IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7605848音響部品および音響部品を備えるエアダクト
<>
  • 特許-音響部品および音響部品を備えるエアダクト 図1
  • 特許-音響部品および音響部品を備えるエアダクト 図2
  • 特許-音響部品および音響部品を備えるエアダクト 図3
  • 特許-音響部品および音響部品を備えるエアダクト 図4
  • 特許-音響部品および音響部品を備えるエアダクト 図5
  • 特許-音響部品および音響部品を備えるエアダクト 図6
  • 特許-音響部品および音響部品を備えるエアダクト 図7
  • 特許-音響部品および音響部品を備えるエアダクト 図7A
  • 特許-音響部品および音響部品を備えるエアダクト 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】音響部品および音響部品を備えるエアダクト
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/12 20060101AFI20241217BHJP
   F02M 35/10 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
F02M35/12 B
F02M35/10 101E
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022549201
(86)(22)【出願日】2021-01-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2021050935
(87)【国際公開番号】W WO2021164966
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2024-01-18
(31)【優先権主張番号】102020104034.2
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】505229863
【氏名又は名称】マン ウント フンメル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】リンク、アンドレアス
【審査官】家喜 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-227519(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0222643(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0193282(US,A1)
【文献】独国実用新案第202014007986(DE,U1)
【文献】特開2002-82012(JP,A)
【文献】実開昭57-037194(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/12
F01N 1/02
G10K 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体のための流路(16)を備える音響部品(100)であって、
前記流路(16)の流入管(10)および流出管(12)の間に、サイレンサボリューム(20、24)を有する少なくとも1つの流路部(40、44)が配置され、前記流路部(40、44)において、前記サイレンサボリューム(20、24)は開口部(22)を介して前記流路(16)に連通し、
少なくとも前記サイレンサボリューム(20、24)を有する前記流路部(40、44)に、前記サイレンサボリューム(20、24)を有する前記流路部(40、44)内の流体の流れを前記開口部(22)から離れるように偏向させる少なくとも1つの流れ偏向装置(50)が設けられ、
前記流れ偏向装置(50)は、前記流路(16)内に突出し、長手軸(60)に沿った軸方向に前記流路部(40、44)に沿って延びる少なくとも1つの長手ステー(56)を含み、
前記長手ステー(56)は、前記流路部(40、44)の中心軸に面する前記長手ステー(56)の面の曲率が前記流路部(40、44)の内壁面の曲率に等しく、
前記流路部(40、44)の前記開口部(22)は、前記流れ偏向装置(50)の保護領域(48)に配置される音響部品。
【請求項2】
前記少なくとも1つの流れ偏向装置(50)は、前記サイレンサボリューム(20、24)を有する前記流路部(40、44)への前記流入管(10)の移行部(30、34)に少なくとも設けられる請求項1に記載の音響部品。
【請求項3】
前記流れ偏向装置(50)は、前記流体の流れによって生じる騒音に対する前記音響部品(100)の減衰効果に関して影響がないように構成される請求項1または2に記載の音響部品。
