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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】作業機械の表示装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20241217BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
E02F9/26 A
B60R16/02 640K
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023201303
(22)【出願日】2023-11-29
(62)【分割の表示】P 2021012773の分割
【原出願日】2021-01-29
(65)【公開番号】P2024015091
(43)【公開日】2024-02-01
【審査請求日】2023-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 頌梧
(72)【発明者】
【氏名】川口 大輔
(72)【発明者】
【氏名】田村 一樹
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-149392(JP,A)
【文献】特開2017-037128(JP,A)
【文献】特開2020-042851(JP,A)
【文献】特開2007-206517(JP,A)
【文献】特開2013-225022(JP,A)
【文献】特開2002-111943(JP,A)
【文献】特開2000-347724(JP,A)
【文献】特開2007-054008(JP,A)
【文献】特開2002-023839(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の表示装置の制御方法であって、
メンテナンスを要する前記作業機械の消耗品のメンテナンス時期の到来を報知することと、
メンテナンスを要する前記消耗品を前記表示装置の表示部に機能設定項目として表示することと、
前記作業機械で記憶された前記消耗品に関して使用した積算時間をリセットする前記機能設定項目の選択を受け付けると、前記表示部に前記積算時間をリセットするか否かを設定可能なリセット設定画面を前記機能設定項目に重ねて表示させることと、
を有し、
前記機能設定項目は、メンテナンス時期が到来していない前記消耗品を含む、作業機械の表示装置の制御方法。
【請求項2】
メンテナンス時期が到来した前記消耗品の前記機能設定項目をメンテナンス時期が到来していない前記消耗品の前記機能設定項目と異なる色彩で表示する、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記リセット設定画面は、前記積算時間をリセットするか否かを選択する選択項目と共に表示されることを有する請求項1又は請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記選択項目は、前記機能設定項目の下方に表示されることを有する請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記メンテナンス時期の到来の報知と共に、前記機能設定項目の表示後に、前記リセット設定画面を表示させるに至る手順を表示させる視覚的認知表示を前記表示部に表示させることを有する請求項1に記載の制御方法。
【請求項6】
前記作業機械の複数の機能をそれぞれ設定するための複数の機能設定手段の何れかを選択するための選択手段を前記表示部に表示させることと、
前記視覚的認知表示が前記選択手段の表示状態を変化させることと、を有する請求項5に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械等の作業機械に備わる表示装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建設機械等の作業機械は、様々な情報を表示する表示装置を備えている。また、作業機械は、使用に応じてメンテナンスを要する消耗品を備えている。作業機械は、消耗品を使用した積算時間を監視することで、消耗品のメンテナンス時期の到来を検出して、その消耗品のメンテナンス時期の到来を表示装置によって作業者に報知することができる。