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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】フィルター装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 29/07 20060101AFI20241217BHJP
   B01D 35/30 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
B01D29/06 510D
B01D35/30
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022504654
(86)(22)【出願日】2020-07-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 EP2020069965
(87)【国際公開番号】W WO2021013647
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】102019005323.0
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019005325.7
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019005324.9
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019005326.5
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513144501
【氏名又は名称】エルテー-フィルターテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト シュテーレ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ザクラシンスキー
(72)【発明者】
【氏名】スベン ペーター ボツニアク
(72)【発明者】
【氏名】ディルク シェーンフェルト
(72)【発明者】
【氏名】ジョン オットー
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ボーラース
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー バッケス
(72)【発明者】
【氏名】クラウス モルゲンス
(72)【発明者】
【氏名】フロレンティン バン ウッフェレン
(72)【発明者】
【氏名】マルコ タスゾーネ
(72)【発明者】
【氏名】マルクス シュテファン バレク
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3001443(JP,U)
【文献】米国特許第04320005(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 27/00-14
B01D 29/00-96
B01D 35/00-34
F01M 11/03
F02M 37/32-52
F16N 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交換可能なフィルターエレメント(7)が収容され、蓋部材(2)を有するフィルターハウジング(1)を備えたフィルター装置であって、
前記フィルターエレメント(7)のエレメント部材(9)は、前記フィルターエレメント(7)の2つのエンドキャップ(13)の間に延びているフィルター装置において、
前記フィルターハウジング(1)は、流出管(3)として構成され、かつ、2つのエンドキャップ(13、14)の間に延び
スロット状の環状ガイドスペース(37、80)が、前記2つのエンドキャップ(13、14)のそれぞれに、前記流出管(3)の割り当てられた端部(38)に対する受容部を形成するために設けられ、前記環状ガイドスペース(37、80)は、少なくとも部分的に前記流出管(3)における内周側と外周側の壁部に接触する、
ことを特徴とするフィルター装置。
【請求項2】
エンドキャップ(13、14)おける環状ガイドスペースは、前記流出管(3)の割り当てられた端部(38)に対して軸方向の遊びを可能にする、ことを特徴とする請求項に記載のフィルター装置。
【請求項3】
