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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】コート紙
(51)【国際特許分類】
   D21H 19/82 20060101AFI20241217BHJP
   D21H 19/18 20060101ALI20241217BHJP
   D21H 21/16 20060101ALI20241217BHJP
   D21H 23/48 20060101ALI20241217BHJP
   B32B 29/00 20060101ALI20241217BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
D21H19/82
D21H19/18
D21H21/16
D21H23/48
B32B29/00
B65D65/40 D
【請求項の数】 33
(21)【出願番号】P 2023514437
(86)(22)【出願日】2021-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-21
(86)【国際出願番号】 EP2021074499
(87)【国際公開番号】W WO2022049286
(87)【国際公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-04-24
(31)【優先権主張番号】102020123150.4
(32)【優先日】2020-09-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】522327876
【氏名又は名称】コーラー イノベーション アンド テクノロジー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュルテ,マリウス
(72)【発明者】
【氏名】ユリッシュ,クラウス
(72)【発明者】
【氏名】キント,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ホーフェラー,ドミニク
(72)【発明者】
【氏名】フェール,アルヨシャ
【審査官】河内 浩志
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-505321(JP,A)
【文献】特開2020-066216(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21H11/00-27/42
B32B 1/00-43/00
B65D65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙およびそれに適用された少なくとも3種のコーティングを含むコート紙であって、前記少なくとも3種のコーティングが、少なくとも1種の疎水性ポリマーを含む第1のバリア層、少なくとも1種の親水性ポリマーを含む第2のバリア層、および少なくとも1種の疎水性ポリマーを含む第3のバリア層を前記原紙から進んで、この順序で備え
少なくとも1種の無機顔料およびポリマーバインダーを含むプレコートが前記原紙と前記第1のバリア層との間に設けられており、
前記第1のバリア層は、前記少なくとも1種の疎水性ポリマーを50~99.5重量%含み、
前記プレコートは、前記ポリマーバインダーを1~70重量%含む、
コート紙。
【請求項2】
前記第1のバリア層が、親油性物質、パラフィン、ワックス、低分子ポリオレフィン、ポリテルペン、およびそれらの混合物の群から選択される物質を含むか、またはそれからなることを特徴とする、請求項1に記載のコート紙。
【請求項3】
前記パラフィンは、硬パラフィンから選択され、および/または、前記ワックスは、マイクロクリスタリンワックス、植物油または脂肪に基づくワックス、動物油または脂肪に基づくワックス、植物ワックス、動物ワックスから選択されることを特徴とする、請求項2に記載のコート紙。
【請求項4】
物質の移動が前記第2のバリア層により低減または防止されることを特徴とする、請求項1に記載のコート紙。
【請求項5】
前記物質は、疎水性物質であることを特徴とする、請求項4に記載のコート紙。
【請求項6】
前記第1のバリア層からの、または前記第1のバリア層を通じた、前記第3のバリア層内への、または前記第3のバリア層を越える物質の移動が低減または防止されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項7】
前記物質は、疎水性物質であることを特徴とする、請求項6に記載のコート紙。
【請求項8】
前記第3のバリア層からの、または前記第3のバリア層を通じた、前記第1のバリア層内への物質の移動が防止されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項9】
前記物質は、疎水性物質であることを特徴とする、請求項8に記載のコート紙。
【請求項10】
親油性物質、パラフィン、ワックス、低分子ポリオレフィン、ポリテルペン、およびそれらの混合物の群から選択される物質の移動が低減または防止されることを特徴とする、請求項1からのいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項11】
前記パラフィンは、硬パラフィンから選択され、および/または、前記ワックスは、マイクロクリスタリンワックス、植物油または脂肪に基づくワックス、動物油または脂肪に基づくワックス、植物ワックス、動物ワックスから選択されることを特徴とする、請求項10に記載のコート紙。
【請求項12】
前記第3のバリア層が、避けられないか、または容認される不純物を除いて、食品との直接接触が許容されない物質を含まないことを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項13】
前記食品との直接接触が許容されない物質は、親油性物質、パラフィン、ワックス、低分子ポリオレフィン、ポリテルペン、およびそれらの混合物の群から選択される物質であることを特徴とする、請求項12に記載のコート紙。
【請求項14】
前記パラフィンは、硬パラフィンから選択され、および/または、前記ワックスは、マイクロクリスタリンワックス、植物油または脂肪に基づくワックス、動物油または脂肪に基づくワックス、植物ワックス、動物ワックスから選択されることを特徴とする、請求項13に記載のコート紙。
【請求項15】
少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含むシーリング層が前記第3のバリア層上に設けられていることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項16】
前記原紙が20~120g/m の面積密度を有することを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項17】
前記原紙が40~100g/m の面積密度を有することを特徴とする、請求項16に記載のコート紙。
【請求項18】
