(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0242 20230101AFI20241217BHJP
【FI】
G06Q30/0242
(21)【出願番号】P 2023117892
(22)【出願日】2023-07-19
【審査請求日】2024-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 良希
(72)【発明者】
【氏名】實原 弘亮
(72)【発明者】
【氏名】江島 昇太
(72)【発明者】
【氏名】安部 斉志
(72)【発明者】
【氏名】土屋 一輝
【審査官】佐藤 敬介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-187697(JP,A)
【文献】特開2019-045899(JP,A)
【文献】特開2018-156306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の広告群の各々に含まれる広告毎に
前記広告が提供されたユーザによる特定行動への貢献度
である広告単位貢献度
を前記広告が提供されたユーザによる前記特定行動の数に基づいて算出する第1算出部と、
前記第1算出部によって算出された前記広告毎の前記広告単位貢献度
を前記広告群毎に合計した結果を前記複数の広告群の各々の前記
特定行動への貢献度
である広告群単位貢献度として算出する第2算出部と、
前記第2算出部によって算出された前記広告群の前記広告群単位貢献度と、前記広告群に含まれる複数の広告の配信に対する予算の額との関係を示す情報である特性情報を
数理モデルまたは機械学習モデルを用いて前記広告群毎に生成する生成部と、を備える
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1算出部は、
予め定められた期間毎に前記広告単位貢献度を算出し、
前記第2算出部は、
前記予め定められた期間毎に前記広告群単位貢献度を算出し、
前記生成部は、
前記予め定められた期間毎の前記広告群単位貢献度と前記予め定められた期間毎の前記予算の額とに基づいて、前記特性情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1算出部は、
前記予算の額毎に前記広告単位貢献度を算出し、
前記第2算出部は、
前記予算の額毎に前記広告群単位貢献度を算出し、
前記生成部は、
前記予算の額毎の前記広告群単位貢献度に基づいて、前記特性情報を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
広告主によって設定された前記複数の広告群に対する予算の額と、前記生成部によって生成された前記複数の広告群の各々の前記特性情報とに基づいて、前記複数の広告群の各々の予算の額を決定する決定部を備える
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、
前記複数の広告群に対する予算の額内で前記複数の広告群の各々の前記特性情報における前記複数の広告群の前記広告群単位貢献度の総和が最大または最大から予め定められた条件の範囲内となる前記複数の広告群の各々の予算を決定する
ことを特徴とする請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、
前記広告群の予算の額を増加または減少させたときの前記広告群単位貢献度の変化に基づいて、前記複数の広告群に対する予算の額内において前記複数の広告群の各々の予算の額を決定する
ことを特徴とする請求項
4に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記
特定行動は、
コンバージョンまたはエンゲージメントである
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
複数の広告群の各々に含まれる広告毎に
前記広告が提供されたユーザによる特定行動への貢献度
である広告単位貢献度
を前記広告が提供されたユーザによる前記特定行動の数に基づいて算出する第1算出工程と、
前記第1算出工程によって算出された前記広告毎の前記広告単位貢献度
を前記広告群毎に合計した結果を前記複数の広告群の各々の前記
特定行動への貢献度
である広告群単位貢献度として算出する第2算出工程と、
前記第2算出工程によって算出された前記広告群の前記広告群単位貢献度と、前記広告群に含まれる複数の広告の配信に対する予算の額との関係を示す情報である特性情報を
数理モデルまたは機械学習モデルを用いて前記広告群毎に生成する生成工程と、を含む
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
複数の広告群の各々に含まれる広告毎に
前記広告が提供されたユーザによる特定行動への貢献度
である広告単位貢献度
を前記広告が提供されたユーザによる前記特定行動の数に基づいて算出する第1算出手順と、
前記第1算出手順によって算出された前記広告毎の前記広告単位貢献度
を前記広告群毎に合計した結果を前記複数の広告群の各々の前記
特定行動への貢献度
である広告群単位貢献度として算出する第2算出手順と、
前記第2算出手順によって算出された前記広告群の前記広告群単位貢献度と、前記広告群に含まれる複数の広告の配信に対する予算の額との関係を示す情報である特性情報を
数理モデルまたは機械学習モデルを用いて前記広告群毎に生成する生成手順と、をコンピュータに実行させる
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの飛躍的な普及に伴い、インターネットを介した広告配信が盛んに行われている。このような広告配信の一例として、過去の入札実績に基づいて広告枠に対する入札額を制御することで、広告利益を最大化する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の広告枠に対する自動入札では、例えば、スレッショルドCPA(Cost Per Action)などといった広告主が設定した獲得単価に対してCVR(ConVersion Rate)の予測値を乗算することで、入札額が決定される。そして、広告主が設定した予算が消化されるまで広告の配信が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、予算の額の設定を支援する点で改善の余地がある。例えば、小規模な予算で広告の配信を行って、広告のパフォーマンス(例えば、コンバージョンなど)を評価し、かかる評価結果に基づいて、予算を設定する場合、予算の額で広告のパフォーマンスが変化する場合に対応することが難しい場合がある。
【0006】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、広告の配信のための予算を適切に設定するための支援を行うことができる情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の情報処理装置は、第1算出部と、第2算出部と、生成部とを備える。第1算出部は、複数の広告群の各々に含まれる広告毎に特定目標への貢献度を広告単位貢献度として算出する。第2算出部は、第1算出部によって算出された広告毎の広告単位貢献度に基づいて、複数の広告群の各々の特定目標への貢献度を広告群単位貢献度として算出する。生成部は、第2算出部によって算出された広告群の広告群単位貢献度と、広告群に含まれる複数の広告の配信に対する予算の額との関係を示す情報である特性情報を広告群毎に生成する。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、広告の配信のための予算を適切に設定するための支援を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る情報処理装置のユーザ情報記憶部に記憶されるユーザ情報テーブルの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る情報処理装置の広告主情報記憶部に記憶される広告主情報テーブルの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理装置のキャンペーン情報記憶部に記憶されるキャンペーン情報テーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置の広告配信履歴記憶部に記憶される広告提供履歴テーブルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る広告群単位貢献度と広告主が設定した予算の額との変化の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施形態に係る情報処理装置の生成部によって生成された特性情報の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、実施形態に係る情報処理装置の決定部による複数の広告群の各々の予算の額の決定の様子の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、実施形態に係る情報処理装置の決定部による複数の広告群の各々の予算の額の決定方法の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る情報処理装置の決定部による複数の広告群の各々の予算の額の決定方法の他の例を示す図である。
【
図13】
図13は、実施形態に係る情報処理装置の処理部による情報処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施形態に係る情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムが限定されるものではない。また、各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.情報処理の一例〕
まず、
図1を用いて、実施形態に係る情報処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理の一例を示す図であり、情報処理装置1によって実行される。
【0012】
情報処理装置1は、広告主Oによって設定された複数の広告群の各々に含まれる広告毎に特定目標への貢献度を広告単位貢献度として算出し、広告毎の広告単位貢献度に基づいて複数の広告群の各々の特定目標への貢献度を広告群単位貢献度として算出する。そして、情報処理装置1は、広告群の広告群単位貢献度と、広告群に含まれる複数の広告の配信に対する予算の額との関係を示す情報である特性情報を広告群毎に生成する。
【0013】
広告主Oによって設定される広告群は、広告主Oによって設定される広告キャンペーンに含まれる広告群であり、例えば、複数の広告を含む。各広告は、例えば、広告対象となる取引対象などを広告するためのコンテンツであり、広告コンテンツとも呼ばれる。
【0014】
特定目標は、例えば、端末装置2のユーザUによるコンバージョンやエンゲージメントなどのユーザUによる特定行動である。コンバージョンは、目標(例えば、コンバージョンゴール)への到達に関する指標である。かかるコンバージョンの種類は、例えば、広告対象となる取引対象の購入、広告対象となる取引対象の利用、広告対象となる会員サービスへの登録、または広告対象となるサイトの訪問などであるが、かかる例に限定されない。取引対象は、例えば、商品やサービスなどである。
【0015】
また、コンバージョンの種類は、広告対象となるメール配信への登録、広告対象となるオンラインサービスのアカウント登録、広告対象となる資料の請求、広告対象となる実店舗への訪問などであってもよく、その他の行動であってもよい。
【0016】
