(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20241217BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20241217BHJP
H05B 33/14 20060101ALI20241217BHJP
H05B 33/02 20060101ALI20241217BHJP
G06F 3/042 20060101ALI20241217BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20241217BHJP
H10K 50/842 20230101ALI20241217BHJP
H10K 77/10 20230101ALI20241217BHJP
H10K 59/60 20230101ALI20241217BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20241217BHJP
H10K 59/90 20230101ALI20241217BHJP
H10K 59/128 20230101ALI20241217BHJP
H10K 59/176 20230101ALI20241217BHJP
H10K 59/121 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/84 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/805 20230101ALI20241217BHJP
H10K 50/82 20230101ALI20241217BHJP
H10K 102/20 20230101ALN20241217BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/30 349C
G09F9/30 310
G09F9/00 362
G09F9/00 366A
H05B33/14 Z
H05B33/02
G06F3/042 470
G06F3/044 124
G06F3/044 126
H10K50/842
H10K77/10
H10K59/60
H10K59/40
H10K59/90
H10K59/128
H10K59/176
H10K59/121
H10K50/86
H10K50/84
H10K50/805
H10K50/82
H10K102:20
(21)【出願番号】P 2022514868
(86)(22)【出願日】2021-04-02
(86)【国際出願番号】 IB2021052762
(87)【国際公開番号】W WO2021209852
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2024-03-26
(31)【優先権主張番号】P 2020073341
(32)【優先日】2020-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020096692
(32)【優先日】2020-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020133728
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 大介
(72)【発明者】
【氏名】初見 亮
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-038579(JP,A)
【文献】特開2010-153834(JP,A)
【文献】特開2010-091610(JP,A)
【文献】特開2017-188522(JP,A)
【文献】特表2019-501399(JP,A)
【文献】特表2018-533749(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0104563(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00-9/46
G02F 1/13-1/141
1/15-1/19
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
G06F 3/00-3/04895
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光素子と、発光素子と、第1の基板と、第2の基板と、第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、遮光層と、を有し、
前記第1の基板上に、前記第1の樹脂層、前記第2の樹脂層、及び前記第2の基板が、この順で積層され、
前記受光素子と前記発光素子は、それぞれ前記第1の基板と前記第1の樹脂層の間に位置し、
前記遮光層は、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層の間に位置し、且つ、前記受光素子と重なる第1の開口部を有し、
前記遮光層は、平面視において、前記第1の開口部が前記受光素子の受光領域の内側に位置し、且つ、断面視において、前記第1の開口部の幅が前記受光領域の幅以下である領域を有し、
前記第2の基板は、前記第1の樹脂層及び前記第2の樹脂層よりも厚い、
表示装置。
【請求項2】
受光素子と、発光素子と、第1の基板と、第2の基板と、第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、遮光層と、を有し、
前記第1の基板上に、前記第1の樹脂層、前記第2の樹脂層、及び前記第2の基板が、この順で積層され、
前記受光素子と前記発光素子は、それぞれ前記第1の基板と前記第1の樹脂層の間に位置し、
前記遮光層は、前記第1の樹脂層と前記第2の樹脂層の間に位置し、且つ、前記受光素子と重なる第1の開口部を有し、
前記遮光層は、平面視において、前記第1の開口部が前記受光素子の受光領域の内側に位置し、且つ、断面視において、前記第1の開口部の幅が前記受光領域の幅以下である領域を有し、
前記第2の基板は、前記第1の樹脂層及び前記第2の樹脂層よりも厚く、
前記第1の樹脂層は、前記受光素子の前記受光領域と重なる部分の厚さが、前記受光領域の幅の1倍以上10倍以下である領域を有し、
前記第2の基板は、前記発光素子が発する光の波長に対する屈折率が、前記第1の樹脂層及び前記第2の樹脂層よりも高い、
表示装置。
【請求項3】
請求項1
又は請求項
2において、
前記第1の樹脂層は、前記発光素子が発する光の波長に対する屈折率が、前記第2の樹脂層よりも低い、
表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項
3のいずれか一において、
前記第2の基板は、前記発光素子が発する光の波長に対する屈折率が1.5以上2.0以下であり、
前記第1の樹脂層は、前記発光素子が発する光の波長に対する屈折率が1.3以上1.6以下である、
表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項
4のいずれか一において、
前記受光素子を複数有し、
複数の前記受光素子は、マトリクス状に周期的に配置され、
前記受光素子の配列ピッチは、1μm以上150μm以下である、
表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項
5のいずれか一において、
機能層を有し、
前記機能層は、第3の樹脂層を有し、
前記機能層は、前記第2の樹脂層と、前記第2の基板との間に位置し、
前記第3の樹脂層は、前記第2の基板よりも前記発光素子が発する光の波長に対する屈折率が低く、
前記第3の樹脂層は、前記第2の基板よりも薄く、且つ、前記第1の樹脂層及び前記第2の樹脂層よりも厚い、
表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置に関する。本発明の一態様は、撮像機能を備える表示装置に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置、入出力装置、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
近年、表示装置は高解像度の画像を表示するために、高精細化が求められている。また、スマートフォン、タブレット型端末、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)などの情報端末機器においては、表示装置は、高精細化に加えて、低消費電力化が求められている。さらに、タッチパネルとしての機能、認証のために指紋を撮像する機能など、画像を表示するだけでなく、様々な機能が付加された表示装置が求められている。
【0004】
表示装置としては、例えば、発光素子を有する発光装置が開発されている。エレクトロルミネッセンス(Electroluminescence、以下ELと記す)現象を利用した発光素子(EL素子とも記す)は、薄型軽量化が容易である、入力信号に対し高速に応答可能である、直流定電圧電源を用いて駆動可能である等の特徴を有し、表示装置に応用されている。例えば、特許文献1に、有機EL素子が適用された、可撓性を有する発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一態様は、撮像機能を有する表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、指紋などを明瞭に撮像することのできる撮像装置、または表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、破損しにくい表示装置を提供することを課題の一とする。
【0007】
本発明の一態様は、電子機器の部品点数を削減することを課題の一とする。本発明の一態様は、多機能な表示装置を提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、新規な構成を有する表示装置、撮像装置、車両、または電子機器などを提供することを課題の一とする。本発明の一態様は、先行技術の問題点の少なくとも一つを少なくとも軽減することを課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、受光素子と、発光素子と、第1の基板と、第2の基板と、第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、遮光層と、を有する表示装置である。第1の基板上に、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び第2の基板が、この順で積層される。受光素子と発光素子は、それぞれ第1の基板と第1の樹脂層の間に位置する。遮光層は、第1の樹脂層と第2の樹脂層の間に位置し、且つ、受光素子と重なる第1の開口部を有する。遮光層は、平面視において、第1の開口部が受光素子の受光領域の内側に位置し、且つ、断面視において、第1の開口部の幅が受光領域の幅以下である領域を有する。第2の基板は、第1の樹脂層及び第2の樹脂層よりも厚い。第1の樹脂層は、受光素子の受光領域と重なる部分の厚さが、受光領域の幅の1倍以上10倍以下である領域を有する。第2の基板は、発光素子が発する光の波長に対する屈折率が、第1の樹脂層及び第2の樹脂層よりも高い。
【0010】
また、本発明の他の一態様は、第1の表示パネルと、第2の表示パネルと、を有する表示装置である。第1の表示パネルは、第1の領域を有する。第1の領域は、第1の画素と、第2の画素と、を有する。第2の表示パネルは、第2の領域と、第3の領域と、第4の領域と、を有する。第2の領域は、第3の画素を有する。第3の領域は、可視光を透過する機能を有する。第4の領域は、可視光を遮光する機能を有する。第2の画素と、第3の領域とは、互いに重なる領域を有する。第1の画素、第2の画素、及び第3の画素の少なくとも一は、発光素子と、受光素子とを有する。
【0011】
さらに、第1の表示パネルまたは第2の表示パネルは、受光素子と、発光素子と、第1の基板と、第2の基板と、第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、遮光層と、を有することが好ましい。第1の基板上に、第1の樹脂層、第2の樹脂層、及び第2の基板が、この順で積層される。受光素子と発光素子は、それぞれ第1の基板と第1の樹脂層の間に位置する。遮光層は、第1の樹脂層と第2の樹脂層の間に位置し、且つ、受光素子と重なる第1の開口部を有する。遮光層は、平面視において、第1の開口部が受光素子の受光領域の内側に位置し、且つ、断面視において、第1の開口部の幅が受光領域の幅以下である領域を有する。第2の基板は、第1の樹脂層及び第2の樹脂層よりも厚い。第1の樹脂層は、受光素子の受光領域と重なる部分の厚さが、受光領域の幅の1倍以上10倍以下である領域を有する。第2の基板は、発光素子が発する光の波長に対する屈折率が、第1の樹脂層及び第2の樹脂層よりも高い。
【0012】
また、上記いずれかにおいて、受光素子は、第1の画素電極と、活性層と、共通電極と、を有することが好ましい。また、発光素子は、第2の画素電極と、発光層と、共通電極と、を有することが好ましい。このとき、第1の画素電極と第2の画素電極は、同一面上に位置することが好ましい。さらに、共通電極は、活性層を介して第1の画素電極と重なる部分と、発光層を介して第2の画素電極と重なる部分と、を有することが好ましい。
【0013】
また、上記いずれかにおいて、さらに共通層を有することが好ましい。共通層は、第1の画素電極と共通電極との間に位置する部分と、第2の画素電極と共通電極との間に位置する部分と、第1の画素電極及び第2の画素電極のいずれとも重ならない部分と、を有することが好ましい。
【0014】
また、上記いずれかにおいて、第1の樹脂層は、発光素子が発する光の波長に対する屈折率が、第2の樹脂層よりも低いことが好ましい。
【0015】
また、上記いずれかにおいて、第2の基板は、発光素子が発する光の波長に対する屈折率が1.5以上2.0以下であることが好ましい。また、第1の樹脂層は、発光素子が発する光の波長に対する屈折率が1.3以上1.6以下であることが好ましい。
【0016】
また、上記いずれかにおいて、受光素子を複数有することが好ましい。このとき、複数の受光素子は、マトリクス状に周期的に配置されることが好ましい。さらに、受光素子の配列ピッチは、1μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0017】
また、上記において、さらに発光素子を複数有することが好ましい。このとき、複数の発光素子は、受光素子と同一の配列ピッチでマトリクス状に配置されることが好ましい。または、複数の発光素子は、受光素子と異なる配列ピッチでマトリクス状に配置されることが好ましい。
【0018】
また、上記いずれかにおいて、さらに機能層を有することが好ましい。このとき、機能層は、第3の樹脂層を有し、第2の樹脂層と第2の基板との間に位置することが好ましい。また第3の樹脂層は、第2の基板よりも発光素子が発する光の波長に対する屈折率が低いことが好ましい。また、第3の樹脂層は、第2の基板よりも薄く、且つ、第1の樹脂層及び第2の樹脂層よりも厚いことが好ましい。
【0019】
また、上記において、機能層は、偏光板としての機能を有することが好ましい。または、機能層は、タッチセンサとしての機能を有することが好ましい。このとき、機能層は、第3の樹脂層の第1の面に沿って設けられた第1の電極を有することが好ましい。
【0020】
また、上記いずれかにおいて、さらに第4の樹脂層を有することが好ましい。このとき、第4の樹脂層は、機能層と第2の基板の間に位置することが好ましい。また、第4の樹脂層は、第2の基板及び機能層よりも薄いことが好ましい。また、第4の樹脂層は、第2の基板よりも発光素子が発する光の波長に対する屈折率が低いことが好ましい。
【0021】
また、上記いずれかにおいて、さらに保護層を有することが好ましい。このとき、保護層は、第1の基板と第1の樹脂層との間に位置する。また、保護層は、受光素子及び発光素子を覆って設けられ、無機絶縁物を含むことが好ましい。さらに、保護層は、第1の樹脂層よりも薄いことが好ましい。
【0022】
また、上記において、保護層と第1の樹脂層との間に設けられる第2の電極を有することが好ましい。このとき、第2の電極は、タッチセンサの電極として機能することが好ましい。また、第2の電極は、第1の樹脂層よりも薄いことが好ましい。
【0023】
また、本発明の他の一態様は、上記いずれか一の表示装置と、コネクターまたは集積回路と、を有する、表示モジュールである。
【0024】
また、本発明の他の一態様は、上記表示モジュールと、アンテナ、バッテリ、筐体、カメラ、スピーカ、マイク、タッチセンサ、及び操作ボタンのうち、少なくとも一つと、を有する、電子機器である。
【0025】
また、本発明の他の一態様は、上記いずれか一の表示装置が、ダッシュボードの表面に沿って設けられた、車両である。
【0026】
また、本発明の他の一態様は、上記いずれか一の表示装置が、ドアの表面に沿って設けられた、車両である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様によれば、撮像機能を有する表示装置を提供できる。または、指紋などを明瞭に撮像することのできる撮像装置、または表示装置を提供できる。または、破損しにくい表示装置を提供できる。
【0028】
本発明の一態様によれば、電子機器の部品点数を削減できる。または、多機能な表示装置を提供できる。または、新規な構成を有する表示装置、撮像装置、車両、または電子機器などを提供できる。または、先行技術の問題点の少なくとも一つを少なくとも軽減できる。
【0029】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0032】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0033】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0034】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0035】
なお、以下では「上」、「下」などの向きを示す表現は、基本的には図面の向きと合わせて用いるものとする。しかしながら、説明を容易にするためなどの目的で、明細書中の「上」または「下」が意味する向きが、図面とは一致しない場合がある。一例としては、積層体等の積層順(または形成順)などを説明する場合に、図面において当該積層体が設けられる側の面(被形成面、支持面、接着面、平坦面など)が当該積層体よりも上側に位置していても、その向きを下、これとは反対の向きを上、などと表現する場合がある。
【0036】
なお、本明細書において、EL層とは発光素子の一対の電極間に設けられ、少なくとも発光性の物質を含む層(発光層とも呼ぶ)、または発光層を含む積層体を示すものとする。
【0037】
また、本明細書において、光電変換層とは受光素子の一対の電極間に設けられ、少なくとも活性層、または活性層を含む積層体を示すものとする。また、活性層とは、光の吸収により電子・正孔対を生成する機能を有する層を示すものとする。なお活性層には、単層及び積層体が含まれる。
【0038】
本明細書等において、表示装置の一態様である表示パネルは表示面に画像等を表示(出力)する機能を有するものである。したがって表示パネルは出力装置の一態様である。
【0039】
また、本明細書等では、表示パネルの基板に、例えばFPC(Flexible Printed Circuit)もしくはTCP(Tape Carrier Package)などのコネクターが取り付けられたもの、または基板にCOG(Chip On Glass)方式等によりICが実装されたものを、表示パネルモジュール、表示モジュール、または単に表示パネルなどと呼ぶ場合がある。
【0040】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の構成例について説明する。
【0041】
本発明の一態様は、マトリクス状に配置された複数の受光素子(受光デバイスともいう)と、複数の発光素子(発光デバイスともいう)を有する。
【0042】
本発明の一態様は、複数の受光素子によって撮像することができるため、撮像装置として機能する。このとき、発光素子は、撮像のための光源として用いることができる。また、本発明の一態様は、複数の発光素子によって画像を表示することが可能なため、表示装置として機能する。したがって、本発明の一態様は、撮像機能を有する表示装置、または表示機能を有する撮像装置ということができる。
【0043】
例えば、本発明の一態様の表示装置は、表示部に発光素子がマトリクス状に周期的に配置され、さらに表示部には、受光素子がマトリクス状に周期的に配置される。そのため、表示部は、画像を表示する機能と、受光部としての機能を有する。表示部に設けられる複数の受光素子により画像を撮像することができるため、表示装置は、イメージセンサまたはタッチパネルなどとして機能することができる。すなわち、表示部で画像を撮像すること、対象物が近づくこと、または対象物が接触することを検出することができる。さらに、表示部に設けられる発光素子は、受光の際の光源として利用することができるため、表示装置とは別に光源を設ける必要がなく、電子部品の部品点数を増やすことなく機能性の高い表示装置を実現できる。
【0044】
本発明の一態様は、表示部が有する発光素子の発光を対象物が反射した際に、受光素子がその反射光を検出できるため、暗い環境でも撮像及びタッチ(非接触を含む)の検出を行うことができる。
【0045】
また、本発明の一態様の表示装置は、表示部に指、掌などを接触させた場合に、指紋または掌紋を撮像することができる。そのため、本発明の一態様の表示装置を備える電子機器は、撮像した指紋、掌紋などの画像を用いて、個人認証を実行することができる。これにより、指紋認証、掌紋認証などのための撮像装置を別途設ける必要がなく、電子機器の部品点数を削減することができる。また、表示部にはマトリクス状に受光素子が配置されているため、表示部のどの場所であっても指紋、掌紋などの撮像を行うことができ、利便性に優れた電子機器を実現できる。
【0046】
発光素子としては、OLED(Organic Light Emitting Diode)、QLED(Quantum-dot Light Emitting Diode)などのEL素子を用いることが好ましい。EL素子が有する発光物質としては、蛍光を発する物質(蛍光材料)、燐光を発する物質(燐光材料)、熱活性化遅延蛍光を示す物質(熱活性化遅延蛍光(Thermally activated delayed fluorescence:TADF)材料)、無機化合物(量子ドット材料など)などが挙げられる。
【0047】
受光素子としては、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードを用いることができる。受光素子は、受光素子に入射する光を検出し電荷を発生させる光電変換素子として機能する。光電変換素子は、入射する光量に応じて、発生する電荷量が決まる。特に、受光素子として、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードを用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0048】
また、受光素子の活性層に、有機化合物を用いることが好ましい。このとき、発光素子と受光素子の一方の電極(画素電極ともいう)を、同一面上に設けることが好ましい。さらに、発光素子と受光素子の他方の電極を、連続した一の導電層により形成される電極(共通電極ともいう)とすることがより好ましい。さらに、発光素子と受光素子とが、共通層を有することがより好ましい。これにより、発光素子と受光素子とを作製する際の作製工程を簡略化でき、製造コストを低減すること、及び、製造歩留りを向上させることができる。
【0049】
発光素子と受光素子は、第1の基板と第2の基板との間に設けられる構成とすることができる。このとき、発光素子は第2の基板側に光を射出し、受光素子は第2の基板側から入射される光を受光するとする。また、表示装置において、第2の基板の外側の面(第1の基板とは反対側の面)側が、表示装置の表示面、及び受光面(または撮像面ともいう)として機能する。なお表示面及び受光面は、第2の基板自体の表面に限られない。例えば第2の基板表面に無機物または有機物のコーティングが施されている場合もある。
【0050】
一つの受光素子が受光する範囲は、対象物が受光素子から離れるほど広範囲となるため、受光素子と対象物との距離が大きいと、撮像された画像にボケが生じ、明瞭な撮像ができなくなる。ここで、受光素子と対象物との距離が最も小さくなるのは、対象物が表示装置の受光面に接触している場合である。そのため、少なくとも対象物が表示装置の受光面に接している場合に、明瞭な画像を撮像できることが求められる。
【0051】
例えば、第2の基板の厚さを薄くすることで、受光素子と受光面との距離を小さくできるため、明瞭な画像を撮像することができる。一方、第2の基板を薄くすると、表示装置の機械的強度が低下してしまう問題がある。そのため、明瞭な撮像が可能で、且つ高い機械的強度を備える表示装置とすることが求められる。
【0052】
そこで本発明の一態様は、第1の基板上に発光素子と受光素子とを並べて配置する構成とし、さらに発光素子と受光素子を覆って、第1の樹脂層と、第2の樹脂層と、第2の基板をこの順で設ける構成とする。さらに、受光素子上に、受光素子の受光領域と重なる開口部を有する遮光層を設ける。遮光層は、第1の樹脂層と第2の樹脂層との間に配置する。第2の基板には、第1の樹脂層と第2の樹脂層よりも厚い材料を用いる。また、第1の樹脂層を、受光素子の受光領域の幅よりも厚くする。さらに、第2の基板には、第1の樹脂層及び第2の樹脂層よりも、発光素子が発する光の波長に対する屈折率が高い材料を用いる。
【0053】
