(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】画像誘導集束超音波処置デバイスおよび照準装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/00 20060101AFI20241217BHJP
A61B 90/00 20160101ALI20241217BHJP
【FI】
A61B17/00 700
A61B90/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023026660
(22)【出願日】2023-02-22
(62)【分割の表示】P 2021178654の分割
【原出願日】2016-08-10
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2015-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517069125
【氏名又は名称】ファス モバイル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】FUS MOBILE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ハナネル アリ
(72)【発明者】
【氏名】アギンスキー ロン
(72)【発明者】
【氏名】メダン ヨアフ
(72)【発明者】
【氏名】サロモン オデッド
(72)【発明者】
【氏名】ケイルマン ジョージ
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-237131(JP,A)
【文献】特表2007-525296(JP,A)
【文献】特表2009-533086(JP,A)
【文献】特開平06-233776(JP,A)
【文献】特表2007-507275(JP,A)
【文献】特開2005-304909(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0156894(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00
A61B 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線誘導集束超音波(FUS;focused ultrasound)処置装置であって、
中心軸を有し、FUS治療エネルギービームを処置位置に伝達するように構成された、FUSトランスデューサと、
前記FUSトランスデューサの前記中心軸と一致する軸に沿って配置された2つ以上
のX線照準マーカを備える照準装置と、
を備
え、
前記2つ以上のX線照準マーカは、異なるサイズを有し、
前記2つ以上のX線照準マーカの前記サイズの違いにより、前記装置のエラー限度内でのアライメントが指示される、装置。
【請求項2】
前記2つ以上
のX線照準マーカは、異なる形状を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記2つ以上
のX線照準マーカは、異なる形状およびサイズを有する、請求
項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記照準装置は、前記FUSトランスデューサのソケット内に配置されるように構成される、請求項1
~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記2つ以上
のX線照準マーカは、リングである、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
X線誘導集束超音波(FUS;focused ultrasound)処置装置であって、
中心軸を有し、FUS治療エネルギービームを処置位置に伝達するように構成された、FUSトランスデューサと、
前記FUSトランスデューサの前記中心軸と一致する軸に沿って配置された2つ以上のX線照準マーカを備える照準装置と、
クレードルであって、前記FUSトランスデューサが前記クレードル内に配置されるように構成される、前記クレードルと、
を備え、
前記照準装置は、
前記クレードル内に配置されるように構成されるモックアップと、
光学マーカを保持するように構成され、前記FUSトランスデューサの前記中心軸に沿ってアライニングされる光学マーカホルダと、を備える、装置。
【請求項7】
前記光学マーカはレーザである、請求
項6に記載の装置。
【請求項8】
前記モックアップは、光透過性材料から作られる、請求
項6また
は7に記載の装置。
【請求項9】
前記モックアップは、放射線透過性材料から作られる、請求
項6~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
X線誘導集束超音波(FUS;focused ultrasound)処置装置であって、
中心軸を有し、FUS治療エネルギービームを処置位置に伝達するように構成された、FUSトランスデューサと、
前記FUSトランスデューサの前記中心軸と一致する軸に沿って配置された2つ以上のX線照準マーカを備える照準装置と、
X線インテンシファイアの中心に配置されるように構成される放射線不透過性マーカと、
前記処置位置の上方の患者の皮膚に配置されるように構成されるマーカと、
を備える、装置。
【請求項11】
前記皮膚に配置されるように構成される前記マーカは、可視マーカである、請求
項10に記載の装置。
【請求項12】
前記皮膚に配置されるように構成される前記マーカは、放射線不透過性マーカである、請求
項10また
は11に記載の装置。
【請求項13】
X線インテンシファイアに配置されるように構成される前記放射線不透過性マーカと、前記皮膚に配置されるように構成される前記マーカとは、臨床画像および放射線画像のうちの少なくとも1つにおいて識別されるように構成される、請求
項10~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記クレードルおよび前記FUSトランスデューサの一方に配置されるように構成される深さカメラを備える、請求
項6に記載の装置。
【請求項15】
前記クレードルおよび前記FUSトランスデューサの一方に配置される、少なくとも2つの距離センサとカメラとを備える、請求
項6に記載の装置。
【請求項16】
前記クレードルおよび前記FUSトランスデューサの一方に配置される、少なくとも2つの角度センサとカメラとを備える、請求
項6に記載の装置。
【請求項17】
前記照準装置は、前記クレードル内に配置されるように構成される、請求
項6に記載の装置。
【請求項18】
X線誘導集束超音波(FUS;focused ultrasound)処置装置であって、
中心軸を有し、FUS治療エネルギービームを処置位置に伝達するように構成された、FUSトランスデューサと、
