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特許7605973ピリミジンホルムアミド化合物及びその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-12-16
(45)【発行日】2024-12-24
(54)【発明の名称】ピリミジンホルムアミド化合物及びその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 491/107 20060101AFI20241217BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 1/02 20060101ALI20241217BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20241217BHJP
   A61K 31/506 20060101ALI20241217BHJP
【FI】
C07D491/107 CSP
A61P37/06
A61P29/00
A61P37/08
A61P3/00
A61P31/00
A61P11/00
A61P9/00
A61P13/12
A61P17/00
A61P1/16
A61P1/00
A61P7/00
A61P1/02
A61P1/04
A61K31/506
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023518317
(86)(22)【出願日】2021-09-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-05
(86)【国際出願番号】 CN2021120070
(87)【国際公開番号】W WO2022063197
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-03-20
(31)【優先権主張番号】202011020721.0
(32)【優先日】2020-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111095465.6
(32)【優先日】2021-09-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522116410
【氏名又は名称】上海美悦生物科技発展有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI MEIYUE BIOTECH DEVELOPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】3333 SHENJIANG ROAD, BUILDING 1, FLOOR 5, BLOCK A, PUDONG NEW DISTRICT, SHANGHAI 200120, PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】姚元山
(72)【発明者】
【氏名】野国中
(72)【発明者】
【氏名】▲欒▼林波
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼永▲凱▼
(72)【発明者】
【氏名】王朝▲東▼
【審査官】早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-524716(JP,A)
【文献】国際公開第2020/119896(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/123426(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/114947(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61P
A61K 31/
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩であって、
前記ピリミジンホルムアミド化合物は、下記の条件で保持時間が8.483分の化合物
【化1】
:キラルクロマトグラフィーで分離、クロマトグラフィーカラム:CHIRALPAK AD-H、250×4.6mm、5um、カラム温度:35℃、流速:0.4mL/分、波長:254nm、勾配:A:n-ヘキサン、B:イソプロパノール、A:B=1:4、実行時間:50分;
であることを特徴とする、ピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩
【請求項2】
請求項1に記載のピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される補助剤を含む、医薬組成物。
【請求項3】
Vanin-1阻害剤の製造における、請求項1に記載のピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項4】
医薬の製造における、請求項1に記載のピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩の使用。
【請求項5】
前記医薬は、Vanin-1に関連する疾患の予防及び/又は治療のために使用される、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記Vanin-1に関連する疾患は、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー性疾患、代謝性疾患、感染性疾患、繊維性疾患、心血管疾患、呼吸器疾患、腎臓疾患、皮膚疾患、肝臓疾患、消化器疾患、口腔疾患及び造血器疾患の1つ又は複数を含む、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
前記医薬は、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー性疾患、代謝性疾患、感染性疾患、繊維性疾患、心血管疾患、呼吸器疾患、腎臓疾患、皮膚疾患、肝臓疾患、消化器疾患、口腔疾患及び造血器疾患の1つ又は複数の予防及び/又は治療のために使用される、請求項4に記載の使用。
【請求項8】
前記医薬は、クローン病、潰瘍性大腸炎及び炎症性腸疾患、及び胃炎の1つ又は複数の予防及び/又は治療のために使用される、請求項7に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本出願は出願日が2020年9月25日である中国特許出願2020110207210及び出願日が2021年9月17日である中国特許出願2021110954656の優先権を主張する。本出願は上記の中国特許出願の全文を引用する。
【0002】
[技術分野]
本発明は、ピリミジンホルムアミド化合物及びその使用に関する。
[背景技術]
Vanin-1(血管非炎症性分子-1)は、ユビキチナーゼ活性を持つエキソヌクレアーゼであり、主にパンテテインの加水分解を触媒してパントテン酸(pantothenic acid、VB5)とメルカプトエチルアミンを生成する。VB5によって合成されるコエンザイムA(CoA)は、脂肪酸の合成と酸化、及びエネルギー代謝などの生体内変化を調節し、メルカプトエチルアミンとシスタミンの間の可逆反応は、酸化ストレスの重要なセンサーである。ますます多くの研究により、メルカプトエチルアミンの欠乏又はレベル低下はγ-GCS活性を増強させ、組織内の内因性GSH貯蔵の増加につながり、組織の炎症を予防又は除去することができる。研究により、Vanin-1のmRNAは、ヒトの結腸、十二指腸、子宮内膜、肝臓、腎臓、胆嚢及び小腸で高度に発現していることが分かった。UC(潰瘍性大腸炎)患者において、Vanin-1の発現は高く、拡散しており、ブラシボーダーに限定される。また、結腸におけるVanin-1の発現レベルは、UCの臨床的静止期の間、対照群の発現レベルよりも依然として有意に高かった。TNBSモデル実験において、Vanin-1ノックアウトマウス(Vanin-1-/-)の生存率は、モデル対照群の生存率よりも有意に高く、有意な体重減少はなかった。更に、90%のシスタミンで処理したVanin-1-/-マウスは5日以内に死亡し、これはシスタミンが大腸炎に対するVanin-1欠乏症の保護効果を完全に逆転させたことを示している。また、マウスの組織病理学的分析により、Vanin-1の阻害又はノックアウトがマウス結腸の病変を有意に改善できることが分かったBerruyer C ,et al., Vanin-1-/-mice exhibit a glutathione mediated tissue resistance to oxidative stress. Mol. Cell Biol. 2004;24: 7214-7224;Berruyer C, et al. Vanin-1 licenses inflammatory mediator production by gut epithelial cells and controls colitis by antagonizing peroxisome proliferator-activated receptorγactivity. J. Exp. Med. 2006;203: 2817-2827)。
【0003】
更に、Vanin-1は心血管疾患及び腫瘍疾患において調節的役割を果たすと考えられている。研究により、Vanin-1が体外での平滑筋細胞の活性化、及び体内での頸動脈結紮に応答した新生内膜過形成の発生を調節することが実証されている。VNN1遺伝子の多型は、血圧及びHDLレベルに関連している。SF-1トランスジェニックマウスにおいて、Vanin-1の欠乏はマウスが副腎皮質の腫瘍に発症することを防ぎ、特定の癌におけるVanin-1の役割を示している。炎症性疾患における研究により、Vanin-1は正常な個体と比較して乾癬性皮膚病変で高度に上昇調節されていることが示されている。VNN1の遺伝子発現は、小児免疫性血小板減少症(ITP)患者の全血でも上昇調節され、ここで、VNN1の過剰発現は慢性ITPの進行と関連している。更に、Vanin-1の上昇は、全身性エリテマトーデス、腎毒性物質(nephrotoxicant)誘発性腎障害及び2型糖尿病を含む様々な腎障害の患者の尿で検出されている(Rommelaere S, et al. PPARalpha regulates the production of serum Vanin-1 by liver. FEBS Lett.2013 Nov 15;587(22):3742-8)。
【0004】
[発明の概要]
本発明によって解決されるべき技術的問題は、先行技術におけるVanin酵素ベースの治療剤の欠如を克服し、ピリミジンホルムアミド化合物及びその使用を提供することである。本発明により提供されるピリミジンホルムアミド化合物は、Vanin酵素阻害活性を有する化合物であり、強力なVanin-1阻害活性を有し、クローン病及び潰瘍性大腸炎を含む様々な疾患の治療に使用できる。
【0005】
本発明は、下記の技術的解決策を通じて上記の技術的問題を解決する。
本発明は、式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
【化1】
【0007】
ただし、nは、0、1、2又は3であり、
は、独立してハロゲン、C~Cアルキル、1つ又は複数のR1aにより置換されたC~Cアルキルであり、
は、-(CR6a6b)-又は-(NR6c)-であり、Zは、連結結合であり、又は、Zは、連結結合であり、Zは、-(CR7a7b)-であり、
は、連結結合又は-(CR8a8b)-であり、
は、独立してHであり、
6a、R6b、R7a及びR7bは、独立してH、ハロゲン又はC~Cアルキルであり、
6cは、独立してH又はC~Cアルキルであり、
3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R8a及びR8bは、独立してH、ハロゲン、C~Cアルキル、1つ又は複数のR1cにより置換されたC~Cアルキル、-(NR9a9b)又は-(NR10a)-(C=O)-R10bであり、