受光素子と重なる開口を有する遮光層により、受光素子が受光可能な範囲を狭めることができる。さらに第1の樹脂層を厚くすることで、遮光層と受光素子との距離を大きくでき、受光素子が受光可能な範囲をさらに狭めることができる。さらに、第1の基板として、屈折率の高い材料を用いることで、一つの受光素子に入射される光の範囲をさらに狭めることができる。これにより、明瞭な撮像を可能としつつ、第2の基板を厚くできるため、機械的強度を高めることが可能となる。
【0054】
さらに、第1の樹脂層として、発光素子が発する光の波長に対する屈折率が第2の樹脂層よりも低い材料を用いることで、第1の樹脂層と第2の樹脂層との屈折率差により、受光素子が受光可能な範囲をさらに狭めることが可能となる。このとき、第2の樹脂層を、第1の樹脂層よりも薄くすることで、その効果をさらに高めることができる。
【0055】
より具体的には、発光素子が発する光の波長に対する屈折率(以下、単に屈折率ともいう)が、第2の基板が最も高く、第1の樹脂層が最も低くなるように、材料を選択することが好ましい。このとき、第2の基板の屈折率を、1.5以上2.0以下とし、第1の樹脂層の屈折率を1.3以上1.6以下とすることが好ましい。可能であれば、第2の基板の屈折率を2.0より高くしてもよい。また可能であれば、第1の樹脂層の屈折率を1.3よりも低くしてもよい。
【0056】
また、受光素子を高密度に配置することで、さらに明瞭な画像を撮像することが可能となる。具体的には、受光素子の配列ピッチを、400μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは120μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下とする。配列ピッチは小さいほど好ましいが、例えば1μm以上、10μm以上、または20μm以上とすることができる。
【0057】
また、第2の基板と、第2の樹脂層との間に、第3の樹脂層を有する機能層を設けることができる。第3の樹脂層としては、第2の基板よりも薄く、且つ、第1の樹脂層及び第2の樹脂層よりも厚い材料を用いることが好ましい。さらに、第3の樹脂層は、第2の基板よりも上記屈折率が低い材料を用いることが好ましい。
【0058】
機能層としては、例えば偏光板(円偏光板を含む)、集光フィルム、マイクロレンズアレイなどの光学部材を用いることができる。
【0059】
または、機能層として、タッチセンサパネルを用いてもよい。タッチセンサパネルに設けられるタッチセンサとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式等、種々の方式を採用することができる。特にタッチセンサとして、静電容量方式のタッチセンサを用いることが好ましい。タッチセンサとする場合には、機能層として、第3の樹脂層と、当該第3の樹脂層の一表面上に設けられ、電極として機能する1つ以上の導電層と、を有する構成とすることができる。
【0060】
また、上記機能層と第2の基板との間に、さらに第4の樹脂層を設けてもよい。このとき、第4の樹脂層は、第2の基板及び機能層よりも薄い材料を用いることが好ましい。また、第4の樹脂層は、第2の基板よりも屈折率の低い材料を用いることが好ましい。
【0061】
以下では、より具体的な例について、図面を参照して説明する。
【0062】
[構成例1]
図1に、本発明の一態様の表示装置10の断面概略図を示す。
【0063】
表示装置10は、基板11、基板12、受光素子20、発光素子30、樹脂層13、樹脂層14、遮光層25、絶縁層41等を有する。
【0064】
受光素子20及び発光素子30は、基板11上に設けられている。樹脂層13は、受光素子20及び発光素子30を覆って設けられている。樹脂層14は、樹脂層13と基板12との間に設けられている。遮光層25は、樹脂層13と樹脂層14との間に設けられている。
【0065】
発光素子30は、基板12側に光51を射出する機能を有する。受光素子20は、基板12側から入射される光52を受光する機能を有する。
【0066】
発光素子30は、例えば赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)のうち、いずれか一の光を発する発光素子とすることができる。または、白色(W)、黄色(Y)などの光を発する発光素子であってもよい。発光素子30は、その発光スペクトルにおいて、2以上のピークを有していてもよい。
【0067】
受光素子20は、画素電極として機能する導電層21、光電変換層22、及び共通電極として機能する導電層23を有する。光電変換層22は、少なくとも活性層を有する。導電層21は、基板11上に設けられている。絶縁層41は、導電層21の端部を覆って設けられている。光電変換層22は、導電層21上、及び絶縁層41上に設けられている。導電層23は、光電変換層22及び絶縁層41上に設けられている。
【0068】
発光素子30は、画素電極として機能する導電層31、EL層32、及び共通電極として機能する導電層23を有する。EL層32は、少なくとも発光層を有する。導電層31は、基板11上に設けられている。絶縁層41は、導電層31の端部を覆って設けられている。EL層32は、導電層31上、及び絶縁層41上に設けられている。導電層23は、EL層32及び絶縁層41上に設けられている。
【0069】
ここで、導電層21と導電層31は、基板11上の同一面上に設けられることが好ましい。さらに、導電層21と導電層31は、同一の導電膜を加工して形成されることが好ましい。また、導電層23は、光電変換層22を介して導電層21と重なる部分と、EL層32を介して導電層31と重なる部分と、を有する。このような構成とすることで、受光素子20と発光素子30は、光電変換層22とEL層32以外を共通の工程で作製することが可能となり、作製コストを低減することができる。
【0070】
図1では、基板11上に直接、導電層21及び導電層31が設けられる例を示しているが、導電層21及び導電層31と、基板11との間には、絶縁層、配線、電極、トランジスタ、容量などが適宜設けられていることが好ましい。
【0071】
樹脂層13は、導電層23を覆って設けられている。樹脂層13は、受光素子20及び発光素子30を保護するための保護層として機能する。なお、樹脂層13と導電層23との間に、無機絶縁材料を含む保護層をさらに設けてもよい。
【0072】
遮光層25は、樹脂層13上に設けられている。遮光層25は、基板12側から入射される光の一部を遮光し、受光素子20で受光する光の範囲を制御する機能を有する。
【0073】
樹脂層14は、樹脂層13と基板12とを接着するための接着層としての機能を有する。
【0074】
ここで、遮光層25は、受光素子20の受光領域と重なる開口部を有する。当該開口部は、平面視において、受光素子20の受光領域よりも内側に位置するように設けられることが好ましい。
【0075】
図1には、受光素子20の受光領域の幅W
PDと、遮光層25の開口部の幅W
PHの関係を示している。受光素子20の受光領域としては、導電層21上の絶縁層41に覆われない領域とすることができる。すなわち、断面視における受光素子20の受光領域の幅W
PDは、導電層21上における一対の絶縁層41の端部間を結ぶ直線の長さと言い換えることができる。または、受光領域の幅W
PDは、導電層21と光電変換層22とが接する領域の幅と言い換えることもできる。
【0076】
図1に示すように、受光素子20の受光領域よりも内側に、遮光層25の開口部が位置するように、これらが設けられることが好ましい。幅W
PDに対して、幅W
PHを小さくするほど、受光素子20が受光可能な範囲を狭めることが可能なため、鮮明な画像を撮像することが可能となる。一方、幅W
PHが小さすぎると、受光素子20に到達する光の光量が低下するため、露光時間を長くする必要がある。そのため、幅W
PHは、受光素子20の感度に応じて適切な幅とすることができる。
【0077】
ここで、樹脂層13の厚さを厚さTR1、樹脂層14の厚さを厚さTR2、基板12の厚さを厚さTSとする。なお、これらの厚さが均一でない場合には、上記厚さとして、少なくとも受光素子20の受光領域と重なる部分における厚さを用いることとする。また、樹脂層13の厚さTR1は、導電層21上の導電層23の上面から、樹脂層13の上面までの距離とする。
【0078】
基板12の厚さTSは、樹脂層13の厚さTR1及び樹脂層14の厚さTR2よりも厚いことが好ましい。基板12の厚さTSが厚いほど、機械的強度を高めることができる。例えば、厚さTSは、0.1mm以上、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上であって、5mm以下、好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下とすることができる。代表的には、0.5mm、0.7mm、1.0mm、1.3mm、または1.5mmとすることができる。
【0079】
樹脂層13の厚さTR1は、樹脂層14の厚さTR2よりも厚いことが好ましい。樹脂層13の厚さが厚いほど、受光素子20と遮光層25との距離を大きくすることができる。これにより、一つの受光素子20の撮像範囲を狭くでき、鮮明な画像を撮像することが可能となる。
【0080】
ここで、樹脂層13の厚さTR1は、受光素子20の受光領域の幅WPDと同じ、またはこれよりも大きいことが好ましい。例えば、幅WPDに対する厚さTR1の比(TR1/WPD)が、1以上、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上、さらに好ましくは2.0以上であって、10以下、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下とすることができる。
【0081】
樹脂層13の厚さTR1は、例えば1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上であって、200μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下とすることができる。代表的には、20μm程度、30μm程度、または40μm程度とすることができる。
【0082】
例えば、遮光層25の開口の幅WPHと受光素子20の受光領域の幅WPDが等しく、且つ、樹脂層13の厚さTR1と受光素子20の受光領域の幅WPDが等しい場合、遮光層25の開口を介して受光素子20の受光領域に到達する光の入射角の最大値は45度となる。当該入射角の最大値が45度よりも十分に大きい場合(例えば50度以上、または60度以上の場合)、基板12、樹脂層14などの内部を全反射する光が入射し、撮像される画像のコントラストが低減してしまう恐れがある。そのため、上記入射角の最大値が45度以下になるように、遮光層25の開口の幅WPH、または樹脂層13の厚さTR1などを調整することが好ましい。
【0083】
樹脂層13の厚さTR1は、受光素子20の受光領域の幅WPDに対して大きいほど、上記最大の入射角が0度に近づき、一つの受光素子20の撮像範囲を狭めることができるため好ましい。そのため樹脂層13の厚さTR1は厚いほど好ましいが、生産性を考慮すると、上述のように、受光素子20の受光領域の幅WPDの10倍以下、好ましくは8倍以下、より好ましくは6倍以下、さらに好ましくは5倍以下とすることができる。
【0084】
ここで、樹脂層13の、発光素子30が発する光51の波長に対する屈折率をnR1、樹脂層14の当該波長に対する屈折率をnR2、基板12の当該波長に対する屈折率をnSとする。なお、光51の波長としては、光51のスペクトルにおける最も高いピークの波長、または、波長550nmの光に対する屈折率とする。
【0085】
基板12の屈折率nSは、樹脂層13の屈折率nR1、及び樹脂層14の屈折率nR2よりも高いことが好ましい。これにより、一つの受光素子20の撮像範囲を狭めることが可能となり、基板12の厚さが厚い場合であっても、鮮明な画像を取得することができる。屈折率nSは、例えば1.5以上、好ましくは1.55以上、より好ましくは1.6以上であって、2.0以下、1.98以下、または1.96以下とすることができる。なお、基板12の屈折率nSは、可能であれば2.0より高くしてもよい。
【0086】
基板12としては、例えばバリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、サファイア基板などを用いることができる。また、チタン、イットリウム、ニオブ、ランタン、鉛、ビスマス、ガドリニウムなどを含む高屈折率ガラスを用いてもよい。または、高屈折率樹脂材料を用いることもできる。
【0087】
樹脂層13の屈折率nR1は、基板12の屈折率nSとの差が大きいほど、屈折を利用して一つの受光素子20の撮像範囲をより狭めることが好ましい。例えば樹脂層13の屈折率nR1は、1.3以上、1.35以上、または1.4以上であって、1.6以下、好ましくは1.58以下、より好ましくは1.56以下とすることができる。なお、樹脂層13の屈折率nR1は、可能であれば1.3より低くしてもよい。
【0088】
樹脂層14の屈折率nR2は、屈折率nR1以上であって、屈折率nS以下の範囲とすればよい。例えば樹脂層14に、樹脂層13と同じ材料を用いることで、同程度の屈折率を有する樹脂層としてもよい。なお、材料が同じであっても形成方法によっては異なる屈折率を示す場合があるため、その場合には、樹脂層14の屈折率nR2が樹脂層13の屈折率nR1を下回らないように調整することが好ましい。なお、樹脂層14が十分に薄い場合(例えば基板12の厚さTSの10分の1以下)などでは、樹脂層14に樹脂層13よりも屈折率の低い材料を用いてもよい場合がある。
【0089】
樹脂層13及び樹脂層14としては、それぞれ、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン、アラミド等)、ポリアミドイミド樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリシロキサン樹脂、シクロオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ABS樹脂、セルロースナノファイバー等を用いることができる。または上記樹脂の前駆体を用いてもよい。
【0090】
このような構成とすることで、機械的強度が高く、且つ、鮮明な画像を撮像可能な表示装置、または撮像装置を提供することができる。
【0091】
[画素の構成例]
上述のように、本発明の一態様は、マトリクス状に配置された複数の受光素子により、画像を撮像することができる。さらにマトリクス状に配置された複数の発光素子により、画像を表示することができる。表示装置が有する一つの画素に、例えば赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)の3色の発光素子を配置することで、フルカラーの表示装置を実現できる。以下では、表示装置が有する画素の一例について説明する。
【0092】
〔画素の構成例〕
図2Aに、画素40の構成例を示す。画素40は、受光素子20、発光素子30R、発光素子30G、及び発光素子30Bを有する。発光素子30Rは赤色の光を発する発光素子であり、発光素子30Gは緑色の光を発する発光素子であり、発光素子30Bは青色の光を発する発光素子である。
【0093】
なお、ここでは受光素子20と各発光素子とを同じ配列ピッチで配列させる例を示したが、これらを異なる配列ピッチで配列させてもよい。例えば受光素子20を、各発光素子よりも小さい配列ピッチで配列させてもよいし、これらよりも大きい配列ピッチで配列させてもよい。このとき、受光素子20の配列ピッチを、各発光素子の配列ピッチの整数倍とする、または、各発光素子の配列ピッチを、受光素子20の配列ピッチの整数倍とすることが好ましい。
【0094】
また、ここでは一つの画素に各発光素子を一つずつと、一つの受光素子20を設ける例を示したが、一つの画素に同じ色の発光素子を複数設けてもよいし、受光素子20を複数設けてもよい。
【0095】
また、ここでは一つの画素に異なる色の光を発する発光素子を設ける例を示したが、単色の表示を行う場合、または発光素子を撮像の光源としてのみ利用する場合などでは、一つの画素に一つ以上の同じ色の光を発する発光素子と、一つ以上の受光素子とを有する構成としてもよい。また、単色の発光素子と、受光素子20とをそれぞれ独立に異なる配列ピッチでマトリクス状に配置することもできる。
【0096】
図2Aでは、行方向(横方向)に3つ、列方向(縦方向)に2つの画素40を示している。受光素子20と発光素子30Gは、行方向に交互に配列している。発光素子30Bと発光素子30Rは、行方向に交互に配列している。受光素子20と発光素子30Bは、列方向に交互に配列している。なお、
図2Aに示す構成に限られず、受光素子20、発光素子30R、発光素子30G、及び発光素子30Bは、それぞれその位置を置換可能である。
【0097】
ここで、画素40は、行方向及び列方向に配列ピッチPPで配列している。したがって、受光素子20、発光素子30R、発光素子30G、及び発光素子30Bは、それぞれ行方向及び列方向に配列ピッチPPで配列している。
【0098】
図2Bに示す画素40aは、行方向に発光素子30R、発光素子30G、及び発光素子30Bが並べて配置され、これらとは異なる行に、受光素子20が配置されている。画素40aにおいても、発光素子30R、発光素子30G、及び発光素子30Bは、それぞれ行方向及び列方向に配列ピッチP
Pで配列している。
【0099】
〔受光素子の撮像範囲について〕
図2Cには、複数の画素40を含む領域における断面概略図を示している。
図2Cでは一例として、
図2Aにおける、受光素子20と発光素子30Gを含む領域を行方向で切断したときの断面概略図を示している。
【0100】
図2Cでは、簡単のため、受光素子20と発光素子30Gとを、それぞれ矩形で示している。
図2Cに示すように、受光素子20と、発光素子30Gとは、それぞれ配列ピッチP
Pで配列している。
図2Cでは、受光素子20と発光素子30Gとが等間隔で配列されている。
【0101】
ここで、一つの受光素子20に着目したときの、受光素子20の撮像範囲について説明する。
【0102】
基板12の上部から入射される光は、基板12と樹脂層14との界面で屈折する。このとき、基板12よりも樹脂層14の屈折率が低いため、基板12から樹脂層14に入射する際の入射角に対して、屈折角は大きくなる。また、樹脂層14を透過した光は、樹脂層14と樹脂層13との界面でも屈折する。樹脂層14よりも樹脂層13の屈折率が低いとすると、樹脂層14から樹脂層13に入射する光は、入射角に対して屈折角が大きくなる。
【0103】
受光素子20に入射される光の最大の入射角は、受光素子20の受光領域の幅と、遮光層25の開口の幅と、樹脂層13の厚さ(受光素子20と遮光層25との距離)によって概ね決定される。具体的には、受光素子20の受光領域の端と、これとは反対側に位置する遮光層25の端とを結ぶ直線(一点鎖線で示す)と、受光素子20の受光面に対して垂直な直線(二点鎖線で示す)とのなす角が、受光素子20に入射しうる光の入射角の最大値となる。
【0104】
図2Cに示す2本の一点鎖線で囲まれる領域は、樹脂層13、樹脂層14、及び基板12が、それぞれ同じ屈折率であり、これらの界面で屈折が生じない場合の、受光素子20の撮像範囲に相当する。
【0105】
図2Cに示す領域W
Sは、基板12の上面における、一つの受光素子20の撮像範囲に相当する。このように、基板12、樹脂層13及び樹脂層14のうち、撮像面側に位置し、最も厚い基板12に、樹脂層13及び樹脂層14よりも屈折率の高い材料を用い、最も受光素子20に近い樹脂層13に、基板12及び樹脂層14よりも屈折率の低い材料を用いることで、一つの受光素子20の撮像範囲を好適に狭めることが可能となる。これにより、明瞭な画像を撮像することが可能となる。
【0106】
〔撮像について〕
以下では、基板12の外側の表面に接する対象物の撮像について説明する。
【0107】
図3Aに、表示装置10と、表示装置10の基板12に接する対象物として、指50の断面概略図を示している。
図3Aでは、簡単のため受光素子20のみを示し、遮光層25、発光素子などは省略している。受光素子20は、配列ピッチP
Pで配列している。
【0108】
指50の表面には、凹部と凸部により指紋が形成されている。
図3Aに示すように、指50が基板12に触れると、指50の凸部が基板12と接触し、凹部は接触しない。表示装置10で撮像した画像から、この接触部と非接触部とを切り分けることにより、指紋のパターンを取得することができる。
【0109】
指50の凸部と凸部の間隔を、ピッチPFとする。受光素子20の配列ピッチPPは、指紋の2つの凸部間の距離(ピッチPF)、好ましくは隣接する凹部と凸部間の距離(ピッチPFの半分)よりも小さいピッチとすることで、鮮明な指紋の画像を取得することができる。人の指のピッチPFは、個人差があるが、概ね300μmから500μmの間、代表的には約460μmである。そのため、受光素子20の配列ピッチは、400μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは120μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下とする。配列ピッチは小さいほど好ましいが、例えば1μm以上、または10μm以上とすることができる。
【0110】
図3Aでは、1つの受光素子20に対する領域W
Sを破線で示している。また、当該受光素子20を含む、隣接する3つの受光素子20の撮像範囲を、それぞれ点線で示している。
図3Aに示すように、複数の受光素子20の撮像範囲は、互いに重複する部分を有していてもよい。
【0111】
ここで、ある表面または界面から反射される光には、正反射と拡散反射とがある。正反射光は入射角と反射角が一致する、指向性の高い光であり、拡散反射光は、強度の角度依存性が低い、指向性の低い光である。理想的な鏡面、または理想的な散乱体でない限り、表面または界面による反射光には、正反射光と拡散反射光の両方が含まれる。ここで、指50の表面から反射される光は、正反射と拡散反射のうち拡散反射の成分が支配的となる。一方、基板12と大気との界面から反射される光は、正反射の成分が支配的となる。
【0112】
指紋を撮像する場合、基板11上に設けられた発光素子(図示しない)を発光させ、基板12の表面(または指50との界面)で反射した反射光を受光素子20で受光することにより、撮像することができる。ここで、指50の凹部では、基板12と指50が接触しないため、基板12と空気との界面による反射となり、正反射光が支配的となる。一方、指50の凸部では、基板12と指50が接触するため、拡散反射光が支配的となる。したがって、凹部の直下に位置する受光素子20で受光する光の強度(受光強度)は、凸部の直下に位置する受光素子20よりも高くなる。これにより、凹部と凸部とでコントラストを有する画像を撮像することができる。
【0113】
図3Aに示すように、一つの受光素子20の撮像範囲である領域W
Sの幅は、指50の指紋の2周期分(ピッチP
Fの2倍)よりも小さくする。領域W
Sの幅が、ピッチP
Fの2倍を超えると、領域W
S内に指50の凸部または凹部が2つ以上含まれることになるため、明瞭な画像を得ることが困難になる。
【0114】
図3Bには、
図3A中の18個の受光素子20について、それぞれで受光した光の強度(受光強度)の一例を示している。
図3Bの横軸は、受光素子20のアドレスを示す。
図3A及び
図3Bで示すように、指50の凹部に近い受光素子20の受光強度は高く、凸部に近い受光素子20の受光強度は低くなる。
【0115】
受光素子20で取得した受光強度のデータは、アナログデータとして出力され、デジタル変換されてデジタル値として取り扱うことができる。例えば8bit階調の画像データとすれば、滑らかな指紋の画像を得ることができる。また、指紋に限られず、様々な対象物(印刷物、写真、その他あらゆる物品)の表面も鮮明に撮像することができる。一方、指紋認証、掌紋認証などの生体認証では、階調数の低い画像データを用いることで、指紋、掌紋などのパターンをより明確化でき、精度の高い認証を実行することができる。
【0116】
受光素子20で受光した受光強度のデータを二値化する場合、
図3Bに示すように所定のしきい値強度I
thを設定して、しきい値強度I
thを境に2値のデータを生成することができる。しきい値強度I
thは、全ての受光素子20で受光した全データに基づいて適宜設定することができる。例えば、全データの最大値と最小値の中央値としてもよいし、平均値としてもよい。なお、ノイズ、暗電流などの影響を考慮し、しきい値強度I
thを上記中央値または平均値よりも高い値とすることが好ましい。または、あらかじめノイズ、暗電流などの影響を除去したデータを用いて、二値のデータを生成してもよい。
【0117】
続いて、指紋を撮像した場合の画像の例について説明する。
図3Cは、指50と基板12の接触部と非接触部を模式的に示した図である。接触部にはハッチングを付している。
図3Dは、受光素子20を用いて撮像した、画像の一例である。
図3Dでは、縦32×横48ピクセルの二値化された画像を示している。このように、指紋の凹凸を反映したパターンを明瞭に撮像することができる。また、受光素子20の配列ピッチP
Pを小さくすることで、
図3Dよりもさらに滑らかな画像を得ることができる。
【0118】
[構成例2]
以下では、上記とは異なる構成を有する表示装置の例について説明する。なお、以下では、上記と重複する部分についてはこれを援用できるものとし、説明を省略する場合がある。
【0119】
〔構成例2-1〕
図4に、表示装置10aの断面概略図を示す。表示装置10aは、機能層15、保護層42、導電層43、樹脂層16等を有する点で、
図1で例示した表示装置10と主に相違している。
【0120】
機能層15は、樹脂層14と基板12との間に設けられている。樹脂層16は、機能層15と基板12との間に設けられ、これらを接着する機能を有する。また樹脂層14は、樹脂層13と機能層15とを接着する機能を有する。
