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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/042 20060101AFI20241217BHJP
   G05B 19/414 20060101ALI20241217BHJP
   G06F 8/65 20180101ALI20241217BHJP
【FI】
G05B19/042
G05B19/414 Z
G06F8/65
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022555512
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2021036847
(87)【国際公開番号】W WO2022075327
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2020171357
(32)【優先日】2020-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】牧野 巌
【審査官】影山 直洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-138362(JP,A)
【文献】特開平09-190204(JP,A)
【文献】特開2005-006450(JP,A)
【文献】特開2019-109580(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/042
G05B 19/414
G06F 8/65
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旧ソフトウェアを新ソフトウェアに更新する際に前記新ソフトウェアに適用されるパラメータの候補となる新設定パラメータを作成する機能を有する制御装置であって、
前記制御装置は、ソフトウェア情報記憶部と、推奨パラメータ作成部と、パラメータ記憶部と、を備え、
前記ソフトウェア情報記憶部は、前記パラメータの新項目情報及び候補値情報を含む前記新ソフトウェアを記憶媒体から取得して記憶し、
前記推奨パラメータ作成部は、前記新項目情報及び前記候補値情報に基づいて新推奨パラメータを作成し、
前記パラメータ記憶部は、前記新推奨パラメータのうち作業者が選択したものを前記新設定パラメータとして記憶する
制御装置。
【請求項2】
前記パラメータ記憶部は、作業者の入力により、前記新項目情報及び前記候補値情報を変更して記憶する
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記新ソフトウェアは、前記新項目情報に対応するグループ情報をさらに含み、
前記推奨パラメータ作成部は、前記グループ情報に基づいて設定されるグループを追加して前記新推奨パラメータを作成し、
前記パラメータ記憶部は、前記新推奨パラメータのうち作業者が選択した前記グループに対応したものを前記新設定パラメータとする
請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記ソフトウェア情報記憶部は、更新前の旧項目情報を含む旧ソフトウェアをさらに記憶しており、
前記推奨パラメータ作成部は、前記新項目情報及び前記旧項目情報を対比して変更情報を作成する変更情報特定部をさらに含むとともに、前記変更情報に基づいて設定される変更状態を追加して前記新推奨パラメータを作成する
請求項1~3のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記パラメータ記憶部は、更新前の旧項目情報を含む旧設定パラメータをさらに記憶しており、
前記推奨パラメータ作成部は、前記新項目情報及び前記旧項目情報を対比して変更情報を作成する変更情報特定部をさらに含むとともに、前記変更情報に基づいて設定される変更状態を追加して前記新推奨パラメータを作成する