又は、R4a及びR4b、又は、R4a及びR5a、又は、R4a及びR8aは、それらと結合された炭素と共に環Bを形成し、環Bは、4~7員シクロアルキル、4~7員ヘテロシクロアルキル、1つ又は複数のR1dにより置換された4~7員シクロアルキル又は1つ又は複数のR1eにより置換された4~7員ヘテロシクロアルキルであり、前記4~7員ヘテロシクロアルキル及び1つ又は複数のR1eにより置換された4~7員ヘテロシクロアルキルにおける4~7員ヘテロシクロアルキルにおいて、ヘテロ原子は、N、O又はSであり、ヘテロ原子の数は1又は2個であり、
1a、R1c、R1d及びR1eは、独立してハロゲン、C~Cアルキル又は1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC~Cアルキルであり、
9a、R9b、R10a及びR10bは、独立してH、C~Cアルキル又は1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC~Cアルキルであり、
Aは、フェニル又は6員ヘテロアリールであり、前記6員ヘテロアリールにおいて、ヘテロ原子は、Nであり、ヘテロ原子の数は1又は2個であり、
【0008】
【化2】
は、単結合又は二重結合を表す。
【0009】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩における特定の基は下記で定義された通りであり、言及されていない基は本出願のいずれかの実施の態様で記載した通りであり(以下、「いくつかの実施の態様において」と言う)、nは、0又は1である。
【0010】
いくつかの実施の態様において、
は、-(CR6a6b)-であり、Zは、連結結合である。
いくつかの実施の態様において、
6a及びR6bは、独立してH又はハロゲンである。
【0011】
いくつかの実施の態様において、
7a及びR7bは、独立してHであり、即ちZは、-(CH)-である。
いくつかの実施の態様において、
は、-(CR8a8b)-である。
【0012】
いくつかの実施の態様において、
3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R8a及びR8bは、独立してH、C~Cアルキル、-(NR9a9b)又は-(NR10a)-(C=O)-R10bである。
【0013】
いくつかの実施の態様において、
3a及びR3bは、独立してHである。
いくつかの実施の態様において、
5a及びR5bは、独立してHである。
【0014】
いくつかの実施の態様において、
4a及びR4bは、独立してH、C~Cアルキル、-(NR9a9b)又は-(NR10a)-(C=O)-R10bである。
【0015】
いくつかの実施の態様において、
4aは、独立してC~Cアルキル、-(NR9a9b)又は-(NR10a)-(C=O)-R10bであり、
4bは、独立してH又はC~Cアルキルである。
【0016】
いくつかの実施の態様において、
4a及びR4b、又は、R4a及びR5a、又は、R4a及びR8aは、それらと結合された炭素と共に環Bを形成し、
例えば、環Bは、4~7員シクロアルキル、4~7員ヘテロシクロアルキル、1つ又は複数のR1dにより置換された4~7員ヘテロシクロアルキルである。
【0017】
いくつかの実施の態様において、
8a及びR8bは、独立してHであり、即ちZは、-(CH)-である。
いくつかの実施の態様において、
1a、R1c、R1d及びR1eは、独立してハロゲン又はC~Cアルキルである。
【0018】
いくつかの実施の態様において、
1aは、独立してハロゲンであり、例えば、Fである。
いくつかの実施の態様において、
1eは、独立してC~Cアルキルである。
【0019】
いくつかの実施の態様において、
9a、R9b、R10a及びR10bは、独立してC~Cアルキル又は1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC~Cアルキルである。
【0020】
いくつかの実施の態様において、
Aは、6員ヘテロアリールであり、例えば、ピリジルである。
いくつかの実施の態様において、
【0021】
【化3】
は、単結合である。
【0022】
いくつかの実施の態様において、
【0023】
【化4】
は、
【0024】
【化5】
又はその混合物であり、例えば、
【0025】
【化6】
である。
【0026】
いくつかの実施の態様において、
nは、0又は1であり、
は、独立してハロゲン、C~Cアルキル、1つ又は複数のR1aにより置換されたC~Cアルキルであり、
は、-(CR6a6b)-又は-(NR6c)-であり、Zは、連結結合であり、又はZは、連結結合であり、Zは、-(CR7a7b)-であり、
は、-(CR8a8b)-であり、
は、独立してHであり、
6a、R6b、R7a及びR7bは、独立してH又はハロゲンであり、
6cは、独立してH又はC~Cアルキルであり、
3a、R3b、R5a、R5b、R8a及びR8bは、独立してHであり、
4a及びR4bは、独立してH、C~Cアルキル、-(NR9a9b)又は-(NR10a)-(C=O)-R10bであり、
又は、R4a及びR4b、又は、R4a及びR5a、又は、R4a及びR8aは、それらと結合された炭素と共に環Bを形成し、環Bは、4~7員シクロアルキル、4~7員ヘテロシクロアルキル、1つ又は複数のR1dにより置換された4~7員シクロアルキル又は1つ又は複数のR1eにより置換された4~7員ヘテロシクロアルキルであり、
1a、R1d及びR1eは、独立してハロゲン又はC~Cアルキルであり、
9a、R9b、R10a及びR10bは、独立してC~Cアルキル又は1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC~Cアルキルであり、
Aは、フェニル又は6員ヘテロアリールであり、
【0027】
【化7】
は、単結合又は二重結合を表す。
【0028】
いくつかの実施の態様において、
nは、0又は1であり、
は、独立してハロゲン、C~Cアルキル、1つ又は複数のR1aにより置換されたC~Cアルキルであり、
は、-(CR6a6b)-又は-(NR6c)-であり、Zは、連結結合であり、又は、Zは、連結結合であり、Zは、-(CR7a7b)-であり、
は、-(CR8a8b)-であり、
は、独立してHであり、
6a及びR6bは、独立してH又はハロゲンであり、R7a及びR7bは、独立してHであり、
1aは、独立してハロゲンであり、
6cは、独立してH又はC~Cアルキルであり、
3a、R3b、R5a、R5b、R8a及びR8bは、独立してHであり、
4aは、独立してC~Cアルキル、-(NR9a9b)又は-(NR10a)-(C=O)-R10bであり、
4bは、独立してH又はC~Cアルキルであり、
又は、R4a及びR4b、又は、R4a及びR5a、又は、R4a及びR8aは、それらと結合された炭素と共に環Bを形成し、環Bは、4~7員シクロアルキル、4~7員ヘテロシクロアルキル、又は1つ又は複数のR1eにより置換された4~7員ヘテロシクロアルキルであり、
1eは、独立してC~Cアルキルであり、
9a、R9b、R10a及びR10bは、独立してC~Cアルキル又は1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC~Cアルキルであり、
Aは、6員ヘテロアリールであり、例えば、ピリジルであり、
【0029】
【化8】
は、単結合である。
【0030】
いくつかの実施の態様において、
がハロゲンである場合、前記ハロゲンは、フッ素、塩素又は臭素であり、例えば、フッ素又は塩素であり、また例えば、フッ素である。
【0031】
いくつかの実施の態様において、
が、1つ又は複数のR1aにより置換されたC~Cアルキルである場合、前記置換基の数は、1、2、3、4又は5個であり、例えば、1、2又は3個であり、例えば、トリフルオロメチルである。
【0032】
いくつかの実施の態様において、
が、C~Cアルキル、1つ又は複数のR1aにより置換されたC~Cアルキルである場合、前記C~Cアルキル及び1つ又は複数のR1aにより置換されたC~CアルキルにおけるC~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル)は、独立してC~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチル)であり、例えば、メチルである。
【0033】
いくつかの実施の態様において、
6a、R6b、R7a及びR7bが、独立してハロゲンである場合、前記ハロゲンは、独立してフッ素、塩素又は臭素であり、例えば、フッ素又は塩素であり、また例えば、フッ素である。
【0034】
いくつかの実施の態様において、
6a、R6b、R7a及びR7bが、独立してC~Cアルキルである場合、前記C~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル)は、独立してC~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチル)であり、例えば、メチルである。
【0035】
いくつかの実施の態様において、
6cが、独立してC~Cアルキルである場合、前記C~Cアルキルは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチルである。
【0036】
いくつかの実施の態様において、
3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R8a及びR8bが、独立してハロゲンである場合、前記ハロゲンは、独立してフッ素、塩素又は臭素であり、例えば、フッ素又は塩素であり、また例えば、フッ素である。
【0037】
いくつかの実施の態様において、
3a、R3b、R4a、R4b、R5a、R5b、R8a及びR8bが、独立してC~Cアルキル、1つ又は複数のR1cにより置換されたC~Cアルキルである場合、前記C~Cアルキル及び1つ又は複数のR1cにより置換されたC~CアルキルにおけるC~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル又はヘキシル)は、独立してC~Cアルキル(例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチル)であり、例えば、メチル又はエチルである。
【0038】
いくつかの実施の態様において、
環Bが、4~7員シクロアルキル、1つ又は複数のR1dにより置換された4~7員シクロアルキルである場合、前記4~7員シクロアルキル及び1つ又は複数のR1dにより置換された4~7員シクロアルキルの4~7員シクロアルキルは、独立してシクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルであり、また例えば、シクロペンチルである。
【0039】
いくつかの実施の態様において、
環Bが、4~7員ヘテロシクロアルキル、又は1つ又は複数のR1eにより置換された4~7員ヘテロシクロアルキルである場合、前記4~7員ヘテロシクロアルキル及び1つ又は複数のR1eにより置換された4~7員ヘテロシクロアルキルにおける4~7員ヘテロシクロアルキルは、独立してテトラヒドロフラニル、テトラヒドロ-2H-ピラニル、ピロリジニルであり、例えば、R4a及びR4bが、それらと結合された炭素と共に環Bを形成する場合、環Bは、
【0040】
【化9】
であり、R4a及びR5a、又は、R4a及びR8aが、それらと結合された炭素と共に環Bを形成する場合、環Bは、
【0041】
【化10】
である。
【0042】
いくつかの実施の態様において、
1a、R1c、R1d及びR1eが、独立してハロゲン又は1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC~Cアルキルである場合、前記ハロゲン及び1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC~Cアルキルにおけるハロゲンは、独立してフッ素、塩素又は臭素であってもよく、例えば、フッ素又は塩素であり、また例えば、フッ素である。
【0043】
いくつかの実施の態様において、
