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特許7605835表示装置及びその駆動方法、並びに電子機器
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】表示装置及びその駆動方法、並びに電子機器
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/20 20060101AFI20241217BHJP
   G06F 3/042 20060101ALI20241217BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20241217BHJP
   G09G 3/3233 20160101ALI20241217BHJP
   H10K 59/131 20230101ALI20241217BHJP
   H10K 59/40 20230101ALI20241217BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20241217BHJP
【FI】
G09G3/20 691D
G06F3/042 472
G06F3/041 510
G09G3/3233
G09G3/20 680D
G09G3/20 680H
G09G3/20 691E
G09G3/20 691G
G06F3/041 530
H10K59/131
H10K59/40
G06F21/32
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022516468
(86)(22)【出願日】2021-04-19
(86)【国際出願番号】 IB2021053189
(87)【国際公開番号】W WO2021214617
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】P 2020077033
(32)【優先日】2020-04-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】吉本 智史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一徳
(72)【発明者】
【氏名】川島 進
(72)【発明者】
【氏名】山内 諒
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 元晴
(72)【発明者】
【氏名】楠 紘慈
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
【審査官】薄井 義明
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-532228(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0344779(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0043420(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0105081(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0300574(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0135247(US,A1)
【文献】特開2019-125072(JP,A)
【文献】特開2002-297305(JP,A)
【文献】特開2016-164777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/20
G06F 3/042
G06F 3/041
G09G 3/3233
H10K 59/131
H10K 59/40
G06F 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画素がマトリクス状に配列された第1の表示部と、第2の画素がマトリクス状に配列された第2の表示部と、第1のロードライバ回路と、第2のロードライバ回路と、制御回路と、を有し、
前記第1及び第2の画素は、それぞれ受光素子を有し、
前記第1及び第2の画素は、それぞれ前記受光素子を用いて、撮像データを取得する機能を有し、
前記第1のロードライバ回路は、前記撮像データを読み出す前記第1の画素を選択する機能を有し、
前記第2のロードライバ回路は、前記撮像データを読み出す前記第2の画素を選択する機能を有し、
前記制御回路は、前記第1のロードライバ回路と、前記第2のロードライバ回路と、を順に駆動させる第1のモードにより駆動する機能を有し、
前記制御回路は、前記撮像データに基づき、前記第1のロードライバ回路又は前記第2のロードライバ回路の一方を駆動させる第2のモードにより駆動する機能を有し、
前記第1のモードにおける前記第1及び第2のロードライバ回路の走査速度は、前記第2のモードにおける前記第1又は第2のロードライバ回路の走査速度より速い表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1及び第2の画素は、それぞれトランジスタを有し、
前記トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記受光素子の一方の電極と電気的に接続され、
前記トランジスタは、金属酸化物を含む半導体層を有する表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1及び第2の画素は、それぞれ発光素子を有する表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記第1のモードにおいて、前記制御回路は、前記第1の表示部、又は前記第2の表示部に接触している物体を、前記撮像データに基づき検出する機能を有し、
前記第2のモードにおいて、前記制御回路は、認証を行う機能を有する表示装置。
【請求項5】
請求項4において、
機械学習演算回路を有し、
前記機械学習演算回路は、前記物体が前記第1の表示部、又は前記第2の表示部における、第1の地点から第2の地点に移動した場合に、前記第1の地点から前記第2の地点までの前記物体の軌跡に基づき、認証を行う機能を有する表示装置。
【請求項7】
請求項5に記載の表示装置と、筐体と、を有し、
前記機械学習演算回路は、前記筐体における接触領域に基づき、前記認証を行う機能を有する電子機器。
【請求項8】
受光素子を有する画素がマトリクス状に配列された第1の表示部と、第2の表示部と、を有する表示装置の駆動方法であって、
前記第1の表示部に設けられる前記画素、及び前記第2の表示部に設けられる前記画素が、前記受光素子を用いて第1の撮像データを取得し、
前記第1の撮像データを前記第1の表示部に設けられる前記画素から読み出した後、前記第1の撮像データを前記第2の表示部に設けられる前記画素から読み出し、
前記第1の撮像データに基づき、前記第1の表示部、又は前記第2の表示部の一方を選択し、
前記選択された表示部に設けられる前記画素が、前記受光素子を用いて第2の撮像データを取得した後、前記第2の撮像データを読み出し、
前記第2の撮像データの読み出しに要する時間は、前記第1の撮像データの読み出しに要する時間より長い表示装置の駆動方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記画素は、トランジスタを有し、
前記トランジスタのソース又はドレインの一方は、前記受光素子の一方の電極と電気的に接続され、
前記トランジスタは、金属酸化物を含む半導体層を有する表示装置の駆動方法。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記画素は、発光素子を有する表示装置の駆動方法。
【請求項11】
請求項8乃至10のいずれか一項において、
前記第1の表示部、又は前記第2の表示部に接触している物体を、前記第1の撮像データに基づき検出した後、前記物体が接触している表示部の前記選択を行い、
前記第2の撮像データに基づき、認証を行う表示装置の駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、表示装置、及びその駆動方法に関する。本発明の一態様は、撮像機能を有する表示装置、及びその駆動方法に関する。本発明の一態様は、表示装置を有する電子機器に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、記憶装置、電子機器、照明装置、入力装置(例えば、タッチセンサ等)、入出力装置(例えば、タッチパネル等)、それらの駆動方法、又はそれらの製造方法、を一例として挙げることができる。半導体装置は、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。
【背景技術】
【0003】
表示装置は、スマートフォン、タブレット型端末、ノート型PC(パーソナルコンピュータ)等の情報端末機器、テレビジョン装置、モニタ装置等、様々な機器に用いられている。また近年、タッチパネルとしての機能、認証のために指紋を撮像する機能等、画像を表示するだけでなく、様々な機能が付加された表示装置が求められている。特許文献1には、指紋認証を行うことができる、スマートフォン等の電子機器について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-79415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
認証の一態様である指紋認証を行う方法として、発光素子から光を指に照射し、指により反射された光を受光素子で検出する方法が挙げられる。この場合、時間をかけて指紋認証を行うことにより、指紋認証を高い精度で行うことができる。一方、指紋認証等の認証に時間がかかると、認証を受ける者にとってはストレスとなる。
【0006】
本発明の一態様は、短時間で認証を行うことができる表示装置を提供することを課題の一とする。又は、高い精度で認証を行うことができる表示装置を提供することを課題の一とする。又は、消費電力を低減した表示装置を提供することを課題の一とする。又は、信頼性の高い表示装置を提供することを課題の一とする。又は、新規な表示装置を提供することを課題の一とする。
【0007】
又は、短時間で認証を行うことができる表示装置の駆動方法を提供することを課題の一とする。又は、高い精度で認証を行うことができる表示装置の駆動方法を提供することを課題の一とする。又は、消費電力を低減した表示装置の駆動方法を提供することを課題の一とする。又は、信頼性の高い表示装置の駆動方法を提供することを課題の一とする。又は、新規な表示装置の駆動方法を提供することを課題の一とする。
【0008】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項等の記載から抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、撮像機能を有する表示装置に関する。本発明の一態様の表示装置では、認証、例えば指紋認証を行うことができる。
【0010】
本発明の一態様は、第1の画素がマトリクス状に配列された第1の表示部と、第2の画素がマトリクス状に配列された第2の表示部と、第1のロードライバ回路と、第2のロードライバ回路と、制御回路と、を有し、第1及び第2の画素は、それぞれ受光素子を有し、第1及び第2の画素は、それぞれ受光素子を用いて、撮像データを取得する機能を有し、第1のロードライバ回路は、撮像データを読み出す第1の画素を選択する機能を有し、第2のロードライバ回路は、撮像データを読み出す第2の画素を選択する機能を有し、制御回路は、第1のロードライバ回路と、第2のロードライバ回路と、を順に駆動させる第1のモードにより駆動する機能を有し、制御回路は、撮像データに基づき、第1のロードライバ回路又は第2のロードライバ回路の一方を駆動させる第2のモードにより駆動する機能を有し、第1のモードにおける第1及び第2のロードライバ回路の走査速度は、第2のモードにおける第1又は第2のロードライバ回路の走査速度より速い表示装置である。
【0011】
又は、上記態様において、第1及び第2の画素は、それぞれトランジスタを有し、トランジスタのソース又はドレインの一方は、受光素子の一方の電極と電気的に接続され、トランジスタは、金属酸化物を含む半導体層を有してもよい。
【0012】
又は、上記態様において、第1及び第2の画素は、それぞれ発光素子を有してもよい。
【0013】
又は、上記態様において、第1のモードにおいて、制御回路は、第1の表示部、又は第2の表示部に接触している物体を、撮像データに基づき検出する機能を有し、第2のモードにおいて、制御回路は、認証を行う機能を有してもよい。
【0014】
又は、上記態様において、機械学習演算回路を有し、機械学習演算回路は、物体が第1の表示部、又は第2の表示部における、第1の地点から第2の地点に移動した場合に、第1の地点から第2の地点までの物体の軌跡に基づき、認証を行う機能を有してもよい。
【0015】
本発明の一態様の表示装置と、操作ボタンと、を有する電子機器も、本発明の一態様である。
【0016】
又は、本発明の一態様の表示装置と、筐体と、を有し、機械学習演算回路は、筐体における接触領域に基づき、認証を行う機能を有する電子機器も、本発明の一態様である。
【0017】
又は、本発明の一態様は、受光素子を有する画素がマトリクス状に配列された第1の表示部と、第2の表示部と、を有する表示装置の駆動方法であって、第1の表示部に設けられる画素、及び第2の表示部に設けられる画素が、受光素子を用いて第1の撮像データを取得し、第1の撮像データを第1の表示部に設けられる画素から読み出した後、第1の撮像データを第2の表示部に設けられる画素から読み出し、第1の撮像データに基づき、第1の表示部、又は第2の表示部の一方を選択し、選択された表示部に設けられる画素が、受光素子を用いて第2の撮像データを取得した後、第2の撮像データを読み出し、第2の撮像データの読み出しに要する時間は、第1の撮像データの読み出しに要する時間より長い表示装置の駆動方法である。
【0018】
又は、上記態様において、画素は、トランジスタを有し、トランジスタのソース又はドレインの一方は、受光素子の一方の電極と電気的に接続され、トランジスタは、金属酸化物を含む半導体層を有してもよい。
【0019】
又は、上記態様において、画素は、発光素子を有してもよい。
【0020】
又は、上記態様において、第1の表示部、又は第2の表示部に接触している物体を、第1の撮像データに基づき検出した後、物体が接触している表示部を選択し、第2の撮像データに基づき、認証を行ってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の一態様により、短時間で認証を行うことができる表示装置を提供することができる。又は、高い精度で認証を行うことができる表示装置を提供することができる。又は、消費電力を低減した表示装置を提供することができる。又は、信頼性の高い表示装置を提供することができる。又は、新規な表示装置を提供することができる。
【0022】
又は、短時間で認証を行うことができる表示装置の駆動方法を提供することができる。又は、高い精度で認証を行うことができる表示装置の駆動方法を提供することができる。又は、消費電力を低減した表示装置の駆動方法を提供することができる。又は、信頼性の高い表示装置の駆動方法を提供することができる。又は、新規な表示装置の駆動方法を提供することができる。
【0023】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項等の記載から抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図2は、画素の構成例を示す回路図である。
図3Aは、表示装置の構成例を示す模式図である。図3Bは、指紋認証の方法の一例を示す模式図である。
図4は、表示装置の駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。
図5Aは、表示装置の駆動方法の一例を示すフローチャートである。図5B1、及び図5B2は、表示装置の駆動方法の一例を示す模式図である。
図6は、表示装置の駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。
図7は、ロードライバ回路の構成例を示すブロック図である。
図8A1図8A2、及び図8Bは、ロードライバ回路の構成例を示すブロック図である。
図9A、及び図9Bは、ロードライバ回路の構成例を示す回路図である。
図10は、ロードライバ回路の駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。
図11は、ロードライバ回路の駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。
図12Aは、読み出し回路の構成例を示すブロック図である。図12B1、及び図12B2は、表示装置の駆動方法の一例を示す模式図である。
図13は、読み出し回路の構成例を示す回路図である。
図14A1、及び図14A2は、読み出し回路の構成例を示すブロック図である。図14Bは、読み出し回路の構成例を示す回路図である。
図15A乃至図15Dは、認証の一例を示す模式図である。
図16は、表示装置の構成例を示すブロック図である。
図17A、及び図17Bは、表示装置の駆動方法の一例を示す模式図である。
図18A図18B、及び図18Dは、表示装置の構成例を示す断面図である。図18C、及び図18Eは、表示装置で撮像した画像の例を示す図である。図18F乃至図18Hは、画素の構成例を示す上面図である。
図19Aは、表示装置の構成例を示す断面図である。図19B乃至図19Dは、画素の構成例を示す上面図である。
図20Aは、表示装置の構成例を示す断面図である。図20B乃至図20Iは、画素の構成例を示す上面図である。
図21A、及び図21Bは、表示装置の構成例を示す図である。
図22A乃至図22Gは、表示装置の構成例を示す図である。
図23A乃至図23Cは、表示装置の構成例を示す図である。
図24A乃至図24Cは、表示装置の構成例を示す図である。
図25A、及び図25Bは、表示装置の構成例を示す図である。
図26は、表示装置の構成例を示す図である。
図27Aは、表示装置の構成例を示す図である。図27B、及び図27Cは、トランジスタの構成例を示す図である。
図28A、及び図28Bは、電子機器の構成例を示す図である。
図29A乃至図29Fは、電子機器の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0026】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0027】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成要素の大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0028】
なお、本明細書等における「第1」、「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものであり、数的に限定するものではない。
【0029】
トランジスタは半導体素子の一種であり、電流又は電圧の増幅、及び導通又は非導通を制御するスイッチング動作等を実現することができる。本明細書等におけるトランジスタは、IGFET(Insulated Gate Field Effect Transistor)、及び薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を含む。
【0030】
また、「ソース」及び「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合、及び回路動作において電流の方向が変化する場合等には入れ替わることがある。このため、本明細書においては、「ソース」及び「ドレイン」の用語は、入れ替えて用いることができるものとする。
【0031】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続される場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極及び配線をはじめ、トランジスタ等のスイッチング素子、抵抗素子、コイル、容量素子、その他の各種機能を有する素子等が含まれる。
【0032】
また、本明細書等において「電極」又は「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」又は「配線」の用語は、複数の「電極」又は「配線」が一体となって形成されている場合等も含む。
【0033】
また、本明細書等において、「抵抗」の抵抗値を、配線の長さによって決める場合がある。又は、抵抗値は、配線で用いる導電層とは異なる抵抗率を有する導電層と接続することにより決める場合がある。又は、半導体層に不純物をドーピングすることで抵抗値を決める場合がある。
【0034】
また、本明細書等において、電気回路における「端子」とは、電流の入力又は出力、電圧の入力又は出力、もしくは、信号の受信又は送信が行なわれる部位をいう。よって、配線又は電極の一部が端子として機能する場合がある。
【0035】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位又はソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧と電位は互いに言い換えることが可能な場合が多い。本明細書等では、特段の明示が無いかぎり、電圧と電位を言い換えることができるものとする。
【0036】
なお、本明細書等において、トランジスタの「導通状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に短絡しているとみなせる状態をいう。また、トランジスタの「非導通状態」とは、トランジスタのソースとドレインが電気的に遮断しているとみなせる状態をいう。例えば、導通状態のトランジスタは、線形領域で駆動することができる。
【0037】
また、本明細書等において、「オン電流」とは、トランジスタが導通状態の時にソースとドレイン間に流れる電流をいう場合がある。また、「オフ電流」とは、トランジスタが非導通状態である時にソースとドレイン間に流れる電流をいう場合がある。
【0038】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について説明する。
【0039】
<表示装置の構成例_1>
図1は、表示装置10の構成例を示すブロック図である。表示装置10は、表示部11a、表示部11b、データドライバ回路12、ゲートドライバ回路13a、ゲートドライバ回路13b、ロードライバ回路14a、ロードライバ回路14b、読み出し回路15、カラムドライバ回路16、及び制御回路17等を有する。つまり、図1に示す表示装置10は、表示部11、ゲートドライバ回路13、及びロードライバ回路14を、それぞれ2つずつ有している。なお、表示装置10は、表示部11、ゲートドライバ回路13、及びロードライバ回路14を、それぞれ3つ以上ずつ有してもよい。
【0040】
表示部11aは、m行n列(m、nは1以上の整数)のマトリクス状に配列された複数の画素30aを有する。表示部11bは、m行n列のマトリクス状に配列された複数の画素30bを有する。なお、表示部11aに設けられる画素30aの個数と、表示部11bに設けられる画素30bの個数と、は異なってもよい。例えば、表示部11aに設けられる画素30aの行数と、表示部11bに設けられる画素30bの行数と、が異なってもよい。詳細は後述するが、画素30aと画素30bは、表示素子として機能する発光素子と、光電変換素子として機能する受光素子と、の両方を有する。
【0041】
本明細書等において、例えば表示部11aと表示部11bを区別しない場合に、表示部11と記載する。他の要素についても同様とする。
【0042】
本明細書等において、画素30に“[1,1]”、“[m,n]”等を付記することにより、m行n列の画素30を区別する。また、例えば1行目の画素30と電気的に接続される端子等を表す符号に[1]を付記し、m行目の画素30と電気的に接続される端子等を表す符号に[m]を付記することにより、m個の端子等を区別する。さらに、例えば1列目の画素30と電気的に接続される端子等を表す符号に[1]を付記し、n列目の画素30と電気的に接続される端子等を表す符号に[n]を付記することにより、n個の端子等を区別する。
【0043】
本明細書等において、表示素子は表示デバイスと言い換えることができ、発光素子は発光デバイスと言い換えることができ、受光素子は受光デバイスと言い換えることができる。他の素子についても、「素子」を「デバイス」と言い換えることができる場合がある。
【0044】
画素30a、及び画素30bは、端子Dを介してデータドライバ回路12と電気的に接続される。また、画素30a、及び画素30bは、端子WXを介して読み出し回路15と電気的に接続される。
【0045】
画素30aは、端子Gaを介してゲートドライバ回路13aと電気的に接続される。また、画素30aは、端子SEaを介してロードライバ回路14aと電気的に接続され、端子RSaを介してロードライバ回路14aと電気的に接続される。画素30bは、端子Gbを介してゲートドライバ回路13bと電気的に接続される。また、画素30bは、端子SEbを介してロードライバ回路14bと電気的に接続され、端子RSbを介してロードライバ回路14bと電気的に接続される。
【0046】
読み出し回路15は、カラムドライバ回路16と電気的に接続される。カラムドライバ回路16は、制御回路17と電気的に接続される。制御回路17は、端子SPaを介してロードライバ回路14aと電気的に接続され、端子SPbを介してロードライバ回路14bと電気的に接続される。
【0047】
端子Ga、端子SEa、及び端子RSaそれぞれは行方向に延伸する配線と電気的に接続され、当該配線が行方向に配列する画素30aと電気的に接続される。また、端子Gb、端子SEb、及び端子RSbそれぞれは行方向に延伸する配線と電気的に接続され、当該配線が行方向に配列する画素30bと電気的に接続される。図1では、表示装置10が、端子Ga、端子Gb、端子SEa、端子SEb、端子RSa、及び端子RSbをそれぞれm個有する例を示している。
【0048】
端子D、及び端子WXはそれぞれ列方向に延伸する配線と電気的に接続され、当該配線が列方向に配列する画素30a、及び画素30bと電気的に接続される。図1では、表示装置10が、端子D、及び端子WXをそれぞれn個ずつ有する例を示している。
【0049】
画素30a、及び画素30bは、画像データに対応する画像を、発光素子を用いて表示する機能を有する。また、画素30a、及び画素30bは、受光素子を用いて撮像データを取得する機能を有する。よって、表示装置10は、撮像機能を有する表示装置である。
【0050】
詳細は後述するが、表示装置10は、表示部11に接触している物体の位置を検出する機能を有する。また、表示装置10は、認証を行う機能を有する。例えば、表示装置10は、表示部11に接触している指の位置を検出し、且つ指に含まれる指紋に基づき指紋認証を行う機能を有する。
【0051】