前記2つのエンドキャップ(13、14)の間で前記エレメント部材(9)の外側に延びる支持管(11)は、縦梁材(55)と横梁材(53)からなる支持構造を有し、前記縦梁材(55)と前記横梁材(53)は流体通路を空けておき、少なくとも縦梁材(55)は前記フィルターエレメント(7)の長手方向軸心に対して平行に整列してエレメント部材(9)を内周側で支持し、スペーサーとして前記エレメント部材(9)と前記流出管(3)との間に間隙(57)を形成することを特徴とする、請求項1又は2に記載のフィルター装置。
【請求項4】
支持管(11)は、相前後して配置されラッチ手段によって互いにラッチ可能な個々の部分セグメント(49)からなり、2つの外側の部分セグメント(49)は、それらの自由外端部に向かってそれぞれ割り当て可能な前記エンドキャップ(13、14)を掛止するためのラッチ手段(47、51)を有する、ことを特徴とする請求項に記載のフィルター装置。
【請求項5】
前記蓋部材(2)に割り当てられたエンドキャップ(13)は、ラッチバー(28)によって前記蓋部材(2)の内面で掛止されている、ことを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載のフィルター装置。
【請求項6】
前記流出管(3)は、単層又は多層に形成され、かつ通路(5、6)を備えている、ことを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載のフィルター装置。
【請求項7】
未濾過液は、前記蓋部材(2)とは反対側に面する下部エンドキャップ(14)を通って前記フィルターエレメント(7)の内側(35)に供給され、濾過液は、前記フィルターエレメント(7)の外側を通って前記流出管(3)に向かって排出される、ことを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載のフィルター装置。
【請求項8】
前記蓋部材(2)内にバイパス弁(67)が一体化され、該バイパス弁(67)は開いた状態で、前記蓋部材(2)に割り当てられたエンドキャップ(13)の開口部(62)を通って前記蓋部材(2)の内室(17)に流体経路を形成し、前記エンドキャップ(13)は、周縁部の近傍に、前記流出管(3)の内側で間隙(57)に開口する通路(73)を有する、ことを特徴とする請求項1~の何れか一項に記載のフィルター装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能なフィルターエレメントを収容し、蓋部材を有するフィルターハウジングを備えたフィルター装置であって、フィルターエレメントのエレメント部材がフィルターエレメントの2つのエンドキャップの間に延びているフィルター装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種類のフィルター装置は、様々な実施形態において、異なる仕様に対応する交換可能なフィルターエレメントを備えているものが従来から知られている。この種類のフィルター装置では、フィルターエレメントは、特に油圧システムで流体のメンテナンスに利用される。冒頭に記載した種類のフィルター装置を開示している特許文献1に示されているように、そのようなフィルター装置は、いわゆるタンク内フィルター装置として有利に使用することができる。公知の解決策では、フィルターヘッド及びこれに隣接するフィルターポットを備えたフィルターハウジングは、垂直方向にタンクの内部に延びている。フィルターポットは比較的薄肉の円筒の形をしてフィルターヘッドにフランジ成形によって固持されている。フィルターポットの長さは、フィルターハウジングの下端部が運転時に予想されるタンク内の流体レベル、例えば油圧油の下方にあるように寸法設定されている。濾過運転時に、流体はタンクの底部領域にある流路から下部エンドキャップを通ってフィルターエレメントの内部に到達し、エレメント部材を通過した後にフィルターエレメントから濾過液として流出するが、その際にフィルターポットは流出管をなし、流出管は濾過液がタンクの内部に到達するための孔又は窓開口部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102015003604(A1)号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、この先行技術から出発して、特に単純で低コストで製造できる構造を特徴とする、冒頭に記載した種類のフィルター装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば上記の課題は、特許請求項1の特徴をその全体において有するフィルター装置によって解決される。
【0006】
