(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/22 20120101AFI20241217BHJP
【FI】
G06Q20/22 310
(21)【出願番号】P 2023200598
(22)【出願日】2023-11-28
【審査請求日】2023-11-28
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004222
【氏名又は名称】弁理士法人創光国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 徹
【審査官】板垣 有紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-056137(JP,A)
【文献】特開2006-243795(JP,A)
【文献】特許第7292767(JP,B1)
【文献】特開2021-033420(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行する、
所定の資産の移転を要求する移転要求情報を取得する第1取得ステップと、
前記移転要求情報にかかる資産の移転を要求した要求元ユーザに発行された所定の識別情報に対応するトークンであって、前記所定の資産を管理するために発行される、発行されたユーザに固有のトークンであって、発行されたユーザが保有する前記所定の資産の残高が関連付けられたトークンである第1トークンを取得する第2取得ステップと、
前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高と、前記移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、前記所定の資産の移転可否を判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにおいて前記所定の資産を移転できないと判定した場合に、前記所定の識別情報に対応するトークンであって、前記所定の資産を管理するために発行される、発行されたユーザに固有のトークンであって、発行されたユーザが保有する前記所定の資産の残高が関連付けられたトークンであって、前記要求元ユーザと異なる他のユーザに発行されたトークンである第2トークンを取得する第3取得ステップと、
前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高と前記第2トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高との合計値と、前記移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、前記所定の資産の移転可否を判定する第2判定ステップと、
前記第2判定ステップにおいて前記所定の資産を移転可能と判定された場合に、前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高及び前記第2トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高の合計から前記移転要求情報に含まれる移転先ユーザの前記所定の資産を管理するための口座に、前記移転要求情報が示す量の前記所定の資産を移転させるよう制御する移転制御ステップ
であって、前記第1トークン及び前記第2トークンそれぞれに関連付けられた資産の残高から移転先ユーザに移転する資産の量を減算したトークンである第3トークン及び第4トークンそれぞれを前記要求元ユーザ及び前記他のユーザに発行するとともに、前記第1トークン及び前記第2トークンを無効化するよう制御する前記移転制御ステップと、
を有する情報処理方法。
【請求項2】
前記移転制御ステップにおいては、前記第2トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高から前記移転要求情報が示す量の一部の前記所定の資産と、前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高から前記移転要求情報が示す量の残部の前記所定の資産と、を、前記移転要求情報に含まれる移転先ユーザの前記口座に移転させるよう制御する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記移転制御ステップにおいては、前記第2トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高から前記移転要求情報が示す量の一部の前記所定の資産を前記要求元ユーザに移転させ、前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高から前記移転要求情報が示す量の全部の前記所定の資産を前記移転要求情報に含まれる移転先ユーザの前記口座に移転させるよう制御する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記第1トークンは、前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高が、前記移転要求情報に含まれる移転量より少ない場合における所定の資産の移転方法がさらに関連付けられており、
前記移転制御ステップにおいては、前記第1トークンに関連付けられた移転方法に基づいて、前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高及び前記第2トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高の合計から前記移転要求情報に含まれる移転先ユーザの前記所定の資産を管理するための口座に、前記移転要求情報が示す量の前記所定の資産を移転させるよう制御する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記移転制御ステップにおいて前記第1トークンに関連付けられた前記要求元ユーザの残高及び前記第2トークンに関連付けられた前記他のユーザの残高から前記移転先ユーザの残高に前記所定の資産を移転制御する場合に、前記要求元ユーザの残高の全てと、前記他のユーザの残高のうち、前記移転要求情報に含まれる移転量から前記要求元ユーザの残高を控除した量の前記所定の資産が移転されるよう前記要求元ユーザの残高と、前記他のユーザの残高と、を調整する残高調整ステップをさらに有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記移転制御ステップにおいて前記第1トークンに関連付けられた前記要求元ユーザの残高及び前記第2トークンに関連付けられた前記他のユーザの残高から前記移転先ユーザの残高に前記所定の資産を移転する場合に、前記要求元ユーザの残高と他のユーザの残高とが均等になるよう前記要求元ユーザの残高から前記他のユーザの残高に前記所定の資産を移転させるよう前記要求元ユーザの残高と、前記他のユーザの残高と、を調整する残高調整ステップをさらに有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記移転制御ステップにおいて前記第1トークンに関連付けられた前記要求元ユーザの残高及び前記第2トークンに関連付けられた前記他のユーザの残高から前記移転先ユーザの残高に前記所定の資産を移転する場合に、前記要求元ユーザからの移転額と前記他のユーザからの移転額とが均等になるように前記要求元ユーザの残高と、前記他のユーザの残高と、を調整する残高調整ステップをさらに有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記移転制御ステップにおいて前記第1トークンに関連付けられた前記要求元ユーザの残高及び前記第2トークンに関連付けられた前記他のユーザの残高から前記移転先ユーザの残高に前記所定の資産を移転した場合に、優先度の高いユーザから前記所定の資産を優先的に移転されるよう前記要求元ユーザの残高と、前記他のユーザの残高と、を調整する残高調整ステップをさらに有する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記所定の識別情報は、給付された給付金を識別するための給付識別情報である、
請求項1から4のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
所定の資産の移転を要求する移転要求情報を取得する第1取得ステップと、
前記移転要求情報にかかる資産の移転を要求した要求元ユーザに発行された所定の識別情報に対応するトークンであって、前記所定の資産を管理するために発行される、発行されたユーザに固有のトークンであって、発行されたユーザが保有する前記所定の資産の残高が関連付けられたトークンである第1トークンを取得する第2取得ステップと、
前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高と、前記移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、前記所定の資産の移転可否を判定する第1判定ステップと、
前記第1判定ステップにおいて前記所定の資産を移転できないと判定した場合に、前記所定の識別情報に対応するトークンであって、前記所定の資産を管理するために発行される、発行されたユーザに固有のトークンであって、発行されたユーザが保有する前記所定の資産の残高が関連付けられたトークンであって、前記要求元ユーザと異なる他のユーザに発行されたトークンである第2トークンを取得する第3取得ステップと、
前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高と前記第2トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高との合計値と、前記移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、前記所定の資産の移転可否を判定する第2判定ステップと、
前記第2判定ステップにおいて前記所定の資産を移転可能と判定された場合に、前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高及び前記第2トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高の合計から前記移転要求情報に含まれる移転先ユーザの前記所定の資産を管理するための口座に、前記移転要求情報が示す量の前記所定の資産を移転させるよう制御する移転制御ステップ
であって、前記第1トークン及び前記第2トークンそれぞれに関連付けられた資産の残高から移転先ユーザに移転する資産の量を減算したトークンである第3トークン及び第4トークンそれぞれを前記要求元ユーザ及び前記他のユーザに発行するとともに、前記第1トークン及び前記第2トークンを無効化するよう制御する前記移転制御ステップと、
を実行させるプログラム。
【請求項11】
所定の資産の移転を要求する移転要求情報を取得する第1取得部と、
前記移転要求情報にかかる資産の移転を要求した要求元ユーザに発行された所定の識別情報に対応するトークンであって、前記所定の資産を管理するために発行される、発行されたユーザに固有のトークンであって、発行されたユーザが保有する前記所定の資産の残高が関連付けられたトークンである第1トークンを取得する第2取得部と、
前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高と、前記移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、前記所定の資産の移転可否を判定する第1判定部と、
前記第1判定部が前記所定の資産を移転できないと判定した場合に、前記所定の識別情報に対応するトークンであって、前記所定の資産を管理するために発行される、発行されたユーザに固有のトークンであって、発行されたユーザが保有する前記所定の資産の残高が関連付けられたトークンであって、前記要求元ユーザと異なる他のユーザに発行されたトークンである第2トークンを取得する第3取得部と、
前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高と前記第2トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高との合計値と、前記移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、前記所定の資産の移転可否を判定する第2判定部と、