【0121】
機能層15としては、例えば偏光板(円偏光板を含む)、集光フィルム、マイクロレンズアレイなどの光学部材を用いることができる。機能層15として、円偏光板を設けることにより、表示における外光反射を抑制し、表示品位を高めることができる。また、機能層15として、受光素子20と重なるマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイを用いることで、一つの受光素子20の撮像範囲を効果的に狭めることが可能となり、基板12の厚さをさらに厚くすること、または、基板12の表面から離れた対象物であっても鮮明な画像を撮像することが可能となる。
【0122】
または、機能層15として、タッチセンサパネルを用いてもよい。タッチセンサパネルに設けられるタッチセンサとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、赤外線方式、電磁誘導方式、表面弾性波方式等、種々の方式を採用することができる。特にタッチセンサとして、静電容量方式のタッチセンサを用いることが好ましい。
【0123】
機能層15は、上記光学部材としての機能と、タッチセンサパネルとしての機能と、を兼ね備えてもよい。または、機能層15として、光学部材として機能する層と、タッチセンサパネルとして機能する層とを積層した積層体を用いてもよい。
【0124】
機能層15は、樹脂を含む樹脂層を有することが好ましい。
【0125】
機能層15の厚さを厚さTFとする。機能層15として樹脂層を有する場合には、樹脂層の厚さを、機能層15の厚さTFとみなすことができる。機能層15の厚さTFは、基板12の厚さTSよりも薄いことが好ましい。また、機能層15の厚さTFは、樹脂層13の厚さTR1、及び樹脂層14の厚さTR2よりも厚いことが好ましい。
【0126】
また、機能層15の、発光素子30が発する光51の波長に対する屈折率をnFとする。機能層15の屈折率nFは、基板12の屈折率nSよりも低いことが好ましい。
【0127】
また、樹脂層16の厚さを厚さTR3とし、樹脂層16の屈折率をnR3とする。樹脂層16の厚さTR3は、基板12の厚さTS及び機能層15の厚さTFよりも薄いことが好ましい。また、樹脂層16の厚さTR3は、樹脂層13の厚さTR1よりも薄いことがより好ましい。また、樹脂層16の屈折率nR3は、基板12の屈折率nSよりも低いことが好ましい。
【0128】
保護層42は、導電層23を覆って設けられている。保護層42は、受光素子20及び発光素子30に、樹脂層13等から水などの不純物が拡散することを抑制する機能を有する。保護層42は、少なくとも無機絶縁物を含むことが好ましい。これにより、水などの不純物の拡散を好適に抑制し、信頼性を高めることができる。保護層42は、例えば無機絶縁膜の単層、または有機絶縁膜と無機絶縁膜の積層構造とすることができる。
【0129】
保護層42に無機絶縁膜を用いる場合、樹脂層13と比較して屈折率が高くなりやすい。そのため、保護層42は、少なくとも樹脂層13よりも薄くすることが好ましい。これにより、保護層42を設けることで、受光素子20に入射される光の量が低下してしまうことを好適に抑制することができる。
【0130】
導電層43は、保護層42上に設けられている。導電層43は、例えばタッチセンサの配線または電極として機能させることができる。導電層43は、遮光層25と重なる領域に設けられることが好ましい。これにより、導電層43の表面で反射した光が受光素子20に入射されてしまうことを抑制することができ、撮像される画像のノイズを低減できる。
【0131】
導電層43は、樹脂層13よりも薄くすることが好ましい。これにより、樹脂層13の上面の平坦性を高めることができるため、受光素子20上に位置する樹脂層14等の厚さを、表示領域内で均一にすることができ、鮮明な画像を撮像することができる。
【0132】
なお、導電層43は、タッチセンサの配線としての用途に限られない。例えば、容量素子、トランジスタ、表示素子、センサ素子などの電極、またはこれらと電気的に接続する配線などに用いることもできる。
【0133】
〔構成例2-2〕
図5に、表示装置10bの断面概略図を示す。表示装置10bは、保護層17を有する点、遮光層25の構成が異なる点、及び導電層43を有していない点で、上記表示装置10aと主に相違している。
【0134】
保護層17は、樹脂層13と樹脂層14の間に設けられる。保護層17は、樹脂層14から水などの不純物が樹脂層13側に拡散することを抑制する機能を有する。
【0135】
保護層17としては、無機絶縁膜を用いることができる。または、保護層17として、樹脂または無機絶縁物を含むシート状または板状の部材を用いてもよい。保護層17にシート状または板状の部材を用いる場合、保護層17は、基板11と対向して設けられる対向基板として機能することができる。
【0136】
遮光層25は、保護層17の基板11側の面に設けられている。樹脂層13は、基板11(具体的には保護層42の上面)と、保護層17とを接着する接着層として機能する。
【0137】
保護層17の厚さをTBとする。また、保護層17の屈折率をnBとする。保護層17の厚さTBは、基板12の厚さTSよりも薄いことが好ましい。また、保護層17の屈折率nBは、基板12の屈折率nSよりも低いことが好ましい。
【0138】
また表示装置10bにおいて、機能層15は、タッチセンサパネルとして機能することが好ましい。以下では、タッチセンサパネルとして機能する機能層15について説明する。
【0139】
図6Aに、タッチセンサパネルとして機能する機能層15の一部の斜視図を示している。機能層15は、樹脂層55、複数の導電層56a、及び複数の導電層56bを有する。
図6Aでは、樹脂層55を破線で示している。
【0140】
導電層56aは、一方向に伸びた帯状の形状を有する。また導電層56bは、導電層56aと交差する方向に伸びた帯状の形状を有する。複数の導電層56aと複数の導電層56bは、それぞれ等間隔に配列されている。
【0141】
例えば、静電容量型の相互容量方式のタッチセンサの場合、導電層56a及び導電層56bのいずれか一方にパルス信号が与えられ、他方には増幅回路等が接続される。
【0142】
図6Bに、機能層15の断面概略図を示す。導電層56aは、樹脂層55の一方の面に並べて設けられている。導電層56bは、樹脂層55の他方の面に設けられている。
【0143】
導電層56a及び導電層56bは、透光性を有する導電膜を用いることが好ましい。例えば、金属酸化物などを用いることができる。
【0144】
または、導電層56a及び導電層56bに、メッシュ状に加工された金属膜を用いてもよい。このとき、受光素子20、発光素子30等は、平面視において、当該メッシュの開口に位置するように設けられることが好ましい。また、当該金属膜と、上記遮光層25とを兼ねる構成としてもよい。これにより、遮光層と受光素子20との距離を長くすることができるため、一つの受光素子20の撮像範囲をより狭めることができ、鮮明な画像を撮像することができる。
【0145】
図6Cには、上記とは異なる構成の機能層15の斜視図を示している。
図6Cに示す機能層15は、樹脂層55、導電層56a、導電層56b、導電層57等を有する。
【0146】
導電層56aと導電層56bとは、同一面上に設けられる。導電層56aと導電層56bとは、同一の導電膜を加工して形成されることが好ましい。
【0147】
導電層56aは、ひし形の上面形状を有する複数の部分と、これらを繋ぐ部分と、を有する。一方、導電層56bは、ひし形の上面形状を有する島状の形状を有している。隣接する2つの導電層56bは、導電層57によって電気的に接続されている。
【0148】
【0149】
導電層56aと導電層56bとは、樹脂層55上に設けられる。
図6Dでは、導電層56aを挟む一対の導電層56bを示している。また、導電層56a及び導電層56bを覆って絶縁層58が設けられ、絶縁層58上に導電層57が設けられている。導電層57は、絶縁層58に設けられた2つの開口部において、それぞれの導電層56bと電気的に接続されている。これにより、一対の導電層56bは、導電層57を介して電気的に接続されている。
【0150】
図6Eには、導電層57を、絶縁層58よりも樹脂層55側に配置した場合の例である。樹脂層55上に導電層57が設けられ、導電層57を覆って絶縁層58が設けられている。また、絶縁層58上に導電層56a及び導電層56bが設けられている。一対の導電層56bは、それぞれ絶縁層58に設けられた開口部において、導電層57と電気的に接続されている。
【0151】
以上が、タッチセンサパネルとして機能する機能層15についての説明である。
【0152】
本実施の形態で例示した表示装置は、高い機械的強度と、鮮明な画像を撮像する機能と、を有する。例えば、表示装置を、スマートフォン、タブレット端末、腕時計型の端末等の電子機器の表示部(画面)に適用することで、利便性が高く、多機能で、且つ、画面が破損しにくい電子機器を実現することができる。
【0153】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、または図面等と適宜組み合わせることができる。
【0154】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0155】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について説明する。
【0156】
本発明の一態様の表示装置の表示部は、受光素子(受光デバイスともいう)と発光素子(発光デバイスともいう)を有する。表示部は、発光素子を用いて画像を表示する機能を有する。さらに、当該表示部は、受光素子を用いて撮像する機能及びセンシングする機能の一方または双方を有する。
【0157】
または、本発明の一態様の表示装置は、受発光素子(受発光デバイスともいう)と発光素子とを有する構成としてもよい。
【0158】
まず、受光素子と発光素子とを有する表示装置について説明する。
【0159】
受光素子及び発光素子については、実施の形態1の記載を援用することができる。
【0160】
受光素子をイメージセンサに用いる場合、表示装置は、受光素子を用いて、画像を撮像することができる。例えば、表示装置は、スキャナとして用いることができる。
【0161】
本発明の一態様の表示装置が適用された電子機器は、イメージセンサとしての機能を用いて、指紋、掌紋などの生体情報に係るデータを取得することができる。つまり、表示装置に、生体認証用センサを内蔵させることができる。表示装置が生体認証用センサを内蔵することで、表示装置とは別に生体認証用センサを設ける場合に比べて、電子機器の部品点数を少なくでき、電子機器の小型化及び軽量化が可能である。
【0162】
また、受光素子をタッチセンサに用いる場合、表示装置は、受光素子を用いて、対象物のタッチ操作を検出することができる。
【0163】
本発明の一態様では、発光素子として有機EL素子(有機ELデバイスともいう)を用い、受光素子として有機フォトダイオードを用いる。有機EL素子及び有機フォトダイオードは、同一基板上に形成することができる。したがって、有機EL素子を用いた表示装置に有機フォトダイオードを内蔵することができる。
【0164】
有機EL素子及び有機フォトダイオードを構成する全ての層を作り分ける場合、成膜工程数が膨大になってしまう。しかしながら有機フォトダイオードは、有機EL素子と共通の構成にできる層が多いため、共通の構成にできる層は一括で成膜することで、成膜工程の増加を抑制することができる。
【0165】
例えば、一対の電極のうち一方(共通電極)を、受光素子及び発光素子で共通の層とすることができる。また、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層の少なくとも1つを、受光素子及び発光素子で共通の層とすることが好ましい。また、例えば、受光素子が活性層を有し、発光素子が発光層を有する以外は、受光素子と発光素子とで同一の構成にすることもできる。つまり、発光素子の発光層を、活性層に置き換えるのみで、受光素子を作製することもできる。このように、受光素子及び発光素子が共通の層を有することで、成膜回数及びマスクの数を減らすことができ、表示装置の作製工程及び作製コストを削減することができる。また、表示装置の既存の製造装置及び製造方法を用いて、受光素子を有する表示装置を作製することができる。
【0166】
なお、受光素子と発光素子に共通する層は、発光素子における機能と受光素子における機能とが異なる場合がある。本明細書中では、発光素子における機能に基づいて構成要素を呼称する。例えば、正孔注入層は、発光素子において正孔注入層として機能し、受光素子において正孔輸送層として機能する。同様に、電子注入層は、発光素子において電子注入層として機能し、受光素子において電子輸送層として機能する。また、受光素子と発光素子に共通する層は、発光素子における機能と受光素子における機能とが同一である場合もある。正孔輸送層は、発光素子及び受光素子のいずれにおいても、正孔輸送層として機能し、電子輸送層は、発光素子及び受光素子のいずれにおいても、電子輸送層として機能する。
【0167】
次に、受発光素子と発光素子を有する表示装置について説明する。なお、上記と同様の機能、作用、効果等については、説明を省略することがある。
【0168】
本発明の一態様の表示装置において、いずれかの色を呈する副画素は、発光素子の代わりに受発光素子を有し、その他の色を呈する副画素は、発光素子を有する。受発光素子は、光を発する機能(発光機能)と、受光する機能(受光機能)と、の双方を有する。例えば、画素が、赤色の副画素、緑色の副画素、青色の副画素の3つの副画素を有する場合、少なくとも1つの副画素が受発光素子を有し、他の副画素は発光素子を有する構成とする。したがって、本発明の一態様の表示装置の表示部は、受発光素子と発光素子との双方を用いて画像を表示する機能を有する。
【0169】
受発光素子が、発光素子と受光素子を兼ねることで、画素に含まれる副画素の数を増やさずに、画素に受光機能を付与することができる。これにより、画素の開口率(各副画素の開口率)、及び、表示装置の精細度を維持したまま、表示装置の表示部に、撮像機能及びセンシング機能の一方または双方を付加することができる。したがって、本発明の一態様の表示装置は、発光素子を有する副画素とは別に、受光素子を有する副画素を設ける場合に比べ、画素の開口率を高くでき、また、高精細化が容易である。
【0170】
本発明の一態様の表示装置は、表示部に、受発光素子と発光素子がマトリクス状に配置されており、当該表示部で画像を表示することができる。また、表示部は、イメージセンサ、タッチセンサなどに用いることができる。本発明の一態様の表示装置は、発光素子をセンサの光源として利用することができる。そのため暗い場所でも、撮像、タッチ操作の検出などが可能である。
【0171】
受発光素子は、有機EL素子と有機フォトダイオードを組み合わせて作製することができる。例えば、有機EL素子の積層構造に、有機フォトダイオードの活性層を追加することで、受発光素子を作製することができる。さらに、有機EL素子と有機フォトダイオードを組み合わせて作製する受発光素子は、有機EL素子と共通の構成にできる層を一括で成膜することで、成膜工程の増加を抑制することができる。
【0172】
例えば、一対の電極のうち一方(共通電極)を、受発光素子及び発光素子で共通の層とすることができる。また、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層の少なくとも1つを、受発光素子及び発光素子で共通の層とすることが好ましい。また、例えば、受光素子の活性層の有無以外は、受発光素子と発光素子とで同一の構成にすることもできる。つまり、発光素子に、受光素子の活性層を加えるのみで、受発光素子を作製することもできる。このように、受発光素子及び発光素子が共通の層を有することで、成膜回数及びマスクの数を減らすことができ、表示装置の作製工程及び作製コストを削減することができる。また、表示装置の既存の製造装置及び製造方法を用いて、受発光素子を有する表示装置を作製することができる。
【0173】
なお、受発光素子が有する層は、受発光素子が、受光素子として機能する場合と、発光素子として機能する場合と、で、機能が異なることがある。本明細書中では、受発光素子が発光素子として機能する場合における機能に基づいて構成要素を呼称する。
【0174】
本実施の形態の表示装置は、発光素子及び受発光素子を用いて、画像を表示する機能を有する。つまり、発光素子及び受発光素子は、表示素子として機能する。
【0175】
本実施の形態の表示装置は、受発光素子を用いて、光を検出する機能を有する。受発光素子は、受発光素子自身が発する光よりも短波長の光を検出することができる。
【0176】
受発光素子をイメージセンサに用いる場合、本実施の形態の表示装置は、受発光素子を用いて、画像を撮像することができる。また、受発光素子をタッチセンサに用いる場合、本実施の形態の表示装置は、受発光素子を用いて、対象物のタッチ操作を検出することができる。
【0177】
受発光素子は、光電変換素子として機能する。受発光素子は、上記発光素子の構成に、受光素子の活性層を追加することで作製することができる。受発光素子には、例えば、pn型またはpin型のフォトダイオードの活性層を用いることができる。
【0178】
特に、受発光素子には、有機化合物を含む層を有する有機フォトダイオードの活性層を用いることが好ましい。有機フォトダイオードは、薄型化、軽量化、及び大面積化が容易であり、また、形状及びデザインの自由度が高いため、様々な表示装置に適用できる。
【0179】
以下では、本発明の一態様の表示装置について、図面を用いてより具体的に説明する。
【0180】
[表示装置の構成例1]
〔構成例1-1〕
図7Aに、表示パネル200の模式図を示す。表示パネル200は、基板201、基板202、受光素子212、発光素子211R、発光素子211G、発光素子211B、機能層203等を有する。
【0181】
発光素子211R、発光素子211G、発光素子211B、及び受光素子212は、基板201と基板202の間に設けられている。発光素子211R、発光素子211G、発光素子211Bは、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、または青色(B)の光を発する。なお以下では、発光素子211R、発光素子211G及び発光素子211Bを区別しない場合に、発光素子211と表記する場合がある。
【0182】
表示パネル200は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光素子を有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、または、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色など)、または、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、または、R、G、B、Yの4色など)を適用できる。さらに、画素は、受光素子212を有する。受光素子212は、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受光素子212を有していてもよい。
【0183】
図7Aには、基板202の表面に指220が触れる様子を示している。発光素子211Gが発する光の一部は、基板202と指220との接触部で反射される。そして、反射光の一部が、受光素子212に入射されることにより、指220が基板202に接触したことを検出することができる。すなわち、表示パネル200はタッチパネルとして機能することができる。
【0184】
機能層203は、発光素子211R、発光素子211G、発光素子211Bを駆動する回路、及び、受光素子212を駆動する回路を有する。機能層203には、スイッチ、トランジスタ、容量、配線などが設けられる。なお、発光素子211R、発光素子211G、発光素子211B、及び受光素子212をパッシブマトリクス方式で駆動させる場合には、スイッチ、トランジスタなどを設けない構成としてもよい。
【0185】
表示パネル200は、指220の指紋を検出する機能を有することが好ましい。
図7Bには、基板202に指220が触れている状態における接触部の拡大図を模式的に示している。また、
図7Bには、交互に配列した発光素子211と受光素子212を示している。
【0186】
指220は凹部及び凸部により指紋が形成されている。そのため、
図7Bに示すように指紋の凸部が基板202に触れている。
【0187】
ある表面または界面から反射される光には、正反射と拡散反射とがある。正反射光は入射角と反射角が一致する、指向性の高い光であり、拡散反射光は、強度の角度依存性が低い、指向性の低い光である。指220の表面から反射される光は、正反射と拡散反射のうち拡散反射の成分が支配的となる。一方、基板202と大気との界面から反射される光は、正反射の成分が支配的となる。
【0188】
指220と基板202との接触面または非接触面で反射され、これらの直下に位置する受光素子212に入射される光の強度は、正反射光と拡散反射光とを足し合わせたものとなる。上述のように指220の凹部では基板202と指220が接触しないため、正反射光(実線矢印で示す)が支配的となり、凸部ではこれらが接触するため、指220からの拡散反射光(破線矢印で示す)が支配的となる。したがって、凹部の直下に位置する受光素子212で受光する光の強度は、凸部の直下に位置する受光素子212よりも高くなる。これにより、指220の指紋を撮像することができる。
【0189】
受光素子212の配列間隔は、指紋の2つの凸部間の距離、好ましくは隣接する凹部と凸部間の距離よりも小さい間隔とすることで、鮮明な指紋の画像を取得することができる。人の指紋の凹部と凸部の間隔は概ね150μmから250μmの間であることから、例えば受光素子212の配列間隔は、400μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは120μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下とする。配列間隔は小さいほど好ましいが、例えば1μm以上、10μm以上、または20μm以上とすることができる。
【0190】
表示パネル200で撮像した指紋の画像の例を
図7Cに示す。
図7Cには、撮像範囲223内に、指220の輪郭を破線で、接触部221の輪郭を一点鎖線で示している。接触部221内において、受光素子212に入射する光量の違いによって、コントラストの高い指紋222を撮像することができる。
【0191】
表示パネル200は、タッチパネル、またはペンタブレットなどとしても機能させることができる。
図7Dには、スタイラス225の先端を基板202に接触させた状態で、破線矢印の方向に滑らせている様子を示している。
【0192】
図7Dに示すように、スタイラス225の先端と、基板202の接触面で拡散される拡散反射光が、当該接触面と重なる部分に位置する受光素子212に入射することで、スタイラス225の先端の位置を高精度に検出することができる。
【0193】
図7Eには、表示パネル200で検出したスタイラス225の軌跡226の例を示している。表示パネル200は、高い位置精度でスタイラス225等の被検出体の位置検出が可能であるため、描画アプリケーション等において、高精細な描画を行うことも可能である。また、静電容量式のタッチセンサ、電磁誘導型のタッチペン等を用いた場合とは異なり、絶縁性の高い被検出体であっても位置検出が可能であるため、スタイラス225の先端部の材料は問われず、様々な筆記用具(例えば筆、ガラスペン、羽ペンなど)を用いることもできる。
【0194】
ここで、
図7F乃至
図7Hに、表示パネル200に適用可能な画素の一例を示す。
【0195】
図7F、及び
図7Gに示す画素は、それぞれ赤色(R)の発光素子211R、緑色(G)の発光素子211G、青色(B)の発光素子211Bと、受光素子212を有する。画素は、それぞれ発光素子211R、発光素子211G、発光素子211B、及び受光素子212を駆動するための画素回路を有する。
【0196】
図7Fは、2×2のマトリクス状に、3つの発光素子と1つの受光素子が配置されている例である。
図7Gは、3つの発光素子が一列に配列し、その下側に、横長の1つの受光素子212が配置されている例である。
【0197】
図7Hに示す画素は、白色(W)の発光素子211Wを有する例である。ここでは、4つの発光素子が一列に配置され、その下側に受光素子212が配置されている。
【0198】
なお、画素の構成は上記に限られず、様々な配置方法を採用することができる。
【0199】
〔構成例1-2〕
以下では、可視光を呈する発光素子と、赤外光を呈する発光素子と、受光素子と、を備える構成の例について説明する。
【0200】
図8Aに示す表示パネル200Aは、
図7Aで例示した構成に加えて、発光素子211IRを有する。発光素子211IRは、赤外光IRを発する発光素子である。またこのとき、受光素子212には、少なくとも発光素子211IRが発する赤外光IRを受光することのできる素子を用いることが好ましい。また、受光素子212として、可視光と赤外光の両方を受光することのできる素子を用いることがより好ましい。
【0201】
図8Aに示すように、基板202に指220が触れると、発光素子211IRから発せられた赤外光IRが指220により反射され、当該反射光の一部が受光素子212に入射されることにより、指220の位置情報を取得することができる。
【0202】
図8B乃至
図8Dに、表示パネル200Aに適用可能な画素の一例を示す。
【0203】
図8Bは、3つの発光素子が一列に配列し、その下側に、発光素子211IRと、受光素子212とが横に並んで配置されている例である。また、
図8Cは、発光素子211IRを含む4つの発光素子が一列に配列し、その下側に、受光素子212が配置されている例である。
