(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】風車
(51)【国際特許分類】
F03D 3/06 20060101AFI20241217BHJP
F03D 3/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
F03D3/06 G
F03D3/02 A
(21)【出願番号】P 2022572294
(86)(22)【出願日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2021093597
(87)【国際公開番号】W WO2021233197
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2024-04-22
(31)【優先権主張番号】202010435235.9
(32)【優先日】2020-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522455467
【氏名又は名称】アンホイ カンティナ パワー テクノロジー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、トンロウ
(72)【発明者】
【氏名】ルー、ハイ
(72)【発明者】
【氏名】ユイ、フォン
(72)【発明者】
【氏名】チャオ、トンハオ
(72)【発明者】
【氏名】チア、ウェイシアン
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-150241(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103527399(CN,A)
【文献】特開2013-253476(JP,A)
【文献】特開2005-083206(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0369216(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 3/06
F03D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風車は、回転座(10)と、前記回転座(10)に上下方向に配置された、エネルギー出力軸としての回転軸(30)と、前記回転軸(30)の周方向に固定された回転フレーム(40)と、前記回転フレーム(40)に連接された風力ブレード(50)と、前記回転軸(30)の中心軸の方向に平行である中心軸を備える前記風力ブレード(50)の連接軸(50)と、前記回転軸(30)の周方向に均等に離間された少なくとも2枚の風力ブレード(50)と、前記回転軸(30)とラック(90)との間に配置され、前記回転軸(30)及び前記回転軸に連結された前記風力ブレード(50)を軸支する回転支持構造体(34)と、を備える風車であって、前記回転軸(30)の中心軸周りに前記風力ブレード(50)が公転(α)しているときに前記連接軸(50)の中心軸周りに前記風力ブレード(50)が回転(β)し、前記公転(α)と前記回転(β)が同じ方向または逆方向に生じ、前記回転座(10)は風向に応じて操舵機構によって駆動されて姿勢調整で回転され、姿勢調整の回転は、前記連接軸(51)の中心軸と前記回転軸(30)の中心軸に沿った平面が風向に直交するときに、一方側の一の風力ブレード(50)のブレード面が風向に直交し、前記一の風力ブレード(50)が前記回転軸(30)と共に180°公転するときに、前記一の風力ブレード(50)が90°回転し前記ブレード面が風向に平行にな
り、
ベースプレート(80)上に配置された円筒のボス形状のベース(70)をさらに備え、前記回転軸(30)は、前記回転座(10)、前記ベース(70)及び前記ベースプレート(80)を貫通して前記回転座(10)、前記ベース(70)及び前記ベースプレート(80)とすきまばめを形成し、前記ベース(70)は内部に、中心軸方向が上下方向であり前記回転軸(30)を径方向に支持する下側径方向軸受(71)を備え、前記ベース(70)は、その上端に前記ベース(70)と同心であって、中心軸方向が上下方向であり、前記回転座(10)を支持する軸方向軸受(12)を備え、前記回転座(10)は、中心軸方向が上下方向であり、前記回転座(10)を径方向に支持する上側径方向軸受(11)を備え、前記回転軸(30)の軸体は上下の径方向軸受(11、71)の内側で上下の径方向軸受(11、71)の内輪と小さいすきまばめをなして、前記軸方向軸受(12)の上端面には、前記上側径方向軸受(11)が配置されている、
風車。
【請求項2】
前記風力ブレード(50)が公転(α)する速度の、前記風力ブレード(50)が接地面に対して回転(β)する速度に対する比が2:1であることを特徴とする請求項1に記載の風車。
