(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】熱源システム
(51)【国際特許分類】
F24F 11/64 20180101AFI20241217BHJP
F24F 11/84 20180101ALI20241217BHJP
F24F 140/12 20180101ALN20241217BHJP
【FI】
F24F11/64
F24F11/84
F24F140:12
(21)【出願番号】P 2023150054
(22)【出願日】2023-09-15
(62)【分割の表示】P 2020530001の分割
【原出願日】2019-04-18
【審査請求日】2023-09-15
(31)【優先権主張番号】P 2018129937
(32)【優先日】2018-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】日本キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 徳臣
(72)【発明者】
【氏名】松本 勇司
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第102809195(CN,A)
【文献】特開2005-180848(JP,A)
【文献】特開2009-243718(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101769586(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水冷媒熱交換器を有する熱源機と負荷装置との間を送水管および還水管で接続し、1つの熱源機に対して1つの入口ポンプを備えた単式ポンプ方式の熱源システムであって、
前記還水管から前記水冷媒熱交換器に水が流入する入口側に設けられ、前記水冷媒熱交換器に水を送る入口ポンプよりも上流側において前記還水管を流れる水の圧力を検出する入口側圧力計と、
前記水冷媒熱交換器から前記送水管に水が流出する出口側に設けられ、前記送水管を流れる水の圧力を検出する出口側圧力計と、
前記入口側圧力計で検出した入口側の圧力と前記出口側圧力計で検出した出口側の圧力との差分、前記送水管と前記還水管との間を前記負荷装置と並列に接続しているバイパス管に設けられているバイパス弁の開度、および前記バイパス弁の機械的特性に基づいて、前記負荷装置側に流れる負荷流量を求める処理を実行する制御装置と、
を備えることを特徴とする熱源システム。
【請求項2】
水冷媒熱交換器を有する熱源機と負荷装置との間を送水管および還水管で接続し、1つの熱源機に対して1つの入口ポンプを備えた単式ポンプ方式の熱源システムであって、
前記水冷媒熱交換器から前記送水管に水が流出する出口側に設けられ、前記送水管を流れる水の圧力を検出する出口側圧力計と、
前記還水管を流れる水に所定の圧力を加える膨張タンクに設定する制御圧力と前記出口側圧力計で検出した出口側の圧力との差分、前記送水管と前記還水管との間を前記負荷装置と並列に接続しているバイパス管に設けられているバイパス弁の開度、および前記バイパス弁の機械的特性に基づいて、前記負荷装置側に流れる負荷流量を求める処理を実行する制御装置と、
を備えることを特徴とする熱源システム。
【請求項3】
水冷媒熱交換器を有する熱源機と負荷装置との間を送水管および還水管で接続し、1つの熱源機に対して1つの入口ポンプを備え、送水管に二次ポンプを備えた複式ポンプ方式の熱源システムであって、
前記還水管から前記水冷媒熱交換器に水が流入する入口側に設けられ、前記水冷媒熱交換器に水を送る前記入口ポンプよりも上流側において前記還水管を流れる水の圧力を検出する入口側圧力計と、
前記水冷媒熱交換器から前記送水管に水が流出する出口側に設けられ、前記送水管を流れる水の圧力を検出する出口側圧力計と、
前記入口側圧力計で検出した入口側の圧力と前記出口側圧力計で検出した出口側の圧力との差分と、前記送水管と前記還水管との間を前記負荷装置と並列に接続しているフリーバイパス管の抵抗係数とに基づいて、前記負荷装置側に流れる負荷流量を求める処理を実行する制御装置と、
を備えることを特徴とする熱源システム。
【請求項4】
水冷媒熱交換器を有する熱源機と負荷装置との間を送水管および還水管で接続し、1つの熱源機に対して1つの入口ポンプを備え、送水管に二次ポンプを備えた複式ポンプ方式の熱源システムであって、
前記水冷媒熱交換器から前記送水管に水が流出する出口側に設けられ、前記送水管を流れる水の圧力を検出する出口側圧力計と、
前記還水管を流れる水に所定の圧力を加える膨張タンクに設定する制御圧力と前記出口側圧力計で検出した出口側の圧力との差分と、前記送水管と前記還水管との間を前記負荷装置と並列に接続しているフリーバイパス管の抵抗係数とに基づいて、前記負荷装置側に流れる負荷流量を求める処理を実行する制御装置と、
を備えることを特徴とする熱源システム。
【請求項5】
前記送水管と前記還水管との間を前記負荷装置と並列に接続している配管を、前記熱源機に設けたことを特徴とする請求項