前記FUSトランスデューサの前記中心軸と一致する軸に沿って配置された2つ以上のX線照準マーカを備える照準装置と、
を備え、
前記照準装置は、光学マーカを保持するように構成され、X線インテンシファイアに配置されるように構成される光学マーカホルダを備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集束超音波(FUS;focused ultrasound)の分野に関し、特に、X線誘導FUSデバイスの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、先行技術の高周波(RF;radiofrequency)神経アブレーション手技の高レベル概略図である。RFアブレーション手技は、痛みのある炎症を起こした関節70に分布する内側枝神経の熱破壊を含む。RFアブレーション手技は、クリニックまたは病院でX線誘導を用いて行われ、処置医がX線誘導を用いて針92の先端を標的脊椎の椎間関節73の横関節突起71と上関節突起72との接合部に誘導し、針を内側枝神経91の経路に沿って置く。針92はその先端でRFエネルギーにより熱を生成し、組織をその先端のまわりで内側枝神経も含めて小円筒状に熱凝固させる。先行技術のアブレーション手技は、患者に感染および出血のリスクがある、侵襲性で不快であり痛みを伴う手技である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
以下は、本発明の最初の理解を提供する簡単な概要である。概要は、主要要素を必ずしも特定するものでも本発明の範囲を制限するものでもなく、以下の説明の序論として役立つにすぎない。
【0004】
画像誘導集束超音波処置のためのX線誘導装置は、ベースで手技プラットフォームに取り付けられた関節アームと、アームの遠位端に固定されたクレードルと、クレードル内に固定された照準装置と、クレードル内に固定された中心軸を有し、超音波治療エネルギービームを患者内の処置位置に伝達するように構成された、集束超音波(FUS;focused ultrasound)トランスデューサであって、トランスデューサによる集束超音波の印加を制御するためのコントローラに接続された、FUSトランスデューサと、X線画像化システムから画像化データを導出するように構成された画像化ユニットに接続された画像化ワークステーションと、を含む。
【0005】
本装置は、焦点スポットを処置位置に誘導するために、FUSトランスデューサの位置および向きの照準を補助するためのX線システム等の画像化デバイスに依存する。
【0006】
本発明のこれらの態様および/もしくは効果、追加の態様および/もしくは効果、ならびに/またはその他の態様および/もしくは効果は、以下の詳細な説明に記載されており、場合によっては詳細な説明から推測可能であり、および/または本発明の実施によって知ることができる。
【0007】
本発明の実施形態のより良い理解のため、および本発明の実施形態をいかに実行しうるかを示すために、ここで単なる例として添付の図面が参照されるが、図面においては類似の数字は全体を通して対応する要素またはセクションを示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】先行技術のRFアブレーション手技の高レベル概略図である。
【
図2】本発明の一部の実施形態による、X線誘導集束音波処置装置およびその部品の高レベル概略図である。
【
図3A】本発明の一部の実施形態による、X線誘導装置において使用されるクレードルの高レベル概略図である。
【
図3B】本発明の一部の実施形態による、X線誘導装置において使用されるクレードルの側面X線画像である。
【
図4A】本発明の一部の実施形態による、X線誘導装置において使用される照準装置(光学マーカとX線マーカとを備えたモックアップ)の高レベル概略図およびイメージである。
【
図4B】本発明の一部の実施形態による、X線誘導装置において使用される照準装置(光学マーカとX線マーカとを備えたモックアップ)の高レベル概略図およびイメージである。
【
図5A】本発明の一部の実施形態による一方法を示した高レベルフローチャートである。
【
図5B】本発明の一部の実施形態による一方法を示した高レベルフローチャートである。
【
図6A】X線誘導装置において使用される本発明の一部の実施形態による、処置応用の例を示した図である。
【
図6B】X線誘導装置において使用される本発明の一部の実施形態による、処置応用の例を示した図である。
【
図6C】X線誘導装置において使用される本発明の一部の実施形態による、処置応用の例を示した図である。
【
図7A】照準装置の照準マーカの高レベル概略図である。
【
図7B】照準装置の照準マーカの高レベル概略図である。
【
図8A】本発明の一部の実施形態によるX線誘導デバイスにおいて使用される異なる設計の光学マーカの高レベル概略図およびイメージである。
【
図8B】本発明の一部の実施形態によるX線誘導デバイスにおいて使用される異なる設計の光学マーカの高レベル概略図およびイメージである。
【
図9A】本発明の一部の実施形態によるX線誘導装置において使用される、異なる設計の改造型X線照準器の高レベル概略図である。
【
図9B】本発明の一部の実施形態によるX線誘導装置において使用される、異なる設計の改造型X線照準器の高レベル概略図である。
【
図10】アライメントが適切な改造型X線照準器のX線画像である。
【
図11A】本発明の一部の実施形態による、別の方法を示した高レベルフローチャートである。
【
図11B】本発明の一部の実施形態による、別の方法を示した高レベルフローチャートである。
【
図12A】本発明の一部の実施形態によるX線誘導デバイスにおいて使用される異なるタイプのX線照準器と照準装置とを含むFUSトランスデューサのX線画像である。
【
図12B】本発明の一部の実施形態によるX線誘導デバイスにおいて使用される異なるタイプのX線照準器と照準装置とを含むFUSトランスデューサのX線画像である。
【
図12C】本発明の一部の実施形態によるX線誘導デバイスにおいて使用される異なるタイプのX線照準器と照準装置とを含むFUSトランスデューサのX線画像である。
【
図12D】本発明の一部の実施形態によるX線誘導デバイスにおいて使用される異なるタイプのX線照準器と照準装置とを含むFUSトランスデューサのX線画像である。
【
図12E】本発明の一部の実施形態によるX線誘導デバイスにおいて使用される異なるタイプのX線照準器と照準装置とを含むFUSトランスデューサのX線画像である。
【
図12F】本発明の一部の実施形態によるX線誘導デバイスにおいて使用される異なるタイプのX線照準器と照準装置とを含むFUSトランスデューサのX線画像である。
【
図12G】本発明の一部の実施形態によるX線誘導デバイスにおいて使用される異なるタイプのX線照準器と照準装置とを含むFUSトランスデューサのX線画像である。