【請求項3】
前記風力ブレード(50)が公転(α)する方向が、前記風力ブレード(50)が接地面に対して回転(β)する方向と同じであることを特徴とする請求項1に記載の風車。
【請求項4】
前記連接軸(51)の中心軸と前記回転軸(30)の中心軸に沿った平面が風向に平行であるとき、前記一の風力ブレード(50)のブレード面は、風向に対して45°の角度をなすことを特徴とする請求項1に記載の風車。
【請求項5】
前記風力ブレード(50)と前記操舵機構との間の動力伝達経路には、前記回転座(
10)の回転を制限する制動手段が配置されていることを特徴とする請求項1に記載の風車。
【請求項6】
前記回転座(10)には、前記回転軸(30)と同心のベース傘歯車(13)が設けられ、前記風力ブレード(50)の連接軸(51)には、従動傘歯車(52)が同心で設けられ、水平面に中心軸方向が設けられる動力伝達軸(60)は対向する両端に傘歯車(6
1)か設けられ、前記2つの傘歯車(61)は前記ベース傘歯車(13)及び前記従動傘歯車(52)と噛み合い、前記ベース傘歯車(13)と前記従動傘歯車(52)の伝達比が2:1であり、前記ベース傘歯車(13)及び前記従動傘歯車(52)のベースは同一方向を向いており、前記2つの傘歯車(61)が前記ベース傘歯車(13)及び前記従動傘歯車(52)と噛み合う側は、前記回転軸(30)から離れた対応する歯車の側に配置されれていることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の風車。
【請求項7】
前記操舵機構は、前記回転座(10)上に同心に固定配置された操舵スプロケットまたはギア(14)を備え、駆動手段は、風向ベーン(20)の位置信号を受け、前記風向ベーン(20)に追従して前記操舵スプロケットまたはギア(14)を駆動して回転させることを特徴とする、請求項1から
5のいずれか一項に記載の風車。
【請求項8】
前記ベースプレート(80)は前記ベース(70)の外側に、前記ベース(70)の中心軸の位置を調整する軸調整ボルト(81)を設けたことを特徴とする、請求項
1に記載の風車。
【請求項9】
前記回転軸(30)は、前記回転フレーム(40)に連結された上側連結軸(31)と、前記回転座(10)、前記ベース(70)及び前記ベースプレート(80)を貫通する中間連結軸(32)とを有し、前記上側連結軸(31)は前記中間連結軸(31)にフランジで連結され、前記中間連結軸(32)の外壁は上方が広く下方が狭い段差形状で、段差面は前記径方向軸受け(11)の上端面から距離をおいて離間し、下側連結軸(33)及び前記中間連結軸(32)は中空管状で軸方向及び周方向の移動が制限されるように入れ子式であり、前記下側連結軸(33)は下端にフランジが設けられて受電機構に連結されることを特徴とする、請求項
1に記載の風車。
【請求項10】
前記風車の本体が、前記回転軸(30)の軸方向に沿って前記ラック(90)の多層プラットフォーム(91)上に配置され、前記ベースプレート(80)が前記多層プラットフォーム(91)の上面に配置され、前記上側連結軸(31)の上端に設けられたフランジが、上側の風車の本体の中間連結軸(32)に連結されたことを特徴とする、請求項
9に記載の風車。
【請求項11】
前記回転フレーム(40)は、前記風力ブレードの上端及び下端に配置された片持梁(41)を備え、前記片持梁(41)の内端は片側構造であり、前記上端及び下端の片持梁(41)の外端は、前記連接軸(51)を支持する軸受座及び半径方向軸受を備え、前記連接軸(51)は、前記片持梁(41)の外端に、前記風力ブレード(50)の重力に対抗するための軸方向支持構造を備えることを特徴とする、請求項1に記載の風車。
【請求項12】
斜めブレース(42)は、下側の片持梁(41)と前記回転軸(30)との間に配置され、前記片持梁(41)、前記回転軸(30)及び前記斜めブレース(42)とが一緒になって、上下面内に横たわる三角形の構造を形成し、前記風力ブレード(50)の下側部分は、前記斜めブレース(42)の配置のための空間を残すように台形の形状であることを特徴とする、請求項
11に記載の風車。
【請求項13】
前記回転軸(30)と前記ラック(90)との間に、前記風車の公転(α)を制限するための回転軸ブレーキを設けたことを特徴とする、請求項1に記載の風車。
【請求項14】
前記連接軸(51)と前記回転フレーム(40)との間に、前記風力ブレード(50)の回転(β)を制限するための風力ブレードブレーキが設けられたことを特徴とする、請求項1に記載の風車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、風力エネルギー利用の技術分野に関し、特に風車に関する。
【背景技術】
【0002】