前記第1のバリア層が、ポリアクリレートおよび/またはポリオレフィンに基づく少なくとも1種の疎水性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項19】
前記第2のバリア層が、ポリビニルアルコールに基づく少なくとも1種の親水性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項20】
前記第3のバリア層が、ポリアクリレート、スチレン/ブタジエンコポリマーおよび/またはポリオレフィンに基づく少なくとも1種の疎水性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1から19のいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項21】
前記無機顔料が、シリケートを含むこと、および/または前記ポリマーバインダーが、ポリアクリレートに基づくポリマーバインダーを含むことを特徴とする、請求項に記載のコート紙。
【請求項22】
前記シリケートがフィロシリケートであることを特徴とする、請求項21に記載のコート紙。
【請求項23】
前記シリケートがカオリンであることを特徴とする、請求項21に記載のコート紙。
【請求項24】
前記シーリング層が、ポリアクリレート、スチレン/ブタジエンコポリマーおよび/またはポリオレフィンに基づく熱可塑性ポリマーを含むことを特徴とする、請求項15に記載のコート紙。
【請求項25】
接着促進剤が前記個々のバリア層の間で使用されないことを特徴とする、請求項1から24のいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項26】
ハロゲン含有化合物を含まないことを特徴とする、請求項1から25のいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項27】
アルミニウム、Alおよび/またはSiO層を含まないことを特徴とする、請求項1から26のいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項28】
前記原紙が10~80%の長繊維含有量および20~90重量%の短繊維含有量を有し、長繊維が2.6~4.4mmの繊維長を有する繊維であり、かつ短繊維が0.7~2.2mmの繊維長を有する繊維であることを特徴とする、請求項1から27のいずれか一項に記載のコート紙。
【請求項29】
請求項1から28のいずれか一項に記載のコート紙を生産するための方法であって、前記第1、第2および第3のバリア層の出発材料を含む水性適用懸濁液が前記原紙に連続的に適用され、前記水性適用懸濁液が10~60重量%の固体含有量を有し、かつ少なくとも200m/分のコーティングプラントの運転速度でカーテンコーティングプロセスにより適用されることを特徴とする、方法。
【請求項30】
前記水性適用懸濁液が30~50重量%の固体含有量を有することを特徴とする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第1および第2または前記第2および第3のバリア層がダブルカーテンコーティングプロセスによりウェットオンウェットで直ちに連続的に適用されることを特徴とする、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
包装材料としての、あるいは包装材料の構成物としての、請求項1から28のいずれか一項に記載のコート紙の使用。
【請求項33】
前記包装材料、あるいは包装材料の構成物は、厚紙もしくは板紙に基づく包装材料であり、および/または、食品のために使用される包装材料であり、および/または、食用脂肪もしくは油および/もしくは脂肪含有食品のために使用される包装材料である請求項32に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コート紙、この種類のコート紙を生産するための方法、および包装材料としてのコート紙の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
包装は一般に、特にその保護またはより良い取扱いのための、物体の覆いまたは(部分的または完全な)包みを指す。したがって、包装材料は、そのような包装を形成する材料を含む。
【0003】
包装材料は、例えば紙、プラスチックおよび/または金属に基づいて、構成され得る。本発明は、紙に基づく包装材料に関する。
【0004】
紙に基づく包装材料は公知である。しかし、今まで、酸化感受性、多湿、および脂肪含有物体、特に食品の包装に適しており、かつ同時にラミネーションまたは蒸着により紙コーティング機の外で適用されなければならないハロゲン含有化合物またはアルミニウム、Alおよび/もしくはSiOでできたバリア層を含まない繊維ベース/紙ベースのフレキシブル包装材料は公知ではない。
【0005】
アルミニウムの回収は、Alコーティングについても資源集約的かつエネルギー集約的であるため、アルミニウムおよび/またはAlの使用は特に不利である。アルミニウムの生産では、プラスチック、例えばポリエチレンの生産と比較して、1トン毎におよそ3~5倍の二酸化炭素が放出される。Al3+塩が溶解することがあるため、アルミニウムは、包装材料、特に多湿および酸含有食品のための包装材料としてますます批判されている。加えて、バリア紙からのアルミニウムの回収は、さらなる努力を伴う。例えば、そのような紙は例えば、金属から紙繊維を引き離すために120℃で加圧下、水中でしばらくの間沸騰させなければならない。
【0006】
特に、必要とされる純度に応じて、SiOは「砂」からではなく石英採石場からのみ得ることができるため、SiOの使用は不利である。さらに、低速機械運転を前提とし、かつ追加の費用支出を意味する適用プロセス(化学蒸着)がここで使用されなければならない。
【0007】
SiOコーティングおよびAlコーティングの両方が曲げに対する抵抗に関して不利なこともある。
【0008】
ハロゲン化炭化水素など、ハロゲン化化合物は、それらの疎水的性質のために生分解に関して非常に安定であるため、ハロゲン化化合物の使用は特に不利である。太陽光または他の風化影響もこれらの化合物に対してほとんど影響しない。燃焼プロセスでは、プラスチックの熱的利用の通常の副生成物に加えて腐食性のハロゲン化水素およびダイオキシンも生じる。
【0009】