【
図12H】本発明の一部の実施形態によるX線誘導デバイスにおいて使用される異なるタイプのX線照準器と照準装置とを含むFUSトランスデューサのX線画像である。
【
図13A】本発明の一部の実施形態による、トランスデューサを適所に備えたAP画像に対するデバイス画像化ワークステーション画像処理のベースライン画像のスクリーンダンプである。
【
図13B】本発明の一部の実施形態による、トランスデューサを適所に備えたAP画像に対するデバイス画像化ワークステーション画像処理のベースライン画像のスクリーンダンプである。
【
図13C】本発明の一部の実施形態による、トランスデューサを適所に備えたAP画像に対するデバイス画像化ワークステーション画像処理の結果のスクリーンダンプである。
【
図14A】超音波誘導デバイスにおける画像化プローブと治療超音波プローブとのアライメントによる治療音響焦点ポイントの超音波画像の中心への配置を示した概略ダイヤグラムである。
【
図14B】超音波誘導デバイスにおける画像化プローブと治療超音波プローブとのアライメントによる治療音響焦点ポイントの超音波画像の中心への配置を示した概略ダイヤグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明では、本発明の様々な態様が記載される。説明の目的で、本発明の十分な理解を提供するために特定の構成および詳細が記載される。しかし、本発明は本明細書に提示された具体的詳細を伴わずに実施されうることも当業者には明らかであろう。さらに、周知の特徴は、本発明が不明瞭にならないように省略または簡略化されていることもある。特に図面に関しては、図示された細部は例であり、本発明の説明的議論を目的とするにすぎず、本発明の原理および概念的態様の最も有用で理解しやすい説明と考えられるものを提供するために提示されたものであることが強調される。この点で、発明の基本的理解のために必要である以上に詳細に本発明の構造的詳細を示すことは試みられず、図面と合わせた説明により、本発明の複数の形態が実際にどのように具体化されうるかが当業者に明らかになる。
【0010】
本発明の少なくとも1つの実施形態が詳細に説明される前に、本発明の応用が以下の説明に記載されるかまたは図面に示された部品の構造および配置の詳細に限定されないことが理解されよう。本発明は、開示された実施形態の組み合わせにも、様々な仕方で実践または実施されうる他の実施形態にも、応用可能である。また、本明細書において使用される専門語および用語は、説明を目的としたものであり、限定と考えられるものではないことが理解されよう。
【0011】
特段の定めがない限り、以下の説明から明らかなように、明細書の全体にわたり、「処理する」、「計算する」、「算出する」、「決定する」、「強化する」などの用語を用いた議論は、計算システムのレジスタおよび/またはメモリ内の電子量等の物理量として表されるデータを、計算システムのメモリ、レジスタまたは他のそのような情報格納、伝送または表示デバイス内の物理量として同様に表される他のデータに操作および/または変換するコンピュータもしくは計算システムまたは類似の電子計算デバイスの動作および/またはプロセスをさすものと理解される。
【0012】
画像誘導集束超音波(FUS)処置のためのX線誘導装置および方法が提供される。本装置は、ベースで手技プラットフォームに取り付けられた関節アームと、アームの遠位端に固定されたクレードルと、照準装置と、クレードル内に固定された中心軸を有し、超音波治療エネルギービームを標的患者内の処置位置に伝達するように構成された、FUSトランスデューサおよびX線照準器であって、FUSトランスデューサは、トランスデューサによる集束超音波の印加を制御するように構成されたコントローラに接続される、FUSトランスデューサおよびX線照準器と、X線画像化システムから画像化データを導出するように構成された画像化ユニットに接続された画像化ワークステーションと、を含む。本装置は、Cアーム、蛍光透視または任意の一般的なX線画像化システム等の適切な画像化デバイスを備えたクリニックまたは病院で使用されうる。本装置は術前画像化システムにより誘導されてもよく、その場合には異なる画像化システム(例えばCT、MRIまたは他の任意のシステム)により撮影された画像がFUS処置手技の間に生成された画像と融合され、位置合わせされ、重ね合わせられうる。本装置は、Cアーム、Oアーム、Gアーム、X線コンピュータ断層装置(CT;computed tomography)またはその他の任意のX線デバイスと組み合わせて用いられうる。本装置は、任意の超音波画像化システムに対応しうる。
【0013】
図2は、本発明の一部の実施形態による、画像誘導FUS処置のためのX線誘導装置100の高レベル概略図である。装置100は、ベースで手技プラットフォーム90に取り付けられた関節アーム111を含む。ある実施形態では、手技プラットフォーム90は、手術室テーブル、画像化テーブルおよび専用カートのうちの少なくとも1つを含むことができ、カートは、電子機器およびその他のデバイスのアクセサリを運ぶように設計され、カート車輪は、カートの移動を防ぐためにロックされるように設計される。装置100は、アーム111の遠位端に取り付けられたクレードル110をさらに含みうる。装置100は、トランスデューサ表面120を組織80の表面83に音響的に結合するように構成された結合アクセサリ125をさらに含みうる。
【0014】
装置100は、クレードル110内に固定されFUSエネルギービーム140を患者内の処置位置141に伝達するように構成された、中心軸112を有するFUSトランスデューサ120をさらに含みうる。装置100は、FUSエネルギー140の送達を終了するように構成されたトリガ119をさらに含みうる。装置100は、ユーザインタフェースにより制御されてもよい治療FUSトランスデューサ120によるFUSエネルギー送達を制御するように構成されたコントローラ160をさらに含みうる。装置100は、スクリーン165をさらに含みうる。スクリーン165は、選択されたパワーレベル、音波処理持続時間、有益なメンテナンスおよびサービスメッセージ等であるがこれらに限定されない技術情報を医師に提供する。スクリーン165は、基本的にワークステーション180が提供する臨床情報を含むことができ、逆にワークステーション180が技術情報を提供することもできる。装置100は、クレードル110内に固定されるように構成された照準装置130をさらに含みうる。ある実施形態では、クレードル110は、FUSトランスデューサ120と照準装置130とが同時に内部に固定されうるようにさらに構成されうる。ある実施形態では、X線誘導を可能にするためにX線照準器150がFUSトランスデューサ120に取り付けられうる。ある実施形態では、クレードル110は、前後(A‐P;anterior‐posterior)、上下(S‐I;superior‐inferior)、左右(L‐R;left‐right)等であるがこれらに限定されないいくつかの運動自由度を含みうる。ある実施形態では、クレードル110は、照準装置およびFUSトランスデューサの挿入、ロックおよび解除にスムーズに対応するように構成されうる。ある実施形態では、クレードル110、FUSトランスデューサ120、照準装置130およびX線照準器150は、単一のユニットとして構築される。
