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特許7605921自動ドア装置、自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法、自動ドア装置用赤外線センサシステム及び自動ドア装置用赤外線センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】自動ドア装置、自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法、自動ドア装置用赤外線センサシステム及び自動ドア装置用赤外線センサ
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/74 20150101AFI20241217BHJP
   G01V 8/20 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
E05F15/74
G01V8/20 N
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023132086
(22)【出願日】2023-08-14
(62)【分割の表示】P 2022516903の分割
【原出願日】2021-03-22
(65)【公開番号】P2023159241
(43)【公開日】2023-10-31
【審査請求日】2023-09-08
(31)【優先権主張番号】P 2020074866
(32)【優先日】2020-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100145481
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 昌邦
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】来海 大輔
(72)【発明者】
【氏名】河路 直樹
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-61320(JP,A)
【文献】特開2007-231650(JP,A)
【文献】特開2020-123887(JP,A)
【文献】特開2009-155826(JP,A)
【文献】特開2018-163651(JP,A)
【文献】特開2012-78160(JP,A)
【文献】特開2002-216269(JP,A)
【文献】特開2011-112600(JP,A)
【文献】特開2018-123673(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00-17/00
E06B 1/00-11/08
G01V 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部によって開閉動作する引戸と、
前記引戸の近傍の近傍エリアと、前記引戸の遠方の遠方エリアとを含む検知エリアに検知光を投光する投光部、および、前記投光部からの前記検知光の反射を受光する受光部を有し、前記受光部の受光量に基づいて前記引戸の開閉制御に用いられる信号を出力する赤外線センサと、
前記近傍エリアでの前記受光量、および、前記遠方エリアでの前記受光量を記憶する記憶部と、
前記赤外線センサの状態を監視する状態監視部と、を備え、
前記状態監視部は、
第1時点の前記近傍エリアの前記受光量である第1時点近傍エリア受光量、および、第1時点とは異なる第2時点の前記近傍エリアの前記受光量である第2時点近傍エリア受光量の差分と、
前記第1時点の前記遠方エリアの前記受光量である第1時点遠方エリア受光量、および、前記第2時点に前記遠方エリアの前記受光量である第2時点遠方エリア受光量の差分と、
に基づいて前記赤外線センサの状態を監視する、
自動ドア装置。
【請求項2】
前記状態監視部は、前記赤外線センサの前記近傍エリアでの検知結果と前記遠方エリアでの検知結果の両方に基づいて、前記赤外線センサの状態を監視する
請求項1に記載の自動ドア装置。
【請求項3】
駆動部によって開閉動作する引戸の近傍の近傍エリアと、前記引戸の遠方の遠方エリアとを含む検知エリアに検知光を投光する投光部と、前記投光部からの前記検知光の反射を受光する受光部とを有し、前記受光部の受光量に基づいて前記引戸の開閉制御に用いられる信号を出力する出力部と、
前記近傍エリアでの前記受光量、および、前記遠方エリアでの前記受光量を記憶する記憶部と、
前記投光部および前記受光部の状態を監視する状態監視部と、を備え、
前記状態監視部は、
第1時点の前記近傍エリアの前記受光量である第1時点近傍エリア受光量、および、第1時点とは異なる第2時点の前記近傍エリアの前記受光量である第2時点近傍エリア受光量の差分と、
前記第1時点の前記遠方エリアの前記受光量である第1時点遠方エリア受光量、および、前記第2時点に前記遠方エリアの前記受光量である第2時点遠方エリア受光量の差分と、
に基づいて前記投光部および前記受光部の状態を監視する、
自動ドア装置用赤外線センサシステム。
【請求項4】
駆動部によって開閉動作する引戸の近傍の近傍エリアと、前記引戸の遠方の遠方エリアとを含む検知エリアに検知光を投光する投光部と、
前記投光部からの前記検知光の反射を受光する受光部と
前記受光部の受光量に基づいて前記引戸の開閉制御に用いられる信号を出力する出力部と、
前記近傍エリアでの前記受光量、および、前記遠方エリアでの前記受光量を記憶する記憶部と、
前記投光部および前記受光部の状態を監視する状態監視部と、を備え、
前記状態監視部は、
第1時点の前記近傍エリアの前記受光量である第1時点近傍エリア受光量、および、第1時点とは異なる第2時点の前記近傍エリアの前記受光量である第2時点近傍エリア受光量の差分と、
前記第1時点の前記遠方エリアの前記受光量である第1時点遠方エリア受光量、および、前記第2時点に前記遠方エリアの前記受光量である第2時点遠方エリア受光量の差分と、
に基づいて前記投光部および前記受光部の状態を監視する、
自動ドア装置用赤外線センサ。
【請求項5】
検知光を投光する投光部、および、前記投光部からの前記検知光の反射を受光する受光部を有する赤外線センサの、引戸の近傍の近傍エリアと前記引戸の遠方の遠方エリアとを含む検知エリアの前記受光部の受光量を記憶する記憶ステップと、
第1時点の前記近傍エリアの前記受光量である第1時点近傍エリア受光量、および、第1時点とは異なる第2時点の前記近傍エリアの前記受光量である第2時点近傍エリア受光量の差分と、前記第1時点の前記遠方エリアの前記受光量である第1時点遠方エリア受光量、および、前記第2時点に前記遠方エリアの前記受光量である第2時点遠方エリア受光量の差分とを算出する算出ステップと、
前記算出ステップで算出した差分に基づいて前記赤外線センサの状態を判断する監視ステップと、
を備える自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法。
【請求項6】
駆動部によって開閉動作する引戸と、
複数の検知スポットからなる検知エリアに検知光を投光する投光部、および、前記投光部からの前記検知光の反射を受光する受光部を有し、前記受光部の受光量に基づいて前記引戸の開閉制御に用いられる信号を出力する赤外線センサと、
前記赤外線センサの検知情報と、前記赤外線センサの制御情報とを取得する取得部と、
前記赤外線センサの状態を監視する状態監視部と、を備え、
前記検知情報は、前記複数の検知スポットが物体を検知している検知状態であるか、又は、前記複数の検知スポットが物体を検知していない非検知状態であるかを示し、
前記状態監視部は、前記取得部によって取得された検知情報および前記赤外線センサの制御情報の経時変化に基づいて、前記赤外線センサの状態を監視する
自動ドア装置。
【請求項7】
前記複数の検知スポットは、前記非検知状態の第1検知スポットと、前記検知状態の第2検知スポットとを含み、
前記第1検知スポットは、前記第2検知スポットに隣接する隣接スポットと前記第2検知スポットに隣接しない非隣接スポットとを含み、
前記取得部は、前記赤外線センサによって受光された前記隣接スポットからの反射光量である隣接スポット受光量を含まず、前記赤外線センサによって受光された前記非隣接スポットからの反射光量である非隣接スポット受光量を含む前記第1検知スポットの受光量、および、前記赤外線センサの制御情報を取得し、
前記状態監視部は、前記取得部によって取得された前記非隣接スポット受光量を含む前記第1検知スポットの受光量、および、前記赤外線センサの制御情報の経時変化に基づいて、前記赤外線センサの状態を監視する
請求項6に記載の自動ドア装置。
【請求項8】
前記複数の検知スポットは、前記検知状態の第2検知スポットを含み、
前記取得部は、前記第2検知スポットが前記検知エリアに含まれるときに前記赤外線センサの制御情報を取得し、
前記状態監視部は、前記第2検知スポットが前記検知エリアに含まれるときに前記取得部によって取得された前記赤外線センサの制御情報の経時変化に基づいて、前記赤外線センサの状態を監視する
請求項6または請求項7に記載の自動ドア装置。
【請求項9】
複数の検知スポットからなる検知エリアに検知光を投光する投光部、および、前記投光部からの前記検知光の反射を受光する受光部を有し、前記受光部の受光量に基づいて引戸の開閉制御に用いられる信号を出力する出力部と、
前記複数の検知スポットの検知情報と、前記投光部及び前記受光部の制御情報とを取得する取得部と、
前記投光部及び前記受光部の状態を監視する状態監視部と、を備え、
前記検知情報は、前記複数の検知スポットが物体を検知している検知状態であるか、又は、前記複数の検知スポットが物体を検知していない非検知状態であるかを示し、
前記状態監視部は、前記取得部によって取得された前記受光部の受光量および前記制御情報の経時変化に基づいて、前記投光部及び前記受光部の状態を監視する
自動ドア装置用赤外線センサシステム。
【請求項10】
複数の検知スポットからなる検知エリアに検知光を投光する投光部と、
前記投光部からの前記検知光の反射を受光する受光部と、
前記受光部の受光量に基づいて引戸の開閉制御に用いられる信号を出力する出力部と、
前記複数の検知スポットの検知情報と、前記投光部及び前記受光部の制御情報とを取得する取得部と、
前記投光部及び前記受光部の状態を監視する状態監視部と、を備え、
前記検知情報は、前記複数の検知スポットが物体を検知している検知状態であるか、又は、前記複数の検知スポットが物体を検知していない非検知状態であるかを示し、
前記状態監視部は、前記取得部によって取得された前記受光部の受光量および前記制御情報の経時変化に基づいて、前記投光部及び前記受光部の状態を監視する
自動ドア装置用赤外線センサ。
【請求項11】
複数の検知スポットからなる検知エリアに検知光を投光する投光部、および、前記投光部からの前記検知光の反射を受光する受光部を有する赤外線センサの前記複数の検知スポットが物体を検知している検知状態であるか、又は、前記複数の検知スポットが物体を検知していない非検知状態であるかを示す検知情報と、前記赤外線センサの制御情報を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された検知情報および前記赤外線センサの制御情報の経時変化に基づいて前記赤外線センサの状態を判断する監視ステップと、
を備える自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置、自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法、自動ドア装置用赤外線センサシステム及び自動ドア装置用赤外線センサに関する。
本願は、2020年4月20日に日本に出願された特願2020-074866号について優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動ドア近傍の床面にスポット光をマトリクス状に照射して監視領域を形成する自動ドア用反射型センサが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1に記載された技術では、センサが発光部と受光部とを備え、発光部が第1~第4発光素子群を有する。第1~第4発光素子群は、第1発光素子群→第2発光素子群→第3発光素子群→第4発光素子群→第1発光素子群…の順序でサイクリック的に駆動される。受光部が第1~第8受光素子群を有する。
特許文献1に記載された技術では、例えば第1発光素子群を発光させておいて、第1~第8受光素子群の出力が、例えば第1受光素子群→第2受光素子群→第3受光素子群→第4受光素子群→第5受光素子群→第6受光素子群→第7受光素子群→第8受光素子群の順で選択される。次に、例えば第2発光素子群を発光させておいて、第1~第8受光素子群の出力が、例えば第1受光素子群→第2受光素子群→第3受光素子群→第4受光素子群→第5受光素子群→第6受光素子群→第7受光素子群→第8受光素子群の順で選択される。
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、センサの状態が監視されない。そのため、特許文献1に記載された技術によっては、センサがどの程度劣化したかを推定することができない。その結果、特許文献1に記載された技術によっては、センサが故障する前に適切なタイミングでセンサを交換することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-271537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、赤外線センサの状態を推定することができる自動ドア装置、自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法、自動ドア装置用赤外線センサシステム及び自動ドア装置用赤外線センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
[1]本発明の一態様に係る自動ドア装置は、駆動部によって開閉動作する引戸と、物体を検知する検知エリア、前記検知エリアに検知光を投光する投光部、および、前記投光部からの前記検知光の反射を受光する受光部を有し、前記受光部の受光量に基づいて前記引戸の開閉制御に用いられる信号を出力する赤外線センサと、前記赤外線センサの状態を監視する状態監視部と、を備える。