1a、R1c、R1d及びR1eが、独立してC~Cアルキル又は1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC~CアルキルにおけるC~Cアルキルは、独立してメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチル又はエチルである。
【0044】
いくつかの実施の態様において、
9a、R9b、R10a及びR10bが、独立してC~Cアルキルである場合、前記C~Cアルキルは、独立してメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチル又はエチルである。
【0045】
いくつかの実施の態様において、
9a、R9b、R10a及びR10bが、独立して1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC~Cアルキルである場合、前記1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC~Cアルキルにおいて、前記C~Cアルキルは、独立してメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル又はtert-ブチルであり、例えば、メチル又はエチルである。
【0046】
いくつかの実施の態様において、
9a、R9b、R10a及びR10bは、独立して1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC~Cアルキルである場合、前記ハロゲンは、独立してフッ素、塩素又は臭素であり、例えば、フッ素であり、また例えば、前記1つ又は複数のハロゲンにより置換されたC~Cアルキルは、トリフルオロメチルである。
【0047】
いくつかの実施の態様において、
Aが、6員ヘテロアリールである場合、前記6員ヘテロアリールは、ピリジル、ピラジニル又はピリミジニルであり、前記ピリジルは、
【0048】
【化11】
であってもよく、前記ピラジニルは、
【0049】
【化12】
であってもよく、前記ピリミジニルは、
【0050】
【化13】
であってもよく、aは、A及び
【0051】
【化14】
の連接位置を表す。
【0052】
いくつかの実施の態様において、
は、独立してF、メチル又はトリフルオロメチルである。
いくつかの実施の態様において、
は、-(CH)-、-(CF)-、-(NH)-又は-(N(CH))-である。
【0053】
いくつかの実施の態様において、
4a及びR4bは、独立してH、エチル、ジメチルアミノ、
【0054】
【化15】
であり、例えば、R4a及びR4bは、独立してエチルであり、又はR4aは、Hであり、R4bは、ジメチルアミノ、
【0055】
【化16】
である。
【0056】
いくつかの実施の態様において、
4a及びR4bは、それらと結合された炭素と共に環Bを形成し、例えば、
【0057】
【化17】
である。
【0058】
いくつかの実施の態様において、
4a及びR5a、又は、R4a及びR8aは、それらと結合された炭素と共に環Bを形成し、例えば、
【0059】
【化18】
である。
【0060】
いくつかの実施の態様において、
【0061】
【化19】
は、
【0062】
【化20】
であり、例えば、
【0063】
【化21】
である。
【0064】
いくつかの実施の態様において、
【0065】
【化22】
は、フェニル、
【0066】
【化23】
であり、例えば、
【0067】
【化24】
である。(aは融合の位置を表す)
【0068】
いくつかの実施の態様において、
【0069】
【化25】
は、
【0070】
【化26】
であり、例えば、
【0071】
【化27】
である。
【0072】
いくつかの実施の態様において、
【0073】
【化28】
は、
【0074】
【化29】
であり、例えば、
【0075】
【化30】
である。
【0076】
いくつかの実施の態様において、
【0077】
【化31】
は、
【0078】
【化32】
であり、例えば、
【0079】
【化33】
である。
【0080】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物は、下記のいずれかの構造である。
【0081】
【化34】
【0082】
本発明のいくつかの好ましい実施形態において、前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物は、下記のいずれかの構造である。
下記の条件で保持時間が8.483分の化合物
【0083】
【化35】
:キラルクロマトグラフィーで分離、クロマトグラフィーカラム:CHIRALPAK AD-H、250×4.6mm、5um、カラム温度:35℃、流速:0.4mL/分、波長:254nm、勾配:A:n-ヘキサン、B:イソプロパノール、A:B=1:4、実行時間:50分;
【0084】
下記の条件で保持時間が13.580分の化合物
【0085】
【化36】
:キラルクロマトグラフィーで分離、クロマトグラフィーカラム:CHIRALPAK AD-H、250×4.6mm、5um、カラム温度:35℃、流速:0.4mL/分、波長:254nm、勾配:A:n-ヘキサン、B:イソプロパノール、A:B=1:4、実行時間:50分。当業者は、前記化合物の絶対配置が保持時間によってのみ区別され、異なる保持時間に対応する絶対配置が実際の条件に従うことを理解すべきである。
【0086】
本発明において、前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物又はその薬学的に許容される塩は1つ又は複数のキラル炭素原子を有することができるため、分離して光学的に純粋な異性体を得ることができ、例えば、純粋なエナンチオマー、又はラセミ体、又は混合異性体である。純粋な単一異性体は、当技術分野における分離方法、例えば、キラル結晶化による塩形成、又はキラル分取カラム分離によって得ることができる。
【0087】
本発明において、前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物又はその薬学的に許容される塩に立体異性体が存在する場合、単一の立体異性体又はその混合物(例えば、ラセミ体)の形態で存在することができる。用語「立体異性体」とは、シス-トランス異性体又は光学異性体を指す。これらの立体異性体は、不斉合成法又はキラル分離法(薄層クロマトグラフィー、回転クロマトグラフィー、カラムクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、高圧液体クロマトグラフィーなどを含むがこれらに限定されない)によって分離、精製及び濃縮することができ、また他のキラル化合物との結合形成(化学的結合など)又は塩形成(物理的結合など)によるキラル分割により得ることができる。用語「単一の立体異性体」とは、化合物のすべての立体異性体に対する、本発明の化合物の1つの立体異性体の質量含有率が95%以上であることを指す。
【0088】
従って、明細書全体を通じて、当業者は安定した式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩を提供するために、前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩におけるその基又は置換基を選択することができ、本発明の実施例に記載の化合物を含むが、これらに限定されない。
【0089】
本発明に記載の式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩は、化学分野の公知の方法と同様の方法を含む方法により合成することができ、その手順と条件は当技術分野の同様の反応の手順と条件を参照することができ、特に本明細書の説明に従って合成することができる。出発物質は、一般に、Aldrichなどの商業的供給元から入手するか、当業者に公知の方法(SciFinder、Reaxysオンラインデータベースから入手可能)を使用して容易に製造できる。
【0090】
本発明において、前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩は、更に製造して得られた前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩を当技術分野で通常の方法で、周辺修飾により他の前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩を得ることができる。
【0091】
一般に、本発明の化合物は、本発明に記載の方法によって製造することができ、特に明記しない限り、その置換基は式Iで定義された通りである。下記の反応プロトコル及び実施例は、本発明を更に説明するのに使用される。
【0092】
式Iで表される化合物の製造に必要な原料又は試薬は、市販されているか、又は当技術分野で公知の合成方法によって製造される。下記の実験部分で記載の方法により、遊離塩基又はその酸を付加した塩の本発明の化合物を製造することができる。用語薬学的に許容される塩とは、本明細書で定義される薬学的に許容される塩を指し、母体化合物のすべての薬学的活性を有する。薬学的に許容される塩は、有機塩基の適切な有機溶媒に対応する酸を加え、通常の方法に従って薬学的に許容される塩を製造することができる。
【0093】
塩形成の実例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸との塩形成、及び酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2-ナフタレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸又はトリメチル酢酸などの有機酸との塩形成が含まれる。
【0094】
式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物は1つ又は複数のキラル炭素原子を有することができるため、分離して光学的に純粋な異性体を得ることができ、例えば、純粋なエナンチオマー、又はラセミ体、又は混合異性体である。純粋な単一異性体は、当技術分野における分離方法、例えば、キラル結晶化により塩形成、又はキラル分取カラム分離によって得ることができる。
【0095】
本発明に記載の合成経路で使用される化学物質には、溶媒、試薬、触媒及び保護基、脱保護基が含まれ、保護基にはtert-ブトキシカルボニル(Boc)が含まれる。上記の方法は、本明細書に具体的に記載された前のステップ又は後のステップを更に含むことができ、適切な保護基を添加又は除去することによって標的化合物を得ることができる。更に、様々な合成ステップを交互に又は順次に実施して最終的な標的化合物を得ことができる。
【0096】
本発明は、上記の式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩及び(1つ又は複数)薬学的に許容される補助剤(例えば、薬学的に許容される担体、希釈剤、溶媒又は他の賦形剤)を含む、医薬組成物を提供する。前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩の使用量は、治療有効量であってもよい。
【0097】
本発明はまた、Vanin-1阻害剤の製造における、前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩の使用を提供する。前記使用において、前記Vanin-1阻害剤は、哺乳動物生物体内に使用することができ、また、主に実験の目的で生物の体外で使用することができ、例えば、標準試料又は対照試料として比較を提供し、又は当技術分野の通常の方法に従ってキットに製造して、Vanin-1の阻害効果を迅速た検出を提供する。本明細書で使用される用語「vanin-1(酵素)阻害剤」とは、vanin-1(酵素)に結合して生じる酵素活性を低下させる化合物を指す。
【0098】