ゲートドライバ回路13aは、画像データを書き込む画素30aを選択する機能を有する。ゲートドライバ回路13aは、具体的には、端子Gaから信号を出力して、画像データを書き込む画素30aを選択することができる。ここで、ゲートドライバ回路13aは、端子Ga[1]から順に端子Ga[m]まで上記信号を出力することにより、1行目の画素30aからm行目の画素30aまで順に画像データを書き込むことができる。よって、ゲートドライバ回路13aが端子Gaから出力する信号は、走査信号である。ここで、ゲートドライバ回路13aが端子Gaから信号を出力してから、次の行の端子Gaから信号を出力するまでの時間が短いことを、ゲートドライバ回路13aの走査速度が速いという。また、端子Gaから信号を出力してから、次の行の端子Gaから信号を出力するまでの時間が長いことを、ゲートドライバ回路13aの走査速度が遅いという。
【0052】
ゲートドライバ回路13bは、画像データを書き込む画素30bを選択する機能を有する。ゲートドライバ回路13bは、ゲートドライバ回路13aが画素30aを選択するのと同様の方法で、画素30bを選択することができる。
【0053】
データドライバ回路12は、画素30a、又は画素30bに画像データを供給する機能を有する。データドライバ回路12は、具体的には、画像データを表す信号を端子Dから出力する機能を有する。端子Dから出力された信号は、ゲートドライバ回路13aによって選択された画素30a、又はゲートドライバ回路13bによって選択された画素30bに供給される。これにより、画素30a、又は画素30bに画像データが書き込まれる。
【0054】
ロードライバ回路14aは、撮像データを読み出す画素30aを選択する機能を有する。具体的には、ロードライバ回路14aは、端子SEaから信号を出力して、撮像データを読み出す画素30aを選択することができる。また、ロードライバ回路14aは、取得した撮像データをリセットする画素30aを選択する機能を有する。具体的には、ロードライバ回路14aは、端子RSaから信号を出力して、撮像データをリセットする画素30aを選択することができる。ここで、ロードライバ回路14aは、端子SEa[1]から順に端子SEa[m]まで上記信号を出力することにより、1行目の画素30aからm行目の画素30aまで順に撮像データを読み出すことができる。よって、ロードライバ回路14aが端子SEaから出力する信号は、走査信号である。同様に、ロードライバ回路14aが端子RSaから出力する信号も、走査信号とすることができる。ここで、ロードライバ回路14aが走査信号を出力してから、次の走査信号を出力するまでの期間が短いことを、ロードライバ回路14aの走査速度が速いという。また、ロードライバ回路14aが走査信号を出力してから、次の走査信号を出力するまでの期間が長いことを、ロードライバ回路14aの走査速度が遅いという。例えば、ロードライバ回路14aが端子SEaから信号を出力してから、次の行の端子SEaから信号を出力するまでの時間が短いことを、ロードライバ回路14aの走査速度が速いという。また、端子SEaから信号を出力してから、次の行の端子SEaから信号を出力するまでの時間が長いことを、ロードライバ回路14aの走査速度が遅いという。
【0055】
ロードライバ回路14bは、撮像データを読み出す画素30bを選択する機能を有する。また、ロードライバ回路14bは、取得した撮像データをリセットする画素30bを選択する機能を有する。ロードライバ回路14bは、ロードライバ回路14aが画素30aを選択するのと同様の方法で、画素30bを選択することができる。
【0056】
読み出し回路15は、画素30aが取得した撮像データ、及び画素30bが取得した撮像データの読み出しを制御する機能を有する。読み出し回路15の構成例等は後述する。
【0057】
カラムドライバ回路16は、画素30a、又は画素30bから読み出した撮像データに対してA/D(Analog to Digital)変換を行う機能を有する。A/D変換後の撮像データは、例えば表示装置10の外部に出力することができる。また、A/D変換後の撮像データは、制御回路17に供給することができる。
【0058】
制御回路17は、ロードライバ回路14a、及びロードライバ回路14bの駆動を制御する機能を有する。制御回路17は、例えばスタートパルス信号を生成し、端子SPa、又は端子SPbから出力する機能を有する。端子SPaから出力されたスタートパルス信号はロードライバ回路14aに供給され、端子SPbから出力されたスタートパルス信号はロードライバ回路14bに供給される。スタートパルス信号がロードライバ回路14aに供給されることにより、ロードライバ回路14aは端子SEa[1]及び端子RSa[1]から順に端子SEa[m]及び端子RSa[m]まで信号を出力することができる。また、スタートパルス信号がロードライバ回路14bに供給されることにより、ロードライバ回路14bは端子SEb[1]及び端子RSb[1]から順に端子SEb[m]及び端子RSb[m]まで信号を出力することができる。
【0059】
また、制御回路17は、カラムドライバ回路16から供給された撮像データに基づき、スタートパルス信号を出力する端子を決定する機能を有する。具体的には、制御回路17は、端子SPa又は端子SPbのどちらからスタートパルス信号を出力するかを、カラムドライバ回路16から供給された撮像データに基づき決定する機能を有する。これにより、制御回路17は、駆動させるロードライバ回路14を、画素30a、及び画素30bから読み出された撮像データに基づき決定することができる。
【0060】
<画素の構成例>
図2は、画素30の構成例を示す回路図である。画素30は、複数の副画素21と、撮像画素22と、を有する構成とすることができる。図2では、副画素21として、副画素21R、副画素21G、及び副画素21Bを画素30が有する例を示している。
【0061】
副画素21Rは、赤色を呈する副画素21とすることができる。副画素21Gは、緑色を呈する副画素21とすることができる。副画素21Bは、青色を呈する副画素21とすることができる。呈する色が異なる複数の副画素21を画素30が有することにより、表示装置10はフルカラーの表示を行うことができる。なお、ここでは画素30が、呈する色が異なる3つの副画素21を有する例を示したが、4つ以上の副画素を有してもよい。また、副画素21が、シアン、マゼンタ、黄色、又は白色等を呈してもよい。さらに、画素30に、赤外光を呈する副画素21を設けてもよい。
【0062】
副画素21は、トランジスタM1、トランジスタM2、トランジスタM3、容量C1、及び発光素子ELを有する。副画素21には、端子G、及び端子Dが電気的に接続される。ここで、図2では、端子Dとして端子DR、端子DG、及び端子DBを示している。図2に示すように、副画素21R、副画素21G、及び副画素21Bは、同一の端子Gと電気的に接続することができる。また、副画素21Rは端子DRと電気的に接続し、副画素21Gは端子DGと電気的に接続し、副画素21Bは端子DBと電気的に接続することができる。
【0063】
トランジスタM1のゲート、及びトランジスタM3のゲートは、端子Gと電気的に接続される。トランジスタM1のソース又はドレインの一方は、端子Dと電気的に接続される。トランジスタM1のソース又はドレインの他方は、容量C1の一方の電極と電気的に接続される。容量C1の一方の電極は、トランジスタM2のゲートと電気的に接続される。トランジスタM2のソース又はドレインの一方は、配線ALと電気的に接続される。トランジスタM2のソース又はドレインの他方は、発光素子ELの一方の電極と電気的に接続される。発光素子ELの一方の電極は、容量C1の他方の電極と電気的に接続される。容量C1の他方の電極は、トランジスタM3のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。発光素子ELの他方の電極は、配線CL1と電気的に接続される。トランジスタM3のソース又はドレインの他方は、配線RLと電気的に接続される。
【0064】
トランジスタM1及びトランジスタM3は、スイッチとして機能する。トランジスタM2は、発光素子ELに流れる電流を制御するためのトランジスタとして機能する。
【0065】
ここで、トランジスタM1乃至トランジスタM3の全てに、半導体層に低温ポリシリコン(Low Temperature Poly Silicon:LTPS)を有するトランジスタ(以下、LTPSトランジスタともいう。)を適用することが好ましい。又は、トランジスタM1及びトランジスタM3に、チャネルが形成される半導体層に金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)を有するトランジスタ(以下、OSトランジスタともいう。)を適用し、トランジスタM2にLTPSトランジスタを適用することが好ましい。
【0066】
OSトランジスタとしては、チャネルが形成される半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタを用いることができる。半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種又は複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種又は複数種であることが好ましい。特に、OSトランジスタの半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。又は、インジウム(In)、スズ(Sn)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物を用いることが好ましい。又は、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、スズ(Sn)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物を用いることが好ましい。
【0067】
シリコンよりもバンドギャップが広く、且つキャリア密度の小さい酸化物半導体を用いたトランジスタは、極めて小さいオフ電流を実現することができる。そのため、その小さいオフ電流により、トランジスタと直列に接続された容量に蓄積した電荷を長期間に亘って保持することができる。そのため、特に容量C1に直列に接続されるトランジスタM1及びトランジスタM3には、それぞれ、酸化物半導体が適用されたトランジスタを用いることが好ましい。トランジスタM1及びトランジスタM3として酸化物半導体を有するトランジスタを適用することで、容量C1に保持される電荷が、トランジスタM1又はトランジスタM3を介してリークされることを抑制することができる。また、容量C1に保持される電荷を長時間に亘って保持できるため、副画素21に書き込まれた画像データを書き換えることなく、静止画を長期間に亘って表示することができる。
【0068】
配線RLには、リセット電位が与えられる。配線ALには、アノード電位が与えられる。配線CL1には、カソード電位が与えられる。副画素21において、アノード電位はカソード電位よりも高い電位とする。また、配線RLに与えられるリセット電位は、リセット電位とカソード電位との電位差が、発光素子ELのしきい値電圧よりも小さくなるような電位とすることができる。リセット電位は、カソード電位よりも高い電位、カソード電位と同じ電位、又は、カソード電位よりも低い電位とすることができる。
【0069】
撮像画素22は、トランジスタM5、トランジスタM6、トランジスタM7、トランジスタM8、容量C2、及び受光素子PDを有する。
【0070】
受光素子PDの一方の電極は、トランジスタM5のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。受光素子PDの他方の電極は、配線CL2と電気的に接続される。トランジスタM5のソース又はドレインの他方は、トランジスタM6のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタM5のゲートは、端子TXと電気的に接続される。トランジスタM6のソース又はドレインの一方は、容量C2の一方の電極と電気的に接続される。トランジスタM6のソース又はドレインの他方は、配線V1と電気的に接続される。トランジスタM6のゲートは、端子RSと電気的に接続される。容量C2の一方の電極は、トランジスタM7のゲートと電気的に接続される。容量C2の他方の電極は、配線V2と電気的に接続される。トランジスタM7のソース又はドレインの一方は、トランジスタM8のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタM7のソース又はドレインの他方は、配線V3と電気的に接続される。トランジスタM8のソース又はドレインの他方は、端子WXと電気的に接続される。トランジスタM8のゲートは、端子SEと電気的に接続される。
【0071】
トランジスタM5、トランジスタM6、及びトランジスタM8は、スイッチとして機能する。トランジスタM7は、増幅素子(アンプ)として機能する。
【0072】
トランジスタM5乃至トランジスタM8の全てに、LTPSトランジスタを適用することが好ましい。又は、トランジスタM5及びトランジスタM6に、OSトランジスタを適用し、トランジスタM7に、LTPSトランジスタを適用することが好ましい。このとき、トランジスタM8は、OSトランジスタ及びLTPSトランジスタのどちらを適用してもよい。
【0073】
トランジスタM5及びトランジスタM6にOSトランジスタを適用することで、受光素子PDに発生する電荷に基づき、トランジスタM7のゲートに保持される電位が、トランジスタM5又はトランジスタM6を介してリークされることを抑制することができる。
【0074】
例えば、表示装置10がグローバルシャッタ方式を用いた撮像を行う場合、画素によって電荷の転送動作が終了してから読み出し動作が開始されるまでの期間(電荷保持期間)が異なる。例えば全ての画素で階調値が等しくなる画像を撮像すると、理想的には全ての画素において同じ高さの電位を有する出力信号が得られる。しかし、電荷保持期間の長さが行毎に異なる場合、各行の画素のノードに蓄積されている電荷が時間の経過と共にリークしてしまうと、画素の出力信号の電位が行毎に異なってしまい、行毎にその階調数が変化した画像データが得られてしまう。そこで、トランジスタM5及びトランジスタM6としてOSトランジスタを適用することで、ノードの電位変化を極めて小さくすることができる。すなわち、グローバルシャッタ方式を用いて撮像を行っても、電荷保持期間が異なることに起因する画像データの階調の変化を小さく抑え、撮像された画像の品質を向上させることができる。
【0075】
一方で、トランジスタM7には、半導体層に低温ポリシリコンを用いたLTPSトランジスタを適用することが好ましい。LTPSトランジスタは、OSトランジスタよりも、高い電界効果移動度を実現することができ、駆動能力及び電流能力に優れる。そのため、トランジスタM7では、トランジスタM5及びトランジスタM6と比較して、より高速な駆動が可能となる。トランジスタM7にLTPSトランジスタを用いることで、受光素子PDの受光量に基づく微小の電位に応じた出力を、トランジスタM8に対して素早く行うことができる。
【0076】
つまり、撮像画素22において、トランジスタM5及びトランジスタM6のリーク電流が少なく、且つ、トランジスタM7の駆動能力が高いことで、受光素子PDからトランジスタM5を介してトランジスタM7のゲートに転送された電荷を、リークすることなく保持することができる。また、読み出しを高速に行うことができる。
【0077】
トランジスタM8は、トランジスタM7からの出力を端子WXに流すスイッチとして機能するため、トランジスタM5乃至トランジスタM7のような小さいオフ電流、又は高速駆動等は必ずしも求められない。そのため、トランジスタM8の半導体層には、低温ポリシリコンを適用してもよいし、酸化物半導体を適用してもよい。
【0078】
なお、トランジスタM5及びトランジスタM6をLTPSトランジスタとしてもよい。この場合、例えば表示装置10はローリングシャッタ方式を用いた撮像を行うことができる。トランジスタM5及びトランジスタM6をLTPSトランジスタとすることにより、トランジスタM5乃至トランジスタM8を全てLTPSトランジスタとすることができる。また、トランジスタM1乃至トランジスタM3、及びトランジスタM5乃至トランジスタM8を全てLTPSトランジスタとすることができる。これにより、画素30の作製工程を簡易なものとしつつ、表示装置10を高速に駆動させることができる。
【0079】
なお、トランジスタM5及びトランジスタM6がOSトランジスタであっても、表示装置10がローリングシャッタ方式を用いた撮像を行う機能を有してもよい。また、トランジスタM5及びトランジスタM6がLTPSトランジスタであっても、表示装置10がグローバルシャッタ方式を用いた撮像を行う機能を有してもよい。
【0080】
図2において、トランジスタをnチャネル型のトランジスタとして記載しているが、pチャネル型のトランジスタを用いることもできる。以降に示すトランジスタにおいても同様である。
【0081】
<表示装置の機能の一例>
以下では、表示装置10が有する機能の一例を説明する。図3Aは、表示装置10の構成例を示す模式図である。表示装置10は、基板91及び基板92を有し、基板91と基板92の間に発光素子EL、及び受光素子PDが設けられる。
【0082】
発光素子ELは、光94を発することができる。光94は、可視光、又は赤外光とすることができる。また、受光素子PDは、入射した光95を検出することができる。
【0083】
図3Bは、物体の一例として指31が、図3Aに示す構成の表示装置10に接触している様子を示している。ここで、指31は指紋32を有するものとする。図3Bに示す場合では、光94が指31に照射されている。そして、指31により反射された光が光95として受光素子PDにより検出される。これにより、受光素子PDが撮像データを取得し、表示装置10は例えば指31の位置を検出することができる。また、表示装置10は、撮像データが表す指紋32に基づき指紋認証を行うことができる。なお、位置検出、及び認証は、例えば制御回路17が撮像データを解析することにより行うことができる。また、位置検出、及び認証は、表示装置10の外部に設けられる回路が撮像データを解析することにより行ってもよい。
【0084】
ここで、指紋認証等の認証を行う場合は、認証の精度を高めるために表示装置10は高い精度で撮像を行うことが好ましい。一方、認証を行わず、指31の位置を検出すればよい場合は、撮像の精度は認証を行う場合より低くてもよい。ここで、撮像データの読み出し速度を遅くするほど、指紋等の形状を正確に読み出すことができるため、高い精度で認証を行うことができる。よって、認証を行わず、指31の位置を検出すればよい場合は、認証を行う場合より例えば撮像データの読み出しを高速で行うことができる。
【0085】
そこで、本発明の一態様では、まず画素30a、及び画素30bにより第1の撮像データを取得する。次に、画素30aが取得した第1の撮像データをロードライバ回路14aによる走査により読み出した後、画素30bが取得した第1の撮像データをロードライバ回路14bによる走査により読み出す。その後、読み出した第1の撮像データに基づき、指31が表示部11a、又は表示部11bのどちらと接触しているかを判定する。次に、指31が接触している表示部11に設けられる画素30により第2の撮像データを取得した後、当該画素30と電気的に接続されるロードライバ回路14による走査により第2の撮像データを読み出す。第2の撮像データに基づき、指紋認証等を行うことができる。
【0086】
つまり、本発明の一態様では、まず画素30a、及び画素30bの両方により第1の撮像データを取得して指31の位置を検出する。次に、画素30a、又は画素30bの一方により第2の撮像データを取得して指紋認証等を行う。第1の撮像データを用いては指紋認証等を行わないため、第1の撮像データを読み出す際のロードライバ回路14a、及びロードライバ回路14bの走査速度は、第2の撮像データを読み出す際のロードライバ回路14a、又はロードライバ回路14bの走査速度より速くすることができる。
【0087】
以上より、本発明の一態様では、表示部11a、及び表示部11bの両方を高速で走査した後、指31が接触している表示部11のみを、より遅い速度で走査することができる。よって、指紋認証等のために遅い速度で走査する表示部を、表示装置10が有する表示部の一部のみとすることができる。したがって、表示装置10が有する表示部の全体を、指紋認証等のために遅い速度で走査する場合より、短時間で認証を行うことができる。なお、表示装置10に、表示部11、及びロードライバ回路14を3つ以上ずつ設けると、さらに短時間で認証を行うことができる。
【0088】
<表示装置の駆動方法の一例>
以下では、表示装置10の駆動方法の一例を説明する。図4は、副画素21R、副画素21G、及び副画素21Bの駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。
【0089】
図4に示すタイミングチャートにおいて、高電位を“H”で示し、低電位を“L”で示す。他のタイミングチャート等においても同様とする。また、以下の駆動方法の説明において、トランジスタのゲートに高電位を供給すると当該トランジスタが導通状態となり、トランジスタのゲートに低電位を供給すると当該トランジスタが非導通状態となるものとする。
【0090】
時刻T11以前では、端子Gに低電位が供給される。これにより、トランジスタM1、及びトランジスタM3が非導通状態となる。以上より、時刻T11以前は、副画素21R、副画素21G、及び副画素21Bが非選択状態である期間ということができる。
【0091】
時刻T11乃至時刻T12は、画素30への画像データGDの書き込み期間に相当する。ここで、画像データGDは、例えば赤色の画像を表す画像データGDと、緑色の画像を表す画像データGDと、青色の画像を表す画像データGDと、を含むものとする。
【0092】
時刻T11において、端子Gに高電位を供給する。また、端子DRに画像データGDに対応する電位を供給し、端子DGに画像データGDに対応する電位を供給し、端子DBに画像データGDに対応する電位を供給する。これにより、トランジスタM1が導通状態となり、画像データGDに対応する電位、画像データGDに対応する電位、又は画像データGDに対応する電位がトランジスタM2のゲートに供給される。また、トランジスタM3が導通状態となり、発光素子ELの一方の電極の電位が、配線RLの電位となる。発光素子ELの一方の電極の電位を配線RLの電位とすることにより、時刻T11乃至時刻T12において発光素子ELが発光することを抑制することができる。
【0093】
時刻T12において、端子Gに低電位を供給する。これにより、トランジスタM1及びトランジスタM3が非導通状態となるため、トランジスタM2のゲートの電位に対応する電流が発光素子ELに流れ、発光素子ELが画像データGDに対応する輝度で発光する。以上が副画素21R、副画素21G、及び副画素21Bの駆動方法の一例である。
【0094】
図5Aは、撮像画素22の駆動方法の一例を示すフローチャートである。本発明の一態様の駆動方法により表示装置10を駆動させる場合は、まず、画素30a、及び画素30bの両方を用いて、表示装置10が撮像データID1を取得する(ステップS1)。例えば、発光素子ELから発せられ、指等の物体に照射されて反射された光を受光素子PDで検出することにより、表示装置10は撮像データID1を取得することができる。
【0095】
次に、表示装置10が、撮像データID1を画素30aから順次読み出した後、撮像データID1を画素30bから順次読み出す(ステップS2)。具体的には、ロードライバ回路14aを用いて1行目の画素30aからm行目の画素30aまで順に撮像データを読み出した後、ロードライバ回路14bを用いて1行目の画素30bからm行目の画素30bまで順に撮像データを読み出す。ここで、ロードライバ回路14aと、ロードライバ回路14bと、は同時に駆動させないことが好ましい。これにより、読み出し回路15、及びカラムドライバ回路16に設けられる素子等の数を少なくすることができるため、読み出し回路15、及びカラムドライバ回路16の構成を簡易なものとすることができる。したがって、表示装置10のレイアウトの自由度を高めることができる。
【0096】
図5B1は、ステップS2における表示装置10の動作の一例を示す模式図である。ステップS2では、画素30aが取得した撮像データID1を、ロードライバ回路14aが表示部11aに設けられる画素30aを走査することにより読み出した後、画素30bが取得した撮像データID1を、ロードライバ回路14bが表示部11bに設けられる画素30bを走査することにより読み出す。
【0097】
表示装置10が撮像データID1を読み出すことにより、例えば表示部11に接触する指等の物体の位置を検出することができる。図5B1に示す例では、表示部11aに指31が接触していることが検出されたものとする。
【0098】
その後、制御回路17が、撮像データID1に基づき、画素30a、又は画素30bの一方を選択する(ステップS3)。具体的には、制御回路17が、以降のステップで駆動させるロードライバ回路14を撮像データID1に基づき選択する。例えば、撮像データID1により指等の物体が検出された画素30を駆動させるロードライバ回路14を、制御回路17が選択する。なお、画素30a、又は画素30bの一方を選択することを、表示部11a、又は表示部11bの一方を選択するということができる。
【0099】
次に、ステップS3で選択した画素を用いて、表示装置10が撮像データID2を取得する(ステップS4)。その後、表示装置10が、撮像データID2を画素30から読み出す(ステップS5)。具体的には、ロードライバ回路14a及びロードライバ回路14bのうち、ステップS3で制御回路17が選択したロードライバ回路14を用いて、画素30から撮像データを読み出す。
【0100】
図5B2は、ステップS5における表示装置10の動作の一例を示す模式図である。図5B2に示す例では、ステップS3において、指31が接触している表示部11aが選択されたものとする。図5B2では、表示部11aにハッチングを付し、表示部11bにハッチングを付さないことにより、表示部11aが選択されたことを示している。図5B2に示す例では、画素30aが取得した撮像データID2を、ロードライバ回路14aが表示部11aに設けられる画素30aを走査することにより読み出す。ここで、図5B2に示す例では、ロードライバ回路14bの駆動は停止させることができる。
【0101】
撮像データID2の読み出しにより、指紋認証等の認証を行うことができる。図5B2に示す例では、指紋32が検出され、指紋32に基づき表示装置10による認証が行われるものとする。
【0102】
なお、ステップS2のように、撮像データを画素30aから順次読み出した後、撮像データを画素30bから順次読み出すことを、表示装置10が第1のモードで駆動するという。よって、第1のモードでは、制御回路17は、ロードライバ回路14aと、ロードライバ回路14bと、を順に駆動させることができる。このように、制御回路17が、ロードライバ回路14aと、ロードライバ回路14bと、を順に駆動させることを、制御回路17が第1のモードで駆動するという。
【0103】
また、ステップS5のように、画素30a又は画素30bの一方から撮像データを読み出すことを、表示装置10が第2のモードで駆動するという。よって、第2のモードでは、制御回路17は、第1のモードで読み出された撮像データに基づき、ロードライバ回路14a又はロードライバ回路14bの一方を駆動させることができる。このように、制御回路17が、第1のモードで読み出された撮像データに基づき、ロードライバ回路14a又はロードライバ回路14bの一方を駆動させることを、制御回路17が第2のモードで駆動するという。以上より、制御回路17は、第1のモード、及び第2のモードにより駆動する機能を有する。
【0104】
図6は、図5Aのフローチャートに示す各ステップにおける駆動方法の詳細を示すタイミングチャートである。ここで、配線V1の電位は、配線CL2の電位より低いものとする。例えば、配線V1の電位を低電位とし、配線CL2の電位を高電位とすることができる。また、配線V2の電位は、例えば低電位とすることができる。
