(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】入力デバイスおよび情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20241217BHJP
G06F 3/03 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G06F3/01 560
G06F3/03 400F
(21)【出願番号】P 2023183502
(22)【出願日】2023-10-25
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】吉冨 圭一
(72)【発明者】
【氏名】山▲ざき▼ 充弘
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平4-64119(JP,A)
【文献】特開2021-62412(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0171883(US,A1)
【文献】国際公開第2020/031483(WO,A1)
【文献】特開2008-46160(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/00-3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動波形を示すデジタル振動信号をアナログ振動信号に変換する変換器と、
前記アナログ振動信号に基づいて振動する振動子と、
接触検出部への接触に応じて前記デジタル振動信号を前記変換器に出力するコントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記デジタル振動信号
を前記変換器に前記アナログ振動信号に変換させるサンプリング周波数を
、当該サンプリング周波数の定格値である基準周波数よりも低い周波数
であって、
前記振動波形の主成分を表現可能な周波数に制御可能とする
入力デバイス。
【請求項2】
複数の振動種別の
振動波形を示すデジタル振動信号を記憶し、前記振動種別ごとにサンプリング周波数が設定された記憶媒体を備え、
前記コントローラは、
ホストシステムからの通知情報で指示される振動種別のデジタル振動信号を当該振動種別に対応するサンプリング周波数で前記変換器に出力する
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項3】
音声成分が多い振動種別のデジタル振動信号ほど、高いサンプリング周波数が設定される
請求項2に記載の入力デバイス。
【請求項4】
前記コントローラは、
ホストシステムからの通知情報に基づいてユーザの年齢に対応する前記サンプリング周波数を設定する
請求項1に記載の入力デバイス。
【請求項5】
前記ホストシステムと、
請求項4に記載の入力デバイスと、を備える
情報処理システム。
【請求項6】
前記ホストシステムは、
予め設定されたユーザ設定情報から前記年齢を示す年齢情報を取得し、当該年齢情報を前記通知情報に含めて前記入力デバイスに出力する
請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記ホストシステムは、
ユーザの顔画像に基づいて前記ユーザの年齢を推定し、前記年齢を示す年齢情報を前記通知情報に含めて前記入力デバイスに出力する
請求項5に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、入力デバイスおよび情報処理システム、特に入力デバイスの制御に関する。
【背景技術】
【0002】
ハプティックペン(haptic pen)は、触覚フィードバック機能(haptic feedback)を有するデジタルペンである。デジタルペンは、手書き文字などの描画処理および記録に用いられる入力デバイスである。デジタルペンは、電子ペン、スマートペン、スタイラス、などとも呼ばれる。触覚フィードバックは、文字等を表示するタッチパネルへの接触に応じて振動子を振動させて実現される。また、触覚フィードバック機能に対する制御によりユーザビリティの改善が図られている。例えば、特許文献1には、対話型ディスプレイ装置と共に使用するための対話型スタイラスについて記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
入力デバイスには、振動波形を示す振動信号を予め記憶したメモリを備え、ペン先の接触に応じて振動信号を振動子に出力するものがある。かかるメモリとして消費電力が少ないSRAM(Static Random Access Memory)が、しばしば用いられる。一般にSRAMの記憶容量は少ないため、複雑な波形を示す振動信号を扱うことが困難になりがちである。そこで、入力デバイスに予め振動信号を保存したMCU(Micro Computing Unit)を備え、接触に応じてデジタルの振動信号をアナログの振動信号に変換して振動子に出力することが検討されてきた。しかしながら、一般にデジタル信号のサンプリング周波数が高いほど、データ転送に係る消費電力が増加しがちである。他方、入力デバイスの搭載可能な小型のバッテリでは容量が限られている。消費電力が大きいと充電を繰り返さなければならないため、利便性が損なわれかねない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願は上記の課題を解決するためになされたものであり、本願の一態様に係る入力デバイスは、デジタル振動信号をアナログ振動信号に変換する変換器と、前記アナログ振動信号に基づいて振動する振動子と、接触検出部への接触に応じて前記デジタル振動信号を前記変換器に出力するコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記デジタル信号のサンプリング周波数を所定の基準周波数よりも低い周波数に制御可能とする。
