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特許7605896デバイスセクションによる段階的な展開を可能にする展開拘束シース
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】デバイスセクションによる段階的な展開を可能にする展開拘束シース
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/11 20060101AFI20241217BHJP
【FI】
A61B17/11
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023078558
(22)【出願日】2023-05-11
(62)【分割の表示】P 2021155586の分割
【原出願日】2018-04-18
(65)【公開番号】P2023096000
(43)【公開日】2023-07-06
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】62/486,744
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/955,381
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391028362
【氏名又は名称】ダブリュ.エル.ゴア アンド アソシエイツ,インコーポレイティド
【氏名又は名称原語表記】W.L. GORE & ASSOCIATES, INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100147212
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マシュー エー.ジョンソン
【審査官】菊地 康彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-513783(JP,A)
【文献】特開2007-097620(JP,A)
【文献】特開2010-188189(JP,A)
【文献】特表2014-503246(JP,A)
【文献】特表2015-513926(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0313738(US,A1)
【文献】特開2009-000535(JP,A)
【文献】特表2010-523209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/11
A61F 2/95- 2/967
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテル本体と、
前記カテーテル本体上に配置された拡張可能な吻合デバイスと、
第一の拘束機構と、
前記第一の拘束機構に結合された展開ラインと、
前記第一の拘束機構の周囲の一部を覆うように前記第一の拘束機構の遠位側に取り付けられたスカートと、
を含む、
拡張可能なメディカルデバイスのためのデリバリーシステムであって、
前記拡張可能な吻合デバイスは、第一の端部と、第二の端部と、それらの間の中間部とを含み、前記拡張可能な吻合デバイスが展開構成の場合に、前記第一の端部は第一の内曲領域で前記中間部に遷移し、前記第二の端部は第二の内曲領域で前記中間部に遷移し、
前記第一の拘束機構は、前記拡張可能な吻合デバイスの少なくとも一部を実質的に筒形のデリバリー構成に解放可能に拘束するように構成されており、
前記第一の拘束機構は、前記拡張可能な吻合デバイスの近位端から前記拡張可能な吻合デバイスの遠位端まで延在し、前記拡張可能な吻合デバイスの近位端に向かって戻って延在しており、
前記展開ラインは前記展開ラインに適用された張力に応答して前記拡張可能な吻合デバイスから前記第一の拘束機構を解放するように動作可能である、
デリバリーシステム。
【請求項2】
前記スカートは、前記デリバリーシステムが患者内の標的位置に向かって前進している際に、前記第一の拘束機構の周囲に配置されている、請求項1記載のデリバリーシステム。
【請求項3】
前記カテーテル本体の遠位端に配置された遠位先端をさらに含む、請求項1記載のデリバリーシステム。
【請求項4】
前記第一の拘束機構は、前記カテーテル本体の近位端に向かって前記遠位先端から反転するように動作可能である、請求項3記載のデリバリーシステム。
【請求項5】
前記拡張可能な吻合デバイスと前記第一の拘束機構との間に配置されており、そして前記第一の拘束機構の解放に応答して前記拡張可能な吻合デバイスの中間部の拡張を低減するように構成されている第二の拘束機構をさらに含み、前記第二の拘束機構は前記拡張可能な吻合デバイスの前記中間部の周囲に配置されている、請求項4記載のデリバリーシステム。
【請求項6】
前記第一の拘束機構は、前記拡張可能な吻合デバイスの前記第一の端部、前記第二の端部および前記中間部の周囲に配置されている、請求項5記載のデリバリーシステム。
【請求項7】
前記第一の拘束機構は、前記拡張可能な吻合デバイスの前記第一の端部および前記第二の端部を解放して、その解放に応答して前記第二の拘束機構が中間部を拘束していない完全展開構成に展開するように動作可能である、請求項6記載のデリバリーシステム。
【請求項8】
前記第二の拘束機構は、前記第一の拘束機構の解放後に前記中間部を前記デリバリー構成と前記完全展開構成との間の構成である中間構成に拘束し、そして前記拡張可能な吻合デバイスの前記第一の端部および前記第二の端部は、前記完全展開構成にある、請求項7記載のデリバリーシステム。
【請求項9】
前記第二の拘束機構は、前記デリバリー構成の場合に、前記第一の拘束機構と前記拡張可能な吻合デバイスとの間に配置されている、請求項8記載のデリバリーシステム。
【請求項10】
前記拡張可能な吻合デバイスの前記中間部は、前記拡張可能な吻合デバイスの前記第一の端部および前記第二の端部の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を行使する、請求項9記載のデリバリーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本開示は、一般に、メディカルデバイスに関し、より具体的には、組織層を接続して吻合を形成するためのメディカルデバイス、組織の開口部を通る材料の動きを閉塞し、抑制し又は防止し、そして組織の欠陥の治癒を可能にするためのインプラント可能なデバイス、組織中の欠陥のシーリングおよび治癒を可能にすること及び、本明細書で論じられるメディカルデバイスの展開に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
吻合は血管又は腸などの2つの組織構造間の相互接続である。例えば、冠動脈バイパスグラフト手術の関係において、グラフト血管は血液がグラフト血管を通って流れることができるように天然の冠動脈に吻合される。
【0003】
