(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】蛍光顕微鏡における照明調整方法および対応する蛍光顕微鏡
(51)【国際特許分類】
G02B 21/06 20060101AFI20241217BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
G02B21/06
G01N21/64 E
(21)【出願番号】P 2023507699
(86)(22)【出願日】2020-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2020072057
(87)【国際公開番号】W WO2022028694
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】511079735
【氏名又は名称】ライカ マイクロシステムズ シーエムエス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Leica Microsystems CMS GmbH
【住所又は居所原語表記】Ernst-Leitz-Strasse 17-37, D-35578 Wetzlar, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン シューマン
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン ダイスラー
(72)【発明者】
【氏名】カイ リッチェル
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-502173(JP,A)
【文献】特開2007-155722(JP,A)
【文献】特開2010-092041(JP,A)
【文献】特開2001-116696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00-21/00
G02B 21/06-21/36
G01N 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蛍光顕微鏡(100)において撮像すべき試料(110)中のそれぞれ少なくとも1つの蛍光体(130
j)を励起する少なくとも2つの光源(120
k)の調整すべき照明輝度(P
k)を自動的に算定する方法であって、
前記少なくとも2つの光源(120
k)のそれぞれがその照明輝度(P
k)に関して個別に駆動制御可能であり、
少なくとも2つの検出器(140
i)は、顕微鏡検査によって撮像される前記試料(110)のそれぞれ
1つの画像強度(I
i)を検出し、
前記少なくとも2つの光源(120
k)の調整すべき照明輝度(P
k)を、蛍光体(130
j)ごとの信号対雑音比の設定された目標値が達成されるように自動的に算定し、
前記少なくとも2つの光源(120
k)の照明輝度(P
k)を算定するために、各蛍光体(130
j)の異なる発光スペクトルに対する検出器のクロストークおよび/または各光源(120
k)の異なる照明スペクトルに対する蛍光体(130
j)の交差励起を考慮する、
方法。
【請求項2】
前記蛍光体(130
j)ごとの信号対雑音比を、前記検出器(140
i)のうちの少なくとも1つによって検出され
た蛍光体(130
j)ごとの
少なくとも1つの画像強度(I
j)に依存して算定する、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記蛍光体(130
j)ごとの信号対雑音比を、前記少なくとも2つの光源(120
k)による各蛍光体(130
j)の励起に基づき、前記少なくとも2つの検出器(140
i)のうちの少なくとも1つによって検出された蛍光体(130
j)ごとの画像強度(I
j)に依存して算定する、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記蛍光体(130
j)ごとの信号対雑音比を、前記少なくとも2つの検出器(140
i)によって検出された蛍光体(130
j)ごとの画像強度(I
j)に依存して算定する、
請求項2または3記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも2つの光源(120
k)の照明輝度(P
k)を算定するために、
まず、それぞれ、照明輝度の初期値(P
k°)を前記光源(120
k)のそれぞれに対して設定し、対応する画像強度(I
j°)を測定し
、蛍光体ごとの
対応する信号対雑音比を計算し、
続いて、反復プロセスにおいて、照明輝度(P
k)の値を、前記蛍光体ごとの信号対雑音比の設定された目標値が達成されるまで連続的に変化させる、
請求項2から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも2つの光源(120
k)の照明輝度(P
k)を算定する際に、前記少なくとも2つの検出器(140
i)の画像増幅度を考慮する、
請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも2つの光源(120
k)の照明輝度(P
k)を算定するために、前記検出器(140
i)のそれぞれに対する露光時間(τ)を考慮する、
請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記検出器(140
i)のそれぞれに対
する前記露光時間(τ)を一定に保持する、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記露光時間(τ)を前記検出器(140
i)の画像増幅度に依存して決定する、
請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
前記検出器(140
i)を同時に読み出す、
請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも2つの光源(120
k)の照明輝度(P
k)を算定する間、蛍光体(130
j)ごとの退色係数(κ
j)を決定する、
請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
決定された前記退色係数(κ
j)から、蛍光体(130
j)ごとの最大退色値および/または最大退色値に達するまでの期間を算定する、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
算定された前記最大退色値に基づき、対応する蛍光体(130
j)に関連した前記試料(110)の撮像に関する中断基準を
作成する、
請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記中断基準は、対応する前記光源(120
k)の照明輝度(P
k)が低減され、任意選択手段として、対応する前記検出器(140
i)の画像増幅度が増大されることを想定するものである、
請求項13記載の方法。
【請求項15】
検出された前記画像強度(I
j)に影響を与えていない蛍光体(130
j)および/または光源(120
k)を、前記照明輝度(P
k)を算定している間に決定する、
請求項2を引用する場合の請求項3から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも2つの光源(120
k)の照明輝度(P
k)を算定するために、前記蛍光顕微鏡(100)における対物レンズ交換により、前記対物レンズ交換に基づいて検出された画像強度(I