【0006】
上記の入力デバイスは、複数の振動種別のデジタル振動信号を記憶し、前記振動種別ごとにサンプリング周波数が設定された記憶媒体を備え、前記コントローラは、ホストシステムからの通知情報で指示される振動種別のデジタル信号を当該振動種別に対応するサンプリング周波数で前記変換器に出力してもよい。
【0007】
上記の入力デバイスにおいて、音声成分が多い振動種別のデジタル信号ほど、高いサンプリング周波数が設定されてもよい。
【0008】
上記の入力デバイスにおいて、前記コントローラは、ホストシステムからの通知情報に基づいてユーザの年齢に対応する前記サンプリング周波数を設定してもよい。
【0009】
本願の他の態様に係る情報処理システムは、前記ホストシステムと、上記の入力デバイスと、を備えてもよい。
【0010】
上記の情報処理システムにおいて、前記ホストシステムは、予め設定されたユーザ設定情報から前記年齢を示す年齢情報を取得し、当該年齢情報を前記通知情報に含めて前記入力デバイスに出力してもよい。
【0011】
上記の情報処理システムにおいて、ユーザの顔画像に基づいて前記ユーザの年齢を推定し、前記年齢を示す年齢情報を前記通知情報に含めて前記入力デバイスに出力してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本願の実施形態によれば、ユーザの満足度を確保しながら消費電力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態に係る情報処理システムの外観構成例を示す外観図である。
【
図2】本実施形態に係る情報処理システムの概略構成例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態に係る筆記具種別情報の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係る振動制御の一例を示すフローチャートである。
【
図6】本実施形態に係る周波数設定情報を例示する図である。
【
図7】本実施形態に係る筆記具種別情報の他の例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係るサンプリング周波数設定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態に係るサンプリング周波数設定処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本願の実施形態について、図面を参照して説明する。まず、本実施形態に係る情報処理システムS1の構成例について説明する。以下の説明では、情報処理装置1がタブレット端末であり、入力デバイス30が触覚提示機能を有するデジタルペンである場合を主とする。デジタルペンは、ペン形状の操作媒体であり、筆記デバイスとして構成される。本願では、デジタルペンを、単に「ペン」と呼ぶことがある。
【0015】
図1は、本実施形態に係る情報処理システムS1の外観構成例を示す外観図である。
情報処理システムS1は、情報処理装置1と入力デバイス30とを備える。
情報処理装置1は、タッチスクリーン20を有し、筐体の表面の大部分を覆う。筐体には、情報処理装置1のその他の部材が収容される。
入力デバイス30は、ユーザに把持され、タッチスクリーン20の表面に接触しながら移動されることで、文字、記号、図形などのデータ入力または編集に用いられる。タッチスクリーン20は、ディスプレイ21の表示面とタッチセンサ22の検出面を重畳して構成される。ディスプレイ21は、表示面に各種の表示画面を視認可能に表示する。タッチセンサ22は、検出面への入力デバイス30の接触を検出する。情報処理装置1は、入力デバイス30のタッチセンサ22への接触の有無を監視し、接触を検出した接触位置を特定し、入力動作に基づくデータ入力または編集を実行する。情報処理装置1は、接触位置の軌跡、または、その軌跡から導出される図形を表す表示画面をディスプレイ21に表示させる(筆記入力、描画入力とも呼ばれることがある)。
【0016】
入力デバイス30は、タッチセンサ22への接触に応じてデジタルの振動信号(以下、「デジタル振動信号」と呼ぶ)をアナログの振動信号(以下、「アナログ振動信号」と呼ぶ)に変換し、変換されたアナログ振動信号に基づいて振動する。入力デバイス30は、デジタル振動信号のサンプリング周波数を所定の基準周波数よりも低い周波数に制御可能とする。後述するように、サンプリング周波数は、振動信号の種別に応じて、またはユーザの年齢に基づく最高可聴周波数に応じて変更可能とする。
【0017】
図2は、本実施形態に係る情報処理システムS1の概略構成例を示すブロック図である。
情報処理装置1は、ホストシステム10、タッチスクリーン20および無線I/F(interface)28を備える。
ディスプレイ21は、ホストシステム10から入力される表示データに基づいて各種の表示画面を表示する。
タッチセンサ22は、自部への接触の有無を検出する。タッチセンサ22は、接触を検出した接触位置を示す入力データを生成し、生成した入力データをホストシステム10に出力する。