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される作業機械の表示装置では、定期的にメンテナンスを要する複数の部品のうち、何れかにメンテナンス時期が到来すると、表示装置の表示画面にメンテナンスマークを表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-327467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の作業機械では、消耗品のメンテナンスが行われた場合、その消耗品の使用の積算時間を最初から計測する必要があるため、記憶している積算時間をリセットする必要がある。しかしながら、作業機械は、複数の機能を有していて、それぞれの機能を設定するための複数の設定手段を有しているため、消耗品の使用の積算時間等の使用情報をリセットする設定手段の操作方法が直感的に分かり難いという問題がある。
【0006】
本発明は、作業機械の消耗品の使用情報をリセットする操作方法を直感的に分かり易くすることができる作業機械の表示装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の作業機械の表示装置の制御方法は、メンテナンスを要する前記作業機械の消耗品のメンテナンス時期の到来を報知することと、メンテナンスを要する前記消耗品を前記表示装置の表示部に機能設定項目として表示することと、前記作業機械で記憶された前記消耗品に関して使用した積算時間をリセットする前記機能設定項目の選択を受け付けると、前記表示部に前記積算時間をリセットするか否かを設定可能なリセット設定画面を表示させることと、を有する。
【0008】
上記の本発明の制御方法において、前記リセット設定画面は、前記機能設定項目に重ねて表示される。
【0009】
上記の本発明の制御方法において、前記リセット設定画面は、前記積算時間をリセットするか否かを選択する選択項目と共に表示される。
【0010】
上記の本発明の制御方法において、前記選択項目は、前記機能設定項目の下方に表示される。
【0011】
上記の本発明の制御方法は、前記メンテナンス時期の到来の報知と共に、前記機能設定項目の表示後に、前記リセット設定画面を表示させるに至る手順を表示させる視覚的認知表示を前記表示部に表示させることを有する。
【0012】
上記の本発明の制御方法は、前記作業機械の複数の機能をそれぞれ設定するための複数の機能設定手段の何れかを選択するための選択手段を前記表示部に表示させることと、
前記視覚的認知表示が前記選択手段の表示状態を変化させることと、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作業機械の消耗品の使用情報をリセットする操作方法を直感的に分かり易くすることができる作業機械の表示装置の制御方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る作業機械のブロック図である。
図2】本発明の実施形態に係る作業機械の表示装置におけるホーム画面の例を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態に係る作業機械の表示装置における第1選択画面の例を示す平面図である。
図4】本発明の実施形態に係る作業機械の表示装置における第2選択画面の例を示す平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る作業機械の表示装置における第3選択画面の例を示す平面図である。
図6】本発明の実施形態に係る作業機械の表示装置における機能設定画面であるリセット設定画面の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態による作業機械1及び表示装置10について図を参照して説明する。図1は、本実施形態の表示装置10を備える作業機械1を示すブロック図である。
【0016】
作業機械1は、例えば、建設現場や解体現場、鉱山等で用いられ、作業者の操作に応じて土木作業や建築作業等の作業を行う建設機械(例えば、油圧ショベル)である。作業機械1は、例えば、エンジン2及びエンジン制御部3と、油圧機構4と、表示装置10とを備える。
【0017】
エンジン2は、動力を作業機械1の各部に伝達するものである。エンジン2は、潤滑用のエンジンオイル2aを利用して、エンジン2の各部の動作を円滑にする。また、エンジン2には、エンジンオイル2aから不純物を取り除くエンジンオイルフィルタ2bが設けられる。エンジンオイル2a及びエンジンオイルフィルタ2bは、作業機械1(エンジン2)の使用(使用した積算時間)に応じて寿命が短くなる消耗品であり、交換されることでメンテナンスされる。
【0018】
エンジン制御部3は、エンジン2の動作を制御するもので、エンジンECU等で構成される。また、エンジン制御部3は、エンジン2の回転数を計測して表示装置10へ出力する。