i)の変化を考慮する、
請求項2を引用する場合の
請求項3から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
前記照明輝度(P
k
)は、クロストークおよび交差励起から決定される混合行列M
lj
に基づいて算定され、
【数1】
Em
j
(λ)は、蛍光体jの発光スペクトルであり、
Exc
j
(λ’)は、蛍光体jの励起スペクトルであり、
Sens
i(l)
(λ)は、チャネルlに対応付けられた検出器i(l)のスペクトル感度であり、
Ill
l
(λ’)は、チャネルlの照明スペクトルである、
請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
請求項1から17までのいずれか1項記載の方法を実行するように構成された計算ユニット(150)。
【請求項19】
プロセッサ上、特に
請求項18記載の計算ユニット(150)上で実行される際に、
請求項1から17までのいずれか1項記載の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム。
【請求項20】
少なくとも2つの光源(120
k)と、
少なくとも2つの検出器(140
i)と、
請求項18記載の計算ユニット(150)と、
を備える蛍光顕微鏡(100)であって、
前記少なくとも2つの光源(120
k)は、前記蛍光顕微鏡(100)を用いて撮像すべき試料(110)中のそれぞれ少なくとも1つの蛍光体(130
j)を励起し、
前記少なくとも2つの光源(120
k
)のそれぞれがその照明輝度(P
k)に関して個別に駆動制御可能であり、
前記少なくとも2つの検出器(140
i)は、顕微鏡検査によって撮像される前記試料(110)のそれぞれ
1つの画像強度(I
j)を検出し、
前記計算ユニット(150)は、蛍光体(130
j)ごとの信号対雑音比の設定された目標値が達成されるように、調整すべき照明輝度(P
k)を算定し、
前記少なくとも2つの光源(120
k)の照明輝度(P
k)を算定するために、各蛍光体(130
j)の異なる発光スペクトルに対する検出器のクロストークおよび/または各光源(120
k)の異なる照明スペクトルに対する蛍光体(130
j)の交差励起が考慮される、
蛍光顕微鏡(100)。
【請求項21】
蛍光顕微鏡(100)は、前記少なくとも2つの光源(120
k)の照明輝度(P
k)を調整する手段を備え、
前記計算ユニット(150)は、前記少なくとも2つの光源(120
k)の算定された照明輝度(P
k)を調整するために、前記少なくとも2つの検出器(140
i)および前記照明輝度(P
k)を調整する手段に通
信接続されている、
請求項20記載の蛍光顕微鏡(100)。
【請求項22】
前記照明輝度(P
k
)は、クロストークおよび交差励起から決定される混合行列M
lj
に基づいて算定され、
【数2】
Em
j
(λ)は、蛍光体jの発光スペクトルであり、
Exc
j
(λ’)は、蛍光体jの励起スペクトルであり、
Sens
i(l)
(λ)は、チャネルlに対応付けられた検出器i(l)のスペクトル感度であり、
Ill
l
(λ’)は、チャネルlの照明スペクトルである、
請求項20または21記載の蛍光顕微鏡(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光顕微鏡において撮像すべき試料中のそれぞれ少なくとも1つの蛍光体を励起する少なくとも2つの光源の調整すべき照明輝度を自動的に算定する方法ならびに対応する蛍光顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
蛍光顕微鏡検査では、蛍光体で着色された試料が顕微鏡検査によって撮像される。蛍光体は、励起光の周波数によって励起される色素であり、それ自体が放射を放出する。典型的には、各蛍光体に対して、適切な波長の光源、またはその発光スペクトルから適切な波長がフィルタリングされる光源が必要である。試料から放出された蛍光は、適切な検出器によって撮影される。ここでは、典型的に、各蛍光体の蛍光放射が別個に検出される。このこともやはり、相応に狭帯域の感度を有する個々の検出器によって、または該当する蛍光放射の波長のみを通過させるフィルタを上流に接続した広帯域の検出器によって行うことができる。蛍光顕微鏡の構造および機能に関するさらなる詳細に関しては、該当する文献を参照されたい。蛍光顕微鏡は特に、特には生体細胞を検査するために使用される。
【0003】
米国特許第10200625号明細書から、培養培地中の生体試料を撮像するためのシステムおよび方法が公知である。まず、試料画像が予め調整された値で撮影される。次いで、システムが、ピクセルごとに飽和ピクセルと信号対雑音比とを算定する。飽和ピクセルの数が所定の閾値を上回るかまたは該当するピクセルに対する信号対雑音比が所定の閾値を下回った場合に、新たな画像が撮影され、このときに光子流および/または露光時間の新たな値が調整される。当該方法は、不飽和ピクセルに対して信号対雑音比の予め定められた閾値が達成されるまで、または設定された最大撮像時間が経過するまで繰り返される。光子流とは、上述した文献では「光強度」(“Light Intensity”)を指しており、これは、単位面積および単位時間当たりでカメラのセンサに到達する光子の数を表している。「露光時間」(“Exposure Time”)とは、カメラのセンサが信号を積分する時間である。
【0004】
このような公知の方法または別の公知の方法を用いて、ユーザはここから、蛍光顕微鏡において、該当する蛍光体を励起する既存の光源の照明輝度を調整することができる。当該方法は特に習熟していないユーザにとって手間と時間とがかかり、多くの場合に所望の高い画像品質をもたらさないことが判明している。
【0005】
したがって、蛍光顕微鏡における顕微鏡パラメータ、例えば励起光源の照明輝度を、ユーザフレンドリに、特に自動的な進行で調整することへの需要が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者は、蛍光顕微鏡検査における顕微鏡パラメータの最適な調整の困難性の原因のうちの1つが、種々の検出チャネルにおける複数の色素/蛍光体を検出する際のクロストークの存在および種々の光源による複数の色素/蛍光体の交差励起であることを突き止めた。以下では、種々の検出チャネルにおけるクロストークを「クロスエミッション」とも称し(検出器の「クロストーク」と称することもある)、種々の光源による蛍光体の交差励起を「クロスエキサイテーション」とも称する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のコンセプトの実施形態は、蛍光顕微鏡において撮像すべき試料中のそれぞれ少なくとも1つの蛍光体を励起する少なくとも2つの光源の調整すべき照明輝度を自動的に算定する方法を含んでおり、この方法では、少なくとも2つの光源のそれぞれがその照明輝度に関して個別に駆動制御可能であり、少なくとも2つの検出器が、顕微鏡検査によって撮像される試料のそれぞれの画像強度を検出し、少なくとも2つの光源の調整すべき照明輝度が、蛍光体ごとの信号対雑音比の設定された目標値が達成されるように自動的に算定され、少なくとも2つの光源の照明輝度を算定するために、各蛍光体の異なる発光スペクトルに対する検出器のクロストークおよび/または各光源の異なる照明スペクトルに対する蛍光体の交差励起が考慮される。
【0008】