【0018】
ホストシステム10は、情報処理装置1の機能全体を制御するコンピュータシステムである。ホストシステム10は、表示処理部102と、デバイス設定部104と、振動制御部110とを備える。
【0019】
表示処理部102は、タッチセンサ22からの入力データで指示される接触位置に従ってデータ入力または編集を行う。このデータ入力または編集が、描画処理に相当する。表示処理部102は、例えば、一定時間ごとに入力される入力データで指示される接触位置を特定し、接触位置の時系列を形成する。表示処理部102は、形成した接触位置の時系列に基づいて移動軌跡を生成し、生成した移動軌跡をなす図形を含む表示画面を示す表示データを生成する。表示処理部102は、生成した表示データをディスプレイ21に出力する。これにより、表示処理部102は、ディスプレイ21に入力動作に基づく移動軌跡を表示させる。
【0020】
デバイス設定部104は、タッチセンサ22またはその他の入力デバイスからの入力データに基づいて入力デバイス30に関する機能を設定する。デバイス設定部104は、例えば、デバイス設定画面(図示せず)をディスプレイ21に表示させる。デバイス設定画面は、情報処理装置1と有線または無線で接続される各種のデバイスの機能を設定するための表示画面である。デバイス設定画面には、例えば、振動提示を可能とする振動提示可能デバイス(入力デバイス30を含む)に対する振動提示の要否、などの振動設定に用いられる。振動設定には、音声提示に関する音声設定が含まれてもよい。音声設定には、例えば、音量を指示するための画面部品が配置されてもよい。音量は、振動信号に対する振幅もしくは振幅基準値に対する利得に対応する。
デバイス設定部104は、設定された振動設定を振動制御部110に出力する。
【0021】
デバイス設定部104は、振動の種別(以下、「振動種別」と呼ぶことがある)を設定可能としてもよい。入力デバイス30は、タッチセンサ22への接触に応じて振動を発生する際、例えば、現実の筆記具による筆記により生ずる振動を模擬(シミュレート)する。その場合、振動種別は、筆記具の種別(以下、「筆記具種別」と呼ぶことがある)を用いて特定される。
デバイス設定部104は、設定された振動種別を示す情報を振動設定に含めて振動制御部に通知してもよい。振動種別の具体例については後述する。
【0022】
デバイス設定部104は、例えば、予めホストシステム10に設定されたユーザプロファイルを参照して、ユーザの生年月日を特定し、特定した生年月日から、その時点までの期間に相当する年数をユーザの年齢として特定する。ユーザプロファイルは、例えば、情報処理装置1の初期設定時にユーザの操作入力に応じて取得される。
デバイス設定部104は、ユーザの頭部を表す画像(顔画像)を示す画像データを取得し、取得した画像データに対して公知の画像認識技術を用いてユーザの年齢を推定してもよい。デバイス設定部104は、例えば、カメラ26(
図4)にユーザの顔画像を撮像させて、撮像させた顔画像を示す画像データを取得する。
デバイス設定部104は、ユーザの年齢を示す年齢情報を振動設定に含めて振動制御部110に通知してもよい。
【0023】
デバイス設定部104の機能は、例えば、オペレーティングシステム(OS:Operating System)のデバイス設定API(Application Programming Interface)関数を実行して実現されうる。デバイス設定部104の機能は、実行されるアプリケーションプログラム(application program、本願では、「アプリ」と呼ぶことがある)に従って当該API関数を呼び出して実現される。上記の筆記音種別は、既存のデバイス設定APIのパラメータを用いて指示されうる。なお、本願では、プログラムの実行とは、プログラムに記述された各種の指令で指示される処理を実行するとの意味を含む。
【0024】
振動制御部110は、タッチセンサ22からの入力データに基づいて入力デバイス30の振動を制御する。振動制御部110は、入力データに示される接触に応じて振動制御情報を生成し、生成した振動制御情報を無線I/F28を用いて入力デバイス30に出力する。振動制御部110の機能は、例えば、入力デバイス30のデバイスドライバを実行して実現されてもよい。
【0025】
振動制御部110は、タッチセンサ22への接触を示す入力データに基づいて、タッチセンサ22への接触を示す接触通知を振動制御情報に含めて入力デバイス30に出力する。振動制御部110は、タッチセンサ22に接触が検出された接触位置の情報を接触位置情報として振動制御情報に含めて入力デバイス30に出力してもよい。
また、振動制御部110は、デバイス設定部104から入力される振動設定を示す通知情報を無線I/F28を用いて入力デバイス30に出力する。振動制御部110は、例えば、振動設定を更新する都度、通知情報を出力する。振動制御部110は、更新前後の振動設定の差分を示す情報を通知情報に含め、それ以外の部分を含めずに出力してもよい。振動制御部110は、通知情報を振動制御情報に含めて入力デバイス30に出力してもよいし、振動制御情報とは別個に出力してもよい。
【0026】
無線I/F28は、所定の通信方式を用いて、入力デバイス30と無線で各種のデータを送受信する。通信方式は、例えば、IEEE802.15.1で規定された近距離無線通信方式に係る低消費電力の通信モードである。これにより、入力デバイス30の消費電力を節約することができる。
【0027】