【0006】
[2]上記[1]の態様に係る自動ドア装置において、前記検知エリアは、少なくとも前記引戸の近傍の近傍エリアと、前記引戸の遠方の遠方エリアとを含み、前記状態監視部は、前記近傍エリアでの前記受光部の受光量と、前記遠方エリアでの前記受光部の受光量と、に基づいて前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0007】
[3]上記[2]の態様に係る自動ドア装置において、前記近傍エリアでの前記受光量、および、前記遠方エリアでの前記受光量を記憶する記憶部と、を備え、前記状態監視部は、前記記憶部に記憶された2つの前記受光量のうち、少なくとも一方の受光量を用いて前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0008】
[4]上記[2]の態様に係る自動ドア装置において、前記状態監視部は、第1時点の前記近傍エリアの前記受光量である第1時点近傍エリア受光量、および、第1時点とは異なる第2時点の前記近傍エリアの前記受光量である第2時点近傍エリア受光量の差分と、前記第1時点の前記遠方エリアの前記受光量である第1時点遠方エリア受光量、および、前記第2時点に前記遠方エリアの前記受光量である第2時点遠方エリア受光量の差分と、に基づいて前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0009】
[5]上記[4]の態様に係る自動ドア装置において、前記状態監視部は、前記赤外線センサの前記近傍エリアでの検知結果と前記遠方エリアでの検知結果の両方に基づいて、前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0010】
[6]上記[1]の態様に係る自動ドア装置において、前記検知エリアは、複数の検知スポットを含み、検知情報と、前記赤外線センサの制御情報とを取得する取得部を備え、前記検知情報は、前記複数の検知スポットが前記物体を検知している検知状態であるか、又は、前記複数の検知スポットが前記物体を検知していない非検知状態であるかを示してもよい。
【0011】
[7]上記[6]の態様に係る自動ドア装置において、前記複数の検知スポットは、前記非検知状態の第1検知スポットを含み、前記取得部は、前記第1検知スポットの受光量と前記赤外線センサの制御情報とを取得し、前記状態監視部は、前記取得部によって取得された前記第1検知スポットの受光量および前記赤外線センサの制御情報の経時変化に基づいて、前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0012】
[8]上記[7]の態様に係る自動ドア装置において、前記複数の検知スポットは、前記非検知状態の前記第1検知スポットと、前記検知状態の第2検知スポットとを含み、前記第1検知スポットは、前記第2検知スポットに隣接する隣接スポットと前記第2検知スポットに隣接しない非隣接スポットとを含み、前記取得部は、前記赤外線センサによって受光された前記隣接スポットからの反射光量である隣接スポット受光量を含まず、前記赤外線センサによって受光された前記非隣接スポットからの反射光量である非隣接スポット受光量を含む前記第1検知スポットの受光量、および、前記赤外線センサの制御情報を取得し、前記状態監視部は、前記取得部によって取得された前記非隣接スポット受光量を含む前記第1検知スポットの受光量、および、前記赤外線センサの制御情報の経時変化に基づいて、前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0013】
[9]上記[6]~[8]のいずれか一の態様に係る自動ドア装置において、前記複数の検知スポットは、前記検知状態の第2検知スポットを含み、前記取得部は、前記第2検知スポットが前記検知エリアに含まれるときに前記赤外線センサの制御情報を取得し、前記状態監視部は、前記第2検知スポットが前記検知エリアに含まれるときに前記取得部によって取得された前記赤外線センサの制御情報の経時変化に基づいて、前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0014】
[10]上記[6]~[9]のいずれか一の態様に係る自動ドア装置において、前記取得部は、前記複数の検知スポットのそれぞれに、前記赤外線センサの投光部によって投光され、前記赤外線センサの受光部によって受光された、前記複数の検知スポットのそれぞれからの反射光量である複数検知スポット受光量を取得し、前記取得部は、前記投光部の設定および前記受光部の設定の少なくともいずれか一方を取得してもよい。
【0015】
[11]上記[1]の態様に係る自動ドア装置において、前記検知エリアは、複数の検知スポットを含み、前記赤外線センサの投光部によって、前記複数の検知スポットのそれぞれに投光され、前記赤外線センサの受光部によって受光される、前記複数の検知スポットのそれぞれからの反射光量である各検知スポット受光量の劣化許容量を記憶する記憶部と、設置現場に設置されている前記自動ドア装置の前記赤外線センサの投光部によって、前記複数の検知スポットの少なくともいずれかに投光され、前記赤外線センサの受光部によって受光される、前記複数の検知スポットの少なくともいずれかからの反射光量である検知スポット受光量の経時データを取得する取得部と、を備えてもよい。
【0016】
[12]上記[11]の態様に係る自動ドア装置において、前記取得部によって取得された前記検知スポット受光量の経時データに基づいて前記検知スポット受光量の所定の期間における減少量を算出する算出部を備え、前記状態監視部は、前記各検知スポット受光量の劣化許容量と、前記検知スポット受光量の減少量とに基づいて、前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0017】
[13]上記[12]の態様に係る自動ドア装置において、前記状態監視部は、前記算出部によって算出された前記検知スポット受光量の減少量が、前記記憶部に記憶されている前記各検知スポット受光量の劣化許容量を超過するか否かに基づいて、前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0018】
[14]上記[13]の態様に係る自動ドア装置において、前記複数の検知スポットは、前記引戸の近傍の検知スポットである近傍検知スポットと、前記引戸の遠方の検知スポットである遠方検知スポットとを少なくとも含み、前記取得部は、前記自動ドア装置が設置現場に設置された後に前記赤外線センサの投光部によって前記近傍検知スポットに投光され、前記赤外線センサの受光部によって受光される、前記近傍検知スポットからの反射光量である近傍検知スポット受光量の経時データを取得し、前記算出部は、前記取得部によって取得された前記近傍検知スポット受光量の経時データに基づいて前記近傍検知スポット受光量の減少量を算出し、前記状態監視部は、前記算出部によって算出された前記近傍検知スポット受光量の減少量が、前記記憶部に記憶されている前記近傍検知スポット受光量の劣化許容量を超過するか否かに基づいて、前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0019】
[15]上記[13]の態様に係る自動ドア装置において、前記記憶部に記憶されている前記各検知スポット受光量の劣化許容量のうちの最小値に対応する検知スポットである劣化許容量最小検知スポットを選択する選択部を備え、前記取得部は、前記自動ドア装置が設置現場に設置された後に、前記赤外線センサの投光部によって前記劣化許容量最小検知スポットに投光され、前記赤外線センサの受光部によって受光される、前記劣化許容量最小検知スポットからの反射光量である劣化許容量最小検知スポット受光量の経時データを取得し、前記算出部は、前記取得部によって取得された前記劣化許容量最小検知スポット受光量の経時データに基づいて前記劣化許容量最小検知スポット受光量の減少量を算出し、前記状態監視部は、前記算出部によって算出された前記劣化許容量最小検知スポット受光量の減少量が、前記記憶部に記憶されている前記劣化許容量最小検知スポット受光量の劣化許容量を超過するか否かに基づいて、前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0020】
[16]上記[1]の態様に係る自動ドア装置において、前記赤外線センサは、前記検知エリアに対する投光を行う投光部と、前記赤外線センサの内部に配置され、前記投光部と同じ条件で投光する監視用投光部と、前記赤外線センサの内部に配置され、前記監視用投光部からの直接光を受光する監視用受光部と、を備え、前記状態監視部は、前記監視用受光部が受光した受光量に基づいて前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0021】
[17]上記[16]の態様に係る自動ドア装置において、前記状態監視部は、前記監視用受光部が受光した受光量の経時データを取得する取得部と、分析部と、を備え、前記分析部は、前記取得部によって取得された経時データに基づいて、前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0022】
[18]上記[1]の態様に係る自動ドア装置において、前記投光部の投光が前記検知エリアに到達する前に前記投光を反射して前記受光部に返す治具と、前記投光部の投光条件と前記受光部の受光条件を含む制御情報、および、前記治具が反射した光を前記受光部で受光した受光量を取得する取得部と、を備え、前記状態監視部は、前記制御情報と前記受光量に基づいて前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0023】
[19]上記[18]の態様に係る自動ドア装置において、前記投光部と前記受光部との間の光路には、前記投光部の強度を変化させるフィルタが配置されてもよい。
【0024】
[20]上記[18]の態様に係る自動ドア装置において、前記状態監視部は、前記取得部によって取得された、前記赤外線センサの制御情報の経時変化に基づいて、前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0025】
[21]上記[1]~[20]のいずれか一の態様に係る自動ドア装置において、前記状態監視部は、前記自動ドア装置の設置現場の温度または湿度の少なくともいずれか一方の情報を参照して前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0026】
[22]上記[1]~[20]のいずれか一の態様に係る自動ドア装置において、前記状態監視部は、前記赤外線センサの前記受光部によって受光が行われた時間帯を参照して前記赤外線センサの状態を監視してもよい。
【0027】
[23]本発明の一態様に係る自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法は、物体を検知する検知エリア、前記検知エリアに検知光を投光する投光部、および、前記投光部からの前記検知光の反射を受光する受光部を有する赤外線センサが、前記受光部の受光量に基づいて自動ドア装置の引戸の開閉制御に用いられる信号を出力するステップと、前記赤外線センサの状態を監視するステップと、を備える。
【0028】
[24]本発明の一態様に係る自動ドア装置用赤外線センサシステムは、物体を検知する検知エリア、前記検知エリアに検知光を投光する投光部、および、前記投光部からの前記検知光の反射を受光する受光部を有し、前記受光部の受光量に基づいて自動ドア装置の引戸の開閉制御に用いられる信号を出力する赤外線センサと、前記赤外線センサの状態を監視する状態監視部と、を備える。
【0029】
[25]本発明の一態様に係る自動ドア装置用赤外線センサは、物体を検知する検知エリア、前記検知エリアに検知光を投光する投光部、および、前記投光部からの前記検知光の反射を受光する受光部有し、前記受光部の受光量に基づいて自動ドア装置の引戸の開閉制御に用いられる信号を出力する自動ドア装置用赤外線センサであって、前記自動ドア装置用赤外線センサの状態を監視する状態監視部を備える。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、赤外線センサの状態を推定することができる自動ドア装置、自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法、自動ドア装置用赤外線センサシステム及び自動ドア装置用赤外線センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】第1実施形態の自動ドア装置1の機能構成の一例を示す図である。
図2】第1実施形態の自動ドア装置1の赤外線センサ12の構成の一例および赤外線センサ12の検知エリアARと引戸11との関係の一例を概略的に示す図である。
図3】第1実施形態の自動ドア装置1の状態監視部13によって行われる赤外線センサ12の状態監視方法の一例を説明するための図である。
図4】第1実施形態の自動ドア装置1の状態監視部13によって監視される赤外線センサ12の受光素子の受光量の経年変化の一例を示す図である。
図5】第2実施形態の自動ドア装置1の赤外線センサ12の検知エリアARと引戸11との関係の一例を概略的に示す図である。
図6】第2実施形態の自動ドア装置1の状態監視部13によって監視される赤外線センサ12の受光素子の受光量の経年変化の一例を示す図である。
図7A】第3実施形態の自動ドア装置1の状態監視部13によって行われる赤外線センサ12の状態監視方法の一例を説明するための図である。
図7B】第3実施形態の自動ドア装置1の状態監視部13によって行われる赤外線センサ12の状態監視方法の一例を説明するための図である。
図7C】第3実施形態の自動ドア装置1の状態監視部13によって行われる赤外線センサ12の状態監視方法の一例を説明するための図である。
図8】第3実施形態の自動ドア装置1の赤外線センサ12の検知エリアARに含まれる検知スポットARW、ARX、ARY、ARZと引戸11との関係の一例を概略的に示す図である。
図9】第4実施形態の自動ドア装置1の赤外線センサ12の構成の一例を概略的に示す図である。
