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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】全二重通信のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/10 20090101AFI20241217BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20241217BHJP
   H04W 72/20 20230101ALI20241217BHJP
   H04B 17/24 20150101ALI20241217BHJP
   H04B 17/318 20150101ALI20241217BHJP
【FI】
H04W24/10
H04W84/12
H04W72/20
H04B17/24
H04B17/318
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023020793
(22)【出願日】2023-02-14
(62)【分割の表示】P 2020547083の分割
【原出願日】2019-03-05
(65)【公開番号】P2023071733
(43)【公開日】2023-05-23
【審査請求日】2023-03-15
(31)【優先権主張番号】15/916,989
(32)【優先日】2018-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133569
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 進
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・アデル・サレム
(72)【発明者】
【氏名】オサマ・アブル-マグド
【審査官】吉村 真治▲郎▼
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02981143(EP,A1)
【文献】欧州特許出願公開第03188429(EP,A1)
【文献】特表2016-503977(JP,A)
【文献】Chittabrata Ghosh (Intel),Power Save Operation for Ranging Measurements, IEEE 802.11-17/1739r0,2017年11月08日
【文献】Feng Jiang (Intel Corporation),HE_FTM_Mesurement_Phase, IEEE 802.11-17/0144r0,2016年10月24日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
H04B 17/24
H04B 17/318
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイント(AP)からのトリガフレームの受信に応答して、前記トリガフレームが終わる時点から単一のフレーム間スペース (single interframe space: SIFS) の直後に、第1の局 (STA)による前記APに対する第1のアップリンク(UL)基準フレームの送信中に、第2のSTAによって、前記第1のUL基準フレームの信号強度を測定して信号強度測定値を取得するステップと、
前記信号強度測定値に関する情報を含む報告フレームを前記APに送信するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記報告フレームに含まれる前記情報から決定された潜在的な干渉情報は前記APに格納され、前記潜在的な干渉情報が、前記第1のSTA及び前記第2のSTAを示し、前記第1のSTAから前記APへの第1のFD UL信号は、前記第2のSTAへの第2のDL信号に対して干渉信号として振る舞い、前記干渉信号の第1の強度は前記第2のSTAにとって許容可能なしきい値より低く、
前記報告フレームに基づいてスケジュールされた前記第2のDL信号を受信するステップとをさらに含む
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記報告フレームに含まれる前記情報から決定された潜在的な干渉情報は前記APに格納され、前記潜在的な干渉情報が、前記第1のSTA及び前記第2のSTAを示し、前記第1のSTAから前記APへの第1のFD UL信号は、前記APから前記第2のSTAへの第2のDL信号に対して干渉信号として振る舞い、前記干渉信号の第2の強度は、前記第1のFD UL信号と前記第2のDL信号との同時送信が許容可能なしきい値より低く、
前記報告フレームに基づいて前記第1のFD UL信号の送信と重なるようにスケジュールされた前記第2のDL信号を受信するステップを受信するステップをさらに含む
請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
記信号強度測定値に関する前記情報が、
前記第2のSTAによって測定された前記第1のUL基準フレームの信号電力を示す
求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記トリガフレームを受信するステップと、
前記トリガフレームに基づいて、前記第2のSTAによって測定された前記第1のUL基準フレームの信号強度の発生源の識別子を取得するステップと、
前記報告フレームに含まれる前記情報に前記発生源の識別子を含めるステップと
をさらに含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記報告フレームに含まれる前記情報が、定義された許容可能な干渉しきい値内の任意の信号強度測定値用の識子を含まない、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記報告フレームに含まれる前記情報が、前記第2のSTAによって測定された前記第1のUL基準フレームの信号電力を含まない、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記APからの前記トリガフレームの受信に応答して、前記第2のSTAにより、第2のUL基準フレームを前記APに送信するステップ
をさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第2のUL基準フレームが、前記第1のSTAによる前記第1のUL基準フレームと連続して前記第2のSTAによって送信される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記トリガフレームが、
少なくとも前記第1のSTAの識別子
前記UL基準フレームを送信するための送信パラメータと、
前記報告フレームのための報告パラメータと、
のうちの少なくとも1つを示す、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記送信パラメータが、
送信電力のインジケータ
基準シンボルの時間周波数パターンのインジケータ
使用されるべきプリコーディングのインジケータ
送信持続期間のインジケータと、
使用されるべき送信リソースのインジケータと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記報告パラメータが、
許容可能な干渉しきい値のインジケータ
許容可能な干渉源の最大数のインジケータと、 前記報告フレームを送信するための時間のインジケータと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
第1の局(STA)であって、
アクセスポイント(AP)とのワイヤレス通信のための通信インターフェースと、
前記第1のSTAに、
前記APからのトリガフレームの受信に応答して、前記トリガフレームが終わる時点から単一のフレーム間スペース (single interframe space: SIFS) の直後に、第2のSTAによるAPに対する第1のアップリンク(UL)基準フレームの送信中に、前記第1のUL基準フレーム信号強度を測定して信号強度測定値を取得させ、
前記信号強度測定値に関する情報を含む報告フレームを前記APに送信させる
命令を実行するように構成されたプロセッサと
を備える、第1のSTA。
【請求項14】
前記報告フレームに含まれる前記情報から決定された潜在的な干渉情報は前記APに格納され、前記潜在的な干渉情報が、前記第2のSTA及び前記第1のSTAを示し、前記第2のSTAから前記APへの第2のFD UL信号は、前記第1のSTAへの第1のDL信号に対して干渉信号として振る舞い、前記干渉信号の第1の強度は前記第1のSTAにとって許容可能なしきい値より低く、
前記プロセッサは、前記第1のSTAに、前記報告フレームに基づいてスケジュールされた前記第1のDL信号をさらに受信させる命令を実行するように構成される
請求項13に記載の第1のSTA。
【請求項15】
前記報告フレームに含まれる前記情報から決定された潜在的な干渉情報は前記APに格納され、前記潜在的な干渉情報が、前記第2のSTA及び前記第1のSTAを示し、前記第2のSTAから前記APへの第1のFD UL信号は、前記第1のSTAへの第2のDL信号に対して干渉信号として振る舞い、、
前記プロセッサは、前記第1のSTAに、前記報告フレームに基づいて前記第1のFD UL信号の送信と重なるようにスケジュールされた前記第2のDL信号を受信させる命令を実行するように構成される
請求項13まは14に記載の第1のSTA。
【請求項16】
記信号強度測定値に関する前記情報が、
前記第1のSTAによって測定された前記第1のUL基準フレームの信号電力を示す
項13から15のいずれか一項に記載の第1のSTA。
【請求項17】
前記プロセッサは、前記第1のSTAに、
前記トリガフレームを受信させ、
前記トリガフレームに基づいて、前記第2のSTAによって測定された前記第1のUL基準フレームの信号強度の発生源の識別子を取得させ、