本発明はまた、医薬の製造における、前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩の使用を提供し、前記医薬は、Vanin-1に関連する疾患の予防及び/又は治療に使用することができ、又は前記医薬は、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー性疾患、代謝性疾患、感染性疾患、繊維性疾患、心血管疾患、呼吸器疾患、腎臓疾患、皮膚疾患、肝臓疾患、消化器疾患、口腔疾患及び造血器疾患の1つ又は複数の疾患の予防及び/又は治療に使用することができ、又は、例えばクローン病、炎症性腸疾患及び潰瘍性大腸炎を治療する医薬である。前記Vanin-1に関連する疾患は、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー性疾患、代謝性疾患、感染性疾患、繊維性疾患、心血管疾患、呼吸器疾患、腎臓疾患、皮膚疾患、肝臓疾患、消化器疾患、口腔疾患及び造血器疾患の1つ又は複数を含むことができ、又は、例えば炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、結腸直腸癌及び胃炎である。
【0099】
本発明のもう一つの形態は、治療有効用量の前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩又はそれを含む医薬組成物を患者に投与することを含む、Vanin-1に関連する疾患の予防及び/又は治療方法に関する。例えば、Vanin-1酵素の阻害によって媒介されるか、Vanin-1酵素の阻害に関連する疾患又は病症を治療する。例えば、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー性疾患、代謝性疾患、感染性疾患、繊維性疾患、心血管疾患、呼吸器疾患、腎臓疾患、皮膚疾患、肝臓疾患、消化器疾患、口腔疾患及び造血器疾患の1つ又は複数であり、又は、例えば炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、結腸直腸癌及び胃炎である。
【0100】
本発明のもう一つの形態は、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー性疾患、代謝性疾患、感染性疾患、繊維性疾患、心血管疾患、呼吸器疾患、腎臓疾患、皮膚疾患、肝臓疾患、消化器疾患、口腔疾患及び造血器疾患の1つ又は複数(例えば、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、結腸直腸癌及び胃炎)を予防及び/又は治療する方法に関するが、これは治療有効用量の前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩又はそれを含む医薬組成物を患者に投与することを含む。
【0101】
本発明のもう一つの形態は、前記式Iで表されるピリミジンホルムアミド化合物、又はその互変異性体、メソマー、ラセミ体、エナンチオマー、ジアステレオマー、又はその混合物形態又はその薬学的に許容される塩又はそれを含む医薬組成物を含む、Vanin-1を阻害する医薬に関する。
【0102】
本発明の化合物は、局所的又は全身的に投与することができ、例えば直腸又は経口投与などの経腸投与に使用され、又は哺乳動物、(特にヒト)への非経口投与のために使用される。本発明の化合物はまた、非経口投与することもでき、例えば、静脈内、動脈内、骨内、筋肉内、脳内、脳室外、滑膜内、胸骨内、髄腔内、病変内、頭蓋内、腫瘍内、皮内及び皮下に注射又は注入することができる。
【0103】
本発明に記載の化合物、医薬組成物又は薬物の有効量は、哺乳動物の種、体重、年齢、個体の状態、個体の薬物動態パラメータ、治療する疾患及び投与方法よって決定される。
本発明に記載の化合物、医薬組成物又は薬物の有効量は、通常の実験によって容易に測定することができ、最も効果的かつ便利な投与経路及び最も適切な製剤も通常の実験によって測定することができる。
【0104】
前記の医薬賦形剤は、医薬製造の分野で広く使用されている賦形剤であってもよい。賦形剤は主に、安全で安定的及び機能的な医薬組成物を提供するために使用され、更に対象が投与後に有効成分を所望の速度で溶解できるようにする方法、又は対象への組成物の投与後の有効成分の効果的な吸収が促進されるようにする方法を提供することができる。前記医薬賦形剤は、不活性充填剤であってもよく、又は組成物の全体的なpHを安定化するか又は組成物の有効成分の分解を防ぐなどの特定の機能を提供する。前記医薬賦形剤は、結合剤、懸濁化剤、乳化剤、希釈剤、充填剤、造粒剤、接着剤、崩壊剤、潤滑剤、粘着防止剤、流動促進剤、湿潤剤、ゲル化剤、吸収遅延剤、溶解阻害剤、エンハンサー、吸着剤、緩衝剤、キレート剤、防腐剤、着色剤、矯味剤、甘味料の1つ又は複数を含むことができる。
【0105】
薬学的に許容される賦形剤として使用できる物質には、イオン交換体、アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩などの緩衝物質、又は硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマー、ラノリンなどの電解質、乳糖、グルコース、ショ糖などの糖類、コーンスターチ及びポテトスターチなどのデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロースとその誘導体、粉末ガム、モルト、ゼラチン、タルク、ココアバター及び座薬ワックスなどの賦剤、ピーナッツオイル、綿実油、べにばな油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、大豆油などの油、プロピレングリコール及びポリエチレングリコールなどのグリコール、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチルなどのエステル、寒天、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝液、アルギン酸、発熱物質のない水、等張塩、リンゲル液、エタノール、リン酸緩衝液、及びラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムなどのその他の無毒性で適切な潤滑剤、着色料、離型剤、コーティング剤、甘味料、調味料及び香料、防腐剤及び酸化防止剤などが含まれるが、これらに限定されない。
【0106】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知のいずれかの方法を使用して、本開示に従って製造することができる。例えば、通常の混合、溶解、造粒、乳化、研磨、封入、捕捉又は凍結乾燥工程である。
【0107】
本発明の化合物の薬学的剤形は、即時放出、制御放出、持続放出又は標的薬物放出システムとして提供することができる。一般的な剤形には、例えば、溶液及び懸濁液、(マイクロ)エマルジョン、軟膏、ゲル及びパッチ、リポソーム、錠剤、糖衣錠、ソフト又はハードシェルカプセル、坐剤、胚珠、インプラント、非晶質又は結晶性粉末、エアロゾル及び凍結乾燥製剤が含まれる。使用される投与経路に応じて、注射器及び針、吸入器、ポンプ、注射ペン、アプリケーター又は特殊なフラスコ(Specialflask)など、薬物の投与又は投与するために特別な装置が必要になる場合がある。医薬の剤形は、多くの場合、薬物、賦形剤、及び容器/密閉システムで構成される。1つ又は複数の賦形剤(不活性成分とも呼ばれる)を本発明の化合物に加えて、薬物の製造、安定性、投与及び安全性を改善又は促進することができ、更に所望の薬物放出曲線方法を提供することができる。従って、薬物に添加される賦形剤の種類は、薬物の物理的及び化学的特性、投与経路、製造工程などの様々な要因によって決められる。薬学的に許容される賦形剤は当該技術分野に存在し、様々な薬局方に列挙されているものを含む。(米国薬局方(U.S.Pharmacopeia、USP)、日本薬局方(Japanese Pharmacopoeia、Jp)、欧州薬局方(European Pharmacopoeia、EP)及び英国薬局方(British pharmacopoeia、BP)、米国食品医薬品局(the U.S.Food and Drug Administration、www.fda.gov)薬物評価・研究センター(Centerfor Drug Evaluation and Research,、CEDR)出版物、例えば「非活性成分ガイド」(Inactive Ingredient Guide、1996)、Ash及びAshの「医薬品添加剤ハンドブック」(Hand book of Pharmaceutical Additives、2002、SIR(Synapse Information Resources, Inc., Endicott NY)などを参照)。
【0108】
本発明の化合物の医薬剤形は、当技術分野で公知の方法のいずれかの方法、例えば、通常の混合、ふるい分け、溶解、溶融、造粒、糖衣錠製造、打錠、懸濁、押出、噴霧乾燥、研磨、乳化、(ナノ/マイクロ)カプセル化、封入又は凍結乾燥工程によって製造される。
【0109】
本発明の医薬組成物は、局所的又は全身的に投与することができ、例えば直腸又は経口投与などの経腸投与に使用され、又は哺乳動物(特にヒト)への非経口投与のために使用され、本発明による化合物又はその薬学的に許容される有効成分としての治療有効量、及び薬学的に許容される担体などの薬学的に許容される賦形剤を共に含むことができる。活性成分の治療上有効な量は、本明細書の上記及び下記で定義される通りであり、哺乳動物の種、体重、年齢、個体の状態、個体の薬物動態パラメータ、治療される疾患及び投与方法によって本発明の化合物は、様々な剤形に製造されることができ、経腸投与の場合、例えば経口投与である。
【0110】
前記医薬組成物及び剤形は、活性成分として1つ又は複数の本発明の化合物、又はその1つ又は複数の薬学的に許容される塩を含むことができる。薬学的に許容される担体は、固体又は液体であってもよい。固形製剤には、粉末、錠剤、丸薬、トローチ、カプセル、カシェ剤、坐剤及び分散性顆粒が含まれる。固体担体はまた、希釈剤、調味料、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤又はカプセル化材料の1つ又は複数であってもよい。粉末では、担体は通常、細かく分割された固体であり、細かく分割された活性成分との混合物である。錠剤では、活性成分は通常必要な結合能力を有する担体と適切な割合で混合され、所望の形状及びサイズに圧縮される。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバターなどを含むが、これらに限定されない。活性化合物の製剤は、担体としてのカプセル化物質を含んでもよく、担体の有無にかかわらず、活性成分がそれに結合した担体によって囲まれたカプセルを提供する。
【0111】
経口投与に適した他の形態には、エマルション、シロップ、エリキシル、水溶液、水性懸濁液、又は使用直前に液体形態の製剤に変換されることを意図した固体形態の製剤を含む液体形態の製剤が含まれる。エマルションは、例えばプロピレングリコール水溶液などの溶液で製造することができ、又はレシチン、ソルビタンモノオレエート又はラビアゴムなどの乳化剤を含むことができる。水溶液は、活性成分を水に溶解させ、適切な着色剤、香料、安定剤及び増粘剤を加えることによって製造することができる。水性懸濁液は、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及び他の一般的に使用される懸濁剤などの結合剤を用いて、微粉化された活性成分を水に分散させることによって製造することができる。固形製剤には溶液、懸濁剤及びエマルションが含まれ、有効成分以外にも着色剤、香料、安定剤、緩衝剤、人工及び天然の甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などが含まれる。
【0112】
直腸投与用の例示的な組み合わせには、例えば、ココアバター、合成グリセリド又はポリエチレングリコールなどの適切な非刺激性賦形剤を含む坐剤を含み、それは常温では固体であるが、直腸腔で融解及び/又は溶解して薬物を放出することができる。
【0113】
治療有効用量は、まず当技術分野で公知の様々な方法を使用して推定することができる。動物研究のための初期投与量は、細胞培養測定で確立された有効濃度に基づくことができる。ヒト個体に適した投与量の範囲は、例えば、動物研究及び細胞培養測定から得られたデータを使用して決定することができる。特定の実施形態において、本発明の化合物は、経口投与用の薬剤として製造することができる。
【0114】