1から4のいずれか一項記載の熱源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱源機と負荷装置との間を送水管および還水管で接続した熱源システム、およびそれに用いる熱源機、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱源機と負荷装置との間を送水管および還水管で接続して構成された熱源システムは、例えばビル等の空調用、塗装や乾燥あるいは洗浄等の産業用、あるいは栽培等の農業用など広い分野で用いられている。
【0003】
このような熱源システムは、熱源機側にだけポンプを設けた単式ポンプ方式の構成、あるいは、負荷装置側にもポンプを設けた複式ポンプ方式の構成となっており、いずれの構成においても、制御に必要なデータを取得するために、差圧計や流量センサあるいは温度センサ等の各種のセンサが送水管や還水管等に設置されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-38379号公報
【文献】特開2014-35090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1、2のように設置するセンサの種類や数が多ければ取得されるデータも増えることから、熱源システムの制御に役立つものと考えられる。その一方で、設置するセンサの種類や数が多くなると、単純にコストが増加するだけでなく、熱源システムの立ち上げ時や運用時に多大な労力が必要になるおそれがある。
【0006】
そこで、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時における利便性を向上させることができる熱源システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の熱源システムは、水冷媒熱交換器を有する熱源機と負荷装置との間を送水管および還水管で接続し、1つの熱源機に対して1つの入口ポンプを備えた単式ポンプ方式の熱源システムであって、還水管から水冷媒熱交換器に水が流入する入口側に設けられ、水冷媒熱交換器に水を送る入口ポンプよりも上流側において還水管を流れる水の圧力を検出する入口側圧力計と、水冷媒熱交換器から送水管に水が流出する出口側に設けられ、送水管を流れる水の圧力を検出する出口側圧力計と、入口側圧力計で検出した入口側の圧力と出口側圧力計で検出した出口側の圧力との差分、送水管と還水管との間を負荷装置と並列に接続しているバイパス管に設けられているバイパス弁の開度、およびバイパス弁の機械的特性に基づいて、負荷装置側に流れる負荷流量を求める処理を実行する制御装置と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態および第2実施形態における単式ポンプ方式の熱源システムの構成を模式的に示す図
【
図2】第3実施形態における単式ポンプ方式の熱源システムの他の構成を模式的に示す図
【
図3】第4実施形態における複式ポンプ方式の熱源システムの構成を模式的に示す図
【
図4】第5実施形態における複式ポンプ方式の熱源システムの他の構成を模式的に示す図
【
図5】第6実施形態における熱源システムの配管態様を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、複数の実施形態について説明する。なお、詳細は後述するが、第1実施形態から第3実施形態は単式ポンプ方式の例であり、第4実施形態および第5実施形態は複式ポンプ方式の例であり、第6実施形態はそれらの変形例である。また、説明の簡略化のために、各実施形態の熱源システムには同一符号を付している。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態では、単式ポンプ方式の熱源システム1(
図1参照)において、熱源機3(
図1参照)の入口側の圧力と出口側の圧力との差圧に基づいてバイパス弁2(
図1参照)を制御する例について説明する。ここで単式ポンプ方式とは例えば一次ポンプ方式と換言してもよい。
【0011】
図1に示すように、熱源システム1は、熱源機3、負荷装置4、熱源機3と負荷装置4との間で水を循環させるための送水管5および還水管6等を備えており、熱源機3によって所定の温度に調整した水を、送水管5を介して例えばビルを空調する空調装置や工場に設置される洗浄装置や乾燥装置などの様々な負荷装置4側に送るとともに、負荷装置4側からの水が還水管6を通って熱源機3側に環流する構成となっている。なお、
図1では、水が流れる向きを便宜的に白抜きの矢印を用いて示している。
【0012】
また、熱源システム1には、送水管5と還水管6との間を負荷装置4と並列に接続するバイパス管7と、そのバイパス管7内の水の流れを調整するバイパス弁2とが設けられている。そして、バイパス弁2を制御することにより、より具体的には、バイパス弁2の開度を調整することにより、バイパス管7を流れる水の量が調整される。また、還水管6には、還水管6に流れる水に圧力を加えるための膨張タンク8が接続されており、膨張タンク8の出口は還水管6に接続されている。
【0013】