エンゲージメントは、例えば、広告対象にどの程度積極的に関与しているかを表す指標であり、エンゲージメントの種類は、例えば、SNS(Social Network Service)などでのシェア、いいね、投稿などであるが、かかる例に限定されない。
【0017】
ユーザUのどのような行動をコンバージョンやエンゲージメントとするかは任意の設定が可能である。例えば、各広告について、ユーザUのどのような行動をコンバージョンやエンゲージメントとみなすかは、情報処理装置1の管理者や広告主Oなどによって個別に設定される。なお、コンバージョンは、エンゲージメントを含む概念であってもよい。
【0018】
まず、情報処理装置1は、端末装置3から送信される広告キャンペーン情報を受信し、受信した広告キャンペーン情報を受け付ける(ステップS1)。
【0019】
広告主Oは、端末装置3を操作し、1以上の広告キャンペーンの情報を端末装置3に入力することができる。端末装置3は、広告主Oから入力された1以上の広告キャンペーンの情報を含む情報を広告キャンペーン情報として情報処理装置1に送信する。
【0020】
図1に示す例では、広告キャンペーン情報には、広告キャンペーンCamp1の情報と広告キャンペーンCamp2の情報と広告キャンペーンCamp3の情報とが含まれる。広告キャンペーンCamp1の情報には、広告A1,B1,C1を含む広告群の情報が含まれ、広告キャンペーンCamp2の情報には、広告A2,B2,C2を含む広告群の情報が含まれ、広告キャンペーンCamp3の情報には、広告D,E,Fを含む広告群の情報が含まれる。
【0021】
以下において、広告キャンペーンCamp1,Camp2,Camp3の各々を個別に区別せずに示す場合、広告キャンペーンCampと記載する場合がある。また、広告A1,A2の各々を個別に区別せずに示す場合、広告Aと記載する場合があり、広告B1,B2の各々を個別に区別せずに示す場合、広告Bと記載する場合があり、広告C1,C2の各々を個別に区別せずに示す場合、広告Cと記載する場合がある。
【0022】
広告キャンペーンCampの情報には、広告群の情報に加えて、特定目標の情報、ターゲットとなるユーザUの属性(例えば、年齢、性別、地域、興味、消費行動など)の情報、広告配信の予算の額を示す情報、各広告の獲得単価を示す情報などが含まれるが、かかる例に限定されない。
【0023】
広告配信の予算の額を示す情報は、例えば、予め定められた期間TB(例えば、1日、3日、または1週間など)毎の予算の額を示す情報が含まれるが、かかる例に限定されない。例えば、広告配信の予算の額を示す情報は、広告主Oが設定した期間毎の予算の額を示す情報が含まれてもよく、広告主Oが設定した予算の額が異なる期間毎を示す情報であってもよい。
【0024】
広告の獲得単価は、例えば、スレッショルドCPA(Cost Per Acquisition)であり、広告主Oによって設定される。かかる獲得単価は、広告配信の自動入札において入札額を決定する際に用いられる。なお、広告の獲得単価は、過去の広告の配信実績に基づいて、情報処理装置1などによって決定されてもよい。
【0025】
広告A,B,Cは、商品X1を広告対象とする広告である。また、広告D,E,Fは、商品X2を広告対象とする広告である。なお、各広告キャンペーンCamp1,Camp2,Camp3に含まれる広告の数は、3つに限定されず、2つ以下または4つ以上であってもよい。
【0026】
各広告A,B,C,D,E,Fの配信種別は、例えば、ブロード配信広告、興味ターゲティング広告、またはリターゲティング広告のいずれかである。例えば、広告A,Dの広告配信種別は、ブロード配信広告であり、広告B,Eの広告配信種別は、興味ターゲティング広告であり、広告C,Fの広告配信種別は、興味ターゲティング広告であるが、かかる例に限定されない。
【0027】
ブロード配信広告は、例えば、ユーザUの興味や関心などを絞らずに提供される広告である。興味ターゲティング広告は、例えば、ユーザUの興味や関心に基づいて提供される広告である。リターゲティング広告は、例えば、広告対象となる取引対象のウェブサイトやウェブページなどに訪れたことがあるユーザUに提供される広告である。なお、広告の提供とは、例えば、広告のユーザUへの提示であるが、ユーザUによる広告の選択(例えば、クリック)による広告のリンク先への遷移を含んでいてもよい。
【0028】
また、各広告A,B,C,D,E,Fの形式種別は、例えば、バナー広告、リスティング広告、ネイティブ広告、ソーシャルメディア広告、または動画広告などであるが、かかる例に限定されない。また、各広告A,B,C,D,E,Fの配信種別も上述した例に限定されない。
【0029】
図1に示す例では、端末装置2のユーザUが商品Xを購入することを特定目標としてのコンバージョンの一例とし、情報処理装置1は、商品Xの購入回数をコンバージョン数として、各広告の貢献度である広告単位貢献度と各広告群の貢献度である広告群単位貢献度とを算出する。商品Xは、広告主Oの商品であり、広告キャンペーンCamp1,Camp2の場合は、商品X1であり、広告キャンペーンCamp3の場合は、商品X2である。なお、以下ではコンバージョンに至ったユーザUを「該当ユーザ」と記載する場合がある。
【0030】
つづいて、情報処理装置1は、端末装置2から送信される広告要求を受け付け(ステップS2)、広告配信の入札処理を行う(ステップS3)。情報処理装置1は、ステップS3において、広告要求を送信した端末装置2のユーザUの情報(例えば、ユーザUの属性の情報やユーザUの行動履歴の情報など)などに基づいて、特定目標に到達する確率の予測値である特定目標到達率の予測値(例えば、CVR予測値やエンゲージメント率の予測値)を算出する。
【0031】
ステップS3で算出される特定目標到達率の予測値は、例えば、広告要求を送信した端末装置2のユーザUによる商品Xの購入確率の予測値である。情報処理装置1は、例えば、広告キャンペーンCampの各広告の獲得単価に特定目標到達率の予測値を乗算して得られる値を各広告の入札額として決定し、決定した各広告の入札額を用いて各広告の入札処理を行う。
【0032】
情報処理装置1は、広告要求を送信した端末装置2を入札処理によって配信対象とする広告を決定し、決定した広告を、広告要求を送信した端末装置2に対して配信する(ステップS4)。ステップS2~S4の処理は、繰り返し行われ、各広告キャンペーンCampに含まれる各広告の配信が行われる。
【0033】
情報処理装置1は、ステップS4などにおいて、ユーザUへの広告の配信履歴の情報を内部の記憶部などに記憶する。また、情報処理装置1は、商品Xを販売するショッピングサイトなどから、ユーザUによる商品Xの購入履歴の情報を収集し、収集した商品Xの購入履歴の情報を内部の記憶部などに記憶する。
【0034】
つづいて、情報処理装置1は、各広告A1,B1,C1,A2,B2,C2,D,E,Fの広告単位貢献度を算出する(ステップS5)。情報処理装置1は、例えば、予め定められた期間TB毎または広告主Oが設定した期間毎(例えば、広告主Oが設定した予算の額が異なる期間毎)に各広告A1,B1,C1,A2,B2,C2,D,E,Fの広告単位貢献度を算出する。
【0035】
情報処理装置1は、ステップS5において、コンバージョンに至ったユーザUである該当ユーザに提供された広告の情報をコンバージョン毎に含む提供広告情報を内部の記憶部などから取得する。
【0036】
例えば、情報処理装置1は、該当ユーザが商品Xを購入した時点から所定の期間TA前までに提供された1以上の広告の情報をコンバージョン毎に含む提供広告情報を取得する。所定の期間TAは、例えば、1週間などの期間などであるが、かかる例に限定されず、例えば、ユーザUの属性、商品Xのカテゴリ、コンバージョンの内容などに応じて、適宜設定可能である。
【0037】
また、情報処理装置1は、該当ユーザが商品Xを購入した時点から所定の期間TA前までに提供された広告の組み合わせ毎のコンバージョンに関する情報を含む提供広告情報を取得することもできる。以下において、広告の組み合わせを広告組み合わせと記載する場合がある。
【0038】
広告組み合わせの種類は、商品X1の購入の場合、6つの広告A1,A2,B1,B2,C1,C2のうちの1以上の広告の組み合わせであり、商品X2の購入の場合、3つの広告D,E,Fのうちの1以上の広告の組み合わせである。以下において、商品X1の購入の場合の広告組み合わせについて主に説明するが、商品X2の購入の場合の広告組み合わせも同様である。
【0039】
例えば、広告組み合わせの種類は、広告A1,A2,B1,B2,C1,C2のうちの1つの広告の組み合わせ、広告A1,A2,B1,B2,C1,C2のうちの2つの広告の組み合わせ、・・・、広告A1,A2,B1,B2,C1,C2の組み合わせなどであるが、かかる例に限定されない。例えば、広告組み合わせは、同じ広告が含まれる組み合わせであってもよい。
【0040】
また、情報処理装置1は、該当ユーザが商品Xを購入した時点から所定の期間TA前までに提供された広告の提供順序毎のコンバージョンに関する情報を含む提供広告情報を取得することもできる。
【0041】
情報処理装置1は、上述した提供広告情報に基づいて、広告組み合わせAG1~AGn毎のコンバージョン数を算出する。nは、例えば、広告組み合わせの総数と同じ値である。
【0042】
例えば、広告組み合わせAGmが広告A1,B2,C2の組み合わせであるとする。この場合、情報処理装置1は、該当ユーザが商品Xを購入した時点から所定の期間TA前までに広告A1,B2,C2が提供された場合にコンバージョンに至った数を集計することで、広告組み合わせAGmのコンバージョン数を算出する。mは、例えば、1以上n未満の値である。以下において、広告組み合わせAG1~AGnの各々を個別に区別せずに示す場合、広告組み合わせAGと記載する場合がある。
【0043】
そして、情報処理装置1は、広告組み合わせAG毎に広告組み合わせAGに含まれる広告のスコアを算出する。例えば、情報処理装置1は、広告組み合わせAGが1つの広告のみの組み合わせである場合、広告組み合わせAGに含まれる広告のスコアを、基準値(例えば、1)に広告組み合わせAGのコンバージョン数を乗算して得られる値とする。
【0044】
例えば、広告組み合わせAGが1つの広告A1のみの組み合わせであり、広告A1のみの組み合わせのコンバージョン数が100であるとする。この場合、情報処理装置1は、基準値(例えば、1)に100を乗算して得られる値(例えば、100)を広告A1のスコアとして算出する。1つの広告A1のみの組み合わせの場合、広告A1以外の広告のスコアは0である。
【0045】
また、情報処理装置1は、広告組み合わせAGが2つ以上の広告の組み合わせである場合、広告組み合わせAGに含まれる各広告のスコアを、基準値に重みと広告組み合わせAGのコンバージョン数とを乗算した値にする。重みは、広告数の逆数であり、例えば、2つの広告の組み合わせである場合、1/2であり、3つの広告の組み合わせである場合、1/3である。
【0046】
例えば、広告組み合わせAGに2つの広告A1,B1が含まれ、2つの広告A1,B1の組み合わせのコンバージョン数が100であるとする。この場合、情報処理装置1は、基準値(例えば、1)に1/2と100を乗算して得られる値(例えば、50)を各広告A1,B1のスコアとして算出する。2つの広告A1,B1の組み合わせの場合、広告A1,B2以外の広告のスコアは0である。
【0047】
情報処理装置1は、広告組み合わせAG毎に算出した広告A1,B1,C1,A2,B2,C2のスコアを広告A1,B1,C1,A2,B2,C2毎に集計することで、広告A1,B1,C1,A2,B2,C2毎の広告単位貢献度を算出する。例えば、広告組み合わせAG毎に算出した広告A1のスコアがスコアSA11~SA1nであるとする。この場合、広告Aの広告単位貢献度は、スコアSA11~SA1nの合計値である。
【0048】
また、情報処理装置1は、2つ以上の広告の組み合わせである場合、広告組み合わせに含まれる2つの広告のスコアを均等の重みに代えて、広告提供順序に応じた重みとすることもできる。
