさらなるウェブ(図示せず)が、冷却ローラーの上にわたされて、同様に、熱可塑性材料106の中間押出成形接合層によりコア層ウェブへ積層される。上記の変換プロセスに加えて、液密でヒートシール可能な熱可塑性材料の外側層108及び液密でヒートシール可能な熱可塑性材料の内側層110もまた、包装材料100を形成するために追加されてもよい。外側及び内側層108及び110は、例えばヒートシール可能なポリエチレンポリマーなどの上述の原理に従う、
図3に示されるフィルム積層により、又は融解した熱可塑性材料の押出加工コーティングとして、予め積層されたコア層ウェブに積層されてもよい。1つ又は複数の遮蔽層がまた包装材料100の一部となってもよく、コア層ウェブに、好ましくは、コア層ウェブの、結果としての積層包装材料から包装容器の内側を形成するためである側に積層されてもよい。
【0046】
先に説明されたとおり、誘導加熱及びシーリングは、包装材料100の工作物の提供を必要とし、工作物がインダクタ31からの高周波数磁場を受けると工作物渦電流が生じ得る。この工作物は、慣例上、包装材料100全体にわたるアルミニウム層の形で提供されてきているが、代わりに、アプリケータ50により提供されてもよい。さらに説明されるとおり、工作物は炭素系材料により形成され、好ましくは包装材料100に局所的に提供される。
【0047】
図3において、アプリケータ50は概略的にのみ示されており、アプリケータ50は多くの異なる方法で実現されてもよい。例えばアプリケータ50は印刷ユニット、例えばインクジェットユニットであってもよく、それにより工作物材料は炭素系、好ましくはグラフェン系、インクの形で提供される。アプリケータ50は、他の実施形態においては、スプレーユニット、ロールアプリケータなどとして実現されてもよい。重要なことは、アプリケータ50は、炭素系材料の層を包装材料100の特定の位置に施すように構成される。
【0048】
アプリケータ50は、積層プロセスの一部を形成しないとしてもよいが、代わりに積層プロセスの前又は後に使用されてもよい。例えばアプリケータ50は、包装材料100がシールされたチューブ12へと変えられる前に炭素系層が施されるように、包装機械10において配置されてもよい。
【0049】
積層プロセスの一部を形成する場合、アプリケータ50は、
図3を参照して説明されたとおり、様々な位置に配置されてもよい。いくつかのアプリケータ50が、したがって、
図3において示されているが、単一の位置に1つのみのアプリケータ50が必要とされてもよいことが理解されるべきである。
【0050】
例えばアプリケータ50は、積層前に工作物がコア層104の外側に、又はコア層104の内側に印刷されるように配置されてもよい。アプリケータ50の他の可能な位置は
図3に示されている。
【0051】
好ましい実施形態において、アプリケータ50は、炭素系材料が包装材料100の内側、最内ヒートシール可能層の下、又は遮蔽フィルムの内側表面に施されるように、配置される。任意選択の実施形態において、チューブ12が形成されたときに包装材料100の長手方向縁のヒートシールを可能にするために、アプリケータ50は、炭素系材料が包装材料100のコア層の外側、例えば板紙に施されるように配置される。
【0052】
結果としての包装材料100の例が
図4に断面で示されており、また炭素系層、好ましくはグラフェン系層112の形の工作物60も示す。工作物60は、積層プロセスの間、前又は後のアプリケータ50の位置に依存して、異なる材料層間のインタフェイスのいずれかに、層110の外面に、層110と106との間に、層106と104との間に、層104と108との間に、又は層108の外面に配置されてもよい。遮蔽層が存在する場合、工作物60はそのような遮蔽層の両側に配置されてもよいが、好ましくは、炭素系工作物部分又は層は、コア層の、又は任意選択の遮蔽層及び内側層110の内側に提供される。
【0053】
ここで
図5を見ると、包装材料100の例が示されている。包装材料100は、例えば
図1に示されるとおり包装機械10により使用されるように、連続的なウェブの形で提供される。ウェブは、それにより、一連のセグメント120を含み、各セグメント120は独立した包装20を形成するために後に使用される。
図5において、3つのセグメント120が示されている。各セグメント120は複数の折り目122を有し、各セグメント120にはまた、少なくとも1つの工作物60が設けられる。図示の例において、長手方向工作物60aは包装材料の1つの長手方向縁に沿って配置され、いくつかの工作物60bは、それぞれのシーリング領域124において配置され、各シーリング領域124は、形成されることになる横断方向シーリングTSの位置に対応する。
【0054】
図1の包装機械10により加工された
図5の包装材料100に由来する包装20が
図6に示されている。包装20は、包装材料20の本体22を形成し、1つの長手方向シーリングLSと2つの横断方向シーリングTSとを有する。少なくとも1つのシーリング、好ましくは少なくとも2つの横断方向シーリングTSがそれぞれのシーリング領域124に配置される。炭素系層、好ましくはグラフェン系層により形成された工作物60は、前記シーリング領域124に配置される。
【0055】
