(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】マイクロメカニカルな又は時計のコンポーネントを保持し、センタリングし、及び/又はコレット締め付けをする把持デバイス
(51)【国際特許分類】
G04D 1/06 20060101AFI20241217BHJP
B23B 31/20 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G04D1/06
B23B31/20 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023145216
(22)【出願日】2023-09-07
【審査請求日】2023-10-10
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】ファム、 パトリック
(72)【発明者】
【氏名】ドンゼ、 クリストフ
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-168823(JP,A)
【文献】特開2005-319580(JP,A)
【文献】特開2004-249440(JP,A)
【文献】特表2014-522736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0281202(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106975942(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04D 1/00 - 1/10
B23B 31/20
B23Q 3/06
B25B 5/02
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心軸に向かうように可動な少なくとも一つの可動ジョー(2)を含むコレットによって境界が定められた締め付けチャンバにおいてマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネント(200)を保持し、センタリングし、及び/又は締め付ける把持デバイス(100)であって、特徴は、
前記少なくとも一つの可動ジョー(2)若しくは静止ジョー(3)が、又は前記コレットが複数のジョーを含む場合には前記可動ジョー(2)及び/若しくは静止ジョー(3)のうちの少なくともいくつかが、
軸方向から直接当接するコンポーネント(200)を支持するべく配列される基準面(20)を含み、又は
軸方向から直接当接する中間保持プレート(400)を支持するべく配列される基準面(20)であって、前記中間保持プレート(400)に前記コンポーネント(200)が
軸方向から当接する、基準面(20)を含むことと、
前記把持デバイス(100)が前記基準面(20)を使用して締め付けを行うべく配列され、
前
記把持デバイス(100)が、前記基準面(20)を含んで前記基準面(20)に当接する前記コンポーネント(200)を支持するべく配列される前記静止ジョー(3)と、前記コンポーネント(200)及び/又は前記中間保持プレート(400)をセンタリングし及び/又は締め付けるべく配列される前記可動ジョー(2)とを含むことと
にある、把持デバイス(100)。
【請求項2】
前記把持デバイス(100)が、前記コンポーネント(200)及び/又は前記中間保持プレート(400)をセンタリングし及び/又は締め付けるべく配列される前記可動ジョー(2)を含み、前記中間保持プレート(400)が前記基準面(20)に当接し、当接する前記コンポーネント(200)のための支持体として作用することを特徴とし、
前記可動ジョー(2)が凹部(24)を含み、前記凹部(24)が、前記中間保持プレート(400)まわりに作られて間隙を与え、前記間隙により、前記可動ジョー(2)が前記コンポーネント(200)を締め付けるべく弾性変形して
前記中心軸であるコレット軸(D)に向かって動くことが許容されることも特徴とする、請求項1に記載の把持デバイス(100)。
【請求項3】
特徴は、
前記把持デバイス(100)が、前記基準面(20)を含む前記静止ジョー(3)を含み、
前記静止ジョー(3)は、当接する前記コンポーネント(200)を支持するべく配列され、
前記可動ジョー(2)は、前記コンポーネント(200)及び/又は前記中間保持プレート(400)をセンタリング及び/又は締め付けるべく配列され、
前記中間保持プレート(400)は前記基準面(20)に当接し、当接するコンポーネント(200)のための支持体として作用し、
前記把持デバイス(100)が、前記静止ジョー(3)を保持するべく配列されることにある、請求項1に記載の把持デバイス(100)。
【請求項4】
特徴は、
前記把持デバイス(100)が、
前記中心軸であるコレット軸(D)に沿って整列されるように、
ツール及び/又はハンドリングデバイスと協働するべく配列される把持手段(41)を含むパレット(40)と、
前記コレットの開閉を制御するべく配列される作動デバイスと
を含むことにある、請求項1に記載の把持デバイス(100)。