【0204】
また、
図8Dは、発光素子211IRを中心にして、四方に3つの発光素子と、受光素子212が配置されている例である。
【0205】
なお、
図8B乃至
図8Dに示す画素において、発光素子同士、及び発光素子と受光素子とは、それぞれの位置を交換可能である。
【0206】
〔構成例1-3〕
以下では、可視光を呈する発光素子と、可視光を呈し、且つ可視光を受光する受発光素子と、を備える構成の例について説明する。
【0207】
図9Aに示す表示パネル200Bは、発光素子211B、発光素子211G、及び受発光素子213Rを有する。受発光素子213Rは、赤色(R)の光を発する発光素子としての機能と、可視光を受光する光電変換素子としての機能と、を有する。
図9Aでは、受発光素子213Rが、発光素子211Gが発する緑色(G)の光を受光する例を示している。なお、受発光素子213Rは、発光素子211Bが発する青色(B)の光を受光してもよい。また、受発光素子213Rは、緑色の光と青色の光の両方を受光してもよい。
【0208】
例えば、受発光素子213Rは、自身が発する光よりも短波長の光を受光することが好ましい。または、受発光素子213Rは、自身が発する光よりも長波長の光(例えば赤外光)を受光する構成としてもよい。受発光素子213Rは、自身が発する光と同程度の波長を受光する構成としてもよいが、その場合は自身が発する光をも受光してしまい、発光効率が低下してしまう恐れがある。そのため、受発光素子213Rは、発光スペクトルのピークと、吸収スペクトルのピークとができるだけ重ならないように構成されることが好ましい。
【0209】
また、ここでは受発光素子が発する光は、赤色の光に限られない。また、発光素子が発する光も、緑色の光と青色の光の組み合わせに限定されない。例えば受発光素子として、緑色または青色の光を発し、且つ、自身が発する光とは異なる波長の光を受光する素子とすることができる。
【0210】
このように、受発光素子213Rが、発光素子と受光素子とを兼ねることにより、一画素に配置する素子の数を減らすことができる。そのため、高精細化、高開口率化、高解像度化などが容易となる。
【0211】
図9B乃至
図9Iに、表示パネル200Bに適用可能な画素の一例を示す。
【0212】
図9Bは、受発光素子213R、発光素子211G、及び発光素子211Bが一列に配列されている例である。
図9Cは、発光素子211Gと発光素子211Bが縦方向に交互に配列し、これらの横に受発光素子213Rが配置されている例である。
【0213】
図9Dは、2×2のマトリクス状に、3つの発光素子(発光素子211G、発光素子211B、及び発光素子211Xと一つの受発光素子が配置されている例である。発光素子211Xは、R、G、B以外の光を呈する素子である。R、G、B以外の光としては、白色(W)、黄色(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、赤外光(IR)、紫外光(UV)等の光が挙げられる。発光素子211Xが赤外光を呈する場合、受発光素子は、赤外光を検出する機能、または、可視光及び赤外光の双方を検出する機能を有することが好ましい。センサの用途に応じて、受発光素子が検出する光の波長を決定することができる。
【0214】
図9Eには、2つ分の画素を示している。点線で囲まれた3つの素子を含む領域が1つの画素に相当する。画素はそれぞれ発光素子211G、発光素子211B、及び受発光素子213Rを有する。
図9Eに示す左の画素では、受発光素子213Rと同じ行に発光素子211Gが配置され、受発光素子213Rと同じ列に発光素子211Bが配置されている。
図9Eに示す右の画素では、受発光素子213Rと同じ行に発光素子211Gが配置され、発光素子211Gと同じ列に発光素子211Bが配置されている。
図9Eに示す画素レイアウトでは、奇数行と偶数行のいずれにおいても、受発光素子213R、発光素子211G、及び発光素子211Bが繰り返し配置されており、かつ、各列において、奇数行と偶数行では互いに異なる色の発光素子または受発光素子が配置される。
【0215】
図9Fには、ペンタイル配列が適用された4つの画素を示しており、隣接する2つの画素は組み合わせの異なる2色の光を呈する発光素子または受発光素子を有する。なお、
図9Fでは、発光素子または受発光素子の上面形状を示している。
【0216】
図9Fに示す左上の画素と右下の画素は、受発光素子213Rと発光素子211Gを有する。また右上の画素と左下の画素は、発光素子211Gと発光素子211Bを有する。すなわち、
図9Fに示す例では、各画素に発光素子211Gが設けられている。
【0217】
発光素子及び受発光素子の上面形状は特に限定されず、円、楕円、多角形、角の丸い多角形等とすることができる。
図9F等では、発光素子及び受発光素子の上面形状として、略45度傾いた正方形(ひし形)である例を示している。なお、各色の発光素子及び受発光素子の上面形状は、互いに異なっていてもよく、一部または全ての色で同じであってもよい。
【0218】
また、各色の発光素子及び受発光素子の発光領域(または受発光領域)のサイズは、互いに異なっていてもよく、一部または全ての色で同じであってもよい。例えば
図9Fにおいて、各画素に設けられる発光素子211Gの発光領域の面積を他の素子の発光領域(または受発光領域)よりも小さくしてもよい。
【0219】
図9Gは、
図9Fに示す画素配列の変形例である。具体的には、
図9Gの構成は、
図9Fの構成を45度回転させることで得られる。
図9Fでは、1つの画素に2つの素子を有するとして説明したが、
図9Gに示すように、4つの素子により1つの画素が構成されていると捉えることもできる。
【0220】
図9Hは、
図9Fに示す画素配列の変形例である。
図9Hに示す左上の画素と右下の画素は、受発光素子213Rと発光素子211Gを有する。また右上の画素と左下の画素は、受発光素子213Rと発光素子211Bを有する。すなわち、
図9Hに示す例では、各画素に受発光素子213Rが設けられている。各画素に受発光素子213Rが設けられているため、
図9Hに示す構成は、
図9Fに示す構成に比べて、高い精細度で撮像を行うことができる。これにより、例えば、生体認証の精度を高めることができる。
【0221】
図9Iは、
図9Hで示す画素配列の変形例であり、当該画素配列を45度回転させることで得られる構成である。
【0222】
図9Iでは、4つの素子(2つの発光素子と2つの受発光素子)により1つの画素が構成されることとして説明を行う。このように、1つの画素が、受光機能を有する受発光素子を複数有することで、高い精細度で撮像を行うことができる。したがって、生体認証の精度を高めることができる。例えば、撮像の精細度を、表示の精細度のルート2倍とすることができる。
【0223】
図9Hまたは
図9Iに示す構成が適用された表示装置は、p個(pは2以上の整数)の第1の発光素子と、q個(qは2以上の整数)の第2の発光素子と、r個(rはpより大きく、qより大きい整数)の受発光素子と、を有する。pとrはr=2pを満たす。また、p、q、rはr=p+qを満たす。第1の発光素子と第2の発光素子のうち一方が緑色の光を発し、他方が青色の光を発する。受発光素子は、赤色の光を発し、かつ、受光機能を有する。
【0224】
例えば、受発光素子を用いて、タッチ操作の検出を行う場合、光源からの発光がユーザーに視認されにくいことが好ましい。青色の光は、緑色の光よりも視認性が低いため、青色の光を発する発光素子を光源とすることが好ましい。したがって、受発光素子は、青色の光を受光する機能を有することが好ましい。なお、これに限られず、受発光素子の感度に応じて、光源とする発光素子を適宜選択することができる。
【0225】
以上のように、本実施の形態の表示装置には、様々な配列の画素を適用することができる。
【0226】
[デバイス構造]
次に、本発明の一態様の表示装置に用いることができる、発光素子、受光素子、及び受発光素子の詳細な構成について説明する。
【0227】
本発明の一態様の表示装置は、発光素子が形成されている基板とは反対方向に光を射出するトップエミッション型、発光素子が形成されている基板側に光を射出するボトムエミッション型、両面に光を射出するデュアルエミッション型のいずれであってもよい。
【0228】
本実施の形態では、トップエミッション型の表示装置を例に挙げて説明する。
【0229】
なお、本明細書等において、特に説明のない限り、要素(発光素子、発光層など)を複数有する構成を説明する場合であっても、各々の要素に共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略して説明する。例えば、発光層283R及び発光層283G等に共通する事項を説明する場合に、発光層283と記す場合がある。
【0230】
図10Aに示す表示装置280Aは、受光素子270PD、赤色(R)の光を発する発光素子270R、緑色(G)の光を発する発光素子270G、及び、青色(B)の光を発する発光素子270Bを有する。
【0231】
各発光素子は、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、発光層、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。発光素子270Rは、発光層283Rを有し、発光素子270Gは、発光層283Gを有し、発光素子270Bは、発光層283Bを有する。発光層283Rは、赤色の光を発する発光物質を有し、発光層283Gは、緑色の光を発する発光物質を有し、発光層283Bは、青色の光を発する発光物質を有する。
【0232】
発光素子は、画素電極271と共通電極275との間に電圧を印加することで、共通電極275側に光を射出する電界発光素子である。
【0233】
受光素子270PDは、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、活性層273、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。
【0234】
受光素子270PDは、表示装置280Aの外部から入射される光を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。
【0235】
本実施の形態では、発光素子及び受光素子のいずれにおいても、画素電極271が陽極として機能し、共通電極275が陰極として機能するものとして説明する。つまり、受光素子は、画素電極271と共通電極275との間に逆バイアスをかけて駆動することで、受光素子に入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0236】
本実施の形態の表示装置では、受光素子270PDの活性層273に有機化合物を用いる。受光素子270PDは、活性層273以外の層を、発光素子と共通の構成にすることができる。そのため、発光素子の作製工程に、活性層273を成膜する工程を追加するのみで、発光素子の形成と並行して受光素子270PDを形成することができる。また、発光素子と受光素子270PDとを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子270PDを内蔵することができる。
【0237】
表示装置280Aでは、受光素子270PDの活性層273と、発光素子の発光層283と、を作り分ける以外は、受光素子270PDと発光素子が共通の構成である例を示す。ただし、受光素子270PDと発光素子の構成はこれに限定されない。受光素子270PDと発光素子は、活性層273と発光層283のほかにも、互いに作り分ける層を有していてもよい。受光素子270PDと発光素子は、共通で用いられる層(共通層)を1層以上有することが好ましい。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子270PDを内蔵することができる。
【0238】
画素電極271と共通電極275のうち、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0239】
本実施の形態の表示装置が有する発光素子には、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。したがって、発光素子が有する一対の電極の一方は、可視光に対する透過性及び反射性を有する電極(半透過・半反射電極)を有することが好ましく、他方は、可視光に対する反射性を有する電極(反射電極)を有することが好ましい。発光素子がマイクロキャビティ構造を有することで、発光層から得られる発光を両電極間で共振させ、発光素子から射出される光を強めることができる。
【0240】
なお、半透過・半反射電極は、反射電極と可視光に対する透過性を有する電極(透明電極ともいう)との積層構造とすることができる。
【0241】
透明電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光素子には、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)の透過率が40%以上である電極を用いることが好ましい。半透過・半反射電極の可視光の反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80%以下とする。反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。なお、発光素子が近赤外光(波長750nm以上1300nm以下の光)を発する場合、これらの電極の近赤外光の透過率または反射率は、可視光の透過率または反射率と同様に、上記の数値範囲を満たすことが好ましい。
【0242】
発光素子は少なくとも発光層283を有する。発光素子は、発光層283以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、電子ブロック材料、またはバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有していてもよい。
【0243】
例えば、発光素子及び受光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層のうち1層以上を共通の構成とすることができる。また、発光素子及び受光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層のうち1層以上を互いに作り分けることができる。
【0244】
正孔注入層は、陽極から正孔輸送層に正孔を注入する層であり、正孔注入性の高い材料を含む層である。正孔注入性の高い材料としては、正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とを含む複合材料、または芳香族アミン化合物などを用いることができる。
【0245】
発光素子において、正孔輸送層は、正孔注入層によって、陽極から注入された正孔を発光層に輸送する層である。受光素子において、正孔輸送層は、活性層において入射した光に基づき発生した正孔を陽極に輸送する層である。正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む層である。正孔輸送性材料としては、1×10-6cm2/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体など)、芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する化合物)等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。
【0246】
発光素子において、電子輸送層は、電子注入層によって、陰極から注入された電子を発光層に輸送する層である。受光素子において、電子輸送層は、活性層において入射した光に基づき発生した電子を陰極に輸送する層である。電子輸送層は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送性材料としては、1×10-6cm2/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。電子輸送性材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体等の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン配位子を有するキノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、その他含窒素複素芳香族化合物を含むπ電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料を用いることができる。
【0247】
電子注入層は、陰極から電子輸送層に電子を注入する層であり、電子注入性の高い材料を含む層である。電子注入性の高い材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはそれらの化合物を用いることができる。電子注入性の高い材料としては、電子輸送性材料とドナー性材料(電子供与性材料)とを含む複合材料を用いることもできる。
【0248】
発光層283は、発光物質を含む層である。発光層283は、1種または複数種の発光物質を有することができる。発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色などの発光色を呈する物質を適宜用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもできる。
【0249】
発光物質としては、蛍光材料、燐光材料、TADF材料、量子ドット材料などが挙げられる。
【0250】
蛍光材料としては、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体などが挙げられる。
【0251】
燐光材料としては、例えば、4H-トリアゾール骨格、1H-トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、またはピリジン骨格を有する有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、白金錯体、希土類金属錯体等が挙げられる。
【0252】
発光層283は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種または複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有していてもよい。1種または複数種の有機化合物としては、正孔輸送性材料及び電子輸送性材料の一方または双方を用いることができる。また、1種または複数種の有機化合物として、バイポーラ性材料、またはTADF材料を用いてもよい。
【0253】
発光層283は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組み合わせである正孔輸送性材料及び電子輸送性材料と、を有することが好ましい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光材料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率よく得ることができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率よく発光を得ることができる。この構成により、発光素子の高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実現できる。
【0254】
励起錯体を形成する材料の組み合わせとしては、正孔輸送性材料のHOMO準位(最高被占有軌道準位)が電子輸送性材料のHOMO準位以上の値であると好ましい。正孔輸送性材料のLUMO準位(最低空軌道準位)が電子輸送性材料のLUMO準位以上の値であると好ましい。材料のLUMO準位及びHOMO準位は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって測定される材料の電気化学特性(還元電位及び酸化電位)から導出することができる。
【0255】
励起錯体の形成は、例えば正孔輸送性材料の発光スペクトル、電子輸送性材料の発光スペクトル、及びこれら材料を混合した混合膜の発光スペクトルを比較し、混合膜の発光スペクトルが、各材料の発光スペクトルよりも長波長シフトする(または長波長側に新たなピークを持つ)現象を観測することにより確認することができる。または、正孔輸送性材料の過渡フォトルミネッセンス(PL)、電子輸送性材料の過渡PL、及びこれら材料を混合した混合膜の過渡PLを比較し、混合膜の過渡PL寿命が、各材料の過渡PL寿命よりも長寿命成分を有する、または遅延成分の割合が大きくなるなどの過渡応答の違いを観測することにより、確認することができる。また、上述の過渡PLは過渡エレクトロルミネッセンス(EL)と読み替えても構わない。すなわち、正孔輸送性材料の過渡EL、電子輸送性を有する材料の過渡EL、及びこれらの混合膜の過渡ELを比較し、過渡応答の違いを観測することによっても、励起錯体の形成を確認することができる。
【0256】
活性層273は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコンなどの無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層273が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光層283と、活性層273と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0257】
活性層273が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)、フラーレン誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。フラーレンは、サッカーボールのような形状を有し、当該形状はエネルギー的に安定である。フラーレンは、HOMO準位及びLUMO準位の双方が深い(低い)。フラーレンは、LUMO準位が深いため、電子受容性(アクセプター性)が極めて高い。通常、ベンゼンのように、平面にπ電子共役(共鳴)が広がると、電子供与性(ドナー性)が高くなるが、フラーレンは球体形状であるため、π電子が大きく広がっているにも関わらず、電子受容性が高くなる。電子受容性が高いと、電荷分離を高速に効率よく起こすため、受光素子として有益である。C60、C70ともに可視光領域に広い吸収帯を有しており、特にC70はC60に比べてπ電子共役系が大きく、長波長領域にも広い吸収帯を有するため好ましい。
【0258】
また、n型半導体の材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クマリン誘導体、ローダミン誘導体、トリアジン誘導体、キノン誘導体等が挙げられる。
【0259】
活性層273が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine;CuPc)、テトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene;DBP)、亜鉛フタロシアニン(Zinc Phthalocyanine;ZnPc)、スズフタロシアニン(SnPc)、キナクリドン等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0260】
また、p型半導体の材料としては、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、芳香族アミン骨格を有する化合物等が挙げられる。さらに、p型半導体の材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
【0261】
電子供与性の有機半導体材料のHOMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のHOMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。電子供与性の有機半導体材料のLUMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のLUMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。
【0262】
電子受容性の有機半導体材料として、球状のフラーレンを用い、電子供与性の有機半導体材料として、平面に近い形状の有機半導体材料を用いることが好ましい。似た形状の分子同士は集まりやすい傾向にあり、同種の分子が凝集すると、分子軌道のエネルギー準位が近いため、キャリア輸送性を高めることができる。
【0263】
例えば、活性層273は、n型半導体とp型半導体と共蒸着して形成することが好ましい。または、活性層273は、n型半導体とp型半導体とを積層して形成してもよい。
【0264】
発光素子及び受光素子には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。発光素子及び受光素子を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0265】
図10Bに示す表示装置280Bは、受光素子270PDと発光素子270Rが同一の構成である点で、表示装置280Aと異なる。
【0266】
受光素子270PDと発光素子270Rは、活性層273と発光層283Rを共通して有する。
【0267】
ここで、受光素子270PDは、検出したい光よりも長波長の光を発する発光素子と共通の構成にすることが好ましい。例えば、青色の光を検出する構成の受光素子270PDは、発光素子270R及び発光素子270Gの一方または双方と同様の構成にすることができる。例えば、緑色の光を検出する構成の受光素子270PDは、発光素子270Rと同様の構成にすることができる。