【0049】
広告提供順序は、該当ユーザへの広告の提供順序である。例えば、該当ユーザが商品Xを購入した時点から所定の期間TA前までに該当ユーザに広告X、広告Y、広告Zの順に提供された場合、広告提供順序は、広告X、広告Y、広告Zの順である。各広告X,Y,Zは、例えば、広告A1,B1,C1,A2,B2,C2のうちの互いに異なる広告などであるが、広告X,Y,Zの一部または全部が同じ広告であってもよい。
【0050】
また、所定の期間TAに該当ユーザに提供された1以上の広告が広告X,Yの順である場合、広告提供順序は、広告X、広告Yの順である。また、所定の期間TAに該当ユーザに提供された1以上の広告が広告X(広告Xは、広告A1,B1,C1,A2,B2,C2のいずれか1つ)のみである場合、広告提供順序は、広告Xのみである。
【0051】
この場合、情報処理装置1は、提供広告情報に基づいて、広告提供順序毎のコンバージョン数を算出する。そして、情報処理装置1は、広告提供順序毎に広告提供順序に含まれる広告のスコアを算出する。
【0052】
例えば、広告提供順序として広告提供順序AO1~AOpがある場合、情報処理装置1は、広告提供順序AO1~AOpの各々のコンバージョン数を算出する。pは、例えば、広告提供順序の総数と同じ値である。以下において、広告提供順序AO1~AOpの各々を個別に区別せずに示す場合、広告提供順序AOと記載する場合がある。
【0053】
情報処理装置1は、該当ユーザが商品Xを購入した時点に提供タイミングが近い広告ほど重み付けを高くして得られる値にコンバージョン数を乗算した値を広告のスコアとして算出することができる。
【0054】
この場合、重みは、例えば、合計で1になるように設定される。例えば、広告提供順序AOが広告A1、広告B1、広告C2の順である場合、広告A1の重みは、例えば、0.2であり、広告B1の重みは、例えば、0.3であり、広告C2の重みは、例えば、0.5であるが、かかる例に限定されない。
【0055】
広告提供順序AOmが広告A1、広告B1、広告C2の順であり、広告A1、広告B1、広告C2の重みが0.15,0.3,0.55であり、広告提供順序AOmのコンバージョン数が100であるとする。この場合、広告提供順序AOmにおいて、広告A1のスコアは15であり、広告B1のスコアは、30であり、広告C2のスコアは、55である。なお、広告提供順序AOmにおいて、広告A2,B2,C2以外の広告のスコアは0である。
【0056】
そして、情報処理装置1は、広告提供順序AO毎に算出した広告A1,B1,C1,A2,B2,C2のスコアを広告A1,B1,C1,A2,B2,C2毎に集計することで、広告A1,B1,C1,A2,B2,C2毎の広告単位貢献度を算出する。例えば、広告提供順序AO毎に算出した広告A1のスコアがスコアSA11~SA1pであるとする。この場合、広告Aの広告単位貢献度は、スコアSA11~SA1pの合計値である。
【0057】
なお、各広告の広告単位貢献度の算出方法は、上述した算出方法に限定されない。例えば、情報処理装置1は、広告組み合わせAGに応じたコンバージョン数や広告提供順序AOに応じたコンバージョン数を予測する予測モデルを生成し、生成した予測モデルを用いて、各広告の広告単位貢献度を算出することもできる。
【0058】
予測モデルは、例えば、下記式(1)で表される。下記式(1)において、特徴量は、広告組み合わせAGの情報または広告提供順序AOの情報であり、pCVは、予測コンバージョン数である。以下において、広告組み合わせAGの情報および広告提供順序AOの情報の各々を個別に区別せずに示す場合、広告提供関連情報と記載する場合がある。
f(特徴量)=pCV ・・・(1)
【0059】
情報処理装置1は、提供広告情報に基づいて、広告組み合わせAG毎のコンバージョン数または広告提供順序AO毎のコンバージョン数を算出する。
【0060】
そして、情報処理装置1は、広告提供関連情報とコンバージョン数を示す情報とを広告組み合わせ毎に含む学習用情報を生成し、かかる学習用情報を用いて、予測モデルを生成する。情報処理装置1は、生成した予測モデルを用いて、各広告A1,B1,C1,A2,B2,C2の広告単位貢献度を算出する。
【0061】
例えば、予測モデルが、LSTM(Long Short-Term Memory)やGRU(Gated Recurrent Unit)などのRNN(Recurrent Neural Networks)であるとする。この場合、情報処理装置1は、広告提供関連情報を予測モデルに入力し、このときの予測モデルにおけるソフトマックス関数(Softmax function)の出力値に例えばコンバージョン数を乗算することなどによって、広告のスコアを算出する。
【0062】
ソフトマックス関数の出力値は、例えば、階層的アテンション(Hierarchical Attention)の出力にソフトマックス関数が適用されて得られるものであり、広告A1,B1,C1,A2,B2,C2の確率分布で表される。階層的アテンションは、注意機構の一例である。
【0063】
また、予測モデルが、線形回帰モデルやGBDT(Gradient Boosting Decision Tree)などの分類モデルであるとする。この場合、情報処理装置1は、広告提供関連情報を予測モデルに入力し、予測モデルから予測コンバージョン数であるpCVを取得する処理を広告組み合わせAG毎または広告提供順序AO毎に行う。
【0064】
そして、情報処理装置1は、広告組み合わせAG毎のpCVまたは広告提供順序AO毎のpCVを用いて、各広告A1,B1,C1,A2,B2,C2のスコアを算出する処理を広告組み合わせAG毎または広告提供順序AO毎に行う。
【0065】
例えば、情報処理装置1は、複数の広告がユーザUに提供された場合の予測モデルによって予測されるコンバージョン数と、複数の広告のうちの一部がユーザUに提供された場合の予測モデルによって予測されるコンバージョン数とに基づいて、複数の広告の各々のスコアを算出する。
【0066】
情報処理装置1は、予測モデルを用いた場合も、広告組み合わせAGまたは広告提供順序AOに算出した各広告A1,B1,C1,A2,B2,C2のスコアを広告A1,B1,C1,A2,B2,C2毎に集計することで、広告A1,B1,C1,A2,B2,C2毎の広告単位貢献度を算出する。
【0067】
情報処理装置1は、広告A1,B1,C1,A2,B2,C2毎の広告単位貢献度と同様の処理によって、広告D,E,F毎の広告単位貢献度を算出する。なお、上述した例では、商品X1の購入の場合の広告組み合わせと商品X2の購入の場合の広告組み合わせとが異なるものとしたが、かかる例に限定されない。
【0068】
例えば、商品X1と商品X2とが特定の関係を有する商品である場合、商品X1の購入の場合の広告組み合わせと商品X2の購入の場合の広告組み合わせとは同じであってもよい。すなわち、商品X1の購入と商品X2の購入とを同一視して商品Xの購入とみなすことができる。この場合、広告組み合わせの種類は、広告A1,A2,B1,B2,C1,C2,D,E,Fのうちの1つ以上の広告の組み合わせである。特定の関係は、例えば、同一種類の商品、同一カテゴリの商品、またはデザインなどが関連する商品などであるが、かかる例に限定されない。
【0069】
また、広告キャンペーンCamp3において、商品Xは、商品X1であってもよく、広告キャンペーンCamp3は、広告D,E,Fを含む広告群に代えて、商品X1を広告対象とする広告A3,B3,C3を含む広告群を有していてもよい。この場合、広告組み合わせの種類は、広告A1,A2,A3,B1,B2,B3,C1,C2,C3のうちの1つの広告の組み合わせである。なお、上述した例では、コンバージョンでの広告単位貢献度の算出方法を説明したが、エンゲージメントでの広告単位貢献度も、コンバージョンでの広告単位貢献度と同様の算出方法で算出することができる。
【0070】
つづいて、情報処理装置1は、ステップS5で算出した広告毎の広告単位貢献度に基づいて、複数の広告群の各々の特定目標への貢献度を広告群単位貢献度として算出する(ステップS6)。情報処理装置1は、例えば、予め定められた期間TB毎または広告主Oが設定した期間毎(例えば、広告主Oが設定した予算の額が異なる期間毎)に複数の広告群の各々の広告群単位貢献度を算出する。
【0071】
例えば、情報処理装置1は、広告A1,B1,C1の広告単位貢献度を合計することによって、広告A1,B1,C1を含む広告群(広告キャンペーンCamp1の広告群)の広告群単位貢献度を算出する。
【0072】
また、情報処理装置1は、広告A2,B2,C2の広告単位貢献度を合計することによって、広告A2,B2,C2を含む広告群(広告キャンペーンCamp2の広告群)の広告群単位貢献度を算出する。
【0073】
また、情報処理装置1は、広告D,E,Fの広告単位貢献度を合計することによって、広告D,E,Fを含む広告群(広告キャンペーンCamp3の広告群)の広告群単位貢献度を算出する。
【0074】
つづいて、情報処理装置1は、ステップS6によって算出された広告群の広告群単位貢献度と、広告群に含まれる複数の広告の配信に対する予算の額との関係を示す情報である特性情報を広告群毎に生成する(ステップS7)。
【0075】
情報処理装置1は、例えば、数理モデルや機械学習モデルを用いて特性情報を生成することができる。例えば、数理モデルの1つであるVidale&Wolfeモデルを用いて、特性情報を生成する。Vidale&Wolfeモデルは、例えば、下記式(2)で表される。
【0076】
【0077】
上記式(2)において、「dS/dt」は、広告群単位貢献度の時間変化を示し、「A(t)」は、投下する予算の額を示し、「r」は、反応係数を示し、「rA(t)」は、投下する予算の効果を示し、「M-S/M」は、限界作用を示し、「λS」は、自然減衰効果(≒遅延効果)である。
【0078】
このように、Vidale&Wolfeモデルでは、限界効用、広告群単位貢献度の遅延発生などを表現可能であり、微分が可能である。限界効用は、予算の額を増加するほど効果の増分が減少する効果である。限界効用が表現可能であることから、広告群単位貢献度の増加分の減衰を加味することができる。例えば、1万円から2万円に予算増額したときの広告群単位貢献度の増分を、10万円から11万円に予算を増額したときの広告群単位貢献度の増分より大きくすることができる。
【0079】
また、広告群単位貢献度の遅延発生が表現可能であることから、遅れて観測される目標行動(コンバージョンまたはエンゲージメント)の結果も加味され、直前の実績を学習に利用できる。特に広告群単位貢献度はその発生に時間がかかることから相性がよい。また、Vidale&Wolfeモデルでは、予算の額を変更したときの広告群単位貢献の変化分が解析的に求まることから、最適化に利用しやすいという利点がある。
【0080】
情報処理装置1は、ステップS6で算出された広告群単位貢献度の情報と予算の額の情報とを期間毎に含む時系列の履歴情報を用いて、「M」、「λ」、および「r」などのパラメータを広告群毎に推定する。例えば、情報処理装置1は、最尤推定法や最小二乗法などの統計的手法を用いて、「M」、「λ」、および「r」などのパラメータを広告群毎に推定する。なお、履歴情報に含まれる予算の額の情報は、期間内に予算の額の一部しか消化されなかった場合などにおいては、期間内に消化された額の情報または消化された額に調整値を乗算または加算した額の情報などであってもよい。
【0081】
情報処理装置1は、パラメータを推定したVidale&Wolfeモデルを用いて、広告群単位貢献度と予算の額との関係を示す特性情報を広告群毎に生成する。特性情報は、広告群単位貢献度と予算の額とを示す関数グラフの情報であるが、かかる例に限定されない。例えば、情報処理装置1は、パラメータを推定したVidale&Wolfeモデルにおいて予算の額を変化させることで、広告群単位貢献度の変化の予測値を取得することができ、これにより、特性情報を生成することができる。以下において、広告群単位貢献度と予算の額とを示す関数グラフを関数曲線と記載する場合がある。