薬剤(例えば、本発明の化合物)の有効量又は治療有効量又は投与量とは、個体の症状の改善又は生存の延長をもたらす薬剤又は化合物の量を指す。前記分子の毒性及び治療効果は、細胞培養物又は実験動物で標準的な医薬手順によって測定することができ、例えば、LD50(集団の50%を致死させる投与量)及びED50(集団の50%の治療に有効な投与量)を測定することによって測定することができる。毒性効果及び治療効果の投与量比は治療指数であり、LD50/ED50で表すことができる。高い治療指数を示す薬剤であることが好ましい。
【0115】
有効量又は治療有効量は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床医が求める組織、系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を誘発する化合物又は医薬組成物の量である。投与量は、好ましくは毒性がほとんどないか又は無毒性のED50を含む循環濃度の範囲内にある。投与量は、この範囲内で使用される剤形及び/又は投与経路に応じて変化することができる。当技術分野で公知の方法に基づき、個体の状況の特殊性を考慮して、適切な製剤、投与経路、投与量及び投与間隔を選択しなければならない。
【0116】
投与量及び投与間隔は、所望の効果を得るのに十分な活性部分の血漿レベルを提供するように個別に調節されることができ、即ち、最小有効濃度(minimal effective concentration、MEC)である。各化合物のMECは異なるが、例えば体外(invitro)データ及び動物実験などから推定できる。MECを達成するために必要な投与量は、個体の特性及び投与経路によって決められる。局所投与又は選択的摂取の場合、薬物の有効な局所濃度は血漿濃度に関連しない場合がある。
【0117】
投与される薬剤又は組成物の量は、治療される個体の性別、年齢及び体重、症状の重症度、投与方法及び処方医の判断を含む様々な要因に依存する。
本発明の組成物は、必要に応じて、1つ又は複数の単位剤形(活性成分を含む)を含む包装又は分配装置で提供されることができる。例えば、前記包装又は分配装置は、バイアルなどの金属又はプラスチックホイル(発泡包装など)又はガラス及びゴム栓を含んでもよい。前記包装又は分配装置には、使用説明書が添付されている場合がある。また、適合する医薬担体中に配合した本発明の化合物の組成物を製造し、適切な容器に入れてもよく、特定の疾患の治療のためにラベル付けることもできる。
【0118】
別途に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、特許で請求される主題が属する技術分野において標準的な意味を有する。ある用語に複数の定義が存在する場合は、本明細書に記載されている定義が優先される。
【0119】
基の定義
別途に説明しない限り、本明細書で使用される以下の定義を適用されるものとする。本発明の目的のために、化学元素は、元素のCAS版周期表、及び「化学と物理のハンドブック」、第75版、1994年と一致している。また、有機化学の一般原則は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito:1999、及び「March’s Advanced Organic Chemistry」by Michael B. Smith and Jerry March, John Wiley & Sons, New York: 2007」の記載を参考でき、その内容全体が引用により本明細書に組み込まれる。
【0120】
本明細書において、基及びその置換基は、安定な構造部分及び化合物を提供するために当業者によって選択されてもよい。置換基が左から右に書かれた通常の化学式によって記載される場合、当該置換基は、構造式を右から左に書かれた場合に得られる化学的等価な置換基も含む。
【0121】
本明細書で定義される特定の化学基の前には、その基に存在する炭素原子の総数を示す簡略記号が付けられている。例えば、C~Cアルキルは、合計1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有する、下記に定義されるアルキルを指す。簡略記号における炭素原子の総数は、前記基の置換基に存在してもよい炭素は含まれない。
【0122】
本明細書において、置換基で定義された数値範囲、例えば、0~4、1~4、1~3などは当該範囲内の整数を示し、例えば、1~6は1、2、3、4、5、6である。
上記に加えて、本出願の明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、特に別途に説明しない限り、下記の用語は以下に示される意味を有する。
【0123】
用語「含む」とは、解放式定義であり、即ち、本発明で特定された内容を含むが、他の側面を排除するものではない。
用語「置換された」は特定の原子における任意の一つ又は複数の水素原子が置換基で置換されたことで、特定の原子価状態が正常でかつ置換後の化合物が安定していれば、重水素及び水素の変形体を含む。
【0124】
一般に、用語「置換された」は、所与の構造中の1つ又は複数の水素原子が特定の置換基で置換されていることを表す。更に、当該置換基が1つ以上の前記置換基により置換された場合、前記置換基は互いに独立しており、即ち、前記1つ以上の置換基は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。特に明記しない限り、置換基は、置換基の各置換可能な位置で置換されてもよい。所与の構造式の複数の位置が、特定の基から選択される1つ又は複数の置換基により置換され得る場合、置換基は、同じ又は異なる方法で各位置で置換されてもよい。
【0125】
本明細書の各部分において、本発明で開示される化合物の置換基は、基の種類又は範囲に従って開示される。特に、本発明は、これらの基の種類及び範囲の各メンバーのそれぞれの独立した二次的組み合わせを含む。例えば、用語「C~Cアルキル」又は「C1-6アルキル」は、特に独立して開示されたメチル、エチル、Cアルキル、Cアルキル、Cアルキル及びCアルキルを指し、「C1-4アルキル」は、特に独立して開示されたメチル、エチル、Cアルキル(即ち、n-プロピル及びイソプロピルを含むプロピル)、Cアルキル(即ち、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルを含むブチル)を指す。
【0126】
用語「ハロゲン」は、F、Cl、Br又はIから選択され、特にF又はClを指す。
本出願において、基又は別の基の一部としての用語「アルキル」とは、飽和脂肪族炭化水素基を指し、これは、1~12個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖基であり、好ましくは1~6個の炭素原子を含む直鎖又は分枝鎖アルキルである。一般式C2n+1。用語「C~Cアルキル」とは、アルキル部分が1、2、3、4、5又は6個の炭素原子を有することを指す。いくつかの実施形態において、前記「アルキル」は、C~Cアルキルを指す。いくつかの実施形態において、前記「アルキル」は、C~Cアルキルを指す。
【0127】
1~6個の炭素原子を含む低級アルキルの非限定的な実施例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、n-ヘキシル、1-エチル-2-メチルプロピル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、2,3-ジメチルブチルなどが含まれる。1~12個の炭素原子を含む非限定的な実施例は、上記1~6個の炭素原子を含む低級アルキルの実施例を含み、ならびに2,4-ジメチルペンチル、2,2-ジメチルペンチル、3,3-ジメチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、2,3-ジメチルヘキシル、2,4-ジメチルヘキシル、2,5-ジメチルヘキシル、2,2-ジメチルヘキシル、3,3-ジメチルヘキシル、4,4-ジメチルヘキシル、2-エチルヘキシル、3-エチルヘキシル、4-エチルヘキシル、2-メチル-2-エチルペンチル、2-メチル-3-エチルペンチル、n-ノニル、2-メチル-2-エチルヘキシル、2-メチル-3-エチルヘキシル、2、2-ジエチルペンチル、n-キニル、3,3-ジエチルヘキシル、2,2-ジエチルヘキシル、及び様々な分岐鎖異性体を含む。
【0128】
本出願において、基又は別の基の一部として、別途に定義しない限り、用語「シクロアルキル」とは、炭素原子及び水素原子のみで構成された飽和単環式、多環式又は架橋炭素環式置換基を指し、且つ任意の適切な炭素原子を介した単結合により分子の残りの部分に結合してもよく、多環式の場合、縮合結合又はスピロ結合(即ち、炭素原子における2つのジェミナル水素がアルキレンにより置換される)の架橋環系又はスピロ環系であってもよい。シクロアルキル置換基は、任意の適切な炭素原子を介して中心分子に結合することができる。いくつかの実施形態において、3~10個の炭素原子を有する環は、C~C10シクロアルキルとして表すことができる。いくつかの実施形態では、C~Cシクロアルキルは、シクロプロピル(C)、シクロブチル(C)、シクロペンチル(C)及びシクロヘキシル(C)を含む。いくつかの実施形態では、C~C10シクロアルキルの実例には、上記のC~Cシクロアルキルと一緒にシクロヘプチル(C)、シクロオクチル(C)、シクロノニル(C)及びシクロデシル(C10)が含まれる。
【0129】
本出願において、基又は別の基の一部として、用語「ヘテロシクロアルキル」とは、2~6個の炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~4個のヘテロ原子からなる安定な3~7員飽和環状基を指す。例示的な3員ヘテロシクリル基には、アジリジニル、オキシラニル及びチアシクロプロパニル、又はその立体異性体などが含まれるが、これらに限定されなく、例示的な4員ヘテロシクリル基には、アゼチジニル、エポキシプロパニル、チエタニル、又はその異性体及び立体異性体などが含まれるが、これらに限定されなく、例示的な5員ヘテロシクリル基には、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、ピロリジニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ジオキソラニル、オキサチオフラニル、ジチオフラニル、又はその異性体及び立体異性体などが含まれるが、これらに限定されない。例示的な6員ヘテロシクリル基には、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、チアニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジチアニル、ジオキサニル、ピペラジニル、トリアジニル、又はその異性体及び立体異性体などを含むが、これらに限定されなく、例示的な7員ヘテロシクリル基には、アゼパニル、オキセパニル、チエパニル、及びジアゼパニル、又はその異性体及び立体異性体などを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施の態様において、「ヘテロシクロアルキル」は、C~Cヘテロシクロアルキルであり、ここで、ヘテロ原子はN、O及びSの1つ又は複数から選択され、ヘテロ原子の数は1、2又は3個である。
【0130】
本出願において、基又は別の基の一部として、用語「ヘテロアリール」とは、炭素原子及び上記の芳香族環系に提供される1~3個のヘテロ原子(ここで各ヘテロ原子は独立して、窒素、酸素及び硫黄から選択される)を有する、4~16員の単環式又は二環式の4n+2芳香族環系(例えば、環状配列で6又は10個の共有p電子を有する)の基(「4~16員のヘテロアリール」)を指す。1つ又は複数の窒素原子を含むヘテロアリールでは、原子価が許す限り、結合点は炭素又は窒素原子であってもよい。
【0131】
いくつかの実施形態では、前記ヘテロアリールのヘテロ原子は、N、O及びSから選択される1つ又は複数から選択され、ヘテロ原子数が1~3個である4~6員ヘテロアリールであり、好ましくは5~6員ヘテロアリールである。
【0132】