【請求項5】
特徴は、
前記把持デバイス(100)が、
前記コレット軸(D)に沿って整列されるように、
ツール及び/又はハンドリングデバイスと協働するべく配列される把持手段(41)を含むパレット(40)と、
前記作動デバイスと
を含み、
前記作動デバイスは、前記コレットに含まれる前記可動ジョー(2)を押し込むことによって前記コレットの閉を制御するべく前記コレット軸(D)まわりに回転可能なリングを含むことにある、請求項4に記載の把持デバイス(100)。
【請求項6】
特徴は、
前記把持デバイス(100)が、
前記コレット軸(D)に沿って整列されるように、
ツール及び/又はハンドリングデバイスと協働するべく配列される把持手段(41)を含むパレット(40)と、
前記作動デバイスと
を含み、
前記作動デバイスは、弾性支持体上の押し込み手段(50)を含み、
内向き若しくは外向きに先細りのコーン(30)が円錐面(32)を含み、
前記円錐面(32)は、可動ジョー(2)及び/又は前記静止ジョー(3)に含まれる相補面(23)と協働するべく配列されて前記コレットを作動させる表面を構成することにある、請求項4に記載の把持デバイス(100)。
【請求項7】
特徴は、前記可動ジョー(2)のみが前記相補面(23)を含み、前記静止ジョー(3)は前記相補面(23)を有しないことにある、請求項6に記載の把持デバイス(100)。
【請求項8】
前記可動ジョー(2)と前記静止ジョー(3)とが交互にされることを特徴とする、請求項1に記載の把持デバイス(100)。
【請求項9】
一方では前記可動ジョー(2)が、他方では前記静止ジョー(3)が、
前記中心軸であるコレット軸(D)に対して回転対称となることを特徴とする、請求項8に記載の把持デバイス(100)。
【請求項10】
前記可動ジョー(2)と前記静止ジョー(3)とが等しい数で存在することを特徴とする、請求項8に記載の把持デバイス(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの可動ジョーを含むコレットによって境界が定められた締め付けチャンバにおいてマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネントを保持、センタリング及び/又はコレット締め付けをする把持デバイスに関する。
【0002】
本発明はさらに、かかるマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネントを、かかる把持デバイスに含まれる締め付けチャンバの中に取り付ける方法に関する。
【0003】
本発明は、マイクロメカニクスの分野に関し、製造ステップ中のコンポーネントの位置決め及び締め付け、又は製造ステップ中のツールの位置決め及び締め付けに関する。
【背景技術】
【0004】
製造ツール類におけるマイクロメカニカルコンポーネント、特に時計コンポーネントの極めて精密な位置決めは常に複雑である。かかる精密な位置決めを要求することは、不適切な変形を誘発することがないように、十分な締め付けと折り合いを付ける必要がある。この問題は、完璧な角度インデクス付け(indexing)が必要とされることが多い製造オペレーションにおいて使用されるマイクロツールの位置決め及び保持に対しても同様である。
【0005】
既存の締め付け手段は、ジャコブス(Jacobs)チャックの多くの変形例を含み、そのコレットは、コンポーネントを保持するべく弾性又は関節式である。特に、時計産業では、従来型締め付け手段において「Ottet」タイプのコレットが極めて一般的に使用される。このタイプの締め具は、複数のコレットセグメントを開閉することによってコンポーネントを締め付けることを可能にする。コレットセグメントは、典型的に、ねじナットシステムと、ばねのような弾性戻り手段と、この弾性戻り手段を支承するボール等のような押圧片と、当該セグメントに含まれる円錐形状又は丸形状のセクターと協働する内向き又は外向きに先細りのコーンとの組み合わせ作動を受けて弾性変形する。これらのセグメントは、締め付け対象のコンポーネントの輪郭に可能な限り一致するように、通常は内部で機械加工されることが意図され、最大精度を目的として機械の中の所定の位置において機械加工され得る。コレット自体は、機械加工ツールのディバイダに嵌合されるのが典型的な自動締め付けデバイスから締め付けられ/締め付け解除されるパレットに取り付けられる。かかるコレットのコーン締め付けの原理は、特許文献1に記載されている。
【0006】
しかしながら、これらのセグメントはコンポーネントを締め付けるべく枢動する必要があるので、コンポーネントの高さ及び位置を確かにする空間内の基準支承箇所が存在しない。換言すれば、コンポーネントがこのタイプのコレットによって締め付けられる場合、精密な軸方向及び径方向位置を保証することが難しくなる。例えば、コンポーネントが正確に同じ寸法を有しない場合、又は様々なセグメントと締め付けコーンとの間の摩擦が変化する場合、コレットに対するコンポーネントの相対位置がわずかに変化する。この問題は、前回のオペレーションよりも局所的な機械加工オペレーションを必要とするリワーク機械加工にとってかなり大きい。
【0007】