請求項1~3のいずれか1項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトウェアの更新を行う際にパラメータ更新を行う技術に関し、特に、旧ソフトウェアを新ソフトウェアに更新する際に前記新ソフトウェアに適用されるパラメータの候補となる新設定パラメータを作成する機能を有する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械に代表される産業機械等で使用される制御装置は、制御プログラム等のソフトウェアを実行することにより制御対象物の制御を行っている。また、ソフトウェアには、制御装置が有する各種機能によって制御対象物を動作させるためのパラメータが設定される。
【0003】
ソフトウェアは、制御装置に内蔵されたフラッシュROMに記憶され、バグの修正や新機能が追加された新しいバージョン(以後、「新ソフトウェア」と呼ぶ)を提供された際に、それまで記憶されていたバージョン(以後、「旧ソフトウェア」と呼ぶ)に替えて新ソフトウェアに更新することができる。
【0004】
このようなソフトウェアの更新には、制御装置に内蔵されているフラッシュROMを新ソフトウェアが記憶された別のフラッシュROMに差し替える方法や、制御装置に新ソフトウェアが記憶された外部記憶媒体を接続し、フラッシュROMに記憶されている旧ソフトウェアを新ソフトウェアに上書きする方法がある。
【0005】
これらの方法では、制御装置が設置されている場所まで作業者が行き、ソフトウェアの更新作業を行う必要があるため、作業者は、フラッシュROMや外部記憶媒体を持ち運んでそれらの脱着を行わなければならず、負担となる作業を強いられていた。こうした問題に対し、作業者に負担をかけることなく、制御装置のソフトウェアの更新を短時間に行うことが可能な方法がいくつか提案されている。
【0006】
上記したソフトウェアの更新方法の一例として、特許文献1には、書換え可能な不揮発性メモリに制御プログラムを格納している数値制御装置の制御プログラム書換方式において、数値制御装置と離れた場所に設置された端末装置に設けられ、通信回線を介して更新プログラムを数値制御装置に転送する転送手段と、数値制御装置に設けられ、通信回線を介して送られてきた更新プログラムを受信する受信手段と、数値制御装置内において、不揮発性メモリに格納されている制御プログラムを、更新プログラムに書換える書換手段と、を有することを特徴とする制御プログラム書換方式が開示されている。これにより、数値制御装置と通信回線を介して接続された端末装置から更新プログラムを転送し、数値制御装置の不揮発性メモリ内の制御プログラムを書き換えるようにしたため、数値制御装置の制御プログラムの書換え作業を迅速に行えるようになるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平07-319531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した従来の制御プログラム書換方式では、制御装置の設置されている場所まで作業者が行って作業を行う必要がなく、ソフトウェアを迅速に更新することができる。しかしながら、新ソフトウェアで変更された機能や追加された新機能を使用するには、それらの機能を有効とするためのパラメータの設定を、制御装置に対して作業者が手入力やファイル入力により行う必要がある。
【0009】
通常、ソフトウェアごとに設定されるパラメータは、制御装置が多機能であるほど多くの設定を行う必要があり、また、あるパラメータを変更することにより、当該パラメータに関連する他のパラメータの変更が必要となる場合や、他のパラメータの設定範囲が異なってくる場合もある。このため、作業者が手入力でパラメータを更新する場合には、説明書等の参考書類を参照しながら、変更したパラメータに関連する他のパラメータの有無や、他のパラメータの設定範囲の変化の有無を調べて設定する等、作業者にとっては時間を要する煩雑な設定作業が必要となる。
【0010】
一方、既定のファイル入力によってパラメータの設定を行う場合には、作業者が外部記憶媒体を参照して、新ソフトウェアに対応したパラメータファイルを選択し、制御装置に読み込ませることで設定が行われる。この方法では、新ソフトウェアに対応した既定のパラメータファイルを用いて作業を行うため、短時間で設定作業を完了することができる。
【0011】
しかしながら、既定のパラメータファイルでの更新は作業が容易となる反面、制御対象となる機械の動作を変えたくない等の理由により既存のパラメータへの変更や追加機能を適用したくない場合でも、一様にパラメータの変更が行われてしまうという弊害がある。このような場合、既定のパラメータファイルによる更新を行った後、変更を適用したくない箇所についてパラメータの再設定を手入力で行わなければならず、作業者に追加的な負担が発生することとなる。