熱源機3は、要求される仕様に基づいて、また、故障した際にバックアップが可能となるように、例えば2台から十数台程度の複数台が設置されている。各熱源機3は、水と冷媒との間で熱交換を行う水冷媒熱交換器9、水冷媒熱交換器9に所定の圧力で水を送る入口ポンプ10、水冷媒熱交換器9に水が流入する入口配管11に設けられている水側入口圧力計12、水冷媒熱交換器9から水が流出する出口配管13に設けられている水側出口圧力計14、ユニットコントローラ15等を備えている。
【0014】
水冷媒熱交換器9は、周知のように水と冷媒との間で熱交換を行うものであり、例えば水用配管と冷媒用配管とを二重管構造とした2重管熱交換器や複数のプレートで仕切られたプレート熱交換器や、水用容器内に冷媒用配管を蛇行して配設した構造のもの等を適宜採用することができる。この水冷媒熱交換器9は、本実施形態では各熱源機3に複数設けられている。なお、水冷媒熱交換器9は、いわゆる温水を生成可能なもの、いわゆる冷水を生成可能なもの、温水および冷水のいずれも生成可能なものを目的に応じて適宜採用すればよい。
【0015】
入口ポンプ10は、図示しないインバータによって制御されるものであり、水冷媒熱交換器9の入口配管11において、還水管6と水冷媒熱交換器9との間に設けられている。この入口ポンプ10は、還水管6を流れる水を所定の圧力に調整した後に水冷媒熱交換器9に送っており、水冷媒熱交換器9には一定の圧力で水が送られる。また、入口ポンプ10は、負荷装置4側に水を送る駆動源としても機能している。このように、熱源機3に設けられているポンプで負荷装置4側に水を送る方式が、単式ポンプ方式と呼ばれている。
【0016】
水側入口圧力計12は、水冷媒熱交換器9と入口ポンプ10との間に設けられており、入口ポンプ10によって所定の圧力に調整された水の圧力を検出する。そのため、水側入口圧力計12によって検出される水の圧力は、還水管6を流れる水の圧力よりも高くなっている。つまり、水側入口圧力計12は、還水管6を流れる水の圧力を測定している訳ではない。
【0017】
水側出口圧力計14は、水冷媒熱交換器9の出口配管13において、水冷媒熱交換器9で熱交換されて所定の温度に調整されて流出する水の圧力を検出する。このとき、出口配管13は送水管5と直接的に接続されていることから、水側出口圧力計14によって検出される水の圧力は送水管5を流れる水の圧力と概ね一致すると考えることができる。つまり、水側出口圧力計14は、実質的に、バイパス管7との分岐点よりも上流側において送水管5を流れる水の圧力を検出可能なものとなっている。この水側出口圧力計14は、出口側圧力計に相当する。
【0018】
ユニットコントローラ15は、熱源機3を個別に制御するものであり、例えば水側入口圧力計12と水側出口圧力計14とでそれぞれ検出した水の圧力の差分に基づいて、水冷媒熱交換器9内を流れる水の流量(以下、チラー流量と称する)を求める処理を実行する等、各熱源機3を制御している。このユニットコントローラ15は、熱源システム1全体を制御する制御装置16に接続されている。
【0019】
制御装置16は、本実施形態では複数台設置されている熱源機3のうちの1台に内蔵されており、熱源システム1を制御するための制御指令を各熱源機3に出力するとともに、各熱源機3から運転状態を示す例えば上記したチラー流量等の情報を取得する。また、制御装置16は、負荷装置4と直接的に、あるいは、負荷装置4の制御部を介して間接的に接続されており、負荷装置4の運転状態を示す情報等を取得可能になっている。以下、この制御装置16を内蔵した熱源機3を、便宜的に代表機とも称する。
【0020】
また、制御装置16は、バイパス弁2や膨張タンク8にも接続されており、バイパス管7に設けられているバイパス弁2の開度を調整する処理、膨張タンク8から還水管6を流れる水に加えられる圧力(制御圧力)を取得する処理を行うようにすることもできる。なお、制御圧力としては、例えば制御装置16から膨張タンク8に設定する圧力値そのものでもよいが、設定すべき圧力値を特定可能な制御値であってもよい。
【0021】
制御装置16が設けられている熱源機3には、入口側圧力計17が設けられている。この入口側圧力計17は、水冷媒熱交換器9に流入する水の流れにおいて入口ポンプ10よりも上流側に設けられており、入口ポンプ10に取り込まれる水の圧力を検出する。より具体的には、入口側圧力計17は、還水管6に直接的に接続されている吸い込み口側に設けられている。そのため、入口側圧力計17は、上記した水入口圧力計とは異なり、還水管6を流れる水の圧力を検出することができる。
【0022】
また、本実施形態の場合、入口側圧力計17は、代表機となる熱源機3に内蔵されている。この代表機は、流入する水が最も負荷装置4側に近い位置で還水管6から分岐するとともに、流出する水が最も負荷装置4側に近い位置で送水管5に合流する接続態様となっている。また、代表機以外の他の熱源機3は、代表機よりも下流側で還水管6から分岐した水が流入するとともに、代表機よりも上流側で送水管5に水が流出する接続態様となっている。なお、各熱源機3と送水管5および還水管6との間には、接続部18が設けられている。
【0023】
次に、上記した構成の作用について説明する。
入口ポンプ10は、水冷媒熱交換器9に所定の圧力で水を送るためのものであるが、上記したように負荷装置4側に水を送る駆動源としても機能する。このとき、例えば負荷装置4の運転が停止された等の理由によって負荷装置4側の遮断弁4aが閉鎖された場合等には、入口ポンプ10の吐出側つまりは送水管5における水の流れが遮断あるいは阻害されることになる。