吻合は、限定するわけではないが、エンドツーエンド、エンドツーサイド及びサイドツーサイドの吻合を含む様々な方法で形成することができる。しばしば、縫合をそのような吻合を形成するために使用される。
【発明の概要】
【0004】
概要
本開示の様々な態様はメディカルデバイスシステムを対象とする。メディカルデバイスシステムは、第一の端部、第二の端部及び前記第一の端部と前記第二の端部との間の中間部を有する拡張可能なメディカルデバイスを含むことができる。拡張可能なメディカルデバイスの中間部は第一の端部及び第二の端部の少なくとも一方の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を備えることができる。さらに、拡張可能なメディカルデバイスは、拡張可能なメディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成されている第一の拘束機構と、拡張可能なメディカルデバイスと第一の拘束機構との間に配置されており、第一の拘束機構の解放に応答して、拡張可能なメディカルデバイスの中間部の拡張を低減するように構成されている第二の拘束機構とを含むことができる。
【0005】
本開示の様々な態様はまた、第一のフランジ、第二のフランジ及びそれらの間の中間部を有し、また、デリバリー構成及び展開構成を有するメディカルデバイスを展開するためのシステムを対象とする。システムは、拡張可能なメディカルデバイスをデリバリー構成に拘束しそしてその解放に応答して第一のフランジ及び第二のフランジを展開構成に展開するように構成されている第一の拘束機構と、拡張可能なメディカルデバイスと第一の拘束機構との間に配置されており、そして第一の拘束機構の解放に応答して拡張可能なメディカルデバイスの中間部を中間構成に維持するように構成されている第二の拘束機構とを含む。
【0006】
本開示の態様はまた、デリバリー構成及び展開構成を有する拡張可能なメディカルデバイスを展開する方法を対象とする。その方法は、拡張可能なメディカルデバイスを標的位置に配置することを含む(拡張可能なメディカルデバイスは第一の端部、第二の端部及び前記第一の端部の半径方向拡張力より大きい半径方向拡張力を有する中間部を含む)。この方法はまた、第一の端部及び第二の端部を展開構成に展開し、中間部を中間構成に展開する第一の拘束機構を解放することを含む。さらに、この方法は第二の拘束機構を解放して、中間部を展開構成に展開することを含む。
【0007】
一例(「例1」)によれば、メディカルデバイスシステムは、第一の端部、第二の端部及びそれらの間の中間部を含む拡張可能なメディカルデバイス(ここで、前記中間部は前記第一の端部及び第二の端部の少なくとも一方の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を有する)、前記拡張可能なメディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成されている第一の拘束機構、及び、前記拡張可能なメディカルデバイスと前記第一の拘束機構との間に配置されており、そして前記第一の拘束機構の解放に応答して前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部の拡張を低減するように構成されている第二の拘束機構を含む。
【0008】
例1に加えて、別の例(「例2」)によれば、前記第一の拘束機構及び第二の拘束機構は、前記第一の拘束機構の解放に応答して、前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部を中間構成に展開し、そして前記拡張可能なメディカルデバイスの前記第一の端部及び第二の端部を展開構成に展開するように構成されている。
【0009】
例2に加えて、別の例(「例3」)によれば、前記第二の拘束機構は、前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部を解放して展開構成に展開するように構成されている。
【0010】
例3に加えて、別の例(「例4」)によれば、前記第二の拘束機構は、それに加えられた力に応答して解放するように構成されている。
【0011】
例4に加えて、別の例(「例5」)によれば、前記力は前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部内に加えられる半径方向の力であり、そして前記第二の拘束機構は、力が加えられた後に、前記拡張可能なメディカルデバイスに結合されたままになるように構成されている。
【0012】
例1に加えて、別の例(「例6」)によれば、前記第一の端部は第一のフランジを含み、前記第二の端部は第二のフランジを含み、そして前記中間部は実質的に筒形状を含む。
【0013】
例6に加えて、別の例(「例7」)によれば、前記拡張可能なメディカルデバイスは、前記第一のフランジと前記中間部との間の第一の内曲領域、前記第二のフランジと前記中間部との間の第二の内曲領域を含み、そして前記第二の拘束機構は、前記第一の内曲領域と前記第二の内曲領域との間に配置されている。
【0014】
例1に加えて、別の例(「例8」)によれば、前記第二の拘束機構は前記拡張可能なメディカルデバイスに結合されており、そして前記第一の拘束機構は前記第一の拘束機構に加えられた張力に応答して、前記拡張可能なメディカルデバイスを展開しそして前記拡張可能なメディカルデバイスから結合解除するように構成されている。
【0015】
例1に加えて、別の例(「例9」)によれば、前記第一の拘束機構は、前記拡張可能なメディカルデバイスを実質的に筒形のデリバリー構成に、解放可能に拘束するように構成されている。
【0016】
例9に加えて、別の例(「例10」)によれば、前記第一の拘束機構は、前記拡張可能なメディカルデバイスの近位端から前記拡張可能なメディカルデバイスの遠位端まで延在し、前記拡張可能なメディカルデバイスの近位端に向かって戻って延在している。
【0017】
1つの例(「例11」)によれば、第一のフランジ、第二のフランジ及びそれらの間の中間部、デリバリー構成及び展開構成を有するメディカルデバイスを展開するためのシステムである。例11において、システムは、前記メディカルデバイスをデリバリー構成に拘束するように構成されている第一の拘束機構であって、前記第一の拘束機構の解放に応答して、前記第一のフランジ及び第二のフランジを展開構成に展開するように構成されている第一の拘束機構、及び、前記メディカルデバイスと前記第一の拘束機構との間に配置されており、前記第一の拘束機構の解放に応答して前記メディカルデバイスの中間部を中間構成に維持するように構成されている第二の拘束機構を含む。
【0018】
例11に加えて、別の例(「例12」)によれば、前記中間部は前記第一のフランジ及び第二のフランジの少なくとも一方の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を備える。
【0019】
例11に加えて、別の例(「例13」)によれば、前記第二の拘束機構は前記メディカルデバイスに結合されそして前記中間部に固定されている。
【0020】