公知の包装材料は、ポリ塩化ビニリデン(PVDC;ハロゲン含有)などの化合物をしばしば含み、包装プラントで運転の問題につながり得る、改善の余地を有する引裂強さを有し、加えて、過度に高いコーティング含有量のために、紙繊維流を介してリサイクル可能ではない。さらに、公知の包装材料は、水、水蒸気、酸素およびグリースに対して過度に高い透過度を有し、したがって、包装された製品の短い貯蔵寿命につながる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】DE10196052T1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、公知の材料の不利な点を克服すること、ならびに包装材料、特に酸化感受性、多湿および高脂肪食品のための包装材料として適しており、かつヒートシーリング適用によるパウチの生産のために使用することができる材料を提供することである。さらに、材料は、ハロゲン含有化合物、アルミニウム、Alおよび/またはSiOに基づくいかなるバリア層も含むべきではない。加えて、可能な限り、材料の個々の層の間で使用される接着促進剤は存在すべきでない。さらに、本発明による材料は、生産が可能な限り容易であるべきであり、かつ紙繊維流を介してそれをリサイクルすることができるように、可能な最低適用重量で済むべきである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、請求項1に記載のコート紙、すなわち、原紙およびそれに適用された少なくとも3種のコーティングを含むコート紙であって、少なくとも3種のコーティングが、少なくとも1種の疎水性ポリマーを含む第1のバリア層、少なくとも1種の親水性ポリマーを含む第2のバリア層、および少なくとも1種の疎水性ポリマーを含む第3のバリア層を、原紙から進んで、この順序で備える、コート紙により達成される。
【0013】
このようにしてコートされた紙は、特に、酸化感受性、多湿および高脂肪物体、特に食品のための包装材料として特によく適しており、かつヒートシーリングが適用されたパウチの生産のために使用することができるという点で区別される。さらに、個々の層の間の接着促進剤を省くことが可能であり、ハロゲン含有化合物、アルミニウム、Alおよび/またはSiOに基づくバリア層が存在してはならない。
【0014】
この種類のコート紙は、比較的容易に、かつ低適用重量で生産もされ得る。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、用語「を含む(comprise)」は「からなる(consist of)」も意味するものとする。
【0016】
用語「疎水性」は、水と混合することができないか、または界面活性剤を使用することでしか水で濡らすことができない物質を指す。用語「親水性」は、水と混合することができるか、または界面活性剤を使用せずに水で濡らすことができる物質を指す。疎水性ポリマーは非極性ポリマーとも呼ばれ、親水性ポリマーは極性ポリマーとも呼ばれる。
【0017】
疎水性または親水性は、例えばlogP値により定義され得る。n-オクタノール-水分配係数Kow(オクタノール/水分配係数などの表記も一般的かつ正しい)は、n-オクタノールおよび水で形成された二相系中の化学物質の濃度の比を示し、したがって、物質の疎水性または親水性の尺度である当業者に公知の無次元の分配係数である。logP値は、n-オクタノール-水分配係数Kowの10を底とする対数である。以下がここで当てはまる:
【0018】
【数1】
式中、c Si=オクタノールリッチ相中の化学物質の濃度および
Si=水リッチ相中の化学物質の濃度。
【0019】
owは、物質がn-オクタノールなど、脂肪様溶媒により溶ける場合は1より大きく、物質が水により溶ける場合は1より小さい。したがって、logPは、親水性/親油性物質については正、親水性/疎油性物質については負である。
【0020】
本発明によるコート紙において使用される原紙は原則として限定されない。
【0021】
本発明の好ましい実施形態を以下で説明する。
【0022】
第1のバリア層が、親油性物質、パラフィン、特に硬パラフィン、ワックス、特にマイクロクリスタリンワックス、植物油または脂肪に基づくワックス、動物油または脂肪に基づくワックス、植物ワックス、動物ワックス、低分子ポリオレフィン、ポリテルペン、およびそれらの混合物の群から選択される物質を含むか、またはそれからなるコート紙。
【0023】
物質の、特に疎水性物質の移動が第2のバリア層により低減または防止されるコート紙。
【0024】
第1のバリア層からの、または第1のバリア層を通じた、第3のバリア層内への、またはそれを越える物質の、特に疎水性物質の移動が低減または防止されるコート紙。
【0025】
第3のバリア層からの、または第3のバリア層を通じた、第1のバリア層内への物質の、特に疎水性物質の移動が防止されるコート紙。
【0026】
親油性物質、パラフィン、特に硬パラフィン、ワックス、特にマイクロクリスタリンワックス、植物油または脂肪に基づくワックス、動物油または脂肪に基づくワックス、植物ワックス、動物ワックス、低分子ポリオレフィン、ポリテルペン、およびそれらの混合物の群から選択される物質の移動が低減または防止されるコート紙。
【0027】
これらの物質の移動は、特に、第2のバリアの適したタイプおよび量の少なくとも1種の親水性ポリマーにより低減または防止することができる。
【0028】
第3のバリア層が、避けられないか、または容認される不純物を除いて、食品との直接接触が許容されない物質、特に、親油性物質、パラフィン、特に硬パラフィン、ワックス、特にマイクロクリスタリンワックス、植物油または脂肪に基づくワックス、動物油または脂肪に基づくワックス、植物ワックス、動物ワックス、低分子ポリオレフィン、ポリテルペン、およびそれらの混合物の群から選択される物質を含まないコート紙。
【0029】
硬パラフィン、特に天然または合成起源の硬パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、低分子ポリプロピレン、天然ワックス、低分子ポリオレフィン、ポリテルペンおよびそれらの混合物は、特に、2019年6月01日のBfR XXV(German Federal Institute for Risk Assessment(Federal Ministry of Food and Agricultureのポートフォリオ下))またはその様々なバージョンに定義されたものである。
【0030】
したがって、以下が防止される:a)これらの材料が第3のバリア層内に移動し、かつ/または第3のバリア層から、特に、接触材料、特に脂肪含有食品と接触した接触材料内に外向きに移動すること、およびb)これらの物質の移動の低減または防止の結果、層の、特に第1、第2および/または第3のバリア層のバリア特性が維持されるか、またはさもなければ移動の結果、変化するか、または完全に失われること、c)物質が接触材料から第1のバリア層内に移動し、かつ/またはしたがって第1のバリア層を改変すること。
【0031】
原紙が20~120g/mの、好ましくは40~100g/mの面積密度を有することが好ましい。
【0032】
紙が、10~80%、好ましくは20~50%の長繊維含有量、および20~90重量%、好ましくは50~80重量%の短繊維含有量を有する組成を有することがさらに好ましい。
【0033】
長繊維は、2.6~4.4mmの繊維長を有する繊維を意味すると理解され、短繊維は、0.7~2.2mmの繊維長を有する繊維を意味すると理解される。
【0034】
加えて、0~20%、好ましくは0~5%の、例えば商品名Hydrocarb 60またはHydroplex 60で既知であるGCC(粉砕(重質)炭酸カルシウム)などの充填剤、例えば商品名Precarb 105で既知であるPCC(沈降炭酸カルシウム)、天然カオリンおよび/またはタルク、ならびに保持剤および/またはサイズ剤など、従来の助剤が追加的に含まれてよい。