前記第2判定部が前記所定の資産を移転可能と判定した場合に、前記第1トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高及び前記第2トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高の合計から前記移転要求情報に含まれる移転先ユーザの前記所定の資産を管理するための口座に、前記移転要求情報が示す量の前記所定の資産を移転させるよう制御する移転制御部
であって、前記第1トークン及び前記第2トークンそれぞれに関連付けられた資産の残高から移転先ユーザに移転する資産の量を減算したトークンである第3トークン及び第4トークンそれぞれを前記要求元ユーザ及び前記他のユーザに発行するとともに、前記第1トークン及び前記第2トークンを無効化するよう制御する前記移転制御部と、
を有する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理方法、プログラム及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャッシュレス決済のチャージ残高等のデジタル資産を管理する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、家族などのグループ内で資産を共有して利用するためには送金等により資産を移転する必要があり、煩雑であった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、ユーザが保有する資産を容易に特定のユーザと共有して利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理方法においては、コンピュータが実行する、所定の資産の移転を要求する移転要求情報を取得する第1取得ステップと、前記移転要求情報にかかる資産の移転を要求した要求元ユーザに発行された所定の識別情報に対応するトークンであって、発行されたユーザが保有する前記所定の資産の残高が関連付けられた前記トークンを取得する第2取得ステップと、前記要求元ユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高と、前記移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、前記所定の資産の移転可否を判定する第1判定ステップと、前記第1判定ステップにおいて前記所定の資産を移転できないと判定した場合に、前記所定の識別情報に対応する前記トークンであって、前記要求元ユーザと異なる他のユーザに発行された前記トークンを取得する第3取得ステップと、前記要求元ユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産と前記他のユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高との合計値と、前記移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、前記所定の資産の移転可否を判定する第2判定ステップと、前記第2判定ステップにおいて前記所定の資産を移転可能と判定された場合に、前記要求元ユーザのトークンに関連付けられた前記所定の資産の残高及び前記他のユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高の合計から前記移転要求情報に含まれる移転先ユーザの前記所定の資産を管理するための口座に、前記移転要求情報が示す量の前記所定の資産を移転させるよう制御する移転制御ステップと、を有する。
【0007】
前記移転制御ステップにおいては、他のユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高から前記移転要求情報が示す量の一部の前記所定の資産と、前記要求元ユーザのトークンに関連付けられた前記所定の資産の残高から前記移転要求情報が示す量の残部の前記所定の資産と、を、前記移転要求情報に含まれる移転先ユーザの前記口座に移転させるよう制御してもよい。
【0008】
前記移転制御ステップにおいては、他のユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高から前記移転要求情報が示す量の一部の前記所定の資産を前記要求元ユーザに移転させ、前記要求元ユーザのトークンに関連付けられた前記所定の資産の残高から前記移転要求情報が示す量の全部の前記所定の資産を前記移転要求情報に含まれる移転先ユーザの前記口座に移転させるよう制御してもよい。
【0009】
前記トークンは、前記要求元ユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高が、前記移転要求情報に含まれる移転量より少ない場合における所定の資産の移転方法がさらに関連付けられており、前記移転制御ステップにおいては、前記トークンに関連付けられた移転方法に基づいて、前記要求元ユーザのトークンに関連付けられた前記所定の資産の残高及び前記他のユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高の合計から前記移転要求情報に含まれる移転先ユーザの前記所定の資産を管理するための口座に、前記移転要求情報が示す量の前記所定の資産を移転させるよう制御してもよい。
【0010】
前記移転制御ステップにおいて前記要求元ユーザ及び前記他のユーザの残高から前記移転先ユーザの残高に前記所定の資産を移転制御する場合に、前記要求元ユーザの残高の全てと、前記他のユーザの残高のうち、前記移転要求情報に含まれる移転量から前記要求元ユーザの残高を控除した量の前記所定の資産が移転されるよう前記要求元ユーザの残高と、前記他のユーザの残高と、を調整する残高調整ステップをさらに有してもよい。
【0011】
前記移転制御ステップにおいて前記要求元ユーザ及び前記他のユーザの残高から前記移転先ユーザの残高に前記所定の資産を移転する場合に、前記要求元ユーザの残高と他のユーザの残高とが均等になるよう前記要求元ユーザの残高から前記他のユーザの残高に前記所定の資産を移転させるよう前記要求元ユーザの残高と、前記他のユーザの残高と、を調整する残高調整ステップをさらに有してもよい。
【0012】
前記移転制御ステップにおいて前記要求元ユーザ及び前記他のユーザの残高から前記移転先ユーザの残高に前記所定の資産を移転する場合に、前記要求元ユーザからの移転額と前記他のユーザからの移転額とが均等になるように前記要求元ユーザの残高と、前記他のユーザの残高と、を調整する残高調整ステップをさらに有してもよい。