包装材料100は、繊維系材料、例えばセルロース系材料であってもよいコアバルク層104により形成される。コア層104はセルロース系材料、例えば紙又はボール紙又は板紙であってもよい。包装材料100はまた、関連するシーリングシステム30の工作物60を形成するように構成されている少なくとも1つの炭素系層、好ましくはグラフェン系層112を有してもよい。先に述べたとおり、炭素系層112は、横断方向シーリングシステム30の工作物60b及び/又は長手方向シーリングシステムの工作物60aを形成するように構成される(明示的に図示されていないが
図1において示されている)。
【0056】
炭素系層、好ましくはグラフェン系層112は、例えば包装材料100内へ積層され得るか、包装材料100の外面に配置されてもよい。
【0057】
先に説明されていないが、いくつかの実施形態において、炭素系層112は、炭素系層112が連続的な層を形成するように包装材料100の幅及び長さ全体にわたって分布してもよい。
【0058】
しかしながら、誘導シーリングを可能にするために、炭素系層112を1つ又は複数の領域124で局所的にのみ提供することが必要であり、それにより、関連するシーリングシステム30の局所的工作物60を形成する。
【0059】
工作物60を形成するために使用される炭素系材料は好ましくはインクの形であり、それにより、標準的な装置が使用されるのを可能にする(例えばインクジェット技術)。インクは、グラファイト及びグラフェンの結晶構造の炭素を含んでもよい。炭素系層は、好ましくは、グラフェン又は還元型酸化グラフェンを、1つ又は複数の層において乾燥重量に基づき少なくとも50重量%の量で含む。好ましくは、炭素系層は、グラフェンの剥離されたフレーク又は還元型酸化グラフェンの分散を含む。
【0060】
これまでのところ、本発明の概念内で使用されるために、すなわち包装材料の隣接する層をヒートシールするために十分な品質及び物理的特性を備えた、純粋なグラファイトインク又は分散を製造することには成功していない。これは、粒子の形状のときに必要とされる伝導性を提供しないという、グラファイト材料の固有の特性を原因とするものである。代わりに、グラフェン又は還元型酸化グラフェンを使用することにより、改良が可能である。したがって、グラファイト材料の嵩張る性質を原因として、必要とされる機械可撓性特性及び必要とされる伝導性の両方を有するコーティング又は層を提供することが可能であるようにグラファイトを剥離することは、これまで可能ではなかった。グラファイトをナノサイズの極めて薄い層として施すことが可能である場合、その固有の特性は、良好な誘導特性が可能となるべきであるようなものである。しかしながら、均質なグラファイト層は、層が壊れるように過度に厚く過度に脆弱にする必要があり、粒子状グラファイト又は剥離されたフレークの形のグラファイトは、磁気損失に対する十分な伝導性又は敏感さに到達するような分散における濃度に到達し得ない。したがって、十分な伝導性のために、グラファイトのみ又はグラファイトをベースとする混合物においては、かなりの量の金属粒子が必要とされる。
【0061】
他方、例えば化学的蒸着(CVD)により得られるグラフェンの単層は、望ましい機械的特性を有するグラファイト材料の可能な限り薄い層であるとみなされ得る。完璧で、連続的なグラフェン単層の伝導性は高いが、単層であるため、現在の技術及び可能な周波数による適切なヒートシールを実施するために影響力のある加熱効果を生じさせるには、あまりにも薄すぎる。
【0062】
ここで
図7を見ると、包装容器20を製造するための方法200が概略的に示されている。方法200は、包装材料を製造する下位方法210を含む。
【0063】
下位方法210は、1つ又は複数のプラスチック層106、108、110をコア層104に積層するステップ212と、少なくとも1つの炭素系層、好ましくはグラフェン系層112を前記包装材料100に施すステップ214とを含む。少なくとも1つの炭素系層112は、関連するシーリングシステム30の工作物60を形成する。
【0064】
炭素系層112を施すステップ214は、包装材料変換プロセス中にインラインで実施されることも、包装材料変換プロセスの終わりに後工程として実施されることもできる。
【0065】
包装容器20を製造するための方法200は、包装材料100の工作物60において熱が生じるようにインダクタ32を作動させることにより、包装材料100をシーリングするステップ202をさらに含む。
【0066】
電磁デバイス、例えばインダクタは、ヒートシーリングシステムの設計に依存して周波数100kHz~27MHz超で作動され得る。より高いMHz範囲内で、特定の周波数帯、例えば13.65MHz及び27.12MHzが、国内当局により割り当てられている。より低い範囲では、作動の周波数はより自由に選択され得る。好ましくは、電磁デバイスは0.5MHz~27MHz超、例えば1MHz~27MHz超、例えば13MHz~27MHz超の周波数で作動する。
【0067】
以下の例により説明されるとおり、炭素系層の正確な厚さ及び抵抗率、並びに材料タイプは、望ましい効率、電流、品質因子などに依存して変わり得る。本明細書において説明された例について、炭素系層112の厚さは好ましくは一定であり、電力信号周波数などのシーリングシステム特性に依存して、0.001~500μm、例えば0.01~500μm、例えば0.1~300μm、例えば1~300μmの範囲にある。