【0035】
本明細書において使用される用語「原紙」は厚紙および板紙材料を除外すると理解されるものとする。
【0036】
そのような原紙の利点は、一方で、その高い柔軟性、他方で、現存する包装プラントでのその良好な加工、高い機械の利用可能性の維持、および必要な穿刺抵抗の達成である。
【0037】
一般的な包装機は、例えば、スタンドアップパウチ、フローパック、ピローパック、およびその他の生産のための縦型および横型製袋充填機、例えばトレイシーラーとも呼ばれる、同じかまたは異なる材料の2つのウェブを合わせ、ヒートシールすることによりそれらを接合する機械、チャンバーベルト機(真空を用いるものも)、パウチ充填およびシーリング機、熱成形包装機、ヒートシールして、包装をシールすることにより蓋を取り付けるリニア充填機、最終ヒートシーリングステップを有するラッピング機、ブリスター包装機、およびX折畳み包装機である。
【0038】
第1のバリア層は、少なくとも1種の疎水性ポリマーを含む。このバリア層は、好ましくは水蒸気のバリア層として働き、したがって、包装された製品を乾燥から保護する。乾燥した包装内容物の場合、これらは水分から保護される。加えて、それは、外側からの水分から親水性のバリアを保護するのに役立ち、その理由は、これが乾燥状態でのみその最大効果をもたらすことができるからである。
【0039】
少なくとも1種の疎水性ポリマーは好ましくは、ポリアクリレートおよび/またはポリオレフィン、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニル(部分的にけん化されたものも)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエチレンイミン、および/またはポリビニルアミドに基づくポリマーを含む。適したポリマーの例は、特に、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(n-、iso-、tert.-)ブチルアクリレート、ポリ(n-、iso-、tert.-)ブチルメタクリレート、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリエチルヘキシルアクリレートおよびそれらのコポリマー、グラフトポリマー、ならびにスチレン、アクリロニトリル、メチルスチレンまたはビニルトルエンとのコポリマーである。
【0040】
疎水性ポリマーに加えて、ワックスが提供されてもよい。適したワックスは、口語的に「ワックス」と呼ばれる、化石もしくは天然短鎖~中鎖炭化水素、それらの酸、エステル、アミドおよびジアミドの混合物または純物質などの化合物を含む。適したワックスは、例えば、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、トリトリアコンタン、テトラトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサトリアコンタン、ヘプタトリアコンタン、オクタトリアコンタン、ノナトリアコンタン;モンタンワックス、天然ワックス(カルナウバワックス、ミツロウ、キャンデリラワックス)、植物油および動物油もしくは脂肪の水素化または部分水素化により生産されたワックス、およびステアリン酸Caなど、金属石けんである。
【0041】
適したポリマーおよびポリマー/ワックス混合物は、特に商品名CHT Coat 230、Vapor Coat 2200、Vapor Coat 1300、BimBA 8510、BimBA 8888、Cartaseal VWF、Cartaseal SWF、Sealcoat SL251、Rhobarr 320、B-Coat SP1、B-Coat WB 100、B-Coat 50/3、Chemipearl S300、Ultraseal W-951、Ultraseal W-952、Ukaphob HR 530、Induprint SE 2555、Wukoseal(uはuウムラウトである。) 630、Extomine BG-EM 52%、EurikaCoat 3624、Aquacer 1061およびEpotal SP 106で公知である。
【0042】
少なくとも1種の疎水性ポリマーは、第1のバリア層の総重量に対して好ましくは1~100重量%の、特に好ましくは50~99.5重量%、または50~100重量%の量で第1のバリア層内に含まれる。
【0043】
第1のバリア層は全体として、好ましくは疎水性である。
【0044】
第1のバリア層は、増粘剤、例えばアクリレートベースの増粘剤、界面活性剤、例えばスルホサクシネート、伸長レオロジー助剤、例えばポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ならびに/またはアルデヒドおよび多価アルデヒドなど、架橋剤、ジルコネート、多価エポキシド、エピクロルヒドリン樹脂ならびに/または水素酸などの添加剤を含んでもよい。
【0045】
これらの添加剤は、好ましくは、それぞれの場合において第1のバリア層の総重量に対して0.1~1重量%の量で含まれる。
【0046】
第1のバリア層の適用量は、好ましくは1~20g/m、特に好ましくは5~10g/mである。量は、最終製品中の乾燥した第1のバリア層に関する。
【0047】
第2のバリア層は、少なくとも1種の親水性ポリマーを含む。このバリア層は、好ましくは酸素のバリア層として働き、したがって、包装された製品を酸化から保護する。
【0048】
親水性ポリマーは好ましくは、ポリビニルアルコールに基づくポリマーを含む。適したポリマーの例は、特に、ビニルアルコールに基づくポリマーまたはエチレンおよびビニルアルコールのコポリマーである。
【0049】
適したポリマーは、特に商品名Exceval AQ 4104、Exceval HR 3010、Sealcoat HS 25およびMichemFlexB 1001で公知である。
【0050】
少なくとも1種の親水性ポリマーは、第2のバリア層の総重量に対して好ましくは1~100重量%の、特に好ましくは50~99.5重量%、または50~100重量%の量で第2のバリア層内に含まれる。
【0051】
第2のバリア層は全体として、好ましくは親水性である。
【0052】
第2のバリア層は、増粘剤、例えばアクリレートベースの増粘剤、界面活性剤、例えばスルホサクシネート、伸長レオロジー助剤、ならびに/またはアルデヒドおよび多価アルデヒドなど、架橋剤、ジルコネート、多価エポキシド、エピクロルヒドリン樹脂ならびに/または水素酸などの添加剤を含んでもよい。
【0053】
これらの添加剤は、好ましくは、それぞれの場合において第2のバリア層の総重量に対して0.1~1重量%の量で含まれる。
【0054】
第2のバリア層の適用量は、好ましくは1~20g/m、特に好ましくは1~10g/mである。量は、最終製品中の乾燥した第2のバリア層に関する。
【0055】