【0024】
そして、送水管5における水の流れが遮断あるいは阻害されると、入口ポンプ10がいわゆる締切運転状態となり、温度が上昇して故障したり騒音や振動が発生したりするおそれがある。これは、入口ポンプ10の吸い込み側つまりは還水管6における水の流れが遮断あるいは阻害された場合も同様である。
【0025】
そのため、従来では、流量計や温度センサあるいは送水管5と還水管6との間に設置された差圧計を等の各種のセンサを設け、例えばバイパス弁2については、送水管5内の水の圧力と還水管6内の水の圧力との差圧に基づいて水の流れが適切になるようにPID制御することが行われていた。
【0026】
ところで、バイパス弁2の制御自体は差圧に基づいて行うことができるものの、熱源システム1を実際に運用する際には、差圧を取得するだけでは解決し難い問題が存在する。これは、周知のように加わる圧力が小さくなるほど水は沸騰し易くなることから、還水管6を流れる水の圧力が例えば大気圧等の基準値よりも小さくなると、キャビテーション等が発生して故障の要因になるという問題である。
【0027】
そのため、現実的には、それぞれ異なる制御目的で差圧計以外にも還水管6を流れる水の圧力を検出する圧力計を設けているという事情がある。つまり、従来では、差圧の取得と還水管6側の圧力の監視という異なる制御に対してそれぞれ個別のセンサを設けていたため、センサの種類や数が増加しがちであった。
【0028】
しかし、設置するセンサの種類や数が多くなると、単純にコストが増加することに加えて、それぞれのセンサに対して調整が必要になる等、熱源システム1の立ち上げ時だけでなく運用時にも多大な労力を必要とすることになる。さらに、一般的には配管に設置するセンサは施工主側で設置することから、設置されたセンサが仕様と異なっている等、熱源機3側からすると不具合の原因となり、想定外のトラブルが発生するおそれもある。
【0029】
そこで、熱源システム1は、上記したように、代表機となる熱源機3の入口ポンプ10の前段側に還水管6内を流れる水の圧力を検出する入口側圧力計17を設け、その入口側圧力計17と、水冷媒熱交換器9の水側出口に設けられて実質的に送水管5を流れる水の圧力を検出する出口側圧力計との差分に基づいて、バイパス弁2を制御する。
【0030】
これにより、従来設けられていた差圧計が不要となる。また、出口側圧力計は水冷媒熱交換器9用のものとして既設であることから、センサの数が増えることもない。したがって、センサの種類および数を減らすことが可能になる。そして、設置するセンサの種類や数が削減できれば、立ち上げ時や運用時あるはメンテナンス時の利便性が向上することになる。
【0031】
このとき、送水管5を流れる水の圧力としては、例えば代表機となる熱源機3に設けられている出口側圧力計の検出値を用いることもできるし、運転中の複数の熱源機3の出口側圧力計の検出値の最大値、最小値、平均値、代表値のいずれかを用いることもできる。
【0032】
また、熱源システム1では、入口側圧力計17は、熱源機3内に設けられているため、熱源機3のメーカー側で用意することになる。これにより、従来のように設置されたセンサが仕様と異なっている等の問題が発生するおそれを低減することができる。さらに、従来の差圧計のように配管側まで配線を伸ばす必要がないことから、設置にかかるコストの低減も図ることができる。
【0033】
このように、熱源システム1、熱源機3、および制御装置16では、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させている。勿論、入口側圧力計17により還水管6を流れる水の圧力そのものを検出することが可能であるため、水の圧力が例えば大気圧よりも小さい場合には膨張タンク8に対して圧力を加える制御を行うようにすること等も可能である。
【0034】
以上説明した熱源システム1、熱源機3および制御装置16によれば、次のような効果を得ることができる。
熱源システム1は、入口ポンプ10よりも上流側において還水管6を流れる水の圧力を検出する入口側圧力計17と、水冷媒熱交換器9から送水管5に水が流出する出口側に設けられ、送水管5を流れる水の圧力を検出する出口側圧力計と、入口側圧力計17で検出した入口側の圧力と出口側圧力計で検出した出口側の圧力との差分に基づいて、送水管5と還水管6との間を負荷装置4と並列に接続しているバイパス管7に設けられているバイパス弁2を制御する処理を実行する制御装置16と、を備える。
【0035】
これにより、入口側圧力計17と出口側圧力計との検出結果に基づいてバイパス弁2を制御することが可能となり、従来設けられていた差圧計の設置が不要になるとともに、その入口側圧力計17を還水管6側の圧力の監視用にも使えるようになり、設置するセンサの種類や数を削減することができる。
【0036】
また、差圧に基づいてバイパス弁2を制御しているので、上記した締切運転の発生を防止でき、故障するおそれを低減することができる。さらに、入口側圧力計17は熱源機3に設けられているため、熱源機3のメーカーが入口側圧力計17を用意することになるため、上記した想定外のトラブル等を回避することが可能になる等、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。