【0268】
受光素子270PDと、発光素子270Rと、を共通の構成にすることで、受光素子270PDと、発光素子270Rと、が互いに作り分ける層を有する構成に比べて、成膜工程の数及びマスクの数を削減することができる。したがって、表示装置の作製工程及び作製コストを削減することができる。
【0269】
また、受光素子270PDと、発光素子270Rと、を共通の構成にすることで、受光素子270PDと、発光素子270Rと、が互いに作り分ける層を有する構成に比べて、位置ずれに対するマージンを狭くできる。これにより、画素の開口率を高めることができ、表示装置の光取り出し効率を高めることができる。これにより、発光素子の寿命を延ばすことができる。また、表示装置は、高い輝度を表現することができる。また、表示装置の高精細度化も可能である。
【0270】
発光層283Rは、赤色の光を発する発光材料を有する。活性層273は、赤色よりも短波長の光(例えば、緑色の光及び青色の光の一方または双方)を吸収する有機化合物を有する。活性層273は、赤色の光を吸収しにくく、かつ、赤色よりも短波長の光を吸収する有機化合物を有することが好ましい。これにより、発光素子270Rからは赤色の光が効率よく取り出され、受光素子270PDは、高い精度で赤色よりも短波長の光を検出することができる。
【0271】
また、表示装置280Bでは、発光素子270R及び受光素子270PDが同一の構成である例を示すが、発光素子270R及び受光素子270PDは、それぞれ異なる厚さの光学調整層を有していてもよい。
【0272】
図11A、
図11Bに示す表示装置280Cは、赤色(R)の光を発し、かつ、受光機能を有する受発光素子270SR、発光素子270G、及び、発光素子270Bを有する。発光素子270Gと発光素子270Bの構成は、上記表示装置280A等を援用できる。
【0273】
受発光素子270SRは、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、活性層273、発光層283R、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。受発光素子270SRは、上記表示装置280Bで例示した発光素子270R及び受光素子270PDと同一の構成である。
【0274】
図11Aでは、受発光素子270SRが発光素子として機能する場合を示す。
図11Aでは、発光素子270Bが青色の光を発し、発光素子270Gが緑色の光を発し、受発光素子270SRが赤色の光を発している例を示す。
【0275】
図11Bでは、受発光素子270SRが受光素子として機能する場合を示す。
図11Bでは、受発光素子270SRが、発光素子270Bが発する青色の光と、発光素子270Gが発する緑色の光を受光している例を示す。
【0276】
発光素子270B、発光素子270G、及び受発光素子270SRは、それぞれ、画素電極271及び共通電極275を有する。本実施の形態では、画素電極271が陽極として機能し、共通電極275が陰極として機能する場合を例に挙げて説明する。受発光素子270SRは、画素電極271と共通電極275との間に逆バイアスをかけて駆動することで、受発光素子270SRに入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0277】
受発光素子270SRは、発光素子に、活性層273を追加した構成ということができる。つまり、発光素子の作製工程に、活性層273を成膜する工程を追加するのみで、発光素子の形成と並行して受発光素子270SRを形成することができる。また、発光素子と受発光素子とを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示部に撮像機能及びセンシング機能の一方または双方を付与することができる。
【0278】
発光層283Rと活性層273との積層順は限定されない。
図11A、
図11Bでは、正孔輸送層282上に活性層273が設けられ、活性層273上に発光層283Rが設けられている例を示す。発光層283Rと活性層273の積層順を入れ替えてもよい。
【0279】
また、受発光素子は、正孔注入層281、正孔輸送層282、電子輸送層284、及び電子注入層285のうち少なくとも1層を有していなくてもよい。また、受発光素子は、正孔ブロック層、電子ブロック層など、他の機能層を有していてもよい。
【0280】
受発光素子において、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0281】
受発光素子を構成する各層の機能及び材料は、発光素子及び受光素子を構成する各層の機能及び材料と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0282】
【0283】
図11Cに示す受発光素子は、第1の電極277、正孔注入層281、正孔輸送層282、発光層283R、活性層273、電子輸送層284、電子注入層285、及び第2の電極278を有する。
【0284】
図11Cは、正孔輸送層282上に発光層283Rが設けられ、発光層283R上に活性層273が積層された例である。
【0285】
図11A~
図11Cに示すように、活性層273と発光層283Rとは、互いに接していてもよい。
【0286】
また、活性層273と発光層283Rとの間には、バッファ層が設けられることが好ましい。このとき、バッファ層は、正孔輸送性及び電子輸送性を有することが好ましい。例えば、バッファ層には、バイポーラ性の物質を用いることが好ましい。または、バッファ層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層、及び電子ブロック層等のうち少なくとも1層を用いることができる。
図11Dには、バッファ層として正孔輸送層282を用いる例を示す。
【0287】
活性層273と発光層283Rとの間にバッファ層を設けることで、発光層283Rから活性層273に励起エネルギーが移動することを抑制できる。また、バッファ層を用いて、マイクロキャビティ構造の光路長(キャビティ長)を調整することもできる。したがって、活性層273と発光層283Rとの間にバッファ層を有する受発光素子からは、高い発光効率を得ることができる。
【0288】
図11Eは、正孔注入層281上に正孔輸送層282-1、活性層273、正孔輸送層282-2、発光層283Rの順で積層された積層構造を有する例である。正孔輸送層282-2は、バッファ層として機能する。正孔輸送層282-1と正孔輸送層281-2とは、同じ材料を含んでいてもよいし、異なる材料を含んでいてもよい。また、正孔輸送層281-2の代わりに、上述したバッファ層に用いることのできる層を用いてもよい。また、活性層273と、発光層283Rの位置を入れ替えてもよい。
【0289】
図11Fに示す受発光素子は、正孔輸送層282を有さない点で、
図11Aに示す受発光素子と異なる。このように、受発光素子は、正孔注入層281、正孔輸送層282、電子輸送層284、及び電子注入層285のうち少なくとも1層を有していなくてもよい。また、受発光素子は、正孔ブロック層、電子ブロック層など、他の機能層を有していてもよい。
【0290】
図11Gに示す受発光素子は、活性層273及び発光層283Rを有さず、発光層と活性層を兼ねる層289を有する点で、
図11Aに示す受発光素子と異なる。
【0291】
発光層と活性層を兼ねる層としては、例えば、活性層273に用いることができるn型半導体と、活性層273に用いることができるp型半導体と、発光層283Rに用いることができる発光物質と、の3つの材料を含む層を用いることができる。
【0292】
なお、n型半導体とp型半導体との混合材料の吸収スペクトルの最も低エネルギー側の吸収帯と、発光物質の発光スペクトル(PLスペクトル)の最大ピークと、は互いに重ならないことが好ましく、十分に離れていることがより好ましい。
【0293】
[表示装置の構成例2]
以下では、本発明の一態様の表示装置の詳細な構成について説明する。ここでは特に、受光素子と発光素子を有する表示装置の例について説明する。
【0294】
〔構成例2-1〕
図12Aに、表示装置300Aの断面図を示す。表示装置300Aは、基板351、基板352、受光素子310、及び発光素子390を有する。
【0295】
発光素子390は、画素電極391、バッファ層312、発光層393、バッファ層314、及び共通電極315をこの順で積層して有する。バッファ層312は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方または双方を有することができる。発光層393は、有機化合物を有する。バッファ層314は、電子注入層及び電子輸送層の一方または双方を有することができる。発光素子390は、可視光321を発する機能を有する。なお、表示装置300Aは、さらに、赤外光を発する機能を有する発光素子を有していてもよい。
【0296】
受光素子310は、画素電極311、バッファ層312、活性層313、バッファ層314、及び共通電極315をこの順で積層して有する。活性層313は、有機化合物を有する。受光素子310は、可視光を検出する機能を有する。なお、受光素子310は、さらに、赤外光を検出する機能を有していてもよい。
【0297】
バッファ層312、バッファ層314、及び共通電極315は、発光素子390及び受光素子310に共通の層であり、これらに亘って設けられる。バッファ層312、バッファ層314、及び共通電極315は、活性層313及び画素電極311と重なる部分と、発光層393及び画素電極391と重なる部分と、いずれとも重ならない部分と、を有する。
【0298】
本実施の形態では、発光素子390及び受光素子310のいずれにおいても、画素電極が陽極として機能し、共通電極315が陰極として機能するものとして説明する。つまり、受光素子310を、画素電極311と共通電極315との間に逆バイアスをかけて駆動することで、表示装置300Aは、受光素子310に入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0299】
画素電極311、画素電極391、バッファ層312、活性層313、バッファ層314、発光層393、及び共通電極315は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0300】
画素電極311及び画素電極391は、それぞれ絶縁層414上に位置する。各画素電極は、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。画素電極311及び画素電極391の端部は、隔壁416によって覆われている。互いに隣り合う2つの画素電極は隔壁416によって互いに電気的に絶縁されている(電気的に分離されている、ともいう)。
【0301】
隔壁416としては、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。隔壁416は、可視光を透過する層である。隔壁416のかわりに、可視光を遮る隔壁を設けてもよい。
【0302】
共通電極315は、受光素子310と発光素子390に共通で用いられる層である。
【0303】
受光素子310及び発光素子390が有する一対の電極の材料及び膜厚等は等しくすることができる。これにより、表示装置の作製コストの削減及び作製工程の簡略化ができる。
【0304】
表示装置300Aは、一対の基板(基板351及び基板352)間に、受光素子310、発光素子390、トランジスタ331、及びトランジスタ332等を有する。
【0305】
受光素子310において、画素電極311及び共通電極315の間に位置するバッファ層312、活性層313、及びバッファ層314は、有機層(有機化合物を含む層)ということもできる。画素電極311は可視光を反射する機能を有することが好ましい。共通電極315は可視光を透過する機能を有する。なお、受光素子310が赤外光を検出する構成である場合、共通電極315は赤外光を透過する機能を有する。さらに、画素電極311は赤外光を反射する機能を有することが好ましい。
【0306】
受光素子310は、光を検出する機能を有する。具体的には、受光素子310は、表示装置300Aの外部から入射される光322を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。光322は、発光素子390の発光を対象物が反射した光ということもできる。また、光322は、表示装置300Aに設けられたレンズなどを介して受光素子310に入射してもよい。
【0307】
発光素子390において、画素電極391及び共通電極315の間に位置するバッファ層312、発光層393、及びバッファ層314は、まとめてEL層ということもできる。なお、EL層は、少なくとも発光層393を有する。上述の通り、画素電極391は可視光を反射する機能を有することが好ましい。また、共通電極315は可視光を透過する機能を有する。なお、表示装置300Aが、赤外光を発する発光素子を有する構成である場合、共通電極315は赤外光を透過する機能を有する。さらに、画素電極391は赤外光を反射する機能を有することが好ましい。
【0308】
本実施の形態の表示装置が有する発光素子には、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。発光素子390は、画素電極391と共通電極315との間に光学調整層を有していてもよい。微小共振器構造が適用されることで、各発光素子から、特定の色の光を強めて取り出すことができる。
【0309】
発光素子390は、可視光を発する機能を有する。具体的には、発光素子390は、画素電極391と共通電極315との間に電圧を印加することで、基板352側に光(ここでは可視光321)を射出する電界発光素子である。
【0310】
受光素子310が有する画素電極311は、絶縁層414に設けられた開口を介して、トランジスタ331が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。発光素子390が有する画素電極391は、絶縁層414に設けられた開口を介して、トランジスタ332が有するソースまたはドレインと電気的に接続される。
【0311】
トランジスタ331とトランジスタ332とは、同一の層(
図12Aでは基板351)上に接している。
【0312】
受光素子310と電気的に接続される回路の少なくとも一部は、発光素子390と電気的に接続される回路と同一の材料及び同一の工程で形成されることが好ましい。これにより、2つの回路を別々に形成する場合に比べて、表示装置の厚さを薄くすることができ、また、作製工程を簡略化できる。
【0313】
受光素子310及び発光素子390は、それぞれ、保護層395に覆われていることが好ましい。
図12Aでは、保護層395が、共通電極315上に接して設けられている。保護層395を設けることで、受光素子310及び発光素子390に水などの不純物が入り込むことを抑制し、受光素子310及び発光素子390の信頼性を高めることができる。また、接着層342によって、保護層395と基板352とが貼り合わされている。
【0314】
基板352の基板351側の面には、遮光層358が設けられている。遮光層358は、発光素子390と重なる位置、及び、受光素子310と重なる位置に開口を有する。
【0315】
ここで、発光素子390の発光が対象物によって反射された光を受光素子310は検出する。しかし、発光素子390の発光が、表示装置300A内で反射され、対象物を介さずに、受光素子310に入射されてしまう場合がある。遮光層358は、このような迷光の影響を抑制することができる。例えば、遮光層358が設けられていない場合、発光素子390が発した光323は、基板352で反射され、反射光324が受光素子310に入射することがある。遮光層358を設けることで、反射光324が受光素子310に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光素子310を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0316】
遮光層358としては、発光素子からの発光を遮る材料を用いることができる。遮光層358は、可視光を吸収することが好ましい。遮光層358として、例えば、金属材料、又は、顔料(カーボンブラックなど)もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。遮光層358は、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、及び青色のカラーフィルタの積層構造であってもよい。
【0317】
〔構成例2-2〕
図12Bに示す表示装置300Bは、レンズ349を有する点で、上記表示装置300Aと主に相違している。
【0318】
レンズ349は、基板352の基板351側に設けられている。外部から入射される光322は、レンズ349を介して受光素子310に入射される。レンズ349及び基板352には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0319】
レンズ349を介して受光素子310に光が入射することで、受光素子310に入射する光の範囲を狭くすることができる。これにより、複数の受光素子310間で、撮像範囲が重なることを抑制でき、ぼやけの少ない鮮明な画像を撮像できる。
【0320】
また、レンズ349は、入射された光を集光できる。したがって、受光素子310に入射される光の量を増やすことができる。これにより、受光素子310の光電変換効率を高めることができる。
【0321】
〔構成例2-3〕
図12Cに示す表示装置300Cは、遮光層358の形状が異なる点で、上記表示装置300Aと主に相違している。
【0322】
遮光層358は、平面視において、受光素子310と重なる開口部が、受光素子310の受光領域よりも内側に位置するように設けられている。遮光層358の受光素子310と重なる開口部の径が小さいほど、受光素子310に入射する光の範囲を狭くすることができる。これにより、複数の受光素子310間で、撮像範囲が重なることを抑制でき、ぼやけの少ない鮮明な画像を撮像できる。
【0323】
例えば、遮光層358の開口部の面積を、受光素子310の受光領域の面積の80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、または40%以下であって、1%以上、5%以上、または10%以上とすることができる。遮光層358の開口部の面積が小さいほど鮮明な画像を撮像することができる。一方、当該開口部の面積が小さすぎると、受光素子310に到達する光の光量が減少し、受光感度が低下する恐れがある。そのため、上述した範囲内で適宜設定することが好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。また、受光素子310の受光領域は、隔壁416の開口部と言い換えることができる。
【0324】
なお、遮光層358の受光素子310と重なる開口部の中心が、平面視において、受光素子310の受光領域の中心からずれていてもよい。さらには、平面視において、遮光層358の開口部が、受光素子310の受光領域と重ならない構成としてもよい。これにより、遮光層358の開口部を透過した斜め向きの光のみを、受光素子310で受光することができる。これにより、受光素子310に入射する光の範囲をより効果的に限定することができ、鮮明な画像を撮像できる。
【0325】
〔構成例2-4〕
図13Aに示す表示装置300Dは、バッファ層312が共通層でない点で、上記表示装置300Aと主に相違している。
【0326】
受光素子310は、画素電極311、バッファ層312、活性層313、バッファ層314、及び共通電極315を有する。発光素子390は、画素電極391、バッファ層392、発光層393、バッファ層314、共通電極315を有する。活性層313、バッファ層312、発光層393、及びバッファ層392は、それぞれ島状の上面形状を有する。
【0327】
バッファ層312と、バッファ層392とは、異なる材料を含んでもよいし、同じ材料を含んでもよい。
【0328】
このように、発光素子390と受光素子310とでバッファ層を作り分けることで、発光素子390及び受光素子310に用いるバッファ層の材料の選択の自由度が高まるため、より最適化が容易となる。また、バッファ層314及び共通電極315を共通層とすることで、発光素子390と受光素子310とを別々に作製する場合に比べて、作製工程が簡略化され、製造コストを削減できる。
【0329】
〔構成例2-5〕
図13Bに示す表示装置300Eは、バッファ層314が共通層でない点で、上記表示装置300Aと主に相違している。
【0330】
受光素子310は、画素電極311、バッファ層312、活性層313、バッファ層314、及び共通電極315を有する。発光素子390は、画素電極391、バッファ層312、発光層393、バッファ層394、共通電極315を有する。活性層313、バッファ層314、発光層393、及びバッファ層394は、それぞれ島状の上面形状を有する。
【0331】
バッファ層314と、バッファ層394とは、異なる材料を含んでもよいし、同じ材料を含んでもよい。
【0332】
このように、発光素子390と受光素子310とでバッファ層を作り分けることで、発光素子390及び受光素子310に用いるバッファ層の材料の選択の自由度が高まるため、より最適化が容易となる。また、バッファ層312及び共通電極315を共通層とすることで、発光素子390と受光素子310とを別々に作製する場合に比べて、作製工程が簡略化され、製造コストを削減できる。
【0333】
〔構成例2-6〕
図13Cに示す表示装置300Fは、バッファ層312及びバッファ層314が共通層でない点で、上記表示装置300Aと主に相違している。
【0334】
受光素子310は、画素電極311、バッファ層312、活性層313、バッファ層314、及び共通電極315を有する。発光素子390は、画素電極391、バッファ層392、発光層393、バッファ層394、共通電極315を有する。バッファ層312、活性層313、バッファ層314、バッファ層392、発光層393、及びバッファ層394は、それぞれ島状の上面形状を有する。
【0335】
このように、発光素子390と受光素子310とでバッファ層を作り分けることで、発光素子390及び受光素子310に用いるバッファ層の材料の選択の自由度が高まるため、より最適化が容易となる。また、共通電極315を共通層とすることで、発光素子390と受光素子310とを別々に作製する場合に比べて、作製工程が簡略化され、製造コストを削減できる。
【0336】
[表示装置の構成例3]
以下では、本発明の一態様の表示装置の詳細な構成について説明する。ここでは特に、受発光素子と発光素子を有する表示装置の例について説明する。
【0337】
なお、以下では、上記と重複する部分については上記記載を援用し、説明を省略する場合がある。
【0338】
〔構成例3-1〕
図14Aに、表示装置300Gの断面図を示す。表示装置300Gは、受発光素子390SR、発光素子390G、及び発光素子390Bを有する。
【0339】
受発光素子390SRは、赤色の光321Rを発する発光素子としての機能と、光322を受光する光電変換素子としての機能と、を有する。発光素子390Gは、緑色の光321Gを発することができる。発光素子390Bは、青色の光321Bを発することができる。
【0340】
受発光素子390SRは、画素電極311、バッファ層312、活性層313、発光層393R、バッファ層314、及び共通電極315を有する。発光素子390Gは、画素電極391G、バッファ層312、発光層393G、バッファ層314、及び共通電極315を有する。発光素子390Bは、画素電極391B、バッファ層312、発光層393B、バッファ層314、及び共通電極315を有する。
【0341】
バッファ層312、バッファ層314、及び共通電極315は、受発光素子390SR、発光素子390G、及び発光素子390Bに共通の層(共通層)であり、これらに亘って設けられる。活性層313、発光層393R、発光層393G、発光層393Bは、それぞれ島状の上面形状を有する。なお、
図14において、活性層313と発光層393Rの積層体、発光層393G、及び発光層393Bは、それぞれ離隔して設けられる例を示しているが、隣接する2つが重なる領域を有していてもよい。
【0342】
なお、上記表示装置300D、表示装置300Eまたは表示装置300Fと同様に、バッファ層312及びバッファ層314の一方または双方を、共通層として用いない構成とすることができる。
【0343】
画素電極311は、トランジスタ331のソース及びドレインの一方と電気的に接続される。画素電極391Gは、トランジスタ332Gのソース及びドレインの一方と電気的に接続される。画素電極391Bは、トランジスタ332Bのソース及びドレインの一方と電気的に接続される。
【0344】
このような構成とすることで、より高精細な表示装置を実現することができる。
【0345】
〔構成例3-2〕
図14Bに示す表示装置300Hは、受発光素子390SRの構成が異なる点で、上記表示装置300Gと主に相違している。
【0346】
受発光素子390SRは、活性層313と発光層393Rに置き換えて、受発光層318Rを有する。
【0347】
受発光層318Rは、発光層としての機能と、活性層としての機能を兼ね備える層である。例えば、上述した発光物質と、n型半導体と、p型半導体とを含む層を用いることができる。
【0348】
このような構成とすることで、作製工程をより簡略化できるため、低コスト化が容易となる。
【0349】
[表示装置の構成例4]
以下では、本発明の一態様の表示装置の、より具体的な構成について説明する。
【0350】
図15に表示装置400の斜視図を示し、
図16Aに、表示装置400の断面図を示す。
【0351】
表示装置400は、基板353と基板354とが貼り合わされた構成を有する。