請求項1の特徴部によれば、本発明の本質的特徴は、フィルターハウジングが、流出管として構成され、かつ2つのエンドキャップの間で延びている点にある。このように流出管がフィルターエレメントに統合されていることにより、蓋部材からタンク内に延びるフィルターハウジング全体がフィルターエレメントのみからなる。それにより先行技術ではタンク内にあるフィルターハウジングの一部と、フィルターヘッドと接続された流出管を形成するフィルターポットは不要になる。本発明に従い流出管をフィルターエレメントに統合するようにするとフィルターヘッドも必要ないので、本発明によるフィルター装置は非常に単純化された構造と、それに応じて少ないコストで製造することができる。さらに特別の利点は、フィルターエレメントの統合された部材としての流出管はフィルター装置の恒久的な部材をなさず、フィルターエレメントを交換する際に一緒に交換される点にある。したがって、流出管はフィルター装置の全耐用年数にわたって確実に機能する必要のない部材として、軽量構造のシンプルで廉価な材料で製作できる。
【0007】
有利には、エンドキャップ内には流出管の割り当てられた端部に対する受容部を形成するために、それぞれ1つのスロット状の環状ガイドスペースが設けられており、これらの環状ガイドスペースは流出管における壁部と少なくとも部分的に内周側と外周側で係合するように配置できる。受容された端部は接着剤でスロットガイド内に固定できる。
【0008】
有利には、エンドキャップ、好ましくは蓋部材に割り当てられたエンドキャップにおける環状ガイドスペースは、流出管の割り当てられた端部に対して軸方向の遊びを可能にする。こうすることより、エンドキャップ間の長さの値が目標値から外れた場合に、流出管の圧縮を生じるリスクが回避されている。したがってフィルターエレメントを製造する際に、支持管などの重要な部材に対して厳しい製造公差は守る必要がない。したがって特に、例えば部分セグメントから組み立てられた支持管を備えた比較的長いフィルターエレメントの場合、守るべき公差があまり厳しくないために、製造が簡単で廉価になる。
【0009】
特に有利な実施形態では、エレメント部材の外側でエンドキャップの間に延びる支持管は、縦梁材と横梁材からなる支持構造を有しており、これらの縦梁材と横梁材は流体通路を空けておき、それらのうち少なくとも縦梁材はフィルターエレメントの長手方向軸心に対して平行に整列してエレメント部材を内周側で支持し、スペーサーとしてエレメント部材と流出管との間に間隙を形成する。流出管に対するガイドをこのように形成すると、流出管は、例えばプラスチックフィルムによって非常に廉価に形成することができる。
【0010】
支持管は、相前後して配置されラッチ手段によって互いにラッチ可能な個々の部分セグメントからなり、2つの外側の部分セグメントは、それらの自由外端部に向かってそれぞれ割り当て可能なエンドキャップと掛止するためのラッチ手段を有する。そうすることによってフィルターエレメントの長さが様々な場合に、それぞれの長さに個別の金型を必要とせずにプラスチックから射出成形された支持管を製造できる。独国特許出願公開第19826032(A)号明細書に示されているように、所望の全長は、それぞれ既製の長さを有する2つ以上の部分セグメントからなるモジュールシステムの方式で部分セグメントを組み立てることによって実現することができる。
【0011】
有利な実施形態では、蓋部材に割り当てられたエンドキャップは、ラッチバーによって蓋部材とその内側で掛止されている。こうすることによりフィルター装置をタンク内に設置するための組み付け作業は、当該タンク開口部にタンク栓として蓋部材を取り付けることに限られる。
【0012】
有利には、流出管は単層又は多層に、通路を備えて形成することができる。2層構造は、液体の流出挙動を改善でき、それによって流体からの空気の脱気を促進することができる。層には、孔を有するシート、布又は格子の様々な組み合わせを使用することができ、その選択は当該流体の特性に依存する。
【0013】
好適な実施形態では、未濾過液は、蓋部材とは反対側に面する下部エンドキャップを通ってフィルターエレメントの内側に供給され、濾過液は、フィルターエレメントの外側を通って流出管に向かって排出される。
【0014】
有利な実施形態では、蓋部材にバイパス弁が統合されていて、このバイパス弁は開いた状態で蓋部材に割り当てられたエンドキャップの開口部を通って蓋部材の内室に続く流路を形成しており、エンドキャップはその周縁部の近傍に、流出管の内側で間隙に開口する通路を有する。こうすることにより、バイパス弁が開いたときに可能な容積流も、エンドキャップの上側から、濾過液側を形成する間隙に、したがって流出管を通ってタンク内部に到達する。
【0015】