【0012】
このような経緯から、ソフトウェア更新に伴うパラメータの更新において、作業者の負担を低減しつつ設定に自由度を持たせることができる制御装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様による、旧ソフトウェアを新ソフトウェアに更新する際に新ソフトウェアに適用されるパラメータの候補となる新設定パラメータを作成する機能を有する制御装置は、ソフトウェア情報記憶部と、推奨パラメータ作成部と、パラメータ記憶部と、を備え、ソフトウェア情報記憶部は、上記パラメータの新項目情報及び候補値情報を含む新ソフトウェアを記憶媒体から取得して記憶し、推奨パラメータ作成部は、上記新項目情報及び候補値情報に基づいて新推奨パラメータを作成し、パラメータ記憶部は、新推奨パラメータのうち作業者が選択したものを新設定パラメータとして記憶する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一態様によれば、記憶媒体から取得した新ソフトウェアの新項目情報及び候補値情報に基づいて新推奨パラメータを作成し、当該新推奨パラメータのうち作業者が選択したものを新設定パラメータとして記憶することにより、ソフトウェア更新に伴うパラメータの更新において、作業者の負担を低減しつつ設定に自由度を持たせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1の実施形態による制御装置とその周辺装置との関係を示すブロック図である。
図2図1に示した制御装置の具体的な構成と動作の一例を示すブロック図である。
図3図1に示したユーザインターフェースの概要及び表示画面の一例を示す概略図である。
図4】第2の実施形態による制御装置の具体的な構成と動作の一例を示すブロック図である。
図5】第2の実施形態におけるユーザインターフェースの概要及び表示画面の一例を示す概略図である。
図6】第3の実施形態による制御装置の具体的な構成と動作の一例を示すブロック図である。
図7】第3の実施形態におけるユーザインターフェースの概要及び表示画面の一例を示す概略図である。
図8】第3の実施形態の変形例による制御装置の具体的な構成と動作の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の代表的な一例による、旧ソフトウェアを新ソフトウェアに更新する際に新ソフトウェアに適用されるパラメータの候補となる新設定パラメータを作成する機能を有する制御装置の実施形態を図面と共に説明する。
【0017】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の代表的な一例である第1の実施形態による制御装置とその周辺装置の関係を示すブロック図である。また、図2は、図1に示した制御装置の具体的な構成と動作の一例を示すブロック図である。さらに、図3は、図1に示したユーザインターフェースの概要及び表示画面の一例を示す概略図である。
【0018】
なお、本明細書における「制御装置」は、プラントや展示施設等の動作を制御する一般的な制御装置や、輸送機器等の速度や姿勢を制御する運転制御装置、工作機械等に適用される数値制御装置、あるいはコンピュータの動作を制御する制御装置等、任意の制御対象を制御するものを含む。また、「ソフトウェア」は、制御装置の根幹となる動作環境を提供するオペレーティングシステムや、作業者が制御目的ごとに使用するアプリケーションプログラム等を含むものとする。
【0019】
図1に示すように、第1実施形態による制御装置100は、その一例として、制御対象10と、記憶媒体20と、ユーザインターフェース30と、有線又は無線の回線等を介して相互に通信可能に接続されている。そして、制御装置100は、主制御部110と、ソフトウェア情報記憶部120と、推奨パラメータ作成部130と、パラメータ記憶部140と、を備える。
【0020】