図10A】第5実施形態の自動ドア装置1の治具14の構成の一例を概略的に示す図である。
図10B】第5実施形態の自動ドア装置1の治具14の構成の一例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照し、本発明の自動ドア装置、自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法、自動ドア装置用赤外線センサシステム及び自動ドア装置用赤外線センサの実施形態について説明する。
【0033】
[第1実施形態]
図1は第1実施形態の自動ドア装置1の機能構成の一例を示す図である。図2は第1実施形態の自動ドア装置1の赤外線センサ12の構成の一例および赤外線センサ12の検知エリアARと引戸11との関係の一例を概略的に示す図である。
図1および図2に示す例では、第1実施形態の自動ドア装置1が、開閉動作する引戸11と、赤外線センサ12と、状態監視部13とを備えている。
図2に示す例では、2つの引戸11が図2の左右方向に開閉動作させられる両引きタイプであるが、他の例では、2以外の任意の数の引戸11が開閉動作させられてもよい。
【0034】
図1および図2に示す例では、2つの引戸11が、ドアエンジン、コントローラなどを備える駆動部(駆動装置、制御装置)(図示せず)によって開閉動作させられる。赤外線センサ12は、例えば無目、天井などに設置され、検知エリアARを有する。検知エリアARは、人等の物体が通過する例えば床面上に形成される。検知エリアARは、物体を検知する。また、赤外線センサ12は、引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する。つまり、赤外線センサ12が検知エリアARの状態(物体が検知エリアARに存在する状態、または、物体が検知エリアARに存在しない状態)を検知する。更に、赤外線センサ12から出力される信号(検知エリアARの状態を示す情報)に基づいて、引戸11の開閉制御が行われる。
【0035】
図2に示す例では、赤外線センサ12が、検知エリアARと、投光部12Aと、受光部12Bとを備えている。赤外線センサ12の検知エリアARは、例えば72個(=12個×6個)の検知スポットを有する。
投光部12Aは、投光素子群12A1、12A2と、レンズ12A3、12A4とを有する。投光素子群12A1とレンズ12A3とによって、図2の左側の投光ユニットが構成される。投光素子群12A2とレンズ12A4とによって、図2の右側の投光ユニットが構成される。
投光素子群12A1は、例えば12個(=3個×4個)の投光素子を含む。レンズ12A3は、投光素子群12A1の各投光素子が発光した赤外線を初期投光として分割することで複数の検知光を生成し、生成した検知光毎に検知エリアAR内の所定の検知スポットに集光する。具体的に、レンズ12A3は、例えば4つの部分に分割されている。レンズ12A3は、各投光素子が発光した赤外線による初期投光から、レンズ12A3の4つの部分によって4つの検知光を生成する。4つの検知光のそれぞれが検知エリアAR内の4つの検知スポットのそれぞれに集光するように、レンズ12A3の4つの部分の向きおよび傾きが調整されている。
投光素子群12A2は、例えば6個(=3個×2個)の投光素子を含む。レンズ12A4は、投光素子群12A2の各投光素子が発光した赤外線を初期投光として分割することで複数の検知光を生成し、生成した検知光毎に検知エリアAR内の所定の検知スポットに集光する。具体的に、レンズ12A4は、例えば4つの部分に分割されている。レンズ12A4は、各投光素子が発光した赤外線による初期投光から、レンズ12A4の4つの部分によって4つの検知光を生成する。4つの検知光のそれぞれが検知エリアAR内の4つの検知スポットのそれぞれに集光するように、レンズ12A4の4つの部分の向きおよび傾きが調整されている。
【0036】
受光部12Bは、例えば4個の受光ユニット12B1、12B2、12B3、12B4を有する。各受光ユニット12B1~12B4は、受光素子(図示せず)と集光レンズ(図示せず)とによって構成される。集光レンズは、検知エリアAR内の所定の検知スポットからの反射光を集光し、受光素子は集光レンズによって集光された反射光を受光する。
投光素子群12A1、12A2の18個の投光素子は、所定の周期で、順次、発光させられる。また、検知エリアAR内の各検知スポットに物体が存在するか否かの判定は、受光ユニット12B1~12B4の各受光素子によって受光される検知エリアAR内の各検知スポットからの反射光量である受光量に基づいて行われる。引戸11は、検知エリアARに物体が存在するか否かに基づいて開閉制御される。つまり、赤外線センサ12は、引戸11の開閉制御に用いられる信号(例えば受光ユニット12B1~12B4の各受光素子の受光量などを示す信号)を出力する。
すなわち、赤外線センサ12は、検知光を投光する投光部12Aと、検知光の反射を受光する受光部12Bと、検知エリアARと、を有する。また、赤外線センサ12は、受光部12Bの受光量に基づいて引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する。
【0037】
図1および図2に示す例では、状態監視部13が赤外線センサ12の状態を監視する。状態監視部13は、例えば記憶部13Aと、取得部13Bと、算出部13Cと、選択部13Dと、分析部13Eとを備えている。他の例では、状態監視部13が、取得部13Bと算出部13Cと選択部13Dとを備えていなくてもよい。
図1および図2に示す例では、記憶部13Aが、検知エリアARの各検知スポットからの受光量などを記憶する。具体的に、記憶部13Aは、赤外線センサ12の投光部12Aの投光素子から検知エリアARの各検知スポットに投光され、赤外線センサ12の受光部12Bの受光素子によって受光された各検知スポットからの反射光量を、受光量として記憶する。例えば、記憶部13Aによって記憶される受光量は、ある時点における受光量の瞬時値であっても、所定期間中の受光量の平均値であってもよい。
取得部13Bは、赤外線センサ12によって出力された信号に基づいて、例えば検知エリアAR内の各検知スポットが検知状態であるか否かを示す検知情報、赤外線センサ12の制御情報、赤外線センサ12の受光素子の受光量を示す情報などを取得する。「検知状態」とは、各検知スポット内に物体が存在する状態をいう。「検知情報」は、各検知スポットが検知状態であるか、あるいは、非検知状態であるかを示す情報をいう。
算出部13Cは、例えば、複数の時点において、取得部13Bによって取得される赤外線センサ12の受光素子の受光量に基づいて、赤外線センサ12の受光素子の受光量の変化量(増加量、減少量)などを算出する。
選択部13Dは、例えば、検知エリアARに含まれる複数の検知スポットから、故障のおそれがある検知スポットなどを選択する。
分析部13Eは、記憶部13Aに記憶されている情報などの分析を行うことによって、赤外線センサ12の状態を監視する。
【0038】
図3は、第1実施形態の自動ドア装置1の状態監視部13によって行われる赤外線センサ12の状態監視方法の一例を説明するための図である。図4は、第1実施形態の自動ドア装置1の状態監視部13によって監視される赤外線センサ12の受光素子の受光量の経年変化の一例を示す図である。図4の横軸は、図3の1列目~4列目に対応しており、図4の縦軸は、1列目~4列目の検知スポットからの反射光を受光する受光素子の受光量(反射光量)を示している。
図3に示す例では、図2に示す検知エリアARの72個の検知スポットのうちの、引戸11に最も近い1列目の検知スポットと、1列目の検知スポットに隣接する2列目の検知スポットと、2列目の検知スポットに隣接する3列目の検知スポットと、3列目の検知スポットに隣接する4列目の検知スポットとが、赤外線センサ12の状態監視に用いられる。1列目~4列目の検知スポットは、それぞれ12個設けられている。1列目の12個の検知スポットによって、引戸11の近傍の近傍エリアAR1が構成され、4列目の12個の検知スポットによって、引戸11の遠方の遠方エリアAR2が構成される。
他の例では、1列目とは異なる列の12個の検知スポットによって近傍エリアAR1が構成され、4列目とは異なる列の12個の検知スポットによって遠方エリアAR2が構成されてもよい。
【0039】
図3および図4に示す例では、例えば、通行者が引戸11の内側(図3の上側)から外側(図3の下側)に通行する時、および、通行者が引戸11の外側から内側に通行する時に、状態監視部13の記憶部13Aが、検知エリアAR内の近傍エリアAR1、遠方エリアAR2などにおける受光素子の受光量を記憶し、情報を蓄積する。また、状態監視部13の分析部13Eは、記憶部13Aに蓄積された検知エリアAR内の近傍エリアAR1、遠方エリアAR2などにおける受光素子の受光量の経時変化のデータを分析し、赤外線センサ12の状態を監視する。
基本的に通行者の安全確認に使用されている引戸11の近傍の近傍エリアAR1では、投光素子および受光素子の投受光が安定しているため、1列目の近傍エリアAR1の受光素子の受光量(通行者からの反射光量)が、4列目の遠方エリアAR2との比較対象として用いられる。4列目の遠方エリアAR2の受光素子の受光量(通行者からの反射光量)が、1列目の近傍エリアAR1の受光素子の受光量と比較され、4列目の遠方エリアAR2の受光素子の受光量(通行者からの反射光量)がどのように経年変化するかに基づいて、赤外線センサ12の状態が監視される。
【0040】
つまり、図3および図4に示す例では、状態監視部13の記憶部13Aが、赤外線センサ12の投光部12Aによって近傍エリアAR1に投光され、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光された、近傍エリアAR1からの反射光量(近傍エリア受光量)を記憶する。また、図3および図4に示す例では、状態監視部13の記憶部13Aが、投光部12Aによって遠方エリアAR2に投光され受光部12Bによって受光された遠方エリアAR2からの反射光量(遠方エリア受光量)を記憶する。次いで、状態監視部13の分析部13Eは、記憶部13Aに記憶されている近傍エリア受光量と遠方エリア受光量とに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
すなわち、状態監視部13は、近傍エリアAR1での受光部12Bの受光量と、遠方エリアAR2での受光部12Bの受光量に基づいて赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、図3および図4に示す例では、検知エリアAR内の1か所のみからの反射光量に基づいて赤外線センサ12の状態が監視される場合よりも、赤外線センサ12の状態の推定精度を向上させることができる。
他の例では、状態監視部13が、記憶部13Aに記憶された近傍エリアAR1での受光部12Bの受光量および遠方エリアAR2での受光部12Bの受光量の一方のみを用いて赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0041】
換言すれば、第1実施形態の自動ドア装置1では、まず、検知エリアARを有する赤外線センサ12が、自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する。状態監視部13の記憶部13Aによって記憶される近傍エリア受光量を示す情報と遠方エリア受光量を示す情報とは、赤外線センサ12から出力される信号に含まれる。次いで、状態監視部13の分析部13Eが、記憶部13Aに記憶されている近傍エリア受光量と遠方エリア受光量とに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、第1実施形態の自動ドア装置1では、赤外線センサ12の状態を推定することができ、赤外線センサ12が故障する前の赤外線センサ12の適切な交換タイミングを把握することができる。
【0042】
具体的には、図3および図4に示す例では、近傍エリア受光量の経時変化は、図4に示す「1列目」の「施工時」の「受光量」と、図4に示す「1列目」の「経年変化後」の「受光量」との差分△1で表される。具体的に、近傍エリア受光量の経時変化は、第1時点(図4に示す「施工時」)に投光部12Aによって近傍エリアAR1に投光され、受光部12Bによって受光された、「近傍エリアAR1からの反射光量」である第1時点近傍エリア受光量(図4に示す「1列目」の「施工時」の「受光量」)と、第2時点(図4に示す「経年変化後」)に投光部12Aによって近傍エリアAR1に投光され、受光部12Bによって受光された、「近傍エリアAR1からの反射光量」である第2時点近傍エリア受光量(図4に示す「1列目」の「経年変化後」の「受光量」)との差分△1(つまり、近傍エリア受光量の減少量)である。
遠方エリア受光量の経時変化は、図4に示す「4列目」の「施工時」の「受光量」と、図4に示す「4列目」の「経年変化後」の「受光量」との差分△2で表される。具体的に、遠方エリア受光量の経時変化は、第1時点に投光部12Aによって遠方エリアAR2に投光され、受光部12Bによって受光された、「遠方エリアAR2からの反射光量」である第1時点遠方エリア受光量(図4に示す「4列目」の「施工時」の「受光量」)と、第2時点に投光部12Aによって遠方エリアAR2に投光され、受光部12Bによって受光された、「遠方エリアAR2からの反射光量」である第2時点遠方エリア受光量(図4に示す「4列目」の「経年変化後」の「受光量」)との差分△2(つまり、遠方エリア受光量の減少量)である。
状態監視部13の分析部13Eが、近傍エリア受光量の経時変化(△1)と遠方エリア受光量の経時変化(△2)とに基づいて赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、図3および図4に示す例では、赤外線センサ12の「検知エリアARからの反射光量」の経時変化に基づいて赤外線センサ12の状態が監視されない場合よりも、赤外線センサ12の状態の推定精度を向上させることができる。