【0019】
油圧機構4は、土木作業や建築作業等の作業を実行するもので、ブーム、アーム、バケット等の油圧部材(図示せず)と、油圧部材を駆動する油圧アクチュエータ(図示せず)とを有する。油圧機構4は、エンジン2で生じた動力によって作動油4aを加圧する油圧ポンプ(図示せず)を有し、加圧された作動油4aを動力伝達媒体として油圧アクチュエータを駆動する。
【0020】
また、油圧機構4は、油圧アクチュエータから油圧タンク(図示せず)へと戻り流路(図示せず)を介して作動油4aを戻すように構成され、戻し流路には作動油4aから不純物を取り除く作動油戻りフィルタ4bが設けられる。油圧機構4は、油圧タンクから油圧ポンプへと供給流路(図示せず)を介して作動油4aを供給するように構成され、供給流路には作動油4aから不純物を取り除く作動油供給フィルタ4cが設けられる。作動油4a、作動油戻りフィルタ4b及び作動油供給フィルタ4cは、作業機械1(油圧機構4)の使用(使用した積算時間)に応じて寿命が短くなる消耗品であり、交換されることでメンテナンスされる。
【0021】
油圧機構4は、油圧機構4の各部の駆動、例えば、油圧アクチュエータの駆動や戻し流路及び供給流路の駆動を検出し、その検出結果として、例えば、オン又はオフの駆動信号を表示装置10へ出力する。
【0022】
表示装置10は、作業機械1の様々な情報を表示する。表示装置10は、例えば、表示制御部11と、記憶部12と、表示部13と、操作部14とを備える。
【0023】
表示制御部11は、モニタECU等で構成され、表示装置10の各部の動作を制御する。記憶部12は、ROMやRAM等の記憶媒体で構成される記憶手段であり、表示装置10の様々な情報を記憶する。記憶部12は、例えば、作業機械1の様々な消耗品の寿命(寿命使用時間)を予め記憶している。また、記憶部12は、作業機械1の各消耗品を使用した積算時間等の使用情報を逐次記憶している。
【0024】
表示部13は、例えば、液晶モニタ等で構成され、表示制御部11による制御に応じた画面を表示する。操作部14は、例えば、複数のファンクションキーで構成され、表示制御部11に表示された画面に対応する操作を受け付ける。
【0025】
表示制御部11は、表示部13を制御して表示部13に各種画面を表示させる。表示制御部11は、操作部14の操作に応じて表示部13に表示する各種画面を切り替える。また、表示制御部11は、表示部13の各種画面に複数の選択項目を有するメニューバー13aや、作業機械1に生じた異常を報知する警報表記欄13bを表示する。操作部14の複数のファンクションキーは、メニューバー13aの複数の選択項目に対応してそれぞれ設けられ、表示制御部11は、各ファンクションキーの操作に応じて各選択項目の選択を受け付ける。
【0026】
例えば、表示制御部11は、作業機械1(エンジン2)を稼働したときに、基本的な画面としてホーム画面20を表示部13に表示させる(図2参照)。また、表示制御部11は、作業機械1の複数の機能を設定するための複数の機能設定手段を有する機能設定画面60を表示部13に表示させる(図6参照)。例えば、表示制御部11は、作業機械1の各消耗品の積算時間等の使用情報をリセットするためのリセット設定手段を機能設定手段として有するリセット設定画面60aを機能設定画面60として表示部13に表示させる。ホーム画面20は、複数の機能設定手段の何れかに至る選択を行うための選択手段を有する。更に、表示制御部11は、ホーム画面20から機能設定画面60に至るまでの間に、複数の機能設定手段の何れかに至る選択を行うための選択手段を有する選択画面30、40、50を表示部13に表示させる(図3図4図5参照)。換言すれば、表示制御部11及び表示部13は、機能設定手段や選択手段として機能する。
【0027】
また、表示制御部11は、作業機械1の複数の機能をツリー状の階層構造で管理している。例えば、表示制御部11は、作業機械1の複数の機能を大まかな種別(以下、第1層種別と称する)毎の第1層グループに分類する。また、表示制御部11は、各第1層グループを第1層種別より詳細な種別(以下、第2層種別と称する)毎の第2層グループに分類する。更に、表示制御部11は、各第2層グループを第2層種別より詳細な種別(以下、第3層種別と称する)毎の第3層グループに分類する。そして、表示制御部11は、各第3層グループを第3層種別より詳細な種別(以下、機能種別と称する)毎に分類することで、上記の複数の機能に分類する。表示制御部11は、ホーム画面20、選択画面30、40、50及び機能設定画面60が有する選択手段によって第1層グループ、第2層グループ及び第3層グループの選択を受け付ける。換言すれば、表示制御部11は、機能設定手段に至る手順を階層化して選択手段を構成している。