【0037】
また、熱源システム1に用いる熱源機3は、水冷媒熱交換器9と、入口側圧力計17で検出した水の圧力と出口側圧力計で検出した水の圧力との差分に基づいて、つまりは、熱源機3または水冷媒熱交換器9の入口側と出口側との圧力の差分に基づいて、送水管5と還水管6との間を負荷装置4と並列に接続しているバイパス管7に設けられているバイパス弁2を制御する処理を実行する制御装置16と、を備えている。このような熱源機3によっても、上記した熱源システム1と同様に、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。また、熱源システムを構築する際の工期短縮とコスト削減を行うことができる。
【0038】
また、熱源システム1を制御する制御装置16は、入口側の水の圧力と出口側の水の圧力との差分に基づいて、送水管5と還水管6との間を負荷装置4と並列に接続しているバイパス管7に設けられているバイパス弁2を制御する処理を実行する。このような制御装置16によっても、上記した熱源システム1と同様に、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。
【0039】
(第2実施形態)
第2実施形態では、単式ポンプ方式の熱源システム1において、負荷装置4側に流れる水の量を求める処理について説明する。なお、熱源システム1の構成は第1実施形態と共通するため、
図1を参照しながら説明する。
【0040】
本実施形態の熱源システム1は、第1実施形態と共通する構成であり、上記した熱源機3、負荷装置4、送水管5および還水管6、入口側圧力計17、出口側圧力計に相当する水側出口圧力計14、および制御装置16等を備えている。
【0041】
さて、熱源システム1を運用する際には、負荷装置4側を流れる水の量を適切に制御する必要がある。以下、送水管5においてバイパス管7との分岐点よりも負荷装置4側となる部位を便宜的に負荷側送水部5aと称し、この負荷側送水部5aを流れる水の量を負荷流量(F2。
図1参照)と称する。また、還水管6においてバイパス管7との分岐点よりも負荷装置4側となる部位を便宜的に負荷側還水部6aと称する。
【0042】
そのため、従来では、負荷側還水部6aに流量計を設けて負荷流量(F2)を直接的に取得したり、負荷側送水部5aと負荷側還水部6aとにそれぞれ水の温度を検出する温度計を設けてその温度差に基づいて負荷流量(F2)を推定したりしていた。
【0043】
これに対して、本実施形態の熱源システム1では、入口側圧力計17と出口側圧力計とで検出した圧力の差分と、バイパス弁2の開度および機械的特性とに基づいて、負荷流量(F2)を求めている。
【0044】
まず、制御装置16は、熱源機3側から供給される水の全量を求める。以下、熱源機3側から供給される水の全量を、総流量(F1。
図1参照)と称する。このとき、総流量(F1)は、運転中の各熱源機3から供給される水の量(チラー流量)の合計であると考えられる。
【0045】
このとき、運転中の各熱源機3のチラー流量は、それぞれのユニットコントローラ15によって制御されている。そのため、制御装置16は、各ユニットコントローラ15からそれぞれのチラー流量を取得し、それらを合算することで総流量(F1)を求めることができる。
【0046】
次に、制御装置16は、バイパス管7を流れる水の量を、バイパス弁2の開度およびバイパス弁2の機械的特性から求める。以下、バイパス管7を流れる水の量をバイパス流量(F3。
図1参照)と称する。ここで、バイパス弁2を通過可能な水の量をf、バイパス弁2のバルブ開度をv、バイパス弁2を全開にした際の流量をCv、調整範囲を示すレンジアビリティをr、水の密度をρ、重力加速度をG、水冷媒熱交換器9の入口側と出口側との差圧をΔPとする。
【0047】
バイパス弁2を通過可能な水の量(f)は、バルブの種類がイコールパーセント特性かリニア特性かによって以下のように求めることができる。なお、「・」は乗算を示し、「/」は除算を示し、「^」はべき乗を示すものとする。
・イコールパーセント特性の場合
f=Cv・r^(v/100-1)
・リニア特性の場合
f=Cv・(1/r+(1-1/r)・(v/100))
【0048】
このとき、バイパス流量(F3)は、以下のように求まる。
F3=f/(0.07・(ρ/(G・ΔP))^0.5)
このように総流量(F1)とバイパス流量(F3)とが求まれば、負荷流量(F2)が以下のように求まる。
F2=F1-F3
【0049】
そして、制御装置16は、求めた負荷流量(F2)が適切な範囲に収まるように熱源システム1を制御する。
このように、本実施形態の熱源システム1は、入口側圧力計17と出口側圧力計とで検出した圧力の差分と、バイパス弁2の開度および機械的特性とに基づいて負荷流量(F2)を求めることができるため、従来の流量計や温度計を設置する必要がなくなる。したがって、設置するセンサの種類や数を削減することができる。
【0050】
また、入口側圧力計17は熱源機3に設けられているため、熱源機3のメーカーが入口側圧力計17を用意することになるため、上記した想定外のトラブル等を回避することが可能になる等、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。
【0051】
また、熱源システム1に用いる熱源機3は、水冷媒熱交換器9と、入口側の水の圧力と出口側の水の圧力との差分に基づいて負荷装置4側に流れる負荷流量(F2)を求める処理を実行する制御装置16と、を備えている。このような熱源機3によっても、上記した熱源システム1と同様に、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。また、熱源システムを構築する際の工期短縮とコスト削減を行うことができる。
【0052】
また、熱源システム1を制御する制御装置16は、入口側の水の圧力と出口側の水の圧力との差分に基づいて、負荷装置4側に流れる負荷流量(F2)を求める処理を実行する。このような制御装置16によっても、上記した熱源システム1と同様に、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。
【0053】
また、熱源システム1は、上記した負荷流量(F2)を求める処理と、第1実施形態で説明したバイパス弁2を制御する処理とを共に実行することができる。すなわち、熱源機3としては、バイパス弁2を制御する処理または負荷流量(F2)を求める処理の一方の処理を実行する制御装置16、あるいは、バイパス弁2を制御する処理および負荷流量(F2)を求める処理の双方の処理を実行する構成とすることができる。
【0054】
また、制御装置16も、バイパス弁2を制御する処理または負荷流量(F2)を求める処理の一方の処理を、あるいは、バイパス弁2を制御する処理および負荷流量(F2)を求める処理の双方の処理を実行する構成とすることができる。
【0055】
(第3実施形態)
第3実施形態では、単式ポンプ方式の熱源システム1において、熱源機3の入口側の圧力を取得する構成が、第1実施形態および第2実施形態と異なっている。
図2に示すように、本実施形態の熱源システム1は、上記した第1実施形態および第2実施形態とは異なり、入口側圧力計17(
図1参照)を備えておらず、還水管6を流れる水の圧力を、膨張タンク8に設定する制御圧力から取得する構成となっている。
【0056】
具体的には、熱源システム1を構成する制御装置16は、第1実施形態で説明したように膨張タンク8に接続されており、還水管6が流れる水に対して膨張タンク8に対して圧力を加える制御を行うこと等が可能になっている。つまり、制御装置16は、膨張タンク8から還水管6を流れる水に加えられる圧力、または、その圧力を特定可能な制御値のいずれかを把握している。
【0057】
このとき、膨張タンク8の出口は還水管6に接続されていることから、膨張タンク8から還水管6を流れる水に加えられる圧力は、実質的に還水管6を流れる水の圧力に一致すると考えることができる。
【0058】
そこで、制御装置16は、膨張タンク8に設定する制御圧力から還水管6を流れる水の圧力を取得あるいは特定し、その制御圧力と出口側圧力計である水側出口圧力計14とで検出した圧力の差分に基づいて、第1実施形態で説明したバイパス弁2を制御する処理、あるいは、第2実施形態で説明した負荷流量(F2)を求める処理のうち、少なくとも一方の処理あるいは双方の処理を実行する。
【0059】
これにより、入口側圧力計17を設けなくても、バイパス弁2の制御や負荷流量(F2)を求めることが可能になり、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。
【0060】
また、熱源システム1に用いる熱源機3は、水冷媒熱交換器9と、水冷媒熱交換器9の入口側の水の圧力と出口側の水の圧力との差分に基づいて負荷装置4側に流れる負荷流量(F2)を求める処理を実行する制御装置16と、を備えている。このような熱源機3によっても、上記した熱源システム1と同様に、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。
【0061】
また、熱源システム1を制御する制御装置16は、水冷媒熱交換器9の入口側の水の圧力と出口側の水の圧力との差分に基づいて、負荷装置4側に流れる負荷流量(F2)を求める処理を実行する。このような制御装置16によっても、上記した熱源システム1と同様に、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。
【0062】
(第4実施形態)
第4実施形態では、複式ポンプ方式の熱源システム1(
図3参照)において、熱源機3の入口側の圧力と出口側の圧力との差圧と、フリーバイパス管20(
図3参照)の抵抗係数とに基づいて、負荷流量(F12。
図3参照)を求める例について説明する。なお、各実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明する。ここで、複式ポンプ方式とは例えば二次ポンプ方式と換言してもよい。
【0063】
図3に示すように、本実施形態の熱源システム1は、熱源機3、負荷装置4、送水管5および還水管6、入口側圧力計17、出口側圧力計に相当する水側出口圧力計14、および制御装置16等を備えている。また、送水管5には、熱源機3側と負荷装置4側との間に送水側ヘッダ21が設けられており、還水管6には、熱源機3側と負荷装置4側との間に還水側ヘッダ22が設けられている。