以下に図面を参照し本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明によるフィルター装置の一実施形態の斜視図である。
図2図2は、蓋部材が省略された実施形態の斜視図を中央垂直断面で切断して示す図である。
図3図3は、蓋部材に隣接する実施形態の上端部領域のみの斜視図を中央垂直断面で切断し、切り取った拡大して示す図である。
図4図4は、実施形態のフィルター装置の上端部領域のみの斜視図を、中央垂直断面で切断した、図3に対してさらに拡大して示した図である。
図5図5は、流路に装着された実施形態のフィルターエレメントの下端部領域のみを示す、図4に対応する図である。
図6図6は、部分的に切断された流出管を有するフィルターエレメントの斜視図である。
図7図7は、部分セグメントから構成された実施形態の支持管の長手方向部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によるフィルター装置の実施形態がタンク内フィルター装置の形で全体として示された図1では、蓋部材2と流出管3から形成されたフィルターハウジングが1で示されている。流出管3は、窓5(一部のみ番号を付す)の形の流体通路、又は図4及び図6に示されているように孔6を有する。図2及び図6は、フィルターハウジング1の部分を示し、フィルターハウジング1は(図2及び図6では省略されている)蓋部材2から、(図示されていない)当該タンクの内部に延び、フィルターエレメント7と、これと統合された部材をなす流出管3から形成された構成ユニットからなる。フィルターエレメント7は、通常のように上部エンドキャップ13と下部エンドキャップ14との間に支持管11と共に延びる中空円筒形のエレメント部材9を有する。蓋部材2に割り当てられた上部エンドキャップ13は、以下に図2図4を参照して詳細に説明されるように、蓋部材2の内面に掛止されることができる。図3に示すように、蓋部材2はやや凸状に湾曲した上面15と、トラフ形の内室17を有し、その底部19は上面15の湾曲に対応する凹状の湾曲を有する。内室17は外周が、軸方向に突出した円筒形の側壁21によって区画されている。側壁21は雄ねじ23を有しており、これにより蓋部材2を当該タンク(図示せず)のタンク開口部にある固定フランジ25(図3)にねじ込むことができる。エンドキャップ13を蓋部材2と掛止するための装置は、上面27から上方に突出する3つのラッチバー28を有しており、これらは上面27の外周近傍に互いに120°ずらして配置されているが、図ではすべてが見えない。ラッチバー28はそれぞれ装置の長手方向軸心と同軸の円筒セクションの形を有し、軸心方向で直角に曲げられており、半径方向平面内で延びる段状面26及び29を半径方向外側にオフセットした壁部30に移行し、その上端部に端部片31が続いている。図3に示すように、ラッチバー28に割り当てられた、蓋部材2の内室17内で底部19と接続された保持体32が設けられている。これらの保持体32は同軸の内部ガイドリンクを有し、これにラッチバー28がエンドキャップ13と蓋部材2との間の相対的な回転運動によって進入でき、その結果、段状面26及び29は一種のバヨネットロックを形成してエンドキャップ13を蓋部材2に形状係合によってロックする。
【0018】
図5は、下部エンドキャップ14の構成を示しており、フィルター運転のためにこのエンドキャップ14を介して未濾過液が内側のフィルター中空室35に到達する。エンドキャップ14は、未濾過液が内側のフィルター中空室35に流入するために中央開口部56を有する。未濾過液の供給のために、タンクの底部領域(図示せず)にはパイプソケット58の形の流路が設けられており、これは定位置に固定され、機能位置で開口部56内に突入係合してフィルター中空室35内への流体経路を形成する。下部エンドキャップ14は、エレメント部材9と支持管11の対面する端部に対する枠として、上側に平坦な当接面62を有し、これは半径方向外側で軸方向上方に突出する周縁部64によって区画されている。周縁部64は内側にラッチ切欠き部65を有しており、これに支持管11のラッチ突起部68が掛止することにより、支持管11がエンドキャップ14に軸方向に固定されている。当接面62は周縁部64に半径方向内側に続いて平面状の部分を有し、これに半径方向内側の端部で段状の深くなった凹部70が続いて開口部56への移行を形成する。中央開口部56の、凹部70から軸方向下方にずれた端部では、エンドキャップ14が成形された全周シールリップ72を形成し、これは断面が薄い舌片の形を有し、開口部56の壁から斜め下方に開いて、それから斜め上方にフィルターエレメント7に向かって延びている。