【請求項4】
前記流出管(12)は、前記サイレンサボリューム(20、24)を有する前記流路部(40、44)と同等またはより大きな直径および/または同等またはより大きな断面を有する請求項1~3のいずれか一項に記載の音響部品。
【請求項5】
前記流路部(40、44)内の前記流路(16)は、前記流入管(10)内よりも大きな直径および/または断面を有する請求項1~4のいずれか一項に記載の音響部品。
【請求項6】
前記流れ偏向装置(50)は、少なくとも1つの段差部(52、54)を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の音響部品。
【請求項7】
前記段差部(52、54)は、実質的に鋭端を有するように構成される請求項6に記載の音響部品。
【請求項8】
前記段差部(52、54)は、前記流路(16)の周りに周方向に延びるように構成される請求項6または7に記載の音響部品。
【請求項9】
前記少なくとも1つの長手ステー(56)は、少なくとも前記開口部(22)の軸方向範囲にわたって前記軸方向(60)に延びる請求項1~8のいずれか一項に記載の音響部品。
【請求項10】
前記流路部(40、44)において、前記長手軸(60)周りに複数の長手ステー(56)が配置される請求項1~9のいずれか一項に記載の音響部品。
【請求項11】
前記サイレンサボリューム(20、24)を有する前記流路部(40、44)を伴う2つ以上の流れ偏向装置(50)が、前記長手軸(60)に沿って連続的に配置される請求項1~10のいずれか一項に記載の音響部品。
【請求項12】
内燃機関用の請求項1~11のいずれか一項に記載の音響部品(100)を備えるエアダクト(200)であって、
前記音響部品(100)は、空気入口の清浄空気側に配置される、または、前記音響部品(100)は、空気入口の未処理空気側に配置されるエアダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に内燃機関用の、音響部品および音響部品を備えるエアダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
流路、例えばエアダクト、特に内燃機関の給気ダクトに、騒音低減のための音響対策を施すことが知られている。例えば、共振室を持つ広帯域サイレンサなどのタイプのサイレンサボリュームがしばしば使用される。
【0003】
このような広帯域サイレンサは、例えば、独国実用新案第202014007986号明細書から知られている。
【0004】
特に車両は設置スペースが限られているため、部品はできるだけ小型化される。広帯域サイレンサの管の直径が小さくなると、管直径の減少に伴い流量が増加し、音響対策に関する新しい要件が発生する。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、大流量用の音響部品を改善することを目的とする。
【0006】
更なる目的は、大流量用の音響部品を備えるエアダクトを提供することである。
【0007】
上述の目的は、本発明の一態様によれば、流体、特に空気のための流路を備える音響部品であって、流路の流入管および流出管の間に、サイレンサボリュームを有する少なくとも1つの流路部が配置され、流路部において、サイレンサボリュームは開口部を介して流路に連通し、少なくともサイレンサボリュームを有する流路部に、サイレンサボリュームを有する流路部内の流体の流れを開口部から少なくとも離れるように偏向させる少なくとも1つの流れ偏向装置が設けられ、流路部の開口部は、流れ偏向装置の保護領域に配置される音響部品によって解決される。
【0008】
流れ偏向装置は、流体の流れを流路の壁面から偏向または剥離させる効果がある。この流れの剥離により、流路部の開口部がコア流の外側に置かれ、流入を受けなくなる。開口部は死水域とも呼ばれる流れの後流領域に配置される。したがって、流路部において、開口部は流れ偏向装置の保護領域内に配置される。
【0009】
更なる目的は、本発明の音響部品を備える内燃機関用のエアダクトであって、音響部品は、空気入口の清浄空気側に配置される、または、音響部品は、空気入口の未処理空気側に配置されるエアダクトによって解決される。
【0010】
本発明の好ましい構成および利点は、添付の特許請求の範囲、明細書、および図面から得られる。
【0011】
提案される音響部品は、流体、特に空気のための流路を備え、流路の流入管および流出管の間に、サイレンサボリュームを有する少なくとも1つの流路部が配置され、流路部において、サイレンサボリュームは開口部を介して流路に連通し、少なくともサイレンサボリュームを有する流路部に、サイレンサボリュームを有する流路部内の流体の流れを開口部から少なくとも離れるように偏向させる少なくとも1つの流れ偏向装置が設けられ、流路部の開口部は、流れ偏向装置の保護領域に配置される。