【0082】
また、情報処理装置1は、ステップS6で算出された広告群単位貢献度の情報と予算の額の情報とを期間毎に含む時系列の履歴情報を学習用情報として用いて、学習を行って機械学習モデルを生成することができる。この場合、広告群単位貢献度の情報は、ラベルの情報として用いられるが、かかる例に限定されない。機械学習モデルは、例えば、LSTMやGRUなどのRNN、線形回帰モデルやGBDTなどの分類モデルなどであるが、かかる例に限定されない。
【0083】
情報処理装置1は、生成した機械学習モデルを用いて、広告群単位貢献度と予算の額との関係を示す特性情報を広告群毎に生成する。特性情報は、広告群単位貢献度と予算の額とを示す関数グラフの情報であるが、かかる例に限定されない。
【0084】
また、情報処理装置1は、ステップS6で算出された広告群単位貢献度の情報と予算の額の情報とを期間毎に含む時系列の履歴情報を用いて、広告群単位貢献度と予算の額とを示す散布図を特性情報として広告群毎に生成することもできる。また、情報処理装置1は、生成した散布図から特性曲線を導出することもできる。
【0085】
つづいて、情報処理装置1は、ステップS7で生成した広告群毎の特性情報を広告主Oの端末装置3に送信する(ステップS8)。端末装置3は、情報処理装置1から送信された広告群毎の特性情報を受信し、受信した広告群毎の特性情報を表示する。これにより、広告主Oは、広告群毎の特性情報からどのように各広告群の予算の額を設定すれば各広告群による広告効果を効率的に設定できるかを把握することができる。
【0086】
広告主Oは、各広告キャンペーンCampの予算の額を変更する場合、端末装置3を操作することによって、広告キャンペーンCampの変更後の予算の額を示す情報を入力する。この場合、端末装置3は、広告キャンペーンCampの変更後の予算の額を示す情報を含む予算変更情報が端末装置3から情報処理装置1に送信する。情報処理装置1は、端末装置3から送信された予算変更情報を受信すると、受信した予算変更情報に基づいて、広告キャンペーンCampの予算の額を変更する。
【0087】
広告主Oは、端末装置3を操作することによって、広告主Oのアカウントにおける総予算の額を示す情報を含む総予算額情報を入力することができる。
図1に示す例では、3つの広告キャンペーンCamp1,Camp2,Camp3の予算の総額である総予算額は、広告主Oのアカウントにおける総予算額以内に設定される。
【0088】
端末装置3は、広告主Oから総予算額情報が入力された場合、かかる総予算額情報を情報処理装置1に送信する(ステップS9)。なお、総予算額情報は、ステップS1における広告キャンペーン情報に含まれてもよく、この場合、ステップS9の処理は行われなくてもよい。
【0089】
情報処理装置1は、端末装置3から送信される総予算額情報を受信した場合、かかる総予算額情報で示される総予算額と、ステップS7で生成した広告群毎の特性情報とに基づいて、複数の広告群の各々の予算の額を決定する(ステップS10)。
【0090】
例えば、情報処理装置1は、総予算額内で複数の広告群の各々の特性情報における複数の広告群の広告群単位貢献度の総和が最大または最大から予め定められた条件の範囲内となる複数の広告群の各々の予算を決定する。以下において、複数の広告群の広告群単位貢献度の総和を総貢献度と記載する場合がある。
【0091】
例えば、総予算額を「Pmax」とし、総貢献度を「Aall」とし、広告キャンペーンCamp1の予算の額を「P1」とし、広告キャンペーンCamp2の予算の額を「P2」とし、広告キャンペーンCamp3の予算の額を「P3」とする。
【0092】
図1に示す例では、総貢献度Aallは、下記式(3)で表される。下記式(3)において、「AT1」は、広告キャンペーンCamp1の広告群の広告群単位貢献度であり、「AT2」は、広告キャンペーンCamp2の広告群の広告群単位貢献度であり、「AT3」は、広告キャンペーンCamp3の広告群の広告群単位貢献度である。
Aall=AT1+AT2+AT3 ・・・(3)
【0093】
この場合、情報処理装置1は、下記式(4)の制約条件の下、最大の総貢献度Aallとなる広告群単位貢献度AT1,AT2,AT3または最大の総貢献度Aallから予め定められた条件の範囲内となる広告群単位貢献度AT1,AT2,AT3を算出する。予め定められた条件の範囲は、例えば、総貢献度Aallの90%~100%までの範囲などであるが、広告主Oによって任意に設定可能である。
Pmax≧P1+P2+P3 ・・・(4)
【0094】
情報処理装置1は、算出した広告群単位貢献度AT1に対応する予算額P1を、広告キャンペーンCamp1の広告群の特性情報から判定する。また、情報処理装置1は、算出した広告群単位貢献度AT2に対応する予算額P2を、広告キャンペーンCamp2の広告群の特性情報から判定する。また、情報処理装置1は、算出した広告群単位貢献度AT3に対応する予算額P3を、広告キャンペーンCamp3の広告群の特性情報から判定する。
【0095】
また、情報処理装置1は、各広告群の予算額P1,P2,P3を増加または減少させたときの広告群単位貢献度の変化(例えば、変化量または変化率)に基づいて、総予算額内において複数の広告群の各々の予算の額を決定することもできる。
【0096】
例えば、情報処理装置1は、下記式(5)を用いて、総予算額内において複数の広告群の各々の予算額P1,P2,P3を決定する。
b(t)=PQ{b(t-1)+η∇g(b(t-1))} ・・・(5)
【0097】
上記式(5)において、「b(t)」は、広告群における今回期間の予算額であり、「b(t-1)」は、広告群における前回期間の予算額であり、「PQ」は、広告群における総予算額の制約への射影であり、「η」は、更新幅である。「∇g(b(t-1))」は、広告群における前回期間の予算額における関数グラフ(特性曲線)の傾きであり、広告群の予算の額を増加または減少させたときの広告群単位貢献度の変化の一例である。ここでの期間は、予め定められた期間TBまたは広告主Oが設定した期間(例えば、広告主Oが設定した予算の額が異なる期間毎)であるが、かかる例に限定されない。
【0098】
情報処理装置1は、各広告群の予算の額を増加または減少させたときの広告群単位貢献度の変化を用いることができ、これにより、確率的なばらつきの影響を受けづらく、安定した予算額の更新を行うことができる。
【0099】
このように、情報処理装置1は、広告主Oによって設定された複数の広告群の各々に含まれる広告毎に特定目標への貢献度を広告単位貢献度として算出し、広告毎の広告単位貢献度に基づいて、複数の広告群の各々の特定目標への貢献度を広告群単位貢献度として算出する。そして、情報処理装置1は、広告群の広告群単位貢献度と、広告群に含まれる複数の広告の配信に対する予算の額との関係を示す情報である特性情報を広告群毎に生成する。これにより、情報処理装置1は、広告の配信のための予算を適切に設定するための支援を行うことができる。
【0100】
以下、このような処理を行う情報処理装置1、複数の端末装置2、および端末装置3を含む情報処理システムの構成などについて、詳細に説明する。
【0101】
〔2.情報処理システムの構成〕
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2に示すように、実施形態に係る情報処理システム100は、情報処理装置1と、複数の端末装置2と、複数の端末装置3を含む。
【0102】
複数の端末装置2は、互いに異なるユーザUによって用いられる。複数の端末装置3は、互いに異なる広告主Oによって用いられる。端末装置2および端末装置3の各々は、例えば、ノートPC(Personal Computer)、デスクトップPC、スマートフォン、タブレットPC、ウェアラブルデバイスである。ウェアラブルデバイスは、例えば、スマートグラス、またはスマートウォッチなどであるが、かかる例に限定されない。ユーザUは、情報処理装置1などから提供される広告の提供を受けるユーザである。
【0103】
情報処理装置1、端末装置2、および端末装置3の各々は、ネットワークNを介して、有線または無線により互いに通信可能に接続される。なお、
図2に示す情報処理システム100には、情報処理装置1などが複数含まれてもよい。
【0104】
ネットワークNは、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)およびLTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation:第5世代移動通信システム)などの移動体通信網などを含む。
【0105】
端末装置2および端末装置3は、移動体通信網、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)などの近距離無線通信を介してネットワークNに接続し、情報処理装置1と通信することができる。
【0106】
〔3.情報処理装置1の構成〕
図3は、実施形態に係る情報処理装置1の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、情報処理装置1は、通信部10と、記憶部11と、処理部12とを有する。
【0107】
〔3.1.通信部10〕
通信部10は、例えば、通信モジュールやNIC(Network Interface Card)などによって実現される。そして、通信部10は、ネットワークNと有線または無線で接続され、他の各種装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部10は、端末装置2や端末装置3との間でネットワークNを介して情報の送受信を行う。
【0108】
〔3.2.記憶部11〕
記憶部11は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実現される。記憶部11は、ユーザ情報記憶部20と、広告主情報記憶部21と、キャンペーン情報記憶部22と、広告配信履歴記憶部23とを有する。
【0109】
〔3.2.1.ユーザ情報記憶部20〕
ユーザ情報記憶部20は、ユーザUに関する各種の情報を記憶する。
図4は、実施形態に係る情報処理装置1のユーザ情報記憶部20に記憶されるユーザ情報テーブルの一例を示す図である。
【0110】
図4に示す例では、ユーザ情報記憶部20に記憶されるユーザ情報テーブルは、「ユーザID(Identifier)」、「属性情報」および「履歴情報」といった項目の情報を含む。「ユーザID」は、ユーザUを識別する識別子であり、ユーザU毎に付される情報である。
【0111】
「属性情報」は、「ユーザID」に対応付けられたユーザUの属性を示す属性情報である。ユーザUの属性は、例えば、デモグラフィック属性、サイコグラフィック属性などである。デモグラフィック属性は、人口統計学的属性であり、例えば、年齢、性別、職業、居住地、年収、家族構成などの複数の属性項目を含む。
【0112】
サイコグラフィック属性は、心理学的属性であり、例えば、ライフスタイル、価値観、興味関心などに関する複数の属性項目を含む。例えば、サイコグラフィック属性における複数の属性項目の各々は、車、服、旅行、ゲーム、キャンプ、バイク、電車、家電、またはパソコンなどといったユーザUの興味関心を有する対象である。
【0113】
「履歴情報」は、「ユーザID」に対応付けられたユーザUの行動履歴の情報を含む。ユーザUの行動履歴は、例えば、ユーザUのオンラインサービスにおける行動履歴の情報を含む。ユーザUのオンラインサービスにおける行動履歴の情報は、例えば、ユーザUのオンラインサービスにおける検索履歴情報、閲覧履歴情報、配信履歴情報、および取引履歴情報などを含む。
【0114】