図15では、基板354を破線で明示している。
【0352】
表示装置400は、表示部362、回路364、配線365等を有する。
図15では表示装置400にIC(集積回路)373及びFPC372が実装されている例を示している。そのため、
図15に示す構成は、表示装置400、IC、及びFPCを有する表示モジュールということもできる。
【0353】
回路364としては、例えば走査線駆動回路を用いることができる。
【0354】
配線365は、表示部362及び回路364に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC372を介して外部から配線365に入力されるか、またはIC373から配線365に入力される。
【0355】
図15では、COG(Chip On Glass)方式またはCOF(Chip On Film)方式等により、基板353にIC373が設けられている例を示す。IC373は、例えば走査線駆動回路または信号線駆動回路などを有するICを適用できる。なお、表示装置400及び表示モジュールは、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
【0356】
図16Aに、
図15で示した表示装置400の、FPC372を含む領域の一部、回路364を含む領域の一部、表示部362を含む領域の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0357】
図16に示す表示装置400は、基板353と基板354の間に、トランジスタ408、トランジスタ409、トランジスタ410、発光素子390、受光素子310等を有する。
【0358】
基板354と保護層395とは接着層342を介して接着されており、表示装置400には、固体封止構造が適用されている。
【0359】
基板353と絶縁層412とは接着層355によって貼り合わされている。
【0360】
表示装置400の作製方法としては、まず、絶縁層412、各トランジスタ、受光素子310、発光素子390等が設けられた作製基板と、遮光層358等が設けられた基板354とを接着層342によって貼り合わせる。そして、作製基板を剥離し露出した面に、接着層355を用いて基板353を貼り合わせることで、作製基板上に形成した各構成要素を、基板353に転置する。基板353及び基板354は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置400の可撓性を高めることができる。
【0361】
発光素子390は、絶縁層414側から画素電極391、バッファ層312、発光層393、バッファ層314、及び共通電極315の順に積層された積層構造を有する。画素電極391は、絶縁層414に設けられた開口を介して、トランジスタ408のソース及びドレインの一方と接続されている。トランジスタ408は、発光素子390に流れる電流を制御する機能を有する。
【0362】
受光素子310は、絶縁層414側から画素電極311、バッファ層312、活性層313、バッファ層314、及び共通電極315の順に積層された積層構造を有する。画素電極311は、絶縁層414に設けられた開口を介して、トランジスタ409のソース及びドレインの一方と接続されている。トランジスタ409は、受光素子310に蓄積された電荷の転送を制御する機能を有する。
【0363】
発光素子390が発する光は、基板354側に射出される。また、受光素子310には、基板354及び接着層342を介して、光が入射する。基板354には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0364】
画素電極311と画素電極391は同一の材料及び同一の工程で作製することができる。バッファ層312、バッファ層314、及び共通電極315は、受光素子310及び発光素子390に共通して用いられる。受光素子310と発光素子390とは、活性層313と発光層393の構成が異なる以外は全て共通の構成とすることができる。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置400に受光素子310を内蔵することができる。
【0365】
基板354の基板353側の面には、遮光層358が設けられている。遮光層358は、発光素子390、受光素子310のそれぞれと重なる位置に開口を有する。遮光層358を設けることで、受光素子310が光を検出する範囲を制御することができる。上述の通り、受光素子310と重なる位置に設けられる遮光層の開口の位置及び面積を調整することで、受光素子310に入射する光を制御することが好ましい。また、遮光層358を有することで、対象物を介さずに、発光素子390から受光素子310に光が直接入射することを抑制できる。したがって、ノイズが少なく感度の高いセンサを実現できる。
【0366】
画素電極311及び画素電極391の端部は、隔壁416によって覆われている。画素電極311及び画素電極391は可視光を反射する材料を含み、共通電極315は可視光を透過する材料を含む。
【0367】
図16Aでは、活性層313の一部と発光層393の一部とが重なる領域を有する例を示している。活性層313と発光層393とが重なる部分は、遮光層358及び隔壁416と重なることが好ましい。
【0368】
トランジスタ408、トランジスタ409、及びトランジスタ410は、いずれも基板353上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0369】
基板353上には、接着層355を介して絶縁層412、絶縁層411、絶縁層425、絶縁層415、絶縁層418、及び絶縁層414がこの順で設けられている。絶縁層411及び絶縁層425は、それぞれその一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層415及び絶縁層418は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層414は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0370】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水、水素などの不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0371】
絶縁層411、絶縁層412、絶縁層425、絶縁層415、及び絶縁層418としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜などを用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化窒化ハフニウム膜、窒化酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
【0372】
ここで、有機絶縁膜は、無機絶縁膜に比べてバリア性が低いことが多い。そのため、有機絶縁膜は、表示装置400の端部近傍に開口を有することが好ましい。
図16に示す領域428では、絶縁層414に開口が形成されている。これにより、表示装置400の端部から有機絶縁膜を介して不純物が入り込むことを抑制することができる。または、有機絶縁膜の端部が表示装置400の端部よりも内側にくるように有機絶縁膜を形成し、表示装置400の端部に有機絶縁膜が露出しないようにしてもよい。
【0373】
表示装置400の端部近傍の領域428において、絶縁層414の開口を介して、絶縁層418と保護層395とが互いに接することが好ましい。特に、絶縁層418が有する無機絶縁膜と保護層395が有する無機絶縁膜とが互いに接することが好ましい。これにより、有機絶縁膜を介して外部から表示部362に不純物が入り込むことを抑制することができる。したがって、表示装置400の信頼性を高めることができる。
【0374】
平坦化層として機能する絶縁層414には、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0375】
発光素子390、受光素子310を覆う保護層395を設けることで、発光素子390、受光素子310に水などの不純物が入り込むことを抑制し、これらの信頼性を高めることができる。
【0376】
保護層395は単層であっても積層構造であってもよい。例えば、保護層395は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造であってもよい。このとき、有機絶縁膜の端部よりも無機絶縁膜の端部を外側に延在させることが好ましい。
【0377】
図16Bに、トランジスタ408、トランジスタ409、及びトランジスタ410に用いることのできるトランジスタ401aの断面図を示す。
【0378】
トランジスタ401aは絶縁層412(図示しない)上に設けられ、第1のゲートとして機能する導電層421、第1のゲート絶縁層として機能する絶縁層411、半導体層431、第2のゲート絶縁層として機能する絶縁層425、並びに、第2のゲートとして機能する導電層423を有する。絶縁層411は、導電層421と半導体層431との間に位置する。絶縁層425は、導電層423と半導体層431との間に位置する。
【0379】
半導体層431は、領域431iと、一対の領域431nとを有する。領域431iはチャネル形成領域として機能する。一対の領域431nは、一方がソースとして機能し、他方がドレインとして機能する。領域431nは、領域431iよりもキャリア濃度が高く、導電性が高い。導電層422a及び導電層422bは、絶縁層418及び絶縁層415に設けられた開口を介して、領域431nとそれぞれ接続されている。
【0380】
図16Cには、トランジスタ408、トランジスタ409、及びトランジスタ410に用いることのできるトランジスタ401bの断面図を示している。また
図16では、絶縁層415が設けられない例を示している。トランジスタ401bは、絶縁層425が導電層423と同様に加工され、絶縁層418と領域431nとが接している。
【0381】
なお、本実施の形態の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型またはボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。または、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0382】
トランジスタ408、トランジスタ409、及びトランジスタ410には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。または、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0383】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、または結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0384】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有することが好ましい。または、トランジスタの半導体層は、シリコンを有していてもよい。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコンなど)などが挙げられる。
【0385】
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種または複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種または複数種であることが好ましい。
【0386】
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0387】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、当該In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比以上であることが好ましい。このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1またはその近傍の組成、In:M:Zn=1:1:1.2またはその近傍の組成、In:M:Zn=2:1:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=3:1:2またはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:4.1またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:3またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:6またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:7またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:8またはその近傍の組成、In:M:Zn=6:1:6またはその近傍の組成、In:M:Zn=5:2:5またはその近傍の組成、等が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。
【0388】
例えば、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を4としたとき、Gaの原子数比が1以上3以下であり、Znの原子数比が2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を5としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を1としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0389】
回路364が有するトランジスタ410と、表示部362が有するトランジスタ408及びトランジスタ409は、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路364が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部362が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0390】
基板353の、基板354が重ならない領域には、接続部404が設けられている。接続部404では、配線365が導電層366及び接続層442を介してFPC372と電気的に接続されている。接続部404の上面は、画素電極311及び画素電極391と同一の導電膜を加工して得られた導電層366が露出している。これにより、接続部404とFPC372とを接続層442を介して電気的に接続することができる。
【0391】
基板354の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルムなど)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板354の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0392】
基板353及び基板354に、可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高めることができる。また、これに限られず、基板353及び基板354にそれぞれ、ガラス、石英、セラミック、サファイア、樹脂などを用いることができる。
【0393】
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤などの各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0394】
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)などを用いることができる。
【0395】
トランジスタのゲート、ソース及びドレインのほか、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステンなどの金属、並びに、当該金属を主成分とする合金などが挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、または積層構造として用いることができる。
【0396】
また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛などの導電性酸化物またはグラフェンを用いることができる。または、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタンなどの金属材料、または該金属材料を含む合金材料を用いることができる。または、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)などを用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(またはそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜などを用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線及び電極などの導電層、発光素子及び受光素子(または受発光素子)が有する導電層(画素電極や共通電極として機能する導電層)などにも用いることができる。
【0397】
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウムなどの無機絶縁材料が挙げられる。
【0398】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0399】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明一態様の表示装置に用いることのできる回路について説明する。
【0400】
図17Aに、本発明の一態様の表示装置の画素にかかるブロック図を示す。
【0401】
画素は、OLEDと、OPD(Organic Photo Diode)と、センサ回路(Sensing Circuitと表記)と、駆動トランジスタ(Driving Transistorと表記)と、選択トランジスタ(Switching Transistorと表記)を有する。
【0402】
OLEDから発せられた光は、対象物(Objectと表記)で反射され、その反射光をOPDにより受光することで、対象物を撮像することができる。本発明の一態様は、タッチセンサ、イメージセンサ、イメージスキャナ等として機能することができる。本発明の一態様は、指紋、掌紋、血管(静脈等)などを撮像することで、生体認証に適用することができる。また、写真、文字などが記載された印刷物、または物品などの表面を撮像し、画像情報として取得することもできる。
【0403】
駆動トランジスタと選択トランジスタは、OLEDを駆動するための駆動回路を構成する。駆動トランジスタは、OLEDに流れる電流を制御する機能を有し、OLEDは当該電流に応じた輝度で発光することができる。選択トランジスタは、画素の選択、非選択を制御する機能を有する。外部から選択トランジスタを介して入力されるビデオデータ(Video Dataと表記)の値(例えば電圧値)により、駆動トランジスタ及びOLEDに流れる電流の大きさが制御され、所望の発光輝度でOLEDを発光させることができる。
【0404】
センサ回路は、OPDの動作を制御するための駆動回路に相当する。センサ回路により、OPDの電極の電位をリセットするリセット動作、照射される光の光量に応じてOPDに電荷を蓄積させる露光動作、OPDに蓄積された電荷をセンサ回路内のノードに転送する転送動作、及び当該電荷の大きさに応じた信号(例えば電圧または電流)を外部の読出し回路に、センシングデータ(Sensing Dataと表記)として出力する読み出し動作、などの動作を制御することができる。
【0405】
図17Bに示す画素は、駆動トランジスタに接続されるメモリ部(Memory)を有する点で、上記と主に相違している。
【0406】
メモリ部には、重みデータ(Weight Data)が与えられる。駆動トランジスタには、選択トランジスタを介して入力されるビデオデータと、メモリ部に保持される重みデータとを足し合わせたデータが与えられる。メモリ部に保持する重みデータにより、OLEDの輝度を、ビデオデータのみが与えられるときの輝度から変化させることができる。具体的には、OLEDの輝度を高める、または輝度を低下させることが可能となる。例えば、OLEDの輝度を高めることで、センサの受光感度を高めることが可能となる。
【0407】
図17Cに、上記センサ回路に用いることのできる画素回路の一例を示している。
【0408】
図17Cに示す画素回路PIX1は、受光素子PD、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、トランジスタM4、及び容量C1を有する。ここでは、受光素子PDとして、フォトダイオードを用いた例を示している。
【0409】
受光素子PDは、カソードが配線V1と電気的に接続し、アノードがトランジスタM1のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM1は、ゲートが配線TXと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が容量C1の一方の電極、トランジスタM2のソースまたはドレインの一方、及びトランジスタM3のゲートと電気的に接続する。トランジスタM2は、ゲートが配線RESと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線V2と電気的に接続する。トランジスタM3は、ソースまたはドレインの一方が配線V3と電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方がトランジスタM4のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM4は、ゲートが配線SEと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT1と電気的に接続する。
【0410】
配線V1、配線V2、及び配線V3には、それぞれ定電位が供給される。受光素子PDを逆バイアスで駆動させる場合には、配線V2に、配線V1の電位よりも低い電位を供給する。トランジスタM2は、配線RESに供給される信号により制御され、トランジスタM3のゲートに接続するノードの電位を、配線V2に供給される電位にリセットする機能を有する。トランジスタM1は、配線TXに供給される信号により制御され、受光素子PDに蓄積された電荷を上記ノードに転送するタイミングを制御する機能を有する。トランジスタM3は、上記ノードの電位に応じた出力を行う増幅トランジスタとして機能する。トランジスタM4は、配線SEに供給される信号により制御され、上記ノードの電位に応じた出力を配線OUT1に接続する外部回路で読み出すための選択トランジスタとして機能する。
【0411】
ここで、受光素子PDが、上記OPDに相当する。また、配線OUT1から出力される電位または電流が、上記センシングデータに相当する。
【0412】
図17Dに、上記OLEDを駆動させるための画素回路の一例を示す。
【0413】
図17Dに示す画素回路PIX2は、発光素子EL、トランジスタM5、トランジスタM6、トランジスタM7、及び容量C2を有する。ここでは、発光素子ELとして、発光ダイオードを用いた例を示している。特に、発光素子ELとして、有機EL素子を用いることが好ましい。
【0414】
発光素子ELが、上記OLEDに相当し、トランジスタM5が、上記選択トランジスタに相当し、トランジスタM6が、上記駆動トランジスタに相当する。また配線VSが、上記ビデオデータが入力される配線に相当する。
【0415】
トランジスタM5は、ゲートが配線VGと電気的に接続し、ソースまたはドレインの一方が配線VSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が、容量C2の一方の電極、及びトランジスタM6のゲートと電気的に接続する。トランジスタM6のソースまたはドレインの一方は配線V4と電気的に接続し、他方は、発光素子ELのアノード、及びトランジスタM7のソースまたはドレインの一方と電気的に接続する。トランジスタM7は、ゲートが配線MSと電気的に接続し、ソースまたはドレインの他方が配線OUT2と電気的に接続する。発光素子ELのカソードは、配線V5と電気的に接続する。
【0416】
配線V4及び配線V5には、それぞれ定電位が供給される。発光素子ELのアノード側を高電位に、カソード側をアノード側よりも低電位にすることができる。トランジスタM5は、配線VGに供給される信号により制御され、画素回路PIX2の選択状態を制御するための選択トランジスタとして機能する。また、トランジスタM6は、ゲートに供給される電位に応じて発光素子ELに流れる電流を制御する駆動トランジスタとして機能する。トランジスタM5が導通状態のとき、配線VSに供給される電位がトランジスタM6のゲートに供給され、その電位に応じて発光素子ELの発光輝度を制御することができる。トランジスタM7は配線MSに供給される信号により制御され、トランジスタM6と発光素子ELとの間の電位を配線OUT2に与えられる電位とする機能と、トランジスタM6と発光素子ELとの間の電位を、配線OUT2を介して外部に出力する機能の、一方または双方を有する。
【0417】
図17Eに、
図17Bで例示した構成に適用可能な、メモリ部を備える画素回路の一例を示す。
【0418】