【0028】
表示制御部11は、ホーム画面20において、燃料計21、作動油の油温計22及びラジエータの水温計23や、作業状況表記(図示せず)、各種警報ランプ(図示せず)等を表示する。また、表示制御部11は、ホーム画面20において、複数の機能設定手段の何れかに至る選択手段として、上記した各第1層グループをメニューバー13aに選択可能に表示する。
【0029】
例えば、表示制御部11は、作業機械1の複数の機能を、「各種設定」、「クレーン」、「モード」、「カメラ」、「PTO」の各第1層グループに分類して、選択肢である各第1層グループの名称をメニューバー13aの各選択項目に表示する。これにより、表示制御部11は、操作部14の操作に応じた第1層グループの選択を受け付けている。なお、ホーム画面20のメニューバー13aに表示される第1層グループ「各種設定」の選択は、リセット設定手段に至る選択手段である。
【0030】
表示制御部11は、ホーム画面20のメニューバー13aで第1層グループが選択されると、選択された第1層グループに関する第1選択画面30を表示部13に表示させる。このとき、表示制御部11は、第1選択画面30において、複数の機能設定手段の何れかに至る選択手段として、第1層グループから分類される各第2層グループを選択可能に表示する。
【0031】
例えば、表示制御部11は、「各種設定」の第1層グループを、「モニタ設定」、「車体設定」、「PTO設定」、「監視設定」、「稼動管理」、「メンテナンス」、「エラー履歴」、「フィルタ再生」の各第2層グループに分類して、図3に示すように、選択肢である各第2層グループの名称を第1選択画面30に表示する。また、表示制御部11は、各第2層グループを識別するアイコン等の識別表記を第1選択画面30に表示してよい。なお、第1選択画面30のメニューバー13aには、ホーム画面20へ戻る選択項目や、第2層グループの何れかを選択するカーソルを移動及び選択決定する選択項目が表示される。第2層グループの選択候補を示すカーソルは、他の選択肢と異なるように表示され、図3では、ハッチングによって示す。これにより、表示制御部11は、操作部14の操作に応じた第2層グループの選択を受け付けている。なお、第1選択画面30に表示される第2層グループ「メンテナンス」の選択は、リセット設定手段に至る選択手段である。
【0032】
表示制御部11は、第1選択画面30で第2層グループが選択されると、選択された第2層グループに関する第2選択画面40を表示部13に表示させる。このとき、表示制御部11は、第2選択画面40において、複数の機能設定手段の何れかに至る選択手段として、第2層グループから分類される各第3層グループを選択可能に表示する。
【0033】
例えば、表示制御部11は、「メンテナンス」の第2層グループを、「使用積算時間」、「メンテナンス履歴」の各第3層グループに分類して、図4に示すように、選択肢である各第3層グループの名称を第2選択画面40に表示する。また、表示制御部11は、各第3層グループを識別するアイコン等の識別表記を第2選択画面40に表示してよい。なお、第2選択画面40のメニューバー13aには、第1選択画面30へ戻る選択項目や、第3層グループの何れかを選択するカーソルを移動及び選択決定する選択項目が表示される。第3層グループの選択候補を示すカーソルは、他の選択肢と異なるように表示され、図4では、ハッチングによって示す。これにより、表示制御部11は、操作部14の操作に応じた第3層グループの選択を受け付けている。なお、第2選択画面40に表示される第3層グループ「使用積算時間」の選択は、リセット設定手段に至る選択手段である。
【0034】
表示制御部11は、第2選択画面40で第3層グループが選択されると、選択された第3層グループに関する第3選択画面50を表示部13に表示させる。このとき、表示制御部11は、第3選択画面50において、複数の機能設定手段の何れかに至る選択手段として、第3層グループから分類される各機能を設定する項目(以下、機能設定項目と称する)を選択可能に表示する。
【0035】