制御対象10は、上記のとおり、本願の「制御装置」が制御し得る任意の装置等を含む。記憶媒体20は、その一例として、後述するパラメータの項目情報を含む新ソフトウェアや、任意の項目に対してその候補値を対応させたデータテーブル等が記憶されている。このような記憶媒体20としては、光学ディスクおよびその再生装置、磁気ディスク、半導体メモリ等の記憶媒体や、有線/無線のネットワークを介して接続されたパソコン、エッジコンピュータ、フォグコンピュータ、クラウドサーバ等のコンピュータ等が例示できる。
【0021】
ユーザインターフェース30は、例えば図3に示すように、制御に必要な条件や追加的な情報等を、作業者が入力を行うことができる入力装置32と、制御装置100が備える各部からの情報を表示画面として作業者に視覚的に表示する表示装置34と、を含む。このようなユーザインターフェース30としては、モニタにキーボードやマウス、MDIユニット、操作盤等を組合せたものや、タッチパネル式の入力機器等が例示できる。
【0022】
なお、図1及び図2において、記憶媒体20及びユーザインターフェース30は、制御装置100と独立した別体として例示しているが、制御装置100に対して外部から接続されるものに限るものではなく、制御装置100に内蔵して構成するようにしてもよい。
【0023】
主制御部110は、図示した制御装置100の各部の動作を制御するとともに、制御対象10、記憶媒体20及びユーザインターフェース30との間で信号やデータ等のやり取りを行う機能を有する。また、主制御部110は、後述するソフトウェア情報記憶部120に保存されたソフトウェアから各種の制御プログラムを読み出し、制御対象10の動作を実行する指令を発する機能も有する。
【0024】
ソフトウェア情報記憶部120は、主制御部110を介して、記憶媒体20から制御装置100が動作するためのベースとなるソフトウェアを読み込んで記憶保存する。このとき、ソフトウェア情報記憶部120は、更新される前後のソフトウェア(旧ソフトウェア及び新ソフトウェア)だけでなく、当該ソフトウェアが制御する制御対象の機能情報等、付加的な情報をも併せて記憶させることができる。
【0025】
図2に示す第1の実施形態においては、ソフトウェア情報記憶部120は、設定されるパラメータの新項目情報I1及びこれに対応する候補値情報V1を含む新ソフトウェアSW1を記憶媒体20から取得して記憶保存する。ここで、「新項目情報」とは、制御対象10の構成等を考慮してソフトウェアが実行する各種機能に必要なパラメータの項目についての情報を意味する。また、「候補値情報」とは、新項目情報I1に含まれる「項目」に対応する「数値」や「数値範囲」の候補についての情報や、候補値を算出するための算出式の情報、あるいは候補値を設定するための条件(ルール)を含む情報等を意味する。
【0026】
推奨パラメータ作成部130は、ソフトウェア情報記憶部120から新項目情報I1及び候補値情報V1を読み込んで、作業者に提示される候補データである新推奨パラメータRP1を作成する。図2に示す第1の実施形態においては、新推奨パラメータRP1は、新項目情報I1と、当該新項目情報に対応する候補値情報V1に基づいて作成された、新項目I10及び候補値V10を含むものとして定義される。
【0027】
そして、推奨パラメータ作成部130で作成された新推奨パラメータRP1は、主制御部110を介してユーザインターフェース30の表示装置34に送られるとともに、後述するパラメータ記憶部140に送られて一時的に保存される。
【0028】
パラメータ記憶部140は、制御装置100を動作させるソフトウェアに対応して設定されるパラメータを記憶保存する。このとき、パラメータ記憶部140は、推奨パラメータ作成部130から送られてきた新推奨パラメータRP1を一時的に保存するだけでなく、更新される前のパラメータ(図8の旧設定パラメータRP2参照)も記憶しておく機能を有する。そして、パラメータ記憶部140は、当該新推奨パラメータRP1のうち、主制御部110を介して、入力装置32で作業者が選択したものを新設定パラメータSP1として記憶保存する。
【0029】
次に、第1の実施形態による制御装置におけるパラメータ更新方法の手順を、図2及び図3を参照して説明する。
【0030】
第1の実施形態による制御装置100のパラメータ更新方法においては、まず、ソフトウェア情報記憶部120が、主制御部110を介して、記憶媒体20から新項目情報I1を含む新ソフトウェアSW1を読み込んで(取得して)記憶する。そして、ソフトウェア情報記憶部120は、読み込んだ新ソフトウェアSW1の新項目情報I1及び候補値情報V1を推奨パラメータ作成部130に送る。