経済の急速な発展は、エネルギー消費を加速させ、エネルギー不足の厳しさを悪化させている。再生可能エネルギーの一種として、風力エネルギーはますます注目を集めている。現在、風力エネルギーは主に風車を介して風力エネルギーを機械エネルギーに変換し、次に発電機を介して機械エネルギーを電気エネルギーに変換することによって利用されている。風車は、他の装置の動力機構としても直接利用できる。
【0003】
既存の風力発電機は、典型的には、そのロータを回転させて発電するために風車に依存している。しかし、自然環境の風は、向きも大きさも常に変化する傾向がある。風力発電機の風車は巨大であり、狭いブレードを備えているため、軽い風や穏やかな微風の場合には、電力が不十分になり、発電機のローターの回転をかろうじて駆動できる程度であり、風力発電に限界を課し、持続的な発電や供給が不可能になってしまう。さらに、運転を支援するのに十分な強さの風がない場合の発電機は、アイドル状態でなければならず、資源の浪費につながる。このような停止時間が長く続くと、錆が発生し、機器に損傷を与える可能性がある。さらに、風車は一定の回転方向を維持しなければならず、さもなければ電圧が不安定になる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、一定の回転方向を維持することができる風車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明の主題は、回転座と、該回転座上に動力出力軸として上下方向に配置された回転軸と、該回転軸の周囲に円周方向に固定された回転フレームと、該回転フレームに連接する風力ブレードとを備える風車にある。風力ブレードの連接軸の中心軸の方向は、回転軸の中心軸の方向と平行である。少なくとも2つの風力ブレードは、回転軸の円周方向に等間隔に配置される。風力ブレードが回転軸の中心軸を中心に回転しているときは、風力ブレードは連節軸の中心軸を中心に回転もしている。風力ブレードの公転と回転は、同じ方向または反対方向に発生する。回転座は操舵機構で駆動され、風向に応じた風向に追従した姿勢調整で回転する。姿勢調整付き回転は、連節軸の中心軸と回転軸の中心軸に沿った平面が風向に直交する場合、一方の風車のブレード面が風向に直交し、該一方の風車が回転軸で180°回転すると、そのブレード面が90°回転し風向に平行になるという適応関係を満たす。回転軸とこれに連結された風力ブレードを軸方向に支持する回転支持構造体が、回転軸とラックとの間に配置される。
【0006】
上記の配置では、風車の風上側に、そのブレード表面が風向と直角になる風力ブレードの1つがある。これにより、風車全体の回転駆動に風力を最大限に活用することができ、緩やかな微風でも回転駆動させることができるため、風力エネルギーの利用率が高まる。しかも、本発明によれば、回転座が風向に追従して回転することができる。このようにして、本発明の風車は、任意の風向において安定した回転を維持することができる。その結果、風車を風力で駆動して一定方向に回転させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
風車内の風力ブレードの追従運動角度を調整する装置は、回転座10と、動力出力軸として回転座10上に上下方向に配置された回転軸30と、回転軸30の周囲に円周方向に固定された回転フレーム40と、回転フレーム40に連接された風力ブレード50とを備える。風力ブレード50の連接軸51の中心軸の方向は、回転軸30の中心軸の方向と平行である。少なくとも2つの風力ブレード50は、回転軸30の周方向に等間隔に配置される。風力ブレード50は、回転軸30の中心軸を中心に公転(α)しているが、連接軸51の中心軸を中心に回転(β)もしている。風力ブレード50の公転(α)方向は、風力ブレード50の回転方向(β)と同一または逆である。操舵機構が回転座10を駆動して、風向に応じた姿勢調整で回転し、公転が風向に追従するようにする。このような姿勢調整を伴う回転は、連接軸51の中心軸と回転軸30の中心軸に沿った平面が風向に直交すると、一方の側の風車50のブレード面が風向に直交し、該一方の風車50が回転軸30とともに180°公転すると、そのブレード面が風向に平行になるように90°回転するという適応関係を満たす。回転軸30とラック90との間には、回転支持構造34が配置されて、回転軸30およびそれに結合された風力ブレード50を軸方向に支持する。
【0009】