【0013】
前記移転制御ステップにおいて前記要求元ユーザ及び前記他のユーザの残高から前記移転先ユーザの残高に前記所定の資産を移転した場合に、優先度の高いユーザから前記所定の資産を優先的に移転されるよう前記要求元ユーザの残高と、前記他のユーザの残高と、を調整する残高調整ステップをさらに有してもよい。
【0014】
本発明の第2の態様のプログラムにおいては、コンピュータに、所定の資産の移転を要求する移転要求情報を取得する第1取得ステップと、前記移転要求情報にかかる資産の移転を要求した要求元ユーザに発行された所定の識別情報に対応するトークンであって、発行されたユーザが保有する前記所定の資産の残高が関連付けられた前記トークンを取得する第2取得ステップと、前記要求元ユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高と、前記移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、前記所定の資産の移転可否を判定する第1判定ステップと、前記第1判定ステップにおいて前記所定の資産を移転できないと判定した場合に、前記所定の識別情報に対応する前記トークンであって、前記要求元ユーザと異なる他のユーザに発行された前記トークンを取得する第3取得ステップと、前記要求元ユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産と前記他のユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高との合計値と、前記移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、前記所定の資産の移転可否を判定する第2判定ステップと、前記第2判定ステップにおいて前記所定の資産を移転可能と判定された場合に、前記要求元ユーザのトークンに関連付けられた前記所定の資産の残高及び前記他のユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高の合計から前記移転要求情報に含まれる移転先ユーザの前記所定の資産を管理するための口座に、前記移転要求情報が示す量の前記所定の資産を移転させるよう制御する移転制御ステップと、を実行させる。
【0015】
本発明の第3の態様の情報処理装置においては、所定の資産の移転を要求する移転要求情報を取得する第1取得部と、前記移転要求情報にかかる資産の移転を要求した要求元ユーザに発行された所定の識別情報に対応するトークンであって、発行されたユーザが保有する前記所定の資産の残高が関連付けられた前記トークンを取得する第2取得部と、前記要求元ユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高と、前記移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、前記所定の資産の移転可否を判定する第1判定部と、前記第1判定部が前記所定の資産を移転できないと判定した場合に、前記所定の識別情報に対応する前記トークンであって、前記要求元ユーザと異なる他のユーザに発行された前記トークンを取得する第3取得部と、前記要求元ユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産と前記他のユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高との合計値と、前記移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、前記所定の資産の移転可否を判定する第2判定部と、前記第2判定部が前記所定の資産を移転可能と判定した場合に、前記要求元ユーザのトークンに関連付けられた前記所定の資産の残高及び前記他のユーザの前記トークンに関連付けられた前記所定の資産の残高の合計から前記移転要求情報に含まれる移転先ユーザの前記所定の資産を管理するための口座に、前記移転要求情報が示す量の前記所定の資産を移転させるよう制御する移転制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ユーザの資産を容易に特定のユーザと共有して利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】情報処理装置1の概要を説明するための図である。
【
図2】第1の実施形態における情報処理装置1の構成を示すブロック図である。
【
図3】トークンTのデータ構造の一例を示す図である。
【
図4】トークンTのデータ構造の一例を示す図である。
【
図5】情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第2の実施形態における情報処理装置1Aの構成を示すブロック図である。
【
図7】変形例におけるトークンTのデータ構造の一例を示す図である。
【
図8】変形例におけるトークンTのデータ構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
[情報処理システムSの概要]
図1は、情報処理システムSの概要を説明するための図である。情報処理システムSは、所定の資産を流通するためのシステムである。所定の資産は、一例として、中央銀行、地方自治体又は民間企業等が発行する、流通可能な地域、コミュニティ又は目的を限定したデジタル通貨である。情報処理システムSは、情報処理装置1及び情報端末2を有する。
【0019】
情報処理装置1は、ユーザの保有する所定の資産を管理するための装置である。情報処理装置1は、ブロックチェーンBに記録されたトークンTによりユーザの保有する所定の資産を管理する。情報処理装置1は、ブロックチェーンBに参加しているノードであってもよいし、ブロックチェーンBにアクセス可能なノードを介してトークンTを参照してもよい。
【0020】
トークンTは、発行されたユーザに固有のトークンである。トークンTは、一例として、発行されたユーザ以外に譲渡ができない性質を有するソウルバウンドトークン(Soul Bound Token)である。トークンTは、発行されたユーザそれぞれが保有する所定の資産を管理するためのトークンである。トークンTにおいては、ユーザが保有する所定の資産の残高が関連付けられている。トークンTにおいては、一例として資産を管理するためのウォレットが関連付けられていてもよいし、資産の残高を示す情報が含まれていてもよい。