上述した「第1時点近傍エリア受光量」は、近傍エリアAR1に含まれる12個の検知スポットの施工時の受光量の平均値でもよいが、これに限られない。「第1時点近傍エリア受光量」は、近傍エリアAR1に含まれる12個の検知スポットのいずれかの施工時の受光量であってもよい。同様に、上述した「第2時点近傍エリア受光量」は、近傍エリアAR1に含まれる12個の検知スポットの経年変化後の受光量の平均値でもよいが、これに限られない。「第2時点近傍エリア受光量」は、近傍エリアAR1に含まれる12個の検知スポットのいずれかの経年変化後の受光量であってもよい。上述した「第1時点遠方エリア受光量」は、遠方エリアAR2に含まれる12個の検知スポットの施工時の受光量の平均値でもよいが、これに限られない。「第1時点遠方エリア受光量」は、遠方エリアAR2に含まれる12個の検知スポットのいずれかの施工時の受光量であってもよい。上述した「第2時点遠方エリア受光量」は、遠方エリアAR2に含まれる12個の検知スポットの経年変化後の受光量の平均値でもよいが、これに限られない。「第2時点遠方エリア受光量」は、遠方エリアAR2に含まれる12個の検知スポットのいずれかの経年変化後の受光量であってもよい。
【0043】
本発明者等は、鋭意研究において、赤外線センサ12が状態すると、通行者が近傍エリアAR1と遠方エリアAR2とを通過する場合に、近傍エリアAR1が検知状態になるものの遠方エリアAR2が検知状態にならないケースが多くなることを見い出した。
そこで、図3および図4に示す例では、状態監視部13の分析部13Eは、近傍エリアAR1が検知状態になったか否かと、遠方エリアAR2が検知状態になったか否かと、に基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
詳細には、状態監視部13の分析部13Eは、例えば通行者が引戸11に近づく場合に、遠方エリアAR2が検知状態になることなく、近傍エリアAR1が検知状態になるときに、赤外線センサ12が状態したおそれがあると推定する。
つまり、状態監視部13は、赤外線センサ12の近傍エリアAR1での検知結果と遠方エリアAR2での検知結果の両方に基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、図3および図4に示す例では、近傍エリアAR1が検知状態になったか否か、および、遠方エリアAR2が検知状態になったか否かのいずれか一方のみに基づいて赤外線センサ12の状態が監視される場合よりも、赤外線センサ12の状態の推定精度を向上させることができる。
【0044】
他の例では、S/N比が低く赤外線センサ12の劣化状況を推定しやすい状況を意図的に作成してもよい。この例では、赤外線センサ12が、引戸11の開閉制御に用いられない信号を出力する劣化推定検知エリア(図示せず)を有する。この劣化推定検知エリアとしては、検知エリアAR内のうちの、赤外線センサ12からの投受光の距離が長い、引戸11から遠方のエリア(検知スポット)が用いられる。この劣化推定検知エリアからの反射光量(受光量)が、赤外線センサ12の劣化状況のリファレンスとして活用される。例えば、この劣化推定検知エリアが検知状態にならなくなった時に、赤外線センサ12が劣化したおそれがあると推定される。
【0045】
本発明者等は、鋭意研究において、自動ドア装置1の設置現場の温度が赤外線センサ12の受光感度などに影響を及ぼすことを見い出した。
上述した図1図4に示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の温度に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、これに限られない。他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の温度の情報を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。この例では、自動ドア装置1の設置現場の温度に基づくことなく赤外線センサ12の状態が監視される場合よりも、赤外線センサ12の状態の推定精度を向上させることができる。
【0046】
また、本発明者等は、鋭意研究において、自動ドア装置1の設置現場の湿度が赤外線センサ12の投光素子および受光素子の寿命に影響を及ぼすことを見い出した。
上述した図1図4に示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の湿度に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、これに限られない。他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の湿度の情報を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。この例では、自動ドア装置1の設置現場の湿度に基づくことなく赤外線センサ12の状態が監視される場合よりも、赤外線センサ12の状態の推定精度を向上させることができる。
【0047】
更に、本発明者等は、鋭意研究において、例えば夕陽の反射光などが赤外線センサ12の受光部12Bによって受光される時間帯においては、受光部12Bによる受光量(この受光量には、夕陽の受光量が含まれる。)、赤外線センサ12の制御情報などに基づいて赤外線センサ12の状態を監視すると、赤外線センサ12の劣化の有無を誤って推定してしまうおそれがあること見い出した。
そこで、他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光が行われた時間帯を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。この例では、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光が行われた時間帯に基づくことなく赤外線センサ12の状態が監視される場合よりも、赤外線センサ12の状態の推定精度を向上させることができる。
【0048】
上述した状態監視部13は、赤外線センサ12および駆動部とは別個に設けられていてもよい。具体的に、赤外線センサ12からのデータなどを記憶する記憶部13Aなどは、赤外線センサ12とは別個に設けられていても(例えば、駆動部内に設けられていても)、赤外線センサ12内に設けられていても、例えば外部のクラウドサーバ(図示せず)等に設けられていてもよい。
状態監視部13が赤外線センサ12内に設けられる例では、赤外線センサ12が、検知光を投光する投光部12A、検知光の反射を受光する受光部12B、および、検知エリアARを有し、受光部12Bの受光量に基づいて自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する自動ドア装置用赤外線センサとして機能する。また、赤外線センサ12が、赤外線センサ12の状態を監視する状態監視部13を備える。
状態監視部13が例えば外部のクラウドサーバ等に設けられる例では、赤外線センサ12と、赤外線センサ12の状態を監視する状態監視部13とによって、自動ドア装置用赤外線センサシステムが構成される。赤外線センサ12は、検知光を投光する投光部12A、検知光の反射を受光する受光部12B、および、検知エリアARを有し、受光部12Bの受光量に基づいて自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する。つまり、この自動ドア装置用赤外線センサシステムが、赤外線センサ12と、例えば外部のクラウドサーバ等に設置された状態監視部13とを備える。
【0049】
[第2実施形態]
以下、本発明の自動ドア装置、自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法、自動ドア装置用赤外線センサシステム及び自動ドア装置用赤外線センサの第2実施形態について説明する。
第2実施形態の自動ドア装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動ドア装置1と同様に構成されている。従って、第2実施形態の自動ドア装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動ドア装置1と同様の効果を奏することができる。
【0050】
図5は、第2実施形態の自動ドア装置1の赤外線センサ12の検知エリアARと引戸11との関係の一例を概略的に示す図である。
第2実施形態の自動ドア装置1の一例では、状態監視部13が、例えば記憶部13Aと、取得部13Bと、算出部13Cと、選択部13Dと、分析部13Eとを備えている。第2実施形態の自動ドア装置1の他の例では、状態監視部13が、算出部13Cと選択部13Dとを備えていなくてもよい。
【0051】
図5に示す例では、検知エリアARに、検知スポットARAと、検知スポットARBとが含まれている。検知スポットARAは、例えば通行者が引戸11の外側(図5の下側)から内側(図5の上側)に通行する時に、最初に検知状態(すなわち、検知スポットARAに通行者が存在し、その通行者を検知している状態)になる検知スポットである。
図5に示す例では、検知エリアARに含まれる72個(=12個×6個)の検知スポットのうちの4個(=4個×1個)の検知スポットによって、検知スポットARAが構成される。他の例では、4以外の任意の数の検知スポットによって検知スポットARAが構成されてもよい。更に他の例では、検知スポットARAが、図5に示す例とは異なる位置に配置されてもよい。
【0052】
図5に示す例では、検知エリアARに含まれる72個(=12個×6個)の検知スポットのうちの、検知スポットARAを除く例えば68個の検知スポットによって検知スポットARBが構成される。検知スポットARBには、検知スポットARAに隣接する隣接スポットARB1と、検知スポットARAに隣接しない非隣接スポットARB2とが含まれる。
図5に示す例では、隣接スポットARB1が8個の検知スポットによって構成され、非隣接スポットARB2が60個の検知スポットによって構成される。他の例では、隣接スポットARB1が8以外の任意の数の検知スポットによって構成され、非隣接スポットARB2が60以外の任意の数の検知スポットによって構成されてもよい。
【0053】
第2実施形態の自動ドア装置1では、赤外線センサ12が検知状態になるタイミングで(例えば赤外線センサ12の検知スポットARAが検知状態になる毎に)、状態監視部13の取得部13Bが、赤外線センサ12の制御情報を赤外線センサ12から取得する。そして、状態監視部13の記憶部13Aが、取得部13Bによって取得された赤外線センサ12の制御情報を記憶する。更に、状態監視部13の分析部13Eが、取得部13Bによって取得された赤外線センサ12の制御情報の経時変化に基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する(具体的には、赤外線センサ12の故障診断および故障予知を行う)。
つまり、第2実施形態の自動ドア装置1では、検知状態の検知スポットである第2検知スポットが検知エリアARに含まれるタイミングで(第2検知スポットが検知エリアARに含まれるときに)、状態監視部13の取得部13Bが、赤外線センサ12の制御情報を赤外線センサ12から取得する。そして、状態監視部13の分析部13Eは、第2検知スポットARAが検知エリアARに含まれるときに取得部13Bによって取得された赤外線センサ12の制御情報の経時変化に基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、第2実施形態の自動ドア装置1では、自動ドア装置1が利用されるタイミングで(例えば検知スポットARAが第2検知スポットになる毎に)必要な情報を取得することによって、赤外線センサ12の故障診断、故障予知を適切に行うことができる。
【0054】
図5に示す例では、取得部13Bが、検知スポットARAおよび検知スポットARBのそれぞれが検知状態であるか否かを示す検知情報と、赤外線センサ12の制御情報とを赤外線センサ12から取得する。
検知スポットARAが検知状態であるか否かを示す検知情報は、検知スポットARAが検知状態であるか、あるいは、非検知状態(検知していない状態)であるかを示す情報である。検知スポットARBが検知状態であるか否かを示す検知情報は、検知スポットARBが検知状態であるか、あるいは、非検知状態であるかを示す情報である。例えば、通行者、物などの物体が、検知スポットARBに存在せず、検知スポットARAに存在する場合に、取得部13Bは、検知スポットARAが検知状態であり、検知スポットARBが非検知状態であることを示す検知情報を赤外線センサ12から取得する。
【0055】
また、図5に示す例において、取得部13Bによって取得される情報には、複数検知スポット受光量が含まれる。複数検知スポット受光量とは、例えば、検知スポットARAに赤外線センサ12の投光部12Aによって投光され、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光された、「検知スポットARAからの反射光量(受光量)」、および、検知スポットARBに投光部12Aによって投光され、受光部12Bによって受光された、「検知スポットARBからの反射光量(受光量)」などである。
また、取得部13Bによって取得される情報には、投光部12Aの設定、受光部12Bの設定などが含まれる。例えば、投光部12Aの設定および受光部12Bの設定の少なくとも一方が、取得部13Bによって取得される赤外線センサ12の制御情報に含まれる。受光部12Bの設定には、例えば、検知の閾値の設定、感度(閾値の増幅量)の設定などが含まれる。
そのため、図5に示す例では、検知スポットARA、ARBからの受光量(複数検知スポット受光量)が分析部13Eによる分析に用いられない場合や、投光部12Aの設定および受光部12Bの設定のいずれもが分析部13Eによる分析に用いられない場合よりも高精度に赤外線センサ12の故障診断、故障予知を行うことができる。
例えば、赤外線センサ12に含まれる複数の投光素子および複数の受光素子のそれぞれの電圧、感度(増幅率)、赤外線センサ12に含まれる複数の受光素子のそれぞれの受光量、検知エリアARに含まれる例えば72個の検知スポットのそれぞれの位置などを示す情報が、赤外線センサ12の制御情報として、取得部13Bによって取得される場合には、赤外線センサ12の故障診断、故障予知の精度を更に向上させることができる。
【0056】