例示的な5員ヘテロアリール基には、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラニル、オキサトリアゾリル又はテトラゾリルなどが含まれるが、これらに限定されない。例示的な6員ヘテロアリール基には、ピリジル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル又はテトラジニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0133】
本明細書で使用される用語「部分」、「構造部分」、「化学部分」、「基」、「化学基」とは、分子中の特定の断片又は官能基を指す。化学部分は通常、分子に埋め込まれた、又は結合した化学物質であると認識されている。
【0134】
列挙された置換基が、一般式に含まれるが具体的に言及されていない化合物にどの原子を介して結合しているかを示していない場合、そのような置換基は、その原子のいずれかを介して結合されてもよい。置換基及び/又はその変形体の組み合わせは、このような組み合わせが安定した化合物を生成する場合のみ許容される。
【0135】
本発明の様々な部分において、連結置換基を記載する。当該構造が明らかに連結基を必要とする場合、その基に対して列挙されているMarkush変数は連結基として理解すべきである。例えば、当該構造が連結基を必要とし、この変数のMarkush基の定義として「アルキル」又は「アリール」が挙げられている場合、「アルキル」又は「アリール」はそれぞれ連結されたアルキレン基又はアリーレン基を表すと理解されるべきである。
【0136】
いくつかの具体的な構造において、アルキル基が連結基として明確に表されている場合、前記アルキル基は、連結されたアルキレン基を表し、例えば、「ハロ-C~Cアルキル」のC~Cアルキルは、C~Cアルキレンとして理解されるべきである。
【0137】
用語「アルキレン」とは、飽和直鎖又は分枝鎖炭化水素から2個の水素原子を除去することによって得られる飽和二価炭化水素基を指す。アルキレン基の実例には、メチレン(-CH-)、エチレン{-CHCH-又は-CH(CH)-を含む}、イソプロピリデン{-CH(CH)CH-又は-C(CH-を含む}などを含む。
【0138】
別途に定義しない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語及び科学用語は、特許の請求される主題が属する技術分野において標準的な意味を有する。1つの用語に複数の定義が存在する場合は、本明細書に記載されている定義が優先される。
【0139】
別途に定義しない限り、本発明で使用される「1つ」などの単数形は、複数の指示対象を含むことを理解されるべきである。また、用語「含む」とは、閉鎖的限定ではなく開放性限定であり、即ち、本発明で特定された内容を含むが、他の側面を排除するものではない。
【0140】
別途に定義しない限り、本発明は、質量分析及び元素分析の通常の方法を採用し、各ステップ及び条件は、当技術分野における通常の操作ステップ及び条件を参照してもよい。
別途に定義しない限り、本発明は、分析化学、有機合成化学及び光学の標準的な命名法及び標準的な実験手順及び技術を使用している。場合によっては、標準的な技術は、化学合成、化学分析、発光デバイスの性能試験に使用される。
【0141】
なお、別途に定義しない限り、本発明で使用される「独立して…である」という記述方法は、広い意味で理解されるべきであり、記載された各個体が互いに独立しており、独立して同じ又は異なる具体的な基であってもよいことを指す。より詳細的には、記載方法「…独立して」は、異なる基において同じ記号で表される具体的な選択肢が互いに影響しないことを指し、また、同じ基において、同じ記号で表される具体的な選択肢が互いに影響を与えないことも表す。
【0142】
当業者は、当技術分野で使用される慣例によれば、本出願に記載の基の構造式で使用される「
【0143】
【化37】
」とは、対応する基がこのサイトを介して化合物内の他のフラグメント及び基と接続されることを指す。
【0144】
「薬学的に許容される」とは、医薬組成物の製造に使用してもよい状況を指し、一般に安全で無毒であり、且つ非生物学及びその他の面で望ましくなく、動物用及びヒト用の医薬に許容される状況を含む。
【0145】
用語「賦形剤」とは、薬学的に許容される化学物質を指し、例えば、薬学分野の当業者に公知の薬剤の投与を補助するため試薬である。これは、医薬組成物の製造に使用してもよい化合物であり、一般に安全で無毒であり、且つ生物学又はその他の面で望ましくなく、動物用及びヒト用の医薬に許容される賦形剤を含む。通常の賦形剤には、結合剤、界面活性剤、希釈剤、崩壊剤及び潤滑剤が含まれる。
【0146】
用語「有効な治療量」とは、疾患状態を治療するために対象に投与された場合に、疾患状態を治療するために十分な使用される化合物の量を指す。「有効治療量」は、化合物、治療する疾患の状態、治療する疾患の重症度、対象の年齢及び相対的な健康状態、投与経路及び投与方法、担当医又は獣医の判断によって変化する。
【0147】
用語哺動物とは、ヒト又は例えば、霊長類、農場動物、ペット又は実験動物などの任意の哺乳動物を指す。そのような動物の実例には、サル、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、マウス及びラットなどがある。哺乳動物は、好ましくはヒトである。
【0148】
前記好ましい条件は、当分野の通常の知識に違反しない限り、任意に組み合わせて、本発明の各々の好ましい実施例を得ることができる。
本発明で使用される試薬及び原料は市販品として入手できる。
【0149】
本発明の積極的な進歩効果:Vanin酵素、特にVanin-1阻害剤として使用できるピリミジンホルムアミド化合物を提供し、これは、クローン病、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患の予防及び/又は治療のために使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0150】
以下、実施例の形態によってさらに本発明を説明するが、これによって本発明を前記実施例の範囲内に限定するわけではない。以下の実施例において、具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常の方法及び条件、又は商品の説明書に従って選ばれた。
【0151】
実施例1 化合物1の合成
【0152】
【化38】
【0153】
ステップ1
化合物1a(250mg)のエタノール/水(v/v=4:1、5mL)混合溶媒の溶液に酢酸ナトリウム(129mg)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(322mg)を順次に加えた。得られた反応溶液を94℃に加熱さて2時間撹拌した。反応が完了した。冷却させ、水(50mL)を加え、酢酸エチル(100mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を濃縮して化合物1bの粗生成物(257mg)を得た。
【0154】
ステップ2
化合物1b(257mg)の醋酸(5mL)溶液に亜鉛粉末(339mg)をバッチで加えた。得られた反応溶液を70℃に加熱させて2時間撹拌した。反応が完了した。冷却させ、珪藻土で濾過し、濾液を濃縮し、NaOH水溶液(10%)でpHを9に調節し、酢酸エチル(20mL×4)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して化合物1cの粗生成物(100mg)を得た。
【0155】
ステップ3
-10℃及び窒素ガス保護の条件下で、化合物1d(25.40g)、化合物1e(31.00g)及びトリエチルアミン(61.00g)のアセトニトリル(250mL)溶液にTP(プロピルホスホン酸無水物)(254.00g)をゆっくりと滴下した。滴下完了後、反応系を-5℃に維持させて3時間反応させた。反応が完了した。反応溶液に300mLの水を加えて反応をクエンチングさせ、濃縮して有機溶媒を除去し、残留物を5℃で1時間撹拌して、固体を析出させ、濾過し、ケーキを水(100mL×1)で洗浄し、乾燥させて、化合物1f(42.00g)を得、収率は93%であった。
【0156】
H NMR (400 MHz, CDCl) δ 8.80 (s, 2H), 3.81-3.57 (m, 7H), 3.36 (s, 1H), 1.93 (td, J = 14.58, 7.25 Hz, 2H), 1.66 (t, J = 5.35 Hz, 2H), 1.58 (dd, J = 11.10, 4.64 Hz, 2H).
【0157】
ステップ4
化合物1f(168mg)、化合物1c(100mg)及び炭酸カリウム(99mg)のイソプロパノール/水(v/v=99:1、2mL)混合溶媒溶液を85℃に加熱させて4時間撹拌を続けた。反応が完了した。冷却させ、濾過し、ケーキをイソプロパノール(10mL×2)ですすぎ、濃縮し、残留物をシリカゲルカラム(メタノール/ジクロロメタン=0~100%)で精製して化合物1(26mg)を得た。
【0158】
H NMR (400 MHz, MeOH-d4) δ 8.60 (s, 2H), 8.44 (s, 1H), 8.36 (d, J = 3.89 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 4.86 Hz, 1H), 5.75 (t, J = 6.75 Hz, 1H), 3.66 (ddd, J = 19.18, 16.47, 5.76 Hz, 6H), 3.54 (d, J = 22.28 Hz, 2H), 3.16-3.09 (m, 1H), 2.98 (dd, J = 16.74, 8.39 Hz, 1H), 2.71-2.57 (m, 1H), 2.05 (dd, J = 12.89, 8.02 Hz, 1H),1.93 (dd, J = 15.51, 7.35 Hz, 2H), 1.73-1.51 (m, 4H).
LCMS (ESI),[M+H]= 380.2
【0159】
実施例2 化合物2及び化合物2-1及び化合物2-2の合成
【0160】
【化39】
【0161】
ステップ1
化合物2a(500mg)のエタノール/水(v/v=4:1、10mL)混合溶媒溶液に酢酸ナトリウム(740mg)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(630mg)を順次に加え、得られた反応溶液を94℃に加熱させて2時間撹拌を続けた。反応が完了した。冷却させ、反応溶液に水(50mL)を加え、酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して化合物2bの粗生成物(500mg)を得た。
【0162】
ステップ2
化合物2b(320mg)の醋酸(6mL)溶液に亜鉛粉末(421mg)をバッチで加え、得られた反応溶液を70℃に加熱させて2時間撹拌を続けた。反応が完了した。冷却させ、濾過し、濃縮した。残留物をNaOH水溶液(10%)でpHを9に調節し、酢酸エチル(20mL×4)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して化合物2c(100mg)の粗生成物を得た。
【0163】
ステップ3
実施例1の方法に従って化合物1f(168mg)及び化合物2c(100mg)から化合物2(66mg)を得た。
【0164】
H NMR (400 MHz MeOH-d4)δ8.58 (s, 2H), 8.35 (d, J = 4.69 Hz, 1H), 7.78-7.70 (m, 1H),7.27-7.18 (m, 1H), 5.71 (t, J = 7.15 Hz, 1H), 3.80-3.59 (m, 6H), 3.54 (d, J = 20.77 Hz, 2H),3.13 (ddd, J = 16.55, 9.14, 3.68 Hz, 1H),3.00 (td, J = 16.84, 8.51 Hz, 1H), 2.67 (ddd, J = 16.06, 8.24, 3.91 Hz, 1H), 2.14-1.99 (m, 1H), 1.93 (dd, J = 16.94, 7.33 Hz, 2H),1.72-1.51 (m, 4H).
