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特許7605860数値制御装置用通信システム及び数値制御装置用通信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】数値制御装置用通信システム及び数値制御装置用通信方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/414 20060101AFI20241217BHJP
   H02P 5/74 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G05B19/414 R
H02P5/74
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022566900
(86)(22)【出願日】2021-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2021043566
(87)【国際公開番号】W WO2022118782
(87)【国際公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-07-11
(31)【優先権主張番号】P 2020199596
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】村上 貴史
(72)【発明者】
【氏名】大森 孝弘
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-006817(JP,A)
【文献】特開2020-091623(JP,A)
【文献】特開2003-348892(JP,A)
【文献】特開2000-295894(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/00- 5/753
G05B19/18-19/416
G05B19/42-19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数値制御装置、コンバータ装置及び複数のインバータ装置を含み、
前記インバータ装置に識別情報を付与する付与部と、
前記識別情報が付与された複数の前記インバータ装置の中から、前記数値制御装置と前記コンバータ装置との通信に用いる前記インバータ装置を決定する決定部と、を備え、
前記数値制御装置は、第1の伝送路を用いて前記インバータ装置と通信する数値制御通信部を備え、
前記コンバータ装置は、前記第1の伝送路とは異なる第2の伝送路、前記決定部によって決定された前記インバータ装置及び前記第1の伝送路を介して前記数値制御装置と通信するコンバータ通信部を備える、数値制御装置用通信システム。
【請求項2】
第1の前記コンバータ装置、前記第1のコンバータ装置とは異なる第2の前記コンバータ装置、前記第1のコンバータ装置と通信する複数の第1の前記インバータ装置、及び前記第2のコンバータ装置と通信する、前記第1のインバータ装置と異なる第2の前記インバータ装置を含み、
前記数値制御装置は、前記インバータ装置に第1の前記識別情報を付与する第1の前記付与部を備え、
前記第1のコンバータ装置は、前記第1のインバータ装置に第2の前記識別情報を付与する第2の前記付与部を備え、
前記決定部は、前記第1の識別情報及び前記第2の識別情報が付与された前記インバータ装置の中から、前記数値制御装置と前記第1のコンバータ装置との通信に用いる前記第1のインバータ装置を決定する、請求項1に記載の数値制御装置用通信システム。
【請求項3】
前記決定部は、前記インバータ装置を用いた通信の接続状態を用いて、前記数値制御装置と前記コンバータ装置との通信に用いる前記インバータ装置を決定する、請求項1又は請求項2に記載の数値制御装置用通信システム。
【請求項4】
前記コンバータ装置が備える前記付与部は、前記コンバータ装置との接続が確立した順に前記インバータ装置に前記識別情報を付与し、
前記決定部は、最初に前記識別情報が付与された前記インバータ装置を、前記数値制御装置と前記コンバータ装置との通信に用いる前記インバータ装置として決定する、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の数値制御装置用通信システム。
【請求項5】
インバータ装置に識別情報を付与し、
前記識別情報が付与された複数の前記インバータ装置の中から、数値制御装置とコンバータ装置との通信に用いる前記インバータ装置を決定し、
前記数値制御装置は、第1の伝送路を用いて前記インバータ装置と通信し、
前記コンバータ装置は、前記第1の伝送路とは異なる第2の伝送路、前記数値制御装置と前記コンバータ装置との通信に用いると決定された前記インバータ装置、及び前記第1の伝送路を介して前記数値制御装置と通信する、数値制御装置用通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御装置用通信システム及び数値制御装置用通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工作機械は、駆動軸ごとにサーボモータ及びスピンドルモータなどのモータを有する。これらモータを制御するサーボ制御システムは、各モータに対して例えばモータの速度、トルク及び回転子の位置などを制御する。
【0003】
このようなサーボ制御システムは、例えば、電源から入力される交流を直流に変換して出力するコンバータ装置と、コンバータ装置が出力する直流をモータの駆動のための所望の周波数の交流に変換して出力するインバータ装置とを備える。