【0064】
送水側ヘッダ21は、熱源機3側に位置する上流側ヘッダ23、負荷装置4側に位置する下流側ヘッダ24、上流側ヘッダ23と下流側ヘッダ24の間に設けられている1台以上の二次ポンプ25、および、過剰な水を上流側ヘッダ23に環流させる制御弁26を備えている。この二次ポンプ25は、図示しないインバータによって制御される。このように、熱源機3側と負荷装置4側とにそれぞれポンプを備える構成が、複式ポンプ方式と呼ばれるものである。
【0065】
このような複式ポンプ方式の作動は周知であるので詳細な説明は省略するが、熱源機3側から送られた水が上流側ヘッダ23に貯留し、その上流側ヘッダ23に貯留している水を二次ポンプ25で負荷装置4側に送り、負荷装置4を通った水が還水側ヘッダ22を介して熱源機3に環流するものである。
【0066】
さて、複式ポンプ方式の場合、送水管5において送水側ヘッダ21よりも熱源機3側の部位と、還水管6において還水側ヘッダ22よりも熱源機3側の部位との間を接続するフリーバイパス管20が設けられている。このフリーバイパス管20は、弁体が設けられていない配管部材であり、白抜きの矢印にて示すように、送水管5を流れる水の圧力が還水管6を流れる水の圧力よりも高ければ送水管5から還水管6に向かって水が流れる一方、送水管5を流れる水の圧力が還水管6を流れる水の圧力よりも低ければ還水管6から送水管5に向かって水が流れる構成となっている。
【0067】
さて、上記した第2実施形態で説明したように、熱源機3側から送られる水の総量は運転中の各熱源機3におけるチラー流量の合計であると考えることができる。そして、フリーバイパス管20を流れる水の量は、弁がないことから、送水管5側と還水管6側との水の圧力の差分と、フリーバイパス管20の抵抗係数から求めることができる。以下、熱源機3側から送られる水の総量を漏水量(F11)と称し、フリーバイパス管20を流れる水の量を、フリーバイパス流量(F13)と称する。
【0068】
このとき、フリーバイパス流量(F13)は、求め方自体はベルヌーイの定理に基づく一般的な手法であるため詳細な説明は省略するが、送水管5側と還水管6側との水の圧力の差分から求めた流速とフリーバイパス管20の断面積とを乗算したものに、フリーバイパス管20の機械的特性等により定まる抵抗係数を加味することで求めることができる。
【0069】
そして、負荷流量(F12)は、送水管5から還水管6に向かって水が流れる場合には総水量(F11)からフリーバイパス流量(F13)を減算することでもとめることができ、還水管6から送水管5に向かって水が流れる場合には総水量(F11)にフリーバイパス流量(F13)を加算することで求めることができる。
【0070】
このように、制御装置16は、負荷流量(F12)を、熱源機3の入口側の圧力と出口側の圧力との差圧と、フリーバイパス管20の抵抗係数とに基づいて求めることができる。これにより、第2実施形態でも説明したように、従来設けられていた流量計や温度計等が不要になり、設置するセンサの種類や数を削減することができる。
【0071】
また、入口側圧力計17を熱源機3に設けていることから想定外のトラブル等を回避することが可能になる等、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる等の効果も得ることができる。
【0072】
また、熱源システム1に用いる熱源機3は、水冷媒熱交換器9と、入口側の水の圧力と出口側の水の圧力との差分に基づいて負荷装置4側に流れる負荷流量(F12)を求める処理を実行する制御装置16と、を備えている。このような熱源機3によっても、上記した熱源システム1と同様に、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。
【0073】
また、熱源システム1を制御する制御装置16は、入口側の水の圧力と出口側の水の圧力との差分に基づいて、負荷装置4側に流れる負荷流量(F12)を求める処理を実行する。このような制御装置16によっても、上記した熱源システム1と同様に、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。
【0074】
(第5実施形態)
第5実施形態では、複式ポンプ方式の熱源システム1において、熱源機3の入口側の圧力を取得する構成が第4実施形態と異なっている。なお、第4実施形態と共通する構成については同一符号を付して説明する。
【0075】
本実施形態の熱源システム1は、
図4に示すように、上記した第4実施形態とは異なり、入口側圧力計17(
図3参照)を備えておらず、還水管6を流れる水の圧力を、膨張タンク8に設定されている制御圧力から取得する構成となっている。つまり、本実施形態の熱源システム1は、複式ポンプ方式において、上記した第3実施形態と同様の処理を実行するものである。
【0076】
熱源システム1を構成する制御装置16は、膨張タンク8に接続されており、還水管6が流れる水に対して膨張タンク8に対して圧力を加える制御を行うこと等が可能になっている。つまり、制御装置16は、膨張タンク8から還水管6を流れる水に加えられる圧力、または、その圧力を特定可能な制御値のいずれかを把握している。