LCMS (ESI),[M+H]= 380.3
化合物2は、キラル分割により2つのエナンチオマー2-1(保持時間:8.483分)及び2-2(保持時間:13.580分)を得た。
【0165】
クロマトグラフィー条件は下記に示された通りである。
クロマトグラフィーカラム:CHIRALPAK AD-H(5um、4.6×250mm)
流速:0.4mL/分
波長:254nm
カラム温度:35℃
移動相:A:n-ヘキサン、B:イソプロパノール、A:B=1:4
実行時間:50分
【0166】
実施例3 化合物7の合成
【0167】
【化40】
【0168】
ステップ1
化合物7a(200mg、1.27mmol)、化合物1e(187mg、1.33mmol)、アセトニトリル(3mL)を25mLの3口フラスコに加えた。反応混合物を-10℃に冷却させ、TP(350mg、0.4mol)をゆっくりと滴下した。次に、トリエチルアミン(260mg、5.54mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させて反応溶液に加え、反応系を-5℃に保持し、3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物に水(30mL)を加えて反応をクエンチングさせた。濃縮し、5℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、ケーキを100mLの水で洗浄し、200mgの白色固体を得、化合物7cであり、収率は56%であった。
【0169】
ステップ2
化合物7c(200mg、0.71mmol)、化合物7d(100mg、0.75mol)及びイソプロパノール/水(V/V=99:1、5mL)を10mLの3口フラスコに順次に加え、次に、更に炭酸カリウム(489mg、3.55mmol)を加えた。反応混合物を85℃に加熱させ、還流して4時間撹拌した。反応完了後、反応系を45℃に冷却させ、5mLのアセトンを加えて1時間撹拌した。濾過し、ケーキを20mLのアセトンで洗浄した。濾液を3mLに濃縮し、また4mLのイソプロパノールを加えて2mLに濃縮し、次に、0℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、100mgのオフホワイト固体を得、化合物7であり、収率は38%であった。
【0170】
LCMS m/z(ESI): 379 [M+1]。
H NMR (400 MHz, DMSO-D6):δ11.36 (s, 1H), 10.02 (s, 1H), 8.68 (d, J=1.6H, 2H), 8.22 (m, 2H),7.85 (s, 1H), 7.02-7.05 (m, 1H), 3.54-3.70 (m, 7H), 3.33-3.38 (m, 1H), 1.81 (s, 2H),1.46-1.56 (m, 4H)。
【0171】
実施例4 化合物8の合成
【0172】
【化41】
【0173】
ステップ1
化合物8a(200mg、1.27mmol)、化合物1e(187mg、1.33mmol)、アセトニトリル(3mL)を25mLの3口フラスコに加え、-10℃に冷却させ、TP(350mg、0.4mol)をゆっくりと滴下した。トリエチルアミン(260mg、5.54mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させて反応溶液にを加え、反応系を-5℃に保持し、3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物に水(30mL)を加えて反応をクエンチングさせた。濃縮し、5℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、ケーキを水(100mL)で洗浄し、200mgの白色固体を得、化合物8cであり、収率は56%であった。
【0174】
ステップ2
化合物8c(90mg、0.32mmol)、化合物8d(50mg、0.34mol)及びイソプロパノール/水(v/v=99:1、5mL)を10mLの3口フラスコに順次に加え、次に、更に炭酸カリウム(220mg、1.6mmol)を加えた。反応混合物を85℃に加熱させ、還流して4時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を45℃に冷却させ、アセトン(5mL)を加えて1時間撹拌した。濾過し、ケーキをアセトン(20mL)で洗浄した。濾液を3mLに濃縮し、またイソプロパノール(4ml)を加えて2mLに濃縮した。0℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、40mgのオフホワイト固体を得、化合物8であり、収率は32%であった。
【0175】
LCMS m/z(ESI): 393 [M+1]。
H NMR (400 MHz, DMSO-D6):δ10.11 (s, 1H), 8.68 (d, J=1.6H, 2H), 8.22 (m, 2H), 7.94(m, 1H), 7.02-7.05 (m, 1H), 5.75(s, 1H), 3.61(s, 3H), 3.54-3.70 (m, 6H), 3.33-3.38 (m, 2H), 1.81 (s, 2H), 1.46-1.56 (m, 5H)。
【0176】
実施例5 化合物13の合成
【0177】
【化42】
【0178】
ステップ1
化合物13a(200mg、1.27mmol)、化合物13b(168mg、1.33mmol)、アセトニトリル(3mL)を25mLの3口フラスコに加え、-10℃に冷却させ、TP(350mg、0.4mol)をゆっくりと滴下した。トリエチルアミン(260mg、5.54mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させて反応溶液に加え、反応系を-5℃に保持し、3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物に水(30mL)を加えて反応をクエンチングさせた。濃縮し、5℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、ケーキを水(100mL)で洗浄し、70mgの白色固体を得、化合物13cであり、収率は20%であった。
【0179】
ステップ2
化合物13c(70mg、0.26mmol)、化合物13d(41mg、0.28mol)及びイソプロパノール/水(V/V=99:1、5mL)を10mLの3口フラスコに順次に加え、次に、更に炭酸カリウム(180mg、1.3mmol)を加えた。反応混合物を85℃に加熱させ、還流して4時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を45℃に冷却させ、アセトン(5mL)を加えて1時間撹拌した。濾過し、ケーキをアセトン(5mL)で洗浄した。濾液を3mLに濃縮し、またイソプロパノール(4ml)を加えて3mLに濃縮し、0℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、30mgのオフホワイト固体を得、化合物13であり、収率は30%であった。
【0180】
LCMS m/z(ESI): 366 [M+1]。
H NMR (400 MHz, DMSO-D6)δ8.56(s, 2H), 8.37-8.38(d, J=2.8 Hz, 1H), 8.11-8.13 (d, J=2.8 Hz, 1H), 7.58-7.59 (m, 1H), 7.13-7.14(m, 1H), 5.56-5.62 (m, 1H), 3.54-3.65(m, 2H), 3.49(s, 1H), 3.27-3.31 (m, 1H), 2.85-3.04 (m, 2H), 2.53-2.55(s, 1H), 1.98-2.46(m, 1H), 1.68-1.70 (m, 2H), 1.33-1.42 (m, 4H), 0.76-0.85(m, 6H)。
【0181】
実施例6 化合物16の合成
【0182】
【化43】
【0183】
ステップ1
化合物16a(150mg、0.42mmol)、化合物16b(114mg、0.46mmol)、アセトニトリル(2mL)を25mLの3口フラスコに加え、-10℃に冷却させ、TP(350mg、0.4mol)をゆっくりと滴下した。トリエチルアミン(181mg、1.8mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させて反応溶液に加え、反応系を-5℃に保持し、3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物に水(30mL)を加えて反応をクエンチングさせた。濃縮し、5℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、ケーキを水(100mL)で洗浄し、160mgの白色固体を得、化合物16cであり、収率は63%であった。
【0184】
ステップ2
化合物16c(160mg、0.62mmol)、化合物16d(85mg、0.64mol)及びイソプロパノール/水(v/v=99:1、10mL)を10mLの3口フラスコに順次に加え、次に、炭酸カリウム(0.41g、3.2mmol)を加えた。反応混合物を85℃に加熱させ、還流して4時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を45℃に冷却させ、アセトン(5mL)を加えて1時間撹拌した。濾過し、ケーキをアセトン(2mL)で洗浄した。濾液を3mLに濃縮し、またイソプロパノール(4ml)を加えて3mLに濃縮した。0℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、155mgのオフホワイト固体を得、化合物16であり、収率は71%であった。
【0185】
LCMS m/z(ESI): 352.1 [M+1]。
H NMR (400 MHz, DMSO-D6)δ8.59 (s, 2H), 8.37 (d, J = 7.54 Hz, 1H), 8.15 (d, J = 7.54 Hz, 1H), 7.64~7.56 (m, 1H), 7.17-7.14 (m, 1H), 5.69-5.53 (m, 1H), 3.76-3.63 (m, 4H), 3.55-3.46 (m, 5H), 2.94-2.79 (m, 4H), 2.03-1.97 (m, 1H)。
【0186】
実施例7 化合物17の合成
【0187】
【化44】
【0188】
ステップ1
化合物17a(150mg、0.42mmol)、化合物17b(134mg、0.46mmol)、アセトニトリル(2mL)を25mLの3口フラスコに加え、-10℃に冷却させ、TP(350mg、0.4mol)をゆっくりと滴下した。トリエチルアミン(181mg、1.8mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させて反応溶液に加え、反応系を-5℃に保持し、3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物に水(30mL)を加えて反応をクエンチングさせた。濃縮し、5℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、ケーキを水(100mL)で洗浄し、40mgの白色固体を得、化合物17cであり、収率は33%であった。
【0189】
ステップ2
化合物17c(40mg、0.14mmol)、化合物17d(16mg、0.145mol)及びイソプロパノール/水(v/v=99:1、3.9mL)を10mLの3口フラスコに順次に加え、次に炭酸カリウム(96.6mg、0.7mmol)を加えた。反応混合物を85℃に加熱させ、還流して4時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過し、濃縮して粗生成物を得、逆相カラムクロマトグラフィーで25mgのオフホワイト固体を得、化合物17であり、収率は25%であった。
【0190】
LCMS m/z(ESI): 381.1 [M+1]。
H NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ8.59 (s, 2H), 8.37 (d, J = 7.54 Hz, 1H), 8.15 (d, J =7.54 Hz, 1H), 7.64~7.56 (m, 1H), 7.17-7.14 (m, 1H), 5.69-5.53 (m, 1H), 4.25 (s, 1H), 3.67-3.51 (m, 4H), 3.04-2.91 (m, 4H), 2.86(s, 1H), 2.58-2.56 (m, 1H), 2.08-1.94 (m, 6H)。
【0191】
実施例8 化合物19の合成
【0192】
【化45】
【0193】
ステップ1
化合物19a(150mg、0.42mmol)、化合物1e(154mg、0.46mmol)、アセトニトリル(2mL)を25mLの3口フラスコに加え、-10℃に冷却させ、TP(350mg、0.4mol)をゆっくりと滴下した。トリエチルアミン(181mg、1.8mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させて反応溶液に加え、反応系を-5℃に保持し、3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物に水(30mL)を加えて反応をクエンチングさせた。濃縮し、5℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、ケーキを水(100mL)で洗浄し、60mgの白色固体を得、化合物19cであり、収率は33%であった。
【0194】
ステップ2