例えば、表示制御部11は、「使用積算時間」の第3層グループを、「作動油」、「作動油戻りフィルタ」、「作動油供給フィルタ」、「エンジンオイル」、「エンジンオイルフィルタ」の各機能設定項目に分類して、図5に示すように、選択肢である各機能設定項目の名称を第3選択画面50に表示する。ここで、「作動油」、「作動油戻りフィルタ」、「作動油供給フィルタ」、「エンジンオイル」、「エンジンオイルフィルタ」の各機能設定項目は、作業機械1の各消耗品を使用した積算時間をリセットする機能の項目である。第3層グループ「使用積算時間」の第3選択画面50では、作業機械1の各消耗品である「作動油」、「作動油戻りフィルタ」、「作動油供給フィルタ」、「エンジンオイル」、「エンジンオイルフィルタ」の寿命使用時間と積算時間とが併記されている。また、表示制御部11は、各消耗品を識別するアイコン等の識別表記を第3選択画面50に表示してよい。なお、第3選択画面50のメニューバー13aには、第2選択画面40へ戻る選択項目や、機能設定項目の何れかを選択するカーソルを移動及び選択決定する選択項目が表示される。機能設定項の選択候補を示すカーソルは、他の選択肢と異なるように表示され、図5では、ハッチングによって示す。これにより、表示制御部11は、操作部14の操作に応じた機能設定項目の選択を受け付けている。なお、第3選択画面50に表示される各機能設定項目の選択は、リセット設定手段に至る選択手段である。即ち、リセット手段は、選択手段の最下位層で消耗品の種類毎に設けられる。
【0036】
表示制御部11は、第3選択画面50で機能設定項目が選択されると、選択された機能設定項目の機能を設定するための機能設定手段を有する機能設定画面60を表示部13に表示させる。例えば、表示制御部11は、第3層グループ「使用積算時間」の第3選択画面50で何れかの機能設定項目が選択された場合、図6に示すように、選択された機能設定項目に対応する消耗品の使用の積算時間をリセットするか否かを設定可能なリセット設定画面60aを機能設定画面60として表示部13に表示させる。なお、リセット設定画面60aのメニューバー13aには、積算時間をリセットするか否かを選択する選択項目が表示される。リセット設定画面60aで積算時間のリセットが選択されると、表示制御部11は、対応する消耗品に関して記憶部12に記憶されている積算時間をリセットし、即ち、0に設定する。
【0037】
更に、上記したように、表示制御部11は、エンジン2の消耗品(例えば、エンジンオイル2a、エンジンオイルフィルタ2b)を使用した積算時間や、油圧機構4の消耗品(例えば、作動油4a、作動油戻りフィルタ4b、作動油供給フィルタ4c)を使用した積算時間等の使用情報を取得して記憶部12に逐次記憶している。表示制御部11は、エンジン2や油圧機構4の使用に応じて、記憶部12に記憶した消耗品の積算時間を更新する。
【0038】
例えば、表示制御部11は、エンジン制御部3からエンジン2の回転数のデータを入力し、回転数が所定の回転数閾値を超えるとエンジン2の稼働時間の計測を開始し、回転数が回転数閾値以下になるとエンジン2の稼働時間の計測を終了する。表示制御部11は、計測したエンジン2の稼働時間を、エンジン2の消耗品(例えば、エンジンオイル2a、エンジンオイルフィルタ2b)の使用の積算時間に加算し、記憶部12に記憶する。
【0039】
また、表示制御部11は、油圧機構4から駆動信号を入力し、駆動信号がオンの間、油圧機構4の稼働時間を計測する。表示制御部11は、計測した油圧機構4の稼働時間を、油圧機構4の消耗品(例えば、作動油4a、作動油戻りフィルタ4b、作動油供給フィルタ4c)の使用の積算時間に加算し、記憶部12に記憶する。
【0040】
また、表示制御部11は、エンジン2や油圧機構4の消耗品の使用の積算時間と寿命使用時間とに基づいて、積算時間が寿命使用時間に到達した場合、又は積算時間と寿命使用時間との差異が所定の寿命閾値以下になった場合、消耗品のメンテナンス時期の到来を検出する。表示制御部11は、消耗品のメンテナンス時期の到来を検出したとき、メンテナンス時期の到来を報知する報知手段として機能する。例えば、報知手段としての表示制御部11は、表示部13に表示する警報表記欄13bに「メンテナンス」のテキストやその他のメンテナンスを促す画像等のメンテナンス表記を表示してメンテナンス時期の到来を報知する。なお、表示制御部11は、警報表記欄13bにメンテナンス時期の到来した消耗品の名称やアイコン等の識別表記を表示してもよい。
【0041】
ところで、表示装置10が上記のようにホーム画面20に消耗品のメンテナンス時期の到来を報知したとき、その報知を視認した作業員は、エンジン2を停止して作業機械1の消耗品の交換等のメンテナンスを行うことになる。その後、作業員がエンジン2を再稼働して、表示装置10がホーム画面20を表示したとき、記憶部12に記憶されている積算時間がリセットされていなければ、表示制御部11は、積算時間と寿命使用時間との関係に基づいて、消耗品のメンテナンス時期の到来を検出して、ホーム画面20に消耗品のメンテナンス時期の到来を報知してしまう。そこで、表示装置10は、作業員に対して積算時間のリセットを促すために、メンテナンス時期の到来を報知するときに、上記したホーム画面20、第1選択画面30、第2選択画面40及び第3選択画面50における選択手段によって、メンテナンス時期の到来した消耗品に関するリセット設定手段に至る手順を視覚的に認知させる視覚的認知表示を行う。