【0031】
次に、推奨パラメータ作成部130は、新項目情報I1に対応する候補値情報V1から、新推奨パラメータRP1に実際に含まれる新項目I10を抽出するとともに候補値V10を算出して新推奨パラメータRP1を作成する。そして、推奨パラメータ作成部130は、作成した新推奨パラメータRP1をパラメータ記憶部140に送る。
【0032】
次に、主制御部110は、推奨パラメータ作成部130で作成された新推奨パラメータRP1をユーザインターフェース30に送るとともに、表示装置34に表示画面として表示させる。表示装置34では、例えば図3に示すように、新推奨パラメータRP1が新項目I10及びこれに対応する候補値V10とともに一覧表の態様で表示される。
【0033】
図3に示す表示装置34では、その一例として、「提示情報を採用しますか?」等の設問を表示した表示ボタンB1と、「項目選択」や「候補値選択」等の具体的な選択肢を表示した表示ボタンB2と、が表示されている。この表示画面を見た作業者が入力装置32等を用いて表示ボタンB1を選択(押下)すると、推奨パラメータ作成部130が作成した新推奨パラメータRP1のすべてを新設定パラメータSP1として採用する。
【0034】
この作業者による選択は、図2に示すように、入力装置32から主制御部110を介してパラメータ記憶部140に伝達され、当該パラメータ記憶部140において一時的に保存されていた新推奨パラメータRP1を新設定パラメータSP1として記憶保存する。これにより、新ソフトウェアSW1に対応した新設定パラメータSP1がパラメータ記憶部140において更新される。
【0035】
一方、図3に示した新推奨パラメータRP1において、その項目あるいは候補値の一部を修正したい場合、作業者は入力装置32等を用いて表示ボタンB2を選択(押下)する。これにより、例えば新推奨パラメータRP1として提示された項目あるいは候補値の一部を、入力装置32から直接手入力で追加、削除あるいは変更して更新することも可能となる。
【0036】
上記した構成及び動作により、本願の第1の実施形態による制御装置及びそのパラメータ更新方法は、記憶媒体から取得した新ソフトウェアの新項目情報及び候補値情報に基づいて新推奨パラメータを作成し、当該新推奨パラメータのうち作業者が選択したものを新設定パラメータとして記憶することにより、ソフトウェア更新に伴うパラメータの更新において、作業者の負担を低減しつつ設定に自由度を持たせることができる。
【0037】
<第2の実施形態>
図4は、本発明の別の一例である、第2の実施形態による制御装置の具体的な構成と動作の一例を示すブロック図である。また、図5は、第2の実施形態におけるユーザインターフェースの概要及び表示画面の一例を示す概略図である。なお、第2の実施形態において、図1図3で示したブロック図等において、第1の実施形態と同一あるいは共通の構成を採用し得るものについては、同一の符号を付してこれらの繰り返しの説明は省略する。
【0038】
第2の実施形態においては、図4に示すように、ソフトウェア情報記憶部120に記憶保存される新ソフトウェアSW1は、新項目情報I1及び候補値情報V1に加えて、当該新項目情報I1に対応するグループ情報G1を含むように構成される。ここで、グループ情報G1としては、新項目情報I1に対応して、「サイクルタイム短縮に関係するパラメータのグループ」や「加工面品位向上に関係するパラメータのグループ」、あるいは「操作性向上に関係するパラメータのグループ」等、制御対象10の機能や動作に対して一まとめにすると効率的と思われるパラメータに、グループとしてのフラグを付したものが例示できる。
【0039】
第2の実施形態による制御装置100のパラメータ更新方法では、図4に示すように、ソフトウェア情報記憶部120が、主制御部110を介して、記憶媒体20から新項目情報I1、候補値情報V1及びグループ情報G1を含む新ソフトウェアSW1を読み込んで(取得して)記憶する。そして、ソフトウェア情報記憶部120は、読み込んだ新ソフトウェアSW1の新項目情報I1、候補値情報V1及びグループ情報G1を推奨パラメータ作成部130に送る。
【0040】