化合物19c(60mg、0.21mmol)、化合物19d(24mg、0.22mol)及びイソプロパノール/水(v/v=99:1、3.9mL)を10mLの3口フラスコに順次に加え、次に炭酸カリウム(152mg、1.1mmol)を加えた。反応混合物を85℃に加熱させ、還流して4時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過し、濾液を濃縮して粗生成物を得、逆相カラムクロマトグラフィーで16mgのオフホワイト固体を得、化合物19であり、収率は15%であった。
【0195】
LCMS m/z(ESI): 394.1 [M+1]。
H NMR (400 MHz, DMSO-d6):δ8.57 (s, 2H), 8.09 (d, J=7.54 Hz, 1H), 7.49(d, J= 8.0 Hz, 1H), 7.02-7.00 (d, J=8.0 Hz, 1H), 5.60-5.53 (m, 1H), 3.86-3.53 (m, 8H), 2.96-2.85 (m, 2H), 2.43 (s, 3H), 2.00-1.95 (m, 1H), 1.82-1.79 (m, 2H), 1.56-1.47 (m, 5H)。
【0196】
実施例9 化合物23の合成
【0197】
【化46】
【0198】
ステップ1
化合物23a(150mg、0.42mmol)、化合物1e(154mg、0.46mmol)、アセトニトリル(2mL)を25mLの3口フラスコに加え、-10℃に冷却させ、TP(350mg、0.4mol)をゆっくりと滴下した。トリエチルアミン(181mg、1.8mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させて反応溶液に加え、反応系を-5℃に保持し、3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物に水(30mL)を加えて反応をクエンチングさせた。濃縮し、5℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、ケーキを水(100mL)で洗浄し、60mgの白色固体を得、化合物23cであり、収率は33%であった。
【0199】
ステップ2
化合物23c(60mg、0.21mmol)、化合物23d(26mg、0.22mol)及びイソプロパノール/水(v/v=99:1、3.9mL)を10mLの3口フラスコに順次に加え、次に、炭酸カリウム(152mg、1.1mmol)を加えた。反応混合物を85℃に加熱させ、還流して4時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を45℃に冷却させ、アセトン(5mL)を加え、1時間撹拌した。濾過し、ケーキをアセトン(2mL)で洗浄した。濾液を3mLに濃縮し、またイソプロパノール(4mL)を加えて3mLに濃縮した。0℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、12mgのオフホワイト固体を得、化合物23であり、収率は12%であった。
【0200】
LCMS m/z(ESI): 458.1 [M+1]。
H NMR (400 MHz, CDOD): δ 8.59 (s, 2H), 8.45 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.86-7.84 (m, 1H), 5.70 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 3.75 (s, 1H), 3.54 (d, J = 19.3 Hz, 4H), 3.12-2.88 (m, 4H), 2.73-2.53 (m, 2H), 2.11 (dd, J = 13.1, 8.5 Hz, 2H), 1.98-1.90 (m, 4H), 1.66 (d, J = 8.4 Hz, 3H)。
【0201】
実施例10 化合物21の合成
【0202】
【化47】
【0203】
化合物23(50mg、0.10mmol)、メチルボロン酸(12mg、0.22mmol)、リン酸カリウム(60mg、0.3mmol)、Pd(dppf)Cl(16mg、0.02mmol)を2mlの1,4-ジオキサン及び0.5mlの水に加え、100℃で3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物をジクロロメタン(10ml×3)で抽出した。有機相を合わせ、乾燥させ、濃縮した後70mgの粗生成物を得、カラムクロマトグラフィー(DCM:CHOH=20:1)で精製して化合物21(30mg、収率は65%)を得た。
【0204】
LCMS m/z(ESI): 394.2 [M+1]。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.57 (s, 2H), 8.22 (s, 1H), 8.10 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.40 (s, 1H), 5.58 (q, J = 8.3 Hz, 1H), 3.69- 3.45 (m, 7H), 2.89 (dd, J = 31.4, 8.2 Hz, 2H), 2.24 (s, 3H), 1.98 (dd, J = 12.2, 8.4 Hz, 2H), 1.80 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 1.51 (d, J = 33.8 Hz, 4H)。
【0205】
実施例10 化合物24の合成
【0206】
【化48】
【0207】
ステップ1
化合物24a(150mg、0.42mmol)、化合物24b(134mg、0.46mmol)、アセトニトリル(2mL)を25mLの3口フラスコに加え、-10℃に冷却させ、TP(350mg、0.4mol)をゆっくりと滴下した。トリエチルアミン(181mg、1.8mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させて反応溶液に加え、反応系を-5℃に保持し、3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物に水(30mL)を加えて反応をクエンチングさせた。濃縮し、5℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、ケーキを水(100mL)で洗浄し、20mgの白色固体を得、化合物24cであり、収率は16%であった。
【0208】
ステップ2
化合物24c(20mg、0.14mmol)、化合物24d(8mg、0.145mol)及びイソプロパノール/水(V/V=99:1、1.9mL)を10mLの3口フラスコに順次に加え、次に、炭酸カリウム(0.14g、0.98mmol)を加えた。反応混合物を85℃に加熱させ、還流して4時間撹拌した。反応完了後、反応溶液を酢酸エチル(10mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過し、濾液を濃縮して粗生成物を得、逆相カラムクロマトグラフィーで8mgのオフホワイト固体を得、化合物24であり、収率は35%であった。
【0209】
LCMS m/z(ESI): 353.1 [M+1]。
H NMR (400 MHz, DMSO-D6):δ8.56 (s, 1H), 8.38 (d, J = 4.8 Hz, 1H), 8.33-8.28 (m, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.19-7.14 (m, 1H), 5.60 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.23 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 3.60 (s, 2H), 2.83 (d, J = 26.4 Hz, 4H), 2.36 (ddd, J = 15.3, 7.7, 3.6 Hz, 2H), 2.21-2.09 (m, 6H), 2.04-1.97 (m, 2H)。
【0210】
実施例11 化合物26の合成
【0211】
【化49】
【0212】
ステップ1
化合物26a(150mg、0.41mmol)、化合物26b(134mg、0.45mmol)、アセトニトリル(2mL)を25mLの3口フラスコに加え、-10℃に冷却させ、TP(350mg、0.4mol)をゆっくりと滴下した。トリエチルアミン(181mg、1.8mmol)をアセトニトリル(5mL)に溶解させて反応溶液に加え、反応系を-5℃に保持し、3時間撹拌した。反応完了後、反応混合物に水(30mL)を加えて反応をクエンチングさせた。濃縮し、5℃に冷却させ、1時間撹拌した。濾過し、ケーキを水(100mL)で洗浄し、40mgの白色固体を得、化合物26cであり、収率は33%であった。
【0213】
ステップ2
化合物26c(40mg、0.14mmol)、化合物26d(16mg、0.145mol)及びイソプロパノール/水(V/V=99:1、3.9mL)を10mLの3口フラスコに順次に加え、次に、炭酸カリウム(99.6mg、0.7mmol)を加えた。反応混合物を85℃に加熱させ、還流して4時間撹拌した。反応完了後、反応混合物を45℃に冷却させ、アセトン(5mL)を加え、1時間撹拌した。濾過し、ケーキをアセトン(2mL)で洗浄した。濾液を3mLに濃縮し、またイソプロパノール(4ml)を加えて3mLに濃縮し、0℃に冷却させて1時間撹拌した。濾過し、36mgの灰色固体を得、化合物26であり、収率は57%であった。
【0214】
LCMS:[M+1]=395.1, RT=0.62 min
H NMR (400 MHz, DMSO-D6)δ ppm 8.55-8.65 (m, 2H), 8.38 (d, J = 7.54 Hz, 1H),8.17 (d, J = 7.54 Hz, 1H), 7.71-7.69 (m, 1H), 7.58-7.56 (m, 1H) 5.69-5.53 (m, 1H), 4.25 (s, 1H), 3.76-3.53 (m, 4H), 2.94-2.79 (m, 6H), 2.34-2.24 (m, 2H), 2.03-1.97 (m, 2H), 1.34 (d, J = 6.13 Hz, 2H),1.24 (d, J = 5.82 Hz, 3H)。
【0215】
生物学的試験評価
1.Vanin-1リコンビナーゼ活性阻害実験
化合物の所定の量を正確に秤量し、DMSOと反応緩衝液(50mMのTris base、50mMのKCl、1.6mMのシステアミン、0.005%のBrij35、pH8.0、使用の際製造)を使用して化合物を調製し、最高濃度を10000nMにし、4倍で勾配希釈して、濃度の異なる10個の化合物作業溶液に調製した。
【0216】
組換えヒトVanin-1(Biolab、JN0618)の活性阻害反応の場合、最初に2.5μLの化合物作業溶液と5μLの組換えヒトVanin-1タンパク質を混合し、室温で15分間培養した後、2.5μLのPantetheine 7-amino-4-trifluoromethylcoumarin基質を加え、10μLの反応系において、組換えヒトVanin-1の最終濃度が62.5pMであり、基質7-amino-4-trifluoromethylcoumarinの最終濃度が45μMであるようにさせ、反応は384ウェルプレート(PerkinElmer、6007280)で実行され、DMSOの最終濃度は1%であり、マイクロプレートリーダーで励起光を405nm、放出光を505nmに設定し、25℃で動力学読み取りを1時間実行した。データ処理及び分析のために30分目の生データを収集し、GraphPad Prism 8ソフトウェアで濃度効果曲線を適合させ、化合物濃度のIC50を計算した。データは下記の表-1に示された通りである。
【0217】
【表1】
【0218】
化合物Aは、
【0219】
【化50】
であり、CN109476645Aの実施例142の方法を参照することにより製造された。
【0220】
2.マウスの体内薬物動態評価
試験目的:
C57BL6マウスにおける本発明の化合物の薬物動態パラメータを検出することである。
【0221】
実験スキーム:
実験で使用した溶媒は、DMSO:Solutol:PBS=5%:25%:70%(v/v/v)であった。調製方法:必要な化合物を正確に秤量し、所定量のDMSOを比例で加え、ボルテックスで完全に溶解するまで混合し、次に、上記の比例に従ってSolutolとPBSを順次に加え、均一に混合させた。実験において、静脈内(iv)投与群及び経口(po)投与群で使用される溶媒は同じ溶媒であった。静脈内投与量は1mpkであり、経口投与量は2mpkであった。実験採血の時点:IV群:0.083、0.25、0.5、1、2、4、7、24時間。PO群:0.25、0.5、1、2、4、7、24時間、各時点で頸静脈から200uLの全血を収集し、EDTA-K2で抗凝固処理し、直ちに4000rpm×5分間、4℃で遠心分離し、上清を取り、試料を-80℃の冷凍庫に保管した。血漿試料の処理:内部標準を含むACN/MeOH(1:1、v/v)沈殿剤で沈殿させ、14000rpmで5分間遠心分離し、上清を取り、LC-MS/MS (AB Triple Quard 5500)で分析して、血液薬物濃度を得、Winnolin 8.1バージョンの非コンパートメントモデルで計算した。結果は表2に示された通りである。
【0222】
【表2】
【0223】
結論:
化合物2-1及び17は両方とも、与えられた投与量でマウス体内においてそれぞれ76.4%及び61.4%という高いバイオアベイラビリティを示し、本発明の化合物が優れた薬物動態特性を有することを示した。