第3のバリア層は、少なくとも1種の疎水性ポリマーを含む。このバリア層は、好ましくは水蒸気のバリア層として働き、したがって、包装された製品を乾燥から保護する。乾燥した包装内容物の場合、これらは水分から保護される。加えて、それは、内側からの水分から親水性のバリアを保護するのに役立ち、その理由は、これが乾燥状態でのみその最大効果をもたらすことができるからである。
【0056】
第3のバリア層内に含まれる少なくとも1種の疎水性ポリマーは、好ましくは熱可塑性ポリマーであり、それゆえ、したがって層はヒートシール可能である。
【0057】
本発明によるコート紙は、したがって、さらなる好ましい実施形態において第3のバリア層がヒートシール可能であることを特徴とする。この目的のために、第3のバリア層は好ましくは、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含む。
【0058】
本発明によるコート紙は好ましくは、1.5N/15mm~10N/15mmのシールシーム強度を有し、ここで、コート紙のシールシーム強度は以下のように決定された。
【0059】
コート紙は、紙ウェブの方向に対して横方向に100℃~200℃の温度範囲内で3.3barで0.3秒間シールされ、シールシーム強度は、DIN 55529(2012)にしたがって決定された。
【0060】
用語「ヒートシーリング」は、好ましくは局所加熱によるコート紙の2つの層の接続を意味すると理解される。
【0061】
少なくとも1種の疎水性ポリマーは好ましくは、ポリアクリレートおよび/またはポリオレフィン、スチレン-ブタジエンコポリマー、ポリ酢酸ビニル(部分的にけん化されたものも)、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリエチレンイミン、および/またはポリビニルアミドに基づくポリマーを含む。適したポリマーの例は、特に、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(n-、iso-、tert.-)ブチルアクリレート、ポリ(n-、iso-、tert.-)ブチルメタクリレート、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリエチルヘキシルアクリレートおよびそれらのコポリマー、グラフトポリマー、ならびにスチレン、アクリロニトリル、メチルスチレンまたはビニルトルエンとのコポリマーである。
【0062】
疎水性ポリマーに加えて、ワックスが提供されてもよい。適したワックスは、口語的に「ワックス」と呼ばれる、化石もしくは天然短鎖~中鎖炭化水素、それらの酸、エステル、アミドおよびジアミドの混合物または純物質などの化合物を含む。適したワックスは、例えば、ヘンエイコサン、ドコサン、トリコサン、テトラコサン、ペンタコサン、ヘキサコサン、ヘプタコサン、オクタコサン、ノナコサン、トリアコンタン、ヘントリアコンタン、ドトリアコンタン、トリトリアコンタン、テトラトリアコンタン、ペンタトリアコンタン、ヘキサトリアコンタン、ヘプタトリアコンタン、オクタトリアコンタン、ノナトリアコンタン;モンタンワックス、天然ワックス(カルナウバワックス、ミツロウ、キャンデリラワックス)、植物油および動物油もしくは脂肪の水素化または部分水素化により生産されたワックス、およびステアリン酸Caなど、金属石けんである。
【0063】
適したポリマーおよびポリマー/ワックス混合物は、特に商品名Vapor Coat 1300、BimBA 8888、Cartaseal SWF、Sealcoat SL251、Rhobarr 320、B-Coat SP1、B-Coat WB 100、B-Coat 50/3、Chemipearl S300、Ultraseal W-951、Ultraseal W-952、Wukoseal 630、EurikaCoat 3624およびEpotal SP 106で公知である。
【0064】
少なくとも1種の疎水性ポリマーは、第3のバリア層の総重量に対して好ましくは1~100重量%の、特に好ましくは50~100重量%、または50~99.5重量%の量で第3のバリア層内に含まれる。
【0065】
第3のバリア層は全体として、好ましくは疎水性である。
【0066】
第3のバリア層は、増粘剤、例えばアクリレートベースの増粘剤、界面活性剤、例えばスルホサクシネート、伸長レオロジー助剤、例えばアクリレートベースの伸長レオロジー助剤、脂肪酸または脂肪酸アミドベースのワックスなどのワックス、フィロシリケート、特にケイ酸マグネシウム水和物またはアルミノシリケートなど、摩耗に対する感受性を減少させ、かつスリップを増加させるための添加剤、ならびに/またはアルデヒドおよび多価アルデヒドなど、架橋剤、ジルコネート、多価エポキシド、エピクロルヒドリン樹脂ならびに/または水素酸などの添加剤を含んでもよい。
【0067】
これらの添加剤は、好ましくは、それぞれの場合において第3のバリア層の総重量に対して0~50重量%、好ましくは0~30重量%の量で含まれる。
【0068】
第3のバリア層の適用量は、好ましくは1~20g/m、特に好ましくは5~10g/mである。量は、最終製品中の乾燥した第3のバリア層に関する。
【0069】
特定の実施形態において、包装された内容物が水に加えて脂肪を含む場合、第3のバリア層は、高脂肪食品との接触が許容される最少量を除いて、いかなる低分子の脂溶性成分も含むべきではない。したがって、水蒸気バリアを改善するためのワックスは大部分が排除され、ワックスがなくても許容される水蒸気バリアを形成し、理想的なシナリオではヒートシール可能であるポリマー系が使用されなければならない。この目的に適しているのは、例えば、水蒸気バリアに加えて一定のグリースバリアも有する、アクリル酸および他のエチレン性不飽和カルボン酸とエチレンなど、非極性モノマーのコポリマーである。公知の製品は、例えば、Cartaseal SWF、Wukoseal 630およびSealcoat SL 251である。
【0070】
しかし、酸素、グリースおよび鉱油バリアとしてのその機能を有する第2のバリア層はまた、強い非極性の特徴を一般に有するワックスに対して優れたバリアを形成するため、第1のバリア層はワックスを含んでよい。
【0071】
本発明によるコート紙のさらなる好ましい実施形態において、少なくとも1種の無機顔料およびポリマーバインダーを含むプレコートが原紙と第1のバリア層の間に設けられている。
【0072】
無機顔料は、特にシリケート、好ましくはフィロシリケート、特に非常に好ましくはカオリンを含む。
【0073】
ポリマーバインダーは好ましくは、ポリアクリレートに基づくポリマーバインダーを含む。
【0074】
適したポリマーバインダーの例は、特に、アクリレートベースまたはスチレンベース/ブタジエンベースのバインダーである。原則として、紙産業において顔料コーティングのためのバインダーとして使用することができるすべてのポリマーが適している。デンプンベースのバインダーも可能である。
【0075】
適したポリマーバインダーは、特に商品名Acronal 305S、Ligos K 4079、Acronal S 728、XZ94346.01、XZ94346.00で公知である。
【0076】
プレコートは好ましくは、1~70重量%、好ましくは5~50重量%のポリマーバインダーを含む。量は、最終製品中の乾燥したプレコートに関する。