図17Eに示す画素回路PIX3は、上記画素回路PIX2に、トランジスタM8と容量C3を加えた構成を有する。また、画素回路PIX3では、上記画素回路PIX2における配線VSを配線VS1に、配線VGを配線VG1としている。
【0419】
トランジスタM8は、ゲートが配線VG2と電気的に接続し、ソース及びドレインの一方が配線VS2と電気的に接続し、他方が容量C3の一方の電極と電気的に接続する。容量C3は、他方の電極がトランジスタM6のゲート、容量C2の一方の電極、及びトランジスタM5のソース及びドレインの他方と電気的に接続する。
【0420】
配線VS1が、上記ビデオデータが与えられる配線に相当する。配線VS2が、上記重みデータが与えられる配線に相当する。トランジスタM6のゲートが接続されるノードが、上記メモリ部に相当する。
【0421】
画素回路PIX3の動作方法の例について説明する。まず、配線VS1から、トランジスタM5を介してトランジスタM6のゲートが接続されるノードに第1の電位を書き込む。その後、トランジスタM5を非導通状態とすることで、当該ノードがフローティング状態となる。続いて、配線VS2から、トランジスタM8を介して容量C3の一方の電極に第2の電位を書き込む。これにより、容量C3の容量結合によって、第2の電位に応じて上記ノードの電位が第1の電位から変化して第3の電位となる。そして、トランジスタM6及び発光素子ELには、第3の電位に応じた電流が流れることで、当該電位に応じた輝度で発光素子ELが発光する。
【0422】
なお、本実施の形態の表示装置では、発光素子をパルス状に発光させることで、画像を表示してもよい。発光素子の駆動時間を短縮することで、表示パネルの消費電力の低減、及び、発熱の抑制を図ることができる。特に、有機EL素子は周波数特性が優れているため、好適である。周波数は、例えば、1kHz以上100MHz以下とすることができる。また、パルス幅を変化させて発光させる駆動方法(Duty駆動ともいう)を用いてもよい。
【0423】
ここで、画素回路PIX1が有するトランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、及びトランジスタM4、画素回路PIX2が有するトランジスタM5、トランジスタM6、及びトランジスタM7、画素回路PIX3が有するトランジスタM8には、それぞれチャネルが形成される半導体層に金属酸化物(酸化物半導体)を用いたトランジスタを適用することが好ましい。
【0424】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM8に、チャネルが形成される半導体にシリコンを適用したトランジスタを用いることもできる。特に単結晶シリコン、多結晶シリコンなどの結晶性の高いシリコンを用いることで、高い電界効果移動度を実現することができ、より高速な動作が可能となるため好ましい。
【0425】
また、トランジスタM1乃至トランジスタM8のうち、一以上に酸化物半導体を適用したトランジスタを用い、それ以外にシリコンを適用したトランジスタを用いる構成としてもよい。
【0426】
例えば、電荷を保持するためのスイッチとして機能するトランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM5、トランジスタM7、トランジスタM8には、オフ電流が著しく低い酸化物半導体を適用したトランジスタを用いることが好ましい。このとき、他の一以上のトランジスタにシリコンを適用したトランジスタを用いる構成とすることができる。
【0427】
なお、画素回路PIX1、画素回路PIX2、画素回路PIX3において、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして表記しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。または、nチャネル型のトランジスタとpチャネル型のトランジスタが混在した構成としてもよい。
【0428】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0429】
(実施の形態4)
本実施の形態では、大型化が容易な表示パネルの一態様である積層パネルの構成例と、その応用例について、図面を参照して説明する。
【0430】
本発明の一態様は、複数の表示パネルを一部が重なるように配置することにより大型化が可能な表示パネルである。また、重ねた2つの表示パネルのうち、少なくとも表示面側(上側)に位置する表示パネルは、表示部と隣接して可視光を透過する部分を備える。下側に配置される表示パネルの画素と、上側に配置される表示パネルの可視光を透過する部分とを重ねて設ける。これにより、2つの表示パネルを表示面側から見たときに(平面視において)、これらに表示される画像を、継ぎ目なく連続して表示することが可能となる。
【0431】
例えば、本発明の一態様は、第1の表示パネルと、第2の表示パネルと、を有する積層パネルである。第1の表示パネルは、第1の領域を有し、第1の領域は、第1の画素と、第2の画素と、を有する。第2の表示パネルは、第2の領域と、第3の領域と、第4の領域と、を有する。第2の領域は、第3の画素を有し、第3の領域は、可視光を透過する機能を有し、第4の領域は、可視光を遮光する機能を有する。また第1の表示パネルの第2の画素と、第2の表示パネルの第3の領域とは、互いに重なる領域を有する。また第2の画素の開口率は、第1の画素の開口率よりも大きいことが好ましい。
【0432】
上記第1の表示パネル及び第2の表示パネルの一方、または双方には、上記で例示した、発光素子と受光素子とを備える表示装置を用いることができる。言い換えると、上記第1の画素、第2の画素、及び第3の画素の少なくとも一は、発光素子と受光素子とを有する、ともいうことができる。
【0433】
より具体的には、例えば以下のような構成とすることができる。
【0434】
[構成例1]
〔表示パネル〕
図18Aは、本発明の一態様の表示装置に含まれる表示パネル500の上面概略図である。
【0435】
表示パネル500は、表示領域501と、表示領域501に隣接して、可視光を透過する領域510と、可視光を遮光する部分を有する領域520と、を備える。
図18Aでは、表示パネル500にFPC(Flexible Printed Circuit)512が設けられている例を示す。
【0436】
ここで、表示パネル500は単体であっても表示領域501に画像を表示することができる。さらに、表示パネル500は単体であっても、表示領域501により画像を撮像することができる。
【0437】
領域510には、例えば表示パネル500を構成する一対の基板、及び当該一対の基板に挟持された表示素子を封止するための封止材などが設けられていてもよい。このとき、領域510に設けられる部材には、可視光に対して透光性を有する材料を用いる。
【0438】
領域520には、例えば表示領域501に含まれる画素に電気的に接続する配線が設けられている。また、このような配線に加え、画素を駆動するための駆動回路(走査線駆動回路、信号線駆動回路等)、または保護回路等の回路が設けられていてもよい。また、領域520は、FPC512と電気的に接続する端子(接続端子ともいう)、及び当該端子と電気的に接続する配線等が設けられている領域も含む。
【0439】
表示パネルの断面構成例等の詳細な説明については、実施の形態1、2を援用できる。
【0440】
〔積層パネル〕
本発明の一態様の積層パネル550は、上述した表示パネル500を複数備える。
図18Bでは、3つの表示パネルを備える積層パネル550の上面概略図を示す。
【0441】
なお、以降では各々の表示パネル同士、各々の表示パネルに含まれる構成要素同士、または各々の表示パネルに関連する構成要素同士を区別して説明する場合、これらの符号の後にアルファベットを付記する。また特に説明のない場合には、一部が互いに重ねて設けられた複数の表示パネルのうち、最も下側(表示面とは反対側)に配置される表示パネル及びその構成要素等に対して「a」の符号を付記し、その上側に順に配置される一以上の表示パネル及びその構成要素等に対しては、符号の後にアルファベットをアルファベット順に付記することとする。また、特に説明のない限り、複数の表示パネルを備える構成を説明する場合であっても、各々の表示パネルまたは構成要素等に共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略して説明する。
【0442】
図18Bに示す積層パネル550は、表示パネル500a、表示パネル500b、及び表示パネル500cを備える。
【0443】
表示パネル500bは、その一部が表示パネル500aの上側(表示面側)に重ねて配置されている。具体的には、表示パネル500aの表示領域501aと表示パネル500bの可視光を透過する領域510bとが重畳し、且つ、表示パネル500aの表示領域501aと表示パネル500bの可視光を遮光する領域520bとが重畳しないように配置されている。
【0444】
また、表示パネル500cは、その一部が表示パネル500bの上側(表示面側)に重ねて配置されている。具体的には、表示パネル500bの表示領域501bと表示パネル500cの可視光を透過する領域510cとが重畳し、且つ、表示パネル500bの表示領域501bと表示パネル500cの可視光を遮光する領域520cとが重畳しないように配置されている。
【0445】
表示領域501a上には可視光を透過する領域510bが重畳するため、表示領域501aの全体を表示面側から視認することが可能となる。同様に、表示領域501bも領域510cが重畳することでその全体を表示面側から視認することができる。したがって、表示領域501a、表示領域501bおよび表示領域501cが継ぎ目なく配置された領域を積層パネル550の表示領域551とすることが可能となる。
【0446】
積層パネル550は、表示パネル500の数だけ、表示領域551を拡大することができる。このとき、全ての表示パネル500に、撮像機能を有する表示パネル(すなわち、発光素子と受光素子とを有する画素を有する表示パネル)を用いることで、表示領域551の全域を撮像領域とすることができる。
【0447】
なお、これに限られず、撮像機能を有する表示パネルと、撮像機能を有さない(例えば受光素子を有さない)表示パネルとを組み合わせてもよい。例えば、必要な部分にのみ撮像機能を有する表示パネルを適用し、それ以外には撮像機能を有さない表示パネルを適用することもできる。
【0448】
[構成例2]
図18Bでは一方向に複数の表示パネル500を重ねて配置する構成を示したが、縦方向および横方向の二方向に複数の表示パネル500を重ねて配置してもよい。
【0449】
図19Aは、
図18Aとは領域510の形状が異なる表示パネル500の例を示している。
図19Aに示す表示パネル500は、表示領域501の2辺に沿って可視光を透過する領域510が配置されている。
【0450】
図19Bに
図19Aに示した表示パネル500を縦2つ、横2つ配置した積層パネル550の斜視概略図を示している。また
図19Cは、積層パネル550の表示面側とは反対側から見たときの斜視概略図である。
【0451】
図19B、
図19Cにおいて、表示パネル500aの表示領域501aの短辺に沿った領域と、表示パネル500bの領域510bの一部が重畳して設けられている。また表示パネル500aの表示領域501aの長辺に沿った領域と、表示パネル500cの領域510cの一部が重畳して設けられている。また表示パネル500dの領域510dは、表示パネル500bの表示領域501bの長辺に沿った領域、及び表示パネル500cの表示領域501cの短辺に沿った領域に重畳して設けられている。
【0452】
したがって、
図19Bに示すように、表示領域501a、表示領域501b、表示領域501cおよび表示領域501dが継ぎ目なく配置された領域を積層パネル550の表示領域551とすることが可能となる。
【0453】
ここで、表示パネル500に用いる一対の基板に可撓性を有する材料を用い、表示パネル500が可撓性を有していることが好ましい。こうすることで、例えば
図19B、
図19C中の表示パネル500aに示すように、FPC512a等が表示面側に設けられる場合にFPC512aが設けられる側の表示パネル500aの一部を湾曲させ、FPC512aを隣接する表示パネル500bの表示領域501bの下側にまで重畳するように配置することができる。その結果、FPC512aを表示パネル500bの裏面と物理的に干渉することなく配置することができる。また、表示パネル500aと表示パネル500bとを重ねて接着する際に、FPC512aの厚さを考慮する必要がないため、表示パネル500bの領域510bの上面と、表示パネル500aの表示領域501aの上面との高さの差を低減できる。その結果、表示領域501a上に位置する表示パネル500bの端部が視認されてしまうことを抑制できる。
【0454】
さらに、各表示パネル500に可撓性を持たせることで、表示パネル500bの表示領域501bにおける上面の高さを、表示パネル500aの表示領域501aにおける上面の高さと一致するように、表示パネル500bを緩やかに湾曲させることができる。そのため、表示パネル500aと表示パネル500bとが重畳する領域近傍を除き、各表示領域の高さを揃えることが可能で、積層パネル550の表示領域551に表示する画像の表示品位を高めることができる。
【0455】
上記では、表示パネル500aと表示パネル500bの関係を例に説明したが、隣接する2つの表示パネル間でも同様である。
【0456】
また、隣接する2つの表示パネル500間の段差を軽減するため、表示パネル500の厚さは薄いほうが好ましい。例えば表示パネル500の厚さを1mm以下、好ましくは300μm以下、より好ましくは100μm以下とすることが好ましい。
【0457】
また、積層パネル550の表示領域551を保護するための基板(例えば実施の形態1における第2の基板)を設けてもよい。このとき、当該基板は、表示パネルごとに設けられてもよいが、複数の表示パネルに亘って一つの基板が設けられていてもよい。
【0458】
なお、ここでは表示パネル500を4つ積層する構成を示したが、表示パネル500の数を増やすことにより、極めて大型の積層パネルとすることが可能となる。また、複数の表示パネル500の配置方法を変えることで、積層パネルの表示領域の輪郭形状を円、楕円、多角形など、様々な形状にすることができる。また、表示パネル500を立体的に配置することで、立体形状を有する表示領域を備える積層パネルを実現できる。
【0459】
[応用例]
上記積層パネルは、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、または、車両の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。
図20に、本発明の一態様に係る積層パネルの車両への搭載例を示す。
【0460】
図20に、表示部5001を備えた車両の構成例を示す。表示部5001には、上記積層パネルが適用されている。なお、
図20には表示部5001が右ハンドルの車両に搭載された例を示すが、特に限定されず、左ハンドルの車両に搭載することもできる。この場合、
図20に示す構成の左右の配置が替わる。
【0461】
図20には、運転席と助手席の周辺に配置されるダッシュボード5002、ハンドル5003、フロントガラス5004などを示している。表示部5001は、ダッシュボード5002の所定の位置、具体的には運転者の回りに配置され、概略T字形状を有する。
図20には、複数の表示パネル5007(表示パネル5007a、5007b、5007c、5007d)を用いて形成される1つの表示部5001を、ダッシュボード5002に沿って設けた例を示しているが、表示部5001は複数箇所に分けて配置してもよい。
【0462】
また、
図20には、助手席側のドア5008a、運転席側のドア5008bの表面に沿って、それぞれ表示部5009a、表示部5009bが設けられている。表示部5009a及び表示部5009bは、一つまたは複数の表示パネルを用いて形成することができる。
【0463】
表示部5009aと表示部5009bとは、向かい合うように配置され、さらに表示部5001が、表示部5009aの端部と表示部5009bの端部とをつなぐように、ダッシュボード5002に設けられている。これにより、運転手及び助手席の同乗者は、前方及び両側を、表示部5001、表示部5009a、及び表示部5009bによって囲まれる状況となる。例えば、表示部5009a、表示部5001、及び表示部5009bに一続きの画像を表示することにより、運転手及び同乗者に高い没入感を与えることができる。
【0464】
なお、複数の表示パネル5007は可撓性を有していてもよい。この場合、表示部5001を複雑な形状に加工することができ、表示部5001をダッシュボード5002などの曲面に沿って設ける構成、ハンドルの接続部分、計器の表示部、送風口5006などに表示部5001の表示領域を設けない構成などを容易に実現することができる。
【0465】
また、後側方の状況を撮影するカメラ5005を車外に複数設けてもよい。
図20においてはサイドミラーの代わりにカメラ5005を設置する例を示しているが、サイドミラーとカメラの両方を設置してもよい。
【0466】
カメラ5005としては、CCDカメラ、CMOSカメラなどを用いることができる。また、これらのカメラに加えて、赤外線カメラを組み合わせて用いてもよい。赤外線カメラは、被写体の温度が高いほど出力レベルが高くなるため、人、動物等の生体を検知又は抽出することができる。
【0467】
カメラ5005で撮像された画像は、表示パネル5007のいずれか一または複数に出力することができる。この表示部5001を用いて主に車両の運転を支援する。カメラ5005によって後側方の状況を幅広い画角で撮影し、その画像を表示パネル5007に表示することで、運転者の死角領域の視認が可能となり、事故の発生を防止することができる。
【0468】
また、本発明の一態様に係る表示システムを用いることにより、表示パネル5007a、5007b、5007c、及び5007dのつなぎ目における映像の不連続性を補償することができる。これにより、つなぎ目が目立たない映像の表示が可能となり、運転時における表示部5001の視認性を向上させることができる。
【0469】
また、車のルーフ上などに距離画像センサを設け、距離画像センサによって得られた画像を表示部5001に表示してもよい。距離画像センサとしては、イメージセンサ、ライダー(LIDAR:Light Detection and Ranging)などを用いることができる。イメージセンサによって得られた画像と、距離画像センサによって得られた画像とを表示部5001に表示することにより、より多くの情報を運転手に提供し、運転を支援することができる。
【0470】
また、表示部5001は、地図情報、交通情報、テレビ映像、DVD映像などを表示する機能を有していてもよい。例えば、表示パネル5007a、5007b、5007c、及び5007dを1つの表示画面として、地図情報を大きく表示することができる。なお、表示パネル5007の数は、表示される映像に応じて増やすことができる。
【0471】
また、表示パネル5007a、5007b、5007c、及び5007dに表示される映像は、運転手の好みによって自由に設定することができる。例えば、テレビ映像、DVD映像を左側の表示パネル5007dに表示し、地図情報を中央部の表示パネル5007bに表示し、計器類を右側の表示パネル5007cに表示し、オーディオ類を変速ギア近傍(運転席と助手席の間)の表示パネル5007aに表示することができる。また、複数の表示パネル5007を組み合わせることにより、表示部5001にフェールセーフの機能を付加することができる。例えば、ある表示パネル5007が何らかの原因で故障したとしても、表示領域を変更し、他の表示パネル5007を用いて表示を行うことができる。
【0472】
表示部5009a、表示部5009bに表示される映像もまた、運転手または同乗者の好みに応じて自由に設定することができる。例えば助手席に子供が座っている場合には、表示部5009aにアニメなどの子供向けのコンテンツを表示することができる。
【0473】
また、表示部5009a及び表示部5009bに、カメラ5005等で取得した画像から合成される、車窓から見える光景と連動した映像を表示することができる。すなわち、運転手及び同乗者にとって、ドア5008a及びドア5008bが透過して見える映像を、表示部5009a及び表示部5009bに表示することもできる。これにより、運転手及び同乗者は、まるで浮遊しているかのような感覚を体験することができる。
【0474】
また、表示パネル5007a、5007b、5007c、及び5007dの少なくとも一つに、撮像機能を有する表示パネルが適用されることが好ましい。また、表示部5009a及び表示部5009bに設けられる表示パネルのうちの一以上にも、撮像機能を有する表示パネルを適用することもできる。
【0475】
例えば、運転手が当該表示パネルに触れることで、車両は指紋認証、掌紋認証などの生体認証を行うことができる。車両は、生体認証によって運転手が認証された場合に、個人の好みの環境を整える機能を有していてもよい。例えば、シート位置の調整、ハンドル位置の調整、カメラ5005の向きの調整、明るさの設定、エアコンの設定、ワイパーの速度(頻度)の設定、オーディオの音量の設定、オーディオの再生リストの読出しなどの一以上を、認証後に実行することが好ましい。
【0476】
また、生体認証によって運転手が認証された場合に、自動車を運転可能な状態、例えばエンジンがかかった状態とすることもでき、従来必要であった鍵が不要となるため好ましい。
【0477】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0478】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記の実施の形態で説明したトランジスタに用いることができる金属酸化物(酸化物半導体ともいう)について説明する。
【0479】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルトなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0480】
また、金属酸化物は、スパッタリング法、有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法などの化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法などにより形成することができる。
【0481】
<結晶構造の分類>
酸化物半導体の結晶構造としては、アモルファス(completely amorphousを含む)、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、CAC(cloud-aligned composite)、単結晶(single crystal)、及び多結晶(poly crystal)等が挙げられる。
【0482】
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。例えば、GIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを用いて評価することができる。なお、GIXD法は、薄膜法またはSeemann-Bohlin法ともいう。
【0483】
例えば、石英ガラス基板では、XRDスペクトルのピークの形状がほぼ左右対称である。一方で、結晶構造を有するIGZO膜では、XRDスペクトルのピークの形状が左右非対称である。XRDスペクトルのピークの形状が左右非対称であることは、膜中または基板中の結晶の存在を明示している。別言すると、XRDスペクトルのピークの形状で左右対称でないと、膜または基板は非晶質状態であるとは言えない。
【0484】
また、膜または基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう)にて評価することができる。例えば、石英ガラス基板の回折パターンでは、ハローが観察され、石英ガラスは、非晶質状態であることが確認できる。また、室温成膜したIGZO膜の回折パターンでは、ハローではなく、スポット状のパターンが観察される。このため、室温成膜したIGZO膜は、結晶状態でもなく、非晶質状態でもない、中間状態であり、非晶質状態であると結論することはできないと推定される。
【0485】
<<酸化物半導体の構造>>
なお、酸化物半導体は、構造に着目した場合、上記とは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体、などが含まれる。
【0486】
ここで、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
【0487】
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、またはCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
【0488】
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つまたは複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
【0489】
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタンなどから選ばれた一種、または複数種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM(Transmission Electron Microscope)像において、格子像として観察される。
【0490】
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°またはその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成などにより変動する場合がある。