ユーザUの検索履歴情報は、例えば、ウェブ検索サービスにおけるユーザUによる検索履歴の情報などを含む。ユーザUの閲覧履歴情報は、例えば、オンラインサービスにおけるユーザUによるコンテンツの閲覧履歴の情報などを含む。配信履歴情報は、ユーザUの端末装置2に配信された配信コンテンツの配信履歴の情報などを含む。取引履歴情報は、オンラインサービスにおけるユーザUによる商品の取引履歴の情報などを含む。
【0115】
〔3.2.2.広告主情報記憶部21〕
広告主情報記憶部21は、広告主Oに関する各種の情報を記憶する。
図5は、実施形態に係る情報処理装置1の広告主情報記憶部21に記憶される広告主情報テーブルの一例を示す図である。
【0116】
図5に示す例では、広告主情報記憶部21に記憶される広告主情報テーブルは、「広告主ID」、「アカウント」、「予算額」、「キャンペーンID」といった項目の情報を含む。「広告主ID」は、広告主Oを識別する識別子であり、広告主O毎に付される情報である。
【0117】
「アカウント」は、「広告主ID」に対応付けられた広告主Oのアカウントの情報であり、広告主O毎に割り当てられる。なお、アカウントは、広告主O毎に2つ以上割り当てられてもよい。「予算額」は、アカウントに割り当てられた予算額であり、上述した総予算額である。かかる総予算額は、例えば、予め定められた期間TB毎の総予算の額または広告主Oが設定した期間毎(例えば、広告主Oが設定した予算の額が異なる期間毎)の総予算の額であるが、かかる例に限定されない。
【0118】
「キャンペーンID」は、「アカウント」に対応付けられた広告キャンペーンCampを識別する識別子であり、広告キャンペーンCamp毎に付される情報である。なお、広告主情報記憶部21は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶することができる。
【0119】
〔3.2.3.キャンペーン情報記憶部22〕
キャンペーン情報記憶部22は、端末装置3から受け付けた広告キャンペーンCampに関する各種の情報を記憶する。
図6は、実施形態に係る情報処理装置1のキャンペーン情報記憶部22に記憶されるキャンペーン情報テーブルの一例を示す図である。
【0120】
図6に示す例では、キャンペーン情報記憶部22に記憶されるキャンペーン情報テーブルは、「キャンペーンID」、「広告」、「獲得単価」、および「予算額」といった項目の情報を含む。「キャンペーンID」は、
図5に示すキャンペーンIDと同様に、広告キャンペーンCampを識別する識別子であり、広告キャンペーンCamp毎に付される情報である。
【0121】
「広告」は、「キャンペーンID」に対応付けられた広告キャンペーンCampに含まれる広告であり、例えば、バナー広告、リスティング広告、ネイティブ広告、ソーシャルメディア広告、動画広告などであるが、かかる例に限定されない。
【0122】
「獲得単価」は、「キャンペーンID」に対応付けられた広告キャンペーンCampに含まれる広告に対応する獲得単価の情報であり、例えば、スレッショルドCPAの情報であるが、かかる例に限定されない。
【0123】
「予算額」は、「キャンペーンID」に対応付けられた広告キャンペーンCampに含まれる各広告に対応する予算の額の情報であり、例えば、予め定められた期間TB毎の総予算の額または広告主Oが設定した期間毎の予算の額であるが、かかる例に限定されない。例えば、「予算額」は、「キャンペーンID」に対応付けられた広告キャンペーンCampに対応する予算の額の情報であってもよい。
【0124】
なお、
図6に示されていないが、キャンペーン情報テーブルには、「キャンペーンID」に対応付けられ広告キャンペーンCampに含まれる広告の配信期間の情報、特定目標の情報、ターゲットとなるユーザUの属性であるターゲット属性の情報などが含まれている。また、キャンペーン情報記憶部22は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶することができる。
【0125】
〔3.2.4.広告配信履歴記憶部23〕
広告配信履歴記憶部23は、広告の配信履歴に関する各種の情報を記憶する。
図7は、実施形態に係る情報処理装置1の広告配信履歴記憶部23に記憶される広告提供履歴テーブルの一例を示す図である。
【0126】
図7に示す例では、広告配信履歴記憶部23に記憶される広告提供履歴テーブルは、「ユーザID」、「提供広告」、および「特定目標情報」といった項目の情報を含む。「ユーザID」は、
図4に示すユーザIDと同じであり、広告の提供先となるユーザUの識別子の情報である。
【0127】
「提供広告」は、例えば、「ユーザID」に対応付けられたユーザUに提供(配信)された広告の広告IDと、そのユーザUへの広告の提供日時を示す情報とを含む。「特定目標情報」は、提供広告の目標である特定目標に関する情報であり、例えば、特定目標がコンバージョンである場合、「ユーザID」に対応付けられたユーザUが行ったコンバージョンの内容を示す情報と、そのユーザUによるコンバージョンの日時(コンバージョン日時)の情報とを含む。
【0128】
コンバージョンの内容は、例えば、取引対象の購入、広告対象となる取引対象の利用、広告対象となる会員登録、または広告対象となるサイトの閲覧(表示)などであるが、かかる例に限定されない。取引対象は、例えば、商品やサービスなどである。
【0129】
また、「特定目標情報」は、特定目標がエンゲージメントである場合、「ユーザID」に対応付けられたユーザUが行ったエンゲージメントの内容を示す情報と、そのユーザUによるエンゲージメントの日時(エンゲージメント日時)の情報とを含む。
【0130】
エンゲージメントは、例えば、広告対象にどの程度積極的に関与しているかを表す指標であり、例えば、SNSなどでのシェア、いいね、投稿などであるが、かかる例に限定されない。
【0131】
なお、広告配信履歴記憶部23は、一の取引対象について特定目標(例えば、コンバージョンやエンゲージメントなどの特定行動)に至ったユーザUに対応付けて、そのユーザUに所定の期間TAに提供された広告を対応付けて記憶することもできる。
【0132】
例えば、広告配信履歴記憶部23は、広告対象に対応する特定目標(例えば、コンバージョンやエンゲージメントなどの特定行動)に至ったユーザUに対応付けて、そのユーザUに所定の期間TAに提供された広告のうち、広告対象に対応する広告をその組み合わせまたは提供順序に対応付けて記憶する。
【0133】
例えば、広告配信履歴記憶部23は、商品Xについて、その商品Xを購入したユーザUに対応付けて、そのユーザUが商品Xを購入した日時以前の所定の期間TA(直近1週間等)に提供された広告のうち、商品Xを広告対象とする1以上の広告をその組み合わせまた提供順序に対応付けて記憶する。
【0134】
また、広告配信履歴記憶部23には、例えば、広告が提供された際のユーザUの属性情報や履歴情報、およびユーザUに提供された際の広告の広告表示環境情報なども記憶される。広告表示環境情報は、上述したように、広告が提供されるウェブサイトのカテゴリ、広告が提供される端末装置2のアプリケーションの種類、広告の表示位置などの情報などである。
【0135】
〔3.3.処理部12〕
処理部12は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)などによって、情報処理装置1内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。
【0136】
処理部12は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により一部または全部が実現されてもよい。
【0137】
図3に示すように、処理部12は、取得部30と、受付部31と、配信部32と、算出部33と、生成部34と、決定部35と、提供部36とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、処理部12の内部構成は、
図3に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0138】
〔3.3.1.取得部30〕
取得部30は、外部の情報処理装置、端末装置2、または端末装置3などから通信部10を介して種々の情報を取得し、取得した情報を記憶部11に記憶させる。
【0139】
例えば、取得部30は、外部の情報処理装置または端末装置2などから通信部10を介してユーザUの情報であるユーザ情報を取得し、取得したユーザ情報をユーザ情報記憶部20のユーザ情報テーブルに追加する。
【0140】
また、取得部30は、記憶部11から各種の情報を取得する。例えば、取得部30は、ユーザUの情報であるユーザ情報をユーザ情報記憶部20などから取得する。取得部30によって取得されるユーザ情報は、例えば、上述した属性情報および履歴情報のうちの少なくとも1つ以上の情報の一部または全部を含む。
【0141】
また、取得部30は、広告主Oの情報である広告主情報を広告主情報記憶部21などから取得したり、広告キャンペーンCampの情報をキャンペーン情報記憶部22から取得したりする。また、取得部30は、広告提供履歴の情報を広告配信履歴記憶部23から取得する。
【0142】
例えば、取得部30は、特定目標(コンバージョンやエンゲージメントなどの特定行動)に至ったユーザUである該当ユーザに提供された広告の情報を特定目標毎に含む提供広告情報を記憶部11から取得する。例えば、取得部30は、該当ユーザの特定目標への到達時点(例えば、該当ユーザが商品Xを購入した時点)から所定の期間TA前までに提供された1以上の広告の情報を特定目標への到達毎に含む提供広告情報を取得する。
【0143】
所定の期間TAは、例えば、1週間などの期間などであるが、かかる例に限定されず、例えば、ユーザUの属性、商品Xのカテゴリ、特定目標の内容などに応じて、適宜設定可能である。
【0144】
また、取得部30は、例えば、記憶部11に記憶された情報を集計し、該当ユーザの特定目標への到達時点から所定の期間TA前までに該当ユーザに提供された広告の組み合わせ毎の特定目標に関する情報を含む提供広告情報を取得することもできる。
【0145】
広告組み合わせの種類は、例えば、
図1に示す例では、商品X1の購入の場合、6つの広告A1,A2,B1,B2,C1,C2のうちの1以上の広告の組み合わせであり、商品X2の購入の場合、3つの広告D,E,Fのうちの1以上の広告の組み合わせである。
【0146】
また、取得部30は、例えば、記憶部11に記憶された情報を集計し、該当ユーザの特定目標への到達時点から所定の期間TA前までに提供された広告の提供順序毎の特定目標に関する情報を含む提供広告情報を取得することもできる。
【0147】
〔3.3.2.受付部31〕
受付部31は、通信部10を介して端末装置2や端末装置3から各種の要求や情報などを受け付ける。
【0148】
例えば、受付部31によって受け付けられる要求は、端末装置2から送信される広告要求などであるが、かかる例に限定されない。また、受付部31は、端末装置3などから情報処理装置1に送信される広告主情報、広告キャンペーン情報、予算変更情報、または総予算額情報を受け付ける。
【0149】
受付部31は、広告主情報を受け付けた場合、受け付けた広告主情報を広告主情報記憶部21に記憶させる。また、受付部31は、広告キャンペーン情報を受け付けた場合、受け付けた広告キャンペーン情報に含まれる情報を広告主情報記憶部21やキャンペーン情報記憶部22などに記憶させる。
【0150】
〔3.3.3.配信部32〕
配信部32は、端末装置2から送信された広告要求が受付部31によって受け付けられた場合、入札処理を行い、かかる入札処理によって選択された広告を広告要求元となる端末装置2に配信する。
【0151】
例えば、配信部32は、端末装置2から送信された広告要求が受付部31によって受け付けられた場合、広告配信の入札処理を行う。配信部32は、受付部31によって受け付けられた広告要求を送信した端末装置2のユーザUの情報(例えば、ユーザUの属性の情報やユーザUの行動履歴の情報など)などに基づいて、特定目標に到達する確率の予測値である特定目標到達率の予測値(例えば、CVR予測値やエンゲージメント率の予測値)を算出する。