【0004】
サーボ制御システムにおいて、数値制御装置とコンバータ装置とを直接接続したり、複数のコンバータ装置同士を直接接続したりした場合、多くの伝送路を必要とするため、伝送路にコストがかかる。また、このようなサーボ制御システムは、通信量も多くなる。また、このようなサーボ制御システムで、高速高精度の制御を保障するためには、数値制御装置及びコンバータ装置に高性能なプロセッサ及び大容量のメモリが必要となり、さらなるコストが発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-153607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、従来よりも通信量が少ない数値制御装置用通信システム及び数値制御装置用通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の数値制御装置用通信システムは、数値制御装置、コンバータ装置及び複数のインバータ装置を含む。実施形態の数値制御装置用通信システムは、付与部及び決定部を備える。付与部は、前記インバータ装置に識別情報を付与する。決定部は、前記識別情報が付与された複数の前記インバータ装置の中から、前記数値制御装置と前記コンバータ装置との通信に用いる前記インバータ装置を決定する。数値制御装置は、第1の伝送路を用いて前記インバータ装置と通信する数値制御通信部を備える。コンバータ装置は、前記第1の伝送路とは異なる第2の伝送路、前記決定部によって決定された前記インバータ装置及び前記第1の伝送路を介して前記数値制御装置と通信するコンバータ通信部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、従来よりも通信量を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るサーボ制御システムの構成の一例を示す図。
図2】実施形態に係るサーボ制御システムの構成要素である各装置の要部構成の一例を示すブロック図。
図3図2中の数値制御装置のプロセッサによる処理の一例を示すフローチャート。
図4図2中のコンバータ装置のプロセッサによる処理の一例を示すフローチャート。
図5図2中のインバータ装置のプロセッサによる処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係るサーボ制御システムについて図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。また、各図面及び本明細書中において、同一の符号は同様の要素を示す。
実施形態に係るサーボ制御システム1の構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は、実施形態に係るサーボ制御システム1の構成の一例を示す図である。図2は、実施形態に係るサーボ制御システム1の構成要素である各装置の要部構成の一例を示すブロック図である。サーボ制御システム1は、一例として、数値制御装置10、電源20、コンバータ装置30、インバータ装置40及びモータ50を含む。なお、各装置の数は、図に示す数に限らない。また、サーボ制御システムは、数値制御装置用通信システムの一例である。
【0011】
サーボ制御システム1は、1又は複数のグループGを備える。図1では、グループG1及びグループG2の2つのグループGを示している。
1つのグループGは、1つのコンバータ装置30と、1又は複数のインバータ装置40を備える。コンバータ装置30は、同じグループ内のインバータ装置40に電力を供給する。グループG1は、一例として、コンバータ装置30a及びインバータ装置40a~インバータ装置40dを含む。グループG2は、一例として、コンバータ装置30b及びインバータ装置40e~インバータ装置40hを含む。
コンバータ装置30a及びコンバータ装置30bは、第1のコンバータ装置及び第2のコンバータ装置の一例である。また、第1のコンバータ装置と同じグループG内のインバータ装置40は、第1のインバータ装置の一例である。また、第2のコンバータ装置と同じグループG内のインバータ装置40は、第2のインバータ装置の一例である。
【0012】
数値制御装置10は、例えば、工作機械などに対するCNC(computerized numerical control)を行う装置である。数値制御装置10は、例えば、CNCによりモータ50などの動作を制御する。数値制御装置10は、一例として、プロセッサ11、ROM(read-only memory)12、RAM(random-access memory)13、補助記憶装置14及び通信I/F(interface)15を含む。
【0013】
プロセッサ11は、数値制御装置10の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)などである。あるいは、プロセッサ11は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。プロセッサ11は、ROM12又は補助記憶装置14などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、数値制御装置10の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサ11は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサ11の回路内に組み込まれていても良い。
【0014】