精密支承箇所が必要とされる場合、このタイプの標準的なばねコレットはもはや使用されないのが一般的である。締め具の中心において利用可能な空間が、締め付け力/締め付け解除力を伝達する機械コンポーネントのために予約されているからである。
【0008】
その結果、こうした状況に対したカスタマイズされたソリューションが必要とされるのが一般的である。このソリューションはそれゆえ柔軟性が低く、全体的な寸法が大きく、高価となる。
【0009】
もう一つの問題は、機械加工オペレーション後に、コレットに保持されたままの唯一の一片となる、ブランクコンポーネントから切り出された機械加工済みコンポーネントを保持する能力に関する。
【0010】
再び留意されるのは、マイクロメカニカルな機械加工ツールが小型化されている傾向を考慮すると、ますますコンパクトな締め付け手段を構築する必要があることである。かかる手段は、必要な剛性及び精度だけでなく、すべての所望の機能を保証することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【0012】
本発明の目的は、精密な基準支承箇所を組み入れることによってマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネント又はツールの位置決め及び締め付けを改善することにある。この目的のために、本発明は、請求項1に係る、マイクロメカニカルな又は時計のコンポーネントを保持し、センタリングし、及び/又は締め付ける把持デバイスに関する。
【0013】
すなわち本発明は、固定基準支承箇所を空間の中に与えるとの課題を、少なくとも一つの固定基準支承箇所を与えることによって、詳しくは、広く認められた普及モデルの標準的な市販のコレットを修正することによって、克服することができる。これにより、本発明に係る把持デバイスの製造のコスト効率が極めて高くなる。さらに、かかる修正は、コレットの外部寸法を改変しない。
【0014】
本発明のもう一つの側面は、かかるマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネントを、かかる把持デバイスに含まれる締め付けチャンバの内側に取り付ける方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
添付図面を参照して与えられる以下の詳細な説明を読むことで、本発明の目的、利点及び特徴が良好に理解される。
【0016】
【
図1】本発明に係る把持デバイスを模式的に示す。この把持デバイスは、スロットにより分離された複数のジョーを含む市販のばねコレットに基づいて製造される。これら複数のジョーのうちいくつかは、ばねコレットがアクティブにされているときにもはや動くことができないように、すなわち静止ジョーとなるように、内部が機械加工されている。この静止ジョーは、可動ジョーとは対照的であり、非制限的な代替実施形態においては、これらは交互に配置される。このばねコレットは、コレット軸まわりに実質的に同心に締め付けるタイプである。
【
図2】
図1の把持デバイスの側面図を模式的に示す。
【
図3】
図1の把持デバイスの上面図を模式的に示す。
【
図4】
図1の把持デバイスの
図2における切断面A-Aに沿った断面図を模式的に示す。複数のコンポーネントは、把持デバイスの下端から開始してコレット軸に沿って段状に配列される。パレットが、この場合は溝の形態にある標準化されたハンドリングインタフェイスを含み、押し込み又は引き出しのためのねじ又はロッドのような操作部材(図示せず)のハウジングが、当該ハンドリングインタフェイスを貫通する。このパレットは、この場合はばね(図示せず)に配置されたボールである押し込み部材を支承する。この押し込み部材は、操作部材によって作動されて、この場合は内向きに先細りのコーンを押し込む。このコーンは、複数の可動ジョーに含まれる円錐状セクターと協働する。これらの可動ジョーは、この断面図では示されない静止ジョーを保持する保持プレートを取り囲む間隙を含む。このプレートは、位置決め及び締め付け対象のコンポーネントを支承する。この間隙により、コンポーネントを締め付けるべく枢動させることによって可動ジョーを操作することが許容される。すなわち、可動ジョーが、締め付けねじが動かされるときに作動コーンによって作動されることが理解される。
【
図6】
図1の把持デバイスの
図2における切断面B-Bに沿った断面図を模式的に示す。静止ジョーと可動ジョーとが交互することを示す。可動ジョーの円錐状セクターのみが、中央部において可視であり、静止ジョーは作動コーンを有しない。
【
図7】ジョーの枢動が完了した後の
図1の把持デバイスを、
図3と同様に示す。
【
図8】
図1の把持デバイスを、
図7における切断面E-Eに沿った断面図で
図4と同様に示す。静止ジョー単独と、ねじ付き保持プレートがコンポーネントを支承する態様による剛性接続とを示す。
【
図9】ジョーの枢動が完了した後の
図1の把持デバイスを、
図2と同様に示す。
【
図10】
図1の把持デバイスを、
図9における切断面C-Cに沿った断面図で
図8と同様に示す。静止ジョー単独と、コンポーネントを支承する保持プレートを使用したピン留めによる精密な位置決めとを示す。