【0015】
装置100は、X線インテンシファイア85とX線源86とを含むX線画像化システムをさらに含むことができ、X線インテンシファイア85とX線源86とはX線画像化システムとして接続される。ある実施形態では、X線画像化システムは、処置位置141を含む組織80の領域91を画像化するように構成されうる。ある実施形態では、X線画像化は、FUS処置の前およびFUS処置の間に行われうる。ある実施形態では、装置100は、以下のX線のタイプ:Cアーム、Oアーム、Gアームおよび他の任意の一般的なX線のタイプのうちの少なくとも1つに対応するように構成されうる。
【0016】
装置100は、X線画像化システムのX線インテンシファイア85に接続されたワークステーション180をさらに含むことができ、ワークステーション180は、X線画像化システムから画像化データを導出するように構成される。ある実施形態では、コントローラ160とスクリーン165とはワークステーション180内に組み合わせられてもよい。
【0017】
ある実施形態では、関節アーム111は、手技プラットフォーム90に取り付けられた機械的アームまたはロボットアームでもよい。ある実施形態では、関節アーム111は、患者内の所望の処置位置141に対するFUSエネルギービーム140のアライメントを可能にするために、前後(A‐P)、上下(S‐I)、左右(L‐R)等であるがこれらに限定されないいくつかの自由度ならびにヨー、ピッチおよびロール等の傾斜を含みうる。ある実施形態では、関節アーム111は、クレードル110を所定の向きおよび位置にアライニングするために、手動でおよび/または電子的におよび/または自動で調節されうる。
【0018】
ある実施形態では、装置100は、関節アーム111の位置および向きを遠隔制御するように構成された手動のまたは制御された遠隔操縦モジュールをさらに含みうる。操縦モジュールは、非限定的な様式で関節アーム111に接続された少なくとも1つのロッドと、関節アーム111の運動を制御するように構成された制御ユニットとを含みうる。ロッドは、金属、プラスチック、木およびカーボンのうちの少なくとも1つで作られうる。関節アーム111の遠隔制御は、施術医のX線放射被曝を最小化することができる。ある実施形態では、操縦モジュールの制御ユニットは、コントローラ160および/またはワークステーション180内に実装されうる。
【0019】
ある実施形態では、結合アクセサリ125は、音響結合品質を強化するためにFUSトランスデューサ120の内側形状を模倣し、患者の皮膚83との結合を強化するために所望の柔軟性を提供するように設計される。ある実施形態では、結合アクセサリ125は、流体またはゲルで満たされたバルーンまたは膜でもよい。バルーンまたは膜は、手技の間にクレードル110に取り付けられた結合アクセサリ125を止着するゴムおよび/またはリングを使用してクレードル110に固定されうる。
【0020】
ある実施形態では、結合アクセサリ125はゲルパッドを含みうる。ゲルパッド125は、角度の操縦柔軟性を可能にするためにマージンを含めてFUSトランスデューサ120の内側形状を模倣するように設計されうる。マージンによって、施術医は、FUSトランスデューサとゲルパッド125との間の結合に悪影響を与えることなくクレードル110とFUSトランスデューサ120とを異なる角度位置で操縦する可能性が与えられる。ある実施形態では、ゲルパッド125は、FUSトランスデューサ120の挿入の間にクレードル110にゲルパッド125を固定するために、クレードル110のまわりに巻きつく形状に設計されうる。ゲルパッド125は、患者の皮膚83に取り付けられる側が凸形状に設計されてもよい。凸形状によって、施術医は、ゲルパッド125と患者の皮膚83との間の結合に影響を与えることなくクレードル110を異なる角度位置で操縦する可能性が与えられる。ある実施形態では、結合アクセサリ125は、光透過性、音響透過性、および放射線透過性のうちの少なくとも1つでありうる。ある実施形態では、結合アクセサリ125は、音響ビーム140の組織80内への所定の浸透角度にトランスデューサ120を配置するのを誘導するように設計されうる。
【0021】
ある実施形態では、FUSトランスデューサ120は、結合アクセサリ125の異なるサイズ、および/または電子ステアリングとしてのフェーズドアレイトランスデューサ素子のチューニングのうちの少なくとも1つを用いて、処置位置141の場所に応じてFUSエネルギー140を異なる深さに送達するように構成されうる。
【0022】
ある実施形態では、FUSトランスデューサ120は、隣接する骨構造を利用し、隣接する軟組織への損傷を防ぎながら、FUSビームエネルギー140を、集束した様式で焦点スポット位置としての処置位置141上に投射するようにさらに構成されうる。ある実施形態では、FUSトランスデューサ120は、単素子または素子のフェーズドアレイもしくは2つ以上の環状素子のうちの少なくとも1つを含みうる。ある実施形態では、FUSトランスデューサ120は、処置位置141の閉環境内の範囲141A内の深さに幾何学的に焦束された少なくとも2つの環状リング素子を含みうる(例えば
図3Bを参照)。FUSトランスデューサ120の環状素子の設置は、少なくとも2つの環状素子のそれぞれを異なる位相で振動するように操作することによってFUSビーム140の音響焦点を幾何学的焦点深さの近位または遠位におくことを可能にする。これにより、単一のFUSトランスデューサ120で開口部サイズが同じであるが幾何学的焦点距離が異なる一連のトランスデューサを模倣することができる。これにより施術医は、手技の間にFUSビーム140の音響焦点の深さを処置位置141の深さにマッチするように調節し、これにより処置の効力を高めることができる。ある実施形態では、トランスデューサの異なる環状素子は、細長い音響焦点を作るために、素子間の相対的位相の連続的変化が生じるわずかに異なる周波数(インコヒーレントモード)で駆動されてもよい。ある実施形態では、FUSトランスデューサ120の環状リング素子のうちの少なくとも1つは、FUSエネルギービーム140が高強度音響エネルギーに曝露されるべきでないビーム経路内の脊椎骨突起またはその他の音響吸収構造体に当たるのを避けるためにオフにされるように構成されうる。ある実施形態では、エネルギービーム140が骨構造体に対してある角度で脊椎上の処置位置141上に伝達されるように、FUSトランスデューサ120の中心軸112が患者の背部に対して傾けられ、これによりFUSエネルギー140が(例えば脊椎突起および椎弓板により)ブロックされうる状況が避けられてもよい。FUSエネルギー140のほとんどが骨により吸収され、反射されないように、骨表面に対する入射角が屈折角より小さくなることができるようにある角度が選択されうる。ある実施形態では、装置100および投射されるFUSエネルギー140は、骨によるエネルギーの吸収を最大化するために骨に対する音響エネルギーの入射角を最適化するように用いられうる。ビーム角度が骨に対して垂直のときに、骨による音響エネルギーの吸収が最大である。