上記配置において、連接軸51の中心軸と回転軸30の中心軸に沿った平面が風向に直交するときに、一方側の風力ブレード50が風向に対して直交するブレード面を有して風に曝され、他方側の風力ブレード50が風向に平行なブレード面を有して風に曝されない。このように、反対側にある2つの風力ブレード50の風向に対する風曝露領域の間には膨大な差があり、回転軸30が最大可能トルクで一定方向に回転し続けることを保証し、風力の力を最大限に利用する。本発明の本質は、各風力ブレード50が、それ自身の回転(β)により異なる位置で異なる風曝露領域を有することを可能にし、それにより、風向に対して回転軸30の一方の側に作用する合成トルクが他方の側の合成トルクより大きくなり、風力ブレード50が回転軸30の中心軸の周りを公転(α)することである。各風力ブレード50の公転(α)は、その回転(β)を伴い、各風力ブレード50が180°公転すると、90°回転する。すなわち、各風力ブレード50について、公転(α)と回転(β)の回転角の比は2:1に等しい。各風力ブレード50は、左右対称の板状構造であるため、180°回転(β)した後のブレード面と風向との角度は、360°回転(β)した後のブレード面と風向との角度と同じである。これにより、各風力ブレード50が、その公転(α)の間に、各位置で一貫した風曝露領域を有することが保証され、したがって、風車が、継続的かつ安定した方法で運転されることが可能になる。回転座10の本質は、その姿勢を風向に追従するように適応させることによって、風向に直接対面する位置をゼロ位置として定義し、風向の任意の変化時に、操舵機構が回転座10を駆動して、直接風向に対面するゼロ位置に戻す。本発明によれば、回転支持構造34は、軸方向に支持されるベアリングまたは磁気浮上機構である。本発明の風車は、風曝露面積が大きく、風車全体の回転を駆動するための風力を最大限に利用することができる。風車は穏やかな微風でも回転でき、その結果、風力エネルギーの利用がさらに増加する。しかも、本発明では、回転座10は、回転する風向に追従することができる。その結果、本発明の風車は、任意の風向において安定した回転を維持することができる。このようにして、風車を風力で駆動して一定方向に回転させることができる。
【0010】
回転座10には、回転軸30と同心のベースギヤ13が固定的に設けられている。ベースギヤ13は、風力ブレード50と同じ数の中間ギヤ15と噛み合う。中間ギア15には、中間傘歯車16が同心状に設けられ、風力ブレード50の連接軸51には、従動傘歯車52が同心状に固定して設けられている。水平面内に横たわる中心軸方向を有する動力伝達軸60は、各々、その両端に、2つの傘歯車61が同心に設けられており、これらの傘歯車は、中間傘歯車16のそれぞれと従動傘歯車52のそれぞれ1つとそれぞれ噛み合っている。この構成では、回転座10に応じて、動力伝達軸60および他のリンク機構を風力ブレード50の上方または下方のいずれかに配置することができる。この構成における機械的構造は、簡単かつ容易な方法で、風力ブレード50の公転(α)に伴う回転(β)に誤差を生じさせることないことを可能にする。また、電気制御に比べ、複雑な配線が不要である。
【0011】
風力ブレード50は、設地面に対して速度2:1で公転(α)および回転(β)する。この場合にのみ、各風力ブレード50がその公転中の任意の位置で風向と一貫した角度を有することを確実にすることができる。
【0012】
風力ブレード50は設地面に対して同じ方向に公転(α)し、回転(β)する。風力ブレード50の同じ方向の公転(α)および回転(β)は、風車の上部から見た場合、風力ブレード50が反時計回りまたは時計回りで公転(α)し、回転(β)することを指す。回転(β)は設地面に対して言及される。各風力ブレード50は同時に公転し、回転するので、設地面に対するその回転(β)の角度は、公転(α)の角度からそれぞれの連節軸51に対する回転角を引いたものに等しく、それぞれの連節軸51に対するその回転方向は公転(α)の方向と逆である。
【0013】
連接軸51の中心軸と回転軸30の中心軸に沿った平面が風向と平行の場合、風力ブレード50のブレード面は風向に対して45°の角度をなしている。風力ブレード50のこの位置では、風向に関して風上および風下の位置にある風力ブレード50のブレード面は、それぞれ90°の角度を形成する。どの風力ブレード50も、風上位置から風下位置まで90°回転する。風向追尾システムの助けを借りて、風向に対して最も風上側のブレードは、駆動手段によって、風向に対して常に45°の角度に保たれる。
【0014】
風力ブレード50と操舵機構との間の動力伝達経路には、回転座10の回転を規制する制動手段が設けられている。風向に変化がないとき、制動手段は、回転座10を位置制限して任意の外力の作用下でそれが撓むことを防止する。
【0015】