【0021】
情報端末2は、所定の資産を保有するユーザが使用する端末である。情報端末2は、一例として、スマートフォン、タブレット又はパーソナルコンピュータである。情報端末2は、情報処理装置1と連携し、ユーザが所定の資産を管理するための画面を表示し、ユーザの操作に応じて所定の資産を移転するための要求を情報処理装置1に送信する。
【0022】
ユーザが保有する所定の資産を特定のユーザと共有して利用できるとユーザの利便性が高い。そこで、トークンTには所定の識別情報が関連付けられている。所定の識別情報は、所定の資産を共有可能なユーザを識別するためのID(Identification)である。所定の識別情報は、一例として給付IDである。給付IDは、給付された給付金を識別するIDである。
【0023】
情報処理システムSにおける処理について説明する。情報処理装置1は、移転要求情報を取得する(
図1における(1))。移転要求情報は、所定の資産の移転を要求するために送信される情報である。移転要求情報においては、要求元ユーザのトークンIDと、移転先ユーザのトークンIDと、移転される所定の資産の量(以下、「移転量」と言う)と、を含む。なお、以下では、トークンIDをトークン識別情報と言う場合がある。要求元ユーザは、所定の資産の移転を要求するユーザである。移転先ユーザは、所定の資産の移転先のユーザである。
【0024】
情報処理装置1は、要求元ユーザに発行されたトークンT1を取得する(
図1における(2))。情報処理装置1は、要求元ユーザのトークンT1に関連付けられた所定の資産の残高と、移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、所定の資産を移転可能か否かを判定する(
図1における(3))。具体的には、情報処理装置1は、要求元ユーザの所定の資産の残高が移転量以上である場合に所定の資産を移転可能と判定し、要求元ユーザの所定の資産の残高が移転量未満である場合、所定の資産を移転できないことを判定する。
【0025】
情報処理装置1が所定の資産を移転できないと判定する場合、所定の識別情報に対応する他のトークンT2を取得する(
図1における(4))。情報処理装置1は、トークンT2に関連付けられた所定の資産の残高を取得する。
【0026】
情報処理装置1は、トークンT1に関連付けられた残高とトークンT2に関連付けられた残高とを合算して、移転要求情報が示す移転量の所定の資産の移転が可能か否かを判定する(
図1における(5))。合算して所定の資産を移転可能と判定する場合、情報処理装置1は、トークンT1及びトークンT2それぞれに関連付けられた残高から移転先ユーザの口座に所定の資産を移転させる(
図1における(6))。移転先ユーザの口座は、例えば、移転先ユーザが保有するトークンTに関連付けられたウォレットである。
【0027】
情報処理システムSがこのように構成されることで、ユーザが保有する資産を特定のユーザと共有して利用することが可能になる。
【0028】
[情報処理装置1の構成]
図2は、情報処理装置1の構成を示すブロック図である。情報処理装置1は、通信部11、記憶部12及び制御部13を有する。制御部13は、第1取得部131、第2取得部132、第1判定部133、第3取得部134、第2判定部135、移転制御部136、及び表示制御部137を有する。
【0029】
通信部11は、ネットワークを介して他の装置とデータの送受信をするための通信インターフェースである。記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを予め記憶している。
【0030】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、第1取得部131、第2取得部132、第1判定部133、第3取得部134、第2判定部135、移転制御部136及び表示制御部137として機能する。
【0031】
第1取得部131は、所定の資産の移転を要求する移転要求情報を取得する。第1取得部131は、所定の資産の移転を要求するユーザの情報端末2から移転要求情報を取得する。
【0032】
第2取得部132は、要求元ユーザに発行されたトークンT1に関連付けられた所定の識別情報に対応するトークンT2を取得する。
図3は、トークンTのデータ構造の一例を示す図である。
図3に示すようにトークンTは、「トークンID」、「発行者」、「保有者」、「給付ID」、「ウォレット」が関連付けられている。第2取得部132は、移転先ユーザに発行されたトークンTを取得してもよい。後述するようにトークンTにおいては、ユーザが保有する所定の資産の残高が含まれていてもよい。
【0033】
「トークンID」は、当該トークンを識別するためのトークンIDである。「発行者」は、当該トークンを発行した発行者を示す情報である。「発行者」においては、当該トークンを発行した発行者のIDを含んでいてもよいし、名称を含んでいてもよい。「保有者」は、当該トークンを保有する保有者を識別するためのIDである。「給付ID」は、給付された給付金を識別するためのIDである。「ウォレット」は、当該トークンに紐づけられた所定の資産を管理するためのウォレットのIDを示す。ウォレットは、ブロックチェーンBにおいて記録されたユーザが保有する所定の資産を管理するためのウォレットである。なお、トークンTが有する情報の一部(例えば給付ID)はトークンTの外部に記憶されていてもよい。この場合、トークンTは、トークンTの外部に記憶された情報にアクセスするためのURI(Universal Resource Identifier)を含む。
【0034】
第1判定部133は、要求元ユーザのトークンTに関連付けられた所定の資産の残高と、移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、所定の資産の移転可否を判定する。第1判定部133は、要求元ユーザのトークンTに関連付けられた残高が移転要求情報に含まれる移転量以上である場合に、移転要求情報に基づく所定の資産の移転が可能と判定する。第1判定部133は、要求元ユーザのトークンTに関連付けられた残高が移転要求情報に含まれる移転量未満である場合に、移転要求情報に基づく移転ができないと判定する。
【0035】