【0023】
図3Aは、クレードル110の高レベル概略図である。ある実施形態では、クレードル110は、円錐の境界線の投影がFUSトランスデューサ120により生成されるFUSビーム140と一致するように、幾何学的円錐形状を有するように設計される。ある実施形態では、クレードル110の円錐形状は、円錐の側部を投影した頂点(例えば円錐の境界線の投影の交点)がFUSエネルギービーム140の焦点深さに対応するように設計される。したがって、
図3Bに示すように、FUSエネルギービーム140の処置位置141上への集束を誘導するためにX線画像上で視認可能なマーカとして円錐形状のクレードル110を用いることができる。
図3Bは、本発明の一部の実施形態による、クレードル110の側面X線画像の高レベル概略図である。ある実施形態では、ワークステーション180は、クレードル110の側面X線画像を受け取り、クレードル110の側面X線画像をスクリーン165に送り、公知技術の画像処理を用いて、少なくとも1つのコンピュータプロセッサによってクレードル110の円錐の境界線の投影を認識し、これらの投影をクレードル110の側面X線画像に表示するように構成されたソフトウェアモジュールをさら含みうる。好ましい実施形態では、円錐の境界線の投影の交点は円錐の側部を投影した頂点を表し、これはFUSエネルギービーム140の焦点深さに対応する。したがって、円錐の側部を投影した頂点を用いて、施術医がFUSエネルギービーム140を処置位置141に正確かつ安全にナビゲートするのを補助することができる。クレードル110の円錐形態は、側面視の広範な側面投影画像において不変である。したがって、頂点を含めた円錐形状が様々な視点から復元されうる。ある実施形態では、クレードル110は、放射線不透過性材料、放射線不透過性材料で被覆された放射線透過性材料、および半放射線不透過性材料のうちの少なくとも1つを含みうる。
【0024】
ある実施形態では、画像誘導侵襲手技、特にフレームレス定位手技は、FUSエネルギービーム140の標的位置141への位置合わせおよびナビゲーションを助けるために特別なマーカでタグ付けされたオブジェクトを追跡する立体光学イメージセンサを含む。このようなマーカは通常、視野内で容易に識別されうる大きな球体であるか、または同様に特定のオブジェクトを一意的に識別して視野内で追跡できる符号化された白黒のバーコード状ラベルでありうる。球体はその形状が視角の変化に対してほぼ不変であるため、特に一般的である。CTまたはMRのような3D画像化モダリティにおいては、マーカは一次元または二次元であり、視認可能にするために放射線不透過性材料または磁性材料で作られる。X線(蛍光透視)誘導には、放射線不透過性マーカによる2Dテンプレートが、術前3D画像化データとの位置合わせおよび追跡のために通常用いられる。
【0025】
図4Aは、本発明の一部の実施形態による、クレードル110内に配置された照準装置130の高レベル概略図である。ある実施形態では、照準装置130は、クレードル110内に配置されるように構成されたモックアップ115を含みうる。ある実施形態では、モックアップ115は、施術医(physical)が患者の皮膚83を視野内に保てるようにする透明材料(例えばPerspex(登録商標))を含みうる。ある実施形態では、モックアップ115は、標的位置141の鮮明なX線画像を生成するために放射線透過性材料(例えばPerspex(登録商標)および炭素繊維)を含みうる。
【0026】
ある実施形態では、照準装置130は、少なくとも1つの光学マーカホルダ113をさらに含みうる。ある実施形態では、光学マーカホルダ113は、少なくとも1つのレーザーポインタを含みうる。ある実施形態では、少なくとも1つの光学マーカホルダ113は、FUSトランスデューサ120およびクレードル110の中心軸112に沿って直線を作るようにアライニングされうる。ある実施形態では、少なくとも1つの光学マーカホルダ113は、X線画像化システム視野85の法線に対するクレードル110およびFUSトランスデューサ120の位置を確かめるために追加の線を作るように構成されうる。
【0027】
図4Bは、本発明の一部の実施形態による、照準装置130のモックアップ115と光学マーカホルダ113との高レベル概略図である。ある実施形態では、照準装置130は、少なくとも1つの光学マーカホルダ113の垂直軸上に配置された少なくとも2つのX線照準マーカ133、134をさらに含みうる。ある実施形態では、X線照準マーカ133、134はリングでもよい。少なくとも1つのX線照準マーカ133、134は、少なくとも1つの溝133Aを含みうる。ある実施形態では、モックアップ115およびX線照準マーカ133、134のうちの少なくとも1つは非対称で、この非対称が光学的にも放射線学的にも視認可能であり、施術医が両方のビューを相関させ、クレードル110を中心軸112に沿ってX線インテンシファイア85と相互にアライニングするために必要に応じて移動の方向および角度を決定できるものであってもよい。
【0028】
ある実施形態では、モックアップ115および光学マーカホルダ113のうちの少なくとも1つは、X線画像においてモックアップ115の向きを見つけることができるように、少なくとも1つのX線基準マーカを有しうる。ある実施形態では、光学マーカホルダ113は、モックアップ115に固定されるかまたは隣接して置かれた個別のオンおよびオフスイッチを有しうる。
【0029】
図5A~
図5Bは、本発明の一部の実施形態による、一方法を示した高レベルフローチャートである。ステップ510で、少なくとも1つの放射線不透過性マーカがX線インテンシファイア85の中心に置かれる(例えば
図6Aの70Aを参照)。ステップ515で、患者が手技プラットフォーム90に腹臥位で配置される。患者がテーブル上に配置されたあと、患者の脊椎とクレードルとの両方がX線視野内に見えるように、テーブルとCアームとの相対的高さが調節される。高さは一旦設定されると、手技の間中ロックされたままである。この調節は、側面X線画像ならびにテーブル高さおよびCアーム高さの操作により行われる。
【0030】
ステップ520で、X線画像で見える放射線不透過性マーカ70Aを患者内の処置位置141に重なるように置くために、X線アーム87(
図2参照)を水平に移動させる(例えば