【0042】
このとき、表示制御部11は、視覚的認知表示として、ホーム画面20、第1選択画面30、第2選択画面40及び第3選択画面50においてリセット設定手段に至る選択手段に関連する表記を他の表記と異なるように表示する。例えば、表示制御部11は、ホーム画面20のメニューバー13aに表示される第1層グループ「各種設定」の選択項目の名称や識別表記を、他の選択項目と異なる色彩で表示する。また、表示制御部11は、第1選択画面30に表示される第2層グループ「メンテナンス」の選択項目の名称や識別表記を、他の選択項目と異なる色彩で表示し、第2選択画面40に表示される第3層グループ「使用積算時間」の選択項目の名称や識別表記を、他の選択項目と異なる色彩で表示する。更に、表示制御部11は、第3選択画面50に表示される機能設定項目のうち、メンテナンス時期の到来を検出した消耗品に対応する機能設定項目の名称や識別表記を、他の機能設定項目と異なる色彩で表示する。
【0043】
上記したリセット設定画面60aのリセット設定手段によって、メンテナンス時期の到来を検出した全ての消耗品の積算時間がリセットされると、表示制御部11は、メンテナンス時期の到来の報知を解除し、警報表記欄13bに対するメンテナンス表記を解除する。また、表示制御部11は、ホーム画面20、第1選択画面30、第2選択画面40及び第3選択画面50における選択手段による視覚的認知表示を解除する。なお、2つ以上の消耗品についてメンテナンス時期の到来を検出している場合、表示制御部11は、第3選択画面50において、積算時間がリセットされた消耗品毎に視覚的認知表示を解除するとよい。
【0044】
上記のように、本実施形態によれば、作業機械1の表示装置10は、使用に応じてメンテナンスを要する作業機械1の消耗品に関して使用した積算時間を記憶する記憶部12(記憶手段)を備えている。また、表示装置10に備わる表示制御部11及び表示部13は、積算時間に基づいて消耗品のメンテナンス時期の到来を報知する報知手段として機能する。更に、表示制御部11及び表示部13は、作業機械1の複数の機能をそれぞれ設定するための複数の機能設定手段と、複数の機能設定手段の何れかを選択するための選択手段として機能する。複数の機能設定手段は、積算時間をリセットするリセット設定手段を有する。選択手段は、メンテナンス時期の到来した消耗品に関するリセット設定手段に至る手順を視覚的に認知させる視覚的認知表示を行う。
【0045】
これにより、表示装置10は、メンテナンス時期の到来した消耗品のメンテナンスを行う作業者に対して、消耗品を使用した積算時間をリセットする手順を視覚的に認知させることができる。そのため、消耗品の積算時間をリセットする必要があることを作業者に気付かせることができ、更に、積算時間をリセットする操作方法を作業者に対して直感的に分かり易くすることができる。そして、消耗品のメンテナンス後に積算時間をリセットさせることで、メンテナンス後の消耗品の積算時間をより正確に計測することができるので、消耗品をより適切に使用することで作業機械1をより適切に使用することが可能となる。
【0046】
また、表示装置10の選択手段は、リセット設定手段に至る手順を階層化して構成されている。これにより、表示装置10は、複数の機能設定手段をそれぞれ選択する階層構造において、段階的に選択することでリセット設定手段に至ることができる。そのため、多数の機能設定手段の中からリセット設定手段を迷うことなく選択することができ、消耗品の積算時間をリセットする操作方法を作業者に対して直感的に分かり易くすることができる。
【0047】
更に、表示装置10の選択手段は、階層毎に視覚的認知表示を行うように構成されている。これにより、表示装置10は、複数の機能設定手段の何れかを選択するための階層構造において、リセット設定手段に至る各階層で連続的に視覚的認知表示を行うため、消耗品の積算時間をリセットする操作方法を作業者に対して直感的に分かり易くすることができる。
【0048】
また、表示装置10のリセット設定手段は、選択手段の最下位層で消耗品の種類毎に設けられている。これにより、作業機械1の複数の消耗品の中から、メンテナンス時期が到来していて積算時間のリセットを要する消耗品を、作業者に対して直感的に分かり易くすることができる。
【0049】