本発明のこのようなコンセプトでは、「光源」なる用語は、色素とも称される蛍光体の励起に適したあらゆる発光デバイスを含んでいる。蛍光体を励起するためには、所定の励起波長が光源のスペクトル内に存在することが必要である。したがって、本願の「光源」は、励起波長を含む広帯域光源、励起波長を含む狭帯域光源、または光源のスペクトルのうちの励起波長を含むスペクトルをフィルタリングするフィルタを下流に接続した光源を含み得る。本願の「検出器」についても同様のことが逆向きで当てはまる。検出器は、該当する蛍光体から放出される蛍光放射の波長を検出できなくてはならない。このために、対応する広帯域検出器を使用することができるか、または蛍光放射の対応する波長に対して十分な感度を有する対応する狭帯域検出器を使用することができる。さらに、上流に接続されたフィルタを備えた広帯域検出器を使用することができ、ここでのフィルタは、蛍光放射の該当する波長をフィルタリングして検出器のセンサに到達させる。光源の下流に接続されたもしくは検出器の上流に接続された上述したフィルタは、フィルタホイールまたはフィルタスライダとして構成されてもよいし、スペクトル分離層、分光計デバイスもしくはモノクロメータデバイスとして構成されてもよいし、または例えば音響光学システムまたは液晶ベースのシステムの形態で構成されてもよい。
【0009】
本願による各光源は、ユーザが撮像すべき試料中に存在していることを想定している蛍光体の直接の励起のために設けられている。当該光源のそれぞれは、その照明輝度に関して個別に調整可能である。したがって、直接に対応付けられた蛍光体に当たる光子流、ひいては蛍光放射から生じて最終的に検出器に当たる光子流を、調整することができる。本発明のコンセプトによれば、こうした調整の際には、所定の光源が、放射されたスペクトルに基づいて自身に直接に対応付けられた蛍光体を励起するだけでなく、(所定の程度で)試料中に存在する他の蛍光体も励起する、ということが考慮される。さらに、後述するように、このようなクロスエキサイテーションは、照明輝度の調整プロセス中に算定されることによって考慮可能である。
【0010】
代替的もしくは付加的に、本願による少なくとも2つの光源の照明輝度を算定するために、本願による、所定の蛍光体に対応付けられた検出器が、その感度スペクトルに基づいて(所定の程度まで)別の蛍光体の蛍光放射も検出することが考慮される。こうした「クロスエミッション」は、後述するように、ここでのクロストークの程度を光源の照明輝度の調整中に算定することによって考慮することができる。
【0011】
したがって、要約すると、本発明のコンセプトによれば「クロスエミッション」および/または「クロスエキサイテーション」を考慮して、蛍光体ごとの信号対雑音比の設定された目標値が達成されるように、光源の照明輝度が調整される。したがって、本発明によるここでのコンセプトによれば、蛍光顕微鏡検査における顕微鏡パラメータの広範囲に及ぶ複雑な調整がユーザにとって不要となる。迅速に収束するアルゴリズムを用いた当該コンセプトの実現により、撮影すべき画像の数が最小化され、ひいては退色への感受性の高い試料の光負荷ならびに生体細胞の顕微鏡検査における光毒性も最小化される。
【0012】
「算定する」なる用語は、「計算する」ことおよび「実験により決定する」ことならびにこれらの混合形態も含むことに留意されたい。ここには、数学的モデルが高度に複雑であるために推定のほうがより迅速に目標に到達し得る場合、「推定する」ことも含まれ得る。統計的推定の意味での「推定する」ことも考えられる。
【0013】
蛍光顕微鏡検査では、例えば、ユーザおよび/またはシステムによって目標値が指定されて最終的にシステム自体によって調整可能である種々のパラメータを使用して作業することができる。可能なパラメータは「速度」、すなわち特に露光時間の調整により制御される画像形成速度である。さらに、画像の信号対雑音比によって決定的に制御される「画像品質」がある。ここでの主要な役割は、1つの蛍光体に対応付け可能な、検出された光子の数または生成された光電子の数が担っている。光子はポアソン統計に従っているので、信号対雑音比は、蛍光体に対応付け可能な、検出された光電子の平方根、ひいては検出された蛍光体ごとの画像強度の平方根に実質的に比例している。別の可能なパラメータは「試料負荷」である。検査すべき試料の照明による試料負荷の指標は、退色である。
【0014】
本発明のコンセプトにとって特に有利なアプローチは、画像形成速度が一定である場合に画像品質を最適化し、試料負荷を中断基準として利用することである。さらなる各実施形態については以下の説明において記載する。まず、画像品質の最適化について詳細に論じる。
【0015】
蛍光体ごとの信号対雑音比を、検出器のうちの少なくとも1つによって検出される少なくとも1つの蛍光体ごとの画像強度に依存して算定することが有利であり、ここで、検出器に存在するクロストークに基づいて、検出器によって検出された可能な限り多くの蛍光体ごとの画像強度、特にすべての画像強度を利用することがさらに有利である。したがって、換言すれば、特に検出された蛍光体ごとの画像強度が、存在する検出器のすべてにわたって積分される。
【0016】
さらに特に有利には、蛍光体ごとの信号対雑音比を算定する際に、上述した検出器のクロストークに代えてもしくはより良好にはこれに加えて、複数の検出器のうちの1つによって検出された蛍光体ごとの画像強度を、さらに、存在する種々の光源による各蛍光体の励起に基づいて算定することにより、蛍光体の交差励起が考慮される。このように、該当する蛍光体に直接に対応付けられている励起光源が考慮されるだけでなく、残りの光源のスペクトルも考慮される。換言すれば、検出された蛍光体ごとの画像強度が、存在する光源のすべてにわたって積分される。
【0017】
以下では、本発明によるコンセプトの有利な構成を数学的に説明する。
【0018】
当該システムは、K個の光源k[k=0,…,K-1]とI個の検出器i[i=0,…,I-1]とJ個の蛍光体j[j=0,…,J-1]を含む。チャネルlの数、すなわち光源と検出器との可能なすべての接続の数は、L=K
*l[l=0,…,L-1]である。この場合、チャネルlのピクセルの強度I
lは、
【数1】
であり、ここで、露光時間τ、混合行列M
lj、およびJ個の蛍光体の蛍光体濃度c
jである。混合行列のエントリは、クロスエキサイテーションおよびクロスエミッションにより、
【数2】
として決定され、ここで、蛍光体jの発光スペクトルEm
j(λ)、励起スペクトルExc
j(λ’)、チャネルlに対応付けられた検出器i(l)のスペクトル感度Sens
i(l)(λ)、およびチャネルlの照明スペクトルIll
l(λ’)である。照明スペクトルは、ここで、すべての固有スペクトルIllLED
k(λ’)を有しかつチャネルl内で値P
klによって駆動制御される、個々の輝度値を有するK個の光源からの重ね合わせによって構成可能である。この場合、積分照明スペクトルは、
【数3】
となり、順次の混合行列
【数4】
が計算され、これにより、ピクセルの強度が
【数5】
となる。
【0019】
照明の同時検出を実現すべきであり、すなわち、同時に読み出し可能なチャネルが制限される。なお、チャネル数は、検出器数によって定められている。なぜなら、1つの検出器は、同時には自身に到達する全チャネルのみ読み出し可能であるからであり、ゆえに検出器iを有するチャネルlを識別することができ、したがって、表記を、I
l≡I
iおよびM
i(l)jk≡M
ijkと短縮することができる。ここでは同時に照明を観察すべきである(順次の照明はつねに可能でありこれに含まれ、また当然ながら同時に読み出すことのできないチャネルlの組み合わせも観察することができる-モデルの適応化は容易となるが、この場合は表記の理解が複雑となる)ので、P