【0077】
プレコートはさらに好ましくは、50~95重量%、好ましくは80~90重量%の無機顔料を含む。量は、最終製品中の乾燥したプレコートに関する。
【0078】
加えて、プレコートは、増粘剤、例えばアクリレートベースの増粘剤、界面活性剤、および/またはレオロジー調整剤など、添加剤を含んでもよい。架橋剤の使用も考えられる。好ましくは、プレコートは、ジルコニウムベースの架橋剤を含み、かつホルムアルデヒドでそれ自体架橋されている。
【0079】
これらの添加剤は、好ましくは、それぞれの場合において0~2重量%の量で含まれる。量は、最終製品中の乾燥したプレコートに関する。
【0080】
プレコートの適用量は、好ましくは1~10g/m、特に好ましくは2~6g/mである。量は、最終製品中の乾燥したプレコートに関する。
【0081】
そのようなプレコート(プライマーとも呼ばれる)が適用される場合、これは、例えば、紙表面がシールされ、その上にコートされたさらなるバリア層が紙内に移動しないという利点を有する。さらに、このプレコートは、適用されたバリア層が最適に形成することができるように、原紙の平均粗さ深さを減少させ、かつ有利な「ホールドアウト」を与え、それは、表面全体を覆う適用および定義された表面エネルギーにより区別される。加えて、プレコートは原紙とバリア層の間のプライ接着を媒介し、それはその後のシーリング適用に重要であり得る。
【0082】
本発明によるコート紙は、さらなる好ましい実施形態において、少なくとも1種の熱可塑性ポリマーを含むシーリング層が第3のバリア層上に設けられていることを特徴とする。
【0083】
そのようなシーリング層は、特に、第3のバリア層内の少なくとも1種の疎水性ポリマーが熱可塑性ポリマーを含まない、すなわちヒートシール可能ではない場合、得策である。
【0084】
シーリング層は好ましくは、ポリアクリレート、スチレン/ブタジエンコポリマーおよび/またはポリオレフィンに基づく熱可塑性ポリマーを含む。
【0085】
適したポリマーの例は、特に、アクリレート、ポリ(メタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(n-、iso-、tert.-)ブチルアクリレート、ポリ(n-、iso-、tert.-)ブチルメタクリレート、ポリ(シクロヘキシルメタクリレート)、ポリエチルヘキシルアクリレートおよびそれらのコポリマー、グラフトポリマー、ならびにスチレン、アクリロニトリル、メチルスチレンまたはビニルトルエンとのコポリマーである。
【0086】
適したポリマーは、特に商品名Vapor Coat 1300、BimBA 8888、Cartaseal SWF、Rhobarr 320、B-Coat WB 100、B-Coat 50/3、Chemipearl S300、Ultraseal W-952、Wukoseal 630、EurikaCoat 3624、Epotal SP 106、Hypod 2000、Extomine BS-OF 40%、Aquaseal X2200、Cartaseal SCR、CHT Coat 8080、Sealcoat MB46HEおよびExtomine BG-EM 48%で公知である
【0087】
少なくとも1種の熱可塑性ポリマーは、シーリング層の総重量に対して好ましくは1~100重量%の、特に好ましくは70~100重量%の、または70~99.5重量%の量でシーリング層内に含まれる。
【0088】
シーリング層は、増粘剤、例えばアクリレートベースの増粘剤、界面活性剤、例えばスルホサクシネート、伸長レオロジー助剤、例えばアクリレートベースの伸長レオロジー助剤、ワックス、フィロシリケート、特にケイ酸マグネシウム水和物またはアルミノシリケートなど、摩耗に対する感受性を減少させ、かつスリップを増加させるための添加剤、および/または架橋剤などの添加剤を含んでもよい。
【0089】
これらの添加剤は、好ましくは、それぞれの場合においてシーリング層の総重量に対して0~50重量%、好ましくは0~30重量%の量で含まれる。
【0090】
プレコートの適用量は、好ましくは1~10g/m、特に好ましくは1~5g/mである。量は、最終製品中の乾燥したシーリング層に関する。
【0091】
本発明によるコート紙は好ましくは、1.5N/15mm~10N/15mmのシールシーム強度を有し、ここで、コート紙のシールシーム強度は以下のように決定された。
【0092】
コート紙は、紙ウェブの方向に対して横方向に100℃~200℃の温度範囲内で3.3barで0.3秒間シールされ、シールシーム強度は、DIN 55529(2012)にしたがって決定された。
【0093】
本発明によるコート紙は、好ましくは、接着促進剤が個々のバリア層の間で使用されないことを特徴とする。接着促進剤は、ここで特に、特定のバリア層の互いの接着を保証または向上するために個々のバリア層の間に適用される物質を意味すると理解される。
【0094】
本発明によるコート紙は、追加的に好ましくは、コート紙がハロゲン含有化合物を含まないことを特徴とする。特に、3つのバリア層はハロゲン含有化合物を含まない。加えて、プレコートおよび/またはシーリング層は同様にハロゲン含有化合物を含まない。
【0095】
本発明によるコート紙は、コート紙が、いかなるアルミニウム、Alおよび/またはSiO層も含まず、特に純物質としてのアルミニウム、Alおよび/またはSiOを含まないことも特徴とする。
【0096】
本発明によるコート紙は、第1、第2および/または第3のバリア層が、いかなるアルミニウム、Alおよび/またはSiO層も含まず、かつ/または特に純物質としてではなく、アルミニウム、Alおよび/またはSiOを含まないことも特徴とする。
【0097】
さらに、シーリング層は、好ましくは、それが、特に純物質としてではなく、いかなるアルミニウム、Alおよび/またはSiOも含まないか、またはそれらからならないことを特徴とする。
【0098】
本発明によるコート紙は、公知の生産方法を使用して得ることができる。
【0099】
しかし、第1、第2および第3のバリア層の出発材料を含む水性懸濁液が原紙に連続的に適用され、水性適用懸濁液が10~60重量%、好ましくは30~50重量%の固体含有量を有し、かつ少なくとも200m/分のコーティングプラントの運転速度でカーテンコーティングプロセスにより適用される方法により本発明による記録材料を得ることが好ましい。
【0100】
この方法は、経済的観点から、かつ紙ウェブ上全体にわたる一様な適用のために特に有利である。
【0101】
固体含有量の値が約10重量%を下回る場合は、大量の水が穏やかな乾燥によって短時間で除去されなければならず、それはコーティング速度に対して有害な影響を有するため、経済効率が悪化する。一方、60重量%の値を超える場合は、これは、機械がこの場合もやはり非常に高速に運転しなければならないため、コーティングプロセス中のコーティングカーテン材料の安定性および適用された皮膜の乾燥を保証するためのいっそうの技術的努力につながるだけである。
【0102】