例えば、検知スポットARAが検知状態のとき(つまり、物体が検知スポットARAに存在するとき)に検知スポットARAからの反射光量は一定ではないため、検知スポットARAが検知状態のときの検知スポットARAからの反射光量は、赤外線センサ12の状態の監視に適さない。
そこで、第2実施形態の自動ドア装置1では、検知スポットARAが検知状態であって、検知スポットARBが非検知状態のときに、取得部13Bが、非検知状態の検知スポットARBである第1検知スポットの受光量と赤外線センサ12の制御情報とを取得する。そして、記憶部13Aが、取得部13Bによって取得された第1検知スポット(非検知状態の検知スポットARB)の受光量と赤外線センサ12の制御情報とを記憶する。更に、分析部13Eは、検知スポットARAが検知状態であって検知スポットARBが非検知状態のときに、取得部13Bによって取得された第1検知スポット(非検知状態の検知スポットARB)の受光量および赤外線センサ12の制御情報の経時変化に基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、第2実施形態の自動ドア装置1では、検知スポットARBが検知状態のときに取得される検知スポットARBの受光量および赤外線センサ12の制御情報(つまり、赤外線センサ12の状態の監視に適さない情報)の経時変化に基づいて赤外線センサ12の状態が監視される場合よりも、赤外線センサ12の状態の推定精度を向上させることができる。
【0057】
例えば、通行者が引戸11の外側(図5の下側)から内側(図5の上側)に通行し、検知スポットARBが非検知状態であって検知スポットARAが検知状態になるタイミング(自動ドア装置1の検出ONトリガータイミング)における検知スポットARBからの反射光であっても、検知スポットARBのうちの検知スポットARAに隣接する検知スポットからの反射光には、通行者からの反射光が影響しているおそれがある。
そこで、図5に示す例では、検知スポットARBに、検知スポットARA(第2検知スポット)に隣接する隣接スポットARB1と、検知スポットARAに隣接しない非隣接スポットARB2とが含まれる。
取得部13Bは、赤外線センサ12によって受光された「隣接スポットARB1からの反射光量」である隣接スポット受光量を含まず(検知スポットARAからの受光量も含まず)、赤外線センサ12によって受光された「非隣接スポットARB2からの反射光量」である非隣接スポット受光量を含む第1検知スポットARBの受光量と、赤外線センサ12の制御情報とを取得する。記憶部13Aは、取得部13Bによって取得された第1検知スポットARBの受光量と赤外線センサ12の制御情報とを記憶する。
更に、分析部13Eは、取得部13Bによって取得された非隣接スポット受光量を含む第1検知スポットARBの受光量および赤外線センサ12の制御情報の経時変化に基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、図5に示す例では、通行者からの反射光が影響しているおそれがある隣接スポット受光量を含む検知スポットARBの受光量、および、赤外線センサ12の制御情報の経時変化に基づいて、赤外線センサ12の状態が監視される場合よりも、赤外線センサ12の状態の推定精度を向上させることができる。
【0058】
上述したように、第2実施形態の自動ドア装置1では、検知エリアARに、検知スポットARAと、検知スポットARBとが含まれる。更に、取得部13Bが、検知スポットARAおよび検知スポットARBのそれぞれが検知状態であるか否かを示す検知情報と、赤外線センサ12の制御情報とを赤外線センサ12から取得する。
そのため、第2実施形態の自動ドア装置1では、複数の検知スポットARA、ARBのそれぞれが検知状態であるか否かを示す検知情報と、赤外線センサ12の制御情報と、を取得して分析することにより、それらが取得されず分析されない場合よりも高精度に赤外線センサ12の故障診断、故障予知を行うことができる。
【0059】
換言すれば、第2実施形態の自動ドア装置1では、まず、検知エリアARを有する赤外線センサ12が、自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する。状態監視部13の取得部13Bは、赤外線センサ12によって出力された信号が示す情報(検知スポットARA、ARBのそれぞれが検知状態であるか否かを示す検知情報および赤外線センサ12の制御情報)を取得する。状態監視部13の記憶部13Aは、取得部13Bによって取得された情報を記憶する。次いで、状態監視部13の分析部13Eが、記憶部13Aに記憶されている情報の経時変化に基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、第2実施形態の自動ドア装置1では、赤外線センサ12の状態を推定することができ、赤外線センサ12が故障する前の赤外線センサ12の適切な交換タイミングを把握することができる。
【0060】
図6は、第2実施形態の自動ドア装置1の状態監視部13によって監視される赤外線センサ12の受光素子の受光量の経年変化の一例を示す図である。図6の縦軸は、図5に示す非隣接スポットARB2からの反射光を受光する受光素子の受光量(反射光量)を示しており、図6の横軸は、時刻(経過時間)を示している。
図6に示す例では、状態監視部13が、例えば時刻t1(自動ドア装置1の施工時)~時刻t2(現在時刻)の期間中に、記憶部13Aに記憶されている非隣接スポットARB2からの受光量を含む第1検知スポットの受光量および赤外線センサ12の制御情報の経時変化に基づいて、赤外線センサ12の故障診断を行う。更に、状態監視部13は、例えば時刻t2(現在時刻)に、記憶部13Aに記憶されている非隣接スポットARB2からの受光量を含む第1検知スポットの受光量および赤外線センサ12の制御情報の経時変化(時刻t1~時刻t2の期間中の変化)に基づいて、赤外線センサ12の故障予知を行う。「赤外線センサ12の故障予知」とは、例えば、時刻t2以降の将来に赤外線センサ12が故障するか否かの予知である。
【0061】
第2実施形態の自動ドア装置1の一例では、赤外線センサ12の各種データ(各検知スポットの投光素子電圧、感度、受光量、検知スポットなどに関する情報)が、上述した自動ドア装置1の検出ONトリガータイミングで取得部13Bによって取得される。取得部13Bによって取得された各種データは、記憶部13Aに記憶される。記憶部13Aは、赤外線センサ12および駆動部とは別個に設けられていてもよい。具体的に、記憶部13Aは、赤外線センサ12とは別個に設けられていても(例えば、駆動部内に設けられていても)、赤外線センサ12内に設けられていても、例えば通信機器(図示せず)に設けられていても、例えば外部のクラウドサーバ等に設けられていてもよい。
記憶部13Aが通信機器(図示せず)に設けられている例では、記憶部13Aに記憶されている各種データが、例えば外部のクラウドサーバ等に設けられている分析部13Eに送信される。次いで、分析部13Eが、各種データの分析を行い、赤外線センサ12の状態の監視(赤外線センサ12の故障診断、故障予知)を行う。
【0062】
第2実施形態の自動ドア装置1の他の例では、分析部13Eによる分析が行われる各種データを取得するために、例えば自動ドア装置1の保守点検時などに反射面(検知エリアARが形成されている床面)をグレーマットで覆うことによって、各種データの取得環境を一定にしてもよい。この例では、自動ドア装置1の保守点検が行われる毎に、各種データが取得されて蓄積され、経時データが得られる。
【0063】
上述した図5および図6に示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の温度に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、これに限られない。他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の温度の情報を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0064】
上述した図5および図6に示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の湿度に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、これに限られない。他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の湿度の情報を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0065】
上述した図5および図6に示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光が行われた時間帯に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、これに限られない。他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光が行われた時間帯を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0066】
第2実施形態の自動ドア装置1では、状態監視部13は、赤外線センサ12および駆動部とは別個に設けられていてもよい。具体的に、赤外線センサ12からのデータなどを記憶する記憶部13Aなどが、赤外線センサ12とは別個に設けられていても(例えば、駆動部内に設けられていても)、赤外線センサ12内に設けられていても、例えば外部のクラウドサーバ等に設けられていてもよい。
状態監視部13が赤外線センサ12内に設けられる例では、赤外線センサ12が、検知光を投光する投光部12A、検知光の反射を受光する受光部12B、および、検知エリアARを有する。そして、赤外線センサ12は、受光部12Bの受光量に基づいて自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する自動ドア装置用赤外線センサとして機能する。また、赤外線センサ12が、赤外線センサ12の状態を監視する状態監視部13を備える。
状態監視部13が例えば外部のクラウドサーバ等に設けられる例では、赤外線センサ12と、赤外線センサ12の状態を監視する状態監視部13とによって、自動ドア装置用赤外線センサシステムが構成される。赤外線センサ12は、投光部12Aが検知光を投光し、受光部12Bが検知光の反射を受光する、検知エリアARを有し、受光部12Bの受光量に基づいて自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する。
つまり、この自動ドア装置用赤外線センサシステムが、赤外線センサ12と、例えば外部のクラウドサーバ等に設置された状態監視部13とを備える。
【0067】
[第3実施形態]
以下、本発明の自動ドア装置、自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法、自動ドア装置用赤外線センサシステム及び自動ドア装置用赤外線センサの第3実施形態について説明する。
第3実施形態の自動ドア装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動ドア装置1と同様に構成されている。従って、第3実施形態の自動ドア装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動ドア装置1と同様の効果を奏することができる。
【0068】
図7A図7Cは、第3実施形態の自動ドア装置1の状態監視部13によって行われる赤外線センサ12の状態監視方法の一例を説明するための図である。詳細には、図7Aは、赤外線センサ12の出荷検査時における赤外線センサ12の検知エリアARに含まれる検知スポットARW、ARX、ARY、ARZと各検知スポットの受光量との関係を示している。図7Bは、赤外線センサ12を含む自動ドア装置1の現場設置時における検知スポットARW、ARX、ARY、ARZと各検知スポットの受光量との関係を示している。図7Cは赤外線センサ12の故障時における検知スポットARW、ARX、ARY、ARZと、各検知スポットの受光量と、の関係を示している。図7A図7Bおよび図7Cの横軸は、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZに対応しており、図7A図7Bおよび図7Cの縦軸は、各検知スポットからの反射光を受光する受光素子の受光量(反射光量)との関係を示している。
図8は第3実施形態の自動ドア装置1の赤外線センサ12の検知エリアARに含まれる検知スポットARW、ARX、ARY、ARZと、引戸11と、の関係の一例を概略的に示す図である。
第3実施形態の自動ドア装置1の一例では、状態監視部13が、例えば記憶部13Aと、取得部13Bと、算出部13Cと、選択部13Dと、分析部13Eと、を備えている。
【0069】
図7A図7Cおよび図8に示す例では、検知エリアARに、検知スポットARWと、検知スポットARXと、検知スポットARYと、検知スポットARZとが含まれている。他の例では、検知スポットARWが、図8に示す検知スポットARWの位置とは異なる位置に配置されていてもよいが、これに限られない。他の例では、検知スポットARXが、図8に示す検知スポットARXの位置とは異なる位置に配置されていてもよい。
他の例では、検知スポットARYが、図8に示す検知スポットARYの位置とは異なる位置に配置されていてもよいが、これに限られない。他の例では、検知スポットARZが、図8に示す検知スポットARZの位置とは異なる位置に配置されていてもよい。
【0070】
図7A図7Cおよび図8に示す例では、赤外線センサ12の出荷検査時に、赤外線センサ12から、規定した床面への投受光処理が行われる。
詳細には、図7Aに示すように、受光量R11が、記憶部13Aによって記憶される。受光量R11は、赤外線センサ12の投光部12Aによって検知スポットARWに投光され、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光された、「検知スポットARWからの反射光量」である。また、例えば算出部Cは、予め設定された閾値THに対する受光量R11の劣化許容量TL1(=R11-TH)を算出し、記憶部13Aが受光量R11の劣化許容量TL1を記憶する。劣化許容量TL1は、例えば赤外線センサ12の仕様上求められる受光量と出荷検査時の受光量との差である。