【0105】
図6において、時刻T21乃至時刻T24がステップS1に相当し、時刻T25乃至時刻T27がステップS2に相当する。また、時刻T31乃至時刻T34がステップS4に相当し、時刻T35乃至時刻T36がステップS5に相当する。さらに、図6には示していないが、時刻T27乃至時刻T31において、ステップS3に示す動作が行われるものとする。
【0106】
時刻T21以前において、端子TXa、端子TXb、端子SEa、端子SEb、端子RSa、及び端子RSbには、低電位が供給されるものとする。また、端子WXには撮像データが入力されていない状態であることを、端子WXが低電位であるとすることにより示している。なお、端子WXに所定の電位が供給されてもよい。
【0107】
時刻T21に、端子TXa、端子TXb、端子RSa、及び端子RSbに、高電位を供給する。これにより、画素30aが有するトランジスタM5、画素30bが有するトランジスタM5、画素30aが有するトランジスタM6、及び画素30bが有するトランジスタM6が導通状態となる。したがって、配線V1からトランジスタM6及びトランジスタM5を介して、受光素子PDのアノード電極に、カソード電極の電位よりも低い電位が供給される。つまり、受光素子PDに逆バイアス電圧が印加された状態となる。また、容量C2の一方の電極にも、配線V1の電位が供給される。
【0108】
以上により、画素30a、及び画素30bに対してリセット動作が行われる。よって、時刻T21乃至時刻T22は、リセット(初期化)期間ともいうことができる。
【0109】
時刻T22において、端子TXa、端子TXb、端子RSa、及び端子RSbに、低電位が供給される。これにより、画素30aが有するトランジスタM5、画素30bが有するトランジスタM5、画素30aが有するトランジスタM6、及び画素30bが有するトランジスタM6が非導通状態となる。
【0110】
トランジスタM5が非導通状態となるため、受光素子PDに逆バイアス電圧が印加された状態が保持される。ここで、受光素子PDに入射される光によって光電変換が起こり、受光素子PDのアノード電極に電荷が蓄積される。
【0111】
時刻T22乃至時刻T23は、露光期間ともいうことができる。露光期間は、受光素子PDの感度、入射光の光量等に応じて設定すればよいが、少なくともリセット期間と比較して十分に長い期間を設定することが好ましい。
【0112】
また、時刻T22乃至時刻T23において、トランジスタM5及びトランジスタM6が非導通状態となるため、容量C2の一方の電極の電位は、配線V1から供給される低電位に保持された状態となる。
【0113】
時刻T23において、端子TXa、及び端子TXbに高電位が供給される。これにより、画素30aが有するトランジスタM5、及び画素30bが有するトランジスタM5が導通状態となり、受光素子PDに蓄積された電荷が、トランジスタM5を介して容量C2の一方の電極に転送される。これにより、容量C2の一方の電極が接続されるノードの電位は、受光素子PDに蓄積された電荷量に応じて上昇する。その結果、トランジスタM7のゲートには、受光素子PDの露光量に応じた電位が供給された状態となる。
【0114】
時刻T24において、端子TXa、及び端子TXbに低電位が供給される。これにより、画素30aが有するトランジスタM5、及び画素30bが有するトランジスタM5が非導通状態となり、トランジスタM7のゲートが接続されるノードがフローティング状態となる。受光素子PDの露光は常に生じているため、時刻T23乃至時刻T24における転送動作が完了した後に、トランジスタM5を非導通状態とすることで、トランジスタM7のゲートが接続されるノードの電位が変化することを抑制することができる。
【0115】
以上、時刻T21乃至時刻T24により、画素30a、及び画素30bが撮像データID1を取得することができる。ここで、撮像データID1の取得は、グローバルシャッタ方式により行ってもよいし、ローリングシャッタ方式により行ってもよい。
【0116】
時刻T25において、端子SEaに高電位が供給される。これにより、画素30aが有するトランジスタM8が導通状態となる。例えば、画素30aが有するトランジスタM7と、読み出し回路15が有するトランジスタとでソースフォロワ回路、又はソース接地回路を構成し、画素30aにより取得された撮像データID1を読み出すことができる。ここで、撮像データID1のうち、画素30aにより取得された撮像データを撮像データID1aとする。トランジスタM7と、読み出し回路15が有するトランジスタとでソースフォロワ回路を構成する場合、端子WXの電位は、トランジスタM7のゲート電位に応じて決定される。具体的には、トランジスタM7のゲート電位から、トランジスタM7のしきい値電圧を差し引いた電位が、端子WXの電位となる。
【0117】
ここで、詳細は後述するが、時刻T25乃至時刻T26において、端子SEa[1]から順に端子SEa[m]まで高電位の信号を出力することができる。これにより、表示装置10は撮像データID1aを読み出すことができる。
【0118】
本明細書等において、単に「信号を入力する」という場合は、高電位の信号を入力することを示すことがある。また、単に「信号を出力する」という場合は、高電位の信号を出力することを示すことがある。
【0119】
時刻T25乃至時刻T26において、端子SEaに高電位を供給した後、端子RSaに高電位を供給することができる。これにより、画素30aが有するトランジスタM8が導通状態となった後、画素30aが有するトランジスタM6が導通状態となり、配線V1の電位が容量C2の一方の電極に供給される。したがって、容量C2に蓄積された電荷が放電され、リセットされる。以上により、時刻T25乃至時刻T26において、撮像データID1aに対して相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling:CDS)を行うことができる。
【0120】
時刻T26において、端子SEa及び端子RSaに低電位が供給され、端子SEbに高電位が供給される。これにより、画素30aが有するトランジスタM8、及びトランジスタM6が非導通状態となり、画素30bが有するトランジスタM8が導通状態となる。画素30bが有するトランジスタM8が導通状態となることで、画素30bにより取得された撮像データID1を読み出すことができる。ここで、撮像データID1のうち、画素30bにより取得された撮像データを撮像データID1bとする。詳細は後述するが、時刻T26乃至時刻T27において、端子SEb[1]から順に端子SEb[m]まで高電位の信号を出力することにより、表示装置10は撮像データID1bを読み出すことができる。なお、時刻T25乃至時刻T26において、端子RSaに低電位を供給した後、端子SEaに低電位を供給してもよい。つまり、端子RSaへの低電位の供給と、端子SEaへの低電位の供給と、は同時でなくてもよい。
【0121】
時刻T26乃至時刻T27において、端子SEbに高電位を供給した後、端子RSbに高電位を供給することができる。これにより、画素30bが有するトランジスタM8が導通状態となった後、画素30bが有するトランジスタM6が導通状態となり、配線V1の電位が容量C2の一方の電極に供給される。したがって、容量C2に蓄積された電荷が放電され、リセットされる。以上により、時刻T26乃至時刻T27において、撮像データID1bに対してCDSを行うことができる。
【0122】
時刻T27において、端子SEb、及び端子RSbに低電位を供給する。これにより、画素30bが有するトランジスタM8、及びトランジスタM6が非導通状態となる。なお、時刻T26乃至時刻T27において、端子RSbに低電位を供給した後、端子SEbに低電位を供給してもよい。つまり、端子RSbへの低電位の供給と、端子SEbへの低電位の供給と、は同時でなくてもよい。
【0123】
以上、時刻T25乃至時刻T27において、撮像データID1を読み出すことができる。ここで、ステップS3において、撮像データID1に基づき画素30aが選択されたものとする。つまり、読み出された撮像データID1により、指31等が表示部11aに接触していることが検出されたものとする。
【0124】
時刻T31において、端子TXa、及び端子RSaに高電位を供給する。これにより、画素30aが有するトランジスタM5、及び画素30aが有するトランジスタM6が導通状態となる。よって、画素30aに対して、リセット動作が行われる。時刻T31乃至時刻T32は、時刻T21乃至時刻T22と同様に、リセット(初期化)期間ともいうことができる。
【0125】
時刻T32において、端子TXa、及び端子RSaに、低電位が供給される。これにより、画素30aが有するトランジスタM5、及び画素30aが有するトランジスタM6が非導通状態となる。よって、受光素子PDに入射される光によって光電変換が起こり、受光素子PDのアノード電極に電荷が蓄積される。したがって、時刻T32乃至時刻T33は、時刻T22乃至時刻T23と同様に露光期間ともいうことができる。
【0126】
時刻T33において、端子TXaに高電位が供給される。これにより、画素30aが有するトランジスタM5が導通状態となる。よって、トランジスタM7のゲートに、受光素子PDの露光量に応じた電位が供給される。
【0127】
時刻T34において、端子TXaに低電位が供給される。これにより、画素30aが有するトランジスタM5が非導通状態となる。
【0128】
以上、時刻T31乃至時刻T34により、画素30aが撮像データID2を取得することができる。ここで、撮像データID2の取得は、撮像データID1と同様にグローバルシャッタ方式により行ってもよいし、ローリングシャッタ方式により行ってもよい。また、例えば画素30a及び画素30bの両方を用いて撮像データを取得するステップS1ではグローバルシャッタ方式により撮像データID1を取得し、画素30a又は画素30bの一方のみを用いて撮像データを取得するステップS4ではローリングシャッタ方式により撮像データID2を取得してもよい。なお、撮像データID2の取得をグローバルシャッタ方式により行う場合は、画素30aと画素30bの両方により撮像データを取得しても、時刻T31乃至時刻T34の長さを、画素30aのみにより撮像データを取得する場合と等しくすることができる。
【0129】
時刻T35において、端子SEaに高電位が供給される。これにより、画素30aが有するトランジスタM8が導通状態となる。よって、撮像データID2を読み出すことができる。また、時刻T35乃至時刻T36において、端子SEaに高電位を供給した後、端子RSaに高電位を供給することができる。これにより、画素30aが有するトランジスタM8が導通状態となった後、画素30aが有するトランジスタM6が導通状態となり、撮像データID2に対してCDSを行うことができる。
【0130】
時刻T36において、端子SEa、及び端子RSaに低電位を供給する。これにより、画素30aが有するトランジスタM8、及びトランジスタM6が非導通状態となる。以上、時刻T35乃至時刻T36において、撮像データID2を読み出すことができる。なお、時刻T35乃至時刻T36において、端子RSaに低電位を供給した後、端子SEaに低電位を供給してもよい。つまり、端子RSaへの低電位の供給と、端子SEaへの低電位の供給と、は同時でなくてもよい。
【0131】
以上が表示装置10の駆動方法の一例である。前述のように、指紋認証等の認証を行う場合は、認証の精度を高めるために表示装置10は高い精度で撮像を行うことが好ましい。一方、認証を行わず、指等の位置を検出すればよい場合は、撮像の精度は認証を行う場合より低くてもよい。ここで、撮像データの読み出し速度を遅くするほど、指紋等の形状を正確に読み出すことができるため、高い精度で認証を行うことができる。よって、認証を行わず、指等の位置を検出すればよい場合は、認証を行う場合より例えば撮像データの読み出しを高速で行うことができる。
【0132】
以上より、撮像データID2の読み出しに要する時間は、例えば撮像データID1aの読み出しに要する時間より長いことが好ましい。具体的には、時刻T25乃至時刻T26の長さをΔTとし、時刻T35乃至時刻T36の長さをΔTとすると、ΔT<ΔTとすることが好ましい。これにより、撮像データID1による指等の位置の検出を高速に行いつつ、撮像データID2による認証を高い精度で行うことができる。以上より、表示装置10は、高精度な認証を短時間で行うことができる。ここで、例えば時刻T25乃至時刻T26におけるロードライバ回路14aの走査速度を、時刻T35乃至時刻T36におけるロードライバ回路14bの走査速度より速くすることで、ΔT<ΔTとすることができる。
【0133】
なお、ステップS4における露光期間は、ステップS1における露光期間と等しくてもよいし、ステップS1における露光期間より長くてもよい。つまり、時刻T32乃至時刻T33の長さは、時刻T22乃至時刻T23の長さと等しくてもよいし、時刻T22乃至時刻T23の長さより長くてもよい。
【0134】
<ロードライバ回路の構成例>
図7は、ロードライバ回路14a、及びロードライバ回路14bの構成例を示す図である。具体的には、ロードライバ回路14a、及びロードライバ回路14bが有するシフトレジスタ回路の構成例を示す図である。ロードライバ回路14aは、レジスタ回路Ra[1]乃至レジスタ回路Ra[m]と、レジスタ回路R_DUMと、を有する。ロードライバ回路14bは、レジスタ回路Rb[1]乃至レジスタ回路Rb[m]と、レジスタ回路R_DUMと、を有する。
【0135】
レジスタ回路Ra[1]には、端子SPaが電気的に接続され、レジスタ回路Rb[1]には、端子SPbが電気的に接続される。レジスタ回路Ra[1]には、端子SPaを介してスタートパルス信号が入力され、レジスタ回路Rb[1]には、端子SPbを介してスタートパルス信号が入力される。前述のように、スタートパルス信号は、制御回路17により生成することができる。
【0136】
また、レジスタ回路Ra[1]乃至レジスタ回路Ra[m]、及びレジスタ回路R_DUMは、互いに直列に接続される。具体的には、例えばレジスタ回路Ra[1]はレジスタ回路Ra[2]と電気的に接続され、レジスタ回路Ra[2]はレジスタ回路Ra[3]と電気的に接続され、レジスタ回路Ra[m]はレジスタ回路R_DUMと電気的に接続される。また、レジスタ回路Rb[1]乃至レジスタ回路Rb[m]、及びレジスタ回路R_DUMは、互いに直列に接続される。具体的には、例えばレジスタ回路Rb[1]はレジスタ回路Rb[2]と電気的に接続され、レジスタ回路Rb[2]はレジスタ回路Rb[3]と電気的に接続され、レジスタ回路Rb[m]はレジスタ回路R_DUMと電気的に接続される。
【0137】
レジスタ回路Raは、端子SEa、及び端子RSaと電気的に接続されており、これらの端子から信号を出力することができる。また、レジスタ回路Rbは、端子SEb、及び端子RSbと電気的に接続されており、これらの端子から信号を出力することができる。さらに、レジスタ回路R_DUMは、端子SE_DUM、及び端子RS_DUMと電気的に接続されており、これらの端子から信号を出力することができる。前述のように、端子SEa、及び端子RSaは画素30aと電気的に接続され、端子SEb、及び端子RSbは画素30bと電気的に接続される。
【0138】
また、レジスタ回路Ra、レジスタ回路Rb、及びレジスタ回路R_DUMには、端子CLK、端子RS_R、端子SE_PWC、端子RS_PWC、及び端子RS_ALLを電気的に接続することができる。図7では、端子CLKとして端子CLK[1]乃至端子CLK[4]が設けられ、端子SE_PWCとして端子SE_PWC[1]乃至端子SE_PWC[4]が設けられ、端子RS_PWCとして端子RS_PWC[1]乃至端子RS_PWC[4]が設けられる構成を示しているが、端子CLK、端子SE_PWC、及び端子RS_PWCの個数は図7に示す個数に限られない。
【0139】
図7では、1個のレジスタ回路Rに3個の端子CLKを電気的に接続する構成を示している。例えば、レジスタ回路Ra[1]、及びレジスタ回路Rb[1]は、端子CLK[1]、端子CLK[2]、及び端子CLK[3]と電気的に接続される。また、レジスタ回路Ra[2]、及びレジスタ回路Rb[2]は、端子CLK[2]、端子CLK[3]、及び端子CLK[4]と電気的に接続される。また、レジスタ回路Ra[3]、及びレジスタ回路Rb[3]は、端子CLK[3]、端子CLK[4]、及び端子CLK[1]と電気的に接続される。さらに、レジスタ回路Ra[m]、及びレジスタ回路Rb[m]は、端子CLK[4]、端子CLK[1]、及び端子CLK[2]と電気的に接続される。なお、レジスタ回路R_DUMにも、レジスタ回路Rと同様に3個の端子CLKを電気的に接続することができる。
【0140】
また、図7では、1個のレジスタ回路Rに1個の端子SE_PWC、及び1個の端子RS_PWCを電気的に接続する構成を示している。例えば、レジスタ回路Ra[1]、及びレジスタ回路Rb[1]は、端子SE_PWC[1]、及び端子RS_PWC[1]と電気的に接続される。また、レジスタ回路Ra[2]、及びレジスタ回路Rb[2]は、端子SE_PWC[2]、及び端子RS_PWC[2]と電気的に接続される。また、レジスタ回路Ra[3]、及びレジスタ回路Rb[3]は、端子SE_PWC[3]、及び端子RS_PWC[3]と電気的に接続される。さらに、レジスタ回路Ra[m]、及びレジスタ回路Rb[m]は、端子SE_PWC[4]、及び端子RS_PWC[4]と電気的に接続される。なお、レジスタ回路R_DUMにも、レジスタ回路Rと同様に1個の端子SE_PWC、及び1個の端子RS_PWCを電気的に接続することができる。
【0141】
なお、図7に示すロードライバ回路14の構成は、端子SEを端子Gに置き換え、端子RSを設けないこと等により、ゲートドライバ回路13に適用することができる。
【0142】
図8A1は、レジスタ回路Rと電気的に接続される端子の一例を示す図である。レジスタ回路Rには、端子CLK[i1]、端子CLK[i2]、端子CLK[i3]、端子SE_PWC[j]、端子RS_PWC[j]、端子RS_R、端子RS_ALL、端子SE、及び端子RSの他、端子LIN、端子RIN、及び端子ROUTが電気的に接続される。
【0143】
ここで、端子CLK[i1]、端子CLK[i2]、及び端子CLK[i3]は、端子CLK[1]乃至端子CLK[4]のいずれかとすることができる。例えば、レジスタ回路R[1]では、端子CLK[i1]は端子CLK[1]、端子CLK[i2]は端子CLK[2]、端子CLK[i3]は端子CLK[3]とすることができる。また、レジスタ回路R[2]では、端子CLK[i1]は端子CLK[2]、端子CLK[i2]は端子CLK[3]、端子CLK[i3]は端子CLK[4]とすることができる。また、レジスタ回路R[3]では、端子CLK[i1]は端子CLK[3]、端子CLK[i2]は端子CLK[4]、端子CLK[i3]は端子CLK[1]とすることができる。さらに、レジスタ回路R[m]では、端子CLK[i1]は端子CLK[4]、端子CLK[i2]は端子CLK[1]、端子CLK[i3]は端子CLK[2]とすることができる。
【0144】
また、端子SE_PWC[j]は端子SE_PWC[1]乃至端子SE_PWC[4]のいずれかとすることができ、端子RS_PWC[j]は端子RS_PWC[1]乃至端子RS_PWC[4]のいずれかとすることができる。例えば、レジスタ回路R[1]では、端子SE_PWC[j]は端子SE_PWC[1]、端子RS_PWC[j]は端子RS_PWC[1]とすることができる。また、レジスタ回路R[2]では、端子SE_PWC[j]は端子SE_PWC[2]、端子RS_PWC[j]は端子RS_PWC[2]とすることができる。また、レジスタ回路R[3]では、端子SE_PWC[j]は端子SE_PWC[3]、端子RS_PWC[j]は端子RS_PWC[3]とすることができる。さらに、レジスタ回路R[m]では、端子SE_PWC[j]は端子SE_PWC[4]、端子RS_PWC[j]は端子RS_PWC[4]とすることができる。
【0145】
なお、詳細は後述するが、端子SE_PWC、端子RS_PWC、端子RS_R、端子RS_ALL、端子LIN、及び端子RINを介してレジスタ回路Rに信号が入力され、レジスタ回路Rから端子ROUT、端子SE、及び端子RSに信号が出力される。よって、端子SE_PWC、端子RS_PWC、端子RS_R、端子RS_ALL、端子LIN、及び端子RINは入力端子であり、端子ROUT、端子SE、及び端子RSは出力端子である。また、端子CLKには、クロック信号が入力される。よって、端子CLKはクロック信号入力端子である。ここで、端子CLK、端子SE_PWC、端子RS_PWC、端子RS_R、及び端子RS_ALLに入力される信号は、図1等に示す制御回路17が生成することができる。
【0146】
図8A2は、レジスタ回路R_DUMと電気的に接続される端子の一例を示す図である。レジスタ回路Rには、端子CLK[i1]、端子CLK[i2]、端子CLK[i3]、端子SE_PWC[j]、端子RS_PWC[j]、端子RS_R、端子RS_ALL、端子SE_DUM、及び端子RS_DUMの他、端子LIN_DUM、及び端子ROUT_DUMが電気的に接続される。ここで、端子LIN_DUMは入力端子であり、端子ROUT_DUM、端子SE_DUM、及び端子RS_DUMは出力端子である。
【0147】
図8Bは、レジスタ回路R[1]乃至レジスタ回路R[m]、及びレジスタ回路R_DUMの接続関係を示す図である。ここで、端子LIN[1]にはスタートパルス信号が入力される。よって、端子LIN[1]は、端子SPである。端子LIN[1]にスタートパルス信号が入力されることにより、レジスタ回路R[1]は端子ROUT[1]、端子SE[1]、及び端子RS[1]に信号を出力することができる。
【0148】
端子ROUT[1]は、端子LIN[2]と電気的に接続される。よって、レジスタ回路R[1]が端子ROUT[1]から出力した信号は、端子LIN[2]を介してレジスタ回路R[2]に入力される。端子LIN[2]に信号が入力されることにより、レジスタ回路R[2]は端子ROUT[2]、端子SE[2]、及び端子RS[2]に信号を出力することができる。
【0149】
端子ROUT[2]は、端子LIN[3]と電気的に接続される。よって、レジスタ回路R[2]が端子ROUT[2]から出力した信号は、端子LIN[3]を介してレジスタ回路R[3]に入力される。端子LIN[3]に信号が入力されることにより、レジスタ回路R[3]は端子ROUT[3]、端子SE[3]、及び端子RS[3]に信号を出力することができる。
【0150】
図8Bには示していないが、端子ROUT[m-1]は、端子LIN[m]と電気的に接続される。よって、レジスタ回路R[m-1]が端子ROUT[m-1]から出力した信号は、端子LIN[m]を介してレジスタ回路R[m]に入力される。端子LIN[m]に信号が入力されることにより、レジスタ回路R[m]は端子ROUT[m]、端子SE[m]、及び端子RS[m]に信号を出力することができる。
【0151】
以上のように、レジスタ回路Rは、端子ROUTと、端子LINと、を介して直列に接続される。
【0152】
端子ROUT[m]は、端子LIN_DUMと電気的に接続される。よって、レジスタ回路R[m]が端子ROUT[m]から出力した信号は、端子LIN_DUMを介してレジスタ回路R_DUMに入力される。端子LIN_DUMに信号が入力されることにより、レジスタ回路R_DUMは端子ROUT_DUM、端子SE_DUM、及び端子RS_DUMに信号を出力することができる。
【0153】
端子ROUT[3]は、端子RIN[1]と電気的に接続される。よって、レジスタ回路R[3]が端子ROUT[3]から出力した信号は、端子RIN[1]を介してレジスタ回路R[1]に入力される。つまり、端子RINには、2つ後段のレジスタ回路Rから出力される信号を入力することができる。なお、図8Bには示していないが、端子RIN[2]は、レジスタ回路R[4]と電気的に接続される端子ROUT[4]と電気的に接続することができる。また、端子RIN[3]は、レジスタ回路R[5]と電気的に接続される端子ROUT[5]と電気的に接続することができる。
【0154】
ここで、2つ後段のレジスタ回路Rから出力される信号を端子RINに入力することから、ロードライバ回路14にはm個のレジスタ回路Rの他、2個のレジスタ回路R_DUMが設けられる。これにより、端子RIN[m-1]、及び端子RIN[m]には、端子ROUT_DUMが信号を供給することができる。なお、端子RINには、1つ後段のレジスタ回路Rから出力される信号を入力してもよいし、3つ以上後段のレジスタ回路Rから出力される信号を入力してもよい。例えば、1つ後段のレジスタ回路Rから出力される信号を端子RINに入力する場合は、ロードライバ回路14に設けられるレジスタ回路R_DUMは1個とすることができる。また、3つ後段のレジスタ回路Rから出力される信号を端子RINに入力する場合は、ロードライバ回路14に設けられるレジスタ回路R_DUMは3個とすることができる。
【0155】
図9Aは、レジスタ回路Rの構成例を示す回路図である。レジスタ回路Rは、トランジスタTr11、トランジスタTr12、トランジスタTr13、トランジスタTr14、トランジスタTr15、トランジスタTr16、トランジスタTr17、トランジスタTr18、トランジスタTr19、トランジスタTr20、トランジスタTr31、トランジスタTr32、トランジスタTr33、トランジスタTr34、トランジスタTr35、トランジスタTr36、及びトランジスタTr37と、容量C11、容量C12、容量C31、容量C32、及び容量C33と、を有する。なお、レジスタ回路Rは、トランジスタTr16、トランジスタTr31、トランジスタTr33、又はトランジスタTr35の少なくとも1つを有さない構成としてもよい。
【0156】
本明細書等において、電位VDDは高電位を示し、電位VSSは低電位を示す。
【0157】
端子CLK[i1]は、トランジスタTr17のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。端子CLK[i2]は、トランジスタTr12のゲートと電気的に接続される。端子CLK[i3]は、トランジスタTr13のゲートと電気的に接続される。端子RS_Rは、トランジスタTr15のゲートと電気的に接続される。端子LINは、トランジスタTr11のゲート、及びトランジスタTr19のゲートと電気的に接続される。端子RINは、トランジスタTr14のゲートと電気的に接続される。端子SE_PWC[j]は、トランジスタTr36のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。端子RS_PWC[j]は、トランジスタTr32のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。端子RS_ALLは、トランジスタTr34のソース又はドレインの一方、及び容量C32の一方の電極と電気的に接続される。
【0158】
端子ROUTは、トランジスタTr17のソース又はドレインの他方、容量C11の一方の電極、及びトランジスタTr20のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。端子SEは、トランジスタTr36のソース又はドレインの他方、トランジスタTr37のソース又はドレインの一方、及び容量C33の一方の電極と電気的に接続される。端子RSは、トランジスタTr32のソース又はドレインの他方、トランジスタTr34のソース又はドレインの他方、及び容量C31の一方の電極と電気的に接続される。
【0159】