【
図11】内向きに先細りのコーンを有する
図1から
図10までの一つに係る把持デバイスを製造するべく使用することができるばねコレットの基本コンポーネントの分解側面図を模式的に示す。
【
図12】外向きに先細りのコーンを有する他実施形態に係る把持デバイスを製造するべく使用することができるばねコレットの基本コンポーネントの分解側面図を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、少なくとも一つの可動ジョー2を含むコレットによって境界が定められた締め付けチャンバにおいてマイクロメカニカルな又は時計のコンポーネント200を保持、センタリング及び/又はコレット締め付けをする把持デバイス100に関する。
【0018】
詳しくは、図により示される非限定的バージョンにおいて、本発明は、コレット軸Dまわりに分散される実質的に同心の複数のジョーを有するコレットを備えた把持具に関する。しかしながら、以下に説明される本発明の原理は、万力(vice)タイプの他の製造ツールにも、又は可動ジョーを有する特別なツールにも適用可能である。
【0019】
図に示される非限定的な代替実施形態において、本発明は、(「Ottet」タイプ又はこれと同様の)市販のコレット80を修正して精密な基準支承箇所を加えることによって達成することができる。
【0020】
基準支承箇所により、コンポーネントを締め付けて精密な位置決めをすることが許容される。
【0021】
図示の例は、標準的なコレットを締め付けベースとして使用することに関する。「Ottet」タイプ又はこれと同様の標準的なコレット80が低コストで修正されている。
【0022】
この修正されたコレットは、標準的なインタフェイス41が嵌め込まれたパレット40に組み付けられることが意図される。このインタフェイス41は、交換可能とするべくかつこの締め付け手段を任意タイプの機械に装備するべく、「Erowa」、「Yerly」、「TG-Colin」等のようなサプライヤから入手可能である。代替実施形態において、このデバイスはまた、任意のシャンクノーズに直接取り付けることもできる。
【0023】
コンポーネントは、例えば、機械の外側から、ねじ若しくはリングを使用して手動で、又は自動で、そして非限定的な態様では、機械が嵌合された制御ロッドを使用して、締め付けること/締め付け解除することができる。
【0024】
把持デバイス100はコーン30を含む。コーン30は、その内向き/外向きの先細りに応じてコレットの開及び閉それぞれを許容する要素である。これは、
図11(内向きに先細りのコーン)及び
図12(外向きに先細りのコーン)に示される。
【0025】
使用される標準のコレットを修正するべく、本発明は、この場合は複数の可動ジョー2及び複数の静止ジョー3から構成されるコレットセグメントの役割を、分割して2つの別個の機能にする。詳しくは、非限定的な態様において、バランスをとるべく、セグメントの半数を各機能に共有させることができる。実行される製造オペレーションに固有の制約に応じて任意の他の組み合わせも可能である。
【0026】
第1の機能は、把持具の基本機能のままである。すなわち、コンポーネント200を、センタリングが保証されている間に締め付けること/締め付け解除することである。
【0027】
第2の機能は、締め付け/締め付け解除の動きをなくすことと、固定基準支承箇所を与えるべくセグメントを剛性接続して固めることとから構成される。所定の望ましいセグメントにおいてこの動きをなくすべく、これらの特定のセグメントを作動させるコーンを最初に除去/機械加工する必要がある。
【0028】
可動ジョー2により、コンポーネント200を締め付け/締め付け解除することが許容され(第1の機能)、互いに剛性接続された静止ジョー3が基準支承箇所を形成する(第2の機能)。
【0029】
可動ジョー2は、一方において、パレット40を貫通して押し込み手段50(詳しくはボール又は押し込み片シャトル)を押し込むように配列される締め付けねじ90によって駆動される内向き又は外向きに先細りの制御コーン30と、他方において、相補進展面23(詳しくはコレット80に組み込まれる可動ジョー2に含まれる円錐面)との協働によって作動される。押し込み手段50は、ばねのような軸方向弾性戻り手段51と組み合わせられ、このコーン30は円錐面32を含む。言うまでもないことだが、コーン30の円錐面は、進展形状の他の面に置換してよい。
【0030】
すなわち、本発明によれば、この少なくとも一つの可動ジョー2若しくは静止ジョー3が、又はコレットが複数のジョーを含む場合には当該可動ジョー2及び/若しくは静止ジョー3のうち少なくともいくつかが、前から直接当接するコンポーネント200を支持するべく配列される基準面20を含み、又はこのコンポーネント200に前から直接当接する中間保持プレート400を支持するべく配列される基準面20であって、この中間保持プレート400はこのコンポーネント200に前から当接するように配列される、基準面20を含む。把持デバイス100は、基準支承箇所を使用して締め付けを行うべく配列される。把持デバイス100は、この基準面20を含んで、当接するコンポーネント200を支持するべく配列される静止ジョー3と、コンポーネント200又は中間保持プレート400をセンタリングし及び/又は締め付けるべく配列される可動ジョー2とを含む。