例11に加えて、別の例(「例14」)によれば、前記第二の拘束機構は前記メディカルデバイスの中間部の周囲に配置されている。
【0021】
例11に加えて、別の例(「例15」)によれば、中間構成における中間部の直径は、展開構成における中間部の直径よりも約40%~80%小さい。
【0022】
例11に加えて、別の例(「例16」)によれば、前記第一の拘束機構は前記第一の拘束機構の解放に応答して前記メディカルデバイスを展開しそして前記メディカルデバイスから結合解除されるように構成されている。
【0023】
1つの例(「例17」)によれば、デリバリー構成及び展開構成を有する拡張可能なメディカルデバイスを展開する方法である。例17において、その方法は、第一の端部、第二の端部及びそれらの間の中間部を含む拡張可能なメディカルデバイスを標的位置に配置すること、ここで、前記中間部は前記第一の端部の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を有する、第一の拘束機構を解放して、前記第一の端部及び第二の端部を展開構成に展開し、前記中間部を中間構成に展開すること、及び、第二の拘束機構を解放して、前記中間部を展開構成に展開することを含む。
【0024】
例17に加えて、別の例(「例18」)によれば、前記第二の拘束機構を解放することは、前記第二の拘束機構に力を加えて、前記中間部を中間構成から展開構成に展開することを含む。
【0025】
例17に加えて、別の例(「例19」)によれば、前記中間構成における中間部の直径は前記展開構成における中間部の直径よりも約40%~80%小さい。
【0026】
例17に加えて、別の例(「例20」)によれば、前記第一の拘束機構を解放することは、前記拡張可能なメディカルデバイスから前記第一の拘束機構を結合解除することを含み、そして前記第二の拘束機構を解放することは、前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部に取り付けられた第二の拘束機構の少なくとも一部を維持することを含む。
【0027】
1つの例(「例21」)によれば、メディカルデバイスシステムは、第一の端部、第二の端部及びそれらの間の中間部を含む拡張可能なメディカルデバイス(ここで、前記中間部は前記第一の端部及び第二の端部の少なくとも一方の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を有する)、前記拡張可能なメディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成されている第一の拘束機構、及び、前記拡張可能なメディカルデバイスと前記第一の拘束機構との間に配置されており、前記第一の拘束機構の解放に応答して前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部の拡張を低減するように構成されている第二の拘束機構を含む。
【0028】
例21に加えて、別の例(「例22」)によれば、前記第一の拘束機構及び第二の拘束機構は、前記第一の拘束機構の解放に応答して、前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部を中間構成に展開し、そして前記拡張可能なメディカルデバイスの第一の端部及び第二の端部を展開構成に展開するように構成されている。
【0029】
例21~22のいずれか1つに加えて、別の例(「例23」)によれば、前記第二の拘束機構は前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部を解放しそして展開構成に展開するように構成されている。
【0030】
例23に加えて、別の例(「例24」)によれば、前記第二の拘束機構はそれに加えられた力に応答して解放するように構成されている。
【0031】
例24に加えて、別の例(「例25」)によれば、前記力は拡張可能なメディカルデバイスの中間部内に加えられる半径方向の力であり、そして前記第二の拘束機構は、力が加えられた後に、前記拡張可能なメディカルデバイスに結合されたままになるように構成されている。
【0032】
例21~25のいずれか1つに加えて、別の例(「例26」)によれば、前記第一の端部は第一のフランジを含み、前記第二の端部は第二のフランジを含み、前記中間部は実質的に筒形状を含む。
【0033】
例26に加えて、別の例(「例27」)によれば、前記拡張可能なメディカルデバイスは、前記第一のフランジと前記中間部との間の第一の内曲領域、前記第二のフランジと前記中間部との間の第二の内曲領域を含み、そして前記第二の拘束機構は、前記第一の内曲領域と前記第二の内曲領域との間に配置されている。
【0034】
例21~27のいずれか1つに加えて、別の例(「例28」)によれば、前記第二の拘束機構は前記拡張可能なメディカルデバイスに結合されており、そして前記第一の拘束機構は前記第一の拘束機構に加えられた張力に応答して、前記拡張可能なメディカルデバイスを展開しそして前記拡張可能なメディカルデバイスから結合解除するように構成されている。
【0035】
例21~28のいずれか1つに加えて、別の例(「例29」)によれば、前記第一の拘束機構は、前記拡張可能なメディカルデバイスを実質的に筒形のデリバリー構成に、解放可能に拘束するように構成されている。
【0036】
例29に加えて、別の例(「例30」)によれば、前記第一の拘束機構は、前記拡張可能なメディカルデバイスの近位端から前記拡張可能なメディカルデバイスの遠位端まで延在し、前記拡張可能なメディカルデバイスの近位端に向かって戻って延在している。
【0037】
1つの例(「例31」)によれば、第一のフランジ、第二のフランジ及びそれらの間の中間部、デリバリー構成及び展開構成を有するメディカルデバイスを展開するためのシステムであって、前記メディカルデバイスをデリバリー構成に拘束するように構成されている第一の拘束機構であって、前記第一の拘束機構の解放に応答して、前記第一のフランジ及び第二のフランジを展開構成に展開するように構成されている第一の拘束機構、及び、前記メディカルデバイスと前記第一の拘束機構との間に配置されており、前記第一の拘束機構の解放に応答して前記メディカルデバイスの中間部を中間構成に維持するように構成されている第二の拘束機構を含む。
【0038】
例31に加えて、別の例(「例32」)によれば、前記中間部は前記第一のフランジ及び第二のフランジの少なくとも一方の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を備える。
【0039】
例31~32のいずれか1つに加えて、別の例(「例33」)によれば、前記第二の拘束機構は前記メディカルデバイスに結合されそして前記中間部に固定されている。
【0040】
例31~33のいずれか1つに加えて、別の例(「例34」)によれば、前記第二の拘束機構は前記メディカルデバイスの中間部の周囲に配置されている。
【0041】
例31~34のいずれか1つに加えて、別の例(「例35」)によれば、中間構成における中間部の直径は、展開構成における中間部の直径よりも約40%~80%小さい。