また更に、表示装置10の選択手段は、選択肢を識別する識別表記を含んでいて、視覚的認知表示として、リセット設定手段に至る選択肢の識別表記を、他の選択肢と異なる色彩で表示するように構成されている。これにより、表示装置10は、リセット設定手段に至るまでの選択手段の選択肢を、他の選択肢と識別して表示して視覚的認知表示を行うため、消耗品の積算時間をリセットする操作方法を作業者に対して直感的に分かり易くすることができる。
【0050】
また、表示装置10の選択手段は、リセット設定手段による積算時間のリセット後、視覚的認知表示を解除するように構成されている。これにより、表示装置10は、メンテナンスを行った消耗品について積算時間がリセットされたことを作業者に対して直感的に分かり易くすることができる。
【0051】
更に、本実施形態によれば、作業機械1の表示装置10の制御方法は、メンテナンスを要する作業機械1の消耗品のメンテナンス時期の到来を報知することと、メンテナンスを要する消耗品を表示装置10の表示部13に機能設定項目として表示することと、作業機械1で記憶された消耗品に関して使用した積算時間をリセットする機能設定項目の選択を受け付けると、表示部13に積算時間をリセットするか否かを設定可能なリセット設定画面60aを表示させることと、を有する。
【0052】
この制御方法において、図6に示すように、リセット設定画面60aは、機能設定項目に重ねて表示される。また、リセット設定画面60aは、積算時間をリセットするか否かを選択する選択項目と共に表示される。また、この選択項目は、機能設定項目の下方に表示される。
【0053】
この制御方法は、メンテナンス時期の到来の報知と共に、機能設定項目の表示後に、リセット設定画面60aを表示させるに至る手順を表示させる視覚的認知表示を表示部13に表示させる。また、この制御方法は、作業機械1の複数の機能をそれぞれ設定するための複数の機能設定手段の何れかを選択するための選択手段を表示部13に表示させることと、視覚的認知表示が選択手段の表示状態を変化させる(例えば、選択手段に関連する表記を他の表記と異なるように表示する)ことと、を有する。
【0054】
上記した実施形態では、表示制御部11が、エンジン2の回転数に基づいてエンジン2の稼働時間を計測する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、表示制御部11は、燃料の消費量やその他の情報に基づいてエンジン2の稼働時間を計測してもよい。
【0055】
また、上記した実施形態では、表示制御部11が、油圧機構4の各部の駆動の検出結果に基づいて油圧機構4の稼働時間を計測する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、表示制御部11は、油圧アクチュエータにおける作動油の油圧や、戻し流路や供給流路における作動油の流量又はその他の情報に基づいて油圧機構4の稼働時間を計測してもよい。
【0056】
上記した実施形態では、表示制御部11が、油圧機構4の稼働時間に基づいて作動油4a、作動油戻りフィルタ4b、作動油供給フィルタ4cの使用の積算時間を計測する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、表示制御部11は、油圧アクチュエータの駆動や作動油の油圧に基づいて作動油4aの積算時間を計測し、戻し流路の駆動や作動油の流量に基づいて作動油戻りフィルタ4bの積算時間を計測し、供給流路の駆動や作動油の流量に基づいて作動油供給フィルタ4cの積算時間を計測する等、各消耗品の積算時間を、各消耗品に関連する要素から計測してもよい。
【0057】
上記した実施形態では、表示装置10が、作業機械1の複数の機能(機能設定手段)を、第1層グループの階層と、第2層グループの階層と、第3層グループの階層とに分類する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、表示装置10は、作業機械1の複数の機能を、2階層以下に分類してもよく、あるいは、4階層以上に分類してもよい。また、表示装置10は、機能の種別に応じて、異なる階層数で作業機械1の複数の機能を分類してもよい。
【0058】
上記した実施形態では、表示装置10が、視覚的認知表示として、リセット設定手段に至る選択手段に関連する表記を他の表記と異なる色彩で表示する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、表示装置10は、視覚的認知表示として、リセット設定手段に至る選択手段に関連する表記の背景を、他の表記と異なる色彩で表示してもよい。また、他の実施形態では、表示装置10は、視覚的認知表示として、リセット設定手段に至る選択手段に関連する表記の名称に、積算時間のリセットに関する文字を加えて変更することで、他の表記と異なるように表示してもよい。あるいは、他の実施形態では、表示装置10は、視覚的認知表示として、リセット設定手段に至る選択手段に関連する表記を点滅させることで、他の表記と異なるように表示してもよい。