klにおけるインデクスlを除去して、P
k≡P
klと置くことができる。M
ijkが計算可能となる。これにより、式(5)は、
【数6】
となる。
【0020】
この場合、(すべての検出器にわたって)検出された蛍光体ごとの強度の積分は、
【数7】
となる。
【0021】
よって、式(7)に従って、測定された蛍光体ごとの画像強度Ijが、所望の信号対雑音比に基づいて設定されているピクセルごとの所望の光電子に対応する設定値Ij
Sollに対応するように、照明輝度Pkを選択すべきである。明らかなように、式(7)では、k光源の数のすべておよびi検出器の数のすべてにわたって積分がなされており、このため、この実施例では、検出器のクロストークおよび蛍光体の交差励起の双方が考慮される。基本的には、2つの効果のうちの一方のみを考慮することも可能である。この場合には、k光源の数のすべてにわたってのみ、またはi検出器の数のすべてにわたってのみ、積分され得る。
【0022】
本発明のコンセプトによれば、すべての光源に対する最適な照明輝度の選択を、共通して、特に存在する複数の検出器の同時読み出しの際に行うことができる。ただし、本発明のコンセプトは、この他に、種々の光源の順次の調整の際にかつ/または種々の検出器の順次の読み出しの際に実現し、この場合、算定された照明輝度値を単純に光源に順次に印加することも可能である。順次の照明と照明輝度の種々異なる重ね合わせとの混合形態も可能である。
【0023】
有利な最適化法では、少なくとも2つの光源の照明輝度を算定するために、まず、光源のそれぞれに対する照明輝度の初期値がそれぞれ設定され、対応する蛍光体ごとの画像強度が測定され、それぞれ対応する信号対雑音比が計算され、続いて、反復プロセスにおいて、蛍光体ごとの信号対雑音比のそれぞれ設定された目標値が達成されるまで、照明輝度の値が連続的に変更される。このような反復プロセスにおける照明輝度の変更は、照明輝度を増大することを含み、または照明輝度を低減することも含む。こうした最適化法では、輝度の初期値は0であってもよいが、変更により0にセットしてもよいことに留意されたい。
【0024】
有利な構成では、少なくとも2つの光源の照明輝度を算定する際に、少なくとも2つの検出器の画像増幅度が考慮される。このために、設定された検出器の画像増幅度が照明輝度を算定する際の基礎とされるか、または逆に、照明輝度を算定する際に検出器の適切な画像増幅度が出力されるかもしくは調整される。同じことが、各検出器の露光時間にも同様に当てはまる。これらは特に、固定に設定可能であり、一定に保持可能である。上述した画像形成のパラメータ「速度」は、固定の設定値に相当する。露光時間の値もやはり検出器の画像増幅度に依存して決定することができる。逆に、検出器の画像増幅度を設定された露光時間に依存して決定することもできる。一般的に、露光時間が長い場合には画像増幅度を小さく選定することができ、逆に画像増幅度が大きい場合には露光時間を短く選定することができると考えられる。一般的に、これら2つの調整により、画像形成のパラメータ「速度」が決定される。特に、画像増幅度の選択は、検出器のアナログ‐デジタル変換のダイナミックレンジと信号対雑音比の設定に基づいて予測される光電子とに依存して行うことができる。
【0025】
本発明によるコンセプトに従った画像形成の可能な第3のパラメータは、上述したように「試料負荷」である。撮像は一般的に生体試料において行われるので、過度に高い放射強度に基づく熱的損傷または光化学的損傷が生じないようにすることに留意しなければならない。蛍光体によって着色された試料の試料負荷についての尺度は、色素の退色である。
【0026】
特に本発明の上述したコンセプトの構成としての別の態様、また上述したコンセプトから独立した別の態様によれば、少なくとも2つの光源の照明輝度を算定する間、蛍光体ごとの退色係数が決定される。ここでは、こうした態様が「クロスエキサイテーション」および「クロスエミッション」を考慮した冒頭に言及した態様から独立していてよく、このため独立に保護すべき態様であるということに留意されたい。したがって、本開示の範囲においては、当該第2の態様は、蛍光顕微鏡において撮像すべき試料中のそれぞれ少なくとも1つの蛍光体を励起する少なくとも2つの光源の調整すべき照明輝度を自動的に算定する方法であって、少なくとも2つの光源のそれぞれは、その照明輝度に関して個別に駆動制御可能であり、少なくとも2つの検出器が、顕微鏡検査によって撮像される試料のそれぞれの画像強度を検出し、少なくとも2つの光源の調整すべき照明輝度を、蛍光体ごとの信号対雑音比の設定された目標値が達成されるように自動的に算定し、少なくとも2つの光源の照明輝度を算定する間、蛍光体ごとの照明係数を決定する、方法に関する。特に、照明輝度の調整値を最適化するための反復プロセスにおいて(クロスエキサイテーションおよびクロスエミッションを考慮してまたは考慮せずに)、蛍光体ごとの退色係数を(少なくとも近似的に)数学的に決定することができる。このようにして決定された退色係数から、それぞれの蛍光体濃度cjについての退色速度を示すことができる。「最大退色値」とは、当該濃度が所定の最小値へ低下した際に得られる。既知の退色速度のもとで、当該最小値に、最大退色値に達するまでの所定の期間が対応付けられる。可能な退色速度は、例えば、蛍光体濃度の時間指数関数的な低下から始まる。この場合、最大退色値は、退色係数、算定された照明輝度および検出された蛍光体ごとの強度から計算可能である。
【0027】
上述した関係に基づいて、算定された最大退色値もしくはこの最大退色値に対応する期間により、対応する蛍光体に関連した試料の撮像に関する中断基準が作成される。こうした中断基準は、例えば最大退色値もしくはこの最大退色値に対応する期間に達したときにまたは相応に先行してもしくは早期に、対応する光源の照明輝度を低下させ、任意選択手段として、対応する検出器の画像増幅度を高めることができるように設けられ得る。観察される蛍光体につき、これは、通常、直接に対応付けられた励起光源を低下させるだけで十分であり、この場合、画像輝度低減を補償するために、画像増幅度および/または直接に対応付けられている対応する検出器の露光時間を増大させることができる。ただし、実際には、特に短波励起光源では、励起がさらに赤色スペクトル領域にある他の蛍光体も退色する(「ストークスシフト」)。この場合、このような光源の照明輝度の低下も有利となり得る。クロスエキサイテーションを考慮すれば、個々の光源の強度の作用行列が個々の蛍光体の励起に対して存在し、その退色係数に対する作用行列を別個にまたは信号対雑音比の調整の経過において実験によって決定することができ、これはまったく所期の通りに行うことができる。
【0028】
このようにして新たに調整された照明輝度を用いて、再び、蛍光体ごとの信号対雑音比と新たな最大退色値とを計算することができる。中断基準はさらに、さらなる最大退色値に達した場合、試料の損傷を防止するために、対応する励起光源もしくは対応する関連の光源の照明輝度が0へ低減されるように設けられ得る。
【0029】
本発明によるここでのコンセプトの場合、検出される画像強度に影響を及ぼさない蛍光体および/または検出される画像強度に影響を及ぼさない光源を、照明輝度を算定する間に決定すると好適である。これは、例えば、ユーザおよび/またはシステムから反対の指示があったにもかかわらず、所定の蛍光体が試料内または選択された視界内に存在していないケース、または当該理由もしくは他の理由から所定の光源が検出された画像強度への作用を有さないケースであり得る。
【0030】