次に、入力デバイス30のハードウェア構成例について説明する。入力デバイス30は、無線I/F32、MCU34、DAC36、アンプ38、振動子40およびバッテリ42を備える。
無線I/F32は、上記の通信方式を用いて、情報処理装置1と無線で各種のデータを送受信する。
【0028】
MCU(Micro Computer Unit)34は、入力デバイス30の機能を制御する。MCU34は、プロセッサと、各種のメモリと入出力インタフェースを備える。MCU34はホストシステム10の動作状態とは独立に稼働する。MCU34のプロセッサは所定のプログラムを実行して、MCU34の機能を発揮する。メモリには、RAM34sなどの揮発性メモリとROMなどの不揮発性メモリが含まれる。RAM34sは、プロセッサの作業領域として用いられる。MCU34の起動時に予め不揮発性メモリに記憶された各種のデジタル振動信号、その他の設定情報が読み出され、RAM34sに保存される。
【0029】
RAM34sには、振動種別ごとに振動信号が記憶されてもよい。RAM34sには、振動種別ごとにサンプリング周波数と振動信号の所在を示す振動種別情報が保存されてもよい。振動種別情報は設定情報の一部をなす。基準周波数は、RAM34sおよびDAC36のサンプリング周波数の定格値に相当する。基準周波数は、あらゆる年齢のユーザにとり聴取可能な可聴音を十分に表現可能なサンプリング周波数、例えば、44kHz~48kHzであればよい。
【0030】
MCU34には、ホストシステム10から無線I/F32を経由して振動制御情報が入力される。また、MCU34には、振動制御情報に含めて、または、振動制御情報とは別個にホストシステム10から通知情報が入力される。通知情報で振動種別が指示される場合、MCU34は、予めRAM34sに記憶された振動種別情報を参照して、指示された振動種別に対応するサンプリング周波数と振動信号の所在を特定する。振動制御情報にタッチセンサ22への接触を示す接触通知が含まれるとき、MCU34は、特定した振動信号を読み出し、特定したサンプリング周波数で読み出した振動信号をDAC36に出力する。
【0031】
RAM34sに記憶されている設定情報には、周波数設定情報が含まれてもよい。周波数設定情報は、ユーザの年齢ごとにサンプリング周波数を示す情報である。周波数設定情報の具体例については、後述する。
ホストシステム10から入力される通知情報に年齢情報が含まれる場合には、MCU34は、年齢情報に示されるユーザの年齢を含む年齢層を特定する。MCU34は、周波数設定情報を参照し、特定した年齢層に対応する年齢別サンプリング周波数を特定する。MCU34は、上記の手法により特定した振動信号を読み出し、特定した年齢別サンプリング周波数で読み出した振動信号をDAC36に出力する。
【0032】
無線I/F32、MCU34およびDAC36には、所定の伝送方式(例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)規格)に従ってデジタル信号が伝送される。無線I/F32とMCU34の間では間欠的にデータが伝送されるため、データ伝送に要する消費電力は比較的少ない。MCU34からDAC36の間は、継続的にデジタル振動信号が伝送されるため消費電力が多い。デジタル信号は、基準電位よりも有意に高い高電圧(H: High)と基準電位と有意差を有しない低電圧(L: Low)の少なくとも2つの状態の時系列で表現されることがある。例えば、I2C規格に基づくデータ伝送に用いられる信号線は、バッテリ42から供給される電源電圧がプルアップ抵抗を経由して印加され、信号線の電位が高電圧と低電圧との間で変化することでデジタル信号を伝送する。そのため、デジタル振動信号のサンプリング周波数が高いほど信号線の電位が頻繁に切り替わるので、その過程で失われる電力が多くなりがちである。言い換えれば、デジタル振動信号のサンプリング周波数を低くすることで消費電力を低減することができる。
【0033】
DAC(Digital-to-Analog Converter)36は、MCU34から入力されるデジタルの振動信号をアナログ振動信号に変換する。DAC36は、変換したアナログ振動信号をアンプ38に出力する。
アンプ(amplifier)38は、DAC36から入力されるアナログ振動信号の振幅を調整し、振幅を調整したアナログ振動信号を振動子40に出力する。アンプ38は、振動子40を駆動するための駆動回路として構成されてもよい。アンプ38は、DAC36と一体に構成された回路素子として構成されてもよい。
振動子40は、アンプ38から入力されるアナログ振動信号に従って振動を発生するアクチュエータである。振動子40は、例えば、ピエゾ素子などの圧電素子を備える。
バッテリ42は、予め蓄電され、入力デバイス30の各部、具体的には、無線I/F32、MCU34、DAC36およびアンプ38の動作に要する電力を供給する。
【0034】
次に、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成例について説明する。
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成例を示すブロック図である。情報処理装置1は、プロセッサ11、メインメモリ12、フラッシュメモリ13、タッチスクリーン20、オーディオシステム24、カメラ26および無線I/F28を備える。
【0035】
プロセッサ11は、情報処理装置1全体の機能を制御する。プロセッサ11として、例えば、1個以上のCPU(Central Processing Unit)が用いられる。プロセッサ11は、所定のプログラムを実行し、メインメモリ12と、その他のハードウェアと協働し、ホストシステム10の機能、即ち、表示処理部102、デバイス設定部104および振動制御部110の機能の実現に用いられる。