図6Aの70A‐2参照)。ある実施形態では、X線インテンシファイア85が処置位置141に対してある角度で配置されて、放射線不透過性マーカ70Aが処置位置141の上に重ねられうる。角度が設定される場合には、設定はステップ520の前に行われる点に注意することが重要である。この角度は所望の視角となるであろう。これは、患者の身体へのFUSエネルギー浸透の角度でもある。ステップ525で、X線画像中に放射線不透過性マーカ70A‐2を用いて処置位置141を確かめたあとに少なくとも1つの一時的マーカ84(例えば針の先端)を患者の皮膚83上に一時的に置くことにより施術医が患者の皮膚83上で選択する特定の位置に放射線不透過性マーカ70Bが置かれる(例えば
図6Bを参照)。ある実施形態では、マーカ70Bだけが/マーカ70Bも可視マーカであってもよい。このマーカは、FUSエネルギーによる患者皮膚に対する近接場加熱および損傷を避けるために大きな音響吸収性を有しない。
【0031】
ステップ530で、結合アクセサリ125が、ステップ525のように患者の皮膚83上のマーカ70Bの上に置かれる。ステップ535で、モックアップ115を備えたクレードル110が、結合アクセサリ125上に置かれる(例えば
図6Bを参照)。
【0032】
ステップ540で、モックアップ115上の少なくとも1つの光学マーカホルダ113がオンにされ、装置100の関節アーム111を用い、コリニアレーザを患者の皮膚83上の放射線不透過性マーカ70Bとインテンシファイア85上の放射線不透過性マーカ70Aとに向けて、クレードル110がアライニングされる。ステップ545で、軸112に沿ったX線画像化システム視野の中心の法線に対するクレードル110およびモックアップ115のアライメントを確かめるためにX線画像が撮影される。ステップ550で、アライメントが確かめられる。ステップ545のX線画像上で放射線不透過性マーカ70A‐2、70B‐1が重なっていれば、クレードル110およびモックアップ115が軸112に沿ってX線画像化システム視野の中心の法線とアライニングされているということである(例えば
図6Cを参照)。ステップ545のX線画像上で放射線不透過性マーカ70A‐2、70B‐1が重なっていなければ、ステップ535を再び行わなければならない。ある実施形態では、クレードル110およびモックアップ115のX線画像化システム視野の中心の法線とのアライメントは、少なくとも1つの光学マーカホルダ113の垂直軸上に配置された少なくとも2つのX線照準マーカ133、134を用いて確かめられてもよい。クレードル110およびモックアップ115が軸112に沿ってX線画像化システム視野の中心の法線とアライニングされると、X線照準マーカ133、134はステップ545のX線画像で同中心に見えるようになる(例えば
図7Aを参照)。ステップ545のX線画像でX線照準マーカ133、134が同中心に見えなければ(例えば
図7Bを参照)、ステップ535が繰り返されなければならない。照準装置130のある範囲の位置および角度エラーは許容されうる。許容されるエラーの指示は、照準マーカの直径間の隙間など、X線照準マーカ133、134の形状および/またはサイズにより施術医に提示されることができ、エラー限度内でのアライメントを指示するために内側のX線照準マーカ133のまわりに視認可能なままでなければならない。ある実施形態では、このステップでのクレードルおよび照準装置のアライメントの品質についての判断は、X線画像化を必要とせずに光学マーカだけに基づいて行われることもできる。
【0033】
ある実施形態では、クレードル110のアライメントは、インテンシファイア85に面するクレードル110またはFUSトランスデューサ120上に位置する深さカメラにより生み出される深さ画像に基づいて行われうる。クレードル110は、深さ画像分析によりインテンシファイア85の平面がクレードル110と平行になるように、またインテンシファイア85の形状がクレードル110またはFUSトランスデューサ120の中心と軸合わせされてクレードル110、インテンシファイア85および中心軸112が同一直線上になるように、アライニングされる。ある実施形態では、クレードル110のアライメントは、インテンシファイア85に面するクレードル110またはFUSトランスデューサ120上に位置する超音波センサ、RFセンサ、IRセンサまたはレーザセンサ等であるがこれらに限定されない少なくとも2つの距離センサに基づいて行われうる。これらのセンサは、インテンシファイア85からの距離を測定し、クレードル110をインテンシファイア85の面に対して平行にアライニングするために必要なアライメントを指示することができる。距離センサを補って(complimentary)、インテンシファイア85に面するクレードル110またはFUSトランスデューサ120上に位置するカメラがインテンシファイア85の丸い形状の画像を生み出して、インテンシファイア85に対するクレードル110の位置、および中心軸112とインテンシファイア85とクレードル110とを相互にアライニングするためにクレードル110を移動させるべき方向を指示する。ある実施形態では、クレードル110のアライメントは、クレードル110またはFUSトランスデューサ120上とインテンシファイア85上とに位置する少なくとも2つの二軸傾斜計または角形成センサに基づいて行われうる。これらのセンサは、クレードル110またはFUSトランスデューサ120の角度およびインテンシファイア85の角度を測定し、クレードル110をインテンシファイア85の面に対して平行にアライニングするために必要なアライメントを指示することができる。これは、絶対角度の測定に基づいて、または基線の平行の向きで行われる較正にしたがって行われうる。角度センサを補って、インテンシファイア85に面するクレードル110またはFUSトランスデューサ120上に位置するカメラがインテンシファイア85の丸い形状の画像を生み出して、インテンシファイア85に対するクレードル110の位置、およびインテンシファイア85の中心軸とクレードル110とを相互にアライニングするためにクレードル110を移動させるべき方向を指示する。傾斜計または角形成センサは、有線でも無線でもよく、必要な角度を測定するために任意の既存の技術を使用しうる。
【0034】
ステップ555で、ワークステーション180のソフトウェアモジュールにより認識されるFUSビーム経路140を用いて処置位置141の深さを確かめるために、X線画像化システムのCアーム87が横方向に、好ましくはクレードル軸112に対して直角の角度に傾けられる(例えば
図3Bを参照)。Cアーム87の傾斜は、好ましくは単一軸上で実行されなければならない。CT、超音波およびその他等の他のタイプの画像化を誘導に使用する際には、トランスデューサの焦点の位置が画像から外挿されることもできる。適用可能な焦点範囲内に処置深さが確かめられたら、Cアーム87が以前の垂直位置に戻されなければならない。Cアーム87は、モックアップ115の角度にしたがって、光学マーカホルダ113を放射線不透過性マーカ70Aおよび70B上に向けて、再配置されなければならない。ある実施形態では、アライメントを確かめるためにX線画像が再び撮影されうる。