前記報告フレームに含まれる前記情報に前記発生源の識別子を含めさせる
命令を実行するように構成される
請求項13から15のいずれか一項に記載の第1のSTA。
【請求項18】
前記報告フレームに含まれる前記情報が、定義された許容可能な干渉しきい値内の任意の信号強度測定値用の識子を含まない、請求項16に記載の第1のSTA。
【請求項19】
前記報告フレームに含まれる前記情報が、前記第1のSTAによって測定された前記第2のUL基準フレームの信号電力を含まない、請求項17に記載の第1のSTA。
【請求項20】
前記プロセッサが、前記第1のSTAに、前記APからの前記トリガフレームの受信に応答して、第2のUL基準フレームを前記APに送信させる命令を実行するようにさらに構成される、請求項18に記載の第1のSTA。
【請求項21】
前記第2のUL基準フレームが、前記第1のSTAによる前記第1のUL基準フレームと連続して前記第2のSTAによって送信される、請求項20に記載の第1のSTA。
【請求項22】
前記トリガフレームが、少なくとも前記第1のSTAの識別子、前記UL基準フレームを送信するための送信パラメータ、または前記報告フレームのための報告パラメータのうちの少なくとも1つを示す、請求項13から21のいずれか一項に記載の第1のSTA。
【請求項23】
前記送信パラメータが、
送信電力のインジケータと、
基準シンボルの時間周波数パターンのインジケータ
使用されるべきプリコーディングのインジケータ
送信持続期間のインジケータと、
使用されるべき送信リソースのインジケータと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項22に記載の第1のSTA。
【請求項24】
前記報告パラメータが、
許容可能な干渉しきい値のインジケータ
許容可能な干渉源の最大数のインジケータと、
前記報告フレームを送信するための時間のインジケータと、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項22に記載の第1のSTA。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、2018年3月9日に出願され、「Methods and Systems for Full Duplex Communications」と題する米国特許出願第15/916,989号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、全二重通信のための方法およびシステムに関する。詳細には、本開示は、全二重通信における干渉の管理に役立つ方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
全二重(FD)通信では、(たとえば、アクセスポイント(AP)から局(STA)への)ダウンリンク(DL)送信および(たとえば、STAからAPへの)アップリンク(UL)送信を同時に行うことができる。非対称FD通信では、1対のノード(たとえば、APと第1のSTA)の間でDL送信が行われるが、UL送信は、少なくとも異なる第3のノード(たとえば、APおよび第2のSTA)を伴う。
【0004】
FD通信では、UL送信およびDL送信は同じ時間周波数リソースを使用し、DL送信とUL送信は互いに干渉する可能性がある。さらに、非対称FDは非同期に行われる可能性があり、UL送信およびDL送信が異なる時間に始まる可能性があることを意味する。しかしながら、非対称FDはDL送信およびUL送信で異なるSTAを伴うので、個々のSTAは干渉を打ち消すことができない可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
そのような干渉を管理するメカニズム、たとえば、FD対応APによって実装され得るメカニズムを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載される様々な例では、FD通信を実行するための方法およびシステムが記載される。APから第1のSTAへのDL送信中(またはそれを予想して)、APは、同じ時間周波数リソースを使用して、UL送信のための第2のSTAを選択することができる。同様に、第1のSTAからAPへのUL送信中(またはそれを予想して)、APは、同じ時間周波数リソースを使用して、DL送信のための第2のSTAを選択することができる。APは、個々のSTAにおける潜在的なFD干渉に関する情報を取得し、DL送信を受信するSTAに対する著しい干渉がほとんどまたはまったくないようにUL送信のための1つまたは複数のSTAを選択するために、そのような情報を使用することができる。本開示では、APがすべての関連するSTAによる潜在的な干渉の測定をトリガし、各STAが測定された潜在的な干渉をAPに報告する例示的な方法が記載される。
【0007】
第1の態様では、本開示は、全二重(FD)機能を有するアクセスポイント(AP)により、少なくとも第1の局(STA)にAPへのアップリンク(UL)基準フレームを開始させるトリガフレームを送信するステップであって、トリガフレームがさらに、UL基準フレームの送信中に少なくとも1つの第2のSTAに信号強度測定値を取得させる、ステップと、APにより、信号強度測定値に関する情報を含む報告フレームを少なくとも1つの第2のSTAから受信するステップとを含む方法を記載する。
【0008】
第1の態様のいくつかの例では、方法は、報告フレームに含まれる情報に基づいて、DL送信中のFD UL送信のためのUL送信STAを選択するステップを含む。いくつかの例では、方法は、報告フレームに含まれる情報から決定された潜在的な干渉情報をAPに格納するステップであって、潜在的な干渉情報が、所与のDL受信STAの場合、所与のDL受信STAへのDL送信中のFD UL送信のための任意の容認可能なUL送信STAを示す、ステップを含み、UL送信STAを選択するステップは、格納された潜在的な干渉情報を使用して実行される。
【0009】
第1の態様のいくつかの例では、方法は、報告フレームに含まれる情報に基づいて、UL送信中のFD DL送信のためのDL受信STAを選択するステップを含む。いくつかの例では、方法は、報告フレームに含まれる情報から決定された潜在的な干渉情報をAPに格納するステップを含み、潜在的な干渉情報は、所与のUL送信STAの場合、所与のUL送信STAによるUL送信中の同時FD DL送信のための任意の容認可能なDL受信STAを示す。いくつかの例では、DL受信STAを選択するステップは、格納された潜在的な干渉情報を使用して実行される。
【0010】
第1の態様のいくつかの例では、トリガフレームは、複数のSTAにAPへのそれぞれのUL基準フレームの送信を開始させ、それぞれのUL基準フレームは順次送信される。
【0011】
第1の態様のいくつかの例では、トリガフレームは、少なくとも第1のSTAの識別子、UL応答送信を送信するための送信パラメータ、または報告フレームのための報告パラメータのうちの少なくとも1つを示す。いくつかの例では、送信パラメータは、送信電力のインジケータ、基準シンボルの時間周波数パターンのインジケータ、使用されるべきプリコーディングのインジケータ、送信持続期間のインジケータ、または使用されるべき送信リソースのインジケータのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの例では、報告パラメータは、許容可能な干渉しきい値のインジケータ、許容可能な干渉源の最大数のインジケータ、または報告フレームを送信するための時間のインジケータのうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
第1の態様のいくつかの例では、APは非同期FD通信のための機能を有する。
【0013】
第1の態様のいくつかの例では、APは同期FD通信のための機能を有する。
【0014】
第1の態様のいくつかの例では、方法は、第1のSTAからのUL基準フレームが受信されないとき、APにより、第1のSTAにトリガフレームを再送信するステップを含む。いくつかの例では、第1のSTAからのUL基準フレームが、事前設定された時間期間後、または事前設定された数の再送信後に受信されないとき、第1のSTAは、少なくとも定義された時間期間の間FD送信から除外される。
【0015】
第2の態様では、アクセスポイント(AP)からのトリガフレームの受信に応答して、第2の局(STA)により、第1のSTAによる第1のアップリンク(UL)基準フレームの送信中に信号強度測定値を取得するステップと、信号強度測定値に関する情報を含む報告フレームをAPに送信するステップとを含む方法が記載される。
【0016】
第2の態様のいくつかの例では、報告フレームに含まれる情報は、測定された信号電力または測定された信号強度の発生源の識別子のうちの少なくとも1つを含む。例では、報告フレームに含まれる情報は、測定された信号電力または定義された許容可能な干渉しきい値内の任意の信号強度測定値用の識別子のみを含む。
【0017】
第2の態様のいくつかの例では、方法は、APからのトリガフレームの受信に応答して、第2のSTAにより、第2のUL基準フレームをAPに送信するステップを含む。いくつかの例では、第2のUL基準フレームは、第1のSTAによる第1のUL基準フレームと連続して第2のSTAによって送信される。
【0018】
第3の態様では、全二重(FD)機能と、少なくとも第1および第2の局(STA)とのワイヤレス通信のための通信インターフェースとを有するアクセスポイント(AP)が記載される。APは、APに、トリガフレームを送信させ、トリガフレームが、少なくとも第1のSTAにAPへのアップリンク(UL)基準フレームの送信を開始させ、トリガフレームがさらに、少なくとも第2のSTAにUL基準フレームの送信中に信号強度測定値を取得させ、信号強度測定値が、第1のSTAからのUL送信によって引き起こされ、第2のSTAへのダウンリンク(DL)送信の受信に潜在的な影響を及ぼす任意の潜在的な干渉を示す測定値であり、信号強度測定値に関する情報を含む報告フレームを少なくとも第2のSTAから受信させる命令を実行するように構成されたプロセッサを含む。
