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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】インプラント
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20241217BHJP
   A61F 2/90 20130101ALI20241217BHJP
【FI】
A61F2/07
A61F2/90
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023129262
(22)【出願日】2023-08-08
(62)【分割の表示】P 2022122683の分割
【原出願日】2022-08-01
(65)【公開番号】P2023178974
(43)【公開日】2023-12-18
【審査請求日】2023-08-08
(31)【優先権主張番号】111120886
(32)【優先日】2022-06-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】522306756
【氏名又は名称】▲イ▼捷股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】蔡 棟國
【審査官】丸山 裕樹
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-528946(JP,A)
【文献】米国特許第04729766(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0145400(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管ステントとして用いられる、インプラントであって、
各々が細長い棒状に形成されている複数のストリップ構造体であって、メッシュ状チューブを構成する複数のストリップ構造体と、
前記ストリップ構造体上に形成される複数の管体とを含み、
前記各管体の一端が前記ストリップ構造体に連結され、他端が自由端で開口部を有し、該各管体の内部に空腔部が形成され、該空腔部は該開口部に連通し、該各管体の自由端の端部に外表面が形成されることを特徴とするインプラント。
【請求項2】
前記空腔部の最大横断面積が、前記開口部の横断面積よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記インプラントが複数の連通路を含み、該複数の連通路はそれぞれ、一端が前記開口部に連通すると共に、他端が前記空腔部に連通することを特徴とする請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記空腔部の縦断面形状が、円形、楕円形、卵形または三角形を呈することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインプラント。
【請求項5】
前記空腔部の横断面が前記外表面と平行であり、その断面積が該外表面から離れるほど大きくなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に埋め込む人工インプラントに関し、特に、インプラントの表面構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人工移植体を生体内に埋め込む外科手術は様々あり、このような手術で埋入された人工移植体、いわゆる人工インプラントには、例えば、歯牙再生術に使われる人工歯根や、心筋梗塞のカテーテル手術に使われる血管ステントなどがある。歯牙再生術では、患者の歯槽骨に小さな穴をあけて人工歯根を挿入固定し、経時的に歯槽骨の骨細胞を増殖させ、人工歯根を歯槽骨に強固に固定結合する。しかしながら、骨細胞の増殖速度はかなり遅いことから、術後患者は長期間不便な生活を余儀なくされるので、骨細胞の増殖速度をいかに早めるかが歯牙再生術の大きな課題となっている。また、他方では、心臓カテーテル術後、血管内に凝集による血管ステントの目詰まりが起こりやすいため、どのように凝集を抑制して、血管ステントの目詰まりを防ぐかが心臓カテーテル術の大きな課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、人工移植体の埋植手術における患部細胞の増殖を促進または遅延させるための薬剤をより多く付着させることができる、インプラントを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明は、インプラントを提案しており、当該インプラントは、複数の開口部が形成される外表面と、それぞれが前記複数の開口部に連通する複数の空腔部とを含むことを特徴とする。
【0005】
前記複数の空腔部の最大横断面積が、前記複数の開口部の横断面積よりも大きいことを特徴とする。
【0006】
前記インプラントが複数の連通路を含み、該複数の連通路はそれぞれ、一端が前記複数の開口部に連通すると共に、他端が前記複数の空腔部に連通することを特徴とする。
【0007】
前記複数の空腔部の縦断面形状が、円形、楕円形、卵形または三角形を呈することを特徴とする。
【0008】
前記複数の空腔部の横断面が前記外表面と平行であり、その断面積が該外表面から離れるほど大きくなることを特徴とする。
【0009】
前記インプラントが人工歯根または血管ステントであることを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明はさらに血管ステントとして用いられる、インプラントを提案しており、当該インプラントは、
各々が細長い棒状に形成されている複数のストリップ構造体であって、メッシュ状チューブを構成する複数のストリップ構造体と、
前記ストリップ構造体上に形成される複数の管体とを含み、
前記各管体の一端が前記ストリップ構造体に連結され、他端が自由端で開口部を有し、該各管体の内部に空腔部が形成され、該空腔部は該開口部に連通し、該各管体の自由端の端部に外表面が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述したように、本発明に係るインプラントによれば、その外表面に開口部を有する空腔部が複数形成されていることから、インプラントの外表面に薬剤を塗布することにより、空腔部内に薬剤を充填することができると共に、空腔部の最大横断面積が開口部の横断面積よりも大きいことから、空腔部内に充填された薬剤が開口部からすぐに流出することなく、空腔部内に貯留されてゆっくりと放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施例を示す斜視図である。