ROM12は、プロセッサ11を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM12は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM12は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM12は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
【0015】
RAM13は、プロセッサ11を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM13は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM13は、典型的には揮発性メモリである。
【0016】
補助記憶装置14は、プロセッサ11を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。補助記憶装置14は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置14は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置14は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ11での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。
【0017】
通信I/F15は、数値制御装置10が伝送路αを介してインバータ装置40などと通信するためのインタフェースである。なお、伝送路αは、第1の伝送路の一例である。また、通信I/F15は、伝送路αを用いてインバータ装置40と通信する数値制御通信部の一例である。
【0018】
電源20は、コンバータ装置30に交流電力を供給する交流電源である。
【0019】
コンバータ装置30は、電源20から供給される交流電力を直流電力に変換してインバータ装置40に出力する。コンバータ装置30は、PS(power supply)などをも呼ばれる。コンバータ装置30は、一例として、プロセッサ31、ROM32、RAM33、補助記憶装置34、コンバータ回路部35及び通信I/F36を含む。
【0020】
プロセッサ31は、コンバータ装置30の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ31は、例えば、CPU、MPU、SoC、DSP、GPU、ASIC、PLD又はFPGAなどである。あるいは、プロセッサ31は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。プロセッサ31は、ROM32又は補助記憶装置34などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、コンバータ装置30の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサ31は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサ31の回路内に組み込まれていても良い。
【0021】
ROM32は、プロセッサ31を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM32は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM32は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM32は、プロセッサ31が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
【0022】
RAM33は、プロセッサ31を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM33は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM33は、プロセッサ31が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM33は、典型的には揮発性メモリである。
【0023】
補助記憶装置34は、プロセッサ31を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。補助記憶装置34は、例えばEEPROM、HDD又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置34は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置34は、プロセッサ31が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ31での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。
【0024】
コンバータ回路部35は、交流電力の直流電力への変換などを行う電気回路である。
【0025】
通信I/F36は、コンバータ装置30が伝送路βを介してインバータ装置40などと通信するためのインタフェースである。なお、図1には、グループG1の伝送路βを伝送路β1、グループG2の伝送路βを伝送路β2として示している。なお、伝送路βは、第2の伝送路の一例である。また、通信I/F36は、伝送路βを用いてインバータ装置40と通信するコンバータ通信部の一例である。
【0026】