【0019】
第3の態様のいくつかの例では、プロセッサは、報告フレームに含まれる情報に基づいて、DL送信中のFD UL送信のためのUL送信STAをAPに選択させる命令を実行するようにさらに構成される。
【0020】
第3の態様のいくつかの例では、プロセッサは、報告フレームに含まれる情報に基づいて、UL送信中のFD DL送信のためのDL受信STAをAPに選択させる命令を実行するようにさらに構成される。
【0021】
第3の態様のいくつかの例では、トリガフレームは、少なくとも第1のSTAの識別子、UL基準フレームを送信するための送信パラメータ、または報告フレームのための報告パラメータのうちの少なくとも1つを示す。
【0022】
第4の態様では、アクセスポイント(AP)とのワイヤレス通信のための通信インターフェースを有する第1の局(STA)が記載される。第1のSTAは、第1のSTAに、APからのトリガフレームの受信に応答して、第2のSTAによる第1のアップリンク(UL)基準フレームの送信中に信号強度測定値を取得させ、信号強度測定値が、第2のSTAからのUL送信によって引き起こされ、第1のSTAへの同時ダウンリンク(DL)送信の受信に潜在的な影響を及ぼす任意の潜在的な干渉を示す測定値であり、信号強度測定値に関する情報を含む報告フレームをAPに送信させる命令を実行するように構成されたプロセッサを含む。
【0023】
第4の態様のいくつかの例では、プロセッサは、APからのトリガフレームの受信に応答して、第1のSTAに第2のUL基準フレームをAPに送信させる命令を実行するようにさらに構成される。
【0024】
次に、例として、本出願の例示的な実施形態を示す添付の図面に対して参照が行われる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】FD通信中のDL送信とUL送信との間の干渉の一例を示す概略図である。
図2】FD通信を実行するのに適した例示的なデバイスを示すブロック図である。
図3】潜在的なFD干渉の測定値を取得するための例示的な動作を示す概略図である。
図4図3の動作の例示的な実施を示すタイミング図である。
図5図3の動作の別の例示的な実施を示すタイミング図である。
図6】潜在的なFD干渉の測定値を取得するための例示的な動作の別のセットを示す概略図である。
図7図6の動作の例示的な実施を示すタイミング図である。
図8】潜在的な干渉測定値をAPに報告するために使用され得る例示的な表である。
図9】潜在的な干渉情報をAPに格納するために使用され得る例示的な表である。
図10】APによって潜在的な干渉情報を収集するための例示的な方法を示すフローチャートである。
図11】STAによって潜在的な干渉測定値を取得するための例示的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
同様の構成要素を表記するために様々な図において同様の参照番号が使用されている場合がある。
【0027】
本明細書に記載される例は、全二重(FD)通信における干渉を管理するための方法およびシステムを提供する。アクセスポイント(AP)は、関連する局(STA)の一部またはすべてに潜在的な干渉を測定する動作を実行させるトリガフレーム、たとえば、FD干渉測定トリガフレームを送信することができる。たとえば、STAは、送信STAからの潜在的な干渉を測定するために他のSTAによって使用され得る応答フレームまたは基準フレーム、たとえば、FD干渉基準フレームを送信することができる。潜在的な干渉が測定された後、各STAは、報告フレーム、たとえば、FD干渉測定報告フレーム内で、測定された潜在的な干渉をAPに報告することができる。APは、STAから取得された潜在的な干渉情報を使用して、非対称FD通信のための1つまたは複数の適切なSTAを選択することができる。
【0028】
図1は、本明細書に記載された方法が実装され得る例示的なシステム100の概略図である。システム100は、FD機能を有する、AP102を含むWi-Fiインフラストラクチャを示す。AP102は、主制御点(PCP)または基地局と呼ばれる場合もある。AP102は、たとえば、ルータとして実装されてよい。一般に、AP102は、発展型ノードB(eNB)、マクロセル、フェムトセル、配信ノード、Wi-Fi AP、または他のワイヤレス対応デバイスなどの、ネットワークにおいてワイヤレスアクセスを提供するように構成された任意の構成要素(または構成要素の集合)を指してよい。AP102は、たとえば、1つまたは複数のワイヤレス通信プロトコル、たとえば、ロングタームエボリューション(LTE)、LTEアドバンスト(LTE-A)、高速フレームアクセス(HSPA)、Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac/ad、および他の802.11プロトコルに従ってワイヤレスアクセスを提供することができる。複数のSTA104がAP102に関連付けられる。各STA104は、互いに独立して、様々な機能をもって動作することができる。たとえば、各STA104は、FD機能を有していてもいなくてもよい。図示された例では、(個別に104-1~104-6、概してSTA104と呼ばれる)STA1~STA6とラベル付けされた6つのSTAが存在する。STA104は、たとえば、端末、ユーザデバイス、ユーザ機器(UE)、またはクライアントと呼ばれる場合もある。各STA104は、たとえば、スマートフォン、ラップトップ、携帯電話、モノのインターネット(IoT)デバイス、タブレットデバイス、または任意の他のワイヤレス対応デバイスなどのモバイルデバイスまたは固定デバイスを含む、ワイヤレス通信が可能な任意の適切な電子デバイス(ED)などのワイヤレス通信が可能な任意の構成要素(または構成要素の集合)であってよく、STA104は互いに同じである必要はない。
【0029】
システム100は、AP102と各STA104との間の通信、ならびに(デバイス間通信とも呼ばれる)STA104間の直接の通信をサポートすることができる。STA104は、APからSTAまたはSTAからSTAへの通信のための中継器として機能することもできる。AP102は、たとえば、指向性アンテナを使用することにより、かつ/または周波数分離を使用することにより、マルチユーザ(MU)送信を(たとえば、AP102から複数のSTA104への送信を同時に)実行することもできる。
【0030】
図2は、本明細書に開示される実施形態を実装するために使用され得る、例示的な簡略化された処理システム200のブロック図である。以下に記載される例示的な処理システム200またはその変形形態は、AP102またはSTA104のいずれか1つを実装するために使用されてよい。他の処理システムは、本開示に記載される実施形態を実装するのに適している場合があり、以下に説明される構成要素とは異なる構成要素を含む場合がある。図2は、各構成要素の単一のインスタンスを示すが、処理システム200内の各構成要素の複数のインスタンスが存在してよい。
【0031】
処理システム200は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、専用論理回路、またはそれらの組合せなどの、1つまたは複数の処理デバイス202を含んでよい。処理システム200は、オプションとして、1つまたは複数のオプションの入力デバイス214および/または出力デバイス216とのインターフェースを可能にするために、1つまたは複数の入力/出力(I/O)インターフェース204を含んでよい。処理システム200は、ネットワーク(たとえば、イントラネット、インターネット、P2Pネットワーク、WAN、および/もしくはLAN)または他のノードとの有線またはワイヤレスの通信のための1つまたは複数のネットワークインターフェース206を含んでよい。ネットワークインターフェース206は、ネットワーク内および/またはネットワーク間の通信のための有線リンク(たとえば、イーサネットケーブル)および/またはワイヤレスリンク(たとえば、1つもしくは複数のアンテナ)を含んでよい。
【0032】
ネットワークインターフェース206は、1つまたは複数のアンテナを介してワイヤレス通信を提供することができる。この例では、複数のアンテナが一緒にアンテナアレイ218を形成し、アンテナアレイ218は、送信機能と受信機能の両方を実行することができる。アンテナアレイ218は、ビームフォーミングおよびビームトラッキングを使用して指向性通信を可能にすることができる。他の例では、送信および受信用の個別のアンテナまたは個別のアンテナアレイが存在してよい。
【0033】
処理システム200は1つまたは複数のストレージユニット208も含んでよく、ストレージユニット208には、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、および/または光ディスクドライブなどの大容量ストレージユニットが含まれてよい。処理システム200は1つまたは複数のメモリ210を含んでよく、メモリ210には、揮発性または不揮発性のメモリ(たとえば、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および/または読取り専用メモリ(ROM))が含まれてよい。非一時的メモリ210は、本開示に記載される例示的な方法を実行するなどのために、処理デバイス202による実行のための命令を記憶することができる。メモリ210は、オペレーティングシステムおよび他のアプリケーション/機能を実装するなどのための他のソフトウェア命令を含んでよい。いくつかの例では、1つまたは複数のデータセットおよび/またはモジュールは、外部メモリ(たとえば、処理システム200との有線またはワイヤレスの通信内の外部ドライブ)によって提供されてもよく、一時的または非一時的なコンピュータ可読媒体によって提供されてもよい。非一時的コンピュータ可読媒体の例には、RAM、ROM、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、フラッシュメモリ、CD-ROM、または他のポータブルメモリストレージが含まれる。