また、受光量R12が、記憶部13Aによって記憶される。受光量R12は、赤外線センサ12の投光部12Aによって検知スポットARXに投光され、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光された、「検知スポットARXからの反射光量」である。例えば算出部Cは、閾値THに対する受光量R12の劣化許容量TL2(=R12-TH)を算出し、記憶部13Aが受光量R12の劣化許容量TL2を記憶する。
同様に、受光量R13、R14は、記憶部13Aによって記憶される。受光量R13、R14は、赤外線センサ12の投光部12Aによって検知スポットARY、ARZに投光され、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光された、「検知スポットARY、ARZからの反射光量」である。例えば算出部Cは、閾値THに対する受光量R13、R14の劣化許容量TL3(=R13-TH)、TL4(=R14-TH)を算出し、記憶部13Aが受光量R13、R14の劣化許容量TL3、TL4を記憶する。
【0071】
図7A図7Cおよび図8に示す例では、次いで、赤外線センサ12を含む自動ドア装置1が現場に設置されている状態で、赤外線センサ12から自動ドア装置1の設置現場の床面(つまり、検知エリアAR)への投受光処理が行われる。好ましくは、現場に設置された自動ドア装置1の引戸11の開閉動作が例えば100回程度行われた後に、この投受光処理が行われる。
詳細には、図7Bに示すように、受光量R21が、記憶部13Aによって記憶される。受光量R21は、赤外線センサ12の投光部12Aによって検知スポットARWに投光され、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光された、「検知スポットARWからの反射光量」である。また、例えば算出部Cは、記憶部13Aに記憶されている劣化許容量TL1と受光量R21とに基づいて、自動ドア装置1の設置現場における検知スポットARWの閾値(=R21-TL1)(故障判断閾値)を算出し、記憶部13Aがその閾値を記憶する。受光量R21は、1回分の値であっても、複数回分の値の平均値などであってもよい。
また、受光量R22が、記憶部13Aによって記憶される。受光量R22は、赤外線センサ12の投光部12Aによって検知スポットARXに投光され、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光された、「検知スポットARXからの反射光量」である。また、例えば算出部Cは、記憶部13Aに記憶されている劣化許容量TL2と受光量R22とに基づいて、自動ドア装置1の設置現場における検知スポットARXの閾値(=R22-TL2)を算出し、記憶部13Aがその閾値を記憶する。
同様に、受光量R23、R24は、記憶部13Aによって記憶される。受光量R23、R24は、赤外線センサ12の投光部12Aによって検知スポットARY、ARZに投光され、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光された、「検知スポットARY、ARZからの反射光量」である。また、例えば算出部Cは、記憶部13Aに記憶されている劣化許容量TL3、TL4と受光量R23、R24とに基づいて、自動ドア装置1の設置現場における検知スポットARY、ARZの閾値(R23-TL3、R24-TL4)を算出し、記憶部13Aがその閾値を記憶する。
【0072】
次いで、図7A図7Cおよび図8に示す例では、検知スポットARWの受光量と、検知スポットARXの受光量と、検知スポットARYの受光量と、検知スポットARZの受光量とが、状態監視部13によって継続的に、又は、定期的に監視される。
具体的には、検知スポットARWの受光量と、検知スポットARXの受光量と、検知スポットARYの受光量と、検知スポットARZの受光量とが、記憶部13Aによって、定期的に記憶される。その結果、検知スポットARWの受光量の経時データと、検知スポットARXの受光量の経時データと、検知スポットARYの受光量の経時データと、検知スポットARZの受光量の経時データとが、記憶部13Aに記憶される。
具体的には、取得部13Bは、記憶部13Aに記憶されている検知スポットARWの受光量の経時データと、検知スポットARXの受光量の経時データと、検知スポットARYの受光量の経時データと、検知スポットARZの受光量の経時データとを、所定のタイミングで取得する。
【0073】
分析部13Eは、取得部13Bによって取得された検知スポットARW、ARX、ARY、ARZの受光量の経時データに基づいて、赤外線センサ12の故障診断、故障予知を検知スポット単位で行う。
具体的には、算出部13Cが、取得部13Bによって取得された検知スポットARW、ARX、ARY、ARZの受光量の経時データに基づいて、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZの受光量の所定の期間における減少量を算出する。
図7Cに示す例では、算出部13Cが、取得部13Bによって取得された検知スポットARWの受光量の経時データに基づいて、検知スポットARWの受光量の減少量(=R21-R31)を算出する。
また、算出部13Cは、取得部13Bによって取得された検知スポットARXの受光量の経時データに基づいて、検知スポットARXの受光量の減少量(=R22-R32)を算出する。
同様に、算出部13Cは、取得部13Bによって取得された検知スポットARY、ARZの受光量の経時データに基づいて、検知スポットARY、ARZの受光量の減少量(R23-R33、R24-R34)を算出する。
【0074】
次いで、図7Cに示す例では、分析部13Eが、記憶部13Aに記憶されている検知スポットARWの受光量の劣化許容量TL1と、算出部13Cによって算出された検知スポットARWの受光量の減少量(R21-R31)とに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。詳細には、分析部13Eが、算出部13Cによって算出された検知スポットARWの受光量の減少量(R21-R31)が、記憶部13Aに記憶されている検知スポットARWの受光量の劣化許容量TL1を超過するか否かに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
また、分析部13Eが、記憶部13Aに記憶されている検知スポットARXの受光量の劣化許容量TL2と、算出部13Cによって算出された検知スポットARXの受光量の減少量(R22-R32)とに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。詳細には、分析部13Eが、算出部13Cによって算出された検知スポットARXの受光量の減少量(R22-R32)が、記憶部13Aに記憶されている検知スポットARXの受光量の劣化許容量TL2を超過するか否かに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
同様に、分析部13Eは、記憶部13Aに記憶されている検知スポットARY、ARZの受光量の劣化許容量TL3、TL4と、算出部13Cによって算出された検知スポットARY、ARZの受光量の減少量(R23-R33、R24-R34)とに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。詳細には、分析部13Eが、算出部13Cによって算出された検知スポットARY、ARZの受光量の減少量(R23-R33、R24-R34)が、記憶部13Aに記憶されている検知スポットARY、ARZの受光量の劣化許容量TL3、TL4を超過するか否かに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
【0075】
具体的には、図7Cに示す例では、検知スポットARWの受光量の減少量(R21-R31)が、検知スポットARWの受光量の劣化許容量TL1を超過する。一方、検知スポットARXの受光量の減少量(R22-R32)は、検知スポットARXの受光量の劣化許容量TL2を超過しない。検知スポットARYの受光量の減少量(R23-R33)は、検知スポットARYの受光量の劣化許容量TL3を超過しない。検知スポットARZの受光量の減少量(R24-R34)は、検知スポットARZの受光量の劣化許容量TL4を超過しない。
【0076】
上述したように、図7A図7Cおよび図8に示す例では、自動ドア装置1が現場に設置された後に、取得部13Bが、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの受光量の経時データを取得する。そのため、図7A図7Cおよび図8に示す例では、赤外線センサ12の故障診断を検知スポット単位で行うことができる。
更に、図7A図7Cおよび図8に示す例では、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの受光量の経時データに基づいて、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZの受光量の将来の減少量を予想することによって、赤外線センサ12の故障予知を検知スポット単位で行うこともできる。
赤外線センサ12が故障したと診断されたタイミング、近い将来に赤外線センサ12が故障すると予想できるタイミングなどで、赤外線センサ12が故障した旨、近い将来に赤外線センサ12が故障すると予想される旨などの報知(例えば、LEDなどによる点滅表示、エラーメッセージの出力など)が、例えば自動ドア装置1の管理者などに対して行われてもよい。
【0077】
また、図7A図7Cおよび図8に示す例では、分析部13Eが、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの受光量の劣化許容量TL1、TL2、TL3、TL4と、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの受光量の減少量(R21-R31、R22-R32、R23-R33、R24-R34)とに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。そのため、図7A図7Cおよび図8に示す例では、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの受光量の劣化許容量TL1、TL2、TL3、TL4、および、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの受光量の減少量(R21-R31、R22-R32、R23-R33、R24-R34)に基づくことなく赤外線センサ12の状態が監視される場合よりも、高精度に赤外線センサ12の検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの故障診断、故障予知を行うことができる。
更に、図7A図7Cおよび図8に示す例では、分析部13Eは、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの受光量の減少量(R21-R31、R22-R32、R23-R33、R24-R34)が、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの受光量の劣化許容量TL1、TL2、TL3、TL4を超過するか否かに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。そのため、図7A図7Cおよび図8に示す例では、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの受光量の減少量(R21-R31、R22-R32、R23-R33、R24-R34)が、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの受光量の劣化許容量TL1、TL2、TL3、TL4を超過するか否かに基づくことなく赤外線センサ12の状態が監視される場合よりも、高精度に赤外線センサ12の検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの故障診断、故障予知を行うことができる。
【0078】
換言すれば、第3実施形態の自動ドア装置1では、出荷検査時および自動ドア装置1の現場設置後に、検知エリアARを有する赤外線センサ12が、自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号(検知スポットARW、ARX、ARY、ARZの受光量を含む信号)を出力する。次いで、状態監視部13の分析部13Eが、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZの受光量の経時データなどに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、第3実施形態の自動ドア装置1では、赤外線センサ12の状態を推定することができ、赤外線センサ12が故障する前の赤外線センサ12の適切な交換タイミングを把握することができる。
【0079】
上述したように、図7A図7Cおよび図8に示す例では、自動ドア装置1が現場に設置された後に、取得部13Bが、検知スポットARWの受光量の経時データと、検知スポットARXの受光量の経時データと、検知スポットARYの受光量の経時データと、検知スポットARZの受光量の経時データとを取得する。図7A図7Cおよび図8に示す例において、算出部13Cは、検知スポットARWの受光量の減少量(R21-R31)と、検知スポットARXの受光量の減少量(R22-R32)と、検知スポットARYの受光量の減少量(R23-R33)と、検知スポットARZの受光量の減少量(R24-R34)とを算出する。図7A図7Cおよび図8に示す例において、分析部13Eは、下記(1)~(4)の全てに基づいて赤外線センサ12の状態を監視する。
(1)検知スポットARWの受光量の減少量(R21-R31)がその劣化許容量TL1を超過するか否か