インバータ装置40は、コンバータ装置30から供給される直流電力をモータ50の駆動のために所望の周波数の交流電力に変換する。インバータ装置40は、サーボモータ用のインバータ装置40及びスピンドルモータ用のインバータ装置40などがある。また、インバータ装置40は、数値制御装置10によるモータ50の動作を指示する入力に基づき、当該動作に必要な交流電力をモータ50に入力する。インバータ装置40は、一例として、プロセッサ41、ROM42、RAM43、補助記憶装置44、インバータ回路部45、第1の通信I/F46及び第2の通信I/F47を含む。
【0027】
プロセッサ41は、インバータ装置40の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ41は、例えば、CPU、MPU、SoC、DSP、GPU、ASIC、PLD又はFPGAなどである。あるいは、プロセッサ41は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。プロセッサ41は、ROM42又は補助記憶装置44などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、インバータ装置40の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサ41は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサ41の回路内に組み込まれていても良い。
【0028】
ROM42は、プロセッサ41を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。ROM42は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM42は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM42は、プロセッサ41が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
【0029】
RAM43は、プロセッサ41を中枢とするコンピュータの主記憶装置に相当する。RAM43は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM43は、プロセッサ41が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM43は、典型的には揮発性メモリである。
【0030】
補助記憶装置44は、プロセッサ41を中枢とするコンピュータの補助記憶装置に相当する。補助記憶装置44は、例えばEEPROM、HDD又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置44は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置44は、プロセッサ41が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ41での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。
【0031】
インバータ回路部45は、直流電力の交流電力への変換などを行う電気回路である。
【0032】
第1の通信I/F46は、インバータ装置40が伝送路βを介してコンバータ装置30及び他のインバータ装置40などと通信するためのインタフェースである。
【0033】
第2の通信I/F47は、インバータ装置40が伝送路αを介して数値制御装置10及び他のインバータ装置40などと通信するためのインタフェースである。
【0034】
モータ50は、例えば、工作機械などの各部を駆動させるサーボモータ又はスピンドルモータなどのモータである。モータ50は、インバータ装置40の制御対象の装置の一例である。
【0035】
以下、実施形態に係るサーボ制御システム1の動作を図3図5などに基づいて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。図3は、数値制御装置10のプロセッサ11による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサ11は、例えば、ROM12又は補助記憶装置14などに記憶されたプログラムに基づいて図3の処理を実行する。図4は、コンバータ装置30のプロセッサ31による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサ31は、例えば、ROM32又は補助記憶装置34などに記憶されたプログラムに基づいて図4の処理を実行する。図5は、インバータ装置40のプロセッサ41による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサ41は、例えば、ROM42又は補助記憶装置44などに記憶されたプログラムに基づいて図5の処理を実行する。
【0036】
数値制御装置10のプロセッサ11は、例えば、数制御装置10の起動にともない図3に示す処理を開始する。