【0034】
処理デバイス202、オプションのI/Oインターフェース204、ネットワークインターフェース206、ストレージユニット208、および/またはメモリ210を含む、処理システム200の構成要素間の通信を提供するバス212が存在する場合がある。バス212は、たとえば、メモリバス、周辺バス、またはビデオバスを含む、任意の適切なバスアーキテクチャであってよい。
【0035】
図2では、オプションの入力デバイス214(たとえば、キーボード、マウス、マイクロフォン、タッチスクリーン、および/またはキーパッド)ならびにオプションの出力デバイス216(たとえば、ディスプレイ、スピーカ、および/またはプリンタ)は、処理システム200の外部にあるものとして示されている。他の例では、入力デバイス214および/または出力デバイス216のうちの1つまたは複数は、処理システム200の内部構成要素であってよい。
【0036】
再び図1に対して参照が行われる。図1は、非対称FD通信の例示的なセット、および結果として生じるFD干渉を示す。非対称FD通信は、非同期FD通信または同期FD通信であってよい。簡単にするために、非同期FD通信が以下に記載されるが、これは限定するものではないことを理解されたい。
【0037】
非同期FD通信の一例では、AP102はSTA1 104-1へのダウンリンク(DL)送信110を開始する。DL送信110は、FD送信機会(TXOP)に関する情報を提供するフレームヘッダ(たとえば、物理層(PHY)ヘッダまたは媒体アクセス制御(MAC)ヘッダ)を有するフレーム(たとえば、データフレーム)を含んでよい。AP102に関連付けられた他のSTA104も、(たとえば、DL送信110を傍聴することにより)このTXOP情報を受信することができる。STA104は、TXOPを利用して、DL送信110と同時にアップリンク(UL)送信をAP102に送ることができてよい。
【0038】
本開示では、FD通信は、ノードにおけるUL送信およびDL送信が、送信の少なくとも一部分について同じ時間周波数リソースを共有する通信である。すなわち、ノードにおいて受信されたUL送信および同じノードから送信されたDL送信は、両方とも送信の少なくとも一部分について同時に同じサブキャリアの少なくともいくつかを使用して行われる。これは、(ULおよびDLの信号を時間的に分離する)時分割複信(TDD)または(ULおよびDLの信号を周波数において分離する)周波数分割複信(FDD)などのFDエミュレーション技法と混同されるべきでない。
【0039】
いくつかの例では、AP102は、UL送信のために1つまたは複数の特定のSTA104を選択することができる。複数のSTA104は、たとえば、MU UL送信モードを使用して、AP102にUL送信を同時に送信することができてよい。図示された例では、AP102は、DL送信110と同時のUL送信120のためにSTA5 104-5を選択する。
【0040】
非同期FD通信の別の例では、UL送信120が最初に開始される場合があり、次いで、AP102は、同時DL送信110のために1つまたは複数の特定のSTA104を選択することができる。DL送信110は、たとえば、MU DL送信モードを使用して同時に複数のSTA104に送信されてよい。たとえば、STA5 104-5からのUL送信120が開始される場合があり、次いで、AP102は、同時DL送信110のためにSTA1 104-1を選択することができる。
【0041】
DL送信110またはUL送信120のどちらが最初に開始されるかにかかわらず、AP102からSTA1 104-1へのDL送信110は、STA5 104-5からのUL送信120のAP102の受信に対する干渉を潜在的に引き起こす可能性がある。AP102は、この自己干渉を管理および/または軽減するための処置を取ることができる。本開示では、FD対応AP102は、AP102が進行中のDL送信110から同時UL送信120への任意の自己干渉を実質的に制限することを可能にする(ハードウェアおよび/またはソフトウェアに実装され得る)機能を有する。本開示では、AP102からSTA1 104-1へのDL送信110によって引き起こされる任意の自己干渉の軽減は、詳細に説明されない。UL送信120はまた、受信STA104、この例ではSTA1 104-1において干渉130を引き起こす可能性があり、受信STA104は干渉130を軽減するために十分な能力をもたない可能性がある。いくつかの例では、AP102は、受信STA104が遭遇するであろう干渉130を軽減するために、UL送信120および/またはDL送信110のためのSTA104を選択することができる。
【0042】
たとえば、DL送信110が最初に開始される場合、同時UL送信120のためのSTA104の選択は、UL送信120によって引き起こされるであろう潜在的な(または予想される)干渉に関する情報に基づいてよい。同様に、たとえば、UL送信120が最初に開始される場合、同時DL送信110のためのSTA104の選択は、DL送信110が遭遇するであろう潜在的な(または予想される)干渉に関する情報に基づいてよい。さらに、AP102は、進行中のDL送信110との干渉を軽減するために、容認可能なUL送信電力レベルを示すことができる。AP102は、進行中のUL送信120からの干渉を軽減するようにDL送信電力を制御することもできる。
【0043】
前述されたように、本開示は非同期FD通信に限定されない。たとえば、本開示はまた、認可スペクトルおよび/もしくは無認可スペクトルを使用する通信などの他の無線アクセス技術(RAT)、ならびに/またはセルラーもしくは他のワイヤレスネットワークにおけるFD通信にも(必要に応じて適切な修正を加えて)使用されてよい。本開示は、非同期または同期のFD通信についてのFD干渉の課題に対処するために使用されてよい。たとえば、DL送信110とUL送信120の両方が同時に開始されるようにスケジュールされた(たとえば、セルラーネットワークにおける)同期FD通信の場合、AP102は、UL送信120によって引き起こされるであろう潜在的な(または予想される)干渉に関する情報を使用して、DL送信110のための1つまたは複数の適切なSTA104を選択し、それに応じてDL送信110とUL送信120の両方をスケジュールすることができる。
【0044】
干渉をより効果的に管理するために、各STA104が別のSTA104に対して引き起こすであろう潜在的なFD干渉に関する情報をAP102が取得するための方法を有することは有用であろう。図3は、そのような潜在的な干渉情報を取得するための動作の例示的なセットを示す。本開示では、潜在的な干渉は、送信によって引き起こされる可能性があるか、または引き起こされることが予想される干渉を指す。以下の様々な例に記載されるように、潜在的な干渉は、実際にはDL送信に干渉していないUL送信の電力を測定することによって測定または推定されてよい。
【0045】
図3に示されたように、AP102は、STA104がFD対応であるか否かにかかわらず、FD干渉測定トリガフレーム(FD-IMTF)310などのトリガフレームを関連するSTA104に送信する。前述されたように、STA104は、STA104がFD対応であるか否かにかかわらず、FD対応AP102とのFD通信に参加することができる。図3は、STA5 104-5へのFD-IMTF310の送信を示す。しかしながら、FD-IMTF310は、複数のSTA104にマルチキャストされてよく、たとえば、関連するすべてのSTA104にマルチキャストされてよいことを理解されたい。STA104がFD-IMTF310を受信すると、STA104は、(たとえば、FD-IMTF310に含まれる対象とするSTAの識別に基づいて)FD-IMTF310が自分自身を対象とするかどうかを判定することができる。STA104が対象とするSTAである場合、FD-IMTF310を受信すると、STA104は、応答フレーム、たとえば、FD干渉基準フレーム(FD-IRF)320などの基準フレームの送信でAP102に応答することになる。たとえば、図3は、STA5 104-5によるAP102へのFD-IRF320の送信を示す。
【0046】
所与のSTA104がFD-IRF320をAP102に送信するとき、この送信は、通常のUL送信と同様の方式で(たとえば、FD-IMTF310内で示された送信パラメータに従って)STA104によって送信される。FD-IRF320は、任意の適切なフォーマットを有してよい。たとえば、FD-IRF320は、基準シンボルまたはパイロット信号を搬送する比較的単純なPHY信号であってよく、それらは、所定のまたは既知のパターンに従って周波数リソースおよび時間リソースにわたって拡散されてよい。いくつかの例では、FD-IRF320は、(たとえば、PHYヘッダに)レガシーデバイスおよび/または他のRAT(たとえば、他の802.11規格に従って動作する他のデバイス)との下位互換性および共存を可能にするプリアンブル情報も含めることもできる。
【0047】