トランジスタTr11のソース又はドレインの一方は、トランジスタTr16のソース又はドレインの一方、トランジスタTr18のソース又はドレインの一方、トランジスタTr31のソース又はドレインの一方、及びトランジスタTr35のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタTr12のソース又はドレインの一方は、トランジスタTr13のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタTr13のソース又はドレインの他方は、トランジスタTr14のソース又はドレインの一方、トランジスタTr15のソース又はドレインの一方、トランジスタTr18のゲート、トランジスタTr19のソース又はドレインの一方、トランジスタTr20のゲート、トランジスタTr33のソース又はドレインの一方、トランジスタTr37のゲート、及び容量C12の一方の電極と電気的に接続される。トランジスタTr16のソース又はドレインの他方は、トランジスタTr17のゲート、及び容量C11の他方の電極と電気的に接続される。トランジスタTr31のソース又はドレインの他方は、トランジスタTr32のゲート、及び容量C31の他方の電極と電気的に接続される。トランジスタTr33のソース又はドレインの他方は、トランジスタTr34のゲート、及び容量C32の他方の電極と電気的に接続される。トランジスタTr35のソース又はドレインの他方は、トランジスタTr36のゲート、及び容量C33の他方の電極と電気的に接続される。
【0160】
トランジスタTr11のソース又はドレインの他方、トランジスタTr12のソース又はドレインの他方、トランジスタTr14のソース又はドレインの他方、トランジスタTr15のソース又はドレインの他方、トランジスタTr16のゲート、トランジスタTr31のゲート、及びトランジスタTr35のゲートには、電位VDDを供給することができる。また、トランジスタTr18のソース又はドレインの他方、トランジスタTr19のソース又はドレインの他方、トランジスタTr20のソース又はドレインの他方、トランジスタTr37のソース又はドレインの他方、及び容量C12の他方の電極には、電位VSSを供給することができる。
【0161】
端子LINに高電位の信号を入力すると、トランジスタTr11、及びトランジスタTr19が導通状態となる。よって、トランジスタTr17のゲートに高電位が供給され、トランジスタTr17が導通状態となる。これにより、端子CLK[i1]に入力されたクロック信号を、端子ROUTから出力することができる。また、トランジスタTr32のゲートに高電位が供給され、トランジスタTr32が導通状態となる。これにより、端子RS_PWC[j]に入力された信号を、端子RSから出力することができる。さらに、トランジスタTr36のゲートに高電位が供給され、トランジスタTr36が導通状態となる。これにより、端子SE_PWC[j]に入力された信号を、端子SEから出力することができる。
【0162】
一方、端子CLK[i2]及び端子CLK[i3]に高電位の信号を入力すると、トランジスタTr12、及びトランジスタTr13が導通状態となる。よって、トランジスタTr18のゲート、トランジスタTr20のゲート、トランジスタTr34のゲート、及びトランジスタTr37のゲートに高電位が供給され、トランジスタTr18、トランジスタTr20、トランジスタTr34、及びトランジスタTr37が導通状態となる。トランジスタTr20が導通状態となることにより、端子ROUTの電位が低電位となり、トランジスタTr37が導通状態となることにより、端子SEの電位が低電位となる。また、トランジスタTr34が導通状態となることにより、端子RS_ALLに入力された信号を、端子RSから出力することができる。
【0163】
また、端子RINに高電位の信号を入力した場合、又は端子RS_Rに高電位の信号を入力した場合であっても、トランジスタTr18、トランジスタTr20、トランジスタTr34、及びトランジスタTr37が導通状態となる。よって、上記の場合と同様に、端子ROUT、及び端子SEの電位が低電位となり、端子RS_ALLに入力された信号が端子RSから出力される。
【0164】
例えば、図6に示す時刻T21乃至時刻T22、及び時刻T31乃至時刻T32において、端子RS_R、及び端子RS_ALLに高電位の信号を入力することにより、端子RSから高電位の信号が出力される。これにより、画素30に対してリセット動作を行うことができる。
【0165】
図9Bは、レジスタ回路R_DUMの構成例を示す図である。レジスタ回路R_DUMは、トランジスタTr14を有さない点、及び端子LIN、端子ROUT、端子SE、端子RSの代わりに端子LIN_DUM、端子ROUT_DUM、端子SE_DUM、端子RS_DUMが電気的に接続される点が、図9Aに示すレジスタ回路Rと異なる。
【0166】
<ロードライバ回路の駆動方法の一例>
図10は、図6に示す時刻T25乃至時刻T27における、ロードライバ回路14a、及びロードライバ回路14bの駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。なお、図10において、トランジスタTr16、トランジスタTr31、トランジスタTr33、又はトランジスタTr35によるブートストラップに起因する電位の上昇等は考慮していない。他のタイミングチャートにおいても同様である。
【0167】
まず、時刻T250において、端子LINa[1]に、スタートパルス信号として高電位の信号を入力する。
【0168】
時刻T251から、端子CLK[1]乃至端子CLK[4]にクロック信号を順次入力する。これにより、時刻T251には端子CLK[1]の電位が高電位となり、端子CLK[2]乃至端子CLK[4]の電位が低電位となる。また、時刻T252には端子CLK[1]、及び端子CLK[2]の電位が高電位となり、端子CLK[3]、及び端子CLK[4]の電位が低電位となる。また、時刻T253には端子CLK[2]、及び端子CLK[3]の電位が高電位となり、端子CLK[1]、及び端子CLK[4]の電位が低電位となる。さらに、時刻T254では、端子CLK[2]、及び端子CLK[3]の電位が高電位となり、端子CLK[1]、及び端子CLK[4]の電位が低電位となるものとする。この場合、時刻T260では、端子CLK[3]、及び端子CLK[4]の電位が高電位となり、端子CLK[1]、及び端子CLK[2]の電位が低電位となる。
【0169】
また、時刻T251乃至時刻T252において、端子SE_PWC[1]、及び端子RS_PWC[1]に信号を入力する。ここで、時刻T251乃至時刻T252において、端子LINa[1]に高電位の信号が入力されるため、端子SE_PWC[1]に入力された信号が端子SEa[1]から出力される。また、端子RS_PWC[1]に入力された信号が端子RSa[1]から出力される。さらに、端子CLK[1]に入力されるクロック信号が端子ROUTa[1]から出力される。時刻T251乃至時刻T252における端子CLK[1]の電位は高電位であるため、端子ROUTa[1]から高電位の信号が出力される。よって、端子ROUTa[1]と電気的に接続される端子LINa[2]に高電位の信号が入力される。
【0170】
時刻T252乃至時刻T253において、端子SE_PWC[2]、及び端子RS_PWC[2]に信号を入力する。ここで、時刻T252乃至時刻T253において、端子LINa[2]に高電位の信号が入力されるため、端子SE_PWC[2]に入力された信号が端子SEa[2]から出力される。また、端子RS_PWC[2]に入力された信号が端子RSa[2]から出力される。さらに、端子CLK[2]に入力されるクロック信号が端子ROUTa[2]から出力される。時刻T252乃至時刻T253における端子CLK[2]の電位は高電位であるため、端子ROUTa[2]から高電位の信号が出力される。よって、端子ROUTa[2]と電気的に接続される端子LINa[3]に高電位の信号が入力される。
【0171】
時刻T254乃至時刻T260において、端子SE_PWC[3]、及び端子RS_PWC[3]に信号を入力する。ここで、時刻T254乃至時刻T260において、端子LINa[m-1]に高電位の信号が入力されるため、端子SE_PWC[3]に入力された信号が端子SEa[m-1]から出力される。また、端子RS_PWC[3]に入力された信号が端子RSa[m-1]から出力される。さらに、端子CLK[3]に入力されるクロック信号が端子ROUTa[m-1]から出力される。時刻T254乃至時刻T260における端子CLK[3]の電位は高電位であるため、端子ROUTa[m-1]から高電位の信号が出力される。よって、端子ROUTa[m-1]と電気的に接続される端子LINa[m]に高電位の信号が入力される。
【0172】
時刻T260乃至時刻T261において、端子SE_PWC[4]、及び端子RS_PWC[4]に信号を入力する。ここで、時刻T260乃至時刻T261において、端子LINa[m]に高電位の信号が入力されるため、端子SE_PWC[4]に入力された信号が端子SEa[m]から出力される。また、端子RS_PWC[4]に入力された信号が端子RSa[m]から出力される。さらに、端子CLK[4]に入力されるクロック信号が端子ROUTa[m]から出力される。
【0173】
以上のように、時刻T250において端子LINa[1]に入力されたスタートパルス信号が、時刻T251乃至時刻T261においてレジスタ回路Ra[1]からレジスタ回路Ra[m]まで順次伝送される。これに対応して、高電位の信号が端子SEa[1]乃至端子SEa[m]、及び端子RSa[1]乃至端子RSa[m]から順次出力される。よって、時刻T251乃至時刻T261は、図6に示す時刻T25乃至時刻T26に対応する。
【0174】
また、時刻T260において、端子LINb[1]に、スタートパルス信号として高電位の信号を入力する。時刻T260乃至時刻T266における端子LINb[1]乃至端子LINb[m]、端子CLK[1]乃至端子CLK[4]、端子SE_PWC[1]乃至端子SE_PWC[4]、端子RS_PWC[1]乃至端子RS_PWC[4]、端子SEb[1]乃至端子SEb[m]、及び端子RSb[1]乃至端子RSb[m]の電位変化は、時刻T250乃至時刻T261における端子LINa[1]乃至端子LINa[m]、端子CLK[1]乃至端子CLK[4]、端子SE_PWC[1]乃至端子SE_PWC[4]、端子RS_PWC[1]乃至端子RS_PWC[4]、端子SEa[1]乃至端子SEa[m]、及び端子RSa[1]乃至端子RSa[m]の電位変化と同様とすることができる。
【0175】
以上より、端子LINb[1]に入力されたスタートパルス信号は、時刻T261乃至時刻T266において、レジスタ回路Rb[1]からレジスタ回路Rb[m]まで順次伝送される。これに対応して、高電位の信号が端子SEb[1]乃至端子SEb[m]、及び端子RSb[1]乃至端子RSb[m]から順次出力される。よって、時刻T261乃至時刻T266は、図6に示す時刻T26乃至時刻T27に対応する。
【0176】
図11は、図6に示す時刻T35乃至時刻T36における、ロードライバ回路14a、及びロードライバ回路14bの駆動方法の一例を示すタイミングチャートである。図11に示す時刻T350乃至時刻T356において、端子LINb[1]にスタートパルス信号は入力されない。それ以外は、時刻T350乃至時刻T356における各端子の電位変動は、図10に示す時刻T250乃至時刻T261における各端子の電位変動と同様とすることができる。
【0177】
前述のように、図6に示す時刻T35乃至時刻T36の長さは、時刻T25乃至時刻T26の長さより長いことが好ましい。よって、図11に示す時刻T350乃至時刻T356の長さは、図10に示す時刻T250乃至時刻T261の長さより長いことが好ましい。
【0178】
<読み出し回路の構成例>
図12Aは、読み出し回路15の構成例を示すブロック図である。なお、読み出し回路15とカラムドライバ回路16との接続関係を示すため、図12Aにはカラムドライバ回路16も示している。
【0179】
読み出し回路15は、シフトレジスタ回路41と、スイッチ回路42と、信号出力回路43aと、信号出力回路43bと、を有する。
【0180】
シフトレジスタ回路41は、端子COUT<1>乃至端子COUT<p>(pは2以上の整数)を介してスイッチ回路42と電気的に接続される。スイッチ回路42は、端子MUX_SEa<1>乃至端子MUX_SEa<p>を介して信号出力回路43aと電気的に接続され、端子MUX_SEb<1>乃至端子MUX_SEb<p>を介して信号出力回路43bと電気的に接続される。
【0181】
本明細書等において、例えば<1>、<p>等の符号を付記することにより、p個の端子等を区別する。また、例えば端子を表す符号に<p:1>が付記された場合は、1番目乃至p番目の端子であることを表す。
【0182】
スイッチ回路42は、端子SW_SE<1>、及び端子SW_SE<2>と電気的に接続される。信号出力回路43aは、端子WX[1]乃至端子WX[n/2]、及び端子MUX_OUTa<1>乃至MUX_OUTa<n/2p>と電気的に接続される。信号出力回路43bは、端子WX[n/2+1]乃至端子WX[n]、及び端子MUX_OUTb<1>乃至MUX_OUTa<n/2p>と電気的に接続される。
【0183】
ここで、端子SW_SE<1>及び端子SW_SE<2>は、スイッチ回路42の入力端子である。また、端子WX[1]乃至端子WX[n/2]は、信号出力回路43aの入力端子であり、端子MUX_OUTa<1>乃至端子MUX_OUTa<n/2p>は、信号出力回路43aの出力端子である。さらに、端子WX[n/2+1]乃至端子WX[n]は、信号出力回路43bの入力端子であり、端子MUX_OUTb<1>乃至端子MUX_OUTb<n/2p>は、信号出力回路43bの出力端子である。
【0184】
また、端子COUT<1>乃至端子COUT<p>は、シフトレジスタ回路41にとっては出力端子であり、スイッチ回路42にとっては入力端子である。また、端子MUX_SEa<1>乃至MUX_SEa<p>は、スイッチ回路42にとっては出力端子であり、信号出力回路43aにとっては入力端子である。さらに、端子MUX_SEb<1>乃至MUX_SEb<p>は、スイッチ回路42にとっては出力端子であり、信号出力回路43bにとっては入力端子である。
【0185】
シフトレジスタ回路41は、端子COUT<1>乃至端子COUT<p>から順次信号を出力する機能を有する。シフトレジスタ回路41の構成は、端子SEを端子COUTに置き換え、端子RSを設けないこと等により、例えば図7に示すロードライバ回路14の構成を適用することができる。
【0186】
スイッチ回路42は、端子COUT<1>乃至端子COUT<p>から入力された信号を、端子MUX_SEa<1>乃至MUX_SEa<p>、又は端子MUX_SEb<1>乃至MUX_SEb<p>の一方に出力する機能を有する。端子MUX_SEa<1>乃至MUX_SEa<p>、又は端子MUX_SEb<1>乃至MUX_SEb<p>のどちらに信号を出力するかは、端子SW_SE<1>及び端子SW_SE<2>に入力される信号に基づき決定することができる。例えば、端子SW_SE<1>に高電位の信号が供給され、端子SW_SE<2>に低電位の信号が供給された場合は、スイッチ回路42は、端子COUT<1>乃至端子COUT<p>から入力された信号を、端子MUX_SEa<1>乃至MUX_SEa<p>に出力することができる。一方、端子SW_SE<1>に低電位の信号が供給され、端子SW_SE<2>に高電位の信号が供給された場合は、スイッチ回路42は、端子COUT<1>乃至端子COUT<p>から入力された信号を、端子MUX_SEb<1>乃至MUX_SEb<p>に出力することができる。
【0187】
信号出力回路43aは、端子MUX_SEa<1>乃至端子MUX_SEa<p>から入力される信号に基づき、端子WX[1]乃至端子WX[n/2]から入力される信号の一部を、端子MUX_OUTa<1>乃至端子MUX_OUTa<n/2p>から出力する機能を有する。信号出力回路43bは、端子MUX_SEb<1>乃至端子MUX_SEb<p>から入力される信号に基づき、端子WX[n/2+1]乃至端子WX[n]から入力される信号の一部を、端子MUX_OUTb<1>乃至端子MUX_OUTb<n/2p>から出力する機能を有する。詳細は後述するが、信号出力回路43a、及び信号出力回路43bは、マルチプレクサ回路を有する構成とすることができる。
【0188】
読み出し回路15を図12Aに示す構成とすることにより、端子SW_SE<1>及び端子SW_SE<2>からスイッチ回路42に入力される信号に基づき、1乃至n/2列目の画素30と、n/2+1乃至n列目の画素30と、の一方からのみ撮像データを読み出すことができる。これにより、表示部11を、行方向だけでなく列方向に分割することができる。具体的には、表示部11を、列方向に2つに分割することができる。
【0189】
なお、図12Aに示す読み出し回路15では、2つの端子SW_SEがスイッチ回路42と電気的に接続されるが、3つ以上の端子SW_SEがスイッチ回路42と電気的に接続されてもよい。例えば、3つの端子SW_SEがスイッチ回路42と電気的に接続される場合、読み出し回路15は信号出力回路43を3個有することができ、表示部11を、列方向に3つに分割することができる。
【0190】
図12B1は、読み出し回路15が図12Aに示す構成である場合の、図5A等に示すステップS2における表示装置10の動作の一例を示す模式図である。図12B1に示すように、表示部11を例えば2行2列に分割することができる。ここで、左上の表示部11を表示部11aaとし、右上の表示部11を表示部11abとし、左下の表示部11を表示部11baとし、右下の表示部11を表示部11bbとする。図12B1に示すように、ステップS2では、表示部11aaに設けられる画素30、表示部11abに設けられる画素30、表示部11baに設けられる画素30、及び表示部11bbに設けられる画素30の全てに対して、ロードライバ回路14による走査を行う。図12B1に示す例では、ステップS2において、表示部11abに指31が接触していることが検出されたものとする。
【0191】
図12B2は、読み出し回路15が図12Aに示す構成である場合の、ステップS5における表示装置10の動作の一例を示す模式図である。図12B2に示す例では、指31が接触している表示部11abが選択されたものとする。図12B2では、表示部11abにハッチングを付し、表示部11aa、表示部11ba、及び表示部11bbにハッチングを付さないことにより、表示部11abが選択されたことを示している。図12B2に示す例では、例えばロードライバ回路14aにのみスタートパルス信号を供給し、且つ端子SW_SE<1>に低電位を、端子SW_SE<2>に高電位を供給する。これにより、表示部11abが有する画素30が取得した撮像データID2のみを読み出すことができる。よって、表示装置10の消費電力を小さくすることができる。
【0192】
前述のように、撮像データID2の読み出しにより、指紋認証等の認証を行うことができる。図12B2に示す例では、指紋32が検出され、指紋32に基づき表示装置10による認証が行われるものとする。
【0193】
図13は、スイッチ回路42の構成例を示す回路図である。図13に示すように、スイッチ回路42は、回路44a、及び回路44bを有する。回路44aは、トランジスタTr41a<1>乃至トランジスタTr41a<p>と、トランジスタTr42a<1>乃至トランジスタTr42a<p>と、を有する。回路44bは、トランジスタTr41b<1>乃至トランジスタTr41b<p>と、トランジスタTr42b<1>乃至トランジスタTr42b<p>と、を有する。なお、スイッチ回路42は、トランジスタTr41a<1>乃至トランジスタTr41a<p>、及びトランジスタTr41b<1>乃至トランジスタTr41b<p>を有さなくてもよい。
【0194】
端子SW_SE<1>は、トランジスタTr41a<1>乃至トランジスタTr41a<p>のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタTr41a<1>乃至トランジスタTr41a<p>のソース又はドレインの他方には、トランジスタTr42a<1>乃至トランジスタTr42a<p>のゲートが順に電気的に接続される。端子SW_SE<2>は、トランジスタTr41b<1>乃至トランジスタTr41b<p>のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタTr41b<1>乃至トランジスタTr41b<p>のソース又はドレインの他方には、トランジスタTr42b<1>乃至トランジスタTr42b<p>のゲートが順に電気的に接続される。ここで、トランジスタTr41a<1>乃至トランジスタTr41a<p>のゲート、及びトランジスタTr41b<1>乃至トランジスタTr41b<p>のゲートには、電位VDDを供給することができる。
【0195】
端子COUT<1>乃至端子COUT<p>には、トランジスタTr42a<1>乃至トランジスタTr42a<p>のソース又はドレインの一方が順に電気的に接続され、またトランジスタTr42b<1>乃至トランジスタTr42b<p>のソース又はドレインの一方が順に電気的に接続される。トランジスタTr42a<1>乃至トランジスタTr42a<p>のソース又はドレインの他方には、端子MUX_SEa<1>乃至端子MUX_SEa<p>が順に電気的に接続される。トランジスタTr42b<1>乃至トランジスタTr42b<p>のソース又はドレインの他方には、端子MUX_SEb<1>乃至端子MUX_SEb<p>が順に電気的に接続される。
【0196】
スイッチ回路42が図13に示す構成である場合、端子SW_SE<1>に高電位を供給すると、トランジスタTr42a<1>乃至トランジスタTr42a<p>のゲートに高電位が供給される。これにより、トランジスタTr42a<1>乃至トランジスタTr42a<p>が導通状態となり、端子COUT<1>乃至端子COUT<p>からスイッチ回路42に入力された信号が、端子MUX_SEa<1>乃至端子MUX_SEa<p>から出力される。一方、端子SW_SE<2>に高電位を供給すると、トランジスタTr42b<1>乃至トランジスタTr42b<p>のゲートに高電位が供給される。これにより、トランジスタTr42b<1>乃至トランジスタTr42b<p>が導通状態となり、端子COUT<1>乃至端子COUT<p>からスイッチ回路42に入力された信号が、端子MUX_SEb<1>乃至端子MUX_SEb<p>から出力される。
【0197】
なお、3つ以上の端子SW_SEがスイッチ回路42と電気的に接続される場合、スイッチ回路42に回路44を3つ以上設ける。例えば、3つの端子SW_SEがスイッチ回路42と電気的に接続される場合、スイッチ回路42に回路44を3つ設けることができる。
【0198】
図14A1は、信号出力回路43aの構成例を示すブロック図である。信号出力回路43aは、マルチプレクサ回路MUXa<1>乃至マルチプレクサ回路MUXa<n/2p>を有する。
【0199】
マルチプレクサ回路MUXaは、p個の選択信号入力端子と、p個の入力端子と、1個の出力端子を有する構成とすることができる。マルチプレクサ回路MUXa<1>乃至マルチプレクサ回路MUXa<n/2p>の選択信号入力端子は、端子MUX_SEa<1>乃至端子MUX_SEa<p>とすることができる。
【0200】
マルチプレクサ回路MUXaの入力端子は、p個の端子WXとすることができる。例えば、マルチプレクサ回路MUXa<1>の入力端子は、端子WX[1]乃至端子WX[p]とすることができる。また、マルチプレクサ回路MUXa<2>の入力端子は、端子WX[p+1]乃至端子WX[2p]とすることができる。さらに、マルチプレクサ回路MUXa<n/2p>の入力端子は、端子WX[n/2-p+1]乃至端子WX[n/2]とすることができる。
【0201】
マルチプレクサ回路MUXaの出力端子は、端子MUX_OUTaとすることができる。例えば、マルチプレクサ回路MUXa<1>の出力端子は、端子MUX_OUTa<1>とすることができる。また、マルチプレクサ回路MUXa<2>の出力端子は、端子MUX_OUTa<2>とすることができる。さらに、マルチプレクサ回路MUXa<n/2p>の出力端子は、端子MUX_OUTa<n/2p>とすることができる。
【0202】
図14A2は、信号出力回路43bの構成例を示すブロック図である。信号出力回路43bは、マルチプレクサ回路MUXb<1>乃至マルチプレクサ回路MUXb<n/2p>を有する。マルチプレクサ回路MUXbは、マルチプレクサ回路MUXaと同様の構成とすることができる。
【0203】
マルチプレクサ回路MUXb<1>乃至マルチプレクサ回路MUXb<n/2p>の選択信号入力端子は、端子MUX_SEb<1>乃至端子MUX_SEb<p>とすることができる。
【0204】
マルチプレクサ回路MUXbの入力端子は、p個の端子WXとすることができる。例えば、マルチプレクサ回路MUXb<1>の入力端子は、端子WX[n/2+1]乃至端子WX[n/2+p]とすることができる。また、マルチプレクサ回路MUXb<2>の入力端子は、端子WX[n/2+p+1]乃至端子WX[n/2+2p]とすることができる。さらに、マルチプレクサ回路MUXb<n/2p>の入力端子は、端子WX[n-p+1]乃至端子WX[n]とすることができる。
【0205】
マルチプレクサ回路MUXbの出力端子は、端子MUX_OUTbとすることができる。例えば、マルチプレクサ回路MUXb<1>の出力端子は、端子MUX_OUTb<1>とすることができる。また、マルチプレクサ回路MUXb<2>の出力端子は、端子MUX_OUTb<2>とすることができる。さらに、マルチプレクサ回路MUXb<n/2p>の出力端子は、端子MUX_OUTb<n/2p>とすることができる。
【0206】
図14Bは、マルチプレクサ回路MUXa<1>の構成例を示す回路図である。マルチプレクサ回路MUXa<1>は、トランジスタTr43[1]乃至トランジスタTr43[p]を有する。
【0207】
トランジスタTr43[1]乃至トランジスタTr43[p]のゲートには、端子MUX_SEa<1>乃至端子MUX_SEa<p>が順に電気的に接続される。トランジスタTr43[1]乃至トランジスタTr43[p]のソース又はドレインの一方には、端子WX[1]乃至端子WX[p]が順に電気的に接続される。トランジスタTr43[1]乃至トランジスタTr43[p]のソース又はドレインの他方には、端子MUX_OUTa<1>が電気的に接続される。
【0208】
図14Bに示す構成のマルチプレクサ回路MUXa<1>は、端子MUX_SEa<1>乃至端子MUX_SEa<p>に順次高電位を供給することにより、端子WX[1]乃至端子WX[p]に入力された信号を端子MUX_OUTa<1>から順次出力することができる。
【0209】
なお、マルチプレクサ回路MUXa<2>乃至マルチプレクサ回路MUXa<n/2p>、及びマルチプレクサ回路MUXb<1>乃至マルチプレクサ回路MUXb<n/2p>の構成は、電気的に接続される端子が異なる他は、マルチプレクサ回路MUXa<1>と同様の構成とすることができる。
【0210】
<認証方法の一例>
ここまでは、認証として指紋認証を行う例を説明したが、本発明の一態様はこれに限らない。図15A乃至図15Dは、電子機器50が、指紋認証以外の方法で認証を行う例を示す模式図である。ここで、電子機器50は、表示部11を有する。電子機器50は、例えばスマートフォン、又はタブレット等の情報端末機器とすることができる。
【0211】