【0042】
例31~35のいずれか1つに加えて、別の例(「例36」)によれば、前記第一の拘束機構は前記第一の拘束機構の解放に応答して前記メディカルデバイスを展開しそして前記メディカルデバイスから結合解除されるように構成されている。
【0043】
1つの例(「例37」)によれば、デリバリー構成及び展開構成を有する拡張可能なメディカルデバイスを展開する方法であって、前記方法は、第一の端部、第二の端部及びそれらの間の中間部を含む拡張可能なメディカルデバイスを標的位置に配置すること、ここで、前記中間部は前記第一の端部の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を有する、第一の拘束機構を解放して、前記第一の端部及び第二の端部を展開構成に展開し、前記中間部を中間構成に展開すること、及び、第二の拘束機構を解放して、前記中間部を展開構成に展開することを含む。
【0044】
例37に加えて、別の例(「例38」)によれば、前記第二の拘束機構を解放することは、前記第二の拘束機構に力を加えて、前記中間部を前記中間構成から展開構成に展開することを含む。
【0045】
例37~38のいずれか1つに加えて、別の例(「例39」)によれば、前記中間構成における中間部の直径は前記展開構成における中間部の直径よりも約40%~80%小さい。
【0046】
例37~39のいずれか1つに加えて、別の例(「例40」)によれば、前記第一の拘束機構を解放することは、前記拡張可能なメディカルデバイスから前記第一の拘束機構を結合解除することを含み、そして前記第二の拘束機構を解放することは、前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部に取り付けられた第二の拘束機構の少なくとも一部を維持することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図面の簡単な説明
図1図1は、本開示の様々な態様による、患者内に移植された例示的な拡張可能なメディカルデバイスの切り取り斜視図を示す。
【0048】
図2図2は本開示の様々な態様による、拡張可能なメディカルデバイスのためのデリバリーシステムを示す。
【0049】
図2A図2Aは本開示の様々な態様による、拡張可能なメディカルデバイスのためのデリバリーシステムを示す
【0050】
図2B図2Bは本開示の様々な態様による、拡張可能なメディカルデバイスのためのデリバリーシステムを示す
【0051】
【0052】
【0053】
【発明を実施するための形態】
【0054】
詳細な説明
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。また、本明細書で参照される添付の図は必ずしも縮尺通りではなく、本開示の様々な態様を示すために誇張される場合があり、その点で、図は限定するものと解釈されるべきではないことにも留意されたい。
【0055】
本開示の様々な態様は、例えば、組織構造間に直接通路を形成してそれらの間の材料の流れを促進する吻合を形成することにより、導管又は器官閉塞を回避するために組織層を接続するためのメディカルデバイスを対象とする。拡張可能なメディカルデバイスは、カテーテルを介して内視鏡的に展開可能又はデリバリー可能であることができ、組織構造間の確固とした接続を容易にするために自己拡張可能であることができる。本開示は、そのデリバリーを容易にし、誤展開を減少させる拡張可能なメディカルデバイスの展開を容易にする1つ以上の拘束機構を議論する。
【0056】
図1は、本開示の様々な態様による、患者内に移植された例示的な拡張可能なメディカルデバイス100の切り取り斜視図である。拡張可能なメディカルデバイス100は、患者に移植されて、空間、組織構造、導管、器官など及びそれらの組み合わせの間に流体接続を作成するように構成されている。図1に示されるように、例えば、拡張可能なメディカルデバイス100は、胆嚢102(内部胆嚢空間104を画定する)を腸106(内部腸空間108を画定する)に接続するために使用することができる。結果として、拡張可能なメディカルデバイス100は、内部胆嚢空間104と内部腸空間108との間の流体シャントデバイスとして作用する。
【0057】
そのような器具は、例えば、内部胆嚢空間104と内部腸空間108とを接続する天然の解剖学的導管に流れの閉塞が存在する場合に、患者に有益な治療を提供することができる。特定の例において、患者は、患者の嚢胞管110及び/又は総胆管112の閉塞を引き起こす1つ以上の胆石を有することがある。そのような場合において、拡張可能なメディカルデバイス100は、胆嚢102からの胆汁が腸106に流れ込むことができるように流体通路を提供することができる。
【0058】
拡張可能なメディカルデバイス100は、第一の端部114、第二の端部116及びそれらの間の中間部118を含むことができる。中間部118は第一の端部114から第二の端部116まで長手方向に延在している管腔120を画定している。管腔120は、拡張可能なメディカルデバイス100が接続している2つの空間(例えば、組織構造、導管、器官)の間の接続(例えば、シャント通路)として作用することができる。図1に示される例において、管腔120は、内部胆嚢空間104が拡張可能なメディカルデバイス100を介して内部腸空間108と流体連通するように、内部胆嚢空間104と内部腸空間108との間の接続として作用する。
【0059】
図1は、患者の胆嚢102と腸106とを接続する拡張可能なメディカルデバイス100を示しているが、拡張可能なメディカルデバイス100は様々な身体組織構造及び器官とともに使用することができ、前記構造及び器官としては、限定するわけではないが、胃、結腸、小腸、膵臓、血管、膀胱、腎臓及び導管が挙げられる。
【0060】
図2は、本開示の様々な態様による、拡張可能なメディカルデバイスのためのデリバリーシステム200を示す。デリバリーシステム200は、拡張可能なメディカルデバイス(図示せず)が配置されうるカテーテル本体202を含むことができる。デリバリーシステム200はまた、拡張可能なメディカルデバイスをデリバリー又は拘束構成に拘束するように構成されている第一の拘束機構204を含む。第一の拘束機構204は、第二の拘束機構に関連して使用されうる(図3~6を参照して以下にさらに詳細に示され議論されるとおり)。
【0061】
デリバリーシステム200と共に配置された拡張可能なメディカルデバイスを展開するために、第一の拘束機構204に結合された展開ライン206に張力を加えることができる。展開ライン206は、医師などの使用者がアクセス可能であり、ポート208を通してカテーテル本体202内に配置することができる。展開ライン206に加えられる張力に応答して、第一の拘束機構204は、遠位先端210などのデリバリーシステム200の端部からポート208に向かって開いたり、引っ込めたり、反転したりすることができる。幾つかの実施形態において、第一の拘束機構204は拡張可能なメディカルデバイスを拘束する複数の層を有することができ、したがって、展開中にデリバリーゾーンの一端から他端まで複数回動くことができる。特定の例において、デリバリーシステム200はまた、デリバリーシステム200が患者内の標的位置に移動される前に、第一の拘束機構204の周りに配置されたスカート212を含むことができる。