図3のステップS11においてプロセッサ11は、CNCコードを生成する。CNCコードは、インバータ装置40ごとにユニークな識別情報である。例えば、プロセッサ11は、インバータ装置40a~インバータ装置40hのそれぞれにCa~ChのCNCコードを付与する。プロセッサ11は、例えば、各インバータ装置40に対して順番に、数値制御装置10とインバータ装置40との間の接続を確立していく。プロセッサ11は、例えば、この接続の順番を示す通し番号をCNCコードとして付与する。例えば、プロセッサ11は、1番目に接続を確立したインバータ装置40aにCNCコードCaを、2番目に接続を確立したインバータ装置40bにCNCコードCbを、3番目に接続を確立したインバータ装置40cにCNCコードCcを、…付与する。プロセッサ11は、CNCコードを生成した後、生成したCNCコードを、付与対象のインバータ装置40に送信するように通信I/F15に対して指示する。この送信の指示を受けて通信I/F15は、CNCコードを当該インバータ装置40に送信する。送信されたCNCコードは、当該インバータ装置40の第2の通信I/F47によって受信される。
以上より、プロセッサ11は、ステップS11の処理を行うことで、インバータ装置にCNCコードを付与する付与部(第1の付与部)として機能する。また、CNCコードは第1の識別情報の一例である。
【0037】
一方、コンバータ装置30のプロセッサ31は、例えば、コンバータ装置30の起動にともない図4に示す処理を開始する。
図4のステップS21においてプロセッサ31は、PSコードを生成する。PSコードは、同じグループG内のインバータ装置40ごとにユニークな識別情報である。例えば、コンバータ装置30aのプロセッサ31は、インバータ装置40a~インバータ装置40dのそれぞれにC1~C4のPSコードを付与する。例えば、コンバータ装置30bのプロセッサ41は、インバータ装置40e~インバータ装置40hのそれぞれにC1~C4のPSコードを付与する。このように、PSコードは、異なるグループGであれば重複しても良い。プロセッサ31は、例えば、自身と同じグループG内の各インバータ装置40に対して順番に、コンバータ装置30とインバータ装置40との間の接続を確立していく。プロセッサ31は、例えば、この接続の順番を示す通し番号をPSコードとして付与する。例えば、コンバータ装置30aのプロセッサ31は、1番目に接続を確立したインバータ装置40aにPSコードC1を、2番目に接続を確立したインバータ装置40bにPSコードC2を、3番目に接続を確立したインバータ装置40cにPSコードC3を、…付与する。例えば、コンバータ装置30bのプロセッサ31は、1番目に接続を確立したインバータ装置40eにPSコードC1を、2番目に接続を確立したインバータ装置40fにPSコードC2を、3番目に接続を確立したインバータ装置40gにPSコードC3を、…付与する。プロセッサ31は、PSコードを生成した後、生成したPSコードを、付与対象のインバータ装置40に送信するように通信I/F36に対して指示する。この送信の指示を受けて通信I/F36は、PSコードを当該インバータ装置40に送信する。送信されたPSコードは、当該インバータ装置40の第1の通信I/F46によって受信される。
以上より、プロセッサ31は、ステップS21の処理を行うことで、インバータ装置にPSコードを付与する付与部(第2の付与部)として機能する。また、PSコードは第の識別情報の一例である。
【0038】
一方、インバータ装置40のプロセッサ41は、例えば、インバータ装置40の起動にともない図5に示す処理を開始する。
図5のステップS31においてプロセッサ41は、第2の通信I/F47によってCNCコードが受信されたか否かを判定する。プロセッサ41は、CNCコードが受信されないならば、ステップS31においてNoと判定してステップS32へと進む。
ステップS32においてプロセッサ41は、第1の通信I/F46によってPSコードが受信されたか否かを判定する。プロセッサ41は、PSコードが受信されないならば、ステップS32においてNoと判定してステップS33へと進む。
ステップS33においてプロセッサ41は、第2の通信I/F47によって第1の中継情報が受信されたか否かを判定する。プロセッサ41は、第1の中継情報が受信されないならば、ステップS33においてNoと判定してステップS34へと進む。
【0039】
ステップS34においてプロセッサ41は、第1の通信I/F46によって第1の診断情報が受信されたか否かを判定する。プロセッサ41は、第1の診断情報が受信されないならば、ステップS34においてNoと判定してステップS31へと戻る。かくして、プロセッサ41は、CNCコード、PSコード、第1の中継情報又は第1の診断情報が受信されるまでステップS31~ステップS34を繰り返す待受状態となる。なお、第1の中継情報及び第1の診断情報については後述する。
【0040】
プロセッサ41は、ステップS31~ステップS34の待受状態にあるときにCNCコードが受信されたならば、ステップS31においてYesと判定してステップS35へと進む。
【0041】
ステップS35においてプロセッサ41は、受信されたCNCコードをRAM43又は補助記憶装置44などに記憶する。プロセッサ41は、ステップS35の処理の後、ステップS31へと戻る。
【0042】
また、プロセッサ41は、ステップS31~ステップS34の待受状態にあるときにPSコードが受信されたならば、ステップS32においてYesと判定してステップS36へと進む。
【0043】
ステップS36においてプロセッサ41は、受信されたPSコードをRAM43又は補助記憶装置44などに記憶する。プロセッサ41は、ステップS36の処理の後、ステップS31へと戻る。
【0044】