【0152】
配信部32は、例えば、特定目標到達率の予測値を算出する予測モデルを有しており、かかる予測モデルを用いて、特定目標到達率の予測値を算出する。予測モデルは、例えば、ユーザUの情報、ターゲット属性の情報などの情報を特徴量として入力し、特定目標到達率の予測値を出力するが、かかる例に限定されず、例えば、ターゲット属性の予測モデルなどであってもよい。
【0153】
配信部32によって算出される特定目標到達率の予測値は、例えば、広告要求を送信した端末装置2のユーザUによる商品Xの購入確率の予測値である。配信部32は、例えば、広告キャンペーンCampの各広告の獲得単価に特定目標到達率の予測値を乗算して得られる値を各広告の入札額として決定し、決定した各広告の入札額を用いて各広告の入札処理を行う。
【0154】
配信部32は、受付部31によって受け付けられた広告要求を送信した端末装置2を入札処理によって広告の配信先として決定した場合、受付部31によって受け付けられた広告要求を送信した端末装置2に対して広告を配信する。
【0155】
入札処理では、ファーストプライスオークションと呼ばれる最高額での入札で落札される自動入札が行われるが、セカンドプライスアクションと呼ばれる2番目の入札額での入札が落札され自動動入札が行われてもよい。また、入札処理では、セカンドプライスアクションやファーストプライスオークション以外の自動入札が行われてもよい。
【0156】
〔3.3.4.算出部33〕
算出部33は、各種の情報の算出を行う。例えば、算出部33は、各広告の広告単位貢献度や各広告群の広告群単位貢献度などを算出する。かかる算出部33は、第1算出部40と、第2算出部41とを備える。
【0157】
〔3.3.4.1.第1算出部40〕
第1算出部40は、広告主Oによって設定された複数の広告群の各々に含まれる広告毎に特定目標への貢献度を広告単位貢献度として算出する。特定目標は、例えば、コンバージョンやエンゲージメントである。以下において、特定目標がコンバージョンである場合について主に説明する。
【0158】
第1算出部40は、例えば、予め定められた期間TB毎に広告単位貢献度を算出したり、広告主Oが設定した期間毎(例えば、広告主Oが設定した予算の額が異なる期間毎)に広告単位貢献度を算出したりする。
【0159】
第1算出部40は、取得部30によって取得された提供広告情報に基づいて、上述した広告組み合わせAG毎のコンバージョン数を算出する。例えば、広告組み合わせAGmが広告X,Y,Zの組み合わせであるとする。広告X,Y,Zの各々は、例えば、上述した広告A1,A2,B1,B2,C1,C2,D,E,Fのうちのいずれかであるが、かかる例に限定されない。各広告X,Y,Zは、例えば、互いに異なる広告などであるが、広告X,Y,Zの一部または全部が同じ広告であってもよい。
【0160】
この場合、第1算出部40は、該当ユーザのコンバージョンの時点(例えば、該当ユーザが商品Xを購入した時点)から所定の期間TA前までに広告X,Y,Zが提供された場合にコンバージョンに至った数を集計することで、広告組み合わせAGmのコンバージョン数を算出する。
【0161】
そして、第1算出部40は、広告組み合わせAG毎に広告組み合わせAGに含まれる広告のスコアを算出する。例えば、第1算出部40は、広告組み合わせAGが1つの広告のみの組み合わせである場合、広告組み合わせAGに含まれる広告のスコアを、基準値(例えば、1)に広告組み合わせAGのコンバージョン数を乗算して得られる値とする。
【0162】
例えば、広告組み合わせAGが1つの広告Xのみの組み合わせであり、広告Xのみの組み合わせのコンバージョン数が100であるとする。この場合、第1算出部40は、基準値(例えば、1)に100を乗算して得られる値(例えば、100)を広告Xのスコアとして算出する。1つの広告Xのみの組み合わせの場合、広告X以外の広告のスコアは0である。
【0163】
また、第1算出部40は、広告組み合わせAGが2つ以上の広告の組み合わせである場合、広告組み合わせAGに含まれる各広告のスコアを基準値に重みと広告組み合わせAGのコンバージョン数とを乗算した値にする。重みは、広告数の逆数であり、例えば、2つの広告の組み合わせである場合、1/2であり、3つの広告の組み合わせである場合、1/3である。
【0164】
例えば、広告組み合わせAGに2つの広告X,Yが含まれ、2つの広告X,Yの組み合わせのコンバージョン数が100であるとする。この場合、第1算出部40は、基準値(例えば、1)に1/2と100を乗算して得られる値(例えば、50)を各広告X,Yのスコアとして算出する。2つの広告X,Yの組み合わせの場合、広告X,Y以外の広告のスコアは0である。
【0165】
第1算出部40は、広告組み合わせAG毎に算出した広告のスコアを広告毎に集計することで、広告毎の広告単位貢献度を算出する。例えば、広告組み合わせAG毎に算出した広告XのスコアがスコアSX1~SXnであるとする。この場合、広告Xの広告単位貢献度は、スコアSX1~SXnの合計値である。
【0166】
また、第1算出部40は、2つ以上の広告の組み合わせである場合、広告組み合わせに含まれる2つの広告のスコアを均等の重みに代えて、広告提供順序AOに応じた重みとすることもできる。
【0167】
広告提供順序AOは、該当ユーザへの広告の提供順序である。例えば、該当ユーザのコンバージョンの時点(例えば、該当ユーザが商品Xを購入した時点)から所定の期間TA前までに該当ユーザに広告X、広告Y、広告Zの順に提供された場合、広告提供順序AOは、広告X、広告Y、広告Zの順である。各広告X,Y,Zは、例えば、互いに異なる広告などであるが、広告X,Y,Zの一部または全部が同じ広告であってもよい。
【0168】
また、所定の期間TAに該当ユーザに提供された1以上の広告が広告X,Yの順である場合、広告提供順序AOは、広告X、広告Yの順である。また、所定の期間TAに該当ユーザに提供された1以上の広告が広告Xのみである場合、広告提供順序AOは、広告Xのみである。
【0169】
この場合、第1算出部40は、提供広告情報に基づいて、広告提供順序AO毎のコンバージョン数を算出する。そして、第1算出部40は、広告提供順序AO毎に広告提供順序AOに含まれる広告のスコアを算出する。例えば、広告提供順序として広告提供順序AO1~AOpがある場合、第1算出部40は、広告提供順序AO1~AOpの各々のコンバージョン数を算出する。
【0170】
第1算出部40は、該当ユーザのコンバージョンの時点(例えば、該当ユーザが商品Xを購入した時点)に提供タイミングが近い広告ほど重み付けを高くして得られる値にコンバージョン数を乗算した値を広告のスコアとして算出することができる。
【0171】
この場合、重みは、例えば、合計で1になるように設定される。例えば、広告提供順序AOが広告X、広告Y、広告Zの順である場合、広告Xの重みは、例えば、0.2であり、広告Yの重みは、例えば、0.3であり、広告Zの重みは、例えば、0.5であるが、かかる例に限定されない。
【0172】
広告提供順序AOmが広告X、広告Y、広告Zの順であり、広告X、広告Y、広告Zの重みが0.15,0.3,0.55であり、広告提供順序AOmのコンバージョン数が100であるとする。この場合、広告提供順序AOmにおいて、広告Xのスコアは15であり、広告Yのスコアは、30であり、広告Zのスコアは、55である。なお、広告提供順序AOmにおいて、広告X,Y,Z以外の広告のスコアは0である。
【0173】
そして、第1算出部40は、広告提供順序AO毎に算出した広告のスコアを広告毎に集計することで、広告毎の広告単位貢献度を算出する。例えば、広告提供順序AO毎に算出した広告XのスコアがスコアSX11~SX1pであるとする。この場合、広告Xの広告単位貢献度は、スコアSX1~SXpの合計値である。
【0174】
なお、各広告の広告単位貢献度の算出方法は、上述した算出方法に限定されない。例えば、第1算出部40は、広告組み合わせAGに応じたコンバージョン数や広告提供順序AOに応じたコンバージョン数を予測する予測モデルを生成し、生成した予測モデルを用いて、各広告の広告単位貢献度を算出することもできる。
【0175】
予測モデルは、例えば、上記式(1)で表される。上記式(1)において、特徴量は、広告提供関連情報(例えば、広告組み合わせAGの情報または広告提供順序AOの情報)であり、pCVは、予測コンバージョン数である。
【0176】
第1算出部40は、提供広告情報に基づいて、広告組み合わせAG毎のコンバージョン数または広告提供順序AO毎のコンバージョン数を算出する。そして、第1算出部40は、広告提供関連情報とコンバージョン数を示す情報とを広告組み合わせ毎に含む学習用情報を生成し、かかる学習用情報を用いて、予測モデルを生成する。第1算出部40は、生成した予測モデルを用いて、各広告の広告単位貢献度を算出する。
【0177】
例えば、予測モデルが、LSTMやGRUなどのRNNであるとする。この場合、情報処理装置1は、広告提供関連情報を予測モデルに入力し、このときの予測モデルにおけるソフトマックス関数の出力値に例えばコンバージョン数を乗算することなどによって、広告のスコアを算出する。ソフトマックス関数の出力値は、例えば、階層的アテンションの出力にソフトマックス関数が適用されて得られるものであり、各広告の確率分布で表される。階層的アテンションは、注意機構の一例である。
【0178】
また、予測モデルが、線形回帰モデルやGBDTなどの分類モデルであるとする。この場合、第1算出部40は、広告提供関連情報を予測モデルに入力し、予測モデルから予測コンバージョン数であるpCVを取得する処理を広告組み合わせAG毎または広告提供順序AO毎に行う。
【0179】
そして、情報処理装置1は、広告組み合わせAG毎のpCVまたは広告提供順序AO毎のpCVを用いて、各広告のスコアを算出する処理を広告組み合わせAG毎または広告提供順序AO毎に行う。
【0180】
例えば、第1算出部40は、複数の広告がユーザUに提供された場合の予測モデルによって予測されるコンバージョン数と、複数の広告のうちの一部がユーザUに提供された場合の予測モデルによって予測されるコンバージョン数とに基づいて、複数の広告の各々のスコアを算出する。
【0181】
例えば、広告組み合わせが広告X,Y,Zの組み合わせであるとする。この場合、第1算出部40は、下記式(6)~(8)の演算を行う。Sc(X)は、広告Xのスコアであり、Sc(Y)は、広告Yのスコアであり、Sc(Z)は、広告Zのスコアである。
Sc(X)={f(φ)+(f(X)-f(φ)) ・・・(6)
Sc(Y)={f(φ)+(f(X,Y)-f(X)) ・・・(7)
Sc(Z)={f(φ)+(f(X,Y,Z)-f(X,Y)) ・・・(8)
【0182】
上記式(6)~(8)において、f(φ)は、広告X,Y,ZのいずれもユーザUに提供されない場合のpCVであり、f(X)は、広告XのみがユーザUに提供される場合のpCVである。上記式(7),(8)において、f(X,Y)は、広告X,YがユーザUに提供される場合のpCVである。上記式(8)において、f(X,Y,Z)は、広告X,Y,ZがユーザUに提供される場合のpCVである。なお、f(φ)における「φ」は空集合を意味する。
【0183】
このように、スコアSc(X),Sc(Y),Sc(Z)は、一の広告が含まれない広告組み合わせに一の広告を追加した広告組み合わせでのpCVから、一の広告が含まれない広告組み合わせでのpCVを減算する式を含む形式で表される。
【0184】
第1算出部40は、広告X,Y,Zの組み合わせ以外の広告組み合わせも同様に各広告スコアを算出する。そして、第1算出部40は、各広告のスコアを広告毎に集計することで、広告毎の広告単位貢献度を算出する。
【0185】
第1算出部40における上述した処理の例では、特定目標がコンバージョンである場合の広告毎の広告単位貢献度の算出を説明したが、第1算出部40は、特定目標がエンゲージメントである場合も同様の処理によって、広告毎の広告単位貢献度の算出を行うことができる。