カーテンコーティングプロセスでは、コーティング分散物の自由落下カーテンが形成される。薄皮膜(カーテン)の形態であるコーティング分散物は、コーティング分散物を基材に適用するために基材上に自由落下により「注がれる」。文書DE10196052T1は、情報記録材料の生産におけるカーテンコーティングプロセスの使用を開示しており、ここで、多層記録層は、複数のコーティング分散物皮膜からなるカーテンを基材に適用することにより実現される。
【0103】
「ダブルカーテン」が使用される本発明による方法の実施形態も考えられる。これは、2つの連続するバリア層が直ちに連続的に適用されることを意味する。適用は、ここで、第2のバリア層が適用される前に第1の適用層がまだ乾燥しないように直ちに連続的に実施される。したがって、2つの層は、好ましくは「ウェットオンウェットで」適用される。
【0104】
カーテンコーティングプロセスに関するすべての定義がダブルカーテンコーティングプロセスに同様に当てはまる。
【0105】
本発明による方法は、好ましくは、第1および第2または第2および第3のバリア層がダブルカーテンコーティングプロセスによりウェットオンウェットで直ちに連続的に適用されることを特徴とする。
【0106】
ダブルカーテンコーティングプロセスによるウェットオンウェット適用の利点は、2つのバリア層が、より強い接合を有し、かつ特にその間に配置される接着促進剤を省くことが可能であることである。
【0107】
本発明による方法の好ましい実施形態において、脱気された水性適用懸濁液は、約100~約800mPas(ブルックフィールド、100rpm、20℃)の粘度を有する。粘度が約100mPasの値を下回るか、または約800mPasの値を超える場合、これは、コーティングユニットにおいてコーティング媒体の乏しい運転可能性につながる。脱気された水性適用懸濁液の粘度は、特に好ましくは約200~約500mPasである。ダブルカーテンプロセスにおける連続するコーティング媒体の粘度は、底部から上部に向かって低下すべきである。不正確に設定されたコーティングの場合、カーテンが接触する点におけるヒールの形成の可能性が増大し、「濡れ不良」の発生も増加する。
【0108】
好ましい実施形態において、水性コーティング懸濁液の表面張力を約25~約70mN/mに、好ましくは約35~約60mN/mに(以下で説明するように、気泡圧力張力測定の規格(ASTM D 3825-90)にしたがって測定される)設定して、プロセスを最適化することができる。コーティングプロセスのより良い制御は、コーティング材料の動的表面張力を決定し、ならびに適切な界面活性剤を選択することにより、かつ界面活性剤の必要量を決定することにより目標を定めてそれを調整することにより得られる。
【0109】
動的表面張力は気泡圧力張力計により測定される。液体中の毛細管を介して形成されるガス気泡の最大内圧が測定される。球形のガス気泡の内圧p(ラプラス圧)は、ヤング-ラプラス式にしたがって曲率半径rおよび表面張力σによって決まる:
【0110】
【数2】
【0111】
ガス気泡が液体中の毛細管の先端で形成される場合、曲率がまず増加し、次いで、再び減少し、圧力最大値を結果として生じる。曲率半径が毛細管半径に等しいとき、最大曲率、したがって最大圧力が出現する。
【0112】
気泡圧力測定中の圧力曲線、圧力最大値の位置:
毛細管の半径は参照測定により決定され、それは、公知の表面張力の液体、通常は水を用いて行われる。半径がその時公知である場合、表面張力を圧力最大値pmaxから計算することができる。毛細管は液体に浸漬されるため、測定された圧力から静水圧p0(浸漬深さおよび液体の密度の結果生じる)を引かなければならない(最近の測定器の場合、これは自動的に行われる)。これは、結果として以下の気泡圧力法の式を生じる:
【0113】
【数3】
【0114】
測定値は、気泡形成の開始から圧力最大値の出現までの時間である一定の表面寿命における表面張力に対応する。気泡が生成する速度を変化させることにより、表面寿命に対する表面張力の依存性を記録することができ、表面張力が経時的にプロットされた曲線を結果として生じる。
【0115】
時には低い界面活性剤の拡散速度および吸着速度のために多くのプロセスにおいて界面張力の平衡値は全く達成されないため、この依存性は界面活性剤の使用にとって重要な役割を果たす。
【0116】
ダブルカーテンにおける連続するコーティング媒体は、さもなければ濡れ不良が発生することがあるため、底部から上部に向かって低下する表面張力を有するべきである。差がごく小さければ交差する表面張力曲線も機能することがあるが、これは好ましくない。
【0117】
個々のバリア層は、オンラインで、またはオフラインで別々のコーティングプロセスにおいて形成され得る。
【0118】
さらなる実施形態において、個々のバリア層を、以下の方法を使用して原紙に適用することもできる。
【0119】
個々のバリア層は、印刷法により原紙に、かつ/または既存の他のバリア層に適用することができる。
【0120】
個々のバリア層は、複数の押出(3~4種の異なるポリマー溶融物)により原紙に、かつ/または既存の他のバリア層に適用することができる。
【0121】
したがって、この技法は、はるかに多くのバリア材料を適用することができるという利点を有するが、これは、製品全体が紙としてリサイクル可能である必要がない場合のみ関心がもたれる。一方、不利な点は、より低い適用速度、より高いエネルギー消費、およびより大きい最小適用重量である。
【0122】
個々のバリア層は、紙を、例えば、原紙に、かつ/または既存の他のバリア層に適用されたプラスチック材料皮膜の形態でラミネートすることにより適用され得る。
【0123】
個々のバリア層は、複数の適用ステップにわたって連続的に適用され得る。この目的のために、上へのコーティングのために、様々なプロセスによって乾燥したコーティングの表面エネルギーを増加させることが必要となる可能性がある。これらのプロセスは、例えば、コロナまたはプラズマ処理ならびに火炎処理、UV処理または化学的活性化プロセスを含む。
【0124】
他の実施形態において、本発明による方法は、好ましくは、個々のバリア層が原紙に、かつ/または既存の他のバリア層に金属または金属酸化物の蒸着により適用されないことを特徴とする。
【0125】
上記の方法のいかなる組合せも可能である。
【0126】
本発明はさらに、上記の方法により得ることができるコート紙に関する。
【0127】
本発明は、上記のようなコート紙の、または包装材料としての上記の方法によって得ることができるコート紙の使用にも関する。
【0128】
最後に、本発明は、包装材料としての、上記のようなコート紙の、または上記の方法によって得ることができるコート紙の、食品のための、特に、肉および乳製品など、高脂肪および酸化感受性食品のための使用にも関する。
【0129】
本発明のさらなる好ましい実施形態において、本発明によるコート紙は、特にラミネーションまたは接着により厚紙または板紙に適用される。
【0130】
最後に、本発明は、本発明によるコート紙が、食品のための、特に、肉および乳製品など、高脂肪および酸化感受性食品のための包装材料として厚紙または板紙に、特にラミネーションまたは接着により適用される複合材の使用にも関する。
【0131】