を奏する。
【0036】
メインメモリ12は、プロセッサ11の作業領域、即ち、実行プログラム、各種設定データの読み込み領域、プログラムの実行により取得した処理データの書き込み領域として利用される書き込み可能メモリである。メインメモリ12は、例えば、複数個のDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップを含んで構成される。実行プログラムには、OS、周辺機器等を制御するための各種デバイスドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリ、などが含まれる。
【0037】
フラッシュメモリ13には、予めOS、各種デバイスドライバ、各種サービス/ユーティリティ、アプリ、および、各種データを記憶させておく。
ディスプレイ21は、プロセッサ11から出力される表示データに基づく各種の表示画面を表示する。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどのいずれであってもよい。
【0038】
タッチセンサ22は、表示画面に接触した物体(本願では、主に入力デバイス30)と、その接触位置を検出する。タッチセンサ22は、接触を検出した接触位置を示す入力データをホストシステム10に出力する。タッチセンサ22は、例えば、静電容量圧力センサである。タッチセンサ22は、表示画面に接触した物体の接触圧力を検出する。タッチセンサ22は、検出した接触圧力の情報を入力データに含めてホストシステム10に出力してもよい。タッチセンサ22は、接触した物体の傾き、即ち、ペン角度を検出してもよい。タッチセンサ22が3軸の圧力センサである場合には、振動制御部110(
図2)により個々の軸方向の圧力に対する方向余弦を用いてペン角度を特定することができる。タッチセンサ22は、特定したペン角度の情報を入力データに含めてホストシステム10に出力してもよい。
【0039】
オーディオシステム24は、音声信号に対する処理、入力、出力、記録、再生、符号化、および、復号などの処理を行う。オーディオシステム24は、例えば、オーディオIC(Integrated Circuit)を備える。オーディオシステム24には、マイクロホン(図示せず)とスピーカ(図示せず)の一方または両方と有線または無線で接続される。
【0040】
カメラ26は、所定の視野内に所在する各種の物体の像を撮影し、撮影された画像を示す画像データをプロセッサ11に出力する。カメラ26は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)カメラなどのいずれであってもよい。
【0041】
次に、本実施形態に係る振動種別情報の具体例について説明する。
図4は、本実施形態に係る筆記具種別情報を例示する。図示される筆記具種別情報は、振動種別情報の一例である。
図4の例では、筆記具種別情報は、振動種別ごとに、筆記具種別、サンプリング周波数および振動信号のファイル名のセットを含んで構成される。筆記具種別は、振動種別を示す。より具体的には、ボールペン、消しゴム、鉛筆およびマーカが振動種別として指示される。これは、筆記動作により現実の筆記具と紙などの表示媒体との摩擦により筆記具に生ずる振動と、その振動により生ずる音声の周波数特性(スペクトル)が筆記具種別により異なることに基づく。なお、「音なし」とは、厳密には筆記具種別ではないが、振動種別の一環として含まれる。「音なし」とは、有意な音声成分を含まず、主に触覚提示を目的とする振動種別に相当する。
【0042】
サンプリング周波数は、基準周波数以下であって、その振動信号による主成分を表現可能な周波数であればよい。振動には、ユーザにおいて触覚として知覚される振動成分と音声として知覚される音声成分が含まれる。一般に、筆記具種別に応じて振動に含まれる振動成分と音声成分の比率が異なる。
図4の例では、サンプリング周波数は、その振動種別に係る振動信号に含まれる音声成分の比率が高い種別の振動ほど高くなるように設定される。例えば、振動信号において比較的高い周波数における音声成分を主とする鉛筆、マーカに対するサンプリング周波数は、40kHzである。但し、この周波数は、基準周波数として設定される48kHzよりも低い。振動信号において音声成分が少なく、振動成分を主とするボールペン、消しゴムに対するサンプリング周波数は、500Hzである。なお、「音なし」は、振動信号に音声成分が含まれないため、さらに低いサンプリング周波数として、400Hzと設定されている。この設定は、人間の触覚において、主に200Hzよりも低い周波数の振動を感知可能とするが、より高い周波数の振動が感知できなくなることに基づく。
【0043】
次に、本実施形態に係る振動制御の一例について説明する。
図5は、本実施形態に係る振動制御の一例を示すフローチャートである。
(ステップS102)入力デバイス30のMCU34には、ホストシステム10から無線I/F32を経由して振動制御情報が入力される。
(ステップS104)MCU34は、振動制御情報に筆記具種別を示す通知情報が含まれるか否かを判定する。含まれると判定されるとき(ステップS104 YES)、ステップS106の処理に進む。含まれないと判定されるとき(ステップS104 NO)、ステップS108の処理に進む。
【0044】