【0068】
図8aは、6.35μmの工作物厚さについての工作物材料抵抗率に応じた工作物における誘導電力のシミュレーションを示す図である。電力信号は535kHzの周波数を有し、これは、飲料ボール紙包装産業における誘導シーリングシステムのための駆動周波数である。シミュレーション研究において用いられるインダクタモデルは、長手方向シーリングを施すために設計されたインダクタである。モデルにおいて、インダクタからの工作物最小距離は1mmに設定される。
【0069】
グラフの下にある水平なバーは、調査された材料についての関連する抵抗率値を示す。第1材料は、25℃に保たれたAA6063、商業的に利用可能なアルミニウム合金である。第2材料は同じAA6063であるが、150℃という高温に保たれる。2つの第1材料(AA6063)は先行技術の従来のアルミニウム系工作物のための基準値を表す。第3材料は理想的な、仮想のグラファイト層であり、これは均一に施されているが、望ましい機械的特性を依然として有するには非現実的に薄い。第4データポイントはグラフェンの単層の仮想的使用を表す(1つの単一のグラフェン単層は施すための良好な抵抗率を仮想的に有し得るが、これは単層であることから、かなりの加熱効果を生じるには薄すぎる)。第5材料は、S.Majeeらにより開発された4層グラフェンフレークインク(GI)、せん断剥離したグラフェン透明導電性フィルムの拡張可能インクジェット印刷、Carbon2016;102:51-7である。
【0070】
グラフにおいて、レンツの法則による、誘導電流と誘導起電力との対抗の結果として、インダクタと工作物との間の動力連結を増加させるための抵抗率の最適な値が存在することが示されている。通常は10-4Ωm以上の範囲における抵抗率を有する典型的なグラフェンインクに対応する範囲において、本発明者らは、抵抗率が低いほど、誘導電力は高くなることを発見した。したがって、Majeeらにより提案されたグラフェンインクは、他のグラフェンインクと比較してその比較的低い抵抗率を原因としてさらに調査された。したがって、このような施されたインク層の厚さを増加させることにより、誘導電力はさらに増加し得る。
【0071】
例えば上述の層状グラフェンフレークのコンパクトで、可撓性のある、圧縮されたシートは、6.35μmの厚さで、10-7Ωmのオーダーのさらにより低い抵抗率を特徴とし、したがって、システム電力伝送をさらに増加させること、又はさらには最大化することを可能にする。
【0072】
図8bは、異なる電力周波数での、同じ仮想のグラファイト層についての及びグラフェンインクについての(共に6.35μmの層厚さでの)抵抗率に応じた誘導電力のシミュレーションである。図から明らかなとおり、MHz範囲における周波数について誘導電力のかなりの増加が得られる。比較のために、グラフにおける基準線(Pow.Ref.)は、周波数535kHzで、及び同じ6.35μmの厚さのアルミニウムAA6063でできている標準的な工作物に対応する電力値を示す。
【0073】
3
*10
-6Ωmの抵抗率を有するグラファイト材料について、仮想の層厚さに応じて計算された効率が、異なる周波数について
図9に示されている。電力基準(Pow.ref)と名付けられたマークは、535kHzで6.35μmのAA6063基準と同じ誘導電力を得るためにMHz周波数で必要とされるグラファイトの最小厚さを示す。しかしながら、およそ50nmのそれらの厚さで、システムの効率は基準に比べて著しく低下し、場合により過熱又は過電圧のリスクをもたらす。13.65MHzでは、比較的高い効率を維持するために少なくとも約500nmの工作物厚さが必要であるが、27.12MHzでは、約200nmのみの工作物厚さで十分なはずである。厚さをさらに増加させることにより、厚さに対するより低い感度が予期されるプラトー領域に到達することが可能である。このプラトー領域は、調査された厚さ範囲において、535kHzでAA6063箔についてより、著しく幅広である。
【0074】
プロットにおいて、「Eff.ref.」ラインは、6.35μm厚さのAA6063箔を特徴とし535kHzで作動する標準的なシステムの効率に対応する。
【0075】
2.5
*10
-5Ωmの抵抗率を有するグラフェンインク材料について、異なる電力周波数について層厚さに応じた効率が
図10において示される。13.65MHzでは、比較的高い効率を維持するために少なくとも約4.5μmの工作物厚さが必要である。27.12MHzでは、比較的高い効率を保つために、少なくとも約1.5μmの工作物厚さが必要である。厚さをさらに増加させることにより、厚さに対するより低い感度が予期されるプラトー領域に到達することが可能である。また、このプラトー領域は、調査された厚さ範囲において535kHzで、AA6063箔についてより、著しく幅広である。基準値は、
図9について上で説明されたものと同じ意味を有する。
【0076】
シミュレーションのまとめは、以下の表にさらに示される。
【0077】
【0078】
したがって、MHz範囲にある周波数を用いることにより、比較的薄い層を使用して良好な効率を有することが可能であり、それにより、炭素系層、例えばグラフェン系層を、誘導加熱シーリングのための包装材料における工作物として使用することを可能にする。