【0077】
このとき、膨張タンク8の出口は還水管6に接続されていることから、膨張タンク8から還水管6を流れる水に加えられる圧力は、還水管6を流れる水の圧力と考えることができる。そして、制御装置16は、膨張タンク8に設定されている制御圧力から還水管6を流れる水の圧力を取得あるいは特定し、その制御圧力と出口側圧力計である水側出口圧力計14とで検出した圧力の差分に基づいて、第4実施形態で説明した負荷装置4側に流れる負荷流量(F12)を求める処理を実行する。
【0078】
これにより、入口側圧力計17を設けなくても負荷流量(F12)を求めることが可能になり、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。
【0079】
また、熱源システム1に用いる熱源機3は、水冷媒熱交換器9と、膨張タンク8の制御圧力と出口側圧力計で検出した水の圧力との差分に基づいて、つまりは、水冷媒熱交換器9の入口側の水の圧力と出口側の水の圧力との差分に基づいて負荷装置4側に流れる負荷流量(F12)を求める処理を実行する制御装置16と、を備えている。このような熱源機3によっても、上記した熱源システム1と同様に、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。
【0080】
また、熱源システム1を制御する制御装置16は、水冷媒熱交換器9の入口側の水の圧力と出口側の水の圧力との差分に基づいて負荷装置4側に流れる負荷流量(F2)を求める処理を実行する。このような制御装置16によっても、上記した熱源システム1と同様に、設置するセンサの種類や数を削減することができるとともに、立ち上げ時や運用時の利便性を向上させることができる。
【0081】
(第6実施形態)
第6実施形態では、バイパス管7またはフリーバイパス管20の配置態様が他の実施形態と異なっている。
【0082】
第1実施形態等では単式ポンプ方式においてバイパス管7を熱源機3の外部に設けた例を示したが、
図5の配管内蔵例その1として示すように、バイパス管7およびバイパス弁2を、熱源機3の内部に配置する構成とすることができる。これにより、バイパス弁2を熱源機3のメーカー側で用意することができ、上記した想定外のトラブルの発生を防止することができる。また、バイパス管7を熱源機3に内蔵するため、仕様通りの配管を使えることから熱源機3および熱源システム1を適切に制御することができ、バイパス管7を負荷装置4側に配設する作業が不要になるため、設置コストの低減を図ることができる。
なお、バイパス管7を内蔵する熱源機3は複数台であってもよく、代表機のみであってもよい。
【0083】
また、
図5の配管内蔵例その2として示すように、複式ポンプ方式において、フリーバイパス管20を熱源機3の内部に配置する構成とすることができる。これにより、フリーバイパス管20を熱源機3のメーカー側で用意することができ、断面積や抵抗係数等の機械的要素を確実に把握できることから、負荷流量を求める計算を適切に行うことが可能となり、熱源システム1を適切に運用することができるとともに、フリーバイパス管20を負荷装置4側に配設する作業が不要になるため、設置コストの低減を図ることができる。
なお、フリーバイパス管20を内蔵する熱源機3は複数台であってもよく、代表機のみであってもよい。
【0084】
(その他の実施形態)
実施形態では制御装置16を熱源機3に内蔵した例を示したが、制御装置16は、熱源機3の表面に取り付けたり、熱源機3の近傍に設置したり、例えば制御室等の遠隔地に設置したりすることもできる。
【0085】
実施形態では、入口側圧力計17を代表機となる熱源機3に内蔵した例を示したが、入口側圧力計17は、設置されている全ての熱源機3、あるいは、設置されている内の複数台の熱源機3に設けることもできる。つまり、入口側圧力計17は1つ以上設けられていればよい。このとき、複数の熱源機3に入口側圧力計17を設ける場合には、例えばユニットコントローラ15を介して制御装置16と通信する構成とすることができる。
【0086】
実施形態では入口側圧力計17を熱源機3に内蔵した例を示したが、入口ポンプ10が熱源機3の外に設けられている場合には、入口側圧力計17も熱源機3の外に設けられることになる。その場合、外部に設けられる入口ポンプ10に圧力計が既設である場合には、その圧力計を入口側圧力計17として利用する構成とすることもできる。
【0087】
実施形態では制御圧力を制御装置16からの制御指令に基づいて求める例を示したが、膨張タンク8に圧力計が設けられている場合には、その圧力計の検出値を、膨張タンク8に設定されている制御圧力として取得する構成とすることができる。
【0088】
以上、本発明の幾つかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0089】
図面中、1は熱源システム、2はバイパス弁、3は熱源機、4は負荷装置、5は送水管、6は還水管、7はバイパス管、8は膨張タンク、9は水冷媒熱交換器、10は入口ポンプ、14は水側出口圧力計(出口側圧力計)、16は制御装置、17は入口側圧力計、20はフリーバイパス管を示す。