【0031】
すなわち、把持デバイス100は、コンポーネント200及び/又は中間保持プレート400をセンタリングし及び/又は締め付けるべく配列される可動ジョー2を含む。中間保持プレート400は基準面20に当接し、当接するコンポーネント200のための支持体として作用する。これらの可動ジョー2は凹部24を含む。凹部24は、この中間保持プレート400まわりに作られて間隙を与える。この間隙により、これらの可動ジョー2は、コンポーネント200を締め付けるべく弾性変形してコレット軸Dに向かって動くことが許容される。
【0032】
詳しくは、把持デバイス100は、基準面20を含む静止ジョー3であって、当接するコンポーネント200を支持するべく配列される静止ジョー3と、コンポーネント200及び/又は中間保持プレート400をセンタリングし及び/又は締め付けるべく配列されるそのような可動ジョー2とを含み、中間保持プレート400は基準面20に当接し、当接するコンポーネント200のための支持体として作用する。把持デバイス100は、静止ジョー3を保持するべく配列される。
【0033】
詳しくは、把持デバイス100は、コレット軸Dに沿って整列されるように、ツール及び/又はハンドリングデバイスと協働するべく配列される把持手段41を含むパレット40と、コレットの開閉を制御するべく配列される作動デバイスとを含む。
【0034】
一つの特定実施形態において、この作動デバイスは、コレットに含まれる可動ジョー2を押し込むことによってコレットの閉を制御するべくコレット軸Dまわりに回転するリングを含む。
【0035】
図に示されるもう一つの特定実施形態において、把持デバイス100は、コレット軸Dに沿ってこのパレット40を通り又はこのパレット40まわりに、弾性支持体に押し込み手段50を作用させるねじ、ナット、又はプッシュ若しくはプルロッドのような操作手段90と、詳しくは円錐面である進展面32を含む内向きに又は外向きに先細りのコーン30とを含む。進展面32は、可動ジョー2及び/又は静止ジョー3に含まれる相補面23と協働するべく配列され、コレット80を作動させる表面を構成する。
【0036】
詳しくは、可動ジョー2のみが、かかる相補面23を含み、静止ジョー3は、かかる相補面23を有しない。
【0037】
詳しくは、一方では可動ジョー2が、他方では静止ジョー3が、コレット軸Dに対して回転対称となる。
【0038】
詳しくは、等しい数の可動ジョー2及び静止ジョー3が存在する。
【0039】
図面は、コレットを締め付けし/締め付け解除する手動手段として使用されるねじを示す。しかしながら、パレットの中心を貫通する制御ロッドが機械に装備される場合、この制御ロッドは、十分に強力であれば、自動締め付け/締め付け解除手段として作用するねじを置換してよい。
【0040】
言うまでもないことだが、位置インデクス付け、詳しくは、コンポーネント200の角度位置のインデクス付けは、最も単純かつ最も安価なピンによって達成することができる。このピンは、静止ジョー3に、又は静止ジョー3を保持する保持プレートに、存在してよい。図は、ピン39が保持プレートの内側に取り付けられる場合を示す。保持プレートが、ばねコレットにピン留めされている。一代替実施形態において、例えばノッチのような基準を有する標準化されたブランクを使用して作業する場合、静止ジョーが一配向を有すること、すなわち、各基準に対して異なるくぼみを有する保持プレートを有することが有利となり得る。保持プレートは、ピンを付加する必要なしに、又はくぼみにドロップを機械加工する必要なしに、変更することができる。ワークピースが圧延加工されたインデクス面又は二面角を有する場合、保持プレートにおけるピン、又は保持プレートに直接機械加工された配向カウンターフォームが、インデクス付けを引き継ぐことができる。理解されることだが、コンポーネントの各タイプの製造に適合された様々な中間保持プレートを使用することは、不可逆な場合がある機械加工ジョーよりも安価である。
【0041】
つまり、本発明によって、コンポーネントの正確な位置付けと正確な締め付けとの双方を保証する把持デバイスの、コスト効率の高い製造が許容される。詳しくは、この把持デバイスは、「Ottet」タイプのコレット等のような広く認められた普及標準締め付け手段を修正することによって製造することができる。
【0042】
本発明により、機械加工の、詳しくはリワーク機械加工の、精密度が改善される。基準支承箇所によって良好な位置決め反復性が許容されるからである。
【0043】
本発明は、(作動コーンが不在であり、保持プレートにより静止セグメントが剛性接続される)静止セグメントと可動セグメントとが区別されることと、基準支承箇所が静止セグメントに存在することとにより、識別が容易である。
【0044】
本発明のコンパクト性は、付加的な機能を組み入れながらも、マイクロメカニカルな機械加工手段の小型化傾向、今日のマイクロ機械の寸法要求に正確に合致する全体寸法に完全に適合する。