さらに特に有利には、蛍光顕微鏡における対物レンズ交換の結果として、少なくとも2つの光源の照明輝度を算定するために、試料内への結像比を考慮することにより対物レンズの交換に基づいて検出された画像強度の変化量が考慮されるが、これは、照明光の幾何学的光束と、システムから検出器素子へ結像される蛍光の幾何学的光束と、に関連する。これは特に、照明瞳のシステム依存性の照明度、視野絞りの倍率、対物レンズの検出円錐および試料内へ結像される検出器素子のサイズに関する。
【0031】
以下では、少なくとも2つの光源の照明輝度を最適に算定する可能な最適化法を簡単に数学的に説明することとする。
【0032】
最適化は、例えば、ニュートン‐ラフソン法による反復プロセスによって行われる。すなわち、
1.初期照明調整
【数8】
のために、強度
【数9】
を測定する。これは、照明のための(良好な)開始値での画像撮影である。装置スペクトルおよび蛍光体データから、M
ijkを計算する。最も簡単なケースでは、装置スペクトルは設計プロセスまたは較正測定から既知となり、同様に蛍光体データは較正データによって既知となり、例えばデータベースにおいて入手可能である。ただし、準ニュートン法(BFGS等)において一般的であるように、反復プロセス過程において(「オンザフライで」)行列エントリを算定することもしくは改善することも可能である。下記で説明するように、例えばルーローコントロールおよび場合により色素固有のデータから、目標値
【数10】
を生成する。
2.適切な手法により、
【数11】
を推定する。これは、専門文献から基本的に公知の線形アンミキシングまたはフェーザアンミキシングであってよい。
3.蛍光体ごとの積分強度を計算する。
4.色素ごとの退色係数を推定する。
5.照明調整に関して、蛍光体ごとの積分強度のヤコビ行列を、式(7)の微分によって、
【数12】
として計算する。
6.ヤコビ行列を検査して、有効でない光源および蛍光体の欠落を検出する。行が空である場合、これは、対応する蛍光体が画像内に存在しないことを意味する。列が空である場合、対応する光源が検出された光電子の数に影響を及ぼさない。
7.新たな照明調整を、ニュートンステップ
【数13】
として計算する。ここで、逆行列は、ムーア‐ペンローズ疑似逆行列であり得る。
8.
【数14】
を、駆動制御範囲内の正の値に制限する。ここで、
【数15】
であれば、光源kを解から除去し、
【数16】
を置く。
9.次の各中断基準、すなわち、
(a)
【数17】
が許容値よりも小さい。調整は有効である;
(b)
【数18】
が許容値よりも小さい。調整は有効である;
(c)ヤコビ行列が反転不能である。エラーを通知する。原因を明らかにする。ステップ6において空行および空列を除去することにより、反転不能に関する多くの原因が既に把握されている。原因を明らかにするために、ユーザにエラーメッセージを表示することができる;
(d)退色が過度に強い;
(e)反復が最大回数に達した;
を検査する。
10.新たな画像撮影
【数19】
を行い、ステップ2に戻る。
【0033】
本発明によるコンセプトはさらに、本発明によるコンセプトの上述した実施形態による方法を実行するように構成された計算ユニットに関する。方法は、この実施形態では、計算ユニット上で完全に自動的に実行可能である。したがって、相応の顕微鏡パラメータを高度にユーザフレンドリに算定することができる。算定された値は、蛍光顕微鏡の対応する素子に表示可能でありかつ/またはこれらの素子と同様に調整可能である。
【0034】
本発明によるコンセプトは、さらに別の実施形態では、プロセッサ上、特に上述した計算ユニット上で実行される際に、上述した本発明によるコンセプトによる方法を実行するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムに関する。
【0035】
最後に、本発明によるコンセプトは、蛍光顕微鏡を用いて撮像すべき試料中のそれぞれ少なくとも1つの蛍光体を励起する少なくとも2つの光源を備えた蛍光顕微鏡であって、少なくとも2つの光源のそれぞれがその照明輝度に関して個別に駆動制御可能であり、さらに、顕微鏡検査によって撮像される試料のそれぞれの画像強度を検出する少なくとも2つの検出器と、少なくとも2つの光源の調整すべき照明輝度を自動的に算定するために、本発明のコンセプトによる上述した方法を実行するように構成された計算ユニットと、を備えている、蛍光顕微鏡に関する。
【0036】
蛍光体ごとの信号対雑音比が検出された蛍光体ごとの画像強度に依存して算定される場合、計算ユニットが蛍光顕微鏡の検出器に通信可能に接続されていると好適である。
【0037】
さらに、蛍光体ごとの信号対雑音比の設定された目標値が達成されるよう照明輝度を調整するために、計算ユニットが少なくとも2つの光源の照明輝度を自動的に調整する手段に通信可能に接続されていると好適であり、ここで、少なくとも2つの光源の照明輝度を算定するために、各蛍光体の異なる発光スペクトルに対する検出器のクロストークおよび/または各光源の異なる照明スペクトルに対する蛍光体の交差励起が考慮される。
【0038】
その他の点では、本発明の方法についての実施形態が、本発明の蛍光顕微鏡ならびにその構成およびこれらから生じる利点にも同様に当てはまる。
【0039】
上述した3つのパラメータである「速度」、「画像品質」、「試料保護」を入力する手段は、既に述べたいわゆるルーローの素子から提供される。ここでは、概して、入力面が多角形の形態を取り、座標原点がそれぞれ2つの隣接する頂点間の頂点または辺中点となり得る。好ましくは、曲線多角形、つまり各辺が直線ではなく対向する頂点を中心とした円弧である多角形である。ここで考察される3つのパラメータでは、(一般性を限定するものではないが)この素子が特に曲線三角形またはルーローの三角形として構成されている。ルーローの三角形の場合、対向する頂点から辺の各点までの距離が一定である。
【0040】
「速度」、「画像品質」および「試料保護」のような定性的なパラメータの選択により、ユーザが技術的背景を把握もしくは理解する必要なく、直感的な調整が可能となる。ルーローの三角形は2次元での3つの要望を表現しているが、ここではこれらの要望が同時には満たされえないことが示されている。ここでのコンセプトによれば、「画像品質」は信号対雑音比の意味で定量化され、「速度」は、使用される露光時間(および/または増幅度)によって与えられる。検出される光子の数は、試料および使用される蛍光体およびマーキング密度に強く依存するので、所望の値を達成するためには、当該オブザーバブルが最適化される。この場合、好適には露光時間が把握され、照明が適応化される。「試料保護」または「試料にやさしい撮像」の変数は、ある程度の試料負荷を超えないようにするための中断基準として考慮される。
【0041】
信号対雑音比の設定は、ユーザによって直接に行うことができる。ただし、ユーザが、信号対雑音比を設定された範囲内で定義することも可能である。このような設定された範囲は、例えば、他の手法で既知となった蛍光体の退色感度、設定された露光時間または別の基準の考慮のような先験的な情報から生成可能でありまたはパラメータ化可能である。一般的に、信号対雑音比の設定にはつねに、露光時間とこの露光時間のフレームにおいて第一義的に最大化すべき退色挙動との妥結が含まれる。
【0042】
したがって、ユーザは、設定された「速度」すなわちここでは例えば設定された露光時間のもとでの「画像品質」についての所定の選択肢を有しており、この場合同時に、試料の照明中に動的に変化する試料負荷が限界値を下回ったままでなければならない。付加的に、システムは、特に退色への感受性の高い蛍光体が存在する場合に、自動的に目標SNR値を低減することができ、かつ/または他の適応化を行うことができる。蛍光顕微鏡を操作するためのGUI(「グラフィカルユーザインタフェース」)として有利に実現されているルーロー三角形に関するさらなる実施形態を、対応する実施例から見て取ることができる。