いくつかの例では、AP102は、FD-IRF320の受信時に処置を取らない場合がある(たとえば、FD-IRF320は、AP102による受信時に無視または却下される場合がある)。いくつかの例では、AP102は、STA104から受信されたFD-IRF320の(たとえば、受信信号電力または信号対干渉プラス雑音比(SINR)によって示される)信号品質を測定して、そのSTA104からの潜在的なUL送信の品質を評価することができる。測定された信号品質に基づいて、AP102は、(たとえば、変調およびコーディング方式(MCS)レベルを調整することにより)たとえば、閉ループリンク適応を使用して、信号品質を調整するためのフィードバックまたは命令をSTA104に提供することができる。いくつかの他の例では、AP102が予想されるFD-IRF320を受信しなかった場合、これは、対象とするSTA104がFD-IMTF310を復号することができなかったか、または対象とするSTA104がFD-IMTF310をサポートしないか、もしくはFD-IMTF310に応答しないように設定されていることを示すことができる。本開示では、FD-IMTF310に応答してFD-IRF320を送信することに失敗した対象とするSTA104は、無応答STAと呼ばれる。無応答STAは測定期間内に参加しない。「無応答」STAは「応答しない」STAと混同されるべきでない。本開示では、応答しないSTAは、FD-IMTF310に応答することが予想されないFD-IMTF310の対象とする受信者ではないSTAであるが、応答しないSTAは、(たとえば、以下でさらに説明されるように、潜在的な干渉を測定することにより)依然として測定期間内に参加している。
【0048】
AP102が予想されるFD-IRF320を受信しなかった場合、AP102は、予想されるFD-IRF320の送信に失敗した無応答の対象とするSTA104にFD-IMTF310を再送信することができる。無応答STA104へのFD-IMTF310の再送信は、他の対象とするSTAへの他のFD-IMTF310の送信の前または後に行われてよい。無応答STA104へのFD-IMTF310の再送信は、事前設定された回数実行されてよく、無応答STA104が依然としてFD-IRF320への応答に失敗する場合、AP102は、1つまたは複数の後続の測定期間の間、FD TXOPから無応答STA104を除外することができる。AP102は、他の将来の測定期間内に再び無応答STA104を含めることができる。(たとえば、図5を参照して以下でさらに記載されるように)FD-IMTF310が2つ以上のSTA104を対象とする例では、AP102は、FD-IMTF310の再送信を試行せずに、1つまたは複数の後続の測定期間の間、FD TXOPから任意の無応答STA104を除外することができる。これは、他の応答するSTA104における不明確さを回避するためであってよい。いくつかの例では、無応答STA104が、事前設定された時間間隔の間、および/または事前設定された数のFD-IMTF310の間、FD-IMTF310に無応答のままである場合、AP102は、無応答STA104がFD-IMTF310を認識し応答する機能をもたないレガシーデバイスであるか、または無応答STA104がFD-IMTF310に応答しないように設定されていると判断することができる。AP102は、すべての将来のFD-IMTF310送信から、およびすべての将来のFD TXOPから、無応答STA104を除外することができる。いくつかの例では、AP102は、たとえば、管理フレームの交換を通して、無応答STA104をすでに識別している(たとえば、STAは、レガシーデバイスとして自身を識別しているか、または無応答であるように設定されていると自身を識別している)場合があり、任意のFD-IMTF310の試行の前に、そのような識別された無応答STA104を除外することができる。
【0049】
応答するSTA104によるFD-IRF320の送信中、(応答しないSTA104とも呼ばれる)他のSTA104は、FD-IRF320の信号強度を測定することにより、通常のDL受信において遭遇するであろう潜在的な干渉130を測定する。たとえば、図3は、STA5 104-5によるFD-IRF320の送信によって引き起こされた潜在的な干渉130を測定するSTA5 104-5以外のすべてのSTA104を示す。測定された潜在的な干渉130は、潜在的な干渉の発生源の指示(たとえば、発生源STAの論理インデックス)とともに各STAによって記録される。STA104は、FD-IRF320の送信中にその受信チャネルを介して任意の信号の電力を測定することにより、潜在的な干渉測定値を取得することができる。潜在的な干渉測定値は、より一般的には、別のSTA104によるUL基準フレームの送信中のSTA104による信号強度の測定値である。潜在的な干渉測定値と呼ばれるが、STA104は、潜在的な干渉を示すものとして測定値を認識する必要はない。STA104の観点から、潜在的な干渉測定値は、単に信号強度の測定値であってよく、それは、その後AP102に報告される。
【0050】
AP102が複数のFD-IMTF310を順次送信する例では、シーケンス内の最後のFD-IMTF310は、それがシーケンス内の最後のFD-IMTF310であることを示す指示(たとえば、シーケンス終了フラグ)を含んでよいこれにより、(たとえば、以下でさらに記載されるように)STA104が、測定された潜在的な干渉情報をAP102に提供するために適切な時間を決定することが可能になる。他の対象とするSTAにFD-IMTF310のシーケンスを送信した後に、AP102が特定の無応答STA104にFD-IMTF310を再送信する場合、AP104は、無応答STA104へのFD-IMTF310の最後の再送信がシーケンス内の最後のFD-IMTF310であることを(たとえば、シーケンス終了フラグを使用して)示すことができる。
【0051】
図4は、図3に示された動作の例示的な実施を示すタイミング図である。図4の例では、AP102は、すべての関連するSTA104にマルチキャストFD-IMTF310を送信する。各FD-IMTF310は、特定のSTA104にFD-IRF320で応答させることを目的としている。たとえば、FD-IMTF310は、対象とするSTA104の論理インデックスまたはSTA識別子(ID)などの、対象とする応答するSTA104を示すパラメータを含んでよい。AP102に関連付けられた各STA104は、論理インデックスを割り当てられてよい。STA104ごとの論理インデックスは、(たとえば、FD-IMTF310を使用して)動的に、または(たとえば、管理フレームを使用して)半静的に、AP102によって割り当てられてよい。すべてのSTA104は、FD-IMTF310を受信することができる。対象とするSTA104のみがFD-IRF320で応答し、他のすべてのSTA104は、FD-IRF320の送信中に潜在的な干渉130を測定する。
【0052】
図4に示された例では、AP102は、STA5 104-5向けのFD-IMTF310を送信する。STA5 104-5は、FD-IMTF310が受信された後、実質的に即座に(たとえば、単一の短いフレーム間スペース(SIFS)の後)FD-IRF320を送信することによって応答する。他のすべてのSTA104は、STA5 104-5によるUL送信によって引き起こされた任意の潜在的な干渉を測定することにより、潜在的な干渉測定値330を取得する。他のSTA104は、対象とするSTA104の識別子(たとえば、論理インデックスまたはSTA ID)などのFD-IMTF310に含まれる情報を使用して、測定された潜在的な干渉の発生源(この場合はSTA5 104-5)を特定することができ、潜在的な干渉の発生源の識別子とともに測定された潜在的な干渉を記録することができる。AP102は、1つまたは複数の他の対象とするSTA104向けの1つまたは複数のFD-IMTF310を送信することができる。たとえば、AP102は、他のすべての関連するSTA104にFD-IMTF310を送信することができ、その結果、すべてのSTA104は、(任意の無応答またはその他の方法で除外されたSTA104を除く)他のすべてのSTA104から潜在的な干渉の測定値を取得することができる。次いで、STA104は、以下でさらに記載されるFD干渉測定報告フレーム(FD-IMRF)などの報告フレームを使用して、測定された潜在的な干渉をAP102に報告する。
【0053】
FD-IMTF310は、特定のパラメータに従って、対象とするSTA104にFD-IRF320を送信させる情報を含んでよい。特に、FD-IMTF310は、測定された潜在的な干渉が実際のUL送信中に遭遇するであろう干渉の良好な表現となるために、通常のUL送信を模倣する方法でSTA104にFD-IRF320を送信させることができる。たとえば、FD-IMTF310は、FD-IRF320の送信に使用されるべき電力レベル、プリコーディング、および持続時間の指示を含んでよい。これらのパラメータは、FD-IMTF310内で個別に示されてよい。いくつかの例では、既定の送信パラメータの1つまたは複数のセットが存在してよく、FD-IMTF310は、個別に送信パラメータを示す代わりに、使用する特定の既定のセットのインジケータ(たとえば、インデックス)のみを含んでよい。いくつかの例では、使用されるべき送信パラメータは、(たとえば、以前のFD-IMTF310または管理フレームによって)すでに示されている可能性があり、再び示される必要がない場合がある。FD-IMTF310はまた、他のSTA104に潜在的な干渉を測定させ、測定された潜在的な干渉を報告させる情報を含んでよい。たとえば、FD-IMTF310は、FD-IRF320が従うことを他のSTA104に示すことができ、他のSTA104は、それに応じて、FD-IRF320によって引き起こされた干渉に耳を傾け測定することができる。FD-IMTF310は、測定された潜在的な干渉を報告するときに使用されるべきパラメータを含んでよく、それらは以下でさらに記載される。
【0054】