【0062】
図3は、本開示の様々な態様による、デリバリー構成の拡張可能なメディカルデバイス300を示す。図3に示されるように、第一の拘束機構302は拡張可能なメディカルデバイス300をデリバリー構成に拘束するように構成されている。第一の拘束機構302は、拡張可能なメディカルデバイス300の近位端306から拡張可能なメディカルデバイス300の遠位端308まで延在している。さらに、拡張可能なメディカルデバイス300は、デリバリーカテーテル又はデリバリーシステム310上に配置されうる。特定の例において、デリバリーカテーテル又はデリバリーシステム310は、拡張可能なメディカルデバイス300のデリバリーのために、患者内で標的位置に送られる。
【0063】
拡張可能なメディカルデバイス300を展開するために、医師などの使用者がアクセス可能である第一の拘束機構302に結合された展開ライン312に張力を加えることができる。それに応答して、第一の拘束機構302は、近位端306から遠位端308に向かって開いたり、引っ込んだり、反転し、次いで、拡張可能なメディカルデバイス300の近位端306に向かって戻り続けることができる。このようにして第一の拘束機構302を解放することで、拡張可能なメディカルデバイス300の残りの部分を展開する前に、拡張可能なメディカルデバイス300の遠位端308を展開できる。
【0064】
図4は拡張可能なメディカルデバイス300の遠位端308の展開後の拡張可能なメディカルデバイス300を示す。そこに示されるように、拡張可能なメディカルデバイス300は遠位端308に配置される第一のフランジ314を含むことができる。第一の拘束機構302が第一のフランジを超えて引き出された後に第一のフランジ314は展開されうる。使用者は拡張可能なメディカルデバイス300の展開を継続するために、第一の拘束機構302の展開ライン312に張力をかけ続けることができる。
【0065】
図5は拡張可能なメディカルデバイス300の近位端306の展開後の拡張可能なメディカルデバイス300を示す。そこに示されるように、拡張可能なメディカルデバイス300は、近位端306に配置される第二のフランジ316を含むことができる。第一の拘束機構302は拡張可能なメディカルデバイス300の近位端306を超えて解放され、そして拡張可能なメディカルデバイス300から解放されそして結合解除される。このように、第一の拘束機構302は、その解放に応答して、第一のフランジ314及び第二のフランジ316を解放しそして完全展開構成に展開するように構成されている。しかしながら、拡張可能なメディカルデバイス300の中間部318は、図5に示すように中間構成のままである。
【0066】
図2及び図3に示されるデリバリー構成の拡張可能なメディカルデバイス300と第一の拘束機構302との間に配置された第二の拘束機構304は、第一の拘束機構302の解放後に、中間構成に拡張可能なメディカルデバイス300の中間部318を維持するように構成されている。拡張可能なメディカルデバイス300の中間部318は、第一のフランジ314及び第二のフランジ316が第一の拘束機構302によって拘束されたときに、その一方又は両方の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を有することができる。図6A及び図6Bを参照して示されるように、例えば、拡張可能なメディカルデバイス300は複数の長尺要素を含むことができる。複数の長尺要素は、第一のフランジ314及び第二のフランジ316の一方又は両方よりも拡張可能なメディカルデバイス300の中間部318でより大きな密度及び/又は巻きパターンを有することができる。さらに、そして結果として、拡張可能なメディカルデバイス300の中間部318は、第一のフランジ314及び第二のフランジ316の一方又は両方よりも圧縮力に対する抵抗が大きい(半径方向の強度がより大きい)。
【0067】
特定の例において、中間部318はほぼ筒形であるのに対して、第一のフランジ314及び第二のフランジ316は中間部318に対してほぼ垂直に展開し、それにより、拡張可能なメディカルデバイス300は、中間構成の管腔を有する砂時計形状を含む(図5に示される)。第二の拘束機構304は拡張可能なメディカルデバイス300に結合され、そして中間部318に固定される。第二の拘束機構304は拡張可能なメディカルデバイス300の中間部318の周囲に配置される。
【0068】
拡張可能なメディカルデバイス300の段階的展開を容易にするために、第二の拘束機構304は、中間部318の早期拡張を軽減するように構成されることができる。拡張可能なメディカルデバイス300は、特定の例において、自己拡張性であり、したがって、デリバリー構成から完全展開構成となるように展開するようにバイアスされる。特定の例において、異なる半径方向の力を有する中間部318及び第一のフランジ314及び/又は第二のフランジ316は、展開構成になろうとする中間部318からの力が拡張可能なメディカルデバイス300から第一の拘束機構302を押し付けることになることができる。第二の拘束機構304は、展開構成へと直接展開するのとは対照的に、中間部318を中間構成に展開することにより、中間部318の拡張を低減するように構成されている。
【0069】
第二の拘束機構304は、それに加えられる力に応答して解放するように構成されている。特定の例において、力は、拡張可能なメディカルデバイス300の中間部318内から加えられ、第二の拘束機構304を破壊し、砕き又は膨張させる。特定の例において、第二の拘束機構304はその解放後に拡張可能なメディカルデバイス300の中間部318に結合されたままである。拡張可能なメディカルデバイス300の中間部318は、例えば図6Bに示されるように、第二の拘束機構304の解放後に完全展開構成に展開することができる。
【0070】
図6Aは、本開示の様々な態様による、中間構成の拡張可能なメディカルデバイス600及び拘束機構602を示す。拡張可能なメディカルデバイス600は、フランジ形状を有する第一の端部604、フランジ形状を有する第二の端部606及びそれらの間に延在している中間部608を含むことができる。
【0071】
さらに、第一の端部604、第二の端部606及び中間部608は長尺要素610のフレームワークによって形成されている。図6Aに示されるように、中間部608における長尺要素610は、第一の端部604及び第二の端部606よりも大きな密度を備える。拡張可能なメディカルデバイス600は、カバリング材料612(本明細書では「カバリング」とも呼ばれる)を含むことができる。特定の例において、カバリング材料612は、第一の端部604、第二の端部606及び中間部608の一部又はすべてに配置される。中間部608における長尺要素610は、第一の端部604及び第二の端部606よりも大きな集結性又はより大きいワインディングを含む。したがって、中間部608は、第一の端部604及び第二の端部606よりも半径方向の力に対する抵抗が大きい。特定の例において、中間部608及び第一の端部604及び第二の端部606における長尺要素610の密度の差は、第一の端部604及び第二の端部606に、第一の端部604及び第二の端部606よりも大きい半径方向拡張力を有する中間部608を生じさせる。