【0043】
本発明のさらなる利点および実施形態は、以下の説明および添付の図面から明らかとなる。
【0044】
上述した特徴および後述する特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、それぞれ記載した組み合わせだけでなく他の組み合わせにおいても、または単独でも使用可能であることが明らかである。
【0045】
本発明を実施例に基づき図面に概略的に示し、さらに以下でこれらの図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本発明による実施形態による蛍光顕微鏡を概略的に示す図である。
【
図2】ルーローコントロールを用いたパラメータ調整手段を示す図である。
【
図3】本発明による方法の方法フローの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、K個の異なる励起波長を放出するK個の光源120
k[k=0,…,K-1]を有する蛍光顕微鏡100を極めて概略的に示している。有利には、これらの光源は、相応のスペクトルを有するLEDまたはレーザーであり、ここでは必要に応じてフィルタを下流に接続することができる。基本的には、そのスペクトルからフィルタホイールまたはフィルタスライダを用いて順次に所望の励起波長をフィルタリングすることのできる広帯域光源も使用可能である。ただし、本発明によるコンセプトの大きな利点の1つは、複数の光源が存在する場合に当該複数の光源をそれぞれの照明輝度の点で同時に調整することができ、これにより順次の動作もしくは順次の調整が不要になることである。
【0048】
図1に示されているように、個々の光源120
kが照明ビーム路164を放出し、この照明ビーム路164がスペクトル分離素子166を介して顕微鏡100の対物レンズ160へ導波される。当該スペクトル分離素子166は、該当する励起波長を偏向させ、かつ相応の蛍光放射に対して透過性を有するダイクロイック素子である。蛍光顕微鏡の光学系の詳細は従来技術から十分に詳細に公知であるので、
図1においては極めて概略的にのみ示している。照明ビーム路164は、対物レンズ160を介して試料110へ偏向され、試料中に存在する蛍光体130
j[j=0,…,J-1]を励起して蛍光放射を放出させる。放出された蛍光放射は、対物レンズ160および場合により設けられる別の光学結像素子を介して、対応する検出器140i[i=0,…,I-1]上に結像される。本願の趣旨において励起波長を放出する各光源120
kには相応の蛍光体130
jが対応付けられており、各蛍光体130
jが蛍光放射を放出し、この蛍光放射が同様に対応する検出器140
iによって検出される。したがって、区別可能なJ個の蛍光体にそれぞれI個の検出器が対応付けられている。特に本発明のコンセプトではI個の検出器の同時読み出しが可能であるので、検出器は(光源と同様に)複数の個別検出器であってよく、これらの個別検出器の上流にフィルタを接続することができる。ただし、基本的には、相応のフィルタホイールまたはフィルタスライダを備えた1つもしくは複数の広帯域の検出器を動作させ、これにより検出器を全体的にまたは部分的に順次に動作させることも可能である。検出器に入射する検出ビーム路は、参照符号162で示されている。
【0049】
図1には、例示的にエピ蛍光顕微鏡が示されているが、本発明のコンセプトは、光シート顕微鏡、共焦点顕微鏡、多光子顕微鏡等のような他の蛍光顕微鏡システムにおいても実現可能であることを理解されたい。
【0050】
照明輝度Pk(「照明出力」)ひいては各光源120kから放出される出力は、各光源120kに対して個別に調整可能である。特に、本発明によるコンセプトは、K個の光源すべてに対する照明輝度Pkの同時調整を可能にする。このために、ここで考察している実施例では、各光源の照明輝度Pkを調整する手段に通信可能に接続されたもしくはこの手段に作用接続された計算ユニット150が設けられている。検出器140iは、撮影された試料110の画像における各蛍光体の分布、ひいてはそれぞれの画像強度Iiを検出する。計算ユニット150は、個々の画像強度に対応する信号を撮影できるようにするために、検出器140iに通信可能に接続されているかもしくは検出器140iに作用接続されている。本発明のコンセプトによれば、I個の検出器の同時読み出しが可能である。
【0051】
ここで、それぞれ異なる蛍光体についての信号対雑音比の設定された目標値が調整されるように、調整すべき照明輝度Pkが計算ユニット150によって自動的に算定され、この算定に際して、直接に対応しない蛍光体の他の発光スペクトルに基づく検出器のクロストークと、直接に対応しない光源の他の照明スペクトルによる蛍光体の交差励起と、が考慮される。蛍光体ごとの信号対雑音比に対する尺度は、ここでは、式(7)に従い、すべての検出器にわたって積分により検出された蛍光体ごとの強度からの平方根である。
【0052】
図2に示されているように、蛍光体ごとの信号対雑音比の設定値I
j
Sollの設定は、この実施例では、ルーローの三角形によって行われる。
図2に示されているルーローの三角形は、有利には、蛍光顕微鏡100のユーザに、顕微鏡を操作するためのGUI(「グラフィカルユーザインタフェース」)として示される。円弧状三角形の各頂点に、3つのパラメータすなわち「速度」、「画像品質」および「試料保護」の座標原点がある。これらのパラメータの値は、
図2に参照符号1,2,3で示されており、それぞれの座標原点から等距離の円弧上に存在している。図示の例では、パラメータ「速度」が、「露光時間」τ(“exposure time”)の設定値1および/または「増幅度」(“gain”)の所定の値によって固定に設定されている。ここで、パラメータ「試料保護」は最小値3で記入されており、この最小値3は、対応する退色値がつねに最大退色値以下でなければならないことを示している。換言すれば、パラメータ「試料保護」の対応する値は、値3を下回ってはならない。したがって、パラメータ「画像品質」の値については、上側の円弧部分d
2上にある値のみが残留する。ここでは、値2が最大可能値である。パラメータ「試料保護」の値3は、画像形成過程において領域d
2が減少するように動的に変更可能であることに留意すべきである。
【0053】
したがって、GUIとして構成されたルーローの三角形により、画像品質の所望の目標値の直感的な入力がユーザに可能となり、ここで、領域d
2にある入力値2(
図2では最大値2が示されている)から、信号対雑音比の目標値が導出される。殊に試料110中の退色への感受性の高い蛍光体がシステムに既知となっている場合、このシステムは、画像品質に対してより低い値2からの選択を自ら行うことができる。したがって、システムおよび計算ユニット150は、設定値2から、積分により検出される蛍光体I
jごとの強度の対応する値を算定し、この値が算定すべき照明輝度P
kに対する目標値として用いられる。
【0054】