図15Aは、指31が表示部11上の地点33と接している様子を示している。図15Bは、指31が地点33から地点34に移動した様子を示している。ここで、図15Bに示すように、地点33から地点34までの指31の軌跡36には個人差がある。よって、軌跡36を用いて認証を行うことができる。例えば、電子機器50が、地点33と地点34を指定し、地点33から地点34まで指31を移動させることにより、軌跡36を取得することができる。なお、例えば地点33、及び地点34の位置は指定しなくてもよい。この場合、例えば指31等の物体が表示部11に接触した地点を地点33とし、地点33に接触してから一定時間経過後に指31等の物体が接触している地点を地点34として、電子機器50が軌跡36を取得することができる。また、地点33の位置、又は地点34の位置の一方のみを電子機器50が指定してもよい。
【0212】
なお、図15A、及び図15Bでは、1本の指31が表示部11と接しているが、2本以上の指31が表示部11と接してもよい。この場合、地点33、及び地点34が、表示部11にそれぞれ2箇所以上設けられる。例えば、2本の指31が表示部11と接する場合、地点33、及び地点34が、表示部11にそれぞれ2箇所設けられる。
【0213】
図15Cは、電子機器50のユーザーが電子機器50を掴んでいる様子を示している。ここで、電子機器50は筐体37を有し、電子機器50のユーザーは筐体37を掴むことができる。図15Dは、電子機器50のユーザーが電子機器50を掴んだ際の、筐体37における接触領域35を示している。接触領域35は、例えば指が接触している領域とすることができる。
【0214】
人間の手の大きさ、指の長さ、物の掴み方等には、個人差がある。よって、電子機器50を掴んだ場合の接触領域35の位置、及び範囲等は、個人差がある。したがって、電子機器50は、接触領域35を用いて認証を行うことができる。例えば、電子機器50は、接触領域35の位置、及び範囲等を用いて認証を行うことができる。また、互いに離隔した複数の接触領域35が含まれる場合は、接触領域35同士の位置関係、距離等も認証に用いることができる。
【0215】
なお、図15Dでは、接触領域35を電子機器50の側面のみとしているが、例えば電子機器50のユーザーの手が電子機器50の背面に接触している場合は、筐体37の背面におけるユーザーの手の接触領域も接触領域35とし、認証に用いてもよい。ここで、電子機器50における、表示部11が設けられる面を前面とし、表示部11が設けられる面と反対の面を背面とする。よって、電子機器50の側面、及び背面は、筐体37に覆われた構成とすることができる。図15C、及び図15D等には示していないが、電子機器50の側面には操作ボタン等を設けることができ、電子機器50を掴んだユーザーは、当該操作ボタンを押すことにより電子機器50を操作することができる。
【0216】
図16は、電子機器50が有する表示装置である、表示装置10Aの構成例を示すブロック図である。表示装置10Aは、図1に示す表示装置10が有する画素、及び回路等の他、演算回路18を有する。また、表示装置10Aの外部に、演算装置51を設けることができる。演算装置51は、電子機器50の外部に設けることができる。なお、表示装置10Aは、表示部11と、ゲートドライバ回路13と、ロードライバ回路14と、をそれぞれ1つずつ有する構成としてもよい。つまり、表示部11を、図1に示す表示装置10のように分割しなくてもよい。
【0217】
演算回路18は、例えば指紋32、軌跡36、又は接触領域35等に基づき、認証を行う機能を有する。具体的には、これらの情報に基づき、電子機器50のユーザーが、登録された者であるか否かを判定する機能を有する。ここで、詳細は後述するが、演算回路18は、機械学習を用いて認証を行う機能を有する。よって、演算回路18は、機械学習演算回路である。
【0218】
演算装置51は、機械学習モデルを生成する機能を有する。演算装置51が生成した機械学習モデルは、演算回路18に供給され、演算回路18は当該機械学習モデルを用いて演算を行うことができる。機械学習モデルとして、ニューラルネットワークモデル、多層パーセプトロン、又は、サポートベクターマシン等を適用することができる。特に、ニューラルネットワークモデルを用いると、高い精度で認証を行うことができるため好ましい。
【0219】
ここで、演算装置51は、サーバ等、高い演算能力を有する機器に設けることが好ましい。機械学習モデルの生成は、学習によって行われる。一方、機械学習モデルを用いた認証は、推論によって行われる。学習の際に必要となる演算量は、推論の際に必要となる演算量より多い。よって、表示装置10Aの外部に設けられた、演算能力が高い演算装置51によって機械学習モデルの生成を行うことにより、演算回路18が機械学習モデルを生成する場合と比較して、演算回路18の負荷を小さくすることができる。なお、演算回路18の演算能力が十分高い場合は、演算回路18が機械学習モデルの生成を行ってもよい。
【0220】
図17Aは、演算装置51による機械学習モデルMLMの生成、つまり学習について示す模式図である。当該学習は、例えば教師あり学習とすることができる。
【0221】
例えば、指紋32Lと、地点33Lから地点34Lまでの指等の軌跡36Lと、接触領域35Lと、の少なくとも1つを学習データ52とする。また、表示装置10Aが設けられる電子機器50のユーザーであるか否か(OK or NG)を正解ラベル53とする。そして、演算装置51が、正解ラベル53を学習データ52に紐づけて学習を行うことにより、機械学習モデルMLMを生成することができる。機械学習モデルMLMには、例えば重み係数に関する情報が含まれる。
【0222】
図17Bは、演算回路18による、機械学習モデルMLMを用いた認証、つまり推論について示す模式図である。指紋32と、地点33から地点34までの指等の軌跡36と、接触領域35と、の少なくとも1つを、入力データ55として機械学習モデルMLMが構築された演算回路18に入力する。これにより、電子機器50のユーザーの認証を、機械学習モデルMLMを用いた推論により行うことができる。ユーザー認証の結果を表す出力データ56は、演算回路18から出力される。
【0223】
以上が機械学習を用いた認証の方法の一例である。指紋32だけでなく、軌跡36又は接触領域35に基づき、機械学習を用いて認証を行うことにより、高い精度で認証を行うことができる。よって、指紋32の検出に用いる撮像データの読み出しを短時間で行っても、表示装置10Aは高い精度で認証を行うことができる。例えば、図5Aに示す方法で表示装置10Aを駆動させる場合、撮像データID2の読み出しを短時間で行っても、表示装置10Aは高い精度で認証を行うことができる。
【0224】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、又は図面等と適宜組み合わせることができる。
【0225】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0226】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置について説明する。
【0227】
<表示装置の構成例_2-1>
図18Aに、表示装置200の模式図を示す。表示装置200は、基板201、基板202、受光素子212、発光素子211R、発光素子211G、発光素子211B、機能層203等を有する。
【0228】
発光素子211R、発光素子211G、発光素子211B、及び受光素子212は、基板201と基板202の間に設けられている。発光素子211R、発光素子211G、及び発光素子211Bは、それぞれ赤色(R)、緑色(G)、又は青色(B)の光を発する。なお以下では、発光素子211R、発光素子211G、及び発光素子211Bを区別しない場合に、発光素子211と記載する場合がある。
【0229】
表示装置200は、マトリクス状に配置された複数の画素を有する。1つの画素は、1つ以上の副画素を有する。1つの副画素は、1つの発光素子を有する。例えば、画素には、副画素を3つ有する構成(R、G、Bの3色、又は、黄色(Y)、シアン(C)、及びマゼンタ(M)の3色等)、又は、副画素を4つ有する構成(R、G、B、白色(W)の4色、又は、R、G、B、Yの4色等)を適用できる。さらに、画素は、受光素子212を有する。受光素子212は、全ての画素に設けられていてもよく、一部の画素に設けられていてもよい。また、1つの画素が複数の受光素子212を有してもよい。
【0230】
図18Aには、基板202の表面に指220が触れる様子を示している。発光素子211Gが発する光の一部は、基板202と指220との接触部で反射される。そして、反射光の一部が受光素子212に入射されることにより、指220が基板202に接触したことを検出することができる。すなわち、表示装置200はタッチパネルとして機能することができる。
【0231】
機能層203は、発光素子211R、発光素子211G、発光素子211Bを駆動する回路、及び受光素子212を駆動する回路を有する。機能層203には、スイッチ、トランジスタ、容量、配線等が設けられる。なお、発光素子211R、発光素子211G、発光素子211B、及び受光素子212をパッシブマトリクス方式で駆動させる場合には、スイッチ又はトランジスタを設けない構成としてもよい。
【0232】
表示装置200は、指220の指紋を検出する機能を有することが好ましい。図18Bには、基板202に指220が触れている状態における接触部の拡大図を模式的に示している。また、図18Bには、交互に配列した発光素子211と受光素子212を示している。
【0233】
指220は凹部及び凸部により指紋が形成されている。そのため、図18Bに示すように指紋の凸部が基板202に触れている。
【0234】
ある表面又は界面から反射される光には、正反射と拡散反射とがある。正反射光は入射角と反射角が一致する、指向性の高い光であり、拡散反射光は、強度の角度依存性が低い、指向性の低い光である。指220の表面から反射される光は、正反射と拡散反射のうち拡散反射の成分が支配的となる。一方、基板202と大気との界面から反射される光は、正反射の成分が支配的となる。
【0235】
指220と基板202との接触面又は非接触面で反射され、これらの直下に位置する受光素子212に入射される光の強度は、正反射光と拡散反射光とを足し合わせたものとなる。上述のように指220の凹部では基板202と指220が接触しないため、正反射光(実線矢印で示す)が支配的となり、凸部ではこれらが接触するため、指220からの拡散反射光(破線矢印で示す)が支配的となる。したがって、凹部の直下に位置する受光素子212で受光する光の強度は、凸部の直下に位置する受光素子212よりも高くなる。これにより、指220の指紋を撮像することができる。
【0236】
受光素子212の配列間隔は、指紋の2つの凸部間の距離、好ましくは隣接する凹部と凸部間の距離よりも小さい間隔とすることで、鮮明な指紋の画像を取得することができる。人の指紋の凹部と凸部の間隔は概ね150μmから250μmの間であることから、例えば受光素子212の配列間隔は、400μm以下、好ましくは200μm以下、より好ましくは150μm以下、さらに好ましくは120μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらに好ましくは50μm以下とする。配列間隔は小さいほど好ましいが、例えば1μm以上、10μm以上、又は20μm以上とすることができる。
【0237】
表示装置200で撮像した指紋の画像の例を図18Cに示す。図18Cには、撮像範囲223内に、指220の輪郭を破線で、接触部221の輪郭を一点鎖線で示している。接触部221内において、受光素子212に入射する光量の違いによって、コントラストの高い指紋222を撮像することができる。
【0238】
表示装置200は、タッチパネル、又はペンタブレットとしても機能させることができる。図18Dには、スタイラス225の先端を基板202に接触させた状態で、破線矢印の方向に滑らせている様子を示している。
【0239】
図18Dに示すように、スタイラス225の先端と、基板202の接触面で拡散される拡散反射光が、当該接触面と重なる部分に位置する受光素子212に入射することで、スタイラス225の先端の位置を高精度に検出することができる。
【0240】
図18Eには、表示装置200で検出したスタイラス225の軌跡226の例を示している。表示装置200は、高い位置精度でスタイラス225等の被検出体の位置検出を行うことができるため、描画アプリケーション等において、高精細な描画を行うこともできる。また、静電容量式のタッチセンサ、又は電磁誘導型のタッチペン等を用いた場合とは異なり、絶縁性の高い被検出体であっても位置検出ができるため、スタイラス225の先端部の材料は問われず、様々な筆記用具(例えば筆、ガラスペン、羽ペン等)を用いることもできる。
【0241】
ここで、図18F乃至図18Hに、表示装置200に適用できる画素の一例を示す。
【0242】
図18F、及び図18Gに示す画素は、それぞれ赤色(R)の発光素子211R、緑色(G)の発光素子211G、青色(B)の発光素子211B、及び受光素子212を有する。画素は、それぞれ発光素子211R、発光素子211G、発光素子211B、及び受光素子212を駆動するための画素回路を有する。
【0243】
図18Fは、2×2のマトリクス状に、3つの発光素子と1つの受光素子が配置されている例である。図18Gは、3つの発光素子が一列に配列し、その下側に、横長の1つの受光素子212が配置されている例である。
【0244】
図18Hに示す画素は、白色(W)の発光素子211Wを有する例である。ここでは、4つの発光素子が一列に配置され、その下側に受光素子212が配置されている。
【0245】
なお、画素の構成は上記に限られず、様々な配置方法を採用することができる。
【0246】
以下では、可視光を呈する発光素子と、赤外光を呈する発光素子と、受光素子と、を備える構成の例について説明する。
【0247】
図19Aに示す表示装置200Aは、図18Aで例示した構成に加えて、発光素子211IRを有する。発光素子211IRは、赤外光IRを発する発光素子である。またこのとき、受光素子212には、少なくとも発光素子211IRが発する赤外光IRを受光することのできる素子を用いることが好ましい。また、受光素子212として、可視光と赤外光の両方を受光することのできる素子を用いることがより好ましい。
【0248】
図19Aに示すように、基板202に指220が触れると、発光素子211IRから発せられた赤外光IRが指220により反射され、当該反射光の一部が受光素子212に入射されることにより、指220の位置情報を表示装置200Aが取得することができる。
【0249】
図19B乃至図19Dに、表示装置200Aに適用できる画素の一例を示す。
【0250】
図19Bは、3つの発光素子が一列に配列し、その下側に、発光素子211IRと、受光素子212とが横に並んで配置されている例である。また、図19Cは、発光素子211IRを含む4つの発光素子が一列に配列し、その下側に、受光素子212が配置されている例である。
【0251】
また、図19Dは、発光素子211IRを中心にして、四方に3つの発光素子と、受光素子212が配置されている例である。
【0252】
なお、図19B乃至図19Dに示す画素において、発光素子同士、及び発光素子と受光素子とは、それぞれの位置を交換することができる。
【0253】
以下では、可視光を呈する発光素子と、可視光を呈し、且つ可視光を受光する受発光素子と、を備える構成の例について説明する。
【0254】
図20Aに示す表示装置200Bは、発光素子211B、発光素子211G、及び受発光素子213Rを有する。受発光素子213Rは、赤色(R)の光を発する発光素子としての機能と、可視光を受光する光電変換素子としての機能と、を有する。図20Aでは、受発光素子213Rが、発光素子211Gが発する緑色(G)の光を受光する例を示している。なお、受発光素子213Rは、発光素子211Bが発する青色(B)の光を受光してもよい。また、受発光素子213Rは、緑色の光と青色の光の両方を受光してもよい。
【0255】
例えば、受発光素子213Rは、自身が発する光よりも短波長の光を受光することが好ましい。又は、受発光素子213Rは、自身が発する光よりも長波長の光(例えば赤外光)を受光する構成としてもよい。受発光素子213Rは、自身が発する光と同程度の波長の光を受光する構成としてもよいが、その場合は自身が発する光をも受光してしまい、発光効率が低下してしまう恐れがある。そのため、受発光素子213Rは、発光スペクトルのピークと、吸収スペクトルのピークとができるだけ重ならないように構成されることが好ましい。
【0256】
また、ここでは受発光素子が発する光は、赤色の光に限られない。また、発光素子が発する光も、緑色の光と青色の光の組み合わせに限定されない。例えば受発光素子として、緑色又は青色の光を発し、且つ、自身が発する光とは異なる波長の光を受光する素子とすることができる。
【0257】
このように、受発光素子213Rが、発光素子と受光素子とを兼ねることにより、一画素に配置する素子の数を減らすことができる。そのため、高精細化、高開口率化、及び高解像度化等が容易となる。
【0258】
図20B乃至図20Iに、表示装置200Bに適用できる画素の一例を示す。
【0259】
図20Bは、受発光素子213R、発光素子211G、及び発光素子211Bが一列に配列されている例である。図20Cは、発光素子211Gと発光素子211Bが縦方向に交互に配列し、これらの横に受発光素子213Rが配置されている例である。
【0260】
図20Dは、2×2のマトリクス状に、3つの発光素子(発光素子211G、発光素子211B、及び発光素子211X)と一つの受発光素子が配置されている例である。発光素子211Xは、R、G、B以外の光を呈する素子である。R、G、B以外の光としては、白色(W)、黄色(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、赤外光(IR)、紫外光(UV)等の光が挙げられる。発光素子211Xが赤外光を呈する場合、受発光素子は、赤外光を検出する機能、又は、可視光及び赤外光の双方を検出する機能を有することが好ましい。センサの用途に応じて、受発光素子が検出する光の波長を決定することができる。
【0261】
図20Eには、2つ分の画素を示している。点線で囲まれた3つの素子を含む領域が1つの画素に相当する。画素はそれぞれ発光素子211G、発光素子211B、及び受発光素子213Rを有する。図20Eに示す左の画素では、受発光素子213Rと同じ行に発光素子211Gが配置され、受発光素子213Rと同じ列に発光素子211Bが配置されている。図20Eに示す右の画素では、受発光素子213Rと同じ行に発光素子211Gが配置され、発光素子211Gと同じ列に発光素子211Bが配置されている。図20Eに示す画素レイアウトでは、奇数行と偶数行のいずれにおいても、受発光素子213R、発光素子211G、及び発光素子211Bが繰り返し配置されており、且つ、各列において、奇数行と偶数行では互いに異なる色の発光素子又は受発光素子が配置される。
【0262】
図20Fには、ペンタイル配列が適用された4つの画素を示しており、隣接する2つの画素は組み合わせの異なる2色の光を呈する発光素子又は受発光素子を有する。なお、図20Fでは、発光素子又は受発光素子の上面形状を示している。
【0263】
図20Fに示す左上の画素と右下の画素は、受発光素子213Rと発光素子211Gを有する。また右上の画素と左下の画素は、発光素子211Gと発光素子211Bを有する。すなわち、図20Fに示す例では、各画素に発光素子211Gが設けられている。
【0264】
発光素子及び受発光素子の上面形状は特に限定されず、円、楕円、多角形、角の丸い多角形等とすることができる。図20F等では、発光素子及び受発光素子の上面形状として、略45度傾いた正方形(ひし形)である例を示している。なお、各色の発光素子及び受発光素子の上面形状は、互いに異なっていてもよく、一部又は全ての色で同じであってもよい。
【0265】
また、各色の発光素子及び受発光素子の発光領域(又は受発光領域)のサイズは、互いに異なっていてもよく、一部又は全ての色で同じであってもよい。例えば図20Fにおいて、各画素に設けられる発光素子211Gの発光領域の面積を他の素子の発光領域(又は受発光領域)の面積よりも小さくしてもよい。
【0266】
図20Gは、図20Fに示す画素配列の変形例である。具体的には、図20Gの構成は、図20Fの構成を45度回転させることで得られる。図20Fでは、1つの画素に2つの素子を有するとして説明したが、図20Gに示すように、4つの素子により1つの画素が構成されていると捉えることもできる。
【0267】
図20Hは、図20Fに示す画素配列の変形例である。図20Hに示す左上の画素と右下の画素は、受発光素子213Rと発光素子211Gを有する。また右上の画素と左下の画素は、受発光素子213Rと発光素子211Bを有する。すなわち、図20Hに示す例では、各画素に受発光素子213Rが設けられている。各画素に受発光素子213Rが設けられているため、図20Hに示す構成は、図20Fに示す構成に比べて、高い精細度で撮像を行うことができる。これにより、例えば、認証の精度を高めることができる。
【0268】
図20Iは、図20Hで示す画素配列の変形例であり、当該画素配列を45度回転させることで得られる構成である。
【0269】
図20Iでは、4つの素子(2つの発光素子と2つの受発光素子)により1つの画素が構成されることとして説明を行う。このように、1つの画素が、受光機能を有する受発光素子を複数有することで、高い精細度で撮像を行うことができる。したがって、認証の精度を高めることができる。例えば、撮像の精細度を、表示の精細度のルート2倍とすることができる。
【0270】
図20H又は図20Iに示す構成が適用された表示装置は、p個(pは2以上の整数)の第1の発光素子と、q個(qは2以上の整数)の第2の発光素子と、r個(rはpより大きく、qより大きい整数)の受発光素子と、を有する。pとrはr=2pを満たす。また、p、q、rはr=p+qを満たす。第1の発光素子と第2の発光素子のうち一方が緑色の光を発し、他方が青色の光を発する。受発光素子は、赤色の光を発し、且つ、受光機能を有する。
【0271】
例えば、受発光素子を用いて、タッチ操作の検出を行う場合、光源からの発光がユーザーに視認されにくいことが好ましい。青色の光は、緑色の光よりも視認性が低いため、青色の光を発する発光素子を光源とすることが好ましい。したがって、受発光素子は、青色の光を受光する機能を有することが好ましい。なお、これに限られず、受発光素子の感度に応じて、光源とする発光素子を適宜選択することができる。
【0272】
以上のように、本実施の形態の表示装置には、様々な配列の画素を適用することができる。
【0273】
<デバイス構造>
次に、本発明の一態様の表示装置に用いることができる、発光素子、受光素子、及び受発光素子の詳細な構成例について説明する。
【0274】
本発明の一態様の表示装置は、発光素子が形成されている基板とは反対方向に光を射出するトップエミッション型、発光素子が形成されている基板側に光を射出するボトムエミッション型、両面に光を射出するデュアルエミッション型のいずれであってもよい。
【0275】
本実施の形態では、トップエミッション型の表示装置を例に挙げて説明する。
【0276】
なお、本明細書等において、特に説明のない限り、要素(発光素子、発光層等)を複数有する構成を説明する場合であっても、各々の要素に共通する事項を説明する場合には、アルファベットを省略して説明する。例えば、発光層283R及び発光層283G等に共通する事項を説明する場合に、発光層283と記す場合がある。
【0277】
図21Aに示す表示装置280Aは、受光素子270PD、赤色(R)の光を発する発光素子270R、緑色(G)の光を発する発光素子270G、及び、青色(B)の光を発する発光素子270Bを有する。
【0278】
各発光素子は、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、発光層283、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。発光素子270Rは、発光層283Rを有し、発光素子270Gは、発光層283Gを有し、発光素子270Bは、発光層283Bを有する。発光層283Rは、赤色の光を発する発光物質を有し、発光層283Gは、緑色の光を発する発光物質を有し、発光層283Bは、青色の光を発する発光物質を有する。
【0279】
発光素子は、画素電極271と共通電極275との間に電圧を印加することで、共通電極275側に光を射出する電界発光素子である。
【0280】
受光素子270PDは、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、活性層273、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。
【0281】
受光素子270PDは、表示装置280Aの外部から入射される光を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。
【0282】
本実施の形態では、発光素子及び受光素子のいずれにおいても、画素電極271が陽極として機能し、共通電極275が陰極として機能するものとして説明する。つまり、受光素子は、画素電極271と共通電極275との間に逆バイアスをかけて駆動することで、受光素子に入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0283】
本実施の形態の表示装置では、受光素子270PDの活性層273に有機化合物を用いる。受光素子270PDは、活性層273以外の層を、発光素子と共通の構成にすることができる。そのため、発光素子の作製工程に、活性層273を成膜する工程を追加するのみで、発光素子の形成と並行して受光素子270PDを形成することができる。また、発光素子と受光素子270PDとを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子270PDを内蔵することができる。
【0284】
表示装置280Aでは、受光素子270PDの活性層273と、発光素子の発光層283と、を作り分ける以外は、受光素子270PDと発光素子が共通の構成である例を示す。ただし、受光素子270PDと発光素子の構成はこれに限定されない。受光素子270PDと発光素子は、活性層273と発光層283のほかにも、互いに作り分ける層を有してもよい。受光素子270PDと発光素子は、共通で用いられる層(共通層)を1層以上有することが好ましい。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置に受光素子270PDを内蔵することができる。
【0285】
画素電極271と共通電極275のうち、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0286】
本実施の形態の表示装置が有する発光素子には、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。したがって、発光素子が有する一対の電極の一方は、可視光に対する透過性及び反射性を有する電極(半透過・半反射電極)を有することが好ましく、他方は、可視光に対する反射性を有する電極(反射電極)を有することが好ましい。発光素子がマイクロキャビティ構造を有することで、発光層から得られる発光を両電極間で共振させ、発光素子から射出される光を強めることができる。
【0287】
なお、半透過・半反射電極は、反射電極と可視光に対する透過性を有する電極(透明電極ともいう)との積層構造とすることができる。
【0288】
透明電極の光の透過率は、40%以上とする。例えば、発光素子には、可視光(波長400nm以上750nm未満の光)の透過率が40%以上である電極を用いることが好ましい。半透過・半反射電極の可視光の反射率は、10%以上95%以下、好ましくは30%以上80%以下とする。反射電極の可視光の反射率は、40%以上100%以下、好ましくは70%以上100%以下とする。また、これらの電極の抵抗率は、1×10-2Ωcm以下が好ましい。なお、発光素子が近赤外光(波長750nm以上1300nm以下の光)を発する場合、これらの電極の近赤外光の透過率又は反射率は、可視光の透過率又は反射率と同様に、上記の数値範囲を満たすことが好ましい。