【0491】
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
【0492】
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないこと、金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0493】
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0494】
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入、欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物及び欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。従って、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0495】
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSまたは非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
【0496】
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
【0497】
<<酸化物半導体の構成>>
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
【0498】
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つまたは複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0499】
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
【0500】
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、及びZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、及び[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。または、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
【0501】
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
【0502】
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0503】
また、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSとは、In、Ga、Zn、及びOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とする領域と、一部にInを主成分とする領域とが、それぞれモザイク状であり、これらの領域がランダムに存在している構成をいう。よって、CAC-OSは、金属元素が不均一に分布した構造を有していると推測される。
【0504】
CAC-OSは、例えば基板を加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つまたは複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0505】
また、例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0506】
ここで、第1の領域は、第2の領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、第1の領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての導電性が発現する。従って、第1の領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0507】
一方、第2の領域は、第1の領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、第2の領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制することができる。
【0508】
従って、CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、及び良好なスイッチング動作を実現することができる。
【0509】
また、CAC-OSを用いたトランジスタは、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、表示装置をはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0510】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0511】
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0512】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0513】
トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
【0514】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0515】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0516】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0517】
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0518】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコン、炭素などが含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンまたは炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンまたは炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0519】
また、酸化物半導体にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0520】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。または、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下にする。
【0521】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満にする。
【0522】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0523】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0524】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について、
図21~
図23を用いて説明する。
【0525】
本発明の一態様の電子機器は、表示部で撮像を行うこと、タッチ操作を検出することなどができる。これにより、電子機器の機能性、利便性などを高めることができる。
【0526】
本発明の一態様の電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0527】
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0528】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出す機能等を有することができる。
【0529】
図21Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0530】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、電源ボタン6503、ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0531】
表示部6502に、実施の形態2で示した表示装置を適用することができる。
【0532】
図21Bは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0533】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示パネル6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0534】
保護部材6510には、表示パネル6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0535】
表示部6502よりも外側の領域において、表示パネル6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続されている。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続されている。
【0536】
表示パネル6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示パネル6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示パネル6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0537】
表示パネル6511に、実施の形態2で示した表示装置を用いることで、表示部6502で撮像を行うことができる。例えば、表示パネル6511で指紋を撮像し、指紋認証を行うことができる。
【0538】
表示部6502が、さらに、タッチセンサパネル6513を有することで、表示部6502に、タッチパネル機能を付与することができる。タッチセンサパネル6513としては、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式など様々な方式を用いることができる。または、表示パネル6511を、タッチセンサとして機能させてもよく、その場合、タッチセンサパネル6513を設けなくてもよい。
【0539】
図22Aにテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7000が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0540】
表示部7000に、実施の形態2で示した表示装置を適用することができる。
【0541】
図22Aに示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチ、または別体のリモコン操作機7111により行うことができる。または、表示部7000にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7000に触れることでテレビジョン装置7100を操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キーまたはタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7000に表示される映像を操作することができる。
【0542】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0543】
図22Bに、ノート型パーソナルコンピュータの一例を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7000が組み込まれている。
【0544】
表示部7000に、実施の形態2で示した表示装置を適用することができる。
【0545】
【0546】
図22Cに示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7000、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0547】
図22Dは円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7000を有する。
【0548】
表示部7000が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7000が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0549】
表示部7000にタッチパネルを適用することで、表示部7000に画像または動画を表示するだけでなく、ユーザーが直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0550】
また、
図22C、
図22Dに示すように、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400は、ユーザーが所持するスマートフォン等の情報端末機7311または情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7000に表示される広告の情報を、情報端末機7311または情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311または情報端末機7411を操作することで、表示部7000の表示を切り替えることができる。
【0551】
図22C、
図22Dにおいて、情報端末機7311または情報端末機7411の表示部に、実施の形態2で示した表示装置を適用することができる。
【0552】
また、デジタルサイネージ7300またはデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311または情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定多数のユーザーが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0553】
図23A~
図23Fに示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、または操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、においまたは赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0554】
図23A~
図23Fに示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付または時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラムまたはデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有していてもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画または動画などを撮影し、記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0555】
【0556】
図23Aは、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字、画像情報などをその複数の面に表示することができる。
図23Aでは3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話などの着信の通知、電子メール、SNSなどの題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。または、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050などを表示してもよい。
【0557】
図23Bは、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えばユーザーは、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。ユーザーは、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0558】
図23Cは、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチとして用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うこと、充電を行うこと、などもできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0559】
図23D~
図23Fは、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、
図23Dは携帯情報端末9201を展開した状態、
図23Fは折り畳んだ状態、
図23Eは
図23Dと
図23Fの一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0560】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【実施例】
【0561】
本実施例では、本発明の一態様の受光素子を作製し、その特性を評価した結果について説明する。
【0562】
本実施例では、2つの受光素子(Sample A1、A2)を作製した。本実施例で作製した2つの受光素子は、活性層の構成以外は同様の構成を用いた。
【0563】
本実施例で用いる材料の化学式を以下に示す。
【0564】
【0565】
本実施例で作製した受光素子の具体的な構成について、表1に示す。受光素子の構成は、
図10Aで例示した受光素子270PDを援用できる。なお本実施例では、共通電極275上にバッファ層を形成した。
【0566】
【0567】
画素電極271(第1の電極ともいう)は、銀(Ag)とパラジウム(Pd)と銅(Cu)の合金(Ag-Pd-Cu(APC))をスパッタリング法により、膜厚100nmとなるように成膜し、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)をスパッタリング法により、膜厚が100nmとなるように成膜することで、形成した。
【0568】
次いで、画素電極271が形成された基材を水で洗浄し、200℃で1時間焼成した後、UVオゾン処理を370秒行った。その後、10-4Pa程度まで内部が減圧された真空蒸着装置に基板を導入し、真空蒸着装置内の加熱室において、170℃で30分間の真空焼成を行った。その後、基板を30分程度放冷した。
【0569】
正孔注入層281は、N,N-ビス(4-ビフェニル)-6-フェニルベンゾ[b]ナフト[1,2-d]フラン-8-アミン(略称:BBABnf)と、電子アクセプター材料(OCHD-001)とを、重量比がBBABnf:OCHD-001=1:0.10となるように共蒸着することで、形成した。正孔注入層281は、膜厚が10nmとなるように形成した。
【0570】
正孔輸送層282は、BBABnfを膜厚が40nmとなるように蒸着することで、形成した。
【0571】
Sample A1における活性層273は、フラーレンC70と、テトラフェニルジベンゾペリフランテン(略称:DBP)とを、重量比がC70:DBP=9:1となるように共蒸着することで、形成した。活性層273は、膜厚が60nmとなるように形成した。
【0572】
Sample A2における活性層273は、N,N’-ジメチル-3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸ジイミド(略称:Me-PTCDI)を、膜厚が54nmとなるように蒸着した後、Rubreneを、膜厚が6nmとなるように蒸着することで、形成した。
【0573】
電子輸送層284は、2-[3’-(ジベンゾチオフェン-4-イル)ビフェニル-3-イル]ジベンゾ[f,h]キノキサリン(略称:2mDBTBPDBq-II)を、膜厚が10nmとなるように蒸着し、続けて2,9-ビス(ナフタレン-2-イル)-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン(略称:NBPhen)を、膜厚が10nmとなるように蒸着することで、形成した。
【0574】
電子注入層285は、フッ化リチウム(LiF)を、膜厚が1nmとなるように蒸着することで、形成した。
【0575】
共通電極275(第2の電極ともいう)は、銀(Ag)とマグネシウム(Mg)との体積比を10:1とし、膜厚が10nmとなるように共蒸着して形成した。
【0576】
さらに、共通電極275上に、バッファ層として、4,4’,4’’-(ベンゼン-1,3,5-トリイル)トリ(ジベンゾチオフェン)(略称:DBT3P-II)を、膜厚が80nmとなるように蒸着することで、形成した。
【0577】
以上により、活性層の構成の異なるSample A1とSample A2をそれぞれ作製した。
【0578】
表2に、各受光素子の活性層の材料における、HOMO準位、LUMO準位、及び成膜温度を示している。成膜温度については、下段に成膜速度を合わせて示している。Sample A2で用いた活性層は、Sample A1と比較して成膜温度を低くでき、且つ成膜速度を高められる材料の組み合わせであることが分かる。
【0579】
【0580】
また、
図24A、
図24Bに、活性層の材料の吸収係数の波長依存性を示す。
図24AはSample A1、
図24BはSample A2について示している。各図において、横軸に波長(λ[nm])を、縦軸に規格化した吸収係数(Normalized absorbance)を示している。
【0581】
図24Aに示すように、Sample A1は、アクセプターの吸収が長波長側にまで広がっている。また、Sample A1では、アクセプターの重量を90wt%としている。そのためSample A1は、可視域の広い範囲に感度を有する受光素子である。
【0582】
一方、
図24Bに示すように、Sample A2は、アクセプター及びドナーの吸収が緑の波長域に位置している。特にドナーはアクセプターよりも狭い波長域に鋭い吸収ピークを有する。Sample A2では、ドナーが活性層全体の90%を占めているため、Sample A2は、緑の波長域に高い感度を有する受光素子である。
【0583】
続いて、各受光素子の電流-電圧特性を測定した。測定は、525nmの単色光を放射照度12.5μW/cm
2で照射したとき(Photoと表記)と、暗状態(Darkと表記)とで、それぞれ行った。
図25A、
図25Bに、電流-電圧特性を示す。
図25AはSample A1、
図25BはSample A2についての測定結果である。各図において、横軸に電圧(V[V])を、縦軸に電流密度(J[mA/cm
2])を示している。
【0584】
図25A、
図25Bに示すように、Sample A1及びSample A2のいずれも、良好な飽和特性を示すことが確認できた。
【0585】
また、
図26Aには、外部量子効率(EQE:External Quantum Efficiency)の波長依存性を示す。EQEは、電圧を-4Vとし、放射照度を12.5μW/cm
2として、波長を変えて測定した。
図26Aにおいて、横軸に波長(λ[nm])を、縦軸にEQE([%])を示している。
【0586】
図26Aより、いずれの受光素子も、525nm付近に最も感度の高いピークを有することが確認できた。さらに、Sample A1は、Sample A2と比較して、特に長波長側に広い感度を有することが確認できた。一方、Sample A2は緑の波長域に選択的に感度を有することが確認できた。
【0587】
続いて、各受光素子の信頼性を評価した。信頼性の評価は、白色LEDを用いて、5000Kの光を100kluxの照度で受光素子に照射し、電圧を-4V、温度25℃の条件で保持したときの、電流密度を測定した。
図26Bに、各受光素子の測定結果を示す。
図26Bにおいて、横軸に時間(Time[h])を、縦軸に規格化した電流密度(J、normalized)を示している。
図26Bに示すように、いずれの受光素子も高い信頼性を有することが確認できた。
【符号の説明】
【0588】
10、10a、10b:表示装置:11、12:基板:13、14:樹脂層:15:機能層:16:樹脂層:17:保護層:20:受光素子:21:導電層:22:光電変換層:23:導電層:25:遮光層:30、30R、30G、30B:発光素子:31:導電層:32:EL層:40、40a:画素:41:絶縁層:42:保護層:43:導電層:50:指:51、52:光:55:樹脂層:56a、56b、57:導電層:58:絶縁層、500、500a~500d:表示パネル:501、501a~501d:表示領域:510、510b~510d:領域:512a~512d:FPC:520、520b、520c:領域:550:積層パネル、551:表示領域、5001:表示部:5002:ダッシュボード:5003:ハンドル:5004:フロントガラス:5005:カメラ:5006:送風口:5007、5007a~5007d:表示パネル:5008a、5008b:ドア:5009a、5009b:表示部