続いて、例えば、既に上述した反復プロセスにより、初期照明調整から開始して、n個のステップを介し、K個の光源の最適な照明調整が算定される。各ステップでは、蛍光体ごとの画像強度Ijも(検出器すべてにわたって積分された状態で)算定されもしくは測定される。上述した反復ステップ2~8は、ポイント9に挙げた中断基準のうちのいずれかが満たされるまで実行される。このことには、測定された蛍光体ごとの画像強度が設定された目標値から許容値未満だけ異なることが含まれる。さらに、光源の新たに調整すべき照明輝度と先行のステップにおいて調整された照明輝度との差が許容値よりも小さいことも含まれる。また、式(8)で示されているヤコビ行列は反転不能である。この場合エラーメッセージが形成され、有利には、考えられ得るエラーの原因がユーザに出力される。その後、予め定められた回数の反復が達成された。最終的には、試料の退色が過度に強かった。換言すれば、パラメータ「試料保護」の値3の動的な展開によって値範囲d2を縮小することができるので、試料の損傷を排除するために照明輝度を低減しなければならない。このケースでは別の中断基準を使用することもでき、その際には、関連する光源の対応する1つもしくは複数の照明輝度が低減され、有利には並行して、関与する検出器の増幅度または少なくとも直接に該当する蛍光体を検出する検出器の増幅度が高められる。
【0055】
図3には、照明輝度を最適化するための本発明によるコンセプトの実施形態がフローチャートの形態で示されている。
【0056】
図3は、J個の異なる蛍光体130
jを含む試料110を検査するために、蛍光顕微鏡100に設けられているK個の光源120
kの照明輝度を調整する本発明のコンセプトの実施形態についての概観を示しており、ここで、各蛍光体は、I個の検出器140
iによって試料画像の形態で検出される。このことについては、
図1および
図2に関連する上述の説明を参照されたい。ステップS1では、特に計算ユニット150(
図1を参照)に対して、一部はシステムによって、また一部はユーザによって、次のような設定が行われる。すなわち、照明輝度の初期値が例えばメーカ設定または学習アルゴリズムに基づいて設定される。結合行列Mが、光源のスペクトル、検出器の検出スペクトルおよび蛍光体データから計算される。蛍光体ごとの画像強度I
jの目標値が、検出器の全体にわたって積分された状態で、例えば上述したルーロー入力(
図2を参照)から、かつ/または相応のシステム設定(色素固有のデータ)によって、生成される。さらに、上述した中断基準が定められる。
【0057】
初期化ステップS1の後、システムは、顕微鏡検査によって撮像される試料110のそれぞれの画像強度Iiを各蛍光体に対して検出する個々の検出器画像の画像撮影を開始する。
【0058】
ステップS3で、試料110における各蛍光体130jの濃度cjが推定され、積分輝度Ijが式(7)に従って計算される。これは、蛍光体濃度cj、調整された露光時間τ、それぞれ調整された照明輝度Pk、および上述した結合行列Mから得られる。このことについての詳細は既に上述した。
【0059】
前述したステップS3では、有利には退色係数κjも計算される。これは、上記にて既に強調したように、最適な照明輝度を算定するために「クロスエキサイテーション」もしくは「クロスエミッション」に対して付加的にもまたこれらから独立にも使用することができる観点である。これは、最適化中に撮影された連続画像において検出されたcjを比較することによって行うことができ、この連続画像が数学的モデルに応じて評価される。このように、cj相互の相対的な測定に基づき、モデルの構成に応じて、例えば2回の連続した画像撮影およびこれに対応する照明輝度から、モデル0が得られる。次数のパラメータ化が可能であるか、またはN個の順次連続する画像撮影および照明輝度から次数N-2のモデルのパラメータ化が可能である。特に重要なのは、3回の連続する画像撮影および照明輝度から一般的な数学的手法を用いてパラメータ化可能な線形モデルである。次いで、それぞれ所定の退色係数から照明輝度の最終的な調整に従って所定の蛍光体ごとの退色速度を計算することができ、この退色速度から再び最大退色値を決定することができ、この最大退色値がパラメータ「試料保護」の基礎となる。
【0060】
続くステップS4では、蛍光体ごとの積分強度のヤコビ行列が式(8)に従って計算される。続いて、ステップS5において、当該ヤコビ行列が空行(対応する蛍光体が画像内に存在しない)または空列(対応する光源が検出される光電子の数に影響を及ぼさない)を有するかどうかが検査される。有する場合には、対応する行(蛍光体)または列(光源)が除去され、すなわち、計算コストを容易にするためにもはや考察されなくなる。ステップS5が当該結果を生じない場合、ステップS7へ続き、ここでは式(9)に従って照明輝度の新たな調整が行われる。
【0061】
その後、ステップS8で、既に上記にて詳細に説明したように、確立された中断基準が検査される。中断基準が満たされていない場合、反復プロセスの次のステップn+1へ進み、すなわち、
図3のフローチャートがステップS2に戻る。これに対して、中断基準のうちのいずれかが満たされた場合には、ステップS9において、算定され調整された光源120
kの照明輝度P
kで主画像撮影が開始される。
【0062】
本明細書で提示する、上述した蛍光顕微鏡においてパラメータを調整する方法は、直感的に動作し、技術的な予備知識を必要とせず、相応の調整を自動的に実行するので、極めてユーザフレンドリである。またこれは、ユーザにとって重要な生物学的実験の量に対する調整量の技術的なパラメータ空間を反映する。
【0063】
本明細書で使用されるように、用語「および/または(かつ/または)」は、関連する記載項目のうちの1つまたは複数の項目のあらゆるすべての組み合わせを含んでおり、「/」として略記されることがある。
【0064】
いくつかの態様を装置の文脈において説明してきたが、これらの態様が、対応する方法の説明も表していることが明らかであり、ここではブロックまたは装置がステップまたはステップの特徴に対応している。同様に、ステップの文脈において説明された態様は、対応する装置の対応するブロックまたは項目または特徴の説明も表している。
【0065】
いくつかの実施形態は、1つまたは複数の図に関連して説明されたようなシステムを含んでいる顕微鏡に関する。択一的に、顕微鏡は、システムの一部であってもよい、またはシステムに接続されていてもよい。
図1は本明細書に記載された方法を実施するように構成されたシステムの概略図を示している。本システムは、顕微鏡100およびコンピュータシステムまたは計算ユニット150を含む。顕微鏡100は、撮像するように構成されており、かつコンピュータシステム150に接続されている。コンピュータシステムは、本明細書に記載された方法の少なくとも一部を実施するように構成されている。コンピュータシステムは、機械学習アルゴリズムを実行するように構成されていてもよい。コンピュータシステムと顕微鏡は別個の存在物であってもよいが、1つの共通のハウジング内に一体化されていてもよい。コンピュータシステムは、顕微鏡の中央処理システムの一部であってもよく、かつ/またはコンピュータシステムは、顕微鏡のセンサ、アクター、カメラまたは照明ユニット等の、顕微鏡の従属部品の一部であってもよい。
【0066】