【0289】
発光素子は少なくとも発光層283を有する。発光素子は、発光層283以外の層として、正孔注入性の高い物質、正孔輸送性の高い物質、正孔ブロック材料、電子輸送性の高い物質、電子注入性の高い物質、又はバイポーラ性の物質(電子輸送性及び正孔輸送性が高い物質)等を含む層をさらに有してもよい。
【0290】
例えば、発光素子及び受光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層のうち1層以上を共通の構成とすることができる。また、発光素子及び受光素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、及び電子注入層のうち1層以上を互いに作り分けることができる。
【0291】
正孔注入層は、陽極から発光素子に正孔を注入する層であり、正孔注入性の高い材料を含む層である。正孔注入性の高い材料としては、芳香族アミン化合物を用いることができ、また正孔輸送性材料とアクセプター性材料(電子受容性材料)とを含む複合材料を用いることができる。
【0292】
発光素子において、正孔輸送層は、正孔注入層によって、陽極から注入された正孔を発光層に輸送する層である。受光素子において、正孔輸送層は、活性層において入射した光に基づき発生した正孔を陽極に輸送する層である。正孔輸送層は、正孔輸送性材料を含む層である。正孔輸送性材料としては、10-6cm/Vs以上の正孔移動度を有する物質が好ましい。なお、電子よりも正孔の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。正孔輸送性材料としては、π電子過剰型複素芳香族化合物(例えばカルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体等)又は芳香族アミン(芳香族アミン骨格を有する化合物)等の正孔輸送性の高い材料が好ましい。
【0293】
発光素子において、電子輸送層は、電子注入層によって、陰極から注入された電子を発光層に輸送する層である。受光素子において、電子輸送層は、活性層において入射した光に基づき発生した電子を陰極に輸送する層である。電子輸送層は、電子輸送性材料を含む層である。電子輸送性材料としては、1×10-6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質が好ましい。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外のものも用いることができる。電子輸送性材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体等の他、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン配位子を有するキノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、その他含窒素複素芳香族化合物を含むπ電子不足型複素芳香族化合物等の電子輸送性の高い材料を用いることができる。
【0294】
電子注入層は、陰極から発光素子に電子を注入する層であり、電子注入性の高い材料を含む層である。電子注入性の高い材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はそれらの化合物を用いることができる。電子注入性の高い材料としては、電子輸送性材料とドナー性材料(電子供与性材料)とを含む複合材料を用いることもできる。
【0295】
発光層283は、発光物質を含む層である。発光層283は、1種又は複数種の発光物質を有することができる。発光物質としては、青色、紫色、青紫色、緑色、黄緑色、黄色、橙色、赤色等の発光色を呈する物質を適宜用いる。また、発光物質として、近赤外光を発する物質を用いることもできる。
【0296】
発光物質としては、蛍光材料、燐光材料、TADF材料、量子ドット材料等が挙げられる。
【0297】
蛍光材料としては、例えば、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、キノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、フェナントレン誘導体、ナフタレン誘導体等が挙げられる。
【0298】
燐光材料としては、例えば、4H-トリアゾール骨格、1H-トリアゾール骨格、イミダゾール骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、又はピリジン骨格を有する有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、電子吸引基を有するフェニルピリジン誘導体を配位子とする有機金属錯体(特にイリジウム錯体)、白金錯体、希土類金属錯体等が挙げられる。
【0299】
発光層283は、発光物質(ゲスト材料)に加えて、1種又は複数種の有機化合物(ホスト材料、アシスト材料等)を有してもよい。1種又は複数種の有機化合物としては、正孔輸送性材料及び電子輸送性材料の一方又は双方を用いることができる。また、1種又は複数種の有機化合物として、バイポーラ性材料、又はTADF材料を用いてもよい。
【0300】
発光層283は、例えば、燐光材料と、励起錯体を形成しやすい組み合わせである正孔輸送性材料及び電子輸送性材料と、を有することが好ましい。このような構成とすることにより、励起錯体から発光物質(燐光材料)へのエネルギー移動であるExTET(Exciplex-Triplet Energy Transfer)を用いた発光を効率良く得ることができる。発光物質の最も低エネルギー側の吸収帯の波長と重なるような発光を呈する励起錯体を形成するような組み合わせを選択することで、エネルギー移動がスムーズとなり、効率良く発光を得ることができる。この構成により、発光素子の高効率、低電圧駆動、長寿命を同時に実現できる。
【0301】
励起錯体を形成する材料の組み合わせとしては、正孔輸送性材料のHOMO準位(最高被占有軌道準位)が電子輸送性材料のHOMO準位以上の値であると好ましい。正孔輸送性材料のLUMO準位(最低空軌道準位)が電子輸送性材料のLUMO準位以上の値であると好ましい。材料のLUMO準位及びHOMO準位は、サイクリックボルタンメトリ(CV)測定によって測定される材料の電気化学特性(還元電位及び酸化電位)から導出することができる。
【0302】
励起錯体の形成は、例えば正孔輸送性材料の発光スペクトル、電子輸送性材料の発光スペクトル、及びこれら材料を混合した混合膜の発光スペクトルを比較し、混合膜の発光スペクトルが、各材料の発光スペクトルよりも長波長シフトする(又は長波長側に新たなピークを持つ)現象を観測することにより確認することができる。又は、正孔輸送性材料の過渡フォトルミネッセンス(PhotoLuminescence:PL)、電子輸送性材料の過渡PL、及びこれら材料を混合した混合膜の過渡PLを比較し、混合膜の過渡PL寿命が、各材料の過渡PL寿命よりも長寿命成分を有する、又は遅延成分の割合が大きくなる等の過渡応答の違いを観測することにより、確認することができる。また、上述の過渡PLは過渡エレクトロルミネッセンス(ElectroLuminescence:EL)と読み替えても構わない。すなわち、正孔輸送性材料の過渡EL、電子輸送性を有する材料の過渡EL、及びこれらの混合膜の過渡ELを比較し、過渡応答の違いを観測することによっても、励起錯体の形成を確認することができる。
【0303】
活性層273は、半導体を含む。当該半導体としては、シリコン等の無機半導体、及び、有機化合物を含む有機半導体が挙げられる。本実施の形態では、活性層273が有する半導体として、有機半導体を用いる例を示す。有機半導体を用いることで、発光層283と、活性層273と、を同じ方法(例えば、真空蒸着法)で形成することができ、製造装置を共通化できるため好ましい。
【0304】
活性層273が有するn型半導体の材料としては、フラーレン(例えばC60、C70等)、フラーレン誘導体等の電子受容性の有機半導体材料が挙げられる。フラーレンは、サッカーボールのような形状を有し、当該形状はエネルギー的に安定である。フラーレンは、HOMO準位及びLUMO準位の双方が深い(低い)。フラーレンは、LUMO準位が深いため、電子受容性(アクセプター性)が極めて高い。通常、ベンゼンのように、平面にπ電子共役(共鳴)が広がると、電子供与性(ドナー性)が高くなるが、フラーレンは球体形状であるため、π電子が大きく広がっているにも関わらず、電子受容性が高くなる。電子受容性が高いと、電荷分離を高速に効率良く起こすため、受光素子として有益である。C60、C70ともに可視光領域に広い吸収帯を有しており、特にC70はC60に比べてπ電子共役系が大きく、長波長領域にも広い吸収帯を有するため好ましい。
【0305】
また、n型半導体の材料としては、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール骨格を有する金属錯体、チアゾール骨格を有する金属錯体、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、キノリン誘導体、ベンゾキノリン誘導体、キノキサリン誘導体、ジベンゾキノキサリン誘導体、ピリジン誘導体、ビピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、クマリン誘導体、ローダミン誘導体、トリアジン誘導体、キノン誘導体等が挙げられる。
【0306】
活性層273が有するp型半導体の材料としては、銅(II)フタロシアニン(Copper(II) phthalocyanine:CuPc)、テトラフェニルジベンゾペリフランテン(Tetraphenyldibenzoperiflanthene:DBP)、亜鉛フタロシアニン(Zinc Phthalocyanine:ZnPc)、スズフタロシアニン(SnPc)、キナクリドン等の電子供与性の有機半導体材料が挙げられる。
【0307】
また、p型半導体の材料としては、カルバゾール誘導体、チオフェン誘導体、フラン誘導体、芳香族アミン骨格を有する化合物等が挙げられる。さらに、p型半導体の材料としては、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体、ピレン誘導体、トリフェニレン誘導体、フルオレン誘導体、ピロール誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンゾチオフェン誘導体、インドール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インドロカルバゾール誘導体、ポルフィリン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、キナクリドン誘導体、ポリフェニレンビニレン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、ポリフルオレン誘導体、ポリビニルカルバゾール誘導体、ポリチオフェン誘導体等が挙げられる。
【0308】
電子供与性の有機半導体材料のHOMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のHOMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。電子供与性の有機半導体材料のLUMO準位は、電子受容性の有機半導体材料のLUMO準位よりも浅い(高い)ことが好ましい。
【0309】
電子受容性の有機半導体材料として、球状のフラーレンを用い、電子供与性の有機半導体材料として、平面に近い形状の有機半導体材料を用いることが好ましい。似た形状の分子同士は集まりやすい傾向にあり、同種の分子が凝集すると、分子軌道のエネルギー準位が近いため、キャリア輸送性を高めることができる。
【0310】
例えば、活性層273は、n型半導体とp型半導体と共蒸着して形成することが好ましい。又は、活性層273は、n型半導体とp型半導体とを積層して形成してもよい。
【0311】
発光素子及び受光素子には低分子系化合物及び高分子系化合物のいずれを用いることもでき、無機化合物を含んでいてもよい。発光素子及び受光素子を構成する層は、それぞれ、蒸着法(真空蒸着法を含む)、転写法、印刷法、インクジェット法、塗布法等の方法で形成することができる。
【0312】
図21Bに示す表示装置280Bは、受光素子270PDと発光素子270Rが同一の構成である点で、表示装置280Aと異なる。
【0313】
受光素子270PDと発光素子270Rは、活性層273と発光層283Rを共通して有する。
【0314】
ここで、受光素子270PDは、検出したい光よりも長波長の光を発する発光素子と共通の構成にすることが好ましい。例えば、青色の光を検出する構成の受光素子270PDは、発光素子270R及び発光素子270Gの一方又は双方と同様の構成にすることができる。例えば、緑色の光を検出する構成の受光素子270PDは、発光素子270Rと同様の構成とすることができる。
【0315】
受光素子270PDと、発光素子270Rと、を共通の構成にすることで、受光素子270PDと、発光素子270Rと、が互いに作り分ける層を有する構成に比べて、成膜工程の数及びマスクの数を削減することができる。したがって、表示装置の作製工程及び作製コストを削減することができる。
【0316】
また、受光素子270PDと、発光素子270Rと、を共通の構成にすることで、受光素子270PDと、発光素子270Rと、が互いに作り分ける層を有する構成に比べて、位置ずれに対するマージンを狭くできる。これにより、画素の開口率を高めることができ、表示装置の光取り出し効率を高めることができる。これにより、発光素子の寿命を延ばすことができる。また、表示装置は、高い輝度を表現することができる。また、表示装置を高精細度化することもできる。
【0317】
発光層283Rは、赤色の光を発する発光材料を有する。活性層273は、赤色よりも短波長の光(例えば、緑色の光及び青色の光の一方又は双方)を吸収する有機化合物を有する。活性層273は、赤色の光を吸収しにくく、且つ、赤色よりも短波長の光を吸収する有機化合物を有することが好ましい。これにより、発光素子270Rからは赤色の光が効率良く取り出され、受光素子270PDは、高い精度で赤色よりも短波長の光を検出することができる。
【0318】
また、表示装置280Bでは、発光素子270R及び受光素子270PDが同一の構成である例を示すが、発光素子270R及び受光素子270PDは、それぞれ異なる厚さの光学調整層を有してもよい。
【0319】
図22A、及び図22Bに示す表示装置280Cは、赤色(R)の光を発し、且つ、受光機能を有する受発光素子270SRと、発光素子270G及び発光素子270Bと、を有する。発光素子270Gと発光素子270Bの構成は、上記表示装置280A等を援用できる。
【0320】
受発光素子270SRは、画素電極271、正孔注入層281、正孔輸送層282、活性層273、発光層283R、電子輸送層284、電子注入層285、及び共通電極275をこの順で積層して有する。受発光素子270SRは、上記表示装置280Bで例示した発光素子270R及び受光素子270PDと同一の構成である。
【0321】
図22Aでは、受発光素子270SRが発光素子として機能する場合を示す。図22Aでは、発光素子270Bが青色の光を発し、発光素子270Gが緑色の光を発し、受発光素子270SRが赤色の光を発している例を示す。
【0322】
図22Bでは、受発光素子270SRが受光素子として機能する場合を示す。図22Bでは、受発光素子270SRが、発光素子270Bが発する青色の光と、発光素子270Gが発する緑色の光を受光している例を示す。
【0323】
発光素子270B、発光素子270G、及び受発光素子270SRは、それぞれ、画素電極271及び共通電極275を有する。本実施の形態では、画素電極271が陽極として機能し、共通電極275が陰極として機能する場合を例に挙げて説明する。受発光素子270SRは、画素電極271と共通電極275との間に逆バイアスをかけて駆動することで、受発光素子270SRに入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0324】
受発光素子270SRは、発光素子に、活性層273を追加した構成である。つまり、発光素子の作製工程に、活性層273を成膜する工程を追加するのみで、発光素子の形成と並行して受発光素子270SRを形成することができる。また、発光素子と受発光素子とを同一基板上に形成することができる。したがって、作製工程を大幅に増やすことなく、表示部に撮像機能を付与することができる。
【0325】
発光層283Rと活性層273との積層順は限定されない。図22A図22Bでは、正孔輸送層282上に活性層273が設けられ、活性層273上に発光層283Rが設けられている例を示す。発光層283Rと活性層273の積層順を入れ替えてもよい。
【0326】
また、受発光素子は、正孔注入層281、正孔輸送層282、電子輸送層284、及び電子注入層285のうち少なくとも1層を有していなくてもよい。また、受発光素子は、正孔ブロック層、電子ブロック層等、他の機能層を有してもよい。
【0327】
受発光素子において、光を取り出す側の電極には、可視光を透過する導電膜を用いる。また、光を取り出さない側の電極には、可視光を反射する導電膜を用いることが好ましい。
【0328】
受発光素子を構成する各層の機能及び材料は、発光素子及び受光素子を構成する各層の機能及び材料と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0329】
図22C乃至図22Gに、受発光素子の積層構造の例を示す。
【0330】
図22Cに示す受発光素子は、第1の電極277、正孔注入層281、正孔輸送層282、発光層283R、活性層273、電子輸送層284、電子注入層285、及び第2の電極278を有する。
【0331】
図22Cは、正孔輸送層282上に発光層283Rが設けられ、発光層283R上に活性層273が積層された例である。
【0332】
図22A乃至図22Cに示すように、活性層273と発光層283Rとは、互いに接していてもよい。
【0333】
また、活性層273と発光層283Rとの間には、バッファ層が設けられることが好ましい。このとき、バッファ層は、正孔輸送性及び電子輸送性を有することが好ましい。例えば、バッファ層には、バイポーラ性の物質を用いることが好ましい。又は、バッファ層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、正孔ブロック層、及び電子ブロック層等のうち少なくとも1層を用いることができる。図22Dには、バッファ層として正孔輸送層282を用いる例を示す。
【0334】
活性層273と発光層283Rとの間にバッファ層を設けることで、発光層283Rから活性層273に励起エネルギーが移動することを抑制できる。また、バッファ層を用いて、マイクロキャビティ構造の光路長(キャビティ長)を調整することもできる。したがって、活性層273と発光層283Rとの間にバッファ層を有する受発光素子からは、高い発光効率を得ることができる。
【0335】
図22Eは、正孔注入層281上に正孔輸送層282-1、活性層273、正孔輸送層282-2、発光層283Rの順で積層された積層構造を有する例である。正孔輸送層282-2は、バッファ層として機能する。正孔輸送層282-1と正孔輸送層281-2とは、同じ材料を含んでいてもよいし、異なる材料を含んでいてもよい。また、正孔輸送層281-2の代わりに、上述したバッファ層に用いることのできる層を用いてもよい。また、活性層273と、発光層283Rの位置を入れ替えてもよい。
【0336】
図22Fに示す受発光素子は、正孔輸送層282を有さない点で、図22Aに示す受発光素子と異なる。このように、受発光素子は、正孔注入層281、正孔輸送層282、電子輸送層284、及び電子注入層285のうち少なくとも1層を有していなくてもよい。また、受発光素子は、正孔ブロック層、電子ブロック層等、他の機能層を有してもよい。
【0337】
図22Gに示す受発光素子は、活性層273及び発光層283Rを有さず、発光層と活性層を兼ねる層289を有する点で、図22Aに示す受発光素子と異なる。
【0338】
発光層と活性層を兼ねる層としては、例えば、活性層273に用いることができるn型半導体と、活性層273に用いることができるp型半導体と、発光層283Rに用いることができる発光物質と、の3つの材料を含む層を用いることができる。
【0339】
なお、n型半導体とp型半導体との混合材料の吸収スペクトルの最も低エネルギー側の吸収帯と、発光物質の発光スペクトル(PLスペクトル)の最大ピークと、は互いに重ならないことが好ましく、十分に離れていることがより好ましい。
【0340】
<表示装置の構成例_2-2>
以下では、本発明の一態様の表示装置の詳細な構成について説明する。ここでは特に、受光素子と発光素子を有する表示装置の例について説明する。
【0341】
図23Aに、表示装置300Aの断面図を示す。表示装置300Aは、基板351、基板352、受光素子310、及び発光素子390を有する。
【0342】
発光素子390は、画素電極391、バッファ層312、発光層393、バッファ層314、及び共通電極315をこの順で積層して有する。バッファ層312は、正孔注入層及び正孔輸送層の一方又は双方を有することができる。発光層393は、有機化合物を有する。バッファ層314は、電子注入層及び電子輸送層の一方又は双方を有することができる。発光素子390は、可視光321を発する機能を有する。なお、表示装置300Aは、さらに、赤外光を発する機能を有する発光素子を有してもよい。
【0343】
受光素子310は、画素電極311、バッファ層312、活性層313、バッファ層314、及び共通電極315をこの順で積層して有する。活性層313は、有機化合物を有する。受光素子310は、可視光を検出する機能を有する。なお、受光素子310は、さらに、赤外光を検出する機能を有してもよい。
【0344】
バッファ層312、バッファ層314、及び共通電極315は、発光素子390及び受光素子310に共通の層であり、これらに亘って設けられる。バッファ層312、バッファ層314、及び共通電極315は、活性層313及び画素電極311と重なる部分と、発光層393及び画素電極391と重なる部分と、いずれとも重ならない部分と、を有する。
【0345】
本実施の形態では、発光素子390及び受光素子310のいずれにおいても、画素電極が陽極として機能し、共通電極315が陰極として機能するものとして説明する。つまり、受光素子310を、画素電極311と共通電極315との間に逆バイアスをかけて駆動することで、表示装置300Aは、受光素子310に入射する光を検出し、電荷を発生させ、電流として取り出すことができる。
【0346】
画素電極311、画素電極391、バッファ層312、活性層313、発光層393、バッファ層314、及び共通電極315は、それぞれ、単層構造であってもよく、積層構造であってもよい。
【0347】
画素電極311及び画素電極391は、それぞれ絶縁層414上に位置する。各画素電極は、同一の材料及び同一の工程で形成することができる。画素電極311及び画素電極391の端部は、隔壁416によって覆われている。互いに隣り合う2つの画素電極は隔壁416によって互いに電気的に絶縁されている(電気的に分離されている、ともいう)。
【0348】
隔壁416としては、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。隔壁416は、可視光を透過する層である。隔壁416のかわりに、可視光を遮る隔壁を設けてもよい。
【0349】
共通電極315は、受光素子310と発光素子390に共通で用いられる層である。
【0350】
受光素子310及び発光素子390が有する一対の電極の材料及び膜厚等は、等しくすることができる。これにより、表示装置の作製コストを削減し、且つ作製工程を簡略化できる。
【0351】
表示装置300Aは、一対の基板(基板351及び基板352)間に、受光素子310、発光素子390、トランジスタ331、及びトランジスタ332等を有する。
【0352】
受光素子310において、画素電極311と共通電極315の間に位置するバッファ層312、活性層313、及びバッファ層314は、有機層(有機化合物を含む層)ということもできる。画素電極311は可視光を反射する機能を有することが好ましい。共通電極315は可視光を透過する機能を有する。なお、受光素子310が赤外光を検出する構成である場合、共通電極315は赤外光を透過する機能を有する。さらに、画素電極311は赤外光を反射する機能を有することが好ましい。
【0353】
受光素子310は、光を検出する機能を有する。具体的には、受光素子310は、表示装置300Aの外部から入射される光322を受光し、電気信号に変換する、光電変換素子である。光322は、発光素子390の発光を対象物が反射した光ということもできる。また、光322は、表示装置300Aに設けられたレンズ等を介して受光素子310に入射してもよい。
【0354】
発光素子390において、画素電極391と共通電極315の間に位置するバッファ層312、発光層393、及びバッファ層314は、まとめてEL層ということもできる。なお、EL層は、少なくとも発光層393を有する。上述の通り、画素電極391は可視光を反射する機能を有することが好ましい。また、共通電極315は可視光を透過する機能を有する。なお、表示装置300Aが、赤外光を発する発光素子を有する構成である場合、共通電極315は赤外光を透過する機能を有する。さらに、画素電極391は赤外光を反射する機能を有することが好ましい。
【0355】
本実施の形態の表示装置が有する発光素子には、微小光共振器(マイクロキャビティ)構造が適用されていることが好ましい。発光素子390は、画素電極391と共通電極315との間に光学調整層を有してもよい。微小共振器構造が適用されることで、各発光素子から、特定の色の光を強めて取り出すことができる。
【0356】
発光素子390は、可視光を発する機能を有する。具体的には、発光素子390は、画素電極391と共通電極315との間に電圧を印加することで、基板352側に光(ここでは可視光321)を射出する電界発光素子である。
【0357】
受光素子310が有する画素電極311は、絶縁層414に設けられた開口を介して、トランジスタ331が有するソース又はドレインと電気的に接続される。発光素子390が有する画素電極391は、絶縁層414に設けられた開口を介して、トランジスタ332が有するソース又はドレインと電気的に接続される。
【0358】
トランジスタ331とトランジスタ332とは、同一の層(図23Aでは基板351)上に接している。
【0359】
受光素子310と電気的に接続される回路の少なくとも一部は、発光素子390と電気的に接続される回路と同一の材料、及び同一の工程で形成されることが好ましい。これにより、2つの回路を別々に形成する場合に比べて、表示装置の厚さを薄くすることができ、また、作製工程を簡略化できる。
【0360】
受光素子310及び発光素子390は、それぞれ、保護層395に覆われていることが好ましい。図23Aでは、保護層395が、共通電極315上に接して設けられている。保護層395を設けることで、受光素子310及び発光素子390に水等の不純物が入り込むことを抑制し、受光素子310及び発光素子390の信頼性を高めることができる。また、接着層342によって、保護層395と基板352とが貼り合わされている。
【0361】
基板352の基板351側の面には、遮光層358が設けられている。遮光層358は、発光素子390と重なる位置、及び、受光素子310と重なる位置に開口を有する。