一方、図3のステップS12において数値制御装置10のプロセッサ11は、各インバータ装置40について、当該インバータ装置40と、当該インバータ装置40と同じグループ内のコンバータ装置30とが通信する場合の通信の品質などを示す接続状態を取得する。接続状態は、例えば、コンバータ装置30とインバータ装置40との通信距離を示す。プロセッサ11は、例えば、補助記憶装置14などに記憶された、通信距離を示す情報などから通信距離を取得する。あるいは、プロセッサ11は、通信距離を計測しても良い。通信距離の計測には、通信の遅延又は損失などを用いることができる。あるいは、プロセッサ11は、接続状態として、コンバータ装置30とインバータ装置40との通信の遅延又は損失を取得しても良い。あるいは、プロセッサ11は、接続状態として、各インバータ装置40に付与されたPSコードを取得しても良い。通常、通信距離が短いほど先に通信が確立されてPSコードが付与されるため、通し番号として付与されたPSコードは、接続状態を示す情報である。
【0045】
ステップS13においてプロセッサ11は、各グループGについて、第1の診断情報をコンバータ装置30から数値制御装置10に送信する際の通信の中継に用いるインバータ装置40(以下「中継装置」という。)を決定する。プロセッサ11は、例えば、各グループGについて、グループGの中で最も接続状態が良いインバータ装置40をそれぞれ決定する。ここで、接続状態が良いとは、例えば、通信距離が短い、通信の遅延が少ない、又は通信の損失が少ないことなどをいう。あるいは、プロセッサ11は、グループG内のインバータ装置40のうち、通し番号として付与されたPSコードが最も若い、すなわち図4のステップS21において最初にPSコードが付与されたインバータ装置40を、通信距離が最も短いとみなして中継装置として決定しても良い。
以上より、プロセッサ11は、ステップS13の処理を行うことで、中継装置を決定する決定部として機能する。
【0046】
図3のステップS14においてプロセッサ11は、第1の中継情報を生成する。第1の中継情報は、中継装置を指定することを示す情報を含む。プロセッサ11は、第1の中継情報を生成した後、当該第1の中継情報を、ステップS13で決定したインバータ装置40それぞれに送信するように通信I/F15に対して指示する。この送信の指示を受けて通信I/F15は、当該第1の中継情報を当該各インバータ装置40に送信する。送信された当該第1の中継情報は、各インバータ装置40の第2の通信I/F47によって受信される。
【0047】
一方、インバータ装置40のプロセッサ41は、図5のステップS31~ステップS34の待受状態にあるときに第1の中継情報が受信されたならば、ステップS33においてYesと判定してステップS37へと進む。
ステップS37においてプロセッサ41は、第2の中継情報を生成する。第2の中継情報は、ステップS33で受信された第1の中継情報、ステップS35で記憶したCNCコード、及びステップS36で記憶したPSコードを含む。プロセッサ41は、第2の中継情報を生成した後、当該第2の中継情報をコンバータ装置30に送信するように第1の通信I/F46に対して指示する。この送信の指示を受けて第1の通信I/F46は、当該第2の中継情報をコンバータ装置30に送信する。送信された当該第2の中継情報は、コンバータ装置30の通信I/F36によって受信される。
【0048】
一方、図4のステップS22においてコンバータ装置30のプロセッサ31は、通信I/F36によって第2の中継情報が受信されるのを待ち受けている。プロセッサ31は、第2の中継情報が受信されたならば、ステップS22においてYesと判定してステップS23へと進む。
【0049】
ステップS23においてプロセッサ31は、第1の診断情報を送信する場合に用いる中継装置を設定する。すなわち、プロセッサ31は、ステップS22で受信された第2の中継情報に含まれるPSコードを、第1の診断情報送信のための中継装置を示す情報としてRAM33又は補助記憶装置34などに記憶する。
【0050】
ステップS24においてプロセッサ31は、第1の診断情報を送信するか否かを判定する。第1の診断情報は、例えば、コンバータ装置30又は電源20の状態を示す情報を含む。第1の診断情報は、例えば、コンバータ装置30若しくは電源20が備えるアンプ若しくはファンなどのアラーム情報、又はコンバータ装置30若しくは電源20中の電流若しくは電圧の異常を示す情報などを含む。なお、アラーム情報とは、例えば、異常な動作をしていることを検出したこと示す情報である。プロセッサ31は、例えば、予め定められた所定のタイミングになった場合に、第1の診断情報を送信すると判定する。あるいは、プロセッサ31は、例えば、コンバータ装置30若しくは電源20などの異常動作をしたことを検出した場合、又はコンバータ装置30若しくは電源20中の電流若しくは電圧の異常を検出した場合などに、第1の診断情報を送信すると判定する。プロセッサ31は、第1の診断情報を送信すると判定しないならば、ステップS24においてNoと判定してステップS24の処理を繰り返す。対して、プロセッサ31は、第1の診断情報を送信すると判定するならば、ステップS24においてYesと判定してステップS25へと進む。
【0051】
ステップS25においてプロセッサ31は、自己診断を行うなどして第1の診断情報を生成する。プロセッサ31は、第1の診断情報を生成した後、当該第1の診断情報を中継装置、すなわちステップS23で記憶したPSコードが付与されたインバータ装置40に送信するように通信I/F36に対して指示する。この送信の指示を受けて通信I/F36は、当該第1の診断情報を当該インバータ装置40に送信する。送信された当該第1の診断情報は、当該インバータ装置40の第1の通信I/F46によって受信される。プロセッサ31は、ステップS25の処理の後、ステップS24へと戻る。
【0052】
一方、インバータ装置40のプロセッサ41は、図5のステップS31~ステップS34の待受状態にあるときに第1の診断情報が受信されたならば、ステップS34においてYesと判定してステップS38へと進む。