第1判定部133が所定の資産を移転可能と判定する場合、移転制御部136は、要求元ユーザの所定の資産を、移転先ユーザに移転させるよう制御する。具体的には、移転制御部136は、要求元ユーザのトークンT1に関連付けられているウォレットの残高から移転先ユーザのトークンT2に関連付けられているウォレットの残高へ、移転要求が示す移転量の所定の資産を移転させるよう、ブロックチェーンBに資産の移転を記録させる。なお、移転制御部136は、ブロックチェーンBにアクセス可能なノードに上記の資産の移転を記録するよう指示してもよい。
【0036】
第3取得部134は、第1判定部133が所定の資産を移転できないと判定した場合に、所定の識別情報に対応するトークンであって、要求元ユーザと異なる他のユーザに発行されたトークンT2に関連付けられた所定の資産の残高を取得する。第3取得部134は、要求元ユーザと異なるユーザに発行されたトークンT2を、ブロックチェーンBを参照して取得する。トークンT2は、要求元ユーザに発行されたトークンT1と対応する給付IDに関連付けられている。対応する給付IDは、例えば、同一の給付IDである場合、または、同一のグループに属する給付IDである場合(例えば、給付IDがグループIDと枝番から構成される場合等において、同一のグループIDを有する場合)である。第3取得部134は、トークンT2に関連付けられた所定の資産の残高を取得する。
【0037】
第2判定部135は、要求元ユーザのトークンT1に関連付けられた所定の資産と他のユーザのトークンT2に関連付けられた所定の資産の残高との合計値と、移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、所定の資産の移転可否を判定する。第2判定部135は、トークンT1に関連付けられた所定の資産の残高と、トークンT2に関連付けられた所定の資産の残高と、を合計し、残高の合計値を算出する。第2判定部135は、算出した残高の合計値が移転要求情報に含まれる移転量以上である場合に残高を合算して所定の資産を移転することが可能と判定する。第2判定部135は、算出した残高の合計値が移転要求情報に含まれる移転量未満である場合に残高を合算して所定の資産を移転することができないと判定する。
【0038】
移転制御部136は、第2判定部135が所定の資産を移転可能と判定された場合に、要求元ユーザのトークンT1に関連付けられた所定の資産の残高及び他のユーザのトークンT2に関連付けられた所定の資産の残高の合計から移転要求情報に含まれる移転先ユーザの所定の資産を管理するための口座に、移転要求情報が示す量の所定の資産を移転させるよう制御する。移転制御部136は、それぞれのユーザから移転させる移転量を算出し、それぞれのユーザについて算出した移転量の所定の資産を、トークンT1及びT2それぞれに関連付けられているウォレットの残高から、移転先ユーザのトークンTに関連付けられているウォレットの残高へ移転させるよう、ブロックチェーンBに所定の資産の移転を記録させる。一例として、移転制御部136は、要求元ユーザの残高の全てを要求元ユーザの移転量とし、移転要求情報が示す移転量から要求元ユーザの残高を控除した量を他のユーザの移転量として算出する。
【0039】
なお、移転制御部136は、後述するように様々な方法により要求元ユーザと他のユーザの移転量を算出してもよい。また、移転制御部136は、後述するように他のユーザの所定の資産を直接移転先ユーザに移転してもよいし、要求元ユーザのウォレットを介して移転先ユーザに所定の資産を移転してもよい。
【0040】
第2判定部135が残高を合算して所定の資産を移転することができないと判定した場合、表示制御部137は、所定の資産を移転することができないことを示す画面を情報端末2に表示させてもよい。
【0041】
情報処理装置1がこのように構成されることで、ユーザが保有する資産を容易に特定のユーザと共有して利用することが可能になる。
【0042】
他のユーザから移転先ユーザに直接に所定の資産を移転させるよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0043】
移転制御部136は、他のユーザのトークンT2に関連付けられた所定の資産の残高から移転要求情報が示す量の一部の所定の資産を移転先ユーザの口座に移転させるよう制御する。一例として移転制御部136は、トークンT1及びT2に関連付けられた残高及び移転要求情報が示す移転量に基づいて算出した要求元ユーザの移転量を減算して他のユーザから移転する移転量を算出し、算出した他のユーザの移転量を、トークンT2に関連付けられたウォレットから移転先ユーザの口座に移転させる。
【0044】
要求元ユーザのトークンT1に関連付けられた所定の資産の残高から移転要求情報が示す量から他のユーザの移転量を控除した残部の所定の資産を、移転要求情報に含まれる移転先ユーザの口座に移転させるよう制御する。移転制御部136は、算出した要求元ユーザの移転量の所定の資産を、要求元ユーザのトークンT1に関連付けられたウォレットから移転させる。
【0045】
他のユーザのウォレットから要求元ユーザのウォレットを介して所定の資産を移転させるよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0046】
移転制御部136は、他のユーザのトークンT2に関連付けられた所定の資産の残高から移転要求情報が示す量の一部の所定の資産を要求元ユーザに移転させる。一例として、移転制御部136は、移転要求情報が示す移転量の一部を他のユーザのトークンT2に関連付けられたウォレットから要求元ユーザのトークンT1に関連付けられたウォレットに移転させるよう制御する。一例として移転制御部136は、他のユーザから移転する移転量を算出し、他のユーザのトークンT2に関連付けられたウォレットから要求元ユーザのトークンT1に関連付けられたウォレットに算出した移転量の所定の資産を移転させるよう制御する。
【0047】
移転制御部136は、要求元ユーザのトークンに関連付けられた所定の資産の残高から移転要求情報が示す量の全部の所定の資産を移転要求情報に含まれる移転先ユーザの口座に移転させるよう制御する。
【0048】
このように構成されることで、直接の取引相手以外のユーザから資産が移転されないようにすることができ、その結果、他のユーザのウォレットを移転先ユーザが意識する必要がなくなる。
【0049】
トークンTに関連付けられた移転方法に基づいてそれぞれのユーザから移転させる移転量を算出するよう情報処理装置1が構成されてもよい。