シールリップ72は、エンドキャップ32を形成するプラスチック材料の弾性特性に応じて弾性的な可撓性を有し、したがってパイプソケット58の外側にシール力で密着する。エンドキャップ14は、周縁部64に半径方向外側に続く円周領域において深くなった溝4を形成し、その中に外側円周縁部76と内側環状体78との間にスロット状の環状スペース80が形成されており、これに流出管3が挿入されて受容されている。流出管3は、接着により環状スペース80内に固定できる。エンドキャップ14はその下側で、凹部70に続いて管路状のセクション82で下方に延長しており、その端部にシールリップ72が成形されている。セクション82は、ガイドスリーブ84と共にパイプソケット58に対するガイドをなしており、パイプソケット58はフィルターエレメント7を装着する際にエンドキャップ14の開口部56を通って内側フィルター中空室35内に延びている。ガイドリーブ84は、その下端部86の上方に半径方向外側に突出する環状フランジ88を有し、環状フランジ88が凹部70内に適合するようにエンドキャップ14の開口部56に受容されている。ガイドスリーブ84の他方の上端部は、内方に曲がった縁部90を有し、これはパイプソケット58の上端縁部60に対する停止部をなし、それによりフィルターエレメント7を挿入する際にパイプソケット58の挿入運動を制限するエンドストップを形成する。フィルターエレメント7を装着する際の挿入補助を形成するために、エンドキャップ14は、開口部56の下端部に続くガイド装置として、円周方向に分布して下方に翼状に突出する成形されたガイド突出部92のリムを有する。ガイド突出部92は、その半径方向内側の縁部がガイド面94を形成し、これは上方及び内方に円錐状に延びている。このようにすることによりガイド面94は全体として、フィルターエレメント7をパイプソケット58に装着することを容易にする一種の挿入漏斗を画定する。
【0019】
下部エンドキャップ14に流出管3の下端部に対するスロットガイドが環状スペース80を通って形成されているのと同様に、上部エンドキャップ13にも、流出管3の上端部38を挿入することができる環状ガイドスペースとして、エンドキャップ13の外周縁部39と、エンドキャップ13の下側から軸方向に突出する環状体41との間に環状スペース37が形成されている。半径方向さらに内側に、エンドキャップ13の下側から同軸下方に突出する壁部43は、エレメント部材9の上端部と支持管11の上端部に対する枠を形成する。下部エンドキャップ14の場合と同様に、支持管11を掛止するために、壁部43にはラッチ切欠き部45が設けられ、支持管11には支持管11をエンドキャップ13に掛止するラッチ突起部47が設けられている。
【0020】
図6及び図7に最も明確に見られるように、支持管11は、3つの部分セグメント49から格子状支持構造として組み立てられている。これらの部分セグメント49はプラスチックから射出成形された同一部品によって形成され、ラッチ手段により互いに接続することができる。エンドキャップ13、14とラッチ可能なそれぞれ外側の部分セグメント49は、外周に互いに直径方向に配置された2つのラッチ舌片51を有し、これらに半径方向外側に突出するラッチ突起部47が成形されており、これにより支持管11の上端部はエンドキャップ13、14と掛止可能である(図3及び図4参照)。図7から最も明確に分かるように、格子構造は、横梁材を形成し半径方向平面内で互いに等間隔に延びるリング状部材53と、リング状部材53を接続する縦梁材から構成されている。縦梁材は互いに等間隔に延びる平行なフラットストリップ材55(同様にpすべてに番号を付していない)によって形成されて、リング状部材53から半径方向に翼状に張り出している。フラットストリップ材55はそれらの外側エッジが、当接する流出管3に対するガイド面をなしており、フラットストリップ材55は、リング状部材53から半径方向に張り出しているためにスペーサーとして、エレメント部材9と周囲の流出管3との間に間隙57を形成している。したがって流体が内側のフィルター中空室35からエレメント部材9を通って外側に流れるフィルター運転中に、この間隙は濾液側を形成し、そこから濾液が流出管3の通路を通ってタンク内部に流出する。
【0021】
上部エンドキャップ13は、フィルター中空室35から蓋部材2の内室17への可能な通路をなす中央開口部61を有するが、通常は蓋内室17にあるバイパス弁の閉鎖体63によって閉じられている。バイパス弁は、蓋部材2の底部19から同軸に突出するガイドスリーブ67を有しており、その中に閉鎖体63のシャフト69が摺動可能に案内されている。ガイドスリーブ67を取り囲む圧縮ばね71は、蓋部材2の底部19とバイパス弁の板状の閉鎖体63との間にクランプされていて、バイパス弁を閉位置に付勢している。図4及び図6に最も明確に示されているように、上部エンドキャップ13はその周縁部近傍に、エンドキャップ13の上面27からその下に位置する間隙57への流体経路を形成する通路73のリムを有する。それにより未濾過液の圧力によってバイパスバルブが開くと、蓋内室17に流入する未濾過液は、通路73を通って間隙57内の濾液側に達し、そこから流出管3を通ってタンク内部に到達する。