【0186】
なお、予測モデルの特徴量は、広告提供種別の情報に加えて、ユーザUの属性情報を含んでいてもよい。この場合、ユーザUの属性情報は、該当ユーザの属性の情報であり、該当ユーザの年齢、性別であるが、かかる例に限定されず、例えば、職業、居住地、年収などが含まれてもよい。
【0187】
〔3.3.4.2.第2算出部41〕
第2算出部41は、第1算出部40によって算出された広告毎の広告単位貢献度に基づいて、複数の広告群の各々の特定目標への貢献度を広告群単位貢献度として算出する。特定目標は、上述したように、例えば、コンバージョンやエンゲージメントである。
【0188】
図8は、実施形態に係る広告群単位貢献度と広告主Oが設定した予算の額との変化の一例を示す図である。
図8に示す例では、広告主Oが設定した予算の額が高くなると、広告群単位貢献度が高くなっている。
【0189】
第2算出部41は、例えば、予め定められた期間TB毎に広告単位群貢献度を算出したり、広告主Oが設定した期間毎(例えば、広告主Oが設定した予算の額が異なる期間毎)に広告単位群貢献度を算出したりする。
【0190】
例えば、受付部31によって受け付けられた広告キャンペーン情報に上述した広告キャンペーンCamp1,Camp2,Camp3の情報が含まれているとする。この場合、第2算出部41は、広告A1,B1,C1の広告単位貢献度を合計することによって、広告A1,B1,C1を含む広告群(広告キャンペーンCamp1の広告群)の広告群単位貢献度を算出する。
【0191】
また、第2算出部41は、広告A2,B2,C2の広告単位貢献度を合計することによって、広告A2,B2,C2を含む広告群(広告キャンペーンCamp2の広告群)の広告群単位貢献度を算出する。また、第2算出部41は、広告D,E,Fの広告単位貢献度を合計することによって、広告D,E,Fを含む広告群(広告キャンペーンCamp3の広告群)の広告群単位貢献度を算出する。
【0192】
〔3.3.5.生成部34〕
生成部34は、第2算出部41によって算出された広告群の広告群単位貢献度と、広告群に含まれる複数の広告の配信に対する予算の額(広告群の予算額)との関係を示す情報である特性情報を広告群毎に生成する。特性情報は、例えば、数理モデルまたは機械学習モデルを用いて得られる情報を含む。
【0193】
図9は、実施形態に係る情報処理装置1の生成部34によって生成された特性情報の一例を示す図である。
図9に示す例では、広告群の予算額が少ない場合には、広告群の予算額の増加率に対して広告群の広告群単位貢献度の増加率は大きいが、広告群の予算額が大きい場合には、広告群の予算額の増加率に対して広告群の広告群単位貢献度の増加率は小さくなっている。そのため、単に広告群の予算額を増加させただけでは、広告群の予算額に見合った広告群単位貢献度を得られない場合がある。
【0194】
生成部34は、例えば、予め定められた期間TB毎の広告群単位貢献度と予め定められた期間TB毎の予算の額とに基づいて、特性情報を生成する。また、生成部34は、例えば、予算の額毎の広告群単位貢献度に基づいて、特性情報を生成することもできる。
【0195】
生成部34は、例えば、数理モデルや機械学習モデルを用いて特性情報を生成することができる。例えば、数理モデルの1つであるVidale&Wolfeモデルを用いて、特性情報を生成する。Vidale&Wolfeモデルは、例えば、上記式(2)で表される。
【0196】
このように、Vidale&Wolfeモデルでは、限界効用、広告群単位貢献度の遅延発生などを表現可能であり、微分が可能である。限界効用は、予算の額を増加するほど効果の増分が減少する効果である。限界効用が表現可能であることから、広告群単位貢献度の増加分の減衰を加味することができる。例えば、1万円から2万円に予算増額したときの広告群単位貢献度の増分を、10万円から11万円に予算を増額したときの広告群単位貢献度の増分より大きくすることができる。
【0197】
また、広告群単位貢献度の遅延発生が表現可能であることから、遅れて観測される目標行動(コンバージョンまたはエンゲージメント)の結果も加味され、直前の実績を学習に利用できる。特に広告群単位貢献度はその発生に時間がかかることから相性がよい。また、Vidale&Wolfeモデルでは、予算の額を変更したときの広告群単位貢献の変化分が解析的に求まることから、最適化に利用しやすいという利点がある。
【0198】
生成部34は、算出部33で算出された広告群単位貢献度の情報と予算の額の情報とを期間毎に含む時系列の履歴情報を用いて、「M」、「λ」、および「r」などのパラメータを広告群毎に推定する。例えば、情報処理装置1は、最尤推定法や最小二乗法などの統計的手法を用いて、「M」、「λ」、および「r」などのパラメータを広告群毎に推定する。なお、履歴情報に含まれる予算の額の情報は、期間内に予算の額の一部しか消化されなかった場合などにおいては、期間内に消化された額の情報または消化された額に調整値を乗算または加算した額の情報などであってもよい。
【0199】
生成部34は、パラメータを推定したVidale&Wolfeモデルを用いて、広告群単位貢献度と予算の額との関係を示す特性情報を広告群毎に生成する。特性情報は、広告群単位貢献度と予算の額とを示す関数グラフの情報であるが、かかる例に限定されない。例えば、生成部34は、パラメータを推定したVidale&Wolfeモデルにおいて予算の額を変化させることで、広告群単位貢献度の変化の予測値を取得することができ、これにより、特性情報を生成することができる。
【0200】
また、生成部34は、算出部33で算出された広告群単位貢献度の情報と予算の額の情報とを期間毎に含む時系列の履歴情報を学習用情報として用いて、学習を行って機械学習モデルを生成することができる。この場合、広告群単位貢献度の情報は、ラベルの情報として用いられるが、かかる例に限定されない。機械学習モデルは、例えば、LSTMやGRUなどのRNN、線形回帰モデルやGBDTなどの分類モデルなどであるが、かかる例に限定されない。
【0201】
生成部34は、生成した機械学習モデルを用いて、広告群単位貢献度と予算の額との関係を示す特性情報を広告群毎に生成する。特性情報は、広告群単位貢献度と予算の額とを示す関数グラフの情報であるが、かかる例に限定されない。
【0202】
また、生成部34は、算出部33で算出された広告群単位貢献度の情報と予算の額の情報とを期間毎に含む時系列の履歴情報を用いて、広告群単位貢献度と予算の額とを示す散布図を特性情報として広告群毎に生成することもできる。また、生成部34は、生成した散布図から特性曲線を導出することもできる。
【0203】
〔3.3.6.決定部35〕
決定部35は、種々の決定を行う。例えば、決定部35は、広告主Oによって設定された複数の広告群に対する予算の額(総予算額)と、生成部34によって生成された複数の広告群の各々の特性情報とに基づいて、複数の広告群の各々の予算の額を決定する。
【0204】
図10は、実施形態に係る情報処理装置1の決定部35による複数の広告群の各々の予算の額の決定の様子の一例を示す図である。
図10に示す例では、受付部31によって受け付けられた広告キャンペーン情報に含まれる広告キャンペーンの情報が上述した広告キャンペーンCamp1,Camp2,Camp3の情報である。決定部35は、
図10に示すように、例えば、総貢献度Aallが最大になるように、複数の広告群の各々の予算の額を決定する。
【0205】
例えば、決定部35は、複数の広告群に対する予算の額である総予算額Pamx内で複数の広告群の各々の特性情報における複数の広告群の広告群単位貢献度の総和である総貢献度Aallが最大または最大から予め定められた条件の範囲内となる複数の広告群の各々の予算を決定する。
【0206】
図11は、実施形態に係る情報処理装置1の決定部35による複数の広告群の各々の予算の額の決定方法の一例を示す図である。
図11に示す例では、広告キャンペーンCamp1の予算の額を「P1」とし、広告キャンペーンCamp2の予算の額を「P2」とし、広告キャンペーンCamp3の予算の額を「P3」としている。この場合、総貢献度Aallは、上記式(3)で表される。
【0207】
決定部35は、上記式(4)の制約条件の下、最大の総貢献度Aallとなる広告群単位貢献度AT1,AT2,AT3または最大の総貢献度Aallから予め定められた条件の範囲内となる広告群単位貢献度AT1,AT2,AT3を算出する。予め定められた条件の範囲は、例えば、総貢献度Aallの90%~100%までの範囲などであるが、任意に設定可能である。そして、決定部35は、算出した広告群単位貢献度AT1に対応する予算額P1である決定予算額Ps1を、広告キャンペーンCamp1の広告群の特性情報から判定する。
【0208】
また、決定部35は、算出した広告群単位貢献度AT2に対応する予算額P2である決定予算額Ps2を、広告キャンペーンCamp2の広告群の特性情報から判定する。また、決定部35は、算出した広告群単位貢献度AT3に対応する予算額P3である決定予算額Ps3を、広告キャンペーンCamp3の広告群の特性情報から判定する。
【0209】
また、決定部35は、広告群の予算の額を増加または減少させたときの広告群単位貢献度の変化に基づいて、複数の広告群に対する予算の額である総予算額Pamx内において複数の広告群の各々の予算の額を決定することもできる。
【0210】
図12は、実施形態に係る情報処理装置1の決定部35による複数の広告群の各々の予算の額の決定方法の他の例を示す図である。決定部35は、
図12に示すように、上記式(5)を用いて、総予算額Pmax内において複数の広告群の各々の予算の額を決定することができる。
【0211】
このように、決定部35は、各広告群の予算の額を増加または減少させたときの広告群単位貢献度の変化を用いることができ、これにより、確率的なばらつきの影響を受けづらく、安定した予算額の更新を行うことができる。
【0212】
例えば、広告群の予算の額を変化させたときの広告群単位貢献度の変化が大きい場合、広告群単位貢献度の変化が小さい場合に比べて、例えば、予算の額の増加量が少ない場合でも広告群単位貢献度の変化量を大きくすることができる。また、広告群の予算の額を増変化させたときの広告群単位貢献度の変化が小さい場合、広告群単位貢献度の変化が大きい場合に比べて、予算の額の減少量が多い場合でも広告群単位貢献度の変化量を小さくすることができる。そのため、確率的なばらつきの影響を受けづらく、安定した予算額の更新を行うことができる。
【0213】
〔3.3.7.提供部36〕
提供部36は、各種の情報をユーザUや広告主Oに通信部10を介して提供する。提供部36は、例えば、算出部33によって算出された各広告の広告単位貢献度の情報や各広告群の広告群単位貢献度の情報を広告主Oの端末装置3に送信することで、各広告の広告単位貢献度の情報や各広告群の広告群単位貢献度の情報を広告主Oに提供する。
【0214】
また、提供部36は、例えば、生成部34によって生成された広告群毎の特定情報を広告主Oの端末装置3に送信することで、広告群毎の特定情報を広告主Oに提供することができる。
【0215】
また、提供部36は、決定部35によって決定された複数の広告群の各々の予算の額の情報を含む決定予算情報を広告主Oの端末装置3に送信することで、決定予算情報を広告主Oに提供することができる。
【0216】
〔4.処理手順〕
次に、実施形態に係る情報処理装置1の処理部12による情報処理の手順について説明する。
図13は、実施形態に係る情報処理装置1の処理部12による情報処理の一例を示すフローチャートである。
【0217】
図13に示すように、情報処理装置1の処理部12は、広告キャンペーン情報を受け付けたか否かを判定する(ステップS20)。処理部12は、広告キャンペーン情報を受け付けたと判定した場合(ステップS20:Yes)、受け付けた広告キャンペーン情報を記憶する(ステップS21)。
【0218】