【0362】
ここで、発光素子390の発光が対象物によって反射された光を受光素子310は検出する。しかし、発光素子390の発光が、表示装置300A内で反射され、対象物を介さずに、受光素子310に入射されてしまう場合がある。遮光層358は、このような迷光の影響を抑制することができる。例えば、遮光層358が設けられていない場合、発光素子390が発した光323は、基板352で反射され、反射光324が受光素子310に入射することがある。遮光層358を設けることで、反射光324が受光素子310に入射することを抑制できる。これにより、ノイズを低減し、受光素子310を用いたセンサの感度を高めることができる。
【0363】
遮光層358としては、発光素子からの発光を遮る材料を用いることができる。遮光層358は、可視光を吸収することが好ましい。遮光層358として、例えば、金属材料、又は、顔料(カーボンブラック等)もしくは染料を含む樹脂材料等を用いてブラックマトリクスを形成することができる。遮光層358は、赤色のカラーフィルタ、緑色のカラーフィルタ、及び青色のカラーフィルタの積層構造であってもよい。
【0364】
図23Bに示す表示装置300Bは、レンズ349を有する点で、上記表示装置300Aと主に相違している。
【0365】
レンズ349は、基板352の基板351側に設けられている。外部から入射される光322は、レンズ349を介して受光素子310に入射される。レンズ349及び基板352には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0366】
レンズ349を介して受光素子310に光が入射することで、受光素子310に入射する光の範囲を狭くすることができる。これにより、複数の受光素子310間で、撮像範囲が重なることを抑制でき、ぼやけの少ない鮮明な画像を撮像できる。
【0367】
また、レンズ349は、入射された光を集光できる。したがって、受光素子310に入射される光の量を増やすことができる。これにより、受光素子310の光電変換効率を高めることができる。
【0368】
図23Cに示す表示装置300Cは、遮光層358の形状が異なる点で、上記表示装置300Aと主に相違している。
【0369】
遮光層358は、平面視において、受光素子310と重なる開口部が、受光素子310の受光領域よりも内側に位置するように設けられている。遮光層358の受光素子310と重なる開口部の径が小さいほど、受光素子310に入射する光の範囲を狭くすることができる。これにより、複数の受光素子310間で、撮像範囲が重なることを抑制でき、ぼやけの少ない鮮明な画像を撮像できる。
【0370】
例えば、遮光層358の開口部の面積を、受光素子310の受光領域の面積の80%以下、70%以下、60%以下、50%以下、又は40%以下であって、1%以上、5%以上、又は10%以上とすることができる。遮光層358の開口部の面積が小さいほど鮮明な画像を撮像することができる。一方、当該開口部の面積が小さすぎると、受光素子310に到達する光の光量が減少し、受光感度が低下する恐れがある。そのため、上述した範囲内で適宜設定することが好ましい。なお、上述した上限値及び下限値は、任意に組み合わせることができる。また、受光素子310の受光領域は、隔壁416の開口部と言い換えることができる。
【0371】
なお、遮光層358の受光素子310と重なる開口部の中心が、平面視において、受光素子310の受光領域の中心からずれていてもよい。さらには、平面視において、遮光層358の開口部が、受光素子310の受光領域と重ならない構成としてもよい。これにより、遮光層358の開口部を透過した斜め向きの光のみを、受光素子310で受光することができる。これにより、受光素子310に入射する光の範囲をより効果的に限定することができ、鮮明な画像を撮像できる。
【0372】
図24Aに示す表示装置300Dは、バッファ層312が共通層でない点で、上記表示装置300Aと主に相違している。
【0373】
受光素子310は、画素電極311、バッファ層312、活性層313、バッファ層314、及び共通電極315を有する。発光素子390は、画素電極391、バッファ層392、発光層393、バッファ層314、共通電極315を有する。活性層313、バッファ層312、発光層393、及びバッファ層392は、それぞれ島状の上面形状を有する。
【0374】
バッファ層312と、バッファ層392とは、異なる材料を含んでもよいし、同じ材料を含んでもよい。
【0375】
このように、発光素子390と受光素子310とでバッファ層を作り分けることで、発光素子390及び受光素子310に用いるバッファ層の材料の選択の自由度が高まるため、より最適化が容易となる。また、バッファ層314及び共通電極315を共通層とすることで、発光素子390と受光素子310とを別々に作製する場合に比べて、作製工程が簡略化され、製造コストを削減できる。
【0376】
図24Bに示す表示装置300Eは、バッファ層314が共通層でない点で、上記表示装置300Aと主に相違している。
【0377】
受光素子310は、画素電極311、バッファ層312、活性層313、バッファ層314、及び共通電極315を有する。発光素子390は、画素電極391、バッファ層312、発光層393、バッファ層394、共通電極315を有する。活性層313、バッファ層314、発光層393、及びバッファ層394は、それぞれ島状の上面形状を有する。
【0378】
バッファ層314と、バッファ層394とは、異なる材料を含んでもよいし、同じ材料を含んでもよい。
【0379】
このように、発光素子390と受光素子310とでバッファ層を作り分けることで、発光素子390及び受光素子310に用いるバッファ層の材料の選択の自由度が高まるため、より最適化が容易となる。また、バッファ層312及び共通電極315を共通層とすることで、発光素子390と受光素子310とを別々に作製する場合に比べて、作製工程が簡略化され、製造コストを削減できる。
【0380】
図24Cに示す表示装置300Fは、バッファ層312及びバッファ層314が共通層でない点で、上記表示装置300Aと主に相違している。
【0381】
受光素子310は、画素電極311、バッファ層312、活性層313、バッファ層314、及び共通電極315を有する。発光素子390は、画素電極391、バッファ層392、発光層393、バッファ層394、共通電極315を有する。バッファ層312、活性層313、バッファ層314、バッファ層392、発光層393、及びバッファ層394は、それぞれ島状の上面形状を有する。
【0382】
このように、発光素子390と受光素子310とでバッファ層を作り分けることで、発光素子390及び受光素子310に用いるバッファ層の材料の選択の自由度が高まるため、より最適化が容易となる。また、共通電極315を共通層とすることで、発光素子390と受光素子310とを別々に作製する場合に比べて、作製工程が簡略化され、製造コストを削減できる。
【0383】
<表示装置の構成例_2-3>
以下では、本発明の一態様の表示装置の詳細な構成について説明する。ここでは特に、受発光素子と発光素子を有する表示装置の例について説明する。
【0384】
なお、以下では、上記と重複する部分については上記を援用し、説明を省略する場合がある。
【0385】
図25Aに、表示装置300Gの断面図を示す。表示装置300Gは、受発光素子390SR、発光素子390G、及び発光素子390Bを有する。
【0386】
受発光素子390SRは、赤色の光321Rを発する発光素子としての機能と、光322を受光する光電変換素子としての機能と、を有する。発光素子390Gは、緑色の光321Gを発することができる。発光素子390Bは、青色の光321Bを発することができる。
【0387】
受発光素子390SRは、画素電極311、バッファ層312、活性層313、発光層393R、バッファ層314、及び共通電極315を有する。発光素子390Gは、画素電極391G、バッファ層312、発光層393G、バッファ層314、及び共通電極315を有する。発光素子390Bは、画素電極391B、バッファ層312、発光層393B、バッファ層314、及び共通電極315を有する。
【0388】
バッファ層312、バッファ層314、及び共通電極315は、受発光素子390SR、発光素子390G、及び発光素子390Bに共通の層(共通層)であり、これらに亘って設けられる。活性層313、発光層393R、発光層393G、発光層393Bは、それぞれ島状の上面形状を有する。なお、図25Aにおいて、活性層313と発光層393Rの積層体、発光層393G、及び発光層393Bは、それぞれ離間して設けられる例を示しているが、隣接する2つが重なる領域を有してもよい。
【0389】
なお、上記表示装置300D、表示装置300E、又は表示装置300Fと同様に、バッファ層312及びバッファ層314の一方又は双方を、共通層として用いない構成とすることができる。
【0390】
画素電極311は、トランジスタ331のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。画素電極391Gは、トランジスタ332Gのソース又はドレインの一方と電気的に接続される。画素電極391Bは、トランジスタ332Bのソース又はドレインの一方と電気的に接続される。
【0391】
このような構成とすることで、より高精細な表示装置を実現することができる。
【0392】
図25Bに示す表示装置300Hは、受発光素子390SRの構成が異なる点で、上記表示装置300Gと主に相違している。
【0393】
受発光素子390SRは、活性層313と発光層393Rに置き換えて、受発光層318Rを有する。
【0394】
受発光層318Rは、発光層としての機能と、活性層としての機能を兼ね備える層である。例えば、上述した発光物質と、n型半導体と、p型半導体とを含む層を用いることができる。
【0395】
このような構成とすることで、作製工程をより簡略化できるため、低コスト化が容易となる。
【0396】
<表示装置の構成例_2-4>
以下では、本発明の一態様の表示装置の、より具体的な構成について説明する。
【0397】
図26は、表示装置400の構成例を示す斜視図である。図27Aは、表示装置400の構成例を示す断面図である。
【0398】
表示装置400は、基板353と基板354とが貼り合わされた構成を有する。図26では、基板354を破線で明示している。
【0399】
表示装置400は、表示部362、回路364、配線365等を有する。図26では表示装置400にIC(集積回路)373及びFPC372が実装されている例を示している。
【0400】
回路364としては、例えばゲートドライバ回路、又はロードライバ回路を用いることができる。
【0401】
配線365は、表示部362及び回路364に信号及び電力を供給する機能を有する。当該信号及び電力は、FPC372を介して外部から配線365に入力されるか、又はIC373から配線365に入力される。
【0402】
図26では、COG(Chip On Glass)方式又はCOF(Chip On Film)方式等により、基板353にIC373が設けられている例を示す。IC373は、例えばゲートドライバ回路、ロードライバ回路、データドライバ回路、読み出し回路、又はカラムドライバ回路等を有するICを適用できる。なお、表示装置400は、ICを設けない構成としてもよい。また、ICを、COF方式等により、FPCに実装してもよい。
【0403】
図27Aに、図26で示した表示装置400の、FPC372を含む領域の一部、回路364を含む領域の一部、表示部362を含む領域の一部、及び、端部を含む領域の一部をそれぞれ切断したときの断面の一例を示す。
【0404】
図27Aに示す表示装置400は、基板353と基板354の間に、トランジスタ408、トランジスタ409、トランジスタ410、発光素子390、受光素子310等を有する。
【0405】
基板354と保護層395とは接着層342を介して接着されており、表示装置400には、固体封止構造が適用されている。
【0406】
基板353と絶縁層412とは接着層355によって貼り合わされている。
【0407】
表示装置400の作製方法としては、まず、絶縁層412、各トランジスタ、受光素子310、発光素子390等が設けられた作製基板と、遮光層358等が設けられた基板354とを接着層342によって貼り合わせる。そして、作製基板を剥離し露出した面に、接着層355を用いて基板353を貼り合わせることで、作製基板上に形成した各構成要素を、基板353に転置する。基板353及び基板354は、それぞれ、可撓性を有することが好ましい。これにより、表示装置400の可撓性を高めることができる。
【0408】
発光素子390は、絶縁層414側から画素電極391、バッファ層312、発光層393、バッファ層314、及び共通電極315の順に積層された積層構造を有する。画素電極391は、絶縁層414に設けられた開口を介して、トランジスタ408のソース又はドレインの一方と接続される。トランジスタ408は、発光素子390に流れる電流を制御する機能を有する。
【0409】
受光素子310は、絶縁層414側から画素電極311、バッファ層312、活性層313、バッファ層314、及び共通電極315の順に積層された積層構造を有する。画素電極311は、絶縁層414に設けられた開口を介して、トランジスタ409のソース又はドレインの一方と接続される。トランジスタ409は、受光素子310に蓄積された電荷の転送を制御する機能を有する。
【0410】
発光素子390が発する光は、基板354側に射出される。また、受光素子310には、基板354及び接着層342を介して、光が入射する。基板354には、可視光に対する透過性が高い材料を用いることが好ましい。
【0411】
画素電極311と画素電極391は同一の材料及び同一の工程で作製することができる。バッファ層312、バッファ層314、及び共通電極315は、受光素子310及び発光素子390に共通して用いられる。受光素子310と発光素子390とは、活性層313と発光層393の構成が異なる以外は全て共通の構成とすることができる。これにより、作製工程を大幅に増やすことなく、表示装置400に受光素子310を内蔵することができる。
【0412】
基板354の基板353側の面には、遮光層358が設けられている。遮光層358は、発光素子390、受光素子310のそれぞれと重なる位置に開口を有する。遮光層358を設けることで、受光素子310が光を検出する範囲を制御することができる。上述の通り、受光素子310と重なる位置に設けられる遮光層の開口の位置及び面積を調整することで、受光素子310に入射する光を制御することが好ましい。また、遮光層358を有することで、対象物を介さずに、発光素子390から受光素子310に光が直接入射することを抑制できる。したがって、ノイズが少なく感度の高いセンサを実現できる。
【0413】
画素電極311の端部、及び画素電極391の端部は、隔壁416によって覆われている。画素電極311及び画素電極391は可視光を反射する材料を含み、共通電極315は可視光を透過する材料を含む。
【0414】
図27Aでは、活性層313の一部と発光層393の一部とが重なる領域を有する例を示している。活性層313と発光層393とが重なる部分は、遮光層358及び隔壁416と重なることが好ましい。
【0415】
トランジスタ408、トランジスタ409、及びトランジスタ410は、いずれも基板353上に形成されている。これらのトランジスタは、同一の材料及び同一の工程により作製することができる。
【0416】
基板353上には、接着層355を介して絶縁層412、絶縁層411、絶縁層425、絶縁層415、絶縁層418、及び絶縁層414がこの順で設けられている。絶縁層411及び絶縁層425は、それぞれその一部が各トランジスタのゲート絶縁層として機能する。絶縁層415及び絶縁層418は、トランジスタを覆って設けられる。絶縁層414は、トランジスタを覆って設けられ、平坦化層としての機能を有する。なお、ゲート絶縁層の数、及びトランジスタを覆う絶縁層の数は限定されず、それぞれ単層であっても2層以上であってもよい。
【0417】
トランジスタを覆う絶縁層の少なくとも一層に、水、水素等の不純物が拡散しにくい材料を用いることが好ましい。これにより、絶縁層をバリア層として機能させることができる。このような構成とすることで、トランジスタに外部から不純物が拡散することを効果的に抑制でき、表示装置の信頼性を高めることができる。
【0418】
絶縁層412、絶縁層411、絶縁層425、絶縁層415、及び絶縁層418としては、それぞれ、無機絶縁膜を用いることが好ましい。無機絶縁膜としては、例えば、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜等を用いることができる。また、酸化ハフニウム膜、酸化窒化ハフニウム膜、窒化酸化ハフニウム膜、酸化イットリウム膜、酸化ジルコニウム膜、酸化ガリウム膜、酸化タンタル膜、酸化マグネシウム膜、酸化ランタン膜、酸化セリウム膜、及び酸化ネオジム膜等を用いてもよい。また、上述の絶縁膜を2以上積層して用いてもよい。
【0419】
ここで、有機絶縁膜は、無機絶縁膜に比べてバリア性が低いことが多い。そのため、有機絶縁膜は、表示装置400の端部近傍に開口を有することが好ましい。図27Aに示す領域428では、絶縁層414に開口が形成されている。これにより、表示装置400の端部から有機絶縁膜を介して不純物が入り込むことを抑制することができる。又は、有機絶縁膜の端部が表示装置400の端部よりも内側にくるように有機絶縁膜を形成し、表示装置400の端部に有機絶縁膜が露出しないようにしてもよい。
【0420】
表示装置400の端部近傍の領域428において、絶縁層414の開口を介して、絶縁層418と保護層395とが互いに接することが好ましい。特に、絶縁層418が有する無機絶縁膜と保護層395が有する無機絶縁膜とが互いに接することが好ましい。これにより、有機絶縁膜を介して外部から表示部362に不純物が入り込むことを抑制することができる。したがって、表示装置400の信頼性を高めることができる。
【0421】
平坦化層として機能する絶縁層414には、有機絶縁膜が好適である。有機絶縁膜に用いることができる材料としては、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、シロキサン樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂、フェノール樹脂、及びこれら樹脂の前駆体等が挙げられる。
【0422】
発光素子390、受光素子310を覆う保護層395を設けることで、発光素子390、受光素子310に水等の不純物が入り込むことを抑制し、これらの信頼性を高めることができる。
【0423】
保護層395は単層であっても積層構造であってもよい。例えば、保護層395は、有機絶縁膜と無機絶縁膜との積層構造であってもよい。このとき、有機絶縁膜の端部よりも無機絶縁膜の端部を外側に延在させることが好ましい。
【0424】
図27Bに、トランジスタ408、トランジスタ409、及びトランジスタ410に用いることのできるトランジスタ401aの断面図を示す。
【0425】
トランジスタ401aは絶縁層412(図示しない)上に設けられ、第1のゲートとして機能する導電層421、第1のゲート絶縁層として機能する絶縁層411、半導体層431、第2のゲート絶縁層として機能する絶縁層425、及び第2のゲートとして機能する導電層423を有する。絶縁層411は、導電層421と半導体層431との間に位置する。絶縁層425は、導電層423と半導体層431との間に位置する。
【0426】
半導体層431は、領域431iと、一対の領域431nとを有する。領域431iはチャネル形成領域として機能する。一対の領域431nは、一方がソースとして機能し、他方がドレインとして機能する。領域431nは、領域431iよりもキャリア濃度が高く、導電性が高い。導電層422a及び導電層422bは、絶縁層418及び絶縁層415に設けられた開口を介して、領域431nとそれぞれ接続される。
【0427】
図27Cには、トランジスタ408、トランジスタ409、及びトランジスタ410に用いることのできるトランジスタ401bの断面図を示している。また図27では、絶縁層415が設けられない例を示している。トランジスタ401bは、絶縁層425が導電層423と同様に加工され、絶縁層418と領域431nとが接している。
【0428】
なお、本実施の形態の表示装置が有するトランジスタの構造は特に限定されない。例えば、プレーナ型のトランジスタ、スタガ型のトランジスタ、逆スタガ型のトランジスタ等を用いることができる。また、トップゲート型又はボトムゲート型のいずれのトランジスタ構造としてもよい。又は、チャネルが形成される半導体層の上下にゲートが設けられていてもよい。
【0429】
トランジスタ408、トランジスタ409、及びトランジスタ410には、チャネルが形成される半導体層を2つのゲートで挟持する構成が適用されている。2つのゲートを接続し、これらに同一の信号を供給することによりトランジスタを駆動してもよい。又は、2つのゲートのうち、一方に閾値電圧を制御するための電位を与え、他方に駆動のための電位を与えることで、トランジスタの閾値電圧を制御してもよい。
【0430】
トランジスタに用いる半導体材料の結晶性についても特に限定されず、非晶質半導体、単結晶半導体、又は結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0431】
トランジスタの半導体層は、金属酸化物(酸化物半導体ともいう)を有することが好ましい。又は、トランジスタの半導体層は、シリコンを有してもよい。シリコンとしては、アモルファスシリコン、結晶性のシリコン(低温ポリシリコン、単結晶シリコン等)等が挙げられる。
【0432】
半導体層は、例えば、インジウムと、M(Mは、ガリウム、アルミニウム、シリコン、ホウ素、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、及びマグネシウムから選ばれた一種又は複数種)と、亜鉛と、を有することが好ましい。特に、Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、及びスズから選ばれた一種又は複数種であることが好ましい。
【0433】
特に、半導体層として、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IGZOとも記す)を用いることが好ましい。
【0434】
半導体層がIn-M-Zn酸化物の場合、当該In-M-Zn酸化物におけるInの原子数比はMの原子数比以上であることが好ましい。このようなIn-M-Zn酸化物の金属元素の原子数比として、In:M:Zn=1:1:1又はその近傍の組成、In:M:Zn=1:1:1.2又はその近傍の組成、In:M:Zn=2:1:3又はその近傍の組成、In:M:Zn=3:1:2又はその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:3又はその近傍の組成、In:M:Zn=4:2:4.1又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:3又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:6又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:7又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:1:8又はその近傍の組成、In:M:Zn=6:1:6又はその近傍の組成、In:M:Zn=5:2:5又はその近傍の組成、等が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。
【0435】
例えば、原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3又はその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を4としたとき、Gaの原子数比が1以上3以下であり、Znの原子数比が2以上4以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6又はその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を5としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が5以上7以下である場合を含む。また、原子数比がIn:Ga:Zn=1:1:1又はその近傍の組成と記載する場合、Inの原子数比を1としたときに、Gaの原子数比が0.1より大きく2以下であり、Znの原子数比が0.1より大きく2以下である場合を含む。
【0436】
回路364が有するトランジスタ410と、表示部362が有するトランジスタ408及びトランジスタ409は、同じ構造であってもよく、異なる構造であってもよい。回路364が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。同様に、表示部362が有する複数のトランジスタの構造は、全て同じであってもよく、2種類以上あってもよい。
【0437】
基板353と、基板354が重ならない領域には、接続部404が設けられている。接続部404では、配線365が導電層366及び接続層442を介してFPC372と電気的に接続される。接続部404の上面は、画素電極311及び画素電極391と同一の導電膜を加工して得られた導電層366が露出している。これにより、接続部404とFPC372とを接続層442を介して電気的に接続することができる。
【0438】
基板354の外側には各種光学部材を配置することができる。光学部材としては、偏光板、位相差板、光拡散層(拡散フィルム等)、反射防止層、及び集光フィルム等が挙げられる。また、基板354の外側には、ゴミの付着を抑制する帯電防止膜、汚れを付着しにくくする撥水性の膜、使用に伴う傷の発生を抑制するハードコート膜、衝撃吸収層等を配置してもよい。
【0439】
基板353及び基板354に、可撓性を有する材料を用いると、表示装置の可撓性を高めることができる。また、これに限られず、基板353及び基板354にそれぞれ、ガラス、石英、セラミック、サファイア、樹脂等を用いることができる。
【0440】
接着層としては、紫外線硬化型等の光硬化型接着剤、反応硬化型接着剤、熱硬化型接着剤、嫌気型接着剤等の各種硬化型接着剤を用いることができる。これら接着剤としてはエポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、イミド樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)樹脂、EVA(エチレンビニルアセテート)樹脂等が挙げられる。特に、エポキシ樹脂等の透湿性が低い材料が好ましい。また、二液混合型の樹脂を用いてもよい。また、接着シート等を用いてもよい。
【0441】
接続層としては、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)、異方性導電ペースト(ACP:Anisotropic Conductive Paste)等を用いることができる。
【0442】
トランジスタのゲート、ソース及びドレインのほか、表示装置を構成する各種配線及び電極等の導電層に用いることのできる材料としては、アルミニウム、チタン、クロム、ニッケル、銅、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、銀、タンタル、及びタングステン等の金属、並びに、当該金属を主成分とする合金等が挙げられる。これらの材料を含む膜を単層で、又は積層構造として用いることができる。