図5は、図3に示された動作の別の例示的な実施を示すタイミング図である。この例では、FD-IMTF310が単一のSTA104からの応答を引き起こすのではなく、FD-IMTF310は、複数のSTA104(たとえば、すべての関連するSTA104、または2つ以上の対象とするSTA104のグループ)を対象とし、複数のSTA104によるFD-IRF320の送信を順次トリガする。FD-IMTF310は、AP102に関連付けられたSTA104のグループまたはすべてのSTA104に単一のマルチキャストとして送信されてよい。FD-IMTF310は、STA104に個々のFD-IRF320で順次応答させるパラメータを含んでよい。たとえば、FD-IMTF310は、STA104が応答するべきシーケンスを示す(たとえば、STA104の論理インデックスのシーケンスを示す)ことができる。FD-IMTF310は、STA104が測定された潜在的な干渉をAP102に報告するための時間を明示的に示すことができる。いくつかの例では、報告時間のそのような明示的な指示は使用されず、代わりに、STA104は、FD-IMTF310によってアドレス指定されたSTA104の数に基づいて測定された潜在的な干渉を報告する適切な時間を決定することができる(たとえば、報告時間は、予想されるグループ応答期間の直後のタイムスロットであってよく、グループ応答期間は、FD-IMTF310内で示された論理インデックスの数に1つのFD-IRF310の送信用の時間期間を乗算したものとして計算されてよい)。FD-IMTF310はまた、(たとえば、STA104の2つ以上のグループが別々にトリガされる場合)トリガシーケンスの終了を示すことができる。概して、STA104は、(応答期間が各STA104によって計算されるか、またはAP102によって明示的に示されるかにかかわらず)応答期間の終了前に、測定された潜在的な干渉をAP102に報告しない場合がある。STA104は、応答期間の終了後、潜在的な干渉をAP102に報告することができる。報告のための計算されるか、または明示的に示された時間は、STA104がAP102に報告し始めることができる時間であると考えられるが、STA104は、場合によっては、(たとえば、クリアチャネルアセスメント(CCA)の失敗に起因して)正確にその時間に報告しない場合があることを理解されたい。
【0055】
STA104がFD-IMTF310を受信した後、STA104は、FD-IMTF310に含まれる情報を使用して、指定されたタイムスロットにおいてFD-IRF320をAP102に送信することによって応答し、他のSTA104がそれぞれのタイムスロットにおいて応答するとき、他のSTA104からの潜在的な干渉を測定する。たとえば、シーケンス内で示された第1のSTA104は、トリガするFD-IMTF310の終わりからSIFSの後にFD-IRF320の送信を開始するべきであると判断し、シーケンス内で示されたn番目のSTA104は、トリガするFD-IMTF310の終わりから、(FD-IRF320の送信の間にSIFSの分離がある場合)(n個のSIFSプラス(n-1)個のIRF持続時間)の持続時間後にFD-IRF310の送信を開始するべきであると判断する。STA104は、示されたシーケンスを使用して、所与のタイムスロットにおいて測定された潜在的な干渉の発生源を特定することもできる。図5に示された例では、FD-IMTF310に応答して、STA104は、各々それぞれのFD-IRF320を順次送信する。FD-IRF320の送信は、時間ギャップによって分離されてよい(たとえば、SIFSによって分離されてよい)。FD-IRF320の送信中、応答しないSTAは、上述されたように、潜在的な干渉測定値330を取得し、潜在的な干渉測定値を記録する。
【0056】
図6は、潜在的な干渉情報を取得するための動作の別の例示的なセットを示す。図6に示された例示的な動作は、(たとえば、周波数領域および/または空間領域における)MU UL多重化が使用される場合に適してよい。MU UL多重化を使用すると、2つ以上のSTA104が、FD-IMTF310に応答して、それぞれのFD-IRF320をAP102に並行して送信することが可能になる。たとえば、AP102は、STA104のグループを対象とするマルチキャストFD-IMTF310を送信することができ、STA104の対象とするグループは、異なるリソースを使用して同時に(たとえば、SIFSの直後に)応答することができる。
【0057】
FD-IMTF310は、対象とするSTA104を示す情報、FD-IRF320に使用されるべき送信パラメータを示す情報、および/または、応答しないSTA104によって干渉が測定および報告される方法を示す情報などの、図3図5に関して上述された情報と同様の情報を含んでよい。MU UL多重化の場合、FD-IMTF310は、対象とする応答するSTA104のグループ内の各STA104の識別子を含んでもよく、対象とする応答するSTA104をグループとして識別するグループ識別子を含んでもよい。FD-IMTF310はまた、各応答するSTA104によって使用されるべきリソース(たとえば、周波数リソースまたは空間リソース)を示す情報を含んでよく、その結果、応答するSTA104は、FD-IRF320のMU UL送信において互いに衝突しない。FD-IMTF310はまた、応答するSTA104によって個別にまたは一括して使用されるべき他の送信パラメータ(たとえば、送信電力レベル、プリコーディング、および/または送信持続期間)を示すことができる。
【0058】
FD-IMTF310がFD-IRF320の送信に使用されるべき特定のリソースを示す場合、応答しないSTA104によって取得される測定された潜在的な干渉は、リソース固有の潜在的な干渉測定値である。MU UL送信の文脈で記載されているが、いくつかの例では、図6に関して記載されたFD-IMTF310フォーマットは、MU UL多重化が使用されない場合でも、リソース固有の干渉測定値を取得するために使用されてよい。たとえば、FD-IMTF310は、ただ1つの応答するSTA104を示してもよく、順次応答する2つ以上のSTA104を示してもよく、各応答するSTA104によって使用されるべき特定のリソースも示してよい。
【0059】
いくつかの例では、FD-IMTF310は、チャネルの同じ時間周波数リソース上であるが、異なる空間リソースを使用して(たとえば、それらの通常のUL MUプリコーディングを使用して)、それぞれのFD-IRF320を送信するように対象とするSTA104のグループに示すことができる。他のすべての応答しないSTA104は、潜在的な干渉測定値を取得することができる。別の例では、FD-IMTF310は、フルチャネル帯域幅のサブセットである同じ時間周波数リソース上であるが、異なる空間リソースを使用して、それぞれのFD-IRF320を送信するように対象とするSTA104のグループに示すことができる。これは、IEEE802.11axにおけるように直交周波数分割多元接続(OFDMA)を使用し、たとえば、周波数リソースの割当てが半永続的である場合であってよい。同じ周波数リソースを割り当てられている他の応答しないSTA104は、潜在的な干渉測定値を取得することができる。別の例では、FD-IMTF-310は、同時にであるが、異なるそれぞれの直交周波数リソースを使用して、それぞれのFD-IRF320を送信するように、対象とするSTA104の2つのグループに示すことができる。他のすべての応答しないSTA104は、潜在的な干渉測定値を取得することができる。
【0060】
図7は、図6に示された動作の例示的な実施を示すタイミング図である。この例では、AP102は、すべての関連するSTA104にマルチキャストFD-IMTF310を送信する。FD-IMTF310は、STA3 104-3およびSTA5 104-5が対象とする応答するSTA104であることを示し、応答するためにSTA3 104-3およびSTA5 104-5の各々によって使用されるべきそれぞれのリソースも示す。STA3 104-3およびSTA5 104-5がFD-IMTF310を受信した後、STA3 104-3およびSTA5 104-5は、各々それぞれの示されたリソースを介してそれぞれのFD-IRF320を並行して送信するようにトリガされる。応答しないSTA104は、各々この時間中に潜在的な干渉測定値330を取得する。図7に示されたように、AP102は、その後、他の関連するSTA104からの潜在的な干渉を測定するために、図4に示されたものと同様に、個々のSTA104(たとえば、STA6 104-6)にFD-IMTF310を送信することができる。AP102はまた、STA104のグループにFD-IMTF310を送信して、図5に示されたものと同様に、FD-IRF320のシーケンスをトリガすることができる。
【0061】
いくつかの例では、AP102は、上述された動作のいずれかを組み合わせて使用することができる。たとえば、AP102は、最初に、(たとえば、図4に示されたように)FD-IRF320を送信するための適切なパラメータを各STA104に提供するために、各STA104向けのFD-IMTF310を個別に送信することができる。その後、AP102は、STA104のグループ向けのFD-IMTF310を送信して、(たとえば、図5に示されたように)順次、または(たとえば、図7に示されたように)MU UL多重化を使用して応答することができる。
【0062】
AP102によるFD-IMTF310の送信は、たとえば、周期的、半周期的、イベントベース、断続的、またはそれらの組合せであってよい(たとえば、FD-IMTF310は、定期的に送信され、また検出されたデバイスに応答して送信されてよい)。AP102にFD-IMTF310を送信させることができるイベントには、たとえば、基本サービスセット(BSS)トポロジー内の変化(たとえば、新しいSTA104の参加もしくはSTA104の離脱、または距離、高度、シャドーイング、もしくは接続性の変化などのワイヤレスネットワーク内の他のより長期的な変化)、STAアソシエーション、STAモビリティ、あるいはユーザアクティビティ(たとえば、トラフィックセッションがアクティブまたは非アクティブであること)が含まれる。
【0063】