コンピュータシステムは、1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のストレージデバイスを備えるローカルコンピュータデバイス(例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、タブレットコンピュータまたは携帯電話)であってもよく、または分散コンピュータシステム(例えば、ローカルクライアントおよび/または1つまたは複数のリモートサーバファームおよび/またはデータセンター等の様々な場所に分散されている1つまたは複数のプロセッサおよび1つまたは複数のストレージデバイスを備えるクラウドコンピューティングシステム)であってもよい。コンピュータシステムは、任意の回路または回路の組み合わせを含んでいてもよい。1つの実施形態では、コンピュータシステムは、任意の種類のものとすることができる、1つまたは複数のプロセッサを含んでいてもよい。本明細書で使用されるように、プロセッサは、例えば、顕微鏡または顕微鏡部品(例えばカメラ)のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、複合命令セットコンピューティング(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピューティング(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、グラフィックプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、マルチコアプロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)または任意の他の種類のプロセッサまたは処理回路等のあらゆる種類の計算回路を意図していてもよいが、これらに限定されない。コンピュータシステムに含まれ得る他の種類の回路は、カスタム回路、特定用途向け集積回路(ASIC)等であってもよく、例えばこれは、携帯電話、タブレットコンピュータ、ラップトップコンピュータ、双方向無線機および類似の電子システム等の無線装置において使用される1つまたは複数の回路(通信回路等)等である。コンピュータシステムは、ランダムアクセスメモリ(RAM)の形態のメインメモリ等の特定の用途に適した1つまたは複数の記憶素子を含み得る1つまたは複数のストレージデバイス、1つまたは複数のハードドライブおよび/またはコンパクトディスク(CD)、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク(DVD)等のリムーバブルメディアを扱う1つまたは複数のドライブ等を含んでいてもよい。コンピュータシステムはディスプレイ装置、1つまたは複数のスピーカーおよびキーボードおよび/またはマウス、トラックボール、タッチスクリーン、音声認識装置を含み得るコントローラ、またはシステムのユーザがコンピュータシステムに情報を入力すること、およびコンピュータシステムから情報を受け取ることを可能にする任意の他の装置も含んでいてもよい。
【0067】
ステップの一部または全部は、例えば、プロセッサ、マイクロプロセッサ、プログラマブルコンピュータまたは電子回路等のハードウェア装置(またはハードウェア装置を使用すること)によって実行されてもよい。いくつかの実施形態では、極めて重要なステップのいずれか1つまたは複数が、そのような装置によって実行されてもよい。
【0068】
一定の実装要件に応じて、本発明の実施形態は、ハードウェアまたはソフトウェアで実装され得る。この実装は、非一過性の記録媒体によって実行可能であり、非一過性の記録媒体は、各方法を実施するために、プログラマブルコンピュータシステムと協働する(または協働することが可能である)、電子的に読取可能な制御信号が格納されている、デジタル記録媒体等であり、これは例えば、フロッピーディスク、DVD、ブルーレイ、CD、ROM、PROMおよびEPROM、EEPROMまたはFLASHメモリである。したがって、デジタル記録媒体は、コンピュータ読取可能であってもよい。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法が実施されるように、プログラマブルコンピュータシステムと協働することができる、電子的に読取可能な制御信号を有するデータ担体を含んでいる。
【0070】
一般的に、本発明の実施形態は、プログラムコードを備えるコンピュータプログラム製品として実装可能であり、このプログラムコードは、コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されるときにいずれかの方法を実施するように作動する。このプログラムコードは、例えば、機械可読担体に格納されていてもよい。
【0071】
別の実施形態は、機械可読担体に格納されている、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを含んでいる。
【0072】
したがって、換言すれば、本発明の実施形態は、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラムである。
【0073】
したがって、本発明の別の実施形態は、プロセッサによって実行されるときに本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、格納されているコンピュータプログラムを含んでいる記録媒体(またはデータ担体またはコンピュータ読取可能な媒体)である。データ担体、デジタル記録媒体または被記録媒体は、典型的に、有形である、かつ/または非一過性である。本発明の別の実施形態は、プロセッサと記録媒体を含んでいる、本明細書に記載されたような装置である。
【0074】
したがって、本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを表すデータストリームまたは信号シーケンスである。データストリームまたは信号シーケンスは例えば、データ通信接続、例えばインターネットを介して転送されるように構成されていてもよい。
【0075】
別の実施形態は、処理手段、例えば、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するように構成または適合されているコンピュータまたはプログラマブルロジックデバイスを含んでいる。
【0076】
別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するために、インストールされたコンピュータプログラムを有しているコンピュータを含んでいる。
【0077】
本発明の別の実施形態は、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためのコンピュータプログラムを(例えば、電子的にまたは光学的に)受信機に転送するように構成されている装置またはシステムを含んでいる。受信機は、例えば、コンピュータ、モバイル機器、記憶装置等であってもよい。装置またはシステムは、例えば、コンピュータプログラムを受信機に転送するために、ファイルサーバを含んでいてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、プログラマブルロジックデバイス(例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)が、本明細書に記載された方法の機能の一部または全部を実行するために使用されてもよい。いくつかの実施形態では、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイは、本明細書に記載のいずれかの方法を実施するためにマイクロプロセッサと協働してもよい。一般的に、有利には、任意のハードウェア装置によって方法が実施される。
【符号の説明】
【0079】
100 蛍光顕微鏡
110 試料
120k 光源;k=0,…,K-1
130j 蛍光体;j=0,…,J-1
140i 検出器;i=0,…,I-1
150 計算ユニット
160 対物レンズ
162 検出ビーム路
164 照明ビーム路
166 スペクトル分離素子
Pk 照明輝度
cj 蛍光体濃度;j=0,…,J-1
d2 パラメータ「画像品質」についての範囲
S1~S9 方法ステップ