処理部12は、ステップS21の処理が終了した場合、または広告キャンペーン情報を受け付けていないと判定した場合(ステップS20:No)、特性情報生成タイミングになったか否かを判定する(ステップS22)。特性情報生成タイミングは、予め定められた周期で到来するタイミング、広告キャンペーン情報で示される広告の配信が開始してから予め定められた期間が到来したタイミング、または広告主Oからの要求があったタイミングであるが、かかる例に限定されない。
【0219】
処理部12は、特性情報生成タイミングになったと判定した場合(ステップS22:Yes)、各広告群に含まれる広告毎の広告単位貢献度を算出し(ステップS23)、広告毎の広告単位貢献度に基づいて、広告群毎の広告群単位貢献度を算出する(ステップS24)。そして、処理部12は、広告群の広告群単位貢献度の情報と、広告群の予算額の情報とに基づいて、特性情報を広告群毎に生成し(ステップS25)、生成した広告群毎の特性情報を広告主Oに提供する(ステップS26)。
【0220】
処理部12は、ステップS26の処理が終了した場合、または特性情報生成タイミングになっていないと判定した場合(ステップS22:No)、総額予算情報を受け付けたか否かを判定する(ステップS27)。処理部12は、総額予算情報を受け付けたと判定した場合(ステップS27:Yes)、各広告群の予算の額を決定する(ステップS28)。
処理部12は、ステップS27の処理が終了した場合または総額予算情報を受け付けていないと判定した場合(ステップS27:No)、動作終了タイミングになったか否かを判定する(ステップS29)。処理部12は、例えば、情報処理装置1の電源がオフにされた場合などに動作終了タイミングになったと判定する。
【0221】
処理部12は、動作終了タイミングになっていないと判定した場合(ステップS29:No)、処理をステップS20へ移行し、動作終了タイミングになったと判定した場合(ステップS29:Yes)、
図13に示す処理を終了する。
【0222】
〔5.変形例〕
上述した例では、広告キャンペーンCamp1,Camp2の特定目標(商品X1の購入)と、広告キャンペーンCamp3の特定目標(商品X2の購入)とが異なるものとしたが、広告キャンペーンCamp1,Camp2,Camp3の特定目標は互いに同一であってもよい。
【0223】
また、上述した例では、特定情報に基づいて各広告群の予算の額が決定される前において、各広告群の予算の額は、広告主Oによって変更されるが、決定部35によって各広告群の予算の額が変更されてもよい。
【0224】
例えば、決定部35は、特定情報に基づいて各広告群の予算の額を決定する前に、総予算額Pmax内でランダムまたは予め定められた規則に従って変更することができる。これにより、広告主Oによる広告群の予算額の変更がない場合であっても、処理部12によって特性情報を生成することができる。
【0225】
また、処理部12は、曜日毎、時間帯毎、季節毎、特定のイベント毎などの種々の条件毎に特性情報を生成したり、各広告群の予算の額を決定したりすることもできる。また、処理部12は、曜日、時間帯、季節、特定のイベントのうち2以上の組み合わせに応じた特性情報を生成したり、各広告群の予算の額を決定したりすることもできる。
【0226】
〔6.ハードウェア構成〕
上述してきた実施形態に係る情報処理装置1は、例えば
図14に示すような構成のコンピュータ80によって実現される。
図14は、実施形態に係る情報処理装置1の機能を実現するコンピュータ80の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ80は、CPU81、RAM82、ROM(Read Only Memory)83、HDD(Hard Disk Drive)84、通信インターフェイス(I/F)85、入出力インターフェイス(I/F)86、およびメディアインターフェイス(I/F)87を有する。
【0227】
CPU81は、ROM83またはHDD84に記憶されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM83は、コンピュータ80の起動時にCPU81によって実行されるブートプログラム、およびコンピュータ80のハードウェアに依存するプログラムなどを記憶する。
【0228】
HDD84は、CPU81によって実行されるプログラム、および、かかるプログラムによって使用されるデータなどを記憶する。通信インターフェイス85は、ネットワークN(
図2参照)を介して他の機器からデータを受信してCPU81へ送り、CPU81が生成したデータを、ネットワークNを介して他の機器へ送信する。
【0229】
CPU81は、入出力インターフェイス86を介して、ディスプレイおよびプリンタなどの出力装置、および、キーボードまたはマウスなどの入力装置を制御する。CPU81は、入出力インターフェイス86を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU81は、入出力インターフェイス86を介して生成したデータを出力装置へ出力する。
【0230】
メディアインターフェイス87は、記録媒体88に記憶されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM82を介してCPU81に提供する。CPU81は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス87を介して記録媒体88からRAM82上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体88は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)などの光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)などの光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリなどである。
【0231】
例えば、コンピュータ80が実施形態に係る情報処理装置1として機能する場合、コンピュータ80のCPU81は、RAM82上にロードされたプログラムを実行することにより、処理部12の機能を実現する。また、HDD84には、記憶部11内のデータが記憶される。コンピュータ80のCPU81は、これらのプログラムを記録媒体88から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0232】
〔7.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0233】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0234】
例えば、上述した情報処理装置1は、端末装置とサーバコンピュータとで実現してもよく、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットホームなどをAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティングなどで呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0235】
また、上述してきた実施形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0236】
〔8.効果〕
上述してきたように、実施形態に係る情報処理装置1は、第1算出部40と、第2算出部41と、生成部34とを備える。第1算出部40は、広告主Oによって設定された複数の広告群の各々に含まれる広告毎に特定目標への貢献度を広告単位貢献度として算出する。第2算出部41は、第1算出部40によって算出された広告毎の広告単位貢献度に基づいて、複数の広告群の各々の特定目標への貢献度を広告群単位貢献度として算出する。生成部34は、第2算出部41によって算出された広告群の広告群単位貢献度と、広告群に含まれる複数の広告の配信に対する予算の額との関係を示す情報である特性情報を広告群毎に生成する。これにより、情報処理装置1は、広告の配信のための予算を適切に設定するための支援を行うことができる。
【0237】
また、第1算出部40は、予め定められた期間毎に広告単位貢献度を算出し、第2算出部41は、予め定められた期間毎に広告群単位貢献度AT1を算出し、生成部34は、予め定められた期間毎の広告群単位貢献度と予め定められた期間毎の予算の額とに基づいて、特性情報を生成する。これにより、情報処理装置1は、特性情報を精度よく生成することができる。
【0238】
また、第1算出部40は、予算の額毎に広告単位貢献度を算出し、第2算出部41は、予算の額毎に広告群単位貢献度を算出し、生成部34は、予算の額毎の広告群単位貢献度に基づいて、特性情報を生成する。これにより、情報処理装置1は、広告の配信のための予算を適切に設定するための支援を行うことができる。これにより、情報処理装置1は、特性情報を精度よく生成することができる。
【0239】
また、特性情報は、数理モデルまたは機械学習モデルを用いて得られる情報を含む。これにより、情報処理装置1は、特性情報を精度よく生成することができる。
【0240】
また、情報処理装置1は、広告主Oによって設定された複数の広告群に対する予算の額と、生成部34によって生成された複数の広告群の各々の特性情報とに基づいて、複数の広告群の各々の予算の額を決定する決定部35を備える。これにより、情報処理装置1は、広告の配信のための予算を適切に設定するための支援を行うことができる。
【0241】
また、決定部35は、複数の広告群に対する予算の額内で複数の広告群の各々の特性情報における複数の広告群の広告群単位貢献度AT1の総和が最大または最大から予め定められた条件の範囲内となる複数の広告群の各々の予算を決定する。これにより、情報処理装置1は、広告の配信のための予算を適切に設定するための支援を行うことができる。
【0242】
また、決定部35は、広告群の予算の額を増加または減少させたときの広告群単位貢献度AT1の変化に基づいて、複数の広告群に対する予算の額内において複数の広告群の各々の予算の額を決定する。これにより、情報処理装置1は、広告の配信のための予算を適切に設定するための支援を行うことができる。
【0243】
また、特定目標は、コンバージョンまたはエンゲージメントである。これにより、情報処理装置1は、広告の配信のための予算を適切に設定するための支援を行うことができる。
【0244】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0245】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0246】
1 情報処理装置
2,3 端末装置
10 通信部
11 記憶部
12 処理部
20 ユーザ情報記憶部
21 広告主情報記憶部
22 キャンペーン情報記憶部
23 広告配信履歴記憶部
30 取得部
31 受付部
32 配信部
33 算出部
34 生成部
35 決定部
36 提供部
40 第1算出部
41 第2算出部
100 情報処理システム
N ネットワーク
【要約】
【課題】広告の配信のための予算を適切に設定するための支援を行うことができる情報処理装置、情報処理方法、および情報処理プログラムを提供すること。
【解決手段】本開示の情報処理装置は、第1算出部と、第2算出部と、生成部とを備える。第1算出部は、複数の広告群の各々に含まれる広告毎に特定目標への貢献度を広告単位貢献度として算出する。第2算出部は、第1算出部によって算出された広告毎の広告単位貢献度に基づいて、複数の広告群の各々の特定目標への貢献度を広告群単位貢献度として算出する。生成部は、第2算出部によって算出された広告群の広告群単位貢献度と、広告群に含まれる複数の広告の配信に対する予算の額との関係を示す情報である特性情報を広告群毎に生成する。
【選択図】
図3