いくつかの例では、FD-IMTF310の送信に先行するCCA手順は、AP102によって割り当てられた媒体アクセスカテゴリに依存する場合がある。たとえば、AP102は、FD-IMTF310を高優先度カテゴリ(たとえば、ビーコンフレームと同様の「優先アクセス」カテゴリ)に割り当てることができる。したがって、AP102は、媒体がアイドルであると判断すると、FD-IMTF310を送信する前のポイント調整機能(PCF)フレーム間スペース(PIFS)の持続時間の間、短いCCAを実行することができる。いくつかの例では、AP102は、管理フレームまたは周期的な性質の他のデータトラフィック(たとえば、音声データ)と同じアクセスカテゴリにFD-IMTF310を割り当てることができる。そのような場合、AP102は、媒体がアイドルであると判断すると、FD-IMTF310を送信する前のランダムに生成されたバックオフウィンドウが後に続く対応する仲裁フレーム間スペース(AIFS)の持続時間の間、CCAを実行することができる。いくつかの例では、FD-IMTF310、対応するFD-IRF320、および場合によっては対応するFD-IMRFの送信は、(たとえば、IEEE802.11eにおける)PCFまたはハイブリッド調整機能(HCF)のTXOPの持続時間内に含まれる場合がある。そのような場合、潜在的な干渉測定手順、および場合によっては報告手順のタイムスパンも、隣接するサービスセット内のWi-Fiノードのネットワーク割当てベクトル(NAV)を手順の終了時点に設定することにより、AP102によって確保されてよい。
【0064】
AP102からのFD-IMTF310のタイプ、または(たとえば、図4図5図7、またはそれらの組合せに示されたように)応答するFD-IRF320がどのようにトリガされるかにかかわらず、トリガシーケンスの終わりに、AP102に関連付けられた各STA104は、FD-IMRFなどの報告フレームを使用して、潜在的な干渉測定値をAP102に別々に報告する。FD-IMTF310は、各STA104によるFD-IMRFの報告を可能にする情報を含んでよい。たとえば、FD-IMTF310は、トリガシーケンスの終了時間を示すことができる。FD-IMRFは、トリガシーケンスの示された終了に続いて、各STA104によって自動的に送信されてよい。FD-IMRFはまた、AP102からの要求に応答するなどの、イベントの検出に応答して送信されてよい。
【0065】
いくつかの例では、FD-IMRFの送信に先行するCCA手順は、AP102によって割り当てられた媒体アクセスカテゴリに依存する場合がある。たとえば、AP102は、FD-IMRFを高優先度カテゴリ(たとえば、ビーコンフレームと同様の「優先アクセス」カテゴリ)に割り当てることができる。したがって、STA104は、媒体がアイドルであると判断すると、FD-IMRFを送信する前のPIFS持続時間の間、短いCCAを実行することができる。いくつかの例では、AP102は、管理フレームまたは周期的な性質の他のデータトラフィック(たとえば、音声データ)と同じアクセスカテゴリにFD-IMRFを割り当てることができる。そのような場合、STA104は、媒体がアイドルであると判断すると、FD-IMRFを送信する前のランダムに生成されたバックオフウィンドウが後に続く対応するAIFSの持続時間の間、CCAを実行することができる。
【0066】
FD-IMTF310はまた、潜在的な干渉測定値がどのようにAP102に報告されるべきかを指定する情報を含んでよい。たとえば、FD-IMTF310は、許容可能な干渉しきい値および/または許容可能な干渉源の最大数を示すことができる。許容可能な干渉しきい値は、それ以下ではUL FD干渉がDL受信に著しく干渉しないと予想され得る、受信干渉電力レベルを示す。許容可能な干渉源は、許容可能な干渉の発生源であるSTA104である。許容可能な干渉または許容可能な干渉源は、容認可能な干渉または容認可能な干渉源と呼ばれ場合もある。STA104は、許容可能な干渉しきい値以下である潜在的な干渉測定値のみを報告することができ、かつ/または最大数までの許容可能な干渉源のみを報告することができる。STA104がいかなる潜在的な干渉測定値も取得していない(たとえば、STA104が他のSTAによるFD-IRF320の送信によって引き起こされたいかなる潜在的な干渉にも遭遇していない)場合、STA104は、他のすべてのSTA104が同等に許容可能な干渉源であると報告することができる。STA104がすべて許容できない潜在的な干渉測定値を取得する(たとえば、すべての干渉測定値の電力レベルが許容できる干渉しきい値を超える)場合、STA104は、他のすべてのSTA104が許容できない干渉源であると報告することができるか、ヌル報告を提供することができるか、またはSTA104は、AP102に報告を提供しなくてよい。
【0067】
図8は、FD-IMRFに含まれ得る潜在的な干渉情報を示す例示的な表を示す。例示的な表は、STA1 104-1によって報告された潜在的な干渉測定値を示す。表のエントリは、最も低い潜在的な干渉測定値(すなわち、最も低い測定された電力)から、最も高い潜在的な干渉測定値(すなわち、最も高い測定された電力)への順になっている。列「合計FD干渉」は、最も低い潜在的な干渉測定値から始まり、後に続く各行に次に低い潜在的な干渉測定値を追加する、累積の潜在的な干渉測定値を含む。列「FD干渉源ID」は、各行に追加された潜在的な干渉の発生源の識別子を含む。たとえば、図8では、I5は最も低い潜在的な干渉測定値であり、STA5 104-5が発生源であり、I6は2番目に低い潜在的な干渉測定値であり、STA6 104-6が発生源である。
【0068】
潜在的な干渉測定値を報告するために、様々なフォーマットが使用されてよい。たとえば、報告は、許容可能な干渉しきい値までの累積の潜在的な干渉測定値を含んでよい。すなわち、I5+I6が許容可能な干渉しきい値を下回り、I5+I6+I2が許容可能な干渉しきい値を上回る場合、FD-IMRFはI5+I6までのエントリのみを報告することができる。報告は、(たとえば、列「合計FD干渉」を省略して)干渉源の識別子のみを含んでよい。潜在的な干渉測定値は、累積ではなく個別に報告されてよい。他のそのような変形形態が可能であってよく、報告のフォーマットは(たとえば、FD-IMTF310内でAP102によって指定されるように)構成可能であってよい。
【0069】
各STA104によって報告された潜在的な干渉測定値は、FD-IRF320の最新のラウンドから取得された測定値(たとえば、最新の潜在的な干渉測定値は以前の測定値を上書きする)であってもよく、最新および1つまたは複数の以前の測定値の移動平均(たとえば、時間の移動ウィンドウまたは測定インスタンスの移動ウィンドウにわたって平均化された測定値)であってもよい。測定された潜在的な干渉電力が報告される場合、量子化が適用されてよい。
【0070】
AP102は、各STA104からFD-IMRFを受信し、FD-IMRFを復号し、報告から潜在的な干渉情報を取得する。AP102は、FD-IMRFに含まれる潜在的な干渉情報を使用して、所与のDL受信STA104について、(もしあれば)どの他のSTA104が同時UL送信に対する許容可能な干渉源であるかを判断する。潜在的な干渉情報は、たとえば、図9に示されるように、参照テーブルの形でAP102に格納されてよい。列「DL Rx STA」は、DL受信STA104を示す。列「許容可能なFD干渉源」は、左端の列に示されたDL受信STA104ごとの同時FD UL送信のために選択することができる任意のSTA104を示す。「許容可能なFD干渉源」の下に示されたSTA104は、DL受信STA104によって取得された潜在的な干渉測定値に基づいて決定されるような、許容可能な干渉しきい値以下でFD干渉を潜在的に引き起こす(もしあれば)STA104である。したがって、格納された潜在的な干渉情報は、(もしあれば)どのSTAが、所与のDL受信STA104による進行中のDL送信中の同時FD UL送信のためにAP102によって選択され得る容認可能なUL送信STA104であるかを示すことができ、格納された潜在的な干渉情報は、(もしあれば)どのSTAが、所与のUL送信STA104による進行中のUL送信中の同時FD DL送信のためにAP102によって選択され得る容認可能なDL受信STA104であるかも示すことができる。
【0071】
図9に示された例では、STA1 104-1がDL受信STAであるとき、STA5 104-5およびSTA6 104-6は両方とも許容可能な干渉源であり、STA5 104-5および/またはSTA6 104-6からの同時FD UL送信が、STA1 104-1における許容できない干渉を引き起こさないであろうことを意味する。同様に、STA2 104-2がDL受信STAであるとき、STA3 104-3は許容可能な干渉源である。STA6 104-6がDL受信STAであるとき、示された許容可能な干渉源はヌルであり、許容可能な干渉源が存在せず、STA6 104-6において許容できない干渉を引き起こさない同時FD UL送信が可能でないことを意味する。所与のDL受信STA104に対して示された2つ以上の許容可能な干渉源が存在するとき、許容可能な干渉源は、最も低い潜在的な干渉測定値から最も高い潜在的な干渉測定値への順序で格納されてよく、その結果、AP102は、UL送信に対して最も低い潜在的な干渉測定値を引き起こす干渉源、または最大待ち時間/ジッタもしくは最小レート要件などのサービス品質要件の観点から、それに対して送信が優先される干渉源を優先的に選択することができる。
【0072】
所与のDL受信STA104に対して開始またはスケジュールされたDL送信の場合、AP102は、潜在的な干渉情報を使用して、同時FD UL送信のための1つまたは複数のSTA104を選択することができ、その結果、選択されたSTA104は、DL受信STA104において許容可能な干渉を引き起こすことが予想される。
【0073】
図9の例示的な表は、所与のDL受信STAに対する許容可能な干渉源を列挙しているが、この参照テーブルに含まれる情報は、開始またはスケジュールされたUL送信との同時DL送信のためのDL受信STA104を選択するために、AP102によって使用されてもよい。たとえば、UL送信がSTA5 104-5からスケジュールまたは開始された場合、AP102は、逆参照を使用して、同時FD DL送信のための可能なDL受信STA104としてSTA1 104-1を識別することができる。いくつかの例では、逆参照を使用する代わりに、AP102は、所与のUL送信STAのための可能なDL受信STAを示す別の参照テーブルを格納することができる。いくつかの例では、AP102は、所与のUL送信STAのための可能なDL受信STAを示す参照テーブルのみを格納する。AP102はまた、任意の適切な非テーブルフォーマットで潜在的な干渉情報を格納することができる。