【0012】
有利には、大流量で起こり得る笛吹き音を回避することができる。例えばクリーンエアダクト内の音響部品、特に広帯域サイレンサでは、特定の動作状態で笛吹き音が発生することがある。これは、流路の周りに配置された1つまたは複数の共振室、すなわちサイレンサボリュームと流路とを連通させる開口部を介して、サイレンサボリュームとコア流とが相互作用することで起こる。
【0013】
笛吹き音は、音色を持ったノイズとして理解される。笛吹き音は、広帯域のバックグラウンドノイズから際立つ、通常10dB~20dBbの周波数スペクトルの狭帯域事象である。バックグラウンドノイズが口笛音やハウリングとして知覚される周波数範囲は、可聴域全体、すなわち約500~16,000Hzの周波数範囲に及ぶ。このノイズは、その狭帯域特性のため、人間の耳に非常に認識されやすく、そのため耳障りに感じられる。
【0014】
本発明は、広帯域サイレンサに限定されず、他の共鳴器、例えばヘルムホルツ共鳴器やパイプ共鳴器と関連して使用することもできる。
【0015】
例えば、開口部の断面を小さくして部品の実際の音響性能が変化したり、開口部を細かい網目状のグリッドで覆って追加コストが発生したり、流量を減らすために管全体の断面を大きくして通常利用できない設置スペースを占有したりなど、雑音を回避するための複雑な手段を避けることができる。
【0016】
流れが、流れ偏向装置から軸方向に離れた位置で流路の壁に再び接触する前に、流路壁に設けられた開口部から少なくとも部分的に離れるように誘導されるか、または剥離されるため、通常の音響部品の音響特性を変えることなく、口笛音などの雑音を効果的に低減することができる。
【0017】
開口部は、流れ偏向装置の後方、例えば段差部の後方に配置されてもよく、流れ偏向装置に隣接して、例えば長手ステーに隣接して配置されてもよい。異なる流れ偏向装置、例えば、段差部や1つまたは複数の長手ステーを組み合わせることもできる。また、サイレンサボリュームを有する流路部に複数の長手ステーを設けることもできる。
【0018】
例えば、流路の直径(円筒形の場合)または断面(特に非円筒形の場合)が、開口部の流路部において少なくとも部分的に広がっていると、雑音を防ぐのに有利である。これにより、流れを開口部から剥離させることができるため、笛吹音等を効果的に防ぐことができる。
【0019】
例えば、広帯域サイレンサの開口部は、段差部の後方に、および/または、長手ステー間に配置されてもよい。
【0020】
追加部品が必要ないため、追加コストが発生しない。流れ偏向装置は、音響部品を製造する際の射出成形プロセスに簡単に組み込むことができる。音響部品の音響効果、特に減衰作用は影響を受けない。また、断面を狭くする必要がないため、断面が狭くなることによる圧力損失を回避することができる。流れ偏向装置は、開口部の様々な形状に対して有効である。
【0021】
開口部は、丸穴、長穴、スロット、長手軸に平行、長手軸に垂直、長手軸に傾斜、または異なる構成の開口部の組み合わせとして任意に設計することができる。
【0022】
音響減衰作用を低下させることなく、広帯域サイレンサにおける雑音、特に口笛音を低減するとともに、圧力損失の増加を誘発しない、堅牢で製造が容易な対策を提供することができる。
【0023】
音響部品の有利な構成によると、少なくとも1つの流れ偏向装置は、サイレンサボリュームを有する流路部への流入管の移行部に少なくとも設けられてもよい。これにより、音響部品のコンパクトな構成が可能になる。
【0024】
音響部品の有利な構成によると、流れ偏向装置は、実質的に減衰に関して影響がないように構成されてもよい。直径または断面の拡大は、音響拡張室としては作用しない。むしろ、流れ偏向装置だけでは、拡張室のような減衰効果は実質的に生じない。
【0025】
音響部品の有利な実施形態によると、流出管は、サイレンサボリュームを有する流路部と同等またはより大きな直径および/または同等またはより大きな断面を有していてもよい。サイレンサボリュームを有する流路部を、流れ方向に直径または断面が増大する円錐形に設計した場合、少なくともサイレンサボリュームを有する流路部の流出管への移行部に、同等またはより大きい直径および/または断面の流出管が設けられる。
【0026】
これに加えて、またはこれに代わって、音響部品の有利な実施形態によると、サイレンサボリュームを有する流路部内の流路は、流入管内よりも大きな直径および/または断面を有していてもよい。
【0027】
どちらの場合も、拡張室の出口側の流路の断面が先細りになっている従来の拡張室とは対照的に、流出管内の流路はサイレンサボリュームを有する流路部内と少なくとも同じ大きさを有する。
【0028】