【0072】
さらに、特定の場合において、中間部608は、デリバリー(拘束)構成の第一の端部604及び第二の端部606の一方又は両方の半径方向拡張力より大きい半径方向拡張力を備える。拡張可能なメディカルデバイス600は、第一の拘束機構を解放することにより展開される(例えば、図3に示されるとおり)。図6Aに示される拘束機構602などの第二の拘束機構は、第一の拘束機構の解放に応答して、拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608の拡張を低減するように構成されうる。特定の例において、図6Aに示されるように、第二の拘束機構602は、拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608を横切って延在するように配置されうる。さらに、図6Aに示されるように、第二の拘束機構602は、第一の拘束機構の解放に応答して、拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608を、デリバリー構成(図2及び3に示す)と図6Bに示す完全展開構成との間の中間構成へと展開するように構成されている。
【0073】
拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608を中間構成に展開することに加えて、第一の拘束機構の解放後に、第一の端部604及び第二の端部606は展開構成に展開される(例えば、図3~5)。
【0074】
中間構成において、拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608は、展開構成における拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608の直径よりも小さい直径を備えることができる。中間構成における中間部608の直径は、展開構成における中間部608の直径よりも約40%~80%小さくてよい。第二の拘束機構602は、第二の拘束機構602が解放されるまで中間部608を中間構成に拘束することができる。例えば、第二の拘束機構602は、拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608を解放しそして完全展開構成まで展開するように構成されている。第二の拘束機構602はそれに加えられる力に応答して解放される。特定の例において、力は拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608内に加えられる半径方向の力であることができる。さらに、力は膨張可能なバルーン又は拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608内で加えられる他の力によって加えることができる。
【0075】
第二の拘束機構602は、力に応答して解放、破裂、膨張又はさもなければ破損することができる。さらに、第二の拘束機構602は、それに力が加えられた後に、拡張可能なメディカルデバイス600に結合されたままであり、第一の拘束機構は、それに応答して拡張可能なメディカルデバイス600を展開しそして拡張可能なメディカルデバイス600から結合解除するように構成されることができる。第二の拘束機構602は拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608の周囲を包囲するか又は囲い込むことができる。さらに、第二の拘束機構602は、可撓性フィルム(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)から形成されている)であることができ、そして拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608の1つ以上の部分に医療用接着剤(例えば、フッ化エチレンプロピレン(FEP)、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン及びフッ化ビニリデンのポリマー(THV)及びその他の生体適合性接着剤)により取り付けられることができ(そして第一の拘束機構の解放後も取り付けられたままであることができる)。
【0076】
上述のように、中間部608は、拘束(デリバリー)構成における第一の端部604及び第二の端部606の一方又は両方の半径方向拡張力より大きい半径方向拡張力を備える。したがって、第二の拘束機構602は拡張可能なメディカルデバイス600の早期展開を軽減するように構成されうる。中間部608は、使用者が張力を加えて第一の拘束機構を取り外すことなく、第一の拘束機構(図示せず)を拡張可能なメディカルデバイス600から取り外し/解放させうる第一の端部604及び第二の端部606の一方又は両方の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を有する。第二の拘束機構602は、中間部608の拡張を低減するように構成されており、それにより、使用者が第一の拘束機構を取り外すことなく、中間部608が拡張可能なメディカルデバイス600から第一の拘束機構を押す可能性を軽減することができる。
【0077】
さらに、第二の拘束機構602は、第一の拘束機構(その解放前)と拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608との間に配置されうる。さらに、第二の拘束機構602は、図5Aに示されるように、拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608の境界内に配置されうる。拡張可能なメディカルデバイス600は第一の端部604と中間部608との間に第一の内曲領域614と、第二の端部606と中間部608との間に第二の内曲領域616とを含むことができる。第一の内曲領域614及び第二の内曲領域616はそれぞれ、第一の端部604及び第二の端部606までの中間部608の実質的に筒形状を遷移していることができる。さらに、第二の拘束機構602は第一の内曲領域614と第二の内曲領域616との間に延在するように配置されうる。第一の内曲領域614と第二の内曲領域616との間に延在しているが、それらを覆っていない第二の拘束機構602は、拡張可能なメディカルデバイス600の各部分の段階的な展開を維持しながら、第一の端部604及び第二の端部606に干渉又は侵入しないことにより、第一の端部604及び第二の端部606の展開を容易にすることができる。
【0078】