【0074】
いくつかの例では、潜在的な干渉情報は、識別された許容可能な干渉源ごとに測定された潜在的な干渉電力を示すこともできる。そのような情報は、UL/DL送信電力レベルを制御するためにAPによって使用されてよい。たとえば、潜在的な干渉情報に基づいて、AP102は、同時FD DL送信による干渉を軽減するために、許可されたFD UL送信電力レベルを示すことができる。AP102は、同時FD UL送信によって引き起こされる予想される干渉を軽減するように、それ自体のFD DL送信電力レベルを制御することもできる。
【0075】
図10は、AP102によって実行され得る例示的な方法1000を示すフローチャートである。方法1000は、たとえば、図3図7に関して上述された動作に従って、1つまたは複数の関連するSTA104から潜在的な干渉情報を収集するために、AP102によって実行されてよい。
【0076】
1005において、AP102がトリガフレーム(たとえば、FD-IMTF310)を送信する。トリガフレームは、関連するすべてのSTA104にマルチキャストされてよい。トリガフレームは、少なくとも第1の対象とするSTA104に、APへのUL基準フレーム(たとえば、FD-IRF320)の送信を開始させる。トリガフレームはまた、少なくとも1つの他の第2のSTA104に、第1のSTA104によるUL送信中の潜在的な干渉測定値を取得させる。前述されたように、トリガフレームは、対象とするSTA104を識別する情報、応答送信のための送信パラメータ、および/または潜在的な干渉測定値を報告するために使用されるべき報告パラメータを含んでよい。
【0077】
いくつかの例では、AP102は、FD-IRF320が第1の対象とするSTA104から受信されているかどうかを判定することができる。FD-IRF320が第1の対象とするSTA104から受信されていない場合、AP102は、たとえば前述されたように、別のSTAへのトリガフレームの送信の前または後にトリガフレームを再送信することができる。前述されたように、AP102はさらに、FD TXOPから任意の永続的な無応答STA104を除外することができる。
【0078】
1010において、AP102が少なくとも第2のSTA104から報告フレーム(たとえば、FD-IMRF)を受信する。たとえば、AP102は、関連する各STA104からそれぞれの報告フレームを受信することができる。報告フレームは、第1のSTA104からのUL基準フレームの送信によって引き起こされた第2のSTA104が遭遇する任意の潜在的な干渉を示す、第2のSTA104によって取得された潜在的な干渉測定値に関する情報を含む。報告フレームは、図8を参照して上述されたフォーマットなどの、任意の適切なフォーマットに従って報告された情報を含んでよい。
【0079】
オプションとして、1015において、AP102が報告フレームから収集された情報から特定された潜在的な干渉情報を格納することができる。潜在的な干渉情報は、図9を参照して上述されたフォーマットなどの、任意の適切なフォーマットに従って格納されてよい。
【0080】
1020において、報告フレームから収集された情報を使用して、AP102が、別のDL受信STAへのDL送信(たとえば、スケジュールされたDL送信またはすでに開始されたDL送信)中のFD UL送信のためのUL送信STAを選択するか、または、AP102が、別のUL送信STAによるUL送信(たとえば、スケジュールされたUL送信またはすでに開始されたUL送信)中のFD DL送信のためにDL受信STAを選択する。
【0081】
図11は、AP102に関連付けられたSTA104によって実行され得る例示的な方法1100を示すフローチャートである。方法1100は、たとえば、図3図7に関して上述された動作に従って潜在的な干渉測定値を取得するために、STA104によって実行されてよい。
【0082】
1105において、STA104がAP102からトリガフレーム(たとえば、FD-IMTF310)を受信する。トリガフレームは、STA104に、別のSTA104によるUL応答送信(たとえば、FD-IRF320の送信)中に潜在的な干渉測定値を取得させる。前述されたように、トリガフレームは、対象とするSTA104を識別する情報、応答送信のための送信パラメータ、および/または潜在的な干渉測定値を報告するために使用されるべき報告パラメータを含んでよい。
【0083】
オプションとして、トリガフレームがSTA104からの応答送信を引き起こすことを目的としている場合、1110において、STA104が(たとえば、トリガフレーム内で示された任意のパラメータに従って)AP102にUL応答送信を送信することができる。
【0084】
1115において、STA104が別のSTA104によるUL応答送信によって引き起こされた任意の潜在的な干渉を測定することによって潜在的な干渉測定値を取得する。
【0085】
1120において、STA104が潜在的な干渉測定値に関する情報を含む報告フレーム(たとえば、FD-IMRF)をAP102に送信する。報告フレームの送信は、トリガフレームで示される任意のパラメータに従ってよい。STA104は、トリガフレームによって示された(たとえば、シーケンス終了フラグにより、またはトリガフレーム内で示された応答シーケンスに従って応答期間の終わりを計算することによって示された)時間に報告フレームを送信するように試みることができる。
【0086】
図11は、STA104によって潜在的な干渉測定値を取得するための方法を例示するものとして上述されている。しかしながら、図11は、対象とする応答するSTA104が応答送信(たとえば、FD-IRF320)を送信するための方法も示すことができることを理解されたい。応答するSTA104の場合、1110はオプションでないが、1115および1120はオプションである。
【0087】
上記の例は、AP102がFD通信を管理するために、AP102が潜在的な干渉測定値を収集するためのメカニズムを記載している。場合によっては、上記の例は、FD機能(およびLTE-A中継器におけるようないくつかの基地局機能を有するSTAの場合などの必要に応じた他のAP機能)を有するSTAのために同様に実装されてよく、たとえば、FD対応STAは、他の2つのSTAとのSTAからSTAへのFD通信に従事し、上述されたメカニズムを使用してFD通信を管理することができる。たとえば、Wi-Fi Direct通信におけるグループオーナー(GO)STAは、APが不在のときピアツーピア通信を容易にすることができ、したがって、GO STAは、上述されたようにAPのいくつかの機能を実装することができる。
【0088】
本開示は、特定の順序のステップを有する方法およびプロセスを記載しているが、方法およびプロセスの1つまたは複数のステップは、必要に応じて省略または変更されてよい。1つまたは複数のステップは、必要に応じて、それらが記載された順序以外の順序で実行されてよい。
【0089】
本開示は、少なくとも部分的に方法に関して記載されているが、当業者は、本開示がまた、ハードウェア構成要素、ソフトウェア、またはその2つの任意の組合せによる、記載された方法の態様および特徴の少なくともいくつかを実行するための様々な構成要素を対象としていることを理解されよう。したがって、本開示の技術的解決策はソフトウェア製品の形態で具現化されてよい。適切なソフトウェア製品は、事前に記録されたストレージデバイス、または、たとえば、DVD、CD-ROM、USBフラッシュディスク、リムーバブルハードディスク、もしくは他の記憶媒体を含む、他の同様の不揮発性もしくは非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されてよい。ソフトウェア製品は、処理デバイス(たとえば、パーソナルコンピュータ、サーバ、またはネットワークデバイス)が本明細書に開示された方法の例を実行することを可能にする、その上に有形に記憶された命令を含む。
【0090】
本開示は、特許請求の範囲の主題から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてよい。記載された例示的な実施形態は、あらゆる点で単なる例示であり、限定的ではないと見なされるべきである。上述された実施形態のうちの1つまたは複数から選択された特徴は、明示的に記載されていない代替実施形態を作成するために組み合わされてよく、そのような組合せに適した特徴は本開示の範囲内であると理解される。
【0091】
開示された範囲内のすべての値およびサブ範囲も開示される。また、本明細書に開示され図示されたシステム、デバイス、およびプロセスは、特定の数の要素/構成要素を備えてよいが、システム、デバイス、およびアセンブリは、そのような要素/構成要素の追加または減少を含むように修正され得る。たとえば、開示された要素/構成要素のいずれかは単数形として参照される場合があるが、本明細書に開示された実施形態は、複数のそのような要素/構成要素を含むように修正され得る。本明細書に記載された主題は、技術におけるすべての適切な変更を網羅し包含するものである。
【符号の説明】
【0092】
100 システム
110 ダウンリンク(DL)送信
120 アップリンク(UL)送信
130 干渉
200 処理システム
202 処理デバイス
204 入力/出力(I/O)インターフェース
206 ネットワークインターフェース
208 ストレージユニット
210 メモリ
212 バス
214 入力デバイス
216 出力デバイス
218 アンテナアレイ
310 FD干渉測定トリガフレーム(FD-IMTF)
320 FD干渉基準フレーム(FD-IRF)
330 潜在的な干渉測定値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11