(ステップS106)MCU34は、予め設定された筆記具種別情報を参照し、通知情報で指示された筆記具種別に対応するサンプリング周波数と振動信号を特定する。
(ステップS108)MCU34は、タッチセンサ22への接触を示す接触通知を含む振動制御情報を待ち受ける。MCU34は、接触通知が入力されるか否かを判定し、接触通知が入力されるとき(ステップS108 YES)、ステップS110の処理に進む。接触通知が入力されないとき(ステップS108 NO)、ステップS102の処理に戻る。
【0045】
(ステップS110)MCU34は、特定した振動信号をRAM34sから読み出し、特定したサンプリング周波数でDAC36に出力する。
(ステップS112)DACは、MCU34から入力されるデジタル振動信号をアナログ振動信号に変換し、変換したアナログ振動信号を、アンプ38を経由して振動子40に出力する。振動子40は、アンプ38から入力されるアナログ振動信号に基づいて駆動される。
【0046】
なお、筆記具種別の情報が取得されない場合には、MCU34は、予め設定されたデフォルトの筆記具種別(例えば、「音なし」)に係る振動信号およびサンプリング周波数を振動信号のDAC36への出力に用いてもよい。
【0047】
次に、本実施形態に係る周波数設定情報の具体例について説明する。
図6は、本実施形態に係る周波数設定情報を例示する。図示される周波数設定情報は、年齢層ごとに最高可聴周波数と年齢別サンプリング周波数のセットを含んで構成される。年齢別サンプリング周波数として、対象とする年齢層の標準的なユーザにより音声として聴取可能な最高可聴周波数以下の音声成分を十分表現可能であって、基準周波数よりも極力低い周波数が設定される。年齢別サンプリング周波数は、サンプリング定理により最高可聴周波数の2倍より、やや高い周波数、例えば、2.2~2.6倍に設定されればよい。
図6の例では、40代のユーザの最高可聴周波数は14kHz、年齢別サンプリング周波数は30kHzと設定されている。
【0048】
なお、一部の振動種別について振動信号のサンプリング周波数は、年齢別サンプリング周波数よりも高くなることがある。
図4に例示される筆記具種別のうち、鉛筆とマーカの振動信号のサンプリング周波数は40kHzとなり、
図6に例示される年齢別サンプリング周波数17kHz~37kHzのいずれよりも高い。仮に、MCU34が40kHzでサンプリングされた鉛筆の振動信号をRAM34sから読み出し、ユーザの年齢に対応する年齢別サンプリング周波数(例えば、45歳のユーザに対して30kHz)でDAC36に出力すると、振動子40が生成する振動波形は、全体として年齢別サンプリング周波数に反比例して時間方向に伸縮する。これに応じて、振動波形の周波数特性は、全体として年齢別サンプリング周波数に比例して周波数方向に伸縮する。そのため、却ってユーザに違和感がもたされる可能性が生じる。
【0049】
ステップS106(
図5)の処理において、MCU34は、通知情報で指示される振動種別に対応するサンプリング周波数として、ユーザの年齢に対応する年齢別サンプリング周波数以下となる周波数を特定する場合がある。その場合、ステップS110の処理において、MCU34は、その振動種別に対応する振動信号を読み出し、その振動種別に対応するサンプリング周波数で読み出した振動信号をDAC36に出力する。
【0050】
他方、ステップS106の処理において、通知情報で指示される振動種別に対応するサンプリング周波数として、ユーザの年齢に対応する年齢別サンプリング周波数より高い周波数を特定する場合がある。その場合には、ステップS110の処理において、MCU34は、その振動種別に対応する振動信号を読み出し、読み出した振動信号のサンプリング周波数を、振動波形が極力変化しないように、公知の周波数変換法を用いて、その振動種別に対応するサンプリング周波数から年齢別サンプリング周波数に変換(ダウンサンプリング)する。MCU34は、周波数変換により得られた振動信号を、その年齢別サンプリング周波数に従ってDAC36に出力する。
【0051】
その他、振動波形を表現するための基本とするサンプリング周波数(例えば、
図4に示す筆記具種別ごとのサンプリング周波数)が年齢別サンプリング周波数の値域(例えば、
図6に例示される年齢別サンプリング周波数)を含むか、または、その年齢別サンプリング周波数の値域よりも高い振動種別に対しては、その振動種別について共通の振動波形を複数通りのサンプリング周波数でそれぞれサンプリングされた振動信号を予めRAM34sに記憶しておいてもよい。複数通りのサンプリング周波数は、年齢別サンプリング周波数の値域を含んで分布するように予め設定しておく。
図7の筆記具種別情報の例では、鉛筆とマーカのそれぞれについて、7通りのサンプリング周波数でサンプリングされた振動信号がRAM34sに記憶される。7通りのサンプリング周波数は、
図6に例示される年齢別サンプリング周波数と等しくなるように設定される。これら複数通りのサンプリング周波数は、必ずしも年齢別サンプリング周波数の候補の一部または全部と等しくなくてもよく、年齢別サンプリング周波数の値域を網羅(カバー)していればよい。
【0052】
そこで、ステップS106(
図5)の処理では、MCU34は、通知情報で指示された筆記具種別に対応する複数のサンプリング周波数のうち、ユーザの年齢に対応する年齢別サンプリング周波数以下となる1通りのサンプリング周波数(ユーザの年齢に対応する年齢別サンプリング周波数以下となるサンプリング周波数が2通り以上存在する場合には、例えば、そのうち最も年齢別サンプリング周波数に近いサンプリング周波数)を特定する。