【0059】
上記した実施形態では、表示装置10が、ホーム画面20から第1選択画面30、第2選択画面40及び第3選択画面50を介してリセット設定画面60aを表示させる例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、表示装置10は、ホーム画面20においてメンテナンス時期の到来を報知したときに、一回の操作でリセット設定画面60aを表示させるような操作キーをホーム画面20に表示してもよい。
【0060】
なお、上記した実施形態では、表示装置10の操作部14が、複数のファンクションキーで構成される例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、操作部14は、表示部13と共にタッチパネルで構成されていてもよく、その場合、操作機能に対応して表示される項目(例えば、メニューバー13aの選択項目)のタッチ操作に応じて選択を行う。若しくは、他の実施形態では、操作部14は、ジョグダイヤルで構成されていてもよく、その場合、ダイヤルの回転に応じて操作機能に対応して表示される項目(例えば、メニューバー13aの選択項目)の選択候補を変化させ、ダイヤルの決定ボタンの操作に応じて選択候補の選択決定を行う。なお、選択候補は、他の項目と異なるようにハイライト表示するとよい。
【0061】
上記した実施形態では、表示装置10は、作業機械1の消耗品の使用情報として使用の積算時間を監視すると共にメンテナンスに応じてリセットする例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の実施形態では、表示装置10は、作業機械1の消耗品の使用情報として消耗品の使用量等の他の情報を監視すると共にメンテナンスに応じてリセットしてもよい。
【0062】
なお、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う作業機械の表示装置の制御方法もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
〔発明の付記〕
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0064】
<付記1>
作業機械の表示装置の制御方法であって、
メンテナンスを要する前記作業機械の消耗品のメンテナンス時期の到来を報知することと、
メンテナンスを要する前記消耗品を前記表示装置の表示部に機能設定項目として表示することと、
前記作業機械で記憶された前記消耗品に関して使用した積算時間をリセットする前記機能設定項目の選択を受け付けると、前記表示部に前記積算時間をリセットするか否かを設定可能なリセット設定画面を表示させることと、
を有する作業機械の表示装置の制御方法。
【0065】
<付記2>
前記リセット設定画面は、前記機能設定項目に重ねて表示されることを有する付記1に記載の制御方法。
【0066】
<付記3>
前記リセット設定画面は、前記積算時間をリセットするか否かを選択する選択項目と共に表示されることを有する付記1又は付記2に記載の制御方法。
【0067】
<付記4>
前記選択項目は、前記機能設定項目の下方に表示されることを有する付記3に記載の制御方法。
【0068】
<付記5>
前記メンテナンス時期の到来の報知と共に、前記機能設定項目の表示後に、前記リセット設定画面を表示させるに至る手順を表示させる視覚的認知表示を前記表示部に表示させることを有する付記1~付記4の何れかに記載の制御方法。
【0069】
<付記6>
前記作業機械の複数の機能をそれぞれ設定するための複数の機能設定手段の何れかを選択するための選択手段を前記表示部に表示させることと、
前記視覚的認知表示が前記選択手段の表示状態を変化させることと、を有する付記5に記載の制御方法。
【0070】
1 作業機械
2 エンジン
4 油圧機構
10 表示装置
11 表示制御部
12 記憶部
13 表示部
14 操作部
2a エンジンオイル
2b エンジンオイルフィルタ
4a 作動油
4b 作動油戻りフィルタ
4c 作動油供給フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6