ステップS38においてプロセッサ41は、第2の診断情報を生成する。第2の診断情報は、ステップS34で受信された第1の診断情報、ステップS35で記憶したCNCコード及びステップS36で記憶したPSコードを含む。プロセッサ41は、第2の診断情報を生成した後、当該第2の診断情報を数値制御装置10に送信するように第2の通信I/F47に対して指示する。この送信の指示を受けて第2の通信I/F47は、当該第2の診断情報を数値制御装置10に送信する。送信された当該第2の診断情報は、数値制御装置10の通信I/F15によって受信される。プロセッサ41は、ステップS38の処理の後、ステップS31へと戻る。
【0053】
一方、図3のステップS15において数値制御装置10のプロセッサ11は、通信I/F15によって第2の診断情報が受信されるのを待ち受けている。プロセッサ11は、第2の診断情報が受信されたならば、ステップS15においてYesと判定してステップS16へと進む。
【0054】
ステップS16においてプロセッサ11は、受信された第2の診断情報の内容に応じた各種処理を行う。プロセッサ11は、ステップS16の処理の後、ステップS15へと戻る。
【0055】
実施形態のサーボ制御システム1は、数値制御装置とコンバータ装置とを直接接続したり、複数のコンバータ装置同士を直接接続したりしていない。したがって、実施形態のサーボ制御システム1は、通信量を従来よりも少なくすることができる。また、実施形態のサーボ制御システム1は、伝送路にかかるコストを従来よりも低減することができる。
【0056】
また、実施形態のサーボ制御システム1によれば、コンバータ装置30は、第1の診断情報を1つのインバータ装置40に送信する。したがって、数値制御装置10に送信される第2の診断情報は、1つのグループGから1つである。これに対して、従来のコンバータ装置は、診断情報を同じグループ内のすべてのインバータ装置に送信する。したがって、従来サーボ制御システムでは、診断情報は、全てのインバータ装置から数値制御装置に送信される。以上より、実施形態のサーボ制御システム1は、診断情報の送信にかかる通信量を従来よりも少なくすることができる。
【0057】
また、実施形態のサーボ制御システム1によれば、数値制御装置10は、第2の診断情報に含まれるPSコード又はCNCコードを用いることで、第2の診断情報の送信元のインバータ装置40を特定することができる。また、コンバータ装置30は、第2の中継情報に含まれるPSコード又はCNCコードを用いることで、第2の中継情報の送信元のインバータ装置40を特定することができる。
【0058】
また、実施形態のサーボ制御システム1によれば、複数のグループGが含まれる場合でも、CNCコードを用いることで、数値制御装置10は、第2の診断情報の送信元のインバータ装置40を特定することができる。
【0059】
また、実施形態のサーボ制御システム1は、通信距離などの通信の接続状態を用いて、中継装置を決定する。したがって、実施形態のサーボ制御システム1は、最も通信状態の良いと考えられるインバータ装置40を用いて診断情報を送信することができる。
【0060】
また、実施形態のサーボ制御システム1は、PSコードの付与の順序が最初のインバータ装置40を、中継装置として決定する。したがって、実施形態のサーボ制御システム1は、PSコードの比較だけで簡単に中継装置を決定することができる。
【0061】
以上の実施形態は、以下のような変形も可能である。
上記の実施形態では、コンバータ装置30は、第1の診断情報を、インバータ装置40を介して数値制御システム10に送信した。しかしながら、コンバータ装置30は、第1の診断情報以外の情報を、第1の診断情報と同様の方法で送信しても良い。
【0062】
上記の実施形態では、数値制御装置10がどのインバータ装置40を中継装置として用いるかを決定した。しかしながら、数値制御装置10に代えてコンバータ装置30が、どのインバータ装置40を中継装置として用いるかを決定しても良い。
【0063】
インバータ装置40の制御対象の装置は、モータ50以外の装置であっても良い。
【0064】
プロセッサ11、プロセッサ31又はプロセッサ41は、上記実施形態においてプログラムによって実現する処理の一部又は全部を、回路のハードウェア構成によって実現するものであっても良い。
【0065】
実施形態の処理を実現するプログラムは、例えば装置に記憶された状態で譲渡される。しかしながら、当該装置は、当該プログラムが記憶されない状態で譲渡されても良い。そして、当該プログラムが別途に譲渡され、当該装置へと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、リムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはインターネット又はLAN(local area network)などのネットワークを介したダウンロードにより実現できる。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、例として示したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 サーボ制御システム
10 数値制御装置
11,31,41 プロセッサ
12,32,42 ROM
13,33,43 RAM
14,34,44 補助記憶装置
15,36 通信I/F
20 電源
30 コンバータ装置
35 コンバータ回路部
40 インバータ装置
45 インバータ回路部
46 第1の通信I/F
47 第2の通信I/F
50 モータ
図1
図2
図3
図4
図5