そして、ステップS110の処理において、MCU34は、特定した筆記具種別のうち、特定したサンプリング周波数に対応する振動信号を読み出し、そのサンプリング周波数で読み出した振動信号をDAC36に出力する。
図6の例では、45歳のユーザに対しては、年齢別サンプリング周波数は30kHzとなる。
図7の例では、筆記具種別としてマーカが通知される場合には、MCU34は、マーカの振動信号に対応するサンプリング周波数を30kHzと定め、データファイル“prm_htp_05_30”に格納された振動信号を、そのサンプリング周波数でRAM34sから読み出し、DAC36に出力する。
【0053】
次に、本実施形態に係るサンプリング周波数設定処理の一例について説明する。
図8は、本実施形態に係るサンプリング周波数設定処理の一例を示すフローチャートである。但し、
図8では、振動種別に応じたサンプリング周波数の設定、接触通知に応じた振動子の駆動に係る処理について割愛されている。
【0054】
(ステップS202)ホストシステム10のデバイス設定部104は、予め設定されたユーザプロファイルに基づいてユーザの年齢を特定し、特定した年齢を示す年齢情報を振動設定に含めて振動制御部110に通知する。
(ステップS204)振動制御部110は、デバイス設定部104から通知された年齢情報を通知情報に含め、無線I/F28を用いて入力デバイス30に出力する。
(ステップS206)入力デバイス30のMCU34には、ホストシステム10から無線I/F32を用いて年齢情報を含む通知情報が入力され、年齢情報に示されるユーザの年齢を特定する。MCU34は、予めRAM34sに記憶された周波数設定情報を参照して、特定した年齢を含む年齢層に対応する年齢別サンプリング周波数を特定する。上記のように特定された年齢別サンプリング周波数は、読み出された振動信号のDAC36への出力または読み出し対象とする振動信号の特定に用いられる。
【0055】
なお、
図8に例示される周波数設定情報において、最高可聴周波数の情報が含まれなくてもよい。周波数設定情報は、年齢もしくは年齢層ごとに年齢別サンプリング周波数を与えることができれば、必ずしもデータテーブルとして構成されなくてもよい。周波数設定情報は、年齢を入力値として年齢別サンプリング周波数を関数値として算出するための関数として定義されてもよい。
【0056】
図8の処理は、ホストシステム10のデバイス設定部104が、ユーザプロファイルを用いてユーザの年齢を定める場合を例にしたが、これには限られない。デバイス設定部104は、
図8に示すようにユーザの頭部を表す画像(顔画像)を示す画像データを取得し、取得した画像データに対して公知の画像認識処理を実行し、ユーザの年齢を推定してもよい。
図9は、本実施形態に係るサンプリング周波数設定処理の他の例を示すフローチャートである。
【0057】
(ステップS302)デバイス設定部104は、タッチセンサ22から入力データに基づいて、カメラ26にユーザの顔画像を撮影させる。デバイス設定部104は、カメラ26から撮影させた顔画像を示す画像データを取得する。
(ステップS304)デバイス設定部104は、取得した画像データに対して画像認識処理を実行してユーザの年齢を推定する。デバイス設定部104は、推定した年齢を示す年齢情報を振動設定に含めて振動制御部110に通知する。その後、ステップS306、S308の処理に進む。ステップS306、S308の処理は、ステップS204、S206と同様であるため、それらの説明を援用する。
【0058】
なお、ユーザプロファイル、その他、タッチセンサ22からの入力データに基づいて定まる年齢と画像データに基づいて定まる年齢とが異なる場合が生じうる。その場合、デバイス設定部104は、いずれか一方、例えば、入力データに基づいて定まる年齢またはいずれか低い方の年齢を示す年齢情報を採用し、他方を棄却してもよい。
また、MCU34は、入力デバイス30の接触圧力、ペン角度または移動速度に基づいてゲインを定め、アンプ38に通知してもよい。アンプ38は、予め設定されたゲインに代え、MCU34から通知されたゲインを用いてDAC36から入力されるアナログ振動信号の振幅を調整する。MCU34は、例えば、接触圧力、ペン角度または移動速度が大きいほど、大きくなるようにゲインを定める。接触圧力およびペン角度は、ホストシステム10から入力される振動制御信号で搬送される振動制御情報で通知されることがある。移動速度は、振動制御情報で通知される接触位置の時間微分をもって導出される。
【0059】
図8、
図9は、ホストシステム10のデバイス設定部104においてユーザの年齢を定め、入力デバイス30のMCU34がユーザの年齢に対応する年齢別サンプリング周波数を定める場合を例示するが、これには限られない。デバイス設定部104は、自部に予め設定した周波数設定情報を参照して、ユーザの年齢に対応する年齢別サンプリング周波数を定めてもよい。その場合、デバイス設定部104は、年齢別サンプリング周波数を示す振動設定を振動制御部110に通知し、通知情報として入力デバイス30に出力してもよい。入力デバイス30のMCU34は、ホストシステム10から入力される通知情報に示される年齢別サンプリング周波数を特定し、振動信号のDAC36への出力に用いる。ここで、RAM34sへの周波数設定情報の設定、MCU34によるユーザの年齢に基づく年齢別サンプリング周波数の特定するための処理が省略されてもよい。
【0060】