このようにして、コート紙と比較して厚紙または板紙の増加した強度および剛性など、両方の材料構成要素の利点、ならびにコート紙の記載された利点を有する包装材料を単純かつ経済的な方法で生産することができる。適用は、例えば、デンプンを使用して実施することができる。
【0132】
したがって、好ましくは、コート紙は、厚紙または板紙に基づく包装材料の構成要素である。
【0133】
本発明によるこれらの包装材料を用いて、肉、魚またはチーズなど、より重い食品を特に、安全に包装し、かつ小売店において直立型包装の形態で顧客に魅力的に提示することができる。
【0134】
これらの包装材料は好ましくは、95重量%超の均一な材料タイプ紙、厚紙または板紙の質量分率を有する。ここで、本発明のさらなる利点は、本発明によるこれらの包装材料がGerman Packaging Actの§3(5)による複合材包装ではないことであり、したがって、本発明のこの実施形態は、環境に対する包装廃棄物の影響を低減することに著しく寄与する。
【0135】
本発明を非限定的な例に基づいて以下で詳細に説明する。
【0136】
説明に記載される材料および例において使用される材料を、それらの商品名および関連する製造者と共に以下の表にまとめる。
【0137】
【表1】
【実施例
【0138】
以下のコーティングを40%長繊維および60%短繊維含有量の60g/m原紙に適用した。
【0139】
プレコート/プライマー:
プレコートは、75.9%顔料(Capim NP)、22.8%ラテックス(Ligos K4079)および1.3%レオロジー調整剤(0.2% Acroflex VX559、1.1% Auerzirc PZCS20)を含む。
【0140】
バリア層1:
V1+V2:第1のバリア層は、99.05%スチレン/ブタジエンコポリマー(CHT Coat 230)および0.95%レオロジー調整剤(0.1% Sterocoll DF3;0.15% Acroflex VX559;0.7% Aerosol OT 70 PG)を含む。
【0141】
V3+V4+V5:第1のバリア層は、99.3%ポリマー(BimBA 8510)および0.7%レオロジー調整剤(0.7% Aerosol OT 70 PG)を含む
【0142】
バリア層2:
第2のバリア層は、グリオキサールと混合された99.5%ポリビニルアルコールを含む(V 1+2:MFB 1000;V3:MFB 1001)。残りの0.5%は、レオロジー調整剤(0.1% Sterocoll DF3;0.4% Aerosol OT 70 PG)を含む。
【0143】
バリア層3:
V1+V2+V3:第3のバリア層は、98.74%スチレン/ブタジエンコポリマー(Ultraseal W-952)および1.26%レオロジー調整剤(0.08% Sterocoll DF3;0.69% Acroflex VX559;0.49% Aerosol OT 70 PG)を含む。
【0144】
V4+V5:第3のバリア層は、97.74%エチレン/アクリル酸コポリマー(Wukoseal(uはuウムラウトである。) 630)および2.26%レオロジー調整剤(0.18% Sterocoll DF3、0.08% Acroflex VX559、0.25% Aerosol OT 70 PG、1.66% Metolat 368、0.10% Genapol PF10)を含む。
【0145】
この目的のために、ブレードを使用してプレコートを適用した。第1および第2のバリア層をダブルカーテンプロセスにおいて適用した。第3のバリア層をシングルカーテンとして適用した。
【0146】
【表2】
【表2A】
【0147】
本発明によるコート紙を商業的に入手できる紙と比較した(以下の表参照)。
【0148】
【表3】
【0149】
【表4】
【0150】
例V4およびV5:
V4:
V3+第3のバリア層が、避けられないか、または容認される不純物を除いて、食品との直接接触が許容されない物質、特に、パラフィン、特に硬パラフィン、ワックス、特にマイクロクリスタリンワックス、低分子ポリオレフィン、ポリテルペン、およびそれらの混合物、ならびに植物もしくは動物から得られるワックスまたは植物油/脂肪もしくは動物油/脂肪から生産されたワックスの群から選択される物質を含まないこと。
【0151】
V5:
V4と類似して、ただし第3のバリア層の適用重量の半分。
【0152】
Algro Guard OHG:材料は、ケイ酸アルミニウムに基づくプレコートおよびそれに適用されたPVDCコーティング 8μm厚を有する。酸素およびヘキサンに対する透過度は、本発明による例V1~V3と同様である;水蒸気に対する透過度は、さらにわずかにより良い。得られたシーリング力は、本発明による例の範囲内にある。しかし、材料がバリア媒体としてPVDCを含むことは大きく不利な点と見なされる。これは、生態学的な観点から正当化され得ない。
【0153】
Algro Finess/PET:これは、20μm PE/PETでコートされた紙である。アクリレート-co-アクリロニトリルを接着促進剤またはプレコートとして使用した。水蒸気透過度およびシーリング力は、本発明による例と同等であるが、ヘキサンおよび酸素透過度は非常に高い。
【0154】
Algro Finess/PETmet:材料は、金属化PEまたはPETでコートされた紙である。これは当然ながら、金属化のために非常に良好なバリアを有する。本発明による例との主な違いは、経済的および生態学的な観点から非常に不利であると見なされる金属化である。
【0155】
Barricote BAG WG:材料は初めに粘土含有プレコートを、次いで、ポリ(エチレン-co-アクリル酸)による機能性コーティングを有する。水蒸気透過度は、例V1~V3の1.7~4倍の間にあり;シーリング力はまた、「Shieldplus 1」と同じレベルにあり、したがって、本発明による例におけるよりも27~50%低い。
【0156】
SealSilk:SealSilkは、Barricote BAG WGと同様に構成されている。ここで、スチレン/ブタジエンラテックスによるGCCのコートを初めに適用し、次いで、それにポリ(エチレン-co-アクリル酸)分散物を適用した。この材料のシーリング力は、依然として本発明による例V1~V3のものを約1N/15mm下回った。すべての透過速度(WVTR、OTR、HVTR)は、本発明による例のものをはるかに下回る。
【0157】
ShieldPlus 1:材料「ShieldPlus 1」は、単純なPEコーティングを有する。3.5N/15mmにおいて、これは、本発明による例よりも27~50%弱くシールする。さらに、材料の酸素透過度は非常に高い。材料のヘキサン透過度は調べなかったが、特に高いと予想されない。水蒸気バリアは良好であり、それは明らかにPEに起因し得る。
【0158】
「ShieldPlus 2-4」 「ShieldPlus 2-4」はスチレン/ブタジエンコートおよびPVOHコートからなり;加えて、一方または両方のコートは粘土を含む。これらの材料の水蒸気およびヘキサン透過度は、本発明による例の範囲内(V3とV1の間のWVTR)であるが、酸素透過度は非常に高く、したがって、材料は感受性食品に不適当である。さらに、材料はヒートシール可能ではない。