【0050】
トークンは、要求元ユーザのトークンに関連付けられた所定の資産の残高が、移転要求情報に含まれる移転量より少ない場合における所定の資産の移転方法がさらに関連付けられている。一例として、
図3(b)に示すようにこの場合のトークンTにおいては、「移転方法」がさらに関連付けられている。「移転方法」は、要求元ユーザ及び他のユーザそれぞれの資産をどのように移転先ユーザに移転させるかを示す情報である。一例として、トークンTにおいては、所定の資産の移転方法として、「決済者優先」、「残高均等」、「充当額均等」、「優先順位」等の情報が関連付けられている。
【0051】
図4は、それぞれの移転方法における所定の資産の移転の例を示す図である。
図4においては、移転前においては、要求元ユーザ及び他のユーザがそれぞれ「500コイン」及び「1000コイン」の所定の資産を保有し、移転要求情報が示す移転量が「800コイン」であるものとする。
【0052】
「決済者優先」は、要求元ユーザの残高の全てを移転先ユーザに移転させ、移転量に対して要求元ユーザの残高が不足する不足分を他のユーザから移転させることを示す。すなわち、移転制御部136は、要求元ユーザの残高の全てを要求元ユーザの移転量として算出し、他のユーザの残高のうち、移転要求情報に含まれる移転量から要求元ユーザの残高を控除した量と、を他のユーザの移転量として算出する。
【0053】
「残高均等」は、所定の資産の移転後における要求元ユーザ及び他のユーザの残高が均等になるようそれぞれのユーザの所定の資産の移転量を算出することを示す。すなわち、「残高均等」の場合、移転制御部136は、それぞれのユーザの残高の合計から移転要求情報が示す移転量を減算し、移転後の残高の合計を算出する。移転制御部136は、算出された移転後の残高の合計を移転元として参加するユーザの人数(支払元のウォレットの数、
図4においては「2」)で按分した値を算出し、算出した値がそれぞれのユーザの移転後の残高となるよう、移転量を算出する。すなわち、「残高均等」の場合は、要求元ユーザ及び他のユーザのうちいずれかのユーザの残高が移転前の残高より増加してもよい。
【0054】
「充当額均等」の場合、移転制御部136は、移転要求情報が示す移転量を移転元として参加するユーザの人数(支払元のウォレットの数)で按分した値をそれぞれのユーザのウォレットから移転する移転量として算出する。「優先順位」の場合、トークンTには支払いの優先順位を示す情報が関連付けられている。移転制御部136は、優先順位の高いユーザのウォレットから優先的に所定の資産を移転させるよう移転額を算出する。なお、移転制御部136は、一方のユーザの残高が移転量に不足する場合、当該不足分を他方のユーザから移転させてもよい。
【0055】
移転制御部136は、トークンに関連付けられた移転方法に基づいて、要求元ユーザのトークンT1に関連付けられた所定の資産の残高及び他のユーザのトークンに関連付けられた所定の資産の残高の合計から移転要求情報に含まれる移転先ユーザの所定の資産を管理するための口座に、移転要求情報が示す量の所定の資産を移転させるよう制御する。移転制御部136は、トークンT1及びトークンT2に関連付けられた所定の資産の残高及び要求元ユーザのトークンT1に関連付けられた移転方法に基づいて要求元ユーザ及び他のユーザのウォレットから移転させる所定の資産の量を算出する。移転制御部136は、それぞれのユーザのトークンT1及びT2に関連付けられたウォレットからそれぞれのユーザについて算出した量の所定の資産を移転先ユーザの口座に移転させる。
【0056】
情報処理装置1がこのように構成されることで、残高が移転量に不足した場合におけるそれぞれのユーザの残高から充当する量を柔軟に決定することができる。
【0057】
[情報処理装置1における処理の流れ]
図5は、情報処理装置1における処理の流れを示すフローチャートである。
図5におけるフローチャートは、移転要求を取得する時点から開始している。
【0058】
第1取得部131は、移転要求情報を取得する(S01)第2取得部132は、移転要求情報に含まれる要求元ユーザのトークンT1を取得する(S02)。
【0059】
第1判定部133は、要求元ユーザのトークンT1に関連付けられた所定の資産の残高と、移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、所定の資産を移転可能か否かを判定する(S03)。所定の資産を移転可能と判定する場合(S03におけるYES)、要求元ユーザのトークンT1に関連付けられた所定の資産の残高から、移転要求が示す移転量の所定の資産を、移転先ユーザの口座へと移転させる(S04)。そして、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0060】
所定の資産を移転できないと判定する場合(S03におけるNO)、トークンT1に含まれる所定の識別情報に対応する他のユーザのトークンT2を取得する(S05)。第2判定部135は、トークンT1に関連付けられた残高とトークンT2に関連付けられた残高とを合算して、移転要求情報が示す所定の資産の移転が可能か否かを判定する(S06)。
【0061】
所定の資産を移転できないと判定する場合(S06におけるNO)、表示制御部137は、所定の資産を移転することができないことを示す画面を情報端末2に表示させる(S07)。所定の資産を移転可能と判定する場合(S06におけるYES)、トークンT1及びトークンT2それぞれに関連付けられた残高から移転先ユーザの口座に所定の資産を移転させる(S08)。そして、情報処理装置1は、処理を終了する。
【0062】
<第2の実施形態>
移転制御部136が要求元ユーザ及び他のユーザの残高から移転先ユーザの残高に所定の資産を移転する場合に、要求元ユーザ及び他のユーザの残高を調整するよう情報処理装置1が構成されてもよい。この場合の情報処理装置1Aの構成を
図6に示す。情報処理装置1Aはさらに残高調整部138を有する。
【0063】
残高調整部138は、移転前又は移転後において、要求元ユーザ及び他のユーザそれぞれの残高、移転要求情報が示す移転量並びに要求元ユーザ又は他のユーザのトークンTに関連付けられた移転方法に基づいて残高を調整する。
【0064】