また、振動種別情報を参照して特定されるサンプリング周波数と、周波数設定情報を参照して特定される年齢別サンプリング周波数とが異なる場合が生じうる。その場合、MCU34は、いずれか低い方のサンプリング周波数を振動信号の出力のために採用し、他方のサンプリング周波数を棄却してもよい。
【0061】
上記の説明では、情報処理装置1がタブレット端末装置である場合を主としたが、これには限られない。情報処理装置1は、パーソナルコンピュータなど、入力デバイス30を用いて情報入力を可能とする、その他の形態の情報通信機器であってもよい。
また、ディスプレイ21とタッチセンサ22の一方または両方は、情報処理装置1の他の部材と有線または無線で接続できれば、情報処理装置1とは別体であってもよい。
【0062】
以上に説明したように、本実施形態に係る入力デバイス30は、デジタル振動信号をアナログ振動信号に変換する変換器(例えば、DAC36)と、アナログ振動信号に基づいて振動する振動子40と、接触検出部(例えば、タッチセンサ22)への接触に応じてデジタル振動信号を変換器に出力するコントローラ(例えば、MCU34)とを備える。コントローラは、デジタル振動信号のサンプリング周波数を所定の基準周波数よりも低い周波数に制御可能とする。
また、本実施形態に係る情報処理システムS1は、入力デバイス30とホストシステム10を備える。
この構成によれば、コントローラから変換器に伝送されるデジタル振動信号のサンプリング周波数を基準周波数よりも低い周波数に制御可能となる。デジタル振動信号のサンプリング周波数が基準周波数に固定される場合よりも低くなるので、デジタル振動信号の伝送に係る消費電力を低減することができる。そのため、少容量のバッテリを用いて、入力デバイス30の可用性を向上させることができる。
【0063】
また、入力デバイス30は、複数の振動種別のデジタル振動信号を記憶し、振動種別ごとにサンプリング周波数が設定された記憶媒体(例えば、RAM34s)を備えてもよい。コントローラは、ホストシステム10からの通知情報で指示される振動種別のデジタル振動信号を当該振動種別に対応するサンプリング周波数で変換器に出力してもよい。
この構成によれば、ホストシステム10から通知される振動種別のデジタル振動信号が、その振動種別に対応するサンプリング周波数で変換器に出力される。振動種別ごとに、その特性が有効に発揮される範囲でできるだけ低いサンプリング周波数を設定しておくことで、ユーザに対して実効的な使用感を与えながら消費電力を節減することができる。
【0064】
また、音声成分が多い振動種別のデジタル振動信号ほど、高いサンプリング周波数が設定されてもよい。
一般に振動種別に応じて音声成分の比率が異なり、音声が知覚される可聴周波数は触覚が知覚される周波数よりも高い。音声成分が多い振動種別の振動信号ほど高いサンプリング周波数で振動信号が提供されるので、入力デバイス30の振動により生じる音声成分によりユーザに与える印象を損なわない。音質を維持しながらデジタル振動信号のサンプリング周波数を低く設定することで、消費電力を節減することができる。
【0065】
また、コントローラは、ホストシステム10からの通知情報に基づいてユーザの年齢に対応するサンプリング周波数を設定してもよい。
この構成により、ユーザの年齢に基づいてサンプリング周波数が設定される。ユーザの年齢に応じて知覚できる可聴周波数の音声成分が入力デバイス30の振動により提示されるので、ユーザに与える印象を妨げずに入力デバイス30の消費電力を節約することができる。
【0066】
ホストシステム10は、予め設定されたユーザ設定情報(例えば、ユーザプロファイル)から年齢を示す年齢情報を取得し、取得した年齢情報を通知情報に含めて入力デバイス30に出力してもよい。
この構成により、予め設定されたユーザ設定情報に基づいて年齢情報が取得され、入力デバイス30に通知される。そのため、特段の操作を行わずにユーザ設定情報を活用して、ユーザの年齢に応じたサンプリング周波数が入力デバイス30に設定される。
【0067】
ホストシステム10は、ユーザの顔画像に基づいてユーザの年齢を推定し、推定した年齢を示す年齢情報を通知情報に含めて入力デバイス30に出力してもよい。
この構成により、ユーザの顔画像から年齢情報が取得される、入力デバイス30に通知される。そのため、特段の操作を行わずにユーザの顔画像に基づいて推定される年齢に応じたサンプリング周波数を入力デバイス30に設定することができる。
【0068】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0069】
S1…情報処理システム、1…情報処理装置、10…ホストシステム、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…フラッシュメモリ、20…タッチスクリーン、21…ディスプレイ、22…タッチセンサ、24…オーディオシステム、26…カメラ、28…無線I/F、30…入力デバイス、32…無線I/F、34…MCU、36…DAC、38…アンプ、40…振動子、42…バッテリ、102…表示処理部、104…デバイス設定部、110…振動制御部
【要約】
【課題】ユーザの満足度を確保しながら消費電力を低減する。
【解決手段】変換器はデジタル振動信号をアナログ振動信号に変換し、振動子はアナログ振動信号に基づいて振動し、コントローラは接触検出部への接触に応じてデジタル振動を変換器に出力し、デジタル振動信号のサンプリング周波数を所定の基準周波数よりも低い周波数に制御可能とする。本実施形態は、入力デバイスとしても、入力デバイスとホストシステムを備える情報処理システムとしても実現することができる。
【選択図】
図1