【0035】
ステップ560で、モックアップ115がクレードル110から取り外され、トランスデューサ120がクレードル110に挿入される。ステップ565で、X線照準器150がFUSトランスデューサ120内に置かれる。ステップ570で、X線照準器150を用いてステップ550のようにクレードル110およびFUSトランスデューサ120が軸112に沿ったX線画像化システム視野の中心の法線とアライニングされていることを確かめるためにX線画像が撮影される。ステップ575で、FUS音響エネルギービーム140が投入され、標的ポジション141のアブレーションが行われる。ある実施形態では、FUS音響エネルギーは、アブレーションレベルのエネルギーパルスを投入する前に、患者ごとの標的フィードバックを確かめるためにまず低レベルで投入されることもできる。
【0036】
図8A~
図8Bは、本発明の一部の実施形態による、異なる位置に位置する光学マーカホルダの高レベル概略図である。本発明のこれらの実施形態では、光学マーカ113または鏡114から生じるレーザビームが、Cアームの中心軸線112とアライニングされ、インテンシファイアプレートの中心の放射線不透過性マーカがX線画像上で処置標的と一致するように調節されるため、モックアップ115の使用は必要ない。代わりに、FUSトランスデューサに直接取り付けられたX線/光学照準器が使用されうる。
【0037】
光学マーカホルダ113(
図8A)または鏡114(
図8B)は、Cアーム(X線)インテンシファイアプレート85の中心に取り付けられうる。光学マーカホルダ113または鏡114は、インテンシファイアプレートに対する手動および/または自動での角度アライメントを可能にし、レーザビームをCアーム源86(
図2)の中心に投射することによりCアームの中心軸112(
図2)とアライニングされるように設計されうる。光学マーカ113または鏡114は、X線画像上で視認可能な放射線不透過性マーカに取り付けられるかまたは放射線不透過性マーカからなってもよい。光学マーカ113または鏡114は、放射線不透過性マーカの中心に適宜置かれうる。
図8Aでは、鏡114は角度アライメント能力を有し、光学マーカ113はこの鏡の中心を照準するように調節することができる。
【0038】
図9A~
図9Bは、本発明の一部の実施形態による、FUSトランスデューサ120内に固定される改造型X線照準器150の高レベル概略図である。改造型X線照準器150は、光学照準器としてもX線照準器としても使用されうる。
【0039】
改造型X線照準器150は、FUSトランスデューサの中心軸112に沿ってFUSトランスデューサ120のソケットまたは凹部内に置かれ、FUSトランスデューサの垂直軸に沿って置かれたリング133、134等の2つ以上のX線照準マーカを含みうる。FUSトランスデューサを標的に向くようにアライニングするためには、光学マーカが上リング133および下リング134の中心に見えることが必要である。FUSトランスデューサがCアーム中心軸112に正確にアライニングされていることを確かめるために、放射線不透過性リング133,134がX線画像上で同中心に見えることが必要である(
図7A、
図10)。リングが画像で同中心に見えないか(
図7B)または医師が移動を確認した場合には、医師は配置手順を繰り返すものとする。
【0040】
改造型x線照準器150のある範囲の位置および角度エラーは許容されうる。許容されるエラーの指示は、リングの直径間の隙間など、X線照準マーカ133、134の形状および/またはサイズにより医師に提示されることができ(
図7A~
図7B)、エラー限度内でのアライメントを指示するために内側のリング133のまわりを視認可能なままでなければならない。
【0041】
ここで、この構成の一部の実施形態における患者に対する画像誘導集束超音波処置のための方法1100の概略フローダイヤグラムである
図11A~
図11Bを参照する。
【0042】
ステップ1110で、放射線不透過性マーカがX線インテンシファイアプレートの中心に置かれうる。その後、ステップ1115のとおり光学マーカホルダがX線インテンシファイアの中心に置かれ、X線源に照準されうる。
【0043】
ステップ1120で、患者が手技プラットフォーム90に腹臥位で配置される。患者がテーブル上に配置されたあと、患者の脊椎とクレードルとの両方がX線視野内に視認可能であるように、テーブルとCアームとの相対的高さが調節される。高さは一旦設定されると、手技の間中ロックされたままである。この調節は、側面X線画像ならびにテーブル高さおよびCアーム高さの操作により行われる。
【0044】
ステップ1125では、X線画像で見える放射線不透過性マーカ70Aを患者内の処置位置141に重なるように置くために、X線アーム87を水平に移動させる(例えば
図6Aの70A‐2を参照)。ある実施形態では、X線インテンシファイア85が処置位置141に対してある角度で配置されて、放射線不透過性マーカ70Aが処置位置141の上に重ねられうる。角度が設定される場合には、設定はステップ520の前に行われる点に注意することが重要である。この角度は所望の視角となるであろう。これは、患者の身体へのFUSエネルギー浸透の角度でもある。
【0045】
ステップ1135で、結合アクセサリ125が皮膚83上に置かれる。ステップ1140で、FUSトランスデューサ120を備えたクレードル110が結合アクセサリ125の上に置かれる。ステップ1145で、改造型X線照準器150が、FUSトランスデューサ120の中心ホールの中に置かれる。
【0046】
ステップ1150で、X線インテンシファイア85上の少なくとも1つの光学マーカホルダ(
図8A~8B)がオンにされ、ステップ1155にしたがって、一方が改造型X線照準器150の上リング133上、他方が改造型X線照準器150の下リング134の(
図9A)中心マーカに向けるようにレーザを用いて、クレードルのアライメントが行われる。照準マーカ133、134がX線画像で同中心に見える場合には、クレードルがアライニングされている(
図6A)。X線画像で照準マーカ133、134が同中心に見えなければ、ステップ1155が繰り返されなければならない。改造型X線照準器のある範囲の位置および角度エラーは許容されうる。許容されるエラーの指示は、リングの直径間の隙間など、照準マーカ133、134の形状および/またはサイズにより医師に提示されることができ(
図7A~7B)、エラー限度内でのアライメントを指示するために内側のリング133のまわりに視認可能なままでなければならない。ある実施形態では、クレードルおよび照準装置のアライメントの品質についての判断は、X線画像化を必要とせずに光学マーカだけに基づいて行われることもできる。