移転方法が「決済者優先」の場合、残高調整部138は、(1)要求元ユーザの残高の全てと、(2)他のユーザの残高のうち、移転要求情報に含まれる移転量から要求元ユーザの残高を控除した量と、の所定の資産が移転されるよう要求元ユーザの残高と、他のユーザの残高と、を調整する。一例として、残高調整部138は、所定の資産の移転後において要求元ユーザの残高の全てを他のユーザに移転させてもよいし、移転前において、要求元ユーザの残高から移転要求情報に含まれる移転量から要求元ユーザの残高を控除した量を要求元ユーザの残高に移転させるよう残高を調整してもよい。
【0065】
移転方法が「残高均等」の場合、残高調整部138は、移転制御部136が要求元ユーザ及び他のユーザの残高から移転先ユーザの残高に所定の資産を移転する場合に、要求元ユーザからの移転額と他のユーザからの移転額とが均等になるように要求元ユーザの残高と、他のユーザの残高と、を調整する。残高調整部138は、要求元ユーザ及び他のユーザそれぞれの移転後の残高が均等になるよう、それぞれのユーザの移転後の残高を決定し、決定した残高となるよう、要求元ユーザ及び他のユーザのうち一方から他方へ所定の資産を移転させる。
【0066】
移転方法が「充当額均等」の場合、残高調整部138は、要求元ユーザからの移転額と他のユーザからの移転額とが均等になるように要求元ユーザの残高と、他のユーザの残高と、を調整する。例えば、残高調整部138は、移転制御部136が要求元ユーザの残高から優先的に充当した場合において、それぞれのユーザの残高から移転した量のうち、移転要求情報が示す移転量を移転元として参加するユーザの人数(支払元のウォレットの数)で按分した値を超過した分の移転量(以下、「超過移転量」と言う)を他方のユーザから按分した値を超過して移転したユーザの残高、移転させる。この場合において、他方のユーザの残高が超過移転量に満たない場合、他方のユーザの残高の全部を按分した値を超過して移転したユーザの残高に移転させる。
【0067】
移転方法が「優先順位」の場合、残高調整部138は、移転制御部136が要求元ユーザ及び他のユーザの残高から移転先ユーザの残高に所定の資産を移転した場合に、優先度の高いユーザから所定の資産を優先的に移転されるよう要求元ユーザの残高と、他のユーザの残高と、を調整する。例えば、例えば、残高調整部138は、移転制御部136が要求元ユーザの残高から優先的に充当した場合であって、トークンTにおいて、他のユーザが要求元ユーザより優先順位が高いことを示す場合、他のユーザ(優先度の高いユーザ)の残高から要求元ユーザ(優先度の低いユーザ)の残高へ、他のユーザが移転させた移転量を上限として所定の資産を移転させる。
【0068】
情報処理装置1Aがこのように構成されることで、ユーザ同士で残高を共有する場合においても予め取り決められたルールにより所定の資産を移転させることができる。
【0069】
<変形例1>
資産の移転可否をさらに判定するよう情報処理装置1が構成されてもよい。この場合のトークンTのデータ構造を
図7に示す。
図7に示すトークンTにおいては、「移転可能トークンID」をさらに含む。「移転可能トークンID」は、所定の資産を移転可能な相手方のトークンIDを示す。
【0070】
第1判定部133は、要求元ユーザのトークンTに関連付けられた移転可能トークンIDと、移転先ユーザのトークンIDと、が一致するか否かに基づいて所定の資産を移転可能なユーザか否かを判定する。第1判定部133は、移転可能トークンIDに基づいて移転可能なユーザと判定する場合、要求元ユーザのトークンTに関連付けられた所定の資産の残高と、移転要求情報に含まれる移転量と、に基づいて、所定の資産の移転可否を判定する。移転可能トークンIDに基づいて移転可能なユーザではないと判定される場合、表示制御部137は、所定の資産を移転することができないことを示す画面を情報端末2に表示させる。なお、トークンTにおいては、「移転可能トークンID」に変えて所定の資産を移転可能か否かを示すグループが関連付けられており、第1判定部133は、トークンTに関連付けられたグループが一致するか否かに基づいて移転可否を判定してもよい。
【0071】
<変形例2>
なお、上記の例においては、トークンTにウォレットが関連付けられている例を説明したが、トークンTにユーザが保有する資産の残高が含まれていてもよい。この場合、トークンTにおいては、
図8に示すように「ウォレット」に変えて「残高」が含まれている。「残高」は、当該トークンTにおいて管理される所定の資産の残高を示す。
【0072】
移転制御部136は、所定の資産を移転させる場合、要求元ユーザ及び他のユーザのトークンに関連付けられたそれぞれのユーザの所定の資産の残高にそれぞれのユーザから移転させる量を減算したトークンTを要求元ユーザ及び他のユーザそれぞれに関連付けてブロックチェーンBに記録して発行する。また、移転制御部136は、移転先ユーザのトークンに関連付けられた所定の資産の残高に移転量を加算したトークンを移転先ユーザに関連付けてブロックチェーンBに記録して発行するように制御する。新たな残高が関連付けられたトークンTが発行された場合、移転制御部136は、それぞれの移転前のトークンを無効化する。
【0073】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0074】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0075】
1 情報処理装置
2 情報端末
11 通信部
12 記憶部
13 制御部
131 第1取得部
132 第2取得部
133 第1判定部
134 第3取得部
135 第2判定部
136 移転制御部
137 表示制御部
138 残高調整部
【要約】
【課題】ユーザが保有する資産を容易に特定のユーザと共有して利用できるようにする。
【解決手段】コンピュータが実行する、所定の資産の移転を要求する移転要求を取得するステップと、要求元ユーザに発行されたトークンであって、ユーザが保有する所定の資産の残高が関連付けられたトークンを取得するステップと、要求元ユーザと異なる他のユーザに発行された所定の識別情報に対応するトークンに関連付けられた所定の資産の残高を取得するステップと、要求元ユーザ及び他のユーザのトークンに関連付けられた所定の資産の残高との合計値と、移転要求に含まれる移転量と、に基づいて、所定の資産の移転可否を判定するステップと、要求元ユーザ及び他のユーザのトークンに関連付けられた所定の資産の残高の合計から移転先ユーザの口座に、所定の資産を移転させるよう制御するステップと、を有する情報処理方法である。
【選択図】
図5