特定の例において、拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608は、例えば、長尺要素610(又は他の同様の構造)の正弦波の振幅、角度、列ごとの頂点の数、列の数及び/又はワイヤ直径を変えることにより、調整された半径方向強度を有するように構成される。さらに、拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608は周囲組織からの円周方向の負荷に抵抗する半径方向強度を備える。特定の例において、拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608の半径方向強度は、中間部608の外側の組織の再構築を促進し、サイズが中間部608の外径に近似するようになる。拡張可能なメディカルデバイス600(及び本明細書で議論される他の拡張可能なメディカルデバイス)が吻合を形成するために移植されるときに、中間部608の半径方向強度は周囲組織によって加えられるフープ力に対する抵抗を提供することができる。したがって、拡張可能なメディカルデバイス600は所望の寸法で開放管腔を実質的に維持する。
【0079】
図6Bは、本開示の様々な態様による、完全展開構成の図6Aに示された拡張可能なメディカルデバイス600を示す。拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608は第二の拘束機構602によってもはや拘束されていない。したがって、中間部608は完全に展開された構成にある。図6A及び図6Bで比較して示されるように、中間部608は、中間構成からより大きな直径に拡張する。第二の拘束機構602は、特定の例において、拘束力の解放後に、拡張可能なメディカルデバイス600の中間部608に結合されたままである。
【0080】
拡張可能なメディカルデバイスは、本明細書で論じられるように、2つの領域間の接続を形成することができる。接続は、本明細書において、「シャント」、「通路」、「シャント通路」又は「トンネル」とも呼ぶことがある。特定の例において、本明細書で論じられる拡張可能なメディカルデバイスは移植後に除去可能に構成される。例えば、拡張可能なメディカルデバイスは、胆嚢及び/又はその関連する管の閉塞がなくなるまで埋め込まれ、所定の位置に留まり、その後に、デバイスは除去されうる。別の例において、拡張可能なメディカルデバイスは、身体がデバイスの周囲の組織吻合を成長させるまで埋め込まれたままとすることができ、その後にデバイスを除去する。他の例において、デバイス内及び/又はデバイス周囲の組織の内部成長は拡張可能なメディカルデバイスを永久的に埋め込み、拡張可能なメディカルデバイスは除去されない。本明細書で議論される拡張可能なメディカルデバイスは、他のタイプの治療(例えば、胆嚢除去手術)の適切な候補ではない患者のための、及び/又は他のタイプの治療(例えば、外部胆道ドレナージ)の既知の合併症を避けるための代替治療を提供することができる。
【0081】
特定の例において、拡張可能なメディカルデバイスの長尺要素又はフレームワークをさまざまな方法で処理して、拡張可能なメディカルデバイスの放射線不透過性を高め、放射線の視覚化を強化することができる。幾つかの実施形態において、拡張可能なメディカルデバイスは、少なくとも部分的に、放射線不透過性が強化された材料などの、コアに異なる材料を含む、ドローフィルタイプのNiTiである。幾つかの実施形態において、デバイスは、拡張可能なメディカルデバイスの少なくとも一部に放射線不透過性のクラディング又はめっきを含む。特定の例において、1つ以上の放射線不透過性マーカーは拡張可能なメディカルデバイスに取り付けられている。特定の例において、本明細書で提供される拡張可能なメディカルデバイスの長尺要素及び/又は他の部分はまた、超音波で見ることができ、エコー輝度が高められた部分を含むことができる。
【0082】
さらに、拡張可能なメディカルデバイス上に配置されるカバリング材料は、一般的に流体不透過性であることができる。例えば、カバリング材料は、血液、胆汁及び/又は他の体液及び材料がカバリング材料を通過するのを阻害又は低減する材料から作製されうる。特定の例において、カバリング材料は、組織の内部成長及び/又はカバリング材料への内皮化又は上皮化を阻害又は防止する材料組成及び構成を有する。さらに、カバリング材料は、将来のある日に拡張可能なメディカルデバイスが患者からより容易に除去されるように、組織の内部成長及び/又は内皮化を抑制又は防止するように構成されることができる。特定の例において、カバリング材料又はその一部は、拡張可能なメディカルデバイスの耐久性のあるシーリング及び/又は補足的なアンカリング強度のための組織内部成長の足場を提供する微孔質構造を含むことができる。
【0083】
カバリング材料及び拘束機構はフルオロポリマー膜、例えば、延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)ポリマー、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)又はポリ酢酸ビニリデン(PVDA)を含むことができる。他の例において、カバリング材料はポリエステル、シリコーン、ウレタン、生体適合性ポリマー、ポリエチレンテレフタレート(例えば、ダクロン(登録商標))、生体吸収性材料、コポリマー又はそれらの組み合わせを含む。さらに、カバリング材料は生体吸収性ウェブを含むことができる。Bacinoらの米国特許第7,306,729号明細書、Goreの米国特許第3,953,566号明細書、Bacinoの米国特許第5,476,589号明細書又はBrancaらの米国特許第5,183,545号明細書に記載された方法に従って調製される延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜はここでカバリング材料として使用されうる。さらに、Brancaの米国特許第5,708,044号明細書、Baillieの米国特許番号6,541,589号明細書、Sabolらの米国特許第7,531,611号明細書、Fordの米国特許第8,637,144号明細書及びXuらの米国特許第9,139,669号明細書に記載されているような、延伸変性PTFE及び延伸PTFEコポリマーはここで使用されることができる。他の実施形態において、生体吸収性材料はまた、生体吸収性材料が吸収されるまで拡張可能なメディカルデバイスと組織との間の付着を促進することにより、移行防止性特徴を提供することができる。
【0084】
カバリング材料(又はその一部)はコーティングの1つ以上の特性を向上させる1つ以上の化学的又は物理的プロセスによって変性されうる。例えば、親水性コーティングはカバリング材料に適用して、カバリングの濡れ性及びエコー半透明性を改良することができる。特定の例において、カバリング材料又はその一部は、内皮細胞付着、内皮細胞遊走、内皮細胞増殖及び血栓症に対する抵抗性又は促進の1つ以上を促進する化学部分により変性されうる。特定の例において、カバリング材料又はその一部は生物付着に抵抗するように変性されうる。さらに、カバリング材料又はその一部は1つ以上の共有結合した医薬物質(例えば、ヘパリン、抗生物質など)により変性され、又は、1つ以上の医薬物質で含浸されることができる。医薬物質は、インサイチュで放出されて、治癒を促進し、組織の炎症を軽減し、感染を軽減又は抑制し、そして他の様々な治療的処置及び結果を促進することができる。幾つかの実施形態において、医薬物質は、限定するわけではないが、コルチコステロイド、ヒト成長因子、抗有糸分裂剤、抗血栓剤、幹細胞材料又はデキサメタゾンリン酸ナトリウムであることができる。さらに、薬剤をカバリング材料とは別に標的部位にデリバリーして、組織治癒又は組織成長を促進することができる。