円筒状のボスのように形作られ、ベースプレート80上に配置されたベース70がさらに含まれる。回転軸30は、回転座10、ベース70およびベースプレート80を通過し、これら3つと適合するクリアランスを形成する。上下方向中心軸を有する下側ラジアル軸受71は、ベース70内に配置されて回転軸30をラジアル方向に支持する。上下方向中心軸を有する軸方向軸受12が、基部70の頂端部に配置されて、回転座10を支持する。上下方向中心軸を有する上側ラジアル軸受11は、回転座10内に配置されて回転座10を半径方向に支持する。回転軸30の軸体は、上下のラジアル軸受11、71内に配置され、軸受の内輪と小さなすきまばめを形成している。上側ラジアル軸受11は、軸方向軸受12の上端面に配置されている。この構成では、すきまばめは、回転軸30が回転中に回転座10、ベース70及びベースプレート80に接触して摩擦し、機器の摩耗及びエネルギー損失を引き起こす可能性を回避するように形成されている。しかも、ベース70は、回転軸3の偏心やたわみを防止するためにクリアランス内の位置で調節することができる。クリアランスが小さいことは、上下のラジアル軸受11、71と回転軸30の軸体との間で伝達される軸方向の力がないことと、回転軸30の中心軸線がその回転中に撓んだとしても、ラジアル軸受が耐えることができる力しか受けないこととの両方を保証する。さらに、回転軸30の中心軸がたわむ度合いがある場合には、上下のラジアル軸受11、71は、半径方向の力を与え、この半径方向の力は、中間連結軸32上のある距離で反対方向に作用し、それにより支持および位置の復元のための曲げモーメントを与える。ベース70およびその中の下側ラジアル軸受71は、回転軸30に半径方向の支持を提供するように適合されており、回転軸30がベース70上で自由に回転することを可能にする。風車は大きいので、回転座10も大きくて重い。軸方向軸受12は、ベース70に対するその回転性を確保しながら回転座10を支持する。
【0016】
回転座10には、回転軸30と同心のベース傘歯車13が固定的に設けられており、風力ブレード50の連節軸51には、従動傘歯車52が同心の状態で固定的に設けられている。水平面内に横たわる中心軸方向を有する動力伝達軸60は、それぞれ、その両端に、2つの傘歯車61が同心に設けられており、これらの傘歯車は、ベース傘歯車13および従動傘歯車52の1つとそれぞれ噛み合っている。ベース傘歯車13と従動傘歯車52との伝達比は、2:1である。ベース傘歯車13と従動傘歯車52は、それらのベースが同じ方向を向くように方向付けられている。ベース傘歯車13および従動傘歯車52とかみ合う2つの傘歯車61のかみ合い側は、回転軸30から離れた対応する歯車の側に位置している。この構成では、回転座10に応じて、動力伝達軸60および他のリンク機構を風力ブレード50の上方または下方のいずれかに配置することができる。この構成における機械的構造は簡単かつ容易な方法で、風力ブレード50が公転(α)に伴いその回転(β)に誤差を生じさせないことを可能にする。また、電気制御に比べ、複雑な配線が不要である。また、軸動力伝達装置は、チェーン動力伝達装置に比べ、チェーン落下による損傷を回避し、保守・管理が容易である。ベース傘歯車13と従動傘歯車52のベースは、公転(α)が回転(β)と同じ方向に生じることを確実にするように配向されている。本発明によれば、ベース傘歯車13および従動傘歯車52は、それらのベースが同じ方向を向くように配向される。このように、傘歯車のかみ合う側がベースの下に位置するため、塵埃がその上に堆積することは容易ではなく、その結果として、これらの寿命が延長される。
【0017】
ステアリング機構は、回転座10に同心円状に固定的に設けられたステアリングスプロケット又はギヤ14を備え、駆動手段は風向ベーン20の位置信号を受け、風向ベーン20に追従して回転するようにスプロケット又はギヤ14を駆動適応させる。すなわち、ステアリング機構は、チェーン又はギヤを介して動力を伝達する。これに代えて、駆動およびブレーキ機能の両方を提供し、したがって回転座10が風向ベーン20と同期して回転することを可能にするウォームドライブを使用してもよい。しかも、駆動手段は、回転軸30の回転によって回転駆動されることを防止するために回転座10の回転を規制することもできる。回転座10は、メンテナンスや配線が容易に行えるように回転軸30の下に配置される。この構成は、ステアリング機構が、回転フレーム40の回転からずれた方法で動力を伝達することができることを保証し、その間の干渉を回避する。
【0018】
ベース70の中心軸を調整する軸調整ボルト81は、ベース70の外側でベースプレート80に設けられている。このようにして、組立時に互いに上下に垂直に配置されたベース70の同心性を確保することができ、その上端及び下端における回転軸30の中心軸を調整して、構成部品の損傷を引き起こす可能性がある大きなたわみを回避することができる。
【0019】