音響部品の有利な実施形態によると、流れ偏向装置は、少なくとも1つの段差部を含んでいてもよい。段差部は、従来の拡張室よりも大幅に小さく設計される。特に、段差部は実質的に鋭端を有するように構成することができる。これにより、流路部において、サイレンサボリュームの開口部が設けられた壁から流れを剥離することが容易になる。
【0029】
音響部品の有利な実施形態によると、段差部は、流路の周りに周方向に延びるように構成されてもよい。必要に応じて、段差部を周方向に断続的に設け、段差セグメントを形成することもできる。これらは、円周上に均等に分布させてもよい。音響部品の有利な実施形態によると、流れ偏向装置は、流路内に突出し、長手軸に沿った軸方向にサイレンサボリュームを有する流路部に沿って延びる少なくとも1つの長手ステーを含んでいてもよい。特に、少なくとも1つの長手ステーは、少なくとも開口部の軸方向範囲にわたって軸方向に延びてもよい。長手方向の開口部の間の管の内側に導入された長手ステーにより、流れの「剥離」効果を高めることができる。
【0030】
必要に応じて、サイレンサボリュームを有する流路部の入口に段差部を設けずに、1つまたは複数の長手ステーを設けてもよい。これにより、1つまたは複数の長手ステーによって、流れが開口部から剥離される。長手ステーは、幅狭にも幅広にも設計できる。段差部を設けず、長手ステーのみが設けられている場合、流路の直径、ひいては流入管および流出管の直径は、延長長さにわたって、すなわちサイレンサボリュームを有する流路部にわたって不変であってもよい。これは、管の内径や、音響的に有効なサイレンサボリュームを小さくする必要がないという点で有利である。いわば、長手ステーは、サイレンサボリュームを有する流路部の既存の内半径にのみ配置される。
【0031】
音響部品の有利な実施形態によると、流路部において、長手軸周りに複数の長手ステーが配置されてもよい。
【0032】
有利には、サイレンサボリュームを有する流路部の入口における段差部の有無にかかわらず、長手ステーを開口部間に配置し、フィンのように流路内に突出させてもよい。有利には、長手ステーは、少なくとも10°にわたって、または、サイレンサボリュームを有する流路部の長手方向に隣接して配置された開口部または開口部の列と少なくとも同じ角度範囲にわたって、周方向に延在する。これにより、サイレンサボリュームを有する流路部が機械的に安定するため、音響部品の製造に有利な効果を奏する。
【0033】
音響部品の有利な実施形態によると、サイレンサボリュームを有する流路部を伴う2つ以上の流れ偏向装置が、長手軸に沿って連続的に配置されてもよい。これにより、特定の周波数範囲における減衰ため、構造を有利に適応させることができる。サイレンサボリュームを有する複数の流路部が連続的に配置される場合、必要に応じて、流路部の一部のみに流れ偏向装置が設けられてもよい。
【0034】
本発明の更なる態様によると、内燃機関用の本発明の音響部品を備えるエアダクトであって、音響部品は、空気入口の清浄空気側に配置される、または、音響部品は、空気入口の未処理空気側に配置されるエアダクトが提供される。
【0035】
有利には、大流量での笛吹音などの不快な雑音を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
更なる利点は、以下の図面の説明から得られる。図面には、本発明の実施形態が示されている。図面、明細書、および特許請求の範囲には、多数の特徴が組み合わせられて含まれる。当業者であれば、これらの特徴を適切に、また個別に検討し、組み合わせて、更なる組み合わせを提供することができる。
【0037】
図1】本発明の一実施形態による音響部品の軸方向に沿った縦断面図である。
図2図1の音響部品の断面II-IIの平面図である。
図3】本発明の更なる実施形態による音響部品の軸方向に沿った縦断面図である。
図4図3の音響部品の断面IV-IVの平面図である。
図5】本発明の更なる実施形態による音響部品の断面の平面図である。
図6】本発明の更なる実施形態による音響部品の断面の平面図である。
図7】本発明の更なる実施形態による音響部品の軸方向に沿った縦断面図である。
図7A図1の音響部品の縦断面の詳細図であり、流路が示されている。
図8】本発明の一実施形態による音響部品を備える給気ダクトの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図中、同一または類似の構成要素は同一の参照記号で示される。
【0039】
図1および図2は、本発明の一実施形態による音響部品100、特にサイレンサを示す。図1は、音響部品100の軸方向の長手軸60に沿った縦断面図である。図2は、図1の音響部品100の断面II-IIの平面図である。
【0040】
音響部品100は、例えば円筒壁によって囲まれた、流体、特に空気のための流路16を備える。
【0041】