【0022】
流出管3に対するガイドが翼状のフラットストリップ材55によって形成されていると、流出管3は、例えばプラスチックフィルムの形の薄肉の材料シートから形成できる。特に有利には、多層構成を設けることができる。例えば2層構造によって流出挙動を改善し、流体からの脱気を促進することができる。図4に示すように、流出管3の端部38は、環状ガイドスペース37の基部40からわずかな距離に位置している。したがって流出管3の挿入された端部に対して軸方向の遊びが提供され、エンドキャップ13、14の間隔の長さ誤差を補償することができ、それにより流出管3の可能な膨らみが防止される。
なお、本発明の態様(構成)として以下に示すものがある。
[態様1]
交換可能なフィルターエレメント(7)が収容され、蓋部材(2)を有するフィルターハウジング(1)を備えたフィルター装置であって、
前記フィルターエレメント(7)のエレメント部材(9)は、前記フィルターエレメント(7)の2つのエンドキャップ(13)の間に延びているフィルター装置において、
前記フィルターハウジング(1)は、流出管(3)として構成され、かつ、2つのエンドキャップ(13、14)の間に延びている、ことを特徴とするフィルター装置。
[態様2]
スロット状の環状ガイドスペース(37、80)が、前記2つのエンドキャップ(13、14)のそれぞれに、前記流出管(3)の割り当てられた端部(38)に対する受容部を形成するために設けられ、前記環状ガイドスペース(37、80)は、少なくとも部分的に前記流出管(3)における内周側と外周側の壁部に接触する、ことを特徴とする態様1に記載のフィルター装置。
[態様3]
エンドキャップ(13、14)、好ましくは蓋部材(2)に割り当てられた前記エンドキャップ(13)における環状ガイドスペースは、前記流出管(3)の割り当てられた端部(38)に対して軸方向の遊びを可能にする、ことを特徴とする態様1又は2に記載のフィルター装置。
[態様4]
前記2つのエンドキャップ(13、14)の間で前記エレメント部材(9)の外側に延びる支持管(11)は、縦梁材(55)と横梁材(53)からなる支持構造を有し、前記縦梁材(55)と前記横梁材(53)は流体通路を空けておき、少なくとも縦梁材(55)は前記フィルターエレメント(7)の長手方向軸心に対して平行に整列してエレメント部材(9)を内周側で支持し、スペーサーとして前記エレメント部材(9)と前記流出管(3)との間に間隙(57)を形成することを特徴とする、態様1~3の何れか一つに記載のフィルター装置。
[態様5]
支持管(11)は、相前後して配置されラッチ手段によって互いにラッチ可能な個々の部分セグメント(49)からなり、2つの外側の部分セグメント(49)は、それらの自由外端部に向かってそれぞれ割り当て可能な前記エンドキャップ(13、14)を掛止するためのラッチ手段(47、51)を有する、ことを特徴とする態様1~4の何れか一つに記載のフィルター装置。
[態様6]
前記蓋部材(2)に割り当てられたエンドキャップ(13)は、ラッチバー(28)によって前記蓋部材(2)の内面で掛止されている、ことを特徴とする態様1~5の何れか一つに記載のフィルター装置。
[態様7]
前記流出管(3)は、単層又は多層に形成され、かつ通路(5、6)を備えている、ことを特徴とする態様1~6の何れか一つに記載のフィルター装置。
[態様8]
未濾過液は、前記蓋部材(2)とは反対側に面する下部エンドキャップ(14)を通って前記フィルターエレメント(7)の内側(35)に供給され、濾過液は、前記フィルターエレメント(7)の外側を通って前記流出管(3)に向かって排出される、ことを特徴とする態様1~7の何れか一つに記載のフィルター装置。
[態様9]
前記蓋部材(2)内にバイパス弁(67)が一体化され、該バイパス弁(67)は開いた状態で、前記蓋部材(2)に割り当てられたエンドキャップ(13)の開口部(62)を通って前記蓋部材(2)の内室(17)に流体経路を形成し、前記エンドキャップ(13)は、周縁部の近傍に、前記流出管(3)の内側で間隙(57)に開口する通路(73)を有する、ことを特徴とする態様1~8の何れか一つに記載のフィルター装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7