次に、推奨パラメータ作成部130は、ソフトウェア情報記憶部120から新項目情報I1、候補値情報V1及びグループ情報G1を読み込んで、新項目I10と候補値V10とをグループG10と対応付けた新推奨パラメータRP1を作成する。そして、推奨パラメータ作成部130は、作成した新推奨パラメータRP1をパラメータ記憶部140に送る。
【0041】
次に、主制御部110は、推奨パラメータ作成部130で作成された新推奨パラメータRP1をユーザインターフェース30に送るとともに、表示装置34に表示画面として表示させる。表示装置34では、例えば図5に示すように、新推奨パラメータRP1が新項目I10及び候補値V10がグループG10とともに一覧表の態様で表示される。
【0042】
図5に示す表示装置34では、その一例として、「グループ選択」や「項目選択」あるいは「候補値選択」等の具体的な選択肢を表示した表示ボタンB2が表示されている。このとき、作業者が「グループ選択」の表示ボタンB2を選択して、入力装置32から選択したいグループ番号を入力すると、制御対象10の機能や動作において作業者が望むグループのパラメータを選択的に採用することができる。なお、第1の実施形態と同様に、表示ボタンB2の選択後に入力装置32から手入力を行うことにより、新推奨パラメータRP1として提示されたグループ、項目あるいは候補値の一部を、直接追加、削除あるいは変更して更新することもできる。
【0043】
上記した構成及び動作により、第2の実施形態においては、第1の実施形態による制御装置及びそのパラメータ更新方法で得られた効果に加えて、新ソフトウェアに制御対象の機能や動作に合わせてパラメータをグループ化したグループ情報を含ませておき、当該グループ情報に基づくグループの項目を新推奨パラメータに加えることにより、作業者が制御対象に対する制御において希望するあるいは重視する機能や動作に合わせたグループのパラメータを選択的に更新することが可能となり、更新操作も簡略化できる。
【0044】
<第3の実施形態>
図6は、本発明の別の一例である、第3の実施形態による制御装置の具体的な構成と動作の一例を示すブロック図である。また、図7は、第3の実施形態におけるユーザインターフェースの概要及び表示画面の一例を示す概略図である。なお、第3の実施形態においても、図1図3で示したブロック図等において、第1の実施形態と同一あるいは共通の構成を採用し得るものについては、同一の符号を付してこれらの繰り返しの説明は省略する。
【0045】
第3の実施形態による制御装置100及びそのパラメータ更新方法において、図6に示すように、ソフトウェア情報記憶部120が、更新前のソフトウェアとして旧項目情報I2を含む旧ソフトウェアSW2を予め記憶保存しており、この状態で新たに新項目情報I1及び候補値情報V1を含む新ソフトウェアSW1を読み込むように構成される。ここで、「旧項目情報」とは、旧ソフトウェアSW2が制御対象10の構成等を考慮して実行していた各種機能に必要なパラメータの項目についての情報を意味する。
【0046】
第3の実施形態において、推奨パラメータ作成部130は、上記した新項目情報I1及び旧項目情報I2に基づいて新推奨パラメータRP1を構成する項目の変更情報C1を作成する変更情報特定部132をさらに含むように構成される。そして、推奨パラメータ作成部130は、上記変更情報C1を考慮しつつ、新推奨パラメータRP1を作成する。
【0047】
変更情報特定部132は、新項目情報I1と旧項目情報I2とを対比して、両者の共通項目と相違項目とを判別し、これらを変更情報C1として作成する。このとき、「相違項目」としては、新項目情報I1において旧項目情報I2に含まれていなかった新規な項目が例示できる。
【0048】
第3の実施形態による制御装置100のパラメータ更新方法では、図6に示すように、ソフトウェア情報記憶部120が、主制御部110を介して、記憶媒体20から新項目情報I1及び候補値情報V1を含む新ソフトウェアSW1を読み込んで(取得して)記憶する。そして、ソフトウェア情報記憶部120は、読み込んだ新ソフトウェアSW1の新項目情報I1及び候補値情報V1と旧ソフトウェアSW2の旧項目情報I2とを推奨パラメータ作成部130に送る。
【0049】
次に、変更情報特定部132では、新項目情報I1と旧項目情報I2とを対比して、両者の項目のうち一致するものと相違するものとを判別して、その判別結果から変更情報C1を作成する。このとき、その一例として、変更情報C1は、新項目I10に変更状態C10として対応付けられる(図7参照)。
【0050】