(2)検知スポットARXの受光量の減少量(R22-R32)がその劣化許容量TL2を超過するか否か
(3)検知スポットARYの受光量の減少量(R23-R33)がその劣化許容量TL3を超過するか否か
(4)検知スポットARZの受光量の減少量(R24-R34)がその劣化許容量TL4を超過するか否か
他の例では、状態監視部13が、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのうちの引戸11の近傍の検知スポットARWである近傍検知スポットのみに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。この例では、検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのうちの引戸11の遠方の検知スポットARX、ARY、ARZである遠方検知スポットに基づくことなく、赤外線センサ12の状態が監視される。この例では、自動ドア装置1が現場に設置された後に、取得部13Bが、検知スポットARWの受光量の経時データを取得し、算出部13Cが、検知スポットARWの受光量の減少量(R21-R31)を算出し、分析部13Eは、検知スポットARWの受光量の減少量(R21-R31)がその劣化許容量TL1を超過するか否かに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。そのため、引戸11の近傍の検知スポットARWの受光量の減少量(R21-R31)に基づくことなく赤外線センサ12の故障診断、故障予知が行われる場合よりも高精度に赤外線センサ12の故障診断、故障予知を行うことができる。
【0080】
更に他の例では、状態監視部13の選択部13Dが、記憶部13Aに記憶されている検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの受光量の劣化許容量TL1、TL2、TL3、TL4のうちの最小の劣化許容量TL1に対応する検知スポットARWである劣化許容量最小検知スポットを選択してもよい。
この例では、自動ドア装置1が現場に設置された後に、取得部13Bが、最小の劣化許容量TL1に対応する検知スポットARWの受光量の経時データを取得する。算出部13Cは、最小の劣化許容量TL1に対応する検知スポットARWの受光量の減少量(R21-R31)を算出する。分析部13Eは、最小の劣化許容量TL1に対応する検知スポットARWの受光量の減少量(R21-R31)がその劣化許容量TL1を超過するか否かに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
すなわち、この例では、赤外線センサ12の検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのうちの故障のおそれが最も高い検知スポットARW(つまり、最小の劣化許容量TL1に対応する検知スポットARW)の受光量の減少量(R21-R31)に基づいて、赤外線センサ12の故障診断、故障予知が行われる。そのため、故障のおそれが低い検知スポットの受光量の減少量に基づいて赤外線センサ12の故障診断、故障予知が行われる場合よりも適切に赤外線センサ12の故障診断、故障予知を行うことができる。
【0081】
上述した図7A図7Cおよび図8に示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の温度に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、これに限られない。他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の温度の情報を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0082】
上述した図7A図7Cおよび図8に示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の湿度に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、これに限られない。他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の湿度の情報を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0083】
上述した図7A図7Cおよび図8に示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光が行われた時間帯に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、これに限られない。他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光が行われた時間帯を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0084】
第3実施形態の自動ドア装置1では、状態監視部13は、赤外線センサ12および駆動部とは別個に設けられていてもよい。具体的に、赤外線センサ12からのデータなどを記憶する記憶部13Aなどが、赤外線センサ12とは別個に設けられていても(例えば、駆動部内に設けられていても)、赤外線センサ12内に設けられていても、例えば外部のクラウドサーバ等に設けられていてもよい。
状態監視部13が赤外線センサ12内に設けられる例では、赤外線センサ12が、検知光を投光する投光部12A、検知光の反射を受光する受光部12B、および、検知エリアARを有する。そして、赤外線センサ12は、受光部12Bの受光量に基づいて自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する自動ドア装置用赤外線センサとして機能する。また、赤外線センサ12が、赤外線センサ12の状態を監視する状態監視部13を備える。
状態監視部13が、外部のクラウドサーバ等に設けられる例では、赤外線センサ12と、赤外線センサ12の状態を監視する状態監視部13とによって、自動ドア装置用赤外線センサシステムが構成される。赤外線センサ12は、検知光を投光する投光部12A、検知光の反射を受光する受光部12B、および、検知エリアARを有する。そして、赤外線センサ12は、受光部12Bの受光量に基づいて自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する。つまり、この自動ドア装置用赤外線センサシステムが、赤外線センサ12と、例えば外部のクラウドサーバ等に設置された状態監視部13とを備える。赤外線センサ12の検知スポットARW、ARX、ARY、ARZの受光量などのデータは、通信機器(図示せず)を介して状態監視部13に送信され、記憶部13Aによって記憶され、分析部13Eによる赤外線センサ12の状態の監視に用いられる。この例では、自動ドア装置1の設置現場から離れた位置において、赤外線センサ12の検知スポットARW、ARX、ARY、ARZのそれぞれの故障診断、故障予知を行うことができる。
上述した例では、例えばハンディーターミナル(図示せず)内のアプリ、クラウドサーバ内のアプリなどが、分析部13Eとして機能する。
【0085】
[第4実施形態]
以下、本発明の自動ドア装置、自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法、自動ドア装置用赤外線センサシステム及び自動ドア装置用赤外線センサの第4実施形態について説明する。
第4実施形態の自動ドア装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動ドア装置1と同様に構成されている。従って、第4実施形態の自動ドア装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動ドア装置1と同様の効果を奏することができる。
【0086】
図9は、第4実施形態の自動ドア装置1の赤外線センサ12の構成の一例を概略的に示す図である。
第4実施形態の自動ドア装置1は、開閉動作する引戸11と、赤外線センサ12と、状態監視部13とを備えている。
図9に示す例では、赤外線センサ12が、投光部12Aと、受光部12Bと、監視用投光部12Cと、監視用受光部12Dとを備えている。投光部12Aは、例えば第1実施形態の自動ドア装置1の投光部12Aと同様に、検知エリアARに対する投光を行う。受光部12Bは、例えば第1実施形態の自動ドア装置1の受光部12Bと同様に、投光部12Aによって投光され検知エリアARによって反射された反射光を受光する。
監視用投光部12Cは、赤外線センサ12の内部に配置されている。監視用投光部12Cの投光素子としては、例えば投光部12Aの投光素子と同一構成の部品が用いられる。つまり、監視用投光部12Cは、投光部12Aと同じ条件(例えば監視用投光部12Cの投光時間、光量等が投光部12Aと同じ)で投光する。
監視用受光部12Dは、赤外線センサ12の内部に配置されている。監視用受光部12Dの受光素子としては、例えば受光部12Bの受光素子と同一構成の部品が用いられる。
監視用投光部12Cによって投光された光は、赤外線センサ12の外部を透過することなく(つまり、検知エリアARを形成する床面などにおいて反射されることもなく)、監視用受光部12Dによって受光される。すなわち、監視用受光部12Dは、監視用投光部12Cからの直接光を受光する。詳細には、受光部12Bの受光量と監視用受光部12Dの受光量とが同程度になるように、監視用投光部12Cの投光素子と監視用受光部12Dの受光素子との間には、レンズ、フィルタなどが配置される。
監視用投光部12Cの投光素子および監視用受光部12Dの受光素子は、例えば投光部12Aの投光素子および受光部12Bの受光素子と同一のタイミングで投受光を行う。つまり、監視用投光部12Cの投光素子および監視用受光部12Dの受光素子は、例えば投光部12Aの投光素子および受光部12Bの受光素子と連動して投受光を行う。そのため、監視用投光部12Cの投光素子および監視用受光部12Dの受光素子の経時劣化は、投光部12Aの投光素子および受光部12Bの受光素子の経時劣化と概略同一の速度で進行する。
【0087】
第4実施形態の自動ドア装置1では、状態監視部13が、例えば記憶部13Aと、取得部13Bと、分析部13Eとを備えている。
取得部13Bは、所定のタイミングで監視用受光部12Dによって受光された受光量のデータを取得し、記憶部13Aは、取得部13Bによって取得された監視用受光部12Dの受光量のデータを記憶する。
詳細には、取得部13Bは、監視用受光部12Dによって受光された受光量のデータを継続的に取得する。つまり、取得部13Bは、監視用受光部12Dによって受光された受光量の経時データを取得する。
分析部13Eは、取得部13Bによって取得された経時データに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。すなわち、分析部13Eは、監視用投光部12Cおよび監視用受光部12Dの状態を監視し、投光部12Aおよび受光部12Bが監視用投光部12Cおよび監視用受光部12Dと同程度に劣化したと推定する。つまり、分析部13Eは、監視用受光部12Dが受光した受光量に基づいて赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、第4実施形態の自動ドア装置1では、赤外線センサ12の外部の影響(例えば、検知エリアARを形成する床面の反射率の変化、太陽光からの光ノイズの影響など)を受けることなく赤外線センサ12の状態を高精度に推定することができる。つまり、第4実施形態の自動ドア装置1では、赤外線センサ12の外部の影響を受けた反射光量に基づいて赤外線センサ12の状態が監視される場合よりも、赤外線センサ12の状態の推定精度を向上させることができる。
【0088】
上述したように、図9に示す例では、監視用投光部12Cおよび監視用受光部12Dが、周辺の外乱を受けない環境に配置される。更に、監視用受光部12Dの受光量の経時変化が所定期間にわたって監視され、投光部12Aおよび受光部12Bの経時劣化が、監視用受光部12Dの受光量などの経時変化に基づいて推定される。
【0089】
換言すれば、第4実施形態の自動ドア装置1では、まず、検知エリアARを有する赤外線センサ12が、自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する。詳細には、赤外線センサ12が、受光部12Bの受光量などを含む信号(引戸11の開閉制御に用いられる信号)と、監視用受光部12Dの受光量などを含む信号とを出力する。次いで、状態監視部13の分析部13Eが、監視用受光部12Dの受光量などを含む信号などに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、第4実施形態の自動ドア装置1では、赤外線センサ12の状態(詳細には、投光部12Aおよび受光部12Bの状態)を推定することができ、赤外線センサ12が故障する前の赤外線センサ12の適切な交換タイミングを把握することができる。
【0090】
上述した図9に示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の温度に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の温度の情報を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0091】
上述した図9に示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の湿度に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の湿度の情報を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0092】