【0047】
ステップ1170で、処置深さが確かめられなければならない。X線アームをクレードル軸112に対して横に好ましくは90度傾けて、画像化ワークステーションのビーム経路と焦点ポイントとの重ね合わせを用いて処置位置の深さが確かめられるものとする(
図3B)。
【0048】
適用可能な焦点範囲内に処置位置深さが確かめられたら、医師はステップ1175にしたがって音響エネルギーを投入し、標的組織をアブレーションする。ある実施形態では、音響エネルギーは、アブレーションレベルのエネルギーパルスを投入する前に、患者ごとの標的フィードバックを確かめるためにまず低レベルで投入されることもできる。
【0049】
ある実施形態によれば、X線照準器150および照準装置130の形状は、画像品質の干渉を低減する様式で設計されうる。
図12A~
図12Gは、本発明の一部の実施形態による、様々なX線照準器150を備えたFUSトランスデューサ120のX線画像の高レベル概略図であり(
図12A~
図12C)、うち
図12D~
図12Gは、異なる設計の照準装置130のX線画像の高レベル概略図である。画像12Hは、照準器が一切挿入されていないトランスデューサを参考として示す。
【0050】
提示されたすべてのX線照準器において、画像をできるだけ鮮明にするために、照準器と無関係な放射線不透過度の異なる材料間の鋭い境界面を除去することによってアーチファクトを最小化するために設計が最適化される。類似の効果は、照準装置の設計に(より大きな程度で)見られ、
図12F~
図12Gで分かるように、
図12Dはアーチファクトの多い設計を示し、
図12Eは光透過性でもある鮮明な設計を示す。
【0051】
加えて、X線照準器150の下部は、
図12H~
図12Gに見られるように、照準器の全体的な放射線不透過性を高め、FUSトランスデューサ120開口部を通した(ゲインおよび画像彩度に関して)よりバランスのよい人体組織の画像化を可能にする、厚いディスク形状のプラスチック部分を有する。
【0052】
図13A~
図13Cは、本発明の一部の実施形態による、クレードル内にFUSトランスデューサを備えた、または備えない、処置標的のX線画像のそれぞれの高レベル概略図である。
図13Aは、手技の間にデバイスワークステーション上に示されるFUSトランスデューサのA‐P画像を示す。
【0053】
配置プロセスが終わり、クレードルが中心軸112にアライニングされて固定されたあと、ワークステーションは、画像内のクレードルの円形形状を識別して保存し、画像処理を用いて、トランスデューサのX線不透過性により生じる暗領域(
図13A)を、処置標的を含むクレードルの内側領域のクリア画像(
図13B)を用いて置き換え、これにより患者の人体組織の遮蔽を避けることができる。これにより、音波処理の準備完了時には、トランスデューサがクレードル内にある状態で処置標的のクリア画像が生み出される(
図13C)。その後、医師は画像を観察することができるが、この画像には現在、放射線「透過性トランスデューサ」が示されており、不透過性トランスデューサによりブロックされていた解剖学的情報を提供する。このような画像の重要性は、医師が処置位置と患者が動く可能性がある場合の警告とを確認し、確かめるのを補助することである。これらの特徴は、デバイスの安全プロフィールおよび有効性の結果の向上に決定的である。
【0054】
本装置の別の実施形態は、処置標的を視認しFUSトランスデューサを処置標的にアライニングするために、X線デバイスの画像化を使用する代わりに超音波(US;ultrasound)画像化プローブを使用することである。
図14Aは、FUSトランスデューサの中心に装着されたUS画像化プローブの概略図である。アライメントアダプタを用いて、US画像化プローブをトランスデューサ中心軸と連接するようにアライニングする。
【0055】
画像化プローブおよびトランスデューサUS音波処理の同時作業は超音波画像の品質を大きく劣化させ、画像化能力を完全にブロックしさえするため、交互パルス化方法が
図14Bに記載される。FUSエネルギーは、短時間の中止周期を伴ってパルス化されることになる。中止周期にあれば、超音波画像化ストリームからアーチファクトまたは劣化のない画像がとらえられて、次のエネルギー中止周期にとらえられる次の歪みのない画像により置き換えられるまで画像化ワークステーションに提示される。このようにして、画像化のリフレッシュレートはより低くなるであろうが、音波処理の間になお画像フィードバックを生み出すことができる。予測される画像劣化のレベルが大きいため、基本的画像処理技術を用いて歪みのない画像が確認されうる。あるいは、治療音波を生み出すパルスが、超音波画像のアーチファクトおよび劣化を最小化する様式で生み出されてもよい。上記の具体化の独自性は、臨床的適応に必要な画像化特性を備えた任意の一般的な超音波画像化システムを、改造またはゲート信号への接続を必要とせずに集束超音波システムのガイダンスとしてそのまま使用できることである点に注意することが重要である。
【0056】
以上の説明において、実施形態は、本発明の例または具体化である。「一実施形態」、「実施形態」、「ある実施形態」または「一部の実施形態」の様々な出現は、必ずしも全てが同じ実施形態をさすとは限らない。本発明の様々な特徴は、単一の実施形態の文脈で記載されているかもしれないが、これらの特徴が別々に提供されても、または任意の適切な組み合わせで提供されてもよい。逆にいえば、本発明は、本明細書においては明確のために別々の実施形態の文脈で記載されているかもしれないが、本発明は単一の実施形態で実施されてもよい。本発明のある実施形態は、上に開示した異なる実施形態からの特徴を含んでもよく、ある実施形態は、上に開示した他の実施形態からの要素を組み込んでもよい。特定の実施形態の文脈での本発明の要素の開示は、それらの使用をその特定の実施形態だけに制限するものと解釈されるものではない。さらに、本発明が様々な仕方で実行または実践されうること、および本発明が以上の説明に概説されたもの以外のある実施形態で実施されうることが理解されるものである。
【0057】
本発明は、図または対応する説明に限定されない。例えば、フローが図示されたボックスまたは状態をそれぞれ通って進まなくても、または図示または説明と全く同じ順序で進まなくてもよい。別段の定めがない限り、本明細書において用いられる技術的および科学的用語の意味は、本発明が帰属する技術の当業者により一般に理解されるものとする。本発明は、限定数の実施形態に関して記載されるが、これらは本発明の範囲に対する制限としてではなく、好ましい実施形態のいくつかの例証として解釈されるものである。他の考えられるバリエーション、変更および応用も、本発明の範囲内である。したがって、本発明の範囲は、以上に記載されていることによってではなく、添付の請求の範囲およびそれらの法律的等価物により制限されるものとする。