流路16の流入管10および流出管12の間に、サイレンサボリューム20を有する流路部40が配置され、流路部40において、サイレンサボリューム20は開口部22を介して流路16に連通する。サイレンサボリューム20は、外側がカバー26によって閉じられる。
【0042】
開口部22は、明確化の理由から、参照番号で部分的にのみ特定される。流路16は、流入管10、サイレンサボリューム20を有する流路部40、および流出管12を通って延在する。
【0043】
サイレンサボリューム20を有する流路部40への流入管10の移行部30において、サイレンサボリューム20を有する流路部40の流路16の直径が拡大されるように、段差部52の形態で流れ偏向装置50が設けられる。
【0044】
開口部22は、流路部40において、段差部52として構成された流れ偏向装置50の保護領域内に配置される。段差部52は、流路16周りに周方向に延びるように配置される。流れ偏向装置50は、音響部品の意図された減衰挙動に関して中立であり、すなわち、実質的に減衰に関して影響がないように構成される。
【0045】
流れ偏向装置50は、移行部30において、サイレンサボリューム20を有する流路部40内の流体の流れが、開口部22から剥離し、開口部22がもはや存在しない段差部52から軸方向にいくらか離れたところでのみ流路16の壁面に到達するように、流れを開口部22から流路16の中心に向かって局所的に偏向させる。この目的のため、段差部52は、鋭端を有するように構成されることが特に有利である。
【0046】
この実施形態では、流れ偏向装置50は外向きに設けられる。したがって、開口部22は、流入管10の壁と比較して、長手軸60までの距離が大きい。
【0047】
しかしながら、流れ偏向装置50は、例えば周方向に延在するまたは断続的なステーの形態で、内向きに設けることもできる。
【0048】
段差部の高さまたは直径の拡大は、実用上、音響部品100を通る流れの境界条件に適合させることができる。
【0049】
流出管12は、サイレンサボリューム20を有する流路部40と同じ直径を有する。必要に応じて、流出管12は、サイレンサボリューム20を有する流路部40より大きい直径を有していてもよい。しかしながら、原則として、流出口の直径は段差部よりも小さくてもよい。この場合、部品は2つのアセンブリで構成されてもよい。しかしながら、対策の有効性は維持される。
【0050】
図3および図4は、本発明の更なる実施形態による音響部品100を示す。図3は、音響部品100の軸方向の長手軸60に沿った縦断面図である。図4は、図3の音響部品100の断面IV-IVの平面図である。音響部品100の構成は、図1および図2の構成に実質的に対応し、不必要な繰り返しを避けるためにその説明を参照する。
【0051】
流れ偏向装置50として図1および2に関連して上述した段差部52に加え、流れ偏向装置50は、流路16内に突出する正反対に配置された2つの長手ステー56を含む。
【0052】
長手ステー56は、軸方向に流路部40に沿って流出管12まで延在し、サイレンサボリューム20を有する流路部40の開口部22の軸方向範囲を軸方向に覆う。長手ステー56は、サイレンサボリューム20を有する流路部40の開口部22から流れが剥離するのを促進する。
【0053】
図5および図6は、長手ステー56を有する音響部品100の変形例を示す。
【0054】
図5は、長手軸60を中心として流路部40の円周に等距離に置かれた4つの長手ステー56と段差部52とを有する音響部品100の断面の平面図を示す。長手ステー56は段差部52に介在する。
【0055】
音響部品100の更なる実施形態は、図1図4の実施形態に対応する。流路16は、流入管10よりも流路部40においてより大きな断面を有する。
【0056】
図6は、流れ偏向装置50として4つの長手ステー56が設けられているが、段差部52が設けられていない音響部品100の断面の平面図を示す。音響部品100の更なる実施形態は、図1図4の構成に対応する。流路16は、流入管10よりも流路部40においてより小さな断面を有する。長手ステー56は、本質的に流路16の内半径上に配置される。流入管10と流出管12は、同じ内径を有していてもよい。
【0057】
図7は、本発明の更なる実施形態による音響部品100の軸方向に沿った縦断面図である。
【0058】
音響部品100は、例えば円筒壁によって囲まれた、流体、特に空気のための流路16を備える。
【0059】
流路16の流入管10および流出管12の間には、開口部22を介して流路16に連通するサイレンサボリューム20を有する第1の流路部40が配置され、その上に、同様に開口部22を介して流路16に連通するサイレンサボリューム24を有する第2の流路部44(部分的にのみ示される)が配置されている。開口部22は、明確化の理由から、参照番号で部分的にのみ特定される。流路16は、流入管10、サイレンサボリューム20を有する流路部40、サイレンサボリューム24を有する流路部44、および流出管12を通って延在する。サイレンサボリューム20は、外側がカバー26によって閉じられ、サイレンサボリューム24は、外側がカバー28によって閉じられる。