図2】本発明の第1実施例の空腔部を示す断面模式図である。
図3図2に示された空腔部の他の態様を示す断面模式図である。
図4】本発明の第1実施例の空腔部の他の態様を示す断面模式図である。
図5図4に示された空腔部の他の態様を示す断面模式図である。
図6】本発明の第2実施例を示す斜視図である。
図7】本発明の第2実施例示す断面模式図である。
図8】本発明の第2実施例の他の態様を示す斜視図である。
図9図8の局部拡大断面模式図である。
図10図8に示された第2実施例の他の実施態様における空腔部の一例を示す断面模式図である。
図11図8に示された第2実施例の他の実施態様における空腔部の一例を示す断面模式図である。
図12図8に示された第2実施例の他の実施態様における空腔部の一例を示す断面模式図である。
図13図8に示された第2実施例の他の実施態様における空腔部の一例を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1及び図2は、本発明に係るインプラントの第1実施例を示したものであり、本実施例のインプラントは、歯牙再生手術に用いられる人工歯根Aであり、それらの図面に示されるインプラントは、外表面10及び複数の空腔部12を含むが、複数の連通路13を選択的に含むことも可能である。
【0014】
前記外表面10上に複数の開口部11が形成され、前記複数の空腔部12がそれぞれ、これらの開口部11に連通している。尚、本実施形態では、空腔部12が連通路13を介して開口部11と連通し、該連通路13の一端が開口部11と連通し、他端が空腔部12と連通している。本実施形態では、一つの開口部11が、一つの連通路13を介して一つの空腔部12と連通しているが、他の実施形態では、複数の開口部11が一つの空腔部12と連通していてもよい。図2は空腔部12の配列状態を示したものであり、その図面によると、開口部11及び空腔部12は外表面10上に整列配置されているが、他の実施例では不規則に配列されていてもよい。さらに、図3は空腔部12の他の態様を示したものであり、その図面によると、連通路を有しなく、空腔部12は直接開口部11と連通している。
【0015】
前記空腔部12は、外表面10と直交する方向の縦断面形状が、円形、楕円形、卵形または三角形を呈していてもよく、一方、空腔部12における外表面10と平行する方向の最大横断面積は、開口部11の横断面積よりも大きく、このような構造により、空腔部12内の薬剤を貯留する空間をより大きくすることができる。尚、前記各空腔部12の表面は、平滑面であってもよいし、凹凸面であってもよい。
【0016】
図4及び図5は、縦断面形状が三角形の空腔部12を示したものであり、本実施態様の空腔部12の横断面面積は、外表面10から離れるほど大きくなる。さらに、図5によると、本実施態様の空腔部12は、連通路を設けずに、直接開口部11に連通していてもよい。
【0017】
図6及び図7は、本発明に係るインプラントの第2実施例を示したものであり、本実施例のインプラントは、心臓カテーテル術に用いられる血管ステントBであり、それらの図面に示された血管ステントBとしてのインプラントは、外形が大体チューブ状であり、その外表面10に外周壁面と内周壁面を有する構成である。尚、本実施形態における血管ステントBは、その外周壁面及び内周壁面の両方に開口部11及び空腔部12が形成されているが、他の実施形態においては、外周壁面のみに開口部11及び空腔部12が形成されていてもよい。
【0018】
図8及び図9は、第2実施例の血管ステントB’としてのインプラントの他の実施形態を示したものであり、図8は、メッシュ状チューブを構成する複数のストリップ構造体101のうちの一つを示し、図9は、ストリップ構造体101の局部拡大断面図を示している。それらの図面によると、血管ステントB’の各ストリップ構造体101上に、密集した複数の管体102が形成されており、本実施形態での複数の管体102は、各管体102におけるストリップ構造体101と連結された端部が互いに隣接するように密集して配置されている。前記管体102の構造について詳しく説明すると、該管体102の内部に空腔部12が形成され、該各管体102の一端がストリップ構造体101に連結され、他端が自由端であって、開口部11を有し、該開口部11は空腔部12と連通している。更に、前記管体102がストリップ構造体101上に密集して配置されていることから、各管体102の自由端の端面は、血管ステントB‘の外表面10として構成されている。
【0019】
図10図13は、前記管体102の空腔部12の他の実施態様を示したものであり、これらの図面によると、該空腔部12は、該各管体102の自由端の端部に形成されており、外表面10と直交する方向の縦断面形状は、円形、楕円形、卵形または三角形を呈していてもよく、一方、該空腔部12における、外表面10と平行する方向の最大横断面積は、開口部11の横断面積よりも大きいことが好ましく、前記各空腔部12の表面は、平滑面であってもよいし、凹凸面であってもよい。
【0020】
図10及び図12に示された実施形態において、前記空腔部12は、前記連通路13を介して前記開口部11と連通する。具体的に述べると、該連通路13の一端が該開口部11と連通し、他端が該空腔部12と連通しており、これらの実施形態では、前記一つの開口部11が、前記一つの連通路13を介して前記一つの空腔部12と連通している。また、図11及び図13に示された実施形態においては、連通路を有せず、前記空腔部12は直接に開口部11と連通している。
【0021】
上述したように、本発明のインプラントは、その外表面10に空腔部12と連通する開口部11が複数形成されていることから、インプラントの外表面10に薬剤を塗布することにより、空腔部12内に薬剤を充填することができ、さらに、空腔部12の最大横断面積は、開口部11の横断面積よりも大きいことから、空腔部12内に充填された薬剤が開口部11からすぐに流出することなく、空腔部12内に貯留されてゆっくりと放出される。本発明のインプラントが人工歯根Aに適用される場合、空腔部12内に、骨細胞の増殖速度を促進する成分を含む薬剤を充填すれば、歯槽骨の骨細胞の増殖速度を向上させることができるので、人工歯根Aが歯槽骨に固定結合する時間を短縮することが可能となる。一方、本発明のインプラントを血管ステントBに適用する場合、空腔部12内に、生体組織の増殖速度を抑制する成分を含む薬剤を充填すれば、血管内に凝集による血管ステントBの目詰まりを抑止することができるので、術後の血管の再狭窄を予防することが可能となる。
【符号の説明】
【0022】
10 外表面
11 開口部
12 空腔部
13 連通路
101 ストリップ構造体
102 管体
A 人工歯根
B、B’ 血管ステント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13