次に、推奨パラメータ作成部130は、ソフトウェア情報記憶部120から読み込んだ新項目情報I1及び候補値情報V1と、変更情報特定部132で作成した変更情報C1とに基づいて、新項目I10と候補値V10とを変更状態C10と対応付けた新推奨パラメータRP1を作成する。そして、推奨パラメータ作成部130は、作成した新推奨パラメータRP1をパラメータ記憶部140に送る。
【0051】
次に、主制御部110は、推奨パラメータ作成部130で作成された新推奨パラメータRP1をユーザインターフェース30に送るとともに、表示装置34に表示画面として表示させる。表示装置34では、例えば図7に示すように、新推奨パラメータRP1が新項目I10及び候補値V10が変更状態C10とともに一覧表の態様で表示される。
【0052】
図7に示す表示装置34では、「変更状態」として「共通」あるいは「相違」との表示がパラメータの「項目」に対応してなされているため、作業者は新旧のパラメータで「相違」と表示された項目が新たに機能として加えられたものであると把握できるため、結果として、作業者に対して特に着目して確認を行うべき項目を示唆することが可能となる。なお、第1の実施形態と同様に、表示ボタンB2の選択後に入力装置32から手入力を行うことにより、新推奨パラメータRP1として提示された項目あるいは候補値の一部を、直接追加、削除あるいは変更して更新することもできる。
【0053】
図8は、第3の実施形態の変形例による制御装置の具体的な構成と動作の一例を示すブロック図である。
【0054】
第3の実施形態の変形例による制御装置100及びそのパラメータ更新方法において、図8に示すように、パラメータ記憶部140が、ソフトウェア更新前のパラメータとして旧項目情報I2を含む旧設定パラメータSP2を予め記憶保存しておく。そして、上記した変更情報特定部132が変更情報C1を作成する際に用いる旧項目情報I2として、旧設定パラメータSP2に含まれていたものを適用する。
【0055】
第3の実施形態の変形例において、通常は、ソフトウェアの更新時にパラメータ記憶部140が更新前のパラメータ(すなわち旧設定パラメータSP2)を記憶保存しているため、ソフトウェア情報記憶部120が新ソフトウェアSW1を取得する際に、旧ソフトウェアSW2を削除あるいは上書きすることができる。これにより、例えば、旧ソフトウェアSW2か旧設定パラメータSP2のいずれかのデータ量(あるいはファイルサイズ)が大きい場合に、より小さい方を適用することで、ソフトウェア情報記憶部120あるいはパラメータ記憶部140の使用容量を低減することが可能となる。
【0056】
また、旧設定パラメータSP2は、旧項目情報I2に加えて、通常これに対応する候補値情報(図示せず)も含んでいる。このため、図8に示す変更情報特定部132での判別時に「共通」と判別された場合に、推奨パラメータ作成部130は、その「共通」と判別された項目については上記旧設定パラメータSP2に含まれる候補値情報をそのまま適用し、「相違」と判別された項目の候補値情報V1のみを抽出するように変更することもできる。これにより、主制御部110が記憶媒体20にアクセスする負荷を低減することも可能となる。
【0057】
上記した構成及び動作により、第3の実施形態においては、第1の実施形態による制御装置及びそのパラメータ更新方法で得られた効果に加えて、ソフトウェアの更新時に記憶保存されていた旧ソフトウェアあるいは旧設定パラメータに含まれる旧項目情報と新項目情報とを対比して変更情報を作成し、これを作業者に提示することにより、作業者が特に着目して確認を行うべき項目を示唆することができるため、結果としてパラメータ更新時の作業者の負担を軽減することが可能となる。
【0058】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。本発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0059】
10 制御対象
20 記憶媒体
30 ユーザインターフェース
32 入力装置
34 表示装置
100 制御装置
110 主制御部
120 ソフトウェア情報記憶部
130 推奨パラメータ作成部
132 変更情報特定部
140 パラメータ記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8