【0060】
サイレンサボリューム20を有する流路部40への流入管10の移行部30において、サイレンサボリューム20を有する流路部40の流路16の直径が拡大されるように、段差部52の形態で流れ偏向装置50が設けられる。
【0061】
開口部22は、流路部40において、段差部52として構成された流れ偏向装置50の保護領域内に配置される。段差部52は、流路16周りに周方向に延びるように配置される。流れ偏向装置50は、音響部品の意図された減衰挙動に関して中立であり、すなわち、実質的に減衰に関して影響がないように構成される。
【0062】
サイレンサボリューム24を有する流路部44への流路部40の移行部34において、サイレンサボリューム24を有する流路部44の流路16の直径が拡大されるように、段差部54の形態で流れ偏向装置50が設けられる。
【0063】
開口部22は、流路部40、44において、段差部52、54として構成された流れ偏向装置50の保護領域内に配置される。段差部52、54は、流路16周りに周方向に延びるように配置される。流れ偏向装置50は、音響部品の意図された減衰挙動に関して中立であり、すなわち、実質的に減衰に関して影響がないように構成される。
【0064】
流れ偏向装置50は、移行部30、34において、サイレンサボリューム20、24を有する流路部40、44内の流体の流れが、開口部22から剥離し、開口部がもはや存在しない段差部52、54から軸方向にいくらか離れたところでのみ流路16の壁面に到達するように、流れを開口部22から流路16の中心に向かって局所的に偏向させる。この目的のため、段差部52、54は、鋭端を有するように構成されることが特に有利である。
【0065】
この実施形態では、流れ偏向装置50は外向きに設けられる。したがって、開口部22は、流入管10の壁と比較して、長手軸60までの距離が大きい。
【0066】
しかしながら、流れ偏向装置50は、例えば流路16周りの周方向に延在するまたは断続的なステーの形態で、内向きに設けることもできる。
【0067】
段差部の高さまたは直径の拡大は、実用上、音響部品100を通る流れの境界条件に適合させることができる。
【0068】
流出管12は、サイレンサボリューム24を有する流路部44と同じ内径を有する。必要に応じて、流出管12は、サイレンサボリューム24を有する流路部44より大きい内径を有していてもよい。
【0069】
流路部40、44のカバー26、28の外径は同じである。
【0070】
図7Aは、図1の音響部品100の長手軸60に沿った縦断面の詳細を示す。流路16の流入管10および流出管12の間に、サイレンサボリューム20を有する流路部40が配置され、流路部40において、サイレンサボリューム20は開口部22を介して流路16に連通する。
【0071】
サイレンサボリューム20を有する流路部40への流入管10の移行部30において、サイレンサボリューム20を有する流路部40の流路16の直径が拡大されるように、段差部52の形態で流れ偏向装置50が設けられる。
【0072】
開口部22は、流路部40において、段差部52として構成された流れ偏向装置50の保護領域内に配置される。
【0073】
流れ偏向装置50は、コア流45が開口部22から離れて、開口部22がもはや存在しない流れ偏向装置50から軸方向にある程度離れたところでのみ流路16の壁面に再び接触するように、流路16の壁面からコア流45を剥離する効果を発揮する。例えば段差部52による、流れ偏向装置50での流れの剥離により、流路部40の開口部22がコア流45の外側に置かれ、流入を受けなくなる。開口部22は死水域とも呼ばれる流れの後流領域48に配置される。後流領域48は、コア流45からの仮想剥離面47によって画定される。後流領域では、個々の渦流46が発生する可能性があるが、音響効果はない。
【0074】
図8は、本発明の実施形態による、本発明の音響部品100を備える内燃機関用の給気ダクトの形態であるエアダクト200を概略的に示す。音響部品100は、ターボチャージャ90から内燃機関への空気入口の清浄空気側に配置される。有利には、エアダクト200内の空気の流量が大きい場合でも、音響部品100によって、笛吹音などの雑音を回避することができる。
【0075】
音響部品100は、エアダクトの高圧部におけるターボチャージャ90の下流側に配置されてもよいし、低圧部における上流側に配置されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図7A
図8