回転軸30は、回転フレーム40に取り付けられた上側連結軸31と、回転座10、ベース70およびベースプレート80を貫通する中間連結軸32とを含む。上側連結軸31は、フランジによって中間連結軸32に連結されている。中間連結軸32は、その外壁に段差を画定し、その形状を上部で広く、下部で狭くしている。段差の面は、上側ラジアル軸受11の上端面から距離をおいて離間している。回転軸30は、下側連結軸33をさらに有する。下側連結時k33及び中間連結軸32の両方は、中空の管状軸であり、これらは、軸方向及び円周方向の両方で互いに対して動くことができないように互いに入れ子にされる。下側連結軸33は、その下端に受電機構に接続されるフランジを備えている。風車は大型なので、回転軸30を複数のセクションから構成することにより、輸送、組立および機械加工を容易にすることができる。このような中間連結軸32を設け、これに上下のラジアル軸受11、71を連結することにより、中間連結軸32の加工精度を確保し、取付けを容易にすることができる。さもなければ、非常に長い回転軸30を取り扱う必要があるであろう。その大きな長さのために、所望の機械加工精度を達成することは非常に困難であり、それを用いて上下のラジアル軸受11、71を組み立てることも困難である。これに対して、中間連結軸32の長さを約1メートルとすることにより、機械加工を大幅に容易にすることができ、取付けを容易に行うことができる。中間連結軸32の段差は、回転支持構造34の組立てが未だ完了していない組立ての早い段階で、ラジアル軸受が中間連結軸32の重量を一時的に負担できるようにするために設けられる。単体の中間連結軸の重量によって軸受けが損傷することはない。また、回転軸30が全体で管状構造であるので、回転軸30は回転フレーム40を取り付けるために十分な円周壁を有することが確保されるとともに、できるだけ軽量化される。電力出力端として、下部連結軸33の下端を発電機に接続して、風力エネルギーから電気を発生させることができる。
【0020】
ラック90上の多層のプラットフォーム91には、回転軸30の軸方向に沿って風車本体が配置されている。ベースプレート80は、プラットフォーム91の上面に配置される。上側連結軸31は、その上端に、上側の風車の中間連結軸32に連結されるように構成されたフランジを備えている。この風車の多層配置により、同一エリア内で風に対する露出面積を増やすことができ、より多くの電力を生産することが可能になる。さらに、回転軸30は、フランジと上下方向に相互接続されて単一の軸を形成することができ、互いに上下に配置された風車が取り付けられてそれらの動力を組み合わせることができる。これは解体の容易さを提供し、風車の数は単に重量支持力によって決定される。
【0021】
回転フレーム40は、風力ブレードの上端および下端に固着された片持梁41を含む。片持梁41の内側端部は、片側構造(half-structures)のようである。上下の片持梁41の外端部には、軸受座及びラジアル軸受が設けられ、連接軸51を支持している。片持梁41の外側端部の連接軸51には、風力ブレード50の重力に対抗するための軸方向支持構造が設けられる。風力ブレードの数が2つの場合、それらは片側構造である。各片持梁41の内端構造が占める軸方向の角度は、360°を風力ブレードの数で割った値に等しい。これにより、単一設計の片持梁41を製造し、輸送することができる。また、片側構造に近いため、組立・分解が容易である。軸方向支持構造体は、軸方向支持ベアリング又は磁気浮上構造体である。
【0022】
斜めブレース42は、下側の片持梁41と回転軸30との間に配置される。カ片持梁41、回転軸30および斜めブレース42は、直角三角形状を形成する。風力ブレード50の下部は、斜めブレース42の配置のための空間を残すために、形状が台形になっている。風車は大きく、下側の片持梁41は重い荷重を受けるので、斜めブレース42を追加すると、それらの荷重支持能力を増大させることができる。狭いスペースのために斜めブレース42を下側片持梁41の下側に配置できない場合は、下側の片持梁41の上側に配置してもよい。この場合、風力ブレード50の下部は、それに対応して、斜めのブレース42の配置のための空間を残すように設計されてもよい。
【0023】
回転軸30とラック90との間には、風車の公転(α)を制限するための回転軸ブレーキが配置されている。回転軸ブレーキは、メンテナンスの必要があるときに、制動手段36によって風車の動作を停止させる働きをする。さらに、組立または分解中の風車の回転から発生し得る安全上の懸念を回避することができる。
【0024】
風力ブレード50の回転(β)を制限するための風力ブレードブレーキは、連接軸51と回転フレーム40との間に配置されている。組立てまたは分解の際、風力ブレード50と回転軸30との間のリンク機構が確立されていないとき、風力ブレードは、自由に回転(β)をすることができ、組立てまたは分解作業を妨げる可能性がある。これは風力ブレードブレーキによって避けることができる。さらに、組立および分解中に風力ブレード50が回転することによって発生し得る安全上の懸念を回避することができる。