【0085】
当業者は、本開示の様々な態様が、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現できることを容易に理解するであろう。また、本明細書で言及される添付の図は必ずしも縮尺通りではなく、本開示の様々な態様を示すために誇張される場合があり、その点で、図は限定するものと解釈されるべきではないことにも留意されたい。
(態様)
(態様1)
第一の端部、第二の端部及びそれらの間の中間部を含む拡張可能なメディカルデバイスと、
前記拡張可能なメディカルデバイスを解放可能に拘束するように構成されている第一の拘束機構と、
前記拡張可能なメディカルデバイスと前記第一の拘束機構との間に配置されており、そして前記第一の拘束機構の解放に応答して前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部の拡張を低減するように構成されている第二の拘束機構と、
を含み、ここで、前記中間部は前記第一の端部及び第二の端部の少なくとも一方の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を有する、メディカルデバイスシステム。
(態様2)
前記第一の拘束機構及び第二の拘束機構は、前記第一の拘束機構の解放に応答して、前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部を中間構成に展開し、そして前記拡張可能なメディカルデバイスの第一の端部及び第二の端部を展開構成に展開するように構成されている、態様1記載のシステム。
(態様3)
前記第二の拘束機構は、前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部を解放して展開構成に展開するように構成されている、態様2記載のシステム。
(態様4)
前記第二の拘束機構は、それに加えられた力に応答して解放するように構成されている、態様3記載のシステム。
(態様5)
前記力は前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部内に加えられる半径方向の力であり、そして前記第二の拘束機構は、力が加えられた後に、前記拡張可能なメディカルデバイスに結合されたままになるように構成されている、態様4記載のシステム。
(態様6)
前記第一の端部は第一のフランジを含み、前記第二の端部は第二のフランジを含み、そして前記中間部は実質的に筒形状を含む、態様1記載のシステム。
(態様7)
前記拡張可能なメディカルデバイスは、前記第一のフランジと前記中間部との間の第一の内曲領域、前記第二のフランジと前記中間部との間の第二の内曲領域を含み、そして前記第二の拘束機構は、前記第一の内曲領域と前記第二の内曲領域との間に配置されている、態様6記載のシステム。
(態様8)
前記第二の拘束機構は前記拡張可能なメディカルデバイスに結合されており、そして前記第一の拘束機構は前記第一の拘束機構に加えられた張力に応答して、前記拡張可能なメディカルデバイスを展開しそして前記拡張可能なメディカルデバイスから結合解除するように構成されている、態様1記載のシステム。
(態様9)
前記第一の拘束機構は、前記拡張可能なメディカルデバイスを実質的に筒形のデリバリー構成に、解放可能に拘束するように構成されている、態様1記載のシステム。
(態様10)
前記第一の拘束機構は、前記拡張可能なメディカルデバイスの近位端から前記拡張可能なメディカルデバイスの遠位端まで延在し、前記拡張可能なメディカルデバイスの近位端に向かって戻って延在している、態様9記載のシステム。
(態様11)
第一のフランジ、第二のフランジ及びそれらの間の中間部、デリバリー構成及び展開構成を有するメディカルデバイスを展開するためのシステムであって、前記システムは、
前記メディカルデバイスをデリバリー構成に拘束するように構成されている第一の拘束
機構であって、前記第一の拘束機構の解放に応答して、前記第一のフランジ及び第二のフランジを前記展開構成に展開するように構成されている第一の拘束機構と、
前記メディカルデバイスと前記第一の拘束機構との間に配置されており、前記第一の拘束機構の解放に応答して、前記メディカルデバイスの中間部を中間構成に維持するように構成されている第二の拘束機構と、
を含む、システム。
(態様12)
前記中間部は前記第一のフランジ及び第二のフランジの少なくとも一方の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を備える、態様11記載のシステム。
(態様13)
前記第二の拘束機構は前記メディカルデバイスに結合されそして前記中間部に固定されている、態様11記載のシステム。
(態様14)
前記第二の拘束機構は前記メディカルデバイスの中間部の周囲に配置されている、態様11記載のシステム。
(態様15)
前記中間構成における中間部の直径は、前記展開構成における中間部の直径よりも約40%~80%小さい、態様11記載のシステム。
(態様16)
前記第一の拘束機構は前記第一の拘束機構の解放に応答して前記メディカルデバイスを展開しそして前記メディカルデバイスから結合解除されるように構成されている、態様11記載のシステム。
(態様17)
デリバリー構成及び展開構成を有する拡張可能なメディカルデバイスを展開する方法であって、前記方法は、
第一の端部、第二の端部及びそれらの間の中間部を含む拡張可能なメディカルデバイスを標的位置に配置することと、
第一の拘束機構を解放して、前記第一の端部及び第二の端部を前記展開構成に展開し、前記中間部を中間構成に展開することと、
第二の拘束機構を解放して、前記中間部を前記展開構成に展開することと、
を含み、ここで、前記中間部は前記第一の端部の半径方向拡張力よりも大きい半径方向拡張力を有する、方法。
(態様18)
前記第二の拘束機構を解放することは、前記第二の拘束機構に力を加えて、前記中間部を前記中間構成から前記展開構成に展開することを含む、態様17記載の方法。
(態様19)
前記中間構成における中間部の直径は前記展開構成における中間部の直径よりも約40%~80%小さい、態様17記載の方法。
(態様20)
前記第一の拘束機構を解放することは、前記拡張可能なメディカルデバイスから前記第一の拘束機構を結合解除することを含み、そして前記第二の拘束機構を解放することは、前記拡張可能なメディカルデバイスの中間部に取り付けられた第二の拘束機構の少なくとも一部を維持することを含む、態様17記載の方法。
図1
図2
図2A-2B】