【0443】
また、透光性を有する導電材料としては、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛等の導電性酸化物又はグラフェンを用いることができる。又は、金、銀、白金、マグネシウム、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、及びチタン等の金属材料、又は該金属材料を含む合金材料を用いることができる。又は、該金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を用いてもよい。なお、金属材料、合金材料(又はそれらの窒化物)を用いる場合には、透光性を有する程度に薄くすることが好ましい。また、上記材料の積層膜を導電層として用いることができる。例えば、銀とマグネシウムの合金とインジウムスズ酸化物の積層膜等を用いると、導電性を高めることができるため好ましい。これらは、表示装置を構成する各種配線及び電極等の導電層に用いることができ、また発光素子及び受光素子(又は受発光素子)が有する導電層(画素電極又は共通電極として機能する導電層)にも用いることができる。
【0444】
各絶縁層に用いることのできる絶縁材料としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料が挙げられる。
【0445】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0446】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記の実施の形態で説明したトランジスタに用いることができる金属酸化物(酸化物半導体ともいう)について説明する。
【0447】
金属酸化物は、少なくともインジウム又は亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ等が含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルト等から選ばれた一種、又は複数種が含まれていてもよい。
【0448】
また、金属酸化物は、スパッタリング法、有機金属化学気相成長(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等の化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、又は原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法等により形成することができる。
【0449】
<結晶構造の分類>
酸化物半導体の結晶構造としては、アモルファス(completely amorphousを含む)、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、CAC(cloud-aligned composite)、単結晶(single crystal)、及び多結晶(poly crystal)等が挙げられる。
【0450】
なお、膜又は基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。例えば、GIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを用いて評価することができる。なお、GIXD法は、薄膜法又はSeemann-Bohlin法ともいう。
【0451】
例えば、石英ガラス基板では、XRDスペクトルのピークの形状がほぼ左右対称である。一方で、結晶構造を有するIGZO膜では、XRDスペクトルのピークの形状が左右非対称である。XRDスペクトルのピークの形状が左右非対称であることは、膜中又は基板中の結晶の存在を明示している。別言すると、XRDスペクトルのピークの形状で左右対称でないと、膜又は基板は非晶質状態であるとは言えない。
【0452】
また、膜又は基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう)にて評価することができる。例えば、石英ガラス基板の回折パターンでは、ハローが観察され、石英ガラスは、非晶質状態であることが確認できる。また、室温成膜したIGZO膜の回折パターンでは、ハローではなく、スポット状のパターンが観察される。このため、室温成膜したIGZO膜は、結晶状態でもなく、非晶質状態でもない、中間状態であり、非晶質状態であると結論することはできないと推定される。
【0453】
<<酸化物半導体の構造>>
なお、酸化物半導体は、構造に着目した場合、上記とは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体、等が含まれる。
【0454】
ここで、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
【0455】
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、又はCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
【0456】
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つ又は複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
【0457】
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタン等から選ばれた一種、又は複数種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM(Transmission Electron Microscope)像において、格子像として観察される。
【0458】
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°又はその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成等により変動する場合がある。
【0459】
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
【0460】
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形等の格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないこと、又は金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化すること等によって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0461】
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下等を引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0462】
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入、又は欠陥の生成等によって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物又は欠陥(酸素欠損等)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。従って、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0463】
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。従って、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OS又は非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
【0464】
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆又は低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
【0465】
<<酸化物半導体の構成>>
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
【0466】
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、又はその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つ又は複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、又はその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、又はパッチ状ともいう。
【0467】
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
【0468】
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、及びZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、及び[Zn]と記載する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。又は、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
【0469】
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物等が主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物等が主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
【0470】
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0471】
また、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSとは、In、Ga、Zn、及びOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とする領域と、一部にInを主成分とする領域とが、それぞれモザイク状であり、これらの領域がランダムに存在している構成をいう。よって、CAC-OSは、金属元素が不均一に分布した構造を有していると推測される。
【0472】
CAC-OSは、例えば基板を加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つ又は複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0473】
また、例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0474】
ここで、第1の領域は、第2の領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、第1の領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての導電性が発現する。従って、第1の領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0475】
一方、第2の領域は、第1の領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、第2の領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制することができる。
【0476】
従って、CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、及び良好なスイッチング動作を実現することができる。
【0477】
また、CAC-OSを用いたトランジスタは、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、表示装置をはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0478】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有してもよい。
【0479】
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0480】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0481】
トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性又は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
【0482】
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0483】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0484】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0485】
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0486】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコン又は炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコン又は炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコン又は炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
【0487】
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にする。
【0488】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。又は、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下にする。
【0489】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm未満、より好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満にする。
【0490】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0491】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0492】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一態様の電子機器について説明する。
【0493】
本発明の一態様の電子機器は、表示部で撮像を行うこと、及び指紋認証等の認証を行うことができる。これにより、電子機器の機能性、及び利便性等を高めることができる。
【0494】
図28Aに示す電子機器6500は、スマートフォンとして用いることのできる携帯情報端末機である。
【0495】
電子機器6500は、筐体6501、表示部6502、操作ボタン6503、操作ボタン6504、スピーカ6505、マイク6506、カメラ6507、及び光源6508等を有する。表示部6502はタッチパネル機能を備える。
【0496】
表示部6502に、上記実施の形態で示した表示装置を適用することができる。
【0497】
図28Bは、筐体6501のマイク6506側の端部を含む断面概略図である。
【0498】
筐体6501の表示面側には透光性を有する保護部材6510が設けられ、筐体6501と保護部材6510に囲まれた空間内に、表示装置6511、光学部材6512、タッチセンサパネル6513、プリント基板6517、バッテリ6518等が配置されている。
【0499】
保護部材6510には、表示装置6511、光学部材6512、及びタッチセンサパネル6513が接着層(図示しない)により固定されている。
【0500】
表示部6502よりも外側の領域において、表示装置6511の一部が折り返されており、当該折り返された部分にFPC6515が接続される。FPC6515には、IC6516が実装されている。FPC6515は、プリント基板6517に設けられた端子に接続される。
【0501】
表示装置6511には本発明の一態様のフレキシブルディスプレイを適用することができる。そのため、極めて軽量な電子機器を実現できる。また、表示装置6511が極めて薄いため、電子機器の厚さを抑えつつ、大容量のバッテリ6518を搭載することもできる。また、表示装置6511の一部を折り返して、画素部の裏側にFPC6515との接続部を配置することにより、狭額縁の電子機器を実現できる。
【0502】
表示装置6511に、上記実施の形態で示した表示装置を用いることで、表示部6502で撮像を行うことができる。例えば、表示装置6511で指紋を撮像し、指紋認証を行うことができる。上記実施の形態で示した表示装置を用いた表示装置6511は、指紋認証等の認証を、短時間で行うことができる。
【0503】
表示部6502が、さらに、タッチセンサパネル6513を有することで、表示部6502に、タッチパネル機能を付与することができる。タッチセンサパネル6513としては、静電容量方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、光学方式、感圧方式等様々な方式を用いることができる。又は、表示装置6511を、タッチセンサとして機能させてもよく、その場合、タッチセンサパネル6513を設けなくてもよい。
【0504】
図29A乃至図29Fに示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作ボタン9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0505】
表示部9001に、上記実施の形態で示した表示装置を適用することができる。これにより、電子機器は、指紋認証等の認証を短時間で行うことができる。
【0506】
図29A乃至図29Fに示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像等)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻等を表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して処理する機能、等を有することができる。なお、電子機器の機能はこれらに限られず、様々な機能を有することができる。電子機器は、複数の表示部を有してもよい。また、電子機器にカメラ等を設け、静止画又は動画を撮影し、記録媒体(外部又はカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有してもよい。
【0507】
図29A乃至図29Fに示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
【0508】
図29Aは、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えばスマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字及び画像情報をその複数の面に表示することができる。図29Aでは3つのアイコン9050を表示した例を示している。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することもできる。情報9051の一例としては、電子メール、SNS、電話等の着信の通知、電子メール又はSNS等の題名、送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度等がある。又は、情報9051が表示されている位置にはアイコン9050等を表示してもよい。
【0509】
図29Bは、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、及び情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えばユーザーは、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示された情報9053を確認することもできる。ユーザーは、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく表示を確認し、例えば電話を受けるか否かを判断できる。
【0510】
図29Cは、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、例えばスマートウォッチとして用いることができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006により、他の情報端末と相互にデータ伝送を行うことができ、また充電を行うこともできる。なお、充電動作は無線給電により行ってもよい。
【0511】
図29D乃至図29Fは、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図29Dは携帯情報端末9201を展開した状態、図29Fは折り畳んだ状態、図29E図29D図29Fの一方から他方に変化する途中の状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。例えば、表示部9001は、曲率半径0.1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0512】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0513】
10:表示装置、10A:表示装置、11:表示部、11a:表示部、11aa:表示部、11ab:表示部、11b:表示部、11ba:表示部、11bb:表示部、12:データドライバ回路、13:ゲートドライバ回路、13a:ゲートドライバ回路、13b:ゲートドライバ回路、14:ロードライバ回路、14a:ロードライバ回路、14b:ロードライバ回路、15:回路、16:カラムドライバ回路、17:制御回路、18:演算回路、21:副画素、21B:副画素、21G:副画素、21R:副画素、22:撮像画素、30:画素、30a:画素、30b:画素、31:指、32:指紋、32L:指紋、33:地点、33L:地点、34:地点、34L:地点、35:接触領域、35L:接触領域、36:軌跡、36L:軌跡、37:筐体、41:シフトレジスタ回路、42:スイッチ回路、43:信号出力回路、43a:信号出力回路、43b:信号出力回路、44:回路、44a:回路、44b:回路、50:電子機器、51:演算装置、52:学習データ、53:正解ラベル、55:入力データ、56:出力データ、91:基板、92:基板、94:光、95:光、200:表示装置、200A:表示装置、200B:表示装置、201:基板、202:基板、203:機能層、211:発光素子、211B:発光素子、211G:発光素子、211IR:発光素子、211R:発光素子、211W:発光素子、211X:発光素子、212:受光素子、213R:受発光素子、220:指、221:接触部、222:指紋、223:撮像範囲、225:スタイラス、226:軌跡、270B:発光素子、270G:発光素子、270PD:受光素子、270R:発光素子、270SR:受発光素子、271:画素電極、273:活性層、275:共通電極、277:電極、278:電極、280A:表示装置、280B:表示装置、280C:表示装置、281:正孔注入層、281-2:正孔輸送層、282:正孔輸送層、282-1:正孔輸送層、282-2:正孔輸送層、283:発光層、283B:発光層、283G:発光層、283R:発光層、284:電子輸送層、285:電子注入層、289:層、300A:表示装置、300B:表示装置、300C:表示装置、300D:表示装置、300E:表示装置、300F:表示装置、300G:表示装置、300H:表示装置、310:受光素子、311:画素電極、312:バッファ層、313:活性層、314:バッファ層、315:共通電極、318R:受発光層、321:可視光、321B:光、321G:光、321R:光、322:光、323:光、324:反射光、331:トランジスタ、332:トランジスタ、332B:トランジスタ、332G:トランジスタ、342:接着層、349:レンズ、351:基板、352:基板、353:基板、354:基板、355:接着層、358:遮光層、362:表示部、364:回路、365:配線、366:導電層、372:FPC、373:IC、390:発光素子、390B:発光素子、390G:発光素子、390SR:受発光素子、391:画素電極、391B:画素電極、391G:画素電極、392:バッファ層、393:発光層、393B:発光層、393G:発光層、393R:発光層、394:バッファ層、395:保護層、400:表示装置、401a:トランジスタ、401b:トランジスタ、404:接続部、408:トランジスタ、409:トランジスタ、410:トランジスタ、411:絶縁層、412:絶縁層、414:絶縁層、415:絶縁層、416:隔壁、418:絶縁層、421:導電層、422a:導電層、422b:導電層、423:導電層、425:絶縁層、428:領域、431:半導体層、431i:領域、431n:領域、442:接続層、6500:電子機器、6501:筐体、6502:表示部、6503:操作ボタン、6504:操作ボタン、6505:スピーカ、6506:マイク、6507:カメラ、6508:光源、6510:保護部材、6511:表示装置、6512:光学部材、6513:タッチセンサパネル、6515:FPC、6516:IC、6517:プリント基板、6518:バッテリ、9000:筐体、9001:表示部、9003:スピーカ、9005:操作ボタン、9006:接続端子、9007:センサ、9008:マイクロフォン、9050:アイコン、9051:情報、9052:情報、9053:情報、9054:情報、9055:ヒンジ、9101:携帯情報端末、9102:携帯情報端末、9200:携帯情報端末、9201:携帯情報端末
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B1
図5B2
図6
図7
図8A1
図8A2
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B1
図12B2
図13
図14A1
図14A2
図14B
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図18E
図18F
図18G
図18H
図19A
図19B
図19C
図19D
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図20F
図20G
図20H
図20I
図21A
図21B
図22A
図22B
図22C
図22D
図22E
図22F
図22G
図23A
図23B
図23C
図24A
図24B
図24C
図25A
図25B
図26
図27A
図27B
図27C
図28A
図28B
図29A
図29B
図29C
図29D
図29E
図29F