上述した図9に示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、赤外線センサ12の受光部12Bおよび監視用受光部12Dによって受光が行われた時間帯に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、赤外線センサ12の受光部12Bおよび監視用受光部12Dによって受光が行われた時間帯を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0093】
第4実施形態の自動ドア装置1では、状態監視部13は、赤外線センサ12および駆動部とは別個に設けられていてもよい。具体的に、赤外線センサ12からのデータなどを記憶する記憶部13Aなどが、赤外線センサ12とは別個に設けられていても(例えば、駆動部内に設けられていても)、赤外線センサ12内に設けられていても、例えば外部のクラウドサーバ等に設けられていてもよい。
状態監視部13が赤外線センサ12内に設けられる例では、赤外線センサ12が、検知光を投光する投光部12A、検知光の反射を受光する受光部12B、および、検知エリアARを有し、受光部12Bの受光量に基づいて自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する自動ドア装置用赤外線センサとして機能する。また、赤外線センサ12が、赤外線センサ12の状態を監視する状態監視部13を備える。
状態監視部13が例えば外部のクラウドサーバ等に設けられる例では、赤外線センサ12は、検知光を投光する投光部12A、検知光の反射を受光する受光部12B、および、検知エリアARを有する。そして、受光部12Bの受光量に基づいて自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する赤外線センサ12と、赤外線センサ12の状態を監視する状態監視部13とによって、自動ドア装置用赤外線センサシステムが構成される。つまり、この自動ドア装置用赤外線センサシステムが、赤外線センサ12と、例えば外部のクラウドサーバ等に設置された状態監視部13とを備える。
【0094】
[第5実施形態]
以下、本発明の自動ドア装置、自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法、自動ドア装置用赤外線センサシステム及び自動ドア装置用赤外線センサの第5実施形態について説明する。
第5実施形態の自動ドア装置1は、後述する点を除き、上述した第5実施形態の自動ドア装置1と同様に構成されている。従って、第5実施形態の自動ドア装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態の自動ドア装置1と同様の効果を奏することができる。
【0095】
図10A図10Bは、第5実施形態の自動ドア装置1の治具14の構成の一例を概略的に示す図である。詳細には、図10Aは自動ドア装置1の治具14と赤外線センサ12との関係を概略的に示す斜視図である。図10Bは治具14の内側表面に設けられたフィルタ部14Aと反射部14Bとを概略的に示す図である。
第5実施形態の自動ドア装置1は、開閉動作する引戸11と、赤外線センサ12と、状態監視部13と、治具14とを備えている。
治具14は、赤外線センサ12の投光部12Aによって投光された光が検知エリアARに到達する前に投光部12Aによって投光された光を反射するためのものである。例えば自動ドア装置1の定期的なメンテナンス時などに、治具14は、図10Aに示すように、赤外線センサ12を覆うように配置される。その結果、治具14は、投光部12Aの投光が検知エリアARに到達する前に投光を反射して受光部12Bに返す。
図10Aに示す状態では、赤外線センサ12の投光部12Aによって投光された光が、治具14のフィルタ部14A(図10B参照)を透過し、治具14の反射部14B(図10B参照)によって反射され、フィルタ部14Aを透過し、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光される。つまり、図10Aに示す状態では、投光部12Aによって投光された光が、検知エリアARに到達しない。また、投光部12Aと受光部12Bとの間の光路に配置されるフィルタ部14Aは、投光部12Aの強度を変化させる。
【0096】
第5実施形態の自動ドア装置1では、状態監視部13が、例えば記憶部13Aと、取得部13Bと、分析部13Eとを備えている。
取得部13Bは、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光された治具14からの反射光量と赤外線センサ12の制御情報とを取得する。つまり、取得部13Bは、治具14が反射した光を受光部12Bで受光した受光量と、投光部12Aの投光条件(例えば強度)と受光部12Bの受光条件(例えば感度)を含む赤外線センサ12の制御情報とを取得する。すなわち、取得部13Bは、図10Aに示す状態の時に、受光部12Bによって受光された受光量と赤外線センサ12の制御情報とを取得し、記憶部13Aは、取得部13Bによって取得された受光部12Bの受光量と赤外線センサ12の制御情報とを記憶する。
詳細には、取得部13Bは、受光部12Bによって受光された受光量と赤外線センサ12の制御情報とを継続的に取得する。つまり、取得部13Bは、受光部12Bによって受光された受光量と赤外線センサ12の制御情報との経時データを取得する。
分析部13Eは、取得部13Bによって取得された受光量と赤外線センサ12の制御情報とに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
つまり、状態監視部13は、受光部12Bの受光量と赤外線センサ12の制御情報とに基づいて赤外線センサ12の状態を監視する。また、状態監視部13は、取得部13Bによって取得された赤外線センサ12の制御情報の経時変化に基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、第5実施形態の自動ドア装置1では、検知エリアARの環境の変化などの影響を受けることなく赤外線センサ12の状態を高精度に推定することができる。
詳細には、第5実施形態の自動ドア装置1では、分析部13Eが、取得部13Bによって取得された赤外線センサ12の制御情報の経時変化に基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。そのため、治具14からの反射光量を含む赤外線センサ12の制御情報の経時変化に基づいて赤外線センサ12の状態が監視されない場合よりも、赤外線センサ12の状態の推定精度を向上させることができる。
【0097】
上述したように、図10A図10Bに示す例では、例えば図10Aに示す状態(つまり、一定の環境下に整えられた状態)の時に、赤外線センサ12の制御情報(例えば各検知スポットの投光素子の電圧、受光素子の感度、受光量など)が取得されて蓄積され、経時データに基づいて、赤外線センサ12の故障診断および故障予知が高い精度で行われる。
【0098】
換言すれば、第5実施形態の自動ドア装置1では、図10Aに示す状態とは異なる通常状態(赤外線センサ12が治具14によって覆われていない状態)の時に、検知エリアARを有する赤外線センサ12が、自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する。一方、図10Aに示す状態の時には、赤外線センサ12が、治具14からの反射光量を含む赤外線センサ12の制御情報を出力する。次いで、状態監視部13の分析部13Eが、図10Aに示す状態の時に取得部13Bによって取得された赤外線センサ12の制御情報の経時データに基づいて、赤外線センサ12の状態を監視する。
そのため、第5実施形態の自動ドア装置1では、赤外線センサ12の状態(詳細には、投光部12Aおよび受光部12Bの状態)を推定することができ、赤外線センサ12が故障する前の赤外線センサ12の適切な交換タイミングを把握することができる。
【0099】
上述した図10A図10Bに示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の温度に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、これに限られない。他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の温度を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0100】
上述した図10A図10Bに示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の湿度に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、これに限られない。他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、自動ドア装置1の設置現場の湿度を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0101】
上述した図10A図10Bに示す例では、状態監視部13の分析部13Eが、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光が行われた時間帯に基づくことなく赤外線センサ12の状態を監視するが、これに限られない。他の例では、状態監視部13の分析部13Eが、赤外線センサ12の受光部12Bによって受光が行われた時間帯を参照して、赤外線センサ12の状態を監視してもよい。
【0102】
第5実施形態の自動ドア装置1では、状態監視部13は、赤外線センサ12および駆動部とは別個に設けられていてもよい。具体的に、赤外線センサ12からのデータなどを記憶する記憶部13Aなどが、赤外線センサ12とは別個に設けられていても(例えば、駆動部内に設けられていても)、赤外線センサ12内に設けられていても、例えば外部のクラウドサーバ等に設けられていてもよい。
状態監視部13が赤外線センサ12内に設けられる例では、赤外線センサ12が、検知光を投光する投光部12A、検知光の反射を受光する受光部12B、および、検知エリアARを有する。そして、赤外線センサ12は、受光部12Bの受光量に基づいて自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する自動ドア装置用赤外線センサとして機能する。また、赤外線センサ12が、赤外線センサ12の状態を監視する状態監視部13を備える。
状態監視部13が例えば外部のクラウドサーバ等に設けられる例では、赤外線センサ12が、検知光を投光する投光部12A、検知光の反射を受光する受光部12B、および検知エリアARを有する。受光部12Bの受光量に基づいて自動ドア装置1の引戸11の開閉制御に用いられる信号を出力する赤外線センサ12と、赤外線センサ12の状態を監視する状態監視部13とによって、自動ドア装置用赤外線センサシステムが構成される。つまり、この自動ドア装置用赤外線センサシステムが、赤外線センサ12と、例えば外部のクラウドサーバ等に設置された状態監視部13とを備える。赤外線センサ12の検知エリアARの受光量などのデータ、治具14からの反射光量のデータなどは、通信機器(図示せず)を介して状態監視部13に送信され、記憶部13Aによって記憶され、分析部13Eによる赤外線センサ12の状態の監視に用いられる。この例では、自動ドア装置1の設置現場から離れた位置において、赤外線センサ12の故障診断、故障予知を行うことができる。
上述した例では、例えばハンディーターミナル(図示せず)内のアプリ、クラウドサーバ内のアプリなどが、分析部13Eとして機能する。
【0103】
第5実施形態の自動ドア装置1の一例では、例えばハイ・インテンシティグレード(商品名)の反射シートが、上述した反射部14Bとして用いられる。フィルタ部14Aは、受光部12Bによって受光される光の強度を低下させるために用いられる。
状態監視部13は、赤外線センサ12が検知エリアARからの反射光を受光する通常モードと、赤外線センサ12が治具14からの反射光を受光する検査モードとを有する。通常モードと検査モードとは、例えば赤外線センサ12に設けられたスイッチなどによって切り替えられる。
検査モードでは、投光素子の投光量が通常モードより下げられ、投光素子の投光周期が通常モードより長くされ、投光素子の投光回数が通常モードより増やされる。
この例では、治具14を用いることによって、検知エリアARの床面、自動ドア装置1の設置現場の影響を受けることなく、赤外線センサ12の故障診断および故障予知に必要なデータを取得することができる。その結果、赤外線センサ12の故障診断および故障予知を高い精度で行うことができる。
【0104】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態および各例に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を組み合わせてもよい。
【0105】
上述した実施形態における自動ドア装置1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明によれば、赤外線センサの状態を推定することができる自動ドア装置、自動ドア装置用赤外線センサの状態監視方法、自動ドア装置用赤外線センサシステム及び自動ドア装置用赤外線センサを提供することができる。
【符号の説明】
【0107】
1…自動ドア装置、11…引戸、12…赤外線センサ、12A…投光部、12A1、12A2…投光素子群、12A3、12A4…レンズ、12B…受光部、12B1、12B2、12B3、12B4…受光ユニット、12C…監視用投光部、12D…監視用受光部、13…状態監視部、13A…記憶部、13B…取得部、13C…算出部、13D…選択部、13E…分析部、14…治具、14A…フィルタ部、14B…反射部、AR…検知エリア、AR1…近傍エリア、AR2…遠方エリア、ARA…検知スポット、ARB…検知スポット、ARB1…隣接スポット、ARB2…非隣接スポット、ARW…検知スポット、ARX…検知スポット、ARY…検知スポット、ARZ…検知スポット
図1
図2
図3
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図5
図6
